危険の現実化とは行為後に異常な事態が介在した場合に、それでも
なお「結果はもっぱら介在事情のせいで起きた」とはいえないこと
を導く包括的な判断枠組みである。
したがって、(被害者の素因をはじめとする)行為時の特殊事情
事案においては、危険の現実化の判断枠組みは妥当せず、なお
相当因果関係説が妥当すると解される。
以上、小林・刑法総論の理論と実務より要約して引用。

つまり、行為時の特殊事情事案では、客観説(小林)も折衷説(井田)
も存続し得る。
後者の立場からは不能犯においても具体的危険説を主張し得るはず
である。