「わ!? ……ん!? む!? んんぅ……ふぅ!」

 キヌをベッドに放るとそのままキヌに覆いかぶさり、唇を奪う。着物の隙間からキヌの胸元に手を入れ、俺の手に収まりながらもはっきりと自己主張をするそれを掴む。

「ちゅ……ぅ……はぁ……はぁ……」
「……我慢していたんだな。でも、それは俺も同じなんだ」

 キヌが自分を抑えていたのはよく分かった。だが俺も限界だった。夜から今に至るまでキヌの感触、熱、香り、愛らしさに散々曝される中で踏み込んだことはしなかった。
 今日はキヌのための日なので、キヌから何か言い出すまでは俺から積極的に迫るのはやめようと思っていた。
 しかし、それももう無理だ。今の俺はこの可愛すぎる生き物を自分の好きにしたいという思いに支配されていた。

「もう抑える自信が無い、……いいか?」
「うん……いいよ……来て……」


「えへへ……」

 腕の中のキヌが昼間買ってやった根付を眺めながら幸せそうな表情をしている。布団の中で振れる尻尾が素肌に当たって少しくすぐったい。

「そんなに気に入ったか、それ」
「うん! すっごく可愛いし、エフラムが買ってくれたものだからね。大事にするね!」
「俺も、お前を大事にするからな……」

 キヌを抱き寄せ、頭を撫でる。その名の通りに絹のような触り心地の髪と、触るたびに軽く跳ねる狐耳の感触が心地良い。

「あ……エフラムに撫でられると、いつもと違う気持ちになるの……」

 そのまま背に手を回して抱きしめる。首筋にかかるキヌの吐息が暖かい。

「胸の奥がじんじんする……それから、とってもあったかい……」

 キヌの体温を感じながら愛らしさを人の形にするとこうなるのかというようなことを漠然と考えていた。
 先ほどまでの姿とはとても違うなとも思った。先ほどまでは────

「ふぅ……ちゅ……はぁ……ん……っ!」
「……っあ! もう……子供できてもエフラムが全部飲んだらダメだよ……?」
「ベロアみたいにおっきくないけど……できるくらいはあるんだからね……ん……っ……」
「……されてばかりだと悪いからな、俺からも……」
「あ……ダメ……そんなにしたら……っ!」

「っくぅ! ……これ……体が……かっ……て……に!」
「ん……っ……む……ん……んんっ!? ……はぁ……ふぅ」
「あ……このかっこ……すき」
「……これもだろ?」
「あ! ダメ! 尻尾と同時……は!」
「……やりすぎたか?」
「……はぁ……はぁ……ダメ……やめない……で……やめちゃいや……」
「……っ! ……エフラムぅ!」
「…………ぁ…………あつ……い……」

「……あ、もう元気になってる」
「……悪い」

 先ほどまでのキヌの艶姿を思い出すと、あれだけ連戦したにも関わらずに気力が滾ってきてしまった。

「いいよ……こういうときは断らないから。アタシ、いい奥さんでしょ?」
「ああ……愛してるぞ……キヌ」
「大好きだよ、アタシの旦那様……」

 仰向けに身体を投げ出しながら腕を広げるキヌを見て、俺は理性を再び頭の片隅に追い払った。