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宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど

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0001通常の名無しさんの3倍
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2019/07/24(水) 00:50:40.43ID:XfFrIQoe0
小説書いたこともなければスレッド建てるのも初めてなんだけど、もし誰か見てるなら投稿してみる
0347◆tyrQWQQxgU
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2019/08/26(月) 22:24:43.69ID:0STwH1Iv0
>>345
どうなんでしょう?
いわゆる同人誌とかも厳密に言えば色々あるとは思うんですが、悪質なもの以外はある程度寛大に見ていただいているってことではないでしょうか??
僕の小説なんかもサンライズやらバンダイやらからしても歯牙にかける程のものでも無いでしょうし…w
0348◆tyrQWQQxgU
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2019/08/27(火) 09:05:26.31ID:Pnx8nl0h0
 ガルダ級へ近づいた時、既に後方から大きな炎と黒煙が上がっていた。思っていた以上に事態は深刻な様だった。シェクター少尉は周囲を索敵、ガルダ級の周りを飛び回る敵機を捕捉したのだった。
 ブリッジとの通信を終え、目の前の敵に神経を集中させる。高機動TMA、ギャプランとドッグファイトを展開していた。
「ちぃ…!流石に速いな…!」
 連装ミサイルで威嚇するも、難なく敵は身を翻す。こちらの背後を取られまいとひたすら追いかけ回すのでやっとだ。不意に通信が入る。何と目の前の敵機からだった。
0349◆tyrQWQQxgU
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2019/08/27(火) 09:06:08.01ID:Pnx8nl0h0
『いつまでこれ続ける気なんだ?いい加減つまんねぇなぁ』
 そういうと敵は急旋回し、こちらを掠めて交差した。
『折角だぜ?もっと楽しまなきゃ損だろお!?』
 敵は背後からこちらの真下を再度すり抜けると、宙返りするようにして上を取った。MS形態へ可変すると、こちらに跳び乗る。
「ふざけた真似をっ!」
 少尉はバレルロールの要領で振り落とす。敵は高笑いながら落下すると、再びMA形態に戻りこちらを追撃してきた。おちょくられているらしい。
「いつでも落とせるつもりかい?」
『そうだよ坊や!飛行機風情がこのギャプランとやり合おうなんざ、ふざけてるのはてめぇの方だぜ』
0350◆tyrQWQQxgU
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2019/08/27(火) 09:06:40.48ID:Pnx8nl0h0
 敵の砲撃。機体をよじる様にして躱しながら、再度距離を取るべく回り込む。
『埒が明かねえ野郎だな!落とすぞ!』
 距離が開いたところで、敵機が再度MSに変形して正面から迫る。
「いい位置だよ」
 そういうと少尉はロングレンジライフルからビームを放った。
『おほ!いいねえいいねえ!!』
 敵は急に軌道を変え、寸でのところで砲撃を躱す。
「その位置から躱せるのか…!ただの馬鹿ではなさそうだね」
『何だと!馬鹿はお前だ!』
 そのまま上を取ると、敵がビームサーベルで斬りかかった。
「そう話は単純じゃないんだよ!」
 少尉は緊急ポッドを射出してサーベルをかいくぐる。すれ違いざまにモノアイへとバルカンを見舞う。流石に予期しない動きだった様で、全弾命中した敵の頭部はズタズタになった。
『くそ!モニターが乱れる!』
 狼狽えた隙に再度本体とドッキング。これならどうにかやりあえそうだ。
0351◆tyrQWQQxgU
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2019/08/27(火) 09:07:07.57ID:Pnx8nl0h0
『全く…。お前はまたそうやって敵と通信したがる。私もチャンネルを合わせなければ指示が出せんではないか』
 違う敵の声。全身をカスタムしたジムクゥエルが割り込んできた。長物を携え接近してくる。
「くっそ…!速いな…!」
 ジムクゥエルのビームスピアーが翼を掠める。大きなダメージではなかったが、このまま2機を相手取るのはいささか厳しいものがある。一気に劣勢になった。
『邪魔するなよ!あんたは少佐の掩護をやってれば良いでしょうが!』
『生意気な口を利くな。あんな支援機如きに手こずっておいて何を言うか』
「どいつもこいつも…お喋りばかりしてぇ…!」
 シェクター少尉は連装ミサイルで弾幕を張った。2機はすぐに散開する。
『あれは俺の玩具だ!大尉は下がっててくださいよぉ!』
 ギャプランがMAに変形して突撃してくる。加えてその少し低空からはジムクゥエルも迫ってきていた。両方は躱し切れそうもない。どうする。
0352◆tyrQWQQxgU
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2019/08/27(火) 09:07:36.43ID:Pnx8nl0h0
『どけどけぇ!!』
 後方から、多数の砲弾が敵機を掠める。
『くそ、新手かよ!』
 ギャプランのパイロットが後ろへ下がる。
『貴様がノロマだからだ。すぐに仕留めておけばいいものを』
 ジムクゥエルも一旦足を停めた様だ。シェクター少尉は危ないところで命拾いした。
『…間に合った…とは言い難い感じだなこれは』
 サドウスキー大尉の声だった。しかし見慣れない機体に搭乗している。
「大尉!その機体は?」
『ああ、リックディアスはちょいと置いてきた。久々のガンキャノンだぜ』
 赤いその機体は、両肩の砲身から薄く煙を立ち上らせている。
『お友達が来てくれたようで良かったなぁ!独りで死ぬのは寂しいだろお?』
 そういうとギャプランのパイロットが高笑いした。
『絵に描いた様な悪役だなおい。ぶっ飛ばし甲斐があるぜ』
 サドウスキー大尉が鼻で笑う。これでどうにか対等だ。シェクター少尉は再び気を引き締め直す。
『俺が来たからにはもう安心だぜ少尉。よく一人で粘った』
「奴らを片付けてからが本番です。早くガルダ級にいるアトリエ中尉と合流しないと」
『頼もしくなったじゃねえか!背中は任せるぜ』
0353◆tyrQWQQxgU
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2019/08/27(火) 09:08:27.53ID:Pnx8nl0h0
 こちらの2機とティターンズの2機。対峙する様に向かい合っていた。すぐにワーウィック大尉も来てくれる。それまでにやれる限りのことをやらねばならない。
「僕らの家だ。これ以上はやらせない」
 少尉は、ガルダ級の炎を背に目の前の敵を睨んだ。

37話 炎を背に
0354通常の名無しさんの3倍
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2019/08/27(火) 18:40:19.95ID:9xqzxMEE0
乙です!

G-ディフェンサーの分離合体機構を有効活用してるとこ、初めて見ましたw
元メタス&Gメカもどき vs TMA で対等って絵面もなかなか面白いですね
ガルダ沈みそうですが、そろそろ艦名は教えていただけるのでしょうか…?
0355◆tyrQWQQxgU
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2019/08/27(火) 21:08:47.15ID:wttVmzmC0
>>354
コメントありがとうございます!

どっかの誰かも分離した状態で頑張ってましたが、最後の最後に脇見運転しちゃったから…w

ここにガンダムMk-Wが加われば、ガンダム、ガンキャノン、支援メカっていう王道パーティーが揃うんですよ!強引に揃えた感も否めませんがw

それは結構大事なポイントになってますんで、是非引き続き読み進めていただければと思います!
0356◆tyrQWQQxgU
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2019/09/02(月) 23:00:39.70ID:fcpsgOD90
 ワーウィック大尉と共に転向し、すっかり慣れ親しんだ艦。しかし今はそこが戦場と化していた。爆炎が上がる格納庫へ突っ込むようにして着艦した時、そこには変わり果てた光景が広がっていた。
 ミデアのものと思われる残骸と、散乱した機材。立ち上る炎と煙の中で動かなくなった人影、何かを大声で叫びながら助けを求める乗員達。必死で救命、消火に当たる人々。…一言でいうなら、ここは地獄だった。
0357◆tyrQWQQxgU
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2019/09/02(月) 23:01:14.65ID:fcpsgOD90
『アトリエ中尉か!俺だ!ここだ!』
 ブリッジとの通信を終え、すぐ立て続けにモニターに映った男。顔の判別がつかない程汚れきっていたが、声ですぐにヴィジョンだとわかった。
「ヴィジョンか!生きてたなら何よりだ!」
『お前もな!ブリッジとの回線が死んじまったが、短距離の通信ならどうにかいけた。お前、これからどうするんだ?』
「MSが紛れ込んでるんだろ、そいつを追う」
『そうか。カスタムされたジムクゥエルだった…ミデアから出てきたのMSはそいつだけだ。
 後、特務部隊らしき連中が数人白兵戦を仕掛けてきてる。他のクルーはそいつらと交戦してる頃だろうな』
「わかった。あんたもいつまでもこんなとこいたら危ねえぜ」
『ちょっと怪我しちまってな…救護待ちだぜ』
 先程から肩で息をしているようだった。姿全身は見えない。
「無理すんなよ!行ってくる!」
『お前ならやれるさ…任せたぜ…』
 ヴィジョンが苦しそうに笑う顔を最後に、通信は途絶えた。
0358◆tyrQWQQxgU
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2019/09/02(月) 23:01:49.33ID:fcpsgOD90
 敵の進路はすぐにわかった。MSが艦内を歩き回ることなど、ガルダ級といえど当然想定していない。
 無理矢理作られた20m程度の高さの道。少し辿った段階で、動力炉を目指していることは明白だった。

「俺達が遊ぶには、ここは狭すぎると思うぜ」
 アトリエ中尉は、マラサイを落とされた時のジムクゥエルを思い出していた。
 あの時、シェクター少尉を逃してからどれほどの時間戦っていたのか。今となってはもうわからない。とにかく敵を落とし、引きつけるために戦った。
 万策尽きた頃、悠々と現れたのがそのジムクゥエルだったのだ。鮮やかな動作ですぐに手練だとわかった。アトリエ中尉は死を覚悟していたが、結局やつに見逃された。
 堕ちていく機体のバーニアを吹かせるだけ吹かし、空中分解しながら着水したのを覚えている。
 その後は半分無意識で岸まで辿り着き、打ち上がったMSを見つけて動かそうと試みていた。ワン中尉の声がしたところで記憶は一度途切れた。
0359◆tyrQWQQxgU
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2019/09/02(月) 23:02:25.08ID:fcpsgOD90
 今回の襲撃があの時のジムクゥエルによるものかはわからないが、何となく因縁の様なものを感じていた。
 恐らくだが、アトリエ中尉が不在の際に部隊が遭遇したというエースも同一人物ではないか。
 考えを巡らせながら、ひたすら敵機を追う。区画を破壊しながら先へ進もうとしているジムクゥエルの背を捉えた時、アトリエ中尉の予感は確信に変わった。
「あの時のやつ!!」
 各部をカスタマイズしたジムクゥエル。明らかにあの時の機体だった。中尉はサーベルの柄を握ると、ビームを展開しないまま急接近を試みた。
 敵もこちらに気付く。あろう事か敵はライフルの銃口をこちらへ向けた。
「こんなところで撃つ気か!?」
 敵は躊躇なくビームを放った。中尉は避ける訳にもいかず、シールドで受ける。飛び散った粒子が周辺を焼いた。
「敵さんからすれば、ガルダ級を落とせればなんでも良いってか…!」
 この辺りはまだ貨物や資材が多いが、更に進まれると居住スペースもやられてしまう。
「ここでドンパチやるわけにはいかねぇんだよ!引き摺り出す!!」
0360◆tyrQWQQxgU
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2019/09/02(月) 23:03:27.53ID:fcpsgOD90
 敵は尚も発砲しようとライフルを構えた。アトリエ中尉は敵機の斜め上にシールドを投げた。敵の傍の隔壁に突き刺さる。
「よし、そこだ…インコム!」
 瓦礫の中に潜ませたインコムで敵のライフルを撃ち抜く。貫通したビームはそのままシールドに反射し、拡散した粒子が敵機に降り注ぐ。微量だが目くらまし位にはなる。
 怯んだ隙にガンダムは敵へ掴みかかった。態勢を崩した敵機に覆い被さるような形になる。
 左手で敵の頭を抑え、右の手でサーベルの柄をコックピットへ向ける。敵機は、サーベルを持った腕を両手で掴み必死に抵抗してきた。力比べになり、両機の腕部が軋む。
「好き勝手しやがって…!お前との腐れ縁もこれまでだよ…!」
 敵機は、脚部をこちらの腹に押し込み蹴り上げる様な格好で更に抵抗してくる。流石にこちらの腕部も悲鳴を上げる。
 形振り構っていられなくなったアトリエ中尉がサーベルに刃を形成しようとした時、その脚部から対人用の砲が発射された。
 砲撃を受けIフィールドをうまく形成出来なくなったサーベルは、多少の粒子をこぼした後沈黙してしまった。
「くそ…!」
 壊れたサーベルを手放し、左手で掴んでいた頭を更に押し込む。気付いた敵機が、そちらの腕に片手を回す。
 抵抗が緩んだところで右腕を掴まれていた手を振り払うと、そのままコックピット目掛けて鉄拳を見舞う。
 更に殴りつけようとしたところで、先程振り払った手にマニピュレータを掴まれる。再び力比べの様相で膠着した。
0361◆tyrQWQQxgU
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2019/09/02(月) 23:04:02.74ID:fcpsgOD90
「流石に抵抗するよなあ…!…仕方ねえ」
 アトリエ中尉はバーニアを吹かした。艦内でバーニアは使いたくなかったが、これ以上敵を留まらせる訳にもいかなかった。
 強い圧力を受けた敵機が、挿し込んだ脚部を畳む様にして丸まった。丁度体育座りの様な態勢で圧力に耐えている。2機分の重量とバーニアの出力で床が割れ始める。
「ここまで来たら博打に乗ってもらうぜ!!行こうか!!」

 中尉はインコムで床を焼いた。切り抜かれた床は圧力に耐えきれず破れた。下に落下する勢いで床を抜いていく。
 艦底と思われる部分もインコムでくり抜き、バーニア出力に任せて敵を穴目掛けて叩きつける。
 敵機の抵抗で簡単には艦外へ押し出せない。敵機は空いた穴に体が嵌った様な態勢で、四肢でどうにか留まっている形だ。
「往生際の悪い…!」
 アトリエ中尉は一度軽く跳び上がると、勢いそのままに敵機を踏みつけた。外に吸い出される力と相まって、流石の敵機も耐えきれず艦外へ弾き出された。
0362◆tyrQWQQxgU
垢版 |
2019/09/02(月) 23:04:30.91ID:fcpsgOD90
 同じく吸い出されそうになる中尉の機体はどうにか穴の縁を掴む。トリモチランチャーを撃てるだけ撃ち、穴の修繕を試みる。
「流石にこれ以上は無理か…。後の修繕は頼むぜ…落ちるなよガルダ級…!!」
 そう一人こぼすと、中尉も艦を掴む手を離した。気流に飲まれながら、先程のジムクゥエルを探す。
「この程度で終わらねえよな…芽は摘んでおく」

38話 腐れ縁
0364◆tyrQWQQxgU
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2019/09/05(木) 16:00:53.41ID:hg3n1ntt0
「一体何が起きたの!?」
 艦内に大きな衝撃が走った。ワン中尉は周辺のクルーに聞くが、皆同様に混乱している様子だった。敵の襲撃ということだろうが、ガルダ級への直接攻撃があるとは予想していなかった。あくまでもC地点は補給の掩護の意味合いで設定したに過ぎなかったのだ。
「メイー!」
 ワン中尉の元へ駆け寄って来るメアリー。彼女は何かを感じている様だった。
「怖い人達が来るわ。初めて会った時のメイみたいな」
「ティターンズね?大丈夫よ、私の方が強いから安心して」
 屈んでメアリーと向き合うと、そういって彼女を抱きしめた。
「にしても、何処から襲撃かしら。やっぱり格納庫…?」
「そうよ、後ろの方から来る」
 メアリーが格納庫の方向を指差した。
「…ありがとう。行ってくるね。メアリーは他の人達と安全な場所で待ってて。必ず迎えに行くわ」
0365◆tyrQWQQxgU
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2019/09/05(木) 16:01:57.41ID:hg3n1ntt0
 メアリーをクルーに預けると、ワン中尉は格納庫の方向へ向かった。途中艦長からの通信があり、敵の潜入部隊が白兵戦を仕掛けてきたとの情報が入った。
 人数は不明だが、整備班の情報に依れば10名にも満たない程度だということだけは確かだった。
 アイバニーズ少佐麾下の特務部隊は敵地への潜入・撹乱が最も得意とする分野だ。常に最低限の兵装のみで最大限の戦果を挙げてきた。
 その任務の特性上人員の消耗も激しいが、裏を返せばどの任務もそれだけ苛烈に行われてきたということだ。今その凶刃の矛先はガルダ級に向けられていた。

 格納庫が近づくにつれて、艦内の惨状が明らかになってくる。遠くから大きな音が聞こえ、その度に艦内が少し揺れた。
 進む道も火薬の匂いと煙が次第に大きくなり、これ以上は近づけそうもない。
 その時だった。前方を先行していたクルー達の姿が突然見えなくなった。艦内が騒然としているとはいえ、特に入り組んでもいないこんな場所で急に姿が消えるはずがない。
 ともすれば消されたかである。ワン中尉は敵の影を認めると、曲がり角に身を潜めた。数は4人といったところか。
0366◆tyrQWQQxgU
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2019/09/05(木) 16:02:58.04ID:hg3n1ntt0
 十字路を抜けようと先行してきた敵の1人に出会い頭のヘッドショットを決める。
 気付いた他の敵がこちらを向いた時にはもう一人の懐に潜り込んでいた。
 顎から頭に向けて下から撃ち抜くと、崩れ落ちる敵の身体をいなす様にして別の敵へと放り投げる。狼狽えた敵の額を正面から撃つ。
 煙の中に紛れながら残る1人の背後を取ると、振り向かれるより早くナイフで首を掻き切った。ここまで数秒の出来事だった。
「特務部隊ね…他愛もない。煙に巻かれてとはいえ、バッカス少佐の方がよっぽど手強かったわ」
 ワン中尉は返り血を拭いながら小さく呟いた。

 その足でそのまま格納庫へ行きたいところだが、依然として火の手は上がっている。それに、報告からするとあと1つ部隊が潜入していると見るべきだった。
 ワン中尉は格納庫を諦め、引き続き艦内を捜索しつつ音がする方向へ進む事にした。
0367◆tyrQWQQxgU
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2019/09/05(木) 16:03:41.42ID:hg3n1ntt0
 居住区から格納庫へ伸びる道をまっすぐ進んでいたワン中尉は、行く手を遮られて横へ曲がる形になった。道中、著しく破壊された区画へ行き着いた。
「これってモビル…」
 言い終わる前に轟音が響く。恐る恐るその先を覗き込むと、荒れた艦内で敵MSと組み合うガンダムの背中が見えた。
「アトリエ中尉…戻ったのね」
 これ以上近づくのはあまりに危険だった。崩れた足場と各種配管や配線が剥き出しになり、メガ粒子に焼かれた壁が燻っている。
 最初に遭遇した部隊が居住区を狙った動きだったとして、進路からして敵MSはこの艦の動力炉を目指している様にみえる。ならば残る最後の部隊は何処へ行ったのか。
 資材や補給物資が集まる格納庫、乗員達がいる居住区、そしてこの艦自体を動かす為の動力炉。
 我々を沈めるために攻めるべき場所が後1箇所あるとすれば、明確な答えが残っていた。
 それは、頭脳ともいうべきブリッジである。他の場所を抑えられずとも、頭さえ潰してしまえばどうとでもなる。他の襲撃は全て、その為の陽動だったとしたら…。
 警護している人員が居るとはいえ、他の戦闘員が出払って手薄になっているのは間違いない。
0368◆tyrQWQQxgU
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2019/09/05(木) 16:04:15.72ID:hg3n1ntt0
 嫌な寒気を感じたワン中尉は、そのまま来た道を駆け戻った。杞憂ならそれでもいい。だが、どうにも拭えない不安がそれこそ返り血の様にこびりつく心地がしていた。

39話 嫌な寒気
0369◆tyrQWQQxgU
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2019/09/05(木) 16:38:56.25ID:hg3n1ntt0
 ガルダ級の方でビームの軌跡が光った。再び敵と交戦していたシェクター少尉だったが、その光の先にアトリエ中尉の存在を感じ取っていた。
「サドウスキー大尉!見えましたか!?」
『何か光ったな!敵か!?』
「アトリエ中尉が交戦している様です!」
『艦の中でか!?相変わらず無茶やってんなぁ!』
 サドウスキー大尉が砲撃で敵の連携を乱しながら吠える。敵はこちらよりも動きは早いが、あまり連携は取れていない様だった。
0370◆tyrQWQQxgU
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2019/09/05(木) 16:46:58.27ID:hg3n1ntt0
『あれは…MSか?』
 先程光った場所からMSが弾き出されるのが見えた。島で交戦した時のジムクゥエルだった。続いてガンダムMk-Wも落ちてくる。
「回収します!」
『お…おい!大丈夫か!?』
「放っておけないでしょ!」
 シェクター少尉は落下するガンダムの元へ急行した。敵のギャプランがそれを追ってくる。
『余所見してる場合かぁ!?』
 こちらの背後を取った敵の砲撃を躱しながら速度を上げる。
 アトリエ中尉がこちらに気づき、態勢を立て直していた。うまく機体を拾うと再び大きく旋回する。
『お上手お上手!いやー助かったわ』
「言ってる場合ですか!無茶ばかりして!」
『助けてもらったついでに借りるぜ』
 ガンダムはGディフェンサーに手を伸ばすと、ロングレンジライフルを手にとった。
『あと何発撃てる?』
「精々2,3発ってとこです」
『それだけあれば十分!』
0371◆tyrQWQQxgU
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2019/09/05(木) 16:47:32.50ID:hg3n1ntt0
 アトリエ中尉のガンダムを載せたGディフェンサーは先程のギャプランを探す。
「何処へ行った!?」
『敵さんも落とし物があるからな…』
 中尉の言うとおり、敵のギャプランの背に先程のジムクゥエルの姿を捉えた。
『アトリエ中尉!相変わらずだな!』
 サドウスキー大尉のガンキャノンが傍へ来る。
『大尉!?何か…機体換えました?俺も色々乗り継いでるから人の事言えないっすけど…。さて、お互い面子が揃ったかな?』
 中尉が興奮と焦りを滲ませた。敵も合流を済ませ、互いに対峙する形になる。
『俺はあの長物持ちをやる。お前らは隊長機をやれ!今度こそ落とすぞ』
 サドウスキー大尉が吠えた。
『了解!俺も因縁が深くなってきたからな…!少尉!改めて言うぜ…?お前は俺の』
「脚ですよね?ちゃんとついてきてください、今度は抜け駆けは無しです!Gディフェンサーは速いですよ!!」
『はは、生意気言いやがって!ガンダムをナメんなよ!』
 サドウスキー大尉の大砲による掩護を合図に少尉もバーニアを吹かした。敵は砲撃を躱しながら正面から仕掛けてくる。
0372◆tyrQWQQxgU
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2019/09/05(木) 16:48:06.17ID:hg3n1ntt0
『少佐も合流した!こいつ等を仕留めさえすれば!』
 ギャプランのパイロットが声を上げる。
「お迎えが済んだなら諦めて帰った方が良いんじゃないかな?」
 少尉は笑いながら急旋回する。その後ろを敵に追わせる格好だ。ひたすら高度を上げていく。
『…。良いな?少尉!』
「んな!?…いや、やれます!」
 敵が迫ってきたところでこちらの腹を晒す。視界を塞がれた敵の動きが鈍った。少尉の機体はそのまま宙返りし、脚を離しその場に残された中尉の機体がジムクゥエルへ飛びかかる。
 ロングレンジライフルの銃底で殴りかかるも、ギャプランと二手に別れた敵に避けられた。少し接触し、そのまますれ違う。
『よし!行けぇ!!』
 中尉の声とほぼ同時に、少尉は機体を載せた。ガンダムではなく、ジムクゥエルを。
0373◆tyrQWQQxgU
垢版 |
2019/09/05(木) 16:48:46.49ID:hg3n1ntt0
『馬鹿な!何を!?』
 虚を突かれたギャプランのパイロットがうろたえる。構わず少尉は高度を更に上げながら戦域から離れていく。
『気にしてる場合かよ?』
 落下しながらバーニアで姿勢を制御した中尉のロングレンジライフルが火を吹く。
『ぐぬ…ううう!!』
 ギャプランが急激な方向転換でライフルを躱した。
『ま…まじかよ…!』
 焦る中尉も気掛かりだが、こちらもこれ以上余所見をしている暇はない。
「ここらで…さよならだね…!」
 強烈なGで身動きがとれないジムクゥエルを滑らせる様にして振り落とす。敵はサーベルを突き立てようとするも、少し装甲を裂いてそのまま落下した。
『ぐうう…!少佐ぁ!!』
 中尉には目もくれず、ギャプランがジムクゥエルを追う。先程までとは比べ物にならない高機動。少尉は目で追うのが精一杯だった。ミサイルで迎撃しようとするも、ギャプランは追いすがるミサイル群を尽く躱しきる。
「なんて速さなんだ…ほんとに人間か?」
『へ…へははは!…ちょっと…びっくりしたぜ…』
 再びジムクゥエルを拾ったギャプランがこちらに迫る。パイロットを消耗させることには成功したが、これほどの機動性とは予想外だった。
 少尉も急ぎ、中尉の回収へ急行する。当然だが敵も追撃を掛けてきた。
 急降下するGディフェンサー。こちら目掛けて急上昇してくるガンダムと交差する様にして合流した。その一瞬を見逃す敵ではない。
0374◆tyrQWQQxgU
垢版 |
2019/09/05(木) 16:50:05.55ID:hg3n1ntt0
『小細工は嫌いなんだよぉ!!落ちろ!!』
 ギャプランがメガ粒子砲を滅多撃ちにしてくる。
『ちっ…!分断失敗か!化物め!』
 中尉がライフルで狙いを定めようとするが、敵の動きが速すぎた。その上で姿勢を低くしたジムクゥエルがサーベルを構える。
 躱しきれない砲撃を受けながら、中尉がバランスを崩した。そこにジムクゥエルが迫る。
『やらせるかよ!』
 いつの間に射出していたのか、敵を射程圏内まで引きつけたところでインコムが敵を撃った。敵は寸でのところでこれを躱すと、尚も斬りかかろうと距離を詰めてくる。

『…だろうと思ったぜ。これ、返すよ』
 そういうと中尉は敵にビームサーベルを回転させながら投げた。
 ガンダムのものではない。これもいつの間に奪っていたのか、ジムクゥエルのものだった。更にサーベル目掛けてインコムでここぞとばかりに射撃する。
 弾けたビームが敵へと飛び散る。敵は、それを少しでも躱そうと大きく動きが逸れた。

「あばよ」
 そういうと中尉は、残り少ないエネルギーを全て込め、ロングレンジライフルをフル出力で撃ち放つ。眩い閃光が空を走った。


40話 眩い閃光が空を走った
0375◆tyrQWQQxgU
垢版 |
2019/09/06(金) 16:33:30.59ID:BJVX+gv40
「久々のガンキャノンだ。暴れさせて貰うぜ!」
 サドウスキー大尉は大砲で一度敵を分断すると、そのまま長物を携えたジムクゥエルへ更なる砲撃を見舞う。中尉達とは距離を取った。
『1対1とは、またみくびられたものだな』
 敵パイロットはこちらの砲撃をものともせず悠々と躱す。最初から当たるとは思っていないが、それにしても鮮やかに避けるものだ。

「長物なんか引っ提げやがってよ。うちにもそんなやつがいたぜ」
 サドウスキー大尉は緑色のマラサイを思い浮かべていた。
『ほう。それは手合わせしてみたいものだ。生きているならの話だがね』
「もうじき会えるさ。それまでお前が生きていたならの話だがな!」
 再び両肩の砲が火を吹く。敵はこれも躱すとビームスピアーを横に凪ぐ。
 ぎりぎりで躱しながら付かず離れずの距離を保ちつつ、今度はライフルも交えて応戦した。弾幕と言っていい量の砲撃を躱しながら尚も接近する敵機。サドウスキー大尉も血が滾ってくる。
「やる気十分!来い!」
 敵が振りかざしたスピアーの更に内側まで間合いを詰める。左肩のスパイクで敵の柄を受け止め、ライフルを捨てると正面から右のアッパーで仕掛ける。
 接近戦は予想外だったのか、敵の頭部にクリーンヒットした。
『馬鹿な!砲撃機で接近戦など!』
「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!」
 本来射撃態勢を取るための腰部の変形を支えにすると、そのまま更に両足で敵を蹴り飛ばす。
「お望みの砲撃だ!喰らえ!」
 蹴り上げた脚を再度固定し直すと、今度は近距離で砲撃を浴びせた。これも見事命中する。
0376◆tyrQWQQxgU
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2019/09/06(金) 16:34:26.82ID:BJVX+gv40
「おいおい!そんなもんか、ティターンズってのはよ」
 立ち上る煙の中、敵機は沈黙している。しばしの沈黙を破り、敵パイロットの声が再び聞こえた。
『全く…。馬鹿の考える事はやはりわからんな。しかし…今回の攻撃はなかなか…』
 煙の中から、増加装甲をパージしたジムクゥエルが現れた。一部フレームも剥き出しにしたその姿は、先程よりかなり華奢に見える。
「貧相な体してんな。飯食ってんのか?」
『これを身軽と言うのだ』
 その言葉通り、更に機動性を上げた敵機がこちらへ迫る。只でさえ当たらなかった砲撃は、最早牽制にもならなくなった。すぐに背後を取られ、敵のビームスピアーが再び襲いかかる。
「ええい!舐めるなよ骨野郎!」
 身を翻し、スピアーを両腕で止める。装甲をパージして細身になったとはいえ、敵の出力は変わりない。
 むしろフレーム構造が簡素なガンキャノン・ディテクターの方がパワーでは劣っていた。じりじりと敵の刃が迫る。
0377◆tyrQWQQxgU
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2019/09/06(金) 16:35:03.97ID:BJVX+gv40
『威勢が良かったのは先程までか』
「この程度で…!」
 寸でのところで刃をいなすと、再度敵の懐へ潜り込む。今度は左の拳を繰り出した。しかし敵は容易くそれを躱す。
『馬鹿の一つ覚えとはこのことか。そう何度も貰わんよ』
 ジムクゥエルは左手でサーベルを抜くと、逆手にして突き立てようとした。そうはさせまいとサドウスキー大尉も敵の手首を掴む。
『この態勢では大砲も撃てまい』
「まだまだ!」
 サドウスキー大尉はサーベルを握った敵の左腕目掛けて頭部のバルカンを撃ちまくった。敵の腕がそのまま爆ぜる。
 掴んだ敵の腕をそのまま叩きつけようとするも、追って斬りつけてきたスピアーを躱すと同時に距離を取られてしまう。
 ここが攻めどころだ。息をつかせず更に砲撃に晒す。かいくぐりながらスピアーで突いてくる敵機。それを先程の千切れた腕で受け止めると、そのままスピアーの基部へねじ込んだ。
「これで振り回すのは難儀だろう!」
『甘いな』
 敵がビーム発生器を可動させると、ねじ込んだ腕を裂きながら形状を鎌の様に変形させた。
「次から次へと仕込みやがって…!」
『浪漫と言っていただきたいね』
 そのまま腕の残骸を振り払うと、こちら目掛けて振り下ろしてきた。先程までと違い、刃が届く前に受け止めることが出来ない。かといって躱すことも叶わず肩から両断される左腕。
「ぐぬ…!」
『これでおあいこだ。そして…』
0378◆tyrQWQQxgU
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2019/09/06(金) 16:36:02.46ID:BJVX+gv40
 敵が再度鎌を振り上げた時、閃光が走った。中尉達の方向だ。
「…やったか」
『そんな馬鹿な』
 隙を突いて両肩の砲を放つ。頭部に直撃を受けた敵機はバランスを崩した。更に追撃を試みたが、形勢不利と見てかそのまま敵機は飛び去った。
「ちっ、こっちは落とし損ねたな」
 遠くなる敵機を見つめ、再び中尉達の方へ視線を移す。少しずつ高度を落とすアトリエ中尉とシェクター少尉の姿が見えた。
「どうだ?そっちはやったか!」
『どうにかこうにか…!』
 サドウスキー大尉の呼びかけにシェクター少尉が応える。無事で何よりだ。

『いいや、まだ終わっちゃいねえよ…』
 アトリエ中尉が呟いた。先程の閃光の先に敵影。
 そこには、ロングレンジライフルの直撃を受けてもなお隊長機のジムクゥエルが立っていた。左腕と腹部を抉られているが、まだやるつもりの様だ。
 ギャプランもまだ健在か。その傍へスピアーを担いだジムクゥエルも戻る。こちらもアトリエ中尉達がサドウスキー大尉の元へ戻ってきた。
『タフな奴らだぜ…。残念ながらこっちはもう弾切れだ。サーベルも無いし』
 アトリエ中尉が言った。サドウスキー大尉も継戦能力が残っているとは言い難かった。
「万事休すか」

その時、北の方角から複数の機影が見えた。

41話 万事休す
0379通常の名無しさんの3倍
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2019/09/17(火) 05:50:44.93ID:LhRbmHMC0
エゥーゴとティターンズだけのストーリー?
アクシズ軍や地球のジオン残党なんかも登場するのかな?
0380◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:33:02.59ID:HyF4PF3W0
>>379
基本色々出てくる予定です!
とりあえずは地上に焦点を当てていく感じですね。
0381◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:37:34.42ID:HyF4PF3W0
 古い友がいた。彼が居なければ、今の私はないと言っても過言ではない。一年戦争を戦い抜く中で、多くの出来事を共に経験した。
 終戦を迎えた時、満身創痍の旧ザクと戦線を離脱する私に、嫌味の1つも言わずただ労いの言葉で背中を押してくれた。名をアルフレート・フラマスという。
 その後も彼はジオン残党軍の一員として戦い続け、デラーズ紛争の際にも陽動の為出撃していたと聞いた。
 私のエゥーゴ参加も彼のひと押しがあったからだ。そしてその男が今、モニターに映し出されていた。
0382◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:38:09.32ID:HyF4PF3W0
『いずれ何かの形で合流したいとは聞いていたが、また急なお誘いだな。ワーウィックよ』
 フラマスが苦笑いした。黒い長髪をセンターから横に流した、筋肉質な体格のいい男だった。
 エゥーゴ参加後も頻繁に彼とは連絡を取り合っていたが、如何にエゥーゴといえどもおおっぴらにジオン残党とやり取りする訳にもいかず、秘密裏にやり取りを重ねていた。
「そういうなよ。連邦に一矢報いる機会だと思わないか?」
『まあ、ここのところワーウィック達がティターンズと小競り合いをやっていたのは知っているとも。アンテナは常に張ってるからな。
 …しかしいいのか?いくらエゥーゴとは言っても地球連邦軍の一部だ。そう簡単に味方だと判断してくれるとも思えんな…お互いにだが』
 腕を組み、笑みを浮かべたままフラマスが言う。私は、旧友のいるジオン残党へ援軍としての出撃を打診していた。
0383◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:38:50.83ID:HyF4PF3W0
「今回は私の独断だ。作戦の後は撤収してくれてもいい。もし追撃をかけようなんてやつがいれば、その時は私が命に替えても止める」
『冗談でも賭け事はやらないお前がそう言うなら、お前のことは信じよう。
 だがな、俺も今や組織を預かる人間だ。ここまで付いてきてくれた部下をみすみす危険には晒せない…。せめて確実に共同戦線を張れるという保証はないのか?』
「フラマス…お前が俺を信じてくれるのと同じ様に、俺がお前を信じている様に。俺も俺の仲間を信じている」
『はっはっは!!!結局は精神論か!お前は変わらないな…くくく』
 フラマスが天を仰いで大笑いした。ひとしきり笑ってからモニターに向き直したフラマスは、真剣な眼差しをこちらへ向けた。
『良いだろう。ティターンズには苦い思いをしてきた…部下達も同じ思いだ。俺自身が行こう。それに付いてくるという者だけ連れて行く。それでいいな?』
「ありがたい。こんな無茶な頼み、お前にしか出来ない」
『確かにそんな頼みを聞けるのは俺しかいないだろうな。どれだけついてくるかわからんが、まあ期待していろ』
「頼む」
0384◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:39:29.15ID:HyF4PF3W0
 通信が切れた。こんな形でも幾らかは助け舟を出してくれるだろうか。ここはフラマスを信じるしかない。
 合流地点へ到達した私は、思わず息を呑んだ。フラマスの搭乗する専用のゲルググを筆頭に、少なくとも10機は隊列を組んでいる。
 壮観な眺めだった。機体が旧式であろうとも、今の私には何よりも心強い光景だった。
『みんな来るそうだぜ。何があっても自分で責任を取れる連中だ。お前は何も心配しなくていい。ま!俺の人望に感謝するんだな!』
「…ありがとう…!」
 私は思わず目頭を抑えた。
『おいおい、時間がねぇんだろ?行こうぜ。水中にも部隊を展開してる』
「…ああ!」
 いつ以来だろうか。私はフラマスと轡を並べ、共に部隊の先陣を切って駆けた。ジオンの機体と隊列を組むマラサイは、まるで初めから共に戦ってきたかのように馴染んでいた。
 私の家はここにもあるのだ。懐かしい想いが込み上げてくる。
『それで?敵さんはどう来る?』
「今頃私の母艦が強襲を受けている筈だ。まずはそれを蹴散らす」
『わかった。この作戦の指揮官はお前だ。何でも言え。…聞こえるか?全機チャンネルをマラサイに合わせろ。指揮官殿からありがたいお言葉が聴けるぞ!』
 次第に通信可能な機体が増えていく。全機と通信が繋がったところで私は再び口を開いた。
0385◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:40:18.07ID:HyF4PF3W0
「皆、よく集ってくれた。私はエゥーゴ所属のサム・ワーウィック大尉だ。出動しながらの挨拶になってしまい申し訳ない。
 今回指揮を取らせてはもらうが、エゥーゴでの階級などは諸君との間に何の意味も持たない。ただ、かつて同じ旗を仰いだ同志として、感謝したい。ありがとう。」
 各機の回線から歓声が上がる。本当に心強かった。
『気にせんでくださいよ!元々出撃予定だったんですから!』
 兵の一人が言った。
『あ!言うなよ!』
 フラマスがわざとらしく慌てる。
『そうそう!漁夫の利を得るのは俺達だ!とか息巻いてましたからね…。ワーウィックさんが誘ってきてくれて大義名分が出来たってところですかね』
 別の兵からも声があがる。
『あー…。まあな。ティターンズの横腹を突けば俺達も戦えると思ってたもんでさ…。しかし戦況も見えないもんだからタイミングを見計らってたって訳よ』
 諦めたフラマスが開き直った。私は思わず笑ってしまった。それもそうだろう。急な誘いにも関わらず準備が良すぎる。
『笑うなよ。ほんとはもっと交渉したいところだったんだが、お前も急いでたからな』
「いやいや、本当にありがとう。お前と友人で良かったよ」
『だろ?』
 フラマスが笑うと皆笑う。我々は速度を上げながらもう一つの家、ガルダ級を目指した。

42話 旧友
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2019/09/18(水) 14:45:45.55ID:HyF4PF3W0
 燃え上がりながらも持ちこたえているガルダ級が目に入るまで、そう時間は掛からなかった。
『ここまで無事に入り込めるとはな』
 ほっと息をつきながらフラマスがいう。
「恐らくは仲間の手回しだ。…バッカス少佐だな」
 私達はエゥーゴの部隊とすれ違いながら現場へ急行したが、皆すんなり道を開けてくれた。とにかく急がねばならない。
0387◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:46:26.66ID:HyF4PF3W0
 ガルダ級の元へ辿り着き、アトリエ中尉達の機体が見えた。ガンダムMk-W、ガンキャノン・ディテクター、Gディフェンサー。皆満身創痍だった。
 敵機は同じく3機。ジムクゥエルのカスタム機が2機とギャプランが1機。うち1機は例の手練とみて間違いない。
「全機散開して敵を叩け!敵も消耗している。1機たりとてここから逃がすな」
『行くぞお前ら!』
 正面から突っ込むフラマスを中心に、一斉に散らばり敵へと襲いかかった。
『な…!ジオン残党か!?何でまたこんなタイミングで!』
 サドウスキー大尉が狼狽える。
「私だよ大尉。救援に来た」
『遅せぇんだよ!待ちくたびれたぜ』
 アトリエ中尉が嬉しそうに声を上げた。
『ジオンの死にぞこない共が今更!』
 敵パイロットと思しき声が割り込む。敵も驚きを隠せない様だ。
 各機一斉掃射を行う。防御姿勢に入った敵へと数機迫る。ギャプランに搭乗したジムクゥエルへフラマスのゲルググが斬りかかった。
 敵はサーベルでナギナタを受けつつ再び距離を取ろうとするが、牽制の射撃で動きが鈍い。
『旧式のゲルググなどこのギャプランの敵ではない!』
 ジムクゥエルがバーニアを吹かして飛ぶと、MSへ変形したギャプランが両手にサーベルを持ちフラマスを襲う。
 フラマスは返す刃でそれを捌くと、態勢を崩したギャプランの肩へナギナタを突き立てる。
『旧式が何だって?』
 フラマスが得意げに返した。腕は鈍っていない様だ。
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2019/09/18(水) 14:46:57.91ID:HyF4PF3W0
『調子に乗るなよ豚鼻め』
 ビームスピアーを構えたジムクゥエルが急接近してきたが、こちらは私が抑え込む。
「豚鼻もチャーミングだと思うんだがな」
 敵の長物をナギナタで弾き、反動でがら空きになった腹部に柄を突く。更に追撃でナギナタを凪ぐが、これは敵のスピアーに阻まれた。
 しかしそのまま手を緩めず続けて斬りつける。切り結んでいくうちに捌ききれなくなった様子の敵機の得物を、ビームの基部から両断した。
『ええい!これまでか』
 得物を失っても依然続く掩護射撃に耐えきれなくなり、離脱しようとする敵機。容赦なく追撃をかける。
「逃さんよ」
 マラサイは鈍い音と共にモノアイを光らせると、右肩から腰にかけて袈裟に斬りつけた。
 身を捩った様で両断とはいかなかったものの、決定的なダメージを受けた敵機はそのまま落ちていく。
 フラマスに阻まれていたギャプランがゲルググの攻勢を振り切り、落ちていくジムクゥエルを追う。それを追おうとしたフラマスのSFSへ指揮官機のジムクゥエルが飛び乗る。
『くそ、こいつ!』
 敵に押し込まれSFSを奪われるフラマス。あわや落下するというところを友軍が拾う。こちらの部隊が追撃をかけるも、そのまま敵は戦線を離脱していった。
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2019/09/18(水) 14:47:18.54ID:HyF4PF3W0
『何事かと思ったよ。こんなにわらわら一つ目を連れてくるなんて聞いてないぜ』
 アトリエ中尉から通信が入る。どうにか皆無事だった様だ。
「すまんな。古い友人とその仲間達が来てくれた。とても正式には救援として要請する訳にもいかなくてな」
『何ていうか、真面目なのか破天荒なのかよくわかんねぇよなあんたって』
 そういいながら中尉は笑った。他の面子もこちらと合流する。
『ワーウィック大尉…!来てくれると信じてました。援軍感謝します。もう駄目かと…』
 シェクター少尉が憔悴した様子でこぼす。
『来てくれるって信じてたんならそんな弱気にならなくてもいいじゃねえか!』
 少尉をアトリエ中尉が茶化す。とはいえ、実際かなり際どいところだったのは彼らの消耗具合を見れば明らかだった。
『しかし、ジオンとはな。後で何言われるかわかったもんじゃないぜ大尉』
 サドウスキー大尉も割って入る。
「そうだろうな…。とにかく細かい話は後にしよう。問題はガルダ級だ」
 ひとまずの脅威は去ったが、補給線に手痛いダメージを受けた。ガルダ級の方では今何が起きているのか…。
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2019/09/18(水) 14:47:47.52ID:HyF4PF3W0
『ワーウィック、とりあえず俺達は仕事を終えた訳だな。しかしこのまま帰るのも暴れ足りん。前線の押し合いにも加わらせてもらうが、構わんな?』
 フラマスからの通信だった。
「そうしてもらえると我々としても有り難い。しかし…」
『わかってるさ。ここらで俺達から正式にティターンズへ宣戦布告する。そうすればエゥーゴとしても面子は立つだろう。あくまでも共通の敵を叩くに過ぎん訳だ。
 共同戦線を張るのは今のでおしまい。そのくらいならお前達の度量でどうにか上層部も丸め込めるだろう?』
「何から何まで気を遣わせてすまないな」
『良いってことよ、俺達にも十分利はある話だったからな。あのデカい艦の心配はそっちでしてくれ。そんじゃ…また会えるのを楽しみにしてるぜ。
 どんな形になるかはまだわからねぇが…少なくとも、俺はお前の友人であり続けるつもりさ』
 そういって笑ったフラマスは通信を切った。次に会うとき…また友人として会いたいものだ。
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2019/09/18(水) 14:48:24.21ID:HyF4PF3W0
『皆無事の様だな!バッカス少佐もエゥーゴとうまく連携を取れているようだ』
 モニターにスギ艦長の姿が映った。引きつった様な笑顔に違和感を覚えたが、この状況では無理もあるまい。
『おいおい!そっちこそ大丈夫かよ!?』
 アトリエ中尉の声が響く。
『心配いらん。お前達はお前達の成すべき仕事をやり遂げた』
「…これから我々はどうすれば?」
『ああ…済まんが引き続き周辺の警戒を続けてくれ。どうにか艦はまだ巡航出来ているからな。
 この格納庫の状況では落ち着くまで皆を着艦させるのも難しい。撤退するにしろ、後続が到着してからだ』
『わかりました。よし、お前ら行くぞ』
 サドウスキー大尉が先導してガルダ級の後部へ回り込む。私も皆の背中を追った。

43話 共同戦線
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2019/09/18(水) 14:49:57.46ID:HyF4PF3W0
「…これで満足か?とりあえずMS隊は此処には来るまい」
 MS隊との通信を終えたスギ艦長が言う。ブリッジは、潜入したティターンズの特務部隊に占拠されていた。

「まあ良いだろう。貴様らの蛮勇を以てすれば、察知した途端に艦橋だろうと見境なく攻撃しかねんからな」
 黒いマスクで顔を覆った男の1人が言った。
「しかし、この艦をどうこう出来たとしても君らは…」
「いいや。我々は皆、死の縁からアイバニーズ少佐に拾われた者ばかりだ。もう死んでいた様なものよ。指揮官の目的の為にしばし生き延びて今ここに居るに過ぎない。目的が全てだ」
 スギ艦長を遮り、更に男は続ける。
「この奇襲で一時的に補給線が切れた。前線のエゥーゴは挟撃を受ける不安とも戦っているだろうな。勝ち筋が見えた我が軍は今頃押しに押しているだろう」
 誇らしげに男が言う。いささか楽観が過ぎるとは思いつつも、敵に優位な形に事が進んだのはスギ艦長も同意せざるを得ない。
 しかしジオン残党の援軍もあり、作戦が失敗した今再びエゥーゴが押し返すであろう事は明白だ。この男はティターンズが優勢であると自分に言い聞かせている様だった。
「君らの行動は半ば自暴自棄ではないかね。本艦の指揮系統を奪ったとて、落とし損ねた時点で君らの負けだ。現にMS部隊も敗走しただろう。大人しく…」
「黙れ!!」
 男が艦長へ銃口を向けた。冷静さを欠いている様だ。
「この艦を手土産にして戻るのだ。修復すれば十分使える」
「手のつけようがないほど壊れているよ…君らは」
 スギ艦長が嘲笑うと、男は銃を艦長の胸に押し付けた。
0393◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:50:49.63ID:HyF4PF3W0
 最早これまでかと思われたその時、ブリッジへ繋がる扉の1つが爆発で吹き飛んだ。皆がそちらに気を取られた隙に、もう1つの扉に人影が見えた。
「貴様一体何を!」
 こちらに向き直った男は狼狽し引き金を引いた。強い衝撃が胸に響く。それからひと息も置かないうちに、男も額を撃ち抜かれた。先程の人影、ワン中尉だった。
 遅れて、放たれた両方の扉からクルー達がなだれ込む。指揮官を失い観念したのか、敵の部隊は皆武装を捨てるとそのまま取り押さえられた。息の荒いスギ艦長の元へワン中尉が駆け寄る。
「艦長…!」
「よく来てくれたな…他のクルー達は無事か…?…ごふっ」
 咳き込むと鮮血が散った。もう長くないことをスギ艦長は悟った。
「喋らないでください。すぐに医務室へ運びます」
「いや…」
 そういうと駆け寄ってきたクルー達を手で制した。
「自分の身体だ…致命傷なのは自分でわかるとも」
 皆が静まり返っていた。いや、自分の耳が遠のいてきたのか。
「本艦はここを後続に任せて基地へ後退だ。格納庫の消火も済んではおらんだろうが、MS隊は回収してやれ。バッカス少佐もそろそろ戻る頃合いだ。その後のことは彼女に…」
 そこまで言って再び咳き込む。意識も朦朧としてきていた。
「わかりました艦長。何もお気になさらず」
 ワン中尉が精一杯の笑顔で言った。しかし涙が溢れ出しているのもわかった。
「よく泣く子だ…。君の様なうら若い乙女を戦場へ引き込むなど、ティターンズは害悪だよ」
「ならバッカス少佐を引き込んだカラバは?」
「彼女はまた別さ。…乙女じゃない」
「言いつけますよ」
 艦長はワン中尉と共に笑った。だんだん全身が軽くなっていく様な心地に襲われる。
「そういえばこれを…」
 どうにかポケットから取り出した飴をワン中尉へ手渡す。
「私の…この艦の…子供たちに…」

 言い終わるよりも先に、スギ艦長の視界は暗くなっていった。

44話 飴
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2019/09/18(水) 14:51:47.92ID:HyF4PF3W0
 ガルダ級の周囲へと軽く部隊を散らせたところで再び通信が入った。先程の指示が撤回され、急遽格納庫へ戻る様にとのことだ。ワン中尉だった。
 傷を負っているのか返り血なのか、まだ乾いていない血も目に入った。
『ワーウィック大尉…。皆さん…』
「どうした。何かあったか」
『艦長が…。また、戻ったらお話します』
 彼女の声は酷く震えていた。
『まあいい。とにかく戻ればわかるさ』
 アトリエ中尉が皆を促す。私達は再びまとまると、順に着艦した。
0395◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:52:14.01ID:HyF4PF3W0
 艦内は酷い有様だったが、いくらか消火も進んでおりどうにか着艦出来た。
 ハンガーは機能しておらず、各々機体を可能な限り固定してから乗機を降りた。パイロット達が合流する。
「よお大尉。さっきは助かったよ。後でお友達にも礼を言えれば良いんだがな」
 サドウスキー大尉が背中を叩く。肩を負傷しているが元気な様子だ。
「酷い状況ですね…。落ちなかっただけいいですが」
 シェクター少尉がヘルメットを脱ぎ、軽く首を振った。彼もよくやってくれた。
「皆よく持ちこたえてくれた。もう少し早く救援に来れたら良かったんだがな」
「全くだぜ。いや、まあ来てくれただけでも有り難かったんだけどな?」
 アトリエ中尉もこちらに合流した。シェクター少尉を小突いてサムアップして見せた。少尉も表情が明るくなる。
「さて、とにかくブリッジへ行こうか。ワン中尉達が心配だ」
 我々は格納庫を後にしてブリッジへと急いだ。
0396◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:52:47.70ID:HyF4PF3W0
 ブリッジ付近へ到着すると、破壊された扉の向こうでクルー達が集まっているのが見えた。
「また派手にブリッジに入ったやつが居るな」
「壊したのは私です。そうするしかなくて」
 私の声に気付いたのか、目を泣き腫らしたワン中尉が我々を出迎えた。
「また泣いてんのか。てかお前色々壊し過ぎなんだよ!今度こそ自分で直せよな」
 アトリエ中尉が悪態をつくが、ワン中尉の反応は無い。
「お…おい。ごめんって!俺も手伝ってやるから!」
「そんなのどうだって良いわよ…。それより」
 そういってブリッジを振り返った。彼女に続いて我々も中へ入る。

 クルー達が集まる中心に、スギ艦長が寝せられていた。安らかな表情で胸に手を組んでいたが、その胸におびただしい量の血が滲んでいた。
「…こんなとこで寝てたら風邪引くぜ爺さん」
 アトリエ中尉が艦長の傍に膝をつく。
「一体何が…。だって、さっき通信した時は何も…」
 シェクター少尉は呆然と立ち尽くし、周囲を見渡していた。ブリッジの端で拘束されたティターンズ兵達がうなだれている。
 それを見つけた少尉が彼らに詰め寄るとその1人の頬を思い切り殴った。
「お前達…!お前達が!」
 少尉が珍しく声を荒げていた。サドウスキー大尉に止められると、少尉は声を押し殺して泣いた。
0397◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:53:41.11ID:HyF4PF3W0
「…説明してもらえるか?何があったんだ」
 横たわる艦長の亡骸を見つめながら、サドウスキー大尉が落ち着いた声でワン中尉に言った。
「…ミデアが格納庫に突っ込んできて、搭載した火薬を爆破してきたのは皆知ってる通りですね。その後部隊は二手に別れて艦内へ潜入、MSも1機侵攻を開始しました。
 ある部隊は居住区、MSは動力炉。そして残る部隊が目指したのがブリッジ」
 ワン中尉は説明しながらひと息つくと、近くにあった椅子へ腰を下ろした。
「MSはアトリエ中尉が撃退して、居住区を狙った連中は私が始末しました。けどその間にブリッジに敵が入り込んでしまって。外の戦闘が落ち着く頃には完全に制圧されていた様です」
「最後の通信の時には既に敵が占拠していたのだな」
 サドウスキー大尉が腕を組みうつむいた。
「ブリッジのクルー達が言うには、敵はこの艦ごと帰還しようとしていたとの事です。だからMS隊を遠ざける様指示を出させた。落としそこねた帳尻合わせに奪取を目論んだのでしょうね」
「艦長の事だ。はいそうですか、とみすみす艦を渡す様なタマではない」
 私もアトリエ中尉の傍に腰を下ろした。
「…ええ、その通り。そうして彼らが問答している間に私が他のクルーをかき集めてブリッジへ突入しました。取り乱した敵の指揮官が艦長を…」
 そこまで言ってワン中尉は顔を手で覆った。シェクター少尉が彼女の肩を抱く。
「私が…。私がもっとうまくやっていれば…こんな…」
「言うな、お前には何の非もねえ。酷い状況の中でよくやったよ」
 視線を落としたまま、アトリエ中尉は立ち上がった。
0398◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:54:09.01ID:HyF4PF3W0
「艦長を何処か静かなお部屋へ。話したいことは皆沢山あるだろうが…。まだここは戦闘区域だ。艦長が守ったこの艦を無事に後退させるのが先決だろう」
 私がそう言うと、シェクター少尉とワン中尉他クルー達が艦長を担架に乗せて運び出した。
 艦長は切迫した状況の中で、最期に何を想ったのだろうか。私の様な若輩者にはとても思い至らなかった。ジオン上がりの私や密航したメアリー、ティターンズから転向したワン中尉にも分け隔てなく接してくれた。
 彼なくしては癖の強いこの艦のメンバーはまとまらなかっただろう。惜しい人を失くしてしまった。私は、身体が熱くなるのをぐっと堪えた。
0399◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:54:51.57ID:HyF4PF3W0
「バッカス少佐が戻るまでは私が全体指示を出す。序列的にも私がやらねばならんな。MS隊や整備班に関してはサドウスキー大尉にお願いして良いかな」
 私は皆を見渡した。異論は無いようだ。
「勿論だ。今はとにかく復旧作業を再開するぞ!皆来い」
 サドウスキー大尉に続いてアトリエ中尉達がブリッジを後にする。残る者達が私の指示を待った。
「連戦で疲弊している皆には申し訳ない。しかし現状を可能な限り復旧させねばな。ブリッジクルーは周辺の部隊へ現状の報告、併せて本艦が後退する旨を通達だ。
 手の空いているものは救護の支援や艦内の修繕にあたってくれ」
 クルー達は各々散っていった。それを見届けると、私は艦長の座っていた血のついたシートへ触れた。大きな犠牲を払ったが、前線はどうなっているだろうか。
 フラマス達がそろそろ布告も行う頃合いだ。敗走した敵の追撃に関してはバッカス少佐の報告を待たねばならない。
0400◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:55:36.16ID:HyF4PF3W0
 次の戦地は恐らくニューギニア基地だ。この地域において我々の確固たる地盤を築くには避けては通れない攻略戦。その為に出来る事を再び考える必要がある。
 この面前に広がる空と海の境界線は、どれだけの命を吸えば穏やかになるのだろうか。私はその狭間で混じり合う様々な思惑に目を細めていた。

45話 空と海の境界線
0401◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 14:57:35.24ID:HyF4PF3W0
しばらく更新してませんでしたが、文自体は書いていたので一気に投下してます!読みづらいかもです…

pixivも追って更新するでよろしくお願いします!
0402◆tyrQWQQxgU
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2019/09/18(水) 19:18:01.03ID:HyF4PF3W0
pixiv更新しました!
https://www.pixiv.net/novel/series/1155468

一気に放出したので書き溜めている量がだいぶ減りましたが、引き続き更新していくのでよろしくお願いします
0403◆tyrQWQQxgU
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2019/09/19(木) 21:00:51.74ID:5nWjv+Bq0
 バッカス少佐が戻ったのは、皆が作業を再開して程なくだった。
 少佐の想像以上に手酷くやられており、損傷著しいペイロードでは通常の着艦すらままならなかったがどうにか格納庫まで機体をつけた。サドウスキー大尉が出迎える。
「少佐!ご無事で何より」
「大尉もな。皆に任せてしまって済まなかったね」
「いやいや、それぞれ任された務めを全うしただけですよ。して、敵の動きはどうでしたか」
 格納庫を2人並んで歩く。少佐は先程の戦いを簡単に伝えた。
「ガルダ級を強襲した部隊が敗走してきた時、私とエゥーゴの部隊で迎え撃ったのだが…。いや、奴らの方が上手だったと言う他ないな。
 敵はとても戦える状態とは思えなかったが、我々も油断があったのだろう。いい様に掻き回された挙げ句取り逃がしたよ」
「そうでしたか…。致し方ないですな」
 サドウスキー大尉が腰に手をあててうつむいた。
「済まない」
「我々もあわやというところをワーウィック大尉に助けられましたから。その場で仕留められなかったのはおあいこです。それと…」
0404◆tyrQWQQxgU
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2019/09/19(木) 21:01:22.80ID:5nWjv+Bq0
 格納庫から通路に続く道の入り口で大尉が足を止める。
「…スギ艦長が亡くなられました」
「…!」
 言葉が出てこなかった。如何に壮絶な攻防があったかはこの艦内の惨状が全て物語っていた。
「敵が一時的にブリッジを占拠しまして。こちらの突入時、狼狽した敵の銃弾で…」
「…そうだったか。よくその状況でここまで持ちこたえてくれた」
「我々MS隊が帰投した時には既に…。今は皆復旧作業に従事してくれています。全体の指揮はワーウィック大尉が代行していますが、ブリッジまで行かれますか」
「そうする。サドウスキー大尉も無理はするなよ」
「ご心配なく!伊達に修羅場は潜っちゃおらんですよ。…では、私も格納庫の復旧指揮を取っておりますので、これにて」
 サドウスキー大尉は踵を返すと、大声で何やら指示を出しながら格納庫へ戻っていった。少佐はブリッジへと向かった。
0405◆tyrQWQQxgU
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2019/09/19(木) 21:02:01.77ID:5nWjv+Bq0
 ブリッジに到着するとワーウィック大尉がオペレーターと何やら話している様子だった。
「大尉、今戻った。世話をかけたな」
 気付いたワーウィック大尉と握手を交わす。
「お待ちしておりました少佐。…事情は聞かれましたか」
「ああ。皆よく戦った。だからこそスギ艦長も安心して逝けたはずだよ」
「そう思いたいですね」
 ワーウィック大尉は遠い目で空を眺めた。再び少佐の方に向き直り、続けた。
「これより本艦は補給線の維持を後続に任せて基地まで後退します。よろしいですか」
「了解した。大尉をこちらに寄越して正解だったね、助かったよ。ジオンの連中ともうまくやれた様だな」
「ありがとうございます。おかげさまでどうにか…。先程ジオン残党からこの戦域における宣戦布告がなされたのも確認しています。
 前線で今頃ティターンズとやりあっているところでしょうね」
「後から色々言われるかもしれんが、まあ大丈夫だ。間違ったことはしちゃいない」
「上層部にもお口添え頂ければと思います…。ジオンの旧友達も、彼らの意志を突き通してくれました」
「勿論上の奴らにはつべこべ言わさんつもりだ。…さて、皆に私から後退の旨を伝える。大尉も1度居住区の方を見てきて欲しいのだが、頼めるか」
「はい。行ってまいります」
 そういうと大尉は足早に立ち去った。彼の伝手が今回は役に立った。
 正直なところ独力で奇襲を抑えられなかった悔しさはあるが、これも敵の敵は味方というやつだ。今は使える戦力を惜しんでいる時ではない。
0406◆tyrQWQQxgU
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2019/09/19(木) 21:03:06.41ID:5nWjv+Bq0
 伝達も済ませ、艦を基地へと向けた。ガルダ級はどうにか航行出来るだけの能力が残っていたが、基地に収容後はしばらく戦線へ復帰できまい。
 これも戦争だ。皆が皆生還できる訳ではないし、少佐自身もいつ何があるかなど分かるはずもない。とはいえ、大黒柱を失ったこの艦の傷が癒えるまでには相当な時間を必要とするだろう。
 しばらくしてベトナム基地が見えてきた。行き場のない悲しみと疲弊がこの艦を包み込んでいた。

46話 行き場のない悲しみと疲弊
0407通常の名無しさんの3倍
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2019/09/20(金) 05:06:11.72ID:6mzjxd7a0
地球のジオン残党はエゥーゴの協力者として登場させたか
あとはアクシズ軍がどんな登場するかに期待

更にZガンダム本編では終盤にティターンズに脅迫(?)されて協力させられていたジオン共和国のムサイとかもいたんだがあれは詳しい経緯が不明なんだよな
実はジオン系はエゥーゴ、ティターンズ、アクシズ全ての勢力にいたという裏事情
まあジャミトフは地球至上主義を唱えながらアクシズと手を組もうとしたり本末転倒な事やってるんだけど
0408通常の名無しさんの3倍
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2019/09/20(金) 06:49:23.21ID:t9zRJr/y0
ジャミトフの目的はアースノイドを無理やり宇宙に上げることだから、手段はわりとどうでもよかったりする
0409通常の名無しさんの3倍
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2019/09/20(金) 08:01:32.19ID:6mzjxd7a0
>>408
そう考えると地球至上主義に共感して戦っていたティターンズ将兵とジャミトフとの間には決定的な確執があるんだよな
実際問題アクシズと組もうとしたりダカール演説で完全に否定されてジャミトフもバスクも死んだあと外様でスペースノイドのシロッコに付き従うなど残されたティターンズ将兵達はどんな信念でエゥーゴと戦ったのやら、、、
0410通常の名無しさんの3倍
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2019/09/20(金) 17:39:41.35ID:y3VJ8ekO0
>>409
もう信念とかそんなんじゃなくないかな?
狂気のまま勝ち抜いて地球の覇権を握りに行くか、冷静に戦い抜いて何処かへ逃げきるか
あまり理屈で考えすぎて壊れた奴までいたかもしれない
0411通常の名無しさんの3倍
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2019/09/20(金) 17:44:11.32ID:y3VJ8ekO0
そう考えると
末期のティターンズこそが、あの三竦みの中で一番「君は生き残ることが出来るか?」を地で行ってたのかもしれないね...
0412通常の名無しさんの3倍
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2019/09/20(金) 18:02:17.02ID:SIxd/87M0
ZZでは登場こそしなかったがアクシズ軍に亡命したティターンズ将兵もいたそうだしな
アクシズでもすんなり受け入れられるもんでも無いだろうに
本末転倒どころじゃ無いわな

ダカール防衛戦でアッシマーのパイロットやってたアジス・アジバ中尉はダカール演説を聞いて改心した後どうしたんだろうな?
俺の脳内では同僚仲間とカラバに行ったと保管した
エマみたいな事例も普通にあるしな
0413通常の名無しさんの3倍
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2019/09/20(金) 19:46:41.37ID:y3VJ8ekO0
将兵こそ出ちゃいないけど、ハイザックやマラサイを流用してる描写はあったね
ガスL/Rも純粋にアクシズ製だったかどうか
0414◆tyrQWQQxgU
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2019/09/22(日) 16:14:23.02ID:/uldjwPh0
グリプス戦役は色んな勢力が複雑に絡むので色々考察が捗りますね!

ジャミトフの思想の行き着くところが結局のところブレックス達と近い部分もあったり、現場のティターンズ末端は実はジャミトフの考えと真逆のスタンスな部分もあったり…単純な残党狩り組織ではないっていうのがまた面白いですね。
エゥーゴも連邦組織の一部なのに反地球連邦組織を名乗ってますしね(戦役後はティターンズが反地球連邦って言われたりするのも面白いですが

結局はそれぞれの個人的な信条のぶつかり合いに終始するところが、宇宙世紀の広い世界観をより際立たせてるのかなとも感じます。
少しでも掘り下げていけたらと思うので、引き続きお楽しみください!
0415◆tyrQWQQxgU
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2019/09/22(日) 16:16:41.91ID:/uldjwPh0
 傷付いたガルダ級が基地へ到着してしばらくした頃、エゥーゴがティターンズ主力を敗走させたとの知らせが入った。
 私はMSを整備しているドックでその報告を聞いた。十分な設備を備えた基地内へと機体を移し、本格的な整備を行っていた。
「ヴィジョンがいないとなるとなかなか捗らないな」
 サドウスキー大尉が額の汗を拭いながら言った。ベトナムの気候は宇宙生まれの私にとっても未だに慣れない。湿気と気温が体力を奪う。
「彼はしばらく安静にしておかないといけないからな。とはいえティターンズが一時撤退したとなれば、今はきちんとした整備が出来るいいチャンスだ」
「確かにな」
0416◆tyrQWQQxgU
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2019/09/22(日) 16:17:27.02ID:/uldjwPh0
 ティターンズとエゥーゴ・カラバのベトナム基地を巡る戦いはエゥーゴ・カラバの勝利で幕を下ろした。
 ジオン残党によるティターンズへの宣戦布告もあり、敵はこの地域での影響力を失ったといっていい。
 ニューギニア基地の喉元に位置するこの拠点を叩き損ねたこの戦い、ティターンズにとってかなり手痛い敗戦である。
 逆に我々は敵の援軍を阻む事に成功した訳だ。あとは本命であるニューギニア基地を抑えることさえ出来れば、この東南アジア戦線の勢力図は大きくエゥーゴ・カラバへと傾く。
 次こそ本当に負けられない戦いとなるだろう。

 それぞれの持ち場で作業が落ち着くと、皆ガルダ級の元へ集った。クルーが一通り揃ったところで棺が運ばれてくる。スギ艦長との最後の別れだった。
「大変な功績を残された方だ。彼の任務遂行により救われた命は数え切れない。皆もその温厚な人柄はよく知っているだろう」
 バッカス少佐がクルー達へ語りかけていた。クルーの殆どが私よりも艦長との付き合いは長かったはずだ。バッカス少佐やサドウスキー大尉に至っては一年戦争の時からの縁と聞いている。
0417◆tyrQWQQxgU
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2019/09/22(日) 16:18:02.10ID:/uldjwPh0
 順に献花し、涙を流す者もいれば静かに笑いかける者もいた。全員の挨拶が終わるまで待ってから、私とアトリエ中尉、そしてメアリーの3人で艦長の元へ行った。
 メアリーは何があったのかは理解しつつも、まだ実感が湧かない様だ。貰った飴玉の包装で手遊びしている。
「あなたには本当にお世話になった。艦はどうにか帰還できましたよ」
 私は安らかな艦長の表情を眺めながら語りかけた。
「…俺達、本当にここでエゥーゴに戻って良いんだろうか」
 アトリエ中尉がこぼした。私もそれを考えているところだった。
「掛け合ってみるよ。せめてニューギニア基地攻略まではこの部隊で戦いたいのが私の本心だ」
「そうだよな。こんな半端なとこで投げ出したくねぇよ俺も」
「あたしはどうなるのかな」
 メアリーが私達を見上げた。
「そうだな…ガンダムの強奪から研究所も不思議と大人しいが、まだ追手は来ると考えていい。どう思う?中尉」
「こいつの世話も大変だからな。他のやつに預けると何起こすかわかったもんじゃねぇよ」
「あたしが居ないと寂しいくせに」
「うるせえよ」
「…あたし、もうしばらく一緒に居たいわ。おじいちゃんの艦は皆で守ったもん。あたしだってこれからも力になるはずよ」
「一緒に相談してみる。メアリーの気持ちも尊重したい」
 挨拶を済ませ艦長の元から離れる。するとメアリーが思い出した様に再び艦長へ駆け寄った。
「これ、持っていってね。あたしこんなのしか作れないけど」
 飴玉の包装で作った赤い鳥の折り紙だった。
0418◆tyrQWQQxgU
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2019/09/22(日) 16:18:33.22ID:/uldjwPh0
「長らく軍に所属され、戦いの日々でありました。今はただ、ゆっくりお眠りください」
 誰から始めるでもなく、自ずと皆敬礼した。広大な海へと棺が流れていく。この戦いの果てに我々は何処へ行くのだろうか。ぼんやりとした思考を巡らせながら棺を見送った。

 見送りが済むと、皆元の作業へと戻っていった。バッカス少佐が私に声をかける。
「上層部とはジオン残党の件はうまく話がついたよ。事情を知らん者達には他言無用だがね」
「ありがとうございます。おかげさまで。…私やアトリエ中尉、それからメアリーの今後ですが」
「ああ。それなら心配要らんよ。本人次第ってことになってる」
「それであれば、このまま残留させてはもらえんでしょうか。今回の件にきっちり決着をつけてからエゥーゴに戻りたいのです」
「そう言ってもらえると我々としてもありがたい。二人の戦力はあてにしてる。メアリーもまだここでは落ち着けないだろうしね。
 研究所の動向もわからんが、前話した通り恐らくまだ降ろすべきではない」
「ありがとうございます。…しかし、ガルダ級はこれからどうされるので?」
 少佐と2人で歩を進めながら、眼前のガルダ級を仰いだ。
0419◆tyrQWQQxgU
垢版 |
2019/09/22(日) 16:19:22.16ID:/uldjwPh0
「補修と併せて大規模な改修作業に入るそうだ。アウドムラの影武者的な仕事ももう終えたし、ここらで独自の仕様に変更するらしい」
「そうでしたか」
「それでこいつに正式な命名を行うことになったんだが、私に任されてね。しかしどうも名前をつけるのは苦手なんだ…こ恥ずかしい」
 少佐が頭を掻きながら笑った。
「ガルダ級の多くは、神話に関連する名を冠してきたと聞きます。あやかりましょう」
「詳しいんだな大尉」
「うんちくが好きなもので。…赤い鳥…朱雀なんてのはどうでしょう」
「なんだそれは」
「四獣という中国に伝わる幻獣の一角、南方を護る不死鳥です」
「不死鳥か…それもいいな」
 死して尚蘇る不死鳥…。傷つき、主を失っても戦い続けるこの艦に相応しいと思った。中国大陸を横断し、この東南アジアの地で生まれ変わるにはおあつらえ向きの名だった。

47話 赤い鳥
0420通常の名無しさんの3倍
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2019/09/22(日) 17:32:53.17ID:TJ0UeVg60
お疲れ様です!

おっ、ガルダの名前 決まりましたね!
朱雀ですか...百式があることですし、漢字名というのも味があります!
和のイメージがある折り紙、やはりアジアの伝説の鳥であるガルダとの兼ね合いもベストマァッチ!に思えますね。
今後ともよろしくお願いします
0421通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2019/09/25(水) 16:05:19.66ID:bmKL+zwk0
とても読みやすいですね 状況がすごく思い浮かべ易いと感じます
あまり無理をせずに楽しんで更新していってください でも、時間はかかってもいいので完結まで是非とも読ませて欲しいです
0422通常の名無しさんの3倍
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2019/09/25(水) 16:24:19.78ID:n1L2Z2qF0
ハヤト・コバヤシとか富野キャラを登場させてるから今後も絡ませる感じかな?
個人的にはカイ・シデンを出して欲しいがルオ商会との繋がりや経緯が一切不明なのよね
0426◆tyrQWQQxgU
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2019/09/26(木) 21:22:44.34ID:qi6b4+Mv0
皆さんレスありがとうございます!!!

お待たせしましたが、ガルダ級にようやく命名出来ました。
初めから名前をあげても良かったんですが、何かしらストーリーを絡めたかったのでこのタイミングで。
メアリーの出自やそれまでの経緯も踏まえての由来にできたかと思います。
0427◆tyrQWQQxgU
垢版 |
2019/09/26(木) 21:28:06.52ID:qi6b4+Mv0
なるべく情景の描写を挟むようにしてますが、わかりにくい時はぜひぜひご指摘ください!

原作のキャラクターも少し挟み込んでいきたいと思ってます。
今のところハヤトと、ベトナム基地到着時にしれっとモニター越しのウォンさんも出してます…w

もうじき10万文字を超えそうですが、まだまだ続きます!
とりあえずこの章はニューギニア基地攻略が最終決戦のつもりで書き進めているので、決着までお付き合いいただければ。

反響があれば何かしらの形でまとめなおしたいですね!今はとにかく書き進めます!!
0428◆tyrQWQQxgU
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2019/09/26(木) 21:29:45.86ID:qi6b4+Mv0
 ベトナム基地を巡る戦いからしばしの時間が経った。私は一通りの整備を終えてドックに待機する朱雀を見上げていた。

 ガルダ級朱雀はその修復、改修を終えて正式に我々の母艦となった。
 前回の戦いの反省から、格納庫周辺の火力を増強してある。対空砲火は勿論、後方の敵を想定した主砲級の大型メガ粒子砲を4基搭載。
 ペイロードは多少犠牲になったが、元々広すぎたくらいだ。ペイロードから直接の整備が可能になった点も他の艦にはないメリットと言える。
 前面にも大型メガ粒子砲を増設し、側面の副砲なども備え総合的な火力が増強された。敵地に入り込んでも十分戦える火力といえるだろう。
 旧ジオンのドロス・ドロワを想起する、さながら移動要塞である。

 問題は人員で、スギ艦長に代わる人材が見つからない為当分はバッカス少佐が艦長代行に就任することとなった。
 大規模な作戦前に右も左もわからない人間を連れてくるより賢明だと判断したようだ。
0429◆tyrQWQQxgU
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2019/09/26(木) 21:31:03.54ID:qi6b4+Mv0
「あれからよく立ち直れたもんだ」
 後ろからアトリエ中尉が声をかけてくる。彼も腰に手を当てながら私の横で戦艦を見上げた。
「手酷くやられたからな。私もここまで早く復旧出来るとは思っていなかったが」
「整備班の連中、ぶっ倒れる寸前までやってたぜ。設備や人員のあるでかい基地とはいえ、流石にこの規模の改修は大変だったろうよ」
 そんな話をしながら艦内へと入る。格納されたモビルスーツが立ち並び、まばらに散った整備士達がゆるやかに作業をしていた。
 我々モビルスーツ隊の機体も本格的な改修を行ったので、パイロットである私達も改めて確認に来たのだった。

 私のマラサイはティターンズが量産体制に入ったこともあり、カラバでもようやく純正部品での修理が容易になった。
 腕部も元に戻り、私の戦闘スタイルに合わせて両肩をシールドに換装した。中距離の近接戦が多い私には、敵の射撃なども防御出来る面が多い方が助かる。

「私もそろそろ新しい機体が欲しいな」
 冗談混じりに中尉を小突いた。
「俺のは大破しちまったからしゃーなし!マラサイはいい機体だろ?文句いうなって」
「いやいや、ガンダムには敵わんよ」
 アトリエ中尉のガンダムは相変わらずパーツが手に入らない為、共通規格を適用出来るような各部改修を行っている。
 失ったビームサーベルなども他機体から流用が効くようになった様だ。インコムをはじめとするサイコミュ関連の仕様も解析が進み、研究を兼ねたコピーパーツの製造が行われている。
 いくらかアナハイムも噛んでいるようで、当初から比べると整備が数段楽になった。本人としてはインコムがあと数基ほしいそうだが、複雑なシステムと絡む機器はそう簡単に増設出来るものではないらしい。
0430◆tyrQWQQxgU
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2019/09/26(木) 21:32:09.46ID:qi6b4+Mv0
「お2人も来られたんですね。サドウスキー大尉と2人で先に来てました」
 我々に気付いたシェクター少尉が駆け寄る。
「お、少尉!オモチャ取りあげられちゃったんだって?」
 アトリエ中尉が意地悪く笑う。
「アーガマで使うんですって。Gディフェンサーにとっては栄転ですよ!僕が乗るより旗艦のパイロットに使ってもらった方が良いってもんです。僕は僕でまた新しいやつ乗りますよ」
 少尉は若干不貞腐れている様子でそう言った。

 彼は新しい機体を受領する事になっていた。Gディフェンサーはテスト運用を終えてエゥーゴへと配備、宇宙のアーガマへと送り届けられる。
 我々の隊はサポート機だけでは戦力的にも心許ない為、違う機体があてがわれるとのことだった。
 シェクター少尉の後ろで作業中のサドウスキー大尉が目に入る。アトリエ中尉が傍へ行き、2人でなにやら話し始めた。私と少尉はサドウスキー大尉の改修中の機体を眺めた。

 彼は借り物のガンキャノン・ディテクターを返却し、再び元のリックディアスへと乗り換えた。
 しかしやはりキャノン砲が恋しかったようで、本人きっての要望でテスト中のリックディアス2に採用予定のバックパックを搭載するなど、細部の修繕パーツを2のものにすることでリックディアス1.5とでもいうような機体になった。
 射撃による支援も行いつつ肉弾戦を好む大尉にはうってつけの改修になるはずだ。
0431◆tyrQWQQxgU
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2019/09/26(木) 21:32:43.82ID:qi6b4+Mv0
「揃ったか!さーて、シェクター少尉の新しい機体のお披露目だぜー?」
 我々パイロット達の前にヴィジョンがやってきた。
「もう怪我は大丈夫かよ?」
 アトリエ中尉が気遣うが、ヴィジョンは全く気に留めない。
「大したことはねえ!大げさな連中が寝かしつけてくるからありがたく食っちゃ寝してただけだ」
 そうは言いつつも体力的には万全ともいえない様で、表情はいつもより険しい。
「全くタフなおっさんだぜ。そんで少尉の機体ってのは?」
 サドウスキー大尉が腕を組みながら目を輝かせている。
「お前こそタフなおっさんだろうが。皆こっちにきてみろ」
 ヴィジョンに連れられてペイロードを進む。何やら青緑の機体が見えた。
0432◆tyrQWQQxgU
垢版 |
2019/09/26(木) 21:33:35.20ID:qi6b4+Mv0
「こいつだ!この職場は面白い試作機ばっかりくるからやめられねぇよ!…機体名はメタス改。遂にうちにも可変機が来たわけだな。いじり甲斐がありそうだ」
 納入されたメタス改はあちこちにテープで留められたカバーなどが散見され、まさに新品といった様相だ。大きな背負いものが目を引く。
「これが僕の機体なんですね!凄い…!」
 シェクター少尉がはしゃいでいる。サドウスキー大尉も感心しながら機体を眺めていた。
「可変機ってことはこれ変形するんだな。いまいちイメージ沸かねぇ」
 アトリエ中尉が首を捻っている。確かに航空機の様な形状の部位は見当たらない。

「ちゃんと変形するぜ?お前らアナハイムのZ計画って知ってるか」
 頷く中尉をよそにピンときていない私を見て、ヴィジョンが得意げに続ける。
「Z計画の機体はリックディアスが1番有名だろうな。元々ガンマの名を冠した機体だが、同じ様にギリシャ文字をあてがった機体が後にも続く。そうやって今も開発中の機体群の総称だ」
「これもその内の1つってことですか」
 私も口を挟む。
「そうだ…まあ派生ってとこだがな。Zガンダムを作る過程で作られた変形試験機メタスの改修機体だ。
 それこそこないだまでサドウスキー大尉が借りてたガンキャノン・ディテクターの従兄弟みてぇなもんだ」
 そういいながらヴィジョンはシェクター少尉に資料を渡す。
「これ読んどけ少尉。結構勝手が違うから勉強しとくんだな」
 ヴィジョンは我々の元から離れると再び機体を弄り始めた。少尉は資料をめくりながらふむふむと口元に手をあてている。サドウスキー大尉もそれを覗き込む。
0433◆tyrQWQQxgU
垢版 |
2019/09/26(木) 21:34:18.71ID:qi6b4+Mv0
「なんつーか…」
 アトリエ中尉が艦内を見渡しながら口元を綻ばせていた。
「どうかしたか」
「いや。色々あったけど、次の作戦がこれまでの総決算になるんだなと思うと…何かワクワクしてきてよ」
「ふふ。わからんでもないな」
 私も中尉と共に艦内を見回した。2人でここに来ていくらか時間が経った。本当に色んな事があったが、全てはニューギニア基地攻略でケリがつく。
 失ったものと得たもの。どちらが多い少ないなどそういう事ではないが、そうやって自分の中で新陳代謝を繰り返しながら行き着く先に何があるのか。
 私も中尉の言うように、何かが変わっていく実感と予感を強く感じているのは事実だった。

48話 失ったものと得たもの
0434◆tyrQWQQxgU
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2019/09/26(木) 21:56:43.64ID:qi6b4+Mv0
遅くなりましたがpixivも追いつきました!
遡って読む分にはこちらのほうが便利だったりするので是非読んでみてください。

https://www.pixiv.net/novel/series/1155468

どうも既に10万字超えてたみたいですね…w
0435◆tyrQWQQxgU
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2019/09/26(木) 23:22:19.77ID:qi6b4+Mv0
 惨敗。アイバニーズ少佐とその部下達は、大きく敵地を迂回してニューギニア基地へと向かう母艦の中、ブリーフィングルームの重苦しい空気と共に待機していた。
 ストランドバーグ中尉と僚機を失い、残った面子も機体は中破した。まともに使えそうなのはギャプランくらいで、他の機体は廃棄せざるを得ない程の損傷だった。
 奇襲そのものは成功したものの、敵の予測を大きく裏切る事が出来なかった。
 迎撃を許し、どうにか押し込んでいたところでジオン残党の増援である。脱出出来たのが不幸中の幸いと言っていいだろう。
 一時的に勢いがついた前線はジオンの宣戦布告もあり再び押し返され、結局敗走した。もう少し撤収が遅ければアイバニーズ少佐達の回収も出来なかったと思われる。その位ギリギリの戦いだった。
0436◆tyrQWQQxgU
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2019/09/26(木) 23:22:43.92ID:qi6b4+Mv0
「次の手はどうされますか」
 スペクター大尉が口を開いた。ビー少尉は眠るように固く瞼を閉じ、腕組みをして俯いている。
「相手に立て直す暇を与えたくはないが、こちらの方がダメージは深刻だ。恐らく敵の方が先に動くだろうな」
「先手を許すのですか」
「後手の先手というやつだ。こないだカラバ・エゥーゴの連中がしたようにな」
 少佐がそういうと、スペクター大尉は唇を噛んで黙った。
「今度はムラサメ研究所にも援軍を出させる。奴らの不手際もあったからな…断れまいよ。オーガスタ研究所からも補給があるそうだ」
 そこまで言って、少佐はその場を後にした。
0437◆tyrQWQQxgU
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2019/09/26(木) 23:23:18.71ID:qi6b4+Mv0
 執務室へ入ると、大量の呼出履歴に目をやる。フェンダー少将からだった。これだけの敗戦ともなれば無理もあるまい。少佐は仕方なくフェンダー少将へ通信を試みた。
『やっと繋がったか。何をやっていた』
 案の定直ぐに通信が繋がる。不快感を露わにしたフェンダー少将は、明らかに冷静さを欠いているようだった。
「申し訳ありません。現場も現場で事後処理がありますので」
『わかっているとも。言いたいのはそういう事ではない』
「と、言いますと?」
『戯れるな!貴様らは何をやっていたのかと言っているのだよ!奇襲を読まれていたのだろう!他にやりようは無かったのか!』
 フェンダー少将はモニター越しに机を拳で叩いていた。
「最善は尽くしましたが…あの戦力差では如何ともし難く」
『まあ、ジオン残党も介入してきたようだしな…。奴らはこのニューギニア基地を叩きに来るだろう。ここを抜かれれば次は無いぞ、私もお前も』
「私は引き続き独自で動きます。邪魔が入らぬ様手配していただけますか」
『わかった。戦力増強の上で必要なことは何でも言え。ある程度の権限は持たせてやる。どうせお前ほど機敏に動ける人間は他におらん』
「ありがとうございます」
 少佐が頭を下げると、少将の溜息と共に通信が切れた。
0438◆tyrQWQQxgU
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2019/09/26(木) 23:23:41.10ID:qi6b4+Mv0
「ふん。私はあなたの様に座して死ぬつもりはない」
 少佐は1人呟いた。
「…コックピットでも少佐はお立ちになるので?」
 後ろからスペクター大尉の声がした。
「ノックくらいしろ」
「すみません、急ぎだったもので」
 大尉が改めて敬礼する。流石に彼も特務部隊の人間だ。悟られずにこの部屋に入るなど容易いだろう。しかし何故…。
「…それに私は暖かいベッドで死ぬつもりだ。コックピットで死ぬなど御免被る」
「いやはや、失礼致しました」
「用件は?」
「敵の先遣隊が動き始めたとの事です。こちらも防衛ラインは構築済です」
「やつらも動くのが早いな…。わかった、各自持ち場で待機するよう伝えろ。詳細を確認したら追って指示を出す」
「かしこまりました」
 そういって大尉は踵を返す。また部屋は少佐独りになった。
0439◆tyrQWQQxgU
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2019/09/26(木) 23:24:13.05ID:qi6b4+Mv0
 エゥーゴ・カラバも補給が済んだと見える。ジオン残党の牽制もあり、援軍らしい援軍は見込めない戦いになりそうだった。
 乗機のジムクゥエルも今回の作戦で使用できるか怪しいところだ。ロングレンジライフルの直撃を受けた上半身は特に損傷が深刻だった。
改修してきたとはいえ、発展目覚ましいMSの機種変換の流れに置いていかれていた感も否めない。
 少佐自身はどうだろうか。この時代に取り残されまいと、もがいているだけではないのか。

 その答えはこの戦いで明らかになる筈だ。不穏な感覚を振り払い、執務室の照明を落とし扉を閉めた。

49話 暖かいベッド
0440通常の名無しさんの3倍
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2019/09/27(金) 10:03:35.46ID:ITmsAPzH0
水中戦が見たいけど
ジオン残党はズゴックとかあるだろうけどティターンズはマリンハイザックくらいしか無いんだよな
連邦軍にアクアジムとか潜水艦とかで協力させるくらいかな
0441通常の名無しさんの3倍
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2019/09/27(金) 15:31:44.72ID:Fd1FKRt+0
一応、>>254-256で水中戦はやってますよ
ティターンズ側も改造ザクマリナーとか持っているようです
メタスマリナー出したら時系列が狂いますね...w
0442通常の名無しさんの3倍
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2019/09/27(金) 16:48:38.87ID:lD2SjP8g0
ズゴックやザクマリナーをティターンズ側で運用する展開にしたのか
主人公は元ジオンの人間だよな?

0083のジオン残党のゲイリーみたいに母国のザクを鹵獲運用されていることを嘆く台詞回しでも欲しかった
0444通常の名無しさんの3倍
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2019/09/28(土) 01:44:46.86ID:JBe9IeU60
マラサイってギレンの野望とかGジェネでは水中適性×だった様な?、、、ゲーム設定だからどうでもいいけど
0445◆tyrQWQQxgU
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2019/09/28(土) 09:58:35.13ID:lIBTn0in0
意外なところで反響が…!水中戦ですか!
ジェリドの乗ってた機体がジャブロー降下してましたし、準備さえしておけば水中でも戦えるかなぁと(水深はさておき、アマゾンに行くのに水中戦を全く想定してないとは考え辛い)。

ティターンズ側の水中戦力ですが、連邦ってあまり頓着がないイメージですw
多分鹵獲機使い回すだろうなーと。
確かにワーウィック大尉は何かしらのリアクションさせた方が良かったですね…まとめ直す時にでも加筆すると思います!
0446◆tyrQWQQxgU
垢版 |
2019/09/28(土) 10:02:54.74ID:lIBTn0in0
文字数の話ですが、何かでみた持ち込み原稿の最低文字数が12万文字だったんですよね。
多分このペースだと15万文字くらいはいく気がしてます。
長過ぎるのも良くないので、いい塩梅で締めれたらと思ってます!
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