市の「伝福連携」は、障害者を雇用する企業にバリアフリー工事費や専用器具購入費などを補助する仕組み。
 京鹿の子絞りの老舗「種田」(下京区)は、その前身となる支援制度を昨年度に活用し、発達障害のある上田倫基さん(30)=中京区=を採用した。
 きっかけは、障害者を対象に開催した絞り体験会。生地を糸でくくりつける作業に没頭する姿に、種田靖夫社長(51)は驚いた。
集中力が高く、手先も器用。戦力になると確信した。
 上田さんは過去にホテルやアパレルでの勤務経験があった。しかし、同僚や客とのコミュニケーションがうまくいかず、長続きしなかった。
種田社長は「障害があっても、輝く能力を持っている。会社の利益にもつながり、大きく評価したい」と話す。
 市は、種田の事例をモデルケースと位置付け、支援事業のさらなる充実を視野に入れる。市伝統産業課の恵良陽一工芸係長は
「伝統産業の活性化と障害者雇用の推進。その両方に資する可能性のある事業だ」と期待を込める。

京都新聞2018年8月25日夕刊1面より抜粋