アイスショーでは、他のジャンルとの交流も近年では見受けられる。それを成功させるのは簡単ではないという。

「複数のアイスショーで外部の舞踊界や演劇界から演出家を招聘して、コラボレーションによる新しいアイスショーの形式を模索する試みがなされています。挑戦していれば化学反応が起こることもあるわけですから、ぜひそういうアート&エンターテインメント界との交流を続けてほしいと思います。しかし一方で外部の他ジャンルのアーティストとのコラボレーションは、必ずしもうまくいくわけではないということを1つ意識しておかなければいけないことです。

 なぜなら、フィギュアスケートというフォーム自体が舞台芸術の分野においては非常に特殊であるからです。バレエ、ジャズ、タンゴ、ミュージカル、本当にいろいろな分野のアーティストがご協力くださっていますけれども、「滑る」という身体運動を実践している方は極めて稀です。フロアで上演する舞台芸術ジャンルのアーティスト同士であれば、比較的容易に身体感覚を共有できると思いますが、氷の上で滑ることを基盤としている舞台芸術は他にほぼないため、フロアで踊る分野の方々とフィギュアスケ―ターの協働は難航するケースがあることも確かです」