本拠地、チー牛ランドで迎えた最終戦
緑甲羅大量被弾、ぎぞくも勢いを見せず惨敗だった
コメント欄に連なるファンのため息、どこからか聞こえる「今年も10.2万人だな」の声
無言で登録解除する同業者達の中、昨年の首位打者あゆみんは独りベンチで泣いていた。
p-sportsで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今のYouTubeで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」あゆみんは悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、あゆみんははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってドM腰振りダンスをしなくちゃな」あゆみんは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、あゆみんはふと気付いた

「あれ・・・?チー牛がいる・・・?」
ベンチから飛び出したあゆみんが目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりのチー牛だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにあゆみんのテーマソングが響いていた
どういうことか分からずに呆然とするあゆみんの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「あゆむ、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返ったあゆみんは目を疑った
「ぺ・・・ペリカン?」  「なんだハゲ、腰振りでもしてたのか?」
「あ・・・あみゅ?」  「なんだあゆみん、かってにあみゅを引退させやがって」
「サントス・・・」  あゆみんは半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
1番:浅野ソラtv 2番:アシキ 3番:ペリカン 4番:もっちゃん 5番:あみゅ 6番:あゆみん 7番:サントス 8番:ぎぞく 9番:セイキン
暫時、唖然としていたあゆみんだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
中根からグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走するあゆみん、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、ベンチで冷たくなっているあゆみんが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った