>>478
自分の鴨の首の悪夢をSFっぽい(舞台は2058年)ダークファンタジーな読切の作品『真夏の夜の夢』にした竹宮さん。
次の読切短編は2ヶ月後の『扉はひらくいくたびも』です。

「扉はひらく いくたびも
二つの世界を つなぐため
やさしく きしむ
声たてて」
半透明などこでもドアのカラー絵から始まります(1975年の作品)
国立人工内蔵移植研究所の療養所(サナトリウム)卒業生やまだ療養中の少年たちの物語で、前作と同じ世界観だと思われる。
退院したばかりの少年が、まだ療養中だった親友のことを回想する形で物語は進みます。

療養中の少年が自宅に一時的に帰り、庭で不思議な扉をみつけ、その先へ進んでいきます。
そこにはバイオリンを抱えた少年の彫像と、その前で未来を語り合うコンクールを目指す青年とその恋人がいました。
何度も扉をくぐってその姿を目にした少年は、徐々時に怒り(?)が溜まっていきます。
二人の前に姿を表し、君たちは僕の作ったウソ(傍点)だから僕の自由になる 悪魔だから、と宣言し青年の指を傷つけ楽器の弦を切ります。
青年の恋人には、青年を助けたければ命をよこせと迫り……

というような作品です。
療養所が舞台だから「病んでいる」というわけじゃなくて、短くうまくまとまったダークファンタジーになっています。

この作品のタイトル「扉はひらくいくたびも」を、自伝のタイトルにしちゃうセンスにシビレてますw

白いレンガ黒いレンガの話が出ていたけれど…
ジル本・扉本が白いレンガばっかりという感想があるが、ちゃんと黒いレンガで作られた入口があり、自作品のタイトルという矢印にそっていくと黒い作品群にたどり着ける。
そういう本だと、読んでます。