「世界は崩壊した」―

公(の人がいない街が目の前にあるのをこうして見てしまうと
単に嘘や冗談では無いという気もしてくるが…」

「…何?」
「い、いや君はこんな世界を異常とか、不気味とかは思わないの?」
今、公の目の前には、長い黒髪の学生服を着た女子高生らしき人物がいた。
(最初に出会った時は、やっぱりここは無人の世界じゃなかったんだ!て喜びと安堵もそれなりにはあったんだけどなぁ…)

「慣れたわ、もう…それにその話は何回目?」
「悪かった、僕がくどかった」
(っとにコイツは!可愛い顔してるけど…口数は少ないわ、刺々しいわで疲れるよ)
公は内心で相手の態度の素っ気無さに毒づく。
「別に謝らないでいいけど、前の時みたく(天使)に誘惑されたりして私の足手まといには
ならないでね。そうそう何度も助けられるか、私だってあなたが今言った異常で不気味なこの世界で
確実な保証はできないから」

天使―

「…あ、ああ。気を付けるよ」
(これを持ち出されると弱いよなあ、俺は。
出会い頭に綾に助けられた事といい、見ていた幻(妄想)といい)
「そういえば」
「ん?何?」
珍しく、綾の方から自分に話かけて来た。
「天使は(相手の見たい幻を見せる)、て話はしたわよね?」
「あ、うん。確かに聞いたね」

「な夢だとか)