それから、現在の東海道新幹線がかなり赤字になるでしょう。特に、東京−大阪以外の、京都はまだましですが、途中乗車客は今後相当の速度で激減するでしょう。
このシミュレーションは国のお考えではいつも甘いのでございますけれども、この激減は相当すごいものだと思います。したがって、
できるだけ早く制度、国土政策を考える必要があると思います。他の新幹線との接続をどうするか。中央新幹線と東海道新幹線、それから東北新幹線、
上越新幹線、東海道は品川で接続しますけれども、他の新幹線との接続はどうするかという問題も重要な問題です。品川で降りて東京駅まで山手線で来るというのは、かなり負担
になると思います。できれば東京素通りの列車、仙台発大阪行きというのがあるべきなんこの計画に当たって企画院等が考えましたのは、これから戦争に向かうに当たって、規
格大量生産をしなきゃいけない。日本の国土は規格大量生産の近代工業社会を形成するものにするということになりました。そのためには、東京一極集中でなければならない。強
引な東京一極集中政策がとられます。その中で、産業、経済の中枢管理機能と情報発信機能と文化創造活動は東京都以外でしてはならないという決定があります。
これは非常に強烈かつ厳格に守られています。そのためにどうしたかというと、各産業の全国センターをつくらす。電気事業連合会とか自動車工業会とか銀行協会、
その事務局は全部東京都以外に置いてはならない。東京以外にあるものも集める。です。それがどうしてできないのか。
いろいろ議論があるようでございますけれども、東北新幹線、上越新幹線を品川まで延伸するのかどうか、これも一つの問題になってくると思います。
さて、最後に、最大の問題でございます。中央新幹線は日本の国土構造を全体的に変えるだろうと思います。計画に当たっては、
中央新幹線が日本の国土構造を変えるということを徹底的に考えてもらいたいということです。
日本の国土政策は、ご存知のように1940年、昭和15年から16年にかけて帝国国策要綱、その他で決められました。これをぜひもう一度調べ直して、
そこからいかに脱皮するかを考えてもらいたいと思うんです。