ただ一つ、私は理解した。別府の言う、根拠のないポジティブってのは、間違いなく正
解なんだなと。
『さっきのやり取りで、もう十分に分かったし。かなみんはタカシの嫁!!って』
『……ダメだもう。何言っても聞かないし……』
 ハア、ともう一つ、大きくため息をつく。それにしても、黙っていればアイドルみたい
に可愛くて、ついさっきまではライバルに引っかかることすら出来ないと諦めていた対象
だったのに、まさか別府と付き合う縁結びをしてくれるなんて、ちょっと信じられない。
その点では透子の強引さっぷりに感謝しなければならない。
『……かなみんさ……タカシのこと、よろしくね。色々と口うるさいし……頭固いところ
もあるけど……女の子によく気を回すし……ホント、いい奴だから……』
『だからさ。よろしくって言われても……お互い、まだこれからなんだから――』
 否定しようとしたところで、透子が抱き締める力を強くする。同時に、不満気な顔で私を見た。
『わかってるくせに。私と一緒にいるのを見て、あれだけ嫉妬しちゃってるんだから……
もう、気持ちなんて決まってるんでしょ? タカシだってそう。ただ、かなみんの態度を
みて、急ぎ過ぎないようにって気を遣ってるだけで、一回デートすれば、次はまたその次
はってなってくのに』
 その指摘に、反論したくても私は出来なかった。透子の指摘は全く正しくて、恥ずかし
さを隠すために否定したって、何の意味も持たないことを。


続く

>>139
食らいました。なので、次回で終わりかと思ってたけど、二回に分けるかもです。