京都大の教育プログラムの一環で工学研究科の研究室の実験に参加していた灘高(兵庫県)3年の平(ひら)翔太さん(17)=大阪府和泉市=が、
化学分野で世界的な学術誌の掲載論文に、指導していた関修平教授らの共著者として名前を連ねた。反応性の高いラジカル分子を安定的にする手法の発見が内容で、
関教授も認める「スーパー高校生」が大きな実績を残した。

 11月10日付のドイツの化学誌「アンゲバンテ・ケミー」で、著者は同研究科の酒巻大輔助教、大学院生の沖野浩平さん、井上由輝さんも含めた計5人。

 平さんは高校生が京大の研究に触れる教育プログラム「エルキャス」のメンバーとして昨年4月から約半年間、土曜日や夏休みなどに関教授の研究室で化学実験に携わった。
高校で化学研究部に在籍し、「有機反応に関する知識が十分にあり、実験にも慣れていた」(関教授)という素養を買われて、
構造の異なる複数の有機分子の合成や特性の解析などを担った。昨年の国際化学オリンピックの銀賞も受賞した平さんの印象を、
酒巻助教は「まさに超高校級。知識もさることながら、新しいことを学ぼうとする意欲がすごかった」と語る。研究室には大学院生向けの化学の教科書を持ってきて読んでいたという。

 平さんの実験結果も反映された論文では、二つの分子がつながった状態をつくる有機分子のジシアノメチルラジカルの構造を少しだけ変えると、
2分子のつながり方が大きく変化することが報告されており、新たな蓄電池や半導体の開発にもつながることが期待されるという。

 研究者を目指し、現在は受験勉強に励んでいる平さんは「実験で少し関わっただけで、本当に自分の名前が載っていいのか戸惑った。
実験はめちゃくちゃ楽しく、データを取って実験ノートを緻密に書いていく作業が新鮮だった」と話している。

http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20171128000068
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