『……お主は、実に風流に乏しい人間じゃの』
「えっと……夕涼みがてらお邪魔したんですけど、開口一番それですか?」
『そうじゃ。理由が分からんか』
「はい」
『はぁ〜〜〜〜〜…………っ。良いか。今日は何月何日じゃ?』
「えーと、9月の27日ですね」
『ほれ』
「はい」
『……ふむ。ヒントをやろう。ちゅう〜……?』
「え? い、いきなりここでですか……? ドキドキ」
『接吻と違うわ!! 俯いて頬を赤らめるでない! 気色悪いっ!』
「そこまで言いますかね……」
『ふん! 続きじゃ。ちゅうしゅ……?』
「あ〜〜! 中秋の名月か!!」
『左様じゃ。さて、中秋の名月……月見じゃな。月見と言ったら何じゃ』
「ススキ」
『う〜ん惜し「あの……」 何じゃ?』
「風流がどうとか言ってましたよね、最初」
『……うむ』
「食い気が先立つのは風流なんですかね」
『……そこは……それとしてじゃな』
「おまけに人に用意させようってのは……」
『えーい喧しい! 男が小さいことをグダグダ抜かすでない!!』
「うわ逆切れだコレ」
『団子じゃ団子! 儂は! 月見団子が! 食べたいの!! 山盛りでの! 文句あるか!?』
「花より……いや月より団子って。子供か」
『子供で構わん! 台所に白玉粉がある。さっさと用意せい!』
「もう……。まったく我儘なんだかから……」
 そんな纏さんカワイイヤッター!!