猫皮のものと犬皮のものがあるけれども、猫皮の方が高級品。
概して野良ネコは小さい時に大きな猫から喧嘩を仕掛けられてかまれたり
などして、その生皮に傷があったりする。傷があるとそれは楽器に貼る一枚皮
としては使い物にならないので、飼い猫が狙われる。竹竿の先に針金を
輪っか状にした器具を使って、猫をおびき寄せておいて、さっとその輪っかを
首に引っかけて竿を持ち上げると、首が絞まってしばらくバタバタと暴れて
いるがやがて死んでおとなしくなる。すると竿を降ろしてズタ袋に猫の死体を
放り込んでその袋の口を縄で縛って担いで次の獲物を狙う。猫の死体から
皮を剝いでとるのは、そういうのを家業にしているところに持ち込む。
皮は白い猫が一番良いらしい。昭和の40年代ぐらいまでは、そういう「猫とり」
と言われる人が各地を回って猫をとってたんだ。大事に可愛がっていた猫が
突然行方不明になると、猫とりにとられたんだ、いやうちも猫がいなくなった、
などと噂をしていたものさ。上等のなめし皮は1枚が1万円ぐらいにはなった
のかもしれない。