パンデミックで経済政策の主役交代、金融政策から財政政策に
Alaa Shahine
2020年10月12日 7:50 JST 更新日時 2020年10月12日 11:58 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-10-11/QI26UQT0AFBD01
積極的な財政プログラムを擁護する形で現代貨幣理論が台頭
「われわれは間違いなく財政政策主導の世界にいる」とマカリー氏

金融政策を担う中央銀行が舞台の中央から下がる一方で、1970年代のインフレ対策で主役を降板した財政政策が、
景気のかじ取り役に返り咲きそうだ。
  各国政府は賃金補助や家計への現金給付、企業への融資保証を進めており、その過程で財政赤字は過去最大
規模に膨らんでいる。そうした手法は2008年の金融危機後に低調な成長が約10年続いて以来、エコノミストの間で
徐々に支持が広がりつつある。

  政府から独立した立場にある金融当局は財政政策の行き過ぎをチェックする役割も担っているが、金利は既にゼロ
かマイナスにあり、金融面でのさらなる景気下支えの手段が少なくなる中で、赤字拡大を招いてもさらなる支出を行うよ
う政府に呼び掛けている。
  HSBCホールディングスのスティーブン・キング氏は現在頼れる選択肢は財政政策だと指摘。「その観点から中央
銀行側は政治的なプロセスにおいて力が若干失われたことを受け入れざるを得ない」と指摘した。
  各国政府は08年の金融危機への対応でも財政支出を膨らませた。エコノミストの間では、政府が財政緊縮に軸足を
移すのが早過ぎたことが、コロナ禍に先立つ10年間に成長の足かせとなったとの見方でコンセンサスが形成されつつある。
財政政策を重視する多くの人が歴史は繰り返されかねないと警戒する。