【V2 レトロスペクティブにみたビジュアル 45-6】
・It's been ...:
it は「問題の病気」を漠然と示しています。漠然と何かを指し示すitはNo. 25に
It was a pure and inoffensive curiosity.
として出てきました、そこでは言及しませんでしたが。
itが前のものも後のものも受けずに、いきなり出てくるのは天候・時間・距離(寒暖・明暗・季節)がありますが、漠然と状況を指すitも突然出てきます。
この漠然と状況を指すit は話し手と聞き手にはわかっている状況で、this, that のような指示性がないものに使われるようです。
No. 25 の例では素朴な質問を沢山陽気にしてくるスペイン人の好奇心について、今回のは件の病気について、といった
話し手も聴き手もわかっているけどthis, that と指示できないことであるわけです。

・It's been a very trying case, a very stubborn one, I might say:
I might say は挿入ですが、さてどこに挿入されるのか、という問題が解説されています。
挿入節は文の中の比較的自由な位置に入れることができますが、ここでは後半部に入れなければ意味がないと言っています。
a very trying case 「とてもつらい症例」
acaseは医学での使い方。tryingは「つらい、骨の折れる、やっかいな」
a very stubborn one 「とても治りにくい症例」
不定冠詞のa caseを受けるのがone。stubborn は「頑固な、強情な」とか「頑強な、断固とした」という意味がありますが、そこから転じて「(病気が)治りにくい」
つまりa very stubborn one(case)の方が a very trying case 一段重い言い方になっているので、a very stubborn oneに I might say がかかるわけです。