>>872
屋敷の中で「上」と呼ばれるのは「主人」である人のこと。
妻の種類を意味する呼称ではないけれど、妻の中で「上」と呼ばれている人がいたら、
その人がそこの女主人であることを示すので、北の方・正妻を示すことが多い。

六条院の主人である光源氏が主に住んでいる春の御殿で紫の上が「上」と呼ばれていた
ということは、彼女がそこのエリアの女主人であることを示すので、つまり紫の上が
正妻「格」として扱われていたからこその「上」という呼称だった、という意味。

ちなみに明石の「上」という呼称は間違いというか、原典では決して「上」とは呼ばれてないよ


なお、「野分」で夕霧が紫の上を覗いたのは、夕霧が明石の姫君のところに来た時じゃなくて
光源氏のところに来た時であって、ちょうど光源氏が明石の姫君のところに行っていて
いなかった時に、夕霧が光源氏と紫の上の居所にやってきて、紫の上を覗き見したんだよ

紫の上の居所と明石の姫君の姫君の居所は一緒ではなくて、夕霧は明石の姫君の居所では
御簾の内にも入ることを許されていたけれど、紫の上の居所では許されてなかった。