0001名無しさん@ドル箱いっぱい (ワッチョイW 6989-uuPT)
2022/03/19(土) 23:54:44.67ID:GJ+C4vxD0そもそも1日に何人のお客様が来てくれたか、そんなこと誰も知らないよと言われて本当にビックリした。
物凄い金額が動く業界でありながら、管理できるのは全て「台単位」だけ。
遊技台ごとに幾らの売上があったのか、幾らの利益が出たのか。
その積み重ねでトータルの数値は出てくるものの、お客様一人一人が幾ら使ったかなんて分からないのだ。
なんせ大半のお客様が(景品交換する必要もなく)POSレジに向かわずに帰られるのだから。
ゲームセンターなんかと一緒だよと言われて、なるほどと理解する。
ただしそうなると「お客様の数は年々減り続けている」
「一人のお客様が使う金額だけ増えてヘビーユーザー化が進行している」などと、
さも分かったように論評していることに違和感も。
もちろん現場における肌感覚はある程度正しくて、お客様が減っているのもヘビーユーザー化が進んでいるのも事実なのだろう。
でも、何人・何%減っているか誰も知らないなんて、そんなのやっぱりおかしいと思う。いやいや、
「レジャー白書」で出ているからと言われても、あんなマクロな統計データではお話にならない。
これが、私達が「顔認証システム」の開発を始めたきっかけである。
むろんエンジン自体を一から作れる技術はなかったので、大手メーカーから提供してもらったのだった。
誰もが知る一流メーカーの(当時)最先端技術故に、本来であれば相当の対価を支払わないと使わせてなどもらえない。
ただ、パチンコ業界における無限の可能性を評価してくれて、格安で提供してくれることに。
我々にとっては非常に幸運だったものである。それが今から8年ほど前の話だ。
なお、「顔認証システム」自体については今更深く説明する必要もないだろう。
デジタル画像から顔部分を抜き出し、特徴点をデータ化することで
「性別や年代を識別」したり「データベース上の人物と同一か否かを判定」することが出来るものだ。
特に後者についてはTVドラマなどでも良く出てくるため、一般の方でもイメージしやすいはず。
ちなみに当時の技術でも、(正面から撮影された画像同士を見比べると)ほぼ100%に近い精度を誇っていたものである。
こんな素晴らしい技術を使えるのだから、パチンコホールへのシステム導入などトントン拍子に進む。
そんな風に軽く考えていたのが大間違いだった。
「正面から撮影された画像同士」だったら100%。
でも「斜め上や横などから撮影された画像同士」では、どう頑張っても90%が精一杯だったのだ。
来る日も来る日も試行錯誤を続けること4年間。実際にパチンコホールでフィールドテストも繰り返したのだが、
残念ながら100%に近づけることは最後まで出来なかったのである。
そう聞くと、いやいや「90%でも十分なんじゃないか」、そう思う方も居るかもしれない。
たしかに90%の精度といえば聞こえは悪くない。
ただし裏を返すと「10%間違ってしまう」ということ。これが何を引き起こすか。
その話の前に。
顔認証システムをパチンコホールに導入することで、いわゆる「顧客リスト」が出来上がるはずだった。
別に顔写真や名前が欲しいのではない。
来店客一人一人の遊技動向がデータベース化されることで、
例えばリニューアルオープンした際に「完全新規の顧客が何人きたか分かる」
「1年ぶりに来店してくれた顧客が何人いたか分かる」
「顧客一人一人が何をどれだけ遊技して幾ら使ったか分かる」などなど。
ホール運営に有用なマーケティングデータが収集できることこそ、最大の目的であり利点だった。
つまり顔認証システムにより、初めて来店した顧客をまずはデータ化する。
そして次に来た顧客をそれと見比べて同一人物か否かを判定し、
別人であれば更にデータ化する。それをひたすら繰り返していくのだが。
この過程で「10%の間違い」が起こるのは文字通り致命的なのだ。
もう何年も通っている常連客を「新規客」として再登録してしまうくらいならば、まだ可愛いミス。
最大の問題は全くの別人同士を一人の顧客としてデータ統合してしまう誤りである。
これが起きると、もうマーケティングもくそもなくなってしまう。
(1日に数百人のお客様が来店される店では)こうしたミスが毎日何度も起こるのだから、
「顧客リスト」のデータベース化など正に夢物語だった。
続く