だから劇画作家のような社会の底辺層、貧乏家庭の生活や人生をベースにした
劇画作品が突き付ける作品テーマには脅威を感じた。比較的恵まれた文化的な
ハイソな生活で兵役にも採られずに大学までいけた自分とか周りの級友とは
社会的環境が違い別世界のことだった。そういうのが大衆の支持や
左翼崩れの評論家の評価を得るとなれば、子供向きの御菓子のような甘い夢
物語だけを描いている自分はいずれ淘汰されて退場をせざるを得なくなるので
はないかと悩んで、方針転換を試みることになる。