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宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど

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0001通常の名無しさんの3倍
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2019/07/24(水) 00:50:40.43ID:XfFrIQoe0
小説書いたこともなければスレッド建てるのも初めてなんだけど、もし誰か見てるなら投稿してみる
0108◆tyrQWQQxgU
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2019/07/29(月) 19:12:46.53ID:Qf4aJzAq0
「遅かったじゃない!放ったらかしにして!」
 部屋に戻るなり貨物ちゃんが飛んできて、アトリエ中尉の脛をけたぐっている。
「女性人気1位だな中尉」
 金髪の坊主頭に耳のピアスと腕のタトゥー…控えめに言ってもかなり厳ついアトリエ中尉だが、何故か本当によく人に好かれる。
 ここに来るまでの演習などでも和の中心にいた。今回は痛い目に遭っているが。
「殴られたり蹴られたり散々だぜ」
 尚も暴れる貨物ちゃんの首根っこを掴んでベッドへ放り投げると、私と並ぶようにソファに座った。
0109◆tyrQWQQxgU
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2019/07/29(月) 19:13:51.64ID:Qf4aJzAq0
「しかし…どうするかな中尉」
「どうするも何も、次に寄港なり拠点入りするなりした時に降ろすしかないだろうよ」
「降りないわよあたし。降りたら大変な事になるんだから」
 ベッドに倒れたまま、思いの外真剣なトーンで彼女はそう言った。
「まぁ確かに、軍艦に密航した上に軍事拠点ではいサヨナラとは行かんだろうな流石に」
 私は席を立ち、3人分のドリンクを手に取る。
「そういうことじゃないのよ!
 うーん、とりあえずひと段落したんでしょ?偉い人に会わせてよ」
 貨物ちゃんは私からドリンクを奪い取ると一気に飲み干した。
「このまま此処に居られても困るしな…ブリッジに連れていこうぜ」
 中尉は迷惑そうに手で払う。
「説明が面倒だが、先程中尉が殴られた分の弁明も少ししないとな。」
「少しじゃなくて大いに頼むわ」
 ドリンクを受け取りながら中尉が呆れ気味に言った。

5話 モグラ叩き
0110通常の名無しさんの3倍
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2019/07/30(火) 19:44:18.67ID:iJ/uyUep0
これはいい話だ。
何より落とされた仲間のことを考え、悼むキャラがいるというのは良いねぇ。
世界に「モブ」なんて存在はいないのだよ。
0111◆tyrQWQQxgU
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2019/07/31(水) 01:41:17.86ID:5D8ukfkk0
>>110
作劇の都合でそういう描写って省略されがちですが、可能な限り書いていこうと思ってます。
そういうところは"リアル"系って言われるガンダムらしさでもあるのかなと!
0112◆tyrQWQQxgU
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2019/07/31(水) 01:42:24.09ID:5D8ukfkk0
今日はちょっと時間を割けなかったので、明日からまた投稿しようとおもいます!
僕が居ない間も良ければ雑談してどうぞ!
0114通常の名無しさんの3倍
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2019/08/01(木) 06:35:02.14ID:GhOHmEWR0
>>55
新訳Zではルオ商会のステファニーがウォン・リー氏の娘という人物相関に変更されていたな
ルオ商会はアナハイムの系列会社の一つみたいなポジションにしたようだ
0115通常の名無しさんの3倍
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2019/08/01(木) 08:00:20.60ID:BUzrwUcP0
中華風の一族経営スタイルなのかなぁ

ウォンさんはベトナム系だけど、ベトナムは紀元前から中国に影響されてるし...
龍(ロン)を流用してるのとか分かりやすい
0116◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 12:37:53.35ID:kgBteTo80
ドタバタしててなかなかこっち来れませんでした…
そういえばガンブレモバイル始めてみましたけど、割と遊べますね!

>>113
ベースです!かれこれ10年以上弾いてますね!

>>114
>>115
名前出してボコられるアムロとか新約はその辺カットですしね…
そしたらこないだのNTなんかはTV版準拠だったりするんですかね?
0117◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 12:39:53.70ID:kgBteTo80
さーて、そろそろ書き溜めてるやつ放出しましょうか…!

少しだけ敵側陣営の描写を挟みつつ、ストーリーを進めていきます
0119◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 12:41:22.66ID:kgBteTo80
>>118
スレ違いになっちゃうんで直には貼りませんが、そのうちお見せできたらお見せしましょう…ww
0120◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 12:43:09.75ID:kgBteTo80
 想定外の事は起こる。どんなに備えていてもだ。

 報告を聞いたアルニコ・フェンダー少将は溜息をついた。
 一年戦争をエアコンの効いたジャブロー本部で過ごし、コーエン准将が失脚する様も近くで見ていた。
 ティターンズが発足した際には真っ先に招集を受け、ごく初期から所属することとなった一人である。

 決してジャミトフ・ハイマンの思想に共感している訳ではない。
 フェンダー少将にとっては、高尚な理想論などよりも明日の暮らしを如何に豊かにするかが全てだった。バスクの様な短絡的な男も苦手だった。
 現在ニューギニア基地を任されている彼は、重要拠点であるこの地でエゥーゴ・カラバの動向を探っている。しかしそれも成り行きなのだ。
0121◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 12:44:16.26ID:kgBteTo80
 とはいえ、安息を乱そうとする輩を殲滅する事に関しては意欲的に取り組むつもりでいた。そして今回の出来事である。

「"あれ"は金のかかった研究開発だからな。簡単に潰されては困る。して、カラバのガルダ級のその後の動向は?」
「進路変わらず大陸を南下しております」
 側近の報告によれば、エゥーゴとの合流を目指していると思われる敵のガルダ級は、新型とパイロットを積んだ後アジアを縦断していた。

 ティターンズの息がかかった研究機関は多く、今回敵と接触した部隊の所属先もその機関の1つである。名をムラサメ研究所という。
 研究所の新型サイコミュ搭載機が、テスト中に制御不能になった。
 暴走して飛行中に先述のガルダ級の所属部隊とティターンズの小競り合いに遭遇、カラバに返り討ちにあって帰還したとのことだが…何か隠している様に思えてならない。
「ニタ研の連中の報告を鵜呑みにするな。ブラン少佐の部隊も胡散臭いやつらとの合同作戦であの様相だ。同じ轍は踏むなよ」
0122◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 12:45:09.47ID:kgBteTo80
 一年戦争後、地球連邦軍は様々な研究を行ってきた。
 現在も秘匿されているアナハイムのGP計画の様な兵器開発は勿論だが、そうした最新鋭の兵器を自在に動かす為のソフト面での研究…特に"ニュータイプ"と呼ばれた特定のパイロット達だ。
 戦時はジオンに先行されていた分野だが、そのデータも手に入れたことでかなり研究が進んだ。
 超常の力で戦局を左右しようなどとは劣勢国家が考えそうな事だが、実際に被害を被った以上、無視はできない課題なのだろう。

「研究所の連中とは別に、こちらからも部隊を出す。エゥーゴも宇宙からの降下部隊を迎えて戦力を増強しているからな。これ以上合流される前に叩くよう、アイバニーズ少佐の部隊に伝えろ。」
0123◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 12:45:39.41ID:kgBteTo80
 ヴォロ・アイバニーズ少佐は優秀な男だ。これまで特殊部隊に所属し、様々な武勲を挙げてきた。
 フェンダー少将が今の地位を築いてこられたのも、彼やその部隊の功績が大きい。彼らなら今回もやり遂げるだろう。
 反地球連邦を口にしながら連邦に籍を置くなどという半端であべこべな連中など、こうした大きな歴史の流れの中で消えていくだけだ。

 想定外の事が起ころうと、結局大勢は変わらないのだ。コーヒーに落ちた角砂糖のように、少し水面を揺らしたあとは溶けていく。手違いで多少砂糖を入れ過ぎたところで、私なら美味しく頂くことができる。
 マグを手に取ったフェンダー少将は、キリマンジャロの香りが立つコーヒーを見つめながら思った。
0124◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 12:46:56.89ID:kgBteTo80
>>123
タイトル付け損ねました、

6話 コーヒーに落ちた角砂糖のように
0126通常の名無しさんの3倍
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2019/08/01(木) 13:33:44.55ID:SfjiERge0
>>116
NTとかウニコーンとか福井世紀の設定は絡めないで頂きたいな
福井とバンライズの新スタッフによる別解釈なのであれを絡めたら話が陳腐で稚拙になる
0127◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 14:06:15.62ID:kgBteTo80
>>126
書く人読む人によって解釈も変わってしまうので、(勿論この話が公式になることは無いとはいえw)パラレルワールドくらいの気持ちで読んでもらえたらと思います!
うまく本筋に干渉し過ぎない範囲で、これまで語られてこなかった部分を自分の中で補填出来たらと!
0128◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 14:32:13.00ID:kgBteTo80
今日は仕事休みなのでサクサク進んでます!
もう1話くらい投下しときたいですね
0129◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 14:32:42.48ID:kgBteTo80
「失礼してよろしいでしょうか」
 私は中尉と貨物ちゃんを連れてブリッジを訪れた。
「話とは何だね。…ふむ、どこから来たんだい?お嬢さん」
 バッカス少佐と話していたレイ・スギ艦長は貨物ちゃんを目に留めると、まるで孫を見るかのように満面の笑顔で出迎えた。
「では私はこれにて」
 少佐は踵を返し、すれ違いざまに中尉の肩を叩くと少し笑って立ち去った。
「俺が子供と居たらそんなにおかしいかよ」
「絵面はちょっとおかしいかもな」
 私も少し笑った。
0130◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 14:33:50.65ID:kgBteTo80
 スギ艦長は一年戦争以前から連邦軍に所属し、主に後方支援を行ってきた人物だ。
 レビル派だった事もあり戦後は閑職に回されていたのだが、この抗争でガルダ級の艦長に任命されていた。
「おじいさん、あたしは遊びに来たんじゃないの」
「おおそうかい。じゃあ少し話を聞かせてもらうとするかな。名前は?」
 スギ艦長は手もみしながら目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
「メアリーよ。6歳!貨物に忍び込んでやってきたの。」
 貨物ちゃん改めメアリーは、全く物怖じせずスギ艦長を見据えていた。
「あたしは家出して来たんだけどね、ロボット達が追いかけてくるの。だからあなた達に助けてほしくて」
「ほうほう。こんな老いぼれで良ければ助けてやりたいんだが、後ろの連中の話も聞かにゃならんなあ」
 そう言って我々の方を仰いだ。事の顛末を話す。
0131◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 14:34:32.54ID:kgBteTo80
「…こういった感じでして。しかし追われているというのは今聞きました。ティターンズの連中ということでしょうか」
「こんな幼い子を追いかけ回すとは、そんな趣味でもあるのかねえ?いや失敬。
 まあ何か事情があるのだろうが…。お嬢さん、因みにどんなお家に住んでたのかい?親御さんは?」
「メアリーよ!親の顔は覚えてないわ。いつも白い服の人達と一緒に暮らしてたけど、外に出してくれなくて面白くなかったから抜け出してやったの。
 そしたら慌てて追いかけて来てね!面白かった」
 どうも何か施設に居たようだが、本当にMSまで駆り出してくるというのならよほどの事だ。少なくとも何かしらの軍事関係施設と思われる。
「じゃあその施設に送り返してやればいいじゃねぇか」
 中尉がぶっきらぼうに言うと、メアリーがまたけたぐった。
「痛えな!冗談だよ!つまんないとこに返されたらたまんねぇよな、わかるぜ?」
「意外と優しいのね」
0132◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 19:42:22.66ID:kgBteTo80
「とはいえこのまま乗せておくわけにも行かないでしょう。こちらの拠点で預かってやることは出来ませんか、艦長」
 我々もエゥーゴと合流予定であるし、ただでさえ少ない乗組人員を彼女の為に割く訳にはいかないと思った。
「それはだめよ!停まってたらすぐに追いかけてくるんだから!おっきな黒いやつが…」
「おっきな黒いやつ?」
 私はつい話を遮ってしまった。まさかあれは彼女を追っているのか?いくらなんでもそこまでやるだろうか。
「お嬢さん、辛くなければで良いんだが…施設のことを話してはくれんかね」
 艦長は優しく彼女を見つめた。
0133◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 19:42:58.41ID:kgBteTo80
「別に辛くなんかないわ。あそこではね、みんな数字で呼ばれてる。
 あたしは8番だったからエイトとかハチとか呼ばれてた。ハチなんて犬みたいよね!だからあたしは自分でメアリーって名前をつけたの」
「みんなで一緒に勉強したりするんだけど、後でバラバラに何処かへ連れて行かれるわ。そのまま会ってない子もいるし、新しく来る子もいる。
 あたしは変な帽子被ったりしてたけど、じっとしてばかりでつまんなかった。褒められても、何で褒められてるかわかんないもん」
「なるほどなぁ。それで退屈だったから出てきた訳か」
 艦長は何か思い当たる節があるようで、それ以上深くは聞かなかった。
「よし。これからのことは大尉に伝えるとしよう。中尉と一緒に部屋で遊んできなさい」
「俺ですか!?」
「好かれてるしな」
「俺は好いてねぇよ!」
「酷いわ。こんなに可愛いのに」
 ぶつくさ言いながらもメアリーの手を引いて中尉は退出した。
0134◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 19:43:36.23ID:kgBteTo80
「ムラサメ研究所だろうな。ハチというのは日本でよく犬につける名前だ。日本で育った可能性は高いし、あそこの規模や研究内容なら追手を出すのも納得がいく」
 艦長は椅子に深く腰掛けると溜息をついた。
「ニタ研の?なら彼女は被験者だったんでしょうか」
「恐らくな。非人道的な研究も行っていると噂されているが、彼女に関してはそういった事はなかったのだろう。
 幸いのびのびとしているし、結果だけ見るに監視を抜ける隙もあったという事だ」
「しかし、本当に彼女が原因で奴らが追ってくるなら…彼女の言うように特定の場所に留まるのは得策では無いかもしれませんね。
 無いと思いたいですが、最悪受け入れた拠点が彼女を放り出す可能性もあります」
「秘匿性が高い拠点の情報が漏れる可能性もままあるからな。
 いずれにせよ我々もティターンズの拠点を叩かねばならないし、遅かれ早かれ戦う相手なら今のうちに迎撃しておくのも手だ」
 まだ年端もいかない子を戦艦に乗せておくというのは望ましくないが、そうするのが最善かもしれない。
0135◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 19:44:23.87ID:kgBteTo80
 艦長は再び大きく息を吐いた。
「昔話で悪いが…。レビル将軍がご存命の頃、わしは後方支援を指揮していてな。
 かの有名なホワイトベースに届ける物資を用意してやった事がある。色んな用品の中に、子供向け用品が混じっておった。もう難民を降ろしたあとだったんだがな」
 艦長は椅子から立ち上がると、ブリッジの前に広がる空を仰ぎながら続けた。
「ホワイトベースがジャブローに寄港した時にクルーとも顔を合わせたんだが、びっくりしたよ…。子供が乗っておったのだよ。それも3人も=B
 幼いbネがらに無事戦b「抜いた子供たbソも、今では平�aに暮らしていb驍ニ聞いているb諱Bそれこそ確bゥコバヤシ君のbニこで引き取っbスんじゃなかっbスかな」
=u…子供たちを血ゥていると、わbオも随分と歳をbニった様に思うb諱v
 思b「ふける様に遠b「目をして腕を荘gむ艦長の姿は=Aどこか悲しげbセった。
0136◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 19:45:08.20ID:kgBteTo80
「よし、この件は大尉に一任する。わしも老婆心で口出しする事もあるだろうが、中尉とも協力してくれ。君らが拠点に辿り着いたときにエゥーゴ側とも協議するが、少なくともそれまでの間はちゃんと世話してやってくれ」
「了解しました」
「あ、それと」
 何やら艦長が上着のポケットをまさぐった。
「子供は飴が好きだと相場は決まっとるんだよ」
 飴を取り出して私に差し出した艦長は、嬉しそうに笑った。

7話 子供たち
0137通常の名無しさんの3倍
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2019/08/01(木) 20:12:55.71ID:kFjMkkD40
お疲れ様です!

だいぶ設定が固まってきましたね。
アジア縦断(南下中?)のレイ・スギ一行がニューギニアへ向かうのか、逆にチャゴス諸島の極秘実験でも襲うのか
ハチことメアリーがどうしてそんな薄幸そうな名前を選んだのか...w
サ○コの出自、恐らくぶっ壊れてゆくであろうフェンダー少将のエリート暮らし

非常に楽しみになってまいりました!!
0138通常の名無しさんの3倍
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2019/08/01(木) 20:16:34.66ID:RTe3mL4A0
おお、ティターンズ側いいね
研究所とか強化人間系の話大好き
暑くなってきたので体調にお気をつけて
0139137
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2019/08/01(木) 20:31:21.69ID:kFjMkkD40
失礼
>>121で「南下」とはっきり書かれておられましたね。
見落としてました。🙇
位置的にはマレーシア半島かインド亜大陸でしょうか?それともボルネオ辺りまでは出てるとか?
(ガルダの機名が出ない辺り等、想像に任せるスタイルでしたら答えられなくて結構です)
0140◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 22:22:01.75ID:kgBteTo80
>>137
>>138
>>139
レスありがとうございます!
隠す情報と明示する情報のコントロールが難しいですね…!

スギ艦長の一行は中国を縦断して移動してます。厳密には西よりに進んでるんですが、その辺は次の話で何となく想像つくかもです!
自分があまり地理に明るくないので調べながら書いてますが、重要なポイント以外は皆さんの想像にお任せしていこうかと。

研究所の話はグリプス戦役とは切っても切れない部分ですからね…
実は登場人物全員、とあるジャンルから名前を取ってるんですが…メアリーに関しては作中での理由付もしていこうと思ってます!
サ○コ…黒いでっかい衣装の小林幸子…?w
登場人物達は知る由もないので、知らない体でお願いします!w
ガルダの機名も大事なポイントなので、また書きます!
0141◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 22:22:53.63ID:kgBteTo80
さて!応援していただいているので、涼みながら続きを投下しちゃいます!
0142◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 22:25:38.43ID:kgBteTo80
 程なくしてブリッジに招集された私達は、今後の作戦指示を受けた。

 スギ艦長は指揮を執る為の席に座り、その側にバッカス少佐が立っている。
「現在中国を南下しているのは皆も知るところだ。
 この辺りのエゥーゴとカラバの連携に関しては我々以外にも、アーガマのクルーとアウドムラのコバヤシ君が積極的に行っている。
 アウドムラの為の情報撹乱も兼ねて我々がガルダ級で航行している面もあるな。
 彼らはジャブロー攻略作戦ののちも転戦しているようだが、そろそろニューホンコンで補給を行っている頃だろう。我々も同じ様に一旦補給を受ける為、別の拠点へ入る」
0143◆tyrQWQQxgU
垢版 |
2019/08/01(木) 22:26:32.84ID:kgBteTo80
 艦長に代わり、少佐が説明を続ける。
「目指す拠点はベトナム基地。そこでエゥーゴ側と話し合いを挟むが、カラバとしてはその後ブルネイを拠点にしてニューギニア基地攻略に乗り出す予定だ。ここまでで質問は?」
「例の黒いガンダムの対処はどうするんです?」
 サドウスキー大尉が声を上げた。彼の方を見ながら少佐が続ける。
「未確認の黒い機体を含め、ティターンズの部隊が追跡してきている事は承知だ。次に奴らと交戦になった際は徹底的に殲滅する。
 今のうちにティターンズの戦力は削っておきたいからな。とはいえ、作戦の為の航行が優先だ。深追いはしない」
0144◆tyrQWQQxgU
垢版 |
2019/08/01(木) 22:27:04.96ID:kgBteTo80
「他に気になることは?」
少佐が皆を見渡す。
「…この娘は?」
 苦笑いのサドウスキー大尉は、彼の横で仁王立ちして腕を組んでいるメアリーを指した。
「あ!お前いつの間に!部屋で大人しくしてろって言っただろ!」
 アトリエ中尉が慌てて連れ出そうとすると、艦長が軽く制止した。
「彼女はメアリーちゃんだ。ティターンズに追われているところを保護した。しばらくは同行してもらう事になったから、皆仲良くしてやってくれ。飴食べる?」
「何個目よ!舌がピリピリする!」
 仁王立ちしたままメアリーが怒ると、艦長は不思議そうに首を傾げている。
「ま、大筋わかっただろう。詳しい話は個別でも行う。その時にでも聞いてくれ。」
 そういうと、少佐は皆に待機を命じた。
0145◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 22:28:28.88ID:kgBteTo80
 機体のチェックの為、我々パイロット組は格納庫へ向かっていた。
「ベトナムかー。飯が癖あるって聞いたけどどうなんだろうな?」
 メアリーを肩車したサドウスキー大尉が言う。体格に違わず大食漢と聞いた。
「俺、湿気の多いとこ苦手なんすけど…てか何でお前ついてきてんの?」
「1人で居てもすることないじゃないの」
 中尉は割と虚弱なところがある。何かあるとすぐ体調に出るタイプらしい。メアリーは施設にいた割に、初めての環境にもすぐ適応している。
0146◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 22:29:08.88ID:kgBteTo80
 そんな事を話しながら歩いていると、同じく格納庫へ向かうシェクター少尉に追いついた。
「少尉。この間はあまり話せなかったが、挨拶させてくれ。サム・ワーウィック大尉だ」
 彼は我々に気付くとこちらを向いた。小柄で背も低いが、整った顔立ちと大きな目が印象的だ。まだ20そこそこだと聞いた。
「大尉殿。先日は申し訳ありませんでした。少し混乱しておりまして…」
 そういって目線を落とす少尉は、今もあまり元気とはいえなさそうだった。
「いや、仲間がやられた後だ。無理もない。それに私にも責任はある。済まなかった」
「そんな…。あいつは良いやつでした。仲間想いで気遣いもできて…。でも、それでも最期の選択をしたのはあいつ自身なんです。誰のせいでもありません」
 目線を落としたまま、軽く深呼吸した。
「だけど、大尉にそういってもらえると、あいつもあっちで悩みすぎないで済むかもしれません。ありがとうございます」
 ようやく目を合わせた彼は少しだけ笑った。
「また後でな」
 サドウスキー大尉が手のひらを向けると、少尉も軽く手を振って足早に去っていった。
0147◆tyrQWQQxgU
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2019/08/01(木) 22:29:59.67ID:kgBteTo80
「…あの人、青いわね」
 去っていく少尉の背中を見つめながらメアリーが零した。
「そらブルーに決まってんだろ」
 中尉が頬に手をやりながら言った。
「そうじゃなくて…青いのよ…」
「確か私は緑だったかな」
 私は、表情を変えないメアリーがいつもと違う雰囲気の様に感じた。

8話 ブルー
0148◆tyrQWQQxgU
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2019/08/02(金) 00:41:05.86ID:zzobyS5s0
 格納庫に到着した我々は、各々の機体の確認に入る。残った機体は大きなダメージを被っていない事もあって、基本調整が主になりそうだった。
 既にメカニック達が手を加えているところだ。少し離れたところでメアリーが格納庫を見渡している。

「あんたがエゥーゴの?」
 ボサボサの頭と縮れた髭のみすぼらしい男が話しかけてきた。ススまみれでツナギなところからみて整備班の人間らしかった。
0149◆tyrQWQQxgU
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2019/08/02(金) 00:41:38.82ID:zzobyS5s0
「仰る通りで。サム・ワーウィック大尉であります」
「あーはいはい!ジオン上がりの!道理でこんな色にしちまう訳だね」
 彼は作業しながら吐き捨てる様に言った。
「ジオンはこないだの戦争で無茶苦茶やりやがった。今でもお前らを許す気は毛頭ねぇからな。
 だけどよ…悔しいが、ジオンの機体ってのはまた惹かれるんだよ俺は」
 そういうと彼は、立ち上がってマラサイを見上げた。
「流麗なフォルム!それでいて無骨!インターフェイスも不統一だったが、だからこその挑戦的な仕様の数々!
 そんなジオンの機体に浪漫を感じる俺がいるんだよ!!」
 手を広げたりうずくまったりしながら仰々しく語る姿は異様だが、物凄い情熱を感じた。熱くなりすぎてすっ転びやしないかとこちらがヒヤヒヤする。
0150◆tyrQWQQxgU
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2019/08/02(金) 00:42:04.99ID:zzobyS5s0
「先の戦いのことは今はこれ以上語るまい。だがそんな呪われた崇高な血が、このマラサイには流れているのさ」
 打って変わって静かになった彼は、そういって私を見つめた。
 呪われた崇高な血か…。私も彼と共に機体を見上げ、かつての無力と矛盾に苛まれながら今を生きながらえる私自身と重ね合わせた。
「ところであなたの事は何とお呼びすれば?」
「おっとこれはこれは。ヴィジョンとでも呼んでくれ。デコからビームは出ねぇぞ?」
 そういって額を叩いて笑うと、彼はそそくさとまた別の作業に戻っていった。
0151◆tyrQWQQxgU
垢版 |
2019/08/02(金) 00:42:42.68ID:zzobyS5s0
 しばらく機体をいじり一段落ついたところで、流石に退屈し始めていたメアリーの隣に座った。
「黒いやつは来そうかい」
「んー、近くには居ないみたい」
 メアリーは体操座りして手遊びしながら暇そうに言った。
「なんでまたあんなどでかいやつで迎えに来るんだろうな。困ったものだ」
「あの黒いやつは、あたしと繋がってるから」
 メアリーは遠い目をしてハッチの方を見ていた。
「あたしが呼んだらいつでも来るんだって。でも呼んでなくても来ちゃうのよ。誰かがイタズラしたんだわ」
「質の悪いイタズラをするやつもいたもんだな」
 全くもって質が悪いイタズラだ。結局彼女がいる限り奴らは追ってくるのだろう。しかし繋がっているというのはサイコミュの事だろうか。
0152◆tyrQWQQxgU
垢版 |
2019/08/02(金) 00:43:21.24ID:zzobyS5s0
「あの黒いやつはメアリーの考える事に反応して動くのか?」
「そんな感じね」
「そうか…」
 逆手に取ってこちらの作戦を組み立てる事が出来ないかと私は考えていた。いや、彼女に危険が及ぶ可能性があるならばやるべきではない。
「そういえば、メアリーがいう色の話なんだが。あれは何の色なんだ」
「あれはね、その人の欠片みたいなものがあたしに見えるの。その色が人によって違うのよね」
「私が緑なら、例えば中尉は何色なんだ」
「ベイトも青っぽい。でもちょっと緑ね。大体の人は緑よ。サムは特に緑が強かったけど。ロボットも緑だし」
「なるほど。自分の色は見れるのか?鏡とかで」
「あたしは…」
 そこまで口にして、メアリーは少し黙った。
「…見えないの。わかんない」
 少しだけ辛そうな顔をして、顔を膝に埋めた。
「気にするな。誰しも自分のことは自分じゃ見えないものさ」
 そういって私は彼女の頭を撫でた。
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2019/08/02(金) 00:44:15.57ID:zzobyS5s0
 他のパイロット達も作業が終わったらしく、バラバラと自室に戻り始めた。私とメアリーも腰をあげ、部屋へ戻ることにした。
 部屋に行くと、先に中尉が戻っている様だった。
「メアリーは中尉のところへ行くといい。私はこっちだ」
「…いや」
 何故かメアリーは中尉の部屋の前で酷く怯えている。すると我々の後から中尉がやってきた。
「何してんだ廊下で。ん?」
「あれ、中尉か。部屋に誰か居るみたいだが」
「そんな馬鹿な」
 中尉が自室の扉を開けた。
「!?」
 連邦の軍服を着た見覚えのない女が部屋に居た。クルーではない。我々に気づくと、こちらに向かってきた。
「どうなってんだこの艦は!!」
 そう叫んで掴みかかった中尉だったが、女はその腕を取ると綺麗に投げた。背中から叩きつけられた中尉が目に入った時、女はメアリーの前に居た。
「この!」
 私は間に割って入り拳銃を構えた。が、女は怯むどころかそれを蹴り落とし、尚もメアリーに近づこうとする。
「いやー!」
 メアリーの泣き声と騒ぎを耳にした他のパイロット達が部屋から出てくるのを嫌がった女は、身を翻して走り去った。
 拳銃を拾い上げた時には、既に女は廊下の角を曲がってしまっていた。
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2019/08/02(金) 00:45:08.33ID:zzobyS5s0
「何事だ!」
 部屋からバッカス少佐が出てきた。
「侵入者です!恐らく潜伏していたのでしょうが…!連邦の軍服を着た女が中尉の部屋に」
「連れ込んでいた訳では無さそうだな」
 少佐はヨロヨロと立ち上がる中尉を鼻で笑うと、走っていった女を追った。
「ったくよぉ!何で俺ばっかりこんな目に遭うかね!」
 殴られ蹴られ、遂には投げ飛ばされてしまった中尉が嘆く。
「寄港先で占いでもしてもらうといい。それよりメアリーを頼む」
「怖かったな。もう安心だ」
 中尉が肩を震わせて泣くメアリーを抱き寄せると、彼女は更にわんわん泣き始めた。
「私も行ってくる。メアリー、心配しなくていいからな」
 私も少佐の後を追った。

9話 呪われた崇高な血
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2019/08/02(金) 00:52:02.40ID:zzobyS5s0
今日はかなり書き進めました…!
ストックも出来たので、明日もまた投下しようと思います。

pixivも更新!

https://www.pixiv.net/novel/series/1155468
0156通常の名無しさんの3倍
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2019/08/02(金) 21:11:38.90ID:fBn/4BRc0
お疲れ様です!

メアリーが人のことを色に例えるの、面白いです。
田口白鳥の白鳥がキャラクターを動物に例えるのとか、PSYCO-PASSの色相チェックとか!

大抵の人が緑、というのは「人間は基本的に穏やかである」という仮説ですかね?
追われていて夜も半分は起きてるような人は赤みがかっていくとか?
青は悲しみか冷徹さかな〜とぼんやり考えてます。
理屈でないポエティックな彩りならそれでも結構ですよ、理詰めは苦手です(笑)
0157◆tyrQWQQxgU
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2019/08/03(土) 15:42:34.06ID:GzpCzeGM0
>>156
レスありがとうございます!

この色の話は重要になってきます。
緑は基本的に穏やかな人に見る色というのはあながち間違ってないですね!その解釈で読み進めていただければと思います!
青に関してもその通りな部分がありますが、これも後々明らかになっていきますんでお楽しみに!
0158◆tyrQWQQxgU
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2019/08/03(土) 15:43:54.45ID:GzpCzeGM0
 流石に今のは危なかった。
 そう思いつつ、メイ・ワンは走りながら次の手を考えていた。

 メイはエゥーゴの新型が搬入される際に潜入し、作戦の全貌や組織の動きを報告する為に潜伏していた。しかし、離陸前の報告時に新たな任務を与えられたのだった。
 敵組織に奪われたNTの奪還。まだ幼いとはいえ、ムラサメ研究所の重要な研究材料とのことだ。彼女の奪還任務に併せて、メイはアイバニーズ少佐の部隊に編入されることとなった。
 アイバニーズ少佐の部隊といえば、非常に危険な任務が多いと聞いてる。潜入調査や単独作戦など、特殊な働きをする事が主だ。連携が苦手なメイにとってはおあつらえ向きといっていいが。
0159◆tyrQWQQxgU
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2019/08/03(土) 15:44:24.12ID:GzpCzeGM0
 目標がこの部屋で過ごしているらしいことを知り、直接狙って阻まれた形だった。あの程度の2人組なら容易く突破出来ると思ったのだが、酷いしくじり方をしたものだ。
 部屋の男は抜けた所が多く見受けられたので情報管理が甘いと見て機密も探っていたのだが、こちらもろくな収穫は無かった。
 こうなるともう同じような方法は取れまい。応援を呼ぶか、何かの騒ぎに乗じて動くか…。いずれにせよ今は1度逃げ切らねばならない。
0160◆tyrQWQQxgU
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2019/08/03(土) 15:44:52.22ID:GzpCzeGM0
 落ち着く為人気のない区画を目指していたところ、人の気配に気づく。メイは一旦物陰に身を潜めた。
「どうです?見つかりましたか」
「いや、それらしい女は居ないな。設置カメラの情報だとこの辺りの筈だが、急に見失ったとか。多少のラグかな」
 先程の拳銃の男と、上官らしき女が話している。
「まあ時間の問題だが。潜伏したままなら兎も角、1度顔が割れてしまえば追うのは容易い」
「とはいえあまり嗅ぎまわられるのもいい気はしませんな」
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2019/08/03(土) 15:45:18.69ID:GzpCzeGM0
 話しながら少しずつ彼らが遠ざかっていく。声が聴こえなくなったところでこの場を離れようと、十字路を通り抜けた時だった。
「バレないとでも思ったかい?」
 振り返ると、先程の女が十字路に居た。男だけ先に行かせ、自分はそのまま留まっていた様だ。
「こういう時、女の勘ってのは当たるもんだねぇ。あんたもそう思うだろ?」
 そういってメイに向かってきた。突き出してきた右の拳をいなし、腕を取りにいく。女はそれに気付いたのか、そのまま右腕でメイの首を捉え、チョークをかけにきた。
 メイは寸でのところですり抜けながら、距離を取って懐の銃へと手を伸ばす。しかし、銃がない。
0162◆tyrQWQQxgU
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2019/08/03(土) 15:45:44.77ID:GzpCzeGM0
「これだろ?」
 女が不敵に笑いながら左手でメイの銃を指に掛けて回している。女が銃を構えるより先に、懐へ飛び込む。
 そのまま鳩尾へ肘を入れようとした時、視界が歪んだ。頭に強い衝撃が走る。
「しばらく寝てな」
 女は銃底でメイを殴ったようだった。そのまま倒れ込むメイの傍で女の声が聞こえていた。

「私に挑むにはまだ10年早かったな。出直せ」
 遠くから騒がしく複数の足音がしたが、メイは考えるのを辞めた。
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2019/08/03(土) 15:47:14.88ID:GzpCzeGM0
10話 女の勘

pixivの方に一話話を入れ損ねてたので後で修整します!
なので最新話の更新はもうちょっとまっててくださいねー!
0164通常の名無しさんの3倍
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2019/08/03(土) 16:46:27.62ID:mNmq16BT0
乙です!

ついにワーウィックたち抜きで1エピソードw
上層部や敵情も描くガンダムシリーズというより、視点が頻繁に変わる海外ドラマを見ているようです。
ガンダムは何だかんだですぐ視点を主役中心に戻しますからね、正直物足りない時があると言っちゃいましょう。(ヒイロは別格かも)
そのうち初期の中村主水シリーズみたいに、主役が出ばらなくても戦闘が成立するのでしょうか......
たまにはそういうのもアリだと思います。

続きをのんびり待ってます。
0165◆tyrQWQQxgU
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2019/08/03(土) 20:59:33.13ID:GzpCzeGM0
>>164
レスありがとうございますー!

こういうのもアリかなとw
ワーウィック大尉のキャラが薄くならない様にはしたいんですが、今後結構エピソードが控えてるので皆の目線が必要かなと思ってるところです!
状況説明をワーウィック大尉にさせすぎるとただの語り部になってしまうので、分散させる意味でも視点は変えていこうと思います。

Wは複数主人公ガンダムの走りですしね!因みに僕はウーフェイが好きですw
0166◆tyrQWQQxgU
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2019/08/04(日) 02:59:56.20ID:1GNoqEo40
ちょっとpixiv更新は後回しにしましょうかね…逆に書き溜めた分が増えてきたので放出します!
0167◆tyrQWQQxgU
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2019/08/04(日) 03:00:51.04ID:1GNoqEo40
「全く。この艦の防犯意識はどうなってんです??警備会社でも雇いますか??」
 私がブリッジに到着すると、中尉は艦長に詰め寄っていた。
「ぼちぼち基地に入るところだというのに、問題が多い事多い事。ところで君、施錠してなかったのかね」
「ちゃんとしてた筈!うーん…絶対!いや確か…恐らく…もしかしたら…或いは…」
 バツが悪そうな中尉を尻目に、バッカス少佐が報告する。
「あの女、口を割りませんね。とりあえず空いた部屋に監禁していますが…。」
 そういうと、中尉をみてわざとらしい溜息をついた。
「お前は何かと問題を起こすな?」
「違いますって!俺は巻き込まれてるんですよ!」
 私も報告に割って入った。
「メアリーは泣きつかれたのか緊張が解けたのか、ぐっすり寝てます。サドウスキー大尉が見てくれてますから大丈夫でしょう」
「そうか…皆怪我がないのは何よりだ。メアリーの心のケアだけはしてやってほしい」
「俺投げられたんですが!怪我してますけど!…メアリーが無事で良かったのは間違いないけどな」
「…艦長も女に会っておきますか?」
 少佐に促された艦長は、小さく頷くと少佐の後に続いて捕虜の元へ向かった。私と中尉もついていく。
0168◆tyrQWQQxgU
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2019/08/04(日) 03:02:06.12ID:1GNoqEo40
 少佐が扉を開けると、暗い部屋に椅子が1つ。後ろ手に縛られた先程の女が座らされていた。
 改めてみると小柄だ。これでよく少佐と立ち回れたものだ。綺麗に切り揃えた前下がりのボブヘアーに隠れて表情は読み取れない。
「ティターンズの者か。それとも研究所から来たか」
 艦長が問い掛けた。返事はない。
「なかなか筋は良かったんだが。中尉程度は相手に出来ても、私に遭遇したのは不運としかいえない」
 少佐がそういうと、女は中尉を見て声を上げて笑った。
「こいつ…!」
 怒る中尉を私が抑える。
「あっはっは…ふふふ。所詮連邦の少数派とジオン残党の寄り合い所帯なんてこんなものよね…。
 私からは何の情報も出てこないのに、いつまでもこんな事に時間を割いてさ…。同じ軍の派閥争いで下手な事は出来ないでしょう?」
「その通りだ。しかしな…カラバの艦に乗り込んだティターンズ兵だか研究所の子飼いだかが1人いなくなったところで、誰も追及などせんよ。
 乗り込んだ事実が明るみに出る方が面倒だからな」
 艦長が静かに低くそう言うと、女が冷や汗を滲ませるのがわかった。
「はっはっは!冗談だとも!冗談だお嬢さん。寄港したら降ろしてやるさ。何かしら取引には引っ張り出されるだろうがね」
 笑いながら艦長は退室していった。少佐も後に続く。部屋には私と中尉、警備兵と女だけが残った。
0169◆tyrQWQQxgU
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2019/08/04(日) 03:02:49.39ID:1GNoqEo40
「あれ、絶対冗談のトーンじゃなかったよなあ…」
 中尉が恐る恐る言った。全く艦長も人が悪い。女は先程の威勢は何処へいったのか、うなだれている。
「メアリー。いやエイトといえばいいか?そんなにあの子が必要なのか。嫌がっている様だったが」
 女はこちらを睨み口を閉ざしていたが、少ししてまた口を開いた。
「…私は所詮下っ端だ。上の考えることは知らない。少なくとも私からの定時報告が無いことには気付いているだろうけど」
 そういうと、女はさめざめ泣き始めた。
「もう終わりね…。あの爺さんの言うとおり、私がどうなろうと軍は動かないわ」
「ざまあみやがれ。泣いたって無駄だぜおい」
 そういうと中尉は女の顔を覗き込んだ。
「誰もお前を助けになんか…」
 言い終わるよりも先に、女は体を捻って椅子を中尉に叩きつけた。それと同時に縛られた筈の両手が自由になる。
「やっぱりザルだわあんた達」
 慌てて警備兵と2人で取り囲もうとするが、すり抜けられてしまった。女が走り去る。
「こなくそ…!今度は逃がすかよ!」
 額から血を流しながら中尉が追う。私は警備兵に伝達を頼むと、それを追った。
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2019/08/04(日) 03:03:43.74ID:1GNoqEo40
『艦内を捕虜が逃走。全クルー警戒して捜索に当たれ』
 警報が鳴り響く中、アトリエ中尉と私は走った。
「大尉!あいつ何処に行くと思います!?」
 息を切らせながら中尉が半ば叫ぶように聞いてきた。
「私なら格納庫へ行く。もうこの艦から降りるしか無いだろうからな」
「一理あるぜ!」
 格納庫まではかなりの距離がある。我々はとにかく力の限り走った。

11話 不運としかいえない
0171◆tyrQWQQxgU
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2019/08/04(日) 03:04:57.15ID:1GNoqEo40
 何故あいつだったんだろう。シェクター少尉は考えるのを止められなかった。
 黒い機体と戦い殉死したエドワード・イーエスとは付き合いが長かった。ハイスクールで共に学び、大いに語り合った仲だった。
 一年戦争の最中を幼い頃生き延び、その戦いの傷の深さを思うと何もしないでは居られなかった2人は、成人すると共にカラバへと身を投じた。
 軍の話をイーエスにした時、彼は既に情報を集めてくれていた。

 黒い機体との交戦。尽くこちらの攻撃が効かなかったあの時、シェクター少尉も近接武器を使うしかないと思った。
 ほんの少しだけイーエスの方が動くのが早かったのだ。そのほんの少しが明暗を分けた。
「いつもお前が先に手を回してくれてたからな。あんな時くらい俺に任せてくれてれば良かったのにさ」
 シェクター少尉はベッドに寝転び、独りで零した。
0172◆tyrQWQQxgU
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2019/08/04(日) 03:05:40.28ID:1GNoqEo40
 瞼が重くなってきた頃、艦内警報が響いた。
『艦内を捕虜が逃走。全クルー警戒して捜索に当たれ』
 少尉はベッドから飛び起きた。捕虜?さっき騒いでたやつか。
 自室を出ると艦内は騒然としていた。クルー達が慌てて走り回っている。その時、ひとりのクルーに目が留まった。
 皆がブリッジの方向へ向かう中、艦の後方へ走り去っていく。何か感じた少尉はその女の後を追った。

 随分と走っていると、そこは格納庫だった。まばらにメカニック達が手持ち無沙汰にしている中、先程の女の影が見える。
「ちょっと!警報聴いてました?何してるんです」
 少尉が追いかけると、女は慌てて機体に乗り込んだ。馬鹿な。あいつか!
 女が乗り込んだネモのバイザーが光る。少尉は慌てて自分の機体がある隣のハンガーへ走った。メカニックが制止するのも振り払い、女のネモが歩き始める。
「こちらシェクター少尉!捕虜と思われる女がこちらの機体を奪取しました!僕が止めます!」
 コックピットに乗り込み、モニター越しにブリッジへ伝える。
『わかった!無茶するなよ!』
 オペレーターの後ろでもクルー達が忙しく動いているのがわかる。機体を起動し、前方のネモを目で捉えた。
0173◆tyrQWQQxgU
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2019/08/04(日) 03:06:37.80ID:1GNoqEo40
「おい、今すぐ降りろ!こんなとこでそんな真似して何になる!この辺りはもうエゥーゴとカラバの勢力圏だぞ!逃げられやしない!」
 少尉が敵機に通信を送る。モニターに先程の女が映った。
『あなたこそ何も知らないのね。大人しくしてたらいいのにさ!』
 そういって女は通信を切った。それと同時にビームサーベルを抜いてハッチを焼き始める。

「させるかよ!」
 後ろから羽交い締めにしようと少尉が近付くと、あろうことか女はもう一方の手でライフルをこちらに向けた。
「馬鹿な真似はよせって言ってるだろ!こんなとこでライフルなんか使ったら大変なことになる!」
『私には関係ないわ。困るのはあなた達だけでしょ?』
 音声だけが聞こえてくる。そうこうしている間にハッチは焼き切られた。彼女の乗るネモはこちらを向いて両手を広げ、後ろ向きに落ちていった。
「追います!」
 オペレーターからの通信を聞かないまま、少尉は後を追った。SFSに乗る暇はない。だがそれは相手も同じ事だ。面前に広がる海へ飛び込む。
0174◆tyrQWQQxgU
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2019/08/04(日) 03:07:58.57ID:1GNoqEo40
 降下しながら彼女の機体を見失わないよう必死だった。近くには孤島が1つあるのみ。
 大陸や諸島からは離れているし、恐らく向かうならそこしかない。案の定その方向に機体を見つけた。
「待て!逃さないからな!」
 少尉はバーニアを吹かすと、敵機へ肉薄した。掴みかかり空中で揉み合いになる。
『嘘!何でそのまま追ってくるのよ!』
 お互いにバランスを崩しながら、高度が落ちていく。
孤島に向かってそのまま飛び続け、終いに2人の機体はそのまま滑り込むように海辺へ乗り上げた。

 …静かだ。少尉は強い衝撃を受けて少しの間気を失っていた様だった。
 あの女はどうしただろうか。少尉は辺りを見回そうとしたがカメラが死んでいる。仕方なく機体の外へ出た。
 どうやらこの辺りは人も居ないようで、墜落した2人の機体以外は自然そのものだった。彼女の乗っていたネモもそのまま乗り捨てられ、コックピットのハッチが開いたままになっている。
 陽の様子を見るにそんなに時間は経っていない。少尉はそのまま周囲の探索を始めた。

12話 孤島
0175通常の名無しさんの3倍
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2019/08/04(日) 09:19:50.53ID:xA6XG7yu0
乙です!

中国を南下して海に出たとなると、ベンガル湾(インド寄り)か南シナ海(ベトナム直進コース)ですね。
返信の話も含めると西よりとのことで、撹乱の意味でも前者かなと思ってます。
後者だったら、そろそろベトナムに入らないとサボタージュです(笑)

そしてロザミィ以来のネモでの脱走w
ジャブロー戦なんか見る限りネモは従来の量産MSより頑丈なようですし、こういうラフファイトもアリですね。

pixivとの兼ね合いも大変でしょうけれど、ご健闘を。
0176◆tyrQWQQxgU
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2019/08/04(日) 11:39:50.69ID:b/AznpHM0
>>175
地理の補完をしてもらえてすごく助かります!大体そんな感じです!あまり詳細は固めていませんが、西よりに少しカーブしながら行く感じのイメージでした。

やっぱ脱走といえばネモですよwww
中尉のマラサイをパクるのも考えましたが、可哀想なのでやめました!w
言うてもネモって高級感ありますよね。
リックディアス≧マラサイ>ネモ>ハイザック>ジム2くらいのイメージです。
0177通常の名無しさんの3倍
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2019/08/04(日) 12:57:23.96ID:ZqyEPQLh0
ネモいいよね
ネモで脱走というとロザミィが思い浮かぶなxs
読みやすい文章だし面白いです
0178◆tyrQWQQxgU
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2019/08/05(月) 23:15:45.97ID:FTBnsAmn0
>>177
地味に高級機ってのがいいですね!
ジムの宿命なのか、その割に強い印象がまるで無いですが…w

ありがとうございます!引き続きお楽しみください!
0179◆tyrQWQQxgU
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2019/08/05(月) 23:17:31.26ID:FTBnsAmn0
「待て!!」
 私は力の限り叫んだ。

 アトリエ中尉と共に格納庫へ到着した時、シェクター少尉の機体がSFSもなしに艦を飛び出そうとしていた。
 こちらの制止する声など聞こえるはずもなく、彼はそのまま降下していく。
 随分と走ってきたせいで息も絶え絶え、それでもどうにか整備済みのマラサイの元へ辿り着いたが、固定されたハンガーの解除に手間取る。
 そうこうしている間に少尉の位置情報は途絶え、私はコックピットの中で途方に暮れた。
「あいつ…死に急いでんのかよ全く。何処ぞの大尉と一緒だぜ」
 宛もなく飛び出す訳にいかずコックピットから出てきた私に、ようやく追いついた中尉が呆れた様子で話しかけてきた。
「まずいな。すぐにでも捜索に出るべきなんだが…位置を見失った」
「とりあえず上官殿の指示を仰ぐかね」
 私は再び中尉と共にコックピットへ戻り、マラサイのモニターをブリッジへ繋ぐ。
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2019/08/05(月) 23:18:30.67ID:FTBnsAmn0
「なるほど、ひとあし遅かったか…」
 艦長が唸った。側にいた少佐が怒鳴る。
「2人も付いていながら何故逃した!これで少尉が帰らなければただでは済まんぞ!」
「わかってますよ!すぐに捜索へ出させてはもらえんのですか!?そっちでも位置くらい割り出せるでしょう!?」
 中尉も苛立ちを隠さず声を荒げた。
「すまんが時間はかかる。それに、勢力圏とはいえここをぐるぐる旋回してられるほどの余裕は我々にもなかろうて。まずは補給が必要だ」
 艦長が静かにそういうと、場も静まり返った。
「だからといって…艦の為に飛び出していった少尉を置いていくことも出来んな」
 艦長は答えを出せずにいるようだった。中尉が口を開く。
「そういうことなら、自分が探しに出ます。艦はそのまま拠点に向かってください」
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2019/08/05(月) 23:19:00.96ID:FTBnsAmn0
 それを聞いた少佐が溜息をついている。
「少佐が言わんとすることはわかりますよ。俺達の移送だって今回の目的のひとつだって言いたいんでしょ?
 つってもこのまま基地に着いたんじゃ俺も素直にこの艦にさよなら出来ねえ」
「本当にいいのか?場合によっては戻れんぞ?そうなってもすぐには助けは来ないし、拠点入り出来んともなれば本末転倒だ」
 少佐が眉をひそめて言った。
「必ず戻ります」
 そういうと中尉はコックピットを出ていった。私もそれを追う。
「中尉!私もいく!」
「だめだね。2人共降りちまったらこの艦はなんの為に飛んでるかわかんなくなる。それに、死に急ぎを2人も面倒見きれねぇよ」
 歩きながら中尉はメカニックに何やら指示を出し始めた。私は仕方なく中尉を見守ることにした。
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2019/08/05(月) 23:19:24.65ID:FTBnsAmn0
 メカニック達がド・ダイ改にベースジャバー用のプロペラントタンクを取り付け、マラサイにも推進剤を追加で装備させていた。
「探索しながらとなると結構な量持っていかなきゃな。戻る分の燃料も要るし。最悪ゲタは乗り捨ててくることになるかも」
 一通りの仕度を手早く済ませ、中尉は白いマラサイに乗り込む。
「俺がいない間、メアリーを頼むぜ大尉」
 私が大きく頷いたのを確認して、中尉は壊れた格納庫のハッチから進路の逆方向へと出撃していった。
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2019/08/05(月) 23:20:09.66ID:FTBnsAmn0
「本当に良かったのか、大尉」
 格納庫を訪れたバッカス少佐が声を掛けてきた。
「ああなると何言っても無駄ですからね。それに、あれで中尉は繊細な男なんですよ」
 私は彼という男の事を全て知る訳ではないが、誰より他人を慮ることが出来る人間だと知っていた。
「先の交戦で友軍が落とされた事、それで少尉が気を落としていたこと。スパイを取り逃がしたことや、メアリーが泣いていたこと。
 全部自分のせいだって呵責があるんでしょう。少佐にもスパイにも一発もらってますしね。スパイは2発か」
 少佐が鼻でフンと笑った。
「殴ったのはさておき、大尉も気持ちは同じじゃないのか?」
「中尉曰く、私は死に急いでいる様に見えるそうです。私を行かせなかったのも彼なりの配慮でしょうから、今回は彼の言うことを聞いてやろうと思いまして」
「大尉も優しい男だな」
「中尉や少佐程じゃありません」
 少佐は少し口元で笑うと、私の肩を叩いて去っていった。
 これだけ騒ぎを起こしているにも関わらず我々が自由なのもまた、少佐の配慮と優しさのおかげだった。

 強い人は皆優しい。私は昔より強くなれたのだろうかと、かつての自分へ思い馳せた。
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2019/08/05(月) 23:21:15.00ID:FTBnsAmn0
13話 優しさ

結構書き進めているので更に投下しますよ!
0185◆tyrQWQQxgU
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2019/08/05(月) 23:21:41.51ID:FTBnsAmn0
 またしくじった。今度こそ上手くいくと思った矢先にこれである。メイは通信機器を組み立てながら自己嫌悪していた。
 間抜けな2人組を再び出し抜いてどうにか脱出まで漕ぎ着けたが、寸でのところで今度は若い男に邪魔された。おまけに一緒に不時着している。そのうち遭遇するだろう。
 周囲を警戒しながら機器を組んでいるが、何故か上手く作動しない。落下の衝撃で壊してしまったのだろうか。
 メイは馬鹿馬鹿しくなって工具を放って寝転んだ。もうどうにでもなれといった気分だった。
「私、何でこんな事してるんだろ」
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2019/08/05(月) 23:22:22.35ID:FTBnsAmn0
 一年戦争開戦前、まだ幼かったメイは両親とコロニーに居た。
 父がコロニー公社に勤務していたこともあり、比較的裕福な家庭で何不自由ない暮らしをしていたのだが、戦争が始まって環境は変わってしまった。
 ジオン公国によるコロニー群の占拠に巻き込まれ父は行方知れず。共にコロニーを脱した母も、戦時の混乱の中で離れ離れになってしまった。
 独りになったメイを救ったのは、共に地球へと降り立ったひとりの女性だった。

 彼女はメイと同じく独りだったが、所作は美しくしなやかで、何よりとても強い人だった。
 メイは彼女を姉と慕いながら、時に助け合い、時には喧嘩もしながら一緒に暮らした。
 護身術も姉から教わったのだ。女性が独りで生きていくには必要な事だからと、熱心に鍛えてくれたのを覚えている。
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2019/08/05(月) 23:23:15.64ID:FTBnsAmn0
 当時住んでいた地域は連邦の勢力圏で、軍が幅を効かせていた。
 その為住民が理不尽に耐えねばならない事も多々あったのだが、いつも姉は理不尽な要求に屈しなかった。
 よく思わない軍人達がいた事も承知していたが、そんな姉の姿は皆のささやかな反抗の象徴となりつつあった。

 戦争も終わりほどなくして、メイもひとりの女性として自立を考えていたある日の事だ。姉は出掛けたまま、いつまで経っても帰ってこなかった。
 姉がジオン残党と通じていたとして連邦に粛清された事を知ったのはそれから暫くしての事だった。
 そんなものは姉をよく思わないない連中の方便だということもわかりきっていた。
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2019/08/05(月) 23:23:52.37ID:FTBnsAmn0
 悔しさと悲しみのあまり、ただ泣いた。何も知らず護られていただけの自分の弱さも許せなかった。
 涙も枯れた頃、メイはひたすら武術に打ち込んだ。姉を忘れる為だったのか、忘れない為だったのか。
 考えるよりも身体が先に動いていたメイにはもうわからなかった。
 月日が流れメイも大人になった。そうしていつしか叩いた門は、連邦の育成機関だった。
 姉を奪った連邦であったが、それは姉が一方で弱かったからだとも思う。姉よりもっと強くならなければ生き延びられない。
 姉は確かに芯のある女性だったが、柔軟になる事ができない人でもあった。それが致命的だったのだ。
 私は違う。この世界で、自分を曲げる痛みにすら耐えられる強さを手に入れるのだと。
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2019/08/05(月) 23:25:03.38ID:FTBnsAmn0
 その結果がこれか。すっかり辺りは暗くなり始めていた。相変わらず通信は繋がらない。薄っすらと見える星を見上げていると、前方から物音がした。
「人っ子一人いないな、この辺りは」
 声を聞いたメイはさっと身構える。最後の最後で台無しにしてくれた先程の男が立っていた。メイは無言で相手の出方を伺った。
「大丈夫、何もしないよ。いや、出来ないと言うべきか…。
 バッカス少佐は別格だからさておき、ワーウィック大尉達が1度取り逃がしたくらいだしな。」
 2度だけどね。そう思いながら変わらず構えていると、男は空の拳銃ホルダーをその辺に投げ捨てた。
「銃も苦手なんだ。まだMSの方が自分の行いに実感が湧くよ」
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2019/08/05(月) 23:25:38.11ID:FTBnsAmn0
 それ以上は近づこうとせず、その場に座り込んだ。確かに今すぐ何かをしようとしている様には見えなかったが、警戒は解かなかった。
「君名前は?俺はスティレット・シェクター。」
 メイは黙っている。
「まあ喋らないよな普通。俺は喋らないとやってられないから勝手に喋るけどな。…随分と暗くなってきたなぁ」

 スティレットは空を見上げていた。整った顔立ちだったが、どことなく影のある表情をしていた。
「その機械見るに、お仲間を呼んだんだろ?なかなか来ないみたいだけど。
 俺はとりあえず君を連れて帰らないといけないんだが、それも難しそうだしどうしたもんかな。俺の方も迎えが来そうな気配はないし」
 嘘ではなさそうだ。来るならもう来ているだろう。
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2019/08/05(月) 23:26:20.94ID:FTBnsAmn0
「…これ、壊れてるのよ」
 観念した。どうせこのままでは何をどうすることもできない。
「ほんと?ちょっと見てもいいかな」
 スティレットはそういうとメイの側に来た。一歩引いて通信機の方へ促す。
「あー、これは…」
 ブツブツ言いながら機器を弄っている。後ろから見ながら、あまりに無防備な姿に呆れた。
 メイがスティレットに何かしたところでこの機器が壊れている以上どうにもならないのだが、とはいえ敵同士の筈だった。
「…うーん、確かに壊れてるね。このチップが動作してないみたい。
 ネモに使われているもので代替がきくと思うから持ってくるよ。どうせ俺の方も応答ないまんまだしね」
 スティレットは苦笑いしながら駆けていった。
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2019/08/05(月) 23:27:03.36ID:FTBnsAmn0
 スティレットが去ると、また空を見上げた。人間がいない場所というのは本当に静かなものだ。
 ティターンズが環境破壊に加担している様な噂があるが、正直いってあまり興味はない。大なり小なり戦争にはそういう面もあるだろう。
 しかしそれでも、宇宙で生まれたメイには地球の自然というのは心安らぐ空間であることもまた確かだった。
 ありのままの姿で居続けるのは、如何に星といえども難しいのだろうかとぼんやり考えていた。
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2019/08/05(月) 23:27:28.63ID:FTBnsAmn0
「これこれ!このチップ入れれば動くよきっと!」
 スティレットが息を切らしながら戻ってきた。
「変わったやつとか言われない?一応言っとくけど私達敵同士でしょ?」
「そりゃわかってるよ。いや、変わり者のくだりじゃなくて…」
「仮にこれが直ったとして、私は仲間に通信を送るわ。そうなればあなたを放っておくわけにはいかなくなる。
 隠れてても全然いいけど、あなたも迎えが来ないんでしょ?どうするのよ」
「いや、多分何か理由があって応答が無いだけだと思う。もうじき来てくれるような予感がするんだよね」
「ほんと呆れた。その予感とやらが外れてて、もし誰も来なかったら?」
「その時は、そういう運命を俺が選択したってことさ」
 不思議な男だった。そうも思い切りよく考えられるものなのか。
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2019/08/05(月) 23:28:07.10ID:FTBnsAmn0
「…よし。どうかな」
 スティレットが通信機を起動すると、まるで何事もなかったかのように作動した。
「よっしゃ!…機械いじりが昔から好きでね。ハイスクールも工学を学んでたからこのくらいは出来るよ」
 スティレットは鼻をこすりながら子供みたいに喜んでいた。どうぞというように、彼は通信機を使うようメイに促した。
「…ありがと」
 笑みをこちらに向けた後、スティレットは察する様にその場を離れた。

 無事通信に成功したメイは、詳細報告は後にしてとにかく回収を頼んだ。
 敵の勢力圏にも関わらず比較的安易に通信は繋がり、警戒されている地域ではなかったのだろうか、簡単に事は済みそうだった。
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2019/08/05(月) 23:28:35.36ID:FTBnsAmn0
「もう大丈夫、回収部隊が来るわ。ほんとに一緒には行かないの?」
 水辺で佇んでいたスティレットの元へ行った。夜の海は一層静かだ。
 波の音と風の音だけがないまぜになって、世界の果てがあるならこんな場所かもしれないと思った。暫く2人で並んで景色を眺めていた。
「…一緒には行けない。君にも、俺にも、為すべきことがあるだろ」
 遠い目をしたスティレットは、先程までの彼とは別人の様に映った。
「友人が、こないだの出撃で帰らなかったんだ。残った仲間の為にも戻らないと。きっと心配してる」
 メイの方を見ると少しだけ微笑んだ。
「あなたのおかげで無事帰れる。次会うときは…」
「撃たないでくれよ?いや、投げるのも勘弁してほしい」
 そういって、また子供の様に無邪気に笑った。不思議な男だ。メイも思わず笑みが溢れる。
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2019/08/05(月) 23:29:02.01ID:FTBnsAmn0
 そうこうしているとジェットの音と共に少し空が白んだ。
「帰れよ。帰るまでが潜入だ」
 スティレットはそういうと、茂みの方へ駆け出した。
「…名前!私はメイ!メイ・ワン!」
 聞こえたのか、彼は大きく手を振ってそのまま消えていった。どうか彼にも迎えが来ますように。そう願いながら、メイは光と音の方へ向かった。

14話 ありのままの姿で
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2019/08/06(火) 12:23:08.69ID:eFTbytpg0
やっとpixivの更新もこっちに追いつきました!

https://www.pixiv.net/novel/series/1155468

改めて見てみると、かなり話進んできましたね!
この調子で最後まで行ければと思いますが、まだまだ先は長そう…w
0198◆tyrQWQQxgU
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2019/08/06(火) 18:11:19.86ID:eFTbytpg0
 あの時すぐにでも追いかけていれば、こうも苦労はせずに済んだものを。アトリエ中尉は軽く舌打ちしながら、近辺の情報をくまなく探った。
 広大な海を捜索するのは並大抵のことではなく、レーダーがあるとはいえ海底にでも沈んでいればまず見つからないと思った。
 おまけに日も沈み始めていて、暗くなってしまえばお手上げだろう。ガルダ級の進路を遡ってきたものの、そこはただただ海だった。
 行く宛の無くなってきた中尉は焦り始める。
「ま、そもそも俺のミスか」
 中尉は独り呟いた。
0199◆tyrQWQQxgU
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2019/08/06(火) 18:11:42.82ID:eFTbytpg0
 弱いやつを、不思議と嫌いになれなかった。それは自分が本質的に弱い部分を抱えている人間だと自覚があったのかもしれない。
 何かと我を通してきた人生だったが、多くの人はそれに付いてきてくれた。しまいには運も付いてきて、一年戦争を終える頃にはエースといって差し支えない立派な戦果も上げた。
 味方を捨て駒の様に扱う無謀な作戦には従わず、それでいて最前線で確実に生還してきたのだ。
 幸いMSの操縦は自分に向いていたし、考えるよりも先に敵の動きがよくわかった。
 それと同時に、放っておけば死ぬだろうという味方の動きにも気づく。そういう連中を守りながら戦うことで、技術もより洗練されていったのかもしれない。
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2019/08/06(火) 18:12:31.68ID:eFTbytpg0
 カラバに合流して程なく感じた頭痛は不思議な感情を伴っていた。戦場でよく起こしていた頭痛は苦しいものばかりで、そんな時はよく人が死んだ。悪い予感というやつだ。しかしあの時のそれはまた違う感覚だった。
 助けを求めている様な、それでいて遊びに誘う様な…無邪気な気分とでもいえば良いのか。そんな感情が頭痛と共に自分の中へ入り込んできた。
 結局あれは何だったのかハッキリとはしていないが、きっとメアリーのもつ波長のようなものを感じていたのだろう。

 あの後飛び出していった大尉には悪い予感を感じた。
 メアリーを部屋に押し込んですぐに追いかけたおかげで事なきを得る事ができたのだが、彼女に後押しされた感さえある。
 そして今回もまた不安な予感を感じていた。メアリーもそうだったが、たまに強く印象が残る人がいる。シェクター少尉もそうだった。
 自分が出撃に遅れたことで負い目もあったが、それにしても危なっかしい様子だと感じ続けてきた。そしてこの捜索だ。やはり間違っていないのだろう。
0201◆tyrQWQQxgU
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2019/08/06(火) 18:13:02.75ID:eFTbytpg0
 捜索の目処が立たないまま遂に日が落ちてしまった。このまま帰るわけにはいかない。何としても連れて帰らねば。そんな気負いと共に、また頭痛が襲ってきていた。
 なんの気なしに暗い地平線を見つめていると影が見えた。あれは島か?何故か中尉はその影に強く惹かれた。
 座標を確認すると確かに島がある。
「ここまできたら直感を信じてみるか。NTの勘ってやつかもしれねえしな」
 中尉は自嘲気味につぶやくと、ひとまずその島を目指すことにした。
0202◆tyrQWQQxgU
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2019/08/06(火) 18:13:48.25ID:eFTbytpg0
 小さな島だ。鬱蒼と木々が生い茂り、浜辺に囲まれている。不時着は出来そうだし、本当にここにいるかもしれない。
 そんな事を考えていた矢先、光が見えた。島を挟んだ反対側。
 島を越えるように警戒しつつ飛行すると、離れていくMAが視界に入る。
 暗くて型はわからない。サイズからしてTMAの様だ。敵だった場合、今交戦してもこちらに有益な事はない。そのまま見送った。

『聞こえますか!応答願います!』
 しばらくして通信が届く。少尉の声だった。
「おう!生きてたかよ!迎えに来てやったぜぼっちゃん!」
 ほっと胸を撫でおろした。無事で何よりだ。
『もう暫く野宿かと思っちゃいました』
「艦は先に行っちまったけどな。俺が燃料たんまり積んで一人で来た。さっさと追いつかねぇとまた置いていかれるぞ」
『わかりました!ドダイの方に乗ります』
 浜に着陸すると、少尉がSFSに乗り込むのが見えた。
0203◆tyrQWQQxgU
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2019/08/06(火) 18:14:22.36ID:eFTbytpg0
「全く無茶しやがる」
「申し訳ありませんでした…
 そろそろ助けが来るんじゃないかって思ってたんですが、予感が外れたかなあと弱気になりかけたところで中尉が来てくれました」
 吹っ切れた様子の少尉は、どことなく嬉しそうだった。
「その…なんだ。お前に色々悩ませちまったな。今回も…」
「いやいや、そんな事ありませんよ!僕のやるべき事をやろうとしただけです」
「でも、嬉しいです。お気遣いいただいて」
 小恥ずかしくなった中尉はそのまま黙った。
0204◆tyrQWQQxgU
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2019/08/06(火) 18:15:30.78ID:eFTbytpg0
 このまま特に問題なく戻れそうだなと思いながら飛行を続けていたが、頭痛が収まらない。むしろ酷くなってきた。
「中尉、どうされました」
「いや、ちょっと頭が痛いだけだ。気にすんな」
「僕も何だか不快な感じがします。何でしょうかこれ…」
 背中がざわついていた。あまりにもハッキリと背中で寒気を感じていたその時だった。突然ミノフスキー粒子の濃度が濃くなり始めた。
「おい、そっちでも確認出来たか?」
「はい!これは…」
 ミノフスキー粒子の散布下でも機能する短距離のレーダーに切り替えると、中尉は言葉を失った。
 ものすごい量の熱源反応。中隊規模か?ガルダ級の進路に沿ってこちらへ向かってきていた。
「…やばいんじゃないですかね…!」

「…一理あるな」

15話 悪い予感
0205◆tyrQWQQxgU
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2019/08/07(水) 23:12:26.80ID:9fEIOJPm0
だいぶ過疎ってるみたいですが、こっちで読んでる人まだ居ますかね?
そこそこ書き溜めてて、あまり居ないようであればpixivへ移行しちゃおうかと思うんですが…
0206通常の名無しさんの3倍
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2019/08/07(水) 23:14:42.03ID:tMQ7S6IO0
読んでるけど、ピクシブへ移行するなら別に構わんよ
俺はそこでも読むし、あなたの好きにすると良い
0207通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2019/08/07(水) 23:21:43.05ID:GMnMBcTJ0
こういうもんは淡々と綴っていくもんで
過疎とか反応とかあまり気にささないほうがいいんではないかな
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