君の名はファシズム
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村上春樹ノーベル賞と同じで、「踏み絵」質問だよな(笑)
君の名は
糞みたいなアニメで一々質問してくんなよ。
ココロコネクト
転校生
東野圭吾の小説
のパクリなんだから 「『君の名は。』は”バカでも分かる”作品だからこそヒットした」岡田斗司夫が語る
『君の名は。』ヒットの要因
「新海誠はメジャーになるために作家性をあきらめた」
今回、新海誠が挑戦したのは“作家性のあきらめ”なんですよ。
「このままではお前はジブリにはなれない。庵野(秀明)や細田(守)にはなれない」……と言われたかは分からないけど、
そこで一念発起して、「よっしゃ、わかった! 俺は中学生・高校生、言い方悪いけど“バカ”でもわかる映画を撮るぜ!
オラァ、作った! ほら、バカが泣いてる!」っていうのが『君の名は。』なんじゃないかと(笑)。
作家性をあきらめて、誰にでも分かるように徹底的にベタな方向にした。
だから、この作品は大ヒットしているんじゃないかと思います。 ◆石田衣良氏「新海誠氏と宮崎駿氏の違いは」/たぶん新海さんは
楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか?
漫画家の人たちの定見はないんだけれど、とにかく面白い漫画を作れるというのと似ている。
「東京喰種」とか「進撃の巨人」とか、直感で今の世界の在り方をシンボリックに落とし込んで、
強引に面白い話に作りかえる力って、日本人はすごいと思います。ようは人が人を食うような怖い世界で、
巨人はブラック企業で、ニタニタ笑い歩きながら人を食っていく。若い子の絶望感もよく表れている。
「君の名は。」の監督の新海誠さんも若い子の気持ちを掴むのが上手いと思いました。
たぶん新海さんは楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか。
それがテーマとして架空のまま、生涯のテーマとして活きている。
青春時代の憧れを理想郷として追体験して白昼夢のようなものを作り出していく、
恋愛しない人の恋愛小説のパターンなんです。
付き合ったこともセックスの経験もないままカッコイイ男の子を書いていく、
少女漫画的世界と通底しています。宮崎駿さんだったら何かしら、自然対人間とか、
がっちりした実体験をつかめているんですが、新海さんはそういう実体験はないでしょうね。
実体験がないからこそ作れる理想郷です。だからこそ今の若者の憧れの心を掴んだのかも知れません。 ◆経済評論家で大学教授の岸博幸氏、アニメ映画『君の名は。』のヒット原因はスマホで馬鹿が増えたからと分析
今週はアカデミー賞の授賞式がありました。最後の作品賞の発表で間違えられるというハプニングばかりが報道され
ましたが、個人的には『ラ・ラ・ランド』が6部門で受賞したことに興味を覚えました。というのは、『ラ・ラ・ランド』と
日本で大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』には2つの共通点があり、日本と米国の双方が同じ問題に直面していることを
示しているように感じられるからです。
以前この連載でも書きましたが、『君の名は。』は新海誠監督の世界観や映像の美しさで大ヒットした一方で、
アニメ業界の大御所は「あれは映画というより100分に渡る壮大なミュージック・クリップだ」と評価していました。
つまり、じっくり観て考えるというより、気楽に観て気持ちよく感じるという要素の方が大きかったわけです。
そして、『ラ・ラ・ランド』を観た人の感想を聞くと、同じように「映像が綺麗だった」
という感想ばかりが目立ちます。ストーリーは二の次、というかストーリーの感想はあまりなく、
とにかく映像のことばかり。『君の名は。』と同様に、気持ちよく観られるのが特徴だったのです。
なぜ、日米で同じようなつくりの映画が大ヒットしたのでしょうか。個人的には、
日米の双方で多くの人がスマホ中毒になっているからではないかと思います。
スマホを使い過ぎると、コンテンツを気楽に受け身で流し読みするのが当たり前となり、
またテキストの読み方やコンテンツの鑑賞の仕方が気楽で快適な“浅い読み”ばかりになります。
人間の脳は環境に適応することを考えると、長時間スマホを使っていたら、スマホ以外でも
同じようにコンテンツを観ることになります。そうなると映画についても、オスカー作品賞を受賞した
『ムーンライト』のように、映画に没入して能動的に考える作品よりも、気楽に観られる『ラ・ラ・ランド』
のような作品のほうが、多くの賞を受賞して当然と言えます。 逆に言えば、『ラ・ラ・ランド』と『君の名は。』のヒットが示しているのは、スマホの使い過ぎの
弊害が出始めているということではないでしょうか。スマホを使い過ぎて、多くの人が知的な面で
非常に怠惰になってきているのです。
第二の共通点は、どちらも過去の名作へのオマージュという要素が強いことです。
『君の名は。』には、過去の名作アニメや映画を彷彿とさせるシーンがところどころに出てきます。
この点についてアニメ業界の関係者に聞いたところ、「新海監督はパクリとも言えることを悪い
とは思っていない」と言っていました。正確に言えば悪くないと強弁しているのではなく、
それはアニメ好きにとってごく普通のことと思っているようで、44歳という年齢とアニメオタクという
出自を考えると、自然とそういう感覚になっているのでは、と言っていました。
これらの事実が意味するところは、著作権に関する意識の明確な変化です。私のように歳をとっていて、
かつコンテンツ業界に関わっている者からすると、著作権を尊重して守ることは当たり前であり、
パクリと言われかねない行為は慎重であるべきと思えるのですが、子どもの頃や多感な時期を
デジタルやネットがあって当たり前の環境で過ごした若い世代やオタクたちにとっては、作り手の立場
からであっても、それは古臭い非常識に過ぎないのでしょう。
そう考えると、もちろんデジタルの時代といえども著作権の保護が必要なのは当然であり、
かついまだに導入が主張される“日本版フェアユース規定”(ネット上での複製を自由にする)
などは論外であるものの、保護の度合いの見直しは不可欠ではないでしょうか。 このように考えると、こじつけのようになってしまうかもしれませんが、『ラ・ラ・ランド』と
『君の名は。』の両作品は、作品の出来の素晴らしさのみならず、日米両国にとって重要な
インプリケーションを含んでいるように思えます。
まず、そろそろスマホの使い過ぎの弊害を意識すべきです。スマホの使い過ぎは、
集中力の低下、テキストの読み方が浅い読みになる、行動が受け身になるなど、
クリエイティビティや独創性が重要な時代にもかかわらず、人間をそれと正反対の
方向に導いてしまいます。
個人的には、政府がスマホの利用時間を規制することが必要と思っていますが、
さすがにそれは非現実的なので、それならせめて個人レベルでスマホのリスク
をもっと意識すべきではないでしょうか。
次に、著作権のあり方については、日米双方とも継続的に見直しを行っており、
日本では文化庁が最近、著作権法改正の方向性を示しました。
ただ、こうした見直しはもちろん重要ではあるものの、かつての著作権法の部分的な
修正にとどまっているのも事実です。もしかしたら若い作り手の意識も変わりつつある
という現実を考えると、こうした継続的な見直しを行いつつも、どこかのタイミングで
制度自体を根本から見直すことも必要ではないでしょうか。
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)
以上を要約すると、
@「君の名は」は、金で引っ張ってきたジブリの元スタッフに描かせた絵と音楽を組み合わせたミュージッククリップであって、
映画などでは決してない。
Aヒットの原因はスマホ中毒の馬鹿が増えたから。
B過去のアニメや映画・小説などからのパクリが多い。訴訟起こされてもいいレベル。
それなのに、本人のパクリ・盗作の自覚がないのは不思議だ。
Cスマホの使い過ぎの弊害で浅い薄っぺらい作品になり、深い意義のあるテーマが
描けていない。
【結論】
馬鹿からスマホを取り上げろ。 「タルるートくん」「東京大学物語」などで知られるマンガ家・江川達也先生が出演。
大ヒット中の映画「君の名は。」について、プロならではの持論を展開し物議を醸しています。
これは売れるなと思いましたけど、プロから見ると全然面白くないんですよ。作家性が薄くて、
売れる要素ばっかりぶちこんでるちょっと軽い作品。言ってみれば『大人のドラえもん』みたいなもん
絶賛している人が、面白くなかったと言う人を凄くディスるんですよ。
『見なきゃダメだよ』とか言って
ある種、『君の名は。』はファシズム映画なんですよね
経済評論家・岸博幸さんは江川達也先生の持論を受け、アニメ業界の大御所の方の意見も江川さんに近い。
『あれは映画じゃなくて“ミュージッククリップ”だよな』と言っていたと同調。 「薄っぺらい映画だよな〜」
「まあ確かに、こりゃ売れるなとは思いましたよ。丁寧に売れる要素をぶち込んでて、
まあ言ってみりゃ”大人のドラえもん”みたいなもんでね」
「いや〜、だってプロから見ると全然面白くないんですよ(笑)。
作り手側から見ると作家性が薄くて、売れる要素ばっかりぶち込んでる、
ちょっと軽いライトな映画って感じで。絶賛してる人はいるんだけど、そういう人が、
面白くなかったという人に対して凄いディスってるんですよ。”みんな観なきゃダメだよ!”とか言って。
だからある種、『君の名は。』はファシズム映画なんですよね」
岸:「私は新海監督をデビューの頃からずっと知ってるんですが、その観点から言うと、実はアニメ業界の大御所の方も、
江川さんの意見に近くて、”あれは映画じゃなくてミュージック・クリップだよな”って。でも実は、これが大事なポイントで、
新海さんってすごく賢い方ですから、世の中のそういう傾向を分かった上で、ああいう映画にしたんです。もともと映画っていうのは、
本来はじっくり観て考えるもの、それが映画だったんですけど、今の時代って、特にスマホ世代はサラっと見て気持ち良くなるのが好きで、
まさにそういう嗜好に合わせてあるんですよ」
江川:「ただ、それもプロデューサーが良く出来たものを作ってるんですよ、商売として」
江川:「まあ今はSNS時代で、口コミで広がった新しいタイプの宣伝方式だったとは思いますけどね」
岸:「この映画、最終的には200億超えると思うんですよ。凄いヒットですけど、じゃあ何でそれが出来たんだろうって考えると、
新海さんは背景とか世界観を描くのは素晴らしい方なんですよ。それで、デビュー作とか初期のアニメでは彼が自分で絵を描いて
たんだけど、主人公の顔とかに関しては背景ほど素晴らしくはなかった。それが今回、主人公などの絵は元ジブリのスタッフが
描いてるんです。だから、登場人物は凄くジブリ的で魅力的な感じで、さらに背景は今までの新海さんの世界観や背景だから、
当然その組み合わせは素晴らしいものになるわけですよね」
坂上:「これ、要するに大林監督の『転校生』みたいなもんなの?」
江川:「そう。なのに、エロ度が少ないんですよ!」
坂上:「いや、エロは別に必要ないでしょ?」
江川:「でも、リアルを追及すれば、若い女の子と入れ替わったら、
やるべきことがあるじゃないですか、男としては(笑)」 江川:「要は、こんだけヒットしちゃったから、次も絶対ヒットするだろうって期待がかかちゃって、
ヒットさせなきゃってプレッシャーで結局好きなもん作れなくなる…ってことでしょコレ?」
坂上:「これは、今後が大変っていうか…」
江川:「そう、これぐらいのヒットを…お金を期待されちゃう」
岩尾:「でも、次の作品が、また100分の1に戻るってことはもうないですよね?ファンも増えたし…」
江川:「いや、でも逆に次をまた観たいと思って行った時、そこで作家性を出すと、皆がケチョンケチョンに貶すかも」
坂上:「まあ批判の対象になってからが勝負ですよね。賛否は絶対にあるから」 「『君の名は。』は”バカでも分かる”作品だからこそヒットした」岡田斗司夫が語る
『君の名は。』ヒットの要因
「新海誠はメジャーになるために作家性をあきらめた」
今回、新海誠が挑戦したのは“作家性のあきらめ”なんですよ。
「このままではお前はジブリにはなれない。庵野(秀明)や細田(守)にはなれない」……と言われたかは分からないけど、
そこで一念発起して、「よっしゃ、わかった! 俺は中学生・高校生、言い方悪いけど“バカ”でもわかる映画を撮るぜ!
オラァ、作った! ほら、バカが泣いてる!」っていうのが『君の名は。』なんじゃないかと(笑)。
作家性をあきらめて、誰にでも分かるように徹底的にベタな方向にした。
だから、この作品は大ヒットしているんじゃないかと思います。 ◆石田衣良氏「新海誠氏と宮崎駿氏の違いは」/たぶん新海さんは
楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか?
漫画家の人たちの定見はないんだけれど、とにかく面白い漫画を作れるというのと似ている。
「東京喰種」とか「進撃の巨人」とか、直感で今の世界の在り方をシンボリックに落とし込んで、
強引に面白い話に作りかえる力って、日本人はすごいと思います。ようは人が人を食うような怖い世界で、
巨人はブラック企業で、ニタニタ笑い歩きながら人を食っていく。若い子の絶望感もよく表れている。
「君の名は。」の監督の新海誠さんも若い子の気持ちを掴むのが上手いと思いました。
たぶん新海さんは楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか。
それがテーマとして架空のまま、生涯のテーマとして活きている。
青春時代の憧れを理想郷として追体験して白昼夢のようなものを作り出していく、
恋愛しない人の恋愛小説のパターンなんです。
付き合ったこともセックスの経験もないままカッコイイ男の子を書いていく、
少女漫画的世界と通底しています。宮崎駿さんだったら何かしら、自然対人間とか、
がっちりした実体験をつかめているんですが、新海さんはそういう実体験はないでしょうね。
実体験がないからこそ作れる理想郷です。だからこそ今の若者の憧れの心を掴んだのかも知れません。 ◆経済評論家で大学教授の岸博幸氏、アニメ映画『君の名は。』のヒット原因はスマホで馬鹿が増えたからと分析
今週はアカデミー賞の授賞式がありました。最後の作品賞の発表で間違えられるというハプニングばかりが報道され
ましたが、個人的には『ラ・ラ・ランド』が6部門で受賞したことに興味を覚えました。というのは、『ラ・ラ・ランド』と
日本で大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』には2つの共通点があり、日本と米国の双方が同じ問題に直面していることを
示しているように感じられるからです。
以前この連載でも書きましたが、『君の名は。』は新海誠監督の世界観や映像の美しさで大ヒットした一方で、
アニメ業界の大御所は「あれは映画というより100分に渡る壮大なミュージック・クリップだ」と評価していました。
つまり、じっくり観て考えるというより、気楽に観て気持ちよく感じるという要素の方が大きかったわけです。
そして、『ラ・ラ・ランド』を観た人の感想を聞くと、同じように「映像が綺麗だった」
という感想ばかりが目立ちます。ストーリーは二の次、というかストーリーの感想はあまりなく、
とにかく映像のことばかり。『君の名は。』と同様に、気持ちよく観られるのが特徴だったのです。
なぜ、日米で同じようなつくりの映画が大ヒットしたのでしょうか。個人的には、
日米の双方で多くの人がスマホ中毒になっているからではないかと思います。
スマホを使い過ぎると、コンテンツを気楽に受け身で流し読みするのが当たり前となり、
またテキストの読み方やコンテンツの鑑賞の仕方が気楽で快適な“浅い読み”ばかりになります。
人間の脳は環境に適応することを考えると、長時間スマホを使っていたら、スマホ以外でも
同じようにコンテンツを観ることになります。そうなると映画についても、オスカー作品賞を受賞した
『ムーンライト』のように、映画に没入して能動的に考える作品よりも、気楽に観られる『ラ・ラ・ランド』
のような作品のほうが、多くの賞を受賞して当然と言えます。 逆に言えば、『ラ・ラ・ランド』と『君の名は。』のヒットが示しているのは、スマホの使い過ぎの
弊害が出始めているということではないでしょうか。スマホを使い過ぎて、多くの人が知的な面で
非常に怠惰になってきているのです。
第二の共通点は、どちらも過去の名作へのオマージュという要素が強いことです。
『君の名は。』には、過去の名作アニメや映画を彷彿とさせるシーンがところどころに出てきます。
この点についてアニメ業界の関係者に聞いたところ、「新海監督はパクリとも言えることを悪い
とは思っていない」と言っていました。正確に言えば悪くないと強弁しているのではなく、
それはアニメ好きにとってごく普通のことと思っているようで、44歳という年齢とアニメオタクという
出自を考えると、自然とそういう感覚になっているのでは、と言っていました。
これらの事実が意味するところは、著作権に関する意識の明確な変化です。私のように歳をとっていて、
かつコンテンツ業界に関わっている者からすると、著作権を尊重して守ることは当たり前であり、
パクリと言われかねない行為は慎重であるべきと思えるのですが、子どもの頃や多感な時期を
デジタルやネットがあって当たり前の環境で過ごした若い世代やオタクたちにとっては、作り手の立場
からであっても、それは古臭い非常識に過ぎないのでしょう。
そう考えると、もちろんデジタルの時代といえども著作権の保護が必要なのは当然であり、
かついまだに導入が主張される“日本版フェアユース規定”(ネット上での複製を自由にする)
などは論外であるものの、保護の度合いの見直しは不可欠ではないでしょうか。 このように考えると、こじつけのようになってしまうかもしれませんが、『ラ・ラ・ランド』と
『君の名は。』の両作品は、作品の出来の素晴らしさのみならず、日米両国にとって重要な
インプリケーションを含んでいるように思えます。
まず、そろそろスマホの使い過ぎの弊害を意識すべきです。スマホの使い過ぎは、
集中力の低下、テキストの読み方が浅い読みになる、行動が受け身になるなど、
クリエイティビティや独創性が重要な時代にもかかわらず、人間をそれと正反対の
方向に導いてしまいます。
個人的には、政府がスマホの利用時間を規制することが必要と思っていますが、
さすがにそれは非現実的なので、それならせめて個人レベルでスマホのリスク
をもっと意識すべきではないでしょうか。
次に、著作権のあり方については、日米双方とも継続的に見直しを行っており、
日本では文化庁が最近、著作権法改正の方向性を示しました。
ただ、こうした見直しはもちろん重要ではあるものの、かつての著作権法の部分的な
修正にとどまっているのも事実です。もしかしたら若い作り手の意識も変わりつつある
という現実を考えると、こうした継続的な見直しを行いつつも、どこかのタイミングで
制度自体を根本から見直すことも必要ではないでしょうか。
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)
以上を要約すると、
@「君の名は」は、金で引っ張ってきたジブリの元スタッフに描かせた絵と音楽を組み合わせたミュージッククリップであって、
映画などでは決してない。
Aヒットの原因はスマホ中毒の馬鹿が増えたから。
B過去のアニメや映画・小説などからのパクリが多い。訴訟起こされてもいいレベル。
それなのに、本人のパクリ・盗作の自覚がないのは不思議だ。
Cスマホの使い過ぎの弊害で浅い薄っぺらい作品になり、深い意義のあるテーマが
描けていない。
【結論】
馬鹿からスマホを取り上げろ。 「タルるートくん」「東京大学物語」などで知られるマンガ家・江川達也先生が出演。
大ヒット中の映画「君の名は。」について、プロならではの持論を展開し物議を醸しています。
これは売れるなと思いましたけど、プロから見ると全然面白くないんですよ。作家性が薄くて、
売れる要素ばっかりぶちこんでるちょっと軽い作品。言ってみれば『大人のドラえもん』みたいなもん
絶賛している人が、面白くなかったと言う人を凄くディスるんですよ。
『見なきゃダメだよ』とか言って
ある種、『君の名は。』はファシズム映画なんですよね
経済評論家・岸博幸さんは江川達也先生の持論を受け、アニメ業界の大御所の方の意見も江川さんに近い。
『あれは映画じゃなくて“ミュージッククリップ”だよな』と言っていたと同調。 「薄っぺらい映画だよな〜」
「まあ確かに、こりゃ売れるなとは思いましたよ。丁寧に売れる要素をぶち込んでて、
まあ言ってみりゃ”大人のドラえもん”みたいなもんでね」
「いや〜、だってプロから見ると全然面白くないんですよ(笑)。
作り手側から見ると作家性が薄くて、売れる要素ばっかりぶち込んでる、
ちょっと軽いライトな映画って感じで。絶賛してる人はいるんだけど、そういう人が、
面白くなかったという人に対して凄いディスってるんですよ。”みんな観なきゃダメだよ!”とか言って。
だからある種、『君の名は。』はファシズム映画なんですよね」
岸:「私は新海監督をデビューの頃からずっと知ってるんですが、その観点から言うと、実はアニメ業界の大御所の方も、
江川さんの意見に近くて、”あれは映画じゃなくてミュージック・クリップだよな”って。でも実は、これが大事なポイントで、
新海さんってすごく賢い方ですから、世の中のそういう傾向を分かった上で、ああいう映画にしたんです。もともと映画っていうのは、
本来はじっくり観て考えるもの、それが映画だったんですけど、今の時代って、特にスマホ世代はサラっと見て気持ち良くなるのが好きで、
まさにそういう嗜好に合わせてあるんですよ」
江川:「ただ、それもプロデューサーが良く出来たものを作ってるんですよ、商売として」
江川:「まあ今はSNS時代で、口コミで広がった新しいタイプの宣伝方式だったとは思いますけどね」
岸:「この映画、最終的には200億超えると思うんですよ。凄いヒットですけど、じゃあ何でそれが出来たんだろうって考えると、
新海さんは背景とか世界観を描くのは素晴らしい方なんですよ。それで、デビュー作とか初期のアニメでは彼が自分で絵を描いて
たんだけど、主人公の顔とかに関しては背景ほど素晴らしくはなかった。それが今回、主人公などの絵は元ジブリのスタッフが
描いてるんです。だから、登場人物は凄くジブリ的で魅力的な感じで、さらに背景は今までの新海さんの世界観や背景だから、
当然その組み合わせは素晴らしいものになるわけですよね」
坂上:「これ、要するに大林監督の『転校生』みたいなもんなの?」
江川:「そう。なのに、エロ度が少ないんですよ!」
坂上:「いや、エロは別に必要ないでしょ?」
江川:「でも、リアルを追及すれば、若い女の子と入れ替わったら、
やるべきことがあるじゃないですか、男としては(笑)」 江川:「要は、こんだけヒットしちゃったから、次も絶対ヒットするだろうって期待がかかちゃって、
ヒットさせなきゃってプレッシャーで結局好きなもん作れなくなる…ってことでしょコレ?」
坂上:「これは、今後が大変っていうか…」
江川:「そう、これぐらいのヒットを…お金を期待されちゃう」
岩尾:「でも、次の作品が、また100分の1に戻るってことはもうないですよね?ファンも増えたし…」
江川:「いや、でも逆に次をまた観たいと思って行った時、そこで作家性を出すと、皆がケチョンケチョンに貶すかも」
坂上:「まあ批判の対象になってからが勝負ですよね。賛否は絶対にあるから」 「『君の名は。』は”バカでも分かる”作品だからこそヒットした」岡田斗司夫が語る
『君の名は。』ヒットの要因
「新海誠はメジャーになるために作家性をあきらめた」
今回、新海誠が挑戦したのは“作家性のあきらめ”なんですよ。
「このままではお前はジブリにはなれない。庵野(秀明)や細田(守)にはなれない」……と言われたかは分からないけど、
そこで一念発起して、「よっしゃ、わかった! 俺は中学生・高校生、言い方悪いけど“バカ”でもわかる映画を撮るぜ!
オラァ、作った! ほら、バカが泣いてる!」っていうのが『君の名は。』なんじゃないかと(笑)。
作家性をあきらめて、誰にでも分かるように徹底的にベタな方向にした。
だから、この作品は大ヒットしているんじゃないかと思います。 ◆石田衣良氏「新海誠氏と宮崎駿氏の違いは」/たぶん新海さんは
楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか?
漫画家の人たちの定見はないんだけれど、とにかく面白い漫画を作れるというのと似ている。
「東京喰種」とか「進撃の巨人」とか、直感で今の世界の在り方をシンボリックに落とし込んで、
強引に面白い話に作りかえる力って、日本人はすごいと思います。ようは人が人を食うような怖い世界で、
巨人はブラック企業で、ニタニタ笑い歩きながら人を食っていく。若い子の絶望感もよく表れている。
「君の名は。」の監督の新海誠さんも若い子の気持ちを掴むのが上手いと思いました。
たぶん新海さんは楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか。
それがテーマとして架空のまま、生涯のテーマとして活きている。
青春時代の憧れを理想郷として追体験して白昼夢のようなものを作り出していく、
恋愛しない人の恋愛小説のパターンなんです。
付き合ったこともセックスの経験もないままカッコイイ男の子を書いていく、
少女漫画的世界と通底しています。宮崎駿さんだったら何かしら、自然対人間とか、
がっちりした実体験をつかめているんですが、新海さんはそういう実体験はないでしょうね。
実体験がないからこそ作れる理想郷です。だからこそ今の若者の憧れの心を掴んだのかも知れません。 ◆経済評論家で大学教授の岸博幸氏、アニメ映画『君の名は。』のヒット原因はスマホで馬鹿が増えたからと分析
今週はアカデミー賞の授賞式がありました。最後の作品賞の発表で間違えられるというハプニングばかりが報道され
ましたが、個人的には『ラ・ラ・ランド』が6部門で受賞したことに興味を覚えました。というのは、『ラ・ラ・ランド』と
日本で大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』には2つの共通点があり、日本と米国の双方が同じ問題に直面していることを
示しているように感じられるからです。
以前この連載でも書きましたが、『君の名は。』は新海誠監督の世界観や映像の美しさで大ヒットした一方で、
アニメ業界の大御所は「あれは映画というより100分に渡る壮大なミュージック・クリップだ」と評価していました。
つまり、じっくり観て考えるというより、気楽に観て気持ちよく感じるという要素の方が大きかったわけです。
そして、『ラ・ラ・ランド』を観た人の感想を聞くと、同じように「映像が綺麗だった」
という感想ばかりが目立ちます。ストーリーは二の次、というかストーリーの感想はあまりなく、
とにかく映像のことばかり。『君の名は。』と同様に、気持ちよく観られるのが特徴だったのです。
なぜ、日米で同じようなつくりの映画が大ヒットしたのでしょうか。個人的には、
日米の双方で多くの人がスマホ中毒になっているからではないかと思います。
スマホを使い過ぎると、コンテンツを気楽に受け身で流し読みするのが当たり前となり、
またテキストの読み方やコンテンツの鑑賞の仕方が気楽で快適な“浅い読み”ばかりになります。
人間の脳は環境に適応することを考えると、長時間スマホを使っていたら、スマホ以外でも
同じようにコンテンツを観ることになります。そうなると映画についても、オスカー作品賞を受賞した
『ムーンライト』のように、映画に没入して能動的に考える作品よりも、気楽に観られる『ラ・ラ・ランド』
のような作品のほうが、多くの賞を受賞して当然と言えます。 逆に言えば、『ラ・ラ・ランド』と『君の名は。』のヒットが示しているのは、スマホの使い過ぎの
弊害が出始めているということではないでしょうか。スマホを使い過ぎて、多くの人が知的な面で
非常に怠惰になってきているのです。
第二の共通点は、どちらも過去の名作へのオマージュという要素が強いことです。
『君の名は。』には、過去の名作アニメや映画を彷彿とさせるシーンがところどころに出てきます。
この点についてアニメ業界の関係者に聞いたところ、「新海監督はパクリとも言えることを悪い
とは思っていない」と言っていました。正確に言えば悪くないと強弁しているのではなく、
それはアニメ好きにとってごく普通のことと思っているようで、44歳という年齢とアニメオタクという
出自を考えると、自然とそういう感覚になっているのでは、と言っていました。
これらの事実が意味するところは、著作権に関する意識の明確な変化です。私のように歳をとっていて、
かつコンテンツ業界に関わっている者からすると、著作権を尊重して守ることは当たり前であり、
パクリと言われかねない行為は慎重であるべきと思えるのですが、子どもの頃や多感な時期を
デジタルやネットがあって当たり前の環境で過ごした若い世代やオタクたちにとっては、作り手の立場
からであっても、それは古臭い非常識に過ぎないのでしょう。
そう考えると、もちろんデジタルの時代といえども著作権の保護が必要なのは当然であり、
かついまだに導入が主張される“日本版フェアユース規定”(ネット上での複製を自由にする)
などは論外であるものの、保護の度合いの見直しは不可欠ではないでしょうか。 このように考えると、こじつけのようになってしまうかもしれませんが、『ラ・ラ・ランド』と
『君の名は。』の両作品は、作品の出来の素晴らしさのみならず、日米両国にとって重要な
インプリケーションを含んでいるように思えます。
まず、そろそろスマホの使い過ぎの弊害を意識すべきです。スマホの使い過ぎは、
集中力の低下、テキストの読み方が浅い読みになる、行動が受け身になるなど、
クリエイティビティや独創性が重要な時代にもかかわらず、人間をそれと正反対の
方向に導いてしまいます。
個人的には、政府がスマホの利用時間を規制することが必要と思っていますが、
さすがにそれは非現実的なので、それならせめて個人レベルでスマホのリスク
をもっと意識すべきではないでしょうか。
次に、著作権のあり方については、日米双方とも継続的に見直しを行っており、
日本では文化庁が最近、著作権法改正の方向性を示しました。
ただ、こうした見直しはもちろん重要ではあるものの、かつての著作権法の部分的な
修正にとどまっているのも事実です。もしかしたら若い作り手の意識も変わりつつある
という現実を考えると、こうした継続的な見直しを行いつつも、どこかのタイミングで
制度自体を根本から見直すことも必要ではないでしょうか。
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)
以上を要約すると、
@「君の名は」は、金で引っ張ってきたジブリの元スタッフに描かせた絵と音楽を組み合わせたミュージッククリップであって、
映画などでは決してない。
Aヒットの原因はスマホ中毒の馬鹿が増えたから。
B過去のアニメや映画・小説などからのパクリが多い。訴訟起こされてもいいレベル。
それなのに、本人のパクリ・盗作の自覚がないのは不思議だ。
Cスマホの使い過ぎの弊害で浅い薄っぺらい作品になり、深い意義のあるテーマが
描けていない。
【結論】
馬鹿からスマホを取り上げろ。 「タルるートくん」「東京大学物語」などで知られるマンガ家・江川達也先生が出演。
大ヒット中の映画「君の名は。」について、プロならではの持論を展開し物議を醸しています。
これは売れるなと思いましたけど、プロから見ると全然面白くないんですよ。作家性が薄くて、
売れる要素ばっかりぶちこんでるちょっと軽い作品。言ってみれば『大人のドラえもん』みたいなもん
絶賛している人が、面白くなかったと言う人を凄くディスるんですよ。
『見なきゃダメだよ』とか言って
ある種、『君の名は。』はファシズム映画なんですよね
経済評論家・岸博幸さんは江川達也先生の持論を受け、アニメ業界の大御所の方の意見も江川さんに近い。
『あれは映画じゃなくて“ミュージッククリップ”だよな』と言っていたと同調。 「薄っぺらい映画だよな〜」
「まあ確かに、こりゃ売れるなとは思いましたよ。丁寧に売れる要素をぶち込んでて、
まあ言ってみりゃ”大人のドラえもん”みたいなもんでね」
「いや〜、だってプロから見ると全然面白くないんですよ(笑)。
作り手側から見ると作家性が薄くて、売れる要素ばっかりぶち込んでる、
ちょっと軽いライトな映画って感じで。絶賛してる人はいるんだけど、そういう人が、
面白くなかったという人に対して凄いディスってるんですよ。”みんな観なきゃダメだよ!”とか言って。
だからある種、『君の名は。』はファシズム映画なんですよね」
岸:「私は新海監督をデビューの頃からずっと知ってるんですが、その観点から言うと、実はアニメ業界の大御所の方も、
江川さんの意見に近くて、”あれは映画じゃなくてミュージック・クリップだよな”って。でも実は、これが大事なポイントで、
新海さんってすごく賢い方ですから、世の中のそういう傾向を分かった上で、ああいう映画にしたんです。もともと映画っていうのは、
本来はじっくり観て考えるもの、それが映画だったんですけど、今の時代って、特にスマホ世代はサラっと見て気持ち良くなるのが好きで、
まさにそういう嗜好に合わせてあるんですよ」
江川:「ただ、それもプロデューサーが良く出来たものを作ってるんですよ、商売として」
江川:「まあ今はSNS時代で、口コミで広がった新しいタイプの宣伝方式だったとは思いますけどね」
岸:「この映画、最終的には200億超えると思うんですよ。凄いヒットですけど、じゃあ何でそれが出来たんだろうって考えると、
新海さんは背景とか世界観を描くのは素晴らしい方なんですよ。それで、デビュー作とか初期のアニメでは彼が自分で絵を描いて
たんだけど、主人公の顔とかに関しては背景ほど素晴らしくはなかった。それが今回、主人公などの絵は元ジブリのスタッフが
描いてるんです。だから、登場人物は凄くジブリ的で魅力的な感じで、さらに背景は今までの新海さんの世界観や背景だから、
当然その組み合わせは素晴らしいものになるわけですよね」
坂上:「これ、要するに大林監督の『転校生』みたいなもんなの?」
江川:「そう。なのに、エロ度が少ないんですよ!」
坂上:「いや、エロは別に必要ないでしょ?」
江川:「でも、リアルを追及すれば、若い女の子と入れ替わったら、
やるべきことがあるじゃないですか、男としては(笑)」 江川:「要は、こんだけヒットしちゃったから、次も絶対ヒットするだろうって期待がかかちゃって、
ヒットさせなきゃってプレッシャーで結局好きなもん作れなくなる…ってことでしょコレ?」
坂上:「これは、今後が大変っていうか…」
江川:「そう、これぐらいのヒットを…お金を期待されちゃう」
岩尾:「でも、次の作品が、また100分の1に戻るってことはもうないですよね?ファンも増えたし…」
江川:「いや、でも逆に次をまた観たいと思って行った時、そこで作家性を出すと、皆がケチョンケチョンに貶すかも」
坂上:「まあ批判の対象になってからが勝負ですよね。賛否は絶対にあるから」 「『君の名は。』は”バカでも分かる”作品だからこそヒットした」岡田斗司夫が語る
『君の名は。』ヒットの要因
「新海誠はメジャーになるために作家性をあきらめた」
今回、新海誠が挑戦したのは“作家性のあきらめ”なんですよ。
「このままではお前はジブリにはなれない。庵野(秀明)や細田(守)にはなれない」……と言われたかは分からないけど、
そこで一念発起して、「よっしゃ、わかった! 俺は中学生・高校生、言い方悪いけど“バカ”でもわかる映画を撮るぜ!
オラァ、作った! ほら、バカが泣いてる!」っていうのが『君の名は。』なんじゃないかと(笑)。
作家性をあきらめて、誰にでも分かるように徹底的にベタな方向にした。
だから、この作品は大ヒットしているんじゃないかと思います。 ◆石田衣良氏「新海誠氏と宮崎駿氏の違いは」/たぶん新海さんは
楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか?
漫画家の人たちの定見はないんだけれど、とにかく面白い漫画を作れるというのと似ている。
「東京喰種」とか「進撃の巨人」とか、直感で今の世界の在り方をシンボリックに落とし込んで、
強引に面白い話に作りかえる力って、日本人はすごいと思います。ようは人が人を食うような怖い世界で、
巨人はブラック企業で、ニタニタ笑い歩きながら人を食っていく。若い子の絶望感もよく表れている。
「君の名は。」の監督の新海誠さんも若い子の気持ちを掴むのが上手いと思いました。
たぶん新海さんは楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか。
それがテーマとして架空のまま、生涯のテーマとして活きている。
青春時代の憧れを理想郷として追体験して白昼夢のようなものを作り出していく、
恋愛しない人の恋愛小説のパターンなんです。
付き合ったこともセックスの経験もないままカッコイイ男の子を書いていく、
少女漫画的世界と通底しています。宮崎駿さんだったら何かしら、自然対人間とか、
がっちりした実体験をつかめているんですが、新海さんはそういう実体験はないでしょうね。
実体験がないからこそ作れる理想郷です。だからこそ今の若者の憧れの心を掴んだのかも知れません。 ◆経済評論家で大学教授の岸博幸氏、アニメ映画『君の名は。』のヒット原因はスマホで馬鹿が増えたからと分析
今週はアカデミー賞の授賞式がありました。最後の作品賞の発表で間違えられるというハプニングばかりが報道され
ましたが、個人的には『ラ・ラ・ランド』が6部門で受賞したことに興味を覚えました。というのは、『ラ・ラ・ランド』と
日本で大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』には2つの共通点があり、日本と米国の双方が同じ問題に直面していることを
示しているように感じられるからです。
以前この連載でも書きましたが、『君の名は。』は新海誠監督の世界観や映像の美しさで大ヒットした一方で、
アニメ業界の大御所は「あれは映画というより100分に渡る壮大なミュージック・クリップだ」と評価していました。
つまり、じっくり観て考えるというより、気楽に観て気持ちよく感じるという要素の方が大きかったわけです。
そして、『ラ・ラ・ランド』を観た人の感想を聞くと、同じように「映像が綺麗だった」
という感想ばかりが目立ちます。ストーリーは二の次、というかストーリーの感想はあまりなく、
とにかく映像のことばかり。『君の名は。』と同様に、気持ちよく観られるのが特徴だったのです。
なぜ、日米で同じようなつくりの映画が大ヒットしたのでしょうか。個人的には、
日米の双方で多くの人がスマホ中毒になっているからではないかと思います。
スマホを使い過ぎると、コンテンツを気楽に受け身で流し読みするのが当たり前となり、
またテキストの読み方やコンテンツの鑑賞の仕方が気楽で快適な“浅い読み”ばかりになります。
人間の脳は環境に適応することを考えると、長時間スマホを使っていたら、スマホ以外でも
同じようにコンテンツを観ることになります。そうなると映画についても、オスカー作品賞を受賞した
『ムーンライト』のように、映画に没入して能動的に考える作品よりも、気楽に観られる『ラ・ラ・ランド』
のような作品のほうが、多くの賞を受賞して当然と言えます。 逆に言えば、『ラ・ラ・ランド』と『君の名は。』のヒットが示しているのは、スマホの使い過ぎの
弊害が出始めているということではないでしょうか。スマホを使い過ぎて、多くの人が知的な面で
非常に怠惰になってきているのです。
第二の共通点は、どちらも過去の名作へのオマージュという要素が強いことです。
『君の名は。』には、過去の名作アニメや映画を彷彿とさせるシーンがところどころに出てきます。
この点についてアニメ業界の関係者に聞いたところ、「新海監督はパクリとも言えることを悪い
とは思っていない」と言っていました。正確に言えば悪くないと強弁しているのではなく、
それはアニメ好きにとってごく普通のことと思っているようで、44歳という年齢とアニメオタクという
出自を考えると、自然とそういう感覚になっているのでは、と言っていました。
これらの事実が意味するところは、著作権に関する意識の明確な変化です。私のように歳をとっていて、
かつコンテンツ業界に関わっている者からすると、著作権を尊重して守ることは当たり前であり、
パクリと言われかねない行為は慎重であるべきと思えるのですが、子どもの頃や多感な時期を
デジタルやネットがあって当たり前の環境で過ごした若い世代やオタクたちにとっては、作り手の立場
からであっても、それは古臭い非常識に過ぎないのでしょう。
そう考えると、もちろんデジタルの時代といえども著作権の保護が必要なのは当然であり、
かついまだに導入が主張される“日本版フェアユース規定”(ネット上での複製を自由にする)
などは論外であるものの、保護の度合いの見直しは不可欠ではないでしょうか。 このように考えると、こじつけのようになってしまうかもしれませんが、『ラ・ラ・ランド』と
『君の名は。』の両作品は、作品の出来の素晴らしさのみならず、日米両国にとって重要な
インプリケーションを含んでいるように思えます。
まず、そろそろスマホの使い過ぎの弊害を意識すべきです。スマホの使い過ぎは、
集中力の低下、テキストの読み方が浅い読みになる、行動が受け身になるなど、
クリエイティビティや独創性が重要な時代にもかかわらず、人間をそれと正反対の
方向に導いてしまいます。
個人的には、政府がスマホの利用時間を規制することが必要と思っていますが、
さすがにそれは非現実的なので、それならせめて個人レベルでスマホのリスク
をもっと意識すべきではないでしょうか。
次に、著作権のあり方については、日米双方とも継続的に見直しを行っており、
日本では文化庁が最近、著作権法改正の方向性を示しました。
ただ、こうした見直しはもちろん重要ではあるものの、かつての著作権法の部分的な
修正にとどまっているのも事実です。もしかしたら若い作り手の意識も変わりつつある
という現実を考えると、こうした継続的な見直しを行いつつも、どこかのタイミングで
制度自体を根本から見直すことも必要ではないでしょうか。
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)
以上を要約すると、
@「君の名は」は、金で引っ張ってきたジブリの元スタッフに描かせた絵と音楽を組み合わせたミュージッククリップであって、
映画などでは決してない。
Aヒットの原因はスマホ中毒の馬鹿が増えたから。
B過去のアニメや映画・小説などからのパクリが多い。訴訟起こされてもいいレベル。
それなのに、本人のパクリ・盗作の自覚がないのは不思議だ。
Cスマホの使い過ぎの弊害で浅い薄っぺらい作品になり、深い意義のあるテーマが
描けていない。
【結論】
馬鹿からスマホを取り上げろ。 「タルるートくん」「東京大学物語」などで知られるマンガ家・江川達也先生が出演。
大ヒット中の映画「君の名は。」について、プロならではの持論を展開し物議を醸しています。
これは売れるなと思いましたけど、プロから見ると全然面白くないんですよ。作家性が薄くて、
売れる要素ばっかりぶちこんでるちょっと軽い作品。言ってみれば『大人のドラえもん』みたいなもん
絶賛している人が、面白くなかったと言う人を凄くディスるんですよ。
『見なきゃダメだよ』とか言って
ある種、『君の名は。』はファシズム映画なんですよね
経済評論家・岸博幸さんは江川達也先生の持論を受け、アニメ業界の大御所の方の意見も江川さんに近い。
『あれは映画じゃなくて“ミュージッククリップ”だよな』と言っていたと同調。 「薄っぺらい映画だよな〜」
「まあ確かに、こりゃ売れるなとは思いましたよ。丁寧に売れる要素をぶち込んでて、
まあ言ってみりゃ”大人のドラえもん”みたいなもんでね」
「いや〜、だってプロから見ると全然面白くないんですよ(笑)。
作り手側から見ると作家性が薄くて、売れる要素ばっかりぶち込んでる、
ちょっと軽いライトな映画って感じで。絶賛してる人はいるんだけど、そういう人が、
面白くなかったという人に対して凄いディスってるんですよ。”みんな観なきゃダメだよ!”とか言って。
だからある種、『君の名は。』はファシズム映画なんですよね」
岸:「私は新海監督をデビューの頃からずっと知ってるんですが、その観点から言うと、実はアニメ業界の大御所の方も、
江川さんの意見に近くて、”あれは映画じゃなくてミュージック・クリップだよな”って。でも実は、これが大事なポイントで、
新海さんってすごく賢い方ですから、世の中のそういう傾向を分かった上で、ああいう映画にしたんです。もともと映画っていうのは、
本来はじっくり観て考えるもの、それが映画だったんですけど、今の時代って、特にスマホ世代はサラっと見て気持ち良くなるのが好きで、
まさにそういう嗜好に合わせてあるんですよ」
江川:「ただ、それもプロデューサーが良く出来たものを作ってるんですよ、商売として」
江川:「まあ今はSNS時代で、口コミで広がった新しいタイプの宣伝方式だったとは思いますけどね」
岸:「この映画、最終的には200億超えると思うんですよ。凄いヒットですけど、じゃあ何でそれが出来たんだろうって考えると、
新海さんは背景とか世界観を描くのは素晴らしい方なんですよ。それで、デビュー作とか初期のアニメでは彼が自分で絵を描いて
たんだけど、主人公の顔とかに関しては背景ほど素晴らしくはなかった。それが今回、主人公などの絵は元ジブリのスタッフが
描いてるんです。だから、登場人物は凄くジブリ的で魅力的な感じで、さらに背景は今までの新海さんの世界観や背景だから、
当然その組み合わせは素晴らしいものになるわけですよね」
坂上:「これ、要するに大林監督の『転校生』みたいなもんなの?」
江川:「そう。なのに、エロ度が少ないんですよ!」
坂上:「いや、エロは別に必要ないでしょ?」
江川:「でも、リアルを追及すれば、若い女の子と入れ替わったら、
やるべきことがあるじゃないですか、男としては(笑)」 江川:「要は、こんだけヒットしちゃったから、次も絶対ヒットするだろうって期待がかかちゃって、
ヒットさせなきゃってプレッシャーで結局好きなもん作れなくなる…ってことでしょコレ?」
坂上:「これは、今後が大変っていうか…」
江川:「そう、これぐらいのヒットを…お金を期待されちゃう」
岩尾:「でも、次の作品が、また100分の1に戻るってことはもうないですよね?ファンも増えたし…」
江川:「いや、でも逆に次をまた観たいと思って行った時、そこで作家性を出すと、皆がケチョンケチョンに貶すかも」
坂上:「まあ批判の対象になってからが勝負ですよね。賛否は絶対にあるから」 「『君の名は。』は”バカでも分かる”作品だからこそヒットした」岡田斗司夫が語る
『君の名は。』ヒットの要因
「新海誠はメジャーになるために作家性をあきらめた」
今回、新海誠が挑戦したのは“作家性のあきらめ”なんですよ。
「このままではお前はジブリにはなれない。庵野(秀明)や細田(守)にはなれない」……と言われたかは分からないけど、
そこで一念発起して、「よっしゃ、わかった! 俺は中学生・高校生、言い方悪いけど“バカ”でもわかる映画を撮るぜ!
オラァ、作った! ほら、バカが泣いてる!」っていうのが『君の名は。』なんじゃないかと(笑)。
作家性をあきらめて、誰にでも分かるように徹底的にベタな方向にした。
だから、この作品は大ヒットしているんじゃないかと思います。 ◆石田衣良氏「新海誠氏と宮崎駿氏の違いは」/たぶん新海さんは
楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか?
漫画家の人たちの定見はないんだけれど、とにかく面白い漫画を作れるというのと似ている。
「東京喰種」とか「進撃の巨人」とか、直感で今の世界の在り方をシンボリックに落とし込んで、
強引に面白い話に作りかえる力って、日本人はすごいと思います。ようは人が人を食うような怖い世界で、
巨人はブラック企業で、ニタニタ笑い歩きながら人を食っていく。若い子の絶望感もよく表れている。
「君の名は。」の監督の新海誠さんも若い子の気持ちを掴むのが上手いと思いました。
たぶん新海さんは楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか。
それがテーマとして架空のまま、生涯のテーマとして活きている。
青春時代の憧れを理想郷として追体験して白昼夢のようなものを作り出していく、
恋愛しない人の恋愛小説のパターンなんです。
付き合ったこともセックスの経験もないままカッコイイ男の子を書いていく、
少女漫画的世界と通底しています。宮崎駿さんだったら何かしら、自然対人間とか、
がっちりした実体験をつかめているんですが、新海さんはそういう実体験はないでしょうね。
実体験がないからこそ作れる理想郷です。だからこそ今の若者の憧れの心を掴んだのかも知れません。 ◆経済評論家で大学教授の岸博幸氏、アニメ映画『君の名は。』のヒット原因はスマホで馬鹿が増えたからと分析
今週はアカデミー賞の授賞式がありました。最後の作品賞の発表で間違えられるというハプニングばかりが報道され
ましたが、個人的には『ラ・ラ・ランド』が6部門で受賞したことに興味を覚えました。というのは、『ラ・ラ・ランド』と
日本で大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』には2つの共通点があり、日本と米国の双方が同じ問題に直面していることを
示しているように感じられるからです。
以前この連載でも書きましたが、『君の名は。』は新海誠監督の世界観や映像の美しさで大ヒットした一方で、
アニメ業界の大御所は「あれは映画というより100分に渡る壮大なミュージック・クリップだ」と評価していました。
つまり、じっくり観て考えるというより、気楽に観て気持ちよく感じるという要素の方が大きかったわけです。
そして、『ラ・ラ・ランド』を観た人の感想を聞くと、同じように「映像が綺麗だった」
という感想ばかりが目立ちます。ストーリーは二の次、というかストーリーの感想はあまりなく、
とにかく映像のことばかり。『君の名は。』と同様に、気持ちよく観られるのが特徴だったのです。
なぜ、日米で同じようなつくりの映画が大ヒットしたのでしょうか。個人的には、
日米の双方で多くの人がスマホ中毒になっているからではないかと思います。
スマホを使い過ぎると、コンテンツを気楽に受け身で流し読みするのが当たり前となり、
またテキストの読み方やコンテンツの鑑賞の仕方が気楽で快適な“浅い読み”ばかりになります。
人間の脳は環境に適応することを考えると、長時間スマホを使っていたら、スマホ以外でも
同じようにコンテンツを観ることになります。そうなると映画についても、オスカー作品賞を受賞した
『ムーンライト』のように、映画に没入して能動的に考える作品よりも、気楽に観られる『ラ・ラ・ランド』
のような作品のほうが、多くの賞を受賞して当然と言えます。 逆に言えば、『ラ・ラ・ランド』と『君の名は。』のヒットが示しているのは、スマホの使い過ぎの
弊害が出始めているということではないでしょうか。スマホを使い過ぎて、多くの人が知的な面で
非常に怠惰になってきているのです。
第二の共通点は、どちらも過去の名作へのオマージュという要素が強いことです。
『君の名は。』には、過去の名作アニメや映画を彷彿とさせるシーンがところどころに出てきます。
この点についてアニメ業界の関係者に聞いたところ、「新海監督はパクリとも言えることを悪い
とは思っていない」と言っていました。正確に言えば悪くないと強弁しているのではなく、
それはアニメ好きにとってごく普通のことと思っているようで、44歳という年齢とアニメオタクという
出自を考えると、自然とそういう感覚になっているのでは、と言っていました。
これらの事実が意味するところは、著作権に関する意識の明確な変化です。私のように歳をとっていて、
かつコンテンツ業界に関わっている者からすると、著作権を尊重して守ることは当たり前であり、
パクリと言われかねない行為は慎重であるべきと思えるのですが、子どもの頃や多感な時期を
デジタルやネットがあって当たり前の環境で過ごした若い世代やオタクたちにとっては、作り手の立場
からであっても、それは古臭い非常識に過ぎないのでしょう。
そう考えると、もちろんデジタルの時代といえども著作権の保護が必要なのは当然であり、
かついまだに導入が主張される“日本版フェアユース規定”(ネット上での複製を自由にする)
などは論外であるものの、保護の度合いの見直しは不可欠ではないでしょうか。 このように考えると、こじつけのようになってしまうかもしれませんが、『ラ・ラ・ランド』と
『君の名は。』の両作品は、作品の出来の素晴らしさのみならず、日米両国にとって重要な
インプリケーションを含んでいるように思えます。
まず、そろそろスマホの使い過ぎの弊害を意識すべきです。スマホの使い過ぎは、
集中力の低下、テキストの読み方が浅い読みになる、行動が受け身になるなど、
クリエイティビティや独創性が重要な時代にもかかわらず、人間をそれと正反対の
方向に導いてしまいます。
個人的には、政府がスマホの利用時間を規制することが必要と思っていますが、
さすがにそれは非現実的なので、それならせめて個人レベルでスマホのリスク
をもっと意識すべきではないでしょうか。
次に、著作権のあり方については、日米双方とも継続的に見直しを行っており、
日本では文化庁が最近、著作権法改正の方向性を示しました。
ただ、こうした見直しはもちろん重要ではあるものの、かつての著作権法の部分的な
修正にとどまっているのも事実です。もしかしたら若い作り手の意識も変わりつつある
という現実を考えると、こうした継続的な見直しを行いつつも、どこかのタイミングで
制度自体を根本から見直すことも必要ではないでしょうか。
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)
以上を要約すると、
@「君の名は」は、金で引っ張ってきたジブリの元スタッフに描かせた絵と音楽を組み合わせたミュージッククリップであって、
映画などでは決してない。
Aヒットの原因はスマホ中毒の馬鹿が増えたから。
B過去のアニメや映画・小説などからのパクリが多い。訴訟起こされてもいいレベル。
それなのに、本人のパクリ・盗作の自覚がないのは不思議だ。
Cスマホの使い過ぎの弊害で浅い薄っぺらい作品になり、深い意義のあるテーマが
描けていない。
【結論】
馬鹿からスマホを取り上げろ。 「タルるートくん」「東京大学物語」などで知られるマンガ家・江川達也先生が出演。
大ヒット中の映画「君の名は。」について、プロならではの持論を展開し物議を醸しています。
これは売れるなと思いましたけど、プロから見ると全然面白くないんですよ。作家性が薄くて、
売れる要素ばっかりぶちこんでるちょっと軽い作品。言ってみれば『大人のドラえもん』みたいなもん
絶賛している人が、面白くなかったと言う人を凄くディスるんですよ。
『見なきゃダメだよ』とか言って
ある種、『君の名は。』はファシズム映画なんですよね
経済評論家・岸博幸さんは江川達也先生の持論を受け、アニメ業界の大御所の方の意見も江川さんに近い。
『あれは映画じゃなくて“ミュージッククリップ”だよな』と言っていたと同調。 「薄っぺらい映画だよな〜」
「まあ確かに、こりゃ売れるなとは思いましたよ。丁寧に売れる要素をぶち込んでて、
まあ言ってみりゃ”大人のドラえもん”みたいなもんでね」
「いや〜、だってプロから見ると全然面白くないんですよ(笑)。
作り手側から見ると作家性が薄くて、売れる要素ばっかりぶち込んでる、
ちょっと軽いライトな映画って感じで。絶賛してる人はいるんだけど、そういう人が、
面白くなかったという人に対して凄いディスってるんですよ。”みんな観なきゃダメだよ!”とか言って。
だからある種、『君の名は。』はファシズム映画なんですよね」
岸:「私は新海監督をデビューの頃からずっと知ってるんですが、その観点から言うと、実はアニメ業界の大御所の方も、
江川さんの意見に近くて、”あれは映画じゃなくてミュージック・クリップだよな”って。でも実は、これが大事なポイントで、
新海さんってすごく賢い方ですから、世の中のそういう傾向を分かった上で、ああいう映画にしたんです。もともと映画っていうのは、
本来はじっくり観て考えるもの、それが映画だったんですけど、今の時代って、特にスマホ世代はサラっと見て気持ち良くなるのが好きで、
まさにそういう嗜好に合わせてあるんですよ」
江川:「ただ、それもプロデューサーが良く出来たものを作ってるんですよ、商売として」
江川:「まあ今はSNS時代で、口コミで広がった新しいタイプの宣伝方式だったとは思いますけどね」
岸:「この映画、最終的には200億超えると思うんですよ。凄いヒットですけど、じゃあ何でそれが出来たんだろうって考えると、
新海さんは背景とか世界観を描くのは素晴らしい方なんですよ。それで、デビュー作とか初期のアニメでは彼が自分で絵を描いて
たんだけど、主人公の顔とかに関しては背景ほど素晴らしくはなかった。それが今回、主人公などの絵は元ジブリのスタッフが
描いてるんです。だから、登場人物は凄くジブリ的で魅力的な感じで、さらに背景は今までの新海さんの世界観や背景だから、
当然その組み合わせは素晴らしいものになるわけですよね」
坂上:「これ、要するに大林監督の『転校生』みたいなもんなの?」
江川:「そう。なのに、エロ度が少ないんですよ!」
坂上:「いや、エロは別に必要ないでしょ?」
江川:「でも、リアルを追及すれば、若い女の子と入れ替わったら、
やるべきことがあるじゃないですか、男としては(笑)」 江川:「要は、こんだけヒットしちゃったから、次も絶対ヒットするだろうって期待がかかちゃって、
ヒットさせなきゃってプレッシャーで結局好きなもん作れなくなる…ってことでしょコレ?」
坂上:「これは、今後が大変っていうか…」
江川:「そう、これぐらいのヒットを…お金を期待されちゃう」
岩尾:「でも、次の作品が、また100分の1に戻るってことはもうないですよね?ファンも増えたし…」
江川:「いや、でも逆に次をまた観たいと思って行った時、そこで作家性を出すと、皆がケチョンケチョンに貶すかも」
坂上:「まあ批判の対象になってからが勝負ですよね。賛否は絶対にあるから」 「『君の名は。』は”バカでも分かる”作品だからこそヒットした」岡田斗司夫が語る
『君の名は。』ヒットの要因
「新海誠はメジャーになるために作家性をあきらめた」
今回、新海誠が挑戦したのは“作家性のあきらめ”なんですよ。
「このままではお前はジブリにはなれない。庵野(秀明)や細田(守)にはなれない」……と言われたかは分からないけど、
そこで一念発起して、「よっしゃ、わかった! 俺は中学生・高校生、言い方悪いけど“バカ”でもわかる映画を撮るぜ!
オラァ、作った! ほら、バカが泣いてる!」っていうのが『君の名は。』なんじゃないかと(笑)。
作家性をあきらめて、誰にでも分かるように徹底的にベタな方向にした。
だから、この作品は大ヒットしているんじゃないかと思います。 ◆石田衣良氏「新海誠氏と宮崎駿氏の違いは」/たぶん新海さんは
楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか?
漫画家の人たちの定見はないんだけれど、とにかく面白い漫画を作れるというのと似ている。
「東京喰種」とか「進撃の巨人」とか、直感で今の世界の在り方をシンボリックに落とし込んで、
強引に面白い話に作りかえる力って、日本人はすごいと思います。ようは人が人を食うような怖い世界で、
巨人はブラック企業で、ニタニタ笑い歩きながら人を食っていく。若い子の絶望感もよく表れている。
「君の名は。」の監督の新海誠さんも若い子の気持ちを掴むのが上手いと思いました。
たぶん新海さんは楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか。
それがテーマとして架空のまま、生涯のテーマとして活きている。
青春時代の憧れを理想郷として追体験して白昼夢のようなものを作り出していく、
恋愛しない人の恋愛小説のパターンなんです。
付き合ったこともセックスの経験もないままカッコイイ男の子を書いていく、
少女漫画的世界と通底しています。宮崎駿さんだったら何かしら、自然対人間とか、
がっちりした実体験をつかめているんですが、新海さんはそういう実体験はないでしょうね。
実体験がないからこそ作れる理想郷です。だからこそ今の若者の憧れの心を掴んだのかも知れません。 ◆経済評論家で大学教授の岸博幸氏、アニメ映画『君の名は。』のヒット原因はスマホで馬鹿が増えたからと分析
今週はアカデミー賞の授賞式がありました。最後の作品賞の発表で間違えられるというハプニングばかりが報道され
ましたが、個人的には『ラ・ラ・ランド』が6部門で受賞したことに興味を覚えました。というのは、『ラ・ラ・ランド』と
日本で大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』には2つの共通点があり、日本と米国の双方が同じ問題に直面していることを
示しているように感じられるからです。
以前この連載でも書きましたが、『君の名は。』は新海誠監督の世界観や映像の美しさで大ヒットした一方で、
アニメ業界の大御所は「あれは映画というより100分に渡る壮大なミュージック・クリップだ」と評価していました。
つまり、じっくり観て考えるというより、気楽に観て気持ちよく感じるという要素の方が大きかったわけです。
そして、『ラ・ラ・ランド』を観た人の感想を聞くと、同じように「映像が綺麗だった」
という感想ばかりが目立ちます。ストーリーは二の次、というかストーリーの感想はあまりなく、
とにかく映像のことばかり。『君の名は。』と同様に、気持ちよく観られるのが特徴だったのです。
なぜ、日米で同じようなつくりの映画が大ヒットしたのでしょうか。個人的には、
日米の双方で多くの人がスマホ中毒になっているからではないかと思います。
スマホを使い過ぎると、コンテンツを気楽に受け身で流し読みするのが当たり前となり、
またテキストの読み方やコンテンツの鑑賞の仕方が気楽で快適な“浅い読み”ばかりになります。
人間の脳は環境に適応することを考えると、長時間スマホを使っていたら、スマホ以外でも
同じようにコンテンツを観ることになります。そうなると映画についても、オスカー作品賞を受賞した
『ムーンライト』のように、映画に没入して能動的に考える作品よりも、気楽に観られる『ラ・ラ・ランド』
のような作品のほうが、多くの賞を受賞して当然と言えます。 逆に言えば、『ラ・ラ・ランド』と『君の名は。』のヒットが示しているのは、スマホの使い過ぎの
弊害が出始めているということではないでしょうか。スマホを使い過ぎて、多くの人が知的な面で
非常に怠惰になってきているのです。
第二の共通点は、どちらも過去の名作へのオマージュという要素が強いことです。
『君の名は。』には、過去の名作アニメや映画を彷彿とさせるシーンがところどころに出てきます。
この点についてアニメ業界の関係者に聞いたところ、「新海監督はパクリとも言えることを悪い
とは思っていない」と言っていました。正確に言えば悪くないと強弁しているのではなく、
それはアニメ好きにとってごく普通のことと思っているようで、44歳という年齢とアニメオタクという
出自を考えると、自然とそういう感覚になっているのでは、と言っていました。
これらの事実が意味するところは、著作権に関する意識の明確な変化です。私のように歳をとっていて、
かつコンテンツ業界に関わっている者からすると、著作権を尊重して守ることは当たり前であり、
パクリと言われかねない行為は慎重であるべきと思えるのですが、子どもの頃や多感な時期を
デジタルやネットがあって当たり前の環境で過ごした若い世代やオタクたちにとっては、作り手の立場
からであっても、それは古臭い非常識に過ぎないのでしょう。
そう考えると、もちろんデジタルの時代といえども著作権の保護が必要なのは当然であり、
かついまだに導入が主張される“日本版フェアユース規定”(ネット上での複製を自由にする)
などは論外であるものの、保護の度合いの見直しは不可欠ではないでしょうか。 このように考えると、こじつけのようになってしまうかもしれませんが、『ラ・ラ・ランド』と
『君の名は。』の両作品は、作品の出来の素晴らしさのみならず、日米両国にとって重要な
インプリケーションを含んでいるように思えます。
まず、そろそろスマホの使い過ぎの弊害を意識すべきです。スマホの使い過ぎは、
集中力の低下、テキストの読み方が浅い読みになる、行動が受け身になるなど、
クリエイティビティや独創性が重要な時代にもかかわらず、人間をそれと正反対の
方向に導いてしまいます。
個人的には、政府がスマホの利用時間を規制することが必要と思っていますが、
さすがにそれは非現実的なので、それならせめて個人レベルでスマホのリスク
をもっと意識すべきではないでしょうか。
次に、著作権のあり方については、日米双方とも継続的に見直しを行っており、
日本では文化庁が最近、著作権法改正の方向性を示しました。
ただ、こうした見直しはもちろん重要ではあるものの、かつての著作権法の部分的な
修正にとどまっているのも事実です。もしかしたら若い作り手の意識も変わりつつある
という現実を考えると、こうした継続的な見直しを行いつつも、どこかのタイミングで
制度自体を根本から見直すことも必要ではないでしょうか。
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)
以上を要約すると、
@「君の名は」は、金で引っ張ってきたジブリの元スタッフに描かせた絵と音楽を組み合わせたミュージッククリップであって、
映画などでは決してない。
Aヒットの原因はスマホ中毒の馬鹿が増えたから。
B過去のアニメや映画・小説などからのパクリが多い。訴訟起こされてもいいレベル。
それなのに、本人のパクリ・盗作の自覚がないのは不思議だ。
Cスマホの使い過ぎの弊害で浅い薄っぺらい作品になり、深い意義のあるテーマが
描けていない。
【結論】
馬鹿からスマホを取り上げろ。 「タルるートくん」「東京大学物語」などで知られるマンガ家・江川達也先生が出演。
大ヒット中の映画「君の名は。」について、プロならではの持論を展開し物議を醸しています。
これは売れるなと思いましたけど、プロから見ると全然面白くないんですよ。作家性が薄くて、
売れる要素ばっかりぶちこんでるちょっと軽い作品。言ってみれば『大人のドラえもん』みたいなもん
絶賛している人が、面白くなかったと言う人を凄くディスるんですよ。
『見なきゃダメだよ』とか言って
ある種、『君の名は。』はファシズム映画なんですよね
経済評論家・岸博幸さんは江川達也先生の持論を受け、アニメ業界の大御所の方の意見も江川さんに近い。
『あれは映画じゃなくて“ミュージッククリップ”だよな』と言っていたと同調。 「薄っぺらい映画だよな〜」
「まあ確かに、こりゃ売れるなとは思いましたよ。丁寧に売れる要素をぶち込んでて、
まあ言ってみりゃ”大人のドラえもん”みたいなもんでね」
「いや〜、だってプロから見ると全然面白くないんですよ(笑)。
作り手側から見ると作家性が薄くて、売れる要素ばっかりぶち込んでる、
ちょっと軽いライトな映画って感じで。絶賛してる人はいるんだけど、そういう人が、
面白くなかったという人に対して凄いディスってるんですよ。”みんな観なきゃダメだよ!”とか言って。
だからある種、『君の名は。』はファシズム映画なんですよね」
岸:「私は新海監督をデビューの頃からずっと知ってるんですが、その観点から言うと、実はアニメ業界の大御所の方も、
江川さんの意見に近くて、”あれは映画じゃなくてミュージック・クリップだよな”って。でも実は、これが大事なポイントで、
新海さんってすごく賢い方ですから、世の中のそういう傾向を分かった上で、ああいう映画にしたんです。もともと映画っていうのは、
本来はじっくり観て考えるもの、それが映画だったんですけど、今の時代って、特にスマホ世代はサラっと見て気持ち良くなるのが好きで、
まさにそういう嗜好に合わせてあるんですよ」
江川:「ただ、それもプロデューサーが良く出来たものを作ってるんですよ、商売として」
江川:「まあ今はSNS時代で、口コミで広がった新しいタイプの宣伝方式だったとは思いますけどね」
岸:「この映画、最終的には200億超えると思うんですよ。凄いヒットですけど、じゃあ何でそれが出来たんだろうって考えると、
新海さんは背景とか世界観を描くのは素晴らしい方なんですよ。それで、デビュー作とか初期のアニメでは彼が自分で絵を描いて
たんだけど、主人公の顔とかに関しては背景ほど素晴らしくはなかった。それが今回、主人公などの絵は元ジブリのスタッフが
描いてるんです。だから、登場人物は凄くジブリ的で魅力的な感じで、さらに背景は今までの新海さんの世界観や背景だから、
当然その組み合わせは素晴らしいものになるわけですよね」
坂上:「これ、要するに大林監督の『転校生』みたいなもんなの?」
江川:「そう。なのに、エロ度が少ないんですよ!」
坂上:「いや、エロは別に必要ないでしょ?」
江川:「でも、リアルを追及すれば、若い女の子と入れ替わったら、
やるべきことがあるじゃないですか、男としては(笑)」 江川:「要は、こんだけヒットしちゃったから、次も絶対ヒットするだろうって期待がかかちゃって、
ヒットさせなきゃってプレッシャーで結局好きなもん作れなくなる…ってことでしょコレ?」
坂上:「これは、今後が大変っていうか…」
江川:「そう、これぐらいのヒットを…お金を期待されちゃう」
岩尾:「でも、次の作品が、また100分の1に戻るってことはもうないですよね?ファンも増えたし…」
江川:「いや、でも逆に次をまた観たいと思って行った時、そこで作家性を出すと、皆がケチョンケチョンに貶すかも」
坂上:「まあ批判の対象になってからが勝負ですよね。賛否は絶対にあるから」 「『君の名は。』は”バカでも分かる”作品だからこそヒットした」岡田斗司夫が語る
『君の名は。』ヒットの要因
「新海誠はメジャーになるために作家性をあきらめた」
今回、新海誠が挑戦したのは“作家性のあきらめ”なんですよ。
「このままではお前はジブリにはなれない。庵野(秀明)や細田(守)にはなれない」……と言われたかは分からないけど、
そこで一念発起して、「よっしゃ、わかった! 俺は中学生・高校生、言い方悪いけど“バカ”でもわかる映画を撮るぜ!
オラァ、作った! ほら、バカが泣いてる!」っていうのが『君の名は。』なんじゃないかと(笑)。
作家性をあきらめて、誰にでも分かるように徹底的にベタな方向にした。
だから、この作品は大ヒットしているんじゃないかと思います。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています