なんとかクルマを置くスペースを探し出し、今度は2kmほど登山した。崖の上に上がったあと、30度ほどの傾斜で踏みならされていない土の道をひたすら歩く。
あまりにも不安定な場所なのにもかかわらず、ステージ沿いに大勢の人が立ち並び、崖下にあるヘアピンゾーンの観戦をしていた。

 国沢さんの走行もそこで初めて見ることができた。ほかのライバルたちが手こずるなか、華麗なターンを決めて颯爽と走り去っていった。国沢さん、お見事です!

 急いでサービスパークに戻り、午前の走行を終えたドライバーたちを待つ。サービスパークは最高峰クラスのベースでさえ、ガラガラな状態。
サービスパーク内での催しも軽食が取れるブースがあるくらいで、ざっと一周回ってみたがトークショーなどがある様子もなかった。
静けさすらあり、各サービスで休憩中のメカニックたちが談笑していた。

 しばらくすると、轟音とともにWRカーたちが正午のサービスを受けに帰還。国沢さんのマシンも無事に戻ってきた。
午前の3本は慣れるための走行として割り切っていたという。ステージ中に4つの分かれ道がある箇所もあるので、とくにペースノートが重要になってくる。

 サービスに入る前にステージでのアタックによって汚れたマシンを洗車してくれるサービスを全車が受ける。国沢さんのフォード・フィエスタR2も
ケルヒャーの高圧洗浄機によってピカピカに!

 マシンがサービスパークに戻ると同時に、一気に人も増えていった。ここでは約30分間のサービス時間が設けられており、
マシンの不具合などがあればこの時間帯で直す。チームにとっても非常に忙しい時間だ。そのサービスシーンを見ようと各ブースは人だかりができていた。

 サービスパークを出て、午後の走行を見るためにクルマを走らせていると、なんとアウトバーンを走行するMスポーツのセバスチャン・オジェが! 
国沢さんによるとラリー・ドイツでは競技が滞りなく行なえるように警察が全面協力しているという。渋滞箇所などは路肩にラリーカーたちを誘導して、
時間に間に合うよう計らってくれるというのだ。

 午後の観戦場所は下界に奇麗な街並みとモーゼル川を見下ろすことができるSS6。まさに葡萄畑の真ん中だ。葡萄の青々しい緑がなだらかな山中にどこまでも続いていた。