また帰納に関しては反証可能性という概念を考えておきたい。
科学と哲学の関係について考察したポパー(1902〜94)は、
一つの事実でその推論の正しさが否定されるという帰納の欠陥(けっかん)
を逆手にとって、反証できることが科学の資格だと考えた。

科学の世界である発見を行うと、他の科学者がそれを反復してみて、
それが正しいことを検証した場合に限って、その発見が認められる。
同じ実験をしてみて、その発見に反する結果が出た場合には、
それは科学的には否定されるのだ。

たとえどんな立派な体系でも、他の人々が反復してみて、
その正しさを確認できないものは、客観的に検証できる方法がないので、
科学とは認められないことになる。