キャンプ地、富士山頂で迎えたキン肉アタル戦。
先発ヘビー・メタルがナパームストレッチで即死、打線も勢いを見せず惨敗だった。
山頂に響く残虐の神のため息、どこからか聞こえる「その実力に達していない」の声。
無言で帰り始める選手達の中、キン肉星大王候補、キン肉マンソルジャーは独りベンチで泣いていた。
信頼できるチームメイト、1億パワーの超人強度、そして何よりキン肉星の王位・・・
それを今のソルジャーが得ることは殆ど不可能と言ってよかった。
「どうすりゃいいんだ・・・」ソルジャーは悔し涙を流し続けた。
どれくらい経ったろうか、ソルジャーははっと目覚めた。どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ。冷たい雪の感覚が現実に引き戻した。
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」ソルジャーは苦笑しながら呟いた。立ち上がって伸びをした時、ソルジャーはふと気付いた。
「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出したソルジャーが目にしたのは、大阪城を埋めつくさんばかりの観客だった。千切れそうなほどに迷彩柄の旗が振られ、地鳴りのようにベイスターズの応援歌が響いていた。どういうことか分からずに呆然とするソルジャーの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「兄貴、決勝戦ですよ、早く行きましょう」声の方に振り返ったソルジャーは目を疑った。「ウ・・・ウールマン?」
「なんだアンタ、居眠りでもしてたのか?」「ゴッドシャーク・・・」
ソルジャーは半分パニックになりながらスコアボードを見上げた。
先鋒:ヘビー・メタル(7200万)
次鋒:ザ・ゴッドシャーク(7800万)
中堅:ウールマン(7300万)
副将:ブルドーザーマン(8000万)
大将:キン肉マンソルジャー(1億)
暫時、唖然としていたソルジャーだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった。
「勝てる・・・勝てるんだ!」
残虐の神からソルジャーマスクを受け取り、リングへ全力疾走するソルジャー、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・
翌日、富士山頂で冷たくなっているソルジャーマンが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った。