【カミーユ】オチンギンのスレッド【アラサー】
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0001名無しさん@明日があるさ
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2019/06/21(金) 08:18:39.610
お金とナニが大好きなオチンギンさんのスレ


twitter (鍵アカ)
@gai_zi_

続けましょう
0002名無しさん@明日があるさ
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2019/06/21(金) 08:20:18.300
0949 学生さんは名前がない 2019/06/21 08:09:22
カミーユは高校時代から社会人彼氏の家で毎回セックス、3年間バンド、地元誌の表紙にでかでかと掲載、成人式の写真も写真館に置かれる

おそらくだが愛媛の田舎だし真鍋かおりと地元同じだが偏差値50ぐらいの高校だろう それぐらいなら日大進学は上位、成績良かったのは当たり前 マーチとかはいなくはないが厳しい 日東駒専が行ければ良い方
偏差値60程度の高校って校則が厳しいからあまりリア充はいない がり勉至上主義
65から自由、放任主義

0951 学生さんは名前がない 2019/06/21 08:17:02
カミーユは高校時代、普通の高校でリア充だったが愛媛の田舎で
上京しておちぶれたんだろ
0004名無しさん@明日があるさ
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2019/06/21(金) 08:43:24.300
>>3
何の事?褒めてんだけど
0005名無しさん@明日があるさ
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2019/06/21(金) 11:26:44.420
>>1
しげ立てやるな 嫌がってるだろ
0006名無しさん@明日があるさ
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2019/06/21(金) 12:50:21.820
ワッチョイ
0009名無しさん@明日があるさ
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2019/06/21(金) 16:07:38.150
@gai_zi_ 害児て…
0010名無しさん@明日があるさ
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2019/06/21(金) 16:28:22.590
ガイジ自己紹介?
0012名無しさん@明日があるさ
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2019/06/21(金) 19:00:12.670
今日は暑いな
0015名無しさん@明日があるさ
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2019/06/21(金) 22:03:24.930
もう寝なさい
0019名無しさん@明日があるさ
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2019/06/22(土) 22:05:17.420
夜更かししちゃだめよ
0022名無しさん@明日があるさ
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2019/06/23(日) 13:44:28.260
ふーん
0023名無しさん@明日があるさ
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2019/06/23(日) 19:46:42.270
首席か?大生の障害者スレで非難してた人は
0027名無しさん@明日があるさ
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2019/06/23(日) 22:27:34.710
もう寝る時間よ
0031名無しさん@明日があるさ
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2019/06/24(月) 13:31:01.950
>>30
最近どう?
0035名無しさん@明日があるさ
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2019/06/24(月) 14:59:32.940
>>34
智久が起き出したか
0040名無しさん@明日があるさ
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2019/06/24(月) 19:01:48.790
カミーユ元気?
0042名無しさん@明日があるさ
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2019/06/24(月) 22:14:38.260
オチンギン
0045名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 08:17:20.420
オチンギンってウルトラマンに出てくる怪獣みたいだな
0047名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 16:16:06.570
>>46
もうここは貴族としげしかいないよ
あんたの言ってたことが嘘だと解ったらもうどうでもよくなったんだろうね
0049名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 16:35:50.910
>>46語って
0052名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 16:58:58.170
>>51ふーん
良いなぁ
0053名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 17:03:33.930
>>50
無職の貴族様としげ相手に自分も無職なカミーユがボーナス自慢とは面白そうだねw

じゃんけん受けて立ちましょう。 無職の貴族が出せるのはこれだけ(o^∀^o)
https://i.imgur.com/Jeoanj1.jpg
0054名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 17:05:47.060
ではカミーユさんが最近のナス80万円証拠UPすれば
じゃんけん勝利で貴族の敗北が確定します
どうぞ逃げないで貴族を負かしてください、どうぞ\(^o^)/
0055名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 17:08:41.520
松山土人いらんな
0057名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 17:11:08.890
すぐそうやって逃げるw
毎度おなじみオチンギン自分からボーナスじゃんけん仕掛けての逃走劇w
貴族は敗北を楽しみにしてたのになあ\(^o^)/
0058名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 17:25:16.510
>>56そうしましょう
0059名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 17:35:21.290
オチンギンさん続けてください
0062名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 17:49:22.260
>>61
お寿司好きですね
グルメ回転寿司、スーパーの寿司、すたみな太郎の寿司とかしか食べません

グルメ回転寿司は普通の寿司屋より少し安いぐらいなので高いです
0064名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 18:29:04.130
まいもん寿司良かったら行ってみてください
評判は良いですよ 上野とか
皿は回るだけで注文して職人が握って天ぷらとかもあるらしい
0065名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 18:32:55.460
https://www.maimon-susi.com/
横浜たまプラーザ、大手町、日大文理のある世田谷高島屋にもあります
幕張にもあります
0067名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 19:03:44.180
オチンギンさんと行きたいですね
0069名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 19:41:33.780
毎日削除に追われるしげw
もう存在ごとdeteteしちゃえば?ww
0071名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:19:49.580
5ちゃんねる(旧:2ちゃんねる)に限った話ではないですが、インターネットを利用する際には「馴れ合い厨」の生態を理解しておく必要があります。

今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショナルである「ホットラインセンター」が馴れ合い厨について詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事も全て同じ。特にネットいじめは「LINE」が普及しているのでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0072名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:20:04.780
5ちゃんねる(旧:2ちゃんねる)に限った話ではないですが、インターネットを利用する際には「馴れ合い厨」の生態を理解しておく必要があります。

今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショナルである「ホットラインセンター」が馴れ合い厨について詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事も全て同じ。特にネットいじめは「LINE」が普及しているのでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0073名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:20:15.810
5ちゃんねる(旧:2ちゃんねる)に限った話ではないですが、インターネットを利用する際には「馴れ合い厨」の生態を理解しておく必要があります。

今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショナルである「ホットラインセンター」が馴れ合い厨について詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事も全て同じ。特にネットいじめは「LINE」が普及しているのでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0074名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:23:32.760
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0075名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:24:31.030
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見て訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0076名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:24:50.950
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかはらない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0077名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:25:11.130
科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0078名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:28:18.680
に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0079名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:28:34.140
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0080名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:28:58.000
既に科的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネッじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0081名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:29:17.830
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らば目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0082名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:29:30.460
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0083名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:29:47.530
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0084名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:30:24.660
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0085名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:30:32.490
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0086名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:30:46.420
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0087名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:31:04.950
的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0088名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:31:21.730
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何がい!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコてい間が言うべきセリフだ
0089名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:31:47.110
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメ。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0090名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:32:07.360
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0091名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:32:20.210
既に科学的根拠に基づいて証明されていることだが、アニメを見ている人間の9割は脳に致命的な欠陥を抱えているそうだ。
それはそうだろう。アニメなんぞ低俗な物を見ている時点で知能はお察しだ。ましてやその年齢層が上がれば上がるほど脳の欠陥も非常に重大なものとなる。

元々アニメなぞ子供向けの媒体だ。最近は「大人も楽しめる」と謳っているアニメもあるが、正確に言えば「頭の悪い大人も楽しめる」という事になるな。
そしてアニメを見ている人間の大半はアニメが好きで見ている訳ではなく、アニメをダシにして馴れ合いをしたいだけだろう。
twitterなどを見れば分かる。ブヒブヒと気持ち悪い鳴き声を上げながら同族の豚と馴れ合いをしている。これは見た者にしか分からないだろうが正しく悪夢だ。二度と見たくはない。
こういってしまうと純粋にアニメを楽しむ人間や小さな子供に対して失礼になってしまうが、大半がそういうクズ共だとごく少数のまともな人間は目立たなくなるのだよ。
よくいるよな、アニメアイコンで他人に対して誹謗中傷やネットいじめを繰り返す輩が。そういう奴らばかり目立っていたら必然的に「アニメ好き=社会悪」と捉えられるのも無理はなくないか?
少なくとも私はそう思う。言っておくと私はアニメ自体にははっきり言って無関心だ。ただ、アニメを見ている人間は大嫌いだ。

政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしてい間が言うべきセリフだ
0092名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 20:36:08.000
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がアニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険極まりない輩が言っても説得力はない。せめて真っ当な人間が言うべきセリフだ。
どちらにしろアニメを見ている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされているぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体のモラルが下がっているともいえる。
元々陰湿な差別やいじめの多い国である日本がモラルの高い国であると思った事は一度もないが、これまで以上に酷くなっているのは確かなことだ。
ひょっとするとこれからの未来、アニメが社会悪となって淘汰される時代が来るかもしれんな。尤もオワコンとなってアニメ自体が廃れることとなるかもしれんが。
0093名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 20:36:45.390
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がアニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険極まりない輩が言っても説得力はない。せめて真っ当な人間が言うべきセリフだ。
どちらにしろアニメを見ている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされているぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体のモラルが下がっているともいえる。
元々陰湿な差別やいじめの多い国である日本がモラルの高い国であると思った事は一度もないが、これまで以上に酷くなっているのは確かなことだ。
ひょっとするとこれからの未来、アニメが社会悪となって淘汰される時代が来るかもしれんな。尤もオワコンとなってアニメ自体が廃れることとなるかもしれんが。
0094名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 20:41:08.890
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がアニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメを見ている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされているぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体のモ
0095名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:41:44.870
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がアニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメを見ている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされているぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体のモ
0096名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:42:06.830
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体のモ
0097名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:44:13.910
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0098名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:44:30.120
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0099名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:44:46.440
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0100名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:54:49.840
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0101名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 20:57:23.990
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0102名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 20:57:52.620
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0103名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 21:04:34.410
ゃんねる(旧:2ちゃんねる)に限った話ではないですが、インターネットを利用する際には「馴れ合い厨」の生態を理解しておく必要があります。

今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0104名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 21:09:40.230
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0105名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 21:10:02.560
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0106名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 21:14:58.650
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0107名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 21:15:07.580
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0108名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 21:15:16.200
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0109名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 21:18:18.850
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0110名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:20:42.220
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0111名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:21:20.360
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0112名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:22:28.360
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何


だと思いますかあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌





食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0113名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:28:24.140
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0114名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:28:38.370
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0115名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:28:45.770
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
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閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0116名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:33:47.760
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0117名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:33:56.630
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0118名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:34:06.500
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0119名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:38:13.050
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0120名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:38:23.110
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0121名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:38:33.710
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群がって食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0122名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 21:39:03.980
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群って食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0123名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 21:42:25.700
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群って食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0124名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:42:42.870
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群って食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0125名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:43:34.350
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群って食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0126名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:43:46.710
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群って食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0127名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:55:52.360
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群って食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0128名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:56:20.050
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群って食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0129名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:56:44.070
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。

それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群って食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。

例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨というのはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0130名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:58:44.960
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想
を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・



ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。


それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群って食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。


例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨という

のはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0131名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:58:54.960
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想
を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・



ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。


それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群って食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。


例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨という

のはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0132名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 21:58:54.960
今のインターネットは馴れ合い厨によって汚染されており、もはや情報収集のツールとして利用する事は困難になっています。

馴れ合い厨がデマを流したり疑惑を恰も真実であるように書き連ねる為です。ソースは2chのスレとかtwitterの個人の呟きとか全く信憑性のない物で記事を書くメディアも相当多い。

と言うわけで今のネットはデマ記事や妄想
を書き連ねただけのどうしようもない低レベルなサイトが多いというわけです。

殺害予告・薬物売買・虐待・



ネットいじめといったあらゆるネット犯罪と戦い、幾多もの炎上と渡り合ってきたプロフェッショついて詳しく書いていきたいと思います。

馴れ合い厨は「炎上」が起きた際に「ネットリンチ」を目的に群がってくる匿名ネットユーザーの事を指します。


それこそ一度の炎上で100人〜1000人、場合によっては1万人を超える人数が群って食い荒らし、社会的抹殺へ追い込もうとするのが特徴です。
しかし、馴れ合い厨という存在に対する理解は残念なことに世間一般のネットユーザーにはされていないというのが現状です。


例えば炎上やネットリンチが起こる原因って何だと思いますか?まあ炎上に参加している輩は「正義の為」「社会の為」という薄っぺらい建前を言うと思いますが、その実態は「他人と馴れ合って承認欲求を満たしたい」という事なのです。

リアル・ネットにおけるいじめも同様です。卑劣な一体感を得ることを目的に集団で個人を攻撃している訳です。そこに「正義感」といったものはありません。ただただ自分達の欲求を満たしたいだけ。

つまり馴れ合い厨という

のはチンパンジー並の知能しかないケダモノであるというわけです。小中学校から精神面での成長が全くない幼稚な人間ですので、常識というものは通用しません。
炎上・ネットリンチ・ネットいじめ・・・これらは規模や餌食となった対象の違いがあるだけで根本的な部分は変わりません。目的も成す事ものでとりわけ社会問題となっています。

閉鎖的な空間で行われる事が多いのがネットいじめ。年
0133名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:00:20.300
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0134名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/25(火) 22:00:29.270
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0135名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:00:42.340
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0144名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:12:25.380
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0145名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:25:08.100
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0146名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:25:15.690
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0147名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:26:05.540
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0148名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:29:18.240
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0149名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:29:43.210
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0150名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:29:49.480
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0151名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:30:56.640
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0152名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:31:23.880
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0153名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:34:05.560
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0154名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:34:28.360
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0155名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:35:18.640
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0156名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:43:14.590
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0157名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:43:41.490
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0158名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 22:53:46.050
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0159名無しさん@明日があるさ
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2019/06/25(火) 23:12:20.260
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0160名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 00:02:41.420
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全
0161名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 00:02:50.870
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全
0162名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 00:03:06.350
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物園的なアニメ。そういったものが問題だ。
海外では馬鹿にされてるぞ?まあ金が入るからそういったアニメばかり作るんだろうが。いいよな、キモ豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全
0163名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 00:29:10.540
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0164名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 00:54:55.720
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0165名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 00:55:28.410
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0166名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 01:37:38.940
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのよな国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0167名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 01:38:09.400
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0168名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 01:47:24.980
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0169名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 01:48:31.310
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0170名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 05:00:37.900
オチンギンさんおはよう
0171名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 07:10:40.490
今日は暑い 28度
0172名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 13:24:18.760
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0173名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 13:24:31.030
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0174名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 13:24:41.530
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0175名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 13:38:41.700
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0176名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 13:38:47.800
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0177名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 13:38:53.780
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0178名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 13:41:51.910
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0179名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 13:42:06.690
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0180名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 13:42:12.530
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0181名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 14:04:31.760
政治家のtwitterに凸して身勝手な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイコン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意見もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だろう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必ず何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりになっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全体
0182名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 14:05:01.130
政治家のtwitterに凸して身勝な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりなっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全
0183名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 14:48:16.550
政治家のtwitterに凸して身勝な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりなっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全
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2019/06/26(水) 14:49:12.620
政治家のtwitterに凸して身勝な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりなっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全
0185名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 14:49:28.650
政治家のtwitterに凸して身勝な社会論を語ったり、アニメ公式twitterでクレーマーの如くギャーギャー騒ぐのもアニメアイコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アニメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメなんぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアニメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意もある。それに対して「偏見だ!」「アニメを見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正論だ。少女が出てくるアニメを見て汚いチンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好きだったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的でネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必何かしら問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自覚があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国民的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかりなっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的アニメでさえ、美少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全
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2019/06/26(水) 15:37:19.140
政家のtitterに凸して身勝な社会論を語ったり、アメ公式twitterでクマーの如くャーギャー騒ぐのもアメアコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意もある。それに対して「偏見だ!」「アニメ見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正だ。少女が出てくるアニメを見て汚いンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好だったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的ネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必何から問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかなっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的ニメでさえ、少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全
0187名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 15:37:59.240
政家のtitterに凸して身勝な社会論を語ったり、アメ公式twitterでクマーの如くャーギャー騒ぐのもアメアコン、誰かがうっかり個人情報を晒してしまった時にいち早く飛びついて嬉々としてネットいじめをするのもアニメアイコン。
偏見が偏見でなくなるくらい、アニメアイン=アニメ好きは社会から見て害悪、疎まれている存在だ。精神年齢も中学生かそれ以下の奴らばっかりだろ?哀れなことに、自分達の惨めさには自覚なく、むしろ誇らしく思っているようだ。
アメを見ているから精神的に幼稚なのか、精神的に幼稚だからアニメぞ見ていられるのか、どちらかは分からない。(多分両方だろう)しかしアメを見ている人間の大半はそういうクズ共であるというのは確かだ。

犯罪者予備軍であるという意もある。それに対して「偏見だ!」「アニメ見て何が悪い!」と叫ぶ豚もいるが、全く以て正だ。少女が出てくるアニメを見て汚いンポをスコスコしている人間が言っても説得力はない。
それに凶悪犯罪者がニメ好だったケースも多いだろう?(例:片山祐輔(PC遠隔操作)、白石隆浩(座間9遺体事件)等)
キモ豚共は「差別だ」と言うが事実だう?それに明確な犯罪者になっていなくとも、馴れ合い目的ネットいじめを行ったり誹謗中傷を繰り返す奴は犯罪者予備軍だ。そんな危険
どちらにしろアニメをている人間は必何から問題がある。
こういう事実を突きつけられると大半のアニメ豚は図星で発狂するが、それはつまり自があるんだろうな。生まれ変わってもこんなゴミみたいな人間にはなりたくないとしか思わんがな。

まあガンダム、ドラえもんのような国的アニメならいいだろう。問題なのは萌えアニメだな。美少女動物豚は胸さえ出しとけば金出すんだから。いいカモだ。
そういった中身のないアニメばかなっているのが偏見に拍車を掛けている。実際、そんなアニメを見ている奴を偏見無しで見れるか?真っ当な人間なら「こいつ犯罪者予備軍だな」としか思わないはずだ。
最近ではドラえもんのような国際的ニメでさえ、少女キャラを出そうと動いたり、地域のゆるキャラまでもが美少女キャラになっていたりとキモ豚のせいで日本全
0188名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 15:48:22.870
 後漢の建寧元年のころ。

 今から約千七百八十年ほど前のことである。 一人の旅人があった。
 腰に、一剣を佩いているほか、身なりはいたって見すぼらしいが、
眉は秀で、唇は紅く、とりわけ聡明そうな眸や、豊かな頬をしていて、
つねにどこかに微笑をふくみ、総じて賤しげな容子がなかった。
 年の頃は二十四、五。 草むらの中に、ぽつねんと坐って、膝をかかえこんでいた。

 悠久と水は行く―― 微風は爽やかに鬢をなでる。
 涼秋の八月だ。 そしてそこは、黄河の畔の――黄土層の低い断り岸であった。
「おーい」 誰か河でよんだ。「――そこの若い者ウ。なにを見ているんだい。
いくら待っていても、そこは渡し舟の着く所じゃないぞ」
 小さな漁船から漁夫がいうのだった。 青年は笑くぼを送って、
「ありがとう」と、少し頭を下げた。
 漁船は、下流へ流れ去った。けれど青年は、同じ所に、同じ姿をしていた。膝をかかえて坐ったまま遠心的な眼をうごかさなかった。
「おい、おい、旅の者」
 こんどは、後ろを通った人間が呼びかけた。近村の百姓であろう。ひとりは鶏の足をつかんでさげ、ひとりは農具をかついでいた。

「――そんな所で、今朝からなにを待っているんだね。このごろは、黄巾賊とかいう悪徒が立ち廻るからな。役人衆に怪しまれるぞよ」
 青年は、振りかえって、 「はい、どうも」おとなしい会釈をかえした。

 けれどなお、腰を上げようとはしなかった。 そして、幾千万年も、こうして流れているのかと思われる黄河の水を、飽かずに眺めていた。
(――どうしてこの河の水は、こんなに黄色いのか?)
 汀の水を、仔細に見ると、それは水その物が黄色いのではなく、砥石を粉にくだいたような黄色い沙の微粒が、
水に混じっていちめんにおどっているため、濁って見えるのであった。
0189名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 15:51:40.550
序詞
炭売のおのが妻こそ黒からめと。吟ぜし秀句ならなくに。黒き小袖に鉢巻や。其の助六がせりふに云う。遠くは八王寺の炭焼。売炭の歯欠爺。近くは山谷の梅干婆に至る迄。
いぬる天保の頃までは。茶呑咄しに残したる。炭売多助が一代記を。拙作ながら枝炭の。枝葉を添て脱稿しも、原来落語なるを以て。
小説稗史に比較なば。所謂雪と炭俵。弁舌は飾れど実の薄かるも。御馴染甲斐に打寄る冠詞の前席から。ギッシリ詰る大入は、
誠に僥倖当り炭。俵の縁語に評さえ宜を。例の若林先生が。火鉢にあらぬ得意の速記に。演舌るが儘を書取られしが。写るに速きは消炭も。
三舎を避る出来栄に、忽ち一部の册子となりぬ。抑この話説の初集二集は土竈のパットせし事もなく。起炭の賑やかなる場とてもあらねど後編は。
駱駝炭の立消なく。鹽原多助が忠孝の道を炭荷と倶に重んじ。節義は恰も固炭の固く取て動かぬのみか。獣炭を作りて酒を煖めし
晋の羊※(「王+秀」、第3水準1-88-1)が例に做い。自己を節して費用を省き。天下の民寒き者多し独り温煖ならんやと曰いし。宋の太祖が大度を慕い。
普く慈善を施せしも。始め蛍の資本より。炭も焼べき大竈と成りし始末の満尾迄。御覧を冀うと言よしの。端書せよとの需はあれど。筆持すべも白炭や。
焼ぬ昔の雪の枝炭屋の妻程黒からで鈍き作意の炭手前。曲り形なる飾り炭。唯管炭のくだ/\しけれど。輪炭胴炭点炭と重ねて御求めの有之様。出版人に差代り。代り栄せぬ序詞を。斯は物しつ。
三遊亭圓朝記

 扨申上げまするお話は、鹽原多助一代記と申しまして、本所相生町二丁目で薪炭を商い、天保の頃まで伝わり、大分盛んで、地面二十四ヶ所も所持して居りました
。其の元は上州沼田の下新田から六百文の銭をもって出て参りました身代でござります。其の頃の落首に「本所に過ぎたるものが二つあり津軽大名炭屋鹽原」と歌にまで謡われまして
、十万石のお大名様と一緒に喩えられます位になる其の起源は、僅かの端銭から取立てまして、五代目まで続きました。其の多助の身の行いの正しいのと、孝行なのと、殊に商法の名人で
経済に長じていることは、立派な学者でもかなわん程で、多助は別に学問もありませんが、実に具わって居りますので、今に浅草八軒寺町の東陽寺という寺の墓場に鹽原多助の石碑がありますが、
其の石碑に実父鹽原角右衞門、養父も鹽原角右衞門と法
0190名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 15:52:37.750
右「えゝ、そんなお身形にお成りなさいまして、此様な山の中にお出でなさいますか、お情ない事でございますなア」
鹽「いやもう浪人して、別に便る所もないから、此の村に元家来の惣助という者がいるから、それを便って来て、少しは山も田地も持っていたが
、四ヶ年あとの出水で押流されて、どうも仕方がないから此の通り秋は樵をして、
冬になれば猟人をして漸々に暮している、実に尾羽打枯らした此の姿で、此所で逢おうとは思わなんだのう」
右「へい/\私が家出をしましたのは八年あと、其の時はさぞ御立腹をなさいましたろうな」
鹽「其の折は悪い奴、主人の妹をそゝのかし、家出をいたすは不埓者と云っていたが、此の五六年此の方懐かしくて、実に逢いたく存じていたな」
清「そうして妹のおかめは無事でいるかえ」
右「へい達者でございます、お宅を家出しましてから、只今では本郷の春木町に裏家住いをして居ります、外に斯うという事も存じませんから、
只今では斯うやって旅商いをいたして居りましても、
あなたにお目にかゝってお詫事をして戴きたいと、旦暮存じて居りましたが、此様な山の中においでとは存じませんが、沼田の方にいらっしゃるという事ですから、日光から山越をしてまいりましたも、
若しや貴方にお目にかゝられる事もありましょうかと、神仏を信じて居りました甲斐があって、お目にかゝる事が出来ました」
 と涙拭えば、
鹽「伴もある様子だが、今晩は私の家へ泊ってはくれまいか」
右「へい、泊っても宜しゅうございますが、商人仲間の伴が有りますから、あの男を先へ帰しましょう」
 と話していると、
傳「おい宇之助さん/\、おや、あの女にへい/\お辞儀をしているよ、弁当の余りでも貰う気じゃアねえか、宇之助さん何うしたい」
右「私は今少し訳のある人に逢って、今晩泊らなければなりませんから、あなたは明日沼田の大竹屋という宿屋へお泊りなすって下さい、事に寄ったら二日ぐらい遅くなるかも知れないが」
傳「左様かい、それじゃア先へ往っているよ、お前が三日位かゝっても待っているよ、それじゃア磯之丞さん先へ往こう」
とこれから別れて、案内と両人連立ってまいります。此方は三人で女房が薬鑵を提げて、右内が脇に附きまして、漸々山道を小川村へ二里ばかり下りて、横に又四五町入って見ますと
、屋根には板の上に石を載せて嵐を防ぎ、実に見る
0191名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 15:53:29.860
右「へい、甘いような酢ぱいような変ですなア、へえ、これが会津から来るので」
鹽「あの、其方の親父右平は屋敷に永年奉公をしてくれて、其の悴の其方も屋敷に勤めて居たのだから、家来とは云いながら家来でない、
殊には私の妹を女房にしているから弟も同様でのう」
清「旦那様は故あって御浪人あそばしても、お固い御気性だから、二君に仕えずと云っておいでだが、此の悴はどうか世に出したいと思っているが、
私の甥に当る戸田様の御家来で野澤源作という者が宇都宮の藩中だから、
れへ頼もうと思って、度々手紙をやった処が、どうか重役に相談して世話をして上げますから、それに就て、どうか話をしたいから出て来いと云って、
返事を寄越したが、四年あとの山水で田地から諸道具衣類まで皆流されてしまったゆえ、今ではどうする事も出事ず、今お金が五十金あれば、
江戸のお屋敷へお住込が出来るのだから、此処で私がお頼みだが、かめと両人でどのようにも才覚して送ってはくれまいか」
右「へい、どうか致しましょう」
鹽「馬鹿ア云うな、旅商人の右内に五十金出来よう筈はない」
清「それだって良人、これに頼むより他に仕方がございません、それに右内は家出をする時、家のお金を廿金持って逃げておいでだよ」
右「えゝ誠に恐入ります、只今では金子の出来よう筈はございませんが、来年の三月までお待ち下されば、どうにか致しましょう」
清「来年の三月じゃ遅いじゃないか、是非今年の中にと云っても、雪があって来られまいが、どうか今年の中に送っておくれ」
右「なに、どうか致しましょう、なアに子がなければおかめを勤め奉公に売っても、え、これは御新造様の前で、なにどうか致しましょう」
 と口には云っても右内が今の身の上では才覚の出来よう道理はございませんが、どのようにも才覚しようと考えながら、其の晩は寐まして
、翌日立とうとするを彼是と引留められまして、昼少し過ぎに漸々振切って出立しますと、此方は親子三人で須賀川の堤まで送ってまいりました。
右「左様なら御機嫌よろしゅう」
 と云うので此方も見送る、右内は見返りながら、金の出来よう筈はないが、神仏の恵で、何うか才覚したいものだと考えながら、
うか/\と大原村という処へ掛りました所が、大きに草臥れましたから茶店に腰を掛けて休んでいると、其処へ
入って来たお百姓は年齢四十四五で、木綿の
0192名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 15:54:58.550
右「始めてお目にかゝって恥入りますが、私は元は武士でありましたが商人になりまして、岸田屋宇之助と申します、
私の主人が故あって浪人をして、此の先の小川村に住んで居りまして、
昨日図らず逢いましたところ、五十両の金があれば世に出られるから才覚をしてくれと云われましたが、
私の只今の身の上では、迚も才覚は出来ませんから、
心配している所へ、あなたが手附をお出しにな
った時見た金は、
七八十両はあると思います、誠に押付けたお願いですが、
屹度御返却申しますから、来年の三月まで五十金拝借はなりますまいか」
 と云われて角右衞門は驚きまして、そっと懐へ手を入れ胴巻を押えながら、
角「なに五十両貸してくれと、己は数坂越を幾度もするが、
汝エような盗賊がいるから旅人が難渋するのだ、
さア名主へ連れて往くから来い」
宇「盗賊なんのと云うものではございません、名前までお明し申す程でございますから、
お得心下されば、これから主人の所へまいりまして、
両人で連印の上拝借します、どうも主人を世に出さなければ済みません、神かけて御損は掛けませんから、
何卒来年の三月までお貸し下さい、印形を押して証文を入れますから、なア申し」
角「馬鹿野郎、五十両という大金を汝がような始めて逢った奴に誰が貸
す、主人のためだの忠義だなんと云やアがって
、己が金へ目を附ける盗賊め、さア名主へ来い、往かねえか」
 と拳を固めて右内の横面を打ったから、顔から火の出るようだが、
右「ア痛た/\、御尤もでございますが、明かして願うのですから、
私の身体は主人のためなら十や廿打たれましても厭いません、
主人は立派な侍で、あんな所へ置く人ではありません、
江戸表へ参りさえすれば、百石取りぐらいになるのは造作もございません、
主人さえ世に出ればお金の融通も出来ますから、もっと早く御返却致します
、何うぞ貸しておくんなさい」
角「黙れ、汝え己に打たれるか」
右「へえ、お打ちなさい」
角「さア此処へ来い」
 と髻を取って引寄せて、二十ばかり続けて打ちましたから、
実に頭の割れるほど痛いが耐えて、
右「それで貴方御承知なら主人の所へどうか御一緒にお出で下さい」
0193名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 15:56:05.140
 引続きまする鹽原多助一代記は多助が八歳の時のお話でござります。彼の岸田右内は忠義のためとは云いながら、心得違いに見ず知らずの百姓が五十両懐中致して
居りますを知って、無心を云いかけますと、彼の百姓は驚きまして争いとなり、右内は百姓の転びし上へ乗っかゝり、お主のためには換えられぬと、嚇して五十金を奪おうとする
。下では百姓が人殺し/\と云って居りますが、往来は稀な山村で、名におう上野国東口の追貝村、頃は寛延元年八月の二日、山曇りと云うので、今まで晴天でいたのが暗くなって、
霧が顔へかゝりました、暗さは暗し、向う山では鹽原角右衞門が山賊を打とめ、旅人を助けんと家来と知らず鉄砲の狙いを定めて、ガチリッと引金を引く拍子に、
どうんと谺へ響いて、無惨や右内は乳の上を打抜かれて一度は倒れましたが、一方へ刀一方へ草を掴んで立上り、足を爪立て身を慄わせ、ウーンと云いながら、
がら/\と血を吐き出しますと、其の血が百姓の顔へ掛りますから、百姓は自分が打たれた心持がして、人殺し/\/\と慄えながら云っている所へ、
鹽原角右衞門が独木橋を渡ってトッ/\/\と駈けて来ました。
鹽「これサ御旅人お怪我はありませんか」
角「はい怪我アしたかもしんねえ、真赤な血が出やした」
鹽「それは私が今上の賊を打留めたによって、其の血が貴方にかゝったのだろう、それとも少しは切られましたかな」
角「へえ、道理で痛くも何ともなかった、助かったかな、有難うごぜえやす」
 と血だらけになった百姓が仰向いて見ますと、氈鹿の膏無しに山猫の皮を前掛にしまして、野地草の笠を背負い、八百目の鉄砲を提げて、
鹽「まアお怪我が無くって宜かったなア」
角「猟夫さんでごぜえやすか、既に此奴に殺される所を助かりやした、私の懐中に金のあるのを知って跡を尾けて来て、取ろうとするから、名主へ連れて往くべえと思っていた所が、既に殺される所でがんした」
鹽「いや悪い奴でございます」
 と云いながら賊を見ると右内だから恟りして、
鹽「右内やア/\、心得違いをしたな、右内やア/\」
 と呼ぶ声が忠義の心に通じましたか、右内は漸々細き目を開いて見れば、目の前に主人の顔、
右「旦那様々々々」
 と云いながら鹽原の手に縋り付く。
鹽「何故心得違いをした、手前も元は侍ではないか、如何に落ぶれ果のではない、旦
0194名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:03:35.040
 と後身になって此方を伸び上って見る。鹽原夫婦も見送り/\、泣く/\帰りかゝりますと、向うからわい/\という声で大勢駈けて来る其の先へ、真しぐらに駆けて来たのは青馬で、荒れに荒れてトッ/\と来ます
。此の道は左右が谷川で、一騎打で何処へ往くことも出来ません。あゝ此の子に怪我をさせては済まないと気をもんでいると、見るより浪人鹽原角右衞門が馬の前に仁王立になって、馬の轡を押えて百姓に渡すと、
幸い此の馬は角右衞門が買おうと云った馬だから、直ぐに馬を受取って、多助を馬に乗せて沼田の下新田へ参ります。浪人鹽原は角右衞門から恵まれた金で支度を整え、名主の所へ別れを告げに参りますと、名主も名残が惜いからお立祝いをしたいと云うので、
村で鹽原に剣術を教えて貰った者もありますから、九月の三日まで留められました。これが鹽原多助の生立でございます。さてお話替って江戸表に居りますおかめは、娘おえいが毎日お父様は未だ帰りませんかと云われるので、おかめも案じて居りますと、堺屋傳吉は帰って来まして、
傳「宇之助さんは上州の小川村で知人に逢って、別れて私は沼田の大竹屋で待っていたが来ないので、何時までもばかり/\と待ってもいられないから帰って来たが、未だ宇之さんは帰らないか」
 と云われたので、種々心配して神鬮を取ったり売卜者に見て貰いなどしたが分らない、殊に借財方から責められて、迚も身代が持切れませんから、身代をしまいまして、七歳になるおえいを十文字に背負いまして、
心当りを尋ねようと出立しましたは九月の三日、唯上州小川村と聞いた計りで、女の独旅でござりますから、馬士や雲助などの人の悪い奴にからかわれ、心細くも漸々のことで中仙道の大宮宿泊り、翌四日は鴻巣の田本が中食です。
例の旅費が乏しいから勿論駕籠なんぞを雇うことは出来ず、馬を雇うくらいですが、それも十分には往きません。漸々田本で中食を誂えていると、側にいる客は年齢四十一二になる女で、衣裳は小弁慶の衣物に細かい縞の半纒を着ている商人体のおかみさん
、今一人は息子か供か、年齢は廿一二になる商人体の人品のいゝ男で、盲縞の脚絆甲掛も旅馴れた様子で、頻りに中食をしておりますと、
男「お母さん、いゝお子でございますねえ」
女「あゝ、いゝお子だねえ、もしえ、おかみさん、あなたのお娘子でございますか」
かめ「はい、左様でございます」
0195名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:05:21.830
かめ「あれさ、いけないよ、誰方様の所へでも構わずあがって困ります」
女「私は子煩悩ですが、子と云うのは此の悴ばかりで、女の子はどうも可愛らしくッて、さア、これをおたべ」
 と彼是いう内に直に馴染みまして、取附いたり引附いたりするから、
女「どうせ熊谷へ泊るつもりで、松坂屋というのが宜しゅうございますから、そこへ泊りましょう、貴方はお草臥でしょうから、私が負って上げましょう」
 というので、おかめも一人旅で、連が出来たから心嬉しく思っておりますと、最う悉皆そのおかみさんに馴染んで、おかみさんと一緒に寝なければ聞かない。
女「今夜は私が抱いて寝ますよ」
 というので、かみさんが抱いて寐て、翌日出立しました。前には熊谷より前橋へ出ますには本庄宿の手前に御堂坂と申す所より榎木戸村から八丁川岸、
それより五料と申す所に日光一の関所がございます。当今馬車道になりましたが、其の頃は女は手形がなければ通られぬとて、久下村より中瀬に出て、渡しを越えて、漸々堺という所まで来ますと、七つ下りになりまして、足が疲れて歩かれません。
女「何うしよう、伊勢崎まで往けようかね」
男「お母さん、此の辺には好い宿屋がないから、伊勢崎の銭屋へ泊りましょう」
女「そうしよう、そうしておかみさんも疲れているから駕籠を、アレサどうせ私どもが乗るんですから、宜しゅうございます」
 と云っている中に、男が暫く経って、馬を一疋駕籠を一挺頼んで来ました。
男「お母さん、駕籠は一挺ほかありませんから、おかみさんは馬に乗り附けますまいから、おかみさんを駕籠に乗せて、お母さんは馬でお出でなさい」
女「それじゃアそうしよう、お前はお母さんとお駕籠へお乗りよ」
えい「いゝえ、私ゃ叔母さんと一緒でなくッちゃいや」
かめ「あれまア聞き分けのない事ばかり」
女「それでは仕方がないから、少しの間気味が悪くも乗って御覧なさいな、馬には乗って見ろ、人には添って見ろということがありますから」
かめ「はい/\乗って見ましょう」
 とこわ/″\乗りますと、乗り付けませんで、殊に道中馬は危ないから、油汗が出て確かり捉まっている。シャン/\/\と馬方が曳き出す。これから百々村へ出まして、
与久村から保泉村へかゝりますと、駕籠より馬の方が余程後れましたから、心は焦けど馬は緩く、後より来る男は遅く、姿は見えません。其の内雑
0196名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:08:35.300
沼田下新田の百姓角右衞門は、私用がありまして木崎までまいって帰りがけ、保泉村という処で計らず岸田右内の
[#「右内の」は底本では「宇内の」]妻おかめの災難を助け、親切に世話をして身の上話を聞くと、これ/\というから、あゝ不憫なものだ、小川村で非業な死を遂げた岸田右内の[#「右内の」は底本で
は「宇内の」]妻か、殊には夫を尋ねて来る途で、娘までかどわかされたか、如何にも気の毒な事と心得ましたから、直ぐに伊勢崎の名主へ掛り、八州へ願って、其の悪者をいろ/\と捜しました所が、三
日ほど経ちまして縛られてまいりました悪者三人は、百々村の倉八と太田の金山の松五郎、今一人は江田村の源藏で、段々お調べになると、其の者共の申口に、旅稼の親子連の者に金を三両宛もらって頼まれ
たので、何と申すか其の者の名は知れませんと云うので、いろ/\お調べになったが、親子連れの旅人は更に行方が分りませんゆえ、三人の悪者は江戸表へ送られました。おかめと角右衞門は日数が長く掛りまして、
伊勢崎に長くも居られませんから、角右衞門が「私は沼田の下新田の者で、お前の兄さんにも逢わしてやるから、私の家へ来なさい」というので、一緒に下新田へ連れ帰りましたが、五日程かゝりましたから、下新田の角右衞門の宅では余り主人の帰りが遅いゆえ、案じくらして居ります所へ、
角「今帰ったよ」

妻「おや良人マアこんなに遅くなる訳はねえが、何処へ往きやんした」
角「少し訳えあって、飛んでもねえ間違が出来て、此方の災難見たような訳で、ハア大きに日数もかゝったから案じていべえと思っていたが、手紙も出さねえでハアどうも」
妻「そうでがんすか、多助も父様が帰らねえって心配して、五八も案じているし、村でも心配して、見舞に来やすから、
何も追剥に逢う筈はねえが、久しぶりで往ったんだから、木崎の親類で留められて居るんだんべーって云って居やんした、五八、われえ其所を片付けて盥をあげろ、戸口に立って居りやんすのは誰だ」
 と見ますと、年齢は廿四五で器量はよし愛敬のある婦人でございますから、
妻「あんた此処えお掛けなせえ、お連れじゃありませんかえ」
角「あゝ、これは己が伊勢崎で合宿になったおかみさんよ」
妻「はアイー」
かめ「誠に不思議な御縁で、此の度は此方の旦那様に助けられまして、行き所もない身の上で、可愛そうだと仰しゃってお連れ
0197名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:10:17.480
角「訳をいうのも気の毒だから、今までは云わなかったが、云わなけりゃア分らねえから云うべえが去年九月の二日、私が用があって金を持って千鳥村まで往くと、
あんたの御亭主が後から来て、もし旅人さん/\というから、はいと云って振りかえると、私が主人の為に五十両入るだから貸して呉れゝば、主人が江戸へ帰れる、
損は掛けねえから貸して呉れろと手をついての頼みだが、見ず知らずの者に其様な事を云うのだから、盗賊だと思って打ち撲るべえと思ったら、お前の御亭主が脇差を抜いて追掛る時に、私が打倒んだ上へ
跨がって殺すべえとするから、一生懸命に人殺しい/\と云うと、其の時向山を通り掛けたのは貴方の兄さんで、鹿を打遁して帰る路で、私等を見て盗賊が旅人に掛ったのだと思って、鉄砲を撃って、其
の玉が宇之助さんの胸へ当って、現在自分の家来と知らずに兄さんが鉄砲で打ったと云って、おい/\泣きやんすから、私も気の毒になって、死骸を小川村へ送って往って身の上話をすると、あんたの
兄さんも、私も元は先祖が一つで、一人は沼田へ出て百姓になり、一人は阿部様の家来に成って又此処で巡り逢おうとはハア実に驚いた訳で、不思議な縁でがんすから、私が五十両遣るべえと云った処が、
受けねえと云うから、何うしたら宜かんべいと思って、岸田が犬死になって可愛そうだから、独息子を無理無体に貰って来たのが家にいる多助さ、あんたの為には甥でがんす、其処え又貴方を私が助けて、
家に連れて来て見れば伯母甥が斯うやって一つ所に来て、委しい話をすると云うのは、前世からの約束と諦めて、あんたも御亭主さんの死んだ事は、何時までも鬱々と思っていて身体にでも障るといけねえから、諦めておくんなんし」
かめ「誠にそう云う事とは知らず、連の者が先へ帰って来ても良人では帰って来ませんから、何うした訳かと案じて居りましたが、田舎では其の地に長らく居りますと、
養子にすると云う事を聞きましたから、良人も外へ養子にでも往ったのではないか、女房子を振捨てゝ、他へ養子に入るとは余り情ない不実な人と怨んでいたのは私の過まり、
良人が左様いう訳になりまして、唯た一人の娘を勾引されましては生甲斐のない身の上、寧そ一思いに死にとうございますから、先刻来る道にありました谷川へ身を投げて死にますから、貴方はお先へお帰り下さいまし」娘は勾引され
0198名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:11:48.030
 引続きますお話は鹽原多助一代記でござります。是は文化文政の頃まで大評判のもので本所相生町に居りまして地面の廿四ヶ所も持ち、炭薪の大問屋でございますが、わずかの間に儲け出し、斯様な大
身代に成ったと申しますが、なんでも其の頃は未だ世の中が開けぬ時分でございますが、当節は追々開けてまいり、仕合せの事には大火という者が頓とございません、是は家造りが石造或は店蔵に成ったり
、又は煉瓦造に成りましたので、マア火事がございましても、焼ける道が塞がって居りますから、大きな火事がございませんが、開けぬ昔は折々大火がございました事で、丑年の火事、午年の火事、或は佐久
間町の三味線屋火事など種々大火もございました。其の中で一番大きいのは本郷丸山本妙寺火事、目黒行人坂の火事、これは皆様方も御案内の事で、それに赤坂の今井谷から出まして、麻布十番から古川雑
色綱坂を焼払い、三田寺町、聖坂から三角へ掛け、田町へ出まして、これが品川で鎮火致しました、大きな火事でございましたが、これが宝暦十年二月四日の夜に出まして、一日おいて又六日に出火致しましたのが
神田旅籠町から佐久間町を残らず焼払い遂に浅草茅町二丁目まで延焼し、見附を越して両国へ飛火致し、両国一面火になって、馬喰町を焼き、横山町三丁目残らず、本町通りを出て日本橋通りから江戸橋の方へ
焼け、四日市小網町一面の火になり、深川へ飛火いたし、深川一面の火となり、漸く鎮火致しました。すると、其の翌晩また芝神明前から出火致しまして、芝片門前本芝残らず焼払って、お浜で鎮火致し、たった二日
の間に江戸大半を焼き尽しましたが、これは開けぬ昔のお話で、只今斯様な事はございません。田舎のお話も此の時分のお話を致しますと、とんと嘘のように聞えます。沼田下新田などと申しますと甚しい山国の片
田舎のようで[#「片田舎のようで」は底本では「片舎田のようで」]ございますが、只今では沼田から前橋まで人力車で参られ、前橋から汽車に乗り、ピイと上野まで忽ちに来られ、一日の内に東京から往復が出来ま
する事で、追々開けて参りました故、これからは鉄道が日本国中へ蜘蛛の巣を掛けた様になりますそうですが、マア何の位便利になるか知れませんが、其の頃は一寸旅立するにも中々億劫な事で、田舎のお方が江戸見物に
出るにも泣きの涙で出ましたもので、江戸ッ子が上方見物に往くにも実に億劫なことに思い、留守中何
0199名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:12:28.740
りまして、一年半ばかり居ります中に角右衞門の女房が歿かりましたが、角右衞門も未だ老朽る年でもなく、
殊に縁合になっているおかめさん、多助さんにも叔母さんに当るそうだから、これを後添に直したら宜かろう
と村の者等が切りに勧めまするが、角右衞門は中々堅固な人だから容易に承知せず、あんな年の違ってい
る若い女を女房に持っては世間へ対して誠に宜しくないからと云って聞入れませんのを、そうでない、
貴方
跡目相続をする多助さんの叔母なり、殊に彼の子を可愛がって宜く世話をしなさるから女房に持つがよいと、
分家の者始め村方一同の勧めに、止むを得ず承知いたし、不思議な縁でおかめを後妻に直しました。これから十
二年経ちましてのお話で、丁度宝暦十年に相成りますから、角右衞門は年が五十四歳になりました。五
八という奉公人を供に連れ、江戸見物ながら余儀ない用事があって国元を出立致し、馬喰町に宿を取って居りますると、
二月四日の大火で、赤坂今井谷から出火し、品川まで焼け込んで鎮火したと申しますから、怖ねえこんだと思
って居ると、又一日隔って神田旅籠町から出た火事は、前申上げました通り故、角右衞門も馬喰町を焼け出され、
五八は大きな包を脊負ってせっ/\と逃げ出しましたが、往来々々アリャア/\などと云いながら、大きな荷を
担いで右往左往に駈け※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)る。此方からはお使番が馬に乗って駆けて来る。仕事師は纒
を振り鈎をかついで威勢能く繰出してまいる騒ぎに、二人はまご/\しながら漸く逃出しましたが、行き所がありません。
五「旦那さん怖ねえじゃねえか、一昨日大けえ火事があって、又今日こんな火事が始まるとは怖ねえこんだ、
江戸は火早いと云いやんすが、こんなに大けえ火事がこう続いてあるとは魂消やした、火に


は追掛[#ルビの「おっか」は底本では「おっかけ」]けられるようだよ、危えとも危えとも、あんな何うも先の尖った鳶
口を担いで駆けていやすから、頭へでも打つけられて怪我でもしては大変でがんす、旦那さん何処へ逃げやすか」
角「己も始めて江戸へ出たのだから困った、仕様がねえが此の間一度尋ねた小網町の積荷問屋な、彼処へ
行くべい」
 とこれから小網町へ参りますと、此の火事が日本橋から江戸橋、四日市、小網町へ焼
0200名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:13:52.750
 と言いながら二ツ目の橋を渡り、お竹蔵辺までまいり、ホッと一息吐きながら後の方を見かえせば、天は一面に梨地の色を現わし、火事の明りで往来を見え透き、
人々皆疲れて一人も出るものはなく、往来はパッタリ止ってしまいました。夜も段々と更け、以前のお竹蔵前で当今交番所のある所から割下水の方へ掛りますと、
女の金切声で、「アレー人殺し/\」というから、角右衞門は気が付き向うを屹と見ますると、一人の悪者が島田髷の女を捕えて打擲するのみならず
、娘の持ったる包を引攫って逃げ行きました
。跡に娘は泣き仆れて居りましたが、何思いましたか起上り、前なるお竹蔵の大溝へ身を跳らして飛込もうとする様子に驚き、角右衞門は[#「角右衞門は」は
底本では「角右術門は」]親切な男ゆえ、駈け寄って突然娘の帶際取って引留め、
角「おい娘子、お前此の溝へ飛込むのか、身投じゃねえか、何だか様子は知んねえが、男がお前の荷物を攫って逃げ、それに大そう打たれた様子だが、一体何ういう訳でがんす」
娘「有り難う存じますが、どうぞお放しなすってくださいまし、私は深川の火事で焼け出され、母親と一緒に逃げて参りまする途中、母親にはぐれ、一人で此処までまいりますと、
跡から附けて来た悪者が突然私を突仆し、撲ち打擲致しまして、大事な荷物を持って行ってしまいましたが、彼の中には金子も入って居り、殊に大事な櫛笄や衣類も入っ
て居ります故、あれを取られましては母親にどんな苛いめに逢わされ、殺されますか知れませんから、寧その事死のうと思うのでございます」
角「まア待ちなせえ、私は田舎者で、始めて江戸へ出て来たもんだが、宜く物を考えて見なせい、盗賊に荷物を取られるくらいは災難とはいいながら些細の事だ、此のマア大けえ江
戸の火事を見なせえ、何千軒とも知んねえ家が焼け、土蔵倉を落す中で、盗賊に包を取られた位はなんでもねえに、母親に済まねえからと云って此の溝へ飛込んでおッ死ぬとは、年は
いかねえが余まり分別がねえ話だ、お前様がお母様に逢って斯ういう訳の災難で取られたと云って、あんたが詫事をしたら、お母様も聞かない事もあんめえ」
娘「でも何うぞお殺しなすって」
角「馬鹿な事を云わねえもんだよ、あんたがお母様に云いにくければ、私が一緒に往って詫事をして上げべえから、あれさ、マア心得違えをしちゃいけましねえ」
0201名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:21:54.870
多「いえ、貰った訳ではございません、あれは私の家の先からの娘でござります」
婆「お惚けなすっちゃアいけません、ありゃ私の娘だよ、私しア三田の三角のあだやと云う引手茶屋のおかくという婆アだが、あれは私の大事な金箱娘、此の二月
大火事の時深川を焼出され、迯げ出す途中ではぐれてしまい、今日が日まで行方が知れないから、※々[#欠字、70-3]手分けをして捜がしたが、何うしても知れなかった
のが、不図山の宿の山形屋という宿屋に泊っていた客が、娘を連れて沼田のこれ/\の処へ一緒に帰ったと聞いた故、私も娘がいなけりゃア商売も出来ない事故、忰を連れて
怖ろしい開けない白井八崎なんぞと云う怖い山越しをして、此処へ来て、沼田の御城下へ宿を取り、三月の間尋ねたが知れぬも道理、こんな山の中に居るんだものを、阿魔女も罰だ、さっ
き御城下でお前と一緒に歩いていたのを見掛けたから尋ねて来たのさ、こゝの家の御子息が悪足になって居るか何うだか知らねえが、どういう訳で、誰に沙汰をしてお前の処の娘にしたか、それを承わりたいので」
多「はい、どういう訳でがんすか、私から精しい事を申した所がお聞入れもありやすめえし、親父は留守でがんすから、親父の帰るまでお待ちなすってお呉んなせえ
、高平まで参りやしたのですから、明日は慥か戻りやしょう、待たれやすなら明日まで待ってください」
婆「待たれませんよ、お帰りまで宿を取り銭を遣っていられるものか、今までどの位路銀を遣っているか知れねえ」
多「沼田の何処へ宿を取りなさるか、そこを聞かせて下さりャア、親父が帰ったらお迎いに出すようにいたしましょうから」
婆「出来ませんお腹がすいたから御膳を御馳走になり、旦那のお帰りまで泊めて置いて下さい、若衆さん、盥へ水を汲んで来ておくんなさい」
五八「大旦那が留守だから、若旦那がいろ/\話をするのに解らねえことをいう」
婆「何でもいゝ、私の娘をこゝへ連れて来て、我物顔に娘でございますと云われて、はい左様でございますかと云って帰えるような人間じゃアございませんよ、田舎じゃア少さい時から
木綿着物で育て、教える事は糸繰から機織ぐらいで済むけれど、江戸育ちの娘というものは少さい中から絹布ぐるみ、其の上金にあかして芸事を仕込み、これから親が楽を仕ようと思って居るのに
、其の恩を忘れ、親を見捨てゝ家出をするような阿魔女
0202名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:24:16.310
 さて百姓鹽原角右衞門という人は
、田地の三百石も持って居りますが、村方で田地の三百石も持っていると大したものでございます。殊に家柄もいゝから、座席も名主から三番目というので、
其の頃は家柄を尊びました。其の百姓の
家だから旨く往ったら二三百両も強請って往こうという権幕で、相手は名に負う又旅お角、是はちょく/\旅へ出て、昨日帰ったかと思うと又今日旅へ
出た、又旅へ出たという所から自然又旅のお
角と綽名を取りました者で、其の
子として道連の小平、是も胡麻の灰の頭分で、此奴がどッさりと上げ胡座を掻くと梃でも[#「梃でも」は底本では「
挺でも」]動かないという、親子諸共名うての悪党だから、其の権幕の強いのに怖れて五八も後へ下
り、名主へ訴えようとしている所へ帰って来たのが主人角右衞門で、奥へ往って様子を聞くと、これ/\と云いますと、なか/\の沈着ものですから、直に出てまいりまして、
角「はい、是はお初にお目にかゝります、私は鹽原角右衞門でございますが、生憎只今高平まで参って居りやせんでござりやしたが、何かマア訳は知りやせんが、忰や若えもんどもが頻りに

配して居りやすが、どういう訳で私の所へお出でなすって、人の娘をかどわかしたから名主へ届けるというのでがんす、其の次第を一通り承わった上で御挨拶を致しやすが、一体貴所方は何処のお方でございやす」


かく「はい、貴方が角右衞門さんですか、お初にお目にかゝります、私は江戸三田の三角であだ屋という引手茶屋の主人おかくという婆アでございますが、此の間の深川の火事で娘を見はぐり
、行
方が知れませんから、只今も申すとおり漸々の事で突き留めて、
怖ろしい峠を越し、此の沼田という所へまいり、宿を取って捜して見たが知れませんで居たが、今日不図御城下※(「廴+囘
」、第4水準2-12-11)で見掛ける女は娘に肖ているから、跡を附けて来て見ると、此方の家へ這入ったから、此の奉公人に尋ねると、家の娘だと云いなさるから、それはどう云う訳で他人の娘を
誰へ沙汰をして娘にしなすったか承わりますと、此の奉公人が名主へ訴えるとか打つとか叩くとか云うから、売言葉に買言葉、果ては遂に大きな声を出しました所、忰が腹を立てゝ大声を出しましたが、
0203名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:24:58.710
其様な事をしないでも何うでもお話に成る事だが、お前さん一体どういう訳で己の娘だと仰しゃいますか、それを承わりたいねえ」
角「なーる程、ハイ御尤もの次第でござりやす、実はお話をしない事は訳りましねえが、少しマア用向が有って、今度初めて江戸へ参り、馬喰町へ逗留して居りやすと、御案内の通り大けい火
事、私も始めて火事に逢いやした事ゆえ、誠にたまげやして、彼方此方逃※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)って、本所のお竹蔵へかゝると、美しい姉さんがお竹蔵の溝へ身い投げて死ぬべいと
云う処を、私がお助け申して段々仔細を聞いて見れば、これ/\でお母にはぐれ、悪者のために包を攫われました、中には大事な櫛笄もあり金も入って居りやすから、あれを取られては何うもお母に云訳がないからおっ死ぬと
云うから、マア待たっしええと、いらざる事だが私も見兼て、マア兎も角もと宿屋へ連れて往って、それから貴方の行方を捜したとも捜さねえとも、三日の間焼原を探しやしたが、どうしても貴方の行方が知れやしねえ、困ったもんだと思
ったが、何処へ預けると云う処もなく、親類もないというし、仕方がねえから私の家へ連って参って段々様子を聞くと、親御もなく兄弟もないというもんだから、私の娘にするより外に仕様がねえじゃアあんめえじゃねえか」
かく「お惚けなすってはいけませんよ、何だとえ親の行方が知れないから、お前さんは自分の娘にしたとお云いだが、それが立派なお百姓さんの御挨拶でございますかえ、承わりますれば此の
村方でもお前さんは名主から何番目へとかへ坐るとかいう立派なお家柄で、田地の三百石もお持ちなさる立派なお百姓さんが、何の挨拶だ、仮令親の行方が知れないと云っても、其の町内に自身番も有れば名主もある事だから、それ/″\へ
掛って名主へでも預けて帰らなければ、本当の親切とは云えない、私がこれから彼の阿魔女で少し息をつこうと思って居たに、大事な娘を攫われたお蔭で家を持つ事も出来ないから、岡引に頼んで金を遣い、娘の行方を尋ねて貰ったが知れない、
その内漸々山の宿の宿屋で、沼田の是々の二人連の百姓が、斯う云う娘を連れて国へ帰ったと云うから、跡を附けて来て見ると、沼田から三里も引込んだ処とは知らず、宿銭を遣って長い間捜し、漸々突留めてお掛合をすると、そんな御挨拶
、又阿魔女も阿魔女だ、親が知れないからと云って、ずう/\しく此処の娘になって居る了簡
0204名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:29:42.420
小「お母黙っていねえ、お母は耄碌しているから詰らねえことばかり言っている、旦那えお前さんは火事場でお母の行方が知れねえから娘にしたと仰しゃるが、私の方じゃア七歳の時からお母が丹誠して、お絹
布ぐるみ、其の上にいろ/\な芸事を仕込んで、これから楽をしようと思っている其の恩義を忘れて、ぬく/\と此方の宅にいる阿魔女も阿魔女だ、それをたゞ此方の宅へ取上げて、只帰そうといっちゃア、旦那それじゃア話が
出来やせん、私も出る所へ出て話を付けやしょう」
角「出る所へ出るなら勝手に出なさいな、だが全体あの時娘を勾引かされ、母様が悪者に慰さまれようとする処を、私が通り合して助けて遣り、伊勢崎の銭屋へ掛り、手を分けて捜して貰ったが、何分娘の行方が知
れないから、八州へ頼み段々勾引しの詮議をすると、馬方の倉八とかいう奴と松五郎源藏という三人を縛って、名主の庭へつれていって調べて見ると、親子連の胡麻の灰に三両宛金を貰って頼まれたと白状したから、三人は送られてし
もうたが、親子づれの胡麻の灰の行方が知れず、仕様がねえから、マアおかめを私の処へ連れて来て置くうち、縁あって今じゃア女房にしている訳だが、これを表向にするならおしなせえ、伊勢崎の銭屋へ係って調べの縒を戻せば、お気の毒だ
がお前達の腰に縄が付くべいという考えだ、それでもいゝなら遠慮はないから出る処へ勝手にお出なせえ、本当なら己らが方から出べいと思うんだが、そんな荒え事もしたくねえから、五両の金を上げべえから、草鞋銭と思って、これで帰るならば
、最う紛紜はなしに娘を返したという書付を一本置いていって下さい」
小「お前さん、そんな解らないことを云っちゃア困るじゃねえか、七歳の時から育て、路銀を遣って斯様な山の中まで尋ねて来て、五両ばかりの端た金を貰って帰られるか帰られねえか考えて御覧なせい」
角「帰られねえけりゃア何うする、己が方から訴えて調べの縒を戻せば、五両の金も取れないばかりでなく、腰に縄が付くんでがんすが、五両の金も遣りたくもないから、いやなら然うしようか」
かく「どうもお前さん、そんな只どうも」
小「母親のいう通り、五両ばかりの金じゃア仕様がねえ」
角「否なら訴える方が宜かんべい」
かく「訴えるがいゝッて、そんな勝手な事を云っちゃア困りますねえ」
 五八は先刻から此の様子を見て居って、
五八「旦那さん、こういう奴は矢張
0205名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:32:33.670
小「お母黙っていねえ、お母は耄碌しているから詰らねえことばかり言っている、旦那えお前さんは火事場でお母の行方が知れねえから娘にしたと仰しゃるが、私の方じゃア七歳の時からお母が丹誠して、お絹
布ぐるみ、其の上にいろ/\な芸事を仕込んで、これから楽をしようと思っている其の恩義を忘れて、ぬく/\と此方の宅にいる阿魔女も阿魔女だ、それをたゞ此方の宅へ取上げて、只帰そうといっちゃア、旦那それじゃア話が
出来やせん、私も出る所へ出て話を付けやしょう」
角「出る所へ出るなら勝手に出なさいな、だが全体あの時娘を勾引かされ、母様が悪者に慰さまれようとする処を、私が通り合して助けて遣り、伊勢崎の銭屋へ掛り、手を分けて捜して貰ったが、何分娘の行方が知
れないから、八州へ頼み段々勾引しの詮議をすると、馬方の倉八とかいう奴と松五郎源藏という三人を縛って、名主の庭へつれていって調べて見ると、親子連の胡麻の灰に三両宛金を貰って頼まれたと白状したから、三人は送られてし
もうたが、親子づれの胡麻の灰の行方が知れず、仕様がねえから、マアおかめを私の処へ連れて来て置くうち、縁あって今じゃア女房にしている訳だが、これを表向にするならおしなせえ、伊勢崎の銭屋へ係って調べの縒を戻せば、お気の毒だ
がお前達の腰に縄が付くべいという考えだ、それでもいゝなら遠慮はないから出る処へ勝手にお出なせえ、本当なら己らが方から出べいと思うんだが、そんな荒え事もしたくねえから、五両の金を上げべえから、草鞋銭と思って、これで帰るならば
、最う紛紜はなしに娘を返したという書付を一本置いていって下さい」
小「お前さん、そんな解らないことを云っちゃア困るじゃねえか、七歳の時から育て、路銀を遣って斯様な山の中まで尋ねて来て、五両ばかりの端た金を貰って帰られるか帰られねえか考えて御覧なせい」
角「帰られねえけりゃア何うする、己が方から訴えて調べの縒を戻せば、五両の金も取れないばかりでなく、腰に縄が付くんでがんすが、五両の金も遣りたくもないから、いやなら然うしようか」
かく「どうもお前さん、そんな只どうも」
小「母親のいう通り、五両ばかりの金じゃア仕様がねえ」
角「否なら訴える方が宜かんべい」
かく「訴えるがいゝッて、そんな勝手な事を云っちゃア困りますねえ」
 五八は先刻から此の様子を見て居って、
五八「旦那さん、こういう奴は矢張
0206名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:33:45.070
太「私も若えうちに親父に死なれ、又母親にも早く別れ、今まで皆な伯父様の世話になった事は私も心得て居りますから、あんたが達者でいて、わしもこれからちった
ア貴方に楽でもさせべいと心得て居りやすから、弱え心を持っちゃ駄目でがんすよ」
角「実は此処にいる多助を己が跡目相続に貰った訳というものは、十三年あと八月二日、千鳥まで田地を買いに行く時、追貝村でな、今の嚊のおかめの先の亭主、
岸田屋宇之助という旅商人、元は阿部様の御家来
鹽原角右衞門と云う己と同じ名前の侍の家来だが、其の御主人の角右衞門様という人は、小川村へ浪人して居った所、八年ぶりで宇之助さんがお目にかゝり、段々の
話に何うか主人を再び世に出していと宇之助とい
う人が、己が金を持っていることを知って跡を附けて来て、金を貸してくれろ、主人を世に出してえから貸せと云うから、己ア泥坊だと思って泥坊々々とがなると、突然脇
差を引抜いて追掛けて来たから、逃げべいとすると木の根へ躓ずき、打転がると、己の上へ乗し掛り殺すべえという訳だ」
太「ハアえゝ、これは初めて聞きやした、成程飛んだ訳で」

角「所がなア、己が下で泥坊々々とがなっていると、其の時向山を通りかゝった猟人は、鹽原角右衞門という浪人で、己のがなるを聞いて助けべえと思って、現在忠義の家来なり、妹を片付ければ弟も同様な岸田屋宇之助を鉄砲で打ったえ」
太「はアえゝ、成程大けえ間違えになりやんした」
角「それがサ間違えで、そうすると其の猟人が駆付けて来て、死骸を見て魂消て、あゝ宇内か知んなかった、己が浪人して居るのを世に出してえと思って金が欲くなったかえ、そうとは知らず汝を打った、あゝ可愛そうな
事をしたって、その立派な侍が男泣きに泣くってや/\」
太「はアえゝ、成程フン、とんだ気の毒な間違いで」
角「するとなア、仕様がねえから己も手伝って其の死骸を鉄砲で担いで、小川村の浪人の内へ行って名告り合せて見ると、向うも鹽原角右衞門、己も鹽原角右衞門、同じ名前で不思議に思ったから、段々聞いて見る
と、元は野州塩谷郡塩原村の者と分って見ると、元は己と由縁のあるものと分ったから、命が助かった替りに金を向うへ遣り、其の時貰って来たのが此処に居る多助よ」
太「はアえゝ、とんだ深い縁でがんす」
勾引され、亭主が死んだことを聞き、身い投
0207名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 16:34:20.010
めに斯うやって今じゃア女房に持っていた処が、此の二月江戸へ往って火事場から連れて帰ったおえいは、十三年あと勾引された娘だという訳から、斯うして居るのだが、己が亡い跡では此の多助もどうせ
女房を貰ってやんねえければなんねえが、おえいと多助とは十九と廿年合も好かんべいと思う、母親は多助のためには実の叔母なりするから、血統三人で此の家を履めば大丈夫、そうして太左衞門汝が後
見をして、農作の事から何から万事指図をして呉れば、此の鹽原の家は潰れめえと考えるから、己の息のあるうちおえいと多助と盃をさせ、夫婦にして、年に一度も小川村へ往って右内という人の法事供養をさせてくれるように汝に頼むのだが、己の考えは悪いか」
太「悪いどころじゃアねえ、誠にはア尤もの訳だが、そりゃア貴方が癒った後の事でよかんべい」

角「癒らねえと思えばこそ盃をさせるのだ、サア此処へ来て早く内輪ばかりだから酒だけでいゝ、太左衞門媒人になって早く酌」
 と急立てられ、多助おえいの両人は恥かしそうに坐っている所へ、太左衞門は酒を持って来て、まア嫁ッ子からと云われた時は、何というべき言の葉も岩間の清水結び染めて、深き恵みに感じつゝ、有難涙に暮れて
居りましたが、角右衞門は七月二日終に歿かり、戒名は一庵了心信士と申し、只今に八軒寺町の東陽寺という寺に石碑が残って居ります。先ず野辺の送りも済ませてしまい、それから三十五日に多助はおかめおえいと五八
を連れて、養父の墓参りに参りました。其の時用事あって太左衞門はまいりません。参詣終りて四人連立ち、帰り道で雨が降出しましたから、
多「五八や雨が降って来て困るなア、沢山の降りも有るまいが、ひどくなると困るから此の木の下に雨宿りして居るから、駆けて行って傘を取って来てくんな」
五八「へい、往ってまいりましょう」
 と急ぎ足で往ってしまうと、いつから附けて居りましたか、道連の小平と繼立の仁助が横合から頬冠りして出て来て、突然おえいを担いで連れて往こうとしますゆえ、多助は驚き、一生懸命小平の足にしがみ付き盗賊々
々と云うのを、えゝ邪魔するなと蹴返せば、多助は仰向けに倒れたが、又起上り取付けば、おかめも驚き取付く所を横面を擲倒す、又這寄ってしがみ付くうち、ずる/\とおえいを仁助が引ずりながら脇道へ入り込む。
えい「アレー人殺し/\」
 と云っても田舎の事ゆえ、助ける者は一人
0208名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:34:40.870
めに斯うやって今じゃア女房に持っていた処が、此の二月江戸へ往って火事場から連れて帰ったおえいは、十三年あと勾引された娘だという訳から、斯うして居るのだが、己が亡い跡では此の多助もどうせ
女房を貰ってやんねえければなんねえが、おえいと多助とは十九と廿年合も好かんべいと思う、母親は多助のためにはの叔母なりするから、血統三人で此の家を履めば大丈夫、そうして太左衞門汝が後
見をして、農作の事から何から万事指図をして呉れば、此の鹽原の家は潰れめえと考えるから、己の息のあるうちおえいと多助と盃をさせ、夫婦にして、年に一度も川村へ往って右内という人の法事供養をさせてくれるように汝に頼むのだが、己の考えは悪いか」
太「悪いどころじゃアねえ、誠にはア尤もの訳だが、そりゃア貴方が癒った後の事でよかんべい」

角「癒らねえと思えばこそ盃をさせるのだ、サア此処へ来て早く内輪ばかりだから酒だけでいゝ、太左衞門媒人になって早く酌」
 と急立てられ、多助おえいの両人は恥かしそうに坐っている所へ、太左衞門は酒を持って来て、まア嫁ッ子からと云われた時は、何というべき言の葉も岩間の清水結び染めて、深き恵みに感じつゝ、有難涙に暮れて
居りましたが、角右衞門は七月二日終に歿かり、戒名は一庵了心信士と申し、只今に八軒寺町の東陽寺という寺に石碑残って居ります。先ず野辺の送りも済ませてしまい、それから三十五日に多助はおかめおえいと五八
を連れて、養父の墓参りに参りました。其の時用事あって太左衞門はまいりません。参詣終りて四人連立ち、帰り道で雨が降出しましたから、
多「五八や雨が降って来て困るなア、沢山の降りも有るまいが、ひどくなると困るから此の木の下に雨宿りして居るから、駆けて行って傘を取って来てくんな」
五八「へい、往ってまいりましょう」
 と急ぎ足で往ってしまうと、いつから附けて居りましたか、道連の小平と繼立の仁助が横合から頬冠りして出て来て、突然おえを担いで連れて往こうとしますゆえ、多助は驚き、一生懸命小平の足にしがみ付き盗賊々
々と云うのを、えゝ邪魔するなと蹴返せば、多助は仰向けに倒れたが、又起上り取付けば、おかめも驚き取付く所を横面を擲倒す、又這寄ってしがみ付くうち、ずる/\とおえいを仁助が引ずりながら脇道へ入り込む。
えい「アレー人殺し/\」
 と云っても田舎の事ゆえ、助ける者は一人
0209名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:35:39.350
鹽原多助は養父角右衞門が歿りまして、三七日の寺詣りにまいりました帰りがけ、悪者小平、仁助のためにおえいが再び攫われてまいる所へ通り掛りましたのは、土岐様の御家来原丹治親子で
、危い難儀を救って呉れましたゆえ、実に地獄で仏の譬の通り、誠に有難いお方様で、どうか私宅までいらっしゃいまするよう、何はなくともお礼を申上げたいと申し、またおえいは三田のあだ屋に
居りました時分、丹三郎がちょく/\遊びにまいり、馴染ではあるしする所から、打連れ立って多助の宅へ寄り、馳走になりましたが縁となり、是より度々此の家へ丹治親子が遊びに参りますると、丹
治も年四十五歳なれども鰥暮しでございますし、おかめも夫角右衞門が亡りまして未だ三十七という年で、少し梢枯れて見ゆれど、色ある花は匂い失せず、色気沢山でございます。殊に家来右内と
密通して家出をするくらいの浮気ものでございますから、酒の上とは云いながら、遂に丹治と密通致し、おかめは深く丹治を思いまするが、世間の手前多助の前もありますが、忍び/\に逢うことも
度重り、今ではもう恥かしいのも打忘れ、公然で逢い引を致しますゆえ、人の目つまに掛ることも度々あり、おかめは何うか丹治と一つになりたいが、そうするには多助を追出さなければ邪魔になって
なりませんが、多助を追い出すには何うしたら宜ろうと考えますと、又悪智の出るもので、丹三郎も未だ独身ものなり、どうか丹三さんとおえいと色にでも成ったなら、私も丹治さんと倶々に末永く楽しめ
るだろうと思いまして、主あるおえいに色事を勧め、丹三郎と密通をさせ、親子同志で姦通をいたし、誠に宜しからぬ事で、多助も薄々知っては居りますが、事荒立てゝは血で血を洗う道理、家の恥己の
恥、殊に亡なった養父角右衞門のお位牌へ対して済まないし、あゝ情ない心得違いの母親、殊に女房おえいまで左様な事を致すとは、犬畜生のような奴と思いまするが、何うも事を表向にする事が出
来ません、相手は御領主土岐様の御家来なり、迂濶の事を言い立ることは出来ませんが、どんな人の好いものでも、自分の女房を人に取られて腹を立たないものはございませんから、多助も腹が立
ちますから寧そ此の家を駆け出してしまおうかと思いましたが、いや/\此の家を出たならば必ず原丹治親子が此の鹽原の家へ乗込んで来るに違いないが、侍には百姓業はとても出来ないから、鹽

は馬を引い
0210名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 16:35:56.630
鹽原多助は養父角右衞門が歿りまして、三七日の寺詣りにまいりました帰りがけ、悪者小平、仁助のためにおえいが再び攫われてまいる所へ通り掛りましたのは、土岐様の御家来原丹治親子で
、危い難儀を救って呉れましたゆえ、実に地獄で仏の譬の通り、誠に有難いお方様で、どうか私宅までいらっしゃいまするよう、何はなくともお礼を申上げたいと申し、またおえいは三田のあだ屋に
居りました時分、丹三郎がちょく/\遊びにまいり、馴染ではあるしする所から、打連れ立って多助の宅へ寄り、馳走になりましたが縁となり、是より度々此の家へ丹治親子が遊びに参りますると、丹
治も年四十五歳なれども鰥暮しでございますし、おかめも夫角右衞門が亡りまして未だ三十七という年で、少し梢枯れて見ゆれど、色ある花は匂い失せず、色気沢山でございます。殊に家来右内と
密通して家出をするくらいの浮気ものでございますから、酒の上とは云いながら、遂に丹治と密通致し、おかめは深く丹治を思いまするが、世間の手前多助の前もありますが、忍び/\に逢うことも
度重り、今ではもう恥かしいのも打忘れ、公然で逢い引を致しますゆえ、人の目つまに掛ることも度々あり、おかめは何うか丹治と一つになりたいが、そうするには多助を追出さなければ邪魔になって
なりませんが、多助を追い出すには何うしたら宜ろうと考えますと、又悪智の出るもので、丹三郎も未だ独身ものなり、どうか丹三さんとおえいと色にでも成ったなら、私も丹治さんと倶々に末永く楽しめ
るだろうと思いまして、主あるおえいに色事を勧め、丹三郎と密通をさせ、親子同志で姦通をいたし、誠に宜しからぬ事で、多助も薄々知っては居りますが、事荒立てゝは血で血を洗う道理、家の恥己の
恥、殊に亡なった養父角右衞門のお位牌へ対して済まないし、あゝ情ない心得違いの母親、殊に女房おえいまで左様な事を致すとは、犬畜生のような奴と思いまするが、何うも事を表向にする事が出
来ません、相手は御領主土岐様の御家来なり、迂濶の事を言い立ることは出来ませんが、どんな人の好いものでも、自分の女房を人に取られて腹を立たないものはございませんから、多助も腹が立
ちますから寧そ此の家を駆け出してしまおうかと思いましたが、いや/\此の家を出たならば必ず原丹治親子が此の鹽原の家へ乗込んで来るに違いないが、侍には百姓業はとても出来ないから
0211名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:37:08.520
かめ「お気の毒ですがまけられませんよ、他の事とは違います、本当に呆れた奴でございます、多助がそういう根性だとおえいが可愛そうでございますから、今の中に切れ話にして、おえいに実のある堅い亭主を持たせる了簡ですから、離縁
状を書いてわたした其の上で、多助をお作さんの婿にするとも何うとも勝手におしなさいよ」
太「まだ色事を出かした訳でもねえのだから、穏便に済ませれば世間へも知んねえから」
かめ「いけませんよ、馬鹿々々しい、余りな不人情だからお前さん早く離縁状を書かせて下さいましよ、書かせて下さらなければ、私もおえいと一緒に出て往きますよ」
太「お前が何も出る訳はあんめえじゃねえか、そんなら是程頼んでも勘弁は出来やせんか、己ア娘は未だ主のあるものじゃねえ、処女でごぜいやす」
かめ「だってお作さんは、幸右衞門どんの伜の圓次郎さんが養子に往く約束になって居るじゃ有りませんか」

太「約束になって居りやすが、未だ結納を取交した訳でもなく、唯ほんの口約束だけの事で、婚礼をした訳ではがんせんから、どういう事があっても間男と云う訳はあんめえ、又男の働きで一人や二人の女も出来ねえと
も云われねえ、それ処じゃない、
立派な亭主持の身で有りながら悪いことをするものが世間にはいけいこと有りやす、一昨日店で盆の余り勘は酒も売り肴もあるもんだから、若いお侍が腰掛けて一杯やっていた、其の人の年頃はそうさ廿二三で、
ちょうど其処に入らっしゃる丹三郎様ぐれえの年恰好で、貴方に能く肖ているお方サ、すると女の艶書の伝を児守子に頼んで手紙を其のお侍に渡すと、お侍が惚れた女からよこした手紙だから飛立つように喜んで、其の文を開いて読んでしまい、丸
めて袂へ入れた積りで出て往った跡を見ると、其の手紙が落ちて居たが、これは済まねえ訳だと思うが、此の文の文面で見ると、去年のマア八九月あたりから悪い事をしやアがって、今年になるまでくっついて居て、其の亭主が邪魔になるもんだか
ら追出してしまいてえと思い、科もねえ者へ不義の名を附けようとするだ、太い阿魔じゃねえか」
 と云いながら懐より手紙を取出し、
太「なに/\名前は丹三郎さま参るおえいより、何だ手を出さねえでもえゝよ、似た名もいけい事あるもんだ」
 おえいより丹三郎さまと聞くより、おかめも顔色変え、
かめ「詰らない事をおしなさるな」
 と云いながら太左衞門の持っている手
0212名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:45:04.240
かめ「そうか、墓参りでもしてやらなければ冥利が悪いから、度々してやんなよ、圓次も浮ばれやしないのサ」

多「誠に気の毒な事でがんす、私も種々訳を話して幸右衞門どんの母様に謝りやしたら、なに皆な定まる事だ、因果と云うものがあるのだから心配しねえが宜いと云われるだけ、私は気の毒で堪りましねえ」
かめ「誰も居ないから話をするが、圓次郎はお前が殺して、荷を盗んで城下へでも売ろうと云う考えでやったろうな」
多「ヘエ、フウ、どうも魂消やんしたなア、お母さん、他の事とは違いやす、私圓次を殺したと誰そんな事を云いやんした」
かめ「誰も云いやアしないが、天知る地知るの道理、皆な罰だ、お前のいう事が皆間違っているから、宜く考えて見な、此の間帰った時何と云った、馬を私が引けば動かず、
圓次郎が引けば動くと云ったじゃないか、引き慣れた馬をお前が引けば動かなくって、圓次郎が引いて歩くと云うような間違った話があるものか、大方お前が圓次を殺して
、御膳籠に一杯ある荷を盗み、人知れず売ってしまって、小遣にでも仕ようと云う了簡で遣った所、露顕するのを恐れ、旨く拵え事をして圓次どんの所へ荷を返したんだろう、
それを馬が動かないなんぞとずう/\しい、お前のような怖い人はない、人には云えないが、しまいには親の寐首を掻き兼ないよ、今日という今日は実に呆れたから、只た
今出て往っておくれ」
多「モシどうぞ御免なさってください、他の事ならどんな事を仰しゃっても、お母さんの言う事は例え御無理が有りましても、お言葉に背くめえという願掛けでございますが、
圓次を殺したとは情ない、幼さい時から一つ村で生立って、殊に仲の好え圓次を殺し、物を取って城下へ売るなどと何を証拠にしてそんな事を云いなさるか、お情ねえ、仮令どんな事が有ろうとも神かけて
覚えはござりやせん」
 と泣声を振立てゝ言うに、おかめは、
かめ「とぼけなさんな、分家のお作とくっついて居るものだから、養子に行く約束のある圓次を邪魔にし、圓次さえなければ末永くお作と楽めるという了簡に違いない、
夫程気にいらないおえいを女房に持たして置くのは気の毒だから、只た今離縁状を置いて出て往きな」
多「どうぞ御免なさい、此の家を出ては死んだ父様のお位牌に済みません、おえいの気に入らなければ私を亭主と思わねえでも宜うがんす、又母様も子と思わず、
0213名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:45:18.950
かめ「そうか、墓参りでもしてやらなければ冥利が悪いから、度々してやんなよ、圓次も浮ばれやしないのサ」

多「誠に気の毒な事でがんす、私も種々訳を話して幸右衞門どんの母様に謝りやしたら、なに皆な定まる事だ、因果と云うものがあるのだから心配しねえが宜いと云われるだけ、私は気の毒で堪りましねえ」
かめ「誰も居ないから話をするが、圓次郎はお前が殺して、荷を盗んで城下へでも売ろうと云う考えでやったろうな」
多「ヘエ、フウ、どうも魂消やんしたなア、お母さん、他の事とは違いやす、私圓次を殺したと誰そんな事を云いやんした」
かめ「誰も云いやアしないが、天知る地知るの道理、皆な罰だ、お前のいう事が皆間違っているから、宜く考えて見な、此の間帰った時何と云った、馬を私が引けば動かず、
圓次郎が引けば動くと云ったじゃないか、引き慣れた馬をお前が引けば動かなくって、圓次郎が引いて歩くと云うような間違った話があるものか、大方お前が圓次を殺して
、御膳籠に一杯ある荷を盗み、人知れず売ってしまって、小遣にでも仕ようと云う了簡で遣った所、露顕するのを恐れ、旨く拵え事をして圓次どんの所へ荷を返したんだろう、
それを馬が動かないなんぞとずう/\しい、お前のような怖い人はない、人には云えないが、しまいには親の寐首を掻き兼ないよ、今日という今日は実に呆れたから、只た
今出て往っておくれ」
多「モシどうぞ御免なさってください、他の事ならどんな事を仰しゃっても、お母さんの言う事は例え御無理が有りましても、お言葉に背くめえという願掛けでございますが、
圓次を殺したとは情ない、幼さい時から一つ村で生立って、殊に仲の好え圓次を殺し、物を取って城下へ売るなどと何を証拠にしてそんな事を云いなさるか、お情ねえ、仮令どんな事が有ろうとも神かけて
覚えはござりやせん」
 と泣声を振立てゝ言うに、おかめは、
かめ「とぼけなさんな、分家のお作とくっついて居るものだから、養子に行く約束のある圓次を邪魔にし、圓次さえなければ末永くお作と楽めるという了簡に違いない、
夫程気にいらないおえいを女房に持たして置くのは気の毒だから、只た今離縁状を置いて出て往きな」
多「どうぞ御免なさい、此の家を出ては死んだ父様のお位牌に済みません、おえいの気に入らなければ私を亭主と思わねえでも宜うがんす、又母様も子と思わず、
0214名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:46:37.380
五「でも貴方口惜くってなりやせん、胸が一ぺえになりやすという訳は、あんたの事を世間で泣き多助/\と云うから、どういう事だと思って人に様

子を聞いて見れば、母様が悪い顔べえしていて、堪え兼るから外へ出ては貴方が泣きながら歩くという訳だ、三百石の田地持の旦那様が母様の
機嫌が悪く家に居られないから、馬を曳いて外へ出ると、あんたの内儀のおえいどんまでが一緒になって貴方を突出すべえとするは、情ねえこん

から、私云うだけの事は云いやんす、貴方が出れば原丹治親子が乗込むに違えねえが、屋敷者だから百姓業は出来やすめえ、そうすれば此


鹽原の家は打潰れるに相違ねえから、多助さん辛かんべえが辛抱して此の家を出ては成りやせんよ、私も共に貴方と一緒になって、どんな辛
え事をしても家の為めに働きやすから、我慢して居ておくんなさいよ、家大事でがんすよ」
多「あいよ/\、五八や宜く家の為を思って心配してくれる、原丹治親子の事も知らない訳ではないが、言い立てをすれば血で血を洗うようなもの
、世間へ対して家の恥になる事だから、今までは何にも言わず辛抱して堪えに堪えて居たけれども、実に辛くて堪え切れない事が度々あるよ、察して呉れや」
五「御尤もでがんす/\、私も命がけで貴方と一緒になり働きやすから、どうぞ詰らない心を出して下さんなよ」
 と
真実の心から五八が慰め居りますと、馬小屋で青という馬がヒン/\と嘶いて、バタ/\と荒れる事一方ならぬ物音に、五八は慌てゝ駈出して

って見るに、繋いである馬がバタ/\騒いで居りますから、五八が馬の口を取り鎮めておる所へ這入って来ましたは原丹治でございます。これ
は丹治が圓次を殺した時の顔を馬が見覚えて居たものと見え、怖がってバタ/\暴れたので、丹治も訝しく思いながら奥へ這入り、おかめと差向い



何か密々話を致して居ります。多助は馬の驚いたのに心附き、ハヽア先達て庚申塚で圓次を殺したのは、丹治が私と間違えたものに相違ない、
これは此処の家にいる時は殺されるかも知れない、若し命がなければ何んなに思っても此の家の為になる事も出来ない、八歳の時から住み馴れた
村方を立退くのは辛い事ではあるなれども、一先ず此処を逃げ去って、知らぬ江戸とやらへ参って、どんな辛い奉公でもして金を貯めた上
0215名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:48:48.290
五「でも貴方口惜くってなりやせん、胸が一ぺえになりやすという訳は、あんたの事を世間で泣き多助/\と云うから、どういう事だと思って人に様

子を聞いて見れば、母様が悪い顔べえしていて、堪え兼るから外へ出ては貴方が泣きながら歩くという訳だ、三百石の田地持の旦那様が母様の
機嫌が悪く家に居られないから、馬を曳いて外へ出ると、あんたの内儀のおえいどんまでが一緒になって貴方を突出すべえとするは、情ねえこん

から、私云うだけの事は云いやんす、貴方が出れば原丹治親子が乗込むに違えねえが、屋敷者だから百姓業は出来やすめえ、そうすれば此


鹽原の家は打潰れるに相違ねえから、多助さん辛かんべえが辛抱して此の家を出ては成りやせんよ、私も共に貴方と一緒になって、どんな辛
え事をしても家の為めに働きやすから、我慢して居ておくんなさいよ、家大事でがんすよ」
多「あいよ/\、五八や宜く家の為を思って心配してくれる、原丹治親子の事も知らない訳ではないが、言い立てをすれば血で血を洗うようなもの
、世間へ対して家の恥になる事だから、今までは何にも言わず辛抱して堪えに堪えて居たけれども、実に辛くて堪え切れない事が度々あるよ、察して呉れや」
五「御尤もでがんす/\、私も命がけで貴方と一緒になり働きやすから、どうぞ詰らない心を出して下さんなよ」
 と
真実の心から五八が慰め居りますと、馬小屋で青という馬がヒン/\と嘶いて、バタ/\と荒れる事一方ならぬ物音に、五八は慌てゝ駈出して

って見るに、繋いである馬がバタ/\騒いで居りますから、五八が馬の口を取り鎮めておる所へ這入って来ましたは原丹治でございます。これ
は丹治が圓次を殺した時の顔を馬が見覚えて居たものと見え、怖がってバタ/\暴れたので、丹治も訝しく思いながら奥へ這入り、おかめと差向い



何か密々話を致して居ります。多助は馬の驚いたのに心附き、ハヽア先達て庚申塚で圓次を殺したのは、丹治が私と間違えたものに相違ない、
これは此処の家にいる時は殺されるかも知れない、若し命がなければ何んなに思っても此の家の為になる事も出来ない、八歳の時から住み馴れた
村方を立退くのは辛い事ではあるなれども、一先ず此処を逃げ去って、知らぬ江戸とやらへ参って、どんな辛い奉公でもして金を貯めた上
0216名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:50:38.050
 追々お話が央ばに相成りますから、これからが面白く成りますが、兎角開けぬ其の昔のお物語は嘘のようなお話が多いというのは、
物成が極お安く、唯今では物価が高直で、昔のお値段の事を唯今申すと嘘らしいような事があります。近頃まで湯銭が八銅、髪結銭が
廿八銅、寄席のお座料が四十八銅から五十銅でございましたが、当節では四銭と相成りましたから、お高いと心得て居りますと、中に
は又御贔屓のお方が仰しゃいますに、圓朝や寄席の座料が如何にも安い、それでは国の恥になるから最う少し高くしたら宜かろう、西洋へ
でも参ると、丁度我国の大道講釈のようなもので座料の一円や二円は取るから、斯うやって楽屋の者が大勢出て、畳の敷いてある上へお客
を坐らせて、僅か四銭ぐらいでは余り芸が拙いようだから、せめて一人前五円宛も取ったら宜かろうと仰しゃいますが、それでは誰も寄席へお
出になる方がございません、仕方がないから四銭という事に致して置きます。昔は蒲鉾が一本四十文であったと申します。お値段のお安い話ばか
り致しますようでございますが、下駄の鼻緒なども昔は二足で三文でございました、それからこちらへ厄雑のものを二足三文と申す事だそうです。
馬も昔は南部の極長けた所で五両ぐらいのもの、それが只今は馬流行で、皆さんが乗ってお歩きになりますが、時々横っ倒しに乗っていらっしゃる
お方がありまして、危い事で、当今の馬は何れも二三百円も致しますから大きに模様が違って居ります事でございます。鹽原多助の養父角右衞門の
買いました馬は、南部の盛岡の市で五両五粒で買った良い馬でございます。多助は日々その青という馬を引いて山坂を歩いて居りましたが、田舎では月
待日待という事がありまして、十五夜廿三夜などには村の若い者が皆遊びます。多助も廿一歳の若者ですから、随分遊びたい盛りでございますが、人の
遊ぶ中を重い荷をつけて馬を引いて、数坂峠という山又山を歩いて居りますも、家に居れば母親おかめに虐められまして、実に生傷の絶える事がないくら

の訳ですから家にとては居りませんで、馬を引いて歩きながらも種々思合わして見たが、どうも此の家に長くいる訳にはいかない。情ないかな母とおえい

馴合って、丹治父子を引入れて逢引するとは、実に犬畜生同様の致方、殊に私を附け狙うから丹治父子が此の家へ出入る中は迚も居る訳にはいかない
0217名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:51:01.430
 追々お話が央ばに相成りますから、これからが面白く成りますが、兎角開けぬ其の昔のお物語は嘘のようなお話が多いというのは、
物成が極お安く、唯今では物価が高直で、昔のお値段の事を唯今申すと嘘らしいような事があります。近頃まで湯銭が八銅、髪結銭が
廿八銅、寄席のお座料が四十八銅から五十銅でございましたが、当節では四銭と相成りましたから、お高いと心得て居りますと、中に
は又御贔屓のお方が仰しゃいますに、圓朝や寄席の座料が如何にも安い、それでは国の恥になるから最う少し高くしたら宜かろう、西洋へ
でも参ると、丁度我国の大道講釈のようなもので座料の一円や二円は取るから、斯うやって楽屋の者が大勢出て、畳の敷いてある上へお客
を坐らせて、僅か四銭ぐらいでは余り芸が拙いようだから、せめて一人前五円宛も取ったら宜かろうと仰しゃいますが、それでは誰も寄席へお
出になる方がございません、仕方がないから四銭という事に致して置きます。昔は蒲鉾が一本四十文であったと申します。お値段のお安い話ばか
り致しますようでございますが、下駄の鼻緒なども昔は二足で三文でございました、それからこちらへ厄雑のものを二足三文と申す事だそうです。
馬も昔は南部の極長けた所で五両ぐらいのもの、それが只今は馬流行で、皆さんが乗ってお歩きになりますが、時々横っ倒しに乗っていらっしゃる
お方がありまして、危い事で、当今の馬は何れも二三百円も致しますから大きに模様が違って居ります事でございます。鹽原多助の養父角右衞門の
買いました馬は、南部の盛岡の市で五両五粒で買った良い馬でございます。多助は日々その青という馬を引いて山坂を歩いて居りましたが、田舎では月
待日待という事がありまして、十五夜廿三夜などには村の若い者が皆遊びます。多助も廿一歳の若者ですから、随分遊びたい盛りでございますが、人の
遊ぶ中を重い荷をつけて馬を引いて、数坂峠という山又山を歩いて居りますも、家に居れば母親おかめに虐められまして、実に生傷の絶える事がないくら

の訳ですから家にとては居りませんで、馬を引いて歩きながらも種々思合わして見たが、どうも此の家に長くいる訳にはいかない。情ないかな母とおえい

馴合って、丹治父子を引入れて逢引するとは、実に犬畜生同様の致方、殊に私を附け狙うから丹治父子が此の家へ出入る中は迚も居る訳にはいかない
0218名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:51:54.700
 と言って出掛けましたが、叔父の事も心にかゝりますから、心配しながら鎮守の森も、これが見納めか、清右衞門どんの家の棟もこれが見納めになる事かと見返りながら[#
「見返りながら」は底本では「見返りなから」]、泣く/\馬を引いて高平までまいり、銭を二分と一貫受取り、沼田原まで来ると、此の原中に物見の松という松の木があります、
是は戦争の時に物見をした松だと申す事でございます。やがて多助は其の松の根方へ馬を繋ぎ、叺を卸して秣を宛がってどっさり喰わせ、虫の食わないように糸経を懸けまし
て、二分と一貫の銭を持って居りますゆえ、大概のものなら駈落をするのだから路銀に持って行きますが、多助は正直者ゆえ其の銭を馬の荷鞍へ結び付けまして、
自分は懐にあるほまちの六百の銭を持って行きにかゝりましたが、日頃自分の引馴れている馬に名残を惜み、馬の前面を二度ばかり撫でて、
多「これ青よ、汝とは長い馴染であったなア、汝は大原村の九兵衞どんが南部の盛岡の市から買って来たのを、己の父様に買われて来たんで、其の時己も八歳であったが、
鹽原の家へ養子に来る所で、汝も己も一緒に来るんで、己は汝が背中へ乗って此の沼田へ来て長い馴染、己が十二の時から引なれて、斯うやって長い間一つ所に居れば畜
生でも兄弟も同じ事、汝ア達者な馬で、今まで内爛一つ起して嚔一つした事のねえ馬だ、それに十六貫目の四斗俵を二俵附けるなら当前だが、ハア三俵となると汝え疲れべい
と思って、山坂を越える時は己が一俵担いでやるようにするから、身体も今まで頑丈であって、足い血溜り一つ出来た事はねえ、それに父様が丹誠して、年に三度ず
つ金焼きに遣って置いたから、足も丈夫だ、己が草を刈って来て喰わせる時も毒な草が入って居ちゃアいけねえからと思って、茅草ばかり拾って喰わせるようにした
から、汝も大い坂を越るにも艱え顔を一つした事はねえで、家へ対して能く勤めたから、段々年を取るから楽をさせてやるべえと思っていたが、己アどうあっても彼の
家には居られねえ、汝知ってる通り家の母様と嚊アが了簡違えな奴で、己を殺すべえとするだ、汝え知ってべえ、此間も庚申塚で己を殺すべえと思って、間違えて圓次
0219名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 16:53:12.790
 引続きまする人情噺しは兎角お退屈勝ちの事でございまして、草双紙でも芝居でも善人あり悪人あり、善人が悪人のために困苦をいたし、後に善人栄えて悪人亡び、失
いました宝が出て可愛い同志が夫婦に成るという是れがどの跋でも同じようでございます。善悪二つあるかと云うと一つだと仰しゃいます方がありますが、其の一つは何だ
と云うと無形のもので、とんと形がない、善の魂が悪くなるのは何ういう訳だと伺って見ますと、或るお物識のお講釈に、先ず早く云えば月に雲の掛るようなもので、これな
どは圓朝にも解りますから、成程と云うて感じまして聞きましたが、唯人が何も思わずに居ります時の心は冴えたる月のようなもので、誠に清らかで晴々としている所、煩
悩の雲が掛り、心の月を曇らせますと申すは、向うでヒラ/\と青い札を勘定して居ると、あゝ大層札を持って居るなと思えば、慾張った雲が出て来て、心の月にかゝりま
すと暗くなります、アヽ欲いものだと思うばかりならいゝが、何うかして彼奴を殺して奪りたいと思えばボツリ/\と雨が降って来て真闇になり、又気が附いてあゝ悪い事を
した、斯様な事はふッつりと思うまいと思えば煩悩の雲がすうッと切れますると、光々とした月になります。又向うに駒下駄の音がして赤縮緬
の褌が見えると、助平の雲が出て来る、彼れは何者だろう、お嬢様か娘か、彼れを口説いて見ようか、口説いても肯かないといけないから、何処か淋しい所で押顛がして
やろうかと思えば夕立ちで、ガラ/\/\と雷になる。あゝ悪い事をした、止しましょうと気が付けば元のような良い月夜になる、又向の鰻屋でバタ/\と鰻を焼く音がすると
、あゝ彼れを食いたいものだと思うと、意地の穢い雲が出て来る、それを気が付けば元のようになるが、其の雲の掛らんようにするには智慧という風でなければなりません、雲がか
ゝって来た時、ドッコイと智慧という風で吹散らしてしまうようにしなければいけません「浮雲を払い出でたる秋風を松に残して月を見るかな」という歌があります、これは左様なる事に詠
んだ歌ではない、月の事に就いて詠みました歌でございますが、雲を風で吹払った跡は、松が枝に渡る風の声のみで、光々明々として月を見ている心になれば、年中間違いはなきもの
ゆえ、悟れば善になり迷えば悪になるもので、迷えば可愛い子を棄て、夫を棄てるように相成りますと申すは、前申上げましたっ
0220名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 16:53:37.540
 引続きまする人情噺しは兎角お退屈勝ちの事でございまして、草双紙でも芝居でも善人あり悪人あり、善人が悪人のために困苦をいたし、後に善人栄えて悪人亡び、失
いました宝が出て可愛い同志が夫婦に成るという是れがどの跋でも同じようでございます。善悪二つあるかと云うと一つだと仰しゃいます方がありますが、其の一つは何だ
と云うと無形のもので、とんと形がない、善の魂が悪くなるのは何ういう訳だと伺って見ますと、或るお物識のお講釈に、先ず早く云えば月に雲の掛るようなもので、これな
どは圓朝にも解りますから、成程と云うて感じまして聞きましたが、唯人が何も思わずに居ります時の心は冴えたる月のようなもので、誠に清らかで晴々としている所、煩
悩の雲が掛り、心の月を曇らせますと申すは、向うでヒラ/\と青い札を勘定して居ると、あゝ大層札を持って居るなと思えば、慾張った雲が出て来て、心の月にかゝりま
すと暗くなります、アヽ欲いものだと思うばかりならいゝが、何うかして彼奴を殺して奪りたいと思えばボツリ/\と雨が降って来て真闇になり、又気が附いてあゝ悪い事を
した、斯様な事はふッつりと思うまいと思えば煩悩の雲がすうッと切れますると、光々とした月になります。又向うに駒下駄の音がして赤縮緬
の褌が見えると、助平の雲が出て来る、彼れは何者だろう、お嬢様か娘か、彼れを口説いて見ようか、口説いても肯かないといけないから、何処か淋しい所で押顛がして
やろうかと思えば夕立ちで、ガラ/\/\と雷になる。あゝ悪い事をした、止しましょうと気が付けば元のような良い月夜になる、又向の鰻屋でバタ/\と鰻を焼く音がすると
、あゝ彼れを食いたいものだと思うと、意地の穢い雲が出て来る、それを気が付けば元のようになるが、其の雲の掛らんようにするには智慧という風でなければなりません、雲がか
ゝって来た時、ドッコイと智慧という風で吹散らしてしまうようにしなければいけません「浮雲を払い出でたる秋風を松に残して月を見るかな」という歌があります、これは左様なる事に詠
んだ歌ではない、月の事に就いて詠みました歌でございますが、雲を風で吹払った跡は、松が枝に渡る風の声のみで、光々明々として月を見ている心になれば、年中間違いはなきもの
ゆえ、悟れば善になり迷えば悪になるもので、迷えば可愛い子を棄て、夫を棄てるように相成りますと申
0221名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 17:09:01.850
婆「よすが宜いよ、又五八がそんな事を言わなければ宜いのに、相手は侍
で名主が媒人だというから、間違えが出来るといけねえから往かねえが宜うがんすよ」
太「黙っていろ、羽織を出せ」
 というので、襟巾が三寸五分ある小紋の白ばっくれたような羽織を着ましたが、
前から見ると帯広裸体で居るような姿をして、五八と一緒に憤り切って出掛けて往
きます。此方は今内祝言の盃を取ろうとする所へ太左衞門が物をも言わずに上って来て、
祝言の座敷へドッサリと坐って、これから談判を致しますというお話になります。鳥渡一息つきまして。
 鹽原多助は実に孝行でございますが、人には幸不幸というものがあり、又始めの内に極結
構な身の上で老年に至りて艱難するものもあり、始めに艱難辛苦をして後に安楽な身の上と
なるものがありますが、是は仏説で言う因縁でございまして、こればかりは何ういう事か解りませ
ん、間が好いと好い事ばかりで、間が悪いと悪い事ばかりあるもので、運のいゝ方は顛んだかと思えば札を
拾い、川へ落ちてガバ/\していると金側時計を拾うような事があり、又間が悪いと途中で手水が出たくなって
、あゝ何所かに手水場があれば好いと思うと、幸い三疋立ちの雪隠があるから入ろうとすると、皆な咳払いをして
塞がって居たり、横浜へ往くのに汽車に乗ろうと思って大急ぎで人力車で停車場へ駆付けると、汽車がピイと出
て往ってしまったり、天気が好いと思って合羽を脱いで外へ出れば雨が降って来たり、芸者を買えばブツ/\と憤ってばかりいたり、総て
十分にいかんものでございます。多助のような好い人は神も仏も附添って居るかと思うと、前囘に申上げたような難渋な目に遭い、自分が曳馴れた馬に別れを告げて漸く岩上村へ掛りますと、胡麻の灰道連の小平と
仁助に[#「仁助に」は底本では「仁介に」]会って土足に掛けられ、抜刀を突付けて、さア金を出さなければ
殺すぞと云うので、多助は青くなり、掌を合せ「何卒免しておくんなさい、裸体にでも何にでもなるから」と云うのを耳にもかけず、
小平「仁助、剥いでしまえ」
 と云うので多助の着物を剥ぎますと、着て居るのはぼうた布子で、バッタリと落ちたのは六百文。
仁「兄いほんとに六百しかねえぜ」
小「手前ほんとに六百しかねえのか、縁起が悪いや、夜が明けてしまう、起ろ/\」
0222名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 17:09:14.480
婆「よすが宜いよ、又五八がそんな事を言わなければ宜いのに、相手は侍
で名主が媒人だというから、間違えが出来るといけねえから往かねえが宜うがんすよ」
太「黙っていろ、羽織を出せ」
 というので、襟巾が三寸五分ある小紋の白ばっくれたような羽織を着ましたが、
前から見ると帯広裸体で居るような姿をして、五八と一緒に憤り切って出掛けて往
きます。此方は今内祝言の盃を取ろうとする所へ太左衞門が物をも言わずに上って来て、
祝言の座敷へドッサリと坐って、これから談判を致しますというお話になります。鳥渡一息つきまして。
 鹽原多助は実に孝行でございますが、人には幸不幸というものがあり、又始めの内に極結
構な身の上で老年に至りて艱難するものもあり、始めに艱難辛苦をして後に安楽な身の上と
なるものがありますが、是は仏説で言う因縁でございまして、こればかりは何ういう事か解りませ
ん、間が好いと好い事ばかりで、間が悪いと悪い事ばかりあるもので、運のいゝ方は顛んだかと思えば札を
拾い、川へ落ちてガバ/\していると金側時計を拾うような事があり、又間が悪いと途中で手水が出たくなって
、あゝ何所かに手水場があれば好いと思うと、幸い三疋立ちの雪隠があるから入ろうとすると、皆な咳払いをして
塞がって居たり、横浜へ往くのに汽車に乗ろうと思って大急ぎで人力車で停車場へ駆付けると、汽車がピイと出
て往ってしまったり、天気が好いと思って合羽を脱いで外へ出れば雨が降って来たり、芸者を買えばブツ/\と憤ってばかりいたり、総て
十分にいかんものでございます。多助のような好い人は神も仏も附添って居るかと思うと、前囘に申上げたような難渋な目に遭い、自分が曳馴れた馬に別れを告げて漸く岩上村へ掛りますと、胡麻の灰道連の小平と
仁助に[#「仁助に」は底本では「仁介に」]会って土足に掛けられ、抜刀を突付けて、さア金を出さなければ
殺すぞと云うので、多助は青くなり、掌を合せ「何卒免しておくんなさい、裸体にでも何にでもなるから」と云うのを耳にもかけず、
小平「仁助、剥いでしまえ」
 と云うので多助の着物を剥ぎますと、着て居るのはぼうた布子で、バッタリと落ちたのは六百文。
仁「兄いほんとに六百しかねえぜ」
小「手前ほんとに六百しかねえのか、縁起が悪いや、夜が明けてしまう、起ろ/\」
0223名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 17:10:04.390
太「はい、驚いたかも知んねえが、私も驚いた、何ういう訳でおえいが処へ婿が来るか、私も分家でいて其の訳を知らねえと云う事はねえ
から、何ういう訳で婿を取りやすか、それを承わりたえ、はい」
かめ「実はお知らせ申したいと思って居りましたが、これが表向きの祝儀という訳ではなし、一旦極りを付けてから、お話をしようと思って
居りましたが、婿を取ると申す訳は、先月多助が出てから、女世帯ですから、どうか婿を取りたいと思って居りますと、此処においでの丹
三さんは御病身で、お屋敷奉公は出来ないという処から、お上へ願ってお聞済になり、名主様のお口入れでありまして、年頃もよし、おえ
いは江戸表からの知己でもあり、丁度宜しいから、お武家様から百姓の家へ養子に来て下さるのは有難い事で、誠に斯様な身に取って有難
い事はありませんから、取極めました、実は貴方の所へお話がしたいと思って居りましたが、誠に急な事になりまして、ほんの内祝言をして、後
で貴方の所へお話しようと思っておりましたが、今丁度貴方がお出でなすって下すったから、何うかこれへお坐りなすって下さい」
太「はい、そりゃア承わりたいもんだ、おえいには多助という亭主があるのに、何ういう訳で婿を取りやすえ」

かめ「多助々々と仰しゃいますが、彼は親を捨てゝ家を出るような奴ですから、仮令帰って来ても私の血統だけに世間様へ対して入れられませんから、おえいに婿を取るのは当然です」
太「こりゃア承わりてえ、此の鹽原の家の相続人は多助と定まって居やんすというのは、去年六月晦日の晩に死んだ角右衞門殿の枕元に、
貴方も多助もおえいも五八も私もいたが、角右衞門殿が臨終の際に何にもいう事はねえが、己ア家の相続人は多助と定っている、此度は己
ア死病と定って居るから、一言云わねえければならねえと云うものは、多助にも嫁を取らなければならねい、就ちゃアおえいは多助のために
は従弟なり、おかめの為には多助は甥なりするから、おえいを多助の嫁にして此の家を相続させれば、此のくらい安心な事はねいが、多助は
未だ年がいかねえによって、太左衞門汝え此の家の後見に成って、己が亡え後を頼むと遺言をして、私が媒妁になって、病人の枕元で盃をし
やんした、其の遺言にある通り、多助は一軒の主人だから、そりゃア随分南部の盛岡の方に馬のいゝのが出たとか、又山の売物に安いのでも
0224名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 17:10:11.250
太「はい、驚いたかも知んねえが、私も驚いた、何ういう訳でおえいが処へ婿が来るか、私も分家でいて其の訳を知らねえと云う事はねえ
から、何ういう訳で婿を取りやすか、それを承わりたえ、はい」
かめ「実はお知らせ申したいと思って居りましたが、これが表向きの祝儀という訳ではなし、一旦極りを付けてから、お話をしようと思って
居りましたが、婿を取ると申す訳は、先月多助が出てから、女世帯ですから、どうか婿を取りたいと思って居りますと、此処においでの丹
三さんは御病身で、お屋敷奉公は出来ないという処から、お上へ願ってお聞済になり、名主様のお口入れでありまして、年頃もよし、おえ
いは江戸表からの知己でもあり、丁度宜しいから、お武家様から百姓の家へ養子に来て下さるのは有難い事で、誠に斯様な身に取って有難
い事はありませんから、取極めました、実は貴方の所へお話がしたいと思って居りましたが、誠に急な事になりまして、ほんの内祝言をして、後
で貴方の所へお話しようと思っておりましたが、今丁度貴方がお出でなすって下すったから、何うかこれへお坐りなすって下さい」
太「はい、そりゃア承わりたいもんだ、おえいには多助という亭主があるのに、何ういう訳で婿を取りやすえ」

かめ「多助々々と仰しゃいますが、彼は親を捨てゝ家を出るような奴ですから、仮令帰って来ても私の血統だけに世間様へ対して入れられませんから、おえいに婿を取るのは当然です」
太「こりゃア承わりてえ、此の鹽原の家の相続人は多助と定まって居やんすというのは、去年六月晦日の晩に死んだ角右衞門殿の枕元に、
貴方も多助もおえいも五八も私もいたが、角右衞門殿が臨終の際に何にもいう事はねえが、己ア家の相続人は多助と定っている、此度は己
ア死病と定って居るから、一言云わねえければならねえと云うものは、多助にも嫁を取らなければならねい、就ちゃアおえいは多助のために
は従弟なり、おかめの為には多助は甥なりするから、おえいを多助の嫁にして此の家を相続させれば、此のくらい安心な事はねいが、多助は
未だ年がいかねえによって、太左衞門汝え此の家の後見に成って、己が亡え後を頼むと遺言をして、私が媒妁になって、病人の枕元で盃をし
やんした、其の遺言にある通り、多助は一軒の主人だから、そりゃア随分南部の盛岡の方に馬のいゝのが出たとか、又山の売物に安いのでも
0225名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 17:11:12.590
 と云う、丹三郎が尚お切ろうとすると、太左衞門は厩の方へ逃げて来ましたが、向うは厩、西の方は灰小屋、此方は生垣で路がありませんから、慌てゝ前の方の大豆や小豆などが
干してある所へ来て、莚に躓いて倒れる所を、丹三郎が長刀を揮上げ、一刀に太左衞門を切ろうとする、太左衞門はどうしても遁れる道はありませんが、妙なもので、厩に繋いであ
る青という馬は、多助が家を出る時沼田原の松の木へ繋いで因果を含めた処、多助の云うことに感じて泣いたと云うくらいの名馬でありますから、今太左衞門が丹三郎の一刀の下
に殺されようとする有様を見ると、ボーンと厩から躍出しました。田舎では厩の前にませと云う丸太があります。其のませを馬が鼻先で反ね除けて外へ躍出して、突然後足を揚げて
丹三郎を蹴ましたから、丹三郎は其処へ倒れますと、馬が丹三郎の肩へ噛付きましたから、丹三郎はさも苦しげにヒイと泣声をあげ、七顛八倒の苦しみを致します。これを見ていた
おえいは驚いて、アレーと云いながら逃出しますと、馬は尚更暴れておえいを追掛けて、背後からおえいの髷を囓えて後へ引倒して、花嫁の美くしゅう濃てりとお粉粧をした顔を馬が
モリ/\ッと噛みましたから、これは全く馬が多助の讎を討ったようなものでございます。此の間に太左衞門と五八は表の店へ往って、来合せていた若衆にこれ/\の訳だと話をす
ると、平常悪まれている名主だから、名主も原も打殺してしまえと云うので、是から百姓五六十人が得物々々を持って、鹽原の家を取囲むというお話に相成ります。扨また鹽原多助は
進退こゝに谷まり、已むことを得ず今や昌平橋から身を投げようとする所を後から抱き留められ、
多「何方さまかは知りませんが、何卒放しておくんなせえ、生きて居られねえ深い義理にからまる身の上、何卒死なして下せい」
△「コレサ、それだがの、今聞いて居れば、遠い国から出て来て奉公をするのに、受人がねえから死んでしまうと云うのだろう、死ねば義理ある家が立てられねえとか云ったな」
多「はい、そうでがんす」
男「死んで家が立てられなければ死ぬにゃア及ばねえじゃアないか」
多「それでも斯うやって居れば腹が減って死んでしまいやすから、どうか放して死なして下せえ」
男「だがサア、其の受人がなくって奉公に置いてくれる人が出来れば宜いのだろう」
多「はい/\、こんな乞食のような者を奉公に置い
0226名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 17:11:29.890
 と云う、丹三郎が尚お切ろうとすると、太左衞門は厩の方へ逃げて来ましたが、向うは厩、西の方は灰小屋、此方は生垣で路がありませんから、慌てゝ前の方の大豆や小豆などが
干してある所へ来て、莚に躓いて倒れる所を、丹三郎が長刀を揮上げ、一刀に太左衞門を切ろうとする、太左衞門はどうしても遁れる道はありませんが、妙なもので、厩に繋いであ
る青という馬は、多助が家を出る時沼田原の松の木へ繋いで因果を含めた処、多助の云うことに感じて泣いたと云うくらいの名馬でありますから、今太左衞門が丹三郎の一刀の下
に殺されようとする有様を見ると、ボーンと厩から躍出しました。田舎では厩の前にませと云う丸太があります。其のませを馬が鼻先で反ね除けて外へ躍出して、突然後足を揚げて
丹三郎を蹴ましたから、丹三郎は其処へ倒れますと、馬が丹三郎の肩へ噛付きましたから、丹三郎はさも苦しげにヒイと泣声をあげ、七顛八倒の苦しみを致します。これを見ていた
おえいは驚いて、アレーと云いながら逃出しますと、馬は尚更暴れておえいを追掛けて、背後からおえいの髷を囓えて後へ引倒して、花嫁の美くしゅう濃てりとお粉粧をした顔を馬が
モリ/\ッと噛みましたから、これは全く馬が多助の讎を討ったようなものでございます。此の間に太左衞門と五八は表の店へ往って、来合せていた若衆にこれ/\の訳だと話をす
ると、平常悪まれている名主だから、名主も原も打殺してしまえと云うので、是から百姓五六十人が得物々々を持って、鹽原の家を取囲むというお話に相成ります。扨また鹽原多助は
進退こゝに谷まり、已むことを得ず今や昌平橋から身を投げようとする所を後から抱き留められ、
多「何方さまかは知りませんが、何卒放しておくんなせえ、生きて居られねえ深い義理にからまる身の上、何卒死なして下せい」
△「コレサ、それだがの、今聞いて居れば、遠い国から出て来て奉公をするのに、受人がねえから死んでしまうと云うのだろう、死ねば義理ある家が立てられねえとか云ったな」
多「はい、そうでがんす」
男「死んで家が立てられなければ死ぬにゃア及ばねえじゃアないか」
多「それでも斯うやって居れば腹が減って死んでしまいやすから、どうか放して死なして下せえ」
男「だがサア、其の受人がなくって奉公に置いてくれる人が出来れば宜いのだろう」
多「はい/\、こんな乞食のような者を奉公に置い
0227名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 17:26:56.480
角「黙れ、苟にも殿様のお側近く勤をする鹽原角右衞門、炭屋の下男に知己は持たんわい、成程今を距る事十五ヶ年以前、阿部家を出て
上州東口の小川村に八ヶ年程浪人していた其の折、沼田の下新田に鹽原角右衞門と申する百姓が居り、私と同じ名前の好みを以て、乳
のない所から悴の多助を育てゝくれろと頼まれたゆえ、余儀なく引受け、これなる清の乳を哺まして八歳までは養育したが、もう八歳にもな
ったから返してくれろとの頼みに依り、早速親許へ引渡した時に、其の方の実父角右衞門より長らく忰が御厄介になり、礼の仕方がないか
らと云って、聊かでは有るがと五十金を礼としてくれたればこそ、拙者は其の五十金を持って身支度を整え、借財を払って江戸表へ出てまい
り、御当家へお抱えになり、只今ではお側近くを勤め三百石頂戴致して居るも、沼田下新田の角右衞門殿の恩義ではないか、拙者も其の恩
義を知らんではないが、御当家へお抱えになると間もなくお国詰を仰付けられ、万里の波濤を隔てゝ居れば、都度々々書面も送らんが、又
※(「(來+攵)/心」、第4水準2-12-72)じいに便りを致せば其の多助と云うものが八歳まで育てられた事ゆえ、却って此の方を実の親と心得
違いを致し実父角右衞門殿に不孝な事でも有りはせぬかと存じて、態と心あって便りを致さずにいた、併し十四ヶ年振りで江戸表へ出てまいり

、余り懐かしいから先達て国へ書面を送りし処、角右衞門の分家太左衞門より返事がまいり、披いて見ると、角右衞門殿は一昨年歿し、跡目
相続を致す多助と申すものは昨年家出を致し、跡方は焼失して鹽原角右衞門の家は絶えたという返事に大に驚き、其の返事の如くなれば多助と
申す奴は人でなしと只今も申し居る所であるが、若しや多助と申す者が八歳まで養育されたゆえ、我を実の親と心得て江戸表へまいり、ずう/\
しく来るとも、対面は国の角右衞門殿の位牌に対しても相成ろうと心得おるか、そりゃア若い内の事ゆえ女に溺れるとか、或は酒食に其の身を果し、
路頭に迷い、見る影もない姿となり、うろ/\致しては居ろうかと、朝夕共に此の清と心配致していたが、どうも何とも言い様なき不孝不義の奴、家督
人たる者が親の家を捨てゝ国を立去るとは重々の不届者め、仮令此処へ参ればとて、面会致すような角右衞門と心得居るかえ、目通りはならんから早々出て往け」
つけ、旦那様も私もお前
0228名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 17:27:18.520
角「黙れ、苟にも殿様のお側近く勤をする鹽原角右衞門、炭屋の下男に知己は持たんわい、成程今を距る事十五ヶ年以前、阿部家を出て
上州東口の小川村に八ヶ年程浪人していた其の折、沼田の下新田に鹽原角右衞門と申する百姓が居り、私と同じ名前の好みを以て、乳
のない所から悴の多助を育てゝくれろと頼まれたゆえ、余儀なく引受け、これなる清の乳を哺まして八歳までは養育したが、もう八歳にもな
ったから返してくれろとの頼みに依り、早速親許へ引渡した時に、其の方の実父角右衞門より長らく忰が御厄介になり、礼の仕方がないか
らと云って、聊かでは有るがと五十金を礼としてくれたればこそ、拙者は其の五十金を持って身支度を整え、借財を払って江戸表へ出てまい
り、御当家へお抱えになり、只今ではお側近くを勤め三百石頂戴致して居るも、沼田下新田の角右衞門殿の恩義ではないか、拙者も其の恩
義を知らんではないが、御当家へお抱えになると間もなくお国詰を仰付けられ、万里の波濤を隔てゝ居れば、都度々々書面も送らんが、又
※(「(來+攵)/心」、第4水準2-12-72)じいに便りを致せば其の多助と云うものが八歳まで育てられた事ゆえ、却って此の方を実の親と心得
違いを致し実父角右衞門殿に不孝な事でも有りはせぬかと存じて、態と心あって便りを致さずにいた、併し十四ヶ年振りで江戸表へ出てまいり

、余り懐かしいから先達て国へ書面を送りし処、角右衞門の分家太左衞門より返事がまいり、披いて見ると、角右衞門殿は一昨年歿し、跡目
相続を致す多助と申すものは昨年家出を致し、跡方は焼失して鹽原角右衞門の家は絶えたという返事に大に驚き、其の返事の如くなれば多助と
申す奴は人でなしと只今も申し居る所であるが、若しや多助と申す者が八歳まで養育されたゆえ、我を実の親と心得て江戸表へまいり、ずう/\
しく来るとも、対面は国の角右衞門殿の位牌に対しても相成ろうと心得おるか、そりゃア若い内の事ゆえ女に溺れるとか、或は酒食に其の身を果し、
路頭に迷い、見る影もない姿となり、うろ/\致しては居ろうかと、朝夕共に此の清と心配致していたが、どうも何とも言い様なき不孝不義の奴、家督
人たる者が親の家を捨てゝ国を立去るとは重々の不届者め、仮令此処へ参ればとて、面会致すような角右衞門と心得居るかえ、目通りはならんから早々出て往け」
つけ、旦那様も私もお前
0229名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 17:58:19.530
 と云いましたが、差当り二人の死骸の遣り場がありません所から、右の死骸を藁小屋へ突込みまして、
それから有合した着替の衣類に百五六十両の金を引出して、逃げる支度をしている中に、門前には百姓が一杯黒山のように群り寄り、
大声を揚げて口々に名主も原父子も此処え出ろ、打殺してしまえ、打殺してしまえ。と罵り立てられ、丹治おかめは表へ出る訳にいかない処から、
一計を案じ、彼の藁小屋へ火をかけましたが、藁の事ゆえ忽ち燃え移り、屋根裏へ抜けて母屋へ移り、焔々とばかりに燃出した時には、
火事馴れぬお百姓衆の事ゆえ、大きに驚きまして、丹治の逃げるを追いかける了簡もなく、火を消す方へのみかゝり、ワイ/\騒いでいる中に
、丹治おかめの両人は生垣を破り逃げ出しました。名主も逃げ場を失い、漸くの事で生垣を破って逃出そうとすると、平常小前の者に憎まれて
居りますから、百姓衆は手に/\鋤鍬を執り、名主を殺せ、名主を殺せ。と云うので、到頭無茶苦茶に殺してしまいました。此の事早くも御領主
様へ聞えましたから太左衞門罷出でて、立派な申開きが相立ち、原丹治父子の悪事、おかめの不届の次第が分りましたが、鹽原の家は焼失致し、
それなりに済みまして、太左衞門は鹽原角右衞門の位牌を引取り、線香の煙の絶えんように致しました。此方はおかめ丹治はおえいと丹三郎の死骸
を藁屋に匿し火葬に致しましたが、茅屋ゆえ忽ちに燃え広がり母屋へ移り、残らず類焼する。此の紛れに丹治はおかめの手を取って須川へ出て、それよ
り大戸村へ出て、それより岩本村へかゝり蛇平へ出る。これは上州吾妻郡の四万の山口と申す所へ抜けてまいる間道で、猟人か杣でなければ通らん路でござ
いますが、両人は身の上が怖いから山中を怖いとも思わず、足弱を連れて漸くのことで山口へ参りました。彼の辺へいらっしゃった方は御案内でございますが、温
泉場で、大久保先生が分析遊ばされた所が、上州第一等の温泉であるという事で、今二人は田村と申す家へ宿を取り、身隠れをしている内に、九月の末からチラチ
ラと雪が降出しました。此の辺は翌年の三月あたりでなくては雪が解けず、其の間は往来が出来ませんから幸いの匿れ場所としている内に、因果におかめが懐姙致
しました。三十九歳になって子を設けると云うは物の因果で、原丹治も困ったが、まア/\金を沢山盗んで来たから十分贅沢をして、田村の家に厄介
0230名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 17:58:27.090
 と云いましたが、差当り二人の死骸の遣り場がありません所から、右の死骸を藁小屋へ突込みまして、
それから有合した着替の衣類に百五六十両の金を引出して、逃げる支度をしている中に、門前には百姓が一杯黒山のように群り寄り、
大声を揚げて口々に名主も原父子も此処え出ろ、打殺してしまえ、打殺してしまえ。と罵り立てられ、丹治おかめは表へ出る訳にいかない処から、
一計を案じ、彼の藁小屋へ火をかけましたが、藁の事ゆえ忽ち燃え移り、屋根裏へ抜けて母屋へ移り、焔々とばかりに燃出した時には、
火事馴れぬお百姓衆の事ゆえ、大きに驚きまして、丹治の逃げるを追いかける了簡もなく、火を消す方へのみかゝり、ワイ/\騒いでいる中に
、丹治おかめの両人は生垣を破り逃げ出しました。名主も逃げ場を失い、漸くの事で生垣を破って逃出そうとすると、平常小前の者に憎まれて
居りますから、百姓衆は手に/\鋤鍬を執り、名主を殺せ、名主を殺せ。と云うので、到頭無茶苦茶に殺してしまいました。此の事早くも御領主
様へ聞えましたから太左衞門罷出でて、立派な申開きが相立ち、原丹治父子の悪事、おかめの不届の次第が分りましたが、鹽原の家は焼失致し、
それなりに済みまして、太左衞門は鹽原角右衞門の位牌を引取り、線香の煙の絶えんように致しました。此方はおかめ丹治はおえいと丹三郎の死骸
を藁屋に匿し火葬に致しましたが、茅屋ゆえ忽ちに燃え広がり母屋へ移り、残らず類焼する。此の紛れに丹治はおかめの手を取って須川へ出て、それよ
り大戸村へ出て、それより岩本村へかゝり蛇平へ出る。これは上州吾妻郡の四万の山口と申す所へ抜けてまいる間道で、猟人か杣でなければ通らん路でござ
いますが、両人は身の上が怖いから山中を怖いとも思わず、足弱を連れて漸くのことで山口へ参りました。彼の辺へいらっしゃった方は御案内でございますが、温
泉場で、大久保先生が分析遊ばされた所が、上州第一等の温泉であるという事で、今二人は田村と申す家へ宿を取り、身隠れをしている内に、九月の末からチラチ
ラと雪が降出しました。此の辺は翌年の三月あたりでなくては雪が解けず、其の間は往来が出来ませんから幸いの匿れ場所としている内に、因果におかめが懐姙致
しました。三十九歳になって子を設けると云うは物の因果で、原丹治も困ったが、まア/\金を沢山盗んで来たから十分贅沢をして、田村の家に厄介
0231名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:00:33.770
さて丹治おかめは横堀村の庵室で図らずおかく婆に逢いましたから、丹治は刀を引付け詰め寄りますと、其の権幕に流石の婆も悪党ながら比丘尼に成って居ります事ゆえ、逃げもせず
先非を悔いて恐れ入り、手をつきまして、
かく「お腹の立ちますは重々御尤もでございますが、どうぞ私の申す事を一と通りお聞きください、私も宜い年をして何時までも止まず、親子連れで旅を稼ぎ、悪事の数も仕抜きましたが
、段々と思い返して見ますと、我身ながら恐しく思う処へ、忰小平はお縄を戴き、送られまして、此の七月牢死致しましたから、はアこれも悪い事をした罰と、実に心から洗ったように改心致し、今
まで作った悪事の罪滅しのため頭を剃りまして、毎日托鉢をして歩いて此の村へまいり、慈悲ある人のお世話で此の地蔵堂へ入り、堂守を致し、麦や挽割を戴いて漸々此処に斯うやって居り
毎晩々々地蔵様に向い、若い時分の懺悔を致し、お詫事をして居りまする、此処で又お前さん方にお目にかゝるのも皆な悪事の報い、実に恐ろしい事でございます、南無阿弥陀仏/\/\、どうぞ此の円顱に免じ勘忍してくださいまし」
 と掌を合せ拝むゆえ、丹治も一旦は長刀を引付けたが、又思い返し、
丹「何か貴様は全く改心して尼に成ったのか」
かめ「まアどうもまア彼の小平という悪党は牢死しましたかえ、それからお前も改心しようとは思えないが、本当に改心したのかえ」
かく「誠に面目次第もございませんが、嘘に頭が剃られましょうか、シテあなた方はこれから何所へお出でゝございますか、江戸へいらっしゃいますなら、本街道の中山道口へ出てはい
けませんよ、お尋ねの人相書が※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)って居ますよ」
丹「えゝ人相書が※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)って居るとえ、それは何で」
かく「何だか貴方のお心に聞いて御覧なさいな、私は委しい訳は知りませんが、人相書の次第を聞いて見るに、沼田の下新田の後添のおかめさんが、御領主土岐様の御家来原丹治
という人と悪い事をし、家へ火を放けて逃げたとか云うので、お手先の人相書が※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)って居りますから、中山道へは出られません、雪でも解ける間三月頃まで此処に
匿れていらっしゃれば、些とはほとぼりも冷めましょう、今往くのは危いものでございます」
 と云われて丹治はおかめと顔を見合せ、
0232名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:01:08.030
さて丹治おかめは横堀村の庵室で図らずおかく婆に逢いましたから、丹治は刀を引付け詰め寄りますと、其の権幕に流石の婆も悪党ながら比丘尼に成って居ります事ゆえ、逃げもせず
先非を悔いて恐れ入り、手をつきまして、
かく「お腹の立ちますは重々御尤もでございますが、どうぞ私の申す事を一と通りお聞きください、私も宜い年をして何時までも止まず、親子連れで旅を稼ぎ、悪事の数も仕抜きましたが
、段々と思い返して見ますと、我身ながら恐しく思う処へ、忰小平はお縄を戴き、送られまして、此の七月牢死致しましたから、はアこれも悪い事をした罰と、実に心から洗ったように改心致し、今
まで作った悪事の罪滅しのため頭を剃りまして、毎日托鉢をして歩いて此の村へまいり、慈悲ある人のお世話で此の地蔵堂へ入り、堂守を致し、麦や挽割を戴いて漸々此処に斯うやって居り
毎晩々々地蔵様に向い、若い時分の懺悔を致し、お詫事をして居りまする、此処で又お前さん方にお目にかゝるのも皆な悪事の報い、実に恐ろしい事でございます、南無阿弥陀仏/\/\、どうぞ此の円顱に免じ勘忍してくださいまし」
 と掌を合せ拝むゆえ、丹治も一旦は長刀を引付けたが、又思い返し、
丹「何か貴様は全く改心して尼に成ったのか」
かめ「まアどうもまア彼の小平という悪党は牢死しましたかえ、それからお前も改心しようとは思えないが、本当に改心したのかえ」
かく「誠に面目次第もございませんが、嘘に頭が剃られましょうか、シテあなた方はこれから何所へお出でゝございますか、江戸へいらっしゃいますなら、本街道の中山道口へ出てはい
けませんよ、お尋ねの人相書が※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)って居ますよ」
丹「えゝ人相書が※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)って居るとえ、それは何で」
かく「何だか貴方のお心に聞いて御覧なさいな、私は委しい訳は知りませんが、人相書の次第を聞いて見るに、沼田の下新田の後添のおかめさんが、御領主土岐様の御家来原丹治
という人と悪い事をし、家へ火を放けて逃げたとか云うので、お手先の人相書が※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)って居りますから、中山道へは出られません、雪でも解ける間三月頃まで此処に
匿れていらっしゃれば、些とはほとぼりも冷めましょう、今往くのは危いものでございます」
 と云われて丹治はおかめと顔を見合せ、
0233名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:07:08.190
鹽原多助は計らずも山口屋善右衞門に助けられ、此の家に奉公をいたして居りましたが、多助の行いの実明なのに、主人は素より奉公人一同
が感心致しました。其の多助の気の利くことは、主人の用向ばかりでなく、番頭から小僧から、家へ出入る者一同から、おさんどんにまでも宜
く勤めますが、決しておべっかでするのではなく、信実に致しますので、番頭が肩が張ったと云えば直ぐに後へ※(「廴+囘」、第4水準2-12-11
)って打きます。エヘンと咳払いをすれば直ぐに灰吹を持って往く。風を引いたというと直ぐにお医者を呼んで来る。少し病気が重いと思うと直ぐ
に早桶を買って来る。まさかそんな事もありますまいけれども、多助は少しも隙がありませんで稼ぎますのは、追々金を貯めて国へ帰り、養家
へ恩返しをしようと云うので、後には地面の二十四ヶ所も持つようになりますが、そうなりますには後楯と云うものがなければなりません、商人が
大きくなるには、資本を貸してくれる金主と云う者がなければ大商人にはなれませんものでございますが、茲に下野国安蘇郡飛駒村に吉田八
右衞門という人が、後に多助の荷主に相成りますが、此の人が三十五歳になるまで江戸へ出た事がありませんのは、此の人の親父八左衞門
は六十以上の年でございますが、総て江戸の取引先きの事を致して居りますから、八右衞門は江戸へ出てまいりませんでしたが、親八左衞門
が、不図病気付きましたによって、八右衞門が始めて江戸へ出て参りました。頃は宝暦十二年十二月の十五日、深川八幡の年の市で、其の頃
は繁昌致しましたもので、余り込み合うから八右衞門は田舎者の事ですから恐れまして、高橋を渡って深川元町へ出て、猿子橋の傍に濱田と
いう料理屋があります。其の夜は雪がチラ/\降出し真闇ですから、外に余り大勢の合客はありません様子でありますゆえ、濱田へ上って見

ますと、衝立を立て、彼方にも此方にもお客が居ります。八右衞門が御膳を食べて居りますと、足利に猿田という処があって、其処に早川
藤助という出船宿があります。丁度其の主人が居合せまして、思い掛けないから八右衞門の傍へやって参りまして、
藤「誠に暫くでございました、八右衞門様じゃアございませんかえ」
八「誠にこれは何うも久しぶりで逢いました、藤助どんでがんすか、お尋ねすべいと思ったが、つい無沙汰しましたハア」
藤「能くお出でにな
0234名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:07:22.820
鹽原多助は計らずも山口屋善右衞門に助けられ、此の家に奉公をいたして居りましたが、多助の行いの実明なのに、主人は素より奉公人一同
が感心致しました。其の多助の気の利くことは、主人の用向ばかりでなく、番頭から小僧から、家へ出入る者一同から、おさんどんにまでも宜
く勤めますが、決しておべっかでするのではなく、信実に致しますので、番頭が肩が張ったと云えば直ぐに後へ※(「廴+囘」、第4水準2-12-11
)って打きます。エヘンと咳払いをすれば直ぐに灰吹を持って往く。風を引いたというと直ぐにお医者を呼んで来る。少し病気が重いと思うと直ぐ
に早桶を買って来る。まさかそんな事もありますまいけれども、多助は少しも隙がありませんで稼ぎますのは、追々金を貯めて国へ帰り、養家
へ恩返しをしようと云うので、後には地面の二十四ヶ所も持つようになりますが、そうなりますには後楯と云うものがなければなりません、商人が
大きくなるには、資本を貸してくれる金主と云う者がなければ大商人にはなれませんものでございますが、茲に下野国安蘇郡飛駒村に吉田八
右衞門という人が、後に多助の荷主に相成りますが、此の人が三十五歳になるまで江戸へ出た事がありませんのは、此の人の親父八左衞門
は六十以上の年でございますが、総て江戸の取引先きの事を致して居りますから、八右衞門は江戸へ出てまいりませんでしたが、親八左衞門
が、不図病気付きましたによって、八右衞門が始めて江戸へ出て参りました。頃は宝暦十二年十二月の十五日、深川八幡の年の市で、其の頃
は繁昌致しましたもので、余り込み合うから八右衞門は田舎者の事ですから恐れまして、高橋を渡って深川元町へ出て、猿子橋の傍に濱田と
いう料理屋があります。其の夜は雪がチラ/\降出し真闇ですから、外に余り大勢の合客はありません様子でありますゆえ、濱田へ上って見

ますと、衝立を立て、彼方にも此方にもお客が居ります。八右衞門が御膳を食べて居りますと、足利に猿田という処があって、其処に早川
藤助という出船宿があります。丁度其の主人が居合せまして、思い掛けないから八右衞門の傍へやって参りまして、
藤「誠に暫くでございました、八右衞門様じゃアございませんかえ」
八「誠にこれは何うも久しぶりで逢いました、藤助どんでがんすか、お尋ねすべいと思ったが、つい無沙汰しましたハア」
藤「能くお出でにな
0235名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:09:39.950
 山口屋善右衞門の宅では、道連と綽号をされました胡麻の灰小平が強談に参りましたが、只今では強談騙をする者も悪才に長けて居りまして、


種々巧者になりましたが、其の頃は強談をする者が商人の店先へまいり、サア打き殺せと云ってどっさり坐り込みますと、表へ黒山のように人が立





ちまして外聞が悪いから、余儀なく十か廿の金を持たして帰したものですが、只今ではそういう事は出来ません、直ぐに巡査がまいりまして、ハアこ
りゃア分署へ参れ、なんと申しますから中々出来ませんが、昔は大家程こういう事をされると困ったもので、山口屋善右衞門は宅へ帰って見ると此
の騒ぎですから、直ぐに医者を呼びにやりまして八右衞門を療治して貰い、表から此様な所を視き込まれてはならんからと云うので、奥へ通そうと申

しても小平は何うしても動きませんでしたが、小平も段々考えて見るに、此処で言う事を聞かなければ為に悪いと思いまして、奥の六畳の座敷へ通り
ました。すると主人善右衞門を始め多助も番頭もまいりまして、
善「これは小平さんとか、始めてお目にかゝりましたが、私も今帰ったばかりで委しい事は知りませんが、お前さんは私共の大事な荷主に毒薬を服ま
せ、身体を利かなくして証文を持って騙りをしようと思って店へ来た処が、宅の奉公人の多助がお前を知っていて化の皮が顕われたから突出して呉れ
ろと


云うそうだが、悪党の方には何ういう法があるか知らないが、宅では縄付を出す事は好まない、多助が見顕わしたのは腹も立つだろうが、そんな事

云っても仕様がないから、私が得心の上で廿両上げよう、騙ったと云えばお前の罪も重くなり、私も心持が悪いから此の廿両を持って
帰っておくれ、殊に暮ではあるしするから、これで辛抱しておくんなさい」


小「へい、有難うございやす、これはお初うにお目に懸りました、私ア小平という胡麻の灰でございやす、先刻番頭さんにいう通り、八右衞門という荷主
が山口屋へ為換を取りに往くと云うから、少しでもそう云う事を聞いちゃア打捨っちゃア置けねいから、暴っぽい仕事だが頭で突いて毒を服ませ、生空を
遣って此方の
0236名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:10:10.330
 山口屋善右衞門の宅では、道連と綽号をされました胡麻の灰小平が強談に参りましたが、只今では強談騙をする者も悪才に長けて居りまして、


種々巧者になりましたが、其の頃は強談をする者が商人の店先へまいり、サア打き殺せと云ってどっさり坐り込みますと、表へ黒山のように人が立





ちまして外聞が悪いから、余儀なく十か廿の金を持たして帰したものですが、只今ではそういう事は出来ません、直ぐに巡査がまいりまして、ハアこ
りゃア分署へ参れ、なんと申しますから中々出来ませんが、昔は大家程こういう事をされると困ったもので、山口屋善右衞門は宅へ帰って見ると此
の騒ぎですから、直ぐに医者を呼びにやりまして八右衞門を療治して貰い、表から此様な所を視き込まれてはならんからと云うので、奥へ通そうと申

しても小平は何うしても動きませんでしたが、小平も段々考えて見るに、此処で言う事を聞かなければ為に悪いと思いまして、奥の六畳の座敷へ通り
ました。すると主人善右衞門を始め多助も番頭もまいりまして、
善「これは小平さんとか、始めてお目にかゝりましたが、私も今帰ったばかりで委しい事は知りませんが、お前さんは私共の大事な荷主に毒薬を服ま
せ、身体を利かなくして証文を持って騙りをしようと思って店へ来た処が、宅の奉公人の多助がお前を知っていて化の皮が顕われたから突出して呉れ
ろと


云うそうだが、悪党の方には何ういう法があるか知らないが、宅では縄付を出す事は好まない、多助が見顕わしたのは腹も立つだろうが、そんな事

云っても仕様がないから、私が得心の上で廿両上げよう、騙ったと云えばお前の罪も重くなり、私も心持が悪いから此の廿両を持って
帰っておくれ、殊に暮ではあるしするから、これで辛抱しておくんなさい」


小「へい、有難うございやす、これはお初うにお目に懸りました、私ア小平という胡麻の灰でございやす、先刻番頭さんにいう通り、八右衞門という荷主
が山口屋へ為換を取りに往くと云うから、少しでもそう云う事を聞いちゃア打捨っちゃア置けねいから、暴っぽい仕事だが頭で突いて毒を服ませ、生空を
遣って此方の
0237名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:10:19.350
 山口屋善右衞門の宅では、道連と綽号をされました胡麻の灰小平が強談に参りましたが、只今では強談騙をする者も悪才に長けて居りまして、


種々巧者になりましたが、其の頃は強談をする者が商人の店先へまいり、サア打き殺せと云ってどっさり坐り込みますと、表へ黒山のように人が立





ちまして外聞が悪いから、余儀なく十か廿の金を持たして帰したものですが、只今ではそういう事は出来ません、直ぐに巡査がまいりまして、ハアこ
りゃア分署へ参れ、なんと申しますから中々出来ませんが、昔は大家程こういう事をされると困ったもので、山口屋善右衞門は宅へ帰って見ると此
の騒ぎですから、直ぐに医者を呼びにやりまして八右衞門を療治して貰い、表から此様な所を視き込まれてはならんからと云うので、奥へ通そうと申

しても小平は何うしても動きませんでしたが、小平も段々考えて見るに、此処で言う事を聞かなければ為に悪いと思いまして、奥の六畳の座敷へ通り
ました。すると主人善右衞門を始め多助も番頭もまいりまして、
善「これは小平さんとか、始めてお目にかゝりましたが、私も今帰ったばかりで委しい事は知りませんが、お前さんは私共の大事な荷主に毒薬を服ま
せ、身体を利かなくして証文を持って騙りをしようと思って店へ来た処が、宅の奉公人の多助がお前を知っていて化の皮が顕われたから突出して呉れ
ろと


云うそうだが、悪党の方には何ういう法があるか知らないが、宅では縄付を出す事は好まない、多助が見顕わしたのは腹も立つだろうが、そんな事

云っても仕様がないから、私が得心の上で廿両上げよう、騙ったと云えばお前の罪も重くなり、私も心持が悪いから此の廿両を持って
帰っておくれ、殊に暮ではあるしするから、これで辛抱しておくんなさい」


小「へい、有難うございやす、これはお初うにお目に懸りました、私ア小平という胡麻の灰でございやす、先刻番頭さんにいう通り、八右衞門という荷主
が山口屋へ為換を取りに往くと云うから、少しでもそう云う事を聞いちゃア打捨っちゃア置けねいから、暴っぽい仕事だが頭で突いて毒を服ませ、生空を
遣って此方の
0238名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:11:49.000
多「旦那様、誠に相済みません、貴方に迷惑を掛けますめえと思ってるに、どう云っても聞かねえ、
おい小平、旦那がお慈悲で二十両と云う金を呉れべいというに、それえ聞かねえと云わば仕様がね
えが、これ小平、汝は情ねい人だなア、私から事を起して旦那様に御迷惑をかけては済まねえし、
汝を突出して此の家に難儀の掛るのを見ては居られねえから、己は悪い事をした覚えはねえが、
連れて往くなら勝手にしろ、汝の先へ立って縄にかゝるべえ、殺すなら殺せだが、汝幾ら気を揉ん
で己を殺すべえとしても、人間と云うものは命の尽きねえ中は死ぬ気遣いのねえものだ、寿命が
尽きたら幾ら助かりてえと思ってもだめだ、ハアどんな火の中水の中でも定命の有るうちは死なね
えもんだから、殺すなら殺すともどうとも勝手にしたがいゝ、だがマアよく考えて見ろ、実に悪党と
云うものは人の慈悲も弁えねえと見えて、そんな横っ倒しなア事を云って、此の宅で斯う云えば彼ア云って困らせる
、己ア汝を悪まねえが、其の心根が如何にも不憫だアから一と通りの事をいうだ、汝え此処え八
十両べえの金を強談に来るため、大事の荷主様に毒を服ましてよ、世界の人の身体を利かなくな
るようにして、そうして汝え種々な物を盗み、脇差い差し、風呂敷脊負って脚半を掛け、草鞋穿きにな
って此処へ来て、田舎者の仮声を遣って取った所が只た八十両べえの金、それに引替え己ア旦那様な
どは座蒲団の上に坐って煙管を啣え、はてなアと一つ首を捻り考えると、直に五万や八万の金を儲ける

事を御存じでいらッしゃる、旦那様に比べれば汝が稼ぎは誠に小せえ事で、此処な台所の流しの下より
未だ小せえ、旦那様が悪い奴に二十両の金を呉れべいという心は大したものだ、また汝が取り損なった金は只
た八十両、何とまア余り小せえ稼ぎで気の毒だよ、己ア此処な宅に奉公に来て、今では斯うやって草鞋を造り
草履を直し、大騒ぎいやって小せえ事をして居るが、今に己が大くなれば五万や十万の身代になるべいと思って
御奉公しているに、汝え壮え年して稼ぎ盛りで有りながら、只た八十両べいの金を取り、牢に入って命を落すかと
思えば如何にも気の
0239名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:12:14.280
多「旦那様、誠に相済みません、貴方に迷惑を掛けますめえと思ってるに、どう云っても聞かねえ、
おい小平、旦那がお慈悲で二十両と云う金を呉れべいというに、それえ聞かねえと云わば仕様がね
えが、これ小平、汝は情ねい人だなア、私から事を起して旦那様に御迷惑をかけては済まねえし、
汝を突出して此の家に難儀の掛るのを見ては居られねえから、己は悪い事をした覚えはねえが、
連れて往くなら勝手にしろ、汝の先へ立って縄にかゝるべえ、殺すなら殺せだが、汝幾ら気を揉ん
で己を殺すべえとしても、人間と云うものは命の尽きねえ中は死ぬ気遣いのねえものだ、寿命が
尽きたら幾ら助かりてえと思ってもだめだ、ハアどんな火の中水の中でも定命の有るうちは死なね
えもんだから、殺すなら殺すともどうとも勝手にしたがいゝ、だがマアよく考えて見ろ、実に悪党と
云うものは人の慈悲も弁えねえと見えて、そんな横っ倒しなア事を云って、此の宅で斯う云えば彼ア云って困らせる
、己ア汝を悪まねえが、其の心根が如何にも不憫だアから一と通りの事をいうだ、汝え此処え八
十両べえの金を強談に来るため、大事の荷主様に毒を服ましてよ、世界の人の身体を利かなくな
るようにして、そうして汝え種々な物を盗み、脇差い差し、風呂敷脊負って脚半を掛け、草鞋穿きにな
って此処へ来て、田舎者の仮声を遣って取った所が只た八十両べえの金、それに引替え己ア旦那様な
どは座蒲団の上に坐って煙管を啣え、はてなアと一つ首を捻り考えると、直に五万や八万の金を儲ける

事を御存じでいらッしゃる、旦那様に比べれば汝が稼ぎは誠に小せえ事で、此処な台所の流しの下より
未だ小せえ、旦那様が悪い奴に二十両の金を呉れべいという心は大したものだ、また汝が取り損なった金は只
た八十両、何とまア余り小せえ稼ぎで気の毒だよ、己ア此処な宅に奉公に来て、今では斯うやって草鞋を造り
草履を直し、大騒ぎいやって小せえ事をして居るが、今に己が大くなれば五万や十万の身代になるべいと思って
御奉公しているに、汝え壮え年して稼ぎ盛りで有りながら、只た八十両べいの金を取り、牢に入って命を落すかと
思えば如何にも気の
0240名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:13:48.250
弁護士のアッタスン氏は、いかつい顔をした男で、微笑なぞ決して浮かべたことがなかった。話をする時は冷ややかで、口数も少なく、話下手だった。感情はあまり外に出さなかった。やせていて、背が高く、そっけなく
て、陰気だが、それでいて何となく人好きのするところがあった。気らくな会合などでは、とくに口に合った酒が出たりすると、何かしらとても優しいものが彼の眼から輝いた。実際、それは彼の話の中には決して出て来な
いものであった。が、食後の顔の無言のシンボルであるその眼にあらわれ、また、ふだんの行いの中には、もっとたびたび、もっとはっきり、
あらわれたのであった。彼は自分に対しては厳格で、自分ひとりの時にはジン酒を飲んで、葡萄酒をがまんした。芝居好きなのに、二十年ものあいだ劇場の入口をくぐったこともなかった。しかし他人にはえらく寛大で、
人が元気にまかせて遊びまわるのを、さも羨ましげに、驚嘆することもあった。そして、彼らがどんな窮境に陥っている場合でも、とがめるよりは助けることを好んだ。「わたしはカインの主義*が好きだよ、」と、彼はよくこ
んな妙な言い方をするのだった。「兄弟が自分勝手に落ちぶれてゆくのを見ているだけさ。」こんな工合だから、堕落してゆく人たちには最後まで立派な知人となり、最後までよい感化を与える者となるような立場にたつこ
とは、よくあった。そして、そういう人々に対しても、彼らが彼の事務所へ出入りしている限り、ちっともその態度を変えなかった。
 もちろん、こういう芸当はアッタスン氏にとっては何でもないことであった。というのは、なにしろ感情をあらわさない男だったし、その友人関係でさえも同じような人のよい寛大さに基づいているらしかったので。ただ偶然
にできた出来合いの友人だけで満足しているのは内気な人間の特徴であるが、この弁護士の場合もそうであった。彼の友人といえば、血縁の者か、でなければずうっと永い間の知り合いであった。彼の愛情は、常春藤
のように、時と共に成長したものであって、相手が友人として適当だというわけではなかった。彼の遠縁で、有名な粋人であるリチャード・エンフィールド氏との友情も、むろんそうして出来たものだった。この二人がお互い
0241名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:14:08.760
弁護士のアッタスン氏は、いかつい顔をした男で、微笑なぞ決して浮かべたことがなかった。話をする時は冷ややかで、口数も少なく、話下手だった。感情はあまり外に出さなかった。やせていて、背が高く、そっけなく
て、陰気だが、それでいて何となく人好きのするところがあった。気らくな会合などでは、とくに口に合った酒が出たりすると、何かしらとても優しいものが彼の眼から輝いた。実際、それは彼の話の中には決して出て来な
いものであった。が、食後の顔の無言のシンボルであるその眼にあらわれ、また、ふだんの行いの中には、もっとたびたび、もっとはっきり、
あらわれたのであった。彼は自分に対しては厳格で、自分ひとりの時にはジン酒を飲んで、葡萄酒をがまんした。芝居好きなのに、二十年ものあいだ劇場の入口をくぐったこともなかった。しかし他人にはえらく寛大で、
人が元気にまかせて遊びまわるのを、さも羨ましげに、驚嘆することもあった。そして、彼らがどんな窮境に陥っている場合でも、とがめるよりは助けることを好んだ。「わたしはカインの主義*が好きだよ、」と、彼はよくこ
んな妙な言い方をするのだった。「兄弟が自分勝手に落ちぶれてゆくのを見ているだけさ。」こんな工合だから、堕落してゆく人たちには最後まで立派な知人となり、最後までよい感化を与える者となるような立場にたつこ
とは、よくあった。そして、そういう人々に対しても、彼らが彼の事務所へ出入りしている限り、ちっともその態度を変えなかった。
 もちろん、こういう芸当はアッタスン氏にとっては何でもないことであった。というのは、なにしろ感情をあらわさない男だったし、その友人関係でさえも同じような人のよい寛大さに基づいているらしかったので。ただ偶然
にできた出来合いの友人だけで満足しているのは内気な人間の特徴であるが、この弁護士の場合もそうであった。彼の友人といえば、血縁の者か、でなければずうっと永い間の知り合いであった。彼の愛情は、常春藤
のように、時と共に成長したものであって、相手が友人として適当だというわけではなかった。彼の遠縁で、有名な粋人であるリチャード・エンフィールド氏との友情も、むろんそうして出来たものだった。この二人がお互い
0242名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:14:24.950
弁護士のアッタスン氏は、いかつい顔をした男で、微笑なぞ決して浮かべたことがなかった。話をする時は冷ややかで、口数も少なく、話下手だった。感情はあまり外に出さなかった。やせていて、背が高く、そっけなく
て、陰気だが、それでいて何となく人好きのするところがあった。気らくな会合などでは、とくに口に合った酒が出たりすると、何かしらとても優しいものが彼の眼から輝いた。実際、それは彼の話の中には決して出て来な
いものであった。が、食後の顔の無言のシンボルであるその眼にあらわれ、また、ふだんの行いの中には、もっとたびたび、もっとはっきり、
あらわれたのであった。彼は自分に対しては厳格で、自分ひとりの時にはジン酒を飲んで、葡萄酒をがまんした。芝居好きなのに、二十年ものあいだ劇場の入口をくぐったこともなかった。しかし他人にはえらく寛大で、
人が元気にまかせて遊びまわるのを、さも羨ましげに、驚嘆することもあった。そして、彼らがどんな窮境に陥っている場合でも、とがめるよりは助けることを好んだ。「わたしはカインの主義*が好きだよ、」と、彼はよくこ
んな妙な言い方をするのだった。「兄弟が自分勝手に落ちぶれてゆくのを見ているだけさ。」こんな工合だから、堕落してゆく人たちには最後まで立派な知人となり、最後までよい感化を与える者となるような立場にたつこ
とは、よくあった。そして、そういう人々に対しても、彼らが彼の事務所へ出入りしている限り、ちっともその態度を変えなかった。
 もちろん、こういう芸当はアッタスン氏にとっては何でもないことであった。というのは、なにしろ感情をあらわさない男だったし、その友人関係でさえも同じような人のよい寛大さに基づいているらしかったので。ただ偶然
にできた出来合いの友人だけで満足しているのは内気な人間の特徴であるが、この弁護士の場合もそうであった。彼の友人といえば、血縁の者か、でなければずうっと永い間の知り合いであった。彼の愛情は、常春藤
のように、時と共に成長したものであって、相手が友人として適当だというわけではなかった。彼の遠縁で、有名な粋人であるリチャード・エンフィールド氏との友情も、むろんそうして出来たものだった。この二人がお互い
0243名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:14:35.400
弁護士のアッタスン氏は、いかつい顔をした男で、微笑なぞ決して浮かべたことがなかった。話をする時は冷ややかで、口数も少なく、話下手だった。感情はあまり外に出さなかった。やせていて、背が高く、そっけなく
て、陰気だが、それでいて何となく人好きのするところがあった。気らくな会合などでは、とくに口に合った酒が出たりすると、何かしらとても優しいものが彼の眼から輝いた。実際、それは彼の話の中には決して出て来な
いものであった。が、食後の顔の無言のシンボルであるその眼にあらわれ、また、ふだんの行いの中には、もっとたびたび、もっとはっきり、
あらわれたのであった。彼は自分に対しては厳格で、自分ひとりの時にはジン酒を飲んで、葡萄酒をがまんした。芝居好きなのに、二十年ものあいだ劇場の入口をくぐったこともなかった。しかし他人にはえらく寛大で、
人が元気にまかせて遊びまわるのを、さも羨ましげに、驚嘆することもあった。そして、彼らがどんな窮境に陥っている場合でも、とがめるよりは助けることを好んだ。「わたしはカインの主義*が好きだよ、」と、彼はよくこ
んな妙な言い方をするのだった。「兄弟が自分勝手に落ちぶれてゆくのを見ているだけさ。」こんな工合だから、堕落してゆく人たちには最後まで立派な知人となり、最後までよい感化を与える者となるような立場にたつこ
とは、よくあった。そして、そういう人々に対しても、彼らが彼の事務所へ出入りしている限り、ちっともその態度を変えなかった。
 もちろん、こういう芸当はアッタスン氏にとっては何でもないことであった。というのは、なにしろ感情をあらわさない男だったし、その友人関係でさえも同じような人のよい寛大さに基づいているらしかったので。ただ偶然
にできた出来合いの友人だけで満足しているのは内気な人間の特徴であるが、この弁護士の場合もそうであった。彼の友人といえば、血縁の者か、でなければずうっと永い間の知り合いであった。彼の愛情は、常春藤
のように、時と共に成長したものであって、相手が友人として適当だというわけではなかった。彼の遠縁で、有名な粋人であるリチャード・エンフィールド氏との友情も、むろんそうして出来たものだった。この二人がお互い
0244名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:15:37.700
あの戸口に気がついたことがありますか?」と彼は尋ねた。そして、相手がうなずくと、彼は言い足した、「あの戸口を見ると僕は妙な話を思い出すのです。」
「なるほど!」とアッタスン氏は言ったが、ちょっと声の調子が変っていた。「で、それはどんなことなのかね?」
「ええ、それはこうなんです、」とエンフィールド氏が答えた。「僕はある遠いところから家へ帰る途中でした。暗い冬の朝の三
時頃のことです。その途中は、街灯のほかには全く何一つ見えないところでした。どの通りもどの通りも、人はみんな寝て
いるし、――どの通りもどの通りも、みんな何かの行列を待っているように明りがついていて、そのくせ教会のようにがらん
としているし、――で、とうとう僕は、人がじいっと聴き耳を立てて巡査の姿でも現われればいいと頻りに思い始める、あの
気持になってきました。と突然、二人の人影が見えたのです。一人は小柄な男で、足ばやに東の方へばたばた歩いてゆく
。もう一人は八つか九つくらいの女の子で、十字路を一所懸命に走ってきた。で、その二人は当然かどのところでぶっつか
ってしまいました。するとそのとき恐ろしいことが起こったのですよ。というのは、その男が子供の体を平気で踏みつけて、
子供が地べたで泣き叫んでいるのをそのままにして行ってしまうのです。聞いただけでは何でもないようですが、見ていて
は地獄のようなことでした。それは人間の仕業じゃない。憎らしい鬼か何かのような仕業でした。僕はこら待てっと叫んで、
駆け出して行き、その男の襟をひっ掴んで、元のところまで連れ戻ったのですが、そこには泣き叫んでいる子供の周りにも
う人だかりがしていました。その男はまるで平然としていて何の手向いもしませんでしたが、ただ僕を一目ぎろりと見た眼付き
の気持の悪さときたら、僕は駆足をした時のようにびっしょり汗が出たくらいです。出て来た人たちは女の子の家の者で、間
もなく医者もやって来ました。子供はさっきその医者を呼びに行ったのでしたがね。ところで、医者の話では、子供は大したこ
ともなく、ただおびえたのだということでした。で、あなたはこれでこの話はすんだと思ったかも知れません。ところが一つ妙な
ことがあったのです。僕は例の男を
0245名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:15:48.410
あの戸口に気がついたことがありますか?」と彼は尋ねた。そして、相手がうなずくと、彼は言い足した、「あの戸口を見ると僕は妙な話を思い出すのです。」
「なるほど!」とアッタスン氏は言ったが、ちょっと声の調子が変っていた。「で、それはどんなことなのかね?」
「ええ、それはこうなんです、」とエンフィールド氏が答えた。「僕はある遠いところから家へ帰る途中でした。暗い冬の朝の三
時頃のことです。その途中は、街灯のほかには全く何一つ見えないところでした。どの通りもどの通りも、人はみんな寝て
いるし、――どの通りもどの通りも、みんな何かの行列を待っているように明りがついていて、そのくせ教会のようにがらん
としているし、――で、とうとう僕は、人がじいっと聴き耳を立てて巡査の姿でも現われればいいと頻りに思い始める、あの
気持になってきました。と突然、二人の人影が見えたのです。一人は小柄な男で、足ばやに東の方へばたばた歩いてゆく
。もう一人は八つか九つくらいの女の子で、十字路を一所懸命に走ってきた。で、その二人は当然かどのところでぶっつか
ってしまいました。するとそのとき恐ろしいことが起こったのですよ。というのは、その男が子供の体を平気で踏みつけて、
子供が地べたで泣き叫んでいるのをそのままにして行ってしまうのです。聞いただけでは何でもないようですが、見ていて
は地獄のようなことでした。それは人間の仕業じゃない。憎らしい鬼か何かのような仕業でした。僕はこら待てっと叫んで、
駆け出して行き、その男の襟をひっ掴んで、元のところまで連れ戻ったのですが、そこには泣き叫んでいる子供の周りにも
う人だかりがしていました。その男はまるで平然としていて何の手向いもしませんでしたが、ただ僕を一目ぎろりと見た眼付き
の気持の悪さときたら、僕は駆足をした時のようにびっしょり汗が出たくらいです。出て来た人たちは女の子の家の者で、間
もなく医者もやって来ました。子供はさっきその医者を呼びに行ったのでしたがね。ところで、医者の話では、子供は大したこ
ともなく、ただおびえたのだということでした。で、あなたはこれでこの話はすんだと思ったかも知れません。ところが一つ妙な
ことがあったのです。僕は例の男を
0246名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:15:55.270
あの戸口に気がついたことがありますか?」と彼は尋ねた。そして、相手がうなずくと、彼は言い足した、「あの戸口を見ると僕は妙な話を思い出すのです。」
「なるほど!」とアッタスン氏は言ったが、ちょっと声の調子が変っていた。「で、それはどんなことなのかね?」
「ええ、それはこうなんです、」とエンフィールド氏が答えた。「僕はある遠いところから家へ帰る途中でした。暗い冬の朝の三
時頃のことです。その途中は、街灯のほかには全く何一つ見えないところでした。どの通りもどの通りも、人はみんな寝て
いるし、――どの通りもどの通りも、みんな何かの行列を待っているように明りがついていて、そのくせ教会のようにがらん
としているし、――で、とうとう僕は、人がじいっと聴き耳を立てて巡査の姿でも現われればいいと頻りに思い始める、あの
気持になってきました。と突然、二人の人影が見えたのです。一人は小柄な男で、足ばやに東の方へばたばた歩いてゆく
。もう一人は八つか九つくらいの女の子で、十字路を一所懸命に走ってきた。で、その二人は当然かどのところでぶっつか
ってしまいました。するとそのとき恐ろしいことが起こったのですよ。というのは、その男が子供の体を平気で踏みつけて、
子供が地べたで泣き叫んでいるのをそのままにして行ってしまうのです。聞いただけでは何でもないようですが、見ていて
は地獄のようなことでした。それは人間の仕業じゃない。憎らしい鬼か何かのような仕業でした。僕はこら待てっと叫んで、
駆け出して行き、その男の襟をひっ掴んで、元のところまで連れ戻ったのですが、そこには泣き叫んでいる子供の周りにも
う人だかりがしていました。その男はまるで平然としていて何の手向いもしませんでしたが、ただ僕を一目ぎろりと見た眼付き
の気持の悪さときたら、僕は駆足をした時のようにびっしょり汗が出たくらいです。出て来た人たちは女の子の家の者で、間
もなく医者もやって来ました。子供はさっきその医者を呼びに行ったのでしたがね。ところで、医者の話では、子供は大したこ
ともなく、ただおびえたのだということでした。で、あなたはこれでこの話はすんだと思ったかも知れません。ところが一つ妙な
ことがあったのです。僕は例の男を
0247名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:16:08.120
あの戸口に気がついたことがありますか?」と彼は尋ねた。そして、相手がうなずくと、彼は言い足した、「あの戸口を見ると僕は妙な話を思い出すのです。」
「なるほど!」とアッタスン氏は言ったが、ちょっと声の調子が変っていた。「で、それはどんなことなのかね?」
「ええ、それはこうなんです、」とエンフィールド氏が答えた。「僕はある遠いところから家へ帰る途中でした。暗い冬の朝の三
時頃のことです。その途中は、街灯のほかには全く何一つ見えないところでした。どの通りもどの通りも、人はみんな寝て
いるし、――どの通りもどの通りも、みんな何かの行列を待っているように明りがついていて、そのくせ教会のようにがらん
としているし、――で、とうとう僕は、人がじいっと聴き耳を立てて巡査の姿でも現われればいいと頻りに思い始める、あの
気持になってきました。と突然、二人の人影が見えたのです。一人は小柄な男で、足ばやに東の方へばたばた歩いてゆく
。もう一人は八つか九つくらいの女の子で、十字路を一所懸命に走ってきた。で、その二人は当然かどのところでぶっつか
ってしまいました。するとそのとき恐ろしいことが起こったのですよ。というのは、その男が子供の体を平気で踏みつけて、
子供が地べたで泣き叫んでいるのをそのままにして行ってしまうのです。聞いただけでは何でもないようですが、見ていて
は地獄のようなことでした。それは人間の仕業じゃない。憎らしい鬼か何かのような仕業でした。僕はこら待てっと叫んで、
駆け出して行き、その男の襟をひっ掴んで、元のところまで連れ戻ったのですが、そこには泣き叫んでいる子供の周りにも
う人だかりがしていました。その男はまるで平然としていて何の手向いもしませんでしたが、ただ僕を一目ぎろりと見た眼付き
の気持の悪さときたら、僕は駆足をした時のようにびっしょり汗が出たくらいです。出て来た人たちは女の子の家の者で、間
もなく医者もやって来ました。子供はさっきその医者を呼びに行ったのでしたがね。ところで、医者の話では、子供は大したこ
ともなく、ただおびえたのだということでした。で、あなたはこれでこの話はすんだと思ったかも知れません。ところが一つ妙な
ことがあったのです。僕は例の男を
0248名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:17:09.220
ん当然のことでしょう。だが、僕の驚いたのは医者の場合だったのです。その男は世間なみの平凡な医者で、特に年寄りでも若者

でもなく、特別の変った様子もしてもいず、ひどいエディンバラ訛りがあって、嚢笛のように鈍感な男でした。それがねえ、その男も
やはり僕たちほかの者みんなと同じなんです。僕のつかまえている男を見るたびに、そのお医者はそいつを殺してでもやりたい気

持になって胸がむかむかして真っ蒼になるのが、僕にはわかったのです。僕が心の中で思っていることが医者にわかったように、
医者が心の中で思っていることも僕にはわかりました。でも、殺すなんてできることじゃなし、我々はその次のできるだけのことをし

てやりました。我々はその男に言ってやったのです。我々はその事を世間に公表して、君の名前がロンドンの端から端までも鼻つ
まみになるようにしてやることができるし、またそうしてやるつもりだ。もし君に友人なり信用なりがあるなら、我々は必ずそれをなくさ
せてやる、とね。そして、我々は猛烈にまくし立てている間じゅう、女たちをできるだけそいつに寄せつけないようにしていました。何し
ろ女たちは夜叉みたいに猛り立っていたのでね。あんなに憎らしそうな顔の集まっているのを僕は今までに一度も見たことがありま

せん。しかも、あいつはその真ん中に突っ立って、むっとした、せせら笑うような冷ややかな態度をして、――びくついてもいることは

にはわかったが、――しかし、ねえ、全くサタンのように平気で押し通しているんですよ。奴はこう言ったものです。『もし君たちが
この事を利用しようというのなら、もちろん僕はどうにも仕方がない。紳士なら誰だっていざこざは避けたいのだからね、』とね。『金

額を言い給え、』と奴は言いました。で、我々は子供の家の者のために奴から百ポンドせびり取ることにしました。奴は明らかにいや
だと頑張りたかったらしいのですが、我々みんなの様子には何となく危害でも加えそうな気勢があったので、とうとう折れてでました。次
はその金を受け取ることですが、奴がどこへ我々を連れて行ったと思います? なんと、それがあの戸口のところなんですよ。――
鍵をすっと取り出して、中へ入り、やがて、金貨でかれこれ十ポンドばかりと、残額をクーツ銀行宛の小切手にし
0249名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:17:20.270
ん当然のことでしょう。だが、僕の驚いたのは医者の場合だったのです。その男は世間なみの平凡な医者で、特に年寄りでも若者

でもなく、特別の変った様子もしてもいず、ひどいエディンバラ訛りがあって、嚢笛のように鈍感な男でした。それがねえ、その男も
やはり僕たちほかの者みんなと同じなんです。僕のつかまえている男を見るたびに、そのお医者はそいつを殺してでもやりたい気

持になって胸がむかむかして真っ蒼になるのが、僕にはわかったのです。僕が心の中で思っていることが医者にわかったように、
医者が心の中で思っていることも僕にはわかりました。でも、殺すなんてできることじゃなし、我々はその次のできるだけのことをし

てやりました。我々はその男に言ってやったのです。我々はその事を世間に公表して、君の名前がロンドンの端から端までも鼻つ
まみになるようにしてやることができるし、またそうしてやるつもりだ。もし君に友人なり信用なりがあるなら、我々は必ずそれをなくさ
せてやる、とね。そして、我々は猛烈にまくし立てている間じゅう、女たちをできるだけそいつに寄せつけないようにしていました。何し
ろ女たちは夜叉みたいに猛り立っていたのでね。あんなに憎らしそうな顔の集まっているのを僕は今までに一度も見たことがありま

せん。しかも、あいつはその真ん中に突っ立って、むっとした、せせら笑うような冷ややかな態度をして、――びくついてもいることは

にはわかったが、――しかし、ねえ、全くサタンのように平気で押し通しているんですよ。奴はこう言ったものです。『もし君たちが
この事を利用しようというのなら、もちろん僕はどうにも仕方がない。紳士なら誰だっていざこざは避けたいのだからね、』とね。『金

額を言い給え、』と奴は言いました。で、我々は子供の家の者のために奴から百ポンドせびり取ることにしました。奴は明らかにいや
だと頑張りたかったらしいのですが、我々みんなの様子には何となく危害でも加えそうな気勢があったので、とうとう折れてでました。次
はその金を受け取ることですが、奴がどこへ我々を連れて行ったと思います? なんと、それがあの戸口のところなんですよ。――
鍵をすっと取り出して、中へ入り、やがて、金貨でかれこれ十ポンドばかりと、残額
0250名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:17:35.400
ん当然のことでしょう。だが、僕の驚いたのは医者の場合だったのです。その男は世間なみの平凡な医者で、特に年寄りでも若者

でもなく、特別の変った様子もしてもいず、ひどいエディンバラ訛りがあって、嚢笛のように鈍感な男でした。それがねえ、その男も
やはり僕たちほかの者みんなと同じなんです。僕のつかまえている男を見るたびに、そのお医者はそいつを殺してでもやりたい気

持になって胸がむかむかして真っ蒼になるのが、僕にはわかったのです。僕が心の中で思っていることが医者にわかったように、
医者が心の中で思っていることも僕にはわかりました。でも、殺すなんてできることじゃなし、我々はその次のできるだけのことをし

てやりました。我々はその男に言ってやったのです。我々はその事を世間に公表して、君の名前がロンドンの端から端までも鼻つ
まみになるようにしてやることができるし、またそうしてやるつもりだ。もし君に友人なり信用なりがあるなら、我々は必ずそれをなくさ
せてやる、とね。そして、我々は猛烈にまくし立てている間じゅう、女たちをできるだけそいつに寄せつけないようにしていました。何し
ろ女たちは夜叉みたいに猛り立っていたのでね。あんなに憎らしそうな顔の集まっているのを僕は今までに一度も見たことがありま

せん。しかも、あいつはその真ん中に突っ立って、むっとした、せせら笑うような冷ややかな態度をして、――びくついてもいることは

にはわかったが、――しかし、ねえ、全くサタンのように平気で押し通しているんですよ。奴はこう言ったものです。『もし君たちが
この事を利用しようというのなら、もちろん僕はどうにも仕方がない。紳士なら誰だっていざこざは避けたいのだからね、』とね。『金

額を言い給え、』と奴は言いました。で、我々は子供の家の者のために奴から百ポンドせびり取ることにしました。奴は明らかにいや
だと頑張りたかったらしいのですが、我々みんなの様子には何となく危害でも加えそうな気勢があったので、とうとう折れてでました。次
はその金を受け取ることですが、奴がどこへ我々を連れて行ったと思います? なんと、それがあの戸口のところなんですよ。――
鍵をすっと取り出して、中へ入り、やがて、金貨でかれこれ十ポンドばかりと、残額
0251名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:17:51.200
ん当然のことでしょう。だが、僕の驚いたのは医者の場合だったのです。その男は世間なみの平凡な医者で、特に年寄りでも若者

でもなく、特別の変った様子もしてもいず、ひどいエディンバラ訛りがあって、嚢笛のように鈍感な男でした。それがねえ、その男も
やはり僕たちほかの者みんなと同じなんです。僕のつかまえている男を見るたびに、そのお医者はそいつを殺してでもやりたい気

持になって胸がむかむかして真っ蒼になるのが、僕にはわかったのです。僕が心の中で思っていることが医者にわかったように、
医者が心の中で思っていることも僕にはわかりました。でも、殺すなんてできることじゃなし、我々はその次のできるだけのことをし

てやりました。我々はその男に言ってやったのです。我々はその事を世間に公表して、君の名前がロンドンの端から端までも鼻つ
まみになるようにしてやることができるし、またそうしてやるつもりだ。もし君に友人なり信用なりがあるなら、我々は必ずそれをなくさ
せてやる、とね。そして、我々は猛烈にまくし立てている間じゅう、女たちをできるだけそいつに寄せつけないようにしていました。何し
ろ女たちは夜叉みたいに猛り立っていたのでね。あんなに憎らしそうな顔の集まっているのを僕は今までに一度も見たことがありま

せん。しかも、あいつはその真ん中に突っ立って、むっとした、せせら笑うような冷ややかな態度をして、――びくついてもいることは

にはわかったが、――しかし、ねえ、全くサタンのように平気で押し通しているんですよ。奴はこう言ったものです。『もし君たちが
この事を利用しようというのなら、もちろん僕はどうにも仕方がない。紳士なら誰だっていざこざは避けたいのだからね、』とね。『金

額を言い給え、』と奴は言いました。で、我々は子供の家の者のために奴から百ポンドせびり取ることにしました。奴は明らかにいや
だと頑張りたかったらしいのですが、我々みんなの様子には何となく危害でも加えそうな気勢があったので、とうとう折れてでました。次
はその金を受け取ることですが、奴がどこへ我々を連れて行ったと思います? なんと、それがあの戸口のところなんですよ。――
鍵をすっと取り出して、中へ入り、やがて、金貨でかれこれ十ポンドばかりと、残額
0252名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:19:42.620
たのとを持って出て来たんです。その小切手は持参人払いに振出したもので、ある名前が署名してありました。そ
の名前がこの話の要点の一つなんですが、その名前は言えません。が、それはともかく世間によく知られていて
、新聞なぞにもよくでる名前なんです。金額は大したものです。が、その署名は、それが偽筆でさえなければ、そ
れ以上の額だって支払うことのできるものでした。僕はその男にずけずけといってやりました。どうも何もかも疑わ
しいようだ。まともな世間じゃあ、朝の四時なんて時刻に穴蔵みたいなところへ入って行って、百ポンドにも近い大

金を他人の小切手で持って出て来る者なんてないよ、とね。けれどもそいつは全く平気の平ざでせせら笑っているのです。『安心し給
え。僕は銀行が開くまで君たちと一緒にいて、その小切手を自分で現金に替えてやるから、』と言うのです。そこで我々はみんなで出
かけました。医者と、子供の父親と、そいつと、僕とですね。そして僕の部屋で夜明けまで過ごし、翌日、朝食をすますと、連れ立って
銀行へ行きました。僕は自分で例のB僕は自分で例の小切手を差出して、どうもこれは偽造だと思うが、と言ったのです。ところがそんなことはちっともないのさ。その小切手は本物だったのです。」
「ちぇっ!」とアッタスン氏が言った。
「あなたも僕と同感なんですね、」とエンフィールド氏が言った。「そうですよ、ひどい話です。何しろそいつは誰一人として相手にならな
いような奴で、実に憎らしい男なんですからね。それから、その小切手を振出した人というのは紳士の典型とも言ってもいい人だし、そ
れに有名でもあるし、しかももっと困ったことには、いわゆる慈善家連中の一人なんです。これはきっと、ゆすりでしょうね。立派な人間
が若い時の道楽か何かを種にされて目の玉の飛び出るほどの額をねだり取られているのでしょうよ。だから、ゆすりの家と僕はあの家
のことを言っているのです。でも、それだけではとてもすべてを説明したことになんかなりはしないんですがねえ、」と彼は言い足した。そしてそう言い終ると物思いに沈んでしまった。
 と、その物思いから、彼はアッタスン氏のだしぬけの質問で呼びさまされた。「で君は、小切手の振出人がそこに住んでいるかどうか
は知らないんだね?」
0253名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:19:47.350
たのとを持って出て来たんです。その小切手は持参人払いに振出したもので、ある名前が署名してありました。そ
の名前がこの話の要点の一つなんですが、その名前は言えません。が、それはともかく世間によく知られていて
、新聞なぞにもよくでる名前なんです。金額は大したものです。が、その署名は、それが偽筆でさえなければ、そ
れ以上の額だって支払うことのできるものでした。僕はその男にずけずけといってやりました。どうも何もかも疑わ
しいようだ。まともな世間じゃあ、朝の四時なんて時刻に穴蔵みたいなところへ入って行って、百ポンドにも近い大

金を他人の小切手で持って出て来る者なんてないよ、とね。けれどもそいつは全く平気の平ざでせせら笑っているのです。『安心し給
え。僕は銀行が開くまで君たちと一緒にいて、その小切手を自分で現金に替えてやるから、』と言うのです。そこで我々はみんなで出
かけました。医者と、子供の父親と、そいつと、僕とですね。そして僕の部屋で夜明けまで過ごし、翌日、朝食をすますと、連れ立って
銀行へ行きました。僕は自分で例の小切手を差出して、どうもこれは偽造だと思うが、と言ったのです。ところがそんなことはちっともないのさ。その小切手は本物だったのです。」
「ちぇっ!」とアッタスン氏が言った。
「あなたも僕と同感なんですね、」とエンフィールド氏が言った。「そうですよ、ひどい話です。何しろそいつは誰一人として相手にならな
いような奴で、実に憎らしい男なんですからね。それから、その小切手を振出した人というのは紳士の典型とも言ってもいい人だし、そ
れに有名でもあるし、しかももっと困ったことには、いわゆる慈善家連中の一人なんです。これはきっと、ゆすりでしょうね。立派な人間
が若い時の道楽か何かを種にされて目の玉の飛び出るほどの額をねだり取られているのでしょうよ。だから、ゆすりの家と僕はあの家
のことを言っているのです。でも、それだけではとてもすべてを説明したことになんかなりはしないんですがねえ、」と彼は言い足した。そしてそう言い終ると物思いに沈んでしまった。
 と、その物思いから、彼はアッタスン氏のだしぬけの質問で呼びさまされた。「で君は、小切手の振出人がそこに住んでいるかどうか
は知らないんだね?」
0254名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:19:56.670
たのとを持って出て来たんです。その小切手は持参人払いに振出したもので、ある名前が署名してありました。そ
の名前がこの話の要点の一つなんですが、その名前は言えません。が、それはともかく世間によく知られていて
、新聞なぞにもよくでる名前なんです。金額は大したものです。が、その署名は、それが偽筆でさえなければ、そ
れ以上の額だって支払うことのできるものでした。僕はその男にずけずけといってやりました。どうも何もかも疑わ
しいようだ。まともな世間じゃあ、朝の四時なんて時刻に穴蔵みたいなところへ入って行って、百ポンドにも近い大

金を他人の小切手で持って出て来る者なんてないよ、とね。けれどもそいつは全く平気の平ざでせせら笑っているのです。『安心し給
え。僕は銀行が開くまで君たちと一緒にいて、その小切手を自分で現金に替えてやるから、』と言うのです。そこで我々はみんなで出
かけました。医者と、子供の父親と、そいつと、僕とですね。そして僕の部屋で夜明けまで過ごし、翌日、朝食をすますと、連れ立って
銀行へ行きました。僕は自分で例の小切手を差出して、どうもこれは偽造だと思うが、と言ったのです。ところがそんなことはちっともないのさ。その小切手は本物だったのです。」
「ちぇっ!」とアッタスン氏が言った。
「あなたも僕と同感なんですね、」とエンフィールド氏が言った。「そうですよ、ひどい話です。何しろそいつは誰一人として相手にならな
いような奴で、実に憎らしい男なんですからね。それから、その小切手を振出した人というのは紳士の典型とも言ってもいい人だし、そ
れに有名でもあるし、しかももっと困ったことには、いわゆる慈善家連中の一人なんです。これはきっと、ゆすりでしょうね。立派な人間
が若い時の道楽か何かを種にされて目の玉の飛び出るほどの額をねだり取られているのでしょうよ。だから、ゆすりの家と僕はあの家
のことを言っているのです。でも、それだけではとてもすべてを説明したことになんかなりはしないんですがねえ、」と彼は言い足した。そしてそう言い終ると物思いに沈んでしまった。
 と、その物思いから、彼はアッタスン氏のだしぬけの質問で呼びさまされた。「で君は、小切手の振出人がそこに住んでいるかどうか
は知らないんだね?」
0255名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:20:03.120
たのとを持って出て来たんです。その小切手は持参人払いに振出したもので、ある名前が署名してありました。そ
の名前がこの話の要点の一つなんですが、その名前は言えません。が、それはともかく世間によく知られていて
、新聞なぞにもよくでる名前なんです。金額は大したものです。が、その署名は、それが偽筆でさえなければ、そ
れ以上の額だって支払うことのできるものでした。僕はその男にずけずけといってやりました。どうも何もかも疑わ
しいようだ。まともな世間じゃあ、朝の四時なんて時刻に穴蔵みたいなところへ入って行って、百ポンドにも近い大

金を他人の小切手で持って出て来る者なんてないよ、とね。けれどもそいつは全く平気の平ざでせせら笑っているのです。『安心し給
え。僕は銀行が開くまで君たちと一緒にいて、その小切手を自分で現金に替えてやるから、』と言うのです。そこで我々はみんなで出
かけました。医者と、子供の父親と、そいつと、僕とですね。そして僕の部屋で夜明けまで過ごし、翌日、朝食をすますと、連れ立って
銀行へ行きました。僕は自分で例の小切手を差出して、どうもこれは偽造だと思うが、と言ったのです。ところがそんなことはちっともないのさ。その小切手は本物だったのです。」
「ちぇっ!」とアッタスン氏が言った。
「あなたも僕と同感なんですね、」とエンフィールド氏が言った。「そうですよ、ひどい話です。何しろそいつは誰一人として相手にならな
いような奴で、実に憎らしい男なんですからね。それから、その小切手を振出した人というのは紳士の典型とも言ってもいい人だし、そ
れに有名でもあるし、しかももっと困ったことには、いわゆる慈善家連中の一人なんです。これはきっと、ゆすりでしょうね。立派な人間
が若い時の道楽か何かを種にされて目の玉の飛び出るほどの額をねだり取られているのでしょうよ。だから、ゆすりの家と僕はあの家
のことを言っているのです。でも、それだけではとてもすべてを説明したことになんかなりはしないんですがねえ、」と彼は言い足した。そしてそう言い終ると物思いに沈んでしまった。
 と、その物思いから、彼はアッタスン氏のだしぬけの質問で呼びさまされた。「で君は、小切手の振出人がそこに住んでいるかどうか
は知らないんだね?」
0256名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:21:11.220
士の典型とも言ってもいい人だし、それに有名でもあるし、しかももっと困ったことには、いわゆる慈善家連中の一人なんです。
これはきっと、ゆすりでしょうね。立派な人間が若い時の道楽か何かを種にされて目の玉の飛び出るほどの額をねだり取られているのでしょうよ。
だから、ゆすりの家と僕はあの家のことを言っているのです。でも、それだけではとてもすべてを説明したことになんかなりはしないんですがねえ
、」と彼は言い足した。そしてそう言い終ると物思いに沈んでしまった。
 と、その物思いから、彼はアッタスン氏のだしぬけの質問で呼びさまされた。「で君は、小切手の振出人がそこに住んでいるかどうかは知らないんだね?」
「いそうなところじゃないですか?」とエンフィールド氏は答えた。「しかし、僕は偶然その人の住所を心に留めておきました。その人は何とかいう広辻に住んでいるのです。」
「で君は、人に尋ねてみたことがないのだね――その戸口の家のことを?」とアッタスン氏が言った。
「ええ、ありませんよ。ちょっと遠慮したんです、」という返事だった。「もともと僕は人のことを詮索するのが嫌いなんです。そういうことは何
だか最後の審判みたいでね。何か詮索を始めるとしますね。それは石を転がすようなものですよ。こちらは丘の頂上にじっと坐っている。
すると石の方はどんどん転がって行って、ほかの石を幾つも転がす。そして、まるで思いもよらぬどこかの人のよいお爺さんが自分のと
この裏庭で石に頭を打たれて死に、そのためにその家族の者は名前を変えなければならなくなったりしますからね。いいや、僕はね、これ
を自分の主義にしているのですよ。物事が変に思われれば思われるだけ、それだけ益々詮索しない、というのをね。」
「それはなかなかよい主義だ、」と弁護士が言った。
「だが僕は自分だけであの場所を調べてみました、」とエンフィールド氏が言い続けた。「どうもあすこは人の住んでいる家とはとても思えま
せんね。ほかに戸口はなし、あの戸口へも、例の事件の男が極くたまに出入りするほかは、誰一人として出入りする者がないのです。路地
側の二階には窓が三つあるが、階下には一つもない。窓はいつも閉めてあるが、しかし奇麗になっています。それから、煙突が
0257名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:21:22.300
士の典型とも言ってもいい人だし、それに有名でもあるし、しかももっと困ったことには、いわゆる慈善家連中の一人なんです。
これはきっと、ゆすりでしょうね。立派な人間が若い時の道楽か何かを種にされて目の玉の飛び出るほどの額をねだり取られているのでしょうよ。
だから、ゆすりの家と僕はあの家のことを言っているのです。でも、それだけではとてもすべてを説明したことになんかなりはしないんですがねえ
、」と彼は言い足した。そしてそう言い終ると物思いに沈んでしまった。
 と、その物思いから、彼はアッタスン氏のだしぬけの質問で呼びさまされた。「で君は、小切手の振出人がそこに住んでいるかどうかは知らないんだね?」
「いそうなところじゃないですか?」とエンフィールド氏は答えた。「しかし、僕は偶然その人の住所を心に留めておきました。その人は何とかいう広辻に住んでいるのです。」
「で君は、人に尋ねてみたことがないのだね――その戸口の家のことを?」とアッタスン氏が言った。
「ええ、ありませんよ。ちょっと遠慮したんです、」という返事だった。「もともと僕は人のことを詮索するのが嫌いなんです。そういうことは何
だか最後の審判みたいでね。何か詮索を始めるとしますね。それは石を転がすようなものですよ。こちらは丘の頂上にじっと坐っている。
すると石の方はどんどん転がって行って、ほかの石を幾つも転がす。そして、まるで思いもよらぬどこかの人のよいお爺さんが自分のと
この裏庭で石に頭を打たれて死に、そのためにその家族の者は名前を変えなければならなくなったりしますからね。いいや、僕はね、これ
を自分の主義にしているのですよ。物事が変に思われれば思われるだけ、それだけ益々詮索しない、というのをね。」
「それはなかなかよい主義だ、」と弁護士が言った。
「だが僕は自分だけであの場所を調べてみました、」とエンフィールド氏が言い続けた。「どうもあすこは人の住んでいる家とはとても思えま
せんね。ほかに戸口はなし、あの戸口へも、例の事件の男が極くたまに出入りするほかは、誰一人として出入りする者がないのです。路地
側の二階には窓が三つあるが、階下には一つもない。窓はいつも閉めてあるが、しかし奇麗になっています。それから、煙突が
0258名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:21:53.830
士の典型とも言ってもいい人だし、それに有名でもあるし、しかももっと困ったことには、いわゆる慈善家連中の一人なんです。
これはきっと、ゆすりでしょうね。立派な人間が若い時の道楽か何かを種にされて目の玉の飛び出るほどの額をねだり取られているのでしょうよ。
だから、ゆすりの家と僕はあの家のことを言っているのです。でも、それだけではとてもすべてを説明したことになんかなりはしないんですがねえ
、」と彼は言い足した。そしてそう言い終ると物思いに沈んでしまった。
 と、その物思いから、彼はアッタスン氏のだしぬけの質問で呼びさまされた。「で君は、小切手の振出人がそこに住んでいるかどうかは知らないんだね?」
「いそうなところじゃないですか?」とエンフィールド氏は答えた。「しかし、僕は偶然その人の住所を心に留めておきました。その人は何とかいう広辻に住んでいるのです。」
「で君は、人に尋ねてみたことがないのだね――その戸口の家のことを?」とアッタスン氏が言った。
「ええ、ありませんよ。ちょっと遠慮したんです、」という返事だった。「もともと僕は人のことを詮索するのが嫌いなんです。そういうことは何
だか最後の審判みたいでね。何か詮索を始めるとしますね。それは石を転がすようなものですよ。こちらは丘の頂上にじっと坐っている。
すると石の方はどんどん転がって行って、ほかの石を幾つも転がす。そして、まるで思いもよらぬどこかの人のよいお爺さんが自分のと
この裏庭で石に頭を打たれて死に、そのためにその家族の者は名前を変えなければならなくなったりしますからね。いいや、僕はね、これ
を自分の主義にしているのですよ。物事が変に思われれば思われるだけ、それだけ益々詮索しない、というのをね。」
「それはなかなかよい主義だ、」と弁護士が言った。
「だが僕は自分だけであの場所を調べてみました、」とエンフィールド氏が言い続けた。「どうもあすこは人の住んでいる家とはとても思えま
せんね。ほかに戸口はなし、あの戸口へも、例の事件の男が極くたまに出入りするほかは、誰一人として出入りする者がないのです。路地
側の二階には窓が三つあるが、階下には一つもない。窓はいつも閉めてあるが、しかし奇麗になっています。それから、煙突が
0259名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:22:08.260
士の典型とも言ってもいい人だし、それに有名でもあるし、しかももっと困ったことには、いわゆる慈善家連中の一人なんです。
これはきっと、ゆすりでしょうね。立派な人間が若い時の道楽か何かを種にされて目の玉の飛び出るほどの額をねだり取られているのでしょうよ。
だから、ゆすりの家と僕はあの家のことを言っているのです。でも、それだけではとてもすべてを説明したことになんかなりはしないんですがねえ
、」と彼は言い足した。そしてそう言い終ると物思いに沈んでしまった。
 と、その物思いから、彼はアッタスン氏のだしぬけの質問で呼びさまされた。「で君は、小切手の振出人がそこに住んでいるかどうかは知らないんだね?」
「いそうなところじゃないですか?」とエンフィールド氏は答えた。「しかし、僕は偶然その人の住所を心に留めておきました。その人は何とかいう広辻に住んでいるのです。」
「で君は、人に尋ねてみたことがないのだね――その戸口の家のことを?」とアッタスン氏が言った。
「ええ、ありませんよ。ちょっと遠慮したんです、」という返事だった。「もともと僕は人のことを詮索するのが嫌いなんです。そういうことは何
だか最後の審判みたいでね。何か詮索を始めるとしますね。それは石を転がすようなものですよ。こちらは丘の頂上にじっと坐っている。
すると石の方はどんどん転がって行って、ほかの石を幾つも転がす。そして、まるで思いもよらぬどこかの人のよいお爺さんが自分のと
この裏庭で石に頭を打たれて死に、そのためにその家族の者は名前を変えなければならなくなったりしますからね。いいや、僕はね、これ
を自分の主義にしているのですよ。物事が変に思われれば思われるだけ、それだけ益々詮索しない、というのをね。」
「それはなかなかよい主義だ、」と弁護士が言った。
「だが僕は自分だけであの場所を調べてみました、」とエンフィールド氏が言い続けた。「どうもあすこは人の住んでいる家とはとても思えま
せんね。ほかに戸口はなし、あの戸口へも、例の事件の男が極くたまに出入りするほかは、誰一人として出入りする者がないのです。路地
側の二階には窓が三つあるが、階下には一つもない。窓はいつも閉めてあるが、しかし奇麗になっています。それから、煙突が
0260名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:23:39.510
すこに住んでいるには違いありません。でもそれも大して確かなことじゃあないんです。何しろあの路地のあたりは建物がぎっしり建て込んでいて、どこが家の区切かよくわからないんですから。」
 二人はまた暫くは黙ったまま歩いていった。それから「エンフィールド君、」とアッタスン氏が言った。「君のその主義はよい主義だよ。」
「ええ、僕もそう思っています、」とエンフィールドが答えた。
「が、それにしても、」と弁護士は言葉を続けた。「ききたいことが一つある。わたしは子供を踏みつけたその男の名前をききたいのだが。」
「そうですね、」とエンフィールド氏が言った。「それは言っても別に差支えないでしょうね。そいつはハイドという名前でしたよ。」
「ふむ、」とアッタスン氏が言った。「その男は見たところどんなような男かね?」
「そいつの人相を言うのはたやすくないですよ。その様子にはどこか変なところがありましてね。何だか不愉快な、何だかとても憎
らしいところが。僕はこれまでにあんなにいやな人間を見たことがありませんが、それでいてそれがなぜかよくわからないのです
。あの男はどこか不具に違いない。不具という感じを強く人に与えるのです。もっとも、どこがそうかということは僕にもはっきり言
えませんがね。とても異様な顔付きでしたが、それでいて何一つ並はずれなところを挙げることも実際できないのです。いやまっ
たく、僕にはとても説明がつかない。僕にはあの男の人相を言えません。といって覚えていない訳じゃあないのですよ。なぜってこの今でも僕はあの男を思い浮かべることができるんですから。」
 アッタスン氏はまた黙って少し歩いていったが、たしかに何か考え込んでいた。とうとう「その男が鍵を使ったというのは確かなんだね?」と彼は尋ねた。
「一体あなたは……」とエンフィールドは我を忘れるくらい驚いて言いかけた。
「うん、わかっているよ、」とアッタスンが言った。「こう言っちゃ変に思われるに違いないがね。実は、わたしがもう一方の人の名前を
きかないのは、わたしがとうにそれを知っているからなのだ。ねえ、リチャード、君の話はひしひしとこたえたんだよ。もし今の話に
どこか不正確な点があったら、訂正なさった方がいい。」
「そんならそうと言って下さればいいのに、」と相手はちょっと不機嫌な様しゃべりが恥ずかしくなりました。このこ
0261名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:23:50.000
すこに住んでいるには違いありません。でもそれも大して確かなことじゃあないんです。何しろあの路地のあたりは建物がぎっしり建て込んでいて、どこが家の区切かよくわからないんですから。」
 二人はまた暫くは黙ったまま歩いていった。それから「エンフィールド君、」とアッタスン氏が言った。「君のその主義はよい主義だよ。」
「ええ、僕もそう思っています、」とエンフィールドが答えた。
「が、それにしても、」と弁護士は言葉を続けた。「ききたいことが一つある。わたしは子供を踏みつけたその男の名前をききたいのだが。」
「そうですね、」とエンフィールド氏が言った。「それは言っても別に差支えないでしょうね。そいつはハイドという名前でしたよ。」
「ふむ、」とアッタスン氏が言った。「その男は見たところどんなような男かね?」
「そいつの人相を言うのはたやすくないですよ。その様子にはどこか変なところがありましてね。何だか不愉快な、何だかとても憎
らしいところが。僕はこれまでにあんなにいやな人間を見たことがありませんが、それでいてそれがなぜかよくわからないのです
。あの男はどこか不具に違いない。不具という感じを強く人に与えるのです。もっとも、どこがそうかということは僕にもはっきり言
えませんがね。とても異様な顔付きでしたが、それでいて何一つ並はずれなところを挙げることも実際できないのです。いやまっ
たく、僕にはとても説明がつかない。僕にはあの男の人相を言えません。といって覚えていない訳じゃあないのですよ。なぜってこの今でも僕はあの男を思い浮かべることができるんですから。」
 アッタスン氏はまた黙って少し歩いていったが、たしかに何か考え込んでいた。とうとう「その男が鍵を使ったというのは確かなんだね?」と彼は尋ねた。
「一体あなたは……」とエンフィールドは我を忘れるくらい驚いて言いかけた。
「うん、わかっているよ、」とアッタスンが言った。「こう言っちゃ変に思われるに違いないがね。実は、わたしがもう一方の人の名前を
きかないのは、わたしがとうにそれを知っているからなのだ。ねえ、リチャード、君の話はひしひしとこたえたんだよ。もし今の話に
どこか不正確な点があったら、訂正なさった方がいい。」
「そんならそうと言って下さればいいのに、」と相手はちょっと不機嫌な様しゃべりが恥ずかしくなりました。このこ
0262名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:24:01.250
すこに住んでいるには違いありません。でもそれも大して確かなことじゃあないんです。何しろあの路地のあたりは建物がぎっしり建て込んでいて、どこが家の区切かよくわからないんですから。」
 二人はまた暫くは黙ったまま歩いていった。それから「エンフィールド君、」とアッタスン氏が言った。「君のその主義はよい主義だよ。」
「ええ、僕もそう思っています、」とエンフィールドが答えた。
「が、それにしても、」と弁護士は言葉を続けた。「ききたいことが一つある。わたしは子供を踏みつけたその男の名前をききたいのだが。」
「そうですね、」とエンフィールド氏が言った。「それは言っても別に差支えないでしょうね。そいつはハイドという名前でしたよ。」
「ふむ、」とアッタスン氏が言った。「その男は見たところどんなような男かね?」
「そいつの人相を言うのはたやすくないですよ。その様子にはどこか変なところがありましてね。何だか不愉快な、何だかとても憎
らしいところが。僕はこれまでにあんなにいやな人間を見たことがありませんが、それでいてそれがなぜかよくわからないのです
。あの男はどこか不具に違いない。不具という感じを強く人に与えるのです。もっとも、どこがそうかということは僕にもはっきり言
えませんがね。とても異様な顔付きでしたが、それでいて何一つ並はずれなところを挙げることも実際できないのです。いやまっ
たく、僕にはとても説明がつかない。僕にはあの男の人相を言えません。といって覚えていない訳じゃあないのですよ。なぜってこの今でも僕はあの男を思い浮かべることができるんですから。」
 アッタスン氏はまた黙って少し歩いていったが、たしかに何か考え込んでいた。とうとう「その男が鍵を使ったというのは確かなんだね?」と彼は尋ねた。
「一体あなたは……」とエンフィールドは我を忘れるくらい驚いて言いかけた。
「うん、わかっているよ、」とアッタスンが言った。「こう言っちゃ変に思われるに違いないがね。実は、わたしがもう一方の人の名前を
きかないのは、わたしがとうにそれを知っているからなのだ。ねえ、リチャード、君の話はひしひしとこたえたんだよ。もし今の話に
どこか不正確な点があったら、訂正なさった方がいい。」
「そんならそうと言って下さればいいのに、」と相手はちょっと不機嫌な様しゃべりが恥ずかしくなりました。このこ
0263名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:24:15.100
すこに住んでいるには違いありません。でもそれも大して確かなことじゃあないんです。何しろあの路地のあたりは建物がぎっしり建て込んでいて、どこが家の区切かよくわからないんですから。」
 二人はまた暫くは黙ったまま歩いていった。それから「エンフィールド君、」とアッタスン氏が言った。「君のその主義はよい主義だよ。」
「ええ、僕もそう思っています、」とエンフィールドが答えた。
「が、それにしても、」と弁護士は言葉を続けた。「ききたいことが一つある。わたしは子供を踏みつけたその男の名前をききたいのだが。」
「そうですね、」とエンフィールド氏が言った。「それは言っても別に差支えないでしょうね。そいつはハイドという名前でしたよ。」
「ふむ、」とアッタスン氏が言った。「その男は見たところどんなような男かね?」
「そいつの人相を言うのはたやすくないですよ。その様子にはどこか変なところがありましてね。何だか不愉快な、何だかとても憎
らしいところが。僕はこれまでにあんなにいやな人間を見たことがありませんが、それでいてそれがなぜかよくわからないのです
。あの男はどこか不具に違いない。不具という感じを強く人に与えるのです。もっとも、どこがそうかということは僕にもはっきり言
えませんがね。とても異様な顔付きでしたが、それでいて何一つ並はずれなところを挙げることも実際できないのです。いやまっ
たく、僕にはとても説明がつかない。僕にはあの男の人相を言えません。といって覚えていない訳じゃあないのですよ。なぜってこの今でも僕はあの男を思い浮かべることができるんですから。」
 アッタスン氏はまた黙って少し歩いていったが、たしかに何か考え込んでいた。とうとう「その男が鍵を使ったというのは確かなんだね?」と彼は尋ねた。
「一体あなたは……」とエンフィールドは我を忘れるくらい驚いて言いかけた。
「うん、わかっているよ、」とアッタスンが言った。「こう言っちゃ変に思われるに違いないがね。実は、わたしがもう一方の人の名前を
きかないのは、わたしがとうにそれを知っているからなのだ。ねえ、リチャード、君の話はひしひしとこたえたんだよ。もし今の話に
どこか不正確な点があったら、訂正なさった方がいい。」
「そんならそうと言って下さればいいのに、」と相手はちょっと不機嫌な様しゃべりが恥ずかしくなりました。このこ
0264名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:24:27.490
すこに住んでいるには違いありません。でもそれも大して確かなことじゃあないんです。何しろあの路地のあたりは建物がぎっしり建て込んでいて、どこが家の区切かよくわからないんですから。」
 二人はまた暫くは黙ったまま歩いていった。それから「エンフィールド君、」とアッタスン氏が言った。「君のその主義はよい主義だよ。」
「ええ、僕もそう思っています、」とエンフィールドが答えた。
「が、それにしても、」と弁護士は言葉を続けた。「ききたいことが一つある。わたしは子供を踏みつけたその男の名前をききたいのだが。」
「そうですね、」とエンフィールド氏が言った。「それは言っても別に差支えないでしょうね。そいつはハイドという名前でしたよ。」
「ふむ、」とアッタスン氏が言った。「その男は見たところどんなような男かね?」
「そいつの人相を言うのはたやすくないですよ。その様子にはどこか変なところがありましてね。何だか不愉快な、何だかとても憎
らしいところが。僕はこれまでにあんなにいやな人間を見たことがありませんが、それでいてそれがなぜかよくわからないのです
。あの男はどこか不具に違いない。不具という感じを強く人に与えるのです。もっとも、どこがそうかということは僕にもはっきり言
えませんがね。とても異様な顔付きでしたが、それでいて何一つ並はずれなところを挙げることも実際できないのです。いやまっ
たく、僕にはとても説明がつかない。僕にはあの男の人相を言えません。といって覚えていない訳じゃあないのですよ。なぜってこの今でも僕はあの男を思い浮かべることができるんですから。」
 アッタスン氏はまた黙って少し歩いていったが、たしかに何か考え込んでいた。とうとう「その男が鍵を使ったというのは確かなんだね?」と彼は尋ねた。
「一体あなたは……」とエンフィールドは我を忘れるくらい驚いて言いかけた。
「うん、わかっているよ、」とアッタスンが言った。「こう言っちゃ変に思われるに違いないがね。実は、わたしがもう一方の人の名前を
きかないのは、わたしがとうにそれを知っているからなのだ。ねえ、リチャード、君の話はひしひしとこたえたんだよ。もし今の話に
どこか不正確な点があったら、訂正なさった方がいい。」
「そんならそうと言って下さればいいのに、」と相手はちょっと不機嫌な様しゃべりが恥ずかしくなりました。このこ
0265名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:24:36.630
すこに住んでいるには違いありません。でもそれも大して確かなことじゃあないんです。何しろあの路地のあたりは建物がぎっしり建て込んでいて、どこが家の区切かよくわからないんですから。」
 二人はまた暫くは黙ったまま歩いていった。それから「エンフィールド君、」とアッタスン氏が言った。「君のその主義はよい主義だよ。」
「ええ、僕もそう思っています、」とエンフィールドが答えた。
「が、それにしても、」と弁護士は言葉を続けた。「ききたいことが一つある。わたしは子供を踏みつけたその男の名前をききたいのだが。」
「そうですね、」とエンフィールド氏が言った。「それは言っても別に差支えないでしょうね。そいつはハイドという名前でしたよ。」
「ふむ、」とアッタスン氏が言った。「その男は見たところどんなような男かね?」
「そいつの人相を言うのはたやすくないですよ。その様子にはどこか変なところがありましてね。何だか不愉快な、何だかとても憎
らしいところが。僕はこれまでにあんなにいやな人間を見たことがありませんが、それでいてそれがなぜかよくわからないのです
。あの男はどこか不具に違いない。不具という感じを強く人に与えるのです。もっとも、どこがそうかということは僕にもはっきり言
えませんがね。とても異様な顔付きでしたが、それでいて何一つ並はずれなところを挙げることも実際できないのです。いやまっ
たく、僕にはとても説明がつかない。僕にはあの男の人相を言えません。といって覚えていない訳じゃあないのですよ。なぜってこの今でも僕はあの男を思い浮かべることができるんですから。」
 アッタスン氏はまた黙って少し歩いていったが、たしかに何か考え込んでいた。とうとう「その男が鍵を使ったというのは確かなんだね?」と彼は尋ねた。
「一体あなたは……」とエンフィールドは我を忘れるくらい驚いて言いかけた。
「うん、わかっているよ、」とアッタスンが言った。「こう言っちゃ変に思われるに違いないがね。実は、わたしがもう一方の人の名前を
きかないのは、わたしがとうにそれを知っているからなのだ。ねえ、リチャード、君の話はひしひしとこたえたんだよ。もし今の話に
どこか不正確な点があったら、訂正なさった方がいい。」
「そんならそうと言って下さればいいのに、」と相手はちょっと不機嫌な様しゃべりが恥ずかしくなりました。このこ
0266名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:25:39.320
 その晩、アッタスン氏は暗い気分で自分のひとり住居へ帰って来て、食欲もなしに夕食の卓につ
いた。いつも日曜などには、食事がすむと、炉の傍らに腰を下ろし

て、何か難かしい神学の書物を一冊机の上にのせて読み、近くの教会の時計が十二時を打つと、厳粛に感謝して床につくのが、習慣であった。しかし、この夜の彼
は、食卓がかたづけられると直ぐ、蝋燭を取り上げて、自分の事務室へ入って行った。そこで金庫
を開けて、その一番奥から、封筒にジーキル博士遺言書と書いて
ある書類を取り出すと、眉をくもらせながら腰を下ろしてその内容を熟読した。遺言書は全文のす
べてが本人自筆のものであった。というのは、アッタスン氏は、出来
上ったそれを保管してはいるけれども、それを作るには少しの助力をも拒んだからである。その遺
言書は、医学博士、民法学博士、法学博士、王立科学
協会会員
等なるヘンリー・ジーキル死亡の場合には、彼の一切の所有財産は、彼の「友人にして恩人なる
エドワード・ハイド」の手に渡るべきことを規定しているばかりではな
く、ジーキル博士の「三カ月以上に亙る失踪、または理由不明の不在」の場合には、前記エドワー
ド・ハイドは直ちに前記ヘンリー・ジーキルの跡をつぎ、博士の家
人に少額の支払いをする以外には何らの負担も義務も負わなくともよいことを規定していた。この
証書はこれまで永い間、弁護士の不愉快のたねであった。それは
、弁護士として、また人生の穏健な慣習的な方面の愛好者としての彼を不快にさせたのであった。
彼にとっては突飛なことは不心得なことであった。しかし、今まで



は、彼の憤慨をつのらせたのは、彼がそのハイド氏なる人間については何も知らないためであった。それが今や急に一変して、その人間のことを知っ
ているためとなったのだ。その名前だけ知っていて、それ以上のことを何も知らなかった時でさえ
、それはもう十分不都合で

あった。その名前がかずかずのいやらしい属性をつけ
始めるようになっては、ますます
不都合となった。そして、それまで永いあいだ彼の眼を遮っていた変りやすい
朦朧たる霧の中から、突如として、悪魔の姿がはっきりと躍りでたのである。
0267名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:25:47.450
 その晩、アッタスン氏は暗い気分で自分のひとり住居へ帰って来て、食欲もなしに夕食の卓につ
いた。いつも日曜などには、食事がすむと、炉の傍らに腰を下ろし

て、何か難かしい神学の書物を一冊机の上にのせて読み、近くの教会の時計が十二時を打つと、厳粛に感謝して床につくのが、習慣であった。しかし、この夜の彼
は、食卓がかたづけられると直ぐ、蝋燭を取り上げて、自分の事務室へ入って行った。そこで金庫
を開けて、その一番奥から、封筒にジーキル博士遺言書と書いて
ある書類を取り出すと、眉をくもらせながら腰を下ろしてその内容を熟読した。遺言書は全文のす
べてが本人自筆のものであった。というのは、アッタスン氏は、出来
上ったそれを保管してはいるけれども、それを作るには少しの助力をも拒んだからである。その遺
言書は、医学博士、民法学博士、法学博士、王立科学
協会会員
等なるヘンリー・ジーキル死亡の場合には、彼の一切の所有財産は、彼の「友人にして恩人なる
エドワード・ハイド」の手に渡るべきことを規定しているばかりではな
く、ジーキル博士の「三カ月以上に亙る失踪、または理由不明の不在」の場合には、前記エドワー
ド・ハイドは直ちに前記ヘンリー・ジーキルの跡をつぎ、博士の家
人に少額の支払いをする以外には何らの負担も義務も負わなくともよいことを規定していた。この
証書はこれまで永い間、弁護士の不愉快のたねであった。それは
、弁護士として、また人生の穏健な慣習的な方面の愛好者としての彼を不快にさせたのであった。
彼にとっては突飛なことは不心得なことであった。しかし、今まで



は、彼の憤慨をつのらせたのは、彼がそのハイド氏なる人間については何も知らないためであった。それが今や急に一変して、その人間のことを知っ
ているためとなったのだ。その名前だけ知っていて、それ以上のことを何も知らなかった時でさえ
、それはもう十分不都合で

あった。その名前がかずかずのいやらしい属性をつけ
始めるようになっては、ますます
不都合となった。そして、それまで永いあいだ彼の眼を遮っていた変りやすい
朦朧たる霧の中から、突如として、悪魔の姿がはっきりと躍りでたのである。
0268名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:25:51.900
 その晩、アッタスン氏は暗い気分で自分のひとり住居へ帰って来て、食欲もなしに夕食の卓につ
いた。いつも日曜などには、食事がすむと、炉の傍らに腰を下ろし

て、何か難かしい神学の書物を一冊机の上にのせて読み、近くの教会の時計が十二時を打つと、厳粛に感謝して床につくのが、習慣であった。しかし、この夜の彼
は、食卓がかたづけられると直ぐ、蝋燭を取り上げて、自分の事務室へ入って行った。そこで金庫
を開けて、その一番奥から、封筒にジーキル博士遺言書と書いて
ある書類を取り出すと、眉をくもらせながら腰を下ろしてその内容を熟読した。遺言書は全文のす
べてが本人自筆のものであった。というのは、アッタスン氏は、出来
上ったそれを保管してはいるけれども、それを作るには少しの助力をも拒んだからである。その遺
言書は、医学博士、民法学博士、法学博士、王立科学
協会会員
等なるヘンリー・ジーキル死亡の場合には、彼の一切の所有財産は、彼の「友人にして恩人なる
エドワード・ハイド」の手に渡るべきことを規定しているばかりではな
く、ジーキル博士の「三カ月以上に亙る失踪、または理由不明の不在」の場合には、前記エドワー
ド・ハイドは直ちに前記ヘンリー・ジーキルの跡をつぎ、博士の家
人に少額の支払いをする以外には何らの負担も義務も負わなくともよいことを規定していた。この
証書はこれまで永い間、弁護士の不愉快のたねであった。それは
、弁護士として、また人生の穏健な慣習的な方面の愛好者としての彼を不快にさせたのであった。
彼にとっては突飛なことは不心得なことであった。しかし、今まで



は、彼の憤慨をつのらせたのは、彼がそのハイド氏なる人間については何も知らないためであった。それが今や急に一変して、その人間のことを知っ
ているためとなったのだ。その名前だけ知っていて、それ以上のことを何も知らなかった時でさえ
、それはもう十分不都合で

あった。その名前がかずかずのいやらしい属性をつけ
始めるようになっては、ますます
不都合となった。そして、それまで永いあいだ彼の眼を遮っていた変りやすい
朦朧たる霧の中から、突如として、悪魔の姿がはっきりと躍りでたのである。
0269名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:26:10.240
 その晩、アッタスン氏は暗い気分で自分のひとり住居へ帰って来て、食欲もなしに夕食の卓につ
いた。いつも日曜などには、食事がすむと、炉の傍らに腰を下ろし

て、何か難かしい神学の書物を一冊机の上にのせて読み、近くの教会の時計が十二時を打つと、厳粛に感謝して床につくのが、習慣であった。しかし、この夜の彼
は、食卓がかたづけられると直ぐ、蝋燭を取り上げて、自分の事務室へ入って行った。そこで金庫
を開けて、その一番奥から、封筒にジーキル博士遺言書と書いて
ある書類を取り出すと、眉をくもらせながら腰を下ろしてその内容を熟読した。遺言書は全文のす
べてが本人自筆のものであった。というのは、アッタスン氏は、出来
上ったそれを保管してはいるけれども、それを作るには少しの助力をも拒んだからである。その遺
言書は、医学博士、民法学博士、法学博士、王立科学
協会会員
等なるヘンリー・ジーキル死亡の場合には、彼の一切の所有財産は、彼の「友人にして恩人なる
エドワード・ハイド」の手に渡るべきことを規定しているばかりではな
く、ジーキル博士の「三カ月以上に亙る失踪、または理由不明の不在」の場合には、前記エドワー
ド・ハイドは直ちに前記ヘンリー・ジーキルの跡をつぎ、博士の家
人に少額の支払いをする以外には何らの負担も義務も負わなくともよいことを規定していた。この
証書はこれまで永い間、弁護士の不愉快のたねであった。それは
、弁護士として、また人生の穏健な慣習的な方面の愛好者としての彼を不快にさせたのであった。
彼にとっては突飛なことは不心得なことであった。しかし、今まで



は、彼の憤慨をつのらせたのは、彼がそのハイド氏なる人間については何も知らないためであった。それが今や急に一変して、その人間のことを知っ
ているためとなったのだ。その名前だけ知っていて、それ以上のことを何も知らなかった時でさえ
、それはもう十分不都合で

あった。その名前がかずかずのいやらしい属性をつけ
始めるようになっては、ますます
不都合となった。そして、それまで永いあいだ彼の眼を遮っていた変りやすい
朦朧たる霧の中から、突如として、悪魔の姿がはっきりと躍りでたのである。
0270名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:26:16.900
 その晩、アッタスン氏は暗い気分で自分のひとり住居へ帰って来て、食欲もなしに夕食の卓につ
いた。いつも日曜などには、食事がすむと、炉の傍らに腰を下ろし

て、何か難かしい神学の書物を一冊机の上にのせて読み、近くの教会の時計が十二時を打つと、厳粛に感謝して床につくのが、習慣であった。しかし、この夜の彼
は、食卓がかたづけられると直ぐ、蝋燭を取り上げて、自分の事務室へ入って行った。そこで金庫
を開けて、その一番奥から、封筒にジーキル博士遺言書と書いて
ある書類を取り出すと、眉をくもらせながら腰を下ろしてその内容を熟読した。遺言書は全文のす
べてが本人自筆のものであった。というのは、アッタスン氏は、出来
上ったそれを保管してはいるけれども、それを作るには少しの助力をも拒んだからである。その遺
言書は、医学博士、民法学博士、法学博士、王立科学
協会会員
等なるヘンリー・ジーキル死亡の場合には、彼の一切の所有財産は、彼の「友人にして恩人なる
エドワード・ハイド」の手に渡るべきことを規定しているばかりではな
く、ジーキル博士の「三カ月以上に亙る失踪、または理由不明の不在」の場合には、前記エドワー
ド・ハイドは直ちに前記ヘンリー・ジーキルの跡をつぎ、博士の家
人に少額の支払いをする以外には何らの負担も義務も負わなくともよいことを規定していた。この
証書はこれまで永い間、弁護士の不愉快のたねであった。それは
、弁護士として、また人生の穏健な慣習的な方面の愛好者としての彼を不快にさせたのであった。
彼にとっては突飛なことは不心得なことであった。しかし、今まで



は、彼の憤慨をつのらせたのは、彼がそのハイド氏なる人間については何も知らないためであった。それが今や急に一変して、その人間のことを知っ
ているためとなったのだ。その名前だけ知っていて、それ以上のことを何も知らなかった時でさえ
、それはもう十分不都合で

あった。その名前がかずかずのいやらしい属性をつけ
始めるようになっては、ますます
不都合となった。そして、それまで永いあいだ彼の眼を遮っていた変りやすい
朦朧たる霧の中から、突如として、悪魔の姿がはっきりと躍りでたのである。
0271名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:26:22.550
 その晩、アッタスン氏は暗い気分で自分のひとり住居へ帰って来て、食欲もなしに夕食の卓につ
いた。いつも日曜などには、食事がすむと、炉の傍らに腰を下ろし

て、何か難かしい神学の書物を一冊机の上にのせて読み、近くの教会の時計が十二時を打つと、厳粛に感謝して床につくのが、習慣であった。しかし、この夜の彼
は、食卓がかたづけられると直ぐ、蝋燭を取り上げて、自分の事務室へ入って行った。そこで金庫
を開けて、その一番奥から、封筒にジーキル博士遺言書と書いて
ある書類を取り出すと、眉をくもらせながら腰を下ろしてその内容を熟読した。遺言書は全文のす
べてが本人自筆のものであった。というのは、アッタスン氏は、出来
上ったそれを保管してはいるけれども、それを作るには少しの助力をも拒んだからである。その遺
言書は、医学博士、民法学博士、法学博士、王立科学
協会会員
等なるヘンリー・ジーキル死亡の場合には、彼の一切の所有財産は、彼の「友人にして恩人なる
エドワード・ハイド」の手に渡るべきことを規定しているばかりではな
く、ジーキル博士の「三カ月以上に亙る失踪、または理由不明の不在」の場合には、前記エドワー
ド・ハイドは直ちに前記ヘンリー・ジーキルの跡をつぎ、博士の家
人に少額の支払いをする以外には何らの負担も義務も負わなくともよいことを規定していた。この
証書はこれまで永い間、弁護士の不愉快のたねであった。それは
、弁護士として、また人生の穏健な慣習的な方面の愛好者としての彼を不快にさせたのであった。
彼にとっては突飛なことは不心得なことであった。しかし、今まで



は、彼の憤慨をつのらせたのは、彼がそのハイド氏なる人間については何も知らないためであった。それが今や急に一変して、その人間のことを知っ
ているためとなったのだ。その名前だけ知っていて、それ以上のことを何も知らなかった時でさえ
、それはもう十分不都合で

あった。その名前がかずかずのいやらしい属性をつけ
始めるようになっては、ますます
不都合となった。そして、それまで永いあいだ彼の眼を遮っていた変りやすい
朦朧たる霧の中から、突如として、悪魔の姿がはっきりと躍りでたのである。
0272名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:27:50.340
 弁護士が大きな暗い寝床に持ち帰った知識はそれだけであった。その寝床で彼が寝つかれずにしきりに寝返りを打っているうちに


真夜中も過ぎてだんだんと明け方に近くなった。まっくら闇の中で考え悩み、いろいろな疑問に取巻かれて、思いまどった彼にとっ
ては、くるしい一夜であった。
 
アッタスン氏の住居のすぐ近くにある教会の鐘が六時を打った。それでもまだ彼はその問題を考えつづけていた。これまで、その
問題は彼の知的方面だけに関していたのであった。ところが今では彼の想像力もそれに加わるようになった、というよりも、それの
俘になってしまった。そして彼がカーテンをおろした部屋のまっくらな夜の闇の中で、横になって輾転反側していると、エンフィール



氏から聞いた話が、一連の幻灯の絵巻物となって彼の心の前を通っていった。夜の都会を一面に照らしている街灯が現われる
。次にどんどん足ばやに歩いてゆく一人の男の姿。つぎに医者のところから駆けもどってくる子供の姿。それからその二人がぶつ
かり、人間の姿をした悪鬼が踏み倒して、その泣き叫ぶのを気にもかけずに通り過ぎてゆく。それからまた、豪奢な邸宅の一室が
見える。
そこには彼の友人が眠っていて、夢を見ながら微笑している。するとその部屋のドアが開かれ、ベッドのカーテンがさっと引


のけられ、眠っている友人が呼び起こされる。そして、見よ! その傍らに一人の男が立っている。その男は権力を与えられているの
で、そんな真夜中でも、友人は起き上ってその命令をきかなければならないのだ。この二つの場面に現われる男の姿が、夜どおし弁護士の

につきまとった。そして、いつでも彼がうとうと眠りかけさえすると、寝静まっている家々にその姿が一そう忍びやかにすうっと入って来たり
、または街灯のともった都会の広い迷路をその姿が一そう速く、目まいがするほどにも速く駆けまわり、街かどという街かどで女の子を踏み
つぶして、

泣き叫ぶままにして行ったりするのが、見えるのであった。それなのに、その男には彼が見覚えられる顔というものがなかった。夢の
なかでさ
え、その男には顔がなく、あったにしても、見ようとすると眼の前で溶けてしまうのであった。こんな訳で、弁護土の心の中に、ほんとうのハ
0273名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:28:02.620
 弁護士が大きな暗い寝床に持ち帰った知識はそれだけであった。その寝床で彼が寝つかれずにしきりに寝返りを打っているうちに


真夜中も過ぎてだんだんと明け方に近くなった。まっくら闇の中で考え悩み、いろいろな疑問に取巻かれて、思いまどった彼にとっ
ては、くるしい一夜であった。
 
アッタスン氏の住居のすぐ近くにある教会の鐘が六時を打った。それでもまだ彼はその問題を考えつづけていた。これまで、その
問題は彼の知的方面だけに関していたのであった。ところが今では彼の想像力もそれに加わるようになった、というよりも、それの
俘になってしまった。そして彼がカーテンをおろした部屋のまっくらな夜の闇の中で、横になって輾転反側していると、エンフィール



氏から聞いた話が、一連の幻灯の絵巻物となって彼の心の前を通っていった。夜の都会を一面に照らしている街灯が現われる
。次にどんどん足ばやに歩いてゆく一人の男の姿。つぎに医者のところから駆けもどってくる子供の姿。それからその二人がぶつ
かり、人間の姿をした悪鬼が踏み倒して、その泣き叫ぶのを気にもかけずに通り過ぎてゆく。それからまた、豪奢な邸宅の一室が
見える。
そこには彼の友人が眠っていて、夢を見ながら微笑している。するとその部屋のドアが開かれ、ベッドのカーテンがさっと引


のけられ、眠っている友人が呼び起こされる。そして、見よ! その傍らに一人の男が立っている。その男は権力を与えられているの
で、そんな真夜中でも、友人は起き上ってその命令をきかなければならないのだ。この二つの場面に現われる男の姿が、夜どおし弁護士の

につきまとった。そして、いつでも彼がうとうと眠りかけさえすると、寝静まっている家々にその姿が一そう忍びやかにすうっと入って来たり
、または街灯のともった都会の広い迷路をその姿が一そう速く、目まいがするほどにも速く駆けまわり、街かどという街かどで女の子を踏み
つぶして、

泣き叫ぶままにして行ったりするのが、見えるのであった。それなのに、その男には彼が見覚えられる顔というものがなかった。夢の
なかでさ
え、その男には顔がなく、あったにしても、見ようとすると眼の前で溶けてしまうのであった。こんな訳で、弁護土の心の中に、ほんとうのハ
0274名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:28:13.690
 弁護士が大きな暗い寝床に持ち帰った知識はそれだけであった。その寝床で彼が寝つかれずにしきりに寝返りを打っているうちに


真夜中も過ぎてだんだんと明け方に近くなった。まっくら闇の中で考え悩み、いろいろな疑問に取巻かれて、思いまどった彼にとっ
ては、くるしい一夜であった。
 
アッタスン氏の住居のすぐ近くにある教会の鐘が六時を打った。それでもまだ彼はその問題を考えつづけていた。これまで、その
問題は彼の知的方面だけに関していたのであった。ところが今では彼の想像力もそれに加わるようになった、というよりも、それの
俘になってしまった。そして彼がカーテンをおろした部屋のまっくらな夜の闇の中で、横になって輾転反側していると、エンフィール



氏から聞いた話が、一連の幻灯の絵巻物となって彼の心の前を通っていった。夜の都会を一面に照らしている街灯が現われる
。次にどんどん足ばやに歩いてゆく一人の男の姿。つぎに医者のところから駆けもどってくる子供の姿。それからその二人がぶつ
かり、人間の姿をした悪鬼が踏み倒して、その泣き叫ぶのを気にもかけずに通り過ぎてゆく。それからまた、豪奢な邸宅の一室が
見える。
そこには彼の友人が眠っていて、夢を見ながら微笑している。するとその部屋のドアが開かれ、ベッドのカーテンがさっと引


のけられ、眠っている友人が呼び起こされる。そして、見よ! その傍らに一人の男が立っている。その男は権力を与えられているの
で、そんな真夜中でも、友人は起き上ってその命令をきかなければならないのだ。この二つの場面に現われる男の姿が、夜どおし弁護士の

につきまとった。そして、いつでも彼がうとうと眠りかけさえすると、寝静まっている家々にその姿が一そう忍びやかにすうっと入って来たり
、または街灯のともった都会の広い迷路をその姿が一そう速く、目まいがするほどにも速く駆けまわり、街かどという街かどで女の子を踏み
つぶして、

泣き叫ぶままにして行ったりするのが、見えるのであった。それなのに、その男には彼が見覚えられる顔というものがなかった。夢の
なかでさ
え、その男には顔がなく、あったにしても、見ようとすると眼の前で溶けてしまうのであった。こんな訳で、弁護土の心の中に、ほんとうのハ
0275名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:28:25.320
 弁護士が大きな暗い寝床に持ち帰った知識はそれだけであった。その寝床で彼が寝つかれずにしきりに寝返りを打っているうちに


真夜中も過ぎてだんだんと明け方に近くなった。まっくら闇の中で考え悩み、いろいろな疑問に取巻かれて、思いまどった彼にとっ
ては、くるしい一夜であった。
 
アッタスン氏の住居のすぐ近くにある教会の鐘が六時を打った。それでもまだ彼はその問題を考えつづけていた。これまで、その
問題は彼の知的方面だけに関していたのであった。ところが今では彼の想像力もそれに加わるようになった、というよりも、それの
俘になってしまった。そして彼がカーテンをおろした部屋のまっくらな夜の闇の中で、横になって輾転反側していると、エンフィール



氏から聞いた話が、一連の幻灯の絵巻物となって彼の心の前を通っていった。夜の都会を一面に照らしている街灯が現われる
。次にどんどん足ばやに歩いてゆく一人の男の姿。つぎに医者のところから駆けもどってくる子供の姿。それからその二人がぶつ
かり、人間の姿をした悪鬼が踏み倒して、その泣き叫ぶのを気にもかけずに通り過ぎてゆく。それからまた、豪奢な邸宅の一室が
見える。
そこには彼の友人が眠っていて、夢を見ながら微笑している。するとその部屋のドアが開かれ、ベッドのカーテンがさっと引


のけられ、眠っている友人が呼び起こされる。そして、見よ! その傍らに一人の男が立っている。その男は権力を与えられているの
で、そんな真夜中でも、友人は起き上ってその命令をきかなければならないのだ。この二つの場面に現われる男の姿が、夜どおし弁護士の

につきまとった。そして、いつでも彼がうとうと眠りかけさえすると、寝静まっている家々にその姿が一そう忍びやかにすうっと入って来たり
、または街灯のともった都会の広い迷路をその姿が一そう速く、目まいがするほどにも速く駆けまわり、街かどという街かどで女の子を踏み
つぶして、

泣き叫ぶままにして行ったりするのが、見えるのであった。それなのに、その男には彼が見覚えられる顔というものがなかった。夢の
なかでさ
え、その男には顔がなく、あったにしても、見ようとすると眼の前で溶けてしまうのであった。こんな訳で、弁護土の心の中に、ほんとうのハ
0276名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:28:34.590
 弁護士が大きな暗い寝床に持ち帰った知識はそれだけであった。その寝床で彼が寝つかれずにしきりに寝返りを打っているうちに


真夜中も過ぎてだんだんと明け方に近くなった。まっくら闇の中で考え悩み、いろいろな疑問に取巻かれて、思いまどった彼にとっ
ては、くるしい一夜であった。
 
アッタスン氏の住居のすぐ近くにある教会の鐘が六時を打った。それでもまだ彼はその問題を考えつづけていた。これまで、その
問題は彼の知的方面だけに関していたのであった。ところが今では彼の想像力もそれに加わるようになった、というよりも、それの
俘になってしまった。そして彼がカーテンをおろした部屋のまっくらな夜の闇の中で、横になって輾転反側していると、エンフィール



氏から聞いた話が、一連の幻灯の絵巻物となって彼の心の前を通っていった。夜の都会を一面に照らしている街灯が現われる
。次にどんどん足ばやに歩いてゆく一人の男の姿。つぎに医者のところから駆けもどってくる子供の姿。それからその二人がぶつ
かり、人間の姿をした悪鬼が踏み倒して、その泣き叫ぶのを気にもかけずに通り過ぎてゆく。それからまた、豪奢な邸宅の一室が
見える。
そこには彼の友人が眠っていて、夢を見ながら微笑している。するとその部屋のドアが開かれ、ベッドのカーテンがさっと引


のけられ、眠っている友人が呼び起こされる。そして、見よ! その傍らに一人の男が立っている。その男は権力を与えられているの
で、そんな真夜中でも、友人は起き上ってその命令をきかなければならないのだ。この二つの場面に現われる男の姿が、夜どおし弁護士の

につきまとった。そして、いつでも彼がうとうと眠りかけさえすると、寝静まっている家々にその姿が一そう忍びやかにすうっと入って来たり
、または街灯のともった都会の広い迷路をその姿が一そう速く、目まいがするほどにも速く駆けまわり、街かどという街かどで女の子を踏み
つぶして、

泣き叫ぶままにして行ったりするのが、見えるのであった。それなのに、その男には彼が見覚えられる顔というものがなかった。夢の
なかでさ
え、その男には顔がなく、あったにしても、見ようとすると眼の前で溶けてしまうのであった。こんな訳で、弁護土の心の中に、ほんとうのハ
0277名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:28:54.310
 弁護士が大きな暗い寝床に持ち帰った知識はそれだけであった。その寝床で彼が寝つかれずにしきりに寝返りを打っているうちに


真夜中も過ぎてだんだんと明け方に近くなった。まっくら闇の中で考え悩み、いろいろな疑問に取巻かれて、思いまどった彼にとっ
ては、くるしい一夜であった。
 
アッタスン氏の住居のすぐ近くにある教会の鐘が六時を打った。それでもまだ彼はその問題を考えつづけていた。これまで、その
問題は彼の知的方面だけに関していたのであった。ところが今では彼の想像力もそれに加わるようになった、というよりも、それの
俘になってしまった。そして彼がカーテンをおろした部屋のまっくらな夜の闇の中で、横になって輾転反側していると、エンフィール



氏から聞いた話が、一連の幻灯の絵巻物となって彼の心の前を通っていった。夜の都会を一面に照らしている街灯が現われる
。次にどんどん足ばやに歩いてゆく一人の男の姿。つぎに医者のところから駆けもどってくる子供の姿。それからその二人がぶつ
かり、人間の姿をした悪鬼が踏み倒して、その泣き叫ぶのを気にもかけずに通り過ぎてゆく。それからまた、豪奢な邸宅の一室が
見える。
そこには彼の友人が眠っていて、夢を見ながら微笑している。するとその部屋のドアが開かれ、ベッドのカーテンがさっと引


のけられ、眠っている友人が呼び起こされる。そして、見よ! その傍らに一人の男が立っている。その男は権力を与えられているの
で、そんな真夜中でも、友人は起き上ってその命令をきかなければならないのだ。この二つの場面に現われる男の姿が、夜どおし弁護士の

につきまとった。そして、いつでも彼がうとうと眠りかけさえすると、寝静まっている家々にその姿が一そう忍びやかにすうっと入って来たり
、または街灯のともった都会の広い迷路をその姿が一そう速く、目まいがするほどにも速く駆けまわり、街かどという街かどで女の子を踏み
つぶして、

泣き叫ぶままにして行ったりするのが、見えるのであった。それなのに、その男には彼が見覚えられる顔というものがなかった。夢の
なかでさ
え、その男には顔がなく、あったにしても、見ようとすると眼の前で溶けてしまうのであった。こんな訳で、弁護土の心の中に、ほんとうのハ
0278名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:31:48.910
 そしてとうとう彼の忍耐は報いられた。からりと晴れわたったある夜のこと、空気は霜を結ぶくらい寒く、街路は舞踏室の床のように奇麗で、
街灯は、それを揺がす風もないので、光と影の模様をくっきりと描いていた。商店の閉ざされる十時になると、その横町はひどく淋しくなり、四

方八方からロンドンの低いうなるような音が聞こえてはくるが、大へん静かになった。小さなもの音でも遠くまで聞こえた。道路のどちら側でも、
家々の中から洩れて来るもの音がはっきりと聞きとれた。そして通行人の近づいて来る足音は、その当人よりもずっと前からわかった。アッタ
スン氏は、その見張場へ来てから数分たったころ、あの変な軽やかな足音が近づいて来るのに気がついた。毎夜見張りをしているうちに、彼は、


った一人の人間の足音でも、その人間がまだずっと遠くにいるうちに、市中の騒々しいどよめきから、突然にはっきりと聞こえてくるあの奇妙な
感じに、もうとっくに慣れていた。しかし、この時ほど彼の注意が鋭くひきつけられたことは前には一度もなかった。それで、今度こそはどうもそう

らしいという強い迷信的な予感を抱いて、彼は路地の入口へ身をひそめた。
 足音はずんずん近づいて来て、街の角を曲ると急に一そう大きくなった。弁護士は、入口からうかがうと、自分の相手にしなければならぬ人間
の風態が直ぐにわかった。小男で、じみな服装をしていて、そんなに遠くから見てさえも、その男の顔付きは、どういうものか、弁護士にはひどく

気に食わなかった。しかし、その男は近道をするために道路をよぎって、まっすぐに戸口の方へやって来た。そして歩きながら、わが家へ近づく
人のようにポケットから鍵を取り出した。
 アッタスン氏は進みでて、通り過ぎようとするその男の肩にちょっと手を触れた。「ハイドさん、ですね?」
 ハイド氏ははっと息を吸いこみながらたじろいだ。しかし彼の恐れはほんの一瞬間だった。そして彼は弁護士をまとには見なかったが、大へん
落着いて答えた、「それはわたしの名前です。何の御用ですか?」
「あなた
0279名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:32:04.750
 そしてとうとう彼の忍耐は報いられた。からりと晴れわたったある夜のこと、空気は霜を結ぶくらい寒く、街路は舞踏室の床のように奇麗で、
街灯は、それを揺がす風もないので、光と影の模様をくっきりと描いていた。商店の閉ざされる十時になると、その横町はひどく淋しくなり、四

方八方からロンドンの低いうなるような音が聞こえてはくるが、大へん静かになった。小さなもの音でも遠くまで聞こえた。道路のどちら側でも、
家々の中から洩れて来るもの音がはっきりと聞きとれた。そして通行人の近づいて来る足音は、その当人よりもずっと前からわかった。アッタ
スン氏は、その見張場へ来てから数分たったころ、あの変な軽やかな足音が近づいて来るのに気がついた。毎夜見張りをしているうちに、彼は、


った一人の人間の足音でも、その人間がまだずっと遠くにいるうちに、市中の騒々しいどよめきから、突然にはっきりと聞こえてくるあの奇妙な
感じに、もうとっくに慣れていた。しかし、この時ほど彼の注意が鋭くひきつけられたことは前には一度もなかった。それで、今度こそはどうもそう

らしいという強い迷信的な予感を抱いて、彼は路地の入口へ身をひそめた。
 足音はずんずん近づいて来て、街の角を曲ると急に一そう大きくなった。弁護士は、入口からうかがうと、自分の相手にしなければならぬ人間
の風態が直ぐにわかった。小男で、じみな服装をしていて、そんなに遠くから見てさえも、その男の顔付きは、どういうものか、弁護士にはひどく

気に食わなかった。しかし、その男は近道をするために道路をよぎって、まっすぐに戸口の方へやって来た。そして歩きながら、わが家へ近づく
人のようにポケットから鍵を取り出した。
 アッタスン氏は進みでて、通り過ぎようとするその男の肩にちょっと手を触れた。「ハイドさん、ですね?」
 ハイド氏ははっと息を吸いこみながらたじろいだ。しかし彼の恐れはほんの一瞬間だった。そして彼は弁護士をまとには見なかったが、大へん
落着いて答えた、「それはわたしの名前です。何の御用ですか?」
「あなた
0280名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:32:12.050
 そしてとうとう彼の忍耐は報いられた。からりと晴れわたったある夜のこと、空気は霜を結ぶくらい寒く、街路は舞踏室の床のように奇麗で、
街灯は、それを揺がす風もないので、光と影の模様をくっきりと描いていた。商店の閉ざされる十時になると、その横町はひどく淋しくなり、四

方八方からロンドンの低いうなるような音が聞こえてはくるが、大へん静かになった。小さなもの音でも遠くまで聞こえた。道路のどちら側でも、
家々の中から洩れて来るもの音がはっきりと聞きとれた。そして通行人の近づいて来る足音は、その当人よりもずっと前からわかった。アッタ
スン氏は、その見張場へ来てから数分たったころ、あの変な軽やかな足音が近づいて来るのに気がついた。毎夜見張りをしているうちに、彼は、


った一人の人間の足音でも、その人間がまだずっと遠くにいるうちに、市中の騒々しいどよめきから、突然にはっきりと聞こえてくるあの奇妙な
感じに、もうとっくに慣れていた。しかし、この時ほど彼の注意が鋭くひきつけられたことは前には一度もなかった。それで、今度こそはどうもそう

らしいという強い迷信的な予感を抱いて、彼は路地の入口へ身をひそめた。
 足音はずんずん近づいて来て、街の角を曲ると急に一そう大きくなった。弁護士は、入口からうかがうと、自分の相手にしなければならぬ人間
の風態が直ぐにわかった。小男で、じみな服装をしていて、そんなに遠くから見てさえも、その男の顔付きは、どういうものか、弁護士にはひどく

気に食わなかった。しかし、その男は近道をするために道路をよぎって、まっすぐに戸口の方へやって来た。そして歩きながら、わが家へ近づく
人のようにポケットから鍵を取り出した。
 アッタスン氏は進みでて、通り過ぎようとするその男の肩にちょっと手を触れた。「ハイドさん、ですね?」
 ハイド氏ははっと息を吸いこみながらたじろいだ。しかし彼の恐れはほんの一瞬間だった。そして彼は弁護士をまとには見なかったが、大へん
落着いて答えた、「それはわたしの名前です。何の御用ですか?」
「あなた
0281名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:32:48.310
 そしてとうとう彼の忍耐は報いられた。からりと晴れわたったある夜のこと、空気は霜を結ぶくらい寒く、街路は舞踏室の床のように奇麗で、
街灯は、それを揺がす風もないので、光と影の模様をくっきりと描いていた。商店の閉ざされる十時になると、その横町はひどく淋しくなり、四

方八方からロンドンの低いうなるような音が聞こえてはくるが、大へん静かになった。小さなもの音でも遠くまで聞こえた。道路のどちら側でも、
家々の中から洩れて来るもの音がはっきりと聞きとれた。そして通行人の近づいて来る足音は、その当人よりもずっと前からわかった。アッタ
スン氏は、その見張場へ来てから数分たったころ、あの変な軽やかな足音が近づいて来るのに気がついた。毎夜見張りをしているうちに、彼は、


った一人の人間の足音でも、その人間がまだずっと遠くにいるうちに、市中の騒々しいどよめきから、突然にはっきりと聞こえてくるあの奇妙な
感じに、もうとっくに慣れていた。しかし、この時ほど彼の注意が鋭くひきつけられたことは前には一度もなかった。それで、今度こそはどうもそう

らしいという強い迷信的な予感を抱いて、彼は路地の入口へ身をひそめた。
 足音はずんずん近づいて来て、街の角を曲ると急に一そう大きくなった。弁護士は、入口からうかがうと、自分の相手にしなければならぬ人間
の風態が直ぐにわかった。小男で、じみな服装をしていて、そんなに遠くから見てさえも、その男の顔付きは、どういうものか、弁護士にはひどく

気に食わなかった。しかし、その男は近道をするために道路をよぎって、まっすぐに戸口の方へやって来た。そして歩きながら、わが家へ近づく
人のようにポケットから鍵を取り出した。
 アッタスン氏は進みでて、通り過ぎようとするその男の肩にちょっと手を触れた。「ハイドさん、ですね?」
 ハイド氏ははっと息を吸いこみながらたじろいだ。しかし彼の恐れはほんの一瞬間だった。そして彼は弁護士をまとには見なかったが、大へん
落着いて答えた、「それはわたしの名前です。何の御用ですか?」
「あなた
0282名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:32:58.430
 そしてとうとう彼の忍耐は報いられた。からりと晴れわたったある夜のこと、空気は霜を結ぶくらい寒く、街路は舞踏室の床のように奇麗で、
街灯は、それを揺がす風もないので、光と影の模様をくっきりと描いていた。商店の閉ざされる十時になると、その横町はひどく淋しくなり、四

方八方からロンドンの低いうなるような音が聞こえてはくるが、大へん静かになった。小さなもの音でも遠くまで聞こえた。道路のどちら側でも、
家々の中から洩れて来るもの音がはっきりと聞きとれた。そして通行人の近づいて来る足音は、その当人よりもずっと前からわかった。アッタ
スン氏は、その見張場へ来てから数分たったころ、あの変な軽やかな足音が近づいて来るのに気がついた。毎夜見張りをしているうちに、彼は、


った一人の人間の足音でも、その人間がまだずっと遠くにいるうちに、市中の騒々しいどよめきから、突然にはっきりと聞こえてくるあの奇妙な
感じに、もうとっくに慣れていた。しかし、この時ほど彼の注意が鋭くひきつけられたことは前には一度もなかった。それで、今度こそはどうもそう

らしいという強い迷信的な予感を抱いて、彼は路地の入口へ身をひそめた。
 足音はずんずん近づいて来て、街の角を曲ると急に一そう大きくなった。弁護士は、入口からうかがうと、自分の相手にしなければならぬ人間
の風態が直ぐにわかった。小男で、じみな服装をしていて、そんなに遠くから見てさえも、その男の顔付きは、どういうものか、弁護士にはひどく

気に食わなかった。しかし、その男は近道をするために道路をよぎって、まっすぐに戸口の方へやって来た。そして歩きながら、わが家へ近づく
人のようにポケットから鍵を取り出した。
 アッタスン氏は進みでて、通り過ぎようとするその男の肩にちょっと手を触れた。「ハイドさん、ですね?」
 ハイド氏ははっと息を吸いこみながらたじろいだ。しかし彼の恐れはほんの一瞬間だった。そして彼は弁護士をまとには見なかったが、大へん
落着いて答えた、「それはわたしの名前です。何の御用ですか?」
「あなた
0283名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:33:15.260
 そしてとうとう彼の忍耐は報いられた。からりと晴れわたったある夜のこと、空気は霜を結ぶくらい寒く、街路は舞踏室の床のように奇麗で、
街灯は、それを揺がす風もないので、光と影の模様をくっきりと描いていた。商店の閉ざされる十時になると、その横町はひどく淋しくなり、四

方八方からロンドンの低いうなるような音が聞こえてはくるが、大へん静かになった。小さなもの音でも遠くまで聞こえた。道路のどちら側でも、
家々の中から洩れて来るもの音がはっきりと聞きとれた。そして通行人の近づいて来る足音は、その当人よりもずっと前からわかった。アッタ
スン氏は、その見張場へ来てから数分たったころ、あの変な軽やかな足音が近づいて来るのに気がついた。毎夜見張りをしているうちに、彼は、


った一人の人間の足音でも、その人間がまだずっと遠くにいるうちに、市中の騒々しいどよめきから、突然にはっきりと聞こえてくるあの奇妙な
感じに、もうとっくに慣れていた。しかし、この時ほど彼の注意が鋭くひきつけられたことは前には一度もなかった。それで、今度こそはどうもそう

らしいという強い迷信的な予感を抱いて、彼は路地の入口へ身をひそめた。
 足音はずんずん近づいて来て、街の角を曲ると急に一そう大きくなった。弁護士は、入口からうかがうと、自分の相手にしなければならぬ人間
の風態が直ぐにわかった。小男で、じみな服装をしていて、そんなに遠くから見てさえも、その男の顔付きは、どういうものか、弁護士にはひどく

気に食わなかった。しかし、その男は近道をするために道路をよぎって、まっすぐに戸口の方へやって来た。そして歩きながら、わが家へ近づく
人のようにポケットから鍵を取り出した。
 アッタスン氏は進みでて、通り過ぎようとするその男の肩にちょっと手を触れた。「ハイドさん、ですね?」
 ハイド氏ははっと息を吸いこみながらたじろいだ。しかし彼の恐れはほんの一瞬間だった。そして彼は弁護士をまとには見なかったが、大へん
落着いて答えた、「それはわたしの名前です。何の御用ですか?」
「あなた
0284名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:34:09.270
まあまあ、」とアッタスン氏が言った、「それはおだやかな言い方ではないね。」
 相手は大きく唸ったが、それが獰猛な笑いになった。そして次の瞬間には、驚くべき速さで、戸口の錠をはずして、
家の中へ姿を消してしまった。
 弁護士は、ハイド氏にとり残されると、不安の化身のように、しばらく突っ立っていた。それからのろのろと街をのぼり
始めたが[#「始めたが」は底本では「殆めたが」]、一二歩ごとに立ちどまり、途方に暮れている人のように額に手をあ
てた。彼が歩きながらこんなに考え込んでいる問題は、難題の部類に入る問題だった。ハイド氏は色が蒼くて小男だっ

たし、どこと言って奇形なところはないが不具という印象を与えるし、不愉快な笑い方をするし
、弁護士に対して臆病と大胆との混った一種凶悪な態度で振舞ったし、しゃがれた、囁くような、幾らかとぎれとぎれな声でものを言った。
――これらすべての点は彼にとって不利であったが、しかし、これらをみんな一緒にしても、アッタスン氏がハイド氏に抱いた、これま
で経験したことのない憎悪、嫌厭、恐怖を説明することができなかった。「ほかにまだ何かあるに違いない、」と、この困惑した紳士は
言った。「何と言ってよいかわからんが、何かそれ以上のものが確かにあるのだ。ほんとに、あの男はどうも人間らしくないようだな!
 何か穴居人のようなところがあると言おうか? それとも、あの昔話のフェル博士の*ようなものだろうか? それともまた、忌わしい
霊魂から出る光が、あのように肉体から泌み出て、その肉体の形を変えたものなのだろうか? どうもそうらしいようだ。なぜなら、あ
あ気の毒なハリー・ジーキル、もしわたしがこれまで人間の顔に悪魔の相を見たことがあるとすれば、それは君の新しい友人のあの顔だ!」
 その横町の角を曲ると、古風な立派な家の集まった一郭があったが、今では大部分はその高い身分からおちぶれて、一階ずつに、ま
た部屋部屋に区切って、地図版画師や、建築師や、いかがわしい代言人や、インチキ企業家など、あるゆる身分階級の人々に貸
い中年過ぎの召使が戸を開いた。
0285名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:34:26.590
まあまあ、」とアッタスン氏が言った、「それはおだやかな言い方ではないね。」
 相手は大きく唸ったが、それが獰猛な笑いになった。そして次の瞬間には、驚くべき速さで、戸口の錠をはずして、
家の中へ姿を消してしまった。
 弁護士は、ハイド氏にとり残されると、不安の化身のように、しばらく突っ立っていた。それからのろのろと街をのぼり
始めたが[#「始めたが」は底本では「殆めたが」]、一二歩ごとに立ちどまり、途方に暮れている人のように額に手をあ
てた。彼が歩きながらこんなに考え込んでいる問題は、難題の部類に入る問題だった。ハイド氏は色が蒼くて小男だっ

たし、どこと言って奇形なところはないが不具という印象を与えるし、不愉快な笑い方をするし
、弁護士に対して臆病と大胆との混った一種凶悪な態度で振舞ったし、しゃがれた、囁くような、幾らかとぎれとぎれな声でものを言った。
――これらすべての点は彼にとって不利であったが、しかし、これらをみんな一緒にしても、アッタスン氏がハイド氏に抱いた、これま
で経験したことのない憎悪、嫌厭、恐怖を説明することができなかった。「ほかにまだ何かあるに違いない、」と、この困惑した紳士は
言った。「何と言ってよいかわからんが、何かそれ以上のものが確かにあるのだ。ほんとに、あの男はどうも人間らしくないようだな!
 何か穴居人のようなところがあると言おうか? それとも、あの昔話のフェル博士の*ようなものだろうか? それともまた、忌わしい
霊魂から出る光が、あのように肉体から泌み出て、その肉体の形を変えたものなのだろうか? どうもそうらしいようだ。なぜなら、あ
あ気の毒なハリー・ジーキル、もしわたしがこれまで人間の顔に悪魔の相を見たことがあるとすれば、それは君の新しい友人のあの顔だ!」
 その横町の角を曲ると、古風な立派な家の集まった一郭があったが、今では大部分はその高い身分からおちぶれて、一階ずつに、ま
た部屋部屋に区切って、地図版画師や、建築師や、いかがわしい代言人や、インチキ企業家など、あるゆる身分階級の人々に貸
い中年過ぎの召使が戸を開いた。
0286名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:34:38.590
まあまあ、」とアッタスン氏が言った、「それはおだやかな言い方ではないね。」
 相手は大きく唸ったが、それが獰猛な笑いになった。そして次の瞬間には、驚くべき速さで、戸口の錠をはずして、
家の中へ姿を消してしまった。
 弁護士は、ハイド氏にとり残されると、不安の化身のように、しばらく突っ立っていた。それからのろのろと街をのぼり
始めたが[#「始めたが」は底本では「殆めたが」]、一二歩ごとに立ちどまり、途方に暮れている人のように額に手をあ
てた。彼が歩きながらこんなに考え込んでいる問題は、難題の部類に入る問題だった。ハイド氏は色が蒼くて小男だっ

たし、どこと言って奇形なところはないが不具という印象を与えるし、不愉快な笑い方をするし
、弁護士に対して臆病と大胆との混った一種凶悪な態度で振舞ったし、しゃがれた、囁くような、幾らかとぎれとぎれな声でものを言った。
――これらすべての点は彼にとって不利であったが、しかし、これらをみんな一緒にしても、アッタスン氏がハイド氏に抱いた、これま
で経験したことのない憎悪、嫌厭、恐怖を説明することができなかった。「ほかにまだ何かあるに違いない、」と、この困惑した紳士は
言った。「何と言ってよいかわからんが、何かそれ以上のものが確かにあるのだ。ほんとに、あの男はどうも人間らしくないようだな!
 何か穴居人のようなところがあると言おうか? それとも、あの昔話のフェル博士の*ようなものだろうか? それともまた、忌わしい
霊魂から出る光が、あのように肉体から泌み出て、その肉体の形を変えたものなのだろうか? どうもそうらしいようだ。なぜなら、あ
あ気の毒なハリー・ジーキル、もしわたしがこれまで人間の顔に悪魔の相を見たことがあるとすれば、それは君の新しい友人のあの顔だ!」
 その横町の角を曲ると、古風な立派な家の集まった一郭があったが、今では大部分はその高い身分からおちぶれて、一階ずつに、ま
た部屋部屋に区切って、地図版画師や、建築師や、いかがわしい代言人や、インチキ企業家など、あるゆる身分階級の人々に貸
い中年過ぎの召使が戸を開いた。
0287名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:34:48.360
まあまあ、」とアッタスン氏が言った、「それはおだやかな言い方ではないね。」
 相手は大きく唸ったが、それが獰猛な笑いになった。そして次の瞬間には、驚くべき速さで、戸口の錠をはずして、
家の中へ姿を消してしまった。
 弁護士は、ハイド氏にとり残されると、不安の化身のように、しばらく突っ立っていた。それからのろのろと街をのぼり
始めたが[#「始めたが」は底本では「殆めたが」]、一二歩ごとに立ちどまり、途方に暮れている人のように額に手をあ
てた。彼が歩きながらこんなに考え込んでいる問題は、難題の部類に入る問題だった。ハイド氏は色が蒼くて小男だっ

たし、どこと言って奇形なところはないが不具という印象を与えるし、不愉快な笑い方をするし
、弁護士に対して臆病と大胆との混った一種凶悪な態度で振舞ったし、しゃがれた、囁くような、幾らかとぎれとぎれな声でものを言った。
――これらすべての点は彼にとって不利であったが、しかし、これらをみんな一緒にしても、アッタスン氏がハイド氏に抱いた、これま
で経験したことのない憎悪、嫌厭、恐怖を説明することができなかった。「ほかにまだ何かあるに違いない、」と、この困惑した紳士は
言った。「何と言ってよいかわからんが、何かそれ以上のものが確かにあるのだ。ほんとに、あの男はどうも人間らしくないようだな!
 何か穴居人のようなところがあると言おうか? それとも、あの昔話のフェル博士の*ようなものだろうか? それともまた、忌わしい
霊魂から出る光が、あのように肉体から泌み出て、その肉体の形を変えたものなのだろうか? どうもそうらしいようだ。なぜなら、あ
あ気の毒なハリー・ジーキル、もしわたしがこれまで人間の顔に悪魔の相を見たことがあるとすれば、それは君の新しい友人のあの顔だ!」
 その横町の角を曲ると、古風な立派な家の集まった一郭があったが、今では大部分はその高い身分からおちぶれて、一階ずつに、ま
た部屋部屋に区切って、地図版画師や、建築師や、いかがわしい代言人や、インチキ企業家など、あるゆる身分階級の人々に貸
い中年過ぎの召使が戸を開いた。
0288名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:35:00.660
まあまあ、」とアッタスン氏が言った、「それはおだやかな言い方ではないね。」
 相手は大きく唸ったが、それが獰猛な笑いになった。そして次の瞬間には、驚くべき速さで、戸口の錠をはずして、
家の中へ姿を消してしまった。
 弁護士は、ハイド氏にとり残されると、不安の化身のように、しばらく突っ立っていた。それからのろのろと街をのぼり
始めたが[#「始めたが」は底本では「殆めたが」]、一二歩ごとに立ちどまり、途方に暮れている人のように額に手をあ
てた。彼が歩きながらこんなに考え込んでいる問題は、難題の部類に入る問題だった。ハイド氏は色が蒼くて小男だっ

たし、どこと言って奇形なところはないが不具という印象を与えるし、不愉快な笑い方をするし
、弁護士に対して臆病と大胆との混った一種凶悪な態度で振舞ったし、しゃがれた、囁くような、幾らかとぎれとぎれな声でものを言った。
――これらすべての点は彼にとって不利であったが、しかし、これらをみんな一緒にしても、アッタスン氏がハイド氏に抱いた、これま
で経験したことのない憎悪、嫌厭、恐怖を説明することができなかった。「ほかにまだ何かあるに違いない、」と、この困惑した紳士は
言った。「何と言ってよいかわからんが、何かそれ以上のものが確かにあるのだ。ほんとに、あの男はどうも人間らしくないようだな!
 何か穴居人のようなところがあると言おうか? それとも、あの昔話のフェル博士の*ようなものだろうか? それともまた、忌わしい
霊魂から出る光が、あのように肉体から泌み出て、その肉体の形を変えたものなのだろうか? どうもそうらしいようだ。なぜなら、あ
あ気の毒なハリー・ジーキル、もしわたしがこれまで人間の顔に悪魔の相を見たことがあるとすれば、それは君の新しい友人のあの顔だ!」
 その横町の角を曲ると、古風な立派な家の集まった一郭があったが、今では大部分はその高い身分からおちぶれて、一階ずつに、ま
た部屋部屋に区切って、地図版画師や、建築師や、いかがわしい代言人や、インチキ企業家など、あるゆる身分階級の人々に貸
い中年過ぎの召使が戸を開いた。
0289名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:35:08.380
まあまあ、」とアッタスン氏が言った、「それはおだやかな言い方ではないね。」
 相手は大きく唸ったが、それが獰猛な笑いになった。そして次の瞬間には、驚くべき速さで、戸口の錠をはずして、
家の中へ姿を消してしまった。
 弁護士は、ハイド氏にとり残されると、不安の化身のように、しばらく突っ立っていた。それからのろのろと街をのぼり
始めたが[#「始めたが」は底本では「殆めたが」]、一二歩ごとに立ちどまり、途方に暮れている人のように額に手をあ
てた。彼が歩きながらこんなに考え込んでいる問題は、難題の部類に入る問題だった。ハイド氏は色が蒼くて小男だっ

たし、どこと言って奇形なところはないが不具という印象を与えるし、不愉快な笑い方をするし
、弁護士に対して臆病と大胆との混った一種凶悪な態度で振舞ったし、しゃがれた、囁くような、幾らかとぎれとぎれな声でものを言った。
――これらすべての点は彼にとって不利であったが、しかし、これらをみんな一緒にしても、アッタスン氏がハイド氏に抱いた、これま
で経験したことのない憎悪、嫌厭、恐怖を説明することができなかった。「ほかにまだ何かあるに違いない、」と、この困惑した紳士は
言った。「何と言ってよいかわからんが、何かそれ以上のものが確かにあるのだ。ほんとに、あの男はどうも人間らしくないようだな!
 何か穴居人のようなところがあると言おうか? それとも、あの昔話のフェル博士の*ようなものだろうか? それともまた、忌わしい
霊魂から出る光が、あのように肉体から泌み出て、その肉体の形を変えたものなのだろうか? どうもそうらしいようだ。なぜなら、あ
あ気の毒なハリー・ジーキル、もしわたしがこれまで人間の顔に悪魔の相を見たことがあるとすれば、それは君の新しい友人のあの顔だ!」
 その横町の角を曲ると、古風な立派な家の集まった一郭があったが、今では大部分はその高い身分からおちぶれて、一階ずつに、ま
た部屋部屋に区切って、地図版画師や、建築師や、いかがわしい代言人や、インチキ企業家など、あるゆる身分階級の人々に貸
い中年過ぎの召使が戸を開いた。
0290名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:35:52.650
「見て参りましょう、アッタスンさま、」とプールは言いながら、客を、大きな、天井の低い、気持のよい広間に通した。そこは、床に板石がしいてあり、
かっかと燃える、むき出しの炉で(田舎の屋敷風に)暖められ、樫の高価な用箪笥が備えつけてあった。「ここの暖炉のそばでお待ち下さいますか、
旦那さま? それとも食堂に明りをつけてさしあげましょうか?」
「ここで結構、有難う、」と弁護士は言って、その高い炉囲いに近づいて、それに凭れかかった。今、彼がひとり取り残されたこの広間は、彼の友人
の博士の得意にしている気に入りの部屋であった。そしてアッタスン自身もいつもは、そこをロンドンじゅうで一番居心地のよい部屋だと言ってい
た。しかし今夜は、彼は気味が悪くてならなかった。ハイドの顔が彼の記憶に重苦しくのしかかっていた。彼は(彼には滅多にないことだが)人生
が厭わしく感じられた。そして、気が滅入っているので、彼は、磨き立ててある用箪笥に映るちらちらする炉火の光や、天井に不安そうに動く影に
も、凶事の前兆を見るような気がした。やがてプールが戻って来て、ジーキル博士が外出しているということを知らせた時、自分がほっとしたのを彼は恥ずかしく思った。

わたしはハイドさんがあの元の解剖室の戸口から入るのを見たのだがね、プール、」と彼は言った。「ジーキル博士が不在の時に、そんなことをしても差支えはないのかね?」

差支えなどございませんとも、アッタスンさま、」とその召使が答えた。「ハイドさんは鍵をお持ちなんですから。」
「おまえの御主人はあの若い人を大そう信用しておられるようだな、プール、」とアッタスンが物思いに沈みながら言葉を続けた。
「はい、旦那さま、全く信用しておいででございます、」とプールが言った。「私どもはみんなあの方のおっしゃる通りにしろと言いつけられております。」
「わたしはハイドさんと一緒になったことがないと思うが?」とアッタスンが尋ねた。
「ええ、ええ、おありではございませんとも、旦那さま。あの方は一度もここで御食事をなさいません、」とその召使頭が答えた。「実際、私どもは
お屋敷のこちらの方であの方を滅多にお見かけしないのです。たいていは実験室の方から出入りなさいますから。」
0291名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:36:00.300
「見て参りましょう、アッタスンさま、」とプールは言いながら、客を、大きな、天井の低い、気持のよい広間に通した。そこは、床に板石がしいてあり、
かっかと燃える、むき出しの炉で(田舎の屋敷風に)暖められ、樫の高価な用箪笥が備えつけてあった。「ここの暖炉のそばでお待ち下さいますか、
旦那さま? それとも食堂に明りをつけてさしあげましょうか?」
「ここで結構、有難う、」と弁護士は言って、その高い炉囲いに近づいて、それに凭れかかった。今、彼がひとり取り残されたこの広間は、彼の友人
の博士の得意にしている気に入りの部屋であった。そしてアッタスン自身もいつもは、そこをロンドンじゅうで一番居心地のよい部屋だと言ってい
た。しかし今夜は、彼は気味が悪くてならなかった。ハイドの顔が彼の記憶に重苦しくのしかかっていた。彼は(彼には滅多にないことだが)人生
が厭わしく感じられた。そして、気が滅入っているので、彼は、磨き立ててある用箪笥に映るちらちらする炉火の光や、天井に不安そうに動く影に
も、凶事の前兆を見るような気がした。やがてプールが戻って来て、ジーキル博士が外出しているということを知らせた時、自分がほっとしたのを彼は恥ずかしく思った。

わたしはハイドさんがあの元の解剖室の戸口から入るのを見たのだがね、プール、」と彼は言った。「ジーキル博士が不在の時に、そんなことをしても差支えはないのかね?」

差支えなどございませんとも、アッタスンさま、」とその召使が答えた。「ハイドさんは鍵をお持ちなんですから。」
「おまえの御主人はあの若い人を大そう信用しておられるようだな、プール、」とアッタスンが物思いに沈みながら言葉を続けた。
「はい、旦那さま、全く信用しておいででございます、」とプールが言った。「私どもはみんなあの方のおっしゃる通りにしろと言いつけられております。」
「わたしはハイドさんと一緒になったことがないと思うが?」とアッタスンが尋ねた。
「ええ、ええ、おありではございませんとも、旦那さま。あの方は一度もここで御食事をなさいません、」とその召使頭が答えた。「実際、私どもは
お屋敷のこちらの方であの方を滅多にお見かけしないのです。たいていは実験室の方から出入りなさいますから。」
0292名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:36:19.570
「見て参りましょう、アッタスンさま、」とプールは言いながら、客を、大きな、天井の低い、気持のよい広間に通した。そこは、床に板石がしいてあり、
かっかと燃える、むき出しの炉で(田舎の屋敷風に)暖められ、樫の高価な用箪笥が備えつけてあった。「ここの暖炉のそばでお待ち下さいますか、
旦那さま? それとも食堂に明りをつけてさしあげましょうか?」
「ここで結構、有難う、」と弁護士は言って、その高い炉囲いに近づいて、それに凭れかかった。今、彼がひとり取り残されたこの広間は、彼の友人
の博士の得意にしている気に入りの部屋であった。そしてアッタスン自身もいつもは、そこをロンドンじゅうで一番居心地のよい部屋だと言ってい
た。しかし今夜は、彼は気味が悪くてならなかった。ハイドの顔が彼の記憶に重苦しくのしかかっていた。彼は(彼には滅多にないことだが)人生
が厭わしく感じられた。そして、気が滅入っているので、彼は、磨き立ててある用箪笥に映るちらちらする炉火の光や、天井に不安そうに動く影に
も、凶事の前兆を見るような気がした。やがてプールが戻って来て、ジーキル博士が外出しているということを知らせた時、自分がほっとしたのを彼は恥ずかしく思った。

わたしはハイドさんがあの元の解剖室の戸口から入るのを見たのだがね、プール、」と彼は言った。「ジーキル博士が不在の時に、そんなことをしても差支えはないのかね?」

差支えなどございませんとも、アッタスンさま、」とその召使が答えた。「ハイドさんは鍵をお持ちなんですから。」
「おまえの御主人はあの若い人を大そう信用しておられるようだな、プール、」とアッタスンが物思いに沈みながら言葉を続けた。
「はい、旦那さま、全く信用しておいででございます、」とプールが言った。「私どもはみんなあの方のおっしゃる通りにしろと言いつけられております。」
「わたしはハイドさんと一緒になったことがないと思うが?」とアッタスンが尋ねた。
「ええ、ええ、おありではございませんとも、旦那さま。あの方は一度もここで御食事をなさいません、」とその召使頭が答えた。「実際、私どもは
お屋敷のこちらの方であの方を滅多にお見かけしないのです。たいていは実験室の方から出入りなさいます
0293名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:36:30.590
「見て参りましょう、アッタスンさま、」とプールは言いながら、客を、大きな、天井の低い、気持のよい広間に通した。そこは、床に板石がしいてあり、
かっかと燃える、むき出しの炉で(田舎の屋敷風に)暖められ、樫の高価な用箪笥が備えつけてあった。「ここの暖炉のそばでお待ち下さいますか、
旦那さま? それとも食堂に明りをつけてさしあげましょうか?」
「ここで結構、有難う、」と弁護士は言って、その高い炉囲いに近づいて、それに凭れかかった。今、彼がひとり取り残されたこの広間は、彼の友人
の博士の得意にしている気に入りの部屋であった。そしてアッタスン自身もいつもは、そこをロンドンじゅうで一番居心地のよい部屋だと言ってい
た。しかし今夜は、彼は気味が悪くてならなかった。ハイドの顔が彼の記憶に重苦しくのしかかっていた。彼は(彼には滅多にないことだが)人生
が厭わしく感じられた。そして、気が滅入っているので、彼は、磨き立ててある用箪笥に映るちらちらする炉火の光や、天井に不安そうに動く影に
も、凶事の前兆を見るような気がした。やがてプールが戻って来て、ジーキル博士が外出しているということを知らせた時、自分がほっとしたのを彼は恥ずかしく思った。

わたしはハイドさんがあの元の解剖室の戸口から入るのを見たのだがね、プール、」と彼は言った。「ジーキル博士が不在の時に、そんなことをしても差支えはないのかね?」

差支えなどございませんとも、アッタスンさま、」とその召使が答えた。「ハイドさんは鍵をお持ちなんですから。」
「おまえの御主人はあの若い人を大そう信用しておられるようだな、プール、」とアッタスンが物思いに沈みながら言葉を続けた。
「はい、旦那さま、全く信用しておいででございます、」とプールが言った。「私どもはみんなあの方のおっしゃる通りにしろと言いつけられております。」
「わたしはハイドさんと一緒になったことがないと思うが?」とアッタスンが尋ねた。
「ええ、ええ、おありではございませんとも、旦那さま。あの方は一度もここで御食事をなさいません、」とその召使頭が答えた。「実際、私どもは
お屋敷のこちらの方であの方を滅多にお見かけしないのです。たいていは実験室の方から出入りなさいます
0294名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:36:42.910
「見て参りましょう、アッタスンさま、」とプールは言いながら、客を、大きな、天井の低い、気持のよい広間に通した。そこは、床に板石がしいてあり、
かっかと燃える、むき出しの炉で(田舎の屋敷風に)暖められ、樫の高価な用箪笥が備えつけてあった。「ここの暖炉のそばでお待ち下さいますか、
旦那さま? それとも食堂に明りをつけてさしあげましょうか?」
「ここで結構、有難う、」と弁護士は言って、その高い炉囲いに近づいて、それに凭れかかった。今、彼がひとり取り残されたこの広間は、彼の友人
の博士の得意にしている気に入りの部屋であった。そしてアッタスン自身もいつもは、そこをロンドンじゅうで一番居心地のよい部屋だと言ってい
た。しかし今夜は、彼は気味が悪くてならなかった。ハイドの顔が彼の記憶に重苦しくのしかかっていた。彼は(彼には滅多にないことだが)人生
が厭わしく感じられた。そして、気が滅入っているので、彼は、磨き立ててある用箪笥に映るちらちらする炉火の光や、天井に不安そうに動く影に
も、凶事の前兆を見るような気がした。やがてプールが戻って来て、ジーキル博士が外出しているということを知らせた時、自分がほっとしたのを彼は恥ずかしく思った。

わたしはハイドさんがあの元の解剖室の戸口から入るのを見たのだがね、プール、」と彼は言った。「ジーキル博士が不在の時に、そんなことをしても差支えはないのかね?」

差支えなどございませんとも、アッタスンさま、」とその召使が答えた。「ハイドさんは鍵をお持ちなんですから。」
「おまえの御主人はあの若い人を大そう信用しておられるようだな、プール、」とアッタスンが物思いに沈みながら言葉を続けた。
「はい、旦那さま、全く信用しておいででございます、」とプールが言った。「私どもはみんなあの方のおっしゃる通りにしろと言いつけられております。」
「わたしはハイドさんと一緒になったことがないと思うが?」とアッタスンが尋ねた。
「ええ、ええ、おありではございませんとも、旦那さま。あの方は一度もここで御食事をなさいません、」とその召使頭が答えた。「実際、私どもは
お屋敷のこちらの方であの方を滅多にお見かけしないのです。たいていは実験室の方から出入りなさいます
0295名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:36:50.790
「見て参りましょう、アッタスンさま、」とプールは言いながら、客を、大きな、天井の低い、気持のよい広間に通した。そこは、床に板石がしいてあり、
かっかと燃える、むき出しの炉で(田舎の屋敷風に)暖められ、樫の高価な用箪笥が備えつけてあった。「ここの暖炉のそばでお待ち下さいますか、
旦那さま? それとも食堂に明りをつけてさしあげましょうか?」
「ここで結構、有難う、」と弁護士は言って、その高い炉囲いに近づいて、それに凭れかかった。今、彼がひとり取り残されたこの広間は、彼の友人
の博士の得意にしている気に入りの部屋であった。そしてアッタスン自身もいつもは、そこをロンドンじゅうで一番居心地のよい部屋だと言ってい
た。しかし今夜は、彼は気味が悪くてならなかった。ハイドの顔が彼の記憶に重苦しくのしかかっていた。彼は(彼には滅多にないことだが)人生
が厭わしく感じられた。そして、気が滅入っているので、彼は、磨き立ててある用箪笥に映るちらちらする炉火の光や、天井に不安そうに動く影に
も、凶事の前兆を見るような気がした。やがてプールが戻って来て、ジーキル博士が外出しているということを知らせた時、自分がほっとしたのを彼は恥ずかしく思った。

わたしはハイドさんがあの元の解剖室の戸口から入るのを見たのだがね、プール、」と彼は言った。「ジーキル博士が不在の時に、そんなことをしても差支えはないのかね?」

差支えなどございませんとも、アッタスンさま、」とその召使が答えた。「ハイドさんは鍵をお持ちなんですから。」
「おまえの御主人はあの若い人を大そう信用しておられるようだな、プール、」とアッタスンが物思いに沈みながら言葉を続けた。
「はい、旦那さま、全く信用しておいででございます、」とプールが言った。「私どもはみんなあの方のおっしゃる通りにしろと言いつけられております。」
「わたしはハイドさんと一緒になったことがないと思うが?」とアッタスンが尋ねた。
「ええ、ええ、おありではございませんとも、旦那さま。あの方は一度もここで御食事をなさいません、」とその召使頭が答えた。「実際、私どもは
お屋敷のこちらの方であの方を滅多にお見かけしないのです。たいていは実験室の方から出入りなさいます
0296名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:37:50.860
から出入りなさいますから。」
「では、さようなら、プール。」
「おやすみなさいまし、アッタスンさま。」
 こうして弁護士はひどく重苦しい心を抱いて家路についた。「気の毒なハリー・ジーキル、」と彼は考えた、「彼が苦しい羽目に陥っ
ているのでなかろうかと気になってならない! 彼は若いときには放蕩をした。いかにも、それはずっと以前のことには違いない。だ
が、神さまの法律には、時効法なんてものはないのだからな。そうだ、そうに違いない。何かの昔の罪という亡霊か、何かの隠して
ある不名誉な行ないという癌なのだ。記憶が過ちを忘れてしまい、自分を愛する心が罪を許してしまってから何年もたってから、罰
というものは跛をひきながらやって来るものだ。」そして、この考えに嚇かされた弁護士は、しばらく自分自身の過去を考えて、ひょ
っとして何かの旧悪がびっくり箱のように、いきなり明るみに跳び出してきはしまいかと思って、記憶の隅々までも探ってみた。彼の
過去はまず過失のない方だった。彼よりも少ない懸念をもって自分の生涯をふり返ることのできる人は少なかった。それでも彼は自
分のなした多くのよくないことを思うと恥ずかしさに堪えなかったが、また、自分が今にもしようとして止めた多くのことを思うと、再び
元気づいて厳粛な感謝の念を抱くのであった。それからまた、彼は前の問題にもどって、希望の閃きを心に描いた。「あのハイドとい
う若者もよく調べてみたら、」と彼は思った。「やはり秘密を持っているに違いない。あの男の顔付きから考えれば、さぞ暗い凶悪な
秘密をな。それに比べれば可哀そうなジーキルの一番悪い秘密だってお日さまの光みたいなものだろう。このままにうっちゃってお
く訳にはゆかない。あんな奴が盗人のようにハリーの枕許へ忍びよることを考えるとぞっとする。可哀そうなハリー、目をさました時
にはどんなに怖いだろう! それにまた危険だ。というのは、あのハイドの奴が例の遺言書のあることを感づいたなら、奴は財産を
相続するのを待ちかねるようになるかも知れんからな。そうだ、わしは一肌ぬいでやらなければならん、――も
しジーキルがわたしにそうさせてさえくれるなら、」と彼は言い足した。「もしジーキルがわたしにそうさせてさえくれるならだ。」すると
もう一度、彼の心の眼の前に透し絵のようにはっきりと、
0297名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:38:00.930
から出入りなさいますから。」
「では、さようなら、プール。」
「おやすみなさいまし、アッタスンさま。」
 こうして弁護士はひどく重苦しい心を抱いて家路についた。「気の毒なハリー・ジーキル、」と彼は考えた、「彼が苦しい羽目に陥っ
ているのでなかろうかと気になってならない! 彼は若いときには放蕩をした。いかにも、それはずっと以前のことには違いない。だ
が、神さまの法律には、時効法なんてものはないのだからな。そうだ、そうに違いない。何かの昔の罪という亡霊か、何かの隠して
ある不名誉な行ないという癌なのだ。記憶が過ちを忘れてしまい、自分を愛する心が罪を許してしまってから何年もたってから、罰
というものは跛をひきながらやって来るものだ。」そして、この考えに嚇かされた弁護士は、しばらく自分自身の過去を考えて、ひょ
っとして何かの旧悪がびっくり箱のように、いきなり明るみに跳び出してきはしまいかと思って、記憶の隅々までも探ってみた。彼の
過去はまず過失のない方だった。彼よりも少ない懸念をもって自分の生涯をふり返ることのできる人は少なかった。それでも彼は自
分のなした多くのよくないことを思うと恥ずかしさに堪えなかったが、また、自分が今にもしようとして止めた多くのことを思うと、再び
元気づいて厳粛な感謝の念を抱くのであった。それからまた、彼は前の問題にもどって、希望の閃きを心に描いた。「あのハイドとい
う若者もよく調べてみたら、」と彼は思った。「やはり秘密を持っているに違いない。あの男の顔付きから考えれば、さぞ暗い凶悪な
秘密をな。それに比べれば可哀そうなジーキルの一番悪い秘密だってお日さまの光みたいなものだろう。このままにうっちゃってお
く訳にはゆかない。あんな奴が盗人のようにハリーの枕許へ忍びよることを考えるとぞっとする。可哀そうなハリー、目をさました時
にはどんなに怖いだろう! それにまた危険だ。というのは、あのハイドの奴が例の遺言書のあることを感づいたなら、奴は財産を
相続するのを待ちかねるようになるかも知れんからな。そうだ、わしは一肌ぬいでやらなければならん、――も
しジーキルがわたしにそうさせてさえくれるなら、」と彼は言い足した。「もしジーキルがわたしにそうさせてさえくれるならだ。」すると
もう一度、彼の心の眼の前に透し絵のようにはっきりと、
0298名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:38:14.740
から出入りなさいますから。」
「では、さようなら、プール。」
「おやすみなさいまし、アッタスンさま。」
 こうして弁護士はひどく重苦しい心を抱いて家路についた。「気の毒なハリー・ジーキル、」と彼は考えた、「彼が苦しい羽目に陥っ
ているのでなかろうかと気になってならない! 彼は若いときには放蕩をした。いかにも、それはずっと以前のことには違いない。だ
が、神さまの法律には、時効法なんてものはないのだからな。そうだ、そうに違いない。何かの昔の罪という亡霊か、何かの隠して
ある不名誉な行ないという癌なのだ。記憶が過ちを忘れてしまい、自分を愛する心が罪を許してしまってから何年もたってから、罰
というものは跛をひきながらやって来るものだ。」そして、この考えに嚇かされた弁護士は、しばらく自分自身の過去を考えて、ひょ
っとして何かの旧悪がびっくり箱のように、いきなり明るみに跳び出してきはしまいかと思って、記憶の隅々までも探ってみた。彼の
過去はまず過失のない方だった。彼よりも少ない懸念をもって自分の生涯をふり返ることのできる人は少なかった。それでも彼は自
分のなした多くのよくないことを思うと恥ずかしさに堪えなかったが、また、自分が今にもしようとして止めた多くのことを思うと、再び
元気づいて厳粛な感謝の念を抱くのであった。それからまた、彼は前の問題にもどって、希望の閃きを心に描いた。「あのハイドとい
う若者もよく調べてみたら、」と彼は思った。「やはり秘密を持っているに違いない。あの男の顔付きから考えれば、さぞ暗い凶悪な
秘密をな。それに比べれば可哀そうなジーキルの一番悪い秘密だってお日さまの光みたいなものだろう。このままにうっちゃってお
く訳にはゆかない。あんな奴が盗人のようにハリーの枕許へ忍びよることを考えるとぞっとする。可哀そうなハリー、目をさました時
にはどんなに怖いだろう! それにまた危険だ。というのは、あのハイドの奴が例の遺言書のあることを感づいたなら、奴は財産を
相続するのを待ちかねるようになるかも知れんからな。そうだ、わしは一肌ぬいでやらなければならん、――も
しジーキルがわたしにそうさせてさえくれるなら、」と彼は言い足した。「もしジーキルがわたしにそうさせてさえくれるならだ。」すると
もう一度、彼の心の眼の前に透し絵のようにはっきりと、
0299名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:38:33.940
から出入りなさいますから。」
「では、さようなら、プール。」
「おやすみなさいまし、アッタスンさま。」
 こうして弁護士はひどく重苦しい心を抱いて家路についた。「気の毒なハリー・ジーキル、」と彼は考えた、「彼が苦しい羽目に陥っ
ているのでなかろうかと気になってならない! 彼は若いときには放蕩をした。いかにも、それはずっと以前のことには違いない。だ
が、神さまの法律には、時効法なんてものはないのだからな。そうだ、そうに違いない。何かの昔の罪という亡霊か、何かの隠して
ある不名誉な行ないという癌なのだ。記憶が過ちを忘れてしまい、自分を愛する心が罪を許してしまってから何年もたってから、罰
というものは跛をひきながらやって来るものだ。」そして、この考えに嚇かされた弁護士は、しばらく自分自身の過去を考えて、ひょ
っとして何かの旧悪がびっくり箱のように、いきなり明るみに跳び出してきはしまいかと思って、記憶の隅々までも探ってみた。彼の
過去はまず過失のない方だった。彼よりも少ない懸念をもって自分の生涯をふり返ることのできる人は少なかった。それでも彼は自
分のなした多くのよくないことを思うと恥ずかしさに堪えなかったが、また、自分が今にもしようとして止めた多くのことを思うと、再び
元気づいて厳粛な感謝の念を抱くのであった。それからまた、彼は前の問題にもどって、希望の閃きを心に描いた。「あのハイドとい
う若者もよく調べてみたら、」と彼は思った。「やはり秘密を持っているに違いない。あの男の顔付きから考えれば、さぞ暗い凶悪な
秘密をな。それに比べれば可哀そうなジーキルの一番悪い秘密だってお日さまの光みたいなものだろう。このままにうっちゃってお
く訳にはゆかない。あんな奴が盗人のようにハリーの枕許へ忍びよることを考えるとぞっとする。可哀そうなハリー、目をさました時
にはどんなに怖いだろう! それにまた危険だ。というのは、あのハイドの奴が例の遺言書のあることを感づいたなら、奴は財産を
相続するのを待ちかねるようになるかも知れんからな。そうだ、わしは一肌ぬいでやらなければならん、――も
しジーキルがわたしにそうさせてさえくれるなら、」と彼は言い足した。「もしジーキルがわたしにそうさせてさえくれるならだ。」すると
もう一度、彼の心の眼の前に透し絵のようにはっきりと、
0300名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:38:42.290
から出入りなさいますから。」
「では、さようなら、プール。」
「おやすみなさいまし、アッタスンさま。」
 こうして弁護士はひどく重苦しい心を抱いて家路についた。「気の毒なハリー・ジーキル、」と彼は考えた、「彼が苦しい羽目に陥っ
ているのでなかろうかと気になってならない! 彼は若いときには放蕩をした。いかにも、それはずっと以前のことには違いない。だ
が、神さまの法律には、時効法なんてものはないのだからな。そうだ、そうに違いない。何かの昔の罪という亡霊か、何かの隠して
ある不名誉な行ないという癌なのだ。記憶が過ちを忘れてしまい、自分を愛する心が罪を許してしまってから何年もたってから、罰
というものは跛をひきながらやって来るものだ。」そして、この考えに嚇かされた弁護士は、しばらく自分自身の過去を考えて、ひょ
っとして何かの旧悪がびっくり箱のように、いきなり明るみに跳び出してきはしまいかと思って、記憶の隅々までも探ってみた。彼の
過去はまず過失のない方だった。彼よりも少ない懸念をもって自分の生涯をふり返ることのできる人は少なかった。それでも彼は自
分のなした多くのよくないことを思うと恥ずかしさに堪えなかったが、また、自分が今にもしようとして止めた多くのことを思うと、再び
元気づいて厳粛な感謝の念を抱くのであった。それからまた、彼は前の問題にもどって、希望の閃きを心に描いた。「あのハイドとい
う若者もよく調べてみたら、」と彼は思った。「やはり秘密を持っているに違いない。あの男の顔付きから考えれば、さぞ暗い凶悪な
秘密をな。それに比べれば可哀そうなジーキルの一番悪い秘密だってお日さまの光みたいなものだろう。このままにうっちゃってお
く訳にはゆかない。あんな奴が盗人のようにハリーの枕許へ忍びよることを考えるとぞっとする。可哀そうなハリー、目をさました時
にはどんなに怖いだろう! それにまた危険だ。というのは、あのハイドの奴が例の遺言書のあることを感づいたなら、奴は財産を
相続するのを待ちかねるようになるかも知れんからな。そうだ、わしは一肌ぬいでやらなければならん、――も
しジーキルがわたしにそうさせてさえくれるなら、」と彼は言い足した。「もしジーキルがわたしにそうさせてさえくれるならだ。」すると
もう一度、彼の心の眼の前に透し絵のようにはっきりと、
0301名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:38:51.960
から出入りなさいますから。」
「では、さようなら、プール。」
「おやすみなさいまし、アッタスンさま。」
 こうして弁護士はひどく重苦しい心を抱いて家路についた。「気の毒なハリー・ジーキル、」と彼は考えた、「彼が苦しい羽目に陥っ
ているのでなかろうかと気になってならない! 彼は若いときには放蕩をした。いかにも、それはずっと以前のことには違いない。だ
が、神さまの法律には、時効法なんてものはないのだからな。そうだ、そうに違いない。何かの昔の罪という亡霊か、何かの隠して
ある不名誉な行ないという癌なのだ。記憶が過ちを忘れてしまい、自分を愛する心が罪を許してしまってから何年もたってから、罰
というものは跛をひきながらやって来るものだ。」そして、この考えに嚇かされた弁護士は、しばらく自分自身の過去を考えて、ひょ
っとして何かの旧悪がびっくり箱のように、いきなり明るみに跳び出してきはしまいかと思って、記憶の隅々までも探ってみた。彼の
過去はまず過失のない方だった。彼よりも少ない懸念をもって自分の生涯をふり返ることのできる人は少なかった。それでも彼は自
分のなした多くのよくないことを思うと恥ずかしさに堪えなかったが、また、自分が今にもしようとして止めた多くのことを思うと、再び
元気づいて厳粛な感謝の念を抱くのであった。それからまた、彼は前の問題にもどって、希望の閃きを心に描いた。「あのハイドとい
う若者もよく調べてみたら、」と彼は思った。「やはり秘密を持っているに違いない。あの男の顔付きから考えれば、さぞ暗い凶悪な
秘密をな。それに比べれば可哀そうなジーキルの一番悪い秘密だってお日さまの光みたいなものだろう。このままにうっちゃってお
く訳にはゆかない。あんな奴が盗人のようにハリーの枕許へ忍びよることを考えるとぞっとする。可哀そうなハリー、目をさました時
にはどんなに怖いだろう! それにまた危険だ。というのは、あのハイドの奴が例の遺言書のあることを感づいたなら、奴は財産を
相続するのを待ちかねるようになるかも知れんからな。そうだ、わしは一肌ぬいでやらなければならん、――も
しジーキルがわたしにそうさせてさえくれるなら、」と彼は言い足した。「もしジーキルがわたしにそうさせてさえくれるならだ。」すると
もう一度、彼の心の眼の前に透し絵のようにはっきりと、
0302名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:39:54.830
 それから二週間ほどたつと、大へん好都合にも、博士は五六人の親しい旧友を招いて、
いつもの楽しい晩餐会を催した。みんな聡明な、名声ある人々であり、みんなよい酒の味
のわかる連中であった。そしてアッタスン氏は、ほかの人々が帰ってしまった後までも自
分で居残るように仕向けた。これは何も初めてのことではなく、それまでに何十回もあっ
たことであった。アッタスンは、好かれるところでは、非常に好かれた。彼を招いた人たち
は気さくな連中やおしゃべりな連中がとっくに家へ帰ってしまってからも、この無愛想な弁
護士をひき留めておくことを好んだ。彼らは、思い切り陽気にはしゃいだ後に、しばらくこの
控え目な客と向い合って坐り、この男の貴い沈黙によって淋しさに慣れるようにし、自分の心
を冷静に落着かせることを好んだのである。このしきたりには、ジーキル博士も例外ではな
かった。で、いま彼が炉をへだてて坐っていると、――大柄な、体の格好のよい、鬚のない五
十ばかりの男で、かくれ遊びも多少あるかも知れないが、いかにも才能があり親切そうな人
である――その顔付きから見ても彼がアッタスン氏に対して心からの温かい愛情を抱いていることがわかった。
「僕は君に話したいと思っていたのだがね、ジーキル、」とアッタスン氏が切り出した。「君のあ
の遺言書のことを君は覚えているだろうね?」
 この話題が気に入らぬことは、細かに注意して見る人にはすぐに察しられたであろう。が、博
士は快活に受け流した。「気の毒だね、アッタスン、」と彼が言った。「こんな依頼人を持って君は
不幸だね。僕の遺言書で、君が困っているほど困っている人間ってのは見たことがないよ。もっ
とも、あの頑迷な衒学者のラニョンが、彼のいわゆる僕の科学的異端で困っているがね。いや
、彼がいい男だということは知ってるさ、――そんなに顔をしかめなくたっていいよ、なかなか立派
な男で、僕も彼にはもっと会いたいといつも思っているんだ。しかしそれでもやはり頑迷な衒学者
さ。無学な、やかましい衒学者さ。あのラニョンくらい僕を失望させた人間はなかったよ。」
「僕が、あれにはどうしても賛成できないということを、君は知っている筈だ、」とアッタスンは、

その新しい話題をあっさり無視して言葉を続けた。
0303名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:40:04.400
 それから二週間ほどたつと、大へん好都合にも、博士は五六人の親しい旧友を招いて、
いつもの楽しい晩餐会を催した。みんな聡明な、名声ある人々であり、みんなよい酒の味
のわかる連中であった。そしてアッタスン氏は、ほかの人々が帰ってしまった後までも自
分で居残るように仕向けた。これは何も初めてのことではなく、それまでに何十回もあっ
たことであった。アッタスンは、好かれるところでは、非常に好かれた。彼を招いた人たち
は気さくな連中やおしゃべりな連中がとっくに家へ帰ってしまってからも、この無愛想な弁
護士をひき留めておくことを好んだ。彼らは、思い切り陽気にはしゃいだ後に、しばらくこの
控え目な客と向い合って坐り、この男の貴い沈黙によって淋しさに慣れるようにし、自分の心
を冷静に落着かせることを好んだのである。このしきたりには、ジーキル博士も例外ではな
かった。で、いま彼が炉をへだてて坐っていると、――大柄な、体の格好のよい、鬚のない五
十ばかりの男で、かくれ遊びも多少あるかも知れないが、いかにも才能があり親切そうな人
である――その顔付きから見ても彼がアッタスン氏に対して心からの温かい愛情を抱いていることがわかった。
「僕は君に話したいと思っていたのだがね、ジーキル、」とアッタスン氏が切り出した。「君のあ
の遺言書のことを君は覚えているだろうね?」
 この話題が気に入らぬことは、細かに注意して見る人にはすぐに察しられたであろう。が、博
士は快活に受け流した。「気の毒だね、アッタスン、」と彼が言った。「こんな依頼人を持って君は
不幸だね。僕の遺言書で、君が困っているほど困っている人間ってのは見たことがないよ。もっ
とも、あの頑迷な衒学者のラニョンが、彼のいわゆる僕の科学的異端で困っているがね。いや
、彼がいい男だということは知ってるさ、――そんなに顔をしかめなくたっていいよ、なかなか立派
な男で、僕も彼にはもっと会いたいといつも思っているんだ。しかしそれでもやはり頑迷な衒学者
さ。無学な、やかましい衒学者さ。あのラニョンくらい僕を失望させた人間はなかったよ。」
「僕が、あれにはどうしても賛成できないということを、君は知っている筈だ、」とアッタスンは、

その新しい話題をあっさり無視して言葉を続けた。
0304名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:40:13.690
 それから二週間ほどたつと、大へん好都合にも、博士は五六人の親しい旧友を招いて、
いつもの楽しい晩餐会を催した。みんな聡明な、名声ある人々であり、みんなよい酒の味
のわかる連中であった。そしてアッタスン氏は、ほかの人々が帰ってしまった後までも自
分で居残るように仕向けた。これは何も初めてのことではなく、それまでに何十回もあっ
たことであった。アッタスンは、好かれるところでは、非常に好かれた。彼を招いた人たち
は気さくな連中やおしゃべりな連中がとっくに家へ帰ってしまってからも、この無愛想な弁
護士をひき留めておくことを好んだ。彼らは、思い切り陽気にはしゃいだ後に、しばらくこの
控え目な客と向い合って坐り、この男の貴い沈黙によって淋しさに慣れるようにし、自分の心
を冷静に落着かせることを好んだのである。このしきたりには、ジーキル博士も例外ではな
かった。で、いま彼が炉をへだてて坐っていると、――大柄な、体の格好のよい、鬚のない五
十ばかりの男で、かくれ遊びも多少あるかも知れないが、いかにも才能があり親切そうな人
である――その顔付きから見ても彼がアッタスン氏に対して心からの温かい愛情を抱いていることがわかった。
「僕は君に話したいと思っていたのだがね、ジーキル、」とアッタスン氏が切り出した。「君のあ
の遺言書のことを君は覚えているだろうね?」
 この話題が気に入らぬことは、細かに注意して見る人にはすぐに察しられたであろう。が、博
士は快活に受け流した。「気の毒だね、アッタスン、」と彼が言った。「こんな依頼人を持って君は
不幸だね。僕の遺言書で、君が困っているほど困っている人間ってのは見たことがないよ。もっ
とも、あの頑迷な衒学者のラニョンが、彼のいわゆる僕の科学的異端で困っているがね。いや
、彼がいい男だということは知ってるさ、――そんなに顔をしかめなくたっていいよ、なかなか立派
な男で、僕も彼にはもっと会いたいといつも思っているんだ。しかしそれでもやはり頑迷な衒学者
さ。無学な、やかましい衒学者さ。あのラニョンくらい僕を失望させた人間はなかったよ。」
「僕が、あれにはどうしても賛成できないということを、君は知っている筈だ、」とアッタスンは、

その新しい話題をあっさり無視して言葉を続けた。
0305名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:40:22.000
 それから二週間ほどたつと、大へん好都合にも、博士は五六人の親しい旧友を招いて、
いつもの楽しい晩餐会を催した。みんな聡明な、名声ある人々であり、みんなよい酒の味
のわかる連中であった。そしてアッタスン氏は、ほかの人々が帰ってしまった後までも自
分で居残るように仕向けた。これは何も初めてのことではなく、それまでに何十回もあっ
たことであった。アッタスンは、好かれるところでは、非常に好かれた。彼を招いた人たち
は気さくな連中やおしゃべりな連中がとっくに家へ帰ってしまってからも、この無愛想な弁
護士をひき留めておくことを好んだ。彼らは、思い切り陽気にはしゃいだ後に、しばらくこの
控え目な客と向い合って坐り、この男の貴い沈黙によって淋しさに慣れるようにし、自分の心
を冷静に落着かせることを好んだのである。このしきたりには、ジーキル博士も例外ではな
かった。で、いま彼が炉をへだてて坐っていると、――大柄な、体の格好のよい、鬚のない五
十ばかりの男で、かくれ遊びも多少あるかも知れないが、いかにも才能があり親切そうな人
である――その顔付きから見ても彼がアッタスン氏に対して心からの温かい愛情を抱いていることがわかった。
「僕は君に話したいと思っていたのだがね、ジーキル、」とアッタスン氏が切り出した。「君のあ
の遺言書のことを君は覚えているだろうね?」
 この話題が気に入らぬことは、細かに注意して見る人にはすぐに察しられたであろう。が、博
士は快活に受け流した。「気の毒だね、アッタスン、」と彼が言った。「こんな依頼人を持って君は
不幸だね。僕の遺言書で、君が困っているほど困っている人間ってのは見たことがないよ。もっ
とも、あの頑迷な衒学者のラニョンが、彼のいわゆる僕の科学的異端で困っているがね。いや
、彼がいい男だということは知ってるさ、――そんなに顔をしかめなくたっていいよ、なかなか立派
な男で、僕も彼にはもっと会いたいといつも思っているんだ。しかしそれでもやはり頑迷な衒学者
さ。無学な、やかましい衒学者さ。あのラニョンくらい僕を失望させた人間はなかったよ。」
「僕が、あれにはどうしても賛成できないということを、君は知っている筈だ、」とアッタスンは、

その新しい話題をあっさり無視して言葉を続けた。
0306名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:40:32.230
 それから二週間ほどたつと、大へん好都合にも、博士は五六人の親しい旧友を招いて、
いつもの楽しい晩餐会を催した。みんな聡明な、名声ある人々であり、みんなよい酒の味
のわかる連中であった。そしてアッタスン氏は、ほかの人々が帰ってしまった後までも自
分で居残るように仕向けた。これは何も初めてのことではなく、それまでに何十回もあっ
たことであった。アッタスンは、好かれるところでは、非常に好かれた。彼を招いた人たち
は気さくな連中やおしゃべりな連中がとっくに家へ帰ってしまってからも、この無愛想な弁
護士をひき留めておくことを好んだ。彼らは、思い切り陽気にはしゃいだ後に、しばらくこの
控え目な客と向い合って坐り、この男の貴い沈黙によって淋しさに慣れるようにし、自分の心
を冷静に落着かせることを好んだのである。このしきたりには、ジーキル博士も例外ではな
かった。で、いま彼が炉をへだてて坐っていると、――大柄な、体の格好のよい、鬚のない五
十ばかりの男で、かくれ遊びも多少あるかも知れないが、いかにも才能があり親切そうな人
である――その顔付きから見ても彼がアッタスン氏に対して心からの温かい愛情を抱いていることがわかった。
「僕は君に話したいと思っていたのだがね、ジーキル、」とアッタスン氏が切り出した。「君のあ
の遺言書のことを君は覚えているだろうね?」
 この話題が気に入らぬことは、細かに注意して見る人にはすぐに察しられたであろう。が、博
士は快活に受け流した。「気の毒だね、アッタスン、」と彼が言った。「こんな依頼人を持って君は
不幸だね。僕の遺言書で、君が困っているほど困っている人間ってのは見たことがないよ。もっ
とも、あの頑迷な衒学者のラニョンが、彼のいわゆる僕の科学的異端で困っているがね。いや
、彼がいい男だということは知ってるさ、――そんなに顔をしかめなくたっていいよ、なかなか立派
な男で、僕も彼にはもっと会いたいといつも思っているんだ。しかしそれでもやはり頑迷な衒学者
さ。無学な、やかましい衒学者さ。あのラニョンくらい僕を失望させた人間はなかったよ。」
「僕が、あれにはどうしても賛成できないということを、君は知っている筈だ、」とアッタスンは、

その新しい話題をあっさり無視して言葉を続けた。
0307名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:40:42.590
 それから二週間ほどたつと、大へん好都合にも、博士は五六人の親しい旧友を招いて、
いつもの楽しい晩餐会を催した。みんな聡明な、名声ある人々であり、みんなよい酒の味
のわかる連中であった。そしてアッタスン氏は、ほかの人々が帰ってしまった後までも自
分で居残るように仕向けた。これは何も初めてのことではなく、それまでに何十回もあっ
たことであった。アッタスンは、好かれるところでは、非常に好かれた。彼を招いた人たち
は気さくな連中やおしゃべりな連中がとっくに家へ帰ってしまってからも、この無愛想な弁
護士をひき留めておくことを好んだ。彼らは、思い切り陽気にはしゃいだ後に、しばらくこの
控え目な客と向い合って坐り、この男の貴い沈黙によって淋しさに慣れるようにし、自分の心
を冷静に落着かせることを好んだのである。このしきたりには、ジーキル博士も例外ではな
かった。で、いま彼が炉をへだてて坐っていると、――大柄な、体の格好のよい、鬚のない五
十ばかりの男で、かくれ遊びも多少あるかも知れないが、いかにも才能があり親切そうな人
である――その顔付きから見ても彼がアッタスン氏に対して心からの温かい愛情を抱いていることがわかった。
「僕は君に話したいと思っていたのだがね、ジーキル、」とアッタスン氏が切り出した。「君のあ
の遺言書のことを君は覚えているだろうね?」
 この話題が気に入らぬことは、細かに注意して見る人にはすぐに察しられたであろう。が、博
士は快活に受け流した。「気の毒だね、アッタスン、」と彼が言った。「こんな依頼人を持って君は
不幸だね。僕の遺言書で、君が困っているほど困っている人間ってのは見たことがないよ。もっ
とも、あの頑迷な衒学者のラニョンが、彼のいわゆる僕の科学的異端で困っているがね。いや
、彼がいい男だということは知ってるさ、――そんなに顔をしかめなくたっていいよ、なかなか立派
な男で、僕も彼にはもっと会いたいといつも思っているんだ。しかしそれでもやはり頑迷な衒学者
さ。無学な、やかましい衒学者さ。あのラニョンくらい僕を失望させた人間はなかったよ。」
「僕が、あれにはどうしても賛成できないということを、君は知っている筈だ、」とアッタスンは、

その新しい話題をあっさり無視して言葉を続けた。
0308名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:42:30.180
「それにしたって同じことだ。君には僕の立場がわからないんだよ、」と博士は何となく辻褄の合わぬよ
うな様子で答えた。「僕は苦しい立場にいるんだよ、アッタスン。僕の立場は大変妙な――大変妙な立
場なんだ。それは話したってどうにもならないような事情なんだ。」
「ジーキル、」とアッタスンが言った。「君は僕を知っているはずだ。僕は信頼して貰ってもよい人間
そのことを内証ですっかりうち明けてくれ給え。そうすれば僕はきっと君をそれから救ってあげられると思うのだ。」
「ねえ、アッタスン、」と博士が言った。「君は実に親切だ。君は全く親切だ。何と言ってお礼を言っていい
かわからない。僕は君を十分に信じている。僕はどんな人間よりも君を信頼したいのだ。いや、どっち

と言えば、自分自身よりも君を信頼したいのだ。しかし、全くのところ、あれは君の想像しているような

とじゃないんだよ。そんなにひどいことではないのだ。で、ただ君を安心させるだけのために、一つのこ
とを言ってあげよう。僕はそうしようと思う時にはいつでも、ハイド氏と手を切ることができるのだ。そのこと
を僕は誓うよ。君には幾重にも感謝する。それから、ちょっと一言だけ付け加えておきたいんだがね、アッタ
スン。きっと君はそれを悪くはとらないだろうと思うんだが。それは、このことは一身上の事柄なのだから、どうかうっちゃっておいて貰いたい、ということなんだ。」

 アッタスンは炉火を見ながらしばらく考えていた。
「君の言うことが至極もっともだということは疑わないよ、」とついに彼は言って、立ち上った。
「それはそうとして、我々がこの件に触れたからには、そして触れるのももうこれっきりにしたいものだが、」と博士は
続けた。「君に解って貰いたい事が一つあるのだ。僕は可哀そうなハイドのことをほんとうに非常に気にかけている
のだ。君があの男に会ったことは僕は知っている。彼が僕にそう言ったから。で彼が不作法なことをしはしなかったか
と僕は気遣っている。しかし僕は、実際、心からあの若者のことをひどく、とてもひどく気にかけているんだ。それで、も
0309名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:42:39.070
「それにしたって同じことだ。君には僕の立場がわからないんだよ、」と博士は何となく辻褄の合わぬよ
うな様子で答えた。「僕は苦しい立場にいるんだよ、アッタスン。僕の立場は大変妙な――大変妙な立
場なんだ。それは話したってどうにもならないような事情なんだ。」
「ジーキル、」とアッタスンが言った。「君は僕を知っているはずだ。僕は信頼して貰ってもよい人間
そのことを内証ですっかりうち明けてくれ給え。そうすれば僕はきっと君をそれから救ってあげられると思うのだ。」
「ねえ、アッタスン、」と博士が言った。「君は実に親切だ。君は全く親切だ。何と言ってお礼を言っていい
かわからない。僕は君を十分に信じている。僕はどんな人間よりも君を信頼したいのだ。いや、どっち

と言えば、自分自身よりも君を信頼したいのだ。しかし、全くのところ、あれは君の想像しているような

とじゃないんだよ。そんなにひどいことではないのだ。で、ただ君を安心させるだけのために、一つのこ
とを言ってあげよう。僕はそうしようと思う時にはいつでも、ハイド氏と手を切ることができるのだ。そのこと
を僕は誓うよ。君には幾重にも感謝する。それから、ちょっと一言だけ付け加えておきたいんだがね、アッタ
スン。きっと君はそれを悪くはとらないだろうと思うんだが。それは、このことは一身上の事柄なのだから、どうかうっちゃっておいて貰いたい、ということなんだ。」

 アッタスンは炉火を見ながらしばらく考えていた。
「君の言うことが至極もっともだということは疑わないよ、」とついに彼は言って、立ち上った。
「それはそうとして、我々がこの件に触れたからには、そして触れるのももうこれっきりにしたいものだが、」と博士は
続けた。「君に解って貰いたい事が一つあるのだ。僕は可哀そうなハイドのことをほんとうに非常に気にかけている
のだ。君があの男に会ったことは僕は知っている。彼が僕にそう言ったから。で彼が不作法なことをしはしなかったか
と僕は気遣っている。しかし僕は、実際、心からあの若者のことをひどく、とてもひどく気にかけているんだ。それで、も
0310名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:43:05.080
「それにしたって同じことだ。君には僕の立場がわからないんだよ、」と博士は何となく辻褄の合わぬよ
うな様子で答えた。「僕は苦しい立場にいるんだよ、アッタスン。僕の立場は大変妙な――大変妙な立
場なんだ。それは話したってどうにもならないような事情なんだ。」
「ジーキル、」とアッタスンが言った。「君は僕を知っているはずだ。僕は信頼して貰ってもよい人間
そのことを内証ですっかりうち明けてくれ給え。そうすれば僕はきっと君をそれから救ってあげられると思うのだ。」
「ねえ、アッタスン、」と博士が言った。「君は実に親切だ。君は全く親切だ。何と言ってお礼を言っていい
かわからない。僕は君を十分に信じている。僕はどんな人間よりも君を信頼したいのだ。いや、どっち

と言えば、自分自身よりも君を信頼したいのだ。しかし、全くのところ、あれは君の想像しているような

とじゃないんだよ。そんなにひどいことではないのだ。で、ただ君を安心させるだけのために、一つのこ
とを言ってあげよう。僕はそうしようと思う時にはいつでも、ハイド氏と手を切ることができるのだ。そのこと
を僕は誓うよ。君には幾重にも感謝する。それから、ちょっと一言だけ付け加えておきたいんだがね、アッタ
スン。きっと君はそれを悪くはとらないだろうと思うんだが。それは、このことは一身上の事柄なのだから、どうかうっちゃっておいて貰いたい、ということなんだ。」

 アッタスンは炉火を見ながらしばらく考えていた。
「君の言うことが至極もっともだということは疑わないよ、」とついに彼は言って、立ち上った。
「それはそうとして、我々がこの件に触れたからには、そして触れるのももうこれっきりにしたいものだが、」と博士は
続けた。「君に解って貰いたい事が一つあるのだ。僕は可哀そうなハイドのことをほんとうに非常に気にかけている
のだ。君があの男に会ったことは僕は知っている。彼が僕にそう言ったから。で彼が不作法なことをしはしなかったか
と僕は気遣っている。しかし僕は、実際、心からあの若者のことをひどく、とてもひどく気にかけているんだ。それで、も
0311名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:43:11.370
「それにしたって同じことだ。君には僕の立場がわからないんだよ、」と博士は何となく辻褄の合わぬよ
うな様子で答えた。「僕は苦しい立場にいるんだよ、アッタスン。僕の立場は大変妙な――大変妙な立
場なんだ。それは話したってどうにもならないような事情なんだ。」
「ジーキル、」とアッタスンが言った。「君は僕を知っているはずだ。僕は信頼して貰ってもよい人間
そのことを内証ですっかりうち明けてくれ給え。そうすれば僕はきっと君をそれから救ってあげられると思うのだ。」
「ねえ、アッタスン、」と博士が言った。「君は実に親切だ。君は全く親切だ。何と言ってお礼を言っていい
かわからない。僕は君を十分に信じている。僕はどんな人間よりも君を信頼したいのだ。いや、どっち

と言えば、自分自身よりも君を信頼したいのだ。しかし、全くのところ、あれは君の想像しているような

とじゃないんだよ。そんなにひどいことではないのだ。で、ただ君を安心させるだけのために、一つのこ
とを言ってあげよう。僕はそうしようと思う時にはいつでも、ハイド氏と手を切ることができるのだ。そのこと
を僕は誓うよ。君には幾重にも感謝する。それから、ちょっと一言だけ付け加えておきたいんだがね、アッタ
スン。きっと君はそれを悪くはとらないだろうと思うんだが。それは、このことは一身上の事柄なのだから、どうかうっちゃっておいて貰いたい、ということなんだ。」

 アッタスンは炉火を見ながらしばらく考えていた。
「君の言うことが至極もっともだということは疑わないよ、」とついに彼は言って、立ち上った。
「それはそうとして、我々がこの件に触れたからには、そして触れるのももうこれっきりにしたいものだが、」と博士は
続けた。「君に解って貰いたい事が一つあるのだ。僕は可哀そうなハイドのことをほんとうに非常に気にかけている
のだ。君があの男に会ったことは僕は知っている。彼が僕にそう言ったから。で彼が不作法なことをしはしなかったか
と僕は気遣っている。しかし僕は、実際、心からあの若者のことをひどく、とてもひどく気にかけているんだ。それで、も
0312名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:43:25.730
「それにしたって同じことだ。君には僕の立場がわからないんだよ、」と博士は何となく辻褄の合わぬよ
うな様子で答えた。「僕は苦しい立場にいるんだよ、アッタスン。僕の立場は大変妙な――大変妙な立
場なんだ。それは話したってどうにもならないような事情なんだ。」
「ジーキル、」とアッタスンが言った。「君は僕を知っているはずだ。僕は信頼して貰ってもよい人間
そのことを内証ですっかりうち明けてくれ給え。そうすれば僕はきっと君をそれから救ってあげられると思うのだ。」
「ねえ、アッタスン、」と博士が言った。「君は実に親切だ。君は全く親切だ。何と言ってお礼を言っていい
かわからない。僕は君を十分に信じている。僕はどんな人間よりも君を信頼したいのだ。いや、どっち

と言えば、自分自身よりも君を信頼したいのだ。しかし、全くのところ、あれは君の想像しているような

とじゃないんだよ。そんなにひどいことではないのだ。で、ただ君を安心させるだけのために、一つのこ
とを言ってあげよう。僕はそうしようと思う時にはいつでも、ハイド氏と手を切ることができるのだ。そのこと
を僕は誓うよ。君には幾重にも感謝する。それから、ちょっと一言だけ付け加えておきたいんだがね、アッタ
スン。きっと君はそれを悪くはとらないだろうと思うんだが。それは、このことは一身上の事柄なのだから、どうかうっちゃっておいて貰いたい、ということなんだ。」

 アッタスンは炉火を見ながらしばらく考えていた。
「君の言うことが至極もっともだということは疑わないよ、」とついに彼は言って、立ち上った。
「それはそうとして、我々がこの件に触れたからには、そして触れるのももうこれっきりにしたいものだが、」と博士は
続けた。「君に解って貰いたい事が一つあるのだ。僕は可哀そうなハイドのことをほんとうに非常に気にかけている
のだ。君があの男に会ったことは僕は知っている。彼が僕にそう言ったから。で彼が不作法なことをしはしなかったか
と僕は気遣っている。しかし僕は、実際、心からあの若者のことをひどく、とてもひどく気にかけているんだ。それで、も
0313名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:45:03.080
 それから一年近くたった一八――年十月のこと、ロンドン市民は非常に凶暴な犯罪によってうち驚かされ、しかもその被害
者の身分が高かったので一そう世間の注意をひいた。そのいきさつは簡単なものではあったが、しかし驚くべきものであった
。テムズ河から遠くないある家にひとり住まいをしている女中が、十一時ごろ二階へ寝に行った。夜なか過ぎには霧が全市に
立ちこめたが、夜のふけぬうちは雲一つなく、女中のいる家の窓から見下ろす小
路は、皎々と満月に照らされていた。彼女はロマンティックな性質だったらしく、窓の直ぐ下に置いてあった自分の箱に腰を下
ろして、夢のような物思いに耽り始めたのである。その時ほど(と彼女は、その晩の見聞きしたことを物語るたびにいって涙を流
しながら言うのだったが)彼女があらゆる人々と睦まじく感じたこともなく、世間のことを親しみを以て考えたこともなかった。そう
して腰をかけている時に、彼女は一人の気品のある白髪の老紳士がその小路をこちらへ近づいて来るのに気がついた。するとま
た、この紳士の方へ、ごく小柄な紳士がもう一人やって来たが、これには彼女を初めあまり気にとめなかった。その二人が話を交
すことができるところまで(それはちょうど女中の眼の下であった)来たとき、老紳士の方がお辞儀をして、大そう立派なていねいな
態度で相手に話しかけた。話をしていることは大して重大なこととは思えなかった。実際、彼が指さしをしていることから察すると、
ただ道を尋ねているだけのようにも時々は見えた。しかし、月が、話している人の顔を照らしていて、娘はその顔を眺めるのがたの
しかった。その顔はいかにも悪意のない、古風で親切な気質を表わしているように思われたが、しかしまた、正しい理由のある自己
満足からくる何となく高ぶったところもあった。そして彼女の眼がもう一人の方にうつると、彼女は、それが、いつか一度自分の主人
を訪ねて来たことがあり、自分が嫌な気持のしたハイド氏という男であることがわかって、びっくりした。その男は片手に重いステッキ
を持っていて、それをいじっていた。が、彼は一言も答えず、じれったくてたまらない様子で聴いているようであった。それから突然、彼
0314名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:45:10.470
 それから一年近くたった一八――年十月のこと、ロンドン市民は非常に凶暴な犯罪によってうち驚かされ、しかもその被害
者の身分が高かったので一そう世間の注意をひいた。そのいきさつは簡単なものではあったが、しかし驚くべきものであった
。テムズ河から遠くないある家にひとり住まいをしている女中が、十一時ごろ二階へ寝に行った。夜なか過ぎには霧が全市に
立ちこめたが、夜のふけぬうちは雲一つなく、女中のいる家の窓から見下ろす小
路は、皎々と満月に照らされていた。彼女はロマンティックな性質だったらしく、窓の直ぐ下に置いてあった自分の箱に腰を下
ろして、夢のような物思いに耽り始めたのである。その時ほど(と彼女は、その晩の見聞きしたことを物語るたびにいって涙を流
しながら言うのだったが)彼女があらゆる人々と睦まじく感じたこともなく、世間のことを親しみを以て考えたこともなかった。そう
して腰をかけている時に、彼女は一人の気品のある白髪の老紳士がその小路をこちらへ近づいて来るのに気がついた。するとま
た、この紳士の方へ、ごく小柄な紳士がもう一人やって来たが、これには彼女を初めあまり気にとめなかった。その二人が話を交
すことができるところまで(それはちょうど女中の眼の下であった)来たとき、老紳士の方がお辞儀をして、大そう立派なていねいな
態度で相手に話しかけた。話をしていることは大して重大なこととは思えなかった。実際、彼が指さしをしていることから察すると、
ただ道を尋ねているだけのようにも時々は見えた。しかし、月が、話している人の顔を照らしていて、娘はその顔を眺めるのがたの
しかった。その顔はいかにも悪意のない、古風で親切な気質を表わしているように思われたが、しかしまた、正しい理由のある自己
満足からくる何となく高ぶったところもあった。そして彼女の眼がもう一人の方にうつると、彼女は、それが、いつか一度自分の主人
を訪ねて来たことがあり、自分が嫌な気持のしたハイド氏という男であることがわかって、びっくりした。その男は片手に重いステッキ
を持っていて、それをいじっていた。が、彼は一言も答えず、じれったくてたまらない様子で聴いているようであった。それから突然、彼
0315名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:45:26.410
 それから一年近くたった一八――年十月のこと、ロンドン市民は非常に凶暴な犯罪によってうち驚かされ、しかもその被害
者の身分が高かったので一そう世間の注意をひいた。そのいきさつは簡単なものではあったが、しかし驚くべきものであった
。テムズ河から遠くないある家にひとり住まいをしている女中が、十一時ごろ二階へ寝に行った。夜なか過ぎには霧が全市に
立ちこめたが、夜のふけぬうちは雲一つなく、女中のいる家の窓から見下ろす小
路は、皎々と満月に照らされていた。彼女はロマンティックな性質だったらしく、窓の直ぐ下に置いてあった自分の箱に腰を下
ろして、夢のような物思いに耽り始めたのである。その時ほど(と彼女は、その晩の見聞きしたことを物語るたびにいって涙を流
しながら言うのだったが)彼女があらゆる人々と睦まじく感じたこともなく、世間のことを親しみを以て考えたこともなかった。そう
して腰をかけている時に、彼女は一人の気品のある白髪の老紳士がその小路をこちらへ近づいて来るのに気がついた。するとま
た、この紳士の方へ、ごく小柄な紳士がもう一人やって来たが、これには彼女を初めあまり気にとめなかった。その二人が話を交
すことができるところまで(それはちょうど女中の眼の下であった)来たとき、老紳士の方がお辞儀をして、大そう立派なていねいな
態度で相手に話しかけた。話をしていることは大して重大なこととは思えなかった。実際、彼が指さしをしていることから察すると、
ただ道を尋ねているだけのようにも時々は見えた。しかし、月が、話している人の顔を照らしていて、娘はその顔を眺めるのがたの
しかった。その顔はいかにも悪意のない、古風で親切な気質を表わしているように思われたが、しかしまた、正しい理由のある自己
満足からくる何となく高ぶったところもあった。そして彼女の眼がもう一人の方にうつると、彼女は、それが、いつか一度自分の主人
を訪ねて来たことがあり、自分が嫌な気持のしたハイド氏という男であることがわかって、びっくりした。その男は片手に重いステッキ
を持っていて、それをいじっていた。が、彼は一言も答えず、じれったくてたまらない様子で聴いているようであった。それから突然、彼
0316名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:45:37.070
 それから一年近くたった一八――年十月のこと、ロンドン市民は非常に凶暴な犯罪によってうち驚かされ、しかもその被害
者の身分が高かったので一そう世間の注意をひいた。そのいきさつは簡単なものではあったが、しかし驚くべきものであった
。テムズ河から遠くないある家にひとり住まいをしている女中が、十一時ごろ二階へ寝に行った。夜なか過ぎには霧が全市に
立ちこめたが、夜のふけぬうちは雲一つなく、女中のいる家の窓から見下ろす小
路は、皎々と満月に照らされていた。彼女はロマンティックな性質だったらしく、窓の直ぐ下に置いてあった自分の箱に腰を下
ろして、夢のような物思いに耽り始めたのである。その時ほど(と彼女は、その晩の見聞きしたことを物語るたびにいって涙を流
しながら言うのだったが)彼女があらゆる人々と睦まじく感じたこともなく、世間のことを親しみを以て考えたこともなかった。そう
して腰をかけている時に、彼女は一人の気品のある白髪の老紳士がその小路をこちらへ近づいて来るのに気がついた。するとま
た、この紳士の方へ、ごく小柄な紳士がもう一人やって来たが、これには彼女を初めあまり気にとめなかった。その二人が話を交
すことができるところまで(それはちょうど女中の眼の下であった)来たとき、老紳士の方がお辞儀をして、大そう立派なていねいな
態度で相手に話しかけた。話をしていることは大して重大なこととは思えなかった。実際、彼が指さしをしていることから察すると、
ただ道を尋ねているだけのようにも時々は見えた。しかし、月が、話している人の顔を照らしていて、娘はその顔を眺めるのがたの
しかった。その顔はいかにも悪意のない、古風で親切な気質を表わしているように思われたが、しかしまた、正しい理由のある自己
満足からくる何となく高ぶったところもあった。そして彼女の眼がもう一人の方にうつると、彼女は、それが、いつか一度自分の主人
を訪ねて来たことがあり、自分が嫌な気持のしたハイド氏という男であることがわかって、びっくりした。その男は片手に重いステッキ
を持っていて、それをいじっていた。が、彼は一言も答えず、じれったくてたまらない様子で聴いているようであった。それから突然、彼
0317名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:45:46.660
 それから一年近くたった一八――年十月のこと、ロンドン市民は非常に凶暴な犯罪によってうち驚かされ、しかもその被害
者の身分が高かったので一そう世間の注意をひいた。そのいきさつは簡単なものではあったが、しかし驚くべきものであった
。テムズ河から遠くないある家にひとり住まいをしている女中が、十一時ごろ二階へ寝に行った。夜なか過ぎには霧が全市に
立ちこめたが、夜のふけぬうちは雲一つなく、女中のいる家の窓から見下ろす小
路は、皎々と満月に照らされていた。彼女はロマンティックな性質だったらしく、窓の直ぐ下に置いてあった自分の箱に腰を下
ろして、夢のような物思いに耽り始めたのである。その時ほど(と彼女は、その晩の見聞きしたことを物語るたびにいって涙を流
しながら言うのだったが)彼女があらゆる人々と睦まじく感じたこともなく、世間のことを親しみを以て考えたこともなかった。そう
して腰をかけている時に、彼女は一人の気品のある白髪の老紳士がその小路をこちらへ近づいて来るのに気がついた。するとま
た、この紳士の方へ、ごく小柄な紳士がもう一人やって来たが、これには彼女を初めあまり気にとめなかった。その二人が話を交
すことができるところまで(それはちょうど女中の眼の下であった)来たとき、老紳士の方がお辞儀をして、大そう立派なていねいな
態度で相手に話しかけた。話をしていることは大して重大なこととは思えなかった。実際、彼が指さしをしていることから察すると、
ただ道を尋ねているだけのようにも時々は見えた。しかし、月が、話している人の顔を照らしていて、娘はその顔を眺めるのがたの
しかった。その顔はいかにも悪意のない、古風で親切な気質を表わしているように思われたが、しかしまた、正しい理由のある自己
満足からくる何となく高ぶったところもあった。そして彼女の眼がもう一人の方にうつると、彼女は、それが、いつか一度自分の主人
を訪ねて来たことがあり、自分が嫌な気持のしたハイド氏という男であることがわかって、びっくりした。その男は片手に重いステッキ
を持っていて、それをいじっていた。が、彼は一言も答えず、じれったくてたまらない様子で聴いているようであった。それから突然、彼
0318名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:45:58.380
 それから一年近くたった一八――年十月のこと、ロンドン市民は非常に凶暴な犯罪によってうち驚かされ、しかもその被害
者の身分が高かったので一そう世間の注意をひいた。そのいきさつは簡単なものではあったが、しかし驚くべきものであった
。テムズ河から遠くないある家にひとり住まいをしている女中が、十一時ごろ二階へ寝に行った。夜なか過ぎには霧が全市に
立ちこめたが、夜のふけぬうちは雲一つなく、女中のいる家の窓から見下ろす小
路は、皎々と満月に照らされていた。彼女はロマンティックな性質だったらしく、窓の直ぐ下に置いてあった自分の箱に腰を下
ろして、夢のような物思いに耽り始めたのである。その時ほど(と彼女は、その晩の見聞きしたことを物語るたびにいって涙を流
しながら言うのだったが)彼女があらゆる人々と睦まじく感じたこともなく、世間のことを親しみを以て考えたこともなかった。そう
して腰をかけている時に、彼女は一人の気品のある白髪の老紳士がその小路をこちらへ近づいて来るのに気がついた。するとま
た、この紳士の方へ、ごく小柄な紳士がもう一人やって来たが、これには彼女を初めあまり気にとめなかった。その二人が話を交
すことができるところまで(それはちょうど女中の眼の下であった)来たとき、老紳士の方がお辞儀をして、大そう立派なていねいな
態度で相手に話しかけた。話をしていることは大して重大なこととは思えなかった。実際、彼が指さしをしていることから察すると、
ただ道を尋ねているだけのようにも時々は見えた。しかし、月が、話している人の顔を照らしていて、娘はその顔を眺めるのがたの
しかった。その顔はいかにも悪意のない、古風で親切な気質を表わしているように思われたが、しかしまた、正しい理由のある自己
満足からくる何となく高ぶったところもあった。そして彼女の眼がもう一人の方にうつると、彼女は、それが、いつか一度自分の主人
を訪ねて来たことがあり、自分が嫌な気持のしたハイド氏という男であることがわかって、びっくりした。その男は片手に重いステッキ
を持っていて、それをいじっていた。が、彼は一言も答えず、じれったくてたまらない様子で聴いているようであった。それから突然、彼
0319名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:47:24.820
 この時分には朝の九時頃になっていて、この季節になってから初めての霧が立ちこめていた。大きなチョコレート色の棺
衣のような霧が空一面に垂れ下っていた。しかし風が絶えず、この戦陣を張った水蒸気を、攻めて追い散らしていた。だから
、馬車が街から街へとゆらゆら進んでゆく時に、アッタスン氏は、薄明りが濃く淡く驚くほどさまざまな色合いを示しているのを見た。あるところでは
夕方遅くのように暗いかと思えば、またあるところでは、大火事か何かの明りのように、濃いもの凄い褐色の輝きがあった。ま
た、あるところでは、一時、霧がすっかり散って、やせ細った一条の日光が渦巻く雲の間からちらりと射し込んでくるのであった。こう
いう刻々に変ってゆく閃光の下で見る陰気なソホーの区域は、泥だらけの路や、だらしない通行人や、これまでずっと消したことがない
のか、それとも、またも襲って来る陰気な暗さにそなえて新たに火を点けたのか、それらの街灯などと共に、弁護士の眼には、悪夢のなか
で見るどこかの都会の一地域のように見えた。その上、彼の心に浮かぶ考えも至って憂欝な色を帯びていた。そして、彼が自分の同乗者
をちらりと見る時に、正しい人をも時としておそうことのある、法律と、法律の執行者とに対するあの恐怖を、かすかに感じたのであった。
 馬車が言いつけた番地の前に停った時、霧が少しはれて、くすんだ街や、けばけばしく飾り立てた酒場や、低級なフランス式料理店や、
三文雑誌や安サラダを売る店や、あちこちの家の戸口にむれ集まっているぼろ服を着たたくさんの子供たちや、朝酒を飲みに鍵を手にして
出てきたいろんな国々の大ぜいの女たちなどが、彼の眼に映った。それから次の瞬間には、黄土のように茶色の霧が再びそのあたりに下りて
、彼をその野卑な周囲からさえぎってしまった。そこがヘンリー・ジーキルのお気に入りの男、正貨二十五万ポンドの相続者である人物の住居なのであった。
 象牙のような色の顔をした銀髪の老婦人が入口の戸を開けた。猫をかぶって愛想よくした悪相な顔をしていた。しかし客に対するふるまい
は立派だった。彼女は言った。さようでございます、こちらはハイドさんのお宅です。けれども唯今御不在です。昨晩は大そうおそくお戻りで
0320名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:47:31.510
 この時分には朝の九時頃になっていて、この季節になってから初めての霧が立ちこめていた。大きなチョコレート色の棺
衣のような霧が空一面に垂れ下っていた。しかし風が絶えず、この戦陣を張った水蒸気を、攻めて追い散らしていた。だから
、馬車が街から街へとゆらゆら進んでゆく時に、アッタスン氏は、薄明りが濃く淡く驚くほどさまざまな色合いを示しているのを見た。あるところでは
夕方遅くのように暗いかと思えば、またあるところでは、大火事か何かの明りのように、濃いもの凄い褐色の輝きがあった。ま
た、あるところでは、一時、霧がすっかり散って、やせ細った一条の日光が渦巻く雲の間からちらりと射し込んでくるのであった。こう
いう刻々に変ってゆく閃光の下で見る陰気なソホーの区域は、泥だらけの路や、だらしない通行人や、これまでずっと消したことがない
のか、それとも、またも襲って来る陰気な暗さにそなえて新たに火を点けたのか、それらの街灯などと共に、弁護士の眼には、悪夢のなか
で見るどこかの都会の一地域のように見えた。その上、彼の心に浮かぶ考えも至って憂欝な色を帯びていた。そして、彼が自分の同乗者
をちらりと見る時に、正しい人をも時としておそうことのある、法律と、法律の執行者とに対するあの恐怖を、かすかに感じたのであった。
 馬車が言いつけた番地の前に停った時、霧が少しはれて、くすんだ街や、けばけばしく飾り立てた酒場や、低級なフランス式料理店や、
三文雑誌や安サラダを売る店や、あちこちの家の戸口にむれ集まっているぼろ服を着たたくさんの子供たちや、朝酒を飲みに鍵を手にして
出てきたいろんな国々の大ぜいの女たちなどが、彼の眼に映った。それから次の瞬間には、黄土のように茶色の霧が再びそのあたりに下りて
、彼をその野卑な周囲からさえぎってしまった。そこがヘンリー・ジーキルのお気に入りの男、正貨二十五万ポンドの相続者である人物の住居なのであった。
 象牙のような色の顔をした銀髪の老婦人が入口の戸を開けた。猫をかぶって愛想よくした悪相な顔をしていた。しかし客に対するふるまい
は立派だった。彼女は言った。さようでございます、こちらはハイドさんのお宅です。けれども唯今御不在です。昨晩は大そうおそくお戻りで
0321名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:47:37.610
 この時分には朝の九時頃になっていて、この季節になってから初めての霧が立ちこめていた。大きなチョコレート色の棺
衣のような霧が空一面に垂れ下っていた。しかし風が絶えず、この戦陣を張った水蒸気を、攻めて追い散らしていた。だから
、馬車が街から街へとゆらゆら進んでゆく時に、アッタスン氏は、薄明りが濃く淡く驚くほどさまざまな色合いを示しているのを見た。あるところでは
夕方遅くのように暗いかと思えば、またあるところでは、大火事か何かの明りのように、濃いもの凄い褐色の輝きがあった。ま
た、あるところでは、一時、霧がすっかり散って、やせ細った一条の日光が渦巻く雲の間からちらりと射し込んでくるのであった。こう
いう刻々に変ってゆく閃光の下で見る陰気なソホーの区域は、泥だらけの路や、だらしない通行人や、これまでずっと消したことがない
のか、それとも、またも襲って来る陰気な暗さにそなえて新たに火を点けたのか、それらの街灯などと共に、弁護士の眼には、悪夢のなか
で見るどこかの都会の一地域のように見えた。その上、彼の心に浮かぶ考えも至って憂欝な色を帯びていた。そして、彼が自分の同乗者
をちらりと見る時に、正しい人をも時としておそうことのある、法律と、法律の執行者とに対するあの恐怖を、かすかに感じたのであった。
 馬車が言いつけた番地の前に停った時、霧が少しはれて、くすんだ街や、けばけばしく飾り立てた酒場や、低級なフランス式料理店や、
三文雑誌や安サラダを売る店や、あちこちの家の戸口にむれ集まっているぼろ服を着たたくさんの子供たちや、朝酒を飲みに鍵を手にして
出てきたいろんな国々の大ぜいの女たちなどが、彼の眼に映った。それから次の瞬間には、黄土のように茶色の霧が再びそのあたりに下りて
、彼をその野卑な周囲からさえぎってしまった。そこがヘンリー・ジーキルのお気に入りの男、正貨二十五万ポンドの相続者である人物の住居なのであった。
 象牙のような色の顔をした銀髪の老婦人が入口の戸を開けた。猫をかぶって愛想よくした悪相な顔をしていた。しかし客に対するふるまい
は立派だった。彼女は言った。さようでございます、こちらはハイドさんのお宅です。けれども唯今御不在です。昨晩は大そうおそくお戻りで
0322名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:47:53.300
 この時分には朝の九時頃になっていて、この季節になってから初めての霧が立ちこめていた。大きなチョコレート色の棺
衣のような霧が空一面に垂れ下っていた。しかし風が絶えず、この戦陣を張った水蒸気を、攻めて追い散らしていた。だから
、馬車が街から街へとゆらゆら進んでゆく時に、アッタスン氏は、薄明りが濃く淡く驚くほどさまざまな色合いを示しているのを見た。あるところでは
夕方遅くのように暗いかと思えば、またあるところでは、大火事か何かの明りのように、濃いもの凄い褐色の輝きがあった。ま
た、あるところでは、一時、霧がすっかり散って、やせ細った一条の日光が渦巻く雲の間からちらりと射し込んでくるのであった。こう
いう刻々に変ってゆく閃光の下で見る陰気なソホーの区域は、泥だらけの路や、だらしない通行人や、これまでずっと消したことがない
のか、それとも、またも襲って来る陰気な暗さにそなえて新たに火を点けたのか、それらの街灯などと共に、弁護士の眼には、悪夢のなか
で見るどこかの都会の一地域のように見えた。その上、彼の心に浮かぶ考えも至って憂欝な色を帯びていた。そして、彼が自分の同乗者
をちらりと見る時に、正しい人をも時としておそうことのある、法律と、法律の執行者とに対するあの恐怖を、かすかに感じたのであった。
 馬車が言いつけた番地の前に停った時、霧が少しはれて、くすんだ街や、けばけばしく飾り立てた酒場や、低級なフランス式料理店や、
三文雑誌や安サラダを売る店や、あちこちの家の戸口にむれ集まっているぼろ服を着たたくさんの子供たちや、朝酒を飲みに鍵を手にして
出てきたいろんな国々の大ぜいの女たちなどが、彼の眼に映った。それから次の瞬間には、黄土のように茶色の霧が再びそのあたりに下りて
、彼をその野卑な周囲からさえぎってしまった。そこがヘンリー・ジーキルのお気に入りの男、正貨二十五万ポンドの相続者である人物の住居なのであった。
 象牙のような色の顔をした銀髪の老婦人が入口の戸を開けた。猫をかぶって愛想よくした悪相な顔をしていた。しかし客に対するふるまい
は立派だった。彼女は言った。さようでございます、こちらはハイドさんのお宅です。けれども唯今御不在です。昨晩は大そうおそくお戻りで
0323名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:48:07.350
 この時分には朝の九時頃になっていて、この季節になってから初めての霧が立ちこめていた。大きなチョコレート色の棺
衣のような霧が空一面に垂れ下っていた。しかし風が絶えず、この戦陣を張った水蒸気を、攻めて追い散らしていた。だから
、馬車が街から街へとゆらゆら進んでゆく時に、アッタスン氏は、薄明りが濃く淡く驚くほどさまざまな色合いを示しているのを見た。あるところでは
夕方遅くのように暗いかと思えば、またあるところでは、大火事か何かの明りのように、濃いもの凄い褐色の輝きがあった。ま
た、あるところでは、一時、霧がすっかり散って、やせ細った一条の日光が渦巻く雲の間からちらりと射し込んでくるのであった。こう
いう刻々に変ってゆく閃光の下で見る陰気なソホーの区域は、泥だらけの路や、だらしない通行人や、これまでずっと消したことがない
のか、それとも、またも襲って来る陰気な暗さにそなえて新たに火を点けたのか、それらの街灯などと共に、弁護士の眼には、悪夢のなか
で見るどこかの都会の一地域のように見えた。その上、彼の心に浮かぶ考えも至って憂欝な色を帯びていた。そして、彼が自分の同乗者
をちらりと見る時に、正しい人をも時としておそうことのある、法律と、法律の執行者とに対するあの恐怖を、かすかに感じたのであった。
 馬車が言いつけた番地の前に停った時、霧が少しはれて、くすんだ街や、けばけばしく飾り立てた酒場や、低級なフランス式料理店や、
三文雑誌や安サラダを売る店や、あちこちの家の戸口にむれ集まっているぼろ服を着たたくさんの子供たちや、朝酒を飲みに鍵を手にして
出てきたいろんな国々の大ぜいの女たちなどが、彼の眼に映った。それから次の瞬間には、黄土のように茶色の霧が再びそのあたりに下りて
、彼をその野卑な周囲からさえぎってしまった。そこがヘンリー・ジーキルのお気に入りの男、正貨二十五万ポンドの相続者である人物の住居なのであった。
 象牙のような色の顔をした銀髪の老婦人が入口の戸を開けた。猫をかぶって愛想よくした悪相な顔をしていた。しかし客に対するふるまい
は立派だった。彼女は言った。さようでございます、こちらはハイドさんのお宅です。けれども唯今御不在です。昨晩は大そうおそくお戻りで
0324名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:48:16.040
 この時分には朝の九時頃になっていて、この季節になってから初めての霧が立ちこめていた。大きなチョコレート色の棺
衣のような霧が空一面に垂れ下っていた。しかし風が絶えず、この戦陣を張った水蒸気を、攻めて追い散らしていた。だから
、馬車が街から街へとゆらゆら進んでゆく時に、アッタスン氏は、薄明りが濃く淡く驚くほどさまざまな色合いを示しているのを見た。あるところでは
夕方遅くのように暗いかと思えば、またあるところでは、大火事か何かの明りのように、濃いもの凄い褐色の輝きがあった。ま
た、あるところでは、一時、霧がすっかり散って、やせ細った一条の日光が渦巻く雲の間からちらりと射し込んでくるのであった。こう
いう刻々に変ってゆく閃光の下で見る陰気なソホーの区域は、泥だらけの路や、だらしない通行人や、これまでずっと消したことがない
のか、それとも、またも襲って来る陰気な暗さにそなえて新たに火を点けたのか、それらの街灯などと共に、弁護士の眼には、悪夢のなか
で見るどこかの都会の一地域のように見えた。その上、彼の心に浮かぶ考えも至って憂欝な色を帯びていた。そして、彼が自分の同乗者
をちらりと見る時に、正しい人をも時としておそうことのある、法律と、法律の執行者とに対するあの恐怖を、かすかに感じたのであった。
 馬車が言いつけた番地の前に停った時、霧が少しはれて、くすんだ街や、けばけばしく飾り立てた酒場や、低級なフランス式料理店や、
三文雑誌や安サラダを売る店や、あちこちの家の戸口にむれ集まっているぼろ服を着たたくさんの子供たちや、朝酒を飲みに鍵を手にして
出てきたいろんな国々の大ぜいの女たちなどが、彼の眼に映った。それから次の瞬間には、黄土のように茶色の霧が再びそのあたりに下りて
、彼をその野卑な周囲からさえぎってしまった。そこがヘンリー・ジーキルのお気に入りの男、正貨二十五万ポンドの相続者である人物の住居なのであった。
 象牙のような色の顔をした銀髪の老婦人が入口の戸を開けた。猫をかぶって愛想よくした悪相な顔をしていた。しかし客に対するふるまい
は立派だった。彼女は言った。さようでございます、こちらはハイドさんのお宅です。けれども唯今御不在です。昨晩は大そうおそくお戻りで
0325名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:49:05.700
「じゃよろしい、僕たちはあの人の部屋を見たいのだ、」と弁護士が言った。そしてその女がそれはできませんと言いかけると、
「この方がどなただかおまえさんに言っておく方がよかろう、」と言い添えた。「これはロンドン警視庁のニューカメン警視さんだ。」
 憎ったらしい喜びの色がさっとその女の顔に現われた。「ああ! あの人は挙げられたんですね!」と彼女は言った。「何を
したのでしょう?」
 アッタスン氏と警視とはちらりと眼を見合わせた。「あの男はあまり人に受けのいい人物ではないようですな、」と警視が言った
。「ではね、お婆さん、僕とこのお方にちょいとそこらを見せて貰いたい。」
 その老婦人さえいなければ空家であるその家全体の中で、ハイド氏はたった二室しか使っていなかったが、その二室は贅沢に
よい趣味で家具を備えつけてあった。戸棚には葡萄酒が一ぱい入っていたし、食器類は銀製だし、テーブルかけも高雅だった。
壁には立派な絵が懸っていたが、それは(アッタスンの推測では)なかなかの美術鑑識家であるヘンリー・ジーキルからの贈物で
あろう。絨毯は幾重にもなった厚いもので、色合いも気持のいいものであった。しかし、この時には、最近にあわててひっかき回した

らしい形跡がいろいろあった。衣服はポケットを裏返しにしたまま床のあたりに散らばっていたし、錠の下りるひきだしは開けっ放しに
なっていたし、炉床には、たくさんの書類を焼いたらしく、黒い灰が山になっていた。その燃え屑の中から、警視は燃え残った緑色の小
切手帳の端っこを掘り出した。例のステッキの片方の半分もドアのうしろから見つけ出された。これで彼の嫌疑が確かになったので、
警視は喜ばしいと言った。銀行へ行ってみると、数千ポンドの金がその殺人犯人の預金になっていることがわかったので、彼はすっかり満足した。
「もう大丈夫ですよ、」と彼はアッタスン氏に言った。「つかまえたも同然です。奴はよっぽどあわてたに違いありません。でなけりゃ、ステ
ッキを置き忘れたり、とりわけ、小切手帳を焼いたりなんかしなかったでしょう。だって、金はあの男にとっては命ほどに大事なものなんで
すからね。もう銀行で奴を待っていて、犯人逮捕のビラを出しさえすればいいという訳です。」
0326名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:49:15.560
「じゃよろしい、僕たちはあの人の部屋を見たいのだ、」と弁護士が言った。そしてその女がそれはできませんと言いかけると、
「この方がどなただかおまえさんに言っておく方がよかろう、」と言い添えた。「これはロンドン警視庁のニューカメン警視さんだ。」
 憎ったらしい喜びの色がさっとその女の顔に現われた。「ああ! あの人は挙げられたんですね!」と彼女は言った。「何を
したのでしょう?」
 アッタスン氏と警視とはちらりと眼を見合わせた。「あの男はあまり人に受けのいい人物ではないようですな、」と警視が言った
。「ではね、お婆さん、僕とこのお方にちょいとそこらを見せて貰いたい。」
 その老婦人さえいなければ空家であるその家全体の中で、ハイド氏はたった二室しか使っていなかったが、その二室は贅沢に
よい趣味で家具を備えつけてあった。戸棚には葡萄酒が一ぱい入っていたし、食器類は銀製だし、テーブルかけも高雅だった。
壁には立派な絵が懸っていたが、それは(アッタスンの推測では)なかなかの美術鑑識家であるヘンリー・ジーキルからの贈物で
あろう。絨毯は幾重にもなった厚いもので、色合いも気持のいいものであった。しかし、この時には、最近にあわててひっかき回した

らしい形跡がいろいろあった。衣服はポケットを裏返しにしたまま床のあたりに散らばっていたし、錠の下りるひきだしは開けっ放しに
なっていたし、炉床には、たくさんの書類を焼いたらしく、黒い灰が山になっていた。その燃え屑の中から、警視は燃え残った緑色の小
切手帳の端っこを掘り出した。例のステッキの片方の半分もドアのうしろから見つけ出された。これで彼の嫌疑が確かになったので、
警視は喜ばしいと言った。銀行へ行ってみると、数千ポンドの金がその殺人犯人の預金になっていることがわかったので、彼はすっかり満足した。
「もう大丈夫ですよ、」と彼はアッタスン氏に言った。「つかまえたも同然です。奴はよっぽどあわてたに違いありません。でなけりゃ、ステ
ッキを置き忘れたり、とりわけ、小切手帳を焼いたりなんかしなかったでしょう。だって、金はあの男にとっては命ほどに大事なものなんで
すからね。もう銀行で奴を待っていて、犯人逮捕のビラを出しさえすればいいという訳です。」
0327名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:49:25.050
「じゃよろしい、僕たちはあの人の部屋を見たいのだ、」と弁護士が言った。そしてその女がそれはできませんと言いかけると、
「この方がどなただかおまえさんに言っておく方がよかろう、」と言い添えた。「これはロンドン警視庁のニューカメン警視さんだ。」
 憎ったらしい喜びの色がさっとその女の顔に現われた。「ああ! あの人は挙げられたんですね!」と彼女は言った。「何を
したのでしょう?」
 アッタスン氏と警視とはちらりと眼を見合わせた。「あの男はあまり人に受けのいい人物ではないようですな、」と警視が言った
。「ではね、お婆さん、僕とこのお方にちょいとそこらを見せて貰いたい。」
 その老婦人さえいなければ空家であるその家全体の中で、ハイド氏はたった二室しか使っていなかったが、その二室は贅沢に
よい趣味で家具を備えつけてあった。戸棚には葡萄酒が一ぱい入っていたし、食器類は銀製だし、テーブルかけも高雅だった。
壁には立派な絵が懸っていたが、それは(アッタスンの推測では)なかなかの美術鑑識家であるヘンリー・ジーキルからの贈物で
あろう。絨毯は幾重にもなった厚いもので、色合いも気持のいいものであった。しかし、この時には、最近にあわててひっかき回した

らしい形跡がいろいろあった。衣服はポケットを裏返しにしたまま床のあたりに散らばっていたし、錠の下りるひきだしは開けっ放しに
なっていたし、炉床には、たくさんの書類を焼いたらしく、黒い灰が山になっていた。その燃え屑の中から、警視は燃え残った緑色の小
切手帳の端っこを掘り出した。例のステッキの片方の半分もドアのうしろから見つけ出された。これで彼の嫌疑が確かになったので、
警視は喜ばしいと言った。銀行へ行ってみると、数千ポンドの金がその殺人犯人の預金になっていることがわかったので、彼はすっかり満足した。
「もう大丈夫ですよ、」と彼はアッタスン氏に言った。「つかまえたも同然です。奴はよっぽどあわてたに違いありません。でなけりゃ、ステ
ッキを置き忘れたり、とりわけ、小切手帳を焼いたりなんかしなかったでしょう。だって、金はあの男にとっては命ほどに大事なものなんで
すからね。もう銀行で奴を待っていて、犯人逮捕のビラを出しさえすればいいという訳です。」
0328名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:49:35.470
「じゃよろしい、僕たちはあの人の部屋を見たいのだ、」と弁護士が言った。そしてその女がそれはできませんと言いかけると、
「この方がどなただかおまえさんに言っておく方がよかろう、」と言い添えた。「これはロンドン警視庁のニューカメン警視さんだ。」
 憎ったらしい喜びの色がさっとその女の顔に現われた。「ああ! あの人は挙げられたんですね!」と彼女は言った。「何を
したのでしょう?」
 アッタスン氏と警視とはちらりと眼を見合わせた。「あの男はあまり人に受けのいい人物ではないようですな、」と警視が言った
。「ではね、お婆さん、僕とこのお方にちょいとそこらを見せて貰いたい。」
 その老婦人さえいなければ空家であるその家全体の中で、ハイド氏はたった二室しか使っていなかったが、その二室は贅沢に
よい趣味で家具を備えつけてあった。戸棚には葡萄酒が一ぱい入っていたし、食器類は銀製だし、テーブルかけも高雅だった。
壁には立派な絵が懸っていたが、それは(アッタスンの推測では)なかなかの美術鑑識家であるヘンリー・ジーキルからの贈物で
あろう。絨毯は幾重にもなった厚いもので、色合いも気持のいいものであった。しかし、この時には、最近にあわててひっかき回した

らしい形跡がいろいろあった。衣服はポケットを裏返しにしたまま床のあたりに散らばっていたし、錠の下りるひきだしは開けっ放しに
なっていたし、炉床には、たくさんの書類を焼いたらしく、黒い灰が山になっていた。その燃え屑の中から、警視は燃え残った緑色の小
切手帳の端っこを掘り出した。例のステッキの片方の半分もドアのうしろから見つけ出された。これで彼の嫌疑が確かになったので、
警視は喜ばしいと言った。銀行へ行ってみると、数千ポンドの金がその殺人犯人の預金になっていることがわかったので、彼はすっかり満足した。
「もう大丈夫ですよ、」と彼はアッタスン氏に言った。「つかまえたも同然です。奴はよっぽどあわてたに違いありません。でなけりゃ、ステ
ッキを置き忘れたり、とりわけ、小切手帳を焼いたりなんかしなかったでしょう。だって、金はあの男にとっては命ほどに大事なものなんで
すからね。もう銀行で奴を待っていて、犯人逮捕のビラを出しさえすればいいという訳です。」
0329名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:49:52.370
「じゃよろしい、僕たちはあの人の部屋を見たいのだ、」と弁護士が言った。そしてその女がそれはできませんと言いかけると、
「この方がどなただかおまえさんに言っておく方がよかろう、」と言い添えた。「これはロンドン警視庁のニューカメン警視さんだ。」
 憎ったらしい喜びの色がさっとその女の顔に現われた。「ああ! あの人は挙げられたんですね!」と彼女は言った。「何を
したのでしょう?」
 アッタスン氏と警視とはちらりと眼を見合わせた。「あの男はあまり人に受けのいい人物ではないようですな、」と警視が言った
。「ではね、お婆さん、僕とこのお方にちょいとそこらを見せて貰いたい。」
 その老婦人さえいなければ空家であるその家全体の中で、ハイド氏はたった二室しか使っていなかったが、その二室は贅沢に
よい趣味で家具を備えつけてあった。戸棚には葡萄酒が一ぱい入っていたし、食器類は銀製だし、テーブルかけも高雅だった。
壁には立派な絵が懸っていたが、それは(アッタスンの推測では)なかなかの美術鑑識家であるヘンリー・ジーキルからの贈物で
あろう。絨毯は幾重にもなった厚いもので、色合いも気持のいいものであった。しかし、この時には、最近にあわててひっかき回した

らしい形跡がいろいろあった。衣服はポケットを裏返しにしたまま床のあたりに散らばっていたし、錠の下りるひきだしは開けっ放しに
なっていたし、炉床には、たくさんの書類を焼いたらしく、黒い灰が山になっていた。その燃え屑の中から、警視は燃え残った緑色の小
切手帳の端っこを掘り出した。例のステッキの片方の半分もドアのうしろから見つけ出された。これで彼の嫌疑が確かになったので、
警視は喜ばしいと言った。銀行へ行ってみると、数千ポンドの金がその殺人犯人の預金になっていることがわかったので、彼はすっかり満足した。
「もう大丈夫ですよ、」と彼はアッタスン氏に言った。「つかまえたも同然です。奴はよっぽどあわてたに違いありません。でなけりゃ、ステ
ッキを置き忘れたり、とりわけ、小切手帳を焼いたりなんかしなかったでしょう。だって、金はあの男にとっては命ほどに大事なものなんで
すからね。もう銀行で奴を待っていて、犯人逮捕のビラを出しさえすればいいという訳です。」
0330名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:51:07.150
アッタスン氏がジーキル博士の家の戸口へやっと辿り着いたのは、その日の午後おそくであった。彼はすぐプールに案内されて、台所の傍らを下り、もと庭園であった裏庭をよぎって
、実験室とも解剖室ともどっちにも言われている建物へつれて行かれた。博士はこの家をある有名な外科医の相続人から買いとったのであるが、彼自身の趣味は解剖よりもむしろ化
学の方だったので、庭園の奥にあるこの一棟の建物の使いみちを変えたのだった。弁護士が彼の友人の邸宅のこの部分に通されたのは初めてであった。で、彼は窓のないくすんだ
その建物を物珍しそうにじろじろ眺め、階段式になった解剖講堂を通りぬける時にはいやな奇妙な感じであたりを見回した。そこはもとは熱心な学生が一ぱいに詰めかけたものである
が、今ではもの淋しくひっそりしていて、テーブルの上には化学器械が積まれ、床には編みかごが転がり、荷造り用の藁が散らばっており、明りは霧のかかっている円天井からぼん
やりと射しこんでいた。その講堂のもっと先に階段があって、それを上ると赤い粗羅紗を張ったドアのところへ来た。そしてこのドアを通って、アッタスン氏はやっと博士の書斎へ迎え
入れられた。それは広い部屋で、周囲に硝子戸棚が取りつけられ、いろいろの物の中でも一つの姿見鏡と一つの事務用のテーブルとが備えつけてあり、鉄格子のついた三つの埃だ
らけの窓が例の路地に面して開いていた。火が炉のなかで燃えていた。ランプが一つ炉棚の上にともして置いてあった。家のなかまでも霧が深く立ちこめ始めたからである。そして、
その炉に近く、ジーキル博士がひどく元気のなさそうな顔をして腰かけていた。彼は客を迎えるために立ちあがりもせず、ただ冷たい片手をさし出して、歓待の挨拶をしたが、その声はいつもと変っていた。
「ところで、」とアッタスン氏は、プールが出て行くと直ぐに言った、「君はあの事件のことを聞いたろうね?」
 博士は身ぶるいした。「広辻のところで大声で言っていたよ、」と彼は言った。「僕はそれを食堂にいて聞いた。」
「一言だけ言っておくがね、」と弁護士が言った。「カルーは僕の依頼人だったが、君もやはりそうだ。で、僕は自分のしていることを知っておきたいのだ。君はまさかあの男
0331名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:51:16.950
アッタスン氏がジーキル博士の家の戸口へやっと辿り着いたのは、その日の午後おそくであった。彼はすぐプールに案内されて、台所の傍らを下り、もと庭園であった裏庭をよぎって
、実験室とも解剖室ともどっちにも言われている建物へつれて行かれた。博士はこの家をある有名な外科医の相続人から買いとったのであるが、彼自身の趣味は解剖よりもむしろ化
学の方だったので、庭園の奥にあるこの一棟の建物の使いみちを変えたのだった。弁護士が彼の友人の邸宅のこの部分に通されたのは初めてであった。で、彼は窓のないくすんだ
その建物を物珍しそうにじろじろ眺め、階段式になった解剖講堂を通りぬける時にはいやな奇妙な感じであたりを見回した。そこはもとは熱心な学生が一ぱいに詰めかけたものである
が、今ではもの淋しくひっそりしていて、テーブルの上には化学器械が積まれ、床には編みかごが転がり、荷造り用の藁が散らばっており、明りは霧のかかっている円天井からぼん
やりと射しこんでいた。その講堂のもっと先に階段があって、それを上ると赤い粗羅紗を張ったドアのところへ来た。そしてこのドアを通って、アッタスン氏はやっと博士の書斎へ迎え
入れられた。それは広い部屋で、周囲に硝子戸棚が取りつけられ、いろいろの物の中でも一つの姿見鏡と一つの事務用のテーブルとが備えつけてあり、鉄格子のついた三つの埃だ
らけの窓が例の路地に面して開いていた。火が炉のなかで燃えていた。ランプが一つ炉棚の上にともして置いてあった。家のなかまでも霧が深く立ちこめ始めたからである。そして、
その炉に近く、ジーキル博士がひどく元気のなさそうな顔をして腰かけていた。彼は客を迎えるために立ちあがりもせず、ただ冷たい片手をさし出して、歓待の挨拶をしたが、その声はいつもと変っていた。
「ところで、」とアッタスン氏は、プールが出て行くと直ぐに言った、「君はあの事件のことを聞いたろうね?」
 博士は身ぶるいした。「広辻のところで大声で言っていたよ、」と彼は言った。「僕はそれを食堂にいて聞いた。」
「一言だけ言っておくがね、」と弁護士が言った。「カルーは僕の依頼人だったが、君もやはりそうだ。で、僕は自分のしていることを知っておきたいのだ。君はまさかあの男
0332名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:51:25.500
アッタスン氏がジーキル博士の家の戸口へやっと辿り着いたのは、その日の午後おそくであった。彼はすぐプールに案内されて、台所の傍らを下り、もと庭園であった裏庭をよぎって
、実験室とも解剖室ともどっちにも言われている建物へつれて行かれた。博士はこの家をある有名な外科医の相続人から買いとったのであるが、彼自身の趣味は解剖よりもむしろ化
学の方だったので、庭園の奥にあるこの一棟の建物の使いみちを変えたのだった。弁護士が彼の友人の邸宅のこの部分に通されたのは初めてであった。で、彼は窓のないくすんだ
その建物を物珍しそうにじろじろ眺め、階段式になった解剖講堂を通りぬける時にはいやな奇妙な感じであたりを見回した。そこはもとは熱心な学生が一ぱいに詰めかけたものである
が、今ではもの淋しくひっそりしていて、テーブルの上には化学器械が積まれ、床には編みかごが転がり、荷造り用の藁が散らばっており、明りは霧のかかっている円天井からぼん
やりと射しこんでいた。その講堂のもっと先に階段があって、それを上ると赤い粗羅紗を張ったドアのところへ来た。そしてこのドアを通って、アッタスン氏はやっと博士の書斎へ迎え
入れられた。それは広い部屋で、周囲に硝子戸棚が取りつけられ、いろいろの物の中でも一つの姿見鏡と一つの事務用のテーブルとが備えつけてあり、鉄格子のついた三つの埃だ
らけの窓が例の路地に面して開いていた。火が炉のなかで燃えていた。ランプが一つ炉棚の上にともして置いてあった。家のなかまでも霧が深く立ちこめ始めたからである。そして、
その炉に近く、ジーキル博士がひどく元気のなさそうな顔をして腰かけていた。彼は客を迎えるために立ちあがりもせず、ただ冷たい片手をさし出して、歓待の挨拶をしたが、その声はいつもと変っていた。
「ところで、」とアッタスン氏は、プールが出て行くと直ぐに言った、「君はあの事件のことを聞いたろうね?」
 博士は身ぶるいした。「広辻のところで大声で言っていたよ、」と彼は言った。「僕はそれを食堂にいて聞いた。」
「一言だけ言っておくがね、」と弁護士が言った。「カルーは僕の依頼人だったが、君もやはりそうだ。で、僕は自分のしていることを知っておきたいのだ。君はまさかあの男
0333名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:51:40.520
アッタスン氏がジーキル博士の家の戸口へやっと辿り着いたのは、その日の午後おそくであった。彼はすぐプールに案内されて、台所の傍らを下り、もと庭園であった裏庭をよぎって
、実験室とも解剖室ともどっちにも言われている建物へつれて行かれた。博士はこの家をある有名な外科医の相続人から買いとったのであるが、彼自身の趣味は解剖よりもむしろ化
学の方だったので、庭園の奥にあるこの一棟の建物の使いみちを変えたのだった。弁護士が彼の友人の邸宅のこの部分に通されたのは初めてであった。で、彼は窓のないくすんだ
その建物を物珍しそうにじろじろ眺め、階段式になった解剖講堂を通りぬける時にはいやな奇妙な感じであたりを見回した。そこはもとは熱心な学生が一ぱいに詰めかけたものである
が、今ではもの淋しくひっそりしていて、テーブルの上には化学器械が積まれ、床には編みかごが転がり、荷造り用の藁が散らばっており、明りは霧のかかっている円天井からぼん
やりと射しこんでいた。その講堂のもっと先に階段があって、それを上ると赤い粗羅紗を張ったドアのところへ来た。そしてこのドアを通って、アッタスン氏はやっと博士の書斎へ迎え
入れられた。それは広い部屋で、周囲に硝子戸棚が取りつけられ、いろいろの物の中でも一つの姿見鏡と一つの事務用のテーブルとが備えつけてあり、鉄格子のついた三つの埃だ
らけの窓が例の路地に面して開いていた。火が炉のなかで燃えていた。ランプが一つ炉棚の上にともして置いてあった。家のなかまでも霧が深く立ちこめ始めたからである。そして、
その炉に近く、ジーキル博士がひどく元気のなさそうな顔をして腰かけていた。彼は客を迎えるために立ちあがりもせず、ただ冷たい片手をさし出して、歓待の挨拶をしたが、その声はいつもと変っていた。
「ところで、」とアッタスン氏は、プールが出て行くと直ぐに言った、「君はあの事件のことを聞いたろうね?」
 博士は身ぶるいした。「広辻のところで大声で言っていたよ、」と彼は言った。「僕はそれを食堂にいて聞いた。」
「一言だけ言っておくがね、」と弁護士が言った。「カルーは僕の依頼人だったが、君もやはりそうだ。で、僕は自分のしていることを知っておきたいのだ。君はまさかあの男
0334名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:51:59.030
アッタスン氏がジーキル博士の家の戸口へやっと辿り着いたのは、その日の午後おそくであった。彼はすぐプールに案内されて、台所の傍らを下り、もと庭園であった裏庭をよぎって
、実験室とも解剖室ともどっちにも言われている建物へつれて行かれた。博士はこの家をある有名な外科医の相続人から買いとったのであるが、彼自身の趣味は解剖よりもむしろ化
学の方だったので、庭園の奥にあるこの一棟の建物の使いみちを変えたのだった。弁護士が彼の友人の邸宅のこの部分に通されたのは初めてであった。で、彼は窓のないくすんだ
その建物を物珍しそうにじろじろ眺め、階段式になった解剖講堂を通りぬける時にはいやな奇妙な感じであたりを見回した。そこはもとは熱心な学生が一ぱいに詰めかけたものである
が、今ではもの淋しくひっそりしていて、テーブルの上には化学器械が積まれ、床には編みかごが転がり、荷造り用の藁が散らばっており、明りは霧のかかっている円天井からぼん
やりと射しこんでいた。その講堂のもっと先に階段があって、それを上ると赤い粗羅紗を張ったドアのところへ来た。そしてこのドアを通って、アッタスン氏はやっと博士の書斎へ迎え
入れられた。それは広い部屋で、周囲に硝子戸棚が取りつけられ、いろいろの物の中でも一つの姿見鏡と一つの事務用のテーブルとが備えつけてあり、鉄格子のついた三つの埃だ
らけの窓が例の路地に面して開いていた。火が炉のなかで燃えていた。ランプが一つ炉棚の上にともして置いてあった。家のなかまでも霧が深く立ちこめ始めたからである。そして、
その炉に近く、ジーキル博士がひどく元気のなさそうな顔をして腰かけていた。彼は客を迎えるために立ちあがりもせず、ただ冷たい片手をさし出して、歓待の挨拶をしたが、その声はいつもと変っていた。
「ところで、」とアッタスン氏は、プールが出て行くと直ぐに言った、「君はあの事件のことを聞いたろうね?」
 博士は身ぶるいした。「広辻のところで大声で言っていたよ、」と彼は言った。「僕はそれを食堂にいて聞いた。」
「一言だけ言っておくがね、」と弁護士が言った。「カルーは僕の依頼人だったが、君もやはりそうだ。で、僕は自分のしていることを知っておきたいのだ。君はまさかあの男
0335名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:53:24.130
 帰りがけに、弁護士は立ち止まって一言二言プールと言葉を交した。「ときに、今日手紙が届けられたそうだが、その使いの者はどんな人間だったかね?」と彼
は言った。しかしプールは郵便で来たほかには何一つ来なかったときっぱり断言した。「そしてそれも通知状のようなものばかりでした、」と彼は言いそえた。
 この知らせは帰ってゆく客の不安をまた新たにした。きっとあの手紙は実験室の戸口から渡されたのだろう。あるいは、実際、あの書斎で書かれたのかも知れ
ない。そして、もしそうだとすれば、それは違った判断をしなければならぬし、一そう慎重に取扱わねばならない。彼が歩いてゆくと、新聞売子は道ばたで声をか
らしながら叫んでいた。「号外。国会議員惨殺事件。」それは彼の依頼人である一人の知人の弔辞のようであった。そして、彼はもう一人の依頼人である友人の
名誉がこの事件の渦中に巻きこまれはしまいかと思って、ある気がかりを抑えることができなかった。彼が決めなければならぬことは、少なくとも、細心の注意
を要することであった。そして、ふだんは人に頼らないたちではあったが、彼は他人の助言がほしいと思うようになってきた。それも直接に聞くわけにはゆかなかった
。が、うまく釣り出すことはできるかも知れないと彼は思った。
 間もなく、彼は、自分の家の炉の一方に、主任事務員のゲスト氏と向い合って、腰を下ろしていた。二人の間には、炉からちょうどよい距離のところに、地下室
に永いあいだ日の目を見ずに貯えてあった特別に古い葡萄酒が一罎おいてあった。霧はなおも霞んだ市の上に翼をひろげて眠っていて、街灯は紅玉のように
かすかに輝いていた。そしてその低く深く垂れこめた息詰るような霧の中を、都会の交通機関が相変らず強風のような音を立てて大通りを通っていた。しかし室
の中は炉火の光で気持がよかった。罎の中の葡萄酒の酸はとっくの昔に溶解してしまって、その紫色は、年代を経てやわらかになっていた。ちょうど窓の色硝
子の色が年月とともに冴えてくるように。そして丘の中腹の葡萄畑に照った暑い秋の午後の日光が、今にも葡萄酒の中からとき放されて、ロンドンの霧を消散さ
せようとしているかのようであった。だんだんと弁護士は気分がやわらいできた。彼はゲスト氏には誰よりも秘密にしておくことが少なかった。そして思わぬ秘密まるかも知れない。
0336名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:53:35.090
 帰りがけに、弁護士は立ち止まって一言二言プールと言葉を交した。「ときに、今日手紙が届けられたそうだが、その使いの者はどんな人間だったかね?」と彼
は言った。しかしプールは郵便で来たほかには何一つ来なかったときっぱり断言した。「そしてそれも通知状のようなものばかりでした、」と彼は言いそえた。
 この知らせは帰ってゆく客の不安をまた新たにした。きっとあの手紙は実験室の戸口から渡されたのだろう。あるいは、実際、あの書斎で書かれたのかも知れ
ない。そして、もしそうだとすれば、それは違った判断をしなければならぬし、一そう慎重に取扱わねばならない。彼が歩いてゆくと、新聞売子は道ばたで声をか
らしながら叫んでいた。「号外。国会議員惨殺事件。」それは彼の依頼人である一人の知人の弔辞のようであった。そして、彼はもう一人の依頼人である友人の
名誉がこの事件の渦中に巻きこまれはしまいかと思って、ある気がかりを抑えることができなかった。彼が決めなければならぬことは、少なくとも、細心の注意
を要することであった。そして、ふだんは人に頼らないたちではあったが、彼は他人の助言がほしいと思うようになってきた。それも直接に聞くわけにはゆかなかった
。が、うまく釣り出すことはできるかも知れないと彼は思った。
 間もなく、彼は、自分の家の炉の一方に、主任事務員のゲスト氏と向い合って、腰を下ろしていた。二人の間には、炉からちょうどよい距離のところに、地下室
に永いあいだ日の目を見ずに貯えてあった特別に古い葡萄酒が一罎おいてあった。霧はなおも霞んだ市の上に翼をひろげて眠っていて、街灯は紅玉のように
かすかに輝いていた。そしてその低く深く垂れこめた息詰るような霧の中を、都会の交通機関が相変らず強風のような音を立てて大通りを通っていた。しかし室
の中は炉火の光で気持がよかった。罎の中の葡萄酒の酸はとっくの昔に溶解してしまって、その紫色は、年代を経てやわらかになっていた。ちょうど窓の色硝
子の色が年月とともに冴えてくるように。そして丘の中腹の葡萄畑に照った暑い秋の午後の日光が、今にも葡萄酒の中からとき放されて、ロンドンの霧を消散さ
せようとしているかのようであった。だんだんと弁護士は気分がやわらいできた。彼はゲスト氏には誰よりも秘密にしておくことが少なかった。そして思わぬ秘密まるかも知れな
0337名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:53:45.010
 帰りがけに、弁護士は立ち止まって一言二言プールと言葉を交した。「ときに、今日手紙が届けられたそうだが、その使いの者はどんな人間だったかね?」と彼
は言った。しかしプールは郵便で来たほかには何一つ来なかったときっぱり断言した。「そしてそれも通知状のようなものばかりでした、」と彼は言いそえた。
 この知らせは帰ってゆく客の不安をまた新たにした。きっとあの手紙は実験室の戸口から渡されたのだろう。あるいは、実際、あの書斎で書かれたのかも知れ
ない。そして、もしそうだとすれば、それは違った判断をしなければならぬし、一そう慎重に取扱わねばならない。彼が歩いてゆくと、新聞売子は道ばたで声をか
らしながら叫んでいた。「号外。国会議員惨殺事件。」それは彼の依頼人である一人の知人の弔辞のようであった。そして、彼はもう一人の依頼人である友人の
名誉がこの事件の渦中に巻きこまれはしまいかと思って、ある気がかりを抑えることができなかった。彼が決めなければならぬことは、少なくとも、細心の注意
を要することであった。そして、ふだんは人に頼らないたちではあったが、彼は他人の助言がほしいと思うようになってきた。それも直接に聞くわけにはゆかなかった
。が、うまく釣り出すことはできるかも知れないと彼は思った。
 間もなく、彼は、自分の家の炉の一方に、主任事務員のゲスト氏と向い合って、腰を下ろしていた。二人の間には、炉からちょうどよい距離のところに、地下室
に永いあいだ日の目を見ずに貯えてあった特別に古い葡萄酒が一罎おいてあった。霧はなおも霞んだ市の上に翼をひろげて眠っていて、街灯は紅玉のように
かすかに輝いていた。そしてその低く深く垂れこめた息詰るような霧の中を、都会の交通機関が相変らず強風のような音を立てて大通りを通っていた。しかし室
の中は炉火の光で気持がよかった。罎の中の葡萄酒の酸はとっくの昔に溶解してしまって、その紫色は、年代を経てやわらかになっていた。ちょうど窓の色硝
子の色が年月とともに冴えてくるように。そして丘の中腹の葡萄畑に照った暑い秋の午後の日光が、今にも葡萄酒の中からとき放されて、ロンドンの霧を消散さ
せようとしているかのようであった。だんだんと弁護士は気分がやわらいできた。彼はゲスト氏には誰よりも秘密にしておくことが少なかった。そして思わぬ秘密まるかも知れな
0338名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:53:57.040
 帰りがけに、弁護士は立ち止まって一言二言プールと言葉を交した。「ときに、今日手紙が届けられたそうだが、その使いの者はどんな人間だったかね?」と彼
は言った。しかしプールは郵便で来たほかには何一つ来なかったときっぱり断言した。「そしてそれも通知状のようなものばかりでした、」と彼は言いそえた。
 この知らせは帰ってゆく客の不安をまた新たにした。きっとあの手紙は実験室の戸口から渡されたのだろう。あるいは、実際、あの書斎で書かれたのかも知れ
ない。そして、もしそうだとすれば、それは違った判断をしなければならぬし、一そう慎重に取扱わねばならない。彼が歩いてゆくと、新聞売子は道ばたで声をか
らしながら叫んでいた。「号外。国会議員惨殺事件。」それは彼の依頼人である一人の知人の弔辞のようであった。そして、彼はもう一人の依頼人である友人の
名誉がこの事件の渦中に巻きこまれはしまいかと思って、ある気がかりを抑えることができなかった。彼が決めなければならぬことは、少なくとも、細心の注意
を要することであった。そして、ふだんは人に頼らないたちではあったが、彼は他人の助言がほしいと思うようになってきた。それも直接に聞くわけにはゆかなかった
。が、うまく釣り出すことはできるかも知れないと彼は思った。
 間もなく、彼は、自分の家の炉の一方に、主任事務員のゲスト氏と向い合って、腰を下ろしていた。二人の間には、炉からちょうどよい距離のところに、地下室
に永いあいだ日の目を見ずに貯えてあった特別に古い葡萄酒が一罎おいてあった。霧はなおも霞んだ市の上に翼をひろげて眠っていて、街灯は紅玉のように
かすかに輝いていた。そしてその低く深く垂れこめた息詰るような霧の中を、都会の交通機関が相変らず強風のような音を立てて大通りを通っていた。しかし室
の中は炉火の光で気持がよかった。罎の中の葡萄酒の酸はとっくの昔に溶解してしまって、その紫色は、年代を経てやわらかになっていた。ちょうど窓の色硝
子の色が年月とともに冴えてくるように。そして丘の中腹の葡萄畑に照った暑い秋の午後の日光が、今にも葡萄酒の中からとき放されて、ロンドンの霧を消散さ
せようとしているかのようであった。だんだんと弁護士は気分がやわらいできた。彼はゲスト氏には誰よりも秘密にしておくことが少なかった。そして思わぬ秘密まるかも知れな
0339名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:54:08.930
 帰りがけに、弁護士は立ち止まって一言二言プールと言葉を交した。「ときに、今日手紙が届けられたそうだが、その使いの者はどんな人間だったかね?」と彼
は言った。しかしプールは郵便で来たほかには何一つ来なかったときっぱり断言した。「そしてそれも通知状のようなものばかりでした、」と彼は言いそえた。
 この知らせは帰ってゆく客の不安をまた新たにした。きっとあの手紙は実験室の戸口から渡されたのだろう。あるいは、実際、あの書斎で書かれたのかも知れ
ない。そして、もしそうだとすれば、それは違った判断をしなければならぬし、一そう慎重に取扱わねばならない。彼が歩いてゆくと、新聞売子は道ばたで声をか
らしながら叫んでいた。「号外。国会議員惨殺事件。」それは彼の依頼人である一人の知人の弔辞のようであった。そして、彼はもう一人の依頼人である友人の
名誉がこの事件の渦中に巻きこまれはしまいかと思って、ある気がかりを抑えることができなかった。彼が決めなければならぬことは、少なくとも、細心の注意
を要することであった。そして、ふだんは人に頼らないたちではあったが、彼は他人の助言がほしいと思うようになってきた。それも直接に聞くわけにはゆかなかった
。が、うまく釣り出すことはできるかも知れないと彼は思った。
 間もなく、彼は、自分の家の炉の一方に、主任事務員のゲスト氏と向い合って、腰を下ろしていた。二人の間には、炉からちょうどよい距離のところに、地下室
に永いあいだ日の目を見ずに貯えてあった特別に古い葡萄酒が一罎おいてあった。霧はなおも霞んだ市の上に翼をひろげて眠っていて、街灯は紅玉のように
かすかに輝いていた。そしてその低く深く垂れこめた息詰るような霧の中を、都会の交通機関が相変らず強風のような音を立てて大通りを通っていた。しかし室
の中は炉火の光で気持がよかった。罎の中の葡萄酒の酸はとっくの昔に溶解してしまって、その紫色は、年代を経てやわらかになっていた。ちょうど窓の色硝
子の色が年月とともに冴えてくるように。そして丘の中腹の葡萄畑に照った暑い秋の午後の日光が、今にも葡萄酒の中からとき放されて、ロンドンの霧を消散さ
せようとしているかのようであった。だんだんと弁護士は気分がやわらいできた。彼はゲスト氏には誰よりも秘密にしておくことが少なかった。そして思わぬ秘密まるかも知れな
0340名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:54:19.640
 帰りがけに、弁護士は立ち止まって一言二言プールと言葉を交した。「ときに、今日手紙が届けられたそうだが、その使いの者はどんな人間だったかね?」と彼
は言った。しかしプールは郵便で来たほかには何一つ来なかったときっぱり断言した。「そしてそれも通知状のようなものばかりでした、」と彼は言いそえた。
 この知らせは帰ってゆく客の不安をまた新たにした。きっとあの手紙は実験室の戸口から渡されたのだろう。あるいは、実際、あの書斎で書かれたのかも知れ
ない。そして、もしそうだとすれば、それは違った判断をしなければならぬし、一そう慎重に取扱わねばならない。彼が歩いてゆくと、新聞売子は道ばたで声をか
らしながら叫んでいた。「号外。国会議員惨殺事件。」それは彼の依頼人である一人の知人の弔辞のようであった。そして、彼はもう一人の依頼人である友人の
名誉がこの事件の渦中に巻きこまれはしまいかと思って、ある気がかりを抑えることができなかった。彼が決めなければならぬことは、少なくとも、細心の注意
を要することであった。そして、ふだんは人に頼らないたちではあったが、彼は他人の助言がほしいと思うようになってきた。それも直接に聞くわけにはゆかなかった
。が、うまく釣り出すことはできるかも知れないと彼は思った。
 間もなく、彼は、自分の家の炉の一方に、主任事務員のゲスト氏と向い合って、腰を下ろしていた。二人の間には、炉からちょうどよい距離のところに、地下室
に永いあいだ日の目を見ずに貯えてあった特別に古い葡萄酒が一罎おいてあった。霧はなおも霞んだ市の上に翼をひろげて眠っていて、街灯は紅玉のように
かすかに輝いていた。そしてその低く深く垂れこめた息詰るような霧の中を、都会の交通機関が相変らず強風のような音を立てて大通りを通っていた。しかし室
の中は炉火の光で気持がよかった。罎の中の葡萄酒の酸はとっくの昔に溶解してしまって、その紫色は、年代を経てやわらかになっていた。ちょうど窓の色硝
子の色が年月とともに冴えてくるように。そして丘の中腹の葡萄畑に照った暑い秋の午後の日光が、今にも葡萄酒の中からとき放されて、ロンドンの霧を消散さ
せようとしているかのようであった。だんだんと弁護士は気分がやわらいできた。彼はゲスト氏には誰よりも秘密にしておくことが少なかった。そして思わぬ秘密まるかも知れな
0341名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:55:31.960
 時が流れた。ダンヴァーズ卿の死は公衆に対する危害として世間の憤慨をかったので、数千ポンドの懸賞金がかけられた。
しかしハイド氏は、まるで初めから存在しなかった人のように、警察の視界から消え失せてしまった。なるほど、彼の過去のこ
とが大分明るみへ出された。そのどれもみな評判のよくないものであった。その男の冷酷で凶暴な残忍さのこと、その下劣な
生活のこと、その奇妙な仲間たちのこと、これまでずっと周囲から憎悪の眼で見られていたこと、などについていろんな噂が出て
きた。しかし、彼の現在の居どころについては、ささやき一つ聞こえなかった。あの殺害の朝ソホーの家を立ち去った時から、彼
は全く姿を消してしまった。そして、時がたつにつれて、だんだんにアッタスン氏はあの烈しい驚きから回復し始め、前よりは心が
おちついてきた。ダンヴァーズ卿の死は、彼の考え方によれば、ハイド氏の失踪によって十分に償われたのであった。あの悪い
影響を及ぼす人間がいなくなったので、ジーキル博士には新しい生活が始った。彼は孤独の生活から出て、再び友人たちと交
際をするようになり、もう一度彼らの心やすい客人ともなり招待者ともなった。そして、彼は今まではずっと慈善行為で知られて
いたが、今では宗教心でもそれに劣らず有名になった。彼は忙しく活動し、多く戸外に出て、善行をつんだ。彼の顔は、社会に
奉仕をしていることを内心意識しているかのように、明るく晴れやかになったように見えた。そして二カ月以上の間、博士は平和
であった。
 一月の八日、アッタスンは博士の家へ、数人の客と共に晩餐に招かれた。ラニョンもその席にいた。そして主人の顔は、その
三人が離れられない友人であった昔のように、二人を代る代る眺めていたのであった。ところが十二日と、そしてまた十四日に、
弁護士は玄関ばらいを食わされた。「博士はお引きこもりでございまして、どなたにもお会いになりません、」とプールが言った。十五日
に彼はまた訪ねてみたが、また断わられた。彼はここ二カ月間というもの、殆ど毎日のようにその友人に会いつけていたので、博士がこ
のように孤独の生活へ返ったことは、ひどく気になった。五日目の晩に彼はゲストを招いて一しょに食事をし、六日目の晩には、ラニョン博士のところへ出かけた。
0342名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:55:41.480
 時が流れた。ダンヴァーズ卿の死は公衆に対する危害として世間の憤慨をかったので、数千ポンドの懸賞金がかけられた。
しかしハイド氏は、まるで初めから存在しなかった人のように、警察の視界から消え失せてしまった。なるほど、彼の過去のこ
とが大分明るみへ出された。そのどれもみな評判のよくないものであった。その男の冷酷で凶暴な残忍さのこと、その下劣な
生活のこと、その奇妙な仲間たちのこと、これまでずっと周囲から憎悪の眼で見られていたこと、などについていろんな噂が出て
きた。しかし、彼の現在の居どころについては、ささやき一つ聞こえなかった。あの殺害の朝ソホーの家を立ち去った時から、彼
は全く姿を消してしまった。そして、時がたつにつれて、だんだんにアッタスン氏はあの烈しい驚きから回復し始め、前よりは心が
おちついてきた。ダンヴァーズ卿の死は、彼の考え方によれば、ハイド氏の失踪によって十分に償われたのであった。あの悪い
影響を及ぼす人間がいなくなったので、ジーキル博士には新しい生活が始った。彼は孤独の生活から出て、再び友人たちと交
際をするようになり、もう一度彼らの心やすい客人ともなり招待者ともなった。そして、彼は今まではずっと慈善行為で知られて
いたが、今では宗教心でもそれに劣らず有名になった。彼は忙しく活動し、多く戸外に出て、善行をつんだ。彼の顔は、社会に
奉仕をしていることを内心意識しているかのように、明るく晴れやかになったように見えた。そして二カ月以上の間、博士は平和
であった。
 一月の八日、アッタスンは博士の家へ、数人の客と共に晩餐に招かれた。ラニョンもその席にいた。そして主人の顔は、その
三人が離れられない友人であった昔のように、二人を代る代る眺めていたのであった。ところが十二日と、そしてまた十四日に、
弁護士は玄関ばらいを食わされた。「博士はお引きこもりでございまして、どなたにもお会いになりません、」とプールが言った。十五日
に彼はまた訪ねてみたが、また断わられた。彼はここ二カ月間というもの、殆ど毎日のようにその友人に会いつけていたので、博士がこ
のように孤独の生活へ返ったことは、ひどく気になった。五日目の晩に彼はゲストを招いて一しょに食事をし、六日目の晩には、ラニョン博士のところへ出かけた。
0343名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:55:51.420
 時が流れた。ダンヴァーズ卿の死は公衆に対する危害として世間の憤慨をかったので、数千ポンドの懸賞金がかけられた。
しかしハイド氏は、まるで初めから存在しなかった人のように、警察の視界から消え失せてしまった。なるほど、彼の過去のこ
とが大分明るみへ出された。そのどれもみな評判のよくないものであった。その男の冷酷で凶暴な残忍さのこと、その下劣な
生活のこと、その奇妙な仲間たちのこと、これまでずっと周囲から憎悪の眼で見られていたこと、などについていろんな噂が出て
きた。しかし、彼の現在の居どころについては、ささやき一つ聞こえなかった。あの殺害の朝ソホーの家を立ち去った時から、彼
は全く姿を消してしまった。そして、時がたつにつれて、だんだんにアッタスン氏はあの烈しい驚きから回復し始め、前よりは心が
おちついてきた。ダンヴァーズ卿の死は、彼の考え方によれば、ハイド氏の失踪によって十分に償われたのであった。あの悪い
影響を及ぼす人間がいなくなったので、ジーキル博士には新しい生活が始った。彼は孤独の生活から出て、再び友人たちと交
際をするようになり、もう一度彼らの心やすい客人ともなり招待者ともなった。そして、彼は今まではずっと慈善行為で知られて
いたが、今では宗教心でもそれに劣らず有名になった。彼は忙しく活動し、多く戸外に出て、善行をつんだ。彼の顔は、社会に
奉仕をしていることを内心意識しているかのように、明るく晴れやかになったように見えた。そして二カ月以上の間、博士は平和
であった。
 一月の八日、アッタスンは博士の家へ、数人の客と共に晩餐に招かれた。ラニョンもその席にいた。そして主人の顔は、その
三人が離れられない友人であった昔のように、二人を代る代る眺めていたのであった。ところが十二日と、そしてまた十四日に、
弁護士は玄関ばらいを食わされた。「博士はお引きこもりでございまして、どなたにもお会いになりません、」とプールが言った。十五日
に彼はまた訪ねてみたが、また断わられた。彼はここ二カ月間というもの、殆ど毎日のようにその友人に会いつけていたので、博士がこ
のように孤独の生活へ返ったことは、ひどく気になった。五日目の晩に彼はゲストを招いて一しょに食事をし、六日目の晩には、ラニョン博士のところへ出かけた。
0344名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:56:06.340
 時が流れた。ダンヴァーズ卿の死は公衆に対する危害として世間の憤慨をかったので、数千ポンドの懸賞金がかけられた。
しかしハイド氏は、まるで初めから存在しなかった人のように、警察の視界から消え失せてしまった。なるほど、彼の過去のこ
とが大分明るみへ出された。そのどれもみな評判のよくないものであった。その男の冷酷で凶暴な残忍さのこと、その下劣な
生活のこと、その奇妙な仲間たちのこと、これまでずっと周囲から憎悪の眼で見られていたこと、などについていろんな噂が出て
きた。しかし、彼の現在の居どころについては、ささやき一つ聞こえなかった。あの殺害の朝ソホーの家を立ち去った時から、彼
は全く姿を消してしまった。そして、時がたつにつれて、だんだんにアッタスン氏はあの烈しい驚きから回復し始め、前よりは心が
おちついてきた。ダンヴァーズ卿の死は、彼の考え方によれば、ハイド氏の失踪によって十分に償われたのであった。あの悪い
影響を及ぼす人間がいなくなったので、ジーキル博士には新しい生活が始った。彼は孤独の生活から出て、再び友人たちと交
際をするようになり、もう一度彼らの心やすい客人ともなり招待者ともなった。そして、彼は今まではずっと慈善行為で知られて
いたが、今では宗教心でもそれに劣らず有名になった。彼は忙しく活動し、多く戸外に出て、善行をつんだ。彼の顔は、社会に
奉仕をしていることを内心意識しているかのように、明るく晴れやかになったように見えた。そして二カ月以上の間、博士は平和
であった。
 一月の八日、アッタスンは博士の家へ、数人の客と共に晩餐に招かれた。ラニョンもその席にいた。そして主人の顔は、その
三人が離れられない友人であった昔のように、二人を代る代る眺めていたのであった。ところが十二日と、そしてまた十四日に、
弁護士は玄関ばらいを食わされた。「博士はお引きこもりでございまして、どなたにもお会いになりません、」とプールが言った。十五日
に彼はまた訪ねてみたが、また断わられた。彼はここ二カ月間というもの、殆ど毎日のようにその友人に会いつけていたので、博士がこ
のように孤独の生活へ返ったことは、ひどく気になった。五日目の晩に彼はゲストを招いて一しょに食事をし、六日目の晩には、ラニョン博士のところへ出かけた。
0345名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:56:20.670
 時が流れた。ダンヴァーズ卿の死は公衆に対する危害として世間の憤慨をかったので、数千ポンドの懸賞金がかけられた。
しかしハイド氏は、まるで初めから存在しなかった人のように、警察の視界から消え失せてしまった。なるほど、彼の過去のこ
とが大分明るみへ出された。そのどれもみな評判のよくないものであった。その男の冷酷で凶暴な残忍さのこと、その下劣な
生活のこと、その奇妙な仲間たちのこと、これまでずっと周囲から憎悪の眼で見られていたこと、などについていろんな噂が出て
きた。しかし、彼の現在の居どころについては、ささやき一つ聞こえなかった。あの殺害の朝ソホーの家を立ち去った時から、彼
は全く姿を消してしまった。そして、時がたつにつれて、だんだんにアッタスン氏はあの烈しい驚きから回復し始め、前よりは心が
おちついてきた。ダンヴァーズ卿の死は、彼の考え方によれば、ハイド氏の失踪によって十分に償われたのであった。あの悪い
影響を及ぼす人間がいなくなったので、ジーキル博士には新しい生活が始った。彼は孤独の生活から出て、再び友人たちと交
際をするようになり、もう一度彼らの心やすい客人ともなり招待者ともなった。そして、彼は今まではずっと慈善行為で知られて
いたが、今では宗教心でもそれに劣らず有名になった。彼は忙しく活動し、多く戸外に出て、善行をつんだ。彼の顔は、社会に
奉仕をしていることを内心意識しているかのように、明るく晴れやかになったように見えた。そして二カ月以上の間、博士は平和
であった。
 一月の八日、アッタスンは博士の家へ、数人の客と共に晩餐に招かれた。ラニョンもその席にいた。そして主人の顔は、その
三人が離れられない友人であった昔のように、二人を代る代る眺めていたのであった。ところが十二日と、そしてまた十四日に、
弁護士は玄関ばらいを食わされた。「博士はお引きこもりでございまして、どなたにもお会いになりません、」とプールが言った。十五日
に彼はまた訪ねてみたが、また断わられた。彼はここ二カ月間というもの、殆ど毎日のようにその友人に会いつけていたので、博士がこ
のように孤独の生活へ返ったことは、ひどく気になった。五日目の晩に彼はゲストを招いて一しょに食事をし、六日目の晩には、ラニョン博士のところへ出かけた。
0346名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 18:56:28.390
 時が流れた。ダンヴァーズ卿の死は公衆に対する危害として世間の憤慨をかったので、数千ポンドの懸賞金がかけられた。
しかしハイド氏は、まるで初めから存在しなかった人のように、警察の視界から消え失せてしまった。なるほど、彼の過去のこ
とが大分明るみへ出された。そのどれもみな評判のよくないものであった。その男の冷酷で凶暴な残忍さのこと、その下劣な
生活のこと、その奇妙な仲間たちのこと、これまでずっと周囲から憎悪の眼で見られていたこと、などについていろんな噂が出て
きた。しかし、彼の現在の居どころについては、ささやき一つ聞こえなかった。あの殺害の朝ソホーの家を立ち去った時から、彼
は全く姿を消してしまった。そして、時がたつにつれて、だんだんにアッタスン氏はあの烈しい驚きから回復し始め、前よりは心が
おちついてきた。ダンヴァーズ卿の死は、彼の考え方によれば、ハイド氏の失踪によって十分に償われたのであった。あの悪い
影響を及ぼす人間がいなくなったので、ジーキル博士には新しい生活が始った。彼は孤独の生活から出て、再び友人たちと交
際をするようになり、もう一度彼らの心やすい客人ともなり招待者ともなった。そして、彼は今まではずっと慈善行為で知られて
いたが、今では宗教心でもそれに劣らず有名になった。彼は忙しく活動し、多く戸外に出て、善行をつんだ。彼の顔は、社会に
奉仕をしていることを内心意識しているかのように、明るく晴れやかになったように見えた。そして二カ月以上の間、博士は平和
であった。
 一月の八日、アッタスンは博士の家へ、数人の客と共に晩餐に招かれた。ラニョンもその席にいた。そして主人の顔は、その
三人が離れられない友人であった昔のように、二人を代る代る眺めていたのであった。ところが十二日と、そしてまた十四日に、
弁護士は玄関ばらいを食わされた。「博士はお引きこもりでございまして、どなたにもお会いになりません、」とプールが言った。十五日
に彼はまた訪ねてみたが、また断わられた。彼はここ二カ月間というもの、殆ど毎日のようにその友人に会いつけていたので、博士がこ
のように孤独の生活へ返ったことは、ひどく気になった。五日目の晩に彼はゲストを招いて一しょに食事をし、六日目の晩には、ラニョン博士のところへ出かけた。
0347名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:57:23.600
「それは不思議じゃないよ、」という返事だった。「僕が死んだ後、いつかはね、アッタスン、君はあるいはこのことの是非を知るようになるかもしれない。今は話す訳
にはゆかないの
だ。で、それはそうとして、もし君がそこに腰掛けてほかのことを僕と話すことができるなら、どうかゆっくりしていってくれ給え。しかし、もしその厭な
話題に触れずにおくことができないなら、後生だから帰ってくれ給え。僕はそれには我慢ができないのだから。」
 家に帰るとすぐ
、アッタスンは腰を下ろしてジーキルに手紙を書き、自分を家に入れぬことに苦情を言い、ラニョンとのこの不幸な絶交の原因を尋ねてやった。すると
翌日長い返事がきたが、それにはときどき非常に悲痛な言葉が並べられ、ところどころ意味がはっきりしないところもあった。ラニョンとの仲違いはどうにもできないも
のであった。「彼は我々の旧友を責めはしない、」とジーキルは書いていた。「しかし二人が二度と会ってはならぬという彼の意見には同感だ。私はこれからは極端な
隠遁
生活を送るつもりだ。もし私の家の扉が君に対してさえちょいちょい閉ざされることがあっても、君は驚いてはならないし、また私の友情を疑ってもならない。君は
私に


私自身の暗い路を行かせなければならない。私は何とも言いようのない懲罰と危険とを身に負うている。もし私が罪人の首であるならば、私はまた苦しむ者の首
でもあるのだ。この世がこんなに恐ろしい苦悩と恐怖とを容れる余地があるとは考えられなかった。この運命を軽減するためには、アッタスンよ、君はただ一つの事し
かなし得ない。それは私の沈黙を尊重してくれることなのだ。」アッタスンはびっくりした。ハイドの暗い影が取りのけられて、博士はもとの仕事と親交とに立ち帰って
いた
のだ。ほんの一週間前には、ゆくすえは楽しい名誉ある老年を迎えることのできそうな、あらゆる望みで微笑していたのであった。ところが今は忽ちのうちに、
友情も、心の平和も、彼の生涯の全行
0348名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:57:31.800
「それは不思議じゃないよ、」という返事だった。「僕が死んだ後、いつかはね、アッタスン、君はあるいはこのことの是非を知るようになるかもしれない。今は話す訳
にはゆかないの
だ。で、それはそうとして、もし君がそこに腰掛けてほかのことを僕と話すことができるなら、どうかゆっくりしていってくれ給え。しかし、もしその厭な
話題に触れずにおくことができないなら、後生だから帰ってくれ給え。僕はそれには我慢ができないのだから。」
 家に帰るとすぐ
、アッタスンは腰を下ろしてジーキルに手紙を書き、自分を家に入れぬことに苦情を言い、ラニョンとのこの不幸な絶交の原因を尋ねてやった。すると
翌日長い返事がきたが、それにはときどき非常に悲痛な言葉が並べられ、ところどころ意味がはっきりしないところもあった。ラニョンとの仲違いはどうにもできないも
のであった。「彼は我々の旧友を責めはしない、」とジーキルは書いていた。「しかし二人が二度と会ってはならぬという彼の意見には同感だ。私はこれからは極端な
隠遁
生活を送るつもりだ。もし私の家の扉が君に対してさえちょいちょい閉ざされることがあっても、君は驚いてはならないし、また私の友情を疑ってもならない。君は
私に


私自身の暗い路を行かせなければならない。私は何とも言いようのない懲罰と危険とを身に負うている。もし私が罪人の首であるならば、私はまた苦しむ者の首
でもあるのだ。この世がこんなに恐ろしい苦悩と恐怖とを容れる余地があるとは考えられなかった。この運命を軽減するためには、アッタスンよ、君はただ一つの事し
かなし得ない。それは私の沈黙を尊重してくれることなのだ。」アッタスンはびっくりした。ハイドの暗い影が取りのけられて、博士はもとの仕事と親交とに立ち帰って
いた
のだ。ほんの一週間前には、ゆくすえは楽しい名誉ある老年を迎えることのできそうな、あらゆる望みで微笑していたのであった。ところが今は忽ちのうちに、
友情も、心の平和も、彼の生涯の全行
0349名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:57:45.640
「それは不思議じゃないよ、」という返事だった。「僕が死んだ後、いつかはね、アッタスン、君はあるいはこのことの是非を知るようになるかもしれない。今は話す訳
にはゆかないの
だ。で、それはそうとして、もし君がそこに腰掛けてほかのことを僕と話すことができるなら、どうかゆっくりしていってくれ給え。しかし、もしその厭な
話題に触れずにおくことができないなら、後生だから帰ってくれ給え。僕はそれには我慢ができないのだから。」
 家に帰るとすぐ
、アッタスンは腰を下ろしてジーキルに手紙を書き、自分を家に入れぬことに苦情を言い、ラニョンとのこの不幸な絶交の原因を尋ねてやった。すると
翌日長い返事がきたが、それにはときどき非常に悲痛な言葉が並べられ、ところどころ意味がはっきりしないところもあった。ラニョンとの仲違いはどうにもできないも
のであった。「彼は我々の旧友を責めはしない、」とジーキルは書いていた。「しかし二人が二度と会ってはならぬという彼の意見には同感だ。私はこれからは極端な
隠遁
生活を送るつもりだ。もし私の家の扉が君に対してさえちょいちょい閉ざされることがあっても、君は驚いてはならないし、また私の友情を疑ってもならない。君は
私に


私自身の暗い路を行かせなければならない。私は何とも言いようのない懲罰と危険とを身に負うている。もし私が罪人の首であるならば、私はまた苦しむ者の首
でもあるのだ。この世がこんなに恐ろしい苦悩と恐怖とを容れる余地があるとは考えられなかった。この運命を軽減するためには、アッタスンよ、君はただ一つの事し
かなし得ない。それは私の沈黙を尊重してくれることなのだ。」アッタスンはびっくりした。ハイドの暗い影が取りのけられて、博士はもとの仕事と親交とに立ち帰って
いた
のだ。ほんの一週間前には、ゆくすえは楽しい名誉ある老年を迎えることのできそうな、あらゆる望みで微笑していたのであった。ところが今は忽ちのうちに、
友情も、心の平和も、彼の生涯の全行
0350名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:57:59.090
「それは不思議じゃないよ、」という返事だった。「僕が死んだ後、いつかはね、アッタスン、君はあるいはこのことの是非を知るようになるかもしれない。今は話す訳
にはゆかないの
だ。で、それはそうとして、もし君がそこに腰掛けてほかのことを僕と話すことができるなら、どうかゆっくりしていってくれ給え。しかし、もしその厭な
話題に触れずにおくことができないなら、後生だから帰ってくれ給え。僕はそれには我慢ができないのだから。」
 家に帰るとすぐ
、アッタスンは腰を下ろしてジーキルに手紙を書き、自分を家に入れぬことに苦情を言い、ラニョンとのこの不幸な絶交の原因を尋ねてやった。すると
翌日長い返事がきたが、それにはときどき非常に悲痛な言葉が並べられ、ところどころ意味がはっきりしないところもあった。ラニョンとの仲違いはどうにもできないも
のであった。「彼は我々の旧友を責めはしない、」とジーキルは書いていた。「しかし二人が二度と会ってはならぬという彼の意見には同感だ。私はこれからは極端な
隠遁
生活を送るつもりだ。もし私の家の扉が君に対してさえちょいちょい閉ざされることがあっても、君は驚いてはならないし、また私の友情を疑ってもならない。君は
私に


私自身の暗い路を行かせなければならない。私は何とも言いようのない懲罰と危険とを身に負うている。もし私が罪人の首であるならば、私はまた苦しむ者の首
でもあるのだ。この世がこんなに恐ろしい苦悩と恐怖とを容れる余地があるとは考えられなかった。この運命を軽減するためには、アッタスンよ、君はただ一つの事し
かなし得ない。それは私の沈黙を尊重してくれることなのだ。」アッタスンはびっくりした。ハイドの暗い影が取りのけられて、博士はもとの仕事と親交とに立ち帰って
いた
のだ。ほんの一週間前には、ゆくすえは楽しい名誉ある老年を迎えることのできそうな、あらゆる望みで微笑していたのであった。ところが今は忽ちのうちに、
友情も、心の平和も、彼の生涯の全行
0351名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:58:07.700
「それは不思議じゃないよ、」という返事だった。「僕が死んだ後、いつかはね、アッタスン、君はあるいはこのことの是非を知るようになるかもしれない。今は話す訳
にはゆかないの
だ。で、それはそうとして、もし君がそこに腰掛けてほかのことを僕と話すことができるなら、どうかゆっくりしていってくれ給え。しかし、もしその厭な
話題に触れずにおくことができないなら、後生だから帰ってくれ給え。僕はそれには我慢ができないのだから。」
 家に帰るとすぐ
、アッタスンは腰を下ろしてジーキルに手紙を書き、自分を家に入れぬことに苦情を言い、ラニョンとのこの不幸な絶交の原因を尋ねてやった。すると
翌日長い返事がきたが、それにはときどき非常に悲痛な言葉が並べられ、ところどころ意味がはっきりしないところもあった。ラニョンとの仲違いはどうにもできないも
のであった。「彼は我々の旧友を責めはしない、」とジーキルは書いていた。「しかし二人が二度と会ってはならぬという彼の意見には同感だ。私はこれからは極端な
隠遁
生活を送るつもりだ。もし私の家の扉が君に対してさえちょいちょい閉ざされることがあっても、君は驚いてはならないし、また私の友情を疑ってもならない。君は
私に


私自身の暗い路を行かせなければならない。私は何とも言いようのない懲罰と危険とを身に負うている。もし私が罪人の首であるならば、私はまた苦しむ者の首
でもあるのだ。この世がこんなに恐ろしい苦悩と恐怖とを容れる余地があるとは考えられなかった。この運命を軽減するためには、アッタスンよ、君はただ一つの事し
かなし得ない。それは私の沈黙を尊重してくれることなのだ。」アッタスンはびっくりした。ハイドの暗い影が取りのけられて、博士はもとの仕事と親交とに立ち帰って
いた
のだ。ほんの一週間前には、ゆくすえは楽しい名誉ある老年を迎えることのできそうな、あらゆる望みで微笑していたのであった。ところが今は忽ちのうちに、
友情も、心の平和も、彼の生涯の全行
0352名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:58:51.940
「親展。J・G・アッタスンの手にのみ開封さるべし、彼が先立ちて死する場合は読まれずして破棄さるべきこと、
」とそれにはそうはっきりと上書きしてあった。そして弁護士はその内容を見るのを恐れた。「わたしは今日一人の
友人を葬った。これを見たためにもう一人の友人を失うようなことにでもなったらどうしよう?」と彼は考えた。しかし、
彼はすぐにこの恐れを不忠実だと反省して、封を破った。中にはもう一通の封書があって、同じように封緘し、表には
「ヘンリー・ジーキル博士の死亡乃至は失踪まで開封せられざること、」と記されてあった。アッタスンは自分の眼を信ず
ることができなかった。そうだ、失踪とある。ここにもまた、彼がもうずっと前にその筆者に返してしまったあの気違いじみた遺言
書のなかにあったように、失踪ということとヘンリー・ジーキルの名前とが結びつけられているのだ。しかし、あの遺言書では、
その考えはハイドという男の陰険な入れ知恵から出ていたのであった。それは全く余りにも明白な怖ろしい目論を[#「目論を」は
ママ]もってそこに※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)入されたのだ。ところが、ラニョンの字で書かれ
たとなると、それはどういうことを意味するのだろう? 禁止をやぶってすぐさまこの不思議なことの底まで探ってみたいという強い好奇心が
おこった。しかし職業上の名誉と亡き友に対する信義とは、その被委託者にとって峻厳な義務であった。で、その包みは彼の私用金庫の一
番奥にそのままにしておかれた。
 好奇心を抑えることと、それに打ち勝つこととは、別のことである。その日からのち、アッタスンが彼の生き残っている友人との交際を、前と同
じように熱望したかどうかは、疑わしい。彼はその友人のことを好意をもって考えた。しかし、彼の思いは不安で恐ろしいものだった。いかにも彼は訪
ねには行ったつもいつもこういう変らぬ報告を聞かされるので、だんだんと訪問するのを少なくするようになった。
0353名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:59:00.590
「親展。J・G・アッタスンの手にのみ開封さるべし、彼が先立ちて死する場合は読まれずして破棄さるべきこと、
」とそれにはそうはっきりと上書きしてあった。そして弁護士はその内容を見るのを恐れた。「わたしは今日一人の
友人を葬った。これを見たためにもう一人の友人を失うようなことにでもなったらどうしよう?」と彼は考えた。しかし、
彼はすぐにこの恐れを不忠実だと反省して、封を破った。中にはもう一通の封書があって、同じように封緘し、表には
「ヘンリー・ジーキル博士の死亡乃至は失踪まで開封せられざること、」と記されてあった。アッタスンは自分の眼を信ず
ることができなかった。そうだ、失踪とある。ここにもまた、彼がもうずっと前にその筆者に返してしまったあの気違いじみた遺言
書のなかにあったように、失踪ということとヘンリー・ジーキルの名前とが結びつけられているのだ。しかし、あの遺言書では、
その考えはハイドという男の陰険な入れ知恵から出ていたのであった。それは全く余りにも明白な怖ろしい目論を[#「目論を」は
ママ]もってそこに※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)入されたのだ。ところが、ラニョンの字で書かれ
たとなると、それはどういうことを意味するのだろう? 禁止をやぶってすぐさまこの不思議なことの底まで探ってみたいという強い好奇心が
おこった。しかし職業上の名誉と亡き友に対する信義とは、その被委託者にとって峻厳な義務であった。で、その包みは彼の私用金庫の一
番奥にそのままにしておかれた。
 好奇心を抑えることと、それに打ち勝つこととは、別のことである。その日からのち、アッタスンが彼の生き残っている友人との交際を、前と同
じように熱望したかどうかは、疑わしい。彼はその友人のことを好意をもって考えた。しかし、彼の思いは不安で恐ろしいものだった。いかにも彼は訪
ねには行ったつもいつもこういう変らぬ報告を聞かされるので、だんだんと訪問するのを少なくするようになった。
0354名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:59:09.200
「親展。J・G・アッタスンの手にのみ開封さるべし、彼が先立ちて死する場合は読まれずして破棄さるべきこと、
」とそれにはそうはっきりと上書きしてあった。そして弁護士はその内容を見るのを恐れた。「わたしは今日一人の
友人を葬った。これを見たためにもう一人の友人を失うようなことにでもなったらどうしよう?」と彼は考えた。しかし、
彼はすぐにこの恐れを不忠実だと反省して、封を破った。中にはもう一通の封書があって、同じように封緘し、表には
「ヘンリー・ジーキル博士の死亡乃至は失踪まで開封せられざること、」と記されてあった。アッタスンは自分の眼を信ず
ることができなかった。そうだ、失踪とある。ここにもまた、彼がもうずっと前にその筆者に返してしまったあの気違いじみた遺言
書のなかにあったように、失踪ということとヘンリー・ジーキルの名前とが結びつけられているのだ。しかし、あの遺言書では、
その考えはハイドという男の陰険な入れ知恵から出ていたのであった。それは全く余りにも明白な怖ろしい目論を[#「目論を」は
ママ]もってそこに※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)入されたのだ。ところが、ラニョンの字で書かれ
たとなると、それはどういうことを意味するのだろう? 禁止をやぶってすぐさまこの不思議なことの底まで探ってみたいという強い好奇心が
おこった。しかし職業上の名誉と亡き友に対する信義とは、その被委託者にとって峻厳な義務であった。で、その包みは彼の私用金庫の一
番奥にそのままにしておかれた。
 好奇心を抑えることと、それに打ち勝つこととは、別のことである。その日からのち、アッタスンが彼の生き残っている友人との交際を、前と同
じように熱望したかどうかは、疑わしい。彼はその友人のことを好意をもって考えた。しかし、彼の思いは不安で恐ろしいものだった。いかにも彼は訪
ねには行ったつもいつもこういう変らぬ報告を聞かされるので、だんだんと訪問するのを少なくするようになった。
0355名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:59:22.260
「親展。J・G・アッタスンの手にのみ開封さるべし、彼が先立ちて死する場合は読まれずして破棄さるべきこと、
」とそれにはそうはっきりと上書きしてあった。そして弁護士はその内容を見るのを恐れた。「わたしは今日一人の
友人を葬った。これを見たためにもう一人の友人を失うようなことにでもなったらどうしよう?」と彼は考えた。しかし、
彼はすぐにこの恐れを不忠実だと反省して、封を破った。中にはもう一通の封書があって、同じように封緘し、表には
「ヘンリー・ジーキル博士の死亡乃至は失踪まで開封せられざること、」と記されてあった。アッタスンは自分の眼を信ず
ることができなかった。そうだ、失踪とある。ここにもまた、彼がもうずっと前にその筆者に返してしまったあの気違いじみた遺言
書のなかにあったように、失踪ということとヘンリー・ジーキルの名前とが結びつけられているのだ。しかし、あの遺言書では、
その考えはハイドという男の陰険な入れ知恵から出ていたのであった。それは全く余りにも明白な怖ろしい目論を[#「目論を」は
ママ]もってそこに※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)入されたのだ。ところが、ラニョンの字で書かれ
たとなると、それはどういうことを意味するのだろう? 禁止をやぶってすぐさまこの不思議なことの底まで探ってみたいという強い好奇心が
おこった。しかし職業上の名誉と亡き友に対する信義とは、その被委託者にとって峻厳な義務であった。で、その包みは彼の私用金庫の一
番奥にそのままにしておかれた。
 好奇心を抑えることと、それに打ち勝つこととは、別のことである。その日からのち、アッタスンが彼の生き残っている友人との交際を、前と同
じように熱望したかどうかは、疑わしい。彼はその友人のことを好意をもって考えた。しかし、彼の思いは不安で恐ろしいものだった。いかにも彼は訪
ねには行ったつもいつもこういう変らぬ報告を聞かされるので、だんだんと訪問するのを少なくするようになった。
0356名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:59:34.200
「親展。J・G・アッタスンの手にのみ開封さるべし、彼が先立ちて死する場合は読まれずして破棄さるべきこと、
」とそれにはそうはっきりと上書きしてあった。そして弁護士はその内容を見るのを恐れた。「わたしは今日一人の
友人を葬った。これを見たためにもう一人の友人を失うようなことにでもなったらどうしよう?」と彼は考えた。しかし、
彼はすぐにこの恐れを不忠実だと反省して、封を破った。中にはもう一通の封書があって、同じように封緘し、表には
「ヘンリー・ジーキル博士の死亡乃至は失踪まで開封せられざること、」と記されてあった。アッタスンは自分の眼を信ず
ることができなかった。そうだ、失踪とある。ここにもまた、彼がもうずっと前にその筆者に返してしまったあの気違いじみた遺言
書のなかにあったように、失踪ということとヘンリー・ジーキルの名前とが結びつけられているのだ。しかし、あの遺言書では、
その考えはハイドという男の陰険な入れ知恵から出ていたのであった。それは全く余りにも明白な怖ろしい目論を[#「目論を」は
ママ]もってそこに※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)入されたのだ。ところが、ラニョンの字で書かれ
たとなると、それはどういうことを意味するのだろう? 禁止をやぶってすぐさまこの不思議なことの底まで探ってみたいという強い好奇心が
おこった。しかし職業上の名誉と亡き友に対する信義とは、その被委託者にとって峻厳な義務であった。で、その包みは彼の私用金庫の一
番奥にそのままにしておかれた。
 好奇心を抑えることと、それに打ち勝つこととは、別のことである。その日からのち、アッタスンが彼の生き残っている友人との交際を、前と同
じように熱望したかどうかは、疑わしい。彼はその友人のことを好意をもって考えた。しかし、彼の思いは不安で恐ろしいものだった。いかにも彼は訪
ねには行ったつもいつもこういう変らぬ報告を聞かされるので、だんだんと訪問するのを少なくするようになった。
0357名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 18:59:44.870
「親展。J・G・アッタスンの手にのみ開封さるべし、彼が先立ちて死する場合は読まれずして破棄さるべきこと、
」とそれにはそうはっきりと上書きしてあった。そして弁護士はその内容を見るのを恐れた。「わたしは今日一人の
友人を葬った。これを見たためにもう一人の友人を失うようなことにでもなったらどうしよう?」と彼は考えた。しかし、
彼はすぐにこの恐れを不忠実だと反省して、封を破った。中にはもう一通の封書があって、同じように封緘し、表には
「ヘンリー・ジーキル博士の死亡乃至は失踪まで開封せられざること、」と記されてあった。アッタスンは自分の眼を信ず
ることができなかった。そうだ、失踪とある。ここにもまた、彼がもうずっと前にその筆者に返してしまったあの気違いじみた遺言
書のなかにあったように、失踪ということとヘンリー・ジーキルの名前とが結びつけられているのだ。しかし、あの遺言書では、
その考えはハイドという男の陰険な入れ知恵から出ていたのであった。それは全く余りにも明白な怖ろしい目論を[#「目論を」は
ママ]もってそこに※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)入されたのだ。ところが、ラニョンの字で書かれ
たとなると、それはどういうことを意味するのだろう? 禁止をやぶってすぐさまこの不思議なことの底まで探ってみたいという強い好奇心が
おこった。しかし職業上の名誉と亡き友に対する信義とは、その被委託者にとって峻厳な義務であった。で、その包みは彼の私用金庫の一
番奥にそのままにしておかれた。
 好奇心を抑えることと、それに打ち勝つこととは、別のことである。その日からのち、アッタスンが彼の生き残っている友人との交際を、前と同
じように熱望したかどうかは、疑わしい。彼はその友人のことを好意をもって考えた。しかし、彼の思いは不安で恐ろしいものだった。いかにも彼は訪
ねには行ったつもいつもこういう変らぬ報告を聞かされるので、だんだんと訪問するのを少なくするようになった。
0358名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:00:45.490
「僕はどうも元気がなくてね、アッタスン、」と博士は陰気に答えた。「どうも元気がないのだ。有難いことには、これも永いことではあるまい。」
「君はあんまり家の中にばかりい過ぎるんだ、」と弁護士が言った。「外へ出て、エンフィールド
君や僕のように血液の循環をよくしなければいけない。(これは僕の従弟で、――エンフィールド君
だ、――ジーキル博士だよ。)さあ来給え。帽子を持ってきて[#「持ってきて」は底本では「持っきて」]、僕たちと一緒に元気よく散歩し給え。」
「御親切はまことに有難い、」と相手は溜息をつくような声で言った。「僕もそうしたいのは山々なん
だ。が、いや、いや、いや、それはとてもできないのだ。僕にはできないんだ。しかし実際、アッタスン
、よく来てくれたね。全く非常に嬉しいことだ。僕は君とエンフィールド君に上って貰いたいのだが、しかし、こんなところでどうもね。」
「なあに、それなら、」と弁護士は愛想よく言った、「僕たちがこのままにしていて、ここから君と話をす
ることにすれば一番いい。」
「それはちょうど僕がお願いしようと思っていたことだよ、」と博士は微笑しながら答えた。けれどもその
言葉が言い終るか終らないうちに、その微笑はさっと彼の顔から消えてしまい、目もあてられぬような
恐怖と絶望の表情に変ったので、窓下にいる二人は血までも凍るような気がした。窓がすぐにぴしゃりと下ろさ
れたので、二人はそれをほんのちらりと一目見ただけであった。しかしその一目で十分だった。彼らは一言も言わずに
ひき返してその路地を出た。やはり無言のままで彼らはあの横町をよぎった。そして日曜日でさえ相変らずいくらか賑
わっている近くの大通りへ出て来てから初めて、アッタスン氏はやっと振りかえって連れの顔を見た。彼らは二人とも真っ蒼だった。そして、眼にも同じような恐怖の色があった。
「ああ困ったことになった! 困ったことになった!」とアッタスン氏が言った。
 しかしエンフィールド氏はひどく真面目な顔をしてただ頷いただけであった。そしてまただまって歩き続けた。
0359名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:00:58.450
「僕はどうも元気がなくてね、アッタスン、」と博士は陰気に答えた。「どうも元気がないのだ。有難いことには、これも永いことではあるまい。」
「君はあんまり家の中にばかりい過ぎるんだ、」と弁護士が言った。「外へ出て、エンフィールド
君や僕のように血液の循環をよくしなければいけない。(これは僕の従弟で、――エンフィールド君
だ、――ジーキル博士だよ。)さあ来給え。帽子を持ってきて[#「持ってきて」は底本では「持っきて」]、僕たちと一緒に元気よく散歩し給え。」
「御親切はまことに有難い、」と相手は溜息をつくような声で言った。「僕もそうしたいのは山々なん
だ。が、いや、いや、いや、それはとてもできないのだ。僕にはできないんだ。しかし実際、アッタスン
、よく来てくれたね。全く非常に嬉しいことだ。僕は君とエンフィールド君に上って貰いたいのだが、しかし、こんなところでどうもね。」
「なあに、それなら、」と弁護士は愛想よく言った、「僕たちがこのままにしていて、ここから君と話をす
ることにすれば一番いい。」
「それはちょうど僕がお願いしようと思っていたことだよ、」と博士は微笑しながら答えた。けれどもその
言葉が言い終るか終らないうちに、その微笑はさっと彼の顔から消えてしまい、目もあてられぬような
恐怖と絶望の表情に変ったので、窓下にいる二人は血までも凍るような気がした。窓がすぐにぴしゃりと下ろさ
れたので、二人はそれをほんのちらりと一目見ただけであった。しかしその一目で十分だった。彼らは一言も言わずに
ひき返してその路地を出た。やはり無言のままで彼らはあの横町をよぎった。そして日曜日でさえ相変らずいくらか賑
わっている近くの大通りへ出て来てから初めて、アッタスン氏はやっと振りかえって連れの顔を見た。彼らは二人とも真っ蒼だった。そして、眼にも同じような恐怖の色があった。
「ああ困ったことになった! 困ったことになった!」とアッタスン氏が言った。
 しかしエンフィールド氏はひどく真面目な顔をしてただ頷いただけであった。そしてまただまって歩き続けた。
0360名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:01:08.640
「僕はどうも元気がなくてね、アッタスン、」と博士は陰気に答えた。「どうも元気がないのだ。有難いことには、これも永いことではあるまい。」
「君はあんまり家の中にばかりい過ぎるんだ、」と弁護士が言った。「外へ出て、エンフィールド
君や僕のように血液の循環をよくしなければいけない。(これは僕の従弟で、――エンフィールド君
だ、――ジーキル博士だよ。)さあ来給え。帽子を持ってきて[#「持ってきて」は底本では「持っきて」]、僕たちと一緒に元気よく散歩し給え。」
「御親切はまことに有難い、」と相手は溜息をつくような声で言った。「僕もそうしたいのは山々なん
だ。が、いや、いや、いや、それはとてもできないのだ。僕にはできないんだ。しかし実際、アッタスン
、よく来てくれたね。全く非常に嬉しいことだ。僕は君とエンフィールド君に上って貰いたいのだが、しかし、こんなところでどうもね。」
「なあに、それなら、」と弁護士は愛想よく言った、「僕たちがこのままにしていて、ここから君と話をす
ることにすれば一番いい。」
「それはちょうど僕がお願いしようと思っていたことだよ、」と博士は微笑しながら答えた。けれどもその
言葉が言い終るか終らないうちに、その微笑はさっと彼の顔から消えてしまい、目もあてられぬような
恐怖と絶望の表情に変ったので、窓下にいる二人は血までも凍るような気がした。窓がすぐにぴしゃりと下ろさ
れたので、二人はそれをほんのちらりと一目見ただけであった。しかしその一目で十分だった。彼らは一言も言わずに
ひき返してその路地を出た。やはり無言のままで彼らはあの横町をよぎった。そして日曜日でさえ相変らずいくらか賑
わっている近くの大通りへ出て来てから初めて、アッタスン氏はやっと振りかえって連れの顔を見た。彼らは二人とも真っ蒼だった。そして、眼にも同じような恐怖の色があった。
「ああ困ったことになった! 困ったことになった!」とアッタスン氏が言った。
 しかしエンフィールド氏はひどく真面目な顔をしてただ頷いただけであった。そしてまただまって歩き続けた。
0361名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:01:16.240
「僕はどうも元気がなくてね、アッタスン、」と博士は陰気に答えた。「どうも元気がないのだ。有難いことには、これも永いことではあるまい。」
「君はあんまり家の中にばかりい過ぎるんだ、」と弁護士が言った。「外へ出て、エンフィールド
君や僕のように血液の循環をよくしなければいけない。(これは僕の従弟で、――エンフィールド君
だ、――ジーキル博士だよ。)さあ来給え。帽子を持ってきて[#「持ってきて」は底本では「持っきて」]、僕たちと一緒に元気よく散歩し給え。」
「御親切はまことに有難い、」と相手は溜息をつくような声で言った。「僕もそうしたいのは山々なん
だ。が、いや、いや、いや、それはとてもできないのだ。僕にはできないんだ。しかし実際、アッタスン
、よく来てくれたね。全く非常に嬉しいことだ。僕は君とエンフィールド君に上って貰いたいのだが、しかし、こんなところでどうもね。」
「なあに、それなら、」と弁護士は愛想よく言った、「僕たちがこのままにしていて、ここから君と話をす
ることにすれば一番いい。」
「それはちょうど僕がお願いしようと思っていたことだよ、」と博士は微笑しながら答えた。けれどもその
言葉が言い終るか終らないうちに、その微笑はさっと彼の顔から消えてしまい、目もあてられぬような
恐怖と絶望の表情に変ったので、窓下にいる二人は血までも凍るような気がした。窓がすぐにぴしゃりと下ろさ
れたので、二人はそれをほんのちらりと一目見ただけであった。しかしその一目で十分だった。彼らは一言も言わずに
ひき返してその路地を出た。やはり無言のままで彼らはあの横町をよぎった。そして日曜日でさえ相変らずいくらか賑
わっている近くの大通りへ出て来てから初めて、アッタスン氏はやっと振りかえって連れの顔を見た。彼らは二人とも真っ蒼だった。そして、眼にも同じような恐怖の色があった。
「ああ困ったことになった! 困ったことになった!」とアッタスン氏が言った。
 しかしエンフィールド氏はひどく真面目な顔をしてただ頷いただけであった。そしてまただまって歩き続けた。
0362名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:01:31.090
「僕はどうも元気がなくてね、アッタスン、」と博士は陰気に答えた。「どうも元気がないのだ。有難いことには、これも永いことではあるまい。」
「君はあんまり家の中にばかりい過ぎるんだ、」と弁護士が言った。「外へ出て、エンフィールド
君や僕のように血液の循環をよくしなければいけない。(これは僕の従弟で、――エンフィールド君
だ、――ジーキル博士だよ。)さあ来給え。帽子を持ってきて[#「持ってきて」は底本では「持っきて」]、僕たちと一緒に元気よく散歩し給え。」
「御親切はまことに有難い、」と相手は溜息をつくような声で言った。「僕もそうしたいのは山々なん
だ。が、いや、いや、いや、それはとてもできないのだ。僕にはできないんだ。しかし実際、アッタスン
、よく来てくれたね。全く非常に嬉しいことだ。僕は君とエンフィールド君に上って貰いたいのだが、しかし、こんなところでどうもね。」
「なあに、それなら、」と弁護士は愛想よく言った、「僕たちがこのままにしていて、ここから君と話をす
ることにすれば一番いい。」
「それはちょうど僕がお願いしようと思っていたことだよ、」と博士は微笑しながら答えた。けれどもその
言葉が言い終るか終らないうちに、その微笑はさっと彼の顔から消えてしまい、目もあてられぬような
恐怖と絶望の表情に変ったので、窓下にいる二人は血までも凍るような気がした。窓がすぐにぴしゃりと下ろさ
れたので、二人はそれをほんのちらりと一目見ただけであった。しかしその一目で十分だった。彼らは一言も言わずに
ひき返してその路地を出た。やはり無言のままで彼らはあの横町をよぎった。そして日曜日でさえ相変らずいくらか賑
わっている近くの大通りへ出て来てから初めて、アッタスン氏はやっと振りかえって連れの顔を見た。彼らは二人とも真っ蒼だった。そして、眼にも同じような恐怖の色があった。
「ああ困ったことになった! 困ったことになった!」とアッタスン氏が言った。
 しかしエンフィールド氏はひどく真面目な顔をしてただ頷いただけであった。そしてまただまって歩き続けた。
0363名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:02:28.010
 アッタスン氏がある夜、夕食のあとで炉ばたに腰かけていると、プールが訪ねてきて驚かされた。
「おやおや、プール、どうしてここへやって来たのだい?」と彼は大声で言った。それからプー
ルをもう一度見て、「どうかしたのかい?」と言いたした、「博士がお悪いのか。」
「アッタスンさま、」とその男が言った。「どうも少し変なのでございます。」

そこへお掛け。そしてまあこの葡萄酒を一杯飲むのだ、」と弁護士が言った。「さあ、ゆっくりしておまえ
の言いたいことをはっきり言っておくれ。」
「あなたさまは博士の習慣をご存じでいらっしゃいますね、」とプールが答えた。「博士がよくとじこもって
おしまいになることも。ところが、また書斎にとじこもられたのでございます。

にはあれが気にかかるのですよ、――ほんとうに気にかかるのでございます。アッタスンさま、私は心配なのでございます。」
「ねえ、おまえ、」と弁護士が言った。「隠さずに言ってくれ。何がおまえに心配なのだ?」

「私は一週間ばかり前からずっと心配して参りました、」とプールは頑固に相手の質問をそらして答えた。「そしてもうとても我慢ができません。」
 その男の様子はその言葉がほんとうであることをちゃんと証拠立てていた。彼の挙動は一そう悪くなった。そして、初めに自分の恐怖を知らせた時のほかは、弁護士の顔を一
度もまともに見なかった。今でさえ、まだ口もつけない葡萄酒のコップを膝の上に置いたまま掛けていて、その眼は床の一隅にむけられていた。「私にはもうとても我慢ができません、」と彼はまた言った。

「さあさあ、」と弁護士が言った、「おまえの言うことには何かもっともな理由があるということはわたしにはわかるよ、プール。何かひどく不都合
なことがあるということはわかる。それがどんなことだかわたしに言ってみて御覧。」
「人殺しか何かがあったのだと私は思います、」とプールはしわがれた声で言った。
「人殺しだと!」と弁護士は、非常に驚いて、それで幾らか腹立たしくなって、叫んだ。「どんな人殺しなんだ? この男は何のことを言っているのだ?」
0364名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:02:37.850
 アッタスン氏がある夜、夕食のあとで炉ばたに腰かけていると、プールが訪ねてきて驚かされた。
「おやおや、プール、どうしてここへやって来たのだい?」と彼は大声で言った。それからプー
ルをもう一度見て、「どうかしたのかい?」と言いたした、「博士がお悪いのか。」
「アッタスンさま、」とその男が言った。「どうも少し変なのでございます。」

そこへお掛け。そしてまあこの葡萄酒を一杯飲むのだ、」と弁護士が言った。「さあ、ゆっくりしておまえ
の言いたいことをはっきり言っておくれ。」
「あなたさまは博士の習慣をご存じでいらっしゃいますね、」とプールが答えた。「博士がよくとじこもって
おしまいになることも。ところが、また書斎にとじこもられたのでございます。

にはあれが気にかかるのですよ、――ほんとうに気にかかるのでございます。アッタスンさま、私は心配なのでございます。」
「ねえ、おまえ、」と弁護士が言った。「隠さずに言ってくれ。何がおまえに心配なのだ?」

「私は一週間ばかり前からずっと心配して参りました、」とプールは頑固に相手の質問をそらして答えた。「そしてもうとても我慢ができません。」
 その男の様子はその言葉がほんとうであることをちゃんと証拠立てていた。彼の挙動は一そう悪くなった。そして、初めに自分の恐怖を知らせた時のほかは、弁護士の顔を一
度もまともに見なかった。今でさえ、まだ口もつけない葡萄酒のコップを膝の上に置いたまま掛けていて、その眼は床の一隅にむけられていた。「私にはもうとても我慢ができません、」と彼はまた言った。

「さあさあ、」と弁護士が言った、「おまえの言うことには何かもっともな理由があるということはわたしにはわかるよ、プール。何かひどく不都合
なことがあるということはわかる。それがどんなことだかわたしに言ってみて御覧。」
「人殺しか何かがあったのだと私は思います、」とプールはしわがれた声で言った。
「人殺しだと!」と弁護士は、非常に驚いて、それで幾らか腹立たしくなって、叫んだ。「どんな人殺しなんだ? この男は何のことを言っているのだ?」
0365名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:02:47.480
 アッタスン氏がある夜、夕食のあとで炉ばたに腰かけていると、プールが訪ねてきて驚かされた。
「おやおや、プール、どうしてここへやって来たのだい?」と彼は大声で言った。それからプー
ルをもう一度見て、「どうかしたのかい?」と言いたした、「博士がお悪いのか。」
「アッタスンさま、」とその男が言った。「どうも少し変なのでございます。」

そこへお掛け。そしてまあこの葡萄酒を一杯飲むのだ、」と弁護士が言った。「さあ、ゆっくりしておまえ
の言いたいことをはっきり言っておくれ。」
「あなたさまは博士の習慣をご存じでいらっしゃいますね、」とプールが答えた。「博士がよくとじこもって
おしまいになることも。ところが、また書斎にとじこもられたのでございます。

にはあれが気にかかるのですよ、――ほんとうに気にかかるのでございます。アッタスンさま、私は心配なのでございます。」
「ねえ、おまえ、」と弁護士が言った。「隠さずに言ってくれ。何がおまえに心配なのだ?」

「私は一週間ばかり前からずっと心配して参りました、」とプールは頑固に相手の質問をそらして答えた。「そしてもうとても我慢ができません。」
 その男の様子はその言葉がほんとうであることをちゃんと証拠立てていた。彼の挙動は一そう悪くなった。そして、初めに自分の恐怖を知らせた時のほかは、弁護士の顔を一
度もまともに見なかった。今でさえ、まだ口もつけない葡萄酒のコップを膝の上に置いたまま掛けていて、その眼は床の一隅にむけられていた。「私にはもうとても我慢ができません、」と彼はまた言った。

「さあさあ、」と弁護士が言った、「おまえの言うことには何かもっともな理由があるということはわたしにはわかるよ、プール。何かひどく不都合
なことがあるということはわかる。それがどんなことだかわたしに言ってみて御覧。」
「人殺しか何かがあったのだと私は思います、」とプールはしわがれた声で言った。
「人殺しだと!」と弁護士は、非常に驚いて、それで幾らか腹立たしくなって、叫んだ。「どんな人殺しなんだ? この男は何のことを言っているのだ?」
0366名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:02:59.400
 アッタスン氏がある夜、夕食のあとで炉ばたに腰かけていると、プールが訪ねてきて驚かされた。
「おやおや、プール、どうしてここへやって来たのだい?」と彼は大声で言った。それからプー
ルをもう一度見て、「どうかしたのかい?」と言いたした、「博士がお悪いのか。」
「アッタスンさま、」とその男が言った。「どうも少し変なのでございます。」

そこへお掛け。そしてまあこの葡萄酒を一杯飲むのだ、」と弁護士が言った。「さあ、ゆっくりしておまえ
の言いたいことをはっきり言っておくれ。」
「あなたさまは博士の習慣をご存じでいらっしゃいますね、」とプールが答えた。「博士がよくとじこもって
おしまいになることも。ところが、また書斎にとじこもられたのでございます。

にはあれが気にかかるのですよ、――ほんとうに気にかかるのでございます。アッタスンさま、私は心配なのでございます。」
「ねえ、おまえ、」と弁護士が言った。「隠さずに言ってくれ。何がおまえに心配なのだ?」

「私は一週間ばかり前からずっと心配して参りました、」とプールは頑固に相手の質問をそらして答えた。「そしてもうとても我慢ができません。」
 その男の様子はその言葉がほんとうであることをちゃんと証拠立てていた。彼の挙動は一そう悪くなった。そして、初めに自分の恐怖を知らせた時のほかは、弁護士の顔を一
度もまともに見なかった。今でさえ、まだ口もつけない葡萄酒のコップを膝の上に置いたまま掛けていて、その眼は床の一隅にむけられていた。「私にはもうとても我慢ができません、」と彼はまた言った。

「さあさあ、」と弁護士が言った、「おまえの言うことには何かもっともな理由があるということはわたしにはわかるよ、プール。何かひどく不都合
なことがあるということはわかる。それがどんなことだかわたしに言ってみて御覧。」
「人殺しか何かがあったのだと私は思います、」とプールはしわがれた声で言った。
「人殺しだと!」と弁護士は、非常に驚いて、それで幾らか腹立たしくなって、叫んだ。「どんな人殺しなんだ? この男は何のことを言っているのだ?」
0367名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:03:09.030
 アッタスン氏がある夜、夕食のあとで炉ばたに腰かけていると、プールが訪ねてきて驚かされた。
「おやおや、プール、どうしてここへやって来たのだい?」と彼は大声で言った。それからプー
ルをもう一度見て、「どうかしたのかい?」と言いたした、「博士がお悪いのか。」
「アッタスンさま、」とその男が言った。「どうも少し変なのでございます。」

そこへお掛け。そしてまあこの葡萄酒を一杯飲むのだ、」と弁護士が言った。「さあ、ゆっくりしておまえ
の言いたいことをはっきり言っておくれ。」
「あなたさまは博士の習慣をご存じでいらっしゃいますね、」とプールが答えた。「博士がよくとじこもって
おしまいになることも。ところが、また書斎にとじこもられたのでございます。

にはあれが気にかかるのですよ、――ほんとうに気にかかるのでございます。アッタスンさま、私は心配なのでございます。」
「ねえ、おまえ、」と弁護士が言った。「隠さずに言ってくれ。何がおまえに心配なのだ?」

「私は一週間ばかり前からずっと心配して参りました、」とプールは頑固に相手の質問をそらして答えた。「そしてもうとても我慢ができません。」
 その男の様子はその言葉がほんとうであることをちゃんと証拠立てていた。彼の挙動は一そう悪くなった。そして、初めに自分の恐怖を知らせた時のほかは、弁護士の顔を一
度もまともに見なかった。今でさえ、まだ口もつけない葡萄酒のコップを膝の上に置いたまま掛けていて、その眼は床の一隅にむけられていた。「私にはもうとても我慢ができません、」と彼はまた言った。

「さあさあ、」と弁護士が言った、「おまえの言うことには何かもっともな理由があるということはわたしにはわかるよ、プール。何かひどく不都合
なことがあるということはわかる。それがどんなことだかわたしに言ってみて御覧。」
「人殺しか何かがあったのだと私は思います、」とプールはしわがれた声で言った。
「人殺しだと!」と弁護士は、非常に驚いて、それで幾らか腹立たしくなって、叫んだ。「どんな人殺しなんだ? この男は何のことを言っているのだ?」
0368名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:03:17.850
 アッタスン氏がある夜、夕食のあとで炉ばたに腰かけていると、プールが訪ねてきて驚かされた。
「おやおや、プール、どうしてここへやって来たのだい?」と彼は大声で言った。それからプー
ルをもう一度見て、「どうかしたのかい?」と言いたした、「博士がお悪いのか。」
「アッタスンさま、」とその男が言った。「どうも少し変なのでございます。」

そこへお掛け。そしてまあこの葡萄酒を一杯飲むのだ、」と弁護士が言った。「さあ、ゆっくりしておまえ
の言いたいことをはっきり言っておくれ。」
「あなたさまは博士の習慣をご存じでいらっしゃいますね、」とプールが答えた。「博士がよくとじこもって
おしまいになることも。ところが、また書斎にとじこもられたのでございます。

にはあれが気にかかるのですよ、――ほんとうに気にかかるのでございます。アッタスンさま、私は心配なのでございます。」
「ねえ、おまえ、」と弁護士が言った。「隠さずに言ってくれ。何がおまえに心配なのだ?」

「私は一週間ばかり前からずっと心配して参りました、」とプールは頑固に相手の質問をそらして答えた。「そしてもうとても我慢ができません。」
 その男の様子はその言葉がほんとうであることをちゃんと証拠立てていた。彼の挙動は一そう悪くなった。そして、初めに自分の恐怖を知らせた時のほかは、弁護士の顔を一
度もまともに見なかった。今でさえ、まだ口もつけない葡萄酒のコップを膝の上に置いたまま掛けていて、その眼は床の一隅にむけられていた。「私にはもうとても我慢ができません、」と彼はまた言った。

「さあさあ、」と弁護士が言った、「おまえの言うことには何かもっともな理由があるということはわたしにはわかるよ、プール。何かひどく不都合
なことがあるということはわかる。それがどんなことだかわたしに言ってみて御覧。」
「人殺しか何かがあったのだと私は思います、」とプールはしわがれた声で言った。
「人殺しだと!」と弁護士は、非常に驚いて、それで幾らか腹立たしくなって、叫んだ。「どんな人殺しなんだ? この男は何のことを言っているのだ?」
0369名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:13:17.590
その夜は、風の強い、寒い、いかにもその季節らしい、三月の夜であった。蒼白い月が風に吹きかえされたかのように仰向きになって懸っていて、まる
で透きとおった寒冷紗のような薄雲が一つ空を飛んでいた。風のために話をすることも出来ず、顔には赤い斑が出来た。おまけに、風に吹き払われてし
まったように街路にはいつになく人通りがなかった。アッタスン氏はロンドン
のこの部分がこんなに人気のないのは、これまでに見たことがないと思ったくらいだった。彼は人通りがあればいいがと思った。人間に会って触ってみた
いという、これほどに烈しい欲望を感じたことは、これまで一度もなかった。どんなに払いのけようと努めても、何か禍いがおこってきそうな強い予感をひしひしと感じ
ないではいられなかったからである。広辻のところまでやってくると、そこは一面に風と埃とが舞っていて、庭園の細い樹々は柵にぶっつかっていた。途中ずっと一
二歩先に立って歩いてきたプールは、ここへくると、道の真ん中に立ち止り、身をきるような寒さなのに、帽子を脱いで、赤いハンケチで額を拭いた。けれども、急いで
歩いてきたには違いないが、彼が拭ったのは急いだための汗ではなく、何か喉を締めつけられるような苦悩の脂汗だった。なぜなら、彼の顔は蒼白であったし、口をきいた時にはその声はかすれてとぎれがちであったから。
「さあ、旦那さま、」と彼が言った。「参りました。どうか神さま、何も変ったことがございませんように。」
「アーメン、プール、」と弁護士が言った。
 そこで召使頭はひどく用心深いやり方で戸をたたいた。戸は鎖のついたまま少し開かれて、内から誰かの声が尋ねた、「あんたかね、プールさん?」
「大丈夫だよ、」とプールが言った。「戸を開けてくれ。」
 二人が入ってみると、広間はあかあかと灯火をつけてあった。炉火も盛んに焚きつけてあった。そしてその炉のあたりに、家中の召使が、男も女も、羊の群れのようにご
たごたとより集まっていた。アッタスン氏の姿を見ると、女中が急にヒステリックなすすり泣きを始めたし、料理女は「あら有難い! アッタスンさまだわ、」と叫びながら、まるで彼に抱きつこうとでもするように走り出てきた。
「なんだ、どうしたのだ? みんなこんなところにいるのか?」と弁護士は気むずかしく言った。「大そう不しだらで、大そう不体裁だ。御主人が見ら
0370名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:13:24.810
その夜は、風の強い、寒い、いかにもその季節らしい、三月の夜であった。蒼白い月が風に吹きかえされたかのように仰向きになって懸っていて、まる
で透きとおった寒冷紗のような薄雲が一つ空を飛んでいた。風のために話をすることも出来ず、顔には赤い斑が出来た。おまけに、風に吹き払われてし
まったように街路にはいつになく人通りがなかった。アッタスン氏はロンドン
のこの部分がこんなに人気のないのは、これまでに見たことがないと思ったくらいだった。彼は人通りがあればいいがと思った。人間に会って触ってみた
いという、これほどに烈しい欲望を感じたことは、これまで一度もなかった。どんなに払いのけようと努めても、何か禍いがおこってきそうな強い予感をひしひしと感じ
ないではいられなかったからである。広辻のところまでやってくると、そこは一面に風と埃とが舞っていて、庭園の細い樹々は柵にぶっつかっていた。途中ずっと一
二歩先に立って歩いてきたプールは、ここへくると、道の真ん中に立ち止り、身をきるような寒さなのに、帽子を脱いで、赤いハンケチで額を拭いた。けれども、急いで
歩いてきたには違いないが、彼が拭ったのは急いだための汗ではなく、何か喉を締めつけられるような苦悩の脂汗だった。なぜなら、彼の顔は蒼白であったし、口をきいた時にはその声はかすれてとぎれがちであったから。
「さあ、旦那さま、」と彼が言った。「参りました。どうか神さま、何も変ったことがございませんように。」
「アーメン、プール、」と弁護士が言った。
 そこで召使頭はひどく用心深いやり方で戸をたたいた。戸は鎖のついたまま少し開かれて、内から誰かの声が尋ねた、「あんたかね、プールさん?」
「大丈夫だよ、」とプールが言った。「戸を開けてくれ。」
 二人が入ってみると、広間はあかあかと灯火をつけてあった。炉火も盛んに焚きつけてあった。そしてその炉のあたりに、家中の召使が、男も女も、羊の群れのようにご
たごたとより集まっていた。アッタスン氏の姿を見ると、女中が急にヒステリックなすすり泣きを始めたし、料理女は「あら有難い! アッタスンさまだわ、」と叫びながら、まるで彼に抱きつこうとでもするように走り出てきた。
「なんだ、どうしたのだ? みんなこんなところにいるのか?」と弁護士は気むずかしく言った。「大そう不しだらで、大そう不体裁だ。御主人が見ら
0371名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:13:34.180
その夜は、風の強い、寒い、いかにもその季節らしい、三月の夜であった。蒼白い月が風に吹きかえされたかのように仰向きになって懸っていて、まる
で透きとおった寒冷紗のような薄雲が一つ空を飛んでいた。風のために話をすることも出来ず、顔には赤い斑が出来た。おまけに、風に吹き払われてし
まったように街路にはいつになく人通りがなかった。アッタスン氏はロンドン
のこの部分がこんなに人気のないのは、これまでに見たことがないと思ったくらいだった。彼は人通りがあればいいがと思った。人間に会って触ってみた
いという、これほどに烈しい欲望を感じたことは、これまで一度もなかった。どんなに払いのけようと努めても、何か禍いがおこってきそうな強い予感をひしひしと感じ
ないではいられなかったからである。広辻のところまでやってくると、そこは一面に風と埃とが舞っていて、庭園の細い樹々は柵にぶっつかっていた。途中ずっと一
二歩先に立って歩いてきたプールは、ここへくると、道の真ん中に立ち止り、身をきるような寒さなのに、帽子を脱いで、赤いハンケチで額を拭いた。けれども、急いで
歩いてきたには違いないが、彼が拭ったのは急いだための汗ではなく、何か喉を締めつけられるような苦悩の脂汗だった。なぜなら、彼の顔は蒼白であったし、口をきいた時にはその声はかすれてとぎれがちであったから。
「さあ、旦那さま、」と彼が言った。「参りました。どうか神さま、何も変ったことがございませんように。」
「アーメン、プール、」と弁護士が言った。
 そこで召使頭はひどく用心深いやり方で戸をたたいた。戸は鎖のついたまま少し開かれて、内から誰かの声が尋ねた、「あんたかね、プールさん?」
「大丈夫だよ、」とプールが言った。「戸を開けてくれ。」
 二人が入ってみると、広間はあかあかと灯火をつけてあった。炉火も盛んに焚きつけてあった。そしてその炉のあたりに、家中の召使が、男も女も、羊の群れのようにご
たごたとより集まっていた。アッタスン氏の姿を見ると、女中が急にヒステリックなすすり泣きを始めたし、料理女は「あら有難い! アッタスンさまだわ、」と叫びながら、まるで彼に抱きつこうとでもするように走り出てきた。
「なんだ、どうしたのだ? みんなこんなところにいるのか?」と弁護士は気むずかしく言った。「大そう不しだらで、大そう不体裁だ。御主人が見ら
0372名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:13:53.290
その夜は、風の強い、寒い、いかにもその季節らしい、三月の夜であった。蒼白い月が風に吹きかえされたかのように仰向きになって懸っていて、まる
で透きとおった寒冷紗のような薄雲が一つ空を飛んでいた。風のために話をすることも出来ず、顔には赤い斑が出来た。おまけに、風に吹き払われてし
まったように街路にはいつになく人通りがなかった。アッタスン氏はロンドン
のこの部分がこんなに人気のないのは、これまでに見たことがないと思ったくらいだった。彼は人通りがあればいいがと思った。人間に会って触ってみた
いという、これほどに烈しい欲望を感じたことは、これまで一度もなかった。どんなに払いのけようと努めても、何か禍いがおこってきそうな強い予感をひしひしと感じ
ないではいられなかったからである。広辻のところまでやってくると、そこは一面に風と埃とが舞っていて、庭園の細い樹々は柵にぶっつかっていた。途中ずっと一
二歩先に立って歩いてきたプールは、ここへくると、道の真ん中に立ち止り、身をきるような寒さなのに、帽子を脱いで、赤いハンケチで額を拭いた。けれども、急いで
歩いてきたには違いないが、彼が拭ったのは急いだための汗ではなく、何か喉を締めつけられるような苦悩の脂汗だった。なぜなら、彼の顔は蒼白であったし、口をきいた時にはその声はかすれてとぎれがちであったから。
「さあ、旦那さま、」と彼が言った。「参りました。どうか神さま、何も変ったことがございませんように。」
「アーメン、プール、」と弁護士が言った。
 そこで召使頭はひどく用心深いやり方で戸をたたいた。戸は鎖のついたまま少し開かれて、内から誰かの声が尋ねた、「あんたかね、プールさん?」
「大丈夫だよ、」とプールが言った。「戸を開けてくれ。」
 二人が入ってみると、広間はあかあかと灯火をつけてあった。炉火も盛んに焚きつけてあった。そしてその炉のあたりに、家中の召使が、男も女も、羊の群れのようにご
たごたとより集まっていた。アッタスン氏の姿を見ると、女中が急にヒステリックなすすり泣きを始めたし、料理女は「あら有難い! アッタスンさまだわ、」と叫びながら、まるで彼に抱きつこうとでもするように走り出てきた。
「なんだ、どうしたのだ? みんなこんなところにいるのか?」と弁護士は気むずかしく言った。「大そう不しだらで、大そう不体裁だ。御主人が見ら
0373名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:14:04.050
その夜は、風の強い、寒い、いかにもその季節らしい、三月の夜であった。蒼白い月が風に吹きかえされたかのように仰向きになって懸っていて、まる
で透きとおった寒冷紗のような薄雲が一つ空を飛んでいた。風のために話をすることも出来ず、顔には赤い斑が出来た。おまけに、風に吹き払われてし
まったように街路にはいつになく人通りがなかった。アッタスン氏はロンドン
のこの部分がこんなに人気のないのは、これまでに見たことがないと思ったくらいだった。彼は人通りがあればいいがと思った。人間に会って触ってみた
いという、これほどに烈しい欲望を感じたことは、これまで一度もなかった。どんなに払いのけようと努めても、何か禍いがおこってきそうな強い予感をひしひしと感じ
ないではいられなかったからである。広辻のところまでやってくると、そこは一面に風と埃とが舞っていて、庭園の細い樹々は柵にぶっつかっていた。途中ずっと一
二歩先に立って歩いてきたプールは、ここへくると、道の真ん中に立ち止り、身をきるような寒さなのに、帽子を脱いで、赤いハンケチで額を拭いた。けれども、急いで
歩いてきたには違いないが、彼が拭ったのは急いだための汗ではなく、何か喉を締めつけられるような苦悩の脂汗だった。なぜなら、彼の顔は蒼白であったし、口をきいた時にはその声はかすれてとぎれがちであったから。
「さあ、旦那さま、」と彼が言った。「参りました。どうか神さま、何も変ったことがございませんように。」
「アーメン、プール、」と弁護士が言った。
 そこで召使頭はひどく用心深いやり方で戸をたたいた。戸は鎖のついたまま少し開かれて、内から誰かの声が尋ねた、「あんたかね、プールさん?」
「大丈夫だよ、」とプールが言った。「戸を開けてくれ。」
 二人が入ってみると、広間はあかあかと灯火をつけてあった。炉火も盛んに焚きつけてあった。そしてその炉のあたりに、家中の召使が、男も女も、羊の群れのようにご
たごたとより集まっていた。アッタスン氏の姿を見ると、女中が急にヒステリックなすすり泣きを始めたし、料理女は「あら有難い! アッタスンさまだわ、」と叫びながら、まるで彼に抱きつこうとでもするように走り出てきた。
「なんだ、どうしたのだ? みんなこんなところにいるのか?」と弁護士は気むずかしく言った。「大そう不しだらで、大そう不体裁だ。御主人が見ら
0374名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:14:14.890
その夜は、風の強い、寒い、いかにもその季節らしい、三月の夜であった。蒼白い月が風に吹きかえされたかのように仰向きになって懸っていて、まる
で透きとおった寒冷紗のような薄雲が一つ空を飛んでいた。風のために話をすることも出来ず、顔には赤い斑が出来た。おまけに、風に吹き払われてし
まったように街路にはいつになく人通りがなかった。アッタスン氏はロンドン
のこの部分がこんなに人気のないのは、これまでに見たことがないと思ったくらいだった。彼は人通りがあればいいがと思った。人間に会って触ってみた
いという、これほどに烈しい欲望を感じたことは、これまで一度もなかった。どんなに払いのけようと努めても、何か禍いがおこってきそうな強い予感をひしひしと感じ
ないではいられなかったからである。広辻のところまでやってくると、そこは一面に風と埃とが舞っていて、庭園の細い樹々は柵にぶっつかっていた。途中ずっと一
二歩先に立って歩いてきたプールは、ここへくると、道の真ん中に立ち止り、身をきるような寒さなのに、帽子を脱いで、赤いハンケチで額を拭いた。けれども、急いで
歩いてきたには違いないが、彼が拭ったのは急いだための汗ではなく、何か喉を締めつけられるような苦悩の脂汗だった。なぜなら、彼の顔は蒼白であったし、口をきいた時にはその声はかすれてとぎれがちであったから。
「さあ、旦那さま、」と彼が言った。「参りました。どうか神さま、何も変ったことがございませんように。」
「アーメン、プール、」と弁護士が言った。
 そこで召使頭はひどく用心深いやり方で戸をたたいた。戸は鎖のついたまま少し開かれて、内から誰かの声が尋ねた、「あんたかね、プールさん?」
「大丈夫だよ、」とプールが言った。「戸を開けてくれ。」
 二人が入ってみると、広間はあかあかと灯火をつけてあった。炉火も盛んに焚きつけてあった。そしてその炉のあたりに、家中の召使が、男も女も、羊の群れのようにご
たごたとより集まっていた。アッタスン氏の姿を見ると、女中が急にヒステリックなすすり泣きを始めたし、料理女は「あら有難い! アッタスンさまだわ、」と叫びながら、まるで彼に抱きつこうとでもするように走り出てきた。
「なんだ、どうしたのだ? みんなこんなところにいるのか?」と弁護士は気むずかしく言った。「大そう不しだらで、大そう不体裁だ。御主人が見ら
0375名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:15:20.460
「それはずいぶん妙な話だな、プール。それはむしろ突飛な話だよ、なあ、おまえ、」とアッタスン氏は指を噛みなが
ら言った。「仮りにおまえの推測どおりだとしても、ジーキル博士がそのう――そうだ、殺されたとしてもだ、その殺害
者が一たい何のためにそこに残っているだろうか? そんなことはどうも辻褄が合わんな。理屈に合わないよ。」
「まあ、アッタスンさま、あなたさまを納得させるのはなかなか厄介ですが、でもそのうち納得させてあげましょう、」と
プールが言った。「この一週間というものは(あなたさまも知って頂きたい)その人間だか、何だか、とにかくあの書斎
の中にいる者が、夜となく昼となく、何かある薬をほしがってわめいているのでございます。そしてそれが気に入るのが手に入れられないのです。紙っきれに御自分の注文を書いて、それを階段の
上に投げ出しておくというのが、時々あの方の、というのは御主人のことですが――癖でした。この週はそればっかりだったのです。ただ紙ばかり出してあって、ドアは閉めっきりで、食事さえ
そこに出しておくと誰も見ていない時にこっそりと持ち込む、といった風なんで。でね、旦那さま、毎日毎日、いや、一日に二度も三度も、注文や小言が出まして、私はロンドンじゅうの薬問屋を
駆けずり回されているのでございます。私が薬品を持って帰る度ごとに、いつもきまって、これは純粋の品ではないから返して来いという紙と、別の店への注文が出るのでした。その薬が、何のためですか、旦那さま、とてもひどく入用なようでございます。」
「その紙というのをおまえはどれか持っているかね?」とアッタスン氏が尋ねた。
 プールはポケットの中を探って一枚の皺くちゃになった手紙を手渡した。それを弁護士は蝋燭の近くに身をこごめて注意深くしらべた。その内容はこうなっていた。「ジーキル博士はモー商
会に申し入れます。モー商会の今度の見本は不純品でJ博士の目下の目的には全く役には立ちません。一八――年にJ博士はM商会からかなり多量を購入したことがあります。どうか最も念入りに注意して探しだし、同じ品
質の物が多少でも残っていましたなら、それをすぐにJ博士の所に送って下さい。費用は問題でありません。J博士にとってこの薬品はこの上もなく重要なものなのです。」ここまでは手紙はすこぶる落着いて書いてあったが、ここでペン
が急に走
0376名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:15:30.360
「それはずいぶん妙な話だな、プール。それはむしろ突飛な話だよ、なあ、おまえ、」とアッタスン氏は指を噛みなが
ら言った。「仮りにおまえの推測どおりだとしても、ジーキル博士がそのう――そうだ、殺されたとしてもだ、その殺害
者が一たい何のためにそこに残っているだろうか? そんなことはどうも辻褄が合わんな。理屈に合わないよ。」
「まあ、アッタスンさま、あなたさまを納得させるのはなかなか厄介ですが、でもそのうち納得させてあげましょう、」と
プールが言った。「この一週間というものは(あなたさまも知って頂きたい)その人間だか、何だか、とにかくあの書斎
の中にいる者が、夜となく昼となく、何かある薬をほしがってわめいているのでございます。そしてそれが気に入るのが手に入れられないのです。紙っきれに御自分の注文を書いて、それを階段の
上に投げ出しておくというのが、時々あの方の、というのは御主人のことですが――癖でした。この週はそればっかりだったのです。ただ紙ばかり出してあって、ドアは閉めっきりで、食事さえ
そこに出しておくと誰も見ていない時にこっそりと持ち込む、といった風なんで。でね、旦那さま、毎日毎日、いや、一日に二度も三度も、注文や小言が出まして、私はロンドンじゅうの薬問屋を
駆けずり回されているのでございます。私が薬品を持って帰る度ごとに、いつもきまって、これは純粋の品ではないから返して来いという紙と、別の店への注文が出るのでした。その薬が、何のためですか、旦那さま、とてもひどく入用なようでございます。」
「その紙というのをおまえはどれか持っているかね?」とアッタスン氏が尋ねた。
 プールはポケットの中を探って一枚の皺くちゃになった手紙を手渡した。それを弁護士は蝋燭の近くに身をこごめて注意深くしらべた。その内容はこうなっていた。「ジーキル博士はモー商
会に申し入れます。モー商会の今度の見本は不純品でJ博士の目下の目的には全く役には立ちません。一八――年にJ博士はM商会からかなり多量を購入したことがあります。どうか最も念入りに注意して探しだし、同じ品
質の物が多少でも残っていましたなら、それをすぐにJ博士の所に送って下さい。費用は問題でありません。J博士にとってこの薬品はこの上もなく重要なものなのです。」ここまでは手紙はすこぶる落着いて書いてあったが、ここでペン
が急に走
0377名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:15:40.220
「それはずいぶん妙な話だな、プール。それはむしろ突飛な話だよ、なあ、おまえ、」とアッタスン氏は指を噛みなが
ら言った。「仮りにおまえの推測どおりだとしても、ジーキル博士がそのう――そうだ、殺されたとしてもだ、その殺害
者が一たい何のためにそこに残っているだろうか? そんなことはどうも辻褄が合わんな。理屈に合わないよ。」
「まあ、アッタスンさま、あなたさまを納得させるのはなかなか厄介ですが、でもそのうち納得させてあげましょう、」と
プールが言った。「この一週間というものは(あなたさまも知って頂きたい)その人間だか、何だか、とにかくあの書斎
の中にいる者が、夜となく昼となく、何かある薬をほしがってわめいているのでございます。そしてそれが気に入るのが手に入れられないのです。紙っきれに御自分の注文を書いて、それを階段の
上に投げ出しておくというのが、時々あの方の、というのは御主人のことですが――癖でした。この週はそればっかりだったのです。ただ紙ばかり出してあって、ドアは閉めっきりで、食事さえ
そこに出しておくと誰も見ていない時にこっそりと持ち込む、といった風なんで。でね、旦那さま、毎日毎日、いや、一日に二度も三度も、注文や小言が出まして、私はロンドンじゅうの薬問屋を
駆けずり回されているのでございます。私が薬品を持って帰る度ごとに、いつもきまって、これは純粋の品ではないから返して来いという紙と、別の店への注文が出るのでした。その薬が、何のためですか、旦那さま、とてもひどく入用なようでございます。」
「その紙というのをおまえはどれか持っているかね?」とアッタスン氏が尋ねた。
 プールはポケットの中を探って一枚の皺くちゃになった手紙を手渡した。それを弁護士は蝋燭の近くに身をこごめて注意深くしらべた。その内容はこうなっていた。「ジーキル博士はモー商
会に申し入れます。モー商会の今度の見本は不純品でJ博士の目下の目的には全く役には立ちません。一八――年にJ博士はM商会からかなり多量を購入したことがあります。どうか最も念入りに注意して探しだし、同じ品
質の物が多少でも残っていましたなら、それをすぐにJ博士の所に送って下さい。費用は問題でありません。J博士にとってこの薬品はこの上もなく重要なものなのです。」ここまでは手紙はすこぶる落着いて書いてあったが、ここでペン
が急に走
0378名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:15:47.090
「それはずいぶん妙な話だな、プール。それはむしろ突飛な話だよ、なあ、おまえ、」とアッタスン氏は指を噛みなが
ら言った。「仮りにおまえの推測どおりだとしても、ジーキル博士がそのう――そうだ、殺されたとしてもだ、その殺害
者が一たい何のためにそこに残っているだろうか? そんなことはどうも辻褄が合わんな。理屈に合わないよ。」
「まあ、アッタスンさま、あなたさまを納得させるのはなかなか厄介ですが、でもそのうち納得させてあげましょう、」と
プールが言った。「この一週間というものは(あなたさまも知って頂きたい)その人間だか、何だか、とにかくあの書斎
の中にいる者が、夜となく昼となく、何かある薬をほしがってわめいているのでございます。そしてそれが気に入るのが手に入れられないのです。紙っきれに御自分の注文を書いて、それを階段の
上に投げ出しておくというのが、時々あの方の、というのは御主人のことですが――癖でした。この週はそればっかりだったのです。ただ紙ばかり出してあって、ドアは閉めっきりで、食事さえ
そこに出しておくと誰も見ていない時にこっそりと持ち込む、といった風なんで。でね、旦那さま、毎日毎日、いや、一日に二度も三度も、注文や小言が出まして、私はロンドンじゅうの薬問屋を
駆けずり回されているのでございます。私が薬品を持って帰る度ごとに、いつもきまって、これは純粋の品ではないから返して来いという紙と、別の店への注文が出るのでした。その薬が、何のためですか、旦那さま、とてもひどく入用なようでございます。」
「その紙というのをおまえはどれか持っているかね?」とアッタスン氏が尋ねた。
 プールはポケットの中を探って一枚の皺くちゃになった手紙を手渡した。それを弁護士は蝋燭の近くに身をこごめて注意深くしらべた。その内容はこうなっていた。「ジーキル博士はモー商
会に申し入れます。モー商会の今度の見本は不純品でJ博士の目下の目的には全く役には立ちません。一八――年にJ博士はM商会からかなり多量を購入したことがあります。どうか最も念入りに注意して探しだし、同じ品
質の物が多少でも残っていましたなら、それをすぐにJ博士の所に送って下さい。費用は問題でありません。J博士にとってこの薬品はこの上もなく重要なものなのです。」ここまでは手紙はすこぶる落着いて書いてあったが、ここでペン
が急に走
0379名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:15:55.290
「それはずいぶん妙な話だな、プール。それはむしろ突飛な話だよ、なあ、おまえ、」とアッタスン氏は指を噛みなが
ら言った。「仮りにおまえの推測どおりだとしても、ジーキル博士がそのう――そうだ、殺されたとしてもだ、その殺害
者が一たい何のためにそこに残っているだろうか? そんなことはどうも辻褄が合わんな。理屈に合わないよ。」
「まあ、アッタスンさま、あなたさまを納得させるのはなかなか厄介ですが、でもそのうち納得させてあげましょう、」と
プールが言った。「この一週間というものは(あなたさまも知って頂きたい)その人間だか、何だか、とにかくあの書斎
の中にいる者が、夜となく昼となく、何かある薬をほしがってわめいているのでございます。そしてそれが気に入るのが手に入れられないのです。紙っきれに御自分の注文を書いて、それを階段の
上に投げ出しておくというのが、時々あの方の、というのは御主人のことですが――癖でした。この週はそればっかりだったのです。ただ紙ばかり出してあって、ドアは閉めっきりで、食事さえ
そこに出しておくと誰も見ていない時にこっそりと持ち込む、といった風なんで。でね、旦那さま、毎日毎日、いや、一日に二度も三度も、注文や小言が出まして、私はロンドンじゅうの薬問屋を
駆けずり回されているのでございます。私が薬品を持って帰る度ごとに、いつもきまって、これは純粋の品ではないから返して来いという紙と、別の店への注文が出るのでした。その薬が、何のためですか、旦那さま、とてもひどく入用なようでございます。」
「その紙というのをおまえはどれか持っているかね?」とアッタスン氏が尋ねた。
 プールはポケットの中を探って一枚の皺くちゃになった手紙を手渡した。それを弁護士は蝋燭の近くに身をこごめて注意深くしらべた。その内容はこうなっていた。「ジーキル博士はモー商
会に申し入れます。モー商会の今度の見本は不純品でJ博士の目下の目的には全く役には立ちません。一八――年にJ博士はM商会からかなり多量を購入したことがあります。どうか最も念入りに注意して探しだし、同じ品
質の物が多少でも残っていましたなら、それをすぐにJ博士の所に送って下さい。費用は問題でありません。J博士にとってこの薬品はこの上もなく重要なものなのです。」ここまでは手紙はすこぶる落着いて書いてあったが、ここでペン
が急に走
0380名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:16:05.200
「それはずいぶん妙な話だな、プール。それはむしろ突飛な話だよ、なあ、おまえ、」とアッタスン氏は指を噛みなが
ら言った。「仮りにおまえの推測どおりだとしても、ジーキル博士がそのう――そうだ、殺されたとしてもだ、その殺害
者が一たい何のためにそこに残っているだろうか? そんなことはどうも辻褄が合わんな。理屈に合わないよ。」
「まあ、アッタスンさま、あなたさまを納得させるのはなかなか厄介ですが、でもそのうち納得させてあげましょう、」と
プールが言った。「この一週間というものは(あなたさまも知って頂きたい)その人間だか、何だか、とにかくあの書斎
の中にいる者が、夜となく昼となく、何かある薬をほしがってわめいているのでございます。そしてそれが気に入るのが手に入れられないのです。紙っきれに御自分の注文を書いて、それを階段の
上に投げ出しておくというのが、時々あの方の、というのは御主人のことですが――癖でした。この週はそればっかりだったのです。ただ紙ばかり出してあって、ドアは閉めっきりで、食事さえ
そこに出しておくと誰も見ていない時にこっそりと持ち込む、といった風なんで。でね、旦那さま、毎日毎日、いや、一日に二度も三度も、注文や小言が出まして、私はロンドンじゅうの薬問屋を
駆けずり回されているのでございます。私が薬品を持って帰る度ごとに、いつもきまって、これは純粋の品ではないから返して来いという紙と、別の店への注文が出るのでした。その薬が、何のためですか、旦那さま、とてもひどく入用なようでございます。」
「その紙というのをおまえはどれか持っているかね?」とアッタスン氏が尋ねた。
 プールはポケットの中を探って一枚の皺くちゃになった手紙を手渡した。それを弁護士は蝋燭の近くに身をこごめて注意深くしらべた。その内容はこうなっていた。「ジーキル博士はモー商
会に申し入れます。モー商会の今度の見本は不純品でJ博士の目下の目的には全く役には立ちません。一八――年にJ博士はM商会からかなり多量を購入したことがあります。どうか最も念入りに注意して探しだし、同じ品
質の物が多少でも残っていましたなら、それをすぐにJ博士の所に送って下さい。費用は問題でありません。J博士にとってこの薬品はこの上もなく重要なものなのです。」ここまでは手紙はすこぶる落着いて書いてあったが、ここでペン
が急に走
0381名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:25:01.230
「それなんですよ!」とプールが言った。「それはこういう訳なのでございます。私は庭から階段講堂へいきなり入ったことがありました。すると、
あの人がその薬かそれとも何かを探しにこっそり出て来ていたらしいのです、といいますのは、書斎のドアが開いていまして、あの人がその室

のずっと向うの端で編みかごの間をしきりに探していたからで。私が入って参りますと顔を上げ、何か叫び声のような声を立てて、二階の書斎
へ駆け込んでしまいました。私があの人を見たのはほんの一分間くらいのものでしたが、私はぞっとして髪の毛が頭に突っ立ちました。ねえ、

旦那さま、もしあれが私の主人でしたなら、なぜ顔に覆面なんぞをしていたのでしょう? もし私の主人でしたなら、なぜ鼠のような叫び声なぞを
立てて、逃げて行ったのでしょう? 私はあの方にずいぶん永らく御奉公しております。それに……」とその男はここで言葉を切って、片手で顔
をこすった。
「これは何もかも非常に妙なことばかりだ、」とアッタスン氏が言った。「しかしどうやら僕にはわかりかけたような気がする。おまえの御主人はな、プ
ール、きっと、病人を非常に苦しめて、顔かたちも変えるというあの病気の一種に罹られたのだ。そのために、多分、声が変っているのだろうと思う。そ
のために覆面をしたり友人を避けたりしているのだろう。そのためにその薬をしきりに探して、その薬で、可哀そうに、あの男はどうにか回復しようという

望みを持っているのだろう、――どうかその望みがかなえばいいが! これが僕の解釈だ。ずいぶん痛ましいことだがなあ、――プール、考えてもぞっ
とするようなことだ。しかしこう考えればはっきりわかって自然だし、ちゃんと辻褄が合って、いろんな途方もない恐れを抱くこともいらなくなるよ。」
「旦那さま、」と召使頭は顔色を斑な紫色に変えながら言った、「あの者は私の主人ではございませんでした。ほんとでございます。私の主人は―
―」とここで彼はあたりを見回して、それから声をひそめて言い出した――「背の高い立派な体格の方ですが、その男はずいぶん小男でございました。」アッ
タスンは抗議しようとした。「まあ、旦那さま、」とプールが大声で言った。「あなたは私が二十年も奉公していて自分の主人がわからないとお思いになるのですか
? 御主人の頭が書斎の
0382名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:25:14.570
「それなんですよ!」とプールが言った。「それはこういう訳なのでございます。私は庭から階段講堂へいきなり入ったことがありました。すると、
あの人がその薬かそれとも何かを探しにこっそり出て来ていたらしいのです、といいますのは、書斎のドアが開いていまして、あの人がその室

のずっと向うの端で編みかごの間をしきりに探していたからで。私が入って参りますと顔を上げ、何か叫び声のような声を立てて、二階の書斎
へ駆け込んでしまいました。私があの人を見たのはほんの一分間くらいのものでしたが、私はぞっとして髪の毛が頭に突っ立ちました。ねえ、

旦那さま、もしあれが私の主人でしたなら、なぜ顔に覆面なんぞをしていたのでしょう? もし私の主人でしたなら、なぜ鼠のような叫び声なぞを
立てて、逃げて行ったのでしょう? 私はあの方にずいぶん永らく御奉公しております。それに……」とその男はここで言葉を切って、片手で顔
をこすった。
「これは何もかも非常に妙なことばかりだ、」とアッタスン氏が言った。「しかしどうやら僕にはわかりかけたような気がする。おまえの御主人はな、プ
ール、きっと、病人を非常に苦しめて、顔かたちも変えるというあの病気の一種に罹られたのだ。そのために、多分、声が変っているのだろうと思う。そ
のために覆面をしたり友人を避けたりしているのだろう。そのためにその薬をしきりに探して、その薬で、可哀そうに、あの男はどうにか回復しようという

望みを持っているのだろう、――どうかその望みがかなえばいいが! これが僕の解釈だ。ずいぶん痛ましいことだがなあ、――プール、考えてもぞっ
とするようなことだ。しかしこう考えればはっきりわかって自然だし、ちゃんと辻褄が合って、いろんな途方もない恐れを抱くこともいらなくなるよ。」
「旦那さま、」と召使頭は顔色を斑な紫色に変えながら言った、「あの者は私の主人ではございませんでした。ほんとでございます。私の主人は―
―」とここで彼はあたりを見回して、それから声をひそめて言い出した――「背の高い立派な体格の方ですが、その男はずいぶん小男でございました。」アッ
タスンは抗議しようとした。「まあ、旦那さま、」とプールが大声で言った。「あなたは私が二十年も奉公していて自分の主人がわからないとお思いになるのですか
? 御主人の頭が書斎の
0383名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:25:43.030
「それなんですよ!」とプールが言った。「それはこういう訳なのでございます。私は庭から階段講堂へいきなり入ったことがありました。すると、
あの人がその薬かそれとも何かを探しにこっそり出て来ていたらしいのです、といいますのは、書斎のドアが開いていまして、あの人がその室

のずっと向うの端で編みかごの間をしきりに探していたからで。私が入って参りますと顔を上げ、何か叫び声のような声を立てて、二階の書斎
へ駆け込んでしまいました。私があの人を見たのはほんの一分間くらいのものでしたが、私はぞっとして髪の毛が頭に突っ立ちました。ねえ、

旦那さま、もしあれが私の主人でしたなら、なぜ顔に覆面なんぞをしていたのでしょう? もし私の主人でしたなら、なぜ鼠のような叫び声なぞを
立てて、逃げて行ったのでしょう? 私はあの方にずいぶん永らく御奉公しております。それに……」とその男はここで言葉を切って、片手で顔
をこすった。
「これは何もかも非常に妙なことばかりだ、」とアッタスン氏が言った。「しかしどうやら僕にはわかりかけたような気がする。おまえの御主人はな、プ
ール、きっと、病人を非常に苦しめて、顔かたちも変えるというあの病気の一種に罹られたのだ。そのために、多分、声が変っているのだろうと思う。そ
のために覆面をしたり友人を避けたりしているのだろう。そのためにその薬をしきりに探して、その薬で、可哀そうに、あの男はどうにか回復しようという

望みを持っているのだろう、――どうかその望みがかなえばいいが! これが僕の解釈だ。ずいぶん痛ましいことだがなあ、――プール、考えてもぞっ
とするようなことだ。しかしこう考えればはっきりわかって自然だし、ちゃんと辻褄が合って、いろんな途方もない恐れを抱くこともいらなくなるよ。」
「旦那さま、」と召使頭は顔色を斑な紫色に変えながら言った、「あの者は私の主人ではございませんでした。ほんとでございます。私の主人は―
―」とここで彼はあたりを見回して、それから声をひそめて言い出した――「背の高い立派な体格の方ですが、その男はずいぶん小男でございました。」アッ
タスンは抗議しようとした。「まあ、旦那さま、」とプールが大声で言った。「あなたは私が二十年も奉公していて自分の主人がわからないとお思いになるのですか
? 御主人の頭が書斎の
0384名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:25:51.890
「それなんですよ!」とプールが言った。「それはこういう訳なのでございます。私は庭から階段講堂へいきなり入ったことがありました。すると、
あの人がその薬かそれとも何かを探しにこっそり出て来ていたらしいのです、といいますのは、書斎のドアが開いていまして、あの人がその室

のずっと向うの端で編みかごの間をしきりに探していたからで。私が入って参りますと顔を上げ、何か叫び声のような声を立てて、二階の書斎
へ駆け込んでしまいました。私があの人を見たのはほんの一分間くらいのものでしたが、私はぞっとして髪の毛が頭に突っ立ちました。ねえ、

旦那さま、もしあれが私の主人でしたなら、なぜ顔に覆面なんぞをしていたのでしょう? もし私の主人でしたなら、なぜ鼠のような叫び声なぞを
立てて、逃げて行ったのでしょう? 私はあの方にずいぶん永らく御奉公しております。それに……」とその男はここで言葉を切って、片手で顔
をこすった。
「これは何もかも非常に妙なことばかりだ、」とアッタスン氏が言った。「しかしどうやら僕にはわかりかけたような気がする。おまえの御主人はな、プ
ール、きっと、病人を非常に苦しめて、顔かたちも変えるというあの病気の一種に罹られたのだ。そのために、多分、声が変っているのだろうと思う。そ
のために覆面をしたり友人を避けたりしているのだろう。そのためにその薬をしきりに探して、その薬で、可哀そうに、あの男はどうにか回復しようという

望みを持っているのだろう、――どうかその望みがかなえばいいが! これが僕の解釈だ。ずいぶん痛ましいことだがなあ、――プール、考えてもぞっ
とするようなことだ。しかしこう考えればはっきりわかって自然だし、ちゃんと辻褄が合って、いろんな途方もない恐れを抱くこともいらなくなるよ。」
「旦那さま、」と召使頭は顔色を斑な紫色に変えながら言った、「あの者は私の主人ではございませんでした。ほんとでございます。私の主人は―
―」とここで彼はあたりを見回して、それから声をひそめて言い出した――「背の高い立派な体格の方ですが、その男はずいぶん小男でございました。」アッ
タスンは抗議しようとした。「まあ、旦那さま、」とプールが大声で言った。「あなたは私が二十年も奉公していて自分の主人がわからないとお思いになるのですか
? 御主人の頭が書斎の
0385名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:26:04.940
「それなんですよ!」とプールが言った。「それはこういう訳なのでございます。私は庭から階段講堂へいきなり入ったことがありました。すると、
あの人がその薬かそれとも何かを探しにこっそり出て来ていたらしいのです、といいますのは、書斎のドアが開いていまして、あの人がその室

のずっと向うの端で編みかごの間をしきりに探していたからで。私が入って参りますと顔を上げ、何か叫び声のような声を立てて、二階の書斎
へ駆け込んでしまいました。私があの人を見たのはほんの一分間くらいのものでしたが、私はぞっとして髪の毛が頭に突っ立ちました。ねえ、

旦那さま、もしあれが私の主人でしたなら、なぜ顔に覆面なんぞをしていたのでしょう? もし私の主人でしたなら、なぜ鼠のような叫び声なぞを
立てて、逃げて行ったのでしょう? 私はあの方にずいぶん永らく御奉公しております。それに……」とその男はここで言葉を切って、片手で顔
をこすった。
「これは何もかも非常に妙なことばかりだ、」とアッタスン氏が言った。「しかしどうやら僕にはわかりかけたような気がする。おまえの御主人はな、プ
ール、きっと、病人を非常に苦しめて、顔かたちも変えるというあの病気の一種に罹られたのだ。そのために、多分、声が変っているのだろうと思う。そ
のために覆面をしたり友人を避けたりしているのだろう。そのためにその薬をしきりに探して、その薬で、可哀そうに、あの男はどうにか回復しようという

望みを持っているのだろう、――どうかその望みがかなえばいいが! これが僕の解釈だ。ずいぶん痛ましいことだがなあ、――プール、考えてもぞっ
とするようなことだ。しかしこう考えればはっきりわかって自然だし、ちゃんと辻褄が合って、いろんな途方もない恐れを抱くこともいらなくなるよ。」
「旦那さま、」と召使頭は顔色を斑な紫色に変えながら言った、「あの者は私の主人ではございませんでした。ほんとでございます。私の主人は―
―」とここで彼はあたりを見回して、それから声をひそめて言い出した――「背の高い立派な体格の方ですが、その男はずいぶん小男でございました。」アッ
タスンは抗議しようとした。「まあ、旦那さま、」とプールが大声で言った。「あなたは私が二十年も奉公していて自分の主人がわからないとお思いになるのですか
? 御主人の頭が書斎の
0386名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:26:44.650
「さようでございますとも、旦那さま、」と召使頭が答えた。
「ではな、我々は包み隠しをしない方がよい、」と相手が言った。「我々は二人とも心に思っていることをみんなまだ口に出して言ってい
ないのだ。すっかりうち明けて話すとしようじゃないか。そのおまえの見たという覆面をした男だが、おまえはその男に見覚えがあったかね?」
「さようでございますね、何しろそれは大へん素速く逃げて行きましたし、そいつはひどく体を折り曲げておりましたので、そのことははっきり申し
上げることはできません、」という返事であった。「けれども、それはハイドさんではなかったか? と旦那さまがおっしゃるおつもりなら、――そうですね、さよう、そうだっ
たと私は思いますんで! 体の大きさも大体同じくらいですし、素ばしこくて身軽な様子も同じでしてねえ。それに、ほかの誰が実験室の戸口から中へ入ることができまし

う? あの人殺しの時にもあの人はやっぱり鍵を持っていたということは、旦那さまもお忘れではございませんでしょう? でもそれだけじゃありません。アッタスンさま、あなたさまがいつかあのハイドさんにお会いになったことがおありかどうか私は存じませんが?」
「うん、僕は一度あの男と話したことがある、」と弁護士が言った。
「それなら、あなたさまも私どもみんなと同じように、あのお方には何となく変なところが――何となく人をぎょっとさせるところが――あったということをご存じに違いありません。そ
れを何と言ったらいいか、こう言うよりほかには、私にはよくわからないのですが、――骨の髄までも何だかぞっとするようなところですね。」
「僕も実はおまえの言うような気持がしたよ、」とアッタスン氏が言った。
「全くさようですよ、旦那さま、」とプールが答えた。「ところで、その猿のような覆面をした者が薬の間から跳び出して書斎の中へ駆けこみました時に、その感じが氷のようにぞっと私
の背骨を通ったのでございます。おお、そんなことは証拠にゃならないということは知っていますよ、アッタスンさま。それっくらいのことは私もちゃんと存じております。しかし人には感じとい
うものがございます。で、あれがハイドさんだったということは、私は聖書にかけても誓いますよ!」
「なるほど、なるほど、」と弁護士が言った。「僕もどうもそうじゃないかと思う。あの二
0387名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:26:56.950
「さようでございますとも、旦那さま、」と召使頭が答えた。
「ではな、我々は包み隠しをしない方がよい、」と相手が言った。「我々は二人とも心に思っていることをみんなまだ口に出して言ってい
ないのだ。すっかりうち明けて話すとしようじゃないか。そのおまえの見たという覆面をした男だが、おまえはその男に見覚えがあったかね?」
「さようでございますね、何しろそれは大へん素速く逃げて行きましたし、そいつはひどく体を折り曲げておりましたので、そのことははっきり申し
上げることはできません、」という返事であった。「けれども、それはハイドさんではなかったか? と旦那さまがおっしゃるおつもりなら、――そうですね、さよう、そうだっ
たと私は思いますんで! 体の大きさも大体同じくらいですし、素ばしこくて身軽な様子も同じでしてねえ。それに、ほかの誰が実験室の戸口から中へ入ることができまし

う? あの人殺しの時にもあの人はやっぱり鍵を持っていたということは、旦那さまもお忘れではございませんでしょう? でもそれだけじゃありません。アッタスンさま、あなたさまがいつかあのハイドさんにお会いになったことがおありかどうか私は存じませんが?」
「うん、僕は一度あの男と話したことがある、」と弁護士が言った。
「それなら、あなたさまも私どもみんなと同じように、あのお方には何となく変なところが――何となく人をぎょっとさせるところが――あったということをご存じに違いありません。そ
れを何と言ったらいいか、こう言うよりほかには、私にはよくわからないのですが、――骨の髄までも何だかぞっとするようなところですね。」
「僕も実はおまえの言うような気持がしたよ、」とアッタスン氏が言った。
「全くさようですよ、旦那さま、」とプールが答えた。「ところで、その猿のような覆面をした者が薬の間から跳び出して書斎の中へ駆けこみました時に、その感じが氷のようにぞっと私
の背骨を通ったのでございます。おお、そんなことは証拠にゃならないということは知っていますよ、アッタスンさま。それっくらいのことは私もちゃんと存じております。しかし人には感じとい
うものがございます。で、あれがハイドさんだったということは、私は聖書にかけても誓いますよ!」
「なるほど、なるほど、」と弁護士が言った。「僕もどうもそうじゃないかと思う。あの二
0388名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:27:09.400
「さようでございますとも、旦那さま、」と召使頭が答えた。
「ではな、我々は包み隠しをしない方がよい、」と相手が言った。「我々は二人とも心に思っていることをみんなまだ口に出して言ってい
ないのだ。すっかりうち明けて話すとしようじゃないか。そのおまえの見たという覆面をした男だが、おまえはその男に見覚えがあったかね?」
「さようでございますね、何しろそれは大へん素速く逃げて行きましたし、そいつはひどく体を折り曲げておりましたので、そのことははっきり申し
上げることはできません、」という返事であった。「けれども、それはハイドさんではなかったか? と旦那さまがおっしゃるおつもりなら、――そうですね、さよう、そうだっ
たと私は思いますんで! 体の大きさも大体同じくらいですし、素ばしこくて身軽な様子も同じでしてねえ。それに、ほかの誰が実験室の戸口から中へ入ることができまし

う? あの人殺しの時にもあの人はやっぱり鍵を持っていたということは、旦那さまもお忘れではございませんでしょう? でもそれだけじゃありません。アッタスンさま、あなたさまがいつかあのハイドさんにお会いになったことがおありかどうか私は存じませんが?」
「うん、僕は一度あの男と話したことがある、」と弁護士が言った。
「それなら、あなたさまも私どもみんなと同じように、あのお方には何となく変なところが――何となく人をぎょっとさせるところが――あったということをご存じに違いありません。そ
れを何と言ったらいいか、こう言うよりほかには、私にはよくわからないのですが、――骨の髄までも何だかぞっとするようなところですね。」
「僕も実はおまえの言うような気持がしたよ、」とアッタスン氏が言った。
「全くさようですよ、旦那さま、」とプールが答えた。「ところで、その猿のような覆面をした者が薬の間から跳び出して書斎の中へ駆けこみました時に、その感じが氷のようにぞっと私
の背骨を通ったのでございます。おお、そんなことは証拠にゃならないということは知っていますよ、アッタスンさま。それっくらいのことは私もちゃんと存じております。しかし人には感じとい
うものがございます。で、あれがハイドさんだったということは、私は聖書にかけても誓いますよ!」
「なるほど、なるほど、」と弁護士が言った。「僕もどうもそうじゃないかと思う。あの二
0389名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:27:24.560
「さようでございますとも、旦那さま、」と召使頭が答えた。
「ではな、我々は包み隠しをしない方がよい、」と相手が言った。「我々は二人とも心に思っていることをみんなまだ口に出して言ってい
ないのだ。すっかりうち明けて話すとしようじゃないか。そのおまえの見たという覆面をした男だが、おまえはその男に見覚えがあったかね?」
「さようでございますね、何しろそれは大へん素速く逃げて行きましたし、そいつはひどく体を折り曲げておりましたので、そのことははっきり申し
上げることはできません、」という返事であった。「けれども、それはハイドさんではなかったか? と旦那さまがおっしゃるおつもりなら、――そうですね、さよう、そうだっ
たと私は思いますんで! 体の大きさも大体同じくらいですし、素ばしこくて身軽な様子も同じでしてねえ。それに、ほかの誰が実験室の戸口から中へ入ることができまし

う? あの人殺しの時にもあの人はやっぱり鍵を持っていたということは、旦那さまもお忘れではございませんでしょう? でもそれだけじゃありません。アッタスンさま、あなたさまがいつかあのハイドさんにお会いに
「うん、僕は一度あの男と話したことがある、」と弁護士が言った。
「それなら、あなたさまも私どもみんなと同じように、あのお方には何となく変なところが――何となく人をぎょっとさせるところが――あったということをご存じに違いありません。そ
れを何と言ったらいいか、こう言うよりほかには、私にはよくわからないのですが、――骨の髄までも何だかぞっとするようなところですね。」
「僕も実はおまえの言うような気持がしたよ、」とアッタスン氏が言った。
「全くさようですよ、旦那さま、」とプールが答えた。「ところで、その猿のような覆面をした者が薬の間から跳び出して書斎の中へ駆けこみました時に、その感じが氷のようにぞっと私
の背骨を通ったのでございます。おお、そんなことは証拠にゃならないということは知っていますよ、アッタスンさま。それっくらいのことは私もちゃんと存じております。しかし人には感じとい
うものがございます。で、あれがハイドさんだったということは、私は聖書にかけても誓いますよ!」
「なるほど、なるほど、」と弁護士が言った。「僕もどうもそうじゃないかと思う。あの二
0390名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:27:34.070
「さようでございますとも、旦那さま、」と召使頭が答えた。
「ではな、我々は包み隠しをしない方がよい、」と相手が言った。「我々は二人とも心に思っていることをみんなまだ口に出して言ってい
ないのだ。すっかりうち明けて話すとしようじゃないか。そのおまえの見たという覆面をした男だが、おまえはその男に見覚えがあったかね?」
「さようでございますね、何しろそれは大へん素速く逃げて行きましたし、そいつはひどく体を折り曲げておりましたので、そのことははっきり申し
上げることはできません、」という返事であった。「けれども、それはハイドさんではなかったか? と旦那さまがおっしゃるおつもりなら、――そうですね、さよう、そうだっ
たと私は思いますんで! 体の大きさも大体同じくらいですし、素ばしこくて身軽な様子も同じでしてねえ。それに、ほかの誰が実験室の戸口から中へ入ることができまし

う? あの人殺しの時にもあの人はやっぱり鍵を持っていたということは、旦那さまもお忘れではございませんでしょう? でもそれだけじゃありません。アッタスンさま、あなたさまがいつかあのハイドさんにお会いになったことがおありかどうか私は存じませんが?」
「うん、僕は一度あの男と話したことがある、」と弁護士が言った。
「それなら、あなたさまも私どもみんなと同じように、あのお方には何となく変なところが――何となく人をぎょっとさせるところが――あったということをご存じに違いありません。そ
れを何と言ったらいいか、こう言うよりほかには、私にはよくわからないのですが、――骨の髄までも何だかぞっとするようなところですね。」
「僕も実はおまえの言うような気持がしたよ、」とアッタスン氏が言った。
「全くさようですよ、旦那さま、」とプールが答えた。「ところで、その猿のような覆面をした者が薬の間から跳び出して書斎の中へ駆けこみました時に、その感じが氷のようにぞっと私
の背骨を通ったのでございます。おお、そんなことは証拠にゃならないということは知っていますよ、アッタスンさま。それっくらいのことは私もちゃんと存じております。しかし人には感じとい
うものがございます。で、あれがハイドさんだったということは、私は聖書にかけても誓いますよ!」
「なるほど、なるほど、」と弁護士が言った。「僕もどうもそうじゃないかと思う。あの二
0391名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:27:42.670
「さようでございますとも、旦那さま、」と召使頭が答えた。
「ではな、我々は包み隠しをしない方がよい、」と相手が言った。「我々は二人とも心に思っていることをみんなまだ口に出して言ってい
ないのだ。すっかりうち明けて話すとしようじゃないか。そのおまえの見たという覆面をした男だが、おまえはその男に見覚えがあったかね?」
「さようでございますね、何しろそれは大へん素速く逃げて行きましたし、そいつはひどく体を折り曲げておりましたので、そのことははっきり申し
上げることはできません、」という返事であった。「けれども、それはハイドさんではなかったか? と旦那さまがおっしゃるおつもりなら、――そうですね、さよう、そうだっ
たと私は思いますんで! 体の大きさも大体同じくらいですし、素ばしこくて身軽な様子も同じでしてねえ。それに、ほかの誰が実験室の戸口から中へ入ることができまし

う? あの人殺しの時にもあの人はやっぱり鍵を持っていたということは、旦那さまもお忘れではございませんでしょう? でもそれだけじゃありません。アッタスンさま、あなたさまがいつかあのハイドさんにお会いになったことがおありかどうか私は存じませんが?」
「うん、僕は一度あの男と話したことがある、」と弁護士が言った。
「それなら、あなたさまも私どもみんなと同じように、あのお方には何となく変なところが――何となく人をぎょっとさせるところが――あったということをご存じに違いありません。そ
れを何と言ったらいいか、こう言うよりほかには、私にはよくわからないのですが、――骨の髄までも何だかぞっとするようなところですね。」
「僕も実はおまえの言うような気持がしたよ、」とアッタスン氏が言った。
「全くさようですよ、旦那さま、」とプールが答えた。「ところで、その猿のような覆面をした者が薬の間から跳び出して書斎の中へ駆けこみました時に、その感じが氷のようにぞっと私
の背骨を通ったのでございます。おお、そんなことは証拠にゃならないということは知っていますよ、アッタスンさま。それっくらいのことは私もちゃんと存じております。しかし人には感じとい
うものがございます。で、あれがハイドさんだったということは、私は聖書にかけても誓いますよ!」
「なるほど、なるほど、」と弁護士が言った。「僕もどうもそうじゃないかと思う。あの二
0392名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:28:20.880
 その馬丁は呼ばれて真っ蒼になってびくびくしながらやってきた。
「しっかりするんだ、ブラッドショー、」と弁護士が言った。「こういうどっちつかずの有様がお前たちみんなを怖がらせているんだよ。だが今我々はこんな有様にけりをつけようと思っているのだ。ここにいるプ
ールと僕とがこれから書斎へ押し入るつもりだ。もしみんながよければ、僕が一切の責任を負うてやる。その間、何かへまをしたり、犯人が裏口から逃げ出したりするといけないから、おまえとあのナイフ研
ぎのボーイとは丈夫な棒を一本ずつ持って、角をまわって、実験室の戸口のところで張番をしていなければならない、おまえたちがその部署につくまで、我々は十分間待つとしよう。」
 ブラッドショーが立去ると、弁護士は自分の懐中時計を見た。「さあ、プール、我々も部署につこう、」と彼は言って、火掻きを小脇に抱えて、先に立って裏庭へ出た。風に吹かれて飛ぶ雲がちょうど月をお
おっていて、そのときは真っ暗であった。建物にかこまれて深い井戸のようになっている裏庭には、ときどき隙間風が吹き込んできて、蝋燭の光を二人の足もとへあちこちと揺り動かした。やがて彼らは風の
当らない階段講堂へ入ると、黙ったまま腰を下ろして待った。ロンドンのどよめきは重々しく四方から聞こえていた。しかしあたりは静かで、ただ書斎の床をあちこちと歩き回っている足音だけがきこえていた。
「ああして一日中歩いているのですよ、」とプールが囁いた。「いいえ、昼間ばかりか、夜も大抵はああなのでございます。ただ薬屋から新しい見本が参りました時だけ、ちょっとやむのです。ああ、あんなに
まで落着けないのは良心が咎めるからですよ! ああ、旦那さま、あの一歩一歩に人殺しをして流した血があるんですよ! だがもう一度聴いてごらんなさいまし、もう少し近くへ寄って、――ようく耳を澄ましてごらんなさいまし、アッタスンさま。あれが博士の足音でございましょうか?」
 その足音は、非常にゆっくり歩いていたにも拘らず、威勢のよい調子の、軽やかな奇妙なものであった。ヘンリー・ジーキルの重々しい軋むような足取りとは全く違っていた。アッタスンは溜息をついた。「ほ
かに何も変ったことはないかね?」と彼は尋ねた。
 プールはうなずいた。「一度、」と彼が言った。「一度私はあれが泣いているのを聞きました!」
「泣いていた? それはどうし
0393名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:28:31.600
 その馬丁は呼ばれて真っ蒼になってびくびくしながらやってきた。
「しっかりするんだ、ブラッドショー、」と弁護士が言った。「こういうどっちつかずの有様がお前たちみんなを怖がらせているんだよ。だが今我々はこんな有様にけりをつけようと思っているのだ。ここにいるプ
ールと僕とがこれから書斎へ押し入るつもりだ。もしみんながよければ、僕が一切の責任を負うてやる。その間、何かへまをしたり、犯人が裏口から逃げ出したりするといけないから、おまえとあのナイフ研
ぎのボーイとは丈夫な棒を一本ずつ持って、角をまわって、実験室の戸口のところで張番をしていなければならない、おまえたちがその部署につくまで、我々は十分間待つとしよう。」
 ブラッドショーが立去ると、弁護士は自分の懐中時計を見た。「さあ、プール、我々も部署につこう、」と彼は言って、火掻きを小脇に抱えて、先に立って裏庭へ出た。風に吹かれて飛ぶ雲がちょうど月をお
おっていて、そのときは真っ暗であった。建物にかこまれて深い井戸のようになっている裏庭には、ときどき隙間風が吹き込んできて、蝋燭の光を二人の足もとへあちこちと揺り動かした。やがて彼らは風の
当らない階段講堂へ入ると、黙ったまま腰を下ろして待った。ロンドンのどよめきは重々しく四方から聞こえていた。しかしあたりは静かで、ただ書斎の床をあちこちと歩き回っている足音だけがきこえていた。
「ああして一日中歩いているのですよ、」とプールが囁いた。「いいえ、昼間ばかりか、夜も大抵はああなのでございます。ただ薬屋から新しい見本が参りました時だけ、ちょっとやむのです。ああ、あんなに
まで落着けないのは良心が咎めるからですよ! ああ、旦那さま、あの一歩一歩に人殺しをして流した血があるんですよ! だがもう一度聴いてごらんなさいまし、もう少し近くへ寄って、――ようく耳を澄ましてごらんなさいまし、アッタスンさま。あれが博士の足音でございましょうか?」
 その足音は、非常にゆっくり歩いていたにも拘らず、威勢のよい調子の、軽やかな奇妙なものであった。ヘンリー・ジーキルの重々しい軋むような足取りとは全く違っていた。アッタスンは溜息をついた。「ほ
かに何も変ったことはないかね?」と彼は尋ねた。
 プールはうなずいた。「一度、」と彼が言った。「一度私はあれが泣いているのを聞きました!」
「泣いていた? それはどうし
0394名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:28:40.860
 その馬丁は呼ばれて真っ蒼になってびくびくしながらやってきた。
「しっかりするんだ、ブラッドショー、」と弁護士が言った。「こういうどっちつかずの有様がお前たちみんなを怖がらせているんだよ。だが今我々はこんな有様にけりをつけようと思っているのだ。ここにいるプ
ールと僕とがこれから書斎へ押し入るつもりだ。もしみんながよければ、僕が一切の責任を負うてやる。その間、何かへまをしたり、犯人が裏口から逃げ出したりするといけないから、おまえとあのナイフ研
ぎのボーイとは丈夫な棒を一本ずつ持って、角をまわって、実験室の戸口のところで張番をしていなければならない、おまえたちがその部署につくまで、我々は十分間待つとしよう。」
 ブラッドショーが立去ると、弁護士は自分の懐中時計を見た。「さあ、プール、我々も部署につこう、」と彼は言って、火掻きを小脇に抱えて、先に立って裏庭へ出た。風に吹かれて飛ぶ雲がちょうど月をお
おっていて、そのときは真っ暗であった。建物にかこまれて深い井戸のようになっている裏庭には、ときどき隙間風が吹き込んできて、蝋燭の光を二人の足もとへあちこちと揺り動かした。やがて彼らは風の
当らない階段講堂へ入ると、黙ったまま腰を下ろして待った。ロンドンのどよめきは重々しく四方から聞こえていた。しかしあたりは静かで、ただ書斎の床をあちこちと歩き回っている足音だけがきこえていた。
「ああして一日中歩いているのですよ、」とプールが囁いた。「いいえ、昼間ばかりか、夜も大抵はああなのでございます。ただ薬屋から新しい見本が参りました時だけ、ちょっとやむのです。ああ、あんなに
まで落着けないのは良心が咎めるからですよ! ああ、旦那さま、あの一歩一歩に人殺しをして流した血があるんですよ! だがもう一度聴いてごらんなさいまし、もう少し近くへ寄って、――ようく耳を澄ましてごらんなさいまし、アッタスンさま。あれが博士の足音でございましょうか?」
 その足音は、非常にゆっくり歩いていたにも拘らず、威勢のよい調子の、軽やかな奇妙なものであった。ヘンリー・ジーキルの重々しい軋むような足取りとは全く違っていた。アッタスンは溜息をついた。「ほ
かに何も変ったことはないかね?」と彼は尋ねた。
 プールはうなずいた。「一度、」と彼が言った。「一度私はあれが泣いているのを聞きました!」
「泣いていた? それはどうし
0395名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:28:50.560
 その馬丁は呼ばれて真っ蒼になってびくびくしながらやってきた。
「しっかりするんだ、ブラッドショー、」と弁護士が言った。「こういうどっちつかずの有様がお前たちみんなを怖がらせているんだよ。だが今我々はこんな有様にけりをつけようと思っているのだ。ここにいるプ
ールと僕とがこれから書斎へ押し入るつもりだ。もしみんながよければ、僕が一切の責任を負うてやる。その間、何かへまをしたり、犯人が裏口から逃げ出したりするといけないから、おまえとあのナイフ研
ぎのボーイとは丈夫な棒を一本ずつ持って、角をまわって、実験室の戸口のところで張番をしていなければならない、おまえたちがその部署につくまで、我々は十分間待つとしよう。」
 ブラッドショーが立去ると、弁護士は自分の懐中時計を見た。「さあ、プール、我々も部署につこう、」と彼は言って、火掻きを小脇に抱えて、先に立って裏庭へ出た。風に吹かれて飛ぶ雲がちょうど月をお
おっていて、そのときは真っ暗であった。建物にかこまれて深い井戸のようになっている裏庭には、ときどき隙間風が吹き込んできて、蝋燭の光を二人の足もとへあちこちと揺り動かした。やがて彼らは風の
当らない階段講堂へ入ると、黙ったまま腰を下ろして待った。ロンドンのどよめきは重々しく四方から聞こえていた。しかしあたりは静かで、ただ書斎の床をあちこちと歩き回っている足音だけがきこえていた。
「ああして一日中歩いているのですよ、」とプールが囁いた。「いいえ、昼間ばかりか、夜も大抵はああなのでございます。ただ薬屋から新しい見本が参りました時だけ、ちょっとやむのです。ああ、あんなに
まで落着けないのは良心が咎めるからですよ! ああ、旦那さま、あの一歩一歩に人殺しをして流した血があるんですよ! だがもう一度聴いてごらんなさいまし、もう少し近くへ寄って、――ようく耳を澄ましてごらんなさいまし、アッタスンさま。あれが博士の足音でございましょうか?」
 その足音は、非常にゆっくり歩いていたにも拘らず、威勢のよい調子の、軽やかな奇妙なものであった。ヘンリー・ジーキルの重々しい軋むような足取りとは全く違っていた。アッタスンは溜息をついた。「ほ
かに何も変ったことはないかね?」と彼は尋ねた。
 プールはうなずいた。「一度、」と彼が言った。「一度私はあれが泣いているのを聞きました!」
「泣いていた? それはどうし
0396名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:29:00.710
 その馬丁は呼ばれて真っ蒼になってびくびくしながらやってきた。
「しっかりするんだ、ブラッドショー、」と弁護士が言った。「こういうどっちつかずの有様がお前たちみんなを怖がらせているんだよ。だが今我々はこんな有様にけりをつけようと思っているのだ。ここにいるプ
ールと僕とがこれから書斎へ押し入るつもりだ。もしみんながよければ、僕が一切の責任を負うてやる。その間、何かへまをしたり、犯人が裏口から逃げ出したりするといけないから、おまえとあのナイフ研
ぎのボーイとは丈夫な棒を一本ずつ持って、角をまわって、実験室の戸口のところで張番をしていなければならない、おまえたちがその部署につくまで、我々は十分間待つとしよう。」
 ブラッドショーが立去ると、弁護士は自分の懐中時計を見た。「さあ、プール、我々も部署につこう、」と彼は言って、火掻きを小脇に抱えて、先に立って裏庭へ出た。風に吹かれて飛ぶ雲がちょうど月をお
おっていて、そのときは真っ暗であった。建物にかこまれて深い井戸のようになっている裏庭には、ときどき隙間風が吹き込んできて、蝋燭の光を二人の足もとへあちこちと揺り動かした。やがて彼らは風の
当らない階段講堂へ入ると、黙ったまま腰を下ろして待った。ロンドンのどよめきは重々しく四方から聞こえていた。しかしあたりは静かで、ただ書斎の床をあちこちと歩き回っている足音だけがきこえていた。
「ああして一日中歩いているのですよ、」とプールが囁いた。「いいえ、昼間ばかりか、夜も大抵はああなのでございます。ただ薬屋から新しい見本が参りました時だけ、ちょっとやむのです。ああ、あんなに
まで落着けないのは良心が咎めるからですよ! ああ、旦那さま、あの一歩一歩に人殺しをして流した血があるんですよ! だがもう一度聴いてごらんなさいまし、もう少し近くへ寄って、――ようく耳を澄ましてごらんなさいまし、アッタスンさま。あれが博士の足音でございましょうか?」
 その足音は、非常にゆっくり歩いていたにも拘らず、威勢のよい調子の、軽やかな奇妙なものであった。ヘンリー・ジーキルの重々しい軋むような足取りとは全く違っていた。アッタスンは溜息をついた。「ほ
かに何も変ったことはないかね?」と彼は尋ねた。
 プールはうなずいた。「一度、」と彼が言った。「一度私はあれが泣いているのを聞きました!」
「泣いていた? それはどうし
0397名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:29:14.400
 その馬丁は呼ばれて真っ蒼になってびくびくしながらやってきた。
「しっかりするんだ、ブラッドショー、」と弁護士が言った。「こういうどっちつかずの有様がお前たちみんなを怖がらせているんだよ。だが今我々はこんな有様にけりをつけようと思っているのだ。ここにいるプ
ールと僕とがこれから書斎へ押し入るつもりだ。もしみんながよければ、僕が一切の責任を負うてやる。その間、何かへまをしたり、犯人が裏口から逃げ出したりするといけないから、おまえとあのナイフ研
ぎのボーイとは丈夫な棒を一本ずつ持って、角をまわって、実験室の戸口のところで張番をしていなければならない、おまえたちがその部署につくまで、我々は十分間待つとしよう。」
 ブラッドショーが立去ると、弁護士は自分の懐中時計を見た。「さあ、プール、我々も部署につこう、」と彼は言って、火掻きを小脇に抱えて、先に立って裏庭へ出た。風に吹かれて飛ぶ雲がちょうど月をお
おっていて、そのときは真っ暗であった。建物にかこまれて深い井戸のようになっている裏庭には、ときどき隙間風が吹き込んできて、蝋燭の光を二人の足もとへあちこちと揺り動かした。やがて彼らは風の
当らない階段講堂へ入ると、黙ったまま腰を下ろして待った。ロンドンのどよめきは重々しく四方から聞こえていた。しかしあたりは静かで、ただ書斎の床をあちこちと歩き回っている足音だけがきこえていた。
「ああして一日中歩いているのですよ、」とプールが囁いた。「いいえ、昼間ばかりか、夜も大抵はああなのでございます。ただ薬屋から新しい見本が参りました時だけ、ちょっとやむのです。ああ、あんなに
まで落着けないのは良心が咎めるからですよ! ああ、旦那さま、あの一歩一歩に人殺しをして流した血があるんですよ! だがもう一度聴いてごらんなさいまし、もう少し近くへ寄って、――ようく耳を澄ましてごらんなさいまし、アッタスンさま。あれが博士の足音でございましょうか?」
 その足音は、非常にゆっくり歩いていたにも拘らず、威勢のよい調子の、軽やかな奇妙なものであった。ヘンリー・ジーキルの重々しい軋むような足取りとは全く違っていた。アッタスンは溜息をついた。「ほ
かに何も変ったことはないかね?」と彼は尋ねた。
 プールはうなずいた。「一度、」と彼が言った。「一度私はあれが泣いているのを聞きました!」
「泣いていた? それはどうし
0398名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:30:07.480
「女か、それとも地獄へ堕ちた亡者みたいに泣いておりました、」と召使頭が言った。「それを聞いて戻って来ますと、それが心に残って、私までも泣きたくなるくらいでした。」
 しかしその時、約束の十分も終りかけていた。プールは積み重ねてある荷造り用の藁の下から斧を引き出した。蝋燭は、攻撃にかかる二人を照らすため
に、一番近くのテーブルの上に置かれた。そして二人は、夜の静けさの中を、あの根気強い足首がやはり往ったり来たり、往ったり来たりしているところへと、息を殺してちかよって行った。
「ジーキル、」とアッタスンが大声で呼んだ、「僕は君に会いたいのだ。」彼はちょっと言葉を切った。が何の返事もなかった。「僕は君にはっきり警告するが、
我々は疑いを起こしたのだ。それでわたしは君に会わなければならんし、また会うつもりだ、」と彼は言葉を続けた。「もし正当な手段で会えなければ、非常手
段ででも、――もし君の同意がなければ、暴力を用いてでもだ」
「アッタスン、」とさっきの声が言った、「後生だから、容してくれ!」
「ああ、あれはジーキルの声じゃない、――ハイドの声だ!」とアッタスンが叫んだ。「ドアを打ち破れ、プール。」
 プールは斧を肩の上にふり上げた。打ち下ろすと建物がゆれ動き、赤い粗羅紗を張ったドアは錠と蝶番とに当って跳ね返った。まるで動物的な恐ろしい叫び
声が書斎から響きわたった。斧が再びふり上げられ、再び鏡板ががあんと音を立て枠板が跳ね返った。こうして四度打ち下ろされたが、木は堅かったし、取付けの器具は丈夫に出来ていた。それで五度目になってやっ
錠がばらばらに打ち砕け、ドアの壊れたのが内側の絨毯の上に倒れた。

 攻めかかった二人は、自分たちのやった乱暴と、その後の静けさとにぞっとして、ちょっと後へ下って覗きこんだ。彼らの眼の前には、静かなランプの光に照らされた書斎があった。暖炉には気
持のよい火がぱちぱち音を立てて真っ赤に燃えていた。湯沸しは低い調子で歌を歌っていた。ひきだしが一つ二つ開いていたし、事務用のテーブルの上には書類がきちんと並べてあった。炉の
近くには、茶道具があって茶を入れる用意がされていた。もしこの室に、薬品の一杯入っていた硝子張りの戸棚さえなかったなら、その夜ロンドン中でも一番静かな室とも、また一番平凡な室とも言えたろう。
 室のちょうど真ん中に
0399名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:30:15.430
「女か、それとも地獄へ堕ちた亡者みたいに泣いておりました、」と召使頭が言った。「それを聞いて戻って来ますと、それが心に残って、私までも泣きたくなるくらいでした。」
 しかしその時、約束の十分も終りかけていた。プールは積み重ねてある荷造り用の藁の下から斧を引き出した。蝋燭は、攻撃にかかる二人を照らすため
に、一番近くのテーブルの上に置かれた。そして二人は、夜の静けさの中を、あの根気強い足首がやはり往ったり来たり、往ったり来たりしているところへと、息を殺してちかよって行った。
「ジーキル、」とアッタスンが大声で呼んだ、「僕は君に会いたいのだ。」彼はちょっと言葉を切った。が何の返事もなかった。「僕は君にはっきり警告するが、
我々は疑いを起こしたのだ。それでわたしは君に会わなければならんし、また会うつもりだ、」と彼は言葉を続けた。「もし正当な手段で会えなければ、非常手
段ででも、――もし君の同意がなければ、暴力を用いてでもだ」
「アッタスン、」とさっきの声が言った、「後生だから、容してくれ!」
「ああ、あれはジーキルの声じゃない、――ハイドの声だ!」とアッタスンが叫んだ。「ドアを打ち破れ、プール。」
 プールは斧を肩の上にふり上げた。打ち下ろすと建物がゆれ動き、赤い粗羅紗を張ったドアは錠と蝶番とに当って跳ね返った。まるで動物的な恐ろしい叫び
声が書斎から響きわたった。斧が再びふり上げられ、再び鏡板ががあんと音を立て枠板が跳ね返った。こうして四度打ち下ろされたが、木は堅かったし、取付けの器具は丈夫に出来ていた。それで五度目になってやっ
錠がばらばらに打ち砕け、ドアの壊れたのが内側の絨毯の上に倒れた。

 攻めかかった二人は、自分たちのやった乱暴と、その後の静けさとにぞっとして、ちょっと後へ下って覗きこんだ。彼らの眼の前には、静かなランプの光に照らされた書斎があった。暖炉には気
持のよい火がぱちぱち音を立てて真っ赤に燃えていた。湯沸しは低い調子で歌を歌っていた。ひきだしが一つ二つ開いていたし、事務用のテーブルの上には書類がきちんと並べてあった。炉の
近くには、茶道具があって茶を入れる用意がされていた。もしこの室に、薬品の一杯入っていた硝子張りの戸棚さえなかったなら、その夜ロンドン中でも一番静かな室とも、また一番平凡な室とも言えたろう。
 室のちょうど真ん中に
0400名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:30:24.260
「女か、それとも地獄へ堕ちた亡者みたいに泣いておりました、」と召使頭が言った。「それを聞いて戻って来ますと、それが心に残って、私までも泣きたくなるくらいでした。」
 しかしその時、約束の十分も終りかけていた。プールは積み重ねてある荷造り用の藁の下から斧を引き出した。蝋燭は、攻撃にかかる二人を照らすため
に、一番近くのテーブルの上に置かれた。そして二人は、夜の静けさの中を、あの根気強い足首がやはり往ったり来たり、往ったり来たりしているところへと、息を殺してちかよって行った。
「ジーキル、」とアッタスンが大声で呼んだ、「僕は君に会いたいのだ。」彼はちょっと言葉を切った。が何の返事もなかった。「僕は君にはっきり警告するが、
我々は疑いを起こしたのだ。それでわたしは君に会わなければならんし、また会うつもりだ、」と彼は言葉を続けた。「もし正当な手段で会えなければ、非常手
段ででも、――もし君の同意がなければ、暴力を用いてでもだ」
「アッタスン、」とさっきの声が言った、「後生だから、容してくれ!」
「ああ、あれはジーキルの声じゃない、――ハイドの声だ!」とアッタスンが叫んだ。「ドアを打ち破れ、プール。」
 プールは斧を肩の上にふり上げた。打ち下ろすと建物がゆれ動き、赤い粗羅紗を張ったドアは錠と蝶番とに当って跳ね返った。まるで動物的な恐ろしい叫び
声が書斎から響きわたった。斧が再びふり上げられ、再び鏡板ががあんと音を立て枠板が跳ね返った。こうして四度打ち下ろされたが、木は堅かったし、取付けの器具は丈夫に出来ていた。それで五度目になってやっ
錠がばらばらに打ち砕け、ドアの壊れたのが内側の絨毯の上に倒れた。

 攻めかかった二人は、自分たちのやった乱暴と、その後の静けさとにぞっとして、ちょっと後へ下って覗きこんだ。彼らの眼の前には、静かなランプの光に照らされた書斎があった。暖炉には気
持のよい火がぱちぱち音を立てて真っ赤に燃えていた。湯沸しは低い調子で歌を歌っていた。ひきだしが一つ二つ開いていたし、事務用のテーブルの上には書類がきちんと並べてあった。炉の
近くには、茶道具があって茶を入れる用意がされていた。もしこの室に、薬品の一杯入っていた硝子張りの戸棚さえなかったなら、その夜ロンドン中でも一番静かな室とも、また一番平凡な室とも言えたろう。
 室のちょうど真ん中に
0401名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:30:42.800
「女か、それとも地獄へ堕ちた亡者みたいに泣いておりました、」と召使頭が言った。「それを聞いて戻って来ますと、それが心に残って、私までも泣きたくなるくらいでした。」
 しかしその時、約束の十分も終りかけていた。プールは積み重ねてある荷造り用の藁の下から斧を引き出した。蝋燭は、攻撃にかかる二人を照らすため
に、一番近くのテーブルの上に置かれた。そして二人は、夜の静けさの中を、あの根気強い足首がやはり往ったり来たり、往ったり来たりしているところへと、息を殺してちかよって行った。
「ジーキル、」とアッタスンが大声で呼んだ、「僕は君に会いたいのだ。」彼はちょっと言葉を切った。が何の返事もなかった。「僕は君にはっきり警告するが、
我々は疑いを起こしたのだ。それでわたしは君に会わなければならんし、また会うつもりだ、」と彼は言葉を続けた。「もし正当な手段で会えなければ、非常手
段ででも、――もし君の同意がなければ、暴力を用いてでもだ」
「アッタスン、」とさっきの声が言った、「後生だから、容してくれ!」
「ああ、あれはジーキルの声じゃない、――ハイドの声だ!」とアッタスンが叫んだ。「ドアを打ち破れ、プール。」
 プールは斧を肩の上にふり上げた。打ち下ろすと建物がゆれ動き、赤い粗羅紗を張ったドアは錠と蝶番とに当って跳ね返った。まるで動物的な恐ろしい叫び
声が書斎から響きわたった。斧が再びふり上げられ、再び鏡板ががあんと音を立て枠板が跳ね返った。こうして四度打ち下ろされたが、木は堅かったし、取付けの器具は丈夫に出来ていた。それで五度目になってやっ
錠がばらばらに打ち砕け、ドアの壊れたのが内側の絨毯の上に倒れた。

 攻めかかった二人は、自分たちのやった乱暴と、その後の静けさとにぞっとして、ちょっと後へ下って覗きこんだ。彼らの眼の前には、静かなランプの光に照らされた書斎があった。暖炉には気
持のよい火がぱちぱち音を立てて真っ赤に燃えていた。湯沸しは低い調子で歌を歌っていた。ひきだしが一つ二つ開いていたし、事務用のテーブルの上には書類がきちんと並べてあった。炉の
近くには、茶道具があって茶を入れる用意がされていた。もしこの室に、薬品の一杯入っていた硝子張りの戸棚さえなかったなら、その夜ロンドン中でも一番静かな室とも、また一番平凡な室とも言えたろう。
 室のちょうど真ん中に
0402名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:30:56.420
「女か、それとも地獄へ堕ちた亡者みたいに泣いておりました、」と召使頭が言った。「それを聞いて戻って来ますと、それが心に残って、私までも泣きたくなるくらいでした。」
 しかしその時、約束の十分も終りかけていた。プールは積み重ねてある荷造り用の藁の下から斧を引き出した。蝋燭は、攻撃にかかる二人を照らすため
に、一番近くのテーブルの上に置かれた。そして二人は、夜の静けさの中を、あの根気強い足首がやはり往ったり来たり、往ったり来たりしているところへと、息を殺してちかよって行った。
「ジーキル、」とアッタスンが大声で呼んだ、「僕は君に会いたいのだ。」彼はちょっと言葉を切った。が何の返事もなかった。「僕は君にはっきり警告するが、
我々は疑いを起こしたのだ。それでわたしは君に会わなければならんし、また会うつもりだ、」と彼は言葉を続けた。「もし正当な手段で会えなければ、非常手
段ででも、――もし君の同意がなければ、暴力を用いてでもだ」
「アッタスン、」とさっきの声が言った、「後生だから、容してくれ!」
「ああ、あれはジーキルの声じゃない、――ハイドの声だ!」とアッタスンが叫んだ。「ドアを打ち破れ、プール。」
 プールは斧を肩の上にふり上げた。打ち下ろすと建物がゆれ動き、赤い粗羅紗を張ったドアは錠と蝶番とに当って跳ね返った。まるで動物的な恐ろしい叫び
声が書斎から響きわたった。斧が再びふり上げられ、再び鏡板ががあんと音を立て枠板が跳ね返った。こうして四度打ち下ろされたが、木は堅かったし、取付けの器具は丈夫に出来ていた。それで五度目になってやっ
錠がばらばらに打ち砕け、ドアの壊れたのが内側の絨毯の上に倒れた。

 攻めかかった二人は、自分たちのやった乱暴と、その後の静けさとにぞっとして、ちょっと後へ下って覗きこんだ。彼らの眼の前には、静かなランプの光に照らされた書斎があった。暖炉には気
持のよい火がぱちぱち音を立てて真っ赤に燃えていた。湯沸しは低い調子で歌を歌っていた。ひきだしが一つ二つ開いていたし、事務用のテーブルの上には書類がきちんと並べてあった。炉の
近くには、茶道具があって茶を入れる用意がされていた。もしこの室に、薬品の一杯入っていた硝子張りの戸棚さえなかったなら、その夜ロンドン中でも一番静かな室とも、また一番平凡な室とも言えたろう。
 室のちょうど真ん中に
0403名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:31:05.900
「女か、それとも地獄へ堕ちた亡者みたいに泣いておりました、」と召使頭が言った。「それを聞いて戻って来ますと、それが心に残って、私までも泣きたくなるくらいでした。」
 しかしその時、約束の十分も終りかけていた。プールは積み重ねてある荷造り用の藁の下から斧を引き出した。蝋燭は、攻撃にかかる二人を照らすため
に、一番近くのテーブルの上に置かれた。そして二人は、夜の静けさの中を、あの根気強い足首がやはり往ったり来たり、往ったり来たりしているところへと、息を殺してちかよって行った。
「ジーキル、」とアッタスンが大声で呼んだ、「僕は君に会いたいのだ。」彼はちょっと言葉を切った。が何の返事もなかった。「僕は君にはっきり警告するが、
我々は疑いを起こしたのだ。それでわたしは君に会わなければならんし、また会うつもりだ、」と彼は言葉を続けた。「もし正当な手段で会えなければ、非常手
段ででも、――もし君の同意がなければ、暴力を用いてでもだ」
「アッタスン、」とさっきの声が言った、「後生だから、容してくれ!」
「ああ、あれはジーキルの声じゃない、――ハイドの声だ!」とアッタスンが叫んだ。「ドアを打ち破れ、プール。」
 プールは斧を肩の上にふり上げた。打ち下ろすと建物がゆれ動き、赤い粗羅紗を張ったドアは錠と蝶番とに当って跳ね返った。まるで動物的な恐ろしい叫び
声が書斎から響きわたった。斧が再びふり上げられ、再び鏡板ががあんと音を立て枠板が跳ね返った。こうして四度打ち下ろされたが、木は堅かったし、取付けの器具は丈夫に出来ていた。それで五度目になってやっ
錠がばらばらに打ち砕け、ドアの壊れたのが内側の絨毯の上に倒れた。

 攻めかかった二人は、自分たちのやった乱暴と、その後の静けさとにぞっとして、ちょっと後へ下って覗きこんだ。彼らの眼の前には、静かなランプの光に照らされた書斎があった。暖炉には気
持のよい火がぱちぱち音を立てて真っ赤に燃えていた。湯沸しは低い調子で歌を歌っていた。ひきだしが一つ二つ開いていたし、事務用のテーブルの上には書類がきちんと並べてあった。炉の
近くには、茶道具があって茶を入れる用意がされていた。もしこの室に、薬品の一杯入っていた硝子張りの戸棚さえなかったなら、その夜ロンドン中でも一番静かな室とも、また一番平凡な室とも言えたろう。
 室のちょうど真ん中に
0404名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:31:47.430
「我々は来るのが遅過ぎた、救うにしても罰するにしてもだ、」とアッタスンは厳しい口調で言った。「ハイドは死んでしまった。あとはもうおまえの御主人の死体を探し出すことだけだ。」
 その建物の大部分は、階段講堂と、書斎とで占められていた。階段講堂は殆ど一階全部をふさぎ、上から明りを取ってあったし、書斎は二階の一方の端にあって、あの路地に面してい
た。階段講堂と例の横町の戸口とは廊下でつながり、その戸口と書斎とは別にもう一つの階段で通じていた。そのほかには暗い物置が二つ三つと、広い穴蔵が一つあった。今二人はこれをみんな
綿
密に調べた。物置はどれも一目見ればよかった。というのは、どれもみんな空っぽだったし、どれもみんな戸から埃が落ちてくるのを見ても、永いこと開けずにおいてあったことがわかったからであ
る。穴蔵は、ほとんどがジーキルの前に住んでいた外科医時代からのものである、壊れかけたがらくた物で一杯になっていた。けれども、戸を開けただけで、幾年も入口を閉ざしていたまるで莚の
ような蜘蛛の巣が落ちてきたので、それ以上搜してみても何にもならないことを知らされた。生きているにしろ死んでいるにしろ、どこにもヘンリー・ジーキルのあとかたもなかった。
 プールは廊下の板石を踏んでみた。「あの方はここに埋められておいでになるに違いありません、」と彼はその音に耳を傾けながら言った。
「それとも逃げたのかも知れない、」とアッタスンは言い、そして横町の戸口を調べに行った。戸には錠が下りていた。そしてすぐ傍らの板石の上に、二人はとっくに錆びている鍵を見つけた。
「これは使えるようには見えないな、」と弁護士が言った。
「使えるですって!」とプールは鸚鵡返しに言った。「壊れているではございませんか、旦那さま? まるで人が踏みつけでもしたように。」
「ああ、ああ、」とアッタスンは言葉を続けた。「それに、折れたところまで錆びている。」二人はぎょっとしてお互いに顔を見合わせた。「これは僕にはわからないよ、プール、」と弁護士が言った。「書斎へ引返すとしようじゃないか。」
 二人は黙々として階段を上り、そしてなおも、ちょいちょい死体を恐ろしそうにちらりと見ながら、書斎の中にある物を前よりももっと綿密に調べにかかった。一つのテーブルには、化学上の仕事をしていた
形跡があり、いろいろの分量の白い塩に驚いた。
0405名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:32:00.250
「我々は来るのが遅過ぎた、救うにしても罰するにしてもだ、」とアッタスンは厳しい口調で言った。「ハイドは死んでしまった。あとはもうおまえの御主人の死体を探し出すことだけだ。」
 その建物の大部分は、階段講堂と、書斎とで占められていた。階段講堂は殆ど一階全部をふさぎ、上から明りを取ってあったし、書斎は二階の一方の端にあって、あの路地に面してい
た。階段講堂と例の横町の戸口とは廊下でつながり、その戸口と書斎とは別にもう一つの階段で通じていた。そのほかには暗い物置が二つ三つと、広い穴蔵が一つあった。今二人はこれをみんな
綿
密に調べた。物置はどれも一目見ればよかった。というのは、どれもみんな空っぽだったし、どれもみんな戸から埃が落ちてくるのを見ても、永いこと開けずにおいてあったことがわかったからであ
る。穴蔵は、ほとんどがジーキルの前に住んでいた外科医時代からのものである、壊れかけたがらくた物で一杯になっていた。けれども、戸を開けただけで、幾年も入口を閉ざしていたまるで莚の
ような蜘蛛の巣が落ちてきたので、それ以上搜してみても何にもならないことを知らされた。生きているにしろ死んでいるにしろ、どこにもヘンリー・ジーキルのあとかたもなかった。
 プールは廊下の板石を踏んでみた。「あの方はここに埋められておいでになるに違いありません、」と彼はその音に耳を傾けながら言った。
「それとも逃げたのかも知れない、」とアッタスンは言い、そして横町の戸口を調べに行った。戸には錠が下りていた。そしてすぐ傍らの板石の上に、二人はとっくに錆びている鍵を見つけた。
「これは使えるようには見えないな、」と弁護士が言った。
「使えるですって!」とプールは鸚鵡返しに言った。「壊れているではございませんか、旦那さま? まるで人が踏みつけでもしたように。」
「ああ、ああ、」とアッタスンは言葉を続けた。「それに、折れたところまで錆びている。」二人はぎょっとしてお互いに顔を見合わせた。「これは僕にはわからないよ、プール、」と弁護士が言った。「書斎へ引返すとしようじゃないか。」
 二人は黙々として階段を上り、そしてなおも、ちょいちょい死体を恐ろしそうにちらりと見ながら、書斎の中にある物を前よりももっと綿密に調べにかかった。一つのテーブルには、化学上の仕事をしていた
形跡があり、いろいろの分量の白い塩に驚いた。
0406名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:32:10.540
「我々は来るのが遅過ぎた、救うにしても罰するにしてもだ、」とアッタスンは厳しい口調で言った。「ハイドは死んでしまった。あとはもうおまえの御主人の死体を探し出すことだけだ。」
 その建物の大部分は、階段講堂と、書斎とで占められていた。階段講堂は殆ど一階全部をふさぎ、上から明りを取ってあったし、書斎は二階の一方の端にあって、あの路地に面してい
た。階段講堂と例の横町の戸口とは廊下でつながり、その戸口と書斎とは別にもう一つの階段で通じていた。そのほかには暗い物置が二つ三つと、広い穴蔵が一つあった。今二人はこれをみんな
綿
密に調べた。物置はどれも一目見ればよかった。というのは、どれもみんな空っぽだったし、どれもみんな戸から埃が落ちてくるのを見ても、永いこと開けずにおいてあったことがわかったからであ
る。穴蔵は、ほとんどがジーキルの前に住んでいた外科医時代からのものである、壊れかけたがらくた物で一杯になっていた。けれども、戸を開けただけで、幾年も入口を閉ざしていたまるで莚の
ような蜘蛛の巣が落ちてきたので、それ以上搜してみても何にもならないことを知らされた。生きているにしろ死んでいるにしろ、どこにもヘンリー・ジーキルのあとかたもなかった。
 プールは廊下の板石を踏んでみた。「あの方はここに埋められておいでになるに違いありません、」と彼はその音に耳を傾けながら言った。
「それとも逃げたのかも知れない、」とアッタスンは言い、そして横町の戸口を調べに行った。戸には錠が下りていた。そしてすぐ傍らの板石の上に、二人はとっくに錆びている鍵を見つけた。
「これは使えるようには見えないな、」と弁護士が言った。
「使えるですって!」とプールは鸚鵡返しに言った。「壊れているではございませんか、旦那さま? まるで人が踏みつけでもしたように。」
「ああ、ああ、」とアッタスンは言葉を続けた。「それに、折れたところまで錆びている。」二人はぎょっとしてお互いに顔を見合わせた。「これは僕にはわからないよ、プール、」と弁護士が言った。「書斎へ引返すとしようじゃないか。」
 二人は黙々として階段を上り、そしてなおも、ちょいちょい死体を恐ろしそうにちらりと見ながら、書斎の中にある物を前よりももっと綿密に調べにかかった。一つのテーブルには、化学上の仕事をしていた
形跡があり、いろいろの分量の白い塩に驚いた。
0407名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:32:22.440
「我々は来るのが遅過ぎた、救うにしても罰するにしてもだ、」とアッタスンは厳しい口調で言った。「ハイドは死んでしまった。あとはもうおまえの御主人の死体を探し出すことだけだ。」
 その建物の大部分は、階段講堂と、書斎とで占められていた。階段講堂は殆ど一階全部をふさぎ、上から明りを取ってあったし、書斎は二階の一方の端にあって、あの路地に面してい
た。階段講堂と例の横町の戸口とは廊下でつながり、その戸口と書斎とは別にもう一つの階段で通じていた。そのほかには暗い物置が二つ三つと、広い穴蔵が一つあった。今二人はこれをみんな
綿
密に調べた。物置はどれも一目見ればよかった。というのは、どれもみんな空っぽだったし、どれもみんな戸から埃が落ちてくるのを見ても、永いこと開けずにおいてあったことがわかったからであ
る。穴蔵は、ほとんどがジーキルの前に住んでいた外科医時代からのものである、壊れかけたがらくた物で一杯になっていた。けれども、戸を開けただけで、幾年も入口を閉ざしていたまるで莚の
ような蜘蛛の巣が落ちてきたので、それ以上搜してみても何にもならないことを知らされた。生きているにしろ死んでいるにしろ、どこにもヘンリー・ジーキルのあとかたもなかった。
 プールは廊下の板石を踏んでみた。「あの方はここに埋められておいでになるに違いありません、」と彼はその音に耳を傾けながら言った。
「それとも逃げたのかも知れない、」とアッタスンは言い、そして横町の戸口を調べに行った。戸には錠が下りていた。そしてすぐ傍らの板石の上に、二人はとっくに錆びている鍵を見つけた。
「これは使えるようには見えないな、」と弁護士が言った。
「使えるですって!」とプールは鸚鵡返しに言った。「壊れているではございませんか、旦那さま? まるで人が踏みつけでもしたように。」
「ああ、ああ、」とアッタスンは言葉を続けた。「それに、折れたところまで錆びている。」二人はぎょっとしてお互いに顔を見合わせた。「これは僕にはわからないよ、プール、」と弁護士が言った。「書斎へ引返すとしようじゃないか。」
 二人は黙々として階段を上り、そしてなおも、ちょいちょい死体を恐ろしそうにちらりと見ながら、書斎の中にある物を前よりももっと綿密に調べにかかった。一つのテーブルには、化学上の仕事をしていた
形跡があり、いろいろの分量の白い塩に驚いた。
0408名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:32:31.370
「我々は来るのが遅過ぎた、救うにしても罰するにしてもだ、」とアッタスンは厳しい口調で言った。「ハイドは死んでしまった。あとはもうおまえの御主人の死体を探し出すことだけだ。」
 その建物の大部分は、階段講堂と、書斎とで占められていた。階段講堂は殆ど一階全部をふさぎ、上から明りを取ってあったし、書斎は二階の一方の端にあって、あの路地に面してい
た。階段講堂と例の横町の戸口とは廊下でつながり、その戸口と書斎とは別にもう一つの階段で通じていた。そのほかには暗い物置が二つ三つと、広い穴蔵が一つあった。今二人はこれをみんな
綿
密に調べた。物置はどれも一目見ればよかった。というのは、どれもみんな空っぽだったし、どれもみんな戸から埃が落ちてくるのを見ても、永いこと開けずにおいてあったことがわかったからであ
る。穴蔵は、ほとんどがジーキルの前に住んでいた外科医時代からのものである、壊れかけたがらくた物で一杯になっていた。けれども、戸を開けただけで、幾年も入口を閉ざしていたまるで莚の
ような蜘蛛の巣が落ちてきたので、それ以上搜してみても何にもならないことを知らされた。生きているにしろ死んでいるにしろ、どこにもヘンリー・ジーキルのあとかたもなかった。
 プールは廊下の板石を踏んでみた。「あの方はここに埋められておいでになるに違いありません、」と彼はその音に耳を傾けながら言った。
「それとも逃げたのかも知れない、」とアッタスンは言い、そして横町の戸口を調べに行った。戸には錠が下りていた。そしてすぐ傍らの板石の上に、二人はとっくに錆びている鍵を見つけた。
「これは使えるようには見えないな、」と弁護士が言った。
「使えるですって!」とプールは鸚鵡返しに言った。「壊れているではございませんか、旦那さま? まるで人が踏みつけでもしたように。」
「ああ、ああ、」とアッタスンは言葉を続けた。「それに、折れたところまで錆びている。」二人はぎょっとしてお互いに顔を見合わせた。「これは僕にはわからないよ、プール、」と弁護士が言った。「書斎へ引返すとしようじゃないか。」
 二人は黙々として階段を上り、そしてなおも、ちょいちょい死体を恐ろしそうにちらりと見ながら、書斎の中にある物を前よりももっと綿密に調べにかかった。一つのテーブルには、化学上の仕事をしていた
形跡があり、いろいろの分量の白い塩に驚いた。
0409名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:32:46.880
「我々は来るのが遅過ぎた、救うにしても罰するにしてもだ、」とアッタスンは厳しい口調で言った。「ハイドは死んでしまった。あとはもうおまえの御主人の死体を探し出すことだけだ。」
 その建物の大部分は、階段講堂と、書斎とで占められていた。階段講堂は殆ど一階全部をふさぎ、上から明りを取ってあったし、書斎は二階の一方の端にあって、あの路地に面してい
た。階段講堂と例の横町の戸口とは廊下でつながり、その戸口と書斎とは別にもう一つの階段で通じていた。そのほかには暗い物置が二つ三つと、広い穴蔵が一つあった。今二人はこれをみんな
綿
密に調べた。物置はどれも一目見ればよかった。というのは、どれもみんな空っぽだったし、どれもみんな戸から埃が落ちてくるのを見ても、永いこと開けずにおいてあったことがわかったからであ
る。穴蔵は、ほとんどがジーキルの前に住んでいた外科医時代からのものである、壊れかけたがらくた物で一杯になっていた。けれども、戸を開けただけで、幾年も入口を閉ざしていたまるで莚の
ような蜘蛛の巣が落ちてきたので、それ以上搜してみても何にもならないことを知らされた。生きているにしろ死んでいるにしろ、どこにもヘンリー・ジーキルのあとかたもなかった。
 プールは廊下の板石を踏んでみた。「あの方はここに埋められておいでになるに違いありません、」と彼はその音に耳を傾けながら言った。
「それとも逃げたのかも知れない、」とアッタスンは言い、そして横町の戸口を調べに行った。戸には錠が下りていた。そしてすぐ傍らの板石の上に、二人はとっくに錆びている鍵を見つけた。
「これは使えるようには見えないな、」と弁護士が言った。
「使えるですって!」とプールは鸚鵡返しに言った。「壊れているではございませんか、旦那さま? まるで人が踏みつけでもしたように。」
「ああ、ああ、」とアッタスンは言葉を続けた。「それに、折れたところまで錆びている。」二人はぎょっとしてお互いに顔を見合わせた。「これは僕にはわからないよ、プール、」と弁護士が言った。「書斎へ引返すとしようじゃないか。」
 二人は黙々として階段を上り、そしてなおも、ちょいちょい死体を恐ろしそうにちらりと見ながら、書斎の中にある物を前よりももっと綿密に調べにかかった。一つのテーブルには、化学上の仕事をしていた
形跡があり、いろいろの分量の白い塩に驚いた。
0410名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:33:52.510
 それから、二人がその部屋を調べているうちに、姿見鏡のところへやって来て、思わずぞっとして鏡の奥をのぞき込んだ。しかし、鏡のむき工合で、ただ、天井にち
らちらしている薔薇色の光と、戸棚の硝子戸に幾つにもなって映っているきらきら光る炉火と、屈んでのぞき込んでいる自分たちの蒼ざめた恐ろしげな顔とのほかには、何も映って見えなかった。
「この鏡はいろいろ不思議なことを映したのでございますよ、旦那さま、」とプールが囁いた。
「それに、こんな鏡があるということが確かに何よりも不思議だよ、」と同じ調子で弁護士が言った。「なぜって言えば、一たい何だってジーキルは、」――彼はその言葉に
ぎょっとして止めたが、やがてその気の弱さに打ち勝って、「一たい何だってジーキルはこんなものが必要だったのだろう?」と言った。
「全くさようでございますねえ!」とプールが言った。
 次に彼らは事務用テーブルの方へ行った。その机の上には、きちんと並べた書類の中に、一通の大きな封筒が一番上にあって、それには博士の筆跡でアッタスン氏の
名が書いてあった。弁護士がそれを開封すると、数通の封入書が床に落ちた。第一のは遺言書で、六カ月前に彼が返したのと同一のあの奇妙な条件で作られ、博士の
死亡の場合には遺言状となり、失踪の場合には財産贈与証書となるものであった。しかし、エドワード・ハイドという名の代りにゲーブリエル・ジョン・アッタスンという名が書いてあるの
を見て、弁護士は言うに言われぬほど驚いた。彼はプールを見、それからまたその証書を見、最後に絨毯の上に横たわっている犯罪者の死体を見た。「頭がぐらぐらする、」と彼が言った。「この
男はこのあいだじゅうずっとどうかしていたのだ。この男が僕を好く訳がない。自分の名前を僕の名前に書き換えられているのを見て非常に怒ったはずだ。それだのにこの証書を破り棄てていないのだからね。」
 彼は第二の書類を取り上げた。それは博士の筆跡の簡単な手紙で、一番上に日付が書いてあった。「おや、プール!」と弁護士は叫んだ。「博士は生きていたのだ、今
日ここにいたのだ。そんな暫くの間に殺されてしまうはずがない、まだ生きているに違いない、逃げたに違いないよ! とすると、なぜ逃げたんだろう? 逃げたとすると、我
々はこの自殺を発表してもよいだろうか? うむ、我々は慎重にならねばな
0411名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:34:04.840
 それから、二人がその部屋を調べているうちに、姿見鏡のところへやって来て、思わずぞっとして鏡の奥をのぞき込んだ。しかし、鏡のむき工合で、ただ、天井にち
らちらしている薔薇色の光と、戸棚の硝子戸に幾つにもなって映っているきらきら光る炉火と、屈んでのぞき込んでいる自分たちの蒼ざめた恐ろしげな顔とのほかには、何も映って見えなかった。
「この鏡はいろいろ不思議なことを映したのでございますよ、旦那さま、」とプールが囁いた。
「それに、こんな鏡があるということが確かに何よりも不思議だよ、」と同じ調子で弁護士が言った。「なぜって言えば、一たい何だってジーキルは、」――彼はその言葉に
ぎょっとして止めたが、やがてその気の弱さに打ち勝って、「一たい何だってジーキルはこんなものが必要だったのだろう?」と言った。
「全くさようでございますねえ!」とプールが言った。
 次に彼らは事務用テーブルの方へ行った。その机の上には、きちんと並べた書類の中に、一通の大きな封筒が一番上にあって、それには博士の筆跡でアッタスン氏の
名が書いてあった。弁護士がそれを開封すると、数通の封入書が床に落ちた。第一のは遺言書で、六カ月前に彼が返したのと同一のあの奇妙な条件で作られ、博士の
死亡の場合には遺言状となり、失踪の場合には財産贈与証書となるものであった。しかし、エドワード・ハイドという名の代りにゲーブリエル・ジョン・アッタスンという名が書いてあるの
を見て、弁護士は言うに言われぬほど驚いた。彼はプールを見、それからまたその証書を見、最後に絨毯の上に横たわっている犯罪者の死体を見た。「頭がぐらぐらする、」と彼が言った。「この
男はこのあいだじゅうずっとどうかしていたのだ。この男が僕を好く訳がない。自分の名前を僕の名前に書き換えられているのを見て非常に怒ったはずだ。それだのにこの証書を破り棄てていないのだからね。」
 彼は第二の書類を取り上げた。それは博士の筆跡の簡単な手紙で、一番上に日付が書いてあった。「おや、プール!」と弁護士は叫んだ。「博士は生きていたのだ、今
日ここにいたのだ。そんな暫くの間に殺されてしまうはずがない、まだ生きているに違いない、逃げたに違いないよ! とすると、なぜ逃げたんだろう? 逃げたとすると、我
々はこの自殺を発表してもよいだろうか? うむ、我々は慎重にならねばな
0412名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:34:20.360
 それから、二人がその部屋を調べているうちに、姿見鏡のところへやって来て、思わずぞっとして鏡の奥をのぞき込んだ。しかし、鏡のむき工合で、ただ、天井にち
らちらしている薔薇色の光と、戸棚の硝子戸に幾つにもなって映っているきらきら光る炉火と、屈んでのぞき込んでいる自分たちの蒼ざめた恐ろしげな顔とのほかには、何も映って見えなかった。
「この鏡はいろいろ不思議なことを映したのでございますよ、旦那さま、」とプールが囁いた。
「それに、こんな鏡があるということが確かに何よりも不思議だよ、」と同じ調子で弁護士が言った。「なぜって言えば、一たい何だってジーキルは、」――彼はその言葉に
ぎょっとして止めたが、やがてその気の弱さに打ち勝って、「一たい何だってジーキルはこんなものが必要だったのだろう?」と言った。
「全くさようでございますねえ!」とプールが言った。
 次に彼らは事務用テーブルの方へ行った。その机の上には、きちんと並べた書類の中に、一通の大きな封筒が一番上にあって、それには博士の筆跡でアッタスン氏の
名が書いてあった。弁護士がそれを開封すると、数通の封入書が床に落ちた。第一のは遺言書で、六カ月前に彼が返したのと同一のあの奇妙な条件で作られ、博士の
死亡の場合には遺言状となり、失踪の場合には財産贈与証書となるものであった。しかし、エドワード・ハイドという名の代りにゲーブリエル・ジョン・アッタスンという名が書いてあるの
を見て、弁護士は言うに言われぬほど驚いた。彼はプールを見、それからまたその証書を見、最後に絨毯の上に横たわっている犯罪者の死体を見た。「頭がぐらぐらする、」と彼が言った。「この
男はこのあいだじゅうずっとどうかしていたのだ。この男が僕を好く訳がない。自分の名前を僕の名前に書き換えられているのを見て非常に怒ったはずだ。それだのにこの証書を破り棄てていないのだからね。」
 彼は第二の書類を取り上げた。それは博士の筆跡の簡単な手紙で、一番上に日付が書いてあった。「おや、プール!」と弁護士は叫んだ。「博士は生きていたのだ、今
日ここにいたのだ。そんな暫くの間に殺されてしまうはずがない、まだ生きているに違いない、逃げたに違いないよ! とすると、なぜ逃げたんだろう? 逃げたとすると、我
々はこの自殺を発表してもよいだろうか? うむ、我々は慎重にならねばな
0413名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:34:31.110
 それから、二人がその部屋を調べているうちに、姿見鏡のところへやって来て、思わずぞっとして鏡の奥をのぞき込んだ。しかし、鏡のむき工合で、ただ、天井にち
らちらしている薔薇色の光と、戸棚の硝子戸に幾つにもなって映っているきらきら光る炉火と、屈んでのぞき込んでいる自分たちの蒼ざめた恐ろしげな顔とのほかには、何も映って見えなかった。
「この鏡はいろいろ不思議なことを映したのでございますよ、旦那さま、」とプールが囁いた。
「それに、こんな鏡があるということが確かに何よりも不思議だよ、」と同じ調子で弁護士が言った。「なぜって言えば、一たい何だってジーキルは、」――彼はその言葉に
ぎょっとして止めたが、やがてその気の弱さに打ち勝って、「一たい何だってジーキルはこんなものが必要だったのだろう?」と言った。
「全くさようでございますねえ!」とプールが言った。
 次に彼らは事務用テーブルの方へ行った。その机の上には、きちんと並べた書類の中に、一通の大きな封筒が一番上にあって、それには博士の筆跡でアッタスン氏の
名が書いてあった。弁護士がそれを開封すると、数通の封入書が床に落ちた。第一のは遺言書で、六カ月前に彼が返したのと同一のあの奇妙な条件で作られ、博士の
死亡の場合には遺言状となり、失踪の場合には財産贈与証書となるものであった。しかし、エドワード・ハイドという名の代りにゲーブリエル・ジョン・アッタスンという名が書いてあるの
を見て、弁護士は言うに言われぬほど驚いた。彼はプールを見、それからまたその証書を見、最後に絨毯の上に横たわっている犯罪者の死体を見た。「頭がぐらぐらする、」と彼が言った。「この
男はこのあいだじゅうずっとどうかしていたのだ。この男が僕を好く訳がない。自分の名前を僕の名前に書き換えられているのを見て非常に怒ったはずだ。それだのにこの証書を破り棄てていないのだからね。」
 彼は第二の書類を取り上げた。それは博士の筆跡の簡単な手紙で、一番上に日付が書いてあった。「おや、プール!」と弁護士は叫んだ。「博士は生きていたのだ、今
日ここにいたのだ。そんな暫くの間に殺されてしまうはずがない、まだ生きているに違いない、逃げたに違いないよ! とすると、なぜ逃げたんだろう? 逃げたとすると、我
々はこの自殺を発表してもよいだろうか? うむ、我々は慎重にならねばな
0414名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:34:41.650
 それから、二人がその部屋を調べているうちに、姿見鏡のところへやって来て、思わずぞっとして鏡の奥をのぞき込んだ。しかし、鏡のむき工合で、ただ、天井にち
らちらしている薔薇色の光と、戸棚の硝子戸に幾つにもなって映っているきらきら光る炉火と、屈んでのぞき込んでいる自分たちの蒼ざめた恐ろしげな顔とのほかには、何も映って見えなかった。
「この鏡はいろいろ不思議なことを映したのでございますよ、旦那さま、」とプールが囁いた。
「それに、こんな鏡があるということが確かに何よりも不思議だよ、」と同じ調子で弁護士が言った。「なぜって言えば、一たい何だってジーキルは、」――彼はその言葉に
ぎょっとして止めたが、やがてその気の弱さに打ち勝って、「一たい何だってジーキルはこんなものが必要だったのだろう?」と言った。
「全くさようでございますねえ!」とプールが言った。
 次に彼らは事務用テーブルの方へ行った。その机の上には、きちんと並べた書類の中に、一通の大きな封筒が一番上にあって、それには博士の筆跡でアッタスン氏の
名が書いてあった。弁護士がそれを開封すると、数通の封入書が床に落ちた。第一のは遺言書で、六カ月前に彼が返したのと同一のあの奇妙な条件で作られ、博士の
死亡の場合には遺言状となり、失踪の場合には財産贈与証書となるものであった。しかし、エドワード・ハイドという名の代りにゲーブリエル・ジョン・アッタスンという名が書いてあるの
を見て、弁護士は言うに言われぬほど驚いた。彼はプールを見、それからまたその証書を見、最後に絨毯の上に横たわっている犯罪者の死体を見た。「頭がぐらぐらする、」と彼が言った。「この
男はこのあいだじゅうずっとどうかしていたのだ。この男が僕を好く訳がない。自分の名前を僕の名前に書き換えられているのを見て非常に怒ったはずだ。それだのにこの証書を破り棄てていないのだからね。」
 彼は第二の書類を取り上げた。それは博士の筆跡の簡単な手紙で、一番上に日付が書いてあった。「おや、プール!」と弁護士は叫んだ。「博士は生きていたのだ、今
日ここにいたのだ。そんな暫くの間に殺されてしまうはずがない、まだ生きているに違いない、逃げたに違いないよ! とすると、なぜ逃げたんだろう? 逃げたとすると、我
々はこの自殺を発表してもよいだろうか? うむ、我々は慎重にならねばな
0415名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:34:51.040
 それから、二人がその部屋を調べているうちに、姿見鏡のところへやって来て、思わずぞっとして鏡の奥をのぞき込んだ。しかし、鏡のむき工合で、ただ、天井にち
らちらしている薔薇色の光と、戸棚の硝子戸に幾つにもなって映っているきらきら光る炉火と、屈んでのぞき込んでいる自分たちの蒼ざめた恐ろしげな顔とのほかには、何も映って見えなかった。
「この鏡はいろいろ不思議なことを映したのでございますよ、旦那さま、」とプールが囁いた。
「それに、こんな鏡があるということが確かに何よりも不思議だよ、」と同じ調子で弁護士が言った。「なぜって言えば、一たい何だってジーキルは、」――彼はその言葉に
ぎょっとして止めたが、やがてその気の弱さに打ち勝って、「一たい何だってジーキルはこんなものが必要だったのだろう?」と言った。
「全くさようでございますねえ!」とプールが言った。
 次に彼らは事務用テーブルの方へ行った。その机の上には、きちんと並べた書類の中に、一通の大きな封筒が一番上にあって、それには博士の筆跡でアッタスン氏の
名が書いてあった。弁護士がそれを開封すると、数通の封入書が床に落ちた。第一のは遺言書で、六カ月前に彼が返したのと同一のあの奇妙な条件で作られ、博士の
死亡の場合には遺言状となり、失踪の場合には財産贈与証書となるものであった。しかし、エドワード・ハイドという名の代りにゲーブリエル・ジョン・アッタスンという名が書いてあるの
を見て、弁護士は言うに言われぬほど驚いた。彼はプールを見、それからまたその証書を見、最後に絨毯の上に横たわっている犯罪者の死体を見た。「頭がぐらぐらする、」と彼が言った。「この
男はこのあいだじゅうずっとどうかしていたのだ。この男が僕を好く訳がない。自分の名前を僕の名前に書き換えられているのを見て非常に怒ったはずだ。それだのにこの証書を破り棄てていないのだからね。」
 彼は第二の書類を取り上げた。それは博士の筆跡の簡単な手紙で、一番上に日付が書いてあった。「おや、プール!」と弁護士は叫んだ。「博士は生きていたのだ、今
日ここにいたのだ。そんな暫くの間に殺されてしまうはずがない、まだ生きているに違いない、逃げたに違いないよ! とすると、なぜ逃げたんだろう? 逃げたとすると、我
々はこの自殺を発表してもよいだろうか? うむ、我々は慎重にならねばな
0416名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:35:37.400
「一八――年十二月十日。
 親愛なるラニョン君、――君は私の最も古くからの友人の一人なのです。そして、我々は科学上の問題では時によって意見の違ったこともあったかも知れないが、
我々の友情がとぎれたことは少なくとも私の方では思い出すことができないのです。もし君が私に向って『ジーキル、私の生命も、私の名誉も、私の理性も君だけを力
にしているのです』と言ったなら、私が君を助けるために自分の財産も、自分の左腕もみな犠牲にしようとしなかった日は、一日だってなかったでしょう。ところが、ラニョ
ン君、今こそ、私の生命も、私の名誉も、私の理性もすべて君の心まかせなのです。もし君が今夜、私の言うとおりにしてくれなければ、私は破滅するだけです。こんな
前置きを並べると、君は、引きうけたなら何か不名誉になるようなことを、私が君に頼もうとしているのだと想像なさる
かも知れないが、それは君自身で判断して下さい。
 私は、君に今夜だけは他のあらゆる用事を延期して貰いたいのです、――さよう、もし君が国王の枕頭に招かれたとしてもです。そして、君の馬車がいま戸口にいなければ
、辻馬車を雇って下さい。そして、参考のためにこの手紙をもって、まっすぐに私の家へ馬車を走らせて貰いたいのです。私の召使頭のプールにはいいつけてあります。彼は
錠前屋と一しょに君の来るのを待っているでしょう。それから私の書斎のドアをこじ開けることになっているのです。そして、君はひとりで入って行って、左手の硝子張りの戸棚(E文字
の)を、もし鍵がかかっていたら錠を壊して開け、上から四番目の、あるいは(同じことだが)下から三番目のひきだしを、その中身をすべてそのままに、抜き出して下さい。私はひどい心痛のた
めに君に指図を誤りはしないかと、病的な不安を感じています。しかし、たとえ私の言葉が間違っているにしても、君はその中身でそのひきだしを知ることができましょう。散薬と、一つの薬びん
と一冊の手帳とが入っているのです。そのひきだしをそっくりそのままキャヴェンディッシュ広辻に持って帰って頂きたいのです。
 これがお願いの第一の部分ですが、今度は第二の部分です。君がこの手紙を読んですぐ出掛けてくれるなら、夜の十二時よりずっと前に戻れるでしょう。が、それだけの時間の余裕を残して
おくことにしましょう。そが、それを一つでもはぶいたならば、
0417名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:35:44.210
「一八――年十二月十日。
 親愛なるラニョン君、――君は私の最も古くからの友人の一人なのです。そして、我々は科学上の問題では時によって意見の違ったこともあったかも知れないが、
我々の友情がとぎれたことは少なくとも私の方では思い出すことができないのです。もし君が私に向って『ジーキル、私の生命も、私の名誉も、私の理性も君だけを力
にしているのです』と言ったなら、私が君を助けるために自分の財産も、自分の左腕もみな犠牲にしようとしなかった日は、一日だってなかったでしょう。ところが、ラニョ
ン君、今こそ、私の生命も、私の名誉も、私の理性もすべて君の心まかせなのです。もし君が今夜、私の言うとおりにしてくれなければ、私は破滅するだけです。こんな
前置きを並べると、君は、引きうけたなら何か不名誉になるようなことを、私が君に頼もうとしているのだと想像なさる
かも知れないが、それは君自身で判断して下さい。
 私は、君に今夜だけは他のあらゆる用事を延期して貰いたいのです、――さよう、もし君が国王の枕頭に招かれたとしてもです。そして、君の馬車がいま戸口にいなければ
、辻馬車を雇って下さい。そして、参考のためにこの手紙をもって、まっすぐに私の家へ馬車を走らせて貰いたいのです。私の召使頭のプールにはいいつけてあります。彼は
錠前屋と一しょに君の来るのを待っているでしょう。それから私の書斎のドアをこじ開けることになっているのです。そして、君はひとりで入って行って、左手の硝子張りの戸棚(E文字
の)を、もし鍵がかかっていたら錠を壊して開け、上から四番目の、あるいは(同じことだが)下から三番目のひきだしを、その中身をすべてそのままに、抜き出して下さい。私はひどい心痛のた
めに君に指図を誤りはしないかと、病的な不安を感じています。しかし、たとえ私の言葉が間違っているにしても、君はその中身でそのひきだしを知ることができましょう。散薬と、一つの薬びん
と一冊の手帳とが入っているのです。そのひきだしをそっくりそのままキャヴェンディッシュ広辻に持って帰って頂きたいのです。
 これがお願いの第一の部分ですが、今度は第二の部分です。君がこの手紙を読んですぐ出掛けてくれるなら、夜の十二時よりずっと前に戻れるでしょう。が、それだけの時間の余裕を残して
おくことにしましょう。そが、それを一つでもはぶいたならば、
0418名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:35:53.580
「一八――年十二月十日。
 親愛なるラニョン君、――君は私の最も古くからの友人の一人なのです。そして、我々は科学上の問題では時によって意見の違ったこともあったかも知れないが、
我々の友情がとぎれたことは少なくとも私の方では思い出すことができないのです。もし君が私に向って『ジーキル、私の生命も、私の名誉も、私の理性も君だけを力
にしているのです』と言ったなら、私が君を助けるために自分の財産も、自分の左腕もみな犠牲にしようとしなかった日は、一日だってなかったでしょう。ところが、ラニョ
ン君、今こそ、私の生命も、私の名誉も、私の理性もすべて君の心まかせなのです。もし君が今夜、私の言うとおりにしてくれなければ、私は破滅するだけです。こんな
前置きを並べると、君は、引きうけたなら何か不名誉になるようなことを、私が君に頼もうとしているのだと想像なさる
かも知れないが、それは君自身で判断して下さい。
 私は、君に今夜だけは他のあらゆる用事を延期して貰いたいのです、――さよう、もし君が国王の枕頭に招かれたとしてもです。そして、君の馬車がいま戸口にいなければ
、辻馬車を雇って下さい。そして、参考のためにこの手紙をもって、まっすぐに私の家へ馬車を走らせて貰いたいのです。私の召使頭のプールにはいいつけてあります。彼は
錠前屋と一しょに君の来るのを待っているでしょう。それから私の書斎のドアをこじ開けることになっているのです。そして、君はひとりで入って行って、左手の硝子張りの戸棚(E文字
の)を、もし鍵がかかっていたら錠を壊して開け、上から四番目の、あるいは(同じことだが)下から三番目のひきだしを、その中身をすべてそのままに、抜き出して下さい。私はひどい心痛のた
めに君に指図を誤りはしないかと、病的な不安を感じています。しかし、たとえ私の言葉が間違っているにしても、君はその中身でそのひきだしを知ることができましょう。散薬と、一つの薬びん
と一冊の手帳とが入っているのです。そのひきだしをそっくりそのままキャヴェンディッシュ広辻に持って帰って頂きたいのです。
 これがお願いの第一の部分ですが、今度は第二の部分です。君がこの手紙を読んですぐ出掛けてくれるなら、夜の十二時よりずっと前に戻れるでしょう。が、それだけの時間の余裕を残して
おくことにしましょう。そが、それを一つでもはぶいたならば、
0419名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:36:09.650
「一八――年十二月十日。
 親愛なるラニョン君、――君は私の最も古くからの友人の一人なのです。そして、我々は科学上の問題では時によって意見の違ったこともあったかも知れないが、
我々の友情がとぎれたことは少なくとも私の方では思い出すことができないのです。もし君が私に向って『ジーキル、私の生命も、私の名誉も、私の理性も君だけを力
にしているのです』と言ったなら、私が君を助けるために自分の財産も、自分の左腕もみな犠牲にしようとしなかった日は、一日だってなかったでしょう。ところが、ラニョ
ン君、今こそ、私の生命も、私の名誉も、私の理性もすべて君の心まかせなのです。もし君が今夜、私の言うとおりにしてくれなければ、私は破滅するだけです。こんな
前置きを並べると、君は、引きうけたなら何か不名誉になるようなことを、私が君に頼もうとしているのだと想像なさる
かも知れないが、それは君自身で判断して下さい。
 私は、君に今夜だけは他のあらゆる用事を延期して貰いたいのです、――さよう、もし君が国王の枕頭に招かれたとしてもです。そして、君の馬車がいま戸口にいなければ
、辻馬車を雇って下さい。そして、参考のためにこの手紙をもって、まっすぐに私の家へ馬車を走らせて貰いたいのです。私の召使頭のプールにはいいつけてあります。彼は
錠前屋と一しょに君の来るのを待っているでしょう。それから私の書斎のドアをこじ開けることになっているのです。そして、君はひとりで入って行って、左手の硝子張りの戸棚(E文字
の)を、もし鍵がかかっていたら錠を壊して開け、上から四番目の、あるいは(同じことだが)下から三番目のひきだしを、その中身をすべてそのままに、抜き出して下さい。私はひどい心痛のた
めに君に指図を誤りはしないかと、病的な不安を感じています。しかし、たとえ私の言葉が間違っているにしても、君はその中身でそのひきだしを知ることができましょう。散薬と、一つの薬びん
と一冊の手帳とが入っているのです。そのひきだしをそっくりそのままキャヴェンディッシュ広辻に持って帰って頂きたいのです。
 これがお願いの第一の部分ですが、今度は第二の部分です。君がこの手紙を読んですぐ出掛けてくれるなら、夜の十二時よりずっと前に戻れるでしょう。が、それだけの時間の余裕を残して
おくことにしましょう。そが、それを一つでもはぶいたならば、
0420名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:36:20.280
「一八――年十二月十日。
 親愛なるラニョン君、――君は私の最も古くからの友人の一人なのです。そして、我々は科学上の問題では時によって意見の違ったこともあったかも知れないが、
我々の友情がとぎれたことは少なくとも私の方では思い出すことができないのです。もし君が私に向って『ジーキル、私の生命も、私の名誉も、私の理性も君だけを力
にしているのです』と言ったなら、私が君を助けるために自分の財産も、自分の左腕もみな犠牲にしようとしなかった日は、一日だってなかったでしょう。ところが、ラニョ
ン君、今こそ、私の生命も、私の名誉も、私の理性もすべて君の心まかせなのです。もし君が今夜、私の言うとおりにしてくれなければ、私は破滅するだけです。こんな
前置きを並べると、君は、引きうけたなら何か不名誉になるようなことを、私が君に頼もうとしているのだと想像なさる
かも知れないが、それは君自身で判断して下さい。
 私は、君に今夜だけは他のあらゆる用事を延期して貰いたいのです、――さよう、もし君が国王の枕頭に招かれたとしてもです。そして、君の馬車がいま戸口にいなければ
、辻馬車を雇って下さい。そして、参考のためにこの手紙をもって、まっすぐに私の家へ馬車を走らせて貰いたいのです。私の召使頭のプールにはいいつけてあります。彼は
錠前屋と一しょに君の来るのを待っているでしょう。それから私の書斎のドアをこじ開けることになっているのです。そして、君はひとりで入って行って、左手の硝子張りの戸棚(E文字
の)を、もし鍵がかかっていたら錠を壊して開け、上から四番目の、あるいは(同じことだが)下から三番目のひきだしを、その中身をすべてそのままに、抜き出して下さい。私はひどい心痛のた
めに君に指図を誤りはしないかと、病的な不安を感じています。しかし、たとえ私の言葉が間違っているにしても、君はその中身でそのひきだしを知ることができましょう。散薬と、一つの薬びん
と一冊の手帳とが入っているのです。そのひきだしをそっくりそのままキャヴェンディッシュ広辻に持って帰って頂きたいのです。
 これがお願いの第一の部分ですが、今度は第二の部分です。君がこの手紙を読んですぐ出掛けてくれるなら、夜の十二時よりずっと前に戻れるでしょう。が、それだけの時間の余裕を残して
おくことにしましょう。そが、それを一つでもはぶいたならば、
0421名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:36:29.430
「一八――年十二月十日。
 親愛なるラニョン君、――君は私の最も古くからの友人の一人なのです。そして、我々は科学上の問題では時によって意見の違ったこともあったかも知れないが、
我々の友情がとぎれたことは少なくとも私の方では思い出すことができないのです。もし君が私に向って『ジーキル、私の生命も、私の名誉も、私の理性も君だけを力
にしているのです』と言ったなら、私が君を助けるために自分の財産も、自分の左腕もみな犠牲にしようとしなかった日は、一日だってなかったでしょう。ところが、ラニョ
ン君、今こそ、私の生命も、私の名誉も、私の理性もすべて君の心まかせなのです。もし君が今夜、私の言うとおりにしてくれなければ、私は破滅するだけです。こんな
前置きを並べると、君は、引きうけたなら何か不名誉になるようなことを、私が君に頼もうとしているのだと想像なさる
かも知れないが、それは君自身で判断して下さい。
 私は、君に今夜だけは他のあらゆる用事を延期して貰いたいのです、――さよう、もし君が国王の枕頭に招かれたとしてもです。そして、君の馬車がいま戸口にいなければ
、辻馬車を雇って下さい。そして、参考のためにこの手紙をもって、まっすぐに私の家へ馬車を走らせて貰いたいのです。私の召使頭のプールにはいいつけてあります。彼は
錠前屋と一しょに君の来るのを待っているでしょう。それから私の書斎のドアをこじ開けることになっているのです。そして、君はひとりで入って行って、左手の硝子張りの戸棚(E文字
の)を、もし鍵がかかっていたら錠を壊して開け、上から四番目の、あるいは(同じことだが)下から三番目のひきだしを、その中身をすべてそのままに、抜き出して下さい。私はひどい心痛のた
めに君に指図を誤りはしないかと、病的な不安を感じています。しかし、たとえ私の言葉が間違っているにしても、君はその中身でそのひきだしを知ることができましょう。散薬と、一つの薬びん
と一冊の手帳とが入っているのです。そのひきだしをそっくりそのままキャヴェンディッシュ広辻に持って帰って頂きたいのです。
 これがお願いの第一の部分ですが、今度は第二の部分です。君がこの手紙を読んですぐ出掛けてくれるなら、夜の十二時よりずっと前に戻れるでしょう。が、それだけの時間の余裕を残して
おくことにしましょう。そが、それを一つでもはぶいたならば、
0422名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:37:14.040
 この手紙を読んで、私は私の同僚が気が違ったのだと思いこんでしまった。しかし、そのことが疑いの余地がないということが証明されるまでは、私は彼の頼んだ通りにしてやらなければならないと思った
。このごたごたしたことを理解しなければしないだけ、私はそれの重要さを判断することができない訳だし、こんなにまで書いてきた願いを捨てて置いたなら重大な責任を負わなければならないことになる。そこで私はテ
ーブルから立ち上って、貸馬車に乗り、まっすぐにジーキルの家へ走らせた。召使頭は私の着くのを待っていた。彼も私のと同じ書留郵便で指図の手紙を受け取り、すぐに錠前屋と大工とを呼びにやったのだった。我々がま
だ話しているうちにその職人たちがやって来た。それで我々は一緒に、もとデンマン博士の外科の講堂だった建物へと入って行った。ジーキルの私室へ入るには(君も無論知っているように)そこからが一番便利である。ドアはごく丈夫で、錠は
上等のものであった。もし無理に開けようとすれば、なかなか厄介だろうし、ひどく破損させなければなるまいと、大工は言った。それに錠前屋も殆どあきらめかかった。しかしこの錠前屋の方は器用な男だったので、二時間も
やってみたところ、ドアは開いた。Eという記号のついている戸棚の錠を開け、そのひきだしを取り出して、それに藁を一杯に詰め、敷布に包んで、それをキャヴェンディッシュ広辻へ持ち帰って来た。
 家へ帰ってから私はその中身を調べにかかった
。散薬はかなり手際よく包んであったが、調剤師のやるようなきちんとしたのではなかったので、ジーキルの手製のものであることは明らかであった。その包みの一つを開けて見ると、白色
の純粋な結晶塩のように思われるものが入っていた。次に薬びんに注意すると、それには血のように赤い液体が半分ばかり入っていた。とても嗅覚を刺激する液体で、燐と何かの揮発性のエーテルとが含まれているように、私には思われた。その
他の成分は私に考えつかなかった。帳面というのは普通の練習帳で、日づけが続けて記してある以外には殆ど何も書いてなかった。この日づけは幾年もの間にわたっていたが、しかし、私はその記入がかれこれ一年ほど前のところでばったりと止ま
っているの役に立たなかった
0423名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:37:23.190
 この手紙を読んで、私は私の同僚が気が違ったのだと思いこんでしまった。しかし、そのことが疑いの余地がないということが証明されるまでは、私は彼の頼んだ通りにしてやらなければならないと思った
。このごたごたしたことを理解しなければしないだけ、私はそれの重要さを判断することができない訳だし、こんなにまで書いてきた願いを捨てて置いたなら重大な責任を負わなければならないことになる。そこで私はテ
ーブルから立ち上って、貸馬車に乗り、まっすぐにジーキルの家へ走らせた。召使頭は私の着くのを待っていた。彼も私のと同じ書留郵便で指図の手紙を受け取り、すぐに錠前屋と大工とを呼びにやったのだった。我々がま
だ話しているうちにその職人たちがやって来た。それで我々は一緒に、もとデンマン博士の外科の講堂だった建物へと入って行った。ジーキルの私室へ入るには(君も無論知っているように)そこからが一番便利である。ドアはごく丈夫で、錠は
上等のものであった。もし無理に開けようとすれば、なかなか厄介だろうし、ひどく破損させなければなるまいと、大工は言った。それに錠前屋も殆どあきらめかかった。しかしこの錠前屋の方は器用な男だったので、二時間も
やってみたところ、ドアは開いた。Eという記号のついている戸棚の錠を開け、そのひきだしを取り出して、それに藁を一杯に詰め、敷布に包んで、それをキャヴェンディッシュ広辻へ持ち帰って来た。
 家へ帰ってから私はその中身を調べにかかった
。散薬はかなり手際よく包んであったが、調剤師のやるようなきちんとしたのではなかったので、ジーキルの手製のものであることは明らかであった。その包みの一つを開けて見ると、白色
の純粋な結晶塩のように思われるものが入っていた。次に薬びんに注意すると、それには血のように赤い液体が半分ばかり入っていた。とても嗅覚を刺激する液体で、燐と何かの揮発性のエーテルとが含まれているように、私には思われた。その
他の成分は私に考えつかなかった。帳面というのは普通の練習帳で、日づけが続けて記してある以外には殆ど何も書いてなかった。この日づけは幾年もの間にわたっていたが、しかし、私はその記入がかれこれ一年ほど前のところでばったりと止ま
っているの役に立たなかった
0424名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:37:31.620
 この手紙を読んで、私は私の同僚が気が違ったのだと思いこんでしまった。しかし、そのことが疑いの余地がないということが証明されるまでは、私は彼の頼んだ通りにしてやらなければならないと思った
。このごたごたしたことを理解しなければしないだけ、私はそれの重要さを判断することができない訳だし、こんなにまで書いてきた願いを捨てて置いたなら重大な責任を負わなければならないことになる。そこで私はテ
ーブルから立ち上って、貸馬車に乗り、まっすぐにジーキルの家へ走らせた。召使頭は私の着くのを待っていた。彼も私のと同じ書留郵便で指図の手紙を受け取り、すぐに錠前屋と大工とを呼びにやったのだった。我々がま
だ話しているうちにその職人たちがやって来た。それで我々は一緒に、もとデンマン博士の外科の講堂だった建物へと入って行った。ジーキルの私室へ入るには(君も無論知っているように)そこからが一番便利である。ドアはごく丈夫で、錠は
上等のものであった。もし無理に開けようとすれば、なかなか厄介だろうし、ひどく破損させなければなるまいと、大工は言った。それに錠前屋も殆どあきらめかかった。しかしこの錠前屋の方は器用な男だったので、二時間も
やってみたところ、ドアは開いた。Eという記号のついている戸棚の錠を開け、そのひきだしを取り出して、それに藁を一杯に詰め、敷布に包んで、それをキャヴェンディッシュ広辻へ持ち帰って来た。
 家へ帰ってから私はその中身を調べにかかった
。散薬はかなり手際よく包んであったが、調剤師のやるようなきちんとしたのではなかったので、ジーキルの手製のものであることは明らかであった。その包みの一つを開けて見ると、白色
の純粋な結晶塩のように思われるものが入っていた。次に薬びんに注意すると、それには血のように赤い液体が半分ばかり入っていた。とても嗅覚を刺激する液体で、燐と何かの揮発性のエーテルとが含まれているように、私には思われた。その
他の成分は私に考えつかなかった。帳面というのは普通の練習帳で、日づけが続けて記してある以外には殆ど何も書いてなかった。この日づけは幾年もの間にわたっていたが、しかし、私はその記入がかれこれ一年ほど前のところでばったりと止ま
っているの役に立たなかった
0425名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:37:42.240
 この手紙を読んで、私は私の同僚が気が違ったのだと思いこんでしまった。しかし、そのことが疑いの余地がないということが証明されるまでは、私は彼の頼んだ通りにしてやらなければならないと思った
。このごたごたしたことを理解しなければしないだけ、私はそれの重要さを判断することができない訳だし、こんなにまで書いてきた願いを捨てて置いたなら重大な責任を負わなければならないことになる。そこで私はテ
ーブルから立ち上って、貸馬車に乗り、まっすぐにジーキルの家へ走らせた。召使頭は私の着くのを待っていた。彼も私のと同じ書留郵便で指図の手紙を受け取り、すぐに錠前屋と大工とを呼びにやったのだった。我々がま
だ話しているうちにその職人たちがやって来た。それで我々は一緒に、もとデンマン博士の外科の講堂だった建物へと入って行った。ジーキルの私室へ入るには(君も無論知っているように)そこからが一番便利である。ドアはごく丈夫で、錠は
上等のものであった。もし無理に開けようとすれば、なかなか厄介だろうし、ひどく破損させなければなるまいと、大工は言った。それに錠前屋も殆どあきらめかかった。しかしこの錠前屋の方は器用な男だったので、二時間も
やってみたところ、ドアは開いた。Eという記号のついている戸棚の錠を開け、そのひきだしを取り出して、それに藁を一杯に詰め、敷布に包んで、それをキャヴェンディッシュ広辻へ持ち帰って来た。
 家へ帰ってから私はその中身を調べにかかった
。散薬はかなり手際よく包んであったが、調剤師のやるようなきちんとしたのではなかったので、ジーキルの手製のものであることは明らかであった。その包みの一つを開けて見ると、白色
の純粋な結晶塩のように思われるものが入っていた。次に薬びんに注意すると、それには血のように赤い液体が半分ばかり入っていた。とても嗅覚を刺激する液体で、燐と何かの揮発性のエーテルとが含まれているように、私には思われた。その
他の成分は私に考えつかなかった。帳面というのは普通の練習帳で、日づけが続けて記してある以外には殆ど何も書いてなかった。この日づけは幾年もの間にわたっていたが、しかし、私はその記入がかれこれ一年ほど前のところでばったりと止ま
っているの役に立たなかった
0426名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:37:51.020
 この手紙を読んで、私は私の同僚が気が違ったのだと思いこんでしまった。しかし、そのことが疑いの余地がないということが証明されるまでは、私は彼の頼んだ通りにしてやらなければならないと思った
。このごたごたしたことを理解しなければしないだけ、私はそれの重要さを判断することができない訳だし、こんなにまで書いてきた願いを捨てて置いたなら重大な責任を負わなければならないことになる。そこで私はテ
ーブルから立ち上って、貸馬車に乗り、まっすぐにジーキルの家へ走らせた。召使頭は私の着くのを待っていた。彼も私のと同じ書留郵便で指図の手紙を受け取り、すぐに錠前屋と大工とを呼びにやったのだった。我々がま
だ話しているうちにその職人たちがやって来た。それで我々は一緒に、もとデンマン博士の外科の講堂だった建物へと入って行った。ジーキルの私室へ入るには(君も無論知っているように)そこからが一番便利である。ドアはごく丈夫で、錠は
上等のものであった。もし無理に開けようとすれば、なかなか厄介だろうし、ひどく破損させなければなるまいと、大工は言った。それに錠前屋も殆どあきらめかかった。しかしこの錠前屋の方は器用な男だったので、二時間も
やってみたところ、ドアは開いた。Eという記号のついている戸棚の錠を開け、そのひきだしを取り出して、それに藁を一杯に詰め、敷布に包んで、それをキャヴェンディッシュ広辻へ持ち帰って来た。
 家へ帰ってから私はその中身を調べにかかった
。散薬はかなり手際よく包んであったが、調剤師のやるようなきちんとしたのではなかったので、ジーキルの手製のものであることは明らかであった。その包みの一つを開けて見ると、白色
の純粋な結晶塩のように思われるものが入っていた。次に薬びんに注意すると、それには血のように赤い液体が半分ばかり入っていた。とても嗅覚を刺激する液体で、燐と何かの揮発性のエーテルとが含まれているように、私には思われた。その
他の成分は私に考えつかなかった。帳面というのは普通の練習帳で、日づけが続けて記してある以外には殆ど何も書いてなかった。この日づけは幾年もの間にわたっていたが、しかし、私はその記入がかれこれ一年ほど前のところでばったりと止ま
っているの役に立たなかった
0427名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:37:58.390
 この手紙を読んで、私は私の同僚が気が違ったのだと思いこんでしまった。しかし、そのことが疑いの余地がないということが証明されるまでは、私は彼の頼んだ通りにしてやらなければならないと思った
。このごたごたしたことを理解しなければしないだけ、私はそれの重要さを判断することができない訳だし、こんなにまで書いてきた願いを捨てて置いたなら重大な責任を負わなければならないことになる。そこで私はテ
ーブルから立ち上って、貸馬車に乗り、まっすぐにジーキルの家へ走らせた。召使頭は私の着くのを待っていた。彼も私のと同じ書留郵便で指図の手紙を受け取り、すぐに錠前屋と大工とを呼びにやったのだった。我々がま
だ話しているうちにその職人たちがやって来た。それで我々は一緒に、もとデンマン博士の外科の講堂だった建物へと入って行った。ジーキルの私室へ入るには(君も無論知っているように)そこからが一番便利である。ドアはごく丈夫で、錠は
上等のものであった。もし無理に開けようとすれば、なかなか厄介だろうし、ひどく破損させなければなるまいと、大工は言った。それに錠前屋も殆どあきらめかかった。しかしこの錠前屋の方は器用な男だったので、二時間も
やってみたところ、ドアは開いた。Eという記号のついている戸棚の錠を開け、そのひきだしを取り出して、それに藁を一杯に詰め、敷布に包んで、それをキャヴェンディッシュ広辻へ持ち帰って来た。
 家へ帰ってから私はその中身を調べにかかった
。散薬はかなり手際よく包んであったが、調剤師のやるようなきちんとしたのではなかったので、ジーキルの手製のものであることは明らかであった。その包みの一つを開けて見ると、白色
の純粋な結晶塩のように思われるものが入っていた。次に薬びんに注意すると、それには血のように赤い液体が半分ばかり入っていた。とても嗅覚を刺激する液体で、燐と何かの揮発性のエーテルとが含まれているように、私には思われた。その
他の成分は私に考えつかなかった。帳面というのは普通の練習帳で、日づけが続けて記してある以外には殆ど何も書いてなかった。この日づけは幾年もの間にわたっていたが、しかし、私はその記入がかれこれ一年ほど前のところでばったりと止ま
っているの役に立たなかった
0428名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:38:45.820
体どうして私の気まぐれな同僚の名誉なり、正気なり、生命なりに影響するというのだろうか? 彼の使いの者が私のところへ来ることができるならば、なぜその者は彼のところへは行けないのだろうか
? それには何かの差しつかえがあるとしたところで、なぜその紳士は私によって密かに迎え入れられなければならないのか? 私は考えれば考えるほど、相手が脳病患者であると確信するようにな
った。それで私は召使たちを寝させてしまったが、正当防衛ができるようにと一梃の古い連発銃に弾をこめた。
 十二時の鐘がロンドンの空に鳴りわたるかわたらないに、ノッカーが戸口のところでごく静かにこつ、こつと耳を立てた。それにこたえて私が自分で行って見ると、一人の小男が玄関の円柱によりかかって屈んでいた。
「ジーキル博士のところから来たのですか?」と私は尋ねた。
 その男は気詰りそうな身振りで「そうです、」と言った。そして私が中へ入れと言うと、その男は振り返って広辻の闇の方をちらりと探るように見てから、私の言うことを聞いた。そう遠くないところに一人の巡
査が角灯を照らしながらやって来た。それを見ると、私の訪問者はぎょっとして一そう急いで入ったように私には思われた。
 こういう一々のしぐさは、実際のところ、私に不快の感を与えた。それで、彼について診察室の明るい光のところへ行くまで、私は絶えず自分の武器に手をかけるようにしていた。診察室へ来ると、やっと、その
男をはっきりと見ることが出来た。私はそれまで一度もその男を見たことがなかった。それだけは確かだった。前にも言ったように、その男は小男であった。その上、私に強い印象を与えたのは、ぞっとするような
彼の顔つきと、非常な筋肉の活動力と、ちょっと見ても非常に虚弱な体質との異常な結合と、それから――最後に、と言っても前のに劣らないのだが――彼の近くにいると何となく妙な不安を感ずることであった
。これは悪寒の初期の症状に幾らか似ていて、脈搏のひどい衰えが伴った。その時は、私はそれを何かある特異質の個人的な嫌悪のためだと考え、ただその徴候のひどいのを不審に思っただけだったが、その後、その原因
が人間の本性にもっとずっと深く存在して、憎悪の原理よりももっと崇高な、何かの原則によるものだと信ずるようになったのである。
 この男は(入ってな風に衣服を着ていた。というのは、彼の衣服は、
0429名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:38:53.420
体どうして私の気まぐれな同僚の名誉なり、正気なり、生命なりに影響するというのだろうか? 彼の使いの者が私のところへ来ることができるならば、なぜその者は彼のところへは行けないのだろうか
? それには何かの差しつかえがあるとしたところで、なぜその紳士は私によって密かに迎え入れられなければならないのか? 私は考えれば考えるほど、相手が脳病患者であると確信するようにな
った。それで私は召使たちを寝させてしまったが、正当防衛ができるようにと一梃の古い連発銃に弾をこめた。
 十二時の鐘がロンドンの空に鳴りわたるかわたらないに、ノッカーが戸口のところでごく静かにこつ、こつと耳を立てた。それにこたえて私が自分で行って見ると、一人の小男が玄関の円柱によりかかって屈んでいた。
「ジーキル博士のところから来たのですか?」と私は尋ねた。
 その男は気詰りそうな身振りで「そうです、」と言った。そして私が中へ入れと言うと、その男は振り返って広辻の闇の方をちらりと探るように見てから、私の言うことを聞いた。そう遠くないところに一人の巡
査が角灯を照らしながらやって来た。それを見ると、私の訪問者はぎょっとして一そう急いで入ったように私には思われた。
 こういう一々のしぐさは、実際のところ、私に不快の感を与えた。それで、彼について診察室の明るい光のところへ行くまで、私は絶えず自分の武器に手をかけるようにしていた。診察室へ来ると、やっと、その
男をはっきりと見ることが出来た。私はそれまで一度もその男を見たことがなかった。それだけは確かだった。前にも言ったように、その男は小男であった。その上、私に強い印象を与えたのは、ぞっとするような
彼の顔つきと、非常な筋肉の活動力と、ちょっと見ても非常に虚弱な体質との異常な結合と、それから――最後に、と言っても前のに劣らないのだが――彼の近くにいると何となく妙な不安を感ずることであった
。これは悪寒の初期の症状に幾らか似ていて、脈搏のひどい衰えが伴った。その時は、私はそれを何かある特異質の個人的な嫌悪のためだと考え、ただその徴候のひどいのを不審に思っただけだったが、その後、その原因
が人間の本性にもっとずっと深く存在して、憎悪の原理よりももっと崇高な、何かの原則によるものだと信ずるようになったのである。
 この男は(入ってな風に衣服を着ていた。というのは、彼の衣服は、
0430名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:39:04.720
体どうして私の気まぐれな同僚の名誉なり、正気なり、生命なりに影響するというのだろうか? 彼の使いの者が私のところへ来ることができるならば、なぜその者は彼のところへは行けないのだろうか
? それには何かの差しつかえがあるとしたところで、なぜその紳士は私によって密かに迎え入れられなければならないのか? 私は考えれば考えるほど、相手が脳病患者であると確信するようにな
った。それで私は召使たちを寝させてしまったが、正当防衛ができるようにと一梃の古い連発銃に弾をこめた。
 十二時の鐘がロンドンの空に鳴りわたるかわたらないに、ノッカーが戸口のところでごく静かにこつ、こつと耳を立てた。それにこたえて私が自分で行って見ると、一人の小男が玄関の円柱によりかかって屈んでいた。
「ジーキル博士のところから来たのですか?」と私は尋ねた。
 その男は気詰りそうな身振りで「そうです、」と言った。そして私が中へ入れと言うと、その男は振り返って広辻の闇の方をちらりと探るように見てから、私の言うことを聞いた。そう遠くないところに一人の巡
査が角灯を照らしながらやって来た。それを見ると、私の訪問者はぎょっとして一そう急いで入ったように私には思われた。
 こういう一々のしぐさは、実際のところ、私に不快の感を与えた。それで、彼について診察室の明るい光のところへ行くまで、私は絶えず自分の武器に手をかけるようにしていた。診察室へ来ると、やっと、その
男をはっきりと見ることが出来た。私はそれまで一度もその男を見たことがなかった。それだけは確かだった。前にも言ったように、その男は小男であった。その上、私に強い印象を与えたのは、ぞっとするような
彼の顔つきと、非常な筋肉の活動力と、ちょっと見ても非常に虚弱な体質との異常な結合と、それから――最後に、と言っても前のに劣らないのだが――彼の近くにいると何となく妙な不安を感ずることであった
。これは悪寒の初期の症状に幾らか似ていて、脈搏のひどい衰えが伴った。その時は、私はそれを何かある特異質の個人的な嫌悪のためだと考え、ただその徴候のひどいのを不審に思っただけだったが、その後、その原因
が人間の本性にもっとずっと深く存在して、憎悪の原理よりももっと崇高な、何かの原則によるものだと信ずるようになったのである。
 この男は(入ってな風に衣服を着ていた。というのは、彼の衣服は、
0431名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:39:26.680
体どうして私の気まぐれな同僚の名誉なり、正気なり、生命なりに影響するというのだろうか? 彼の使いの者が私のところへ来ることができるならば、なぜその者は彼のところへは行けないのだろうか
? それには何かの差しつかえがあるとしたところで、なぜその紳士は私によって密かに迎え入れられなければならないのか? 私は考えれば考えるほど、相手が脳病患者であると確信するようにな
った。それで私は召使たちを寝させてしまったが、正当防衛ができるようにと一梃の古い連発銃に弾をこめた。
 十二時の鐘がロンドンの空に鳴りわたるかわたらないに、ノッカーが戸口のところでごく静かにこつ、こつと耳を立てた。それにこたえて私が自分で行って見ると、一人の小男が玄関の円柱によりかかって屈んでいた。
「ジーキル博士のところから来たのですか?」と私は尋ねた。
 その男は気詰りそうな身振りで「そうです、」と言った。そして私が中へ入れと言うと、その男は振り返って広辻の闇の方をちらりと探るように見てから、私の言うことを聞いた。そう遠くないところに一人の巡
査が角灯を照らしながらやって来た。それを見ると、私の訪問者はぎょっとして一そう急いで入ったように私には思われた。
 こういう一々のしぐさは、実際のところ、私に不快の感を与えた。それで、彼について診察室の明るい光のところへ行くまで、私は絶えず自分の武器に手をかけるようにしていた。診察室へ来ると、やっと、その
男をはっきりと見ることが出来た。私はそれまで一度もその男を見たことがなかった。それだけは確かだった。前にも言ったように、その男は小男であった。その上、私に強い印象を与えたのは、ぞっとするような
彼の顔つきと、非常な筋肉の活動力と、ちょっと見ても非常に虚弱な体質との異常な結合と、それから――最後に、と言っても前のに劣らないのだが――彼の近くにいると何となく妙な不安を感ずることであった
。これは悪寒の初期の症状に幾らか似ていて、脈搏のひどい衰えが伴った。その時は、私はそれを何かある特異質の個人的な嫌悪のためだと考え、ただその徴候のひどいのを不審に思っただけだったが、その後、その原因
が人間の本性にもっとずっと深く存在して、憎悪の原理よりももっと崇高な、何かの原則によるものだと信ずるようになったのである。
 この男は(入ってな風に衣服を着ていた。というのは、彼の衣服は、
0432名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:39:37.010
体どうして私の気まぐれな同僚の名誉なり、正気なり、生命なりに影響するというのだろうか? 彼の使いの者が私のところへ来ることができるならば、なぜその者は彼のところへは行けないのだろうか
? それには何かの差しつかえがあるとしたところで、なぜその紳士は私によって密かに迎え入れられなければならないのか? 私は考えれば考えるほど、相手が脳病患者であると確信するようにな
った。それで私は召使たちを寝させてしまったが、正当防衛ができるようにと一梃の古い連発銃に弾をこめた。
 十二時の鐘がロンドンの空に鳴りわたるかわたらないに、ノッカーが戸口のところでごく静かにこつ、こつと耳を立てた。それにこたえて私が自分で行って見ると、一人の小男が玄関の円柱によりかかって屈んでいた。
「ジーキル博士のところから来たのですか?」と私は尋ねた。
 その男は気詰りそうな身振りで「そうです、」と言った。そして私が中へ入れと言うと、その男は振り返って広辻の闇の方をちらりと探るように見てから、私の言うことを聞いた。そう遠くないところに一人の巡
査が角灯を照らしながらやって来た。それを見ると、私の訪問者はぎょっとして一そう急いで入ったように私には思われた。
 こういう一々のしぐさは、実際のところ、私に不快の感を与えた。それで、彼について診察室の明るい光のところへ行くまで、私は絶えず自分の武器に手をかけるようにしていた。診察室へ来ると、やっと、その
男をはっきりと見ることが出来た。私はそれまで一度もその男を見たことがなかった。それだけは確かだった。前にも言ったように、その男は小男であった。その上、私に強い印象を与えたのは、ぞっとするような
彼の顔つきと、非常な筋肉の活動力と、ちょっと見ても非常に虚弱な体質との異常な結合と、それから――最後に、と言っても前のに劣らないのだが――彼の近くにいると何となく妙な不安を感ずることであった
。これは悪寒の初期の症状に幾らか似ていて、脈搏のひどい衰えが伴った。その時は、私はそれを何かある特異質の個人的な嫌悪のためだと考え、ただその徴候のひどいのを不審に思っただけだったが、その後、その原因
が人間の本性にもっとずっと深く存在して、憎悪の原理よりももっと崇高な、何かの原則によるものだと信ずるようになったのである。
 この男は(入ってな風に衣服を着ていた。というのは、彼の衣服は、
0433名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:39:44.930
体どうして私の気まぐれな同僚の名誉なり、正気なり、生命なりに影響するというのだろうか? 彼の使いの者が私のところへ来ることができるならば、なぜその者は彼のところへは行けないのだろうか
? それには何かの差しつかえがあるとしたところで、なぜその紳士は私によって密かに迎え入れられなければならないのか? 私は考えれば考えるほど、相手が脳病患者であると確信するようにな
った。それで私は召使たちを寝させてしまったが、正当防衛ができるようにと一梃の古い連発銃に弾をこめた。
 十二時の鐘がロンドンの空に鳴りわたるかわたらないに、ノッカーが戸口のところでごく静かにこつ、こつと耳を立てた。それにこたえて私が自分で行って見ると、一人の小男が玄関の円柱によりかかって屈んでいた。
「ジーキル博士のところから来たのですか?」と私は尋ねた。
 その男は気詰りそうな身振りで「そうです、」と言った。そして私が中へ入れと言うと、その男は振り返って広辻の闇の方をちらりと探るように見てから、私の言うことを聞いた。そう遠くないところに一人の巡
査が角灯を照らしながらやって来た。それを見ると、私の訪問者はぎょっとして一そう急いで入ったように私には思われた。
 こういう一々のしぐさは、実際のところ、私に不快の感を与えた。それで、彼について診察室の明るい光のところへ行くまで、私は絶えず自分の武器に手をかけるようにしていた。診察室へ来ると、やっと、その
男をはっきりと見ることが出来た。私はそれまで一度もその男を見たことがなかった。それだけは確かだった。前にも言ったように、その男は小男であった。その上、私に強い印象を与えたのは、ぞっとするような
彼の顔つきと、非常な筋肉の活動力と、ちょっと見ても非常に虚弱な体質との異常な結合と、それから――最後に、と言っても前のに劣らないのだが――彼の近くにいると何となく妙な不安を感ずることであった
。これは悪寒の初期の症状に幾らか似ていて、脈搏のひどい衰えが伴った。その時は、私はそれを何かある特異質の個人的な嫌悪のためだと考え、ただその徴候のひどいのを不審に思っただけだったが、その後、その原因
が人間の本性にもっとずっと深く存在して、憎悪の原理よりももっと崇高な、何かの原則によるものだと信ずるようになったのである。
 この男は(入ってな風に衣服を着ていた。というのは、彼の衣服は、
0434名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:40:22.440
服地こそ贅沢でじみなものではあったが、どの部分の寸法もみな彼には恐ろしく大き過ぎて、――ズボンは脚にだぶだぶぶら下り、地面に引きずらぬように巻くり上げてあるし、上衣の腰のところは臀の下まで来ているし、カラーは肩の上
にぶざまに拡がっているのだ。ところが不思議なことには、この滑稽な服装を見ても、私は笑う気になるどころではなかった。いや、むしろ、いま私とむき合っている人間の本質そのものには何か病的な、普通でないところが――何か強い
印象を与える、不思議な、胸を悪くするようなところが――あるので、この鮮やかな不釣合はそれと調和し、それを強めるだけのように思われた。だから、その男の性質や性格に対する私の興味に、更にその男の素姓、その生活、その財産や、社会における身分などを知りたいという好奇心までも加えられたのであった。
 こういう観察は、それを書き記すにはずいぶん長くなったが、ほんの数秒の間にしたことであった。私の訪問者は、実際、陰気な興奮に燃えていた。
「あれを持って来てくれましたか?」と彼は叫んだ。「あれを持って来てくれましたか?」そして彼はじれったくてたまらなくて、手を私の腕にかけて私を揺すぶろうとしさえした。
 私は彼に触られると血が凍るような感じがして、彼をおし除けた。「まあ、君、」と私は言った、「わたしはまだ君とお近付きになってはいないということを君は忘れておられる。どうか、お掛けなさい。」そして私は彼に手本を示して自分のいつもの座
席に腰を下ろし、患者に対する自分のいつもの態度をできるだけ装ったが、時刻も遅かったし、先入主もああいう風であったし、その訪問者に対する恐怖感もあったので、十分いつものような態度はとれなかった。
「どうも失礼いたしました、ラニョン博士、」と彼は大へん丁寧に答えた。「あなたのおっしゃることはいかにももっともです。気がせいていたものですから、つい無作法をいたしました。わたしはあなたの御同僚のヘンリー・ジーキル博士の依頼で、ち
ょっと重大な用事でこちらへ参ったのです。で、きっと……」と彼はちょっと言葉を切って、片手を自分の喉にあてた。そして、その落着いた態度にも拘らず、病的興奮の発作の起ころうとするのを抑えているのが私にはわかった。――「きっとひきだしが……」
 しかし、この時、私はその訪問者の不安な気持が気の毒になり、またたぶん自分自身の好奇
0435名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:40:37.150
服地こそ贅沢でじみなものではあったが、どの部分の寸法もみな彼には恐ろしく大き過ぎて、――ズボンは脚にだぶだぶぶら下り、地面に引きずらぬように巻くり上げてあるし、上衣の腰のところは臀の下まで来ているし、カラーは肩の上
にぶざまに拡がっているのだ。ところが不思議なことには、この滑稽な服装を見ても、私は笑う気になるどころではなかった。いや、むしろ、いま私とむき合っている人間の本質そのものには何か病的な、普通でないところが――何か強い
印象を与える、不思議な、胸を悪くするようなところが――あるので、この鮮やかな不釣合はそれと調和し、それを強めるだけのように思われた。だから、その男の性質や性格に対する私の興味に、更にその男の素姓、その生活、その財産や、社会における身分などを知りたいという好奇心までも加えられたのであった。
 こういう観察は、それを書き記すにはずいぶん長くなったが、ほんの数秒の間にしたことであった。私の訪問者は、実際、陰気な興奮に燃えていた。
「あれを持って来てくれましたか?」と彼は叫んだ。「あれを持って来てくれましたか?」そして彼はじれったくてたまらなくて、手を私の腕にかけて私を揺すぶろうとしさえした。
 私は彼に触られると血が凍るような感じがして、彼をおし除けた。「まあ、君、」と私は言った、「わたしはまだ君とお近付きになってはいないということを君は忘れておられる。どうか、お掛けなさい。」そして私は彼に手本を示して自分のいつもの座
席に腰を下ろし、患者に対する自分のいつもの態度をできるだけ装ったが、時刻も遅かったし、先入主もああいう風であったし、その訪問者に対する恐怖感もあったので、十分いつものような態度はとれなかった。
「どうも失礼いたしました、ラニョン博士、」と彼は大へん丁寧に答えた。「あなたのおっしゃることはいかにももっともです。気がせいていたものですから、つい無作法をいたしました。わたしはあなたの御同僚のヘンリー・ジーキル博士の依頼で、ち
ょっと重大な用事でこちらへ参ったのです。で、きっと……」と彼はちょっと言葉を切って、片手を自分の喉にあてた。そして、その落着いた態度にも拘らず、病的興奮の発作の起ころうとするのを抑えているのが私にはわかった。――「きっとひきだしが……」
 しかし、この時、私はその訪問者の不安な気持が気の毒になり、またたぶん自分自身の好奇
0436名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:40:53.250
服地こそ贅沢でじみなものではあったが、どの部分の寸法もみな彼には恐ろしく大き過ぎて、――ズボンは脚にだぶだぶぶら下り、地面に引きずらぬように巻くり上げてあるし、上衣の腰のところは臀の下まで来ているし、カラーは肩の上
にぶざまに拡がっているのだ。ところが不思議なことには、この滑稽な服装を見ても、私は笑う気になるどころではなかった。いや、むしろ、いま私とむき合っている人間の本質そのものには何か病的な、普通でないところが――何か強い
印象を与える、不思議な、胸を悪くするようなところが――あるので、この鮮やかな不釣合はそれと調和し、それを強めるだけのように思われた。だから、その男の性質や性格に対する私の興味に、更にその男の素姓、その生活、その財産や、社会における身分などを知りたいという好奇心までも加えられたのであった。
 こういう観察は、それを書き記すにはずいぶん長くなったが、ほんの数秒の間にしたことであった。私の訪問者は、実際、陰気な興奮に燃えていた。
「あれを持って来てくれましたか?」と彼は叫んだ。「あれを持って来てくれましたか?」そして彼はじれったくてたまらなくて、手を私の腕にかけて私を揺すぶろうとしさえした。
 私は彼に触られると血が凍るような感じがして、彼をおし除けた。「まあ、君、」と私は言った、「わたしはまだ君とお近付きになってはいないということを君は忘れておられる。どうか、お掛けなさい。」そして私は彼に手本を示して自分のいつもの座
席に腰を下ろし、患者に対する自分のいつもの態度をできるだけ装ったが、時刻も遅かったし、先入主もああいう風であったし、その訪問者に対する恐怖感もあったので、十分いつものような態度はとれなかった。
「どうも失礼いたしました、ラニョン博士、」と彼は大へん丁寧に答えた。「あなたのおっしゃることはいかにももっともです。気がせいていたものですから、つい無作法をいたしました。わたしはあなたの御同僚のヘンリー・ジーキル博士の依頼で、ち
ょっと重大な用事でこちらへ参ったのです。で、きっと……」と彼はちょっと言葉を切って、片手を自分の喉にあてた。そして、その落着いた態度にも拘らず、病的興奮の発作の起ころうとするのを抑えているのが私にはわかった。――「きっとひきだしが……」
 しかし、この時、私はその訪問者の不安な気持が気の毒になり、またたぶん自分自身の好奇
0437名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:41:04.470
服地こそ贅沢でじみなものではあったが、どの部分の寸法もみな彼には恐ろしく大き過ぎて、――ズボンは脚にだぶだぶぶら下り、地面に引きずらぬように巻くり上げてあるし、上衣の腰のところは臀の下まで来ているし、カラーは肩の上
にぶざまに拡がっているのだ。ところが不思議なことには、この滑稽な服装を見ても、私は笑う気になるどころではなかった。いや、むしろ、いま私とむき合っている人間の本質そのものには何か病的な、普通でないところが――何か強い
印象を与える、不思議な、胸を悪くするようなところが――あるので、この鮮やかな不釣合はそれと調和し、それを強めるだけのように思われた。だから、その男の性質や性格に対する私の興味に、更にその男の素姓、その生活、その財産や、社会における身分などを知りたいという好奇心までも加えられたのであった。
 こういう観察は、それを書き記すにはずいぶん長くなったが、ほんの数秒の間にしたことであった。私の訪問者は、実際、陰気な興奮に燃えていた。
「あれを持って来てくれましたか?」と彼は叫んだ。「あれを持って来てくれましたか?」そして彼はじれったくてたまらなくて、手を私の腕にかけて私を揺すぶろうとしさえした。
 私は彼に触られると血が凍るような感じがして、彼をおし除けた。「まあ、君、」と私は言った、「わたしはまだ君とお近付きになってはいないということを君は忘れておられる。どうか、お掛けなさい。」そして私は彼に手本を示して自分のいつもの座
席に腰を下ろし、患者に対する自分のいつもの態度をできるだけ装ったが、時刻も遅かったし、先入主もああいう風であったし、その訪問者に対する恐怖感もあったので、十分いつものような態度はとれなかった。
「どうも失礼いたしました、ラニョン博士、」と彼は大へん丁寧に答えた。「あなたのおっしゃることはいかにももっともです。気がせいていたものですから、つい無作法をいたしました。わたしはあなたの御同僚のヘンリー・ジーキル博士の依頼で、ち
ょっと重大な用事でこちらへ参ったのです。で、きっと……」と彼はちょっと言葉を切って、片手を自分の喉にあてた。そして、その落着いた態度にも拘らず、病的興奮の発作の起ころうとするのを抑えているのが私にはわかった。――「きっとひきだしが……」
 しかし、この時、私はその訪問者の不安な気持が気の毒になり、またたぶん自分自身の好奇
0438名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:41:15.220
服地こそ贅沢でじみなものではあったが、どの部分の寸法もみな彼には恐ろしく大き過ぎて、――ズボンは脚にだぶだぶぶら下り、地面に引きずらぬように巻くり上げてあるし、上衣の腰のところは臀の下まで来ているし、カラーは肩の上
にぶざまに拡がっているのだ。ところが不思議なことには、この滑稽な服装を見ても、私は笑う気になるどころではなかった。いや、むしろ、いま私とむき合っている人間の本質そのものには何か病的な、普通でないところが――何か強い
印象を与える、不思議な、胸を悪くするようなところが――あるので、この鮮やかな不釣合はそれと調和し、それを強めるだけのように思われた。だから、その男の性質や性格に対する私の興味に、更にその男の素姓、その生活、その財産や、社会における身分などを知りたいという好奇心までも加えられたのであった。
 こういう観察は、それを書き記すにはずいぶん長くなったが、ほんの数秒の間にしたことであった。私の訪問者は、実際、陰気な興奮に燃えていた。
「あれを持って来てくれましたか?」と彼は叫んだ。「あれを持って来てくれましたか?」そして彼はじれったくてたまらなくて、手を私の腕にかけて私を揺すぶろうとしさえした。
 私は彼に触られると血が凍るような感じがして、彼をおし除けた。「まあ、君、」と私は言った、「わたしはまだ君とお近付きになってはいないということを君は忘れておられる。どうか、お掛けなさい。」そして私は彼に手本を示して自分のいつもの座
席に腰を下ろし、患者に対する自分のいつもの態度をできるだけ装ったが、時刻も遅かったし、先入主もああいう風であったし、その訪問者に対する恐怖感もあったので、十分いつものような態度はとれなかった。
「どうも失礼いたしました、ラニョン博士、」と彼は大へん丁寧に答えた。「あなたのおっしゃることはいかにももっともです。気がせいていたものですから、つい無作法をいたしました。わたしはあなたの御同僚のヘンリー・ジーキル博士の依頼で、ち
ょっと重大な用事でこちらへ参ったのです。で、きっと……」と彼はちょっと言葉を切って、片手を自分の喉にあてた。そして、その落着いた態度にも拘らず、病的興奮の発作の起ころうとするのを抑えているのが私にはわかった。――「きっとひきだしが……」
 しかし、この時、私はその訪問者の不安な気持が気の毒になり、またたぶん自分自身の好奇
0439名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:41:23.040
服地こそ贅沢でじみなものではあったが、どの部分の寸法もみな彼には恐ろしく大き過ぎて、――ズボンは脚にだぶだぶぶら下り、地面に引きずらぬように巻くり上げてあるし、上衣の腰のところは臀の下まで来ているし、カラーは肩の上
にぶざまに拡がっているのだ。ところが不思議なことには、この滑稽な服装を見ても、私は笑う気になるどころではなかった。いや、むしろ、いま私とむき合っている人間の本質そのものには何か病的な、普通でないところが――何か強い
印象を与える、不思議な、胸を悪くするようなところが――あるので、この鮮やかな不釣合はそれと調和し、それを強めるだけのように思われた。だから、その男の性質や性格に対する私の興味に、更にその男の素姓、その生活、その財産や、社会における身分などを知りたいという好奇心までも加えられたのであった。
 こういう観察は、それを書き記すにはずいぶん長くなったが、ほんの数秒の間にしたことであった。私の訪問者は、実際、陰気な興奮に燃えていた。
「あれを持って来てくれましたか?」と彼は叫んだ。「あれを持って来てくれましたか?」そして彼はじれったくてたまらなくて、手を私の腕にかけて私を揺すぶろうとしさえした。
 私は彼に触られると血が凍るような感じがして、彼をおし除けた。「まあ、君、」と私は言った、「わたしはまだ君とお近付きになってはいないということを君は忘れておられる。どうか、お掛けなさい。」そして私は彼に手本を示して自分のいつもの座
席に腰を下ろし、患者に対する自分のいつもの態度をできるだけ装ったが、時刻も遅かったし、先入主もああいう風であったし、その訪問者に対する恐怖感もあったので、十分いつものような態度はとれなかった。
「どうも失礼いたしました、ラニョン博士、」と彼は大へん丁寧に答えた。「あなたのおっしゃることはいかにももっともです。気がせいていたものですから、つい無作法をいたしました。わたしはあなたの御同僚のヘンリー・ジーキル博士の依頼で、ち
ょっと重大な用事でこちらへ参ったのです。で、きっと……」と彼はちょっと言葉を切って、片手を自分の喉にあてた。そして、その落着いた態度にも拘らず、病的興奮の発作の起ころうとするのを抑えているのが私にはわかった。――「きっとひきだしが……」
 しかし、この時、私はその訪問者の不安な気持が気の毒になり、またたぶん自分自身の好奇
0440名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:42:31.660
彼は私に恐ろしい微笑を向けた。そして捨鉢の決心を固めたかのように、敷布を引き除けた。その中身
を見ると、彼はひどく安心したらしく、大きなしゃくりあげるような声を出したので、私はびっくりして坐ったまま身動きもできなくなった。次の瞬間には、もうよほど落ちついた声になって、「メートル・グラスがありますか?」と彼は尋ねた。
 私はやっとのことで座席から立ち上り、彼の求めるものを渡してやった。
 彼はにっこり頷いて礼を言い、あの赤色のチンキを数滴、分量をはかって入れ、それに一包みの散薬を加えた。最初は赤味を帯びた色であったこの混合物は、結晶塩が溶けるにつれて、色が鮮やかになり、ぶつぶつと音を立てて
泡立ち、少量の水蒸気を発散しだした。と同時に、その沸騰が止んで、その化合物は暗紫色にかわり、それがまた前よりは少しずつ薄い緑色に色があせていった。こういう変化を鋭い目で見つめていた私の訪問者は、にやりと笑って、メー
トル・グラスをテーブルの上に置き、それから振り向いて、探るような様子で私を見た。

「ところで今度は、」と彼が言った、「残っていることを片づけるとしましょう。君は知りたいですか? 君は教わりたいですか? 君は私にこのグラスを手に持ってこれきり何も話をせずにこの家から出て行かせるつもりですか? それとも好奇心が強くて聞
かずにはいられないのですか? よく考えてから返事して下さい。君の決める通りにしますから。君の決め方によって、君を前のままに残しておいて上げよう。前よりも富むのでもなく前よりも知識があるのでもなくしておいて上げよう。死ぬような苦しみをして
いる人間に尽力をしてやったという意識が一種の精神上の富と見なされるのでなければですがね。それともまた、もし君がその方を望むならば、知識の新しい領域や、名声や権力をうる新しい大道を、たちどころに、ここで、この部屋で、君の前にひろげてみせ
て上げよう。魔王の不信仰をも揺るがせるような奇怪なものを見せて、君の眼を眩ませて上げよう。」
「君、」と私は、冷静さをほんとうには持っているどころではなかったが、強いてそれを装って言った、「君は謎のようなことを言われる。わたしが君の言葉を大して信用しないで聞いていると言っても君はたぶん不思議にも思われはしないだろう。しかし、わたしも
訳のわからぬ御用をここまでして深
0441名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:42:41.430
彼は私に恐ろしい微笑を向けた。そして捨鉢の決心を固めたかのように、敷布を引き除けた。その中身
を見ると、彼はひどく安心したらしく、大きなしゃくりあげるような声を出したので、私はびっくりして坐ったまま身動きもできなくなった。次の瞬間には、もうよほど落ちついた声になって、「メートル・グラスがありますか?」と彼は尋ねた。
 私はやっとのことで座席から立ち上り、彼の求めるものを渡してやった。
 彼はにっこり頷いて礼を言い、あの赤色のチンキを数滴、分量をはかって入れ、それに一包みの散薬を加えた。最初は赤味を帯びた色であったこの混合物は、結晶塩が溶けるにつれて、色が鮮やかになり、ぶつぶつと音を立てて
泡立ち、少量の水蒸気を発散しだした。と同時に、その沸騰が止んで、その化合物は暗紫色にかわり、それがまた前よりは少しずつ薄い緑色に色があせていった。こういう変化を鋭い目で見つめていた私の訪問者は、にやりと笑って、メー
トル・グラスをテーブルの上に置き、それから振り向いて、探るような様子で私を見た。

「ところで今度は、」と彼が言った、「残っていることを片づけるとしましょう。君は知りたいですか? 君は教わりたいですか? 君は私にこのグラスを手に持ってこれきり何も話をせずにこの家から出て行かせるつもりですか? それとも好奇心が強くて聞
かずにはいられないのですか? よく考えてから返事して下さい。君の決める通りにしますから。君の決め方によって、君を前のままに残しておいて上げよう。前よりも富むのでもなく前よりも知識があるのでもなくしておいて上げよう。死ぬような苦しみをして
いる人間に尽力をしてやったという意識が一種の精神上の富と見なされるのでなければですがね。それともまた、もし君がその方を望むならば、知識の新しい領域や、名声や権力をうる新しい大道を、たちどころに、ここで、この部屋で、君の前にひろげてみせ
て上げよう。魔王の不信仰をも揺るがせるような奇怪なものを見せて、君の眼を眩ませて上げよう。」
「君、」と私は、冷静さをほんとうには持っているどころではなかったが、強いてそれを装って言った、「君は謎のようなことを言われる。わたしが君の言葉を大して信用しないで聞いていると言っても君はたぶん不思議にも思われはしないだろう。しかし、わたしも
訳のわからぬ御用をここまでして深
0442名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:42:51.200
彼は私に恐ろしい微笑を向けた。そして捨鉢の決心を固めたかのように、敷布を引き除けた。その中身
を見ると、彼はひどく安心したらしく、大きなしゃくりあげるような声を出したので、私はびっくりして坐ったまま身動きもできなくなった。次の瞬間には、もうよほど落ちついた声になって、「メートル・グラスがありますか?」と彼は尋ねた。
 私はやっとのことで座席から立ち上り、彼の求めるものを渡してやった。
 彼はにっこり頷いて礼を言い、あの赤色のチンキを数滴、分量をはかって入れ、それに一包みの散薬を加えた。最初は赤味を帯びた色であったこの混合物は、結晶塩が溶けるにつれて、色が鮮やかになり、ぶつぶつと音を立てて
泡立ち、少量の水蒸気を発散しだした。と同時に、その沸騰が止んで、その化合物は暗紫色にかわり、それがまた前よりは少しずつ薄い緑色に色があせていった。こういう変化を鋭い目で見つめていた私の訪問者は、にやりと笑って、メー
トル・グラスをテーブルの上に置き、それから振り向いて、探るような様子で私を見た。

「ところで今度は、」と彼が言った、「残っていることを片づけるとしましょう。君は知りたいですか? 君は教わりたいですか? 君は私にこのグラスを手に持ってこれきり何も話をせずにこの家から出て行かせるつもりですか? それとも好奇心が強くて聞
かずにはいられないのですか? よく考えてから返事して下さい。君の決める通りにしますから。君の決め方によって、君を前のままに残しておいて上げよう。前よりも富むのでもなく前よりも知識があるのでもなくしておいて上げよう。死ぬような苦しみをして
いる人間に尽力をしてやったという意識が一種の精神上の富と見なされるのでなければですがね。それともまた、もし君がその方を望むならば、知識の新しい領域や、名声や権力をうる新しい大道を、たちどころに、ここで、この部屋で、君の前にひろげてみせ
て上げよう。魔王の不信仰をも揺るがせるような奇怪なものを見せて、君の眼を眩ませて上げよう。」
「君、」と私は、冷静さをほんとうには持っているどころではなかったが、強いてそれを装って言った、「君は謎のようなことを言われる。わたしが君の言葉を大して信用しないで聞いていると言っても君はたぶん不思議にも思われはしないだろう。しかし、わたしも
訳のわからぬ御用をここまでして深
0443名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:43:02.370
彼は私に恐ろしい微笑を向けた。そして捨鉢の決心を固めたかのように、敷布を引き除けた。その中身
を見ると、彼はひどく安心したらしく、大きなしゃくりあげるような声を出したので、私はびっくりして坐ったまま身動きもできなくなった。次の瞬間には、もうよほど落ちついた声になって、「メートル・グラスがありますか?」と彼は尋ねた。
 私はやっとのことで座席から立ち上り、彼の求めるものを渡してやった。
 彼はにっこり頷いて礼を言い、あの赤色のチンキを数滴、分量をはかって入れ、それに一包みの散薬を加えた。最初は赤味を帯びた色であったこの混合物は、結晶塩が溶けるにつれて、色が鮮やかになり、ぶつぶつと音を立てて
泡立ち、少量の水蒸気を発散しだした。と同時に、その沸騰が止んで、その化合物は暗紫色にかわり、それがまた前よりは少しずつ薄い緑色に色があせていった。こういう変化を鋭い目で見つめていた私の訪問者は、にやりと笑って、メー
トル・グラスをテーブルの上に置き、それから振り向いて、探るような様子で私を見た。

「ところで今度は、」と彼が言った、「残っていることを片づけるとしましょう。君は知りたいですか? 君は教わりたいですか? 君は私にこのグラスを手に持ってこれきり何も話をせずにこの家から出て行かせるつもりですか? それとも好奇心が強くて聞
かずにはいられないのですか? よく考えてから返事して下さい。君の決める通りにしますから。君の決め方によって、君を前のままに残しておいて上げよう。前よりも富むのでもなく前よりも知識があるのでもなくしておいて上げよう。死ぬような苦しみをして
いる人間に尽力をしてやったという意識が一種の精神上の富と見なされるのでなければですがね。それともまた、もし君がその方を望むならば、知識の新しい領域や、名声や権力をうる新しい大道を、たちどころに、ここで、この部屋で、君の前にひろげてみせ
て上げよう。魔王の不信仰をも揺るがせるような奇怪なものを見せて、君の眼を眩ませて上げよう。」
「君、」と私は、冷静さをほんとうには持っているどころではなかったが、強いてそれを装って言った、「君は謎のようなことを言われる。わたしが君の言葉を大して信用しないで聞いていると言っても君はたぶん不思議にも思われはしないだろう。しかし、わたしも
訳のわからぬ御用をここまでして深
0444名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:43:13.150
彼は私に恐ろしい微笑を向けた。そして捨鉢の決心を固めたかのように、敷布を引き除けた。その中身
を見ると、彼はひどく安心したらしく、大きなしゃくりあげるような声を出したので、私はびっくりして坐ったまま身動きもできなくなった。次の瞬間には、もうよほど落ちついた声になって、「メートル・グラスがありますか?」と彼は尋ねた。
 私はやっとのことで座席から立ち上り、彼の求めるものを渡してやった。
 彼はにっこり頷いて礼を言い、あの赤色のチンキを数滴、分量をはかって入れ、それに一包みの散薬を加えた。最初は赤味を帯びた色であったこの混合物は、結晶塩が溶けるにつれて、色が鮮やかになり、ぶつぶつと音を立てて
泡立ち、少量の水蒸気を発散しだした。と同時に、その沸騰が止んで、その化合物は暗紫色にかわり、それがまた前よりは少しずつ薄い緑色に色があせていった。こういう変化を鋭い目で見つめていた私の訪問者は、にやりと笑って、メー
トル・グラスをテーブルの上に置き、それから振り向いて、探るような様子で私を見た。

「ところで今度は、」と彼が言った、「残っていることを片づけるとしましょう。君は知りたいですか? 君は教わりたいですか? 君は私にこのグラスを手に持ってこれきり何も話をせずにこの家から出て行かせるつもりですか? それとも好奇心が強くて聞
かずにはいられないのですか? よく考えてから返事して下さい。君の決める通りにしますから。君の決め方によって、君を前のままに残しておいて上げよう。前よりも富むのでもなく前よりも知識があるのでもなくしておいて上げよう。死ぬような苦しみをして
いる人間に尽力をしてやったという意識が一種の精神上の富と見なされるのでなければですがね。それともまた、もし君がその方を望むならば、知識の新しい領域や、名声や権力をうる新しい大道を、たちどころに、ここで、この部屋で、君の前にひろげてみせ
て上げよう。魔王の不信仰をも揺るがせるような奇怪なものを見せて、君の眼を眩ませて上げよう。」
「君、」と私は、冷静さをほんとうには持っているどころではなかったが、強いてそれを装って言った、「君は謎のようなことを言われる。わたしが君の言葉を大して信用しないで聞いていると言っても君はたぶん不思議にも思われはしないだろう。しかし、わたしも
訳のわからぬ御用をここまでして深
0445名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:43:19.000
彼は私に恐ろしい微笑を向けた。そして捨鉢の決心を固めたかのように、敷布を引き除けた。その中身
を見ると、彼はひどく安心したらしく、大きなしゃくりあげるような声を出したので、私はびっくりして坐ったまま身動きもできなくなった。次の瞬間には、もうよほど落ちついた声になって、「メートル・グラスがありますか?」と彼は尋ねた。
 私はやっとのことで座席から立ち上り、彼の求めるものを渡してやった。
 彼はにっこり頷いて礼を言い、あの赤色のチンキを数滴、分量をはかって入れ、それに一包みの散薬を加えた。最初は赤味を帯びた色であったこの混合物は、結晶塩が溶けるにつれて、色が鮮やかになり、ぶつぶつと音を立てて
泡立ち、少量の水蒸気を発散しだした。と同時に、その沸騰が止んで、その化合物は暗紫色にかわり、それがまた前よりは少しずつ薄い緑色に色があせていった。こういう変化を鋭い目で見つめていた私の訪問者は、にやりと笑って、メー
トル・グラスをテーブルの上に置き、それから振り向いて、探るような様子で私を見た。

「ところで今度は、」と彼が言った、「残っていることを片づけるとしましょう。君は知りたいですか? 君は教わりたいですか? 君は私にこのグラスを手に持ってこれきり何も話をせずにこの家から出て行かせるつもりですか? それとも好奇心が強くて聞
かずにはいられないのですか? よく考えてから返事して下さい。君の決める通りにしますから。君の決め方によって、君を前のままに残しておいて上げよう。前よりも富むのでもなく前よりも知識があるのでもなくしておいて上げよう。死ぬような苦しみをして
いる人間に尽力をしてやったという意識が一種の精神上の富と見なされるのでなければですがね。それともまた、もし君がその方を望むならば、知識の新しい領域や、名声や権力をうる新しい大道を、たちどころに、ここで、この部屋で、君の前にひろげてみせ
て上げよう。魔王の不信仰をも揺るがせるような奇怪なものを見せて、君の眼を眩ませて上げよう。」
「君、」と私は、冷静さをほんとうには持っているどころではなかったが、強いてそれを装って言った、「君は謎のようなことを言われる。わたしが君の言葉を大して信用しないで聞いていると言っても君はたぶん不思議にも思われはしないだろう。しかし、わたしも
訳のわからぬ御用をここまでして深
0446名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:44:15.720
 私は一八――年に大財産の相続者として生まれた。その上すぐれた才能を恵まれ、生まれつき勤勉な性質で、わが同胞の賢明な人や善良な人を尊敬することを好んだ。だから、誰にでも想像されるように、名誉ある、すばらしい将来を十分に保証さ
れていた。だが、実のところ、私の一ばん悪い欠点は抑えることのできない快楽癖だった。それは、多くの人たちを楽しませもしたが、また、気位が高くて世間の前では人並以上にえらそうな顔をしていたいという私のわがままな欲望とは、折合い難いも
のであった。そのために、私は自分の遊楽を人に隠すようになり、分別のある年頃になって、自分の周りを見回し、世間での自分の栄達と地位とに注意する
ようになると、私はもはや深い二重生活をしていたのであった。私がやったような不品行は、かえって世間に言いふらした人も多いだろう。しかし、私は、自分の立てた高い見地から、それをまるで病的と言ってもよいほどの羞恥の念をもって眺め、また隠
したのである。だから、私をこんな人間に作りあげ、また、人間の性質を二つの要素に分けている善と悪との領域を、私の場合にあっては、大部分の人の場合よりも一そう深い溝をもって切り放したのは、私の欠点が特別に下劣であるためよりも、むしろ私の
理想を追う心が厳しすぎたためであった。それで私は、宗教の根元に横たわり、最も多くの苦悩の源泉の一つであるところの、あの苛酷な人生の掟について深く執拗に考えない訳にはゆかなかった。私はひどい二重人格者ではあったが、決して偽善者ではな
かった。私の善悪両方面とも、いずれも飽くまで真剣であった。私は、学問の進歩のために、または人間の悲しみや苦しみを救うために公然と努力している時も、自制をすてて恥ずべき行ないにひたっている時も、同じように私自身であった。そして、偶然にも、私の科学
上の研究の方向がもっぱら神秘的なものと超絶的なものの方へ向っていたので、それがこの両面の絶え間のない闘争という意識に反応して、それに強い光明を投げたのである。こうして、私の知性の両方面、道徳的方面と知的方面とから、一日一日と、私は
あの真理、つまり人はほんとうは一つのものではなく、ほんとうは二つのものであるという真理に、着々と次第に近づいてゆき、それの部分的発見によって私はこのような恐ろしい破滅を招く運命となったのである。私が二つのものであると言うのは、私自身の知
0447名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:44:23.490
 私は一八――年に大財産の相続者として生まれた。その上すぐれた才能を恵まれ、生まれつき勤勉な性質で、わが同胞の賢明な人や善良な人を尊敬することを好んだ。だから、誰にでも想像されるように、名誉ある、すばらしい将来を十分に保証さ
れていた。だが、実のところ、私の一ばん悪い欠点は抑えることのできない快楽癖だった。それは、多くの人たちを楽しませもしたが、また、気位が高くて世間の前では人並以上にえらそうな顔をしていたいという私のわがままな欲望とは、折合い難いも
のであった。そのために、私は自分の遊楽を人に隠すようになり、分別のある年頃になって、自分の周りを見回し、世間での自分の栄達と地位とに注意する
ようになると、私はもはや深い二重生活をしていたのであった。私がやったような不品行は、かえって世間に言いふらした人も多いだろう。しかし、私は、自分の立てた高い見地から、それをまるで病的と言ってもよいほどの羞恥の念をもって眺め、また隠
したのである。だから、私をこんな人間に作りあげ、また、人間の性質を二つの要素に分けている善と悪との領域を、私の場合にあっては、大部分の人の場合よりも一そう深い溝をもって切り放したのは、私の欠点が特別に下劣であるためよりも、むしろ私の
理想を追う心が厳しすぎたためであった。それで私は、宗教の根元に横たわり、最も多くの苦悩の源泉の一つであるところの、あの苛酷な人生の掟について深く執拗に考えない訳にはゆかなかった。私はひどい二重人格者ではあったが、決して偽善者ではな
かった。私の善悪両方面とも、いずれも飽くまで真剣であった。私は、学問の進歩のために、または人間の悲しみや苦しみを救うために公然と努力している時も、自制をすてて恥ずべき行ないにひたっている時も、同じように私自身であった。そして、偶然にも、私の科学
上の研究の方向がもっぱら神秘的なものと超絶的なものの方へ向っていたので、それがこの両面の絶え間のない闘争という意識に反応して、それに強い光明を投げたのである。こうして、私の知性の両方面、道徳的方面と知的方面とから、一日一日と、私は
あの真理、つまり人はほんとうは一つのものではなく、ほんとうは二つのものであるという真理に、着々と次第に近づいてゆき、それの部分的発見によって私はこのような恐ろしい破滅を招く運命となったのである。私が二つのものであると言うのは、私自身の知
0448名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:44:33.660
 私は一八――年に大財産の相続者として生まれた。その上すぐれた才能を恵まれ、生まれつき勤勉な性質で、わが同胞の賢明な人や善良な人を尊敬することを好んだ。だから、誰にでも想像されるように、名誉ある、すばらしい将来を十分に保証さ
れていた。だが、実のところ、私の一ばん悪い欠点は抑えることのできない快楽癖だった。それは、多くの人たちを楽しませもしたが、また、気位が高くて世間の前では人並以上にえらそうな顔をしていたいという私のわがままな欲望とは、折合い難いも
のであった。そのために、私は自分の遊楽を人に隠すようになり、分別のある年頃になって、自分の周りを見回し、世間での自分の栄達と地位とに注意する
ようになると、私はもはや深い二重生活をしていたのであった。私がやったような不品行は、かえって世間に言いふらした人も多いだろう。しかし、私は、自分の立てた高い見地から、それをまるで病的と言ってもよいほどの羞恥の念をもって眺め、また隠
したのである。だから、私をこんな人間に作りあげ、また、人間の性質を二つの要素に分けている善と悪との領域を、私の場合にあっては、大部分の人の場合よりも一そう深い溝をもって切り放したのは、私の欠点が特別に下劣であるためよりも、むしろ私の
理想を追う心が厳しすぎたためであった。それで私は、宗教の根元に横たわり、最も多くの苦悩の源泉の一つであるところの、あの苛酷な人生の掟について深く執拗に考えない訳にはゆかなかった。私はひどい二重人格者ではあったが、決して偽善者ではな
かった。私の善悪両方面とも、いずれも飽くまで真剣であった。私は、学問の進歩のために、または人間の悲しみや苦しみを救うために公然と努力している時も、自制をすてて恥ずべき行ないにひたっている時も、同じように私自身であった。そして、偶然にも、私の科学
上の研究の方向がもっぱら神秘的なものと超絶的なものの方へ向っていたので、それがこの両面の絶え間のない闘争という意識に反応して、それに強い光明を投げたのである。こうして、私の知性の両方面、道徳的方面と知的方面とから、一日一日と、私は
あの真理、つまり人はほんとうは一つのものではなく、ほんとうは二つのものであるという真理に、着々と次第に近づいてゆき、それの部分的発見によって私はこのような恐ろしい破滅を招く運命となったのである。私が二つのものであると言うのは、私自身の知
0449名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:44:40.630
 私は一八――年に大財産の相続者として生まれた。その上すぐれた才能を恵まれ、生まれつき勤勉な性質で、わが同胞の賢明な人や善良な人を尊敬することを好んだ。だから、誰にでも想像されるように、名誉ある、すばらしい将来を十分に保証さ
れていた。だが、実のところ、私の一ばん悪い欠点は抑えることのできない快楽癖だった。それは、多くの人たちを楽しませもしたが、また、気位が高くて世間の前では人並以上にえらそうな顔をしていたいという私のわがままな欲望とは、折合い難いも
のであった。そのために、私は自分の遊楽を人に隠すようになり、分別のある年頃になって、自分の周りを見回し、世間での自分の栄達と地位とに注意する
ようになると、私はもはや深い二重生活をしていたのであった。私がやったような不品行は、かえって世間に言いふらした人も多いだろう。しかし、私は、自分の立てた高い見地から、それをまるで病的と言ってもよいほどの羞恥の念をもって眺め、また隠
したのである。だから、私をこんな人間に作りあげ、また、人間の性質を二つの要素に分けている善と悪との領域を、私の場合にあっては、大部分の人の場合よりも一そう深い溝をもって切り放したのは、私の欠点が特別に下劣であるためよりも、むしろ私の
理想を追う心が厳しすぎたためであった。それで私は、宗教の根元に横たわり、最も多くの苦悩の源泉の一つであるところの、あの苛酷な人生の掟について深く執拗に考えない訳にはゆかなかった。私はひどい二重人格者ではあったが、決して偽善者ではな
かった。私の善悪両方面とも、いずれも飽くまで真剣であった。私は、学問の進歩のために、または人間の悲しみや苦しみを救うために公然と努力している時も、自制をすてて恥ずべき行ないにひたっている時も、同じように私自身であった。そして、偶然にも、私の科学
上の研究の方向がもっぱら神秘的なものと超絶的なものの方へ向っていたので、それがこの両面の絶え間のない闘争という意識に反応して、それに強い光明を投げたのである。こうして、私の知性の両方面、道徳的方面と知的方面とから、一日一日と、私は
あの真理、つまり人はほんとうは一つのものではなく、ほんとうは二つのものであるという真理に、着々と次第に近づいてゆき、それの部分的発見によって私はこのような恐ろしい破滅を招く運命となったのである。私が二つのものであると言うのは、私自身の知
0450名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:44:47.980
 私は一八――年に大財産の相続者として生まれた。その上すぐれた才能を恵まれ、生まれつき勤勉な性質で、わが同胞の賢明な人や善良な人を尊敬することを好んだ。だから、誰にでも想像されるように、名誉ある、すばらしい将来を十分に保証さ
れていた。だが、実のところ、私の一ばん悪い欠点は抑えることのできない快楽癖だった。それは、多くの人たちを楽しませもしたが、また、気位が高くて世間の前では人並以上にえらそうな顔をしていたいという私のわがままな欲望とは、折合い難いも
のであった。そのために、私は自分の遊楽を人に隠すようになり、分別のある年頃になって、自分の周りを見回し、世間での自分の栄達と地位とに注意する
ようになると、私はもはや深い二重生活をしていたのであった。私がやったような不品行は、かえって世間に言いふらした人も多いだろう。しかし、私は、自分の立てた高い見地から、それをまるで病的と言ってもよいほどの羞恥の念をもって眺め、また隠
したのである。だから、私をこんな人間に作りあげ、また、人間の性質を二つの要素に分けている善と悪との領域を、私の場合にあっては、大部分の人の場合よりも一そう深い溝をもって切り放したのは、私の欠点が特別に下劣であるためよりも、むしろ私の
理想を追う心が厳しすぎたためであった。それで私は、宗教の根元に横たわり、最も多くの苦悩の源泉の一つであるところの、あの苛酷な人生の掟について深く執拗に考えない訳にはゆかなかった。私はひどい二重人格者ではあったが、決して偽善者ではな
かった。私の善悪両方面とも、いずれも飽くまで真剣であった。私は、学問の進歩のために、または人間の悲しみや苦しみを救うために公然と努力している時も、自制をすてて恥ずべき行ないにひたっている時も、同じように私自身であった。そして、偶然にも、私の科学
上の研究の方向がもっぱら神秘的なものと超絶的なものの方へ向っていたので、それがこの両面の絶え間のない闘争という意識に反応して、それに強い光明を投げたのである。こうして、私の知性の両方面、道徳的方面と知的方面とから、一日一日と、私は
あの真理、つまり人はほんとうは一つのものではなく、ほんとうは二つのものであるという真理に、着々と次第に近づいてゆき、それの部分的発見によって私はこのような恐ろしい破滅を招く運命となったのである。私が二つのものであると言うのは、私自身の知
0451名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:45:01.390
 私は一八――年に大財産の相続者として生まれた。その上すぐれた才能を恵まれ、生まれつき勤勉な性質で、わが同胞の賢明な人や善良な人を尊敬することを好んだ。だから、誰にでも想像されるように、名誉ある、すばらしい将来を十分に保証さ
れていた。だが、実のところ、私の一ばん悪い欠点は抑えることのできない快楽癖だった。それは、多くの人たちを楽しませもしたが、また、気位が高くて世間の前では人並以上にえらそうな顔をしていたいという私のわがままな欲望とは、折合い難いも
のであった。そのために、私は自分の遊楽を人に隠すようになり、分別のある年頃になって、自分の周りを見回し、世間での自分の栄達と地位とに注意する
ようになると、私はもはや深い二重生活をしていたのであった。私がやったような不品行は、かえって世間に言いふらした人も多いだろう。しかし、私は、自分の立てた高い見地から、それをまるで病的と言ってもよいほどの羞恥の念をもって眺め、また隠
したのである。だから、私をこんな人間に作りあげ、また、人間の性質を二つの要素に分けている善と悪との領域を、私の場合にあっては、大部分の人の場合よりも一そう深い溝をもって切り放したのは、私の欠点が特別に下劣であるためよりも、むしろ私の
理想を追う心が厳しすぎたためであった。それで私は、宗教の根元に横たわり、最も多くの苦悩の源泉の一つであるところの、あの苛酷な人生の掟について深く執拗に考えない訳にはゆかなかった。私はひどい二重人格者ではあったが、決して偽善者ではな
かった。私の善悪両方面とも、いずれも飽くまで真剣であった。私は、学問の進歩のために、または人間の悲しみや苦しみを救うために公然と努力している時も、自制をすてて恥ずべき行ないにひたっている時も、同じように私自身であった。そして、偶然にも、私の科学
上の研究の方向がもっぱら神秘的なものと超絶的なものの方へ向っていたので、それがこの両面の絶え間のない闘争という意識に反応して、それに強い光明を投げたのである。こうして、私の知性の両方面、道徳的方面と知的方面とから、一日一日と、私は
あの真理、つまり人はほんとうは一つのものではなく、ほんとうは二つのものであるという真理に、着々と次第に近づいてゆき、それの部分的発見によって私はこのような恐ろしい破滅を招く運命となったのである。私が二つのものであると言うのは、私自身の知
0452名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:45:57.680
私の科学的の発見の進行がそういう奇跡の可能性を少しも暗示しない前から、私はもう、愛する白日夢として、この二要素の分離という着想を好んで考えるようになっていた。私はこう思った。もしその各々の要素を別々の個体に宿らせることさえできたなら、人生はあら
ゆる耐えられないものから救われるであろう。正しくない要素は、自分と双生児の一方である正しい要素のすべての志望や悔恨から解放されて、自分の欲するままの道を行くことができるであろうし、正しい方は、自分の喜びとする善事を行ない、縁もないこの悪
の手によって恥辱
や悔悟にさらされることなしに、安心して堅実に向上の路を歩むことができるであろう、と。この互いに調和しない二つの薪たばがこのように一しょにくくりつけられているということ――意識という苦しみの胎の内でこの両極の双生児が絶えず争
っていなけれ
ばならないということが、人類の禍いであったのだ。では、どうしてこの二つを分離させようか?
 私がここまで考えてきた時、前に言ったように、実験室のテーブルからその問題に側面光が射しかけたのである。私は、我々がそれに包まれて歩いているこの見たところいかにも頑丈なような肉体というものが、極めて不安な実体のないようなもの、霧のような
はかないもの
であることを、今までに述べられたよりももっと深く了解するようになった。ちょうど風が天幕小屋の幕を、吹き飛ばすように、ある作因がその肉体という衣服をゆり動かして引きはぐ力を持っているということを、私は発見した。二つの正しい理由から、
私は自分自身の告白のうち、この科学的方面へは深く入らないことにする。第一は、我々の人生の運命と重荷とは永久に人間の肩に結びつけられていて、それを投げ棄てようとすれば、それは却って一そう不思議な一そう恐ろしい圧力で我々に戻って来るだけ
だということ
を、私は悟ったからである。第二は、私の記録が十分に明らかにするであろうが、ああ、なんと、私の発見は不完全であったからである。だから、次のことだけを記すことにしよう。つまり、私は、私の生まれながらの肉体が、私の心霊を構成しているある力から発する
精気と光輝とに過ぎない、ということを認めたばかりではなく、ついに苦心して調合したある薬によって、それらの力をその最高位からおしのけて、私の霊魂の劣等な要素の表われ
0453名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:46:04.920
私の科学的の発見の進行がそういう奇跡の可能性を少しも暗示しない前から、私はもう、愛する白日夢として、この二要素の分離という着想を好んで考えるようになっていた。私はこう思った。もしその各々の要素を別々の個体に宿らせることさえできたなら、人生はあら
ゆる耐えられないものから救われるであろう。正しくない要素は、自分と双生児の一方である正しい要素のすべての志望や悔恨から解放されて、自分の欲するままの道を行くことができるであろうし、正しい方は、自分の喜びとする善事を行ない、縁もないこの悪
の手によって恥辱
や悔悟にさらされることなしに、安心して堅実に向上の路を歩むことができるであろう、と。この互いに調和しない二つの薪たばがこのように一しょにくくりつけられているということ――意識という苦しみの胎の内でこの両極の双生児が絶えず争
っていなけれ
ばならないということが、人類の禍いであったのだ。では、どうしてこの二つを分離させようか?
 私がここまで考えてきた時、前に言ったように、実験室のテーブルからその問題に側面光が射しかけたのである。私は、我々がそれに包まれて歩いているこの見たところいかにも頑丈なような肉体というものが、極めて不安な実体のないようなもの、霧のような
はかないもの
であることを、今までに述べられたよりももっと深く了解するようになった。ちょうど風が天幕小屋の幕を、吹き飛ばすように、ある作因がその肉体という衣服をゆり動かして引きはぐ力を持っているということを、私は発見した。二つの正しい理由から、
私は自分自身の告白のうち、この科学的方面へは深く入らないことにする。第一は、我々の人生の運命と重荷とは永久に人間の肩に結びつけられていて、それを投げ棄てようとすれば、それは却って一そう不思議な一そう恐ろしい圧力で我々に戻って来るだけ
だということ
を、私は悟ったからである。第二は、私の記録が十分に明らかにするであろうが、ああ、なんと、私の発見は不完全であったからである。だから、次のことだけを記すことにしよう。つまり、私は、私の生まれながらの肉体が、私の心霊を構成しているある力から発する
精気と光輝とに過ぎない、ということを認めたばかりではなく、ついに苦心して調合したある薬によって、それらの力をその最高位からおしのけて、私の霊魂の劣等な要素の表われ
0454名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:46:15.130
私の科学的の発見の進行がそういう奇跡の可能性を少しも暗示しない前から、私はもう、愛する白日夢として、この二要素の分離という着想を好んで考えるようになっていた。私はこう思った。もしその各々の要素を別々の個体に宿らせることさえできたなら、人生はあら
ゆる耐えられないものから救われるであろう。正しくない要素は、自分と双生児の一方である正しい要素のすべての志望や悔恨から解放されて、自分の欲するままの道を行くことができるであろうし、正しい方は、自分の喜びとする善事を行ない、縁もないこの悪
の手によって恥辱
や悔悟にさらされることなしに、安心して堅実に向上の路を歩むことができるであろう、と。この互いに調和しない二つの薪たばがこのように一しょにくくりつけられているということ――意識という苦しみの胎の内でこの両極の双生児が絶えず争
っていなけれ
ばならないということが、人類の禍いであったのだ。では、どうしてこの二つを分離させようか?
 私がここまで考えてきた時、前に言ったように、実験室のテーブルからその問題に側面光が射しかけたのである。私は、我々がそれに包まれて歩いているこの見たところいかにも頑丈なような肉体というものが、極めて不安な実体のないようなもの、霧のような
はかないもの
であることを、今までに述べられたよりももっと深く了解するようになった。ちょうど風が天幕小屋の幕を、吹き飛ばすように、ある作因がその肉体という衣服をゆり動かして引きはぐ力を持っているということを、私は発見した。二つの正しい理由から、
私は自分自身の告白のうち、この科学的方面へは深く入らないことにする。第一は、我々の人生の運命と重荷とは永久に人間の肩に結びつけられていて、それを投げ棄てようとすれば、それは却って一そう不思議な一そう恐ろしい圧力で我々に戻って来るだけ
だということ
を、私は悟ったからである。第二は、私の記録が十分に明らかにするであろうが、ああ、なんと、私の発見は不完全であったからである。だから、次のことだけを記すことにしよう。つまり、私は、私の生まれながらの肉体が、私の心霊を構成しているある力から発する
精気と光輝とに過ぎない、ということを認めたばかりではなく、ついに苦心して調合したある薬によって、それらの力をその最高位からおしのけて、私の霊魂の劣等な要素の表われ
0455名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:46:28.500
私の科学的の発見の進行がそういう奇跡の可能性を少しも暗示しない前から、私はもう、愛する白日夢として、この二要素の分離という着想を好んで考えるようになっていた。私はこう思った。もしその各々の要素を別々の個体に宿らせることさえできたなら、人生はあら
ゆる耐えられないものから救われるであろう。正しくない要素は、自分と双生児の一方である正しい要素のすべての志望や悔恨から解放されて、自分の欲するままの道を行くことができるであろうし、正しい方は、自分の喜びとする善事を行ない、縁もないこの悪
の手によって恥辱
や悔悟にさらされることなしに、安心して堅実に向上の路を歩むことができるであろう、と。この互いに調和しない二つの薪たばがこのように一しょにくくりつけられているということ――意識という苦しみの胎の内でこの両極の双生児が絶えず争
っていなけれ
ばならないということが、人類の禍いであったのだ。では、どうしてこの二つを分離させようか?
 私がここまで考えてきた時、前に言ったように、実験室のテーブルからその問題に側面光が射しかけたのである。私は、我々がそれに包まれて歩いているこの見たところいかにも頑丈なような肉体というものが、極めて不安な実体のないようなもの、霧のような
はかないもの
であることを、今までに述べられたよりももっと深く了解するようになった。ちょうど風が天幕小屋の幕を、吹き飛ばすように、ある作因がその肉体という衣服をゆり動かして引きはぐ力を持っているということを、私は発見した。二つの正しい理由から、
私は自分自身の告白のうち、この科学的方面へは深く入らないことにする。第一は、我々の人生の運命と重荷とは永久に人間の肩に結びつけられていて、それを投げ棄てようとすれば、それは却って一そう不思議な一そう恐ろしい圧力で我々に戻って来るだけ
だということ
を、私は悟ったからである。第二は、私の記録が十分に明らかにするであろうが、ああ、なんと、私の発見は不完全であったからである。だから、次のことだけを記すことにしよう。つまり、私は、私の生まれながらの肉体が、私の心霊を構成しているある力から発する
精気と光輝とに過ぎない、ということを認めたばかりではなく、ついに苦心して調合したある薬によって、それらの力をその最高位からおしのけて、私の霊魂の劣等な要素の表われ
0456名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:46:38.490
私の科学的の発見の進行がそういう奇跡の可能性を少しも暗示しない前から、私はもう、愛する白日夢として、この二要素の分離という着想を好んで考えるようになっていた。私はこう思った。もしその各々の要素を別々の個体に宿らせることさえできたなら、人生はあら
ゆる耐えられないものから救われるであろう。正しくない要素は、自分と双生児の一方である正しい要素のすべての志望や悔恨から解放されて、自分の欲するままの道を行くことができるであろうし、正しい方は、自分の喜びとする善事を行ない、縁もないこの悪
の手によって恥辱
や悔悟にさらされることなしに、安心して堅実に向上の路を歩むことができるであろう、と。この互いに調和しない二つの薪たばがこのように一しょにくくりつけられているということ――意識という苦しみの胎の内でこの両極の双生児が絶えず争
っていなけれ
ばならないということが、人類の禍いであったのだ。では、どうしてこの二つを分離させようか?
 私がここまで考えてきた時、前に言ったように、実験室のテーブルからその問題に側面光が射しかけたのである。私は、我々がそれに包まれて歩いているこの見たところいかにも頑丈なような肉体というものが、極めて不安な実体のないようなもの、霧のような
はかないもの
であることを、今までに述べられたよりももっと深く了解するようになった。ちょうど風が天幕小屋の幕を、吹き飛ばすように、ある作因がその肉体という衣服をゆり動かして引きはぐ力を持っているということを、私は発見した。二つの正しい理由から、
私は自分自身の告白のうち、この科学的方面へは深く入らないことにする。第一は、我々の人生の運命と重荷とは永久に人間の肩に結びつけられていて、それを投げ棄てようとすれば、それは却って一そう不思議な一そう恐ろしい圧力で我々に戻って来るだけ
だということ
を、私は悟ったからである。第二は、私の記録が十分に明らかにするであろうが、ああ、なんと、私の発見は不完全であったからである。だから、次のことだけを記すことにしよう。つまり、私は、私の生まれながらの肉体が、私の心霊を構成しているある力から発する
精気と光輝とに過ぎない、ということを認めたばかりではなく、ついに苦心して調合したある薬によって、それらの力をその最高位からおしのけて、私の霊魂の劣等な要素の表われ
0457名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:46:50.260
私の科学的の発見の進行がそういう奇跡の可能性を少しも暗示しない前から、私はもう、愛する白日夢として、この二要素の分離という着想を好んで考えるようになっていた。私はこう思った。もしその各々の要素を別々の個体に宿らせることさえできたなら、人生はあら
ゆる耐えられないものから救われるであろう。正しくない要素は、自分と双生児の一方である正しい要素のすべての志望や悔恨から解放されて、自分の欲するままの道を行くことができるであろうし、正しい方は、自分の喜びとする善事を行ない、縁もないこの悪
の手によって恥辱
や悔悟にさらされることなしに、安心して堅実に向上の路を歩むことができるであろう、と。この互いに調和しない二つの薪たばがこのように一しょにくくりつけられているということ――意識という苦しみの胎の内でこの両極の双生児が絶えず争
っていなけれ
ばならないということが、人類の禍いであったのだ。では、どうしてこの二つを分離させようか?
 私がここまで考えてきた時、前に言ったように、実験室のテーブルからその問題に側面光が射しかけたのである。私は、我々がそれに包まれて歩いているこの見たところいかにも頑丈なような肉体というものが、極めて不安な実体のないようなもの、霧のような
はかないもの
であることを、今までに述べられたよりももっと深く了解するようになった。ちょうど風が天幕小屋の幕を、吹き飛ばすように、ある作因がその肉体という衣服をゆり動かして引きはぐ力を持っているということを、私は発見した。二つの正しい理由から、
私は自分自身の告白のうち、この科学的方面へは深く入らないことにする。第一は、我々の人生の運命と重荷とは永久に人間の肩に結びつけられていて、それを投げ棄てようとすれば、それは却って一そう不思議な一そう恐ろしい圧力で我々に戻って来るだけ
だということ
を、私は悟ったからである。第二は、私の記録が十分に明らかにするであろうが、ああ、なんと、私の発見は不完全であったからである。だから、次のことだけを記すことにしよう。つまり、私は、私の生まれながらの肉体が、私の心霊を構成しているある力から発する
精気と光輝とに過ぎない、ということを認めたばかりではなく、ついに苦心して調合したある薬によって、それらの力をその最高位からおしのけて、私の霊魂の劣等な要素の表われ
0458名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:47:40.560
 私はこの理論を試験するまでには永い間ためらった。それが命懸けであることを私はちゃんと知っていた。なぜなら、そのように強力で、個性の城塞までも揺り動かすほどの薬は、ほんのちょっとでも飲み過ぎたり、服薬の時が少しでも違ったら、私が変化させようと
するその実体のない肉体をすっかり抹殺してしまうかも知れないからである。しかし、そのように深遠で非凡な発見の誘惑は、ついに、危懼の念に打ち勝ってしまった。私はずっと前からチンキの方は調剤してあったので、すぐに、ある薬問屋からある特別の塩剤をた
くさんに買いこんだ。それは、私の実験によって、最後の必要な成分であることがわかっていたものである。こうして、ある呪うべき夜遅く、私はそれらの薬品を調合し、それらが硝子器の中で一しょに煮え立ち、煙を上げるのを見つめ、その沸騰がしずま
ったとき、勇気をふるい起こしてその薬液を飲みほした。
 つぎに非常に激しい苦痛がおこった。骨が挽かれるような苦しみ、恐ろしい吐き気、生まれる時か死ぬ時よりもつよい精神の恐怖。やがてこれらの苦悶は急にしずまって、私はまるで大病から回復したみたいに我にかえった。私の感覚は何となく妙で、何とも言いよう
なく清新で、また、その清新さそのもののために信じられないほど甘美であった。私は体がこれまでよりも若々しく、軽く、幸福であるように感じ、心のうちには、たけだけしく向う見ずな気持と、空想の中を水車をまわす流れのように奔流する混乱した肉感的な幻影の流
れと、義務の束縛からの解放と、未知の、しかし潔白ではない精神の自由とを意識した。私は、この新しい生命を呼吸するとすぐに、自分がこれまでよりも邪悪で、しかも十倍も邪悪で、自分の本来の悪に奴隷として売られたものであることを知った。そして、そう考える
ことが、葡萄酒のように私の心を引締め喜ばせた。私はこういう感覚の新鮮さに狂喜して両手を差し伸ばした。そうしていると、ふと、自分の身長が短くなっていることに気がついた。

 その時分には、私の室には鏡がなかった。今これを書いている時に私の傍らにあるものは、全くこういう身体の変化を見るために、後になってここへ持って来たものなのである。ともかく、夜はよほど更けていて、――まだ真暗ではあったけれども、やがてもう夜も明
けようとしていた。私の家の者たちはぐっすり熟睡していた。で、私は、希望と成功とで得意に
0459名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:47:49.130
 私はこの理論を試験するまでには永い間ためらった。それが命懸けであることを私はちゃんと知っていた。なぜなら、そのように強力で、個性の城塞までも揺り動かすほどの薬は、ほんのちょっとでも飲み過ぎたり、服薬の時が少しでも違ったら、私が変化させようと
するその実体のない肉体をすっかり抹殺してしまうかも知れないからである。しかし、そのように深遠で非凡な発見の誘惑は、ついに、危懼の念に打ち勝ってしまった。私はずっと前からチンキの方は調剤してあったので、すぐに、ある薬問屋からある特別の塩剤をた
くさんに買いこんだ。それは、私の実験によって、最後の必要な成分であることがわかっていたものである。こうして、ある呪うべき夜遅く、私はそれらの薬品を調合し、それらが硝子器の中で一しょに煮え立ち、煙を上げるのを見つめ、その沸騰がしずま
ったとき、勇気をふるい起こしてその薬液を飲みほした。
 つぎに非常に激しい苦痛がおこった。骨が挽かれるような苦しみ、恐ろしい吐き気、生まれる時か死ぬ時よりもつよい精神の恐怖。やがてこれらの苦悶は急にしずまって、私はまるで大病から回復したみたいに我にかえった。私の感覚は何となく妙で、何とも言いよう
なく清新で、また、その清新さそのもののために信じられないほど甘美であった。私は体がこれまでよりも若々しく、軽く、幸福であるように感じ、心のうちには、たけだけしく向う見ずな気持と、空想の中を水車をまわす流れのように奔流する混乱した肉感的な幻影の流
れと、義務の束縛からの解放と、未知の、しかし潔白ではない精神の自由とを意識した。私は、この新しい生命を呼吸するとすぐに、自分がこれまでよりも邪悪で、しかも十倍も邪悪で、自分の本来の悪に奴隷として売られたものであることを知った。そして、そう考える
ことが、葡萄酒のように私の心を引締め喜ばせた。私はこういう感覚の新鮮さに狂喜して両手を差し伸ばした。そうしていると、ふと、自分の身長が短くなっていることに気がついた。

 その時分には、私の室には鏡がなかった。今これを書いている時に私の傍らにあるものは、全くこういう身体の変化を見るために、後になってここへ持って来たものなのである。ともかく、夜はよほど更けていて、――まだ真暗ではあったけれども、やがてもう夜も明
けようとしていた。私の家の者たちはぐっすり熟睡していた。で、私は、希望と成功とで得意に
0460名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:47:56.680
 私はこの理論を試験するまでには永い間ためらった。それが命懸けであることを私はちゃんと知っていた。なぜなら、そのように強力で、個性の城塞までも揺り動かすほどの薬は、ほんのちょっとでも飲み過ぎたり、服薬の時が少しでも違ったら、私が変化させようと
するその実体のない肉体をすっかり抹殺してしまうかも知れないからである。しかし、そのように深遠で非凡な発見の誘惑は、ついに、危懼の念に打ち勝ってしまった。私はずっと前からチンキの方は調剤してあったので、すぐに、ある薬問屋からある特別の塩剤をた
くさんに買いこんだ。それは、私の実験によって、最後の必要な成分であることがわかっていたものである。こうして、ある呪うべき夜遅く、私はそれらの薬品を調合し、それらが硝子器の中で一しょに煮え立ち、煙を上げるのを見つめ、その沸騰がしずま
ったとき、勇気をふるい起こしてその薬液を飲みほした。
 つぎに非常に激しい苦痛がおこった。骨が挽かれるような苦しみ、恐ろしい吐き気、生まれる時か死ぬ時よりもつよい精神の恐怖。やがてこれらの苦悶は急にしずまって、私はまるで大病から回復したみたいに我にかえった。私の感覚は何となく妙で、何とも言いよう
なく清新で、また、その清新さそのもののために信じられないほど甘美であった。私は体がこれまでよりも若々しく、軽く、幸福であるように感じ、心のうちには、たけだけしく向う見ずな気持と、空想の中を水車をまわす流れのように奔流する混乱した肉感的な幻影の流
れと、義務の束縛からの解放と、未知の、しかし潔白ではない精神の自由とを意識した。私は、この新しい生命を呼吸するとすぐに、自分がこれまでよりも邪悪で、しかも十倍も邪悪で、自分の本来の悪に奴隷として売られたものであることを知った。そして、そう考える
ことが、葡萄酒のように私の心を引締め喜ばせた。私はこういう感覚の新鮮さに狂喜して両手を差し伸ばした。そうしていると、ふと、自分の身長が短くなっていることに気がついた。

 その時分には、私の室には鏡がなかった。今これを書いている時に私の傍らにあるものは、全くこういう身体の変化を見るために、後になってここへ持って来たものなのである。ともかく、夜はよほど更けていて、――まだ真暗ではあったけれども、やがてもう夜も明
けようとしていた。私の家の者たちはぐっすり熟睡していた。で、私は、希望と成功とで得意に
0461名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:48:07.440
 私はこの理論を試験するまでには永い間ためらった。それが命懸けであることを私はちゃんと知っていた。なぜなら、そのように強力で、個性の城塞までも揺り動かすほどの薬は、ほんのちょっとでも飲み過ぎたり、服薬の時が少しでも違ったら、私が変化させようと
するその実体のない肉体をすっかり抹殺してしまうかも知れないからである。しかし、そのように深遠で非凡な発見の誘惑は、ついに、危懼の念に打ち勝ってしまった。私はずっと前からチンキの方は調剤してあったので、すぐに、ある薬問屋からある特別の塩剤をた
くさんに買いこんだ。それは、私の実験によって、最後の必要な成分であることがわかっていたものである。こうして、ある呪うべき夜遅く、私はそれらの薬品を調合し、それらが硝子器の中で一しょに煮え立ち、煙を上げるのを見つめ、その沸騰がしずま
ったとき、勇気をふるい起こしてその薬液を飲みほした。
 つぎに非常に激しい苦痛がおこった。骨が挽かれるような苦しみ、恐ろしい吐き気、生まれる時か死ぬ時よりもつよい精神の恐怖。やがてこれらの苦悶は急にしずまって、私はまるで大病から回復したみたいに我にかえった。私の感覚は何となく妙で、何とも言いよう
なく清新で、また、その清新さそのもののために信じられないほど甘美であった。私は体がこれまでよりも若々しく、軽く、幸福であるように感じ、心のうちには、たけだけしく向う見ずな気持と、空想の中を水車をまわす流れのように奔流する混乱した肉感的な幻影の流
れと、義務の束縛からの解放と、未知の、しかし潔白ではない精神の自由とを意識した。私は、この新しい生命を呼吸するとすぐに、自分がこれまでよりも邪悪で、しかも十倍も邪悪で、自分の本来の悪に奴隷として売られたものであることを知った。そして、そう考える
ことが、葡萄酒のように私の心を引締め喜ばせた。私はこういう感覚の新鮮さに狂喜して両手を差し伸ばした。そうしていると、ふと、自分の身長が短くなっていることに気がついた。

 その時分には、私の室には鏡がなかった。今これを書いている時に私の傍らにあるものは、全くこういう身体の変化を見るために、後になってここへ持って来たものなのである。ともかく、夜はよほど更けていて、――まだ真暗ではあったけれども、やがてもう夜も明
けようとしていた。私の家の者たちはぐっすり熟睡していた。で、私は、希望と成功とで得意に
0462名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:48:16.990
 私はこの理論を試験するまでには永い間ためらった。それが命懸けであることを私はちゃんと知っていた。なぜなら、そのように強力で、個性の城塞までも揺り動かすほどの薬は、ほんのちょっとでも飲み過ぎたり、服薬の時が少しでも違ったら、私が変化させようと
するその実体のない肉体をすっかり抹殺してしまうかも知れないからである。しかし、そのように深遠で非凡な発見の誘惑は、ついに、危懼の念に打ち勝ってしまった。私はずっと前からチンキの方は調剤してあったので、すぐに、ある薬問屋からある特別の塩剤をた
くさんに買いこんだ。それは、私の実験によって、最後の必要な成分であることがわかっていたものである。こうして、ある呪うべき夜遅く、私はそれらの薬品を調合し、それらが硝子器の中で一しょに煮え立ち、煙を上げるのを見つめ、その沸騰がしずま
ったとき、勇気をふるい起こしてその薬液を飲みほした。
 つぎに非常に激しい苦痛がおこった。骨が挽かれるような苦しみ、恐ろしい吐き気、生まれる時か死ぬ時よりもつよい精神の恐怖。やがてこれらの苦悶は急にしずまって、私はまるで大病から回復したみたいに我にかえった。私の感覚は何となく妙で、何とも言いよう
なく清新で、また、その清新さそのもののために信じられないほど甘美であった。私は体がこれまでよりも若々しく、軽く、幸福であるように感じ、心のうちには、たけだけしく向う見ずな気持と、空想の中を水車をまわす流れのように奔流する混乱した肉感的な幻影の流
れと、義務の束縛からの解放と、未知の、しかし潔白ではない精神の自由とを意識した。私は、この新しい生命を呼吸するとすぐに、自分がこれまでよりも邪悪で、しかも十倍も邪悪で、自分の本来の悪に奴隷として売られたものであることを知った。そして、そう考える
ことが、葡萄酒のように私の心を引締め喜ばせた。私はこういう感覚の新鮮さに狂喜して両手を差し伸ばした。そうしていると、ふと、自分の身長が短くなっていることに気がついた。

 その時分には、私の室には鏡がなかった。今これを書いている時に私の傍らにあるものは、全くこういう身体の変化を見るために、後になってここへ持って来たものなのである。ともかく、夜はよほど更けていて、――まだ真暗ではあったけれども、やがてもう夜も明
けようとしていた。私の家の者たちはぐっすり熟睡していた。で、私は、希望と成功とで得意に
0463名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:48:26.660
 私はこの理論を試験するまでには永い間ためらった。それが命懸けであることを私はちゃんと知っていた。なぜなら、そのように強力で、個性の城塞までも揺り動かすほどの薬は、ほんのちょっとでも飲み過ぎたり、服薬の時が少しでも違ったら、私が変化させようと
するその実体のない肉体をすっかり抹殺してしまうかも知れないからである。しかし、そのように深遠で非凡な発見の誘惑は、ついに、危懼の念に打ち勝ってしまった。私はずっと前からチンキの方は調剤してあったので、すぐに、ある薬問屋からある特別の塩剤をた
くさんに買いこんだ。それは、私の実験によって、最後の必要な成分であることがわかっていたものである。こうして、ある呪うべき夜遅く、私はそれらの薬品を調合し、それらが硝子器の中で一しょに煮え立ち、煙を上げるのを見つめ、その沸騰がしずま
ったとき、勇気をふるい起こしてその薬液を飲みほした。
 つぎに非常に激しい苦痛がおこった。骨が挽かれるような苦しみ、恐ろしい吐き気、生まれる時か死ぬ時よりもつよい精神の恐怖。やがてこれらの苦悶は急にしずまって、私はまるで大病から回復したみたいに我にかえった。私の感覚は何となく妙で、何とも言いよう
なく清新で、また、その清新さそのもののために信じられないほど甘美であった。私は体がこれまでよりも若々しく、軽く、幸福であるように感じ、心のうちには、たけだけしく向う見ずな気持と、空想の中を水車をまわす流れのように奔流する混乱した肉感的な幻影の流
れと、義務の束縛からの解放と、未知の、しかし潔白ではない精神の自由とを意識した。私は、この新しい生命を呼吸するとすぐに、自分がこれまでよりも邪悪で、しかも十倍も邪悪で、自分の本来の悪に奴隷として売られたものであることを知った。そして、そう考える
ことが、葡萄酒のように私の心を引締め喜ばせた。私はこういう感覚の新鮮さに狂喜して両手を差し伸ばした。そうしていると、ふと、自分の身長が短くなっていることに気がついた。

 その時分には、私の室には鏡がなかった。今これを書いている時に私の傍らにあるものは、全くこういう身体の変化を見るために、後になってここへ持って来たものなのである。ともかく、夜はよほど更けていて、――まだ真暗ではあったけれども、やがてもう夜も明
けようとしていた。私の家の者たちはぐっすり熟睡していた。で、私は、希望と成功とで得意に
0464名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:49:54.020
 私は、ここでは、自分が知っていることではなく、どうもそうであるらしいと自分の想像したことを、理論だけで話さなければならない。私がいま具体性を与えた自分の本性の悪の面は、私がた
った今すてたばかりの善の方面ほどに強くもなく発育してもいなかった。また、私のこれまでの生活は結局十分の九までは努力と徳行と抑制との生活

であったから、その悪の方は、善の方よりも使われることがずっと少なく、消粍されることもずっと少なかったのである。だから、エドワード・ハイドがヘンリー・ジーキルよりもずっと小さく、弱く、若かったのだろうと、私は思うのだ

。ちょうど善が一方の顔に輝いているように、もう一方の顔には悪がはっきりと明らかに書かれていた。その上、悪(それは人間の死を来たす方面であると私はやはり信ぜざるを得ないのであるが)はその身体にも不具と衰退との痕をとめていた。そ

れなのに、鏡の中にその醜い姿を眺めた時、私はなんの嫌悪も感じないで、むしろ跳び上るような歓びを感じた。これもまた私自身なのだ。それは自然で人間らしく思われた。私の眼には、それは、私がこれまで自分の顔と言い慣れてきたあの不完全な

どっちともつかぬ顔よりも、一そう生き生きした心の映像を示していたし、一そうはっきりして単純であるように見えた。そしてここまでは確かに私の考えは正しかった。私は、自分がエドワード・ハイドの外貌をつけている時には、誰でも初めて私に近づく者

は必ず明白な肉体の不安を感じないではいられない、ということに気がついた。これは、私が思うのでは、我々が出あう人間はすべて善と悪との混りあったものであるが、エドワード・ハイドだけは、人類全体の中でただ一人、純粋な悪であったからであろう。

 私は鏡のところにほんのちょっとの間しかぐずぐずしていなかった。まだ第二の決定的の実験をやってみなければならないのだ。自分がもう回復ができないほどに自分の本体を失ってしまって、もはや自分の家ではないこの家から、夜の明けないうちに

逃げ出さなければならないかどうかを、確かめることがまだ残っているのだ。それで、急いで書斎へもどると、私はもう一度あの薬を調合して飲み、もう一度解体の苦痛を感じ、もう一度ヘンリー・ジーキルの性格と身長と容貌とをもって我にかえった。

 
0465名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:50:02.260
 私は、ここでは、自分が知っていることではなく、どうもそうであるらしいと自分の想像したことを、理論だけで話さなければならない。私がいま具体性を与えた自分の本性の悪の面は、私がた
った今すてたばかりの善の方面ほどに強くもなく発育してもいなかった。また、私のこれまでの生活は結局十分の九までは努力と徳行と抑制との生活

であったから、その悪の方は、善の方よりも使われることがずっと少なく、消粍されることもずっと少なかったのである。だから、エドワード・ハイドがヘンリー・ジーキルよりもずっと小さく、弱く、若かったのだろうと、私は思うのだ

。ちょうど善が一方の顔に輝いているように、もう一方の顔には悪がはっきりと明らかに書かれていた。その上、悪(それは人間の死を来たす方面であると私はやはり信ぜざるを得ないのであるが)はその身体にも不具と衰退との痕をとめていた。そ

れなのに、鏡の中にその醜い姿を眺めた時、私はなんの嫌悪も感じないで、むしろ跳び上るような歓びを感じた。これもまた私自身なのだ。それは自然で人間らしく思われた。私の眼には、それは、私がこれまで自分の顔と言い慣れてきたあの不完全な

どっちともつかぬ顔よりも、一そう生き生きした心の映像を示していたし、一そうはっきりして単純であるように見えた。そしてここまでは確かに私の考えは正しかった。私は、自分がエドワード・ハイドの外貌をつけている時には、誰でも初めて私に近づく者

は必ず明白な肉体の不安を感じないではいられない、ということに気がついた。これは、私が思うのでは、我々が出あう人間はすべて善と悪との混りあったものであるが、エドワード・ハイドだけは、人類全体の中でただ一人、純粋な悪であったからであろう。

 私は鏡のところにほんのちょっとの間しかぐずぐずしていなかった。まだ第二の決定的の実験をやってみなければならないのだ。自分がもう回復ができないほどに自分の本体を失ってしまって、もはや自分の家ではないこの家から、夜の明けないうちに

逃げ出さなければならないかどうかを、確かめることがまだ残っているのだ。それで、急いで書斎へもどると、私はもう一度あの薬を調合して飲み、もう一度解体の苦痛を感じ、もう一度ヘンリー・ジーキルの性格と身長と容貌とをもって我にかえった。

 
0466名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:50:08.600
 私は、ここでは、自分が知っていることではなく、どうもそうであるらしいと自分の想像したことを、理論だけで話さなければならない。私がいま具体性を与えた自分の本性の悪の面は、私がた
った今すてたばかりの善の方面ほどに強くもなく発育してもいなかった。また、私のこれまでの生活は結局十分の九までは努力と徳行と抑制との生活

であったから、その悪の方は、善の方よりも使われることがずっと少なく、消粍されることもずっと少なかったのである。だから、エドワード・ハイドがヘンリー・ジーキルよりもずっと小さく、弱く、若かったのだろうと、私は思うのだ

。ちょうど善が一方の顔に輝いているように、もう一方の顔には悪がはっきりと明らかに書かれていた。その上、悪(それは人間の死を来たす方面であると私はやはり信ぜざるを得ないのであるが)はその身体にも不具と衰退との痕をとめていた。そ

れなのに、鏡の中にその醜い姿を眺めた時、私はなんの嫌悪も感じないで、むしろ跳び上るような歓びを感じた。これもまた私自身なのだ。それは自然で人間らしく思われた。私の眼には、それは、私がこれまで自分の顔と言い慣れてきたあの不完全な

どっちともつかぬ顔よりも、一そう生き生きした心の映像を示していたし、一そうはっきりして単純であるように見えた。そしてここまでは確かに私の考えは正しかった。私は、自分がエドワード・ハイドの外貌をつけている時には、誰でも初めて私に近づく者

は必ず明白な肉体の不安を感じないではいられない、ということに気がついた。これは、私が思うのでは、我々が出あう人間はすべて善と悪との混りあったものであるが、エドワード・ハイドだけは、人類全体の中でただ一人、純粋な悪であったからであろう。

 私は鏡のところにほんのちょっとの間しかぐずぐずしていなかった。まだ第二の決定的の実験をやってみなければならないのだ。自分がもう回復ができないほどに自分の本体を失ってしまって、もはや自分の家ではないこの家から、夜の明けないうちに

逃げ出さなければならないかどうかを、確かめることがまだ残っているのだ。それで、急いで書斎へもどると、私はもう一度あの薬を調合して飲み、もう一度解体の苦痛を感じ、もう一度ヘンリー・ジーキルの性格と身長と容貌とをもって我にかえった。

 
0467名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:50:21.020
 私は、ここでは、自分が知っていることではなく、どうもそうであるらしいと自分の想像したことを、理論だけで話さなければならない。私がいま具体性を与えた自分の本性の悪の面は、私がた
った今すてたばかりの善の方面ほどに強くもなく発育してもいなかった。また、私のこれまでの生活は結局十分の九までは努力と徳行と抑制との生活

であったから、その悪の方は、善の方よりも使われることがずっと少なく、消粍されることもずっと少なかったのである。だから、エドワード・ハイドがヘンリー・ジーキルよりもずっと小さく、弱く、若かったのだろうと、私は思うのだ

。ちょうど善が一方の顔に輝いているように、もう一方の顔には悪がはっきりと明らかに書かれていた。その上、悪(それは人間の死を来たす方面であると私はやはり信ぜざるを得ないのであるが)はその身体にも不具と衰退との痕をとめていた。そ

れなのに、鏡の中にその醜い姿を眺めた時、私はなんの嫌悪も感じないで、むしろ跳び上るような歓びを感じた。これもまた私自身なのだ。それは自然で人間らしく思われた。私の眼には、それは、私がこれまで自分の顔と言い慣れてきたあの不完全な

どっちともつかぬ顔よりも、一そう生き生きした心の映像を示していたし、一そうはっきりして単純であるように見えた。そしてここまでは確かに私の考えは正しかった。私は、自分がエドワード・ハイドの外貌をつけている時には、誰でも初めて私に近づく者

は必ず明白な肉体の不安を感じないではいられない、ということに気がついた。これは、私が思うのでは、我々が出あう人間はすべて善と悪との混りあったものであるが、エドワード・ハイドだけは、人類全体の中でただ一人、純粋な悪であったからであろう。

 私は鏡のところにほんのちょっとの間しかぐずぐずしていなかった。まだ第二の決定的の実験をやってみなければならないのだ。自分がもう回復ができないほどに自分の本体を失ってしまって、もはや自分の家ではないこの家から、夜の明けないうちに

逃げ出さなければならないかどうかを、確かめることがまだ残っているのだ。それで、急いで書斎へもどると、私はもう一度あの薬を調合して飲み、もう一度解体の苦痛を感じ、もう一度ヘンリー・ジーキルの性格と身長と容貌とをもって我にかえった。

 
0468名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:50:32.270
 私は、ここでは、自分が知っていることではなく、どうもそうであるらしいと自分の想像したことを、理論だけで話さなければならない。私がいま具体性を与えた自分の本性の悪の面は、私がた
った今すてたばかりの善の方面ほどに強くもなく発育してもいなかった。また、私のこれまでの生活は結局十分の九までは努力と徳行と抑制との生活

であったから、その悪の方は、善の方よりも使われることがずっと少なく、消粍されることもずっと少なかったのである。だから、エドワード・ハイドがヘンリー・ジーキルよりもずっと小さく、弱く、若かったのだろうと、私は思うのだ

。ちょうど善が一方の顔に輝いているように、もう一方の顔には悪がはっきりと明らかに書かれていた。その上、悪(それは人間の死を来たす方面であると私はやはり信ぜざるを得ないのであるが)はその身体にも不具と衰退との痕をとめていた。そ

れなのに、鏡の中にその醜い姿を眺めた時、私はなんの嫌悪も感じないで、むしろ跳び上るような歓びを感じた。これもまた私自身なのだ。それは自然で人間らしく思われた。私の眼には、それは、私がこれまで自分の顔と言い慣れてきたあの不完全な

どっちともつかぬ顔よりも、一そう生き生きした心の映像を示していたし、一そうはっきりして単純であるように見えた。そしてここまでは確かに私の考えは正しかった。私は、自分がエドワード・ハイドの外貌をつけている時には、誰でも初めて私に近づく者

は必ず明白な肉体の不安を感じないではいられない、ということに気がついた。これは、私が思うのでは、我々が出あう人間はすべて善と悪との混りあったものであるが、エドワード・ハイドだけは、人類全体の中でただ一人、純粋な悪であったからであろう。

 私は鏡のところにほんのちょっとの間しかぐずぐずしていなかった。まだ第二の決定的の実験をやってみなければならないのだ。自分がもう回復ができないほどに自分の本体を失ってしまって、もはや自分の家ではないこの家から、夜の明けないうちに

逃げ出さなければならないかどうかを、確かめることがまだ残っているのだ。それで、急いで書斎へもどると、私はもう一度あの薬を調合して飲み、もう一度解体の苦痛を感じ、もう一度ヘンリー・ジーキルの性格と身長と容貌とをもって我にかえった。

 
0469名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:50:38.670
 私は、ここでは、自分が知っていることではなく、どうもそうであるらしいと自分の想像したことを、理論だけで話さなければならない。私がいま具体性を与えた自分の本性の悪の面は、私がた
った今すてたばかりの善の方面ほどに強くもなく発育してもいなかった。また、私のこれまでの生活は結局十分の九までは努力と徳行と抑制との生活

であったから、その悪の方は、善の方よりも使われることがずっと少なく、消粍されることもずっと少なかったのである。だから、エドワード・ハイドがヘンリー・ジーキルよりもずっと小さく、弱く、若かったのだろうと、私は思うのだ

。ちょうど善が一方の顔に輝いているように、もう一方の顔には悪がはっきりと明らかに書かれていた。その上、悪(それは人間の死を来たす方面であると私はやはり信ぜざるを得ないのであるが)はその身体にも不具と衰退との痕をとめていた。そ

れなのに、鏡の中にその醜い姿を眺めた時、私はなんの嫌悪も感じないで、むしろ跳び上るような歓びを感じた。これもまた私自身なのだ。それは自然で人間らしく思われた。私の眼には、それは、私がこれまで自分の顔と言い慣れてきたあの不完全な

どっちともつかぬ顔よりも、一そう生き生きした心の映像を示していたし、一そうはっきりして単純であるように見えた。そしてここまでは確かに私の考えは正しかった。私は、自分がエドワード・ハイドの外貌をつけている時には、誰でも初めて私に近づく者

は必ず明白な肉体の不安を感じないではいられない、ということに気がついた。これは、私が思うのでは、我々が出あう人間はすべて善と悪との混りあったものであるが、エドワード・ハイドだけは、人類全体の中でただ一人、純粋な悪であったからであろう。

 私は鏡のところにほんのちょっとの間しかぐずぐずしていなかった。まだ第二の決定的の実験をやってみなければならないのだ。自分がもう回復ができないほどに自分の本体を失ってしまって、もはや自分の家ではないこの家から、夜の明けないうちに

逃げ出さなければならないかどうかを、確かめることがまだ残っているのだ。それで、急いで書斎へもどると、私はもう一度あの薬を調合して飲み、もう一度解体の苦痛を感じ、もう一度ヘンリー・ジーキルの性格と身長と容貌とをもって我にかえった。

 
0470名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:51:30.450
るのでも神のようにするのでもなかった。その薬はただ私の気質が閉じこめられている獄舎の戸を震い動かすだけであった。すると、あのフィリッパイの囚人のように*、内にいたものが走り出るのであった。その時には私の徳性は眠っていて、野心のためにずっと目を覚まし
ていた私の悪が、すばしこく迅速にその機会をとらえたのだ。そして跳び出して来たのがエドワード・ハイドであった。だから、私はいまでは二つの外貌と二つの性格を持ってはいたけれど、一方はぜんぜん悪であって、もう一方はやはり昔のままのヘンリー・ジーキルで、そ
の矯正や改善はとても見込みがないと私がとうに知っているあの不調和な混合体なのであった。こうして悪い方へとばかり向っていったのである。
 その頃でさえ、私は研究生活の味気なさに対する自分の嫌悪の念にまだうち勝っていなかった。私はやはり時々遊びたい気分になるのであった。そして私の遊楽は(控え目に言っても)体面にかかわるものであったし、私は世間にも十分有名で、大へん尊敬されていただけ
でなく、初老の年齢になりかけていたので、私の生活のこの矛盾は日ごとにいやになっていった。私の新しい力が私を誘惑して、とうとう私をその奴隷としてしまったのは、この方面においてであった。私はあの一杯の薬を飲みさえすれば、高名な教授の肉体をすぐに脱ぎすてて、
厚い外套のようにエドワード・ハイドの肉体を着けることができるのだ。そう考えると私は微笑した。その考えはその時には滑稽なように私には思われた。そして私は極めて注意ぶかく自分の準備をととのえた。私はハイドがのちに警察に跡をつけられたあのソホーの家を手に入れて
家具を備えつけ、無口で横着なのをよく承知のうえであの女を家政婦として雇った。一方、自分の召使人どもに、ハイド氏という人(その人相を私は言った)は広辻の私の家では思い通りに勝手なことをしてもよいのだということを知らせた。そして、間違いをさけるために、自分の
第二の人格になって、訪問までして自分を彼らによく見せておいた。つぎに私は君があれほど反対したあの遺言書を作った。これは、もしジーキル博士としての自分に何事が起こっても、私が金銭上の損失をうけずにエドワード・ハイドの身になれるようにするためであった。そ
して、このようにあらゆる方面で用
心堅固にしたつもりで、私は自分の立場のその奇妙な免疫性を利用しにかかったのであ
0471名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:51:39.500
るのでも神のようにするのでもなかった。その薬はただ私の気質が閉じこめられている獄舎の戸を震い動かすだけであった。すると、あのフィリッパイの囚人のように*、内にいたものが走り出るのであった。その時には私の徳性は眠っていて、野心のためにずっと目を覚まし
ていた私の悪が、すばしこく迅速にその機会をとらえたのだ。そして跳び出して来たのがエドワード・ハイドであった。だから、私はいまでは二つの外貌と二つの性格を持ってはいたけれど、一方はぜんぜん悪であって、もう一方はやはり昔のままのヘンリー・ジーキルで、そ
の矯正や改善はとても見込みがないと私がとうに知っているあの不調和な混合体なのであった。こうして悪い方へとばかり向っていったのである。
 その頃でさえ、私は研究生活の味気なさに対する自分の嫌悪の念にまだうち勝っていなかった。私はやはり時々遊びたい気分になるのであった。そして私の遊楽は(控え目に言っても)体面にかかわるものであったし、私は世間にも十分有名で、大へん尊敬されていただけ
でなく、初老の年齢になりかけていたので、私の生活のこの矛盾は日ごとにいやになっていった。私の新しい力が私を誘惑して、とうとう私をその奴隷としてしまったのは、この方面においてであった。私はあの一杯の薬を飲みさえすれば、高名な教授の肉体をすぐに脱ぎすてて、
厚い外套のようにエドワード・ハイドの肉体を着けることができるのだ。そう考えると私は微笑した。その考えはその時には滑稽なように私には思われた。そして私は極めて注意ぶかく自分の準備をととのえた。私はハイドがのちに警察に跡をつけられたあのソホーの家を手に入れて
家具を備えつけ、無口で横着なのをよく承知のうえであの女を家政婦として雇った。一方、自分の召使人どもに、ハイド氏という人(その人相を私は言った)は広辻の私の家では思い通りに勝手なことをしてもよいのだということを知らせた。そして、間違いをさけるために、自分の
第二の人格になって、訪問までして自分を彼らによく見せておいた。つぎに私は君があれほど反対したあの遺言書を作った。これは、もしジーキル博士としての自分に何事が起こっても、私が金銭上の損失をうけずにエドワード・ハイドの身になれるようにするためであった。そ
して、このようにあらゆる方面で用
心堅固にしたつもりで、私は自分の立場のその奇妙な免疫性を利用しにかかったのであ
0472名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:51:48.610
るのでも神のようにするのでもなかった。その薬はただ私の気質が閉じこめられている獄舎の戸を震い動かすだけであった。すると、あのフィリッパイの囚人のように*、内にいたものが走り出るのであった。その時には私の徳性は眠っていて、野心のためにずっと目を覚まし
ていた私の悪が、すばしこく迅速にその機会をとらえたのだ。そして跳び出して来たのがエドワード・ハイドであった。だから、私はいまでは二つの外貌と二つの性格を持ってはいたけれど、一方はぜんぜん悪であって、もう一方はやはり昔のままのヘンリー・ジーキルで、そ
の矯正や改善はとても見込みがないと私がとうに知っているあの不調和な混合体なのであった。こうして悪い方へとばかり向っていったのである。
 その頃でさえ、私は研究生活の味気なさに対する自分の嫌悪の念にまだうち勝っていなかった。私はやはり時々遊びたい気分になるのであった。そして私の遊楽は(控え目に言っても)体面にかかわるものであったし、私は世間にも十分有名で、大へん尊敬されていただけ
でなく、初老の年齢になりかけていたので、私の生活のこの矛盾は日ごとにいやになっていった。私の新しい力が私を誘惑して、とうとう私をその奴隷としてしまったのは、この方面においてであった。私はあの一杯の薬を飲みさえすれば、高名な教授の肉体をすぐに脱ぎすてて、
厚い外套のようにエドワード・ハイドの肉体を着けることができるのだ。そう考えると私は微笑した。その考えはその時には滑稽なように私には思われた。そして私は極めて注意ぶかく自分の準備をととのえた。私はハイドがのちに警察に跡をつけられたあのソホーの家を手に入れて
家具を備えつけ、無口で横着なのをよく承知のうえであの女を家政婦として雇った。一方、自分の召使人どもに、ハイド氏という人(その人相を私は言った)は広辻の私の家では思い通りに勝手なことをしてもよいのだということを知らせた。そして、間違いをさけるために、自分の
第二の人格になって、訪問までして自分を彼らによく見せておいた。つぎに私は君があれほど反対したあの遺言書を作った。これは、もしジーキル博士としての自分に何事が起こっても、私が金銭上の損失をうけずにエドワード・ハイドの身になれるようにするためであった。そ
して、このようにあらゆる方面で用
心堅固にしたつもりで、私は自分の立場のその奇妙な免疫性を利用しにかかったのであ
0473名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:51:57.750
るのでも神のようにするのでもなかった。その薬はただ私の気質が閉じこめられている獄舎の戸を震い動かすだけであった。すると、あのフィリッパイの囚人のように*、内にいたものが走り出るのであった。その時には私の徳性は眠っていて、野心のためにずっと目を覚まし
ていた私の悪が、すばしこく迅速にその機会をとらえたのだ。そして跳び出して来たのがエドワード・ハイドであった。だから、私はいまでは二つの外貌と二つの性格を持ってはいたけれど、一方はぜんぜん悪であって、もう一方はやはり昔のままのヘンリー・ジーキルで、そ
の矯正や改善はとても見込みがないと私がとうに知っているあの不調和な混合体なのであった。こうして悪い方へとばかり向っていったのである。
 その頃でさえ、私は研究生活の味気なさに対する自分の嫌悪の念にまだうち勝っていなかった。私はやはり時々遊びたい気分になるのであった。そして私の遊楽は(控え目に言っても)体面にかかわるものであったし、私は世間にも十分有名で、大へん尊敬されていただけ
でなく、初老の年齢になりかけていたので、私の生活のこの矛盾は日ごとにいやになっていった。私の新しい力が私を誘惑して、とうとう私をその奴隷としてしまったのは、この方面においてであった。私はあの一杯の薬を飲みさえすれば、高名な教授の肉体をすぐに脱ぎすてて、
厚い外套のようにエドワード・ハイドの肉体を着けることができるのだ。そう考えると私は微笑した。その考えはその時には滑稽なように私には思われた。そして私は極めて注意ぶかく自分の準備をととのえた。私はハイドがのちに警察に跡をつけられたあのソホーの家を手に入れて
家具を備えつけ、無口で横着なのをよく承知のうえであの女を家政婦として雇った。一方、自分の召使人どもに、ハイド氏という人(その人相を私は言った)は広辻の私の家では思い通りに勝手なことをしてもよいのだということを知らせた。そして、間違いをさけるために、自分の
第二の人格になって、訪問までして自分を彼らによく見せておいた。つぎに私は君があれほど反対したあの遺言書を作った。これは、もしジーキル博士としての自分に何事が起こっても、私が金銭上の損失をうけずにエドワード・ハイドの身になれるようにするためであった。そ
して、このようにあらゆる方面で用
心堅固にしたつもりで、私は自分の立場のその奇妙な免疫性を利用しにかかったのであ
0474名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:52:10.250
るのでも神のようにするのでもなかった。その薬はただ私の気質が閉じこめられている獄舎の戸を震い動かすだけであった。すると、あのフィリッパイの囚人のように*、内にいたものが走り出るのであった。その時には私の徳性は眠っていて、野心のためにずっと目を覚まし
ていた私の悪が、すばしこく迅速にその機会をとらえたのだ。そして跳び出して来たのがエドワード・ハイドであった。だから、私はいまでは二つの外貌と二つの性格を持ってはいたけれど、一方はぜんぜん悪であって、もう一方はやはり昔のままのヘンリー・ジーキルで、そ
の矯正や改善はとても見込みがないと私がとうに知っているあの不調和な混合体なのであった。こうして悪い方へとばかり向っていったのである。
 その頃でさえ、私は研究生活の味気なさに対する自分の嫌悪の念にまだうち勝っていなかった。私はやはり時々遊びたい気分になるのであった。そして私の遊楽は(控え目に言っても)体面にかかわるものであったし、私は世間にも十分有名で、大へん尊敬されていただけ
でなく、初老の年齢になりかけていたので、私の生活のこの矛盾は日ごとにいやになっていった。私の新しい力が私を誘惑して、とうとう私をその奴隷としてしまったのは、この方面においてであった。私はあの一杯の薬を飲みさえすれば、高名な教授の肉体をすぐに脱ぎすてて、
厚い外套のようにエドワード・ハイドの肉体を着けることができるのだ。そう考えると私は微笑した。その考えはその時には滑稽なように私には思われた。そして私は極めて注意ぶかく自分の準備をととのえた。私はハイドがのちに警察に跡をつけられたあのソホーの家を手に入れて
家具を備えつけ、無口で横着なのをよく承知のうえであの女を家政婦として雇った。一方、自分の召使人どもに、ハイド氏という人(その人相を私は言った)は広辻の私の家では思い通りに勝手なことをしてもよいのだということを知らせた。そして、間違いをさけるために、自分の
第二の人格になって、訪問までして自分を彼らによく見せておいた。つぎに私は君があれほど反対したあの遺言書を作った。これは、もしジーキル博士としての自分に何事が起こっても、私が金銭上の損失をうけずにエドワード・ハイドの身になれるようにするためであった。そ
して、このようにあらゆる方面で用
心堅固にしたつもりで、私は自分の立場のその奇妙な免疫性を利用しにかかったのであ
0475名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:53:07.860
暴漢を雇ってそれに自分の罪悪を行なわせ、自分の身体や名声は安全にかばった人たちがこれまでにはあった。ところが、自分の遊楽のためにそんなことをしたのはこれまでには私が初めてであったのだ。快い名望の重荷を負うて、社会の中でこんなにせっせと働きながら、たち
まち小学生のように、そんな借り物を脱ぎすてて、自由の海へまっさかさまに跳びこむことのできたのは、私が初めてであったのだ。しかも私は、あの見通しのできないマントを着ているので、その安全は完全なものであった。そのことを考えてみ給え、――私という人間は存在しもし
ないのだ! 私はただ自分の実験室の戸口の中へ逃げ込んで、いつでも用意してある薬を調合してのみ下すのに、ほんの一秒か二秒をかけさえすれば、彼が何をしてこようと、エドワード・ハイドは鏡に吹きかけた息の曇りのように消えてしまうのだ。そして彼のかわりに、ヘンリー・
ジーキルが、嫌疑を笑うことのできる人間として、静かにくつろいで、研究室で真夜中の灯火をかき立てているのだ。
 私が姿を変えて求めようとあせった遊楽は、前にも言ったように、体面にかかわるものであった。私はこれよりひどい言葉は使いたくない。しかしエドワード・ハイドの手にかかると、その遊楽は間もなく恐ろしいものの方へと変っていった。そうした出遊びから帰ってきたとき、私はと
きどき自分の身代りのやる悪行につくづく一種の驚きを感ずることがあった。私が自分の霊魂の中から呼び出して、ただその思いのままに振舞うために出してやったこの小悪魔は、生まれつき悪質邪悪なものであった。彼のすること考えることはみな自己が中心で、少しでも他人を
苦しめて獣のような貪欲さで快楽をむさぼり、石で出来た人間のように無慈悲であった。ヘンリー・ジーキルはときどきエドワード・ハイドの行為に対して愕然とすることがあった。しかし、こういう立場は普通の法則からは離れていたので、うまく良心の手を弛めていた。罪のあるのは、
要するに、ハイドであり、ハイドだけであった。ジーキルは少しも変りがなかった。彼が目覚めれば、見たところ少しも損われていない元の善良な性質に返るのであった。彼は、それができる場合には、ハイドのした悪事を急いで償おうとさえした。こうして彼の良心は眠っていたのであった。
 私がこんな風にして見過ごしにしていた悪行(というのは今でも私は自分でそれを行なったとは認めが
0476名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:53:16.700
暴漢を雇ってそれに自分の罪悪を行なわせ、自分の身体や名声は安全にかばった人たちがこれまでにはあった。ところが、自分の遊楽のためにそんなことをしたのはこれまでには私が初めてであったのだ。快い名望の重荷を負うて、社会の中でこんなにせっせと働きながら、たち
まち小学生のように、そんな借り物を脱ぎすてて、自由の海へまっさかさまに跳びこむことのできたのは、私が初めてであったのだ。しかも私は、あの見通しのできないマントを着ているので、その安全は完全なものであった。そのことを考えてみ給え、――私という人間は存在しもし
ないのだ! 私はただ自分の実験室の戸口の中へ逃げ込んで、いつでも用意してある薬を調合してのみ下すのに、ほんの一秒か二秒をかけさえすれば、彼が何をしてこようと、エドワード・ハイドは鏡に吹きかけた息の曇りのように消えてしまうのだ。そして彼のかわりに、ヘンリー・
ジーキルが、嫌疑を笑うことのできる人間として、静かにくつろいで、研究室で真夜中の灯火をかき立てているのだ。
 私が姿を変えて求めようとあせった遊楽は、前にも言ったように、体面にかかわるものであった。私はこれよりひどい言葉は使いたくない。しかしエドワード・ハイドの手にかかると、その遊楽は間もなく恐ろしいものの方へと変っていった。そうした出遊びから帰ってきたとき、私はと
きどき自分の身代りのやる悪行につくづく一種の驚きを感ずることがあった。私が自分の霊魂の中から呼び出して、ただその思いのままに振舞うために出してやったこの小悪魔は、生まれつき悪質邪悪なものであった。彼のすること考えることはみな自己が中心で、少しでも他人を
苦しめて獣のような貪欲さで快楽をむさぼり、石で出来た人間のように無慈悲であった。ヘンリー・ジーキルはときどきエドワード・ハイドの行為に対して愕然とすることがあった。しかし、こういう立場は普通の法則からは離れていたので、うまく良心の手を弛めていた。罪のあるのは、
要するに、ハイドであり、ハイドだけであった。ジーキルは少しも変りがなかった。彼が目覚めれば、見たところ少しも損われていない元の善良な性質に返るのであった。彼は、それができる場合には、ハイドのした悪事を急いで償おうとさえした。こうして彼の良心は眠っていたのであった。
 私がこんな風にして見過ごしにしていた悪行(というのは今でも私は自分でそれを行なったとは認めが
0477名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:53:25.330
暴漢を雇ってそれに自分の罪悪を行なわせ、自分の身体や名声は安全にかばった人たちがこれまでにはあった。ところが、自分の遊楽のためにそんなことをしたのはこれまでには私が初めてであったのだ。快い名望の重荷を負うて、社会の中でこんなにせっせと働きながら、たち
まち小学生のように、そんな借り物を脱ぎすてて、自由の海へまっさかさまに跳びこむことのできたのは、私が初めてであったのだ。しかも私は、あの見通しのできないマントを着ているので、その安全は完全なものであった。そのことを考えてみ給え、――私という人間は存在しもし
ないのだ! 私はただ自分の実験室の戸口の中へ逃げ込んで、いつでも用意してある薬を調合してのみ下すのに、ほんの一秒か二秒をかけさえすれば、彼が何をしてこようと、エドワード・ハイドは鏡に吹きかけた息の曇りのように消えてしまうのだ。そして彼のかわりに、ヘンリー・
ジーキルが、嫌疑を笑うことのできる人間として、静かにくつろいで、研究室で真夜中の灯火をかき立てているのだ。
 私が姿を変えて求めようとあせった遊楽は、前にも言ったように、体面にかかわるものであった。私はこれよりひどい言葉は使いたくない。しかしエドワード・ハイドの手にかかると、その遊楽は間もなく恐ろしいものの方へと変っていった。そうした出遊びから帰ってきたとき、私はと
きどき自分の身代りのやる悪行につくづく一種の驚きを感ずることがあった。私が自分の霊魂の中から呼び出して、ただその思いのままに振舞うために出してやったこの小悪魔は、生まれつき悪質邪悪なものであった。彼のすること考えることはみな自己が中心で、少しでも他人を
苦しめて獣のような貪欲さで快楽をむさぼり、石で出来た人間のように無慈悲であった。ヘンリー・ジーキルはときどきエドワード・ハイドの行為に対して愕然とすることがあった。しかし、こういう立場は普通の法則からは離れていたので、うまく良心の手を弛めていた。罪のあるのは、
要するに、ハイドであり、ハイドだけであった。ジーキルは少しも変りがなかった。彼が目覚めれば、見たところ少しも損われていない元の善良な性質に返るのであった。彼は、それができる場合には、ハイドのした悪事を急いで償おうとさえした。こうして彼の良心は眠っていたのであった。
 私がこんな風にして見過ごしにしていた悪行(というのは今でも私は自分でそれを行なったとは認めが
0478名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:53:42.880
暴漢を雇ってそれに自分の罪悪を行なわせ、自分の身体や名声は安全にかばった人たちがこれまでにはあった。ところが、自分の遊楽のためにそんなことをしたのはこれまでには私が初めてであったのだ。快い名望の重荷を負うて、社会の中でこんなにせっせと働きながら、たち
まち小学生のように、そんな借り物を脱ぎすてて、自由の海へまっさかさまに跳びこむことのできたのは、私が初めてであったのだ。しかも私は、あの見通しのできないマントを着ているので、その安全は完全なものであった。そのことを考えてみ給え、――私という人間は存在しもし
ないのだ! 私はただ自分の実験室の戸口の中へ逃げ込んで、いつでも用意してある薬を調合してのみ下すのに、ほんの一秒か二秒をかけさえすれば、彼が何をしてこようと、エドワード・ハイドは鏡に吹きかけた息の曇りのように消えてしまうのだ。そして彼のかわりに、ヘンリー・
ジーキルが、嫌疑を笑うことのできる人間として、静かにくつろいで、研究室で真夜中の灯火をかき立てているのだ。
 私が姿を変えて求めようとあせった遊楽は、前にも言ったように、体面にかかわるものであった。私はこれよりひどい言葉は使いたくない。しかしエドワード・ハイドの手にかかると、その遊楽は間もなく恐ろしいものの方へと変っていった。そうした出遊びから帰ってきたとき、私はと
きどき自分の身代りのやる悪行につくづく一種の驚きを感ずることがあった。私が自分の霊魂の中から呼び出して、ただその思いのままに振舞うために出してやったこの小悪魔は、生まれつき悪質邪悪なものであった。彼のすること考えることはみな自己が中心で、少しでも他人を
苦しめて獣のような貪欲さで快楽をむさぼり、石で出来た人間のように無慈悲であった。ヘンリー・ジーキルはときどきエドワード・ハイドの行為に対して愕然とすることがあった。しかし、こういう立場は普通の法則からは離れていたので、うまく良心の手を弛めていた。罪のあるのは、
要するに、ハイドであり、ハイドだけであった。ジーキルは少しも変りがなかった。彼が目覚めれば、見たところ少しも損われていない元の善良な性質に返るのであった。彼は、それができる場合には、ハイドのした悪事を急いで償おうとさえした。こうして彼の良心は眠っていたのであった。
 私がこんな風にして見過ごしにしていた悪行(というのは今でも私は自分でそれを行なったとは認めが
0479名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:53:58.600
暴漢を雇ってそれに自分の罪悪を行なわせ、自分の身体や名声は安全にかばった人たちがこれまでにはあった。ところが、自分の遊楽のためにそんなことをしたのはこれまでには私が初めてであったのだ。快い名望の重荷を負うて、社会の中でこんなにせっせと働きながら、たち
まち小学生のように、そんな借り物を脱ぎすてて、自由の海へまっさかさまに跳びこむことのできたのは、私が初めてであったのだ。しかも私は、あの見通しのできないマントを着ているので、その安全は完全なものであった。そのことを考えてみ給え、――私という人間は存在しもし
ないのだ! 私はただ自分の実験室の戸口の中へ逃げ込んで、いつでも用意してある薬を調合してのみ下すのに、ほんの一秒か二秒をかけさえすれば、彼が何をしてこようと、エドワード・ハイドは鏡に吹きかけた息の曇りのように消えてしまうのだ。そして彼のかわりに、ヘンリー・
ジーキルが、嫌疑を笑うことのできる人間として、静かにくつろいで、研究室で真夜中の灯火をかき立てているのだ。
 私が姿を変えて求めようとあせった遊楽は、前にも言ったように、体面にかかわるものであった。私はこれよりひどい言葉は使いたくない。しかしエドワード・ハイドの手にかかると、その遊楽は間もなく恐ろしいものの方へと変っていった。そうした出遊びから帰ってきたとき、私はと
きどき自分の身代りのやる悪行につくづく一種の驚きを感ずることがあった。私が自分の霊魂の中から呼び出して、ただその思いのままに振舞うために出してやったこの小悪魔は、生まれつき悪質邪悪なものであった。彼のすること考えることはみな自己が中心で、少しでも他人を
苦しめて獣のような貪欲さで快楽をむさぼり、石で出来た人間のように無慈悲であった。ヘンリー・ジーキルはときどきエドワード・ハイドの行為に対して愕然とすることがあった。しかし、こういう立場は普通の法則からは離れていたので、うまく良心の手を弛めていた。罪のあるのは、
要するに、ハイドであり、ハイドだけであった。ジーキルは少しも変りがなかった。彼が目覚めれば、見たところ少しも損われていない元の善良な性質に返るのであった。彼は、それができる場合には、ハイドのした悪事を急いで償おうとさえした。こうして彼の良心は眠っていたのであった。
 私がこんな風にして見過ごしにしていた悪行(というのは今でも私は自分でそれを行なったとは認めが
0480名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:54:52.430
せまってきた順序とを指摘するだけに止めるつもりである。私は一つの事件に出会っ
たがそれは何も大したことにもならなかったからちょっと書いておくだけにしよう。ある子供に対する私の残酷な行為が一人の通行人をひどく憤らせた。その人が君の親戚の人であることを私
は先日知ったのだが。医者とその子供の家族とがその人に加わったので一時は自
分の生命も危険ではないかと心配した。そして結局、彼らの極めて当然な憤慨をなだめるために、エドワード・ハイドは彼らをあの戸口のところまで連れて行き、ヘンリー・ジーキルの名前で振出した小
切手で彼らに支払ってやらなければならなかった。しかしこういう危険はたやすく
将来から取りのぞかれた。それはエドワード・ハイド自身の名儀で新しく別の銀行に預金したからである。そして、私の手跡を後へ傾斜させて私の分身の署名の書体にすることにすると、私はもう災厄の手
のとどかぬところにいるのだと思った。
 ダンヴァーズ卿の殺害事件から二カ月ばかり前、私はいつもの遊興に出かけ、

夜が更けてから帰って来たが、翌日寝床の中で目が覚めると少し変な感じがした。自分の周りを見回したが駄目だった。広辻の自分の室の上品な家具や天井を高くした作りを眺めたが駄目だつた。寝台
のカーテンの模様やマホガニー材の寝台の意匠をそれと認めても駄目だった。自分は自分のいるところにいるのではない、自分は自分の目を覚まし
たように見えるところで目を覚ましたのではなくて、いつもエドワード・ハイドの体になって眠る習慣になっているあのソホーの小さい室で
目を覚ましたのだ、とやはり何かが主張し続けるのだ。私はひとりで微笑し、い
つもの心理学的方法で、ゆっくりとこの錯覚の諸要素を調べ始めたが、そうしながらも、時々また心地よい朝のまどろみへ陥るのであった。こんなことをしているうちに、目が幾分はっきり覚めている時、眼がふと
私の手に止まった。ところで、ヘンリー・ジーキルの手は(君もときどき見たように)形も大きさも職業にふさわしいものだった。大きく
て、しっかりして、白く、奇麗なのだ。ところが、いま私が夜具に半ばくるまりながら、ロンドン中部の朝の黄ろい光の中に、十分はっきりと見た手は、痩せて、筋

張って、指の節が太く、色が蒼黒くて、薄黒い毛がもじゃもじゃ生えていた。それはエドワード・ハイドの
0481名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:55:00.890
せまってきた順序とを指摘するだけに止めるつもりである。私は一つの事件に出会っ
たがそれは何も大したことにもならなかったからちょっと書いておくだけにしよう。ある子供に対する私の残酷な行為が一人の通行人をひどく憤らせた。その人が君の親戚の人であることを私
は先日知ったのだが。医者とその子供の家族とがその人に加わったので一時は自
分の生命も危険ではないかと心配した。そして結局、彼らの極めて当然な憤慨をなだめるために、エドワード・ハイドは彼らをあの戸口のところまで連れて行き、ヘンリー・ジーキルの名前で振出した小
切手で彼らに支払ってやらなければならなかった。しかしこういう危険はたやすく
将来から取りのぞかれた。それはエドワード・ハイド自身の名儀で新しく別の銀行に預金したからである。そして、私の手跡を後へ傾斜させて私の分身の署名の書体にすることにすると、私はもう災厄の手
のとどかぬところにいるのだと思った。
 ダンヴァーズ卿の殺害事件から二カ月ばかり前、私はいつもの遊興に出かけ、

夜が更けてから帰って来たが、翌日寝床の中で目が覚めると少し変な感じがした。自分の周りを見回したが駄目だった。広辻の自分の室の上品な家具や天井を高くした作りを眺めたが駄目だつた。寝台
のカーテンの模様やマホガニー材の寝台の意匠をそれと認めても駄目だった。自分は自分のいるところにいるのではない、自分は自分の目を覚まし
たように見えるところで目を覚ましたのではなくて、いつもエドワード・ハイドの体になって眠る習慣になっているあのソホーの小さい室で
目を覚ましたのだ、とやはり何かが主張し続けるのだ。私はひとりで微笑し、い
つもの心理学的方法で、ゆっくりとこの錯覚の諸要素を調べ始めたが、そうしながらも、時々また心地よい朝のまどろみへ陥るのであった。こんなことをしているうちに、目が幾分はっきり覚めている時、眼がふと
私の手に止まった。ところで、ヘンリー・ジーキルの手は(君もときどき見たように)形も大きさも職業にふさわしいものだった。大きく
て、しっかりして、白く、奇麗なのだ。ところが、いま私が夜具に半ばくるまりながら、ロンドン中部の朝の黄ろい光の中に、十分はっきりと見た手は、痩せて、筋

張って、指の節が太く、色が蒼黒くて、薄黒い毛がもじゃもじゃ生えていた。それはエドワード・ハイドの
0482名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:55:08.750
せまってきた順序とを指摘するだけに止めるつもりである。私は一つの事件に出会っ
たがそれは何も大したことにもならなかったからちょっと書いておくだけにしよう。ある子供に対する私の残酷な行為が一人の通行人をひどく憤らせた。その人が君の親戚の人であることを私
は先日知ったのだが。医者とその子供の家族とがその人に加わったので一時は自
分の生命も危険ではないかと心配した。そして結局、彼らの極めて当然な憤慨をなだめるために、エドワード・ハイドは彼らをあの戸口のところまで連れて行き、ヘンリー・ジーキルの名前で振出した小
切手で彼らに支払ってやらなければならなかった。しかしこういう危険はたやすく
将来から取りのぞかれた。それはエドワード・ハイド自身の名儀で新しく別の銀行に預金したからである。そして、私の手跡を後へ傾斜させて私の分身の署名の書体にすることにすると、私はもう災厄の手
のとどかぬところにいるのだと思った。
 ダンヴァーズ卿の殺害事件から二カ月ばかり前、私はいつもの遊興に出かけ、

夜が更けてから帰って来たが、翌日寝床の中で目が覚めると少し変な感じがした。自分の周りを見回したが駄目だった。広辻の自分の室の上品な家具や天井を高くした作りを眺めたが駄目だつた。寝台
のカーテンの模様やマホガニー材の寝台の意匠をそれと認めても駄目だった。自分は自分のいるところにいるのではない、自分は自分の目を覚まし
たように見えるところで目を覚ましたのではなくて、いつもエドワード・ハイドの体になって眠る習慣になっているあのソホーの小さい室で
目を覚ましたのだ、とやはり何かが主張し続けるのだ。私はひとりで微笑し、い
つもの心理学的方法で、ゆっくりとこの錯覚の諸要素を調べ始めたが、そうしながらも、時々また心地よい朝のまどろみへ陥るのであった。こんなことをしているうちに、目が幾分はっきり覚めている時、眼がふと
私の手に止まった。ところで、ヘンリー・ジーキルの手は(君もときどき見たように)形も大きさも職業にふさわしいものだった。大きく
て、しっかりして、白く、奇麗なのだ。ところが、いま私が夜具に半ばくるまりながら、ロンドン中部の朝の黄ろい光の中に、十分はっきりと見た手は、痩せて、筋

張って、指の節が太く、色が蒼黒くて、薄黒い毛がもじゃもじゃ生えていた。それはエドワード・ハイドの
0483名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:55:18.230
せまってきた順序とを指摘するだけに止めるつもりである。私は一つの事件に出会っ
たがそれは何も大したことにもならなかったからちょっと書いておくだけにしよう。ある子供に対する私の残酷な行為が一人の通行人をひどく憤らせた。その人が君の親戚の人であることを私
は先日知ったのだが。医者とその子供の家族とがその人に加わったので一時は自
分の生命も危険ではないかと心配した。そして結局、彼らの極めて当然な憤慨をなだめるために、エドワード・ハイドは彼らをあの戸口のところまで連れて行き、ヘンリー・ジーキルの名前で振出した小
切手で彼らに支払ってやらなければならなかった。しかしこういう危険はたやすく
将来から取りのぞかれた。それはエドワード・ハイド自身の名儀で新しく別の銀行に預金したからである。そして、私の手跡を後へ傾斜させて私の分身の署名の書体にすることにすると、私はもう災厄の手
のとどかぬところにいるのだと思った。
 ダンヴァーズ卿の殺害事件から二カ月ばかり前、私はいつもの遊興に出かけ、

夜が更けてから帰って来たが、翌日寝床の中で目が覚めると少し変な感じがした。自分の周りを見回したが駄目だった。広辻の自分の室の上品な家具や天井を高くした作りを眺めたが駄目だつた。寝台
のカーテンの模様やマホガニー材の寝台の意匠をそれと認めても駄目だった。自分は自分のいるところにいるのではない、自分は自分の目を覚まし
たように見えるところで目を覚ましたのではなくて、いつもエドワード・ハイドの体になって眠る習慣になっているあのソホーの小さい室で
目を覚ましたのだ、とやはり何かが主張し続けるのだ。私はひとりで微笑し、い
つもの心理学的方法で、ゆっくりとこの錯覚の諸要素を調べ始めたが、そうしながらも、時々また心地よい朝のまどろみへ陥るのであった。こんなことをしているうちに、目が幾分はっきり覚めている時、眼がふと
私の手に止まった。ところで、ヘンリー・ジーキルの手は(君もときどき見たように)形も大きさも職業にふさわしいものだった。大きく
て、しっかりして、白く、奇麗なのだ。ところが、いま私が夜具に半ばくるまりながら、ロンドン中部の朝の黄ろい光の中に、十分はっきりと見た手は、痩せて、筋

張って、指の節が太く、色が蒼黒くて、薄黒い毛がもじゃもじゃ生えていた。それはエドワード・ハイドの
0484名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:55:25.420
せまってきた順序とを指摘するだけに止めるつもりである。私は一つの事件に出会っ
たがそれは何も大したことにもならなかったからちょっと書いておくだけにしよう。ある子供に対する私の残酷な行為が一人の通行人をひどく憤らせた。その人が君の親戚の人であることを私
は先日知ったのだが。医者とその子供の家族とがその人に加わったので一時は自
分の生命も危険ではないかと心配した。そして結局、彼らの極めて当然な憤慨をなだめるために、エドワード・ハイドは彼らをあの戸口のところまで連れて行き、ヘンリー・ジーキルの名前で振出した小
切手で彼らに支払ってやらなければならなかった。しかしこういう危険はたやすく
将来から取りのぞかれた。それはエドワード・ハイド自身の名儀で新しく別の銀行に預金したからである。そして、私の手跡を後へ傾斜させて私の分身の署名の書体にすることにすると、私はもう災厄の手
のとどかぬところにいるのだと思った。
 ダンヴァーズ卿の殺害事件から二カ月ばかり前、私はいつもの遊興に出かけ、

夜が更けてから帰って来たが、翌日寝床の中で目が覚めると少し変な感じがした。自分の周りを見回したが駄目だった。広辻の自分の室の上品な家具や天井を高くした作りを眺めたが駄目だつた。寝台
のカーテンの模様やマホガニー材の寝台の意匠をそれと認めても駄目だった。自分は自分のいるところにいるのではない、自分は自分の目を覚まし
たように見えるところで目を覚ましたのではなくて、いつもエドワード・ハイドの体になって眠る習慣になっているあのソホーの小さい室で
目を覚ましたのだ、とやはり何かが主張し続けるのだ。私はひとりで微笑し、い
つもの心理学的方法で、ゆっくりとこの錯覚の諸要素を調べ始めたが、そうしながらも、時々また心地よい朝のまどろみへ陥るのであった。こんなことをしているうちに、目が幾分はっきり覚めている時、眼がふと
私の手に止まった。ところで、ヘンリー・ジーキルの手は(君もときどき見たように)形も大きさも職業にふさわしいものだった。大きく
て、しっかりして、白く、奇麗なのだ。ところが、いま私が夜具に半ばくるまりながら、ロンドン中部の朝の黄ろい光の中に、十分はっきりと見た手は、痩せて、筋

張って、指の節が太く、色が蒼黒くて、薄黒い毛がもじゃもじゃ生えていた。それはエドワード・ハイドの
0485名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:55:32.550
せまってきた順序とを指摘するだけに止めるつもりである。私は一つの事件に出会っ
たがそれは何も大したことにもならなかったからちょっと書いておくだけにしよう。ある子供に対する私の残酷な行為が一人の通行人をひどく憤らせた。その人が君の親戚の人であることを私
は先日知ったのだが。医者とその子供の家族とがその人に加わったので一時は自
分の生命も危険ではないかと心配した。そして結局、彼らの極めて当然な憤慨をなだめるために、エドワード・ハイドは彼らをあの戸口のところまで連れて行き、ヘンリー・ジーキルの名前で振出した小
切手で彼らに支払ってやらなければならなかった。しかしこういう危険はたやすく
将来から取りのぞかれた。それはエドワード・ハイド自身の名儀で新しく別の銀行に預金したからである。そして、私の手跡を後へ傾斜させて私の分身の署名の書体にすることにすると、私はもう災厄の手
のとどかぬところにいるのだと思った。
 ダンヴァーズ卿の殺害事件から二カ月ばかり前、私はいつもの遊興に出かけ、

夜が更けてから帰って来たが、翌日寝床の中で目が覚めると少し変な感じがした。自分の周りを見回したが駄目だった。広辻の自分の室の上品な家具や天井を高くした作りを眺めたが駄目だつた。寝台
のカーテンの模様やマホガニー材の寝台の意匠をそれと認めても駄目だった。自分は自分のいるところにいるのではない、自分は自分の目を覚まし
たように見えるところで目を覚ましたのではなくて、いつもエドワード・ハイドの体になって眠る習慣になっているあのソホーの小さい室で
目を覚ましたのだ、とやはり何かが主張し続けるのだ。私はひとりで微笑し、い
つもの心理学的方法で、ゆっくりとこの錯覚の諸要素を調べ始めたが、そうしながらも、時々また心地よい朝のまどろみへ陥るのであった。こんなことをしているうちに、目が幾分はっきり覚めている時、眼がふと
私の手に止まった。ところで、ヘンリー・ジーキルの手は(君もときどき見たように)形も大きさも職業にふさわしいものだった。大きく
て、しっかりして、白く、奇麗なのだ。ところが、いま私が夜具に半ばくるまりながら、ロンドン中部の朝の黄ろい光の中に、十分はっきりと見た手は、痩せて、筋

張って、指の節が太く、色が蒼黒くて、薄黒い毛がもじゃもじゃ生えていた。それはエドワード・ハイドの
0486名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:56:57.060
私の胸の中に恐怖が湧きおこった。私は寝床から跳び出して鏡のところへ走って行った。鏡に映った姿を見ると、
私はぞっとして血が凍ったような気がした。そうだ、私はヘンリー・ジーキルで寝につき、

ドワード・ハイドで目が覚めたのだ。これはどう説明したらよいだろうか? 
と私は自分に尋ねた。それから、また恐怖のために跳び上りながら、――これはどうして元どおりにしたらよいだろうか? 
と尋ねた。朝もだいぶ遅くなっていた。召使たちは起きている。私の薬はみな書

斎にある、――私がそのとき愕然として突っ立っているところからは、二つの階
段を下り、裏手の廊下を通りぬけ、露天の中庭をよぎり、解剖学の階段講堂を通って行く、遠い道程だ。なるほど、
顔をおおうて行くことはできるかも知れない。しかし、

身長の変化を隠すことができないとすれば、それが何の役に立とう? そのとき、召使たちが私の第二の自我である
ハイドの出入りするのに前から慣れていることが思い浮かぶと、たまらないほど嬉しく
なって安心した。さっそく私は私自身の身丈の衣服をできるだけうまく身に着けた。そして

すばやく家の中を通りぬけたが、ブラッドショーがそんな時刻にそんな妙な服装をしているハイド氏を見ると眼を円
くしてあとしざりした。それから十分もたつと、ジーキル博士は自分の姿にもどっていて、
暗い顔色をしながら、朝食を食べるような振りをして着席していた。

 食欲はとても少ししかなかった。この説明しがたい出
来ごと、今までの経験がこのように転倒したことは、壁にあ
らわれたあのバビロニアの指*のように、私の受くべき審判
の文字を綴っているように思
われた。そして、私は、これまでよりも真剣に、自分の二重存在の結果や可能性について
考え始めた。私が形態化する力を持っている私のあの分身は、近ごろでは非常に体を使っていたし滋養を与えられ
て発育していた。このごろは、エドワード・ハイドの身体が身長を増し、以前よりは血

液が豊富になったかのように、私には思われた。そして、もしこんなことがずっと続くならば、自
分の本性の平衡が永久に失われてしまい、任意に変身する力が失われ、エドワード・ハイドの性格が自
0487名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:57:05.020
私の胸の中に恐怖が湧きおこった。私は寝床から跳び出して鏡のところへ走って行った。鏡に映った姿を見ると、
私はぞっとして血が凍ったような気がした。そうだ、私はヘンリー・ジーキルで寝につき、

ドワード・ハイドで目が覚めたのだ。これはどう説明したらよいだろうか? 
と私は自分に尋ねた。それから、また恐怖のために跳び上りながら、――これはどうして元どおりにしたらよいだろうか? 
と尋ねた。朝もだいぶ遅くなっていた。召使たちは起きている。私の薬はみな書

斎にある、――私がそのとき愕然として突っ立っているところからは、二つの階
段を下り、裏手の廊下を通りぬけ、露天の中庭をよぎり、解剖学の階段講堂を通って行く、遠い道程だ。なるほど、
顔をおおうて行くことはできるかも知れない。しかし、

身長の変化を隠すことができないとすれば、それが何の役に立とう? そのとき、召使たちが私の第二の自我である
ハイドの出入りするのに前から慣れていることが思い浮かぶと、たまらないほど嬉しく
なって安心した。さっそく私は私自身の身丈の衣服をできるだけうまく身に着けた。そして

すばやく家の中を通りぬけたが、ブラッドショーがそんな時刻にそんな妙な服装をしているハイド氏を見ると眼を円
くしてあとしざりした。それから十分もたつと、ジーキル博士は自分の姿にもどっていて、
暗い顔色をしながら、朝食を食べるような振りをして着席していた。

 食欲はとても少ししかなかった。この説明しがたい出
来ごと、今までの経験がこのように転倒したことは、壁にあ
らわれたあのバビロニアの指*のように、私の受くべき審判
の文字を綴っているように思
われた。そして、私は、これまでよりも真剣に、自分の二重存在の結果や可能性について
考え始めた。私が形態化する力を持っている私のあの分身は、近ごろでは非常に体を使っていたし滋養を与えられ
て発育していた。このごろは、エドワード・ハイドの身体が身長を増し、以前よりは血

液が豊富になったかのように、私には思われた。そして、もしこんなことがずっと続くならば、自
分の本性の平衡が永久に失われてしまい、任意に変身する力が失われ、エドワード・ハイドの性格が自
0488名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:57:14.660
私の胸の中に恐怖が湧きおこった。私は寝床から跳び出して鏡のところへ走って行った。鏡に映った姿を見ると、
私はぞっとして血が凍ったような気がした。そうだ、私はヘンリー・ジーキルで寝につき、

ドワード・ハイドで目が覚めたのだ。これはどう説明したらよいだろうか? 
と私は自分に尋ねた。それから、また恐怖のために跳び上りながら、――これはどうして元どおりにしたらよいだろうか? 
と尋ねた。朝もだいぶ遅くなっていた。召使たちは起きている。私の薬はみな書

斎にある、――私がそのとき愕然として突っ立っているところからは、二つの階
段を下り、裏手の廊下を通りぬけ、露天の中庭をよぎり、解剖学の階段講堂を通って行く、遠い道程だ。なるほど、
顔をおおうて行くことはできるかも知れない。しかし、

身長の変化を隠すことができないとすれば、それが何の役に立とう? そのとき、召使たちが私の第二の自我である
ハイドの出入りするのに前から慣れていることが思い浮かぶと、たまらないほど嬉しく
なって安心した。さっそく私は私自身の身丈の衣服をできるだけうまく身に着けた。そして

すばやく家の中を通りぬけたが、ブラッドショーがそんな時刻にそんな妙な服装をしているハイド氏を見ると眼を円
くしてあとしざりした。それから十分もたつと、ジーキル博士は自分の姿にもどっていて、
暗い顔色をしながら、朝食を食べるような振りをして着席していた。

 食欲はとても少ししかなかった。この説明しがたい出
来ごと、今までの経験がこのように転倒したことは、壁にあ
らわれたあのバビロニアの指*のように、私の受くべき審判
の文字を綴っているように思
われた。そして、私は、これまでよりも真剣に、自分の二重存在の結果や可能性について
考え始めた。私が形態化する力を持っている私のあの分身は、近ごろでは非常に体を使っていたし滋養を与えられ
て発育していた。このごろは、エドワード・ハイドの身体が身長を増し、以前よりは血

液が豊富になったかのように、私には思われた。そして、もしこんなことがずっと続くならば、自
分の本性の平衡が永久に失われてしまい、任意に変身する力が失われ、エドワード・ハイドの性
0489名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:57:38.450
私の胸の中に恐怖が湧きおこった。私は寝床から跳び出して鏡のところへ走って行った。鏡に映った姿を見ると、
私はぞっとして血が凍ったような気がした。そうだ、私はヘンリー・ジーキルで寝につき、

ドワード・ハイドで目が覚めたのだ。これはどう説明したらよいだろうか? 
と私は自分に尋ねた。それから、また恐怖のために跳び上りながら、――これはどうして元どおりにしたらよいだろうか? 
と尋ねた。朝もだいぶ遅くなっていた。召使たちは起きている。私の薬はみな書

斎にある、――私がそのとき愕然として突っ立っているところからは、二つの階
段を下り、裏手の廊下を通りぬけ、露天の中庭をよぎり、解剖学の階段講堂を通って行く、遠い道程だ。なるほど、
顔をおおうて行くことはできるかも知れない。しかし、

身長の変化を隠すことができないとすれば、それが何の役に立とう? そのとき、召使たちが私の第二の自我である
ハイドの出入りするのに前から慣れていることが思い浮かぶと、たまらないほど嬉しく
なって安心した。さっそく私は私自身の身丈の衣服をできるだけうまく身に着けた。そして

すばやく家の中を通りぬけたが、ブラッドショーがそんな時刻にそんな妙な服装をしているハイド氏を見ると眼を円
くしてあとしざりした。それから十分もたつと、ジーキル博士は自分の姿にもどっていて、
暗い顔色をしながら、朝食を食べるような振りをして着席していた。

 食欲はとても少ししかなかった。この説明しがたい出
来ごと、今までの経験がこのように転倒したことは、壁にあ
らわれたあのバビロニアの指*のように、私の受くべき審判
の文字を綴っているように思
われた。そして、私は、これまでよりも真剣に、自分の二重存在の結果や可能性について
考え始めた。私が形態化する力を持っている私のあの分身は、近ごろでは非常に体を使っていたし滋養を与えられ
て発育していた。このごろは、エドワード・ハイドの身体が身長を増し、以前よりは血

液が豊富になったかのように、私には思われた。そして、もしこんなことがずっと続くならば、自
分の本性の平衡が永久に失われてしまい、任意に変身する力が失われ、エドワード・ハイドの性
0490名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:57:46.190
私の胸の中に恐怖が湧きおこった。私は寝床から跳び出して鏡のところへ走って行った。鏡に映った姿を見ると、
私はぞっとして血が凍ったような気がした。そうだ、私はヘンリー・ジーキルで寝につき、

ドワード・ハイドで目が覚めたのだ。これはどう説明したらよいだろうか? 
と私は自分に尋ねた。それから、また恐怖のために跳び上りながら、――これはどうして元どおりにしたらよいだろうか? 
と尋ねた。朝もだいぶ遅くなっていた。召使たちは起きている。私の薬はみな書

斎にある、――私がそのとき愕然として突っ立っているところからは、二つの階
段を下り、裏手の廊下を通りぬけ、露天の中庭をよぎり、解剖学の階段講堂を通って行く、遠い道程だ。なるほど、
顔をおおうて行くことはできるかも知れない。しかし、

身長の変化を隠すことができないとすれば、それが何の役に立とう? そのとき、召使たちが私の第二の自我である
ハイドの出入りするのに前から慣れていることが思い浮かぶと、たまらないほど嬉しく
なって安心した。さっそく私は私自身の身丈の衣服をできるだけうまく身に着けた。そして

すばやく家の中を通りぬけたが、ブラッドショーがそんな時刻にそんな妙な服装をしているハイド氏を見ると眼を円
くしてあとしざりした。それから十分もたつと、ジーキル博士は自分の姿にもどっていて、
暗い顔色をしながら、朝食を食べるような振りをして着席していた。

 食欲はとても少ししかなかった。この説明しがたい出
来ごと、今までの経験がこのように転倒したことは、壁にあ
らわれたあのバビロニアの指*のように、私の受くべき審判
の文字を綴っているように思
われた。そして、私は、これまでよりも真剣に、自分の二重存在の結果や可能性について
考え始めた。私が形態化する力を持っている私のあの分身は、近ごろでは非常に体を使っていたし滋養を与えられ
て発育していた。このごろは、エドワード・ハイドの身体が身長を増し、以前よりは血

液が豊富になったかのように、私には思われた。そして、もしこんなことがずっと続くならば、自
分の本性の平衡が永久に失われてしまい、任意に変身する力が失われ、エドワード・ハイドの性
0491名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:57:53.850
私の胸の中に恐怖が湧きおこった。私は寝床から跳び出して鏡のところへ走って行った。鏡に映った姿を見ると、
私はぞっとして血が凍ったような気がした。そうだ、私はヘンリー・ジーキルで寝につき、

ドワード・ハイドで目が覚めたのだ。これはどう説明したらよいだろうか? 
と私は自分に尋ねた。それから、また恐怖のために跳び上りながら、――これはどうして元どおりにしたらよいだろうか? 
と尋ねた。朝もだいぶ遅くなっていた。召使たちは起きている。私の薬はみな書

斎にある、――私がそのとき愕然として突っ立っているところからは、二つの階
段を下り、裏手の廊下を通りぬけ、露天の中庭をよぎり、解剖学の階段講堂を通って行く、遠い道程だ。なるほど、
顔をおおうて行くことはできるかも知れない。しかし、

身長の変化を隠すことができないとすれば、それが何の役に立とう? そのとき、召使たちが私の第二の自我である
ハイドの出入りするのに前から慣れていることが思い浮かぶと、たまらないほど嬉しく
なって安心した。さっそく私は私自身の身丈の衣服をできるだけうまく身に着けた。そして

すばやく家の中を通りぬけたが、ブラッドショーがそんな時刻にそんな妙な服装をしているハイド氏を見ると眼を円
くしてあとしざりした。それから十分もたつと、ジーキル博士は自分の姿にもどっていて、
暗い顔色をしながら、朝食を食べるような振りをして着席していた。

 食欲はとても少ししかなかった。この説明しがたい出
来ごと、今までの経験がこのように転倒したことは、壁にあ
らわれたあのバビロニアの指*のように、私の受くべき審判
の文字を綴っているように思
われた。そして、私は、これまでよりも真剣に、自分の二重存在の結果や可能性について
考え始めた。私が形態化する力を持っている私のあの分身は、近ごろでは非常に体を使っていたし滋養を与えられ
て発育していた。このごろは、エドワード・ハイドの身体が身長を増し、以前よりは血

液が豊富になったかのように、私には思われた。そして、もしこんなことがずっと続くならば、自
分の本性の平衡が永久に失われてしまい、任意に変身する力が失われ、エドワード・ハイドの性
0492名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:58:46.770
分の性格になってしまって、とりかえしがつかなくなるかも知れないという危険に、私は気がつき始めた。あの薬の効力はいつも一様に現われるという訳ではなかった。私の経歴のごく初めのころ一度、薬がぜんぜん利かなかったことがあった。そのときから
、私は一度ならず量を二倍にしなければならなかったし、一度などは、ほんとうに命がけで量を三倍にしなければならなかった。そして、たまにあるこういう不確実性が、これまでの私の満足な気持に唯一の暗い影を投げていたのであった。ところが、いま、そ
の朝の出来ごとに照らして考えると、はじめ困難なのはジーキルの体を脱ぎすてることであったのに、近ごろはその困難はだんだん明確にその反対の方に移っているということを、認めるようになった。そんな訳で、すべてのことが次のようなことを示している
ように思われた。つまり、私は少しずつ自分の本来の善い方の自我を失って、少しずつ自分の第二の悪い方の自我と合体されつつあるということである。
 この二者のうち、今こそ私はどちらかを選ばなければならぬのだと感じた。私の二つの本性は記憶力を共通にしているが、他のすべての能力は両者の間に非常に不平等に分れていた。ジーキル(混合物であるところの)は、時には非常に過敏な懸念をもっ
て、時には貪るような興味を以て、ハイドの快楽や冒険を計画し、それを一しょにやった。けれどもハイドはジーキルには無関心であった。もしかすると、山賊が追跡を免れるために身をかくす洞穴を憶えていると同じくらいにしか彼を憶えていなかった。ジーキ
ルは父親以上の関心をもち、ハイドは息子以上に無関心であった。私の運命をジーキルと共にすることは、永い間私をこっそり満足させ、近ごろでは耽溺するようになっていたあのいろいろの欲望を思い切ることであった。ハイドと運命を共にすることは、数多の
利益や抱負を思い切り、一ぺんに、しかも永久に、人から軽蔑され友だちもなくなることであった。この両方を交換することは割が合わないように見えるかも知れない。しかし、まだもう一つ秤にかけて考えなければならないことがあった。というのは、ジーキルの方は
禁欲の火の中にあってひどく苦しんでいるのに、ハイドの方は自分が失ったすべてを意識さえもしていない、ということであった。私の事情は不思議なものではあったが、こんな問題は、人間のように古くて、ありふれたもの
0493名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 19:58:56.860
分の性格になってしまって、とりかえしがつかなくなるかも知れないという危険に、私は気がつき始めた。あの薬の効力はいつも一様に現われるという訳ではなかった。私の経歴のごく初めのころ一度、薬がぜんぜん利かなかったことがあった。そのときから
、私は一度ならず量を二倍にしなければならなかったし、一度などは、ほんとうに命がけで量を三倍にしなければならなかった。そして、たまにあるこういう不確実性が、これまでの私の満足な気持に唯一の暗い影を投げていたのであった。ところが、いま、そ
の朝の出来ごとに照らして考えると、はじめ困難なのはジーキルの体を脱ぎすてることであったのに、近ごろはその困難はだんだん明確にその反対の方に移っているということを、認めるようになった。そんな訳で、すべてのことが次のようなことを示している
ように思われた。つまり、私は少しずつ自分の本来の善い方の自我を失って、少しずつ自分の第二の悪い方の自我と合体されつつあるということである。
 この二者のうち、今こそ私はどちらかを選ばなければならぬのだと感じた。私の二つの本性は記憶力を共通にしているが、他のすべての能力は両者の間に非常に不平等に分れていた。ジーキル(混合物であるところの)は、時には非常に過敏な懸念をもっ
て、時には貪るような興味を以て、ハイドの快楽や冒険を計画し、それを一しょにやった。けれどもハイドはジーキルには無関心であった。もしかすると、山賊が追跡を免れるために身をかくす洞穴を憶えていると同じくらいにしか彼を憶えていなかった。ジーキ
ルは父親以上の関心をもち、ハイドは息子以上に無関心であった。私の運命をジーキルと共にすることは、永い間私をこっそり満足させ、近ごろでは耽溺するようになっていたあのいろいろの欲望を思い切ることであった。ハイドと運命を共にすることは、数多の
利益や抱負を思い切り、一ぺんに、しかも永久に、人から軽蔑され友だちもなくなることであった。この両方を交換することは割が合わないように見えるかも知れない。しかし、まだもう一つ秤にかけて考えなければならないことがあった。というのは、ジーキルの方は
禁欲の火の中にあってひどく苦しんでいるのに、ハイドの方は自分が失ったすべてを意識さえもしていない、ということであった。私の事情は不思議なものではあったが、こんな問題は、人間のよう
0494名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:59:06.500
分の性格になってしまって、とりかえしがつかなくなるかも知れないという危険に、私は気がつき始めた。あの薬の効力はいつも一様に現われるという訳ではなかった。私の経歴のごく初めのころ一度、薬がぜんぜん利かなかったことがあった。そのときから
、私は一度ならず量を二倍にしなければならなかったし、一度などは、ほんとうに命がけで量を三倍にしなければならなかった。そして、たまにあるこういう不確実性が、これまでの私の満足な気持に唯一の暗い影を投げていたのであった。ところが、いま、そ
の朝の出来ごとに照らして考えると、はじめ困難なのはジーキルの体を脱ぎすてることであったのに、近ごろはその困難はだんだん明確にその反対の方に移っているということを、認めるようになった。そんな訳で、すべてのことが次のようなことを示している
ように思われた。つまり、私は少しずつ自分の本来の善い方の自我を失って、少しずつ自分の第二の悪い方の自我と合体されつつあるということである。
 この二者のうち、今こそ私はどちらかを選ばなければならぬのだと感じた。私の二つの本性は記憶力を共通にしているが、他のすべての能力は両者の間に非常に不平等に分れていた。ジーキル(混合物であるところの)は、時には非常に過敏な懸念をもっ
て、時には貪るような興味を以て、ハイドの快楽や冒険を計画し、それを一しょにやった。けれどもハイドはジーキルには無関心であった。もしかすると、山賊が追跡を免れるために身をかくす洞穴を憶えていると同じくらいにしか彼を憶えていなかった。ジーキ
ルは父親以上の関心をもち、ハイドは息子以上に無関心であった。私の運命をジーキルと共にすることは、永い間私をこっそり満足させ、近ごろでは耽溺するようになっていたあのいろいろの欲望を思い切ることであった。ハイドと運命を共にすることは、数多の
利益や抱負を思い切り、一ぺんに、しかも永久に、人から軽蔑され友だちもなくなることであった。この両方を交換することは割が合わないように見えるかも知れない。しかし、まだもう一つ秤にかけて考えなければならないことがあった。というのは、ジーキルの方は
禁欲の火の中にあってひどく苦しんでいるのに、ハイドの方は自分が失ったすべてを意識さえもしていない、ということであった。私の事情は不思議なものではあったが、こんな問題は、人間のよう
0495名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:59:16.640
分の性格になってしまって、とりかえしがつかなくなるかも知れないという危険に、私は気がつき始めた。あの薬の効力はいつも一様に現われるという訳ではなかった。私の経歴のごく初めのころ一度、薬がぜんぜん利かなかったことがあった。そのときから
、私は一度ならず量を二倍にしなければならなかったし、一度などは、ほんとうに命がけで量を三倍にしなければならなかった。そして、たまにあるこういう不確実性が、これまでの私の満足な気持に唯一の暗い影を投げていたのであった。ところが、いま、そ
の朝の出来ごとに照らして考えると、はじめ困難なのはジーキルの体を脱ぎすてることであったのに、近ごろはその困難はだんだん明確にその反対の方に移っているということを、認めるようになった。そんな訳で、すべてのことが次のようなことを示している
ように思われた。つまり、私は少しずつ自分の本来の善い方の自我を失って、少しずつ自分の第二の悪い方の自我と合体されつつあるということである。
 この二者のうち、今こそ私はどちらかを選ばなければならぬのだと感じた。私の二つの本性は記憶力を共通にしているが、他のすべての能力は両者の間に非常に不平等に分れていた。ジーキル(混合物であるところの)は、時には非常に過敏な懸念をもっ
て、時には貪るような興味を以て、ハイドの快楽や冒険を計画し、それを一しょにやった。けれどもハイドはジーキルには無関心であった。もしかすると、山賊が追跡を免れるために身をかくす洞穴を憶えていると同じくらいにしか彼を憶えていなかった。ジーキ
ルは父親以上の関心をもち、ハイドは息子以上に無関心であった。私の運命をジーキルと共にすることは、永い間私をこっそり満足させ、近ごろでは耽溺するようになっていたあのいろいろの欲望を思い切ることであった。ハイドと運命を共にすることは、数多の
利益や抱負を思い切り、一ぺんに、しかも永久に、人から軽蔑され友だちもなくなることであった。この両方を交換することは割が合わないように見えるかも知れない。しかし、まだもう一つ秤にかけて考えなければならないことがあった。というのは、ジーキルの方は
禁欲の火の中にあってひどく苦しんでいるのに、ハイドの方は自分が失ったすべてを意識さえもしていない、ということであった。私の事情は不思議なものではあったが、こんな問題は、人間のよう
0496名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:59:24.710
分の性格になってしまって、とりかえしがつかなくなるかも知れないという危険に、私は気がつき始めた。あの薬の効力はいつも一様に現われるという訳ではなかった。私の経歴のごく初めのころ一度、薬がぜんぜん利かなかったことがあった。そのときから
、私は一度ならず量を二倍にしなければならなかったし、一度などは、ほんとうに命がけで量を三倍にしなければならなかった。そして、たまにあるこういう不確実性が、これまでの私の満足な気持に唯一の暗い影を投げていたのであった。ところが、いま、そ
の朝の出来ごとに照らして考えると、はじめ困難なのはジーキルの体を脱ぎすてることであったのに、近ごろはその困難はだんだん明確にその反対の方に移っているということを、認めるようになった。そんな訳で、すべてのことが次のようなことを示している
ように思われた。つまり、私は少しずつ自分の本来の善い方の自我を失って、少しずつ自分の第二の悪い方の自我と合体されつつあるということである。
 この二者のうち、今こそ私はどちらかを選ばなければならぬのだと感じた。私の二つの本性は記憶力を共通にしているが、他のすべての能力は両者の間に非常に不平等に分れていた。ジーキル(混合物であるところの)は、時には非常に過敏な懸念をもっ
て、時には貪るような興味を以て、ハイドの快楽や冒険を計画し、それを一しょにやった。けれどもハイドはジーキルには無関心であった。もしかすると、山賊が追跡を免れるために身をかくす洞穴を憶えていると同じくらいにしか彼を憶えていなかった。ジーキ
ルは父親以上の関心をもち、ハイドは息子以上に無関心であった。私の運命をジーキルと共にすることは、永い間私をこっそり満足させ、近ごろでは耽溺するようになっていたあのいろいろの欲望を思い切ることであった。ハイドと運命を共にすることは、数多の
利益や抱負を思い切り、一ぺんに、しかも永久に、人から軽蔑され友だちもなくなることであった。この両方を交換することは割が合わないように見えるかも知れない。しかし、まだもう一つ秤にかけて考えなければならないことがあった。というのは、ジーキルの方は
禁欲の火の中にあってひどく苦しんでいるのに、ハイドの方は自分が失ったすべてを意識さえもしていない、ということであった。私の事情は不思議なものではあったが、こんな問題は、人間のよう
0497名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 19:59:32.210
分の性格になってしまって、とりかえしがつかなくなるかも知れないという危険に、私は気がつき始めた。あの薬の効力はいつも一様に現われるという訳ではなかった。私の経歴のごく初めのころ一度、薬がぜんぜん利かなかったことがあった。そのときから
、私は一度ならず量を二倍にしなければならなかったし、一度などは、ほんとうに命がけで量を三倍にしなければならなかった。そして、たまにあるこういう不確実性が、これまでの私の満足な気持に唯一の暗い影を投げていたのであった。ところが、いま、そ
の朝の出来ごとに照らして考えると、はじめ困難なのはジーキルの体を脱ぎすてることであったのに、近ごろはその困難はだんだん明確にその反対の方に移っているということを、認めるようになった。そんな訳で、すべてのことが次のようなことを示している
ように思われた。つまり、私は少しずつ自分の本来の善い方の自我を失って、少しずつ自分の第二の悪い方の自我と合体されつつあるということである。
 この二者のうち、今こそ私はどちらかを選ばなければならぬのだと感じた。私の二つの本性は記憶力を共通にしているが、他のすべての能力は両者の間に非常に不平等に分れていた。ジーキル(混合物であるところの)は、時には非常に過敏な懸念をもっ
て、時には貪るような興味を以て、ハイドの快楽や冒険を計画し、それを一しょにやった。けれどもハイドはジーキルには無関心であった。もしかすると、山賊が追跡を免れるために身をかくす洞穴を憶えていると同じくらいにしか彼を憶えていなかった。ジーキ
ルは父親以上の関心をもち、ハイドは息子以上に無関心であった。私の運命をジーキルと共にすることは、永い間私をこっそり満足させ、近ごろでは耽溺するようになっていたあのいろいろの欲望を思い切ることであった。ハイドと運命を共にすることは、数多の
利益や抱負を思い切り、一ぺんに、しかも永久に、人から軽蔑され友だちもなくなることであった。この両方を交換することは割が合わないように見えるかも知れない。しかし、まだもう一つ秤にかけて考えなければならないことがあった。というのは、ジーキルの方は
禁欲の火の中にあってひどく苦しんでいるのに、ハイドの方は自分が失ったすべてを意識さえもしていない、ということであった。私の事情は不思議なものではあったが、こんな問題は、人間のよう
0498名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:00:48.850
 そうだ、私は、友人たちに取りかこまれて立派な希望を抱いてはいる、中年過ぎの不
満な博士の方を択び、ハイドの変装で私が享楽した自由や、若さや、
軽い足取りや、躍るような鼓動や、秘密の快楽に、きっぱりと別れを告げたのだ。私はこ
の選択をしたけれども、そ
れにはたぶん無意識のうちに幾らかの保留を残しておいたのであろう。なぜなら、私はソホ
ーの家を引払おうともしなかったし、またエドワード・ハイドの衣服を
放棄しようともせず、それをやはり書斎に用意しておいたからである。しかし、二カ月の間は
、私はその決心に忠
実であった。二カ月の間は、私は、それまでになかったほど謹厳な生活を送り、その報償として良心にほめられた。けれどう[#「けれどう」はママ]、時がたつに
したがってとうとう私の恐怖はその生々しさがだんだん失われるようになり、良心の賞讃もあたりま
えのことのよ
うになってきた。私は、自由を求めてもがいているハイドのそれのような苦悶と切望とに悩まされ始め
た。そして、とうとう、道徳心の衰えている時に、もう一
度あの変身薬を調合して飲んだのである。
 大酒家が自分の悪習について自分で理屈をつけるとき、彼がその獣のような肉体的無感覚のためにおかす危険のことを、五百度に一度でも気にかけること
があろうとは、私は思わない。私もまた自分の立場を永いこと考えてはいたけれども、エドワード・ハイドの主要な
性格であるところの、完全な道徳的の無感覚と、いつでも悪を行おうとする狂暴性とを、十分に考えて
みたことがなかった。けれども、私が罰せられたのは、そ
ういう性格によってであったのだ。私の悪魔は久しく閉じこめられていたのだが、それが唸りながら
出てきた。私は、
その薬を飲んだ時でさえ、これまでよりも一そう放縦な一そう猛烈な、悪をなそうとしていることを意識した。
私の不幸な被害者のていねいな言葉を聞いていた時に
あの激しいいらだたしさを私の心の中に起こさせたのは、きっと、それであったに違いない。神さまの
前でも、私は少

なくとも次のことはちゃんと言い切れる。道徳的に健全な人間ならあんなちょっとしたことに腹を立ててああいう罪を犯すはずがないと。また、私は病気の子
供が玩具を壊すと同じくらいの理性のない気持でなぐったのだと。しかし、人間の中
0499名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:01:01.220
 そうだ、私は、友人たちに取りかこまれて立派な希望を抱いてはいる、中年過ぎの不
満な博士の方を択び、ハイドの変装で私が享楽した自由や、若さや、
軽い足取りや、躍るような鼓動や、秘密の快楽に、きっぱりと別れを告げたのだ。私はこ
の選択をしたけれども、そ
れにはたぶん無意識のうちに幾らかの保留を残しておいたのであろう。なぜなら、私はソホ
ーの家を引払おうともしなかったし、またエドワード・ハイドの衣服を
放棄しようともせず、それをやはり書斎に用意しておいたからである。しかし、二カ月の間は
、私はその決心に忠
実であった。二カ月の間は、私は、それまでになかったほど謹厳な生活を送り、その報償として良心にほめられた。けれどう[#「けれどう」はママ]、時がたつに
したがってとうとう私の恐怖はその生々しさがだんだん失われるようになり、良心の賞讃もあたりま
えのことのよ
うになってきた。私は、自由を求めてもがいているハイドのそれのような苦悶と切望とに悩まされ始め
た。そして、とうとう、道徳心の衰えている時に、もう一
度あの変身薬を調合して飲んだのである。
 大酒家が自分の悪習について自分で理屈をつけるとき、彼がその獣のような肉体的無感覚のためにおかす危険のことを、五百度に一度でも気にかけること
があろうとは、私は思わない。私もまた自分の立場を永いこと考えてはいたけれども、エドワード・ハイドの主要な
性格であるところの、完全な道徳的の無感覚と、いつでも悪を行おうとする狂暴性とを、十分に考えて
みたことがなかった。けれども、私が罰せられたのは、そ
ういう性格によってであったのだ。私の悪魔は久しく閉じこめられていたのだが、それが唸りながら
出てきた。私は、
その薬を飲んだ時でさえ、これまでよりも一そう放縦な一そう猛烈な、悪をなそうとしていることを意識した。
私の不幸な被害者のていねいな言葉を聞いていた時に
あの激しいいらだたしさを私の心の中に起こさせたのは、きっと、それであったに違いない。神さまの
前でも、私は少

なくとも次のことはちゃんと言い切れる。道徳的に健全な人間ならあんなちょっとしたことに腹を立ててああいう罪を犯すはずがないと。また、私は病気の子
供が玩具を壊すと同じくらいの理性のない気持でなぐったのだと。しかし、人間の中
0500名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:01:25.760
 そうだ、私は、友人たちに取りかこまれて立派な希望を抱いてはいる、中年過ぎの不
満な博士の方を択び、ハイドの変装で私が享楽した自由や、若さや、
軽い足取りや、躍るような鼓動や、秘密の快楽に、きっぱりと別れを告げたのだ。私はこ
の選択をしたけれども、そ
れにはたぶん無意識のうちに幾らかの保留を残しておいたのであろう。なぜなら、私はソホ
ーの家を引払おうともしなかったし、またエドワード・ハイドの衣服を
放棄しようともせず、それをやはり書斎に用意しておいたからである。しかし、二カ月の間は
、私はその決心に忠
実であった。二カ月の間は、私は、それまでになかったほど謹厳な生活を送り、その報償として良心にほめられた。けれどう[#「けれどう」はママ]、時がたつに
したがってとうとう私の恐怖はその生々しさがだんだん失われるようになり、良心の賞讃もあたりま
えのことのよ
うになってきた。私は、自由を求めてもがいているハイドのそれのような苦悶と切望とに悩まされ始め
た。そして、とうとう、道徳心の衰えている時に、もう一
度あの変身薬を調合して飲んだのである。
 大酒家が自分の悪習について自分で理屈をつけるとき、彼がその獣のような肉体的無感覚のためにおかす危険のことを、五百度に一度でも気にかけること
があろうとは、私は思わない。私もまた自分の立場を永いこと考えてはいたけれども、エドワード・ハイドの主要な
性格であるところの、完全な道徳的の無感覚と、いつでも悪を行おうとする狂暴性とを、十分に考えて
みたことがなかった。けれども、私が罰せられたのは、そ
ういう性格によってであったのだ。私の悪魔は久しく閉じこめられていたのだが、それが唸りながら
出てきた。私は、
その薬を飲んだ時でさえ、これまでよりも一そう放縦な一そう猛烈な、悪をなそうとしていることを意識した。
私の不幸な被害者のていねいな言葉を聞いていた時に
あの激しいいらだたしさを私の心の中に起こさせたのは、きっと、それであったに違いない。神さまの
前でも、私は少

なくとも次のことはちゃんと言い切れる。道徳的に健全な人間ならあんなちょっとしたことに腹を立ててああいう罪を犯すはずがないと。また、私は病気の子
供が玩具を壊すと同じくらいの理性のない気持でなぐったのだと。しかし、人間の中
0501名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:01:34.160
 そうだ、私は、友人たちに取りかこまれて立派な希望を抱いてはいる、中年過ぎの不
満な博士の方を択び、ハイドの変装で私が享楽した自由や、若さや、
軽い足取りや、躍るような鼓動や、秘密の快楽に、きっぱりと別れを告げたのだ。私はこ
の選択をしたけれども、そ
れにはたぶん無意識のうちに幾らかの保留を残しておいたのであろう。なぜなら、私はソホ
ーの家を引払おうともしなかったし、またエドワード・ハイドの衣服を
放棄しようともせず、それをやはり書斎に用意しておいたからである。しかし、二カ月の間は
、私はその決心に忠
実であった。二カ月の間は、私は、それまでになかったほど謹厳な生活を送り、その報償として良心にほめられた。けれどう[#「けれどう」はママ]、時がたつに
したがってとうとう私の恐怖はその生々しさがだんだん失われるようになり、良心の賞讃もあたりま
えのことのよ
うになってきた。私は、自由を求めてもがいているハイドのそれのような苦悶と切望とに悩まされ始め
た。そして、とうとう、道徳心の衰えている時に、もう一
度あの変身薬を調合して飲んだのである。
 大酒家が自分の悪習について自分で理屈をつけるとき、彼がその獣のような肉体的無感覚のためにおかす危険のことを、五百度に一度でも気にかけること
があろうとは、私は思わない。私もまた自分の立場を永いこと考えてはいたけれども、エドワード・ハイドの主要な
性格であるところの、完全な道徳的の無感覚と、いつでも悪を行おうとする狂暴性とを、十分に考えて
みたことがなかった。けれども、私が罰せられたのは、そ
ういう性格によってであったのだ。私の悪魔は久しく閉じこめられていたのだが、それが唸りながら
出てきた。私は、
その薬を飲んだ時でさえ、これまでよりも一そう放縦な一そう猛烈な、悪をなそうとしていることを意識した。
私の不幸な被害者のていねいな言葉を聞いていた時に
あの激しいいらだたしさを私の心の中に起こさせたのは、きっと、それであったに違いない。神さまの
前でも、私は少

なくとも次のことはちゃんと言い切れる。道徳的に健全な人間ならあんなちょっとしたことに腹を立ててああいう罪を犯すはずがないと。また、私は病気の子
供が玩具を壊すと同じくらいの理性のない気持でなぐったのだと。しかし、人間の中
0502名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:01:40.600
 そうだ、私は、友人たちに取りかこまれて立派な希望を抱いてはいる、中年過ぎの不
満な博士の方を択び、ハイドの変装で私が享楽した自由や、若さや、
軽い足取りや、躍るような鼓動や、秘密の快楽に、きっぱりと別れを告げたのだ。私はこ
の選択をしたけれども、そ
れにはたぶん無意識のうちに幾らかの保留を残しておいたのであろう。なぜなら、私はソホ
ーの家を引払おうともしなかったし、またエドワード・ハイドの衣服を
放棄しようともせず、それをやはり書斎に用意しておいたからである。しかし、二カ月の間は
、私はその決心に忠
実であった。二カ月の間は、私は、それまでになかったほど謹厳な生活を送り、その報償として良心にほめられた。けれどう[#「けれどう」はママ]、時がたつに
したがってとうとう私の恐怖はその生々しさがだんだん失われるようになり、良心の賞讃もあたりま
えのことのよ
うになってきた。私は、自由を求めてもがいているハイドのそれのような苦悶と切望とに悩まされ始め
た。そして、とうとう、道徳心の衰えている時に、もう一
度あの変身薬を調合して飲んだのである。
 大酒家が自分の悪習について自分で理屈をつけるとき、彼がその獣のような肉体的無感覚のためにおかす危険のことを、五百度に一度でも気にかけること
があろうとは、私は思わない。私もまた自分の立場を永いこと考えてはいたけれども、エドワード・ハイドの主要な
性格であるところの、完全な道徳的の無感覚と、いつでも悪を行おうとする狂暴性とを、十分に考えて
みたことがなかった。けれども、私が罰せられたのは、そ
ういう性格によってであったのだ。私の悪魔は久しく閉じこめられていたのだが、それが唸りながら
出てきた。私は、
その薬を飲んだ時でさえ、これまでよりも一そう放縦な一そう猛烈な、悪をなそうとしていることを意識した。
私の不幸な被害者のていねいな言葉を聞いていた時に
あの激しいいらだたしさを私の心の中に起こさせたのは、きっと、それであったに違いない。神さまの
前でも、私は少

なくとも次のことはちゃんと言い切れる。道徳的に健全な人間ならあんなちょっとしたことに腹を立ててああいう罪を犯すはずがないと。また、私は病気の子
供が玩具を壊すと同じくらいの理性のない気持でなぐったのだと。しかし、人間の中
0503名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:03:02.030
最悪の者でさえもそれによっていろいろの誘惑の中をある程度しっかりして歩み続けるところの、あの平衡を保つ本能をすべて、私は自分から捨てていたのである。それで私の場合には、どんなにちょっとにせよ誘惑されることは、それに負けることなのであった。
 たちまち地獄の悪霊が私のうちに目ざめて荒れくるった。歓びに有頂天になりながら、私はあの抵抗もしない体をさんざんに殴りつけ、殴るたびに喜びを味わった。そして疲れて来はじめるとようやく、その無我夢中の発作の最中に、突然ひやりと恐怖の戦慄に胸を打たれた。霧

がはれた。私は自分が死罪になることを知った。そして、悪の欲望がみたされ、刺激され、生の愛着がぎりぎりまでおびやかされたので、歓ぶと同時に恐れおののきながら、その暴行の場所から逃げ出した。私はソホーの家に駆けつけ、念に念を入れるために、自分の書類を焼きすてた。
それから外へ出て、街灯に照らされている街々を、やはり二つに分裂した無我夢中の心もちで通ってゆき、自分の犯した罪を小気味よく思い、これから先の別の罪をいろいろと気軽に企みながらも、また一方では絶えず足をはやめ復讐者の足音が聞こえはしないかと自分のうしろに絶えず耳を澄
ましていた。ハイドはあの薬を調合しながら歌を口ずさみ、それを飲む時にはかの死者のために乾盃した。引き裂くような変身の苦痛がまだ終らぬうちに、ヘンリー・ジーキルは、感謝と悔恨との涙を流しながら、ひざまずいて神に向って指を組合わせた手を挙げていた。放縦のヴェールは頭から足
の先まで引きさかれ、私は自分の全生涯を見た。父の手に引かれて歩いていた子供の頃から、自分の職業生活の克己的な労苦を思いうかべ、最後には、まるで夢のような気持で、その晩のあの呪わしい惨事をいくどもいくども思い出したのであった。私は声をあげて泣きたいくらいであった。私は涙をな
がし神に祈りながら、自分の記憶にあつまって自分を責めるかずかずの恐ろしい光景や物音を抑えつけようとした。それでもやはり、その祈りの間から、私の罪悪の醜い顔が私の心の中をじっと睨みつけるのであった。この悔恨の烈しさがだんだんに消えかかると、それに続いて喜びの情がおこった。私
の行状の問題は解決したのだ。これから後はもうハイドになることができないのだ。否でも応でも、私は今では自分の存在の善い方に限られたのだ。そして
、おお、それを考えると私はど
0504名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:03:12.480
最悪の者でさえもそれによっていろいろの誘惑の中をある程度しっかりして歩み続けるところの、あの平衡を保つ本能をすべて、私は自分から捨てていたのである。それで私の場合には、どんなにちょっとにせよ誘惑されることは、それに負けることなのであった。
 たちまち地獄の悪霊が私のうちに目ざめて荒れくるった。歓びに有頂天になりながら、私はあの抵抗もしない体をさんざんに殴りつけ、殴るたびに喜びを味わった。そして疲れて来はじめるとようやく、その無我夢中の発作の最中に、突然ひやりと恐怖の戦慄に胸を打たれた。霧

がはれた。私は自分が死罪になることを知った。そして、悪の欲望がみたされ、刺激され、生の愛着がぎりぎりまでおびやかされたので、歓ぶと同時に恐れおののきながら、その暴行の場所から逃げ出した。私はソホーの家に駆けつけ、念に念を入れるために、自分の書類を焼きすてた。
それから外へ出て、街灯に照らされている街々を、やはり二つに分裂した無我夢中の心もちで通ってゆき、自分の犯した罪を小気味よく思い、これから先の別の罪をいろいろと気軽に企みながらも、また一方では絶えず足をはやめ復讐者の足音が聞こえはしないかと自分のうしろに絶えず耳を澄
ましていた。ハイドはあの薬を調合しながら歌を口ずさみ、それを飲む時にはかの死者のために乾盃した。引き裂くような変身の苦痛がまだ終らぬうちに、ヘンリー・ジーキルは、感謝と悔恨との涙を流しながら、ひざまずいて神に向って指を組合わせた手を挙げていた。放縦のヴェールは頭から足
の先まで引きさかれ、私は自分の全生涯を見た。父の手に引かれて歩いていた子供の頃から、自分の職業生活の克己的な労苦を思いうかべ、最後には、まるで夢のような気持で、その晩のあの呪わしい惨事をいくどもいくども思い出したのであった。私は声をあげて泣きたいくらいであった。私は涙をな
がし神に祈りながら、自分の記憶にあつまって自分を責めるかずかずの恐ろしい光景や物音を抑えつけようとした。それでもやはり、その祈りの間から、私の罪悪の醜い顔が私の心の中をじっと睨みつけるのであった。この悔恨の烈しさがだんだんに消えかかると、それに続いて喜びの情がおこった。私
の行状の問題は解決したのだ。これから後はもうハイドになることができないのだ。否でも応でも、私は今では自分の存在の善い方に限られたのだ。そして
、おお、それを考えると私はど
0505名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:03:38.620
最悪の者でさえもそれによっていろいろの誘惑の中をある程度しっかりして歩み続けるところの、あの平衡を保つ本能をすべて、私は自分から捨てていたのである。それで私の場合には、どんなにちょっとにせよ誘惑されることは、それに負けることなのであった。
 たちまち地獄の悪霊が私のうちに目ざめて荒れくるった。歓びに有頂天になりながら、私はあの抵抗もしない体をさんざんに殴りつけ、殴るたびに喜びを味わった。そして疲れて来はじめるとようやく、その無我夢中の発作の最中に、突然ひやりと恐怖の戦慄に胸を打たれた。霧

がはれた。私は自分が死罪になることを知った。そして、悪の欲望がみたされ、刺激され、生の愛着がぎりぎりまでおびやかされたので、歓ぶと同時に恐れおののきながら、その暴行の場所から逃げ出した。私はソホーの家に駆けつけ、念に念を入れるために、自分の書類を焼きすてた。
それから外へ出て、街灯に照らされている街々を、やはり二つに分裂した無我夢中の心もちで通ってゆき、自分の犯した罪を小気味よく思い、これから先の別の罪をいろいろと気軽に企みながらも、また一方では絶えず足をはやめ復讐者の足音が聞こえはしないかと自分のうしろに絶えず耳を澄
ましていた。ハイドはあの薬を調合しながら歌を口ずさみ、それを飲む時にはかの死者のために乾盃した。引き裂くような変身の苦痛がまだ終らぬうちに、ヘンリー・ジーキルは、感謝と悔恨との涙を流しながら、ひざまずいて神に向って指を組合わせた手を挙げていた。放縦のヴェールは頭から足
の先まで引きさかれ、私は自分の全生涯を見た。父の手に引かれて歩いていた子供の頃から、自分の職業生活の克己的な労苦を思いうかべ、最後には、まるで夢のような気持で、その晩のあの呪わしい惨事をいくどもいくども思い出したのであった。私は声をあげて泣きたいくらいであった。私は涙をな
がし神に祈りながら、自分の記憶にあつまって自分を責めるかずかずの恐ろしい光景や物音を抑えつけようとした。それでもやはり、その祈りの間から、私の罪悪の醜い顔が私の心の中をじっと睨みつけるのであった。この悔恨の烈しさがだんだんに消えかかると、それに続いて喜びの情がおこった。私
の行状の問題は解決したのだ。これから後はもうハイドになることができないのだ。否でも応でも、私は今では自分の存在の善い方に限られたのだ。そして
、おお、それを考えると私はど
0506名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:03:45.390
最悪の者でさえもそれによっていろいろの誘惑の中をある程度しっかりして歩み続けるところの、あの平衡を保つ本能をすべて、私は自分から捨てていたのである。それで私の場合には、どんなにちょっとにせよ誘惑されることは、それに負けることなのであった。
 たちまち地獄の悪霊が私のうちに目ざめて荒れくるった。歓びに有頂天になりながら、私はあの抵抗もしない体をさんざんに殴りつけ、殴るたびに喜びを味わった。そして疲れて来はじめるとようやく、その無我夢中の発作の最中に、突然ひやりと恐怖の戦慄に胸を打たれた。霧

がはれた。私は自分が死罪になることを知った。そして、悪の欲望がみたされ、刺激され、生の愛着がぎりぎりまでおびやかされたので、歓ぶと同時に恐れおののきながら、その暴行の場所から逃げ出した。私はソホーの家に駆けつけ、念に念を入れるために、自分の書類を焼きすてた。
それから外へ出て、街灯に照らされている街々を、やはり二つに分裂した無我夢中の心もちで通ってゆき、自分の犯した罪を小気味よく思い、これから先の別の罪をいろいろと気軽に企みながらも、また一方では絶えず足をはやめ復讐者の足音が聞こえはしないかと自分のうしろに絶えず耳を澄
ましていた。ハイドはあの薬を調合しながら歌を口ずさみ、それを飲む時にはかの死者のために乾盃した。引き裂くような変身の苦痛がまだ終らぬうちに、ヘンリー・ジーキルは、感謝と悔恨との涙を流しながら、ひざまずいて神に向って指を組合わせた手を挙げていた。放縦のヴェールは頭から足
の先まで引きさかれ、私は自分の全生涯を見た。父の手に引かれて歩いていた子供の頃から、自分の職業生活の克己的な労苦を思いうかべ、最後には、まるで夢のような気持で、その晩のあの呪わしい惨事をいくどもいくども思い出したのであった。私は声をあげて泣きたいくらいであった。私は涙をな
がし神に祈りながら、自分の記憶にあつまって自分を責めるかずかずの恐ろしい光景や物音を抑えつけようとした。それでもやはり、その祈りの間から、私の罪悪の醜い顔が私の心の中をじっと睨みつけるのであった。この悔恨の烈しさがだんだんに消えかかると、それに続いて喜びの情がおこった。私
の行状の問題は解決したのだ。これから後はもうハイドになることができないのだ。否でも応でも、私は今では自分の存在の善い方に限られたのだ。そして
、おお、それを考えると私はど
0507名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:03:50.620
最悪の者でさえもそれによっていろいろの誘惑の中をある程度しっかりして歩み続けるところの、あの平衡を保つ本能をすべて、私は自分から捨てていたのである。それで私の場合には、どんなにちょっとにせよ誘惑されることは、それに負けることなのであった。
 たちまち地獄の悪霊が私のうちに目ざめて荒れくるった。歓びに有頂天になりながら、私はあの抵抗もしない体をさんざんに殴りつけ、殴るたびに喜びを味わった。そして疲れて来はじめるとようやく、その無我夢中の発作の最中に、突然ひやりと恐怖の戦慄に胸を打たれた。霧

がはれた。私は自分が死罪になることを知った。そして、悪の欲望がみたされ、刺激され、生の愛着がぎりぎりまでおびやかされたので、歓ぶと同時に恐れおののきながら、その暴行の場所から逃げ出した。私はソホーの家に駆けつけ、念に念を入れるために、自分の書類を焼きすてた。
それから外へ出て、街灯に照らされている街々を、やはり二つに分裂した無我夢中の心もちで通ってゆき、自分の犯した罪を小気味よく思い、これから先の別の罪をいろいろと気軽に企みながらも、また一方では絶えず足をはやめ復讐者の足音が聞こえはしないかと自分のうしろに絶えず耳を澄
ましていた。ハイドはあの薬を調合しながら歌を口ずさみ、それを飲む時にはかの死者のために乾盃した。引き裂くような変身の苦痛がまだ終らぬうちに、ヘンリー・ジーキルは、感謝と悔恨との涙を流しながら、ひざまずいて神に向って指を組合わせた手を挙げていた。放縦のヴェールは頭から足
の先まで引きさかれ、私は自分の全生涯を見た。父の手に引かれて歩いていた子供の頃から、自分の職業生活の克己的な労苦を思いうかべ、最後には、まるで夢のような気持で、その晩のあの呪わしい惨事をいくどもいくども思い出したのであった。私は声をあげて泣きたいくらいであった。私は涙をな
がし神に祈りながら、自分の記憶にあつまって自分を責めるかずかずの恐ろしい光景や物音を抑えつけようとした。それでもやはり、その祈りの間から、私の罪悪の醜い顔が私の心の中をじっと睨みつけるのであった。この悔恨の烈しさがだんだんに消えかかると、それに続いて喜びの情がおこった。私
の行状の問題は解決したのだ。これから後はもうハイドになることができないのだ。否でも応でも、私は今では自分の存在の善い方に限られたのだ。そして
、おお、それを考えると私はど
0508名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:04:47.080
 翌日、その殺人を見下ろしていた者があったこと、ハイドがその犯罪をしたのだということが世間に知れわたっていること、またその被害
者が世に重んぜられている人であったこと、などの報道がされた。それは単に犯罪ではなく、悲惨な愚かな行為であったのだ。私はそれを知る
と喜んだと思う。私は、自分の善い方の衝動が処刑台を恐れる心によって、このように支えられ護られていることを、喜んだと思う。ジーキルはいまや私の逃遁の邑で*あった。ハイドがちょっとでも顔をだそうものならば、彼を捕えて殺すために、すべての人々の手が挙げられるであろう。
 私はこれからの行為によって過去をつぐなおうと決心した。そして、この決心がいくらかの善を生んだということを、偽りなく言うことができる。昨年の終りの数カ月の間、どんなに熱心に私が人の苦しみを救うために骨折ったかは、君も知っている通りである。他人のために多くのことをし、
自分も平穏に、ほとんど幸福に日を過ごしたということは、君も知っている通りである。そしてまた、私がこの潔白な慈善生活に倦
きたと言うのはほんとうではない。それどころか、私は一日一日と一そう完全にその生活を楽しむようになったと思う。しかし、私はやはりあの意志の二重性に呪
われていた。そして、悔悟の最初のするどい切先が鈍ると、永いあいだ勝手気ままにされていて、つい近ごろになって鎖で繋がれてしまった、私の下等な方面が、自由をもとめて唸りはじめた。と言っても、私がハイドを復活させようなどと夢にも思ったのではない。そんなことは思っただけでも
私は気がふれるほど驚いたであろう。いや、私がもう一度自分の良心を弄ぶように誘惑されたのは、私自身のそのままの体でであった。私
がとうとう誘惑の攻撃に負けてしまったのは、ありきたりの密かな罪人としてであったのだ。
 すべてのものには終りがくる。どんなに大きな桝目でも遂には一ぱいになる。そして、私が自分の悪い心にちょっとの間でも従ったことは、とうとう私の心の平衡を破ってしまったのである。それでも私はそれに気がつかなかった。その堕落は、私が、私の発見をまだしなかった昔へ返るよう
にきわめて自然なことに思われた。美しく晴れた一月のある日のことであった。足の下は霜がとけていて湿っていたが、空には一片の雲もな
かった。リージェント公園では冬の鳥の囀りがいたるところ他の人々と比べ、自
0509名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:04:55.870
 翌日、その殺人を見下ろしていた者があったこと、ハイドがその犯罪をしたのだということが世間に知れわたっていること、またその被害
者が世に重んぜられている人であったこと、などの報道がされた。それは単に犯罪ではなく、悲惨な愚かな行為であったのだ。私はそれを知る
と喜んだと思う。私は、自分の善い方の衝動が処刑台を恐れる心によって、このように支えられ護られていることを、喜んだと思う。ジーキルはいまや私の逃遁の邑で*あった。ハイドがちょっとでも顔をだそうものならば、彼を捕えて殺すために、すべての人々の手が挙げられるであろう。
 私はこれからの行為によって過去をつぐなおうと決心した。そして、この決心がいくらかの善を生んだということを、偽りなく言うことができる。昨年の終りの数カ月の間、どんなに熱心に私が人の苦しみを救うために骨折ったかは、君も知っている通りである。他人のために多くのことをし、
自分も平穏に、ほとんど幸福に日を過ごしたということは、君も知っている通りである。そしてまた、私がこの潔白な慈善生活に倦
きたと言うのはほんとうではない。それどころか、私は一日一日と一そう完全にその生活を楽しむようになったと思う。しかし、私はやはりあの意志の二重性に呪
われていた。そして、悔悟の最初のするどい切先が鈍ると、永いあいだ勝手気ままにされていて、つい近ごろになって鎖で繋がれてしまった、私の下等な方面が、自由をもとめて唸りはじめた。と言っても、私がハイドを復活させようなどと夢にも思ったのではない。そんなことは思っただけでも
私は気がふれるほど驚いたであろう。いや、私がもう一度自分の良心を弄ぶように誘惑されたのは、私自身のそのままの体でであった。私
がとうとう誘惑の攻撃に負けてしまったのは、ありきたりの密かな罪人としてであったのだ。
 すべてのものには終りがくる。どんなに大きな桝目でも遂には一ぱいになる。そして、私が自分の悪い心にちょっとの間でも従ったことは、とうとう私の心の平衡を破ってしまったのである。それでも私はそれに気がつかなかった。その堕落は、私が、私の発見をまだしなかった昔へ返るよう
にきわめて自然なことに思われた。美しく晴れた一月のある日のことであった。足の下は霜がとけていて湿っていたが、空には一片の雲もな
かった。リージェント公園では冬の鳥の囀りがいたるところ他の人々と比べ、自
0510名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:05:05.030
 翌日、その殺人を見下ろしていた者があったこと、ハイドがその犯罪をしたのだということが世間に知れわたっていること、またその被害
者が世に重んぜられている人であったこと、などの報道がされた。それは単に犯罪ではなく、悲惨な愚かな行為であったのだ。私はそれを知る
と喜んだと思う。私は、自分の善い方の衝動が処刑台を恐れる心によって、このように支えられ護られていることを、喜んだと思う。ジーキルはいまや私の逃遁の邑で*あった。ハイドがちょっとでも顔をだそうものならば、彼を捕えて殺すために、すべての人々の手が挙げられるであろう。
 私はこれからの行為によって過去をつぐなおうと決心した。そして、この決心がいくらかの善を生んだということを、偽りなく言うことができる。昨年の終りの数カ月の間、どんなに熱心に私が人の苦しみを救うために骨折ったかは、君も知っている通りである。他人のために多くのことをし、
自分も平穏に、ほとんど幸福に日を過ごしたということは、君も知っている通りである。そしてまた、私がこの潔白な慈善生活に倦
きたと言うのはほんとうではない。それどころか、私は一日一日と一そう完全にその生活を楽しむようになったと思う。しかし、私はやはりあの意志の二重性に呪
われていた。そして、悔悟の最初のするどい切先が鈍ると、永いあいだ勝手気ままにされていて、つい近ごろになって鎖で繋がれてしまった、私の下等な方面が、自由をもとめて唸りはじめた。と言っても、私がハイドを復活させようなどと夢にも思ったのではない。そんなことは思っただけでも
私は気がふれるほど驚いたであろう。いや、私がもう一度自分の良心を弄ぶように誘惑されたのは、私自身のそのままの体でであった。私
がとうとう誘惑の攻撃に負けてしまったのは、ありきたりの密かな罪人としてであったのだ。
 すべてのものには終りがくる。どんなに大きな桝目でも遂には一ぱいになる。そして、私が自分の悪い心にちょっとの間でも従ったことは、とうとう私の心の平衡を破ってしまったのである。それでも私はそれに気がつかなかった。その堕落は、私が、私の発見をまだしなかった昔へ返るよう
にきわめて自然なことに思われた。美しく晴れた一月のある日のことであった。足の下は霜がとけていて湿っていたが、空には一片の雲もな
かった。リージェント公園では冬の鳥の囀りがいたるところ他の人々と比べ、自
0511名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:05:14.570
 翌日、その殺人を見下ろしていた者があったこと、ハイドがその犯罪をしたのだということが世間に知れわたっていること、またその被害
者が世に重んぜられている人であったこと、などの報道がされた。それは単に犯罪ではなく、悲惨な愚かな行為であったのだ。私はそれを知る
と喜んだと思う。私は、自分の善い方の衝動が処刑台を恐れる心によって、このように支えられ護られていることを、喜んだと思う。ジーキルはいまや私の逃遁の邑で*あった。ハイドがちょっとでも顔をだそうものならば、彼を捕えて殺すために、すべての人々の手が挙げられるであろう。
 私はこれからの行為によって過去をつぐなおうと決心した。そして、この決心がいくらかの善を生んだということを、偽りなく言うことができる。昨年の終りの数カ月の間、どんなに熱心に私が人の苦しみを救うために骨折ったかは、君も知っている通りである。他人のために多くのことをし、
自分も平穏に、ほとんど幸福に日を過ごしたということは、君も知っている通りである。そしてまた、私がこの潔白な慈善生活に倦
きたと言うのはほんとうではない。それどころか、私は一日一日と一そう完全にその生活を楽しむようになったと思う。しかし、私はやはりあの意志の二重性に呪
われていた。そして、悔悟の最初のするどい切先が鈍ると、永いあいだ勝手気ままにされていて、つい近ごろになって鎖で繋がれてしまった、私の下等な方面が、自由をもとめて唸りはじめた。と言っても、私がハイドを復活させようなどと夢にも思ったのではない。そんなことは思っただけでも
私は気がふれるほど驚いたであろう。いや、私がもう一度自分の良心を弄ぶように誘惑されたのは、私自身のそのままの体でであった。私
がとうとう誘惑の攻撃に負けてしまったのは、ありきたりの密かな罪人としてであったのだ。
 すべてのものには終りがくる。どんなに大きな桝目でも遂には一ぱいになる。そして、私が自分の悪い心にちょっとの間でも従ったことは、とうとう私の心の平衡を破ってしまったのである。それでも私はそれに気がつかなかった。その堕落は、私が、私の発見をまだしなかった昔へ返るよう
にきわめて自然なことに思われた。美しく晴れた一月のある日のことであった。足の下は霜がとけていて湿っていたが、空には一片の雲もな
かった。リージェント公園では冬の鳥の囀りがいたるところ他の人々と比べ、自
0512名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:05:27.780
 翌日、その殺人を見下ろしていた者があったこと、ハイドがその犯罪をしたのだということが世間に知れわたっていること、またその被害
者が世に重んぜられている人であったこと、などの報道がされた。それは単に犯罪ではなく、悲惨な愚かな行為であったのだ。私はそれを知る
と喜んだと思う。私は、自分の善い方の衝動が処刑台を恐れる心によって、このように支えられ護られていることを、喜んだと思う。ジーキルはいまや私の逃遁の邑で*あった。ハイドがちょっとでも顔をだそうものならば、彼を捕えて殺すために、すべての人々の手が挙げられるであろう。
 私はこれからの行為によって過去をつぐなおうと決心した。そして、この決心がいくらかの善を生んだということを、偽りなく言うことができる。昨年の終りの数カ月の間、どんなに熱心に私が人の苦しみを救うために骨折ったかは、君も知っている通りである。他人のために多くのことをし、
自分も平穏に、ほとんど幸福に日を過ごしたということは、君も知っている通りである。そしてまた、私がこの潔白な慈善生活に倦
きたと言うのはほんとうではない。それどころか、私は一日一日と一そう完全にその生活を楽しむようになったと思う。しかし、私はやはりあの意志の二重性に呪
われていた。そして、悔悟の最初のするどい切先が鈍ると、永いあいだ勝手気ままにされていて、つい近ごろになって鎖で繋がれてしまった、私の下等な方面が、自由をもとめて唸りはじめた。と言っても、私がハイドを復活させようなどと夢にも思ったのではない。そんなことは思っただけでも
私は気がふれるほど驚いたであろう。いや、私がもう一度自分の良心を弄ぶように誘惑されたのは、私自身のそのままの体でであった。私
がとうとう誘惑の攻撃に負けてしまったのは、ありきたりの密かな罪人としてであったのだ。
 すべてのものには終りがくる。どんなに大きな桝目でも遂には一ぱいになる。そして、私が自分の悪い心にちょっとの間でも従ったことは、とうとう私の心の平衡を破ってしまったのである。それでも私はそれに気がつかなかった。その堕落は、私が、私の発見をまだしなかった昔へ返るよう
にきわめて自然なことに思われた。美しく晴れた一月のある日のことであった。足の下は霜がとけていて湿っていたが、空には一片の雲もな
かった。リージェント公園では冬の鳥の囀りがいたるところ他の人々と比べ、自
0513名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:05:36.500
 翌日、その殺人を見下ろしていた者があったこと、ハイドがその犯罪をしたのだということが世間に知れわたっていること、またその被害
者が世に重んぜられている人であったこと、などの報道がされた。それは単に犯罪ではなく、悲惨な愚かな行為であったのだ。私はそれを知る
と喜んだと思う。私は、自分の善い方の衝動が処刑台を恐れる心によって、このように支えられ護られていることを、喜んだと思う。ジーキルはいまや私の逃遁の邑で*あった。ハイドがちょっとでも顔をだそうものならば、彼を捕えて殺すために、すべての人々の手が挙げられるであろう。
 私はこれからの行為によって過去をつぐなおうと決心した。そして、この決心がいくらかの善を生んだということを、偽りなく言うことができる。昨年の終りの数カ月の間、どんなに熱心に私が人の苦しみを救うために骨折ったかは、君も知っている通りである。他人のために多くのことをし、
自分も平穏に、ほとんど幸福に日を過ごしたということは、君も知っている通りである。そしてまた、私がこの潔白な慈善生活に倦
きたと言うのはほんとうではない。それどころか、私は一日一日と一そう完全にその生活を楽しむようになったと思う。しかし、私はやはりあの意志の二重性に呪
われていた。そして、悔悟の最初のするどい切先が鈍ると、永いあいだ勝手気ままにされていて、つい近ごろになって鎖で繋がれてしまった、私の下等な方面が、自由をもとめて唸りはじめた。と言っても、私がハイドを復活させようなどと夢にも思ったのではない。そんなことは思っただけでも
私は気がふれるほど驚いたであろう。いや、私がもう一度自分の良心を弄ぶように誘惑されたのは、私自身のそのままの体でであった。私
がとうとう誘惑の攻撃に負けてしまったのは、ありきたりの密かな罪人としてであったのだ。
 すべてのものには終りがくる。どんなに大きな桝目でも遂には一ぱいになる。そして、私が自分の悪い心にちょっとの間でも従ったことは、とうとう私の心の平衡を破ってしまったのである。それでも私はそれに気がつかなかった。その堕落は、私が、私の発見をまだしなかった昔へ返るよう
にきわめて自然なことに思われた。美しく晴れた一月のある日のことであった。足の下は霜がとけていて湿っていたが、空には一片の雲もな
かった。リージェント公園では冬の鳥の囀りがいたるところ他の人々と比べ、自
0514名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:27:48.530
かわしもしなかった。ただぺこぺこして私の言いつけに従い、私を私室へ案内して、手紙を書くにいる物
をもってきた。生命が危険になっている時のハイドは、私にとっては初めて経験するもの
であった。烈しい怒りにふるえ、人を苦しめたくてたまらなくて、人殺しをやりかねないほど興奮しているのだ
。それでもその男はぬけ目がなかった。非常な意志の努力で怒りを抑え、一通はラニョン
に、一通はプールに宛てた、二通の重要な手紙を書きあげ、それが投函されたという実証を受けとりたいため
に、それを書留にするようにという指図を与えて出した。
 そのあとで、彼は一日中旅館の私室の暖炉にむかって、爪を噛みながら腰かけていた。その室にひとりっきりで
、恐怖におびやかされながら食事もしたが、給仕は彼の眼の前ではっきりとびくびく
していた。で、すっかり夜になってしまうと、彼はそこを出て、閉めきった辻馬車の片隅に身をおいて、ロンドンの街路をあちこちと乗りまわした。彼、と私は言う、――私、とはどうにも言うことができな
いのだ。その地獄の子には人間らしいところは少しもなかった。彼のなかに住んでいるのは恐怖と憎悪だけであった
。そして、とうとう、彼は馭者が変に思いはじめたような気がしたので、馬車を捨
てて、例の体に合わない衣服を着て人目につく姿のまま、夜の人通りの中へ思いきって歩いて行ったが、その時、この二つの下等な激情は彼のうちに嵐のように荒れ狂っていた。彼は恐怖に駆
られて、べちゃくちゃひとりごとを言いながら、人通りの少ない往来をこそこそと通り、まだ夜の十二時までに何分あるかと数
えては、足ばやに歩いた。一度などは、一人の女が、マッチを一箱買ってくれというらしく、彼に話しかけた。彼はその女の顔を殴りつけたので、女は逃げていった。
 私がラニョンの家で本当の自分に返ったとき、その旧友の恐怖を見て、多分いくらか心を動かされたかも知れない。が、私は覚えていない。とにかく、その恐怖なぞは、私がそれまでの数時間のこ
とを思い出す時の恐怖に比べれば、大海の一滴に過ぎなかった。私には一つの変化がおこっていた。私を苦しめたのは、もう絞首台の恐怖ではなかった。それはただ、ハイドに変ることの恐れであ
った。私はラニョンの非難をなかば夢心
0515名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:30:59.370
かわしもしなかった。ただぺこぺこして私の言いつけに従い、私を私室へ案内して、手紙を書くにいる物
をもってきた。生命が危険になっている時のハイドは、私にとっては初めて経験するもの
であった。烈しい怒りにふるえ、人を苦しめたくてたまらなくて、人殺しをやりかねないほど興奮しているのだ
。それでもその男はぬけ目がなかった。非常な意志の努力で怒りを抑え、一通はラニョン
に、一通はプールに宛てた、二通の重要な手紙を書きあげ、それが投函されたという実証を受けとりたいため
に、それを書留にするようにという指図を与えて出した。
 そのあとで、彼は一日中旅館の私室の暖炉にむかって、爪を噛みながら腰かけていた。その室にひとりっきりで
、恐怖におびやかされながら食事もしたが、給仕は彼の眼の前ではっきりとびくびく
していた。で、すっかり夜になってしまうと、彼はそこを出て、閉めきった辻馬車の片隅に身をおいて、ロンドンの街路をあちこちと乗りまわした。彼、と私は言う、――私、とはどうにも言うことができな
いのだ。その地獄の子には人間らしいところは少しもなかった。彼のなかに住んでいるのは恐怖と憎悪だけであった
。そして、とうとう、彼は馭者が変に思いはじめたような気がしたので、馬車を捨
てて、例の体に合わない衣服を着て人目につく姿のまま、夜の人通りの中へ思いきって歩いて行ったが、その時、この二つの下等な激情は彼のうちに嵐のように荒れ狂っていた。彼は恐怖に駆
られて、べちゃくちゃひとりごとを言いながら、人通りの少ない往来をこそこそと通り、まだ夜の十二時までに何分あるかと数
えては、足ばやに歩いた。一度などは、一人の女が、マッチを一箱買ってくれというらしく、彼に話しかけた。彼はその女の顔を殴りつけたので、女は逃げていった。
 私がラニョンの家で本当の自分に返ったとき、その旧友の恐怖を見て、多分いくらか心を動かされたかも知れない。が、私は覚えていない。とにかく、その恐怖なぞは、私がそれまでの数時間のこ
とを思い出す時の恐怖に比べれば、大海の一滴に過ぎなかった。私には一つの変化がおこっていた。私を苦しめたのは、もう絞首台の恐怖ではなかった。それはただ、ハイドに変ることの恐れであ
った。私はラニョンの非難をなかば夢心
0516名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:33:29.900
ポン
0517名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:34:10.970
 汽笛ががらんとした構内に響き渡つた。私を乘せた列車は、まだ暗に包まれてゐる、午前三時の若松停車場を離れた。
「ぢや左樣なら。おまへも今年卒業なんだから、しつかり勉強しろよ。俺も今年こそはしつかりやるから。」
 私は見送りに來てゐた窓外の弟に、感動に滿ちて云つた。襟に五年の記號のついた、中學の制服を着けて、この頃めつきり大人びた弟は、壓搾した元氣を底に湛へ
たやうな顏付で、むつつり默つて頭を下げた。恐らくは、弟も、この腑甲斐のない兄の再度の首途に、何を云つていゝか解らなかつたのであらう。考へて見れば自分は、
既に弟に追ひつかれてゐるのだ。上京の時日は弟より三ヶ月先きの今だが、弟もやがて中學の制服を脱ぎすてると、
この四月には上京する身なのだ。私はもう一度妙な感慨を以て、ぢつと立つてゐる弟の姿を見やつた。
 私はもう一言何か弟に云ひたかつた。が汽車は既に、ゆつくりと、しかも凡ての物に係りなく、動き出してゐた。そして思はず涙の浮びかゝつた私の眼から、ぼんやり明
け近い暈をかぶつた燈火と、蝙蝠のやうに驛員たちの立つてゐる歩廊が、見る/\中に後退つて行つた。
 弟の小さくなつた姿が、もう歩き出してゐた。そして此方を見てゐないらしかつた。それでも私はもう一瞥の別れを投げかけようとしたが、その時暗い物影が、恐らくは積
まれた材木ででもあるらしい物影が、私と歩廊との間を遮つた。而して再びその暗が豁けた時、汽車は既に故郷の殘影である燈火の群から遠く駛つてゐた。
 私はやうやく窓から首を引込めた。そして何となく首途らしい感慨に打たれて、危ふく熱くなりかゝつた瞼を抑へながら、かうなる迄の自分の位置を默想し始めた。――
 私に取つては、今度のそれは全く決死の首途なのだ。去年の一高の受驗に於ける不面目な失敗、その後を受けた今年こそは、どうしても成功しなくてはならぬ首途なの
だ。それにしても何故、去年もつとしつかりやらなかつたらう。それは第一に上京が遲れたからだ。秀才だつた義兄の言に信頼し過ぎて、卒業後の大切な數月を刺戟のない
田舍で勉強しようとしたのが間違だつた。早くから上京してゐて、切迫した空氣の中にゐたら、或ひは勉強ももつと緊張し、又受驗術も巧妙になつてゐたかも知れない。從
つて友人の三島のやうに、或ひは及第してゐたかも知れない。なあに三島だつて自分だつて、腦力にさう軒輊がた。
0518名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:34:20.830
 汽笛ががらんとした構内に響き渡つた。私を乘せた列車は、まだ暗に包まれてゐる、午前三時の若松停車場を離れた。
「ぢや左樣なら。おまへも今年卒業なんだから、しつかり勉強しろよ。俺も今年こそはしつかりやるから。」
 私は見送りに來てゐた窓外の弟に、感動に滿ちて云つた。襟に五年の記號のついた、中學の制服を着けて、この頃めつきり大人びた弟は、壓搾した元氣を底に湛へ
たやうな顏付で、むつつり默つて頭を下げた。恐らくは、弟も、この腑甲斐のない兄の再度の首途に、何を云つていゝか解らなかつたのであらう。考へて見れば自分は、
既に弟に追ひつかれてゐるのだ。上京の時日は弟より三ヶ月先きの今だが、弟もやがて中學の制服を脱ぎすてると、
この四月には上京する身なのだ。私はもう一度妙な感慨を以て、ぢつと立つてゐる弟の姿を見やつた。
 私はもう一言何か弟に云ひたかつた。が汽車は既に、ゆつくりと、しかも凡ての物に係りなく、動き出してゐた。そして思はず涙の浮びかゝつた私の眼から、ぼんやり明
け近い暈をかぶつた燈火と、蝙蝠のやうに驛員たちの立つてゐる歩廊が、見る/\中に後退つて行つた。
 弟の小さくなつた姿が、もう歩き出してゐた。そして此方を見てゐないらしかつた。それでも私はもう一瞥の別れを投げかけようとしたが、その時暗い物影が、恐らくは積
まれた材木ででもあるらしい物影が、私と歩廊との間を遮つた。而して再びその暗が豁けた時、汽車は既に故郷の殘影である燈火の群から遠く駛つてゐた。
 私はやうやく窓から首を引込めた。そして何となく首途らしい感慨に打たれて、危ふく熱くなりかゝつた瞼を抑へながら、かうなる迄の自分の位置を默想し始めた。――
 私に取つては、今度のそれは全く決死の首途なのだ。去年の一高の受驗に於ける不面目な失敗、その後を受けた今年こそは、どうしても成功しなくてはならぬ首途なの
だ。それにしても何故、去年もつとしつかりやらなかつたらう。それは第一に上京が遲れたからだ。秀才だつた義兄の言に信頼し過ぎて、卒業後の大切な數月を刺戟のない
田舍で勉強しようとしたのが間違だつた。早くから上京してゐて、切迫した空氣の中にゐたら、或ひは勉強ももつと緊張し、又受驗術も巧妙になつてゐたかも知れない。從
つて友人の三島のやうに、或ひは及第してゐたかも知れない。なあに三島だつて自分だつて、腦力にさう軒輊がた。
0519名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:34:32.460
 汽笛ががらんとした構内に響き渡つた。私を乘せた列車は、まだ暗に包まれてゐる、午前三時の若松停車場を離れた。
「ぢや左樣なら。おまへも今年卒業なんだから、しつかり勉強しろよ。俺も今年こそはしつかりやるから。」
 私は見送りに來てゐた窓外の弟に、感動に滿ちて云つた。襟に五年の記號のついた、中學の制服を着けて、この頃めつきり大人びた弟は、壓搾した元氣を底に湛へ
たやうな顏付で、むつつり默つて頭を下げた。恐らくは、弟も、この腑甲斐のない兄の再度の首途に、何を云つていゝか解らなかつたのであらう。考へて見れば自分は、
既に弟に追ひつかれてゐるのだ。上京の時日は弟より三ヶ月先きの今だが、弟もやがて中學の制服を脱ぎすてると、
この四月には上京する身なのだ。私はもう一度妙な感慨を以て、ぢつと立つてゐる弟の姿を見やつた。
 私はもう一言何か弟に云ひたかつた。が汽車は既に、ゆつくりと、しかも凡ての物に係りなく、動き出してゐた。そして思はず涙の浮びかゝつた私の眼から、ぼんやり明
け近い暈をかぶつた燈火と、蝙蝠のやうに驛員たちの立つてゐる歩廊が、見る/\中に後退つて行つた。
 弟の小さくなつた姿が、もう歩き出してゐた。そして此方を見てゐないらしかつた。それでも私はもう一瞥の別れを投げかけようとしたが、その時暗い物影が、恐らくは積
まれた材木ででもあるらしい物影が、私と歩廊との間を遮つた。而して再びその暗が豁けた時、汽車は既に故郷の殘影である燈火の群から遠く駛つてゐた。
 私はやうやく窓から首を引込めた。そして何となく首途らしい感慨に打たれて、危ふく熱くなりかゝつた瞼を抑へながら、かうなる迄の自分の位置を默想し始めた。――
 私に取つては、今度のそれは全く決死の首途なのだ。去年の一高の受驗に於ける不面目な失敗、その後を受けた今年こそは、どうしても成功しなくてはならぬ首途なの
だ。それにしても何故、去年もつとしつかりやらなかつたらう。それは第一に上京が遲れたからだ。秀才だつた義兄の言に信頼し過ぎて、卒業後の大切な數月を刺戟のない
田舍で勉強しようとしたのが間違だつた。早くから上京してゐて、切迫した空氣の中にゐたら、或ひは勉強ももつと緊張し、又受驗術も巧妙になつてゐたかも知れない。從
つて友人の三島のやうに、或ひは及第してゐたかも知れない。なあに三島だつて自分だつて、腦力にさう軒輊がた。
0520名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:34:38.460
 汽笛ががらんとした構内に響き渡つた。私を乘せた列車は、まだ暗に包まれてゐる、午前三時の若松停車場を離れた。
「ぢや左樣なら。おまへも今年卒業なんだから、しつかり勉強しろよ。俺も今年こそはしつかりやるから。」
 私は見送りに來てゐた窓外の弟に、感動に滿ちて云つた。襟に五年の記號のついた、中學の制服を着けて、この頃めつきり大人びた弟は、壓搾した元氣を底に湛へ
たやうな顏付で、むつつり默つて頭を下げた。恐らくは、弟も、この腑甲斐のない兄の再度の首途に、何を云つていゝか解らなかつたのであらう。考へて見れば自分は、
既に弟に追ひつかれてゐるのだ。上京の時日は弟より三ヶ月先きの今だが、弟もやがて中學の制服を脱ぎすてると、
この四月には上京する身なのだ。私はもう一度妙な感慨を以て、ぢつと立つてゐる弟の姿を見やつた。
 私はもう一言何か弟に云ひたかつた。が汽車は既に、ゆつくりと、しかも凡ての物に係りなく、動き出してゐた。そして思はず涙の浮びかゝつた私の眼から、ぼんやり明
け近い暈をかぶつた燈火と、蝙蝠のやうに驛員たちの立つてゐる歩廊が、見る/\中に後退つて行つた。
 弟の小さくなつた姿が、もう歩き出してゐた。そして此方を見てゐないらしかつた。それでも私はもう一瞥の別れを投げかけようとしたが、その時暗い物影が、恐らくは積
まれた材木ででもあるらしい物影が、私と歩廊との間を遮つた。而して再びその暗が豁けた時、汽車は既に故郷の殘影である燈火の群から遠く駛つてゐた。
 私はやうやく窓から首を引込めた。そして何となく首途らしい感慨に打たれて、危ふく熱くなりかゝつた瞼を抑へながら、かうなる迄の自分の位置を默想し始めた。――
 私に取つては、今度のそれは全く決死の首途なのだ。去年の一高の受驗に於ける不面目な失敗、その後を受けた今年こそは、どうしても成功しなくてはならぬ首途なの
だ。それにしても何故、去年もつとしつかりやらなかつたらう。それは第一に上京が遲れたからだ。秀才だつた義兄の言に信頼し過ぎて、卒業後の大切な數月を刺戟のない
田舍で勉強しようとしたのが間違だつた。早くから上京してゐて、切迫した空氣の中にゐたら、或ひは勉強ももつと緊張し、又受驗術も巧妙になつてゐたかも知れない。從
つて友人の三島のやうに、或ひは及第してゐたかも知れない。なあに三島だつて自分だつて、腦力にさう軒輊がた。
0521名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:34:52.760
 汽笛ががらんとした構内に響き渡つた。私を乘せた列車は、まだ暗に包まれてゐる、午前三時の若松停車場を離れた。
「ぢや左樣なら。おまへも今年卒業なんだから、しつかり勉強しろよ。俺も今年こそはしつかりやるから。」
 私は見送りに來てゐた窓外の弟に、感動に滿ちて云つた。襟に五年の記號のついた、中學の制服を着けて、この頃めつきり大人びた弟は、壓搾した元氣を底に湛へ
たやうな顏付で、むつつり默つて頭を下げた。恐らくは、弟も、この腑甲斐のない兄の再度の首途に、何を云つていゝか解らなかつたのであらう。考へて見れば自分は、
既に弟に追ひつかれてゐるのだ。上京の時日は弟より三ヶ月先きの今だが、弟もやがて中學の制服を脱ぎすてると、
この四月には上京する身なのだ。私はもう一度妙な感慨を以て、ぢつと立つてゐる弟の姿を見やつた。
 私はもう一言何か弟に云ひたかつた。が汽車は既に、ゆつくりと、しかも凡ての物に係りなく、動き出してゐた。そして思はず涙の浮びかゝつた私の眼から、ぼんやり明
け近い暈をかぶつた燈火と、蝙蝠のやうに驛員たちの立つてゐる歩廊が、見る/\中に後退つて行つた。
 弟の小さくなつた姿が、もう歩き出してゐた。そして此方を見てゐないらしかつた。それでも私はもう一瞥の別れを投げかけようとしたが、その時暗い物影が、恐らくは積
まれた材木ででもあるらしい物影が、私と歩廊との間を遮つた。而して再びその暗が豁けた時、汽車は既に故郷の殘影である燈火の群から遠く駛つてゐた。
 私はやうやく窓から首を引込めた。そして何となく首途らしい感慨に打たれて、危ふく熱くなりかゝつた瞼を抑へながら、かうなる迄の自分の位置を默想し始めた。――
 私に取つては、今度のそれは全く決死の首途なのだ。去年の一高の受驗に於ける不面目な失敗、その後を受けた今年こそは、どうしても成功しなくてはならぬ首途なの
だ。それにしても何故、去年もつとしつかりやらなかつたらう。それは第一に上京が遲れたからだ。秀才だつた義兄の言に信頼し過ぎて、卒業後の大切な數月を刺戟のない
田舍で勉強しようとしたのが間違だつた。早くから上京してゐて、切迫した空氣の中にゐたら、或ひは勉強ももつと緊張し、又受驗術も巧妙になつてゐたかも知れない。從
つて友人の三島のやうに、或ひは及第してゐたかも知れない。なあに三島だつて自分だつて、腦力にさう軒輊がた。
0522名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:36:37.160
 その他にも或ひは私の失敗があつたかも知れない。そして二人の間に見えない差異が生じたのかも知れない。併し際どい選拔試驗の及落では、單語一つの識不識は、直ちに運命を支配する事もあり得る。否、さうあるべ
きだと思ふ。聞く處によると及落を分つものは、僅かに五點の差を出でぬと云ふではないか。――兎に角、私の場合に於ては、單語一つにかゝつたと考へて差支ないやうに思ふ。しかも自分はそのために、云ひやうのない屈辱
の半歳を過した。父には叱られた。母には泣かれた。義兄、姉妹たちにまで輕蔑の眼を以て見られた。たゞあの私のひそかに思つてゐる、義兄の從妹の澄子さんだけが、同情して慰藉の手紙さへ呉れたが、あの人だつて内心
輕蔑したに違ひない。が、それでもあの人の慰めが私の今迄の唯一の光明だつた。
 今度の早い上京だつて、父はなか/\許しさうにもなかつた。が自分は今年入らなければ廢すと迄誓つたため、やつと許して呉れたのだ。だからいづれにもせよ、今年入らなければ生きては歸れないのだ。それに弟だ。彼
奴ともとう/\受驗期が同じくなつて了つた。それを考へると私は、何となく恥づかしくてたまらない。
 何しろ、上京したらしつかり勉強しなければならない。さう思ふと胸が躍るやうだ。そしてもう今日の中には上京してゐるのだ。今迄の陰慘な、屈辱な家での蟄居から、あの光りかゞやく都會に出て、自由に勉強することが出
來るのだ。それに東京には、去年の八月來半年會はない、慕はしい澄子さんが待つてゐる。私が上京したら、いつもの通り晴々しい笑顏を持つて、義兄の家へ訪ねて來るに相違ない。それがどんなに自分の勵みになるだら
う、それにしても何故去年、あの人の前で自分は一高へ入らなかつたらう。入つてゐたら白線入の帽子を被つて、今時分は大手を振つて會へたのだ。それを考へると私は口惜しくなる。が、何しろ今年だ。今年入つて了へば
、すつかりよくなるのだ。――「何しろ今年だ」と自分はもう一度獨語した。そしてその後につれて、「今年だ、今年だ今年だ、」と呟いてゐるやうな、うす眠い車輪の音にぼんやり聞き入つた。……
 ふと氣がついて見ると、右手の車窓が急に銀いろな明るみを帶びた。汽車はもういつの間にか、幾つかの停車場を越して、今、曉の猪苗代湖に沿うて走つてゐるのだ。
 湖面は一たいに小波が在ると見えて、曉とは云ひながら殊に仄白かつた。そして水がず
0523名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:37:32.100
 その他にも或ひは私の失敗があつたかも知れない。そして二人の間に見えない差異が生じたのかも知れない。併し際どい選拔試驗の及落では、單語一つの識不識は、直ちに運命を支配する事もあり得る。否、さうあるべ
きだと思ふ。聞く處によると及落を分つものは、僅かに五點の差を出でぬと云ふではないか。――兎に角、私の場合に於ては、單語一つにかゝつたと考へて差支ないやうに思ふ。しかも自分はそのために、云ひやうのない屈辱
の半歳を過した。父には叱られた。母には泣かれた。義兄、姉妹たちにまで輕蔑の眼を以て見られた。たゞあの私のひそかに思つてゐる、義兄の從妹の澄子さんだけが、同情して慰藉の手紙さへ呉れたが、あの人だつて内心
輕蔑したに違ひない。が、それでもあの人の慰めが私の今迄の唯一の光明だつた。
 今度の早い上京だつて、父はなか/\許しさうにもなかつた。が自分は今年入らなければ廢すと迄誓つたため、やつと許して呉れたのだ。だからいづれにもせよ、今年入らなければ生きては歸れないのだ。それに弟だ。彼
奴ともとう/\受驗期が同じくなつて了つた。それを考へると私は、何となく恥づかしくてたまらない。
 何しろ、上京したらしつかり勉強しなければならない。さう思ふと胸が躍るやうだ。そしてもう今日の中には上京してゐるのだ。今迄の陰慘な、屈辱な家での蟄居から、あの光りかゞやく都會に出て、自由に勉強することが出
來るのだ。それに東京には、去年の八月來半年會はない、慕はしい澄子さんが待つてゐる。私が上京したら、いつもの通り晴々しい笑顏を持つて、義兄の家へ訪ねて來るに相違ない。それがどんなに自分の勵みになるだら
う、それにしても何故去年、あの人の前で自分は一高へ入らなかつたらう。入つてゐたら白線入の帽子を被つて、今時分は大手を振つて會へたのだ。それを考へると私は口惜しくなる。が、何しろ今年だ。今年入つて了へば
、すつかりよくなるのだ。――「何しろ今年だ」と自分はもう一度獨語した。そしてその後につれて、「今年だ、今年だ今年だ、」と呟いてゐるやうな、うす眠い車輪の音にぼんやり聞き入つた。……
 ふと氣がついて見ると、右手の車窓が急に銀いろな明るみを帶びた。汽車はもういつの間にか、幾つかの停車場を越して、今、曉の猪苗代湖に沿うて走つてゐるのだ。
 湖面は一たいに小波が在ると見えて、曉とは云ひながら殊に仄白かつた。そして水がず
0524名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:37:47.520
 その他にも或ひは私の失敗があつたかも知れない。そして二人の間に見えない差異が生じたのかも知れない。併し際どい選拔試驗の及落では、單語一つの識不識は、直ちに運命を支配する事もあり得る。否、さうあるべ
きだと思ふ。聞く處によると及落を分つものは、僅かに五點の差を出でぬと云ふではないか。――兎に角、私の場合に於ては、單語一つにかゝつたと考へて差支ないやうに思ふ。しかも自分はそのために、云ひやうのない屈辱
の半歳を過した。父には叱られた。母には泣かれた。義兄、姉妹たちにまで輕蔑の眼を以て見られた。たゞあの私のひそかに思つてゐる、義兄の從妹の澄子さんだけが、同情して慰藉の手紙さへ呉れたが、あの人だつて内心
輕蔑したに違ひない。が、それでもあの人の慰めが私の今迄の唯一の光明だつた。
 今度の早い上京だつて、父はなか/\許しさうにもなかつた。が自分は今年入らなければ廢すと迄誓つたため、やつと許して呉れたのだ。だからいづれにもせよ、今年入らなければ生きては歸れないのだ。それに弟だ。彼
奴ともとう/\受驗期が同じくなつて了つた。それを考へると私は、何となく恥づかしくてたまらない。
 何しろ、上京したらしつかり勉強しなければならない。さう思ふと胸が躍るやうだ。そしてもう今日の中には上京してゐるのだ。今迄の陰慘な、屈辱な家での蟄居から、あの光りかゞやく都會に出て、自由に勉強することが出
來るのだ。それに東京には、去年の八月來半年會はない、慕はしい澄子さんが待つてゐる。私が上京したら、いつもの通り晴々しい笑顏を持つて、義兄の家へ訪ねて來るに相違ない。それがどんなに自分の勵みになるだら
う、それにしても何故去年、あの人の前で自分は一高へ入らなかつたらう。入つてゐたら白線入の帽子を被つて、今時分は大手を振つて會へたのだ。それを考へると私は口惜しくなる。が、何しろ今年だ。今年入つて了へば
、すつかりよくなるのだ。――「何しろ今年だ」と自分はもう一度獨語した。そしてその後につれて、「今年だ、今年だ今年だ、」と呟いてゐるやうな、うす眠い車輪の音にぼんやり聞き入つた。……
 ふと氣がついて見ると、右手の車窓が急に銀いろな明るみを帶びた。汽車はもういつの間にか、幾つかの停車場を越して、今、曉の猪苗代湖に沿うて走つてゐるのだ。
 湖面は一たいに小波が在ると見えて、曉とは云ひながら殊に仄白かつた。そして水がず
0525名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:38:14.480
 その他にも或ひは私の失敗があつたかも知れない。そして二人の間に見えない差異が生じたのかも知れない。併し際どい選拔試驗の及落では、單語一つの識不識は、直ちに運命を支配する事もあり得る。否、さうあるべ
きだと思ふ。聞く處によると及落を分つものは、僅かに五點の差を出でぬと云ふではないか。――兎に角、私の場合に於ては、單語一つにかゝつたと考へて差支ないやうに思ふ。しかも自分はそのために、云ひやうのない屈辱
の半歳を過した。父には叱られた。母には泣かれた。義兄、姉妹たちにまで輕蔑の眼を以て見られた。たゞあの私のひそかに思つてゐる、義兄の從妹の澄子さんだけが、同情して慰藉の手紙さへ呉れたが、あの人だつて内心
輕蔑したに違ひない。が、それでもあの人の慰めが私の今迄の唯一の光明だつた。
 今度の早い上京だつて、父はなか/\許しさうにもなかつた。が自分は今年入らなければ廢すと迄誓つたため、やつと許して呉れたのだ。だからいづれにもせよ、今年入らなければ生きては歸れないのだ。それに弟だ。彼
奴ともとう/\受驗期が同じくなつて了つた。それを考へると私は、何となく恥づかしくてたまらない。
 何しろ、上京したらしつかり勉強しなければならない。さう思ふと胸が躍るやうだ。そしてもう今日の中には上京してゐるのだ。今迄の陰慘な、屈辱な家での蟄居から、あの光りかゞやく都會に出て、自由に勉強することが出
來るのだ。それに東京には、去年の八月來半年會はない、慕はしい澄子さんが待つてゐる。私が上京したら、いつもの通り晴々しい笑顏を持つて、義兄の家へ訪ねて來るに相違ない。それがどんなに自分の勵みになるだら
う、それにしても何故去年、あの人の前で自分は一高へ入らなかつたらう。入つてゐたら白線入の帽子を被つて、今時分は大手を振つて會へたのだ。それを考へると私は口惜しくなる。が、何しろ今年だ。今年入つて了へば
、すつかりよくなるのだ。――「何しろ今年だ」と自分はもう一度獨語した。そしてその後につれて、「今年だ、今年だ今年だ、」と呟いてゐるやうな、うす眠い車輪の音にぼんやり聞き入つた。……
 ふと氣がついて見ると、右手の車窓が急に銀いろな明るみを帶びた。汽車はもういつの間にか、幾つかの停車場を越して、今、曉の猪苗代湖に沿うて走つてゐるのだ。
 湖面は一たいに小波が在ると見えて、曉とは云ひながら殊に仄白かつた。そして水がず
0526名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:38:23.990
 その他にも或ひは私の失敗があつたかも知れない。そして二人の間に見えない差異が生じたのかも知れない。併し際どい選拔試驗の及落では、單語一つの識不識は、直ちに運命を支配する事もあり得る。否、さうあるべ
きだと思ふ。聞く處によると及落を分つものは、僅かに五點の差を出でぬと云ふではないか。――兎に角、私の場合に於ては、單語一つにかゝつたと考へて差支ないやうに思ふ。しかも自分はそのために、云ひやうのない屈辱
の半歳を過した。父には叱られた。母には泣かれた。義兄、姉妹たちにまで輕蔑の眼を以て見られた。たゞあの私のひそかに思つてゐる、義兄の從妹の澄子さんだけが、同情して慰藉の手紙さへ呉れたが、あの人だつて内心
輕蔑したに違ひない。が、それでもあの人の慰めが私の今迄の唯一の光明だつた。
 今度の早い上京だつて、父はなか/\許しさうにもなかつた。が自分は今年入らなければ廢すと迄誓つたため、やつと許して呉れたのだ。だからいづれにもせよ、今年入らなければ生きては歸れないのだ。それに弟だ。彼
奴ともとう/\受驗期が同じくなつて了つた。それを考へると私は、何となく恥づかしくてたまらない。
 何しろ、上京したらしつかり勉強しなければならない。さう思ふと胸が躍るやうだ。そしてもう今日の中には上京してゐるのだ。今迄の陰慘な、屈辱な家での蟄居から、あの光りかゞやく都會に出て、自由に勉強することが出
來るのだ。それに東京には、去年の八月來半年會はない、慕はしい澄子さんが待つてゐる。私が上京したら、いつもの通り晴々しい笑顏を持つて、義兄の家へ訪ねて來るに相違ない。それがどんなに自分の勵みになるだら
う、それにしても何故去年、あの人の前で自分は一高へ入らなかつたらう。入つてゐたら白線入の帽子を被つて、今時分は大手を振つて會へたのだ。それを考へると私は口惜しくなる。が、何しろ今年だ。今年入つて了へば
、すつかりよくなるのだ。――「何しろ今年だ」と自分はもう一度獨語した。そしてその後につれて、「今年だ、今年だ今年だ、」と呟いてゐるやうな、うす眠い車輪の音にぼんやり聞き入つた。……
 ふと氣がついて見ると、右手の車窓が急に銀いろな明るみを帶びた。汽車はもういつの間にか、幾つかの停車場を越して、今、曉の猪苗代湖に沿うて走つてゐるのだ。
 湖面は一たいに小波が在ると見えて、曉とは云ひながら殊に仄白かつた。そして水がず
0527名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:40:53.280
 再びこゝの義兄の家の人となつてから、昨日今日で、かれこれ一ト月になる、その間には別に變つたと云ふほどの事もなかつた。此方の目のせゐか、義兄も姉ももう平常の態度と變らなかつた。たゞ何かの拍子に
鳥渡私の去年の失敗へ觸れて、皮肉めいた揶揄をする事はあつても、それは全く即興的な事で、私をさう全人格的に輕蔑してゐるのではないらしい。全く一囘位の受驗の失敗は、殆んど當り前の事なのだ。それを
さう/\重視されたのでは、吾々受驗生は堪へられないのだ。

 室は去年と同じく、義兄の書齊に隣つた二階の隅の六疊を貸して呉れた。私はそこに去年と同じく、青い机掛をかけた粗末な机を見出した。壁にもまだ、去年自分が額縁に入れた、ミレエの繪の寫眞版が殘つて
ゐた。私は一度はそれらを慕はしいものに見たが、動もするとそれから去年の失敗を聯想し易いので、机掛も新らしい茶褐色のに改め、晩鐘圖はナポレオンの肖像と換へた。これで私の受驗生々活も改まつた譯
だ。
 併し勉強の方には、上京當座一週間ほど、場所が變つた刺戟で、落着かぬながらに心持が張り切つてゐた、が、まだ試驗まで六月もあると思ふと、知らず識らず前途遼遠といふ感じと共に、まだ/\少し位は
怠けてゐても大丈夫だといふ、横着氣さへ生じて來た。この頃ではたゞ漫然と參考書などを引繰り返してゐるだけだ。たゞ少し遠大な計畫を立てゝ、過去十年間のあらゆる試驗問題を蒐集して見ようと思ひ立つて、
散歩の序によく古本屋などを漁るのが、一番受驗生らしい心持だ。もうそれも七ヶ年分は
集めた。すつかり集つたら暇にまかせて、その全部に目を通すつもりだ。そしたら問題のコツが、少しは飮み込めるやうになるだらうと思ふからだ。
 南日の英文解釋法は、大抵の人が少くとも五囘は讀み返すと云ふから、もうそろ/\讀み始めなければなるまい。去年はあれを一囘、それもやつと讀んだだけだつた。
 けれども閑暇だから、豫備校へだけは行くことにした。そこでの講義は、實力をつけると云ふよりも、如何に能力を活用すべきかを教へる、what よりも寧ろ how の方に重きを置いた。學校としては實に變則なもの
だと思つた。併し講義は面白かつた。漫然と聞き流してゐても面白かつた。豫備校は遊び半分に行くべき處だ。それでも十分效用はある。知らず識らず受驗生の頭腦を刺戟する、狡猾にする、そして最もよい事に
は、動もすれば
0528名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:41:02.250
 再びこゝの義兄の家の人となつてから、昨日今日で、かれこれ一ト月になる、その間には別に變つたと云ふほどの事もなかつた。此方の目のせゐか、義兄も姉ももう平常の態度と變らなかつた。たゞ何かの拍子に
鳥渡私の去年の失敗へ觸れて、皮肉めいた揶揄をする事はあつても、それは全く即興的な事で、私をさう全人格的に輕蔑してゐるのではないらしい。全く一囘位の受驗の失敗は、殆んど當り前の事なのだ。それを
さう/\重視されたのでは、吾々受驗生は堪へられないのだ。

 室は去年と同じく、義兄の書齊に隣つた二階の隅の六疊を貸して呉れた。私はそこに去年と同じく、青い机掛をかけた粗末な机を見出した。壁にもまだ、去年自分が額縁に入れた、ミレエの繪の寫眞版が殘つて
ゐた。私は一度はそれらを慕はしいものに見たが、動もするとそれから去年の失敗を聯想し易いので、机掛も新らしい茶褐色のに改め、晩鐘圖はナポレオンの肖像と換へた。これで私の受驗生々活も改まつた譯
だ。
 併し勉強の方には、上京當座一週間ほど、場所が變つた刺戟で、落着かぬながらに心持が張り切つてゐた、が、まだ試驗まで六月もあると思ふと、知らず識らず前途遼遠といふ感じと共に、まだ/\少し位は
怠けてゐても大丈夫だといふ、横着氣さへ生じて來た。この頃ではたゞ漫然と參考書などを引繰り返してゐるだけだ。たゞ少し遠大な計畫を立てゝ、過去十年間のあらゆる試驗問題を蒐集して見ようと思ひ立つて、
散歩の序によく古本屋などを漁るのが、一番受驗生らしい心持だ。もうそれも七ヶ年分は
集めた。すつかり集つたら暇にまかせて、その全部に目を通すつもりだ。そしたら問題のコツが、少しは飮み込めるやうになるだらうと思ふからだ。
 南日の英文解釋法は、大抵の人が少くとも五囘は讀み返すと云ふから、もうそろ/\讀み始めなければなるまい。去年はあれを一囘、それもやつと讀んだだけだつた。
 けれども閑暇だから、豫備校へだけは行くことにした。そこでの講義は、實力をつけると云ふよりも、如何に能力を活用すべきかを教へる、what よりも寧ろ how の方に重きを置いた。學校としては實に變則なもの
だと思つた。併し講義は面白かつた。漫然と聞き流してゐても面白かつた。豫備校は遊び半分に行くべき處だ。それでも十分效用はある。知らず識らず受驗生の頭腦を刺戟する、狡猾にする、そして最もよい事に
は、動もすれば
0529名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:41:10.350
 再びこゝの義兄の家の人となつてから、昨日今日で、かれこれ一ト月になる、その間には別に變つたと云ふほどの事もなかつた。此方の目のせゐか、義兄も姉ももう平常の態度と變らなかつた。たゞ何かの拍子に
鳥渡私の去年の失敗へ觸れて、皮肉めいた揶揄をする事はあつても、それは全く即興的な事で、私をさう全人格的に輕蔑してゐるのではないらしい。全く一囘位の受驗の失敗は、殆んど當り前の事なのだ。それを
さう/\重視されたのでは、吾々受驗生は堪へられないのだ。

 室は去年と同じく、義兄の書齊に隣つた二階の隅の六疊を貸して呉れた。私はそこに去年と同じく、青い机掛をかけた粗末な机を見出した。壁にもまだ、去年自分が額縁に入れた、ミレエの繪の寫眞版が殘つて
ゐた。私は一度はそれらを慕はしいものに見たが、動もするとそれから去年の失敗を聯想し易いので、机掛も新らしい茶褐色のに改め、晩鐘圖はナポレオンの肖像と換へた。これで私の受驗生々活も改まつた譯
だ。
 併し勉強の方には、上京當座一週間ほど、場所が變つた刺戟で、落着かぬながらに心持が張り切つてゐた、が、まだ試驗まで六月もあると思ふと、知らず識らず前途遼遠といふ感じと共に、まだ/\少し位は
怠けてゐても大丈夫だといふ、横着氣さへ生じて來た。この頃ではたゞ漫然と參考書などを引繰り返してゐるだけだ。たゞ少し遠大な計畫を立てゝ、過去十年間のあらゆる試驗問題を蒐集して見ようと思ひ立つて、
散歩の序によく古本屋などを漁るのが、一番受驗生らしい心持だ。もうそれも七ヶ年分は
集めた。すつかり集つたら暇にまかせて、その全部に目を通すつもりだ。そしたら問題のコツが、少しは飮み込めるやうになるだらうと思ふからだ。
 南日の英文解釋法は、大抵の人が少くとも五囘は讀み返すと云ふから、もうそろ/\讀み始めなければなるまい。去年はあれを一囘、それもやつと讀んだだけだつた。
 けれども閑暇だから、豫備校へだけは行くことにした。そこでの講義は、實力をつけると云ふよりも、如何に能力を活用すべきかを教へる、what よりも寧ろ how の方に重きを置いた。學校としては實に變則なもの
だと思つた。併し講義は面白かつた。漫然と聞き流してゐても面白かつた。豫備校は遊び半分に行くべき處だ。それでも十分效用はある。知らず識らず受驗生の頭腦を刺戟する、狡猾にする、そして最もよい事に
は、動もすれば
0530名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:41:23.330
 再びこゝの義兄の家の人となつてから、昨日今日で、かれこれ一ト月になる、その間には別に變つたと云ふほどの事もなかつた。此方の目のせゐか、義兄も姉ももう平常の態度と變らなかつた。たゞ何かの拍子に
鳥渡私の去年の失敗へ觸れて、皮肉めいた揶揄をする事はあつても、それは全く即興的な事で、私をさう全人格的に輕蔑してゐるのではないらしい。全く一囘位の受驗の失敗は、殆んど當り前の事なのだ。それを
さう/\重視されたのでは、吾々受驗生は堪へられないのだ。

 室は去年と同じく、義兄の書齊に隣つた二階の隅の六疊を貸して呉れた。私はそこに去年と同じく、青い机掛をかけた粗末な机を見出した。壁にもまだ、去年自分が額縁に入れた、ミレエの繪の寫眞版が殘つて
ゐた。私は一度はそれらを慕はしいものに見たが、動もするとそれから去年の失敗を聯想し易いので、机掛も新らしい茶褐色のに改め、晩鐘圖はナポレオンの肖像と換へた。これで私の受驗生々活も改まつた譯
だ。
 併し勉強の方には、上京當座一週間ほど、場所が變つた刺戟で、落着かぬながらに心持が張り切つてゐた、が、まだ試驗まで六月もあると思ふと、知らず識らず前途遼遠といふ感じと共に、まだ/\少し位は
怠けてゐても大丈夫だといふ、横着氣さへ生じて來た。この頃ではたゞ漫然と參考書などを引繰り返してゐるだけだ。たゞ少し遠大な計畫を立てゝ、過去十年間のあらゆる試驗問題を蒐集して見ようと思ひ立つて、
散歩の序によく古本屋などを漁るのが、一番受驗生らしい心持だ。もうそれも七ヶ年分は
集めた。すつかり集つたら暇にまかせて、その全部に目を通すつもりだ。そしたら問題のコツが、少しは飮み込めるやうになるだらうと思ふからだ。
 南日の英文解釋法は、大抵の人が少くとも五囘は讀み返すと云ふから、もうそろ/\讀み始めなければなるまい。去年はあれを一囘、それもやつと讀んだだけだつた。
 けれども閑暇だから、豫備校へだけは行くことにした。そこでの講義は、實力をつけると云ふよりも、如何に能力を活用すべきかを教へる、what よりも寧ろ how の方に重きを置いた。學校としては實に變則なもの
だと思つた。併し講義は面白かつた。漫然と聞き流してゐても面白かつた。豫備校は遊び半分に行くべき處だ。それでも十分效用はある。知らず識らず受驗生の頭腦を刺戟する、狡猾にする、そして最もよい事に
は、動もすれば
0531名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:41:29.740
 再びこゝの義兄の家の人となつてから、昨日今日で、かれこれ一ト月になる、その間には別に變つたと云ふほどの事もなかつた。此方の目のせゐか、義兄も姉ももう平常の態度と變らなかつた。たゞ何かの拍子に
鳥渡私の去年の失敗へ觸れて、皮肉めいた揶揄をする事はあつても、それは全く即興的な事で、私をさう全人格的に輕蔑してゐるのではないらしい。全く一囘位の受驗の失敗は、殆んど當り前の事なのだ。それを
さう/\重視されたのでは、吾々受驗生は堪へられないのだ。

 室は去年と同じく、義兄の書齊に隣つた二階の隅の六疊を貸して呉れた。私はそこに去年と同じく、青い机掛をかけた粗末な机を見出した。壁にもまだ、去年自分が額縁に入れた、ミレエの繪の寫眞版が殘つて
ゐた。私は一度はそれらを慕はしいものに見たが、動もするとそれから去年の失敗を聯想し易いので、机掛も新らしい茶褐色のに改め、晩鐘圖はナポレオンの肖像と換へた。これで私の受驗生々活も改まつた譯
だ。
 併し勉強の方には、上京當座一週間ほど、場所が變つた刺戟で、落着かぬながらに心持が張り切つてゐた、が、まだ試驗まで六月もあると思ふと、知らず識らず前途遼遠といふ感じと共に、まだ/\少し位は
怠けてゐても大丈夫だといふ、横着氣さへ生じて來た。この頃ではたゞ漫然と參考書などを引繰り返してゐるだけだ。たゞ少し遠大な計畫を立てゝ、過去十年間のあらゆる試驗問題を蒐集して見ようと思ひ立つて、
散歩の序によく古本屋などを漁るのが、一番受驗生らしい心持だ。もうそれも七ヶ年分は
集めた。すつかり集つたら暇にまかせて、その全部に目を通すつもりだ。そしたら問題のコツが、少しは飮み込めるやうになるだらうと思ふからだ。
 南日の英文解釋法は、大抵の人が少くとも五囘は讀み返すと云ふから、もうそろ/\讀み始めなければなるまい。去年はあれを一囘、それもやつと讀んだだけだつた。
 けれども閑暇だから、豫備校へだけは行くことにした。そこでの講義は、實力をつけると云ふよりも、如何に能力を活用すべきかを教へる、what よりも寧ろ how の方に重きを置いた。學校としては實に變則なもの
だと思つた。併し講義は面白かつた。漫然と聞き流してゐても面白かつた。豫備校は遊び半分に行くべき處だ。それでも十分效用はある。知らず識らず受驗生の頭腦を刺戟する、狡猾にする、そして最もよい事に
は、動もすれば
0532名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:41:40.670
 再びこゝの義兄の家の人となつてから、昨日今日で、かれこれ一ト月になる、その間には別に變つたと云ふほどの事もなかつた。此方の目のせゐか、義兄も姉ももう平常の態度と變らなかつた。たゞ何かの拍子に
鳥渡私の去年の失敗へ觸れて、皮肉めいた揶揄をする事はあつても、それは全く即興的な事で、私をさう全人格的に輕蔑してゐるのではないらしい。全く一囘位の受驗の失敗は、殆んど當り前の事なのだ。それを
さう/\重視されたのでは、吾々受驗生は堪へられないのだ。

 室は去年と同じく、義兄の書齊に隣つた二階の隅の六疊を貸して呉れた。私はそこに去年と同じく、青い机掛をかけた粗末な机を見出した。壁にもまだ、去年自分が額縁に入れた、ミレエの繪の寫眞版が殘つて
ゐた。私は一度はそれらを慕はしいものに見たが、動もするとそれから去年の失敗を聯想し易いので、机掛も新らしい茶褐色のに改め、晩鐘圖はナポレオンの肖像と換へた。これで私の受驗生々活も改まつた譯
だ。
 併し勉強の方には、上京當座一週間ほど、場所が變つた刺戟で、落着かぬながらに心持が張り切つてゐた、が、まだ試驗まで六月もあると思ふと、知らず識らず前途遼遠といふ感じと共に、まだ/\少し位は
怠けてゐても大丈夫だといふ、横着氣さへ生じて來た。この頃ではたゞ漫然と參考書などを引繰り返してゐるだけだ。たゞ少し遠大な計畫を立てゝ、過去十年間のあらゆる試驗問題を蒐集して見ようと思ひ立つて、
散歩の序によく古本屋などを漁るのが、一番受驗生らしい心持だ。もうそれも七ヶ年分は
集めた。すつかり集つたら暇にまかせて、その全部に目を通すつもりだ。そしたら問題のコツが、少しは飮み込めるやうになるだらうと思ふからだ。
 南日の英文解釋法は、大抵の人が少くとも五囘は讀み返すと云ふから、もうそろ/\讀み始めなければなるまい。去年はあれを一囘、それもやつと讀んだだけだつた。
 けれども閑暇だから、豫備校へだけは行くことにした。そこでの講義は、實力をつけると云ふよりも、如何に能力を活用すべきかを教へる、what よりも寧ろ how の方に重きを置いた。學校としては實に變則なもの
だと思つた。併し講義は面白かつた。漫然と聞き流してゐても面白かつた。豫備校は遊び半分に行くべき處だ。それでも十分效用はある。知らず識らず受驗生の頭腦を刺戟する、狡猾にする、そして最もよい事に
は、動もすれば
0533名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:42:55.860
 遊ぶと云ふ方にかけては、本郷の新花町にゐる佐藤が、その尤なるものであつた。彼は惡い遊びをすると云ふ、評判が友達の間に喧しかつた。仲間には彼のためにそれを心配して、忠告をしようと試みるものさへもあつた。併しもと/\受驗
を口實に、東京へ遊びに來てゐる彼は、そんな言葉に耳も傾けなかつた。去年も彼は高工に入學を出願してゐながら、試驗の日に二十分許り遲れて行つて、試驗場から入場を拒絶された時、彼は受驗料を拂つ
てゐるのだから、せめて試驗問題だけは呉れと請求して、それを貰つたゞけで歸つたといふ有名な逸話さへあつた。その時遲れた原因と云ふのは、何でも前の晩酒を呑み過ぎたとか何とかだと云ふ噂だつた。私も一度散歩の序に訪ねたことが
あつた。彼は長い煙管ですぱ/\白梅を吸つてゐた。そして少しく醉を帶びてゐるらしかつた。
「いよう、珍らしいな、よくやつて來たね。それにしても今日でよかつた。めつたに吾々の處へなんぞ來ない君が、折角來て呉れても留守にしちやあ濟まないからね。なに、今日は金が無いんでね、特別に蟄居してゐたのさ。東京は金がなくちや
詰らない處だよ。金さへあれあこんな良夜を、下宿の二階になんぞ燻つちやゐないんだ。が今日は燻つてたんで、丁度よかつた。まあゆつくり話して行き給へ。たまには君らだつて一晩位遊んでもいゝんだらう。なにまだ勉強なんぞ初めないつ
て。そいつあ嘘だらうが兎に角ゆつくりし給へよ。何か奢らうか。金が無いんで外へ連れ出す譯に行かないから、下宿で取る不味いんでよけれあ、何でも云つて呉れ給へ。なに、僕だつて君をダシに使つて、何か食ひたいんだから。遠慮なんぞ
し給ふなよ。何なら少し酒でも飮まうか。……」
 こんな事を立續けに云つて、彼は私を狼狽させた。そして私が眞顏に辭退するのをからかひ顏に、猶もこんな事を云つてゐた。
「いつもながら固過ぎて困つたものだね。一度試驗を失敗れあ大抵世の中が解るんだが、君は全く特別だよ。まあ折角東京にゐる癖に、君たちはわざと面白い處を避けて通つてゐるんだ。その中に君にも是非一つ面白い處を紹介したいな。併し
それにはもう一二度試驗に失敗つて、自棄になつてからでなくちや駄目だらう。よかつたら何時
でも來給へ、さうすれば喜んで案内するよ。――なあにさう眞面目になつて憤慨し給ふな。どつち道人間一度は、きつと
0534名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:43:03.710
 遊ぶと云ふ方にかけては、本郷の新花町にゐる佐藤が、その尤なるものであつた。彼は惡い遊びをすると云ふ、評判が友達の間に喧しかつた。仲間には彼のためにそれを心配して、忠告をしようと試みるものさへもあつた。併しもと/\受驗
を口實に、東京へ遊びに來てゐる彼は、そんな言葉に耳も傾けなかつた。去年も彼は高工に入學を出願してゐながら、試驗の日に二十分許り遲れて行つて、試驗場から入場を拒絶された時、彼は受驗料を拂つ
てゐるのだから、せめて試驗問題だけは呉れと請求して、それを貰つたゞけで歸つたといふ有名な逸話さへあつた。その時遲れた原因と云ふのは、何でも前の晩酒を呑み過ぎたとか何とかだと云ふ噂だつた。私も一度散歩の序に訪ねたことが
あつた。彼は長い煙管ですぱ/\白梅を吸つてゐた。そして少しく醉を帶びてゐるらしかつた。
「いよう、珍らしいな、よくやつて來たね。それにしても今日でよかつた。めつたに吾々の處へなんぞ來ない君が、折角來て呉れても留守にしちやあ濟まないからね。なに、今日は金が無いんでね、特別に蟄居してゐたのさ。東京は金がなくちや
詰らない處だよ。金さへあれあこんな良夜を、下宿の二階になんぞ燻つちやゐないんだ。が今日は燻つてたんで、丁度よかつた。まあゆつくり話して行き給へ。たまには君らだつて一晩位遊んでもいゝんだらう。なにまだ勉強なんぞ初めないつ
て。そいつあ嘘だらうが兎に角ゆつくりし給へよ。何か奢らうか。金が無いんで外へ連れ出す譯に行かないから、下宿で取る不味いんでよけれあ、何でも云つて呉れ給へ。なに、僕だつて君をダシに使つて、何か食ひたいんだから。遠慮なんぞ
し給ふなよ。何なら少し酒でも飮まうか。……」
 こんな事を立續けに云つて、彼は私を狼狽させた。そして私が眞顏に辭退するのをからかひ顏に、猶もこんな事を云つてゐた。
「いつもながら固過ぎて困つたものだね。一度試驗を失敗れあ大抵世の中が解るんだが、君は全く特別だよ。まあ折角東京にゐる癖に、君たちはわざと面白い處を避けて通つてゐるんだ。その中に君にも是非一つ面白い處を紹介したいな。併し
それにはもう一二度試驗に失敗つて、自棄になつてからでなくちや駄目だらう。よかつたら何時
でも來給へ、さうすれば喜んで案内するよ。――なあにさう眞面目になつて憤慨し給ふな。どつち道人間一度は、きつと
0535名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:43:10.720
 遊ぶと云ふ方にかけては、本郷の新花町にゐる佐藤が、その尤なるものであつた。彼は惡い遊びをすると云ふ、評判が友達の間に喧しかつた。仲間には彼のためにそれを心配して、忠告をしようと試みるものさへもあつた。併しもと/\受驗
を口實に、東京へ遊びに來てゐる彼は、そんな言葉に耳も傾けなかつた。去年も彼は高工に入學を出願してゐながら、試驗の日に二十分許り遲れて行つて、試驗場から入場を拒絶された時、彼は受驗料を拂つ
てゐるのだから、せめて試驗問題だけは呉れと請求して、それを貰つたゞけで歸つたといふ有名な逸話さへあつた。その時遲れた原因と云ふのは、何でも前の晩酒を呑み過ぎたとか何とかだと云ふ噂だつた。私も一度散歩の序に訪ねたことが
あつた。彼は長い煙管ですぱ/\白梅を吸つてゐた。そして少しく醉を帶びてゐるらしかつた。
「いよう、珍らしいな、よくやつて來たね。それにしても今日でよかつた。めつたに吾々の處へなんぞ來ない君が、折角來て呉れても留守にしちやあ濟まないからね。なに、今日は金が無いんでね、特別に蟄居してゐたのさ。東京は金がなくちや
詰らない處だよ。金さへあれあこんな良夜を、下宿の二階になんぞ燻つちやゐないんだ。が今日は燻つてたんで、丁度よかつた。まあゆつくり話して行き給へ。たまには君らだつて一晩位遊んでもいゝんだらう。なにまだ勉強なんぞ初めないつ
て。そいつあ嘘だらうが兎に角ゆつくりし給へよ。何か奢らうか。金が無いんで外へ連れ出す譯に行かないから、下宿で取る不味いんでよけれあ、何でも云つて呉れ給へ。なに、僕だつて君をダシに使つて、何か食ひたいんだから。遠慮なんぞ
し給ふなよ。何なら少し酒でも飮まうか。……」
 こんな事を立續けに云つて、彼は私を狼狽させた。そして私が眞顏に辭退するのをからかひ顏に、猶もこんな事を云つてゐた。
「いつもながら固過ぎて困つたものだね。一度試驗を失敗れあ大抵世の中が解るんだが、君は全く特別だよ。まあ折角東京にゐる癖に、君たちはわざと面白い處を避けて通つてゐるんだ。その中に君にも是非一つ面白い處を紹介したいな。併し
それにはもう一二度試驗に失敗つて、自棄になつてからでなくちや駄目だらう。よかつたら何時
でも來給へ、さうすれば喜んで案内するよ。――なあにさう眞面目になつて憤慨し給ふな。どつち道人間一度は、きつと
0536名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:43:20.690
 遊ぶと云ふ方にかけては、本郷の新花町にゐる佐藤が、その尤なるものであつた。彼は惡い遊びをすると云ふ、評判が友達の間に喧しかつた。仲間には彼のためにそれを心配して、忠告をしようと試みるものさへもあつた。併しもと/\受驗
を口實に、東京へ遊びに來てゐる彼は、そんな言葉に耳も傾けなかつた。去年も彼は高工に入學を出願してゐながら、試驗の日に二十分許り遲れて行つて、試驗場から入場を拒絶された時、彼は受驗料を拂つ
てゐるのだから、せめて試驗問題だけは呉れと請求して、それを貰つたゞけで歸つたといふ有名な逸話さへあつた。その時遲れた原因と云ふのは、何でも前の晩酒を呑み過ぎたとか何とかだと云ふ噂だつた。私も一度散歩の序に訪ねたことが
あつた。彼は長い煙管ですぱ/\白梅を吸つてゐた。そして少しく醉を帶びてゐるらしかつた。
「いよう、珍らしいな、よくやつて來たね。それにしても今日でよかつた。めつたに吾々の處へなんぞ來ない君が、折角來て呉れても留守にしちやあ濟まないからね。なに、今日は金が無いんでね、特別に蟄居してゐたのさ。東京は金がなくちや
詰らない處だよ。金さへあれあこんな良夜を、下宿の二階になんぞ燻つちやゐないんだ。が今日は燻つてたんで、丁度よかつた。まあゆつくり話して行き給へ。たまには君らだつて一晩位遊んでもいゝんだらう。なにまだ勉強なんぞ初めないつ
て。そいつあ嘘だらうが兎に角ゆつくりし給へよ。何か奢らうか。金が無いんで外へ連れ出す譯に行かないから、下宿で取る不味いんでよけれあ、何でも云つて呉れ給へ。なに、僕だつて君をダシに使つて、何か食ひたいんだから。遠慮なんぞ
し給ふなよ。何なら少し酒でも飮まうか。……」
 こんな事を立續けに云つて、彼は私を狼狽させた。そして私が眞顏に辭退するのをからかひ顏に、猶もこんな事を云つてゐた。
「いつもながら固過ぎて困つたものだね。一度試驗を失敗れあ大抵世の中が解るんだが、君は全く特別だよ。まあ折角東京にゐる癖に、君たちはわざと面白い處を避けて通つてゐるんだ。その中に君にも是非一つ面白い處を紹介したいな。併し
それにはもう一二度試驗に失敗つて、自棄になつてからでなくちや駄目だらう。よかつたら何時
でも來給へ、さうすれば喜んで案内するよ。――なあにさう眞面目になつて憤慨し給ふな。どつち道人間一度は、きつと
0537名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:43:24.820
 遊ぶと云ふ方にかけては、本郷の新花町にゐる佐藤が、その尤なるものであつた。彼は惡い遊びをすると云ふ、評判が友達の間に喧しかつた。仲間には彼のためにそれを心配して、忠告をしようと試みるものさへもあつた。併しもと/\受驗
を口實に、東京へ遊びに來てゐる彼は、そんな言葉に耳も傾けなかつた。去年も彼は高工に入學を出願してゐながら、試驗の日に二十分許り遲れて行つて、試驗場から入場を拒絶された時、彼は受驗料を拂つ
てゐるのだから、せめて試驗問題だけは呉れと請求して、それを貰つたゞけで歸つたといふ有名な逸話さへあつた。その時遲れた原因と云ふのは、何でも前の晩酒を呑み過ぎたとか何とかだと云ふ噂だつた。私も一度散歩の序に訪ねたことが
あつた。彼は長い煙管ですぱ/\白梅を吸つてゐた。そして少しく醉を帶びてゐるらしかつた。
「いよう、珍らしいな、よくやつて來たね。それにしても今日でよかつた。めつたに吾々の處へなんぞ來ない君が、折角來て呉れても留守にしちやあ濟まないからね。なに、今日は金が無いんでね、特別に蟄居してゐたのさ。東京は金がなくちや
詰らない處だよ。金さへあれあこんな良夜を、下宿の二階になんぞ燻つちやゐないんだ。が今日は燻つてたんで、丁度よかつた。まあゆつくり話して行き給へ。たまには君らだつて一晩位遊んでもいゝんだらう。なにまだ勉強なんぞ初めないつ
て。そいつあ嘘だらうが兎に角ゆつくりし給へよ。何か奢らうか。金が無いんで外へ連れ出す譯に行かないから、下宿で取る不味いんでよけれあ、何でも云つて呉れ給へ。なに、僕だつて君をダシに使つて、何か食ひたいんだから。遠慮なんぞ
し給ふなよ。何なら少し酒でも飮まうか。……」
 こんな事を立續けに云つて、彼は私を狼狽させた。そして私が眞顏に辭退するのをからかひ顏に、猶もこんな事を云つてゐた。
「いつもながら固過ぎて困つたものだね。一度試驗を失敗れあ大抵世の中が解るんだが、君は全く特別だよ。まあ折角東京にゐる癖に、君たちはわざと面白い處を避けて通つてゐるんだ。その中に君にも是非一つ面白い處を紹介したいな。併し
それにはもう一二度試驗に失敗つて、自棄になつてからでなくちや駄目だらう。よかつたら何時
でも來給へ、さうすれば喜んで案内するよ。――なあにさう眞面目になつて憤慨し給ふな。どつち道人間一度は、きつと
0538名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:45:20.940
そんな所へ行く時が來るよ。僕
は只君たちより早く足を踏み込んだだけだ。だからそつちの方面なら、いつでも案内の役をつとめるよ。」
 私は初めは幾らか好奇的に、彼の云ふ事を傾聽してゐたが、だん/\不快になつて來た。それで三十分ほど我慢をした末、とう/\暇を告げて立上つた。
「さうかい、もう歸るのかい。早いな。ぢや又來たまへ。何か氣に障つたら勘辧して呉れ給へ。僕もいつでもかうではないんだよ。だが、僕もほんとに駄目になつちやつたね。」
 さう云つて急に彼は、涙を溜めたりした。私はこゝにも亦受驗界の、最も恐るべき破船者の一人として最も典型的な彼を見た。私は自分の家へ歸りながら、彼のやうになつてはお終ひだと思つた。まさかに自分はああは
なるまいとも思つた。ならぬやうに努力しなくちやならんと思つた。私は何だか恐ろしい氣がした。そして二度とその後は彼を訪れなかつた。
 松井はその反對に、仲間でも眞
面目な
方だつた。彼は小石川小日向のある寺に間借りをしてゐた。西向の陰氣な部屋だつたが、それだけに閑靜でよかつた。松井はいつもその薄暗い障子の下に机を寄せて、片頬に
ぢつと手を當てながら、本を讀むでもなく考へるでもなく、一日を坐り暮してゐるらしかつた。彼は實際は勉強家ではなかつた。頭腦もどちらかと云へば鈍い方だつた。たゞ机に噛りついて、どうにかかうにか受驗準備を整へようとして
ゐるに過ぎなかつた。けれども兎に角彼
が一番勤勉だつた。そして一番眞面目に、受驗の事を考へてゐた。それで私は一番よくこの松井を訪問した。二人はきつと準備の進行に就いて語り合つた。

「そろ/\眞劍にやり出してもいゝ時分だね。」
「さうだね。」彼はよく簡單な相槌を打つた。
「いゝや。まだ代數に手を着けた許りだ。代數は苦手でね。僕は去年も代數で失敗つたのだから。」と彼は眉根を寄せた。
「さうかい。僕の苦手は數學では三角だ。だから今からやつて置けばいゝんだが、迚もやる氣はしない。」
 二人の會話は動もすれば、こんな物の連續だつた。それでも受驗の事を話し合つてると、何となく活氣づき力附くやうに思はれた。別れる時にはきつとこんな事を云ひ合つた。
「ぢや愈々明日からやらうかな。」

 けれどもその次に二人が會つてみると、お互にさう勉強もしてゐなかつた。そしてお互に相手の不勉強を知つて、私かに安心
0539名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:45:37.250
そんな所へ行く時が來るよ。僕
は只君たちより早く足を踏み込んだだけだ。だからそつちの方面なら、いつでも案内の役をつとめるよ。」
 私は初めは幾らか好奇的に、彼の云ふ事を傾聽してゐたが、だん/\不快になつて來た。それで三十分ほど我慢をした末、とう/\暇を告げて立上つた。
「さうかい、もう歸るのかい。早いな。ぢや又來たまへ。何か氣に障つたら勘辧して呉れ給へ。僕もいつでもかうではないんだよ。だが、僕もほんとに駄目になつちやつたね。」
 さう云つて急に彼は、涙を溜めたりした。私はこゝにも亦受驗界の、最も恐るべき破船者の一人として最も典型的な彼を見た。私は自分の家へ歸りながら、彼のやうになつてはお終ひだと思つた。まさかに自分はああは
なるまいとも思つた。ならぬやうに努力しなくちやならんと思つた。私は何だか恐ろしい氣がした。そして二度とその後は彼を訪れなかつた。
 松井はその反對に、仲間でも眞
面目な
方だつた。彼は小石川小日向のある寺に間借りをしてゐた。西向の陰氣な部屋だつたが、それだけに閑靜でよかつた。松井はいつもその薄暗い障子の下に机を寄せて、片頬に
ぢつと手を當てながら、本を讀むでもなく考へるでもなく、一日を坐り暮してゐるらしかつた。彼は實際は勉強家ではなかつた。頭腦もどちらかと云へば鈍い方だつた。たゞ机に噛りついて、どうにかかうにか受驗準備を整へようとして
ゐるに過ぎなかつた。けれども兎に角彼
が一番勤勉だつた。そして一番眞面目に、受驗の事を考へてゐた。それで私は一番よくこの松井を訪問した。二人はきつと準備の進行に就いて語り合つた。

「そろ/\眞劍にやり出してもいゝ時分だね。」
「さうだね。」彼はよく簡單な相槌を打つた。
「いゝや。まだ代數に手を着けた許りだ。代數は苦手でね。僕は去年も代數で失敗つたのだから。」と彼は眉根を寄せた。
「さうかい。僕の苦手は數學では三角だ。だから今からやつて置けばいゝんだが、迚もやる氣はしない。」
 二人の會話は動もすれば、こんな物の連續だつた。それでも受驗の事を話し合つてると、何となく活氣づき力附くやうに思はれた。別れる時にはきつとこんな事を云ひ合つた。
「ぢや愈々明日からやらうかな。」

 けれどもその次に二人が會つてみると、お互にさう勉強もしてゐなかつた。そしてお互に相手の不勉強を知つて、私かに安心
0540名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:45:46.320
そんな所へ行く時が來るよ。僕
は只君たちより早く足を踏み込んだだけだ。だからそつちの方面なら、いつでも案内の役をつとめるよ。」
 私は初めは幾らか好奇的に、彼の云ふ事を傾聽してゐたが、だん/\不快になつて來た。それで三十分ほど我慢をした末、とう/\暇を告げて立上つた。
「さうかい、もう歸るのかい。早いな。ぢや又來たまへ。何か氣に障つたら勘辧して呉れ給へ。僕もいつでもかうではないんだよ。だが、僕もほんとに駄目になつちやつたね。」
 さう云つて急に彼は、涙を溜めたりした。私はこゝにも亦受驗界の、最も恐るべき破船者の一人として最も典型的な彼を見た。私は自分の家へ歸りながら、彼のやうになつてはお終ひだと思つた。まさかに自分はああは
なるまいとも思つた。ならぬやうに努力しなくちやならんと思つた。私は何だか恐ろしい氣がした。そして二度とその後は彼を訪れなかつた。
 松井はその反對に、仲間でも眞
面目な
方だつた。彼は小石川小日向のある寺に間借りをしてゐた。西向の陰氣な部屋だつたが、それだけに閑靜でよかつた。松井はいつもその薄暗い障子の下に机を寄せて、片頬に
ぢつと手を當てながら、本を讀むでもなく考へるでもなく、一日を坐り暮してゐるらしかつた。彼は實際は勉強家ではなかつた。頭腦もどちらかと云へば鈍い方だつた。たゞ机に噛りついて、どうにかかうにか受驗準備を整へようとして
ゐるに過ぎなかつた。けれども兎に角彼
が一番勤勉だつた。そして一番眞面目に、受驗の事を考へてゐた。それで私は一番よくこの松井を訪問した。二人はきつと準備の進行に就いて語り合つた。

「そろ/\眞劍にやり出してもいゝ時分だね。」
「さうだね。」彼はよく簡單な相槌を打つた。
「いゝや。まだ代數に手を着けた許りだ。代數は苦手でね。僕は去年も代數で失敗つたのだから。」と彼は眉根を寄せた。
「さうかい。僕の苦手は數學では三角だ。だから今からやつて置けばいゝんだが、迚もやる氣はしない。」
 二人の會話は動もすれば、こんな物の連續だつた。それでも受驗の事を話し合つてると、何となく活氣づき力附くやうに思はれた。別れる時にはきつとこんな事を云ひ合つた。
「ぢや愈々明日からやらうかな。」

 けれどもその次に二人が會つてみると、お互にさう勉強もしてゐなかつた。そしてお互に相手の不勉強を知つて、私かに安心
0541名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:45:59.440
そんな所へ行く時が來るよ。僕
は只君たちより早く足を踏み込んだだけだ。だからそつちの方面なら、いつでも案内の役をつとめるよ。」
 私は初めは幾らか好奇的に、彼の云ふ事を傾聽してゐたが、だん/\不快になつて來た。それで三十分ほど我慢をした末、とう/\暇を告げて立上つた。
「さうかい、もう歸るのかい。早いな。ぢや又來たまへ。何か氣に障つたら勘辧して呉れ給へ。僕もいつでもかうではないんだよ。だが、僕もほんとに駄目になつちやつたね。」
 さう云つて急に彼は、涙を溜めたりした。私はこゝにも亦受驗界の、最も恐るべき破船者の一人として最も典型的な彼を見た。私は自分の家へ歸りながら、彼のやうになつてはお終ひだと思つた。まさかに自分はああは
なるまいとも思つた。ならぬやうに努力しなくちやならんと思つた。私は何だか恐ろしい氣がした。そして二度とその後は彼を訪れなかつた。
 松井はその反對に、仲間でも眞
面目な
方だつた。彼は小石川小日向のある寺に間借りをしてゐた。西向の陰氣な部屋だつたが、それだけに閑靜でよかつた。松井はいつもその薄暗い障子の下に机を寄せて、片頬に
ぢつと手を當てながら、本を讀むでもなく考へるでもなく、一日を坐り暮してゐるらしかつた。彼は實際は勉強家ではなかつた。頭腦もどちらかと云へば鈍い方だつた。たゞ机に噛りついて、どうにかかうにか受驗準備を整へようとして
ゐるに過ぎなかつた。けれども兎に角彼
が一番勤勉だつた。そして一番眞面目に、受驗の事を考へてゐた。それで私は一番よくこの松井を訪問した。二人はきつと準備の進行に就いて語り合つた。

「そろ/\眞劍にやり出してもいゝ時分だね。」
「さうだね。」彼はよく簡單な相槌を打つた。
「いゝや。まだ代數に手を着けた許りだ。代數は苦手でね。僕は去年も代數で失敗つたのだから。」と彼は眉根を寄せた。
「さうかい。僕の苦手は數學では三角だ。だから今からやつて置けばいゝんだが、迚もやる氣はしない。」
 二人の會話は動もすれば、こんな物の連續だつた。それでも受驗の事を話し合つてると、何となく活氣づき力附くやうに思はれた。別れる時にはきつとこんな事を云ひ合つた。
「ぢや愈々明日からやらうかな。」

 けれどもその次に二人が會つてみると、お互にさう勉強もしてゐなかつた。そしてお互に相手の不勉強を知つて、私かに安心
0542名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:46:06.040
そんな所へ行く時が來るよ。僕
は只君たちより早く足を踏み込んだだけだ。だからそつちの方面なら、いつでも案内の役をつとめるよ。」
 私は初めは幾らか好奇的に、彼の云ふ事を傾聽してゐたが、だん/\不快になつて來た。それで三十分ほど我慢をした末、とう/\暇を告げて立上つた。
「さうかい、もう歸るのかい。早いな。ぢや又來たまへ。何か氣に障つたら勘辧して呉れ給へ。僕もいつでもかうではないんだよ。だが、僕もほんとに駄目になつちやつたね。」
 さう云つて急に彼は、涙を溜めたりした。私はこゝにも亦受驗界の、最も恐るべき破船者の一人として最も典型的な彼を見た。私は自分の家へ歸りながら、彼のやうになつてはお終ひだと思つた。まさかに自分はああは
なるまいとも思つた。ならぬやうに努力しなくちやならんと思つた。私は何だか恐ろしい氣がした。そして二度とその後は彼を訪れなかつた。
 松井はその反對に、仲間でも眞
面目な
方だつた。彼は小石川小日向のある寺に間借りをしてゐた。西向の陰氣な部屋だつたが、それだけに閑靜でよかつた。松井はいつもその薄暗い障子の下に机を寄せて、片頬に
ぢつと手を當てながら、本を讀むでもなく考へるでもなく、一日を坐り暮してゐるらしかつた。彼は實際は勉強家ではなかつた。頭腦もどちらかと云へば鈍い方だつた。たゞ机に噛りついて、どうにかかうにか受驗準備を整へようとして
ゐるに過ぎなかつた。けれども兎に角彼
が一番勤勉だつた。そして一番眞面目に、受驗の事を考へてゐた。それで私は一番よくこの松井を訪問した。二人はきつと準備の進行に就いて語り合つた。

「そろ/\眞劍にやり出してもいゝ時分だね。」
「さうだね。」彼はよく簡單な相槌を打つた。
「いゝや。まだ代數に手を着けた許りだ。代數は苦手でね。僕は去年も代數で失敗つたのだから。」と彼は眉根を寄せた。
「さうかい。僕の苦手は數學では三角だ。だから今からやつて置けばいゝんだが、迚もやる氣はしない。」
 二人の會話は動もすれば、こんな物の連續だつた。それでも受驗の事を話し合つてると、何となく活氣づき力附くやうに思はれた。別れる時にはきつとこんな事を云ひ合つた。
「ぢや愈々明日からやらうかな。」

 けれどもその次に二人が會つてみると、お互にさう勉強もしてゐなかつた。そしてお互に相手の不勉強を知つて、私かに安心
0543名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:46:13.530
そんな所へ行く時が來るよ。僕
は只君たちより早く足を踏み込んだだけだ。だからそつちの方面なら、いつでも案内の役をつとめるよ。」
 私は初めは幾らか好奇的に、彼の云ふ事を傾聽してゐたが、だん/\不快になつて來た。それで三十分ほど我慢をした末、とう/\暇を告げて立上つた。
「さうかい、もう歸るのかい。早いな。ぢや又來たまへ。何か氣に障つたら勘辧して呉れ給へ。僕もいつでもかうではないんだよ。だが、僕もほんとに駄目になつちやつたね。」
 さう云つて急に彼は、涙を溜めたりした。私はこゝにも亦受驗界の、最も恐るべき破船者の一人として最も典型的な彼を見た。私は自分の家へ歸りながら、彼のやうになつてはお終ひだと思つた。まさかに自分はああは
なるまいとも思つた。ならぬやうに努力しなくちやならんと思つた。私は何だか恐ろしい氣がした。そして二度とその後は彼を訪れなかつた。
 松井はその反對に、仲間でも眞
面目な
方だつた。彼は小石川小日向のある寺に間借りをしてゐた。西向の陰氣な部屋だつたが、それだけに閑靜でよかつた。松井はいつもその薄暗い障子の下に机を寄せて、片頬に
ぢつと手を當てながら、本を讀むでもなく考へるでもなく、一日を坐り暮してゐるらしかつた。彼は實際は勉強家ではなかつた。頭腦もどちらかと云へば鈍い方だつた。たゞ机に噛りついて、どうにかかうにか受驗準備を整へようとして
ゐるに過ぎなかつた。けれども兎に角彼
が一番勤勉だつた。そして一番眞面目に、受驗の事を考へてゐた。それで私は一番よくこの松井を訪問した。二人はきつと準備の進行に就いて語り合つた。

「そろ/\眞劍にやり出してもいゝ時分だね。」
「さうだね。」彼はよく簡單な相槌を打つた。
「いゝや。まだ代數に手を着けた許りだ。代數は苦手でね。僕は去年も代數で失敗つたのだから。」と彼は眉根を寄せた。
「さうかい。僕の苦手は數學では三角だ。だから今からやつて置けばいゝんだが、迚もやる氣はしない。」
 二人の會話は動もすれば、こんな物の連續だつた。それでも受驗の事を話し合つてると、何となく活氣づき力附くやうに思はれた。別れる時にはきつとこんな事を云ひ合つた。
「ぢや愈々明日からやらうかな。」

 けれどもその次に二人が會つてみると、お互にさう勉強もしてゐなかつた。そしてお互に相手の不勉強を知つて、私かに安心
0544名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:50:52.520
 澄子さんは相變らず日曜日毎に、義兄の家へ遊びに來た。私はいつの間にか日曜を、心待ちに待つやうになつて了つた、そして彼女が自分の處へ遊びに來るのだと、信ずるやうにさへなつて了つた。
 彼女の家は芝の白金にあつた。それは義兄の一番上の兄の家だつた。義兄の家では一體に秀才揃ひだつた。兄弟五人ある中で、一番上と三番目と五番目とが、丁度一人置きに男だつたが、それがいづれもよく出來て、それ/″\社會に頭角を現はし
てゐた。一番上の兄は古い工學士だつた。そして今はある織物會社の技師長を務めてゐた。澄子さんはその長女だつた。二番目の兄は農學士だつた。そして今は亞米利加へ行つてゐた。最も末の弟たる私の義兄は、一昨年出たばかりの醫學士で、今
猶青山内科の助手をしてゐる。澄子さんはこゝへ、即ち千駄木のこの叔父の家へ、殆んど毎日曜に遊びに來るのを常としてゐるのだ。そしてそこには私が寄食してゐたのだ。
 澄子さんはさう際立つて、美しいと云ふべき人ではなかつた。顏全體の印象は、整つたながらに特長といふものもないが、どことなく活々して、何かの拍子に浮べる表情が、非常に眉のあたりを美しく見せた。殊にそれは眼に於て著しかつた。ふと斜に見上
げる時、笑ひながら見据ゑる時、わざとらしく見える迄開いた二重瞼の下から、黒眼勝に澄んだ雙眸が、濡れた雨後の日光のやうな輝きを迸らせた。
 私は今でもまだ、彼女を初めて見た時の事を憶えてゐる。それは去年の六月、受驗のために上京して間もなくだつた。それまで姉の口から、お燈さんと云ふ姪の在ることは、いつとはなしに聞き知つてゐたが、その話の上に少女姿さへ聯想させずにゐ
たのだつた。私に取つては東京の女は、それも美しい都會の少女などは、迚も知己にさへなり得ないと、内心思つてゐたせゐであつたかも知れない。
 あれは確か上京して三日目位の或る日曜だつた。もう切迫して來た試驗期を前にした私は、室馴れて落着く迄もなく、机に噛りついてゐねばならなかつた。私はその日も朝から不安と焦躁とに襲はれながら、まだ調べ切つてゐない物理の頁を澁々飜
してゐた。諳記物はまだ殆んど一つも手を着けてゐなかつた。坐つてゐるのさへ堪らない程、暗澹たる不安に浸つて來た。けれどもどうにもしやうが無かつた。止むを得ず机に向つて、疲れ切つた眼を教科書の上にさらしてゐたのだつた。けれどもそれ
もすつかり退屈して來た。私はと
0545名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:51:02.650
 澄子さんは相變らず日曜日毎に、義兄の家へ遊びに來た。私はいつの間にか日曜を、心待ちに待つやうになつて了つた、そして彼女が自分の處へ遊びに來るのだと、信ずるやうにさへなつて了つた。
 彼女の家は芝の白金にあつた。それは義兄の一番上の兄の家だつた。義兄の家では一體に秀才揃ひだつた。兄弟五人ある中で、一番上と三番目と五番目とが、丁度一人置きに男だつたが、それがいづれもよく出來て、それ/″\社會に頭角を現はし
てゐた。一番上の兄は古い工學士だつた。そして今はある織物會社の技師長を務めてゐた。澄子さんはその長女だつた。二番目の兄は農學士だつた。そして今は亞米利加へ行つてゐた。最も末の弟たる私の義兄は、一昨年出たばかりの醫學士で、今
猶青山内科の助手をしてゐる。澄子さんはこゝへ、即ち千駄木のこの叔父の家へ、殆んど毎日曜に遊びに來るのを常としてゐるのだ。そしてそこには私が寄食してゐたのだ。
 澄子さんはさう際立つて、美しいと云ふべき人ではなかつた。顏全體の印象は、整つたながらに特長といふものもないが、どことなく活々して、何かの拍子に浮べる表情が、非常に眉のあたりを美しく見せた。殊にそれは眼に於て著しかつた。ふと斜に見上
げる時、笑ひながら見据ゑる時、わざとらしく見える迄開いた二重瞼の下から、黒眼勝に澄んだ雙眸が、濡れた雨後の日光のやうな輝きを迸らせた。
 私は今でもまだ、彼女を初めて見た時の事を憶えてゐる。それは去年の六月、受驗のために上京して間もなくだつた。それまで姉の口から、お燈さんと云ふ姪の在ることは、いつとはなしに聞き知つてゐたが、その話の上に少女姿さへ聯想させずにゐ
たのだつた。私に取つては東京の女は、それも美しい都會の少女などは、迚も知己にさへなり得ないと、内心思つてゐたせゐであつたかも知れない。
 あれは確か上京して三日目位の或る日曜だつた。もう切迫して來た試驗期を前にした私は、室馴れて落着く迄もなく、机に噛りついてゐねばならなかつた。私はその日も朝から不安と焦躁とに襲はれながら、まだ調べ切つてゐない物理の頁を澁々飜
してゐた。諳記物はまだ殆んど一つも手を着けてゐなかつた。坐つてゐるのさへ堪らない程、暗澹たる不安に浸つて來た。けれどもどうにもしやうが無かつた。止むを得ず机に向つて、疲れ切つた眼を教科書の上にさらしてゐたのだつた。けれどもそれ
もすつかり退屈して來た。私はと
0546名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:51:07.030
 澄子さんは相變らず日曜日毎に、義兄の家へ遊びに來た。私はいつの間にか日曜を、心待ちに待つやうになつて了つた、そして彼女が自分の處へ遊びに來るのだと、信ずるやうにさへなつて了つた。
 彼女の家は芝の白金にあつた。それは義兄の一番上の兄の家だつた。義兄の家では一體に秀才揃ひだつた。兄弟五人ある中で、一番上と三番目と五番目とが、丁度一人置きに男だつたが、それがいづれもよく出來て、それ/″\社會に頭角を現はし
てゐた。一番上の兄は古い工學士だつた。そして今はある織物會社の技師長を務めてゐた。澄子さんはその長女だつた。二番目の兄は農學士だつた。そして今は亞米利加へ行つてゐた。最も末の弟たる私の義兄は、一昨年出たばかりの醫學士で、今
猶青山内科の助手をしてゐる。澄子さんはこゝへ、即ち千駄木のこの叔父の家へ、殆んど毎日曜に遊びに來るのを常としてゐるのだ。そしてそこには私が寄食してゐたのだ。
 澄子さんはさう際立つて、美しいと云ふべき人ではなかつた。顏全體の印象は、整つたながらに特長といふものもないが、どことなく活々して、何かの拍子に浮べる表情が、非常に眉のあたりを美しく見せた。殊にそれは眼に於て著しかつた。ふと斜に見上
げる時、笑ひながら見据ゑる時、わざとらしく見える迄開いた二重瞼の下から、黒眼勝に澄んだ雙眸が、濡れた雨後の日光のやうな輝きを迸らせた。
 私は今でもまだ、彼女を初めて見た時の事を憶えてゐる。それは去年の六月、受驗のために上京して間もなくだつた。それまで姉の口から、お燈さんと云ふ姪の在ることは、いつとはなしに聞き知つてゐたが、その話の上に少女姿さへ聯想させずにゐ
たのだつた。私に取つては東京の女は、それも美しい都會の少女などは、迚も知己にさへなり得ないと、内心思つてゐたせゐであつたかも知れない。
 あれは確か上京して三日目位の或る日曜だつた。もう切迫して來た試驗期を前にした私は、室馴れて落着く迄もなく、机に噛りついてゐねばならなかつた。私はその日も朝から不安と焦躁とに襲はれながら、まだ調べ切つてゐない物理の頁を澁々飜
してゐた。諳記物はまだ殆んど一つも手を着けてゐなかつた。坐つてゐるのさへ堪らない程、暗澹たる不安に浸つて來た。けれどもどうにもしやうが無かつた。止むを得ず机に向つて、疲れ切つた眼を教科書の上にさらしてゐたのだつた。けれどもそれ
もすつかり退屈して來た。私はと
0547名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:51:27.480
 澄子さんは相變らず日曜日毎に、義兄の家へ遊びに來た。私はいつの間にか日曜を、心待ちに待つやうになつて了つた、そして彼女が自分の處へ遊びに來るのだと、信ずるやうにさへなつて了つた。
 彼女の家は芝の白金にあつた。それは義兄の一番上の兄の家だつた。義兄の家では一體に秀才揃ひだつた。兄弟五人ある中で、一番上と三番目と五番目とが、丁度一人置きに男だつたが、それがいづれもよく出來て、それ/″\社會に頭角を現はし
てゐた。一番上の兄は古い工學士だつた。そして今はある織物會社の技師長を務めてゐた。澄子さんはその長女だつた。二番目の兄は農學士だつた。そして今は亞米利加へ行つてゐた。最も末の弟たる私の義兄は、一昨年出たばかりの醫學士で、今
猶青山内科の助手をしてゐる。澄子さんはこゝへ、即ち千駄木のこの叔父の家へ、殆んど毎日曜に遊びに來るのを常としてゐるのだ。そしてそこには私が寄食してゐたのだ。
 澄子さんはさう際立つて、美しいと云ふべき人ではなかつた。顏全體の印象は、整つたながらに特長といふものもないが、どことなく活々して、何かの拍子に浮べる表情が、非常に眉のあたりを美しく見せた。殊にそれは眼に於て著しかつた。ふと斜に見上
げる時、笑ひながら見据ゑる時、わざとらしく見える迄開いた二重瞼の下から、黒眼勝に澄んだ雙眸が、濡れた雨後の日光のやうな輝きを迸らせた。
 私は今でもまだ、彼女を初めて見た時の事を憶えてゐる。それは去年の六月、受驗のために上京して間もなくだつた。それまで姉の口から、お燈さんと云ふ姪の在ることは、いつとはなしに聞き知つてゐたが、その話の上に少女姿さへ聯想させずにゐ
たのだつた。私に取つては東京の女は、それも美しい都會の少女などは、迚も知己にさへなり得ないと、内心思つてゐたせゐであつたかも知れない。
 あれは確か上京して三日目位の或る日曜だつた。もう切迫して來た試驗期を前にした私は、室馴れて落着く迄もなく、机に噛りついてゐねばならなかつた。私はその日も朝から不安と焦躁とに襲はれながら、まだ調べ切つてゐない物理の頁を澁々飜
してゐた。諳記物はまだ殆んど一つも手を着けてゐなかつた。坐つてゐるのさへ堪らない程、暗澹たる不安に浸つて來た。けれどもどうにもしやうが無かつた。止むを得ず机に向つて、疲れ切つた眼を教科書の上にさらしてゐたのだつた。けれどもそれ
もすつかり退屈して來た。私はと
0548名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:51:32.150
 澄子さんは相變らず日曜日毎に、義兄の家へ遊びに來た。私はいつの間にか日曜を、心待ちに待つやうになつて了つた、そして彼女が自分の處へ遊びに來るのだと、信ずるやうにさへなつて了つた。
 彼女の家は芝の白金にあつた。それは義兄の一番上の兄の家だつた。義兄の家では一體に秀才揃ひだつた。兄弟五人ある中で、一番上と三番目と五番目とが、丁度一人置きに男だつたが、それがいづれもよく出來て、それ/″\社會に頭角を現はし
てゐた。一番上の兄は古い工學士だつた。そして今はある織物會社の技師長を務めてゐた。澄子さんはその長女だつた。二番目の兄は農學士だつた。そして今は亞米利加へ行つてゐた。最も末の弟たる私の義兄は、一昨年出たばかりの醫學士で、今
猶青山内科の助手をしてゐる。澄子さんはこゝへ、即ち千駄木のこの叔父の家へ、殆んど毎日曜に遊びに來るのを常としてゐるのだ。そしてそこには私が寄食してゐたのだ。
 澄子さんはさう際立つて、美しいと云ふべき人ではなかつた。顏全體の印象は、整つたながらに特長といふものもないが、どことなく活々して、何かの拍子に浮べる表情が、非常に眉のあたりを美しく見せた。殊にそれは眼に於て著しかつた。ふと斜に見上
げる時、笑ひながら見据ゑる時、わざとらしく見える迄開いた二重瞼の下から、黒眼勝に澄んだ雙眸が、濡れた雨後の日光のやうな輝きを迸らせた。
 私は今でもまだ、彼女を初めて見た時の事を憶えてゐる。それは去年の六月、受驗のために上京して間もなくだつた。それまで姉の口から、お燈さんと云ふ姪の在ることは、いつとはなしに聞き知つてゐたが、その話の上に少女姿さへ聯想させずにゐ
たのだつた。私に取つては東京の女は、それも美しい都會の少女などは、迚も知己にさへなり得ないと、内心思つてゐたせゐであつたかも知れない。
 あれは確か上京して三日目位の或る日曜だつた。もう切迫して來た試驗期を前にした私は、室馴れて落着く迄もなく、机に噛りついてゐねばならなかつた。私はその日も朝から不安と焦躁とに襲はれながら、まだ調べ切つてゐない物理の頁を澁々飜
してゐた。諳記物はまだ殆んど一つも手を着けてゐなかつた。坐つてゐるのさへ堪らない程、暗澹たる不安に浸つて來た。けれどもどうにもしやうが無かつた。止むを得ず机に向つて、疲れ切つた眼を教科書の上にさらしてゐたのだつた。けれどもそれ
もすつかり退屈して來た。私はと
0549名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:51:42.990
 澄子さんは相變らず日曜日毎に、義兄の家へ遊びに來た。私はいつの間にか日曜を、心待ちに待つやうになつて了つた、そして彼女が自分の處へ遊びに來るのだと、信ずるやうにさへなつて了つた。
 彼女の家は芝の白金にあつた。それは義兄の一番上の兄の家だつた。義兄の家では一體に秀才揃ひだつた。兄弟五人ある中で、一番上と三番目と五番目とが、丁度一人置きに男だつたが、それがいづれもよく出來て、それ/″\社會に頭角を現はし
てゐた。一番上の兄は古い工學士だつた。そして今はある織物會社の技師長を務めてゐた。澄子さんはその長女だつた。二番目の兄は農學士だつた。そして今は亞米利加へ行つてゐた。最も末の弟たる私の義兄は、一昨年出たばかりの醫學士で、今
猶青山内科の助手をしてゐる。澄子さんはこゝへ、即ち千駄木のこの叔父の家へ、殆んど毎日曜に遊びに來るのを常としてゐるのだ。そしてそこには私が寄食してゐたのだ。
 澄子さんはさう際立つて、美しいと云ふべき人ではなかつた。顏全體の印象は、整つたながらに特長といふものもないが、どことなく活々して、何かの拍子に浮べる表情が、非常に眉のあたりを美しく見せた。殊にそれは眼に於て著しかつた。ふと斜に見上
げる時、笑ひながら見据ゑる時、わざとらしく見える迄開いた二重瞼の下から、黒眼勝に澄んだ雙眸が、濡れた雨後の日光のやうな輝きを迸らせた。
 私は今でもまだ、彼女を初めて見た時の事を憶えてゐる。それは去年の六月、受驗のために上京して間もなくだつた。それまで姉の口から、お燈さんと云ふ姪の在ることは、いつとはなしに聞き知つてゐたが、その話の上に少女姿さへ聯想させずにゐ
たのだつた。私に取つては東京の女は、それも美しい都會の少女などは、迚も知己にさへなり得ないと、内心思つてゐたせゐであつたかも知れない。
 あれは確か上京して三日目位の或る日曜だつた。もう切迫して來た試驗期を前にした私は、室馴れて落着く迄もなく、机に噛りついてゐねばならなかつた。私はその日も朝から不安と焦躁とに襲はれながら、まだ調べ切つてゐない物理の頁を澁々飜
してゐた。諳記物はまだ殆んど一つも手を着けてゐなかつた。坐つてゐるのさへ堪らない程、暗澹たる不安に浸つて來た。けれどもどうにもしやうが無かつた。止むを得ず机に向つて、疲れ切つた眼を教科書の上にさらしてゐたのだつた。けれどもそれ
もすつかり退屈して來た。私はと
0550名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:54:41.090
 すうと入口の襖の開く音がした。私は咄嗟に振り返つた。するとそこには五つか六つ位の、髮を切り下げた女の子が、薄暗い閾口に眼をぱつちり見開いて、默つて立つてゐた。その顏には笑つていゝ
ものなら笑ひ度いと云ふやうな表情があつた。
 私は向き直つて「こちらへいらつしやい。」と招いた。初めて他人に使つた東京語が、喉に支へながらも、とにかく滑かに出たのが嬉しかつた。
 秋子ちやんはまだもじ/\してゐた。それは羞恥の感情からよりも、寧ろ都會の女の兒が、本能的に持つ技巧かららしかつた。
「入つていらつしやい。」私はもう一度繰り返した。そして今度は我ながらまづい云ひ方だと思つた。
 その途端に女の子の背後へ、靜かな紫の影が掠めた。そしてそこへお下げに結つた、白い十六七の女の顏が浮び出た。私は面映く思ひながらも、その花のや
うな顏を見定めた。整つた輪郭を一瞬に見て取つた時、彼女の眼はもう嫣然と笑ひかけてゐた。そして淑かな會釋をした。私も慌てゝ禮を返した。
「あの、御勉強のお邪魔を致しまして。――さ、秋子ちやん、お兄さんに御挨拶をなさい。そしてもう彼方へ參りませう。」彼女は鈴を鳴らすやうに滑かに云つた。
 秋子さんはもじ/\しながら、また默つて頭を下げた。そして後向き氣味に姉の片手に縋つて、尻目に私を見返した。
「いゝえ、いゝんです。退屈して遊んでゐたんですから。」私はかう云ひながら秋子さんの方を、もう一度目招ぎした。「ね、いゝから入つていらつしやい。」
 秋子さんはそれには答へないで、姉さんの深紅の帶へ頬を擦りつけながら、「姉ちやん、あちらへ行きませうよ。」と云つた。私は一瞬間この子の技巧が憎らしかつた。
「えゝ行きませう。又お兄さまがお暇な時に來ませうね。――どうもお邪魔しました。」と彼女は妹の身を引寄せながら、襖を靜かに閉めた。そして二人の階子段を下り
る、たど/\しい足音が遠ざかつた。ぼんやり見返つてゐた私の胸には、何だか春のやうな響が殘つた――。
 それが澄子さんと會つた初めだつた。それから彼女は殆んど日曜毎に、いつもの通り遊びに來ると私の室へも訪れた。彼女は私の處に決して長くはゐなかつた。大
抵は姉と二人ぎりで、女同志の低い會話をして歸つた。がその短い間でも、私には換へ難く貴い時になつた。そして偶々何かの都合で、一と日曜彼女が來ないと、堪らなく淋しい氣がした。
0551名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:54:49.900
 すうと入口の襖の開く音がした。私は咄嗟に振り返つた。するとそこには五つか六つ位の、髮を切り下げた女の子が、薄暗い閾口に眼をぱつちり見開いて、默つて立つてゐた。その顏には笑つていゝ
ものなら笑ひ度いと云ふやうな表情があつた。
 私は向き直つて「こちらへいらつしやい。」と招いた。初めて他人に使つた東京語が、喉に支へながらも、とにかく滑かに出たのが嬉しかつた。
 秋子ちやんはまだもじ/\してゐた。それは羞恥の感情からよりも、寧ろ都會の女の兒が、本能的に持つ技巧かららしかつた。
「入つていらつしやい。」私はもう一度繰り返した。そして今度は我ながらまづい云ひ方だと思つた。
 その途端に女の子の背後へ、靜かな紫の影が掠めた。そしてそこへお下げに結つた、白い十六七の女の顏が浮び出た。私は面映く思ひながらも、その花のや
うな顏を見定めた。整つた輪郭を一瞬に見て取つた時、彼女の眼はもう嫣然と笑ひかけてゐた。そして淑かな會釋をした。私も慌てゝ禮を返した。
「あの、御勉強のお邪魔を致しまして。――さ、秋子ちやん、お兄さんに御挨拶をなさい。そしてもう彼方へ參りませう。」彼女は鈴を鳴らすやうに滑かに云つた。
 秋子さんはもじ/\しながら、また默つて頭を下げた。そして後向き氣味に姉の片手に縋つて、尻目に私を見返した。
「いゝえ、いゝんです。退屈して遊んでゐたんですから。」私はかう云ひながら秋子さんの方を、もう一度目招ぎした。「ね、いゝから入つていらつしやい。」
 秋子さんはそれには答へないで、姉さんの深紅の帶へ頬を擦りつけながら、「姉ちやん、あちらへ行きませうよ。」と云つた。私は一瞬間この子の技巧が憎らしかつた。
「えゝ行きませう。又お兄さまがお暇な時に來ませうね。――どうもお邪魔しました。」と彼女は妹の身を引寄せながら、襖を靜かに閉めた。そして二人の階子段を下り
る、たど/\しい足音が遠ざかつた。ぼんやり見返つてゐた私の胸には、何だか春のやうな響が殘つた――。
 それが澄子さんと會つた初めだつた。それから彼女は殆んど日曜毎に、いつもの通り遊びに來ると私の室へも訪れた。彼女は私の處に決して長くはゐなかつた。大
抵は姉と二人ぎりで、女同志の低い會話をして歸つた。がその短い間でも、私には換へ難く貴い時になつた。そして偶々何かの都合で、一と日曜彼女が來ないと、堪らなく淋しい氣がした。
0552名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:55:02.060
 すうと入口の襖の開く音がした。私は咄嗟に振り返つた。するとそこには五つか六つ位の、髮を切り下げた女の子が、薄暗い閾口に眼をぱつちり見開いて、默つて立つてゐた。その顏には笑つていゝ
ものなら笑ひ度いと云ふやうな表情があつた。
 私は向き直つて「こちらへいらつしやい。」と招いた。初めて他人に使つた東京語が、喉に支へながらも、とにかく滑かに出たのが嬉しかつた。
 秋子ちやんはまだもじ/\してゐた。それは羞恥の感情からよりも、寧ろ都會の女の兒が、本能的に持つ技巧かららしかつた。
「入つていらつしやい。」私はもう一度繰り返した。そして今度は我ながらまづい云ひ方だと思つた。
 その途端に女の子の背後へ、靜かな紫の影が掠めた。そしてそこへお下げに結つた、白い十六七の女の顏が浮び出た。私は面映く思ひながらも、その花のや
うな顏を見定めた。整つた輪郭を一瞬に見て取つた時、彼女の眼はもう嫣然と笑ひかけてゐた。そして淑かな會釋をした。私も慌てゝ禮を返した。
「あの、御勉強のお邪魔を致しまして。――さ、秋子ちやん、お兄さんに御挨拶をなさい。そしてもう彼方へ參りませう。」彼女は鈴を鳴らすやうに滑かに云つた。
 秋子さんはもじ/\しながら、また默つて頭を下げた。そして後向き氣味に姉の片手に縋つて、尻目に私を見返した。
「いゝえ、いゝんです。退屈して遊んでゐたんですから。」私はかう云ひながら秋子さんの方を、もう一度目招ぎした。「ね、いゝから入つていらつしやい。」
 秋子さんはそれには答へないで、姉さんの深紅の帶へ頬を擦りつけながら、「姉ちやん、あちらへ行きませうよ。」と云つた。私は一瞬間この子の技巧が憎らしかつた。
「えゝ行きませう。又お兄さまがお暇な時に來ませうね。――どうもお邪魔しました。」と彼女は妹の身を引寄せながら、襖を靜かに閉めた。そして二人の階子段を下り
る、たど/\しい足音が遠ざかつた。ぼんやり見返つてゐた私の胸には、何だか春のやうな響が殘つた――。
 それが澄子さんと會つた初めだつた。それから彼女は殆んど日曜毎に、いつもの通り遊びに來ると私の室へも訪れた。彼女は私の處に決して長くはゐなかつた。大
抵は姉と二人ぎりで、女同志の低い會話をして歸つた。がその短い間でも、私には換へ難く貴い時になつた。そして偶々何かの都合で、一と日曜彼女が來ないと、堪らなく淋しい氣がした。
0553名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:55:07.740
 すうと入口の襖の開く音がした。私は咄嗟に振り返つた。するとそこには五つか六つ位の、髮を切り下げた女の子が、薄暗い閾口に眼をぱつちり見開いて、默つて立つてゐた。その顏には笑つていゝ
ものなら笑ひ度いと云ふやうな表情があつた。
 私は向き直つて「こちらへいらつしやい。」と招いた。初めて他人に使つた東京語が、喉に支へながらも、とにかく滑かに出たのが嬉しかつた。
 秋子ちやんはまだもじ/\してゐた。それは羞恥の感情からよりも、寧ろ都會の女の兒が、本能的に持つ技巧かららしかつた。
「入つていらつしやい。」私はもう一度繰り返した。そして今度は我ながらまづい云ひ方だと思つた。
 その途端に女の子の背後へ、靜かな紫の影が掠めた。そしてそこへお下げに結つた、白い十六七の女の顏が浮び出た。私は面映く思ひながらも、その花のや
うな顏を見定めた。整つた輪郭を一瞬に見て取つた時、彼女の眼はもう嫣然と笑ひかけてゐた。そして淑かな會釋をした。私も慌てゝ禮を返した。
「あの、御勉強のお邪魔を致しまして。――さ、秋子ちやん、お兄さんに御挨拶をなさい。そしてもう彼方へ參りませう。」彼女は鈴を鳴らすやうに滑かに云つた。
 秋子さんはもじ/\しながら、また默つて頭を下げた。そして後向き氣味に姉の片手に縋つて、尻目に私を見返した。
「いゝえ、いゝんです。退屈して遊んでゐたんですから。」私はかう云ひながら秋子さんの方を、もう一度目招ぎした。「ね、いゝから入つていらつしやい。」
 秋子さんはそれには答へないで、姉さんの深紅の帶へ頬を擦りつけながら、「姉ちやん、あちらへ行きませうよ。」と云つた。私は一瞬間この子の技巧が憎らしかつた。
「えゝ行きませう。又お兄さまがお暇な時に來ませうね。――どうもお邪魔しました。」と彼女は妹の身を引寄せながら、襖を靜かに閉めた。そして二人の階子段を下り
る、たど/\しい足音が遠ざかつた。ぼんやり見返つてゐた私の胸には、何だか春のやうな響が殘つた――。
 それが澄子さんと會つた初めだつた。それから彼女は殆んど日曜毎に、いつもの通り遊びに來ると私の室へも訪れた。彼女は私の處に決して長くはゐなかつた。大
抵は姉と二人ぎりで、女同志の低い會話をして歸つた。がその短い間でも、私には換へ難く貴い時になつた。そして偶々何かの都合で、一と日曜彼女が來ないと、堪らなく淋しい氣がした。
0554名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:55:27.290
 すうと入口の襖の開く音がした。私は咄嗟に振り返つた。するとそこには五つか六つ位の、髮を切り下げた女の子が、薄暗い閾口に眼をぱつちり見開いて、默つて立つてゐた。その顏には笑つていゝ
ものなら笑ひ度いと云ふやうな表情があつた。
 私は向き直つて「こちらへいらつしやい。」と招いた。初めて他人に使つた東京語が、喉に支へながらも、とにかく滑かに出たのが嬉しかつた。
 秋子ちやんはまだもじ/\してゐた。それは羞恥の感情からよりも、寧ろ都會の女の兒が、本能的に持つ技巧かららしかつた。
「入つていらつしやい。」私はもう一度繰り返した。そして今度は我ながらまづい云ひ方だと思つた。
 その途端に女の子の背後へ、靜かな紫の影が掠めた。そしてそこへお下げに結つた、白い十六七の女の顏が浮び出た。私は面映く思ひながらも、その花のや
うな顏を見定めた。整つた輪郭を一瞬に見て取つた時、彼女の眼はもう嫣然と笑ひかけてゐた。そして淑かな會釋をした。私も慌てゝ禮を返した。
「あの、御勉強のお邪魔を致しまして。――さ、秋子ちやん、お兄さんに御挨拶をなさい。そしてもう彼方へ參りませう。」彼女は鈴を鳴らすやうに滑かに云つた。
 秋子さんはもじ/\しながら、また默つて頭を下げた。そして後向き氣味に姉の片手に縋つて、尻目に私を見返した。
「いゝえ、いゝんです。退屈して遊んでゐたんですから。」私はかう云ひながら秋子さんの方を、もう一度目招ぎした。「ね、いゝから入つていらつしやい。」
 秋子さんはそれには答へないで、姉さんの深紅の帶へ頬を擦りつけながら、「姉ちやん、あちらへ行きませうよ。」と云つた。私は一瞬間この子の技巧が憎らしかつた。
「えゝ行きませう。又お兄さまがお暇な時に來ませうね。――どうもお邪魔しました。」と彼女は妹の身を引寄せながら、襖を靜かに閉めた。そして二人の階子段を下り
る、たど/\しい足音が遠ざかつた。ぼんやり見返つてゐた私の胸には、何だか春のやうな響が殘つた――。
 それが澄子さんと會つた初めだつた。それから彼女は殆んど日曜毎に、いつもの通り遊びに來ると私の室へも訪れた。彼女は私の處に決して長くはゐなかつた。大
抵は姉と二人ぎりで、女同志の低い會話をして歸つた。がその短い間でも、私には換へ難く貴い時になつた。そして偶々何かの都合で、一と日曜彼女が來ないと、堪らなく淋しい氣がした。
0555名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:55:44.990
 すうと入口の襖の開く音がした。私は咄嗟に振り返つた。するとそこには五つか六つ位の、髮を切り下げた女の子が、薄暗い閾口に眼をぱつちり見開いて、默つて立つてゐた。その顏には笑つていゝ
ものなら笑ひ度いと云ふやうな表情があつた。
 私は向き直つて「こちらへいらつしやい。」と招いた。初めて他人に使つた東京語が、喉に支へながらも、とにかく滑かに出たのが嬉しかつた。
 秋子ちやんはまだもじ/\してゐた。それは羞恥の感情からよりも、寧ろ都會の女の兒が、本能的に持つ技巧かららしかつた。
「入つていらつしやい。」私はもう一度繰り返した。そして今度は我ながらまづい云ひ方だと思つた。
 その途端に女の子の背後へ、靜かな紫の影が掠めた。そしてそこへお下げに結つた、白い十六七の女の顏が浮び出た。私は面映く思ひながらも、その花のや
うな顏を見定めた。整つた輪郭を一瞬に見て取つた時、彼女の眼はもう嫣然と笑ひかけてゐた。そして淑かな會釋をした。私も慌てゝ禮を返した。
「あの、御勉強のお邪魔を致しまして。――さ、秋子ちやん、お兄さんに御挨拶をなさい。そしてもう彼方へ參りませう。」彼女は鈴を鳴らすやうに滑かに云つた。
 秋子さんはもじ/\しながら、また默つて頭を下げた。そして後向き氣味に姉の片手に縋つて、尻目に私を見返した。
「いゝえ、いゝんです。退屈して遊んでゐたんですから。」私はかう云ひながら秋子さんの方を、もう一度目招ぎした。「ね、いゝから入つていらつしやい。」
 秋子さんはそれには答へないで、姉さんの深紅の帶へ頬を擦りつけながら、「姉ちやん、あちらへ行きませうよ。」と云つた。私は一瞬間この子の技巧が憎らしかつた。
「えゝ行きませう。又お兄さまがお暇な時に來ませうね。――どうもお邪魔しました。」と彼女は妹の身を引寄せながら、襖を靜かに閉めた。そして二人の階子段を下り
る、たど/\しい足音が遠ざかつた。ぼんやり見返つてゐた私の胸には、何だか春のやうな響が殘つた――。
 それが澄子さんと會つた初めだつた。それから彼女は殆んど日曜毎に、いつもの通り遊びに來ると私の室へも訪れた。彼女は私の處に決して長くはゐなかつた。大
抵は姉と二人ぎりで、女同志の低い會話をして歸つた。がその短い間でも、私には換へ難く貴い時になつた。そして偶々何かの都合で、一と日曜彼女が來ないと、堪らなく淋しい氣がした。
0556名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:56:42.150
今日は三月一日で、一高に記念祭がある日だ。その盛況は兼々話に聞いてゐたが、もとより私は得意な彼らの、得意の絶頂にある有樣を見に行く氣などはなかつた
。けれども一高出身である義兄が、どこからか入場券を手に入れて來て、姉や澄子さんが是非行くから、是が非でも私に從いて來いと云ふので、私もやむなく行つ
て見ることにした。
 午後になるとすぐ、白金から澄子さんがやつて來た。彼女は盛裝してゐた。いつもより顏も美しいやうな氣がした。私は嬉しいやうな悲しいやうな氣持で、このきら
びやかな彼女の粉飾を見た。彼女をかくまで入念に、化粧せしむる一高と云ふものを、私は讚嘆しながら嫉妬しなければならなかつた。
 二人は姉の支度が出來るのを待ちながら、これから行く記念祭に就ての事を二三話し合つた。澄子さんはこんな事を云つた。
「來
年は貴方に案内して頂けるわね。」
 私は聲を呑んだ。「さあ、どうですかねえ。あてになりませんね。」
「大
丈夫よ。きつと大丈夫だわ。」
 
私は答へなかつた。そして何だか胸を抑へられるやうな氣がした。つく/″\去年入つてゐればよかつたと思つた。入つてゐれば、今日なぞは大手を振つて、かう云

裝ひを凝らした令孃を案内してやれたのだ。さうすればどんなに、澄子さんも喜ぶだらう。そしてどんなに友人たちが、羨望の眼を以て見ただらう。……
 
姉の支度が出來たので、三人は揃つて出掛ける事にした。初春の太陽は午下りながら、薄ぼけた靄をかぶつて天心に在つた。暫く戸外へ出て見ない中に、春はどこ
ともなく地上に搖れ立つてゐた。記念祭にはお誂への天氣だ。

これでは嘸混み合つてゐるだらうと豫測された。
 校門の前は果して人で一つぱいだつた。しかもその大半は着飾つた女だつた。併し見渡した所、澄子さんに優つてゐるものは餘り無かつた。自分は幾らか得意な氣がした。
 
腕に[#「 腕に」は底本では「腕に」]黄色い布を捲いた委員が、「入れてやる」と云はん許りの高慢さで、吾々の入場券を改めた。

 私は昨年の受驗以來、自分の受驗番號の出てゐない掲示を見て來て以來、初めて再びこの校門をくゞつた。
 寮までの沿道には、教室の壁と云はず物置の上と云はず、あらゆる空所にビラが貼つてあつた。而してそれには色々な漫畫や、奇拔な文句で飾り物の廣告がしてあつ
0557名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:56:49.720
今日は三月一日で、一高に記念祭がある日だ。その盛況は兼々話に聞いてゐたが、もとより私は得意な彼らの、得意の絶頂にある有樣を見に行く氣などはなかつた
。けれども一高出身である義兄が、どこからか入場券を手に入れて來て、姉や澄子さんが是非行くから、是が非でも私に從いて來いと云ふので、私もやむなく行つ
て見ることにした。
 午後になるとすぐ、白金から澄子さんがやつて來た。彼女は盛裝してゐた。いつもより顏も美しいやうな氣がした。私は嬉しいやうな悲しいやうな氣持で、このきら
びやかな彼女の粉飾を見た。彼女をかくまで入念に、化粧せしむる一高と云ふものを、私は讚嘆しながら嫉妬しなければならなかつた。
 二人は姉の支度が出來るのを待ちながら、これから行く記念祭に就ての事を二三話し合つた。澄子さんはこんな事を云つた。
「來
年は貴方に案内して頂けるわね。」
 私は聲を呑んだ。「さあ、どうですかねえ。あてになりませんね。」
「大
丈夫よ。きつと大丈夫だわ。」
 
私は答へなかつた。そして何だか胸を抑へられるやうな氣がした。つく/″\去年入つてゐればよかつたと思つた。入つてゐれば、今日なぞは大手を振つて、かう云

裝ひを凝らした令孃を案内してやれたのだ。さうすればどんなに、澄子さんも喜ぶだらう。そしてどんなに友人たちが、羨望の眼を以て見ただらう。……
 
姉の支度が出來たので、三人は揃つて出掛ける事にした。初春の太陽は午下りながら、薄ぼけた靄をかぶつて天心に在つた。暫く戸外へ出て見ない中に、春はどこ
ともなく地上に搖れ立つてゐた。記念祭にはお誂への天氣だ。

これでは嘸混み合つてゐるだらうと豫測された。
 校門の前は果して人で一つぱいだつた。しかもその大半は着飾つた女だつた。併し見渡した所、澄子さんに優つてゐるものは餘り無かつた。自分は幾らか得意な氣がした。
 
腕に[#「 腕に」は底本では「腕に」]黄色い布を捲いた委員が、「入れてやる」と云はん許りの高慢さで、吾々の入場券を改めた。

 私は昨年の受驗以來、自分の受驗番號の出てゐない掲示を見て來て以來、初めて再びこの校門をくゞつた。
 寮までの沿道には、教室の壁と云はず物置の上と云はず、あらゆる空所にビラが貼つてあつた。而してそれには色々な漫畫や、奇拔な文句で飾り物の廣告がしてあつ
0558名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:57:10.810
今日は三月一日で、一高に記念祭がある日だ。その盛況は兼々話に聞いてゐたが、もとより私は得意な彼らの、得意の絶頂にある有樣を見に行く氣などはなかつた
。けれども一高出身である義兄が、どこからか入場券を手に入れて來て、姉や澄子さんが是非行くから、是が非でも私に從いて來いと云ふので、私もやむなく行つ
て見ることにした。
 午後になるとすぐ、白金から澄子さんがやつて來た。彼女は盛裝してゐた。いつもより顏も美しいやうな氣がした。私は嬉しいやうな悲しいやうな氣持で、このきら
びやかな彼女の粉飾を見た。彼女をかくまで入念に、化粧せしむる一高と云ふものを、私は讚嘆しながら嫉妬しなければならなかつた。
 二人は姉の支度が出來るのを待ちながら、これから行く記念祭に就ての事を二三話し合つた。澄子さんはこんな事を云つた。
「來
年は貴方に案内して頂けるわね。」
 私は聲を呑んだ。「さあ、どうですかねえ。あてになりませんね。」
「大
丈夫よ。きつと大丈夫だわ。」
 
私は答へなかつた。そして何だか胸を抑へられるやうな氣がした。つく/″\去年入つてゐればよかつたと思つた。入つてゐれば、今日なぞは大手を振つて、かう云

裝ひを凝らした令孃を案内してやれたのだ。さうすればどんなに、澄子さんも喜ぶだらう。そしてどんなに友人たちが、羨望の眼を以て見ただらう。……
 
姉の支度が出來たので、三人は揃つて出掛ける事にした。初春の太陽は午下りながら、薄ぼけた靄をかぶつて天心に在つた。暫く戸外へ出て見ない中に、春はどこ
ともなく地上に搖れ立つてゐた。記念祭にはお誂への天氣だ。

これでは嘸混み合つてゐるだらうと豫測された。
 校門の前は果して人で一つぱいだつた。しかもその大半は着飾つた女だつた。併し見渡した所、澄子さんに優つてゐるものは餘り無かつた。自分は幾らか得意な氣がした。
 
腕に[#「 腕に」は底本では「腕に」]黄色い布を捲いた委員が、「入れてやる」と云はん許りの高慢さで、吾々の入場券を改めた。

 私は昨年の受驗以來、自分の受驗番號の出てゐない掲示を見て來て以來、初めて再びこの校門をくゞつた。
 寮までの沿道には、教室の壁と云はず物置の上と云はず、あらゆる空所にビラが貼つてあつた。而してそれには色々な漫畫や、奇拔な文句で飾り物の廣告がしてあつ
0559名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:57:20.450
今日は三月一日で、一高に記念祭がある日だ。その盛況は兼々話に聞いてゐたが、もとより私は得意な彼らの、得意の絶頂にある有樣を見に行く氣などはなかつた
。けれども一高出身である義兄が、どこからか入場券を手に入れて來て、姉や澄子さんが是非行くから、是が非でも私に從いて來いと云ふので、私もやむなく行つ
て見ることにした。
 午後になるとすぐ、白金から澄子さんがやつて來た。彼女は盛裝してゐた。いつもより顏も美しいやうな氣がした。私は嬉しいやうな悲しいやうな氣持で、このきら
びやかな彼女の粉飾を見た。彼女をかくまで入念に、化粧せしむる一高と云ふものを、私は讚嘆しながら嫉妬しなければならなかつた。
 二人は姉の支度が出來るのを待ちながら、これから行く記念祭に就ての事を二三話し合つた。澄子さんはこんな事を云つた。
「來
年は貴方に案内して頂けるわね。」
 私は聲を呑んだ。「さあ、どうですかねえ。あてになりませんね。」
「大
丈夫よ。きつと大丈夫だわ。」
 
私は答へなかつた。そして何だか胸を抑へられるやうな氣がした。つく/″\去年入つてゐればよかつたと思つた。入つてゐれば、今日なぞは大手を振つて、かう云

裝ひを凝らした令孃を案内してやれたのだ。さうすればどんなに、澄子さんも喜ぶだらう。そしてどんなに友人たちが、羨望の眼を以て見ただらう。……
 
姉の支度が出來たので、三人は揃つて出掛ける事にした。初春の太陽は午下りながら、薄ぼけた靄をかぶつて天心に在つた。暫く戸外へ出て見ない中に、春はどこ
ともなく地上に搖れ立つてゐた。記念祭にはお誂への天氣だ。

これでは嘸混み合つてゐるだらうと豫測された。
 校門の前は果して人で一つぱいだつた。しかもその大半は着飾つた女だつた。併し見渡した所、澄子さんに優つてゐるものは餘り無かつた。自分は幾らか得意な氣がした。
 
腕に[#「 腕に」は底本では「腕に」]黄色い布を捲いた委員が、「入れてやる」と云はん許りの高慢さで、吾々の入場券を改めた。

 私は昨年の受驗以來、自分の受驗番號の出てゐない掲示を見て來て以來、初めて再びこの校門をくゞつた。
 寮までの沿道には、教室の壁と云はず物置の上と云はず、あらゆる空所にビラが貼つてあつた。而してそれには色々な漫畫や、奇拔な文句で飾り物の廣告がしてあつ
0560名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:57:28.750
今日は三月一日で、一高に記念祭がある日だ。その盛況は兼々話に聞いてゐたが、もとより私は得意な彼らの、得意の絶頂にある有樣を見に行く氣などはなかつた
。けれども一高出身である義兄が、どこからか入場券を手に入れて來て、姉や澄子さんが是非行くから、是が非でも私に從いて來いと云ふので、私もやむなく行つ
て見ることにした。
 午後になるとすぐ、白金から澄子さんがやつて來た。彼女は盛裝してゐた。いつもより顏も美しいやうな氣がした。私は嬉しいやうな悲しいやうな氣持で、このきら
びやかな彼女の粉飾を見た。彼女をかくまで入念に、化粧せしむる一高と云ふものを、私は讚嘆しながら嫉妬しなければならなかつた。
 二人は姉の支度が出來るのを待ちながら、これから行く記念祭に就ての事を二三話し合つた。澄子さんはこんな事を云つた。
「來
年は貴方に案内して頂けるわね。」
 私は聲を呑んだ。「さあ、どうですかねえ。あてになりませんね。」
「大
丈夫よ。きつと大丈夫だわ。」
 
私は答へなかつた。そして何だか胸を抑へられるやうな氣がした。つく/″\去年入つてゐればよかつたと思つた。入つてゐれば、今日なぞは大手を振つて、かう云

裝ひを凝らした令孃を案内してやれたのだ。さうすればどんなに、澄子さんも喜ぶだらう。そしてどんなに友人たちが、羨望の眼を以て見ただらう。……
 
姉の支度が出來たので、三人は揃つて出掛ける事にした。初春の太陽は午下りながら、薄ぼけた靄をかぶつて天心に在つた。暫く戸外へ出て見ない中に、春はどこ
ともなく地上に搖れ立つてゐた。記念祭にはお誂への天氣だ。

これでは嘸混み合つてゐるだらうと豫測された。
 校門の前は果して人で一つぱいだつた。しかもその大半は着飾つた女だつた。併し見渡した所、澄子さんに優つてゐるものは餘り無かつた。自分は幾らか得意な氣がした。
 
腕に[#「 腕に」は底本では「腕に」]黄色い布を捲いた委員が、「入れてやる」と云はん許りの高慢さで、吾々の入場券を改めた。

 私は昨年の受驗以來、自分の受驗番號の出てゐない掲示を見て來て以來、初めて再びこの校門をくゞつた。
 寮までの沿道には、教室の壁と云はず物置の上と云はず、あらゆる空所にビラが貼つてあつた。而してそれには色々な漫畫や、奇拔な文句で飾り物の廣告がしてあつ
0561名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:57:59.340
 何とはなしに私は彼を不愉快に感じた。それでかう云ふと、すぐ待ち合してゐた姉達に追ひつくため急いで彼から立去つた。
「誰方」と一緒になつた時、澄子さんが訊ねた。
「なあに去年推薦で入つた友達ですがね。あいつ自分で入つたやうに威張つてゐるんですよ。案内して呉れるつて云つたんですが、斷つてやりました。」
「あら、案内して頂いたらいゝぢやないの。」澄子さんの顏にはちらと不平が浮んだ。
「なあに大抵解りますよ。」私はかう云ひ切りながら、心では可なり不快だつた。
 三人は南寮から見初めた。見物人は丁度出盛つてゐた。藤と櫻の造花を吊つた廊下は、押されながらにやつと歩く程混み合つた。その中
を姉が一番前に立つた。澄子さんが續いた。私は一番後から護衞のやうに從つた。三人は隔てられたり一緒になつたりして進んだ。
 室々の裝飾は、豫期したやうな立派なものは少なかつた。機智で狡く手を拔いた物なぞに却て面白いのがあつた。「萬物は流る。ベルグソ
ン哲學の原理」と云ふのに、質屋の暖簾が懸けてあるのや、「夜間宙返り飛行」と云ふのに、藥鑵を暗い室の中央に逆さにぶら下げて、見物が、
索を曳くとスヰツチで豆電燈がつくのなぞが、その代表的なものだつた。又寮生活の實際を幾らか誇張した飾り物として、汚らしい寢室の萬年床の
枕許を、南京豆で山積させたのや、「向陵
十二時」と云ふ飛んでもない繪卷を、順々に見せる趣向なぞは、屡々澄子さんに私を顧みて「まあ」なる嘆聲を發せしめた。
 舊寮の廊下は暗くて見物人がもつと混み合つてゐた。殊にその中程の或る室の前では、その精巧なる飾物のために、人足が殊に停滯してゐた。それは
工科生の考案らしく、「運轉手の夢」と題するものであつた。小さい玩具の電車が、向うの隧道の中から出て、そこの花野に敷かれた鐡軌を傳はつて走る中、橋の
ない川に來かゝる。すると水中から突如として鐡橋が都合よくせり上がる。電車はそれを疾走して渡ると、今度は急な山にさしかゝる。けれども遂にその頂上に登り切つ
て、それから更に其上へ出てゐる滿月の口の中へ飛び込むと云ふ仕掛だつた。これは實によく出來てゐた。そしてそれは三分毎に發車するのであつた爲め、それを見るための人が、
室前に押し合ひへし合つてゐた。
0562名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:58:08.530
 何とはなしに私は彼を不愉快に感じた。それでかう云ふと、すぐ待ち合してゐた姉達に追ひつくため急いで彼から立去つた。
「誰方」と一緒になつた時、澄子さんが訊ねた。
「なあに去年推薦で入つた友達ですがね。あいつ自分で入つたやうに威張つてゐるんですよ。案内して呉れるつて云つたんですが、斷つてやりました。」
「あら、案内して頂いたらいゝぢやないの。」澄子さんの顏にはちらと不平が浮んだ。
「なあに大抵解りますよ。」私はかう云ひ切りながら、心では可なり不快だつた。
 三人は南寮から見初めた。見物人は丁度出盛つてゐた。藤と櫻の造花を吊つた廊下は、押されながらにやつと歩く程混み合つた。その中
を姉が一番前に立つた。澄子さんが續いた。私は一番後から護衞のやうに從つた。三人は隔てられたり一緒になつたりして進んだ。
 室々の裝飾は、豫期したやうな立派なものは少なかつた。機智で狡く手を拔いた物なぞに却て面白いのがあつた。「萬物は流る。ベルグソ
ン哲學の原理」と云ふのに、質屋の暖簾が懸けてあるのや、「夜間宙返り飛行」と云ふのに、藥鑵を暗い室の中央に逆さにぶら下げて、見物が、
索を曳くとスヰツチで豆電燈がつくのなぞが、その代表的なものだつた。又寮生活の實際を幾らか誇張した飾り物として、汚らしい寢室の萬年床の
枕許を、南京豆で山積させたのや、「向陵
十二時」と云ふ飛んでもない繪卷を、順々に見せる趣向なぞは、屡々澄子さんに私を顧みて「まあ」なる嘆聲を發せしめた。
 舊寮の廊下は暗くて見物人がもつと混み合つてゐた。殊にその中程の或る室の前では、その精巧なる飾物のために、人足が殊に停滯してゐた。それは
工科生の考案らしく、「運轉手の夢」と題するものであつた。小さい玩具の電車が、向うの隧道の中から出て、そこの花野に敷かれた鐡軌を傳はつて走る中、橋の
ない川に來かゝる。すると水中から突如として鐡橋が都合よくせり上がる。電車はそれを疾走して渡ると、今度は急な山にさしかゝる。けれども遂にその頂上に登り切つ
て、それから更に其上へ出てゐる滿月の口の中へ飛び込むと云ふ仕掛だつた。これは實によく出來てゐた。そしてそれは三分毎に發車するのであつた爲め、それを見るための人が、
室前に押し合ひへし合つてゐた。
0563名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 20:58:17.410
 何とはなしに私は彼を不愉快に感じた。それでかう云ふと、すぐ待ち合してゐた姉達に追ひつくため急いで彼から立去つた。
「誰方」と一緒になつた時、澄子さんが訊ねた。
「なあに去年推薦で入つた友達ですがね。あいつ自分で入つたやうに威張つてゐるんですよ。案内して呉れるつて云つたんですが、斷つてやりました。」
「あら、案内して頂いたらいゝぢやないの。」澄子さんの顏にはちらと不平が浮んだ。
「なあに大抵解りますよ。」私はかう云ひ切りながら、心では可なり不快だつた。
 三人は南寮から見初めた。見物人は丁度出盛つてゐた。藤と櫻の造花を吊つた廊下は、押されながらにやつと歩く程混み合つた。その中
を姉が一番前に立つた。澄子さんが續いた。私は一番後から護衞のやうに從つた。三人は隔てられたり一緒になつたりして進んだ。
 室々の裝飾は、豫期したやうな立派なものは少なかつた。機智で狡く手を拔いた物なぞに却て面白いのがあつた。「萬物は流る。ベルグソ
ン哲學の原理」と云ふのに、質屋の暖簾が懸けてあるのや、「夜間宙返り飛行」と云ふのに、藥鑵を暗い室の中央に逆さにぶら下げて、見物が、
索を曳くとスヰツチで豆電燈がつくのなぞが、その代表的なものだつた。又寮生活の實際を幾らか誇張した飾り物として、汚らしい寢室の萬年床の
枕許を、南京豆で山積させたのや、「向陵
十二時」と云ふ飛んでもない繪卷を、順々に見せる趣向なぞは、屡々澄子さんに私を顧みて「まあ」なる嘆聲を發せしめた。
 舊寮の廊下は暗くて見物人がもつと混み合つてゐた。殊にその中程の或る室の前では、その精巧なる飾物のために、人足が殊に停滯してゐた。それは
工科生の考案らしく、「運轉手の夢」と題するものであつた。小さい玩具の電車が、向うの隧道の中から出て、そこの花野に敷かれた鐡軌を傳はつて走る中、橋の
ない川に來かゝる。すると水中から突如として鐡橋が都合よくせり上がる。電車はそれを疾走して渡ると、今度は急な山にさしかゝる。けれども遂にその頂上に登り切つ
て、それから更に其上へ出てゐる滿月の口の中へ飛び込むと云ふ仕掛だつた。これは實によく出來てゐた。そしてそれは三分毎に發車するのであつた爲め、それを見るための人が、
室前に押し合ひへし合つてゐた。
0564名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:58:27.940
 何とはなしに私は彼を不愉快に感じた。それでかう云ふと、すぐ待ち合してゐた姉達に追ひつくため急いで彼から立去つた。
「誰方」と一緒になつた時、澄子さんが訊ねた。
「なあに去年推薦で入つた友達ですがね。あいつ自分で入つたやうに威張つてゐるんですよ。案内して呉れるつて云つたんですが、斷つてやりました。」
「あら、案内して頂いたらいゝぢやないの。」澄子さんの顏にはちらと不平が浮んだ。
「なあに大抵解りますよ。」私はかう云ひ切りながら、心では可なり不快だつた。
 三人は南寮から見初めた。見物人は丁度出盛つてゐた。藤と櫻の造花を吊つた廊下は、押されながらにやつと歩く程混み合つた。その中
を姉が一番前に立つた。澄子さんが續いた。私は一番後から護衞のやうに從つた。三人は隔てられたり一緒になつたりして進んだ。
 室々の裝飾は、豫期したやうな立派なものは少なかつた。機智で狡く手を拔いた物なぞに却て面白いのがあつた。「萬物は流る。ベルグソ
ン哲學の原理」と云ふのに、質屋の暖簾が懸けてあるのや、「夜間宙返り飛行」と云ふのに、藥鑵を暗い室の中央に逆さにぶら下げて、見物が、
索を曳くとスヰツチで豆電燈がつくのなぞが、その代表的なものだつた。又寮生活の實際を幾らか誇張した飾り物として、汚らしい寢室の萬年床の
枕許を、南京豆で山積させたのや、「向陵
十二時」と云ふ飛んでもない繪卷を、順々に見せる趣向なぞは、屡々澄子さんに私を顧みて「まあ」なる嘆聲を發せしめた。
 舊寮の廊下は暗くて見物人がもつと混み合つてゐた。殊にその中程の或る室の前では、その精巧なる飾物のために、人足が殊に停滯してゐた。それは
工科生の考案らしく、「運轉手の夢」と題するものであつた。小さい玩具の電車が、向うの隧道の中から出て、そこの花野に敷かれた鐡軌を傳はつて走る中、橋の
ない川に來かゝる。すると水中から突如として鐡橋が都合よくせり上がる。電車はそれを疾走して渡ると、今度は急な山にさしかゝる。けれども遂にその頂上に登り切つ
て、それから更に其上へ出てゐる滿月の口の中へ飛び込むと云ふ仕掛だつた。これは實によく出來てゐた。そしてそれは三分毎に發車するのであつた爲め、それを見るための人が、
室前に押し合ひへし合つてゐた。
0565名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 20:58:39.760
 何とはなしに私は彼を不愉快に感じた。それでかう云ふと、すぐ待ち合してゐた姉達に追ひつくため急いで彼から立去つた。
「誰方」と一緒になつた時、澄子さんが訊ねた。
「なあに去年推薦で入つた友達ですがね。あいつ自分で入つたやうに威張つてゐるんですよ。案内して呉れるつて云つたんですが、斷つてやりました。」
「あら、案内して頂いたらいゝぢやないの。」澄子さんの顏にはちらと不平が浮んだ。
「なあに大抵解りますよ。」私はかう云ひ切りながら、心では可なり不快だつた。
 三人は南寮から見初めた。見物人は丁度出盛つてゐた。藤と櫻の造花を吊つた廊下は、押されながらにやつと歩く程混み合つた。その中
を姉が一番前に立つた。澄子さんが續いた。私は一番後から護衞のやうに從つた。三人は隔てられたり一緒になつたりして進んだ。
 室々の裝飾は、豫期したやうな立派なものは少なかつた。機智で狡く手を拔いた物なぞに却て面白いのがあつた。「萬物は流る。ベルグソ
ン哲學の原理」と云ふのに、質屋の暖簾が懸けてあるのや、「夜間宙返り飛行」と云ふのに、藥鑵を暗い室の中央に逆さにぶら下げて、見物が、
索を曳くとスヰツチで豆電燈がつくのなぞが、その代表的なものだつた。又寮生活の實際を幾らか誇張した飾り物として、汚らしい寢室の萬年床の
枕許を、南京豆で山積させたのや、「向陵
十二時」と云ふ飛んでもない繪卷を、順々に見せる趣向なぞは、屡々澄子さんに私を顧みて「まあ」なる嘆聲を發せしめた。
 舊寮の廊下は暗くて見物人がもつと混み合つてゐた。殊にその中程の或る室の前では、その精巧なる飾物のために、人足が殊に停滯してゐた。それは
工科生の考案らしく、「運轉手の夢」と題するものであつた。小さい玩具の電車が、向うの隧道の中から出て、そこの花野に敷かれた鐡軌を傳はつて走る中、橋の
ない川に來かゝる。すると水中から突如として鐡橋が都合よくせり上がる。電車はそれを疾走して渡ると、今度は急な山にさしかゝる。けれども遂にその頂上に登り切つ
て、それから更に其上へ出てゐる滿月の口の中へ飛び込むと云ふ仕掛だつた。これは實によく出來てゐた。そしてそれは三分毎に發車するのであつた爲め、それを見るための人が、
室前に押し合ひへし合つてゐた。
0566名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 21:04:50.250
 私は偶然觸つたやうにして、出來るだけ無意味に彼女の手を取つた。彼女も默つて取らせてゐた。私は自分の慄へる掌の中に、しつとりと汗ばんだ、彈力のある柔かいものを感じてゐた。
人混みは中々動かなかつた。彼女は何にも氣附かぬ如く、肩越しに「運轉手の夢」を覗き込んでゐた。そして身を動かす毎に、氣づかぬほど微に手を握り返した。
 さう云ふ中にも見物は、押され/\て推移した。吾々はやつとその稠密な處を拔け出た。私は先刻と同じく不自然でないやうに、彼女の手を放した。先きに立つた姉は、さつさと歩き出した。
 一と通り寮内を見物して外へ出ると、そこの廣庭には戸山學校の音樂隊が來てゐた。丁度聞き覺えのある「ドナウの流れ」を奏してゐた。三人はその方へ近寄つて行つた。私の心はいつ
になく浮立つた。何だかすべて自分のために、行進曲を奏してゐるやうに思はれた。東寮の三階で叩いてゐる相撲の太鼓も、入口の屋根の上に陣取つて、傍若無人に高聲を發してゐる大學
生の一群も、もう私の癪には障らなかつた。
 吾々が歸途についた時には、まだ蕾の固い校庭の櫻の梢に、ぼんやり傾きかゝつた春日が漂ひ殘つてゐた。
 考へて見ると今日は、壓迫と刺戟とを交互に受けた。家へ歸つたら疲れてぼんやりした。けれどもその底にひそやかな幸福があつた。そして興奮が澱のやうに殘つてゐた。
「勉強しなければならない、今年こそはどうしても入らなければならない。」と思つた。ほんとに心からさう思つた。
 机に向つたら、いつもより頭が冴えてゐるやうだつた。私は一高の記念祭に行つた事を、改めて誰かに感
弟から手紙が來た。卒業試驗はもう濟んだから、卒業式が終り次第、すぐにもう上京したいと云つて來た。私は何だか愕然とした。弟の卒業するのは知つてゐながらも、もうそんな時期に達した
のかと思つた。私はそれを若い次の時代の、吾々を壓倒して來る警告のやうに感じた。さうだ、年少氣鋭の弟たちが、この四月から吾々の恐るべき競爭者として現はれるのだ。全く愚圖愚圖しては
ゐられない。何だか弟の上京を阻止したいやうな心持が、私の心の底にあつた。けれども返事にはさうは書けなかつた。此方の用意は整へて置くから、いつでも都合のいゝ時に、上京せよと云つてやつた。
謝したかつた。
0567名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 21:05:00.920
私は偶然觸つたやうにして、出來るだけ無意味に彼女の手を取つた。彼女も默つて取らせてゐた。私は自分の慄へる掌の中に、しつとりと汗ばんだ、彈力のある柔かいものを感じてゐた。
人混みは中々動かなかつた。彼女は何にも氣附かぬ如く、肩越しに「運轉手の夢」を覗き込んでゐた。そして身を動かす毎に、氣づかぬほど微に手を握り返した。
 さう云ふ中にも見物は、押され/\て推移した。吾々はやつとその稠密な處を拔け出た。私は先刻と同じく不自然でないやうに、彼女の手を放した。先きに立つた姉は、さつさと歩き出した。
 一と通り寮内を見物して外へ出ると、そこの廣庭には戸山學校の音樂隊が來てゐた。丁度聞き覺えのある「ドナウの流れ」を奏してゐた。三人はその方へ近寄つて行つた。私の心はいつ
になく浮立つた。何だかすべて自分のために、行進曲を奏してゐるやうに思はれた。東寮の三階で叩いてゐる相撲の太鼓も、入口の屋根の上に陣取つて、傍若無人に高聲を發してゐる大學
生の一群も、もう私の癪には障らなかつた。
 吾々が歸途についた時には、まだ蕾の固い校庭の櫻の梢に、ぼんやり傾きかゝつた春日が漂ひ殘つてゐた。
 考へて見ると今日は、壓迫と刺戟とを交互に受けた。家へ歸つたら疲れてぼんやりした。けれどもその底にひそやかな幸福があつた。そして興奮が澱のやうに殘つてゐた。
「勉強しなければならない、今年こそはどうしても入らなければならない。」と思つた。ほんとに心からさう思つた。
 机に向つたら、いつもより頭が冴えてゐるやうだつた。私は一高の記念祭に行つた事を、改めて誰かに感
弟から手紙が來た。卒業試驗はもう濟んだから、卒業式が終り次第、すぐにもう上京したいと云つて來た。私は何だか愕然とした。弟の卒業するのは知つてゐながらも、もうそんな時期に達した
のかと思つた。私はそれを若い次の時代の、吾々を壓倒して來る警告のやうに感じた。さうだ、年少氣鋭の弟たちが、この四月から吾々の恐るべき競爭者として現はれるのだ。全く愚圖愚圖しては
ゐられない。何だか弟の上京を阻止したいやうな心持が、私の心の底にあつた。けれども返事にはさうは書けなかつた。此方の用意は整へて置くから、いつでも都合のいゝ時に、上京せよと云つてやつた。
謝したかつた。
0568名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 21:05:06.210
私は偶然觸つたやうにして、出來るだけ無意味に彼女の手を取つた。彼女も默つて取らせてゐた。私は自分の慄へる掌の中に、しつとりと汗ばんだ、彈力のある柔かいものを感じてゐた。
人混みは中々動かなかつた。彼女は何にも氣附かぬ如く、肩越しに「運轉手の夢」を覗き込んでゐた。そして身を動かす毎に、氣づかぬほど微に手を握り返した。
 さう云ふ中にも見物は、押され/\て推移した。吾々はやつとその稠密な處を拔け出た。私は先刻と同じく不自然でないやうに、彼女の手を放した。先きに立つた姉は、さつさと歩き出した。
 一と通り寮内を見物して外へ出ると、そこの廣庭には戸山學校の音樂隊が來てゐた。丁度聞き覺えのある「ドナウの流れ」を奏してゐた。三人はその方へ近寄つて行つた。私の心はいつ
になく浮立つた。何だかすべて自分のために、行進曲を奏してゐるやうに思はれた。東寮の三階で叩いてゐる相撲の太鼓も、入口の屋根の上に陣取つて、傍若無人に高聲を發してゐる大學
生の一群も、もう私の癪には障らなかつた。
 吾々が歸途についた時には、まだ蕾の固い校庭の櫻の梢に、ぼんやり傾きかゝつた春日が漂ひ殘つてゐた。
 考へて見ると今日は、壓迫と刺戟とを交互に受けた。家へ歸つたら疲れてぼんやりした。けれどもその底にひそやかな幸福があつた。そして興奮が澱のやうに殘つてゐた。
「勉強しなければならない、今年こそはどうしても入らなければならない。」と思つた。ほんとに心からさう思つた。
 机に向つたら、いつもより頭が冴えてゐるやうだつた。私は一高の記念祭に行つた事を、改めて誰かに感
弟から手紙が來た。卒業試驗はもう濟んだから、卒業式が終り次第、すぐにもう上京したいと云つて來た。私は何だか愕然とした。弟の卒業するのは知つてゐながらも、もうそんな時期に達した
のかと思つた。私はそれを若い次の時代の、吾々を壓倒して來る警告のやうに感じた。さうだ、年少氣鋭の弟たちが、この四月から吾々の恐るべき競爭者として現はれるのだ。全く愚圖愚圖しては
ゐられない。何だか弟の上京を阻止したいやうな心持が、私の心の底にあつた。けれども返事にはさうは書けなかつた。此方の用意は整へて置くから、いつでも都合のいゝ時に、上京せよと云つてやつた。
謝したかつた。
0569名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 21:05:26.430
私は偶然觸つたやうにして、出來るだけ無意味に彼女の手を取つた。彼女も默つて取らせてゐた。私は自分の慄へる掌の中に、しつとりと汗ばんだ、彈力のある柔かいものを感じてゐた。
人混みは中々動かなかつた。彼女は何にも氣附かぬ如く、肩越しに「運轉手の夢」を覗き込んでゐた。そして身を動かす毎に、氣づかぬほど微に手を握り返した。
 さう云ふ中にも見物は、押され/\て推移した。吾々はやつとその稠密な處を拔け出た。私は先刻と同じく不自然でないやうに、彼女の手を放した。先きに立つた姉は、さつさと歩き出した。
 一と通り寮内を見物して外へ出ると、そこの廣庭には戸山學校の音樂隊が來てゐた。丁度聞き覺えのある「ドナウの流れ」を奏してゐた。三人はその方へ近寄つて行つた。私の心はいつ
になく浮立つた。何だかすべて自分のために、行進曲を奏してゐるやうに思はれた。東寮の三階で叩いてゐる相撲の太鼓も、入口の屋根の上に陣取つて、傍若無人に高聲を發してゐる大學
生の一群も、もう私の癪には障らなかつた。
 吾々が歸途についた時には、まだ蕾の固い校庭の櫻の梢に、ぼんやり傾きかゝつた春日が漂ひ殘つてゐた。
 考へて見ると今日は、壓迫と刺戟とを交互に受けた。家へ歸つたら疲れてぼんやりした。けれどもその底にひそやかな幸福があつた。そして興奮が澱のやうに殘つてゐた。
「勉強しなければならない、今年こそはどうしても入らなければならない。」と思つた。ほんとに心からさう思つた。
 机に向つたら、いつもより頭が冴えてゐるやうだつた。私は一高の記念祭に行つた事を、改めて誰かに感
弟から手紙が來た。卒業試驗はもう濟んだから、卒業式が終り次第、すぐにもう上京したいと云つて來た。私は何だか愕然とした。弟の卒業するのは知つてゐながらも、もうそんな時期に達した
のかと思つた。私はそれを若い次の時代の、吾々を壓倒して來る警告のやうに感じた。さうだ、年少氣鋭の弟たちが、この四月から吾々の恐るべき競爭者として現はれるのだ。全く愚圖愚圖しては
ゐられない。何だか弟の上京を阻止したいやうな心持が、私の心の底にあつた。けれども返事にはさうは書けなかつた。此方の用意は整へて置くから、いつでも都合のいゝ時に、上京せよと云つてやつた。
謝したかつた。
0570名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 21:05:36.930
私は偶然觸つたやうにして、出來るだけ無意味に彼女の手を取つた。彼女も默つて取らせてゐた。私は自分の慄へる掌の中に、しつとりと汗ばんだ、彈力のある柔かいものを感じてゐた。
人混みは中々動かなかつた。彼女は何にも氣附かぬ如く、肩越しに「運轉手の夢」を覗き込んでゐた。そして身を動かす毎に、氣づかぬほど微に手を握り返した。
 さう云ふ中にも見物は、押され/\て推移した。吾々はやつとその稠密な處を拔け出た。私は先刻と同じく不自然でないやうに、彼女の手を放した。先きに立つた姉は、さつさと歩き出した。
 一と通り寮内を見物して外へ出ると、そこの廣庭には戸山學校の音樂隊が來てゐた。丁度聞き覺えのある「ドナウの流れ」を奏してゐた。三人はその方へ近寄つて行つた。私の心はいつ
になく浮立つた。何だかすべて自分のために、行進曲を奏してゐるやうに思はれた。東寮の三階で叩いてゐる相撲の太鼓も、入口の屋根の上に陣取つて、傍若無人に高聲を發してゐる大學
生の一群も、もう私の癪には障らなかつた。
 吾々が歸途についた時には、まだ蕾の固い校庭の櫻の梢に、ぼんやり傾きかゝつた春日が漂ひ殘つてゐた。
 考へて見ると今日は、壓迫と刺戟とを交互に受けた。家へ歸つたら疲れてぼんやりした。けれどもその底にひそやかな幸福があつた。そして興奮が澱のやうに殘つてゐた。
「勉強しなければならない、今年こそはどうしても入らなければならない。」と思つた。ほんとに心からさう思つた。
 机に向つたら、いつもより頭が冴えてゐるやうだつた。私は一高の記念祭に行つた事を、改めて誰かに感
弟から手紙が來た。卒業試驗はもう濟んだから、卒業式が終り次第、すぐにもう上京したいと云つて來た。私は何だか愕然とした。弟の卒業するのは知つてゐながらも、もうそんな時期に達した
のかと思つた。私はそれを若い次の時代の、吾々を壓倒して來る警告のやうに感じた。さうだ、年少氣鋭の弟たちが、この四月から吾々の恐るべき競爭者として現はれるのだ。全く愚圖愚圖しては
ゐられない。何だか弟の上京を阻止したいやうな心持が、私の心の底にあつた。けれども返事にはさうは書けなかつた。此方の用意は整へて置くから、いつでも都合のいゝ時に、上京せよと云つてやつた。
謝したかつた。
0571名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 21:06:46.730
 薄暗い改札口に近く立つて、今着いた汽車から雜然と溢れ出た乘客の流れの中に、暫らくぶりで弟の元氣な顏を見出した時、私は鳥渡の間涙ぐましい氣になつた。私が認めると殆んど同時に
、弟の方でも私を見つけた。むつつりした弟の淺黒い頬にも、さすがに慕はしさうな表情があつた。
「どうだ元氣は。家では皆んな壯健かい。」私はさう挨拶の代りに云つた。
「ええ。」弟はかう簡單に答へながら、夕暮れかゝつた場内の雜沓を、驚いたやうに見てゐた。私はその田舍者らしい弟の樣子を、初めて兄らしい、先輩らしい感情で見た。
 二人は荷物を受取ると、俥を雇つて千駄木の家へ向つた。俥は池の端を通つた。花曇りの空は暮れ早く、不忍池の水面には、花明りの處々した上野の杜からかけて、蒼茫たる色に蔽はれながら、
博覽會の裝飾電燈を夢のやうに映してゐた。去年の自分に引比べて、俥上の弟はさぞ心をときめかせてゐるだらうと思つた。
 義兄の家では例によつて、初めての上京を祝ふ食卓が待つてゐた。去年は自分のために在つた。今年は弟のために設けられたのだ。私は妙な感慨を以て、眼に痛いほど白い卓布を、特別にか
けた餉臺とその中央の花瓶へ、姉が趣味ありげに※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)した、緋桃の小枝をぢつと眺めた。
 義兄はいつもの通り快活だつた。姉は姉らしい温情を、只管弟に見せようとしてゐた。
「健次さん、おまへさんは子供の時分から、きんとんが好きだつたから、西洋料理とはつかないけれどわざわざわたしが拵へたのよ。」姉はそんな事を云つて料理を進めた。
 兄は麥酒のコツプを差出しながら、こんな事を云ひ初めた。「もう中學も出たんですから、一杯やつてもいゝでせう。兄の監督附きなんだから。――ところが此兄貴至つて無精者でね。監督なんぞ
迚も出來やしないんですよ。僕は全く無干渉主義ですからね。その代りあなた方が落第したつて、(と云ひながら私の方をちらりと見た。)別に責任は感じません。が、まあ成るたけなら、しつかりやつ
て呉れるんですな。それは運不運はありますよ。けれども最善さへ盡せば、大抵うまく行くものですからね。さう云ふと少し失禮だが、まあ堪忍して貰ふとして、健吉君の去年の失敗なぞも、一つに
は運も惡かつたと同時に、力を出し切らなかつたせゐだと僕は解釋してゐるんです。」
 私は何だか不快と恥辱から、何
0572名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 21:06:55.860
 薄暗い改札口に近く立つて、今着いた汽車から雜然と溢れ出た乘客の流れの中に、暫らくぶりで弟の元氣な顏を見出した時、私は鳥渡の間涙ぐましい氣になつた。私が認めると殆んど同時に
、弟の方でも私を見つけた。むつつりした弟の淺黒い頬にも、さすがに慕はしさうな表情があつた。
「どうだ元氣は。家では皆んな壯健かい。」私はさう挨拶の代りに云つた。
「ええ。」弟はかう簡單に答へながら、夕暮れかゝつた場内の雜沓を、驚いたやうに見てゐた。私はその田舍者らしい弟の樣子を、初めて兄らしい、先輩らしい感情で見た。
 二人は荷物を受取ると、俥を雇つて千駄木の家へ向つた。俥は池の端を通つた。花曇りの空は暮れ早く、不忍池の水面には、花明りの處々した上野の杜からかけて、蒼茫たる色に蔽はれながら、
博覽會の裝飾電燈を夢のやうに映してゐた。去年の自分に引比べて、俥上の弟はさぞ心をときめかせてゐるだらうと思つた。
 義兄の家では例によつて、初めての上京を祝ふ食卓が待つてゐた。去年は自分のために在つた。今年は弟のために設けられたのだ。私は妙な感慨を以て、眼に痛いほど白い卓布を、特別にか
けた餉臺とその中央の花瓶へ、姉が趣味ありげに※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)した、緋桃の小枝をぢつと眺めた。
 義兄はいつもの通り快活だつた。姉は姉らしい温情を、只管弟に見せようとしてゐた。
「健次さん、おまへさんは子供の時分から、きんとんが好きだつたから、西洋料理とはつかないけれどわざわざわたしが拵へたのよ。」姉はそんな事を云つて料理を進めた。
 兄は麥酒のコツプを差出しながら、こんな事を云ひ初めた。「もう中學も出たんですから、一杯やつてもいゝでせう。兄の監督附きなんだから。――ところが此兄貴至つて無精者でね。監督なんぞ
迚も出來やしないんですよ。僕は全く無干渉主義ですからね。その代りあなた方が落第したつて、(と云ひながら私の方をちらりと見た。)別に責任は感じません。が、まあ成るたけなら、しつかりやつ
て呉れるんですな。それは運不運はありますよ。けれども最善さへ盡せば、大抵うまく行くものですからね。さう云ふと少し失禮だが、まあ堪忍して貰ふとして、健吉君の去年の失敗なぞも、一つに
は運も惡かつたと同時に、力を出し切らなかつたせゐだと僕は解釋してゐるんです。」
 私は何だか不快と恥辱から、何
0573名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 21:07:13.400
 薄暗い改札口に近く立つて、今着いた汽車から雜然と溢れ出た乘客の流れの中に、暫らくぶりで弟の元氣な顏を見出した時、私は鳥渡の間涙ぐましい氣になつた。私が認めると殆んど同時に
、弟の方でも私を見つけた。むつつりした弟の淺黒い頬にも、さすがに慕はしさうな表情があつた。
「どうだ元氣は。家では皆んな壯健かい。」私はさう挨拶の代りに云つた。
「ええ。」弟はかう簡單に答へながら、夕暮れかゝつた場内の雜沓を、驚いたやうに見てゐた。私はその田舍者らしい弟の樣子を、初めて兄らしい、先輩らしい感情で見た。
 二人は荷物を受取ると、俥を雇つて千駄木の家へ向つた。俥は池の端を通つた。花曇りの空は暮れ早く、不忍池の水面には、花明りの處々した上野の杜からかけて、蒼茫たる色に蔽はれながら、
博覽會の裝飾電燈を夢のやうに映してゐた。去年の自分に引比べて、俥上の弟はさぞ心をときめかせてゐるだらうと思つた。
 義兄の家では例によつて、初めての上京を祝ふ食卓が待つてゐた。去年は自分のために在つた。今年は弟のために設けられたのだ。私は妙な感慨を以て、眼に痛いほど白い卓布を、特別にか
けた餉臺とその中央の花瓶へ、姉が趣味ありげに※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)した、緋桃の小枝をぢつと眺めた。
 義兄はいつもの通り快活だつた。姉は姉らしい温情を、只管弟に見せようとしてゐた。
「健次さん、おまへさんは子供の時分から、きんとんが好きだつたから、西洋料理とはつかないけれどわざわざわたしが拵へたのよ。」姉はそんな事を云つて料理を進めた。
 兄は麥酒のコツプを差出しながら、こんな事を云ひ初めた。「もう中學も出たんですから、一杯やつてもいゝでせう。兄の監督附きなんだから。――ところが此兄貴至つて無精者でね。監督なんぞ
迚も出來やしないんですよ。僕は全く無干渉主義ですからね。その代りあなた方が落第したつて、(と云ひながら私の方をちらりと見た。)別に責任は感じません。が、まあ成るたけなら、しつかりやつ
て呉れるんですな。それは運不運はありますよ。けれども最善さへ盡せば、大抵うまく行くものですからね。さう云ふと少し失禮だが、まあ堪忍して貰ふとして、健吉君の去年の失敗なぞも、一つに
は運も惡かつたと同時に、力を出し切らなかつたせゐだと僕は解釋してゐるんです。」
 私は何だか不快と恥辱から、何
0574名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 21:07:27.080
 薄暗い改札口に近く立つて、今着いた汽車から雜然と溢れ出た乘客の流れの中に、暫らくぶりで弟の元氣な顏を見出した時、私は鳥渡の間涙ぐましい氣になつた。私が認めると殆んど同時に
、弟の方でも私を見つけた。むつつりした弟の淺黒い頬にも、さすがに慕はしさうな表情があつた。
「どうだ元氣は。家では皆んな壯健かい。」私はさう挨拶の代りに云つた。
「ええ。」弟はかう簡單に答へながら、夕暮れかゝつた場内の雜沓を、驚いたやうに見てゐた。私はその田舍者らしい弟の樣子を、初めて兄らしい、先輩らしい感情で見た。
 二人は荷物を受取ると、俥を雇つて千駄木の家へ向つた。俥は池の端を通つた。花曇りの空は暮れ早く、不忍池の水面には、花明りの處々した上野の杜からかけて、蒼茫たる色に蔽はれながら、
博覽會の裝飾電燈を夢のやうに映してゐた。去年の自分に引比べて、俥上の弟はさぞ心をときめかせてゐるだらうと思つた。
 義兄の家では例によつて、初めての上京を祝ふ食卓が待つてゐた。去年は自分のために在つた。今年は弟のために設けられたのだ。私は妙な感慨を以て、眼に痛いほど白い卓布を、特別にか
けた餉臺とその中央の花瓶へ、姉が趣味ありげに※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)した、緋桃の小枝をぢつと眺めた。
 義兄はいつもの通り快活だつた。姉は姉らしい温情を、只管弟に見せようとしてゐた。
「健次さん、おまへさんは子供の時分から、きんとんが好きだつたから、西洋料理とはつかないけれどわざわざわたしが拵へたのよ。」姉はそんな事を云つて料理を進めた。
 兄は麥酒のコツプを差出しながら、こんな事を云ひ初めた。「もう中學も出たんですから、一杯やつてもいゝでせう。兄の監督附きなんだから。――ところが此兄貴至つて無精者でね。監督なんぞ
迚も出來やしないんですよ。僕は全く無干渉主義ですからね。その代りあなた方が落第したつて、(と云ひながら私の方をちらりと見た。)別に責任は感じません。が、まあ成るたけなら、しつかりやつ
て呉れるんですな。それは運不運はありますよ。けれども最善さへ盡せば、大抵うまく行くものですからね。さう云ふと少し失禮だが、まあ堪忍して貰ふとして、健吉君の去年の失敗なぞも、一つに
は運も惡かつたと同時に、力を出し切らなかつたせゐだと僕は解釋してゐるんです。」
 私は何だか不快と恥辱から、何
0575名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 21:07:37.410
 薄暗い改札口に近く立つて、今着いた汽車から雜然と溢れ出た乘客の流れの中に、暫らくぶりで弟の元氣な顏を見出した時、私は鳥渡の間涙ぐましい氣になつた。私が認めると殆んど同時に
、弟の方でも私を見つけた。むつつりした弟の淺黒い頬にも、さすがに慕はしさうな表情があつた。
「どうだ元氣は。家では皆んな壯健かい。」私はさう挨拶の代りに云つた。
「ええ。」弟はかう簡單に答へながら、夕暮れかゝつた場内の雜沓を、驚いたやうに見てゐた。私はその田舍者らしい弟の樣子を、初めて兄らしい、先輩らしい感情で見た。
 二人は荷物を受取ると、俥を雇つて千駄木の家へ向つた。俥は池の端を通つた。花曇りの空は暮れ早く、不忍池の水面には、花明りの處々した上野の杜からかけて、蒼茫たる色に蔽はれながら、
博覽會の裝飾電燈を夢のやうに映してゐた。去年の自分に引比べて、俥上の弟はさぞ心をときめかせてゐるだらうと思つた。
 義兄の家では例によつて、初めての上京を祝ふ食卓が待つてゐた。去年は自分のために在つた。今年は弟のために設けられたのだ。私は妙な感慨を以て、眼に痛いほど白い卓布を、特別にか
けた餉臺とその中央の花瓶へ、姉が趣味ありげに※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)した、緋桃の小枝をぢつと眺めた。
 義兄はいつもの通り快活だつた。姉は姉らしい温情を、只管弟に見せようとしてゐた。
「健次さん、おまへさんは子供の時分から、きんとんが好きだつたから、西洋料理とはつかないけれどわざわざわたしが拵へたのよ。」姉はそんな事を云つて料理を進めた。
 兄は麥酒のコツプを差出しながら、こんな事を云ひ初めた。「もう中學も出たんですから、一杯やつてもいゝでせう。兄の監督附きなんだから。――ところが此兄貴至つて無精者でね。監督なんぞ
迚も出來やしないんですよ。僕は全く無干渉主義ですからね。その代りあなた方が落第したつて、(と云ひながら私の方をちらりと見た。)別に責任は感じません。が、まあ成るたけなら、しつかりやつ
て呉れるんですな。それは運不運はありますよ。けれども最善さへ盡せば、大抵うまく行くものですからね。さう云ふと少し失禮だが、まあ堪忍して貰ふとして、健吉君の去年の失敗なぞも、一つに
は運も惡かつたと同時に、力を出し切らなかつたせゐだと僕は解釋してゐるんです。」
 私は何だか不快と恥辱から、何
0576名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 21:11:51.770
時には二人で數學の難問なぞを見つけて、競爭的に解いたりする事もあつた。すると大抵私の方が早く考へついた。そんな時は何となく自信がついたやうな氣がした。併し松井を標準にしてゐる安心が甚だ危險なものである事は私も知つ
てゐた。知つてゐながら、知らず識らずに私はその自信にすら驕つた。
 或る時かう云ふ事があつた。松井が或る友達の處へ行つて、幾何の難問を一つ聞いて來た。それはその數學に得意な友人さへ、解き得ずに苦しんでゐたものだつた。
「どうだい。君も考へて見ないかい。是が出來れば數學の實力はもう大丈夫だぜ。」松井はかう云つて私を誘つた。彼のその顏には、私も大方出來ないだらうと云ふ、豫期があり/\現はれてゐた。
「それぢや一つやつて見ようか。」私はさう云つて問題を取り上げた。なるほどどこから手を附けていゝか解らないやうな難問だつた。私は一人で自分の室へ來て、その午後中考へぬいた。勿論頭の重いのは癒つてゐなかつたので、久しく
思考を費してゐると、とう/\ボンヤリして了つた。そこでぶらりと散歩に出た。それでも問題は頭にこびり附いてゐた。一と通り江戸川端を歩いて、水道端から小日向臺へ上らうとした。その時寺へ歸る坂の途中で、ふとその解き方の端緒が浮ん
だ。自分は小躍りした。そして急いで室へ歸ると、新らしい作圖を引いてやつてみた。やうやく解けた! 私は急いで次の間にゐる松井に呼びかけた。
「おい出來たよ。やつと考へついた。」
「さうか。どうやるんだ。」松井は別に驚嘆もしないで、さう云ひながら入つて來た。
 私は得意になつて説明してやつた。松井は「うむ、うむ」と云つて聞いてゐた。そして解き終つた時、
「成程なか/\面倒だね。」と云ひながら、まだよくは飮み込めてゐないらしく、作圖をと見かう見してゐた。私の氣持はいつになく晴れやかだつた。
 その二三日後だつた。私は散歩の序に義兄の家に寄つた。弟は相變らずむつつりと、机の前に坐つてゐた。
「どうだ勉強は。盛んにやつてるかい。」私は訊ねてみた。
「えゝ。何だかこの頃は少しだれ氣味で困ります。この間から一日十二時間勵行の日課を立てたんですが、なか/\時間割通りに行かないんで、姉さんに笑はれました。精々やつて十時間ですね。」
「そんなにやれるものか。」私は尠からず驚きながら反問した。
「だつて六時に起きて夜の十一時までやつて御覽なさい
0577名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 21:12:28.690
時には二人で數學の難問なぞを見つけて、競爭的に解いたりする事もあつた。すると大抵私の方が早く考へついた。そんな時は何となく自信がついたやうな氣がした。併し松井を標準にしてゐる安心が甚だ危險なものである事は私も知つ
てゐた。知つてゐながら、知らず識らずに私はその自信にすら驕つた。
 或る時かう云ふ事があつた。松井が或る友達の處へ行つて、幾何の難問を一つ聞いて來た。それはその數學に得意な友人さへ、解き得ずに苦しんでゐたものだつた。
「どうだい。君も考へて見ないかい。是が出來れば數學の實力はもう大丈夫だぜ。」松井はかう云つて私を誘つた。彼のその顏には、私も大方出來ないだらうと云ふ、豫期があり/\現はれてゐた。
「それぢや一つやつて見ようか。」私はさう云つて問題を取り上げた。なるほどどこから手を附けていゝか解らないやうな難問だつた。私は一人で自分の室へ來て、その午後中考へぬいた。勿論頭の重いのは癒つてゐなかつたので、久しく
思考を費してゐると、とう/\ボンヤリして了つた。そこでぶらりと散歩に出た。それでも問題は頭にこびり附いてゐた。一と通り江戸川端を歩いて、水道端から小日向臺へ上らうとした。その時寺へ歸る坂の途中で、ふとその解き方の端緒が浮ん
だ。自分は小躍りした。そして急いで室へ歸ると、新らしい作圖を引いてやつてみた。やうやく解けた! 私は急いで次の間にゐる松井に呼びかけた。
「おい出來たよ。やつと考へついた。」
「さうか。どうやるんだ。」松井は別に驚嘆もしないで、さう云ひながら入つて來た。
 私は得意になつて説明してやつた。松井は「うむ、うむ」と云つて聞いてゐた。そして解き終つた時、
「成程なか/\面倒だね。」と云ひながら、まだよくは飮み込めてゐないらしく、作圖をと見かう見してゐた。私の氣持はいつになく晴れやかだつた。
 その二三日後だつた。私は散歩の序に義兄の家に寄つた。弟は相變らずむつつりと、机の前に坐つてゐた。
「どうだ勉強は。盛んにやつてるかい。」私は訊ねてみた。
「えゝ。何だかこの頃は少しだれ氣味で困ります。この間から一日十二時間勵行の日課を立てたんですが、なか/\時間割通りに行かないんで、姉さんに笑はれました。精々やつて十時間ですね。」
「そんなにやれるものか。」私は尠からず驚きながら反問した。
「だつて六時に起きて夜の十一時までやつて御覽なさい
0578名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 21:12:36.690
時には二人で數學の難問なぞを見つけて、競爭的に解いたりする事もあつた。すると大抵私の方が早く考へついた。そんな時は何となく自信がついたやうな氣がした。併し松井を標準にしてゐる安心が甚だ危險なものである事は私も知つ
てゐた。知つてゐながら、知らず識らずに私はその自信にすら驕つた。
 或る時かう云ふ事があつた。松井が或る友達の處へ行つて、幾何の難問を一つ聞いて來た。それはその數學に得意な友人さへ、解き得ずに苦しんでゐたものだつた。
「どうだい。君も考へて見ないかい。是が出來れば數學の實力はもう大丈夫だぜ。」松井はかう云つて私を誘つた。彼のその顏には、私も大方出來ないだらうと云ふ、豫期があり/\現はれてゐた。
「それぢや一つやつて見ようか。」私はさう云つて問題を取り上げた。なるほどどこから手を附けていゝか解らないやうな難問だつた。私は一人で自分の室へ來て、その午後中考へぬいた。勿論頭の重いのは癒つてゐなかつたので、久しく
思考を費してゐると、とう/\ボンヤリして了つた。そこでぶらりと散歩に出た。それでも問題は頭にこびり附いてゐた。一と通り江戸川端を歩いて、水道端から小日向臺へ上らうとした。その時寺へ歸る坂の途中で、ふとその解き方の端緒が浮ん
だ。自分は小躍りした。そして急いで室へ歸ると、新らしい作圖を引いてやつてみた。やうやく解けた! 私は急いで次の間にゐる松井に呼びかけた。
「おい出來たよ。やつと考へついた。」
「さうか。どうやるんだ。」松井は別に驚嘆もしないで、さう云ひながら入つて來た。
 私は得意になつて説明してやつた。松井は「うむ、うむ」と云つて聞いてゐた。そして解き終つた時、
「成程なか/\面倒だね。」と云ひながら、まだよくは飮み込めてゐないらしく、作圖をと見かう見してゐた。私の氣持はいつになく晴れやかだつた。
 その二三日後だつた。私は散歩の序に義兄の家に寄つた。弟は相變らずむつつりと、机の前に坐つてゐた。
「どうだ勉強は。盛んにやつてるかい。」私は訊ねてみた。
「えゝ。何だかこの頃は少しだれ氣味で困ります。この間から一日十二時間勵行の日課を立てたんですが、なか/\時間割通りに行かないんで、姉さんに笑はれました。精々やつて十時間ですね。」
「そんなにやれるものか。」私は尠からず驚きながら反問した。
「だつて六時に起きて夜の十一時までやつて御覽なさい
0579名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 21:12:45.590
時には二人で數學の難問なぞを見つけて、競爭的に解いたりする事もあつた。すると大抵私の方が早く考へついた。そんな時は何となく自信がついたやうな氣がした。併し松井を標準にしてゐる安心が甚だ危險なものである事は私も知つ
てゐた。知つてゐながら、知らず識らずに私はその自信にすら驕つた。
 或る時かう云ふ事があつた。松井が或る友達の處へ行つて、幾何の難問を一つ聞いて來た。それはその數學に得意な友人さへ、解き得ずに苦しんでゐたものだつた。
「どうだい。君も考へて見ないかい。是が出來れば數學の實力はもう大丈夫だぜ。」松井はかう云つて私を誘つた。彼のその顏には、私も大方出來ないだらうと云ふ、豫期があり/\現はれてゐた。
「それぢや一つやつて見ようか。」私はさう云つて問題を取り上げた。なるほどどこから手を附けていゝか解らないやうな難問だつた。私は一人で自分の室へ來て、その午後中考へぬいた。勿論頭の重いのは癒つてゐなかつたので、久しく
思考を費してゐると、とう/\ボンヤリして了つた。そこでぶらりと散歩に出た。それでも問題は頭にこびり附いてゐた。一と通り江戸川端を歩いて、水道端から小日向臺へ上らうとした。その時寺へ歸る坂の途中で、ふとその解き方の端緒が浮ん
だ。自分は小躍りした。そして急いで室へ歸ると、新らしい作圖を引いてやつてみた。やうやく解けた! 私は急いで次の間にゐる松井に呼びかけた。
「おい出來たよ。やつと考へついた。」
「さうか。どうやるんだ。」松井は別に驚嘆もしないで、さう云ひながら入つて來た。
 私は得意になつて説明してやつた。松井は「うむ、うむ」と云つて聞いてゐた。そして解き終つた時、
「成程なか/\面倒だね。」と云ひながら、まだよくは飮み込めてゐないらしく、作圖をと見かう見してゐた。私の氣持はいつになく晴れやかだつた。
 その二三日後だつた。私は散歩の序に義兄の家に寄つた。弟は相變らずむつつりと、机の前に坐つてゐた。
「どうだ勉強は。盛んにやつてるかい。」私は訊ねてみた。
「えゝ。何だかこの頃は少しだれ氣味で困ります。この間から一日十二時間勵行の日課を立てたんですが、なか/\時間割通りに行かないんで、姉さんに笑はれました。精々やつて十時間ですね。」
「そんなにやれるものか。」私は尠からず驚きながら反問した。
「だつて六時に起きて夜の十一時までやつて御覽なさい
0580名無しさん@明日があるさ
垢版 |
2019/06/26(水) 21:12:53.620
時には二人で數學の難問なぞを見つけて、競爭的に解いたりする事もあつた。すると大抵私の方が早く考へついた。そんな時は何となく自信がついたやうな氣がした。併し松井を標準にしてゐる安心が甚だ危險なものである事は私も知つ
てゐた。知つてゐながら、知らず識らずに私はその自信にすら驕つた。
 或る時かう云ふ事があつた。松井が或る友達の處へ行つて、幾何の難問を一つ聞いて來た。それはその數學に得意な友人さへ、解き得ずに苦しんでゐたものだつた。
「どうだい。君も考へて見ないかい。是が出來れば數學の實力はもう大丈夫だぜ。」松井はかう云つて私を誘つた。彼のその顏には、私も大方出來ないだらうと云ふ、豫期があり/\現はれてゐた。
「それぢや一つやつて見ようか。」私はさう云つて問題を取り上げた。なるほどどこから手を附けていゝか解らないやうな難問だつた。私は一人で自分の室へ來て、その午後中考へぬいた。勿論頭の重いのは癒つてゐなかつたので、久しく
思考を費してゐると、とう/\ボンヤリして了つた。そこでぶらりと散歩に出た。それでも問題は頭にこびり附いてゐた。一と通り江戸川端を歩いて、水道端から小日向臺へ上らうとした。その時寺へ歸る坂の途中で、ふとその解き方の端緒が浮ん
だ。自分は小躍りした。そして急いで室へ歸ると、新らしい作圖を引いてやつてみた。やうやく解けた! 私は急いで次の間にゐる松井に呼びかけた。
「おい出來たよ。やつと考へついた。」
「さうか。どうやるんだ。」松井は別に驚嘆もしないで、さう云ひながら入つて來た。
 私は得意になつて説明してやつた。松井は「うむ、うむ」と云つて聞いてゐた。そして解き終つた時、
「成程なか/\面倒だね。」と云ひながら、まだよくは飮み込めてゐないらしく、作圖をと見かう見してゐた。私の氣持はいつになく晴れやかだつた。
 その二三日後だつた。私は散歩の序に義兄の家に寄つた。弟は相變らずむつつりと、机の前に坐つてゐた。
「どうだ勉強は。盛んにやつてるかい。」私は訊ねてみた。
「えゝ。何だかこの頃は少しだれ氣味で困ります。この間から一日十二時間勵行の日課を立てたんですが、なか/\時間割通りに行かないんで、姉さんに笑はれました。精々やつて十時間ですね。」
「そんなにやれるものか。」私は尠からず驚きながら反問した。
「だつて六時に起きて夜の十一時までやつて御覽なさい
0581名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 21:13:00.930
時には二人で數學の難問なぞを見つけて、競爭的に解いたりする事もあつた。すると大抵私の方が早く考へついた。そんな時は何となく自信がついたやうな氣がした。併し松井を標準にしてゐる安心が甚だ危險なものである事は私も知つ
てゐた。知つてゐながら、知らず識らずに私はその自信にすら驕つた。
 或る時かう云ふ事があつた。松井が或る友達の處へ行つて、幾何の難問を一つ聞いて來た。それはその數學に得意な友人さへ、解き得ずに苦しんでゐたものだつた。
「どうだい。君も考へて見ないかい。是が出來れば數學の實力はもう大丈夫だぜ。」松井はかう云つて私を誘つた。彼のその顏には、私も大方出來ないだらうと云ふ、豫期があり/\現はれてゐた。
「それぢや一つやつて見ようか。」私はさう云つて問題を取り上げた。なるほどどこから手を附けていゝか解らないやうな難問だつた。私は一人で自分の室へ來て、その午後中考へぬいた。勿論頭の重いのは癒つてゐなかつたので、久しく
思考を費してゐると、とう/\ボンヤリして了つた。そこでぶらりと散歩に出た。それでも問題は頭にこびり附いてゐた。一と通り江戸川端を歩いて、水道端から小日向臺へ上らうとした。その時寺へ歸る坂の途中で、ふとその解き方の端緒が浮ん
だ。自分は小躍りした。そして急いで室へ歸ると、新らしい作圖を引いてやつてみた。やうやく解けた! 私は急いで次の間にゐる松井に呼びかけた。
「おい出來たよ。やつと考へついた。」
「さうか。どうやるんだ。」松井は別に驚嘆もしないで、さう云ひながら入つて來た。
 私は得意になつて説明してやつた。松井は「うむ、うむ」と云つて聞いてゐた。そして解き終つた時、
「成程なか/\面倒だね。」と云ひながら、まだよくは飮み込めてゐないらしく、作圖をと見かう見してゐた。私の氣持はいつになく晴れやかだつた。
 その二三日後だつた。私は散歩の序に義兄の家に寄つた。弟は相變らずむつつりと、机の前に坐つてゐた。
「どうだ勉強は。盛んにやつてるかい。」私は訊ねてみた。
「えゝ。何だかこの頃は少しだれ氣味で困ります。この間から一日十二時間勵行の日課を立てたんですが、なか/\時間割通りに行かないんで、姉さんに笑はれました。精々やつて十時間ですね。」
「そんなにやれるものか。」私は尠からず驚きながら反問した。
「だつて六時に起きて夜の十一時までやつて御覽なさい
0582名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 21:13:42.720
 かう云ふ間にも、澄子さんの事は忘れられなかつた。
 日曜日毎には、私もきつと午前から義兄の家へ遊びに行つた。そして午後から澄子さんの來るのを待つた。併しさう繁々、澄子さんの來る日のみ目がけて、千駄木へ
行く事は氣がひけた。それで時々は他の日も訪れた。日曜日にも行き度いのを抑へて、三度に一度は我慢した。併しそんな日は家にゐても、少しも勉強が手につかなかつた。どうかするとかけ
違つて、二度も續けて澄子さんに會へない事があつた。或る日は私の行き方が遲かつた。
「先刻まで澄子さんがゐたんだけれど、三時からお友達のお宅へ行くんだつて、一時間ばかりゐて歸つて行つたよ。」と姉は私を見て微笑みながら低くつけ加へた。「お氣の毒さま……」
「馬鹿な。――」私は紅くなつて物が云へなかつた。
「澄子さんはこの頃健吉さんに久しくお目にかゝらないが、どうかしたかつて聞いてたよ。」
 姉は私のぽつとなるのを面白がつて追窮するらしかつた。私は内心それが嬉しかつた。
「僕だつてこの頃は勉強してゐるんですよ。」私はさう云ひながら、今迄の不勉強を自分で恥かしがつた。これからはきつと勉強しようと思つた。
 姉は猶も續けて同じ話に固執した。
「だけれど健吉ちやんも氣をお附けなさい。あの子はそれあ無邪氣なんですから。誰とでもすぐお友達になるのよ。健次さんとだつて、もう兄弟のやうに仲がよくつてよ。」
 私はどきりとした。姉の警告には私のぼんやり怖れてゐるものがあつたからだ。けれども私はさりげなく答へた。
「僕は別に何とも思つてやしないんですから、大丈夫ですよ。だから姉さんなんぞ、いくら冷かしたつて駄目です。」
 姉は眼で笑つて答へなかつた。
 實際弟と澄子さんとは、僕が寺へ移つて以來、特に親しくなつたやうに、私には感ぜられた。併しそれを私は自分の僻みだと思ひ返してゐた。弟はいつも家にゐるし、私は
外にゐるので、會ふ機會が自然弟の方に多くなると云ふ、位置の上からのみ生じた、何でもない親しさだと解釋してゐた。併し戀はさう云ふ位置からの
み生ずる、とも思つた。そして少しは不安を感じてゐた。
 二人の親しさを裏書する實例には、私も今迄一つ二つ出會つてゐた。
0583名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 21:13:58.400
 かう云ふ間にも、澄子さんの事は忘れられなかつた。
 日曜日毎には、私もきつと午前から義兄の家へ遊びに行つた。そして午後から澄子さんの來るのを待つた。併しさう繁々、澄子さんの來る日のみ目がけて、千駄木へ
行く事は氣がひけた。それで時々は他の日も訪れた。日曜日にも行き度いのを抑へて、三度に一度は我慢した。併しそんな日は家にゐても、少しも勉強が手につかなかつた。どうかするとかけ
違つて、二度も續けて澄子さんに會へない事があつた。或る日は私の行き方が遲かつた。
「先刻まで澄子さんがゐたんだけれど、三時からお友達のお宅へ行くんだつて、一時間ばかりゐて歸つて行つたよ。」と姉は私を見て微笑みながら低くつけ加へた。「お氣の毒さま……」
「馬鹿な。――」私は紅くなつて物が云へなかつた。
「澄子さんはこの頃健吉さんに久しくお目にかゝらないが、どうかしたかつて聞いてたよ。」
 姉は私のぽつとなるのを面白がつて追窮するらしかつた。私は内心それが嬉しかつた。
「僕だつてこの頃は勉強してゐるんですよ。」私はさう云ひながら、今迄の不勉強を自分で恥かしがつた。これからはきつと勉強しようと思つた。
 姉は猶も續けて同じ話に固執した。
「だけれど健吉ちやんも氣をお附けなさい。あの子はそれあ無邪氣なんですから。誰とでもすぐお友達になるのよ。健次さんとだつて、もう兄弟のやうに仲がよくつてよ。」
 私はどきりとした。姉の警告には私のぼんやり怖れてゐるものがあつたからだ。けれども私はさりげなく答へた。
「僕は別に何とも思つてやしないんですから、大丈夫ですよ。だから姉さんなんぞ、いくら冷かしたつて駄目です。」
 姉は眼で笑つて答へなかつた。
 實際弟と澄子さんとは、僕が寺へ移つて以來、特に親しくなつたやうに、私には感ぜられた。併しそれを私は自分の僻みだと思ひ返してゐた。弟はいつも家にゐるし、私は
外にゐるので、會ふ機會が自然弟の方に多くなると云ふ、位置の上からのみ生じた、何でもない親しさだと解釋してゐた。併し戀はさう云ふ位置からの
み生ずる、とも思つた。そして少しは不安を感じてゐた。
 二人の親しさを裏書する實例には、私も今迄一つ二つ出會つてゐた。
0584名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 21:14:09.500
 かう云ふ間にも、澄子さんの事は忘れられなかつた。
 日曜日毎には、私もきつと午前から義兄の家へ遊びに行つた。そして午後から澄子さんの來るのを待つた。併しさう繁々、澄子さんの來る日のみ目がけて、千駄木へ
行く事は氣がひけた。それで時々は他の日も訪れた。日曜日にも行き度いのを抑へて、三度に一度は我慢した。併しそんな日は家にゐても、少しも勉強が手につかなかつた。どうかするとかけ
違つて、二度も續けて澄子さんに會へない事があつた。或る日は私の行き方が遲かつた。
「先刻まで澄子さんがゐたんだけれど、三時からお友達のお宅へ行くんだつて、一時間ばかりゐて歸つて行つたよ。」と姉は私を見て微笑みながら低くつけ加へた。「お氣の毒さま……」
「馬鹿な。――」私は紅くなつて物が云へなかつた。
「澄子さんはこの頃健吉さんに久しくお目にかゝらないが、どうかしたかつて聞いてたよ。」
 姉は私のぽつとなるのを面白がつて追窮するらしかつた。私は内心それが嬉しかつた。
「僕だつてこの頃は勉強してゐるんですよ。」私はさう云ひながら、今迄の不勉強を自分で恥かしがつた。これからはきつと勉強しようと思つた。
 姉は猶も續けて同じ話に固執した。
「だけれど健吉ちやんも氣をお附けなさい。あの子はそれあ無邪氣なんですから。誰とでもすぐお友達になるのよ。健次さんとだつて、もう兄弟のやうに仲がよくつてよ。」
 私はどきりとした。姉の警告には私のぼんやり怖れてゐるものがあつたからだ。けれども私はさりげなく答へた。
「僕は別に何とも思つてやしないんですから、大丈夫ですよ。だから姉さんなんぞ、いくら冷かしたつて駄目です。」
 姉は眼で笑つて答へなかつた。
 實際弟と澄子さんとは、僕が寺へ移つて以來、特に親しくなつたやうに、私には感ぜられた。併しそれを私は自分の僻みだと思ひ返してゐた。弟はいつも家にゐるし、私は
外にゐるので、會ふ機會が自然弟の方に多くなると云ふ、位置の上からのみ生じた、何でもない親しさだと解釋してゐた。併し戀はさう云ふ位置からの
み生ずる、とも思つた。そして少しは不安を感じてゐた。
 二人の親しさを裏書する實例には、私も今迄一つ二つ出會つてゐた。
0585名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 21:14:27.240
 かう云ふ間にも、澄子さんの事は忘れられなかつた。
 日曜日毎には、私もきつと午前から義兄の家へ遊びに行つた。そして午後から澄子さんの來るのを待つた。併しさう繁々、澄子さんの來る日のみ目がけて、千駄木へ
行く事は氣がひけた。それで時々は他の日も訪れた。日曜日にも行き度いのを抑へて、三度に一度は我慢した。併しそんな日は家にゐても、少しも勉強が手につかなかつた。どうかするとかけ
違つて、二度も續けて澄子さんに會へない事があつた。或る日は私の行き方が遲かつた。
「先刻まで澄子さんがゐたんだけれど、三時からお友達のお宅へ行くんだつて、一時間ばかりゐて歸つて行つたよ。」と姉は私を見て微笑みながら低くつけ加へた。「お氣の毒さま……」
「馬鹿な。――」私は紅くなつて物が云へなかつた。
「澄子さんはこの頃健吉さんに久しくお目にかゝらないが、どうかしたかつて聞いてたよ。」
 姉は私のぽつとなるのを面白がつて追窮するらしかつた。私は内心それが嬉しかつた。
「僕だつてこの頃は勉強してゐるんですよ。」私はさう云ひながら、今迄の不勉強を自分で恥かしがつた。これからはきつと勉強しようと思つた。
 姉は猶も續けて同じ話に固執した。
「だけれど健吉ちやんも氣をお附けなさい。あの子はそれあ無邪氣なんですから。誰とでもすぐお友達になるのよ。健次さんとだつて、もう兄弟のやうに仲がよくつてよ。」
 私はどきりとした。姉の警告には私のぼんやり怖れてゐるものがあつたからだ。けれども私はさりげなく答へた。
「僕は別に何とも思つてやしないんですから、大丈夫ですよ。だから姉さんなんぞ、いくら冷かしたつて駄目です。」
 姉は眼で笑つて答へなかつた。
 實際弟と澄子さんとは、僕が寺へ移つて以來、特に親しくなつたやうに、私には感ぜられた。併しそれを私は自分の僻みだと思ひ返してゐた。弟はいつも家にゐるし、私は
外にゐるので、會ふ機會が自然弟の方に多くなると云ふ、位置の上からのみ生じた、何でもない親しさだと解釋してゐた。併し戀はさう云ふ位置からの
み生ずる、とも思つた。そして少しは不安を感じてゐた。
 二人の親しさを裏書する實例には、私も今迄一つ二つ出會つてゐた。
0586名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 21:15:25.290
又或る時はかう云ふ事もあつた。その日私は午後になるとすぐ千駄木へ出掛けた。彼女の來るのも大抵晝過ぎだつたから、今日はゆつくり會へるに違ひないと思つて行つた。すると電車を下りてから、義兄の家の方へ曲る横町で、私は見覺えのあ
る緑の日傘を認めた。それは遠くから此方へ向つて歩いて來た。初めは人違ひかと疑つた。が斜に傾げた日傘の下に、顏は殆んど隱れてゐるが、肩から下へかけての輪郭と、足どりには私の見逃せない彼女の特長があつた。私は遠くからそれを見
つけると、動悸の高まるのを意識しながら、さりげなく歩き進んだ。五六間の處で向うも自分を認めた。すると彼女はくるりと背後を振り向いた。そして背後の誰かに合圖するやうな事をした。その途端に私は彼女の後から、弟が困つたやうな顏で從いて來
るのを見た。私は咄嗟にはつと思つて立ちすくんだ。全身の血が一度に心臟へ衝いて來た。がその次の瞬間には、強ひて僞つた平靜の中に歩み寄つてゐた。三人は――互に向ひ合つて歩きつゝ、間隔を狹めてゐる私た弟とは、彼女を中心に道の中央でひたと顏を合せた、初夏の日はひつそりと光を降らして、土には物の影が濃かつた。
「もうお歸りですか。」私は聲を落着けて彼女に訊ねた。唇が獨りでに痙攣つた。

「えゝ、今日は朝から行つてたの。」彼女はいつものやうに平然と答へた。「それに今日は家に用があるのよ。――だから歸らうと思つてゐた處へ、健次さんが買物に出ると云ふから、そこまで送つて來て貰つたの。――だけど健次さんは妙な人よ。わざ/
\私を送つて來るつて云ひながら、戸外へ出ると後から離れて歩くんですもの。」
「一緒に歩くのは厭ですよ。知つた人に會ふといけないから。」弟はもつと無邪氣に云ひ譯した。
「どこまで行くんだ。」私は弟に訊ねた。それは思はず詰問するやうな口調だつた。
「そこの通りまで。」
「さうか。ぢや行つておいで。――それぢや澄子さん、左樣なら。」私は胸でわく/\しながら、さりげなく二人に一揖した。
「左樣なら、又今度の日曜にね。」澄子さんは鳥渡甘えるやうに傘の中の首を傾げた。
 私は二人を後に歩み去つた。がその足どりは性急だつた。眞晝の人通りの多い街中で、胸の中は嫉妬に充ちてゐた。私はかつとした日の光の外、他の何物をも見なかつた。
 義兄の家に着いた時は、それでも幾らか氣が靜まつた。そして姉の話を聞くとすつかり平ら
0587名無しさん@明日があるさ
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2019/06/26(水) 21:15:33.810
又或る時はかう云ふ事もあつた。その日私は午後になるとすぐ千駄木へ出掛けた。彼女の來るのも大抵晝過ぎだつたから、今日はゆつくり會へるに違ひないと思つて行つた。すると電車を下りてから、義兄の家の方へ曲る横町で、私は見覺えのあ
る緑の日傘を認めた。それは遠くから此方へ向つて歩いて來た。初めは人違ひかと疑つた。が斜に傾げた日傘の下に、顏は殆んど隱れてゐるが、肩から下へかけての輪郭と、足どりには私の見逃せない彼女の特長があつた。私は遠くからそれを見
つけると、動悸の高まるのを意識しながら、さりげなく歩き進んだ。五六間の處で向うも自分を認めた。すると彼女はくるりと背後を振り向いた。そして背後の誰かに合圖するやうな事をした。その途端に私は彼女の後から、弟が困つたやうな顏で從いて來
るのを見た。私は咄嗟にはつと思つて立ちすくんだ。全身の血が一度に心臟へ衝いて來た。がその次の瞬間には、強ひて僞つた平靜の中に歩み寄つてゐた。三人は――互に向ひ合つて歩きつゝ、間隔を狹めてゐる私た弟とは、彼女を中心に道の中央でひたと顏を合せた、初夏の日はひつそりと光を降らして、土には物の影が濃かつた。
「もうお歸りですか。」私は聲を落着けて彼女に訊ねた。唇が獨りでに痙攣つた。

「えゝ、今日は朝から行つてたの。」彼女はいつものやうに平然と答へた。「それに今日は家に用があるのよ。――だから歸らうと思つてゐた處へ、健次さんが買物に出ると云ふから、そこまで送つて來て貰つたの。――だけど健次さんは妙な人よ。わざ/
\私を送つて來るつて云ひながら、戸外へ出ると後から離れて歩くんですもの。」
「一緒に歩くのは厭ですよ。知つた人に會ふといけないから。」弟はもつと無邪氣に云ひ譯した。
「どこまで行くんだ。」私は弟に訊ねた。それは思はず詰問するやうな口調だつた。
「そこの通りまで。」
「さうか。ぢや行つておいで。――それぢや澄子さん、左樣なら。」私は胸でわく/\しながら、さりげなく二人に一揖した。
「左樣なら、又今度の日曜にね。」澄子さんは鳥渡甘えるやうに傘の中の首を傾げた。
 私は二人を後に歩み去つた。がその足どりは性急だつた。眞晝の人通りの多い街中で、胸の中は嫉妬に充ちてゐた。私はかつとした日の光の外、他の何物をも見なかつた。
 義兄の家に着いた時は、それでも幾らか氣が靜まつた。そして姉の話を聞くとすつかり平ら
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