>>472
誤解があるようなので簡単に原典を引用する。
【平野98頁】
このような故意・過失を含む構成要件は、・・・ベーリング以来「犯罪類型」と呼ばれ、「構成要件」
とは区別されてきた。ここに至ると、構成要件の理論は崩壊したとさえいってよい。・・・
殺人・傷害致死・過失致死は、「犯罪類型」としては異なるが、構成要件は同じだといえる。
【山口2版34頁】
構成要件の故意規制機能を極めて重視する見地から、・・・故意・過失は、責任要素として構成
要件からは除外されると解するのが相対的に妥当だと思われる。その結果、構成要件は犯罪
個別化機能を失うことになる。・・・
こうした犯罪個別化機能は、構成要件該当性と故意・過失を併せた「犯罪類型」という別の概念
が担うと解するのである。

これに対して、佐伯千・中山説は、犯罪類型は、(可罰的)違法類型と、故意・過失を含む
(可罰的)責任類型からなるとする。つまり、基本的組み立ては、小野・団藤説とさほど
変わらないのである。

現に、平野94頁が「わが国では佐伯博士がメツガーと同じような思考方法をとられる」と
するのに対し、佐伯125頁は「それは誤解である」と述べている。