悪魔バスター★スター・バタフライ 【SVTFOE】 ★7
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橋を渡って、道なりに進んだ
彼女「ここ!この家!」
俺「おお、ここなら車が入れやすい」
道の角に、庭が面している家で昔ながらの素朴な家だった
庭には草や花が生えている
そして勿論大量の虫もぶんぶん飛び回っていた
俺「虫飛んでる…おりたくねー…」
彼女「はー?w」 でも、広くてとても綺麗な庭だった
エンジンを切る、車を降りるとけたたましい蝉の声
この瞬間肩の荷がおりて楽になったが、すごく遠くに来たように感じた
もう夕方で、日は沈みそうだった
俺「おー、いい空気だ。遠かったー」
彼女「あー…お疲れ。早く休みなよ」 玄関に向かうと、外の水道場みたいなとこに人がいた
彼女のお婆ちゃんだ。
俺「あ…こんにちは」
お婆ちゃん「おやおや、これが言ってたお客さんかい?」
彼女「そうだよー」
初対面だけど、優しそうな人だとすぐ分かった
お婆ちゃん「今、茄子洗ってるからね。あとで食べてね」
とニコニコして話してくれた 玄関に入ると、勢い良く彼女の母さんが迎えてくれた
母「〇〇君、久しぶりー。遠かったでしょー」
俺「いえいえ、楽しかったですよ」
とても久しぶりに見た気がする、けど小さい頃から気心知っている人なので
こうして元気に暮らしていることを実感できてとても安心した
母「夕飯まではもう少し時間かかるから、ゆっくししててね」
と言われたので、ひとまず空いている部屋に荷物を放り投げ
一階で冷たい飲み物をいただくことにした 彼女が、
「カルピスしかねーw」って笑いながら持ってきた
そう、俺は小さい頃はあまりカルピスが好きじゃなかった
俺「いや、今はわりと好きだから大丈夫w」
彼女「そうなの?ならよかったw」
居間の隣の縁側の窓が開いていたので
そこに座ることにした 俺「割と風通しよくていいね」
彼女「窓あけとけば割とねー。虫は寄ってくるけどw」
チリンチリン、と音が鳴った
上を見ると青い風鈴が風に揺られて鳴っていた
ああ、これがメールで言ってた…と思ったけど
俺はあえて触れないで、黙っていることにした
雰囲気とかもあったけど、単純に疲れててあんまり言葉が出なかった…んだと思う 特に話すことも無くて、どんどん赤く染まる空を眺めてた
外からお婆ちゃんがじゃぶじゃぶと茄子を洗う音と、蝉が鳴く音が聞こえて
時たま風鈴の高い音が響いた
信じられないくらい夏、って感じ
俺もそこにいて、少し感動してしまうくらい、日本の夏だった
ぼーっとして、本当に時間がゆっくり流れてるんじゃないかと思うくらい いい雰囲気だなーとしみじみ思いつつも
やはりあまり無言もよろしくない、と思った俺は
無理にでも口を開こうと思った
庭を見渡して、沢山の花が咲いていたので
俺「沢山花があるよね。一杯生えてるあのピンク色のは…」
彼女「ああ、さるすべりかな?素朴で綺麗だよねー」
俺「まあどこにでも生えてそうでいいね…」
彼女「何それー」 俺「もっとこうさ、ばーっとひまわりが生えてるようなとこはないの?」
彼女「あるよ、少し歩くけどね」
俺「あるんだー、向こうにはひまわりってあんまり生えてなかったもんな」
彼女「うん」
この時、向こうの話になってしまってハッとした。
それから、またしばらく無言
喋らず、夏の音が頭に響いた
やっちまったかな、って思った 日が沈んで暗くなり始める頃
彼女のお爺ちゃんが畑から帰ってきた
みんなで居間で畳に座って食卓を囲った
その日の夕飯は夏野菜のカレーだった
オクラが並んでて、ビックリした
彼女「〇〇君オクラ好きだったよねーw」
俺「いや、これマジ納豆の次に最強っしょ」
と笑いながらご飯を食べた
オクラが好物なんていいね、と爺ちゃんと婆ちゃんに笑われた ご飯を食べ終わると、
有無を言わさずテーブルにスイカが出てきた
塩をかけるかかけないかで揉めたw
スイカまで頂いてこのままはいけんな、と思い
俺は台所に行って食器洗いを志願した
彼女と二人で食器をいそいそと洗った
慣れないことなので彼女に
「へったw」
と小言を言われながらも黙々とこなした 食器洗いを洗い終えると、
みんなで居間でテレビを見ながらマターリしてた
煙草吸うんじゃない?って言われて
彼女のお母さんがガラスのでっかい灰皿を持ってきた
俺「いやいや、ここで吸うのは…」
と言って俺はそそくさと縁側に移動した 縁側に腰掛けて
一人で煙草を吸っていると
黙って彼女が隣に座った
ハっとして振り向いたもんだから、笑われた
俺「臭いぞ?」
彼女「◯◯君いっつも臭いもんー」
俺「はー?w」
彼女「うそうそw」 煙草を吸ってリラックスしていたので話やすかった
俺「で、どーなのよ?」
彼女「何が?」
俺「こっちは。元気でやってるの?」
彼女「うん。いいところだし、仕事も楽しいよ」
俺「そっか。寂しくはないの?」 彼女「その質問卑怯だねーw
寂しくないワケないじゃん…」
俺「ごめん…」
風鈴の高い音に混じって、ジーっとかリリリリ…と虫の鳴く声が聴こえた
普通に考えれば、今は隣にいるけどまたすぐ離れ離れ
俺もなんだか落ち込んでしまった 彼女「お酒飲む?」
俺「いや、いいかな」
酒を飲むには最高の場だったけど、純粋に味わっていたかった
煙草にカルピス、くらいがちょうど良かった。
俺「明日さ、出かけよう」
彼女「え、そりゃそうでしょ」
俺「ひまわりあるんでしょ?見に行きたい」
彼女「いいよー。まあそれだけじゃないし、色々見て回ろっか。」 それから、あまり言葉を交わすこともなく
部屋に入って一緒にパソコン見たりして遊んだ
風呂に入って、自分の部屋に戻って、一段落
長い一日だった
車で大移動して、彼女に会って
ずっとここにいたいな、と思った 窓を開けて、持っていたペットボトルを灰皿にして、一服。
目の前をひゅんひゅん虫が飛んでいた
空を見ると、思った以上に星が見えた
何故か知らんけど、この時俺泣きそうだった
喉のあたりがなんか詰まって熱くて、
「あ、俺泣きそうなんだな」って悟った 次の日の朝なんだか俺は早起きしてしまった
下に降りると、彼女の母さんが朝ごはんの支度をしていて
「あら、早いねー。〇〇まだ寝てるから、起こしてきたら?」
と言われた
居間ではお爺ちゃんとお婆ちゃんがテレビを見ていた
俺も一緒にテレビを見ていると、彼女が下りてきた
彼女「朝ごはんまだだよねー?」
母「まだー」
というやりとりを交わした すると彼女は俺に向かって手招きをした
一瞬なんのことだか分からずぽけっとしていたら
「来て!」と声に出して言われた
玄関から外に出た
彼女「一緒にやってもらおうと思って」
俺「何を?」
彼女「花の水やりだよ」 俺「ああー、でもこの時間はまだ涼しくていいね。」
彼女「でしょ?この時間外に出ると気持ちいいんだよ」
そう言いながら彼女は水道からホースを引っ張ってきた
俺「朝顔なんてあるんだ」
彼女「ま、一応ね。そっちにじょうろあるから適当にまいといてw」
俺は言われたとおりそこら一帯の花々に水をかけた
本当にいい朝。 一緒に庭で花に水やって
なんていい時間だったんだろう
今でも夢のようだ
ふざけてこっち向かって水うってきたりするんだ
やめろよーwなんつって、中学生か俺らは、って感じ
あーあ…
そんでその爽やかな気分のまま朝飯へ ご飯に魚に味噌汁という、日本の朝
彼女はバタバタして卵を食卓に持ってきた
彼女「やっぱこれがないとさーw〇〇君もかけるでしょ?」
と言って卵を割る
皆で笑いながら卵かけご飯
かくいう俺は卵+納豆かけご飯という最強タッグ 最初こそ、俺がここにいて良いのかという疑問があったが
彼女の家の人はみんなとても優しい
もうすっかり俺はなじんでいた
そのまま婿に行きたいくらいだった
俺「今日はどうする?たっぷり時間があるよ」
彼女「出かけようー夏を堪能しようよ」
俺「車出す?楽だし」
彼女「はー?w歩くに決まってるだろー」
体力には自信がないけど、もっともだなと思った 出かける頃は、すでに暑かった
太陽本領発揮と言った感じだ
俺「うぇ、すでにあちいなー」
彼女「今日は一杯歩くからタオルと水は持ってよね」
そう言うと彼女はタオルを渡してきた
案の定昨日と同じように麦わら帽子をかぶっていて、なんとも決まらない恰好だった
俺「なんとかならんの、それw」
彼女「うっさいよー」
と言いつつもその姿が段々と可愛いと思えてきた まず、きた道をたどる
橋と小さな川が見えてくる
俺「車じゃ全然分からんかったけど、この川いい感じだねー」
彼女「涼しげだよ」
俺「よく分からんけどやたらと花が生えてる」
彼女「私もよくわからんw唐松草くらいかな分かるの。」
と言って彼女は楽しそうに俺を呼び寄せた 橋の上からじゃよく分からないので
俺たちは川辺におりた
俺「あの花は?あのちっこいの」
彼女「わっかんないwこれは唐松草ー」
と言って彼女は俺にギザギザした花を渡してくれた
川いいなーと思って俺は靴を脱いで川に足を入れて遊びはじめた 最初は彼女もためらっていたが、サンダルを脱いで参戦した
水はひんやり冷たくて、なんとも爽快だった ただ痛い
俺「気持ちいいねー夏だわーw」
彼女「涼しいねー」
俺「ただこれ気をつけないと怪我するね、痛い」
川に足をつけてぼーっとしてると彼女が水をかけてきたので
お互い、「綺麗に見えてこの水汚かったらどーする!」
とか言いながら水をかけあった 少しはしゃぎ過ぎて疲れて、
川辺で二人で座って休んでいたら
彼女の母さんが車で通りがかった
母「こんなところにいたwあのさー」
彼女「どうしたの?」
母「もし時間あったら畑言って野菜とっておいてくれないー?
今日おじいちゃん達出かけるんだってー」
彼女「分かったー」
俺はぼーっとしてそのやりとりを眺めていた 彼女「だってさ」
こっちを向いて楽しそうに笑った
俺「じゃあ、行くか?」
彼女「行こう行こうー、夏野菜の収穫を味わえるとは幸せなことだよw」
野菜の収穫なんて、小学生のときの授業以来じゃなかろうか
思えば、その時の授業も彼女と一緒だったっけ すると、彼女は急に走りだした
俺「ええ?どこいくの?!」
彼女「追いかけないとはぐれるよーw」
と面白がって駈け出した
俺「勘弁してよw」
と言って俺はハアハア言いながら彼女に走って追いついた
彼女「うそうそw一回家に戻るんだよ。」 家に着いて、俺は外で携帯灰皿片手に一服決めて、
彼女が出てくるの待っていた
煙草を吸うのもしんどい、
太陽の熱射線と、蝉の声が体をついた。
玄関の奥からバタバタと音がして、彼女が出てきた。
でも、さっきと何ら変わらない白いシャツにショートパンツ
てっきり農作業の恰好でもしてくると思ったのだが。 俺「あーれ、てっきり着替えてくるのかと。ジャージとか」
彼女「違うよー、これ!」
そう言って彼女はグイッとトートバッグのようなものを突き出した。
彼女「それに〇〇君と一緒なのにジャージとか嫌だよー」
俺、この時妙にこの一言にドキッとしたけど、
今思えば本当にどういう意図だったのか
俺「でも麦わら帽子はかぶるんだね」
彼女「仕方ないじゃん」 俺「でも、そんなに肌出てて大丈夫?虫とか日焼けとか」
彼女「大丈夫だよ、気をつけてるし」
確かに彼女は白かった
気を使ってなさそうで、案外そういうことに気をつけてるんだろう
俺は、玄関の脇の水道で顔をおろして水を飲んだ
すっげえ美味かった
でも蛇口が上を向かないから飲みにくいのなんの。 俺はそのまま彼女から渡されたタオルを冷水にジャブジャブと濡らした
すげえひんやりして気持ちいい。
俺「おい!これマジでやばいぞ!」
彼女「えー…」
彼女は最初こそ怪訝な顔をしてこちらを見ていたが
いざ、試してみると
彼女「何これー超いいじゃん!」
俺「だろー?」
そう言って二人で笑って、並んで冷たいタオルを首にかけて歩いた 来た道とは逆。山にそって道をゆっくり登っていく
あまり言葉も浮かばず、しばらく黙って歩いた。
ミミミミミミ…と蝉の声だけが耳を突いた
木陰を通っていたので直射日光こそなかったが、
むせかえるような暑さ。
彼女が大丈夫か、俺は常に
隣をチラチラ見て気にかけた 歩いていると、畑に着いた
俺「おお、けっこう広いんだね」
彼女「今日は、昨日使っちゃったんでまずは茄子をとります。」 楽しそうに野菜を採る彼女を見ていると、
なんだかとても可愛らしくて仕方なかった
畑にぼーっと突っ立って、自分が改めて恋をしていることに気付いた
とは言え野菜をとらないワケにはいかないので、俺も手伝う。
彼女「とうもろこしなってるかな、とってっちゃえ」
そう言うと彼女は器用にとうもろこしをとり始めた
俺も悪戦苦闘しながら手伝った 彼女「たくさんとれたねー。〇〇君ありがとー」
彼女はトートバッグいっぱいに詰まった野菜を見て笑った
俺「野菜をとるなんて、なかなか貴重な体験だね。楽しかった」
重い?なんつってトートバッグの持つ取っ手みたいのを
二人で片方ずつ持った
まるでトートバッグを介して手を繋いでるように
ってかまあ、そうしないと本当に重いってのもあったんだけど 二人でトートバッグを持って歩いていると、
彼女、終始クスクス笑うんだ
「どしたの?」って聞いても
「言ーわない」って笑うだけ
歩いていると、畑にいた知らないおばさんに話しかけられた
「あー、〇〇ちゃん、仲良しさんねー」
と、やや遠巻きに声をかけられた
彼女は笑って「あ、どーもーw」
と言ってたけど、俺も恥ずかしかった 「ちょっと持ってて」と言って彼女は走りだした
何やら、おばさんと談笑してる模様
けっこう遠くだから、もやで霞んで見えたけど、かなり仲良さそうに
俺はそれを見て、彼女は新しい土地でも
彼女なりに頑張って、色んな人に愛されてるんだなぁって悟った
戻ってくるなり、
「もらったーw」
と言って得意げに俺にトマトを見せてきた
「よかった」と笑いつつも、なんだか嬉しくてほっこりした 彼女「けっこう時間かかっちゃったね
一回家帰って、お昼にしよっか?」
俺「それは名案。ちょっと休もうぜー」
そういうと彼女は黙って笑ってうなずいた
登ってきた道を、彼女と二人で下っていく
彼女「せっかくもらったし、冷やしトマトして…」
彼女は一人で料理の構想を言い始めた
俺は笑って、うんうん、とうなずいていた 今でもあの木陰と陽の光が入り混じった下り道が懐かしい
空気を読まずに蝉が鳴いてて、楽しそうに語る彼女
家に着くと、彼女は「ただいまー!」と大きな声を出した
誰もいないのに、彼女のテンションは高かった
野菜を台所に運んで、居間の窓を開ける
窓をあけると、若干風が入ってきて風鈴が音を立てた
彼女「扇風機まわそうぜー」
と言って奥から彼女が扇風機を出してきた 彼女がガタガタとお昼ごはんを作り始めた
おもむろにテレビもつけて、なんだか家の中が妙に活気で溢れた
俺が「手伝うよー」と言ったけど
「男は座ってろーw」と言われてご飯ができるのを待つことに
なんとなく手持ち無沙汰で、俺が扇風機に向かって「あ”ーっ」
ってやっていると、彼女はこっちを向かず台所から
「何やってんのw」と言って笑った しばらくすると彼女は、テーブルに
ガラス食器に並々入ったそうめんと氷を持ってきた
それに、冷やしトマトにチーズが乗っかったヤツと、キュウリの浅漬け
彼女「手抜きでごめんねーw」
俺「いやいや、いいじゃない。まさに夏って感じだね。」
事実、暑くてクタクタだったからこの上ないご馳走だった。
彼女に「とうもろこし茹でる?」
と聞かれたけど、「夜にしよう」ってことになった 他にも料理はあった気がするけど、細かくは覚えてない
ガーーっって扇風機が回る音と、遠くから聞こえるようなテレビの音
二人で冷たくてうめーっていいながら夢中でそうめん食べてた
ご飯を食べていると、空が曇ってきていて、一雨きそうな感じだった
彼女「あー…なんかちょっと嫌な天気」
俺「だねー、外に洗濯物なかった?」
彼女「あったね…」
なんて他愛もない会話をしていた さて、今日はここまでにしたいと思います
また明日の夜か夕方から続きを書きます
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