高山君は寒風吹く中、薄手の長ジャージ一枚でみんなを日曜日の学校に呼び寄せた。
小脇に抱えているのは風呂敷包み。
…まさか、、、学校の屋上からムササビの術、、、?などと考えていると
「今から新しい忍術を見せます!これは凄いです!」と高山君が得意そうに発表を始めた。

つい先日も昼休みに砂場に穴を掘って土とんの術をやろうとして生き埋めになりかけた事を
俺は知っていたので別の意味で期待が膨らんだ。

「今からプールへ移動しましょう!」
そういって友達を校舎の後ろにあるプールへと先導した。

入り口のドア(鉄柵)を乗り越え、緑色の水を湛えたプールサイドに集まる。

「それでは発表します!水ぐもの術です!じゃーん!」
そう言って風呂敷包みを解き、中からなにやら取りだして頭上に掲げた。
手には魚屋で貰える発泡スチロールの箱の上蓋に穴を空け、ビニル紐を通して作った
かんじきの親分みたいなものが2個あるのみであった。
「これを使って今から水の上をスーイスイと歩きます!スーイスイと!」
そういうとビニル紐で出来た鼻緒に靴を引っかけた。