<スピード・コントローラー>2016/12/18
「スピード・コントローラー」というのをご存じですか。
ナニ、ブレーキのことを、正式な用語ではないのだけれども、こう呼ぶことがあるんですね。
ブレーキは「乗り物を止める」ためのメカニズムです。
まぁこれは当たり前なんだけれども、もうひとつ重要な役目は、「減速して速度を調整すること」。
だから「スピード・コントローラー」。同じことじゃねぇか、と思われるかも知れないけれど、結構違う。

写真は通称デルタブレーキ。カンパニョーロが'90年代前後に短期間ラインナップした名品です。
仕上げが良い、値段はもっと良い(定価は8万幾らだったような記憶が…)その代わり、止まらん! というので有名でした。
ただ、こやつ例えば40km/hから20km/hに減速するにはちゃんと効くんですな。
問題は、そっから先、ゼロになるまで時間と距離と握力が必要だったと言うことですね。

実はブレーキにとって一番大切なのは、減速時のフィーリング(過渡特性)。
自動車やオートバイでは、ディスクブレーキよりもドラムブレーキの方が制動力自体は高いのだそうです。
それにもかかわらずディスクブレーキがほとんどになったのは、この過渡特性に優れているから。
横道にそれたな。で、当時はカンパの製品作りが迷走していた時代。
「レースじゃめったに止まることはないんだから、フィーリングを優先させるだ」
と思ったのかどうかは知らんが、やはり止まらんのはまずかったようで、数年で姿を消しました。
たまにこんなトンチンカンがあるけれども、ブレーキのフィーリングは、カンパに勝るものはありません。
創業以来80年以上もレースシーンで鍛えられた財産ですよね。