ファイト井上譲二「昭和プロレス版悪魔の辞典」

「スティッフ」の項より

攻める時、対戦相手に強い痛みを与えないように攻撃するのが
プロレスラーの技術。それができないレスラーは、海外だと
「スティッフ」、日本だと「硬い」と見下げられ、仲間から
敬遠され、無名のまま終わることが多い。 (略)

痛そうでも全く痛くしない技術を持つレスラーは仲間から
歓迎され、問題なく技を出し受けてもらえるのだが、私が
考えるにその手の技で一番凄いのがキラー・カーンの
ダブルニードロップではなかろうか。

135キロもある大男がコーナーポスト最上段から正座のような
態勢で落ちてくるカーンのフィニッシュホールドは、スリー
カウントを奪うのに説得力抜群の大技である。
技を受けた全レスラーが声をそろえて「全く痛くない」と言う。

これぞプロ。
どうりでカーンはアメリカでも仕事が絶えなかったはずだ。