私はヒーニアス。自他共に認める天才スナイパーだ
私の天才的な弓術を持ってすれば『ニーズへッグ』ですら
赤子の手を捻るが如く、容易く使いこなすことが出来るほどの実力者だ

だがそんなある日、あの女が現れたのだ
卑しい身分の村娘、名をネイミー

私は直感した。いや、それは直感というより確信に近いものだった
『エフラムは間違いなくニーズヘッグをこの村娘に与えるだろう』

そう、エフラムという男はロリコンなのだ。あの村娘に蛇弓を与えたところで
馬の耳に念仏、豚に真珠、宝の持ち腐れetcであるのは誰の目から見ても明らかだ
だが頭の悪いエフラムは、私のような賢い考えに至らず、その下心見え見えの
武器割り当てを敢行するだろう

そしてその翌日、私の予想通り蛇弓は件の村娘の所有物となった
エフラム(馬鹿)の愚行により、ルネス軍の士気はガタ落ちになり
魔物の大群の急襲によって、取り返しの付かないほどの痛手を被る事になった
ルネス軍の誰もが言った
「ヒーニアス様が蛇弓を装備してさえいればこのような事態は回避出来たのに」

さすがの馬鹿(エフラム)も自らの行いの愚かさに気づいたようだったが
すべては遅すぎた
私は馬鹿(馬鹿)に「何か言うことはないか?」と問うと馬鹿は
「ごめんなさい。僕にはこの軍を立て直すほどの智謀も才覚もありません
 どうかこれからはヒーニアス様がルネス軍の長となり、我々を導いて下さい」
などと泣きついてくる始末。まあ仕方が無いのでその提案を受ける事にした

仲間たちは「さすがはヒーニアス様」「あなた様に一生付いていきます」
「馬鹿(馬鹿)は放っておいて、一挙に魔王討伐の兵を挙げましょう」
などの賛辞を私にかけてきた。馬鹿は恨めしそうな目で私を見ていたが
私の一睨みでビクっと身体を硬直させ、緊張と恐怖のあまり糞尿を垂れ流していた
地位と権力にしがみついた結果がこれ。調子ぶっこき過ぎてた結果である。だがもう駄目