8月22日、文部科学省3階で開かれた部会。「個別入試(国立大の2次試験)での学力検査
は今後も極めて重要だ」。国立大学協会の里見進副会長(現会長、東北大学長)が国立大
の「総意」を述べ始めると、部会長の安西祐一郎・前慶応大学長の顔色が変わった。
 すでに答申予定を1カ月半も過ぎていた。安西氏が個別試験で「学力試験を廃止」する改革
にこだわったからだ。この日、安西氏はその改革私案を部会で配り、一気に決着を図ろうとしていた。
そこに国大協が「待った」をかけたのだ。
 安西氏の持論はこうだ。
 これからの学生に求められるのは知識の多寡ではない。答えのない課題に対し、他者と協働し解
決策を探る力だ。「1点刻み」で暗記した知識量を競う「知識偏重」の学力試験を続けるべきでは
ない。学力は大学入試センター試験に代わる新テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」
で段階別に評価し、大学別の試験では、論文や面接、集団討論で受験生の資質を見る「多面
的総合評価」に転換すべきだ―。
 だが部会では、国大協の意見に国立大教授の委員らが相次ぎ同調した。受験生全員に多面
的総合評価ができるのか。新テストだけで本当に学力が分かるのか。会議は紛糾した。


さまよう入試:1点刻みを超えて/上 「脱・暗記」トップ押し切る 国立大の「総意」中教審で崩す
http://mainichi.jp/shimen/news/m20141219ddm041100098000c.html