NY公立高校受験 複雑な制度がもたらす「隠れた人種隔離」 米州総局 伴百江
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO21353580R20C17A9I00000/
http://blog.goo.ne.jp/kzunoguchi/e/e2b3a566d252f82a6c57a4c9d0dc224f
 9月の新学期を迎えたニューヨーク市の公立学校では、新しいクラスメートや授業になじんだのもつかの間、
厳しい受験競争に突入する。8年生(日本の中学2年生)の高校受験だ。大学受験並みといわれる複雑で
厳しいプロセスを前に、途方に暮れる親や学生も多い。

 2002年に前市長のブルームバーグ氏が市教育庁を大改革し学区制を廃止、どこに住む生徒も好きな学校を
受験できるようにした。それ以前は、例えば、低所得者層が多く住むサウスブロンクスの生徒は、小学校から
高校まで教育の質の低い同じ地域の学校に通い続けなければならず、大学進学率も低いのは不平等という
見解に基づいている。すべての生徒に教育の機会均等を与える目的があった。
 その結果、それまでは学区内の高校に自動的に入学できたのが、400校の中から最大12校を選んで受験し、
8万人と競争しなければならないという米国一厳しい高校受験競争にさらされる結果になった。400校の質は
ピンからキリまであるが、人気の高校だと定員100人に5000人が応募する狭き門になる。

 募集要項は各校まちまち。中学校の成績と州共通試験の結果を見る学校や論文と面接のある学校、
「ポートフォリオ」といって中学時代の科学の課題や作文など過去の作品提出を要請する学校、はたまた
芸術系高校だとオーディションも課される。

 スペシャライズド・ハイスクールは公立高校に9校あり、中学校の成績などは一切関知せず、一発勝負で
試験に受かったものだけが入学できる難関校だ。

《続く》