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ツンデレにこれって間接キスだよなっていったら0.8 [転載禁止]©2ch.net
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0001ほんわか名無しさん
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2014/12/31(水) 17:37:27.350
◆このスレは何?
ツンデレの妄想でひたすら萌え続ける場です。どんな形でもいいのでアナタのツンデレ妄想を垂れ流してください。
◆前スレ
ツンデレにこれって間接キスだよなっていったら0.6
http://nozomi.2ch.net/test/read.cgi/honobono/1384561770/
◆過去ログ置き場
http://www.tndr.info/
◆Wiki(過去ログ置き場以前の過去ログ・更新停止中のまとめ等もwiki参照)
http://www45.atwiki.jp/viptndr/pages/1.html
◆ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら 専用掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/computer/21510/
◆うpろだ
http://tunder.ktkr.net/up/
http://www.pic.to/ (携帯用)
◆お題作成機
http://masa.s23.xrea.com/
http://maboshi.yh.land.to/tundere/
◆規制中の人向け、レス代行依頼スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/21510/1275069975/
0341ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/10/07(水) 08:14:30.45O
お題
つ・ツンデレと良い雰囲気になっている時についうっかり、自分の好きなエロゲのワンシーンを例え話に出してしまったら
0342ほんわか名無しさん
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2015/10/12(月) 05:49:06.690
ツンデレのおっぱい揉みたいなぁ…

って独り言をツンデレに聞かれてたら
03431/2
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2015/10/12(月) 23:01:50.410
>>338
・ツンデレからあなたって風流に乏しい人ですねって言われたら

「こんばんわー、いるかー纏?」
『ここに居る。あまり大きな声を出すでない、興が削がれる』
「人に買い物頼んどいてその言い草かよ。ほい、饅頭」
『うむ、すまんな。茶ならそこにある。勝手に飲んでくれ』
「はいよ。しかし夜中に呼びつけて来てみりゃ縁側でなにやってんだ」
『何って月を見ておったんじゃよ。ここからはよい月が見えるでな』
「月って欠けてんじゃん。満月ならともかく欠けた月ってなぁ…」
『はぁ…おぬしは本当に風流を解さんな。欠けた月には欠けた月の赴きがあろうて』
「そーかー?よくわからん。饅頭サツマイモと栗とどっちがいい?」
『永遠に満ち足りていられる物などはない。いつかは必ず欠けてしまう。けれども年月が廻るうちに
 また満ち足りていく。欠けた月は世の無常を示している。と、なぜわからん。栗饅頭が食べたい』
「栗ね、はいよ。欠けてもまた満ち足りる、か。食べかけのイモ饅頭が元通りになってくれたら便利なのにな」
『おぬしに風流を期待した儂が愚かであったか』
「さっきから風流って言ってるけどさ、そもそも風流って何?」
03442/2
垢版 |
2015/10/12(月) 23:03:16.440
『そこから説明せねばならんのか。風流と言うのは、自然を感じその赴きを楽しむことじゃ』
「今、スマフォで調べたら、人目を驚かすために華美な趣向を凝らした意匠、侘び・寂びと対峙する存在って出たぞ」
『………ふむ、まぁ時代の流れで意味も変わったんじゃろ………多分』
「現代の日本語で日常的に用いられる「風流」の言葉の指す美意識とは若干異なるものである。とも書いてあるな」
『じゃろ!儂の言う通りじゃろ。まったく変なひっかけを入れるな』
「ひっかけって、しかし風流ねぇ。調べたらよけい分からなくなっちまったな」
『ならば俳句でも詠んでみたらどうじゃ、見たまま思ったままを五七五にすれば少しは分かるのでわないか』
「纏が言う方の風流がな」
『やかましいわ』
「うーん、見たまま思ったまま。出来たぞ」
『早いな、聞かせてみよ』

  ボーマンダ  火を吐く音は  ボーなんだ

『どうしてこの流れでポケモン川柳になる!意味が分からん!』
「みんなもポケモンゲットじゃぞ〜」

〜終われ〜
0345>>308
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2015/10/12(月) 23:59:19.970
なんなんだこれは……w
03471/2
垢版 |
2015/10/14(水) 19:42:34.540
そんな事よりちょっと俺の話聞いてくれよ

目に見えて日が早く落ちるようになった秋口、俺はツンデレとお医者さんごっこしたの

というのも二人で時間も忘れて遊んでたせいでバスに乗り遅れてさ

一時間に一本しか来ないド田舎なもんだから

オマエが悪い言い合いながら待ちぼうけくらった訳

そんで肌寒いベンチで寄り添いながら手遊びしてたんだけど

あまりに暇なんで皮むけた指見せて気持ち悪がらせて遊ぼうとしたの

なのにツンデレ真面目に心配してきて調子狂うよね

してボロボロの手のひら触診してくれてさ

そんな事されたら俺ツンデレ好きになっちゃうじゃん

だから告白したんだけど、ちょっと手触っただけで勘違いしてんじゃねーよ、って感じで、はあ?言われてさ

小心者の俺はすっかり小さくなってしまうの

でもツンデレなかなか手放してくれなくてさ

真皮出て赤くなってる手のひらに、痛くないですかー、って心配り忘れないの

そんな対応されたら嫌われてんのか好かれてんのかわけ分からなくなってきた、って話
03482/2
垢版 |
2015/10/14(水) 19:43:43.430
そんな事よりちょっと私の話聞いてほしいんだけど

目に見えて日が早く落ちるようになった秋口、私はアイツとお医者さんごっこしたの

というのもアイツのんびり屋さんでバスに乗り遅れてさ

うまいこと発車して五分くらい経って到着してね

オマエが悪い言い合いながら待ちぼうけくらった訳

そんで肌寒いベンチで寄り添いながら携帯見てたの

そしたらアイツ手のひら近づけてゾンビのマネしてきてさ

よく見てみたら指とか皮むけて痛々しい事になってんの

私は当然心配したんだけどアイツはむずかゆい顔してね

しばらく黙って触られてたと思ったら急に告白してきてさ

いきなりのことなんで私も声裏返っちゃったの

私プライドだけはアホみたいに高いから今更、私も好きー、とか言い出せなくてさ

とにかく当たり障りのない言葉でごまかします

でもここで手を放したら疎遠になる未来しか見えないからね、放すわけにはいかないよね

そんなこんなで結局私の家まで着いちゃってさ、アイツも帰れないって困ってるし誰か助けて、って話
03521/5
垢版 |
2015/10/17(土) 17:56:13.890
・ツンデレのことを雨女だってからかったら〜その8〜

 あたしと別府が出したのは、お互いにパー。確認した瞬間、すぐに次に移る。
「『あいこでしょ!! あいこでしょ!!』」
 次も互いにグー。そしてその次はあたしがチョキ。別府はパーだった。
『やったーっ!! 勝ったああああああ!! 超嬉しいーっ!!』
「くっそおおおおお…… ここで負けるかよ……」
 立て膝になってバンザイをして喜びをいっぱいに表してから、あたしは無様にうずくま
る別府を得意げに見下ろした。
『さ。約束よ。そのおにぎり、一気食いしてもらいましょうか? お茶無しで』
「くっそお!! こうなったらやったらあ!!」
 ためらったら負けと感じたのだろうか。別府が一気におにぎりをパクついた。しかしそ
の顔がすぐに意外そうな顔に変わる。
「あれ?」
 あたしもその反応が不思議だった。悶絶するはずなのに。何で?
「椎水。このおにぎりさ」
『うん』
「中身、おかかだった」
『ええええええーっ!!』
 不覚だった。どこで一体どう間違えたのだろうか? 確かにわさび漬け入りおにぎりは
作った時に他のと分けておいたのに。で、ちゃんと区別するために別府の顔をイメージし
て描いたはずなのに。
「うん。完食。うまかったぞ。このおにぎり」
 満足げな別府に納得行かず、あたしは抗議した。
『今のダメ!! 無効だから。ちゃんとわさび漬け入りおにぎりでないと』
「何でだよ。負けて一気食いするのは“その”おにぎりだったろ? ちゃんと有効だろ。
てか、次は俺が選ぶ番だよな。えーと、じゃあこの困り顔のとか――」
『何でよ!! 勝ってバツゲームとか意味わかんないわよ』
「は? こういうのって、普通交互じゃねーの? バラエティーとかじゃさ」
 勝手に自分ルール押し付けられて憤慨するあたしに、別府はさも当然といった形で聞いて来た。
03532/5
垢版 |
2015/10/17(土) 17:56:57.890
『だってあたし、勝ったのよ? 交互にするなら、せめて選択権はあたしじゃない? そ
れならまだ納得出来るけど』
 あたしの理屈に、別府はうなずきつつ答えた。
「ま、それならそれでもいいけどよ。ただし、俵むすびはなしな」
『えーっ!! そんな条件付きとかなしよ。勝者の権利なのに』
 あたしの抗議も別府はサクッと退けつつ、また焚きつけることを口にしてきた。
「だって、間違えるにしてもさすがに俵むすびはないだろ? ノーリスクじゃ面白くない
し。大体、三角のもまだ三つ残ってるから3分の1の確率だし、そもそも椎水は自分で握っ
たんだから、少なくともこれは当たりじゃないって分かるだろ。十分有利だと思うけど」
 別府の主張にあたしは上手い答えを思いつかなかった。これじゃあ拒否したらあたしが
ヘタレみたいに思われてしまう。
「どうした? もしかして、具を入れ間違えたからどれがどれだか自分でも分からなくなっ
たとか?」
 別府のにやつき顔がたまらなくムカつく。カッとなったあたしは、つい余計なことを答
えてしまった。
『そんなことないわよ。少なくとも、この笑顔のおにぎりは間違いなくシャケ入れたもん』
「じゃあ、それ食えばいいじゃん」
 これであたしは自分で完全に退路を断ってしまった。今更もしかしたら違うかもしれな
いなんてみっともなくて言えるわけもない。
『分かったわよ。じゃ、あたしこれ食べる。まあ、どうせこれもシャケだから問題ないわけだし』
 あたしはニコニコ顔のおにぎりを手に取った。普通に考えれば、おかかおにぎりに間違
えてわさび漬けを入れているはずだから、これは絶対にない。とはいえ万が一を考えると、
なかなかパクつくことは出来なかった。
「さ、どうぞ。また次の勝負が控えてるんだからさ。パクッと行っちゃえよ。パクっと」
 別府のこの余裕たっぷりな態度が実に鼻につく。あたしがこれを食べ終えれば、また自
分が不利な状況に追い込まれる可能性だって十分あるのに。いや。だからこそ、あたしの
不安を煽ってちょっとでも優位な状況を楽しんでいるのかもしれない。
03543/5
垢版 |
2015/10/17(土) 17:57:24.470
『うるさいわね。こんなもの、何てことない、普通のおにぎりなんだから』
 あたしはガブッとてっぺんからかぶりつく。具に行き当たらず、ごはんだけが口の中に
広がる。しかしこれであたしは確信した。わさび漬けおにぎりにはたっぷり具を入れたは
ずだから、当りなら一口で悶絶するはずだ。
『ほら、みなさい。全然平気じゃない』
 ややホッとした気分で二口目をかぶりついて頬張ったとき、葉にガリッという感触があっ
た。その瞬間、わさび漬け独特の辛みが鼻を突き抜ける。
『ぐはっ!! ごほごほっ!! えーっ!!』
 片手で口を押さえてむせるあたしに、別府がからかいの声を上げる。
「あれ? どうしたんだよ。それ、シャケじゃなかったのか? 自信たっぷりに言ってたよな?」
『ゴホッ!! ゴホッ!! うるさ――ガハゴホゲヘッ!!』
 言い返そうとしてもまともに言葉にならず、大量のわさび漬けの辛味に悶絶することし
か出来ない。
「アハッ!! アーッハハハハ!! やっべ、超ウケる。何だそりゃ。人を引っ掛けよう
として自分が悶絶するとか。おもしれー」
『ゴホッ!! ゴホッ!! ゲホッ!!』
 笑うなこのバカ。女の子が悶絶してるんだからちょっとは心配しろ。ていうかお茶よこ
せと頭の中では言いたいことが渦巻いているけど一言として言葉にならない。あたしが出
来ることと言ったら、辛うじて指で水筒を差すことくらいだった。
「ああ。お茶な。でもその前にちょっと待って。写真撮っとくから」
『――――っ!! やめっ……ゴホゴホ!!』
 手を振って拒否するも、無常にもシャッター音が聞こえた。
「これでよし、と。はい。お茶」
 目の前に差し出されたそれをひったくると、あたしは一気に飲み干した。ようやく人心
地ついたあたしは、一気に文句をまくし立てる。
『なに人の苦しむ姿見てゲラゲラ笑ってんのよこのバカ!! ちょっとは気遣いくらい見
せろ!! あと写真撮るとか最低!! 貸しなさいよ。消すから』
「いやいや。こういうのも記念だろ。椎水自爆った記念とか。学校行った時クラスの奴ら
から写真見せろって言われた時も仲良い写真よりもこういうのの方がネタになるし」
03554/5
垢版 |
2015/10/17(土) 17:57:51.250
『人をネタにしないでよ!! てか、こんな恥な写真公開する気? 絶対止めてよね』
 別府のスマホをひったくろうと手を伸ばすも、先に背中に回されてしまう。
「聞かれたらだよ。二人で仲良く笑顔の写真、とかよりもいいだろ」
『そんな写真撮らないし。最低。絶対ダメだからね』
 果たしてどんな顔が写っているのか。顔は半分以上手で覆っていたとはいえ、絶対みっ
ともない悶絶顔が写っているに決まっている。想像すらしたくないのに、そんな写真人に
見られるとかありえなかった。
「ま、流れ次第かな? もっと良い写真撮れれば機会も減るかもしれないし」
 取り澄ました態度がものすごくムカついた。本当だったらあたしが別府の悶絶写真を撮っ
て笑いものにするはずだったのに。
「さてと。これでおにぎりの外れもなくなったし、勝利のポテサラでも食べるかな」
『ちょっと待ちなさいよ』
 あたしは箸を持つ別府を制した。あたしの目の前には、辛うじて放り捨てなかったわさ
び漬けおにぎりがまだ半分弱残っている。とっさの思いつきであたしはそれを別府に差し出した。
『これ、残りあんたが食べなさいよ。もともとあんたのために作ったんだし』
「は? 自分で選んだんだから自分で責任持って最後まで食うんじゃないのかよ?」
 そう言いつつも、別府は箸を動かしてポテサラを口に運んだ。
「うん。美味い。何気にポテサラの味にはうるさいんだけどな。これは十分合格点だ」
 こんな状況なのにポテサラ褒められてちょっと嬉しさを感じている自分にあたしは顔を
しかめた。しかしそれよりもまずはこのおにぎりだ。
『だって、もう食べられないもん。だからって捨てるわけには行かないでしょ? だから
別府、食べてよ。一気に食べなくてもいいから。それともあたしの食べさしじゃ食べられ
ないとか?』
「へ……?」
 あたしの言葉に何故か別府がちょっと動揺した素振りを見せた。もしかして別府って人
が口つけたものは無理とかそういう人なのかなと思って聞いたのだけれど。
「いや。その……まあ、確かに捨てるのは良くないし…… まあ、そんなにわさび漬け好
きって訳じゃないけど、食えないことないし……ただ、その……椎水が、いいって言うな
ら? だけど……」
03565/5
垢版 |
2015/10/17(土) 17:58:45.970
『は? あたしが食べてって言ってるのに、いいも悪いもないでしょ? 何であんたがそ
んなこと気にすんのよ。意味分かんないんだけど』
 疑問を呈すると、別府は困り顔で視線を外した。
「いや。その分じゃどうせお前気付いてないんだろうけどさ。これってその……間接……
って、なっちゃうわけだけど」
『なっちゃうって……間接……? ――――っ!!』
 別府が言葉を濁したせいで気づくのが遅くなったが、気付いた途端、心臓がドクンとびっ
くりしたように一打ちした。別府が気にしてたのってそっちかと。しかし今更後に引けな
いし、何よりあたしはもうそのおにぎりは無理だった。
『へっ……へへへ、変なこと言う、言わないでよバカ!! こんなの、その……そういう
のとは違うし!! ただの、その……何てーのっていうか、えっと、あの……じゃ、じゃ
なくて、残飯処理だし!!』
「そっか。なら、まあ……いただくわ」
 別府が食べかけのおにぎりを手に取るのを見て、あたしはパッと顔を背けた。水筒から
またお茶を注いでちびちび飲みつつ、横目でチラチラと別府が食べるのを確認する。正直、
全部別府のせいだと、あたしは心の中で憤慨した。わさび漬けおにぎりで悶死しそうになっ
たのも、今恥ずかしくて死にそうなのも。


まだ続きます
0359ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/10/20(火) 17:35:59.730
友ちゃんに一体何が…これは精一杯愛して幸せにしてあげざるをえない
03621/6
垢版 |
2015/10/25(日) 10:48:02.170
・ツンデレのことを雨女だってからかったら〜その9〜

『じゃ、お昼も終わったし、そろそろアスレチックに戻ろうよ』
 お弁当を片付け終えると、あたしは別府を急かした。しかし別府は気乗りしなさそうに
両腕を上げて背伸びをする。
「ちょっと休んでからの方がいいだろ。まだ腹いっぱいで動く気になんねーし」
 ゴロン、と横になってしまった別府をにらみつけ、あたしはその体を揺さぶる。
『なに言ってんのよ。腹ごなしなら運動が一番でしょうに。大体食べてその後すぐ寝たら
太るんだからね。牛になるってことわざもあるくらいだし。ほら。いこ』
「大丈夫だって。古今東西、メシの後に寝て牛になった人間なんていないし、どうせ後で
体動かすんだからその時カロリー消費すればいいだろ」
『ダメだってば。脂肪になったら落とすの大変なんだから。大体女子はすぐ脂肪ついちゃ
うんだからね。巻き添えでこっちだけ太るとか最悪なんだから』
「大丈夫だよ。椎水は陸上で体絞ってるし、スレンダーで綺麗な体つきなんだから心配す
ることないって」
 さりげなく嬉しいこと言われて、あたしは言い返す言葉を失ってしまった。面と向かっ
て褒められるよりも、こんな風にごく自然な感じで言われるほうがドキッとするのはなん
でだろう。もっとも、サボるための適当な言い訳なのかもしれないけど。
『むー…… もう。10分よ。10分。それ以上は認めないからね』
 こんなことで折れてしまうあたしって、扱いやすい女なのかなあと自虐的に反省しつつ、
あたしも誘惑に負けてあおむけに寝転んだ。日差しが強くてちょっと暑いくらいだけど、
それが逆に心地よくてうっかりするとまどろんでしまいそうだった。
「いやー…… 気持ちいいよなあ。満天の青空の下で心地よい日光浴びながら横になるのっ
てさ。うっかりこのまま寝ちまいそうだぜ」
『寝たら踏みつけるわよ。裸足で顔面を思いっきり』
 寝そべったまま、足を上げて踏み下ろす動作をする。
「止めてくれ。かかとでほっぺをグリグリするとかならともかく」
 なかばだるそうに別府が腕を上げて振る。そして下ろした手が、ちょうどあたしの手に
当たった。
03632/6
垢版 |
2015/10/25(日) 10:48:28.660
『「へ……?」』
 頭を上げて確認すると、別府の手がちょうどあたしの手の上に重ねるように置かれてい
た。しかし、それはほんの一瞬だった。
「ご、ごめん!!」
 慌てて別府が手を引っ込める。それが却ってあたしの羞恥心を刺激した。
『き……気をつけてよね…… まあいいけど……』
 体を横向きにして別府に背中を向ける。意識してくれたんだという事が嬉しくもあり恥
ずかしくもあり、何と言うか少し惜しくもあり、違う意味で腹立たしくもあった。
――何もあんなに早く手を引っ込めることもなかったのに……
 一瞬、指を絡めあうのを想像して、すぐにあたしはそれを小さく首を振って否定する。
――な、何考えてんのよあたし…… 別府と恋人同士ってわけでもないのに……
 むしろ別府の態度のほうが正解なんだと思い直す。向こうだって、わざとじゃないとは
いえ、変な誤解を受けたくはないだろう。なのに何をあたしは妄想の中とはいえ先走った
ことを考えているんだろう。
――やっば……あたしってバカみたい。あー…… もう恥ずかしくて死にたい……
 体が熱を帯びてカッカとしている。冷たい風が体に当たるのが感じられるが、そんな程
度じゃ全然治まってはくれなかった。
「あのさ。椎水……」
『な、何よ?』
 正直、この気分が治まるまでは会話したくない気分だったので幾分つっけんどんに聞き
返した。次の瞬間、今の言い方は失敗したかなと思ったが、別府は特に声の調子を変える
事もなく続けた。
「ちょっと……そろそろ、片付けてアスレチック行かないか?」
 別府もこの微妙な空気に耐えかねたのだろうか? 真意を測りたくてあたしは体を起こ
して別府を見た。しかし別府はあたしの方を見ておらず、何故かちょっと遠くの空を見て
いるようだった。
『何で? 休みたいって言ったの……アンタじゃない。まだそんなに経ってないと思うけど』
 いぶかしく思うも、別府はあたしの方を向いて笑顔を作った。
「ああ。いや、ほら。何かこのままダラダラしてると体動かすのめんどくなりそうだったからさ」
03643/6
垢版 |
2015/10/25(日) 10:49:13.460
 肩を回し、座ったまま両腕を上げて伸びをする別府に、あたしは首を傾げた。別府はあ
たしと手を重ねたことをそれほど引きずっていないのだろうか? その疑問が湧いたのと
同時に、気持ちが急にスッと引いた。悶々としてたのはあたし一人だったのかと思うと、
急にバカバカしくなる。
『ま、別府が行こうって言うんなら、別にあたしは異存ないけど』
 立ち上がって靴をはくと、先に立ち上がっていた別府がまた遠くを眺めていた。
『どうしたのよ? 一体……あっちに何かあるの?』
「ああ。いや。何でもない。ゴメン。シート畳むよ」
『じゃ、あたし反対持つね』
 片づけをしつつ、どうにもあたしは別府の態度が気になって仕方なかった。


『ほら。別府。早く行きなさいよ。追いついちゃうじゃない』
「そう急かすなって。これ、結構バランス取るの難しくてよ」
 ロープで吊り下げられた小さな丸太を一つずつ渡っていくのを、別府はちょっと苦労し
ていた。とはいえ、午前中のコースと違って水上コースではない。さすがに下は固い地面
だけに、邪魔するとかまでは出来ず、あたしはただ、からかい声を上げて楽しんでいた。
「もう少しでゴールだから…… これを引き寄せて、よし、と。フウ……」
 言葉とは裏腹に、別府は危なげなく最後の1メートルを渡り切る。
『なーんだ。失敗しなかったのか。つまんなーい』
 それを見てあたしはガッカリした声を上げる。すると別府は、ゴールから逆にあたしを煽った。
「人のことばっか言ってないで、お前もさっさと来いよ。でないと置いて行っちまうぞ」
『言ってなさいよ。こんなの、すぐ渡れるんだから』
 しかめっ面で舌を出したが、偉そうに言っておいて落ちたりしたらみっともないことこ
の上ない。あたしは慎重に、ロープを掴んで丸太を引き寄せては一つ一つクリアして、最
後の一本まで無事渡り切った。
『じゃーん!! どーよ? アンタより早いでしょ?』
 得意満面の笑顔で主張する。しかし、反抗してくるかと思った別府は、全然あらぬ方向
を見つめていた。
『ちょっと!! あたしが渡り切るとこ、見てなかったの? この華麗なステップを』
03654/6
垢版 |
2015/10/25(日) 10:49:54.360
 Tシャツを掴んで揺さぶると、別府はやっとあたしの方に注意を向けた。
「あ、ああ。ゴメン。見てなかった。っていっても、俺を煽れるんだから実際早いっての
は間違いないと思うけど」
 その答え方がどこかうわべだけで、気持ちが別のところに行ってるようなのがあたしは
気に食わなかった。
『何よ。その適当な答え方。ていうか、人が頑張ってる時にどこ見てたのよ? まさか他
の女の子とか見てたんじゃないでしょうね?』
「い、いや。違うって。それはない。てか、周りに今、可愛い子いないだろ?」
『ほう? じゃ、あたしは可愛くないと?』
「そういう意味じゃなくて、その、椎水以外ではってゆーか、他に目移りするような子はっ
て言うか……って、何でそんな話になってんだよ!! つか、嫉妬かよ!!」
『バーカ。仮に恋愛感情なんてない男子だって、デート中に他の女に目移りされるのは失
礼だし、頭に来るものなの。勘違いすんな』
 あたしに困らせられた仕返しだろうけど、そんな程度で動揺するなら最初からからかっ
たりなんてしないし。ただ、女の子の件はともかく、別府が何を気にしているのかはこっ
ちも気になっていた。
『それより、本題に戻るわよ。で、どこ見てたの? 言わないと、学校で別府があたしほっ
ぽって美人のお姉さんを下から見てハァハァしてたって言い触らすから』
「ちょっと待てよ。何で話が大げさになってんだよ? 下からとか、既に場所も変わって
るし。つか、そもそもにして女見てたわけじゃねーし!!」
『そんな言い訳しても、噂が広まっちゃえば誰が信じてくれるかしらね? 特に友子の伝
播力はすごいわよ? そうね。次の日には学校中に広まっちゃうかな? しかもより尾ひ
れがついて』
 この話が大げさでもなんでもないのは別府もよく知っていた。しかめっ面で頭を掻き、
一つため息をついた。
「いいのかよ? 言ったら絶対機嫌悪くなるぜ?」
 脅しとも取れる言葉に、あたしが屈するはずもなかった。
『はあ? 既にもう機嫌悪くなってんのよ。そういえば、さっきお昼終わった時もそうだっ
たし、何かちょっと上の空よね? 何なのよ一体。気持ち悪いからいいなさいよ』
03665/6
垢版 |
2015/10/25(日) 10:51:25.820
 別府はもう一つため息をついた。あたしの態度を見て、どうにも逃げようがないと感じ
て覚悟を決めたようだった。
「いや……その、さ。さっきから、冷たい風が吹いてるからさ。何か、嫌な予感がして、
何となく急いだほうがいいかなって」
『嫌な予感って何なのよ? ハッキリ言いなさいよね』
「ああ。その……こういう風が吹く時って、大気が不安定になってる時が多いんだよな」
 その言葉が、あたしの忘れていたコンプレックスを思い出させた。
『ちょっと待ちなさいよ。まさかアンタ、雨が降るんじゃないかって言うわけ?』
 追求されて、別府は申し訳なさそうに顔を背けた。しかしそれが、何よりも肯定の言葉
となった。
『冗談言わないでよ。だって、こんな晴れてんのよ? どこから雨が降って来るって言うのよ?』
「いや。こういう時、雨雲って急に発達したりするから。ゲリラ豪雨とかって、そういう
もんだろ? 普通の低気圧とかと違ってさ」
『それはそうかも知れないけど、でもまだ風だけでしょ? そんな慌てなくてもすぐには
降らないわよ。大体あたしだってちゃんと一週間くらい専門のお天気サイトでずっと見て
来て今日は降らないってなってたから選んだんだもん。どうせあたしが雨女だから降るか
も、なんて思ってるんでしょ? 最低』
 頭にきたのと焦りから、あたしは言われてもいないことを勝手に口にして別府を責めた。
「そんなことは別に思ってねーよ。からかうネタで使うことはあってもガチで信じてるわ
けでもないし。それよか、むしろ椎水が気にするんじゃないかって思ってたから言わなかっ
ただけで……」
『あんだけ人のこと雨女扱いしてエピソード散々語っといて実は信じてる訳ないだなんて、
こっちが信じられないわよ。つか、そのせいでアンタなんかと二人きりでアスレチックデー
ト、なんてはめになってるんじゃない』
 感情が昂ぶっていて、あたしは自分が言い過ぎているのにも気付かなかった。別府の顔
がわずかに険しくなったのも、察することが出来なかった。
「とにかく、先に進むなら少し急ごうぜ。降らなきゃそれに越したことはないけど、万が
一に備えてさ」
 それに対して何も答えずに、あたしはさっさと一人で先に立って歩き出してしまった。
03676/6
垢版 |
2015/10/25(日) 10:52:09.950
 その後しばらく、あたし達は会話することなく、ただひたすらアスレチックコースを進
んでいた。正直さっきはちょっとひどい事を言ったかなと、気持ちが落ち着くに連れて反
省の気持ちはあったのだが、何て声を掛けていいのか分からなかったのだ。
『ん?』
 遥か遠くの空で、何か嫌な音が鳴っているのに気づいたのは、ロープで出来た橋を渡っ
ている時だった。
『何だろ……? き、気のせいよね。気のせい』
 自分をごまかして橋を渡り切り、次のコースへ進もうとした時、あたしの後からロープ
の橋を渡り切った別府が、言い合いをしてから初めて声を掛けてきた。
「椎水。今、雷が鳴ってたよな?」
『さあ? あたしにはよく聞こえなかったけど』
 天候の悪化が会話再開のキッカケだなんて皮肉だ。しかもこれじゃ、またケンカになり
かねないし。分かっていてもあたしには強がることしか出来なかった。
「そうか? でも、確かにさっき、遠くの方でゴロゴロって……」
 別府がしゃべっている最中に、また一つ、遠くで雷の音が響いた。つい反射的にあたし
はその方向を向いてしまう。
「聞こえたろ? こりゃ、雲行きによっては切り上げたほうが――」
『ふーらーなーいっ!!』
 別府の提案を遮ってあたしは叫んだ。別府は驚いた顔であたしを見つめてから、困った
ようになだめようとする。
「落ち着けって。まだ降ると決まったわけじゃないし、ただ万が一に備えてさ。降りそう
になった時のことも考えておかないと。万が一落雷なんてことになったら、命の危険だっ
てあるわけだし……」
『降らないの!! 降らないったら降らない!! あたしがそう決めたんだから』
「椎水……」
 駄々っ子になったあたしを、別府はただ、困った顔で見つめていた。


続く
0368ほんわか名無しさん
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2015/10/25(日) 17:17:08.510
お題 

・ツンデレにトリックオアトリートと言ったら

・お菓子を持ってないツンデレ

・じゃあイタズラしないとね!ハロウィンだから仕方ないよね!とイタズラしたら

・責任を取ることになったタカシ
0369ほんわか名無しさん
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2015/11/03(火) 15:20:45.570
ハロウィンでさ

俺は例年通りツンデレとお出かけしたの

というのもツンデレいわゆる、見える人、でさ

ハロウィンの時期になると俺の後ろに何かいるとか言ってビビらせてくんの

そうして俺が怖くて一人でいられない状態にしてから優しくする策士な訳

そんで今年も雑多な人ごみの中デートに繰り出すの

したらツンデレ俺の顔見るや手引っ張って歩き出してさ

何事かと思ったら飯屋で立ち止まってね

腹減ってたならそう言えばよかったのに恥ずかしがってるの

そんで早めの昼飯した後は二人めいっぱい遊んでさ

いつもの幽霊話もしないし普段の倍優しいし、ツンデレの隠された魅力にドキドキ

さらにツンデレ自分の部屋に招き入れて膝枕までしてくれたんだよ

最近眠りが浅かったのもあるし、おかげでぐっすり寝れました

遠くなる意識の中で、正直俺おばけの存在は半信半疑だからさ

そういうの喋らなければツンデレ可愛いのにって伝えたい、って話
0370ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/11/03(火) 15:21:50.770
ハロウィンでさ

私は例年通りアイツの除霊を頑張ったの

というのもアイツ霊に憑かれやすい体質でさ

この時期なると、どっから連れてきた、っていうようなヤバい奴背中にいたりしてね

ほっとけない私は隣にいてあげて霊が離れるように導く訳

ならアイツ待ち合わせ場所に目も合わせられないような奴背負って現れてさ

今まではやんわりアイツに憑かれてんの教えてたんだけどコレは教えらんないわ

そういうことでこれから緊急除霊を始めます

と言っても私プロみたいにお経唱えたりとかできないから

とにかくおなかいっぱい食べて異性と仲良くして生きるパワーで追っ払うの

でもね、おいしいモン食べてこの私が人目もはばからずイチャこいたのに奴はなかなか離れなくてさ

もう一刻を争うってんで私の部屋まで無理に引きずって膝枕で寝させたの

そしたら奴の視線感じまくって、アイツが深く寝入ってやっと気配も消えてさ

私はこんなに怖い思いしたのにアイツは呑気に寝息立てやがって、そう思うと無性に腹立ってきた

だからアイツが起きるまでほっぺつねったり耳たぶぷにぷにして仕返ししてやった、って話
0372ほんわか名無しさん
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2015/11/07(土) 01:02:53.270
山「うぅ、もうすぐ冬かぁ、やだなぁ」
友「え?良いじゃない、冬」
山「どうして?寒いじゃん」
友「寒いけど、だからこそこたつの暖かいのとか好きなの」
山「なるほど。確かに寒い日のこたつは気持ちいいね。出られなくなるけど」
友「…それに…」
山「ん?」
友「…な、なんでもない」
山「ぅん…?」
友「なんでもないの!ほら、撮影行くわよ」
山「う、うん」



山「これで全部だね」
友「…手ぇ冷たい…」
山「ん…?どれ」ギュッ
友「あっ…」
山「うわ、冷たい…もう、手袋もしないで撮影してるから…」すりすり
友「う、うるさい。黙ってあっためなさい」
山「はいはい…」すりすり
友「…」
山「…やっぱり、ボクも冬が好きかも」すりすり
友「なっ…!ば、ばか!」
山「クスクス…」すりすり
03751/7
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2015/11/22(日) 15:56:51.930
・ツンデレのことを雨女だってからかったら〜その10〜

 しかし、その後もあたしの願いとは正反対に、急速に天気は怪しくなっていった。暑い
くらいだった空気はひんやりと冷たくなり、空模様も一気に暗くなっていく。しかしあた
しは先に立って、ひたすらにアスレチックに挑んでいた。
「椎水。おい、待てよ」
 次に進もうとしたあたしを、とうとうたまらずに別府が制止した。
「さすがにこの空模様じゃヤバいだろ。降られる前に一度戻ったほうがいいって」
『だから降らないって言ってんじゃない!! あんたも大概しつこいわね。何度言ったら
分かるのよ』
「でも、この空だぜ。どんどん暗くなってきてるし、マジこれじゃロッカーに着くまでに
降られるかもしれないし」
『だから降らないわよ。だってまだ降ってないもの。一時的に暗くなっただけで、すぐま
た元に戻るってば』
 根拠のない主張を繰り返すあたしを、別府はさすがに睨みつけた。
「だけど万が一ってことがあるだろ? さっきも言ったけど、森の中じゃ本当に危険なん
だって。もし雷が落ちてきたりしたら、どうすんだじゃすまないんだぞ?」
 別府が本気で心配して言ってるんだって分かっていても、意固地になったあたしには素
直に受け入れることが出来なかった。
『……どうせ、やっぱり雨女だなって思ってるんでしょ?』
「は?」
 別府の声に怒気が混じる。しかしそれでもあたしは憤りを抑えることが出来なかった。
『どうせ、あたしが一緒だから雨が降るって……最初からそう思ってたから、そんな風に
冷静に対応出来るんでしょ? やっぱりなって。だから……』
「違うって。昼飯食い終わった後から何となくそんな気がしてたから……この季節じゃ午
後に天気が崩れるなんてよくあることだろ? 椎水が雨女かどうかなんて関係ないって」
『ウソ。絶対最初っからそう思ってたに決まってる。後から付けたような言い訳でごまか
さないでよ』
03762/7
垢版 |
2015/11/22(日) 15:57:20.840
 こういう展開になって来ると、なんかもう全部自分の思考がマイナスに働いてくる。そ
して自分の意思ではそれを抑えるなんて出来なかった。正直、人間としては勝手な言いが
かりをつけられて苛立ちを見せつつも何とかこの場を収めようとしてる別府の方がよっぽ
ど大人だった。
「ごまかしって、俺はさっきからずっと…… まあいい。とにかくこんなところで口ゲン
カしててもしょうがないだろ。実際にかなり空模様怪しくなってきてるんだし、とりあえ
ず屋根のあるところに行こうぜ。ケンカならそれからだって出来るだろ」
『だったら勝手に一人で行って雨が降るよう願ってなさいよ。あたしは雨が降るなんて信
じないもん。こんなの、一時的に怪しくなってるだけで、あっちの方とか明るいもの。す
ぐ晴れるってば』
「だからいい加減にしろよ!!」
 別府の怒声に、あたしは反射的に体をビクッと震わせた。思いも寄らぬ大声に驚き、気
持ちが萎えかける。
「実際やばいんだって。こんな木に囲まれたところで万が一雷に打たれたら俺達二人とも
死ぬんだぞ? そりゃ、降られたくないのはよく分かるけどさ。我を張ってて死んだりし
たらバカだっての」
 あたしはうつむいて唇をかんだ。怒った別府の顔は見れなかった。別府の言うことに一
言も反論出来なかったけど、でもあたしの心は頑なで、素直に従うことを拒否していた。
「もういいだろ? ほら。戻ろうぜ。結果的に雨降らなかったら、良かったねってまたこ
こから再開すりゃいいんだしさ。そん時は思いっきりエラそうにしろよ」
 別府が手を差し出す。しかしあたしはそれを払いのけた。
『だったら……一人で戻っててよ』
 別府に背を向け、アスレチックコースを先へとあたしは進む。
「お、おい。椎水!! 人の話聞いてないのかよ? おい!!」
 背中から追いかけてくる別府の声に追いつかれないよう、あたしは足を速める。しかし
それでも、声は徐々に迫ってくる。
「椎水ってば!! 意地張るのもいい加減にしろって。なあ」
『うるさいっ!!』
03773/7
垢版 |
2015/11/22(日) 15:58:33.200
 こらえきれずにあたしは怒鳴った。同時にその場に立ち止まると、クルリと別府の方に
向き直った。何かもう、全てが恨めしかった。別府も、友子たちも、そしてこの空も。そ
して、正論では推し量れないやり切れなさを、その場にいた別府にぶつける。
『だって……だって…… 認めたくないのよ!! こんなのっ!!』
 別府の答えも待たず、怒鳴りつけるだけ怒鳴りつけるとあたしはまた別府に背中を向け
た。そして、一歩足を出したのと同時に、頭のてっぺんにボトッと、大きな水滴が落ちてきた。
『……え?』
 歩くのを止めて空を見上げる。バラッ、バラッ、と木の葉や草を水滴が叩く音が響き渡る。
「やべっ…… とうとう降ってきやがった。ほら、椎水。とりあえず屋根のあるところまで行くぞ」
 しかし、そう促されてもあたしは戻ろうとしなかった。その場に立ち止まり、空を見上
げる。大きな雨粒が顔に、肩に、胸元にヒットし続けた。
「お前な。我を張るのもいい加減にしろって。もう降ってきてるんだからさ。ほら」
 別府の苛立つ声も、あたしの心には届かず、ただ耳を右から左に素通りしただけだった。
あたしはただ、憤っていた。無常な、この天に。
『なんで…………』
 キッと、空を睨み付ける。そして、もはや我慢できず、あたしは空に向かって怒りを吐
き出した。
『何で降ってくんのよぉっ!! この……この………… バカやろおおおおおおっ!!!!』
 その叫びに応えるかのように、一気に雨雲は、滝のような雨を吐き出した。


「ほら。行くぞって」
 別府があたしの手首をつかんで引っ張った。放心状態になったあたしは、もはや逆らう
ことなく、引かれるがままに走り出す。
「近くにあずま屋があったからさ。まずはいったんそこに避難しようぜ」
 何かもうどうでもよかった。何で神様はこんなに無情なんだ。ただただ悔しくて、目頭
が熱くなる。目をしばたかせると、明らかに雨とは違う液体が頬を伝った。
03784/7
垢版 |
2015/11/22(日) 15:59:09.660
『何よこれもう……バカじゃないの……』
 空いている手で目をこするが、目の熱さはちっとも引かない。いくらなんでも、たかが
雨に降られた程度で涙が出るなんて、自分でも笑っちゃうくらいバカバカしいのに、涙は
全然止まってくれない。
「ほら、椎水。あそこ。とりあえずはさ。多少収まるまであそこでしのごうぜ」
 ほんの1、2分しか走っていないのに、もう雨宿りの場所に着いたらしい。涙をぬぐっ
て見ると、屋根と簡単な木のベンチしかない場所が見えた。どうやら別府はゲリラ豪雨に
備えて、ちゃんと事前に場所をチェックしていたらしい。
「行くぞ。椎水」
 ただ手を引かれるがままで自分からは走り出そうとしないあたしを、別府はちょっとじ
れったそうに促しつつ、残りの十数メートルをあたしを引いたまま一気に走り抜けた。
「いやー。一気に来たな。クソ。びしょ濡れになっちまった」
 何故か明るい調子で悪態をつく別府をよそに、あたしは屋根の端が掛かるギリギリのと
ころで外を見ていた。それはただ、涙が止まらないのを別府に見られたくなかったから。
だからあたしはギュッと唇を強く結んだまま、両手もただ握りこぶしを作って、ひたすら
こみ上げそうになる嗚咽を我慢していた。
「椎水も濡れたろ? タオルも着替えも全部ロッカーにあるから雨が小降りになったら早
めに戻ろうぜ。――って、おい、椎水?」
 何にも返事をしないあたしを別府が不審がる。それに気付いてあたしは慌てて彼を拒絶した。
『うるさい。こっち見ないで。話し掛けないでよ』
 口を開いた瞬間、感情があふれ出しそうになる。だから本当は、何もしゃべりたくなかったのに。
「何だよ。こっち見るなって。別に下着が透けるような服装でもないだろ? つか、いい
加減機嫌直せよ。別に雨が降ったのは椎水のせいじゃないんだしさ」
『だからこっち見ないでって言ってるでしょ!! 聞こえないの? このバカ!!』
 怒鳴り散らした途端、目がとても痛くなって我慢しきれずにあたしは右手で両目を抑え
る。同時に反射的に鼻をすすった。
「どうしたんだよ? 椎水。って……お前……まさか、泣いてる、とか?」
03795/7
垢版 |
2015/11/22(日) 15:59:47.420
 その一言が、あたしを焦らせる。バレたくない。こんな、みっともないこと、知られた
くないと。
『うるさい!! うるさいうるさいうるさい!! 泣いてなんてない!! 何であたしが……
何であたしが……こんなことで泣かなくちゃ…………けないのよぉ……』
 だけど結局、その叫び声が、あたしの最後の心の壁を崩してしまった。もう抑えきれず、
あたしは両の目を代わる代わるこすり続けながら嗚咽を漏らした。
「椎水……お前……」
 別府の戸惑いが言葉から感じられて胸が痛くなる。
『わっかんない……わかんないけど……何でって思ったら…… だって……だってだって……
今日の日取りだって、ずっと前から天気予報見て……雨予報なんてなかったのに……』
「……そういうことだってあんだろ。ゲリラ豪雨なんて、大雑把な地域で注意喚起するく
らいしか気象庁も出来ないんだからさ」
 慰めるような別府の言葉が、却ってあたしを激高させた。
『じゃあ、なんでよりにもよってここなのよ!! やっぱりあたしが雨女だから? 何で……
何で今日降るのよぉ…………ちくしょう……あああああっ……』
 ズーッ、と大きく鼻をすする。嗚咽は止まらなくなり、泣き声へと変わる。
『何でよぉ……もう……あはああああ……何で泣いてんのよお……あはっ……はっ……バ
カみたいなの、分かってるのにぃ……あああああん……』
「椎水……あのさ……」
『構わないでよぉ……ほっといてよぉぉ……みっともないからぁ……見ないでよぉ……』
 イヤイヤするようにかぶりを振る。すると、両肩にそっと、別府の手が置かれた。
「……泣いてていいからさ。こっち来いよ。そこじゃ、雨に濡れる」
 ちょっとだけ、手に力がこもり、あたしをベンチへと誘導する意図が感じられた。だけ
どそれはほんのわずかで、ちょっとでも抵抗すれば外すことが出来て、それが逆にあたし
から抵抗する気を失わせた。
『やめてよ……もう……優しくしないで……ほっといてよ……勝手に泣き止むから……』
03806/7
垢版 |
2015/11/22(日) 16:00:21.000
 誘われるままにベンチのほうへ移動しながら、辛うじて言葉だけの抵抗をしてみせる。
それに対して別府は何故か、いささか冗談の混じったような謝罪で返して来た。
「……ゴメン。優しくしたいのはやまやまなんだけどさ。俺もTシャツとトレーニングパ
ンツで、上着もタオルも何にもないからさ。こんなことくらいしか出来なくてよ」
 まだ涙は収まらなくて、スン、スン、スン、と鼻をすすりつつ手で押さえている端から
ボロボロ涙をこぼしていたが、それでもその口調にはちょっと気分をほぐさせるものがあった。
「ほら。座れよ。落ち着くまで待ってるからさ」
 別府の見せる精一杯の優しさが、あたしから甘えたい感情を思いっきり引き出していた。
普段ならそれに頑張って抵抗するんだけど、今のあたしにはそんな気力は残ってなかった。
『……あのさ。あたしに……優しく、したいの……?』
 手で涙をぬぐってチラリ、と別府を見る。すると別府もあたしをちょっとだけ見て、そ
して照れくさそうに視線を前に戻す。
「ま、まあな…… 泣いてる女の子がいたら……大抵の男はそうするもんだろうけど……」
 その答えに、あたしは安心して頼ることにした。
『じゃあ……ちょっと、ジッとしてて』
 言うが早いか、あたしは横からギュッ、と別府に抱きついた。
「お、おい。どどど……どうしたんだよ? 一体」
 別府の戸惑い、焦る声が聞こえる。しかしあたしには、そんなものどうでもよく思えた。
『あたし、こういう時、抱きつくものがあると安心するの。家だといつも決まったぬいぐ
るみがあるんだけど……今はないから、だからその代わり』
「その代わりって…… あの、俺……汗とか、池の水とかで結構グチャグチャなんだけど……」
『あたしだって……汗とか、ほこりとか、雨とか、涙でグチャグチャだもの。それにどう
せ、すぐシャワー浴びるし。今はそれより……落ち着きたいの…… ダメ……?』
 わずかに顔を上げ、別府の顔をうかがう。照れた様子の別府が、何かちょっと可愛く見えた。
「い、いや……ダメじゃねーし…… つか、椎水がいいんなら……俺は全然……」
『じゃあ、しばらく黙ってジッとしてて。実際、かなり落ち着いたし。だからあとちょっ
とだから……』
03817/7
垢版 |
2015/11/22(日) 16:00:49.070
 そしてあたしは別府の胸……というか脇辺りに顔を埋めて体に巻きつかせた腕に力を込
める。何かもう、すごく安心して、他のことはどうでも良くなっていた。悔しさとかやり
切れなさとか恥ずかしさとか。後から思い返したら、きっと死ぬほど悶絶するんだろうけど。
『……不思議……』
 あたしは、小さく呟く。何で、抱きついただけでこんなにも気持ちが楽になるんだろう?
男の子の体って、こんな力があるのだろうか? それとも、別府だから? ちょっとだけ
自問自答するが、すぐにどうでもよくなる。今はもう、そんなこともどっちでもいいやと。
だって、とにかく安心出来るんだから。


続く
0382ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/11/22(日) 23:25:31.990
>>381
GJ
砂糖はきそう
0383ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/11/23(月) 00:17:17.250
良い兄さんの日

敬語妹の出番ですね
0384ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/11/23(月) 21:23:02.670
敬語妹に
「ほんと兄さんは…私がいないとダメなんですから」
って満面の笑顔で言われたい
0385ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/11/24(火) 13:46:50.720
良い西の日…

関西ツンデレの出番ですね
0386ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/11/24(火) 19:34:36.870
お題

・とにかくデレない椎水

・とにかく妬かない坂上

・とにかく濡れない神野
03891/6
垢版 |
2015/12/06(日) 11:37:12.370
・ツンデレのことを雨女だってからかったら〜その11〜

『……ごめん。ありがと。もういい……』
 余分なことが考えられるまで思考が回復して、あたしはようやく羞恥心というものを思
い直して別府から離れた。恥を掻く、という言葉では表しきれないほど、あたしはみっと
もない姿を見せてしまっていた。駄々をこねて、わめいて、泣いて、抱きついて甘えて。
「雨、大分止んできた」
 ちょっと放心状態な感じで、別府が誰ともなしに呟く。あたしも同意してうなずいた。
『……そうだね』
 それから、またあたしたちは押し黙ってしまう。けれどあたしは、それも気まずくて、
何となく考えなしに、気分のままに深くため息をついた。
「どうした?」
 別府が聞いてきたので、あたしはとっさに思いついたことを口にする。
『……ううん。これでまた、友子たちからはバカにされるのかぁ……って思ったら、ちょっとね……』
 本当は、他にもいろんなことがいっぱい含まれているのだけれど、別府に言えることと
言ったらこの程度しかない。すると別府は、それに何気ない調子でフォローを入れてくれた。
「まあ、それはどうとでもなんじゃね? ドローンで監視してるわけでもなし。アスレチッ
ク終わって休憩中に降られたってことにしとけばさ。ネタとしては薄まるじゃん」
『でも……それでもさ。降ったことには変わりないのよね、とか言ってさー』
 本当は、もっと話すことがあるように思えるのだけど、そこに深入りしたくなくて、何
となく当たり障りなく、お茶を濁してる感がたっぷりの会話だなと思う。
「じゃあさ。もっと他の話題に注目させりゃいいんじゃないか? 水上アスレチックで俺
が水に落ちまくったこととか、おにぎりにわさび漬け爆弾仕込んだはずが目印間違えて自
爆したこととかさ」
 一瞬それはとてもいいアイデアに思えた。しかしその後の友子たちのリアクションを想
像した途端、警戒信号が頭にともる。
『……ちょっと待ちなさいよ。それじゃあ、ただの楽しいデート報告、みたいな感じになっ
ちゃうじゃない。そんなこと楽しげに報告なんてしたら、アンタとの仲をからかわれるだ
けでしょうが』
「じゃあさ。やっぱり雨女だった、っていじられるのと、椎水的にはどっちがマシなんだ?」
03902/6
垢版 |
2015/12/06(日) 11:38:26.880
 別府の問い掛けに、あたしはグッと言葉を詰まらせた。もちろん、あたしの誇りにかけ
て雨女呼ばわりなんて金輪際ゴメンだ。だからといって、別府との距離が縮まったことを
からかわれるのも恥ずかしい。
「それにさ。どのみちデートの内容については根掘り葉掘り聞かれるんだろ? 多分、椎
水が選ばなくたって無理矢理引き出されるぜ。だったら、自分から話の主導権握ったほう
がいいと思うけど」
『う…… た、確かに……』
 別府も友子のことは中学時代から知ってるだけに、おおよその展開は見えるのだろう。
的確な意見に、あたしはうなずかざるを得なかった。
「雨の件なんて、どうせ最初に聞かれるだろうからさ。ちょっと降ったみたいだけど、ちょ
うどアスレチック終わってシャワー浴びてる最中だったから、とか適当に言って、すぐデー
ト内容の報告に移っちゃえば、他の二人もそっちに興味持つだろ。当初のきっかけなんて
忘れちゃうよ」
『ううう…… でもそれって、別府との仲が親密になったー、とかってからかわれるって
ことでしょ…… まあ、確かに逃れられない運命かも知れないけど……耐えられるかなあ……』
 落ち込むあたしの背中を、別府が手の平で軽く叩いた。ビックリして顔を上げると、別
府はいたずらっぽく笑う。
「バカだなあ。だから主導権握るんだろ? 仲を聞かれたらさ。確かに面白かったけど、
あんなダサいところばっかじゃドキドキなんてしないってば、とか言っちゃえばいいんだ
よ。ま、椎水のためなら俺の男度ランクが女子の中で下がっても、それはしょうがないかなって」
『何カッコ付けてんのよ。あと、バカは余計』
 肘で脇をつつくと、別府は顔をしかめて苦悶してみせる。
「イテッ…… 何だよ。せっかく椎水のために一肌脱ごうって言ってるのに。俺だって野
郎共からあれこれ詮索されるだろうからさ。ダメだったとこだけクローズアップして、楽
しかったけどいい雰囲気には程遠いっていう風にしてやろうと思ってるのに」
『それはあたしが頼んだわけじゃない。てか、アンタだってあたしとカップリングされた
ら困るからってだけでしょーが』
03913/6
垢版 |
2015/12/06(日) 11:39:30.910
 自分の言ったことで、何故かあたしは自分の気持ちが落ちるのを感じた。別府があたし
とのゴシップ話を嫌がるだろうって思うのが、不思議と残念に思えたのだ。別府に同意さ
れるのが怖くて、あたしはうつむいたまま拳を握って返事を待つ。だけど、別府は黙った
ままで、あたしはついに沈黙に耐え切れずに顔を上げた。
『どうしたのよ? 何で困ったような顔してんの?』
 別府の戸惑いが気になって聞く。すると別府はチラリとあたしを見て、すぐに顔をそら
すと、上目遣いに屋根を見上げる。
「……っと、まあ、だな。その…… 椎水が困るだろうなーとは思ってたけどさ。俺自身
はって考えたら、別にいっかなって…… いや。その……変な意味じゃないけど……」
 それを聞いた途端、心臓がビクッて跳ねた気がした。雨に濡れて冷えてるはずなのに、
体が熱い。いや。それはさっき抱きついてた時からずっとなのかもしれないけど、今になっ
てあらためてその熱を感じてしまう。
『……変な意味って、どういう意味よ……?』
 聞くのが意地悪と分かっていても、つい聞かずにおれなかった。案の定、別府は苦い顔をする。
「そこ、聞くかよ。わざわざボカしてんのに。つか、まあその……男子としては女子との
間が噂になるのは悪い気しないって意味だよ。もちろん、その……程度ってのはあるけどさ」
『ふーん。じゃあ、仮に友子と噂になったとしても、悪い気はしないんだ』
 何か誰でもいいみたいな別府の言葉に軽く嫉妬を覚えて、あたしは意地悪なことを聞い
た。すると予想通り、別府が慌てた反応をする。
「いやその……それは違う意味で困るだろ。仮にそうなったら、アイツ絶対、変に悪乗り
して来るし。つか、そもそもねーよ」
『どーだか、ねえ? 話の流れってものもあるし。友子のことだから、あたしをからかっ
て嫉妬させようとして別府に迫るっていうのはあり得るかもよ? 腕組んで体寄せられた
りとかしたら、嬉しく思っちゃうんじゃないの?』
 ちょっとしつこく追求すると、別府は不機嫌そうな表情であたしを睨んだ。
「だから困るっつってんだろ。アイツの場合、みんなの前でそれやるからな。冗談にしか
ならないし。大体、そのシチュだと見せ付ける相手は椎水ってことじゃん。どう反応すれ
ばいいんだか分からねーよ」
03924/6
垢版 |
2015/12/06(日) 11:40:34.250
『ふーん。やっぱ、嫌がりはしないんだ?』
 意地悪するつもりでしつこく聞いてるのに、何か心のどこかが面白くない気持ちでいて、
あたしはそれをどうにもすることが出来なかった。
「空気ってもんがあるだろが。そんなことしたら場が白けるだろ? 俺が怒るってのも何
か違うし。大体そんなことで噂にならねえって。むしろ椎水が怒って余計しかお前との噂
が過熱する方にしかならないだろ」
 別府の指摘が的確すぎたせいで、あたしはうっかり慌ててそれを否定に走ってしまう。
『じょ、冗談言わないでよ。何で友子と別府がくっ付くと、アンタとあたしの噂が過熱す
る方に行くのよ。意味わかんないじゃない』
 本当は分かりすぎるほどに分かってるけど、それを認めると、まだ今も心にくすぶって
いるモヤモヤを認めることになってしまう。
「そんなもん、お前が怒るからじゃん。椎水って、軽く受け流すって出来ないからな。自
分ではそのつもりの時でも、周りからは全然怒って見えるっていう」
『それは、からかわれるのが頭来るからでしょうが!! 友子と別府がくっ付いたら怒る
んじゃないわよ。嫉妬なんかしないっていうのに友子ってばそういう時しつこく絡んでく
るから。てか、断じて嫉妬なんてしないからね!!』
 ムキになって抗弁すると、ちょっと驚いたような顔をした別府が、いきなりクッ、と笑
い声を漏らした。急にニヤけた顔になったのが気に入らなくて、あたしは別府を睨む。
『何よ。何がおかしいのよ。その顔、超ムカつくんだけど』
「いや、ゴメン。だってさ。椎水から振った例え話でしかないのに、何でそんなムキにな
るんだよって思ったら急におかしくなっちまってさ……」
『だ、だってそれは、その……例え話でも誤解されたくないでしょ!! 今回のパターン
だと学校で今日のこと話したら、友子がくっついてくるかどうかはともかく、そういう流
れもあるかもしれないし…… だからその、予防線を張っておいただけよ』
 言われてみると確かに、例え話でムキになっていた自分が恥ずかしくなってくる。何か
これじゃあ、うろたえてるように思われても不思議じゃない。
「予防線を張るってほど冷静じゃなかったように見えたけどな。どっちかっていうと、む
しろ必死みたいな」
03935/6
垢版 |
2015/12/06(日) 11:41:35.020
 必死じゃないと必死になって否定すると、別府がまた笑った。
『あーっ!! また笑った。絶対あたしのこと、バカにしてるでしょ? 女の子相手にそ
ういうことする? 超最低!!』
 なじることしか出来ないあたしに、別府は違うと手を振って見せた。
「いや。そうじゃなくてさ。今のはちょっと、安心したって言うか、いつもの椎水に戻っ
たなって、そう思ったらおかしくなって」
『いつものあたしはおかしい奴ってことかーっ!!』
 別府の言葉を悪く取って詰め寄ると、その勢いに押されて後ずさりしつつ、別府は首を振った。
「そうじゃなくて、良かったなって。さっきまで、ホントに元気がなかったからさ」
『あ……』
 心配してくれていたんだと、そう気付いた途端、あたしの怒りがサーッと引いていく。
同時に、詰め寄っていたので別府との距離がすごく近いことに気付かされた。
『……っと、ご、ごめんっ!!』
 パッと距離を取って、さっきまでより遠く、ベンチの端近くまで離れてしまう。気恥ず
かしくてうつむいていると、別府が前を指した。
「椎水。見ろよ」
『え? 何?』
 いったん別府の方を見てから、あたしは別府の指した正面を見る。すると、雨はまだ結
構降っているのに、太陽の光がきらめいていた。
「天気雨になってる。多分、もうすぐ止むぞ」
 あたしは立ち上がってあずま屋の端の方まで行くと、空を見上げた。黒い雲が切れ、晴
れた空があちこちに顔を出していた。
「……椎水。そこじゃ、濡れないか?」
 気を遣う別府に振り向くと、あたしは首を振った。
『さっきよりは大分雨脚も弱まってるから。それに、何かさ。陽の光に雨が照らされるのっ
て、珍しいし、キレイだなって』
 晴れているのに雨が降ってるって、何か幻想的で、あたしはちょっと見とれていた。す
ると横に気配を感じたのでチラリと横に視線を送ると、隣に別府が立っていた。
「だな。天気雨って、そうそう見れるもんじゃないし。それに、もう小降りになってきた」
03946/6
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2015/12/06(日) 11:42:33.120
 雨が降り止んでしまう。降って来たときは絶望的な気分だったのに、今は何故かその雨
が止むのが寂しいような不思議な感覚がした。それを振り払おうと、あたしは冗談めかし
たことを口にする。
『……こういう時、パーッて空に虹が架かるとロマンティックなのにね。やっぱり別府の
甲斐性じゃ無理か』
「何でそこで俺のせいになるんだよ?」
 予想通りのツッコミが心地よくて、あたしは別府の方を向くと、ただ笑顔でそれに答え
た。別府はそれに少しの間戸惑ったような顔をしたが、やがて釣られて笑みを浮かべる。
「まあ、でもそうか。そういうことにしとこう」
『そう。そういうことなの』
 あたしたちは笑い合うと、もう一度外を見て、名残惜しそうに雨雲を見送った。


続く
次回でラストです
0395ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/12/07(月) 21:39:39.120
GJ

ツンデレスレも人がいなくなったなぁ
0396ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/12/07(月) 22:01:47.360
何か書こうという意思は常にあるんだがネタがねぇんだ
素直ヒートスレも素直クールスレも同じ理由で支援できてねぇんだ

>>394の方もGJです。この微妙な距離感がたまらなく好きですわ!
0397ほんわか名無しさん
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2015/12/16(水) 12:47:03.480
久々に来たけど完全に過疎ってるなぁ
ツンデレさんが寂しがってるぞおまいら
04001/2
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2015/12/19(土) 17:17:55.530
クリスマスでさ

俺はいつもと違ってツンデレと勝負してたの

というのも俺せまい所が好きで押入によくこもっててさ

ツンデレに知られてからは居場所横取りされるようになった訳

それでクリスマスよ

俺は残業で疲れた体を引きずり押入に到着したの

ならツンデレ中でゴソゴソ物音させててさ

街行くカップルの毒気に当てられてた俺は抱きつくつもりで襖開けたの

したら考えが読まれててツンデレの方から抱きついてきてさ

慌てる姿見て優越に浸ろうとしたのに先手を取られたの

これは精神的に上にいった者が勝つ勝負、俺は力を込めて、俺の方が強いぞ、ってしたの

そしたらツンデレ、俺を受けとめたうえで頭まで撫でてきおったの

しかも甘い匂いもただよわせて完全に俺を殺しにかかってる

そうしておいてツンデレ急に抱きつきやめてさ、見たら顔真っ赤にして息もたえだえ

なるほど奴も負ける寸前だったみたいだし、今回は引き分けということにしておいてやるよ、って話
04012/2
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2015/12/19(土) 17:18:56.370
クリスマスでさ

私は例年通りアイツを待ってたの

というのもアイツ暗い所が好きで押入にいると落ち着くんだって

して住みよいように改造された押入に私も夢中になった訳

それでクリスマスよ

アイツは自称彼女の私を置いて残業頑張ってるの

いつものことだから気長に帰ってくるの待っててさ

すればホラ、疲れた足音させながらアイツが帰ってきた

ため息もついて相当おつかれみたいだし押入に入ってきたら抱きついてお迎えしてあげようとしたの

そしたらさ、襖ゆっくり開けたと思ったらアイツの方からぎゅってしてきてさ

何か仕事で嫌なことあったのかもしれない、私はへたに理由を聞かずなぐさめてあげます

ならアイツだっこの力強くして、急に甘えんぼさんになったね

でも力込めすぎでちょっと痛いから一旦離れたの

したらアイツ餌おあずけくらった子犬の目してね、くっそ可愛くて鼻血でそう

その後はわしゃわしゃ頭撫でたいの我慢して二人押入にこもってケーキ食べたよ、って話
04021/2
垢版 |
2015/12/19(土) 17:20:55.590
クリスマスでさ

俺は例年通りツンデレとお仕事してたの

というのも俺ケーキ屋さんでバイトしててさ

行事があればツンデレを呼んで看板娘してもらう訳

それでクリスマスよ

俺はトナカイの着ぐるみで客引きするのね

ツンデレにはもちろんサンタさんの恰好をお願いするの

最初は嫌がってたけど今じゃ喜々として着てくれて助かるよ

お店の方もかわいいサンタさんが客引きしたとなりゃケーキも売れまくりでさ、ツンデレの営業スマイル天地を貫く

でも顔には出さなくても薄着で外は寒いからさ、休憩の時はストーブの前陣取って丸くなるの

そして休憩明け、からっ風にまかれたツンデレは身を縮めてさ

逆に俺はモコモコで暑いくらいなんで後ろからギュッて抱いてあったかいようにしたの

そしたら運よくツンデレの友達がケーキ買いに来てくれてさ

ツンデレったら友達見た途端、放せー、って大暴れ

今更恥ずかしがっちゃって、せっかくなんで皆にツンデレの可愛い姿記念撮影してもらったの、って話
04032/2
垢版 |
2015/12/19(土) 17:22:12.780
クリスマスでさ

私は例年通りアイツとお仕事してたの

というのもアイツケーキ屋さんで働いててさ

私もたまに呼び出されてお店手伝わされる訳

それでクリスマスよ

私はいつものサンタさんの服着せられるの

最初は抵抗あったけど慣れるとかわいい服でさ

アイツの方はブサイクなトナカイの恰好、色々とお似合いよね

お店の方も流行っててお客さんひっきりなしでさ、忙しい忙しい

でもこの寒い時期に薄着はきつくて休憩となれば暖房にダッシュ

そうすると休憩終わりが嫌でさ、北風にふかれた時なんか帰りたくなるよね

そしたらアイツとち狂って公衆の面前であすなろ抱き

しかも運悪く友達に現場押さえられてさ

抵抗むなしくアイツにめっちゃ愛でられて友達に写真撮られまくってさ

その時の画像が流出して、トナカイに犯されるサンタさんがテレビで全国放送されちまった、って話
0406ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/12/23(水) 09:56:39.310
ツンデレ幼馴染にお前今年のクリスマスも彼氏いねーのなって言ったら小声でなんかボソボソ呟くわけだけれど俺には聞こえないわけじゃん?
だから聞き返したら赤くなるわけじゃん?
暖房下げようかって聞いてその後思いっきりぶん殴られたいと思います
0407ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/12/28(月) 21:09:36.230
委員長ツンデレが隠れ巨乳なのは譲れない
0408ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/12/30(水) 01:04:22.060
友ちゃんを膝に乗せてすりすりしていたら一日が終わってしまった
04101/3
垢版 |
2015/12/30(水) 16:18:31.990
・ツンデレのことを雨女だってからかったら〜その12〜

「さてと。もうほとんど降り止んだし。行くか」
『行くって、どこに?』
 ほぼ分かりきったことだけど、あたしは敢えて聞いてみた。
「さすがに器具も濡れてるし地面もグチャグチャだし、このまま続けるのは無理だろ。体
も冷えてるし、戻ってシャワー浴びて、着替えようぜ」
『……うん。そうだよね』
 これで、別府とのデートも終わりか。分かってはいたけれど、こんな形の終わりなんて
残念でならない。あたしは聞こえないように、一つため息をついた。
「着替えたらさ。まだ時間も早いし、フラワーガーデンでも行こうぜ。同じ園内にあるん
だけどさ。まあ、椎水が花に興味があったら、だけど」
『失礼ね。あたしだって女の子だもん。キレイな花だってそりゃ見たいわよ』
 とっさに文句を言ってから、あたしはハッと気付いた。別府もあたしと同じで、まだこ
のデートを終わらせたくないって思ってたことに。
「なら、良かった。そしたら、後は地元に戻ってさ。どっかで甘いものでも食べて、反省
会やろうか。明日、クラスの連中にどう報告するかってのも、打ち合わせ詰めたいし」
『うん。賛成。運動した後だもん。絶対糖分必要になるから』
 嬉しい。その気持ちが素直に表情に出て、あたしは笑顔でうなずく。それでもやっぱり
終わりが見えるのが寂しい。その気持ちに気付いた時、あたしは決めた。寂しいなら、次
に続ければいい。そうすればまた、楽しみが出来る。
「じゃ、行くか。足元、気をつけろよ。ぬかるんでるからな」
 別府が先に立ってあずま屋を出る。それを追って、早歩きの別府に並んで歩きつつ、あ
たしは勇気を出して、決心したことを口にする。
『あのさ、別府。今度は……その……どこにしようか?』
「……は?」
 別府の足が止まる。驚くその顔が恥ずかしくて、あたしはうつむきつつ、頑張って言葉を紡ぐ。
『えっと、その……だってさ。別府には、証明出来てないでしょ? 今日はその、雨が降っ
ちゃったから、みんなには適当にごまかせても、別府はここにいたわけだし…… そうす
るとさ。その……もう一回……必要かなって……』
04112/3
垢版 |
2015/12/30(水) 16:19:42.840
 口に出せばスッキリすると思ったのに、口に出した後の方が恥ずかしいなんて、こんな
のドキドキが過ぎて辛い。別府の顔も見えないまま、あたしはしばらく無言の時間に耐えた。
「……ってことはさ。やっぱ、屋外ってことだよな? 映画やショッピングとかじゃなくて」
 あたしはコクッと大きくうなずく。こういう質問をするってことは、別府も前向きに考
えてくれているのかも。そう思うと、ドキドキは続いていたが、不安は一気に下がった。
「……椎水は、何か考えてないのか? そう提案するってことはさ。行きたいところがあ
るんじゃないのか? それなら俺は、そっちを優先するけど」
 逆質問みたいな形だったが、まさに別府の言うとおりだったので、あたしは勢い込んで答えた。
『あたしは、次行くなら遊園地がいいなって。夏だし、プールメインのところで』
 さっき、追いつくまでの短い時間で妄想してたけど、スライダーで二人で一緒に滑った
りとか、流れるプールで別府の乗ったボートをひっくり返したりとか、楽しすぎるなと思っ
ていたのだ。もっともあたしは、肝心なことを忘れていたのを別府の次の言葉で思い出さ
せられた。
「……ってことは、椎水の水着姿が見れるってことか?」
『はっ!!』
 とっさにあたしは胸を腕で覆い、体を横にくねらせて視線を避けるようなポーズを取っ
てしまう。
『ちょっ……ままま、待ちなさいよ!! エッチな想像するの禁止!!』
 そうだった。プールに行くという事は、お互いかなり素肌を出し合うわけで、となると
別府にそういう目線で見られてしまうことになる。嫌じゃないけど、想像するだけでかな
り恥ずかしい。
「いや。エッチっちゃあエッチだけどさ。人前に見せる姿なんだし、健全なほうだと思う
けどな……」
『そりゃ確かにその通りだけど、でも絶対その妄想は健全じゃないと思う……』
 別府の言い訳を退けるあたしの主張は、徐々にトーンが低くなった。よくよく考えてみ
れば、別府をプールに誘っておきながら水着姿の妄想もされないなんて、そっちの方がよっ
ぽどショックだ。
「いや。そんな普通にどんな水着かなって想像しただけだし。今の一瞬でいくらなんでも
そこまで妄想加速出来ないから」
04123/3
垢版 |
2015/12/30(水) 16:20:40.340
 あたしは唇を尖らせ、ジトーッと別府をにらみ付けた。あんまり別府を困らせるのもか
わいそうだし、後になってちょっと自意識過剰に思われたりしたらちょっとイヤだったか
ら、あたしは一つ荒く鼻息をつくと注文を付けた。
『分かったわよ。今は納得してあげるけど、実際にその……お尻とか胸とか、ジロジロ見
たらダメだからね』
「しない。しないって。約束するからさ」
 まあ、実際にはさりげなく視線を送ってくるくらいのことはしてもらいたいな、なんて
思ってもいるわけだけど、そんなことおくびにも出すわけにはいかない。
『じゃあ、今度こそ絶対雨の降らない日を選んでスケジュール組むから。もう、絶対別府
に雨女だなんて思われないようにね』
 あたしは、挑戦するかのように別府に向けて拳をぐっと突き出す。
「ああ。俺ももう、夕立とかマジ勘弁だからな。頼むぜ」
 別府が拳を出して、あたしの拳に合わせた。
『よし。それじゃ、行きましょ。汗掻いた後に雨に濡れてるから、体が変にベタついちゃっ
てるのよ。早くシャワー浴びて、着替えてスッキリしたいし』
「だな。まだ、今日だって終わりじゃないんだし。グズグズして時間を無駄にもしたくないしな」
『うんっ♪』
 そうなのだ。今日だって、これからフラワーガーデンで一緒に花を見て、帰りにお茶し
ながら反省会してと、デートはまだまだ続くのだ。雲ももはや随分と切れて、もう一度降
られることもなさそうだし。そして、今日が終わっても、また次がある。その時楽しかっ
たら、また次を作ればいい。そう考えると嬉しくなり、あたしは上機嫌で、別府と並んで
歩き出したのだった。


以上です。
0413ほんわか名無しさん
垢版 |
2015/12/30(水) 16:27:50.630
乙です!いつも投下お疲れ様です!あなたの書かれるかなみさんが大好きなので来年もよろしくお願いします!
0414ほんわか名無しさん
垢版 |
2016/01/01(金) 01:49:22.610
明けましておめでとうございます。
0415ほんわか名無しさん
垢版 |
2016/01/01(金) 13:52:04.010
お題

・振袖をきたメイドさんと初詣

・御神酒で酔ったメイドさんとの帰り道
0416ほんわか名無しさん
垢版 |
2016/01/03(日) 02:56:45.550
巨乳ツンデレと爆乳ツンデレで鏡もちを再現したい
0417ほんわか名無しさん
垢版 |
2016/01/05(火) 02:19:23.230
予想外に暑い冬の気温で蒸れたツンデレの腋をクンカクンカペロペロしたい
0421ほんわか名無しさん
垢版 |
2016/01/05(火) 18:48:06.560
お題:レーシングラクーンツンデレ
タカシとレースして勝ったら好き放題!
ちなみんがヤる気満々のようです。
性的な意味で
0425ほんわか名無しさん
垢版 |
2016/01/10(日) 22:24:54.480
お題

・ツンデレへのプレゼントが電車の中で取り違えられて、渡すはずだったネックレスが犬用の首輪になってしまったら

・年末年始に働き通しだったせいで、新年早々授業中に寝てしまうも、日頃の素行の良さのおかげで
寝かせたまま時は過ぎるが、次の時限は体育なので、タカシが起こしに行くと寝ぼけているメイドさんは
「あっ…申し訳ありませんタカシ様…、いま朝食の用意を……」と言ったところで意識がハッキリとし
慌てて取り繕うも、友子を始めとした女子からの質問責めにタジタジのメイドさんと、男子からの殺意を一身に受けるタカシ
タカシの家でメイドとして働いてることを言えるわけが無いので、結局年末にタカシと付き合うことになり
年末年始にメイドさんのコスプレでイチャイチャしてたので、つい寝ぼけて学校で『タカシ様』と言ってしまった
との言い訳でなんとかその場を凌いだものの、付き合っていると言ったことが、学校は勿論、街中にまで広がっていき
数日後には、ニッコニコしながら孫を可愛がる練習を始めるタカシの両親に頭を抱えるメイドツンデレ
0427・ツンデレが男に水族館デートを申し込まれたら その19 1/6
垢版 |
2016/01/11(月) 19:28:07.510
「へ……?」
 キョトンとした顔。鳩が豆鉄砲を食らったとはこんな顔なのだろうかと思うようなポ
カンとした様子の別府君を相手に、私はさらに質問を重ねる。
『私と一緒で楽しかった? 有意義な時間が過ごせたと思う? 初めてのデートってこ
んなので良かったの?』
 立て続けの問いに、別府君はすっかり押されて言葉を失ってしまっていた。しかし私
は視線を逸らさず睨むように真っ直ぐ強く彼を見つめながら要求した。
『答えて』
 そのままジッと、彼の答えを待つ。無意識のうちに体を彼に寄せた。その時、地面に
突いた手が彼の手と重なるが、私は気にしなかった。
「ちょ、ちょっと待って」
 空いたもう片方の手で私を制すると、別府君はややうつむき加減に視線を彷徨わせ、
若干自信のない様子を見せて言った。
「それってさ。えーと……俺から会長に聞くべき事だと思うんだけど。何つーか…… エ
スコートしたのは俺なんだし」
『それ以前に、このデートはカラオケで歌を教えてくれた貴方へのお礼なの。だから、
どういう楽しみ方かはともかく、別府君が楽しんだかどうかっていうのが重要なの』
 別府君がちょっと驚いた顔を見せた。恐らく私がこんなにもムキになって主張するこ
とが珍しいのだろう。私は頑固で自分の意見を易々と曲げる方ではないから主張を強く
通すことは珍しくないが、こんな風に感情を表に出してまで、というのはまずない。大
抵が理屈で通ってしまうからだ。
「……俺は……まあ、会長が楽しめればいいかなって、そう思ってたから」
『それじゃダメなのよ』
 彼の言葉を、私はバッサリと切って捨てた。
『私を楽しませることがデートだなんて、それじゃお礼でも何でもないじゃない。むし
ろ恩を受けた相手にまた恩を貰うような結果だわ。それじゃあ』
 感情がこもるあまり、私は別府君の手に重ねた手を強く握っていた。
「それじゃあ、会長は今日、楽しめたのか? 俺のエスコートで」
 一瞬、別府君の顔が期待の色を見せる。しかし私はそれをあっさりと打ち砕いた。
『そんな訳ないでしょう。バカ』
0428・ツンデレが男に水族館デートを申し込まれたら その19 2/6
垢版 |
2016/01/11(月) 19:28:57.020
 手厳しい言葉に別府君が呆然とした顔をする。それがみるみるうちに落ち込んだ様子
になり、私の顔を正視出来ずにうつむいてしまった。
「……だよな…… やっぱり……そうだよな…… 何か、俺をイジッてる時以外で楽し
そうな顔、見せてなかったもんな。両生類とか見てる時だって、却って俺が邪魔みたい
だったし……」
 弱音を吐く別府君に、私は苛立ちが募るのを感じた。どうにも私の気持ちが伝わって
いない。これじゃあすれ違うのも当然だと。
『何言ってるのよ。ちゃんと私を見なさい』
 左手で彼の頬に触れ、持ち上げるように私の顔へと強引に向けさせる。
『貴方のエスコートが悪かったって言ってるんじゃないわ。ずっと貴方が私の顔色を伺っ
て一生懸命なのは分かってたわよ。だけど、それが違うって言ってるの』
「えっと…… ゴメン。会長が何を言ってるのか、よく分からない」
 何というか、伝わらないもどかしさに私はつい、別府君の頬を思いっきり指でつまん
でしまった。
「いつっ!! いててててっ!!」
『だから、根本から間違ってたのよ。私は貴方に楽しんでもらわないとお礼にならない
と思っていたのに、貴方が私を楽しませることばかり考えていたらかみ合わないのは当
然よ。大失敗だわこんなの』
「あいたっ!!」
 憤って引っ張るように離すと別府君が悲鳴を上げる。頬をさすりつつ、別府君が目を
しばたかせた。
「いってぇ…… だからってつねることないと思うんだけど……」
『今のは勢いあまってついやっちゃっただけよ。謝れというなら謝るわ』
 別府君の抗議を素っ気無く流すと、彼も気を殺がれたのかそれ以上その件については
言わなかった。
「じゃあ、どうすれば今日のデートは成功だったんだよ? 会長的に言えば」
 私は難しい顔で考えた。
0429・ツンデレが男に水族館デートを申し込まれたら その19 3/6
垢版 |
2016/01/11(月) 19:29:28.260
『……そうね。そもそも、貴方にエスコートさせること自体が間違いだったのよ。うう
ん。いいとかダメとかじゃなくて、私が別府君を楽しませるために色々とやらなくちゃ
いけなかったんだわ』
「うーん…… でも、男としてはさ。やっぱりデートする時は、女の子の喜ぶところに
連れて行って、楽しんでもらいたいってのが一番にあるわけで……」
『男だとか女だとか、そういうくだらない価値観は捨てなさいよ』
 気持ちは分からなくもないが、私はそういうのは違うと思う。デートに関して言えば、
何も女の子の趣味ばかりを優先させる必要は全くないはずだ。互いが好き同士なら。
「ゴメン。何ていうかさ。もう少しモテる奴だったら、女の子にチヤホヤされてあちこ
ちデートに誘われるのも分かるんだけどさ。俺みたいに女にずっと縁がなかったりする
と、自分から誘うことばかりしか考えてなかったから、どうにもイメージ付かなくて……」
 何故か落ち込む別府君の目の前で私はため息をついた。気持ちは分からなくもないが、
こうにも男子として自信なさげな様子を見せられると、こっちとしても情けない気分に
なって来る。
『別にいいわ。貴方がイメージ出来なくたって関係ないもの。要は私が、キチンとやっ
てみせればいいだけの話だから』
「え?」
 別府君が驚いたように呟いて顔を上げた。もしかしたら幻滅されたとでも思っていた
のだろうか? そんな事はあり得ないのに。むしろ、間違っていたのは私なのに。だか
ら私は、それが伝わるようにと強い口調で彼に訴えかけた。
『だから、お願い。リベンジさせて』
 間近で彼を見つめて、私は返事を待つ。しかし別府君は驚いたような呆然としたよう
なその中間の何とも言えない表情で私を見ていたが、自分から何か言わないことには話
が先に進まないのに気付いたのか、ようやく口を開く。しかしそれは、私の期待とは程
遠いものだった。
「いやその……リベンジって言われても…… 何をするって言うんだよ?」
『ハァーッ……』
 私は思わずうつむいて深くため息をついてしまった。やっぱりどうにも、この件に関
しては私と別府君のデートに対する考えの溝は埋まらないらしい。
0430・ツンデレが男に水族館デートを申し込まれたら その19 4/6
垢版 |
2016/01/11(月) 19:29:54.360
『だから、デートのやり直しよ。今度は貴方に気を遣わせたりなんて絶対しないわ。別
府君が望む最高のデートを演出してあげる』
「いや。最高のって…… マジで?」
 私はコクリと頷いた。
『当然でしょ。今日のでむしろ、借りは大きくなっただけだもの。私が出来たことは、
辛うじて自分の分を自分で支払っただけでしかないわ。私の興味のある場所に連れて来
てもらって、私が楽しんだだけじゃない。それじゃ納得出来ないわ』
「いや。でも…… いいのかよ? つーか、出来るのか? 恋人同士でもないのに」
 確認する別府君の最後の一言が、私を狼狽させた。
『こっ……!! 恋人同士って…… べ、別府君って、そういうのを望んでいるの? も
しかして……』
 何とかして気持ちを平常心に戻そうと、私は意識して息を吸ったり吐いたりを規則正
しく繰り返す。もちろん、別府君には気付かれないよう静かにだが。
「あああああ、いやその…… そこまではもちろん要求はしないっていうか…… で、
でもさ。えーとやっぱり……男としては、多少のスキンシップは欲しいって言うか……
その、今みたいな感じで……」
『今?』
 私は怪訝に思って聞き返した。今、私が何か別府君とスキンシップなんてしているだ
ろうか? すると別府君は、視線を下に落として答えた。
「えーと…… やっぱり無意識だよな。さっきから俺の手に重ねて来てるのって。つー
か、単にコンクリートより置き心地がいいってだけだよな。多分」
 地面に置いた私の手の下にあるものがわずかに動く。それで私は自分が別府君の手の
上から重ねて軽く握っていることを意識した。
『……こんな程度でも、スキンシップって言うの?』
 私の疑問に、別府君は大いに頷いた。
「そりゃまあ、会長に……女の子に手を握ってもらえるなんて、男からしてみたら幸せ
だしドキドキするぞ。俺もさっきから意識しっぱなしだったし」
 私は重ねた手を見て、それから別府君の顔に視線を戻す。日の光の当たり方のせいか、
別府君の顔が赤くなっているかどうかは分からなかった。しかしまともに私の顔を見て
いないのは、やはり照れてくれているからなのだろうかとも期待してしまう。
0431・ツンデレが男に水族館デートを申し込まれたら その19 5/6
垢版 |
2016/01/11(月) 19:30:51.340
『……それじゃあ、腕を組んだり肩を抱いたりすればいいのかしら? 私がそうして、
喜んでもらえるだけの価値はあるの?』
 正直な話、秀美ちゃんやら聖花やらクラスの女子とかからモテるだの美人だのと誉め
そやされても私自身は一度も告白されたこともないので、果たして言われているほどの
価値が自分にあるのかはさっぱり実感が持てていなかった。高嶺の花過ぎて近寄れない
だとか、別府君のせいだとか言われても、本気で私を好きになるだけの魅力があるなら、
そんな垣根、乗り越えて来るんじゃないかと思うのだけれど。
「そりゃまあ、会長なら十分だろ。正直、俺が会長とのデート権を売ったら、どれほど
の高値が付くか分からないのに、スキンシップ付きとなったらもう天井知らずだろ」
『冗談じゃないわ。貴方だからそこまで許しているのに、他の男子なんて絶対そんな事
しないわよ』
 咄嗟に言葉が口から突いて出る。そして、別府君が口を半開きにしたまま呆然と私を
見ているのに気付き、自分の言葉を反芻してみて、私は自分がどれだけ危険な言葉を口
にしたのかに気がつき慌てて訂正した。
『も、もちろんその……カラオケを教えてくれたお礼だからっていう意味よ。何もなけ
れば、貴方になんてもっとしないわよ。そんなデート』
「いや。まあ今のは例え話だからさ。会長が自分とのデートに価値があるのか疑問っぽ
かったから。もちろん俺だってそんな権利売る訳ないし」
 どうやら別府君は生真面目に私の補足を真に受けてくれたようだ。今はそれで助かる。
『当たり前よ。私は売り物じゃないんだから。今度は例え話でもそんな事口にしたら許
さないからね』
 キッと睨みつけると、別府君も了解したとばかりに無言で肩をすくめた。
「それにしても、いくら俺へのお礼だからって、本当にそんな恋人同士がするようなデー
ト出来るのか? 会長が」
 私の一言が逆に彼を不安にさせたのだろうか? いや。もしかしたら挑発なのかも知
れないと、私は別府君の問いを色々と勘ぐりつつ強気で答えた。
『当たり前よ。私はやると言ったら絶対にやるわ。貴方にそんな事を心配されなくても
ね。それとも私をバカにしているわけ?』
0432・ツンデレが男に水族館デートを申し込まれたら その19 6/6
垢版 |
2016/01/11(月) 19:31:48.580
「い、いやその……バカにしてるとかそんなつもりはないけどさ。ただ……何ていうの
かな。俺なんかを相手に……いや。もちろんお礼だからってのは十分分かってるけど、
何かいざとなったら嫌悪感の方が先立つんじゃね、とか……」
 戸惑いの色を隠せない別府君に、私はもう少し自分に自信を持ってもいいんじゃない
かなと、いささか呆れる思いで見つめていた。もっとも、その自信を無くさせているの
は私の普段の言葉なのかも知れないけれど。そもそも嫌だったら、さっき指摘された時
点で重ねた手だって離している。
『だったら、試してみようかしら』


続く
といっても実はあと1回だった件
0438ほんわか名無しさん
垢版 |
2016/01/22(金) 06:26:56.490
毎年冬は冷えた手を山田に温めてもらってるから、それにすっかり慣れちゃって手が冷たくなったら
「温めなさい!」
て言って手を突き出すようになった友ちゃんかわいい
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