お椀職人をやってる。年に数度不良品やら不良在庫の処分市をやるんだけど、この間お稽古事
の盛んな某都市でやった。まあバッタ市だ。で、始めて少しして年配の男性が格安の不良品
を手に取り、お椀職人の善し悪しは高台(お椀の裏側)をみればわかる。とのたまった。

それを聞いて心臓が止まるかと、変な汗がでてきた。
高台の加工って5pくらいの穴をキッチリ直角に削らなきゃならないんで、綺麗に
仕上げるためにはいくつか鉋を替えて工程も踏んでやらなきゃならん。
どうせ不良処分品だというので鉋一本で適当に手抜きで仕上げておいた奴でした。
もうその場から逃げ出したかった。

そのお客さん、お椀の見込みをみてぐるりと回して裏返して高台を覗いて、
あ〜もうあかん。。どうしよう。と思った瞬間。

うん、しっかり作ってある。これ貰ってくわ。
脇にいた嫁さんとお互い見かわしてどんな表情していいかわからんかった。
これ、間に受けて褒められたととっていいのか、嫌味で嗤われたのかいまだにようわからん。