この作品で存在の完全形と考えているのは、一つは神と、もうひとつは人形
動物は神に近いが、人間は神にも動物にもなれないから、人形を理想とするしかない
そして最も美しい人形は人間の腐敗する前の死体
ここまではキムの発言から分かる

それを敷衍すると、死体に比肩出来るのはゴーストの脱け出た義体であり、キムはやがていつまでも腐敗しない完全な存在となるべく完全な義体化を選択したのだろう
そして押井守の理想的な死もそこにある、ということらしい

この観点からすると、ゴーストが初めから入っていない義体も完全な存在という点では区別する必要もなさそうだが、鑑識のハラウェイとキムとバトーでは少しずつ考えにバラつきがある

押井としては、人間と人形が地続きであり、理想の死であり得るということさえ示せればよかったのかも知れない