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黒歴史晒します。
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2021/01/22(金) 01:16:45.98ID:Hs3DrnyX
ちょっと前に書いた物語もどきです。承認欲求拗れただけなので好きにコメント下さると嬉しいです。
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2021/01/22(金) 01:18:36.56ID:Hs3DrnyX
いつかのどこか、村の端にポツネンと建つ小さな家に住む、小さな少女。陶器のような肌と、透き通るような白銀の髪、瞳の色はアイリスだった。特別身体が弱い訳でも、貧しい家計という訳でもなかったが、彼女の四肢は細く、血色もいいとはいえず、どころか、彼女に一度触れただけで声をあげてしまう程、その肌は雪や氷のように冷たいのだった。そんな彼女は物語を愛し、常に物語を摂り生み出し続けていた。後に、その物語は彼女の存在を含め語り継がれ、宛ら遺すべき一つの厄災そのものの様に人々に多大な影響を及ぼした少女。名を、カサンドラといった。
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2021/01/22(金) 01:20:27.09ID:Hs3DrnyX
語るは遡ること数ヶ月程。カサンドラは父と母、兄2人と暮らしていた。然し両親は互いに忙しく、家に帰る事はあるものの、自分の子供とは殆ど顔合わせ出来なかった。その為、必然的に兄達が両親に代わって、まだ幼いカサンドラの面倒を見る事になっていた。両親は申し訳ないと思いつつ、賢い2人がいるならと安心し、任せきりにしていた。事実、カサンドラの兄達は賢く要領が良かった為、身の回りの家事等は効率的にこなしていたが、彼女の相手はまるで手に付けていないも同然だった。兄とは違い要領が悪く不器用でなんら役に立たない上に、幼いとはいえ自分の世界に浸ってばかりで自分達とは話が通じないと判断し、彼女には食事の提供と衛生面の管理だけを施し、それ以外の事は声をかける事すら全くせず、話しかけられたとて生返事を返すのみにしていた。
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2021/01/22(金) 01:21:20.76ID:Hs3DrnyX
一方で、兄からそんな態度を受け続けたカサンドラは、自分が兄にとって不快な存在なのだと思い、どうにかせめて迷惑をかけないようにしようと考えた。彼女は先ず、家にある全ての物語を読み返した。家族の話を始め、友人、恋人、果てには主従関係や動物間迄、応えになりそうなものは片っ端から摂り続けた。誰かや何かと良好な関係になる展開、反対に不穏な関係や絶縁に至ってしまう展開を知り、自分なりに想像して書き起こした。皮肉なものでその行動は兄達にとって、妹を遠ざけるのに都合が良かった。ただ、彼女はそんな物語のような家族を夢見て、実現しようと努力しているつもりだっただけなのに。然しながら彼らからすれば、面倒を見なくとも勝手に一人で解決してくれている、そう思われて無理も無かった。
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2021/01/22(金) 01:22:49.86ID:Hs3DrnyX
そんな日々が続いて暫く、両親が時折早く帰って来る事があった。自分達がいない間、上手くやれているだろうかと気が気でない2人は、帰ってくるなり普段の様子を聞くのだった。ご飯はちゃんと食べているか、現状で困っている事はないか、と彼等が問う度に、兄達は難なく生活に異常がないことを報告する。するとそういった受け答えの中で、今度はカサンドラに聞くのだった。
「カサンドラ、お父さん達が居なくて寂しくなかったか。」
そう問いかけた父にカサンドラは朗らかに応えた。
「お兄ちゃん達が居るから大丈夫、平気。」
安堵した母は続けて問う。
「それは良かったわ、いつも何して遊んでるの?」
「本を読んでる。あと、お話を書いてるの。」
「そうか、カサンドラはお話が大好きだな。」
兄が居るとはいえ寂しい思いをさせているだろうと、両親はその罪滅ぼしも兼ねて、帰ってくる都度カサンドラに本を買い与えた。彼女はいたく喜び、その様子を見て両親も安堵した。兄達にも欲しいものは無いか、と両親は訊いたが、彼等は妹が喜んでるなら自分達は何も要らない、と言い、両親はそれはそれで感心した。尤も、それは自分達の手間が省ける材料が増えただけでも好都合であり、案の定カサンドラと兄達との距離が離れるのに拍車をかけるだけだった。
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2021/01/22(金) 01:23:59.02ID:Hs3DrnyX
そんな事も知らずに、カサンドラは幾度と無く物語を読み漁り、作り続けた。買い与えられた本は直ぐに読み、自分が本当の家族になる為の応えと方法を求め続けた。自分のご飯は自分で作り、お風呂も着替えも一人でこなした。洗濯も掃除も、自分の分は自分でして、兄達の手を煩わせまいと努力した。けれど足りない、まだ自分は家族には届かない。あらゆる物語から得た応えを試行錯誤して、そして遂に、彼女はその方法を見出した。それは、「黙る事」
誰も傷付けない、嘘を吐く事もしてない、何より自分の勝手な感情で困らせることが無い。カサンドラは放置されるのがどんなに辛くともその事を兄達には当然、偶に帰ってくる両親にでさえ絶対に言わなかった。言葉を噤み続ける苦しさは、身の回りの家事をこなす事より遥かに上回っていたが、自分が家族になる為ならそれさえ厭わなかった。やがて自分の感情を把握出来なくなり、苦しみも感じなくなった。その事実に、ようやく家族になる為の最初の地点に到達したと、カサンドラは喜んだ。
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2021/01/22(金) 01:26:20.73ID:Hs3DrnyX
ありがとうございました。
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