ある日、ヒーニアスがエフラムの元を訪れた
おつかいユニットなどという屈辱的な待遇にはもう耐えられない、ルネス軍を抜けると言い出したのだ
エフラムは言った。お前が抜けるのは勝手だが、その後残されたお前の部下達の処遇はどうするつもりだ?
彼らはフレリアの騎士だ。私とともに本国へ帰還させるに決まっているではないか
至極当然といった風にエフラムを一蹴したあと、ヒーニアスは部下達に視線を走らせた
しかしどうしたことか、フレリアの勇士達はヒーニアスから目を逸らし悲痛な面持ちで俯いたままだった
幾ばくかの沈黙の後、側近の筆頭たるモルダが重い口を開いた
「ヒーニアス王子、私はたとえ主命に背くことになろうとも、エフラム殿のお供をする所存でございます」
モルダの言葉に呼応するかのように、その他の部下達も口をそろえて言った
「王子、後の事は我々にお任せ下さい。王都への御帰還の道中、くれぐれも拾い食いなどをしませぬように。迷子になったら大声で泣き叫ぶんですよ」
「足手まといが居なくなって助かる…じゃなくて強大な戦力たるヒーニアス王子が抜けた穴は大きいなぁ。いやぁこれから大変だぁ」
ヒーニアスはどこでも引張りたこでつい先日もグラド軍に勧誘されるほどの実力者だと自分で勝手に思い込んでいたので
エフラムに「何か言う事はないか?」と問われると「あの、前言撤回…」と言いかけたところにエフラムは有無を言わせず
「おいィ?お前まさか一人で帰るのが怖いとか言うんじゃねえだろうなぁ!?無敵のスナイパーヒーニアス様に限ってそんな事はありえねぇ!そうだろみんな!?」といったら
「仰る通りでございます」「仮にも一国の王子なんだからねぇ」「野党にでも襲われて死んだら合掌くらいはしてやるよ」という声
等々ヒーニアスの口から「許してください。ちょっとカッコつけてみたかっただけなんです。生意気言ってごめんなさい;;」とエフラムに泣きつく始末
格の違いを見せつけられ自分の地位を悟ったのかいつのまにやら丁寧語になっていた
エフラムは「地位と権力にしがみついた結果がこれ一足早く言うべきだったな?お前調子ぶっこき過ぎてた結果だよ?」
ヒーニアスはルネス軍から追い出さないでと必死で懇願してきたがルネス軍全員一致でこれを拒否
仲間達は「さすがにかわいそうだったかな?」「まあ鉄の弓を持ってるから大丈夫じゃね?耐久一桁切ってるけど」系の事を言っていたがもう駄目