土俵の鬼と言われた横綱初代若の花は力道山を恩人としていました。
以下は横綱初代若の花の言葉。

「私が入門した二所ノ関部屋というのは、優秀な先輩ばかりおりました。
佐賀ノ花関、佐賀ノ花という方は大横綱大鵬を育てた方です。
それに、神風関、力道山関、琴錦関、私の師匠になった大ノ海関、十勝岩関など、関取衆が十何人いました。
若い時分に、こういった優秀な先輩と稽古させてもらったというのが、
小さな私が2年半で十両に上がれた理由であることは間違いありません。
中でも、一番稽古が厳しかったのが、力道山関です。
2人で2時間ぶっつづけで稽古をしたことが伝説のようになってますけど、本当によくそんな稽古をやったもんですよ。
私らの頃は、先輩に稽古をつけてもらって、
こちらのほうから、「もういいです」なんてことは言えない時代ですからね。
もう、稽古をつけてもらうってことは、ありがたくてありがたくてね。
本当に、涙が出るくらいありがたかったんですよ。
だってそうでしょう。天下の関取衆が、
「この若い衆は強くなるから」っていうふうに目をかけてくれなかったら、稽古なんてつけてくれないんだから。
「こんなヤツ、いくら稽古しても強くならんわ」ってヤツには、関取衆だって声をかけませんよ。
コイツは将来性がある、と見抜いた者だけ、関取衆が引っ張り上げてくれるわけです。
だから、若い衆が関取衆に稽古をつけてもらえるってことは、本当に感謝しなきゃいけないんですよ。
そういうふうな気持ちにならなきゃね。」