病米利香で『ワイルド速度』のような映画が作られる背景を考えてみるとよくわかる。
オードリー・ヘップバーンの『サブリナ』に出てくるクルマ。
『バークにまかせろ』に出てくるRR。あるいはイタリア映画『昨日、今日、明日』に出てくるクルマ。
飛ばすとか、破壊的な乗り方は一切無い。
そういうことをするのはギャング映画ぐらいなものであった。
私は『病理』が出ていると思いますね。

これは、私は『戦闘機メンタリティ』と呼んでいる。
最近の500馬力、2000馬力とか、無意味なパワーがあると、
自分は『宇宙戦争』でヘロヘロに病気になって、円盤から降りて来る火星人のようにひ弱でも、
クルマはそういう人には一種のパワースーツなので、欲しいと思うんでしょう。

これはロードレーサーも似たようなところがある。
普通の人は電動アシストに乗り、それを追い越して『オレは強い〜!』と雄叫びをあげる。
ツーリング車に乗っている人は、もとより競う考えはない。
目的地に無事につく、最晩年まで元気で乗る、それしか考えていない。
それを追い越して『オレは強い〜!』もないものだ。

あおりも似たようなもので、『オレは巧い〜!』だったり『オレは速い〜!』だったり、
乗り物によって自我肥大しているのだろう。