ツンデレにこれって間接キスだよなっていったら0.9 [無断転載禁止]©2ch.net

1ほんわか名無しさん2016/12/04(日) 12:19:10.280
◆このスレは何?
ツンデレの妄想でひたすら萌え続ける場です。どんな形でもいいのでアナタのツンデレ妄想を垂れ流してください。
◆前スレ
ツンデレにこれって間接キスだよなっていったら0.8
http://tamae.2ch.net/test/read.cgi/honobono/1420015047/
◆過去ログ置き場
http://www.tndr.info/
◆Wiki(過去ログ置き場以前の過去ログ・更新停止中のまとめ等もwiki参照)
http://www45.atwiki.jp/viptndr/pages/1.html
◆ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら 専用掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/computer/21510/
◆うpろだ
http://tunder.ktkr.net/up/
http://www.pic.to/ (携帯用)
◆お題作成機
http://masa.s23.xrea.com/
http://maboshi.yh.land.to/tundere/
◆規制中の人向け、レス代行依頼スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/21510/1275069975/

2ほんわか名無しさん2016/12/04(日) 12:19:52.630
◆ツンデレって何?
「普段はツンツン、二人っきりの時は急にしおらしくなってデレデレといちゃつく」ようなタイプのキャラクターのこと。
◆このスレでよく使われる人物設定
男:デフォルトネームは別府タカシ。ツンデレに色々したりされたりする。
アッパー:デフォルトネームは椎水かなみ。感情表現豊かな基本形。
ダウナー:デフォルトネームはちなみ。ローテンションで「……」を多用して喋る。
お嬢:デフォルトネームは神野りな。お嬢様口調。というかお嬢様。
老成:デフォはまつり。「纏」と書く。わしは?じゃのう等、古風かつジジ臭い言い回しをする。
尊大:デフォはみこと。「尊」と書く。自信に満ちあふれたような、偉ぶった言い回しをする。
関西:デフォはいずみ。関西弁で喋る。
ボクっ娘:ボクっ娘ツンデレ。一人称「ボク」。デフォルトネームは決まっていない。
勝気:気の強い男勝りツンデレ。デフォルトネームは決まってい(ry
無表情:無表情ツンデレ。デフォルトネームは決まっ(ry
中華:中華系ツンデレ。「??アル」といった言い回しをする。デフォルトネームは決(ry
幽霊:幽霊ツンデレ。憑依したりする。アッパーだったりダウナーだったりする。デフォルトネームは(ry

山田:クラスメイトとして使われることが多い。いわゆる友人A。なぜかVIPPER口調で描かれがち。
友子:クラスメイトとして使われる事が多い友人B。好奇心が強かったり世話好きだったりいろいろ。

※名前の由来などについてはまとめサイト参照

・上記の名前や設定はあくまでデフォルト。
・投下許可は求めなくていいですが、長編SSについては、投下前に宣言をしていただけると他のSSとのごちゃ混ぜ防止になるのでスレに優しいです。
・書き上がってから一斉投下してね。 書きながら投下はイクナイ。
・感想レスは励みになるので大歓迎。
・投下のタイミングは自分で見計らおう。投下直前にはリロードを心がけよう。
・もしスルーされても泣かないこと。
・投下後に殊更に感想を求めたり、レスが付かないからって自虐したりすると、ツンデレに嫌われます。
・みんなも多少のことは大目に見てスルーしよう

3ほんわか名無しさん2016/12/04(日) 19:46:51.100
おつんでれ

4ほんわか名無しさん2016/12/05(月) 04:13:23.870
いちおつ

5ほんわか名無しさん2016/12/05(月) 13:59:41.340
これは乙じゃなくてポニーテールなんだからねっ!

6ほんわか名無しさん2016/12/06(火) 22:46:53.070
>>1
乙ンデレイドバスター!!

7ほんわか名無しさん2016/12/07(水) 16:17:11.030
いちおつ

8ほんわか名無しさん2016/12/14(水) 09:01:00.650
・カッサカサな男の手を見かねてハンドクリームを塗ってくれるツンデレ
・ぬりゅぬりゅ

9ほんわか名無しさん2016/12/16(金) 01:00:23.670
新スレおつ
物凄く久々に長編保管庫とか見てたら
もう本当に懐かしくて懐かしくて泣きそうになったわ

10ほんわか名無しさん2016/12/18(日) 13:20:47.210
もうあの頃の勢いには戻らないんだなぁ…

11ほんわか名無しさん2016/12/18(日) 19:52:21.900
もはやその頃高校生でも三十路の見えるおっさんだからしゃーない
…なんだかんだで10年もそろそろ見えてきたスレなんだな

12ほんわか名無しさん2016/12/19(月) 00:16:23.800
むしろまだこうしてツンデレ好きが残ってることが嬉しいです

13ほんわか名無しさん2016/12/19(月) 00:21:28.430
キャラ固定されちゃうから名前は云々とか色々あったけど、結局このスレで作った脳内ツンデレが一番好きになっちゃったよ。
あれ? これツンデレか? って自分でも思うことが多々あったけど。

14ほんわか名無しさん2016/12/19(月) 01:03:05.670
もう既にデレッデレの状態で書かれていてもツンツンしてた時期を妄想で補完できるようにツンデレスレに調教されたわ

15ほんわか名無しさん2016/12/19(月) 23:46:17.480
クリスマスまで一週間切ったのに約束を取り付けられないツンデレ

16ほんわか名無しさん2016/12/22(木) 15:49:39.830
>>13
このスレにいるうちに自分がツンデレだと思えれば全部ツンデレなんだという悟りを開いたわ

17ほんわか名無しさん2016/12/22(木) 15:58:33.570
調教されすぎでは

18ほんわか名無しさん2016/12/22(木) 22:08:06.370
クリスマスプレゼントを忘れていたタカシが、苦し紛れに「俺自身がプレゼントだ!」って言ったら

19ほんわか名無しさん2016/12/22(木) 23:52:14.030
5年経って、10年経って、俺がおっさんになっても
俺の脳中の椎水かなみと愉快な仲間達はあの頃と変わらない姿のまま
一緒に泣いたり笑ったり怒ったり照れたりしながら
永遠に終わることのない青春を駆け抜けていくんやな…(郷愁)

20ほんわか名無しさん2016/12/24(土) 11:54:18.310
クリスマスイヴになったのにタカシと一緒に過ごす約束を取り付けられず、部屋でゴロゴロと1人で言い訳ばっかり言っているツンデレと
毎年なんやかんや一緒に過ごしてるので、特に約束はしてないもののツンデレの家に迎えにいくタカシ

21ほんわか名無しさん2016/12/25(日) 22:08:07.820
クリスマスもう終わりだけど、せっかくなので鉄板ネタで5レスの妄想を垂れ流します

221/42016/12/25(日) 22:08:32.160
・毎年友達同士みんなでクリスマスパーティーをしていたのに、今年に限って何故かみんな用事が入っていて、暇なのがツンデレと男だけだったら

『ええーっ!? 友子もダメなの?』
[ごっめーん。その日はどうしてもバイトのシフトが外せなくなっちゃってさ。私として
も稼ぎたいところだし……ってことで、みんなで楽しんでよ]
『みんなでって言っても、一美も双葉も用事あるって言ってんのよ? これで友子まで来
れないってなったら……』
[あらら。そーなんだ。っても今更しょうがないしなあ。まあ、そういうことで]
『そういうことでって、ちょっと!! もしもし? 切るなあっ!!』
『はあ……さすがに女子一人じゃなあ…… まあ、タカシも山田も荒巻も別に今更緊張す
るわけじゃないけど、なんかなあ…… さすがに今年は中止かなあ…… でもそうなると、
ぼっちのクリスマスになるんだよなー…… それもちょっと寂しいかぁ……』
 〜♪
『あれ? タカシからだ。はい。もしもし?』
「ああ。かなみか。あのさ。今年のクリスマスパーティーなんだけどさ――」
『ちょっと聞いてよ!! 友子たち、今年ダメだって言うのよ』
「えっ!? マジで? 友子たち……ってことは、一美とかもか?」
『そーなのよ。あたし以外の女子が全滅でさ。ちょうど、どうしようかなーって思ってたとこ』
「うっそ!? 実はさ。山田と荒巻も今年は何か用事が入っちゃってて…… 山田は親と
一緒に23日から田舎に帰って、荒巻は……何だ。ねーちゃんの結婚相手が来るから、家族
で食事だとかなんとかで……」
『じゃあ、空いてるのってあたしとタカシだけってこと?』
「そうなるよな。ハァ…… さすがに今年はパーティーも中止だな。こりゃ」
『だよね…… 高1からずっと続けて来たのになぁ……』
「まあ。大学入ってバラバラになると、そういう事もあるよな。仕方ねーよ」
『大学入ってって……でも、去年はやったじゃん』
「そりゃまあ、スケジュールが合ったからだろ。つか、今年だって最初はやるつもりだっ
たんだし」

232/42016/12/25(日) 22:09:02.410
『でも何かな〜 こうして違う人生が積み重なっていって、だんだん離れ離れになるのっ
て、やっぱ寂しいよ。しかも何か、あたしだけ取り残されたような感じでさー』
「そんな、これで終わりみたいなこと言うなよ。そりゃまあ、全員が集まるのって難しい
かもしれないけど、まだこれからだって集まるだろ。クリスマスに限らず」
『でも、こうやって少しずつ何かが変わって行っちゃって、何年か経ったら本当に会うの
もまれになっちゃうのかなって……』
「ま、社会人にもなればな。仕事だったり勤め先が遠くになったり、結婚したりってなる
だろうし」
『だよねー…… あーあ。大人になるってヤダなあ……』
「とりあえず、先のことよりも今年のイブだろ。かなみはどうするんだ?」
『さすがに二人だけじゃ中止よね。は〜あ…… うちはこれがあったから、家族のパーティー
はクリスマス当日とか前倒しにしてたけど、今年はイブで、って言おうかな。でもお父さ
んとか用事入れちゃってないかな〜』
「俺なんてぼっちだぜ。ぼっち。だって俺らのパーティーってウチを会場にしてたじゃん。
だから親もそれだったらって、その日は夫婦二人で外食にしちゃってるからさ」
『確か、あたしらが気兼ねなく騒げるようにってしてくれたのよね。あはは。でもイブの
日にぼっちって、本来のアンタのキャラらしくっていいじゃん』
「どんなキャラなんだよ俺って。つか、今までが今までだっただけに寂しいぜこれは」
『お? なんか下には下がいるって思ったらちょっと楽になってきた』
「うるせーよ。てかさ。じゃあかなみも特別用事があるとかじゃないんだよな?」
『そりゃまあ……パーティーの予定が流れちゃったわけだし。今はまだ特には何もないわよ?』
「じゃあさ。その…………うち。こねー?」
『はあ? ちょ、ちょっと待ってよ。何でパーティーも中止なのに、アンタんちに行くわ
け? 意味わかんないんだけど』
「いやその……意味とかあるわけじゃなくて…… 俺も一人だし……かなみも用あるわけ
じゃないんならさって……一人で過ごすなら、まだ二人の方がいいかなって……」
『うー…… なんかさ。その……ちょっと……』
「イヤか?」

243/42016/12/25(日) 22:09:48.160
『え!? い、いやその……イヤってわけじゃないけど…… でもその……二人っきりで
何するわけ?』
「べ、別に何するってわけじゃ…… まあ、飯食って、酒飲んでケーキ食べて……テレビ
見たりゲームしたり……かな? そんな選択肢多いわけじゃないし」
『なにそれ? 女の子誘うのに全く味も素っ気もないメニューじゃない。もうちょっとロ
マンティックなメニューとかないの? くっだらないわね。そんなので行く気になると思っ
てんの?』
「うわ。ダメ出しすげーな…… って言ってもさ。毎年のクリスマスパーティーってこん
なもんじゃね? あとはせいぜいプレゼント交換ってくらいでさ」
『そりゃ、大人数でやる時はそういうもんでしょ? みんなでわいわい騒ぐんだから。で
も分かってんの? アンタ今、クリスマスに女の子を誘ってるのよ? それともまさか、
あたしじゃ女として見れないとか考えてんじゃないでしょうね?』
「いや。そんなことはないけど…… つか、お前は何だよ。その……恋人みたいなもてな
しとか、されたいのかよ?」
『ばっ……!? ななな、何考えてんのよ!! ちちち、違うってば!! あたしはさ。
その……えっと、なんて言うかその……そう!! アンタに男としての心構えを説いただ
けで、別にあたしはそういうおもてなしをされたいなんて、一ミリグラムだって思っちゃ
いないわよ。かかか……勘違いしないでよね。このバカ!!』
「いやいやいや。単にかなみのダメ出しが厳しいからさ。ちょっと疑問に思った……つか、
半分からかってやろうと思っただけで、まさか本気でそんなこと思ってないし」
『うわ。ムカつく…… アンタにからからわれるとかホント最悪だわ。確かに、ちょっと
ムキになって食いつきすぎたわ。別にその……あたしには関係ないことなのに』
「で、どうすんだよ? 来るか? それとも、俺と二人ぼっちは遠慮しとくか?」
『うー…… どうしよっかな…… ていうか、アンタはあたしに来て欲しいの?』
「そりゃそうだろ。でなきゃ誘わないって」
『そっか…… まあ……来て欲しいって言うなら、行ってあげなくもないかな?』
「なんだその微妙な言い回しは。要は来てくれるってことでいいのか?」

254/42016/12/25(日) 22:10:28.100
『まあ……ね。親とはどっちみち25日にはするわけだし、寂しい寂しいタカシ君のために、
ちょっと付き合ってあげてもいいかなって』
「その恩着せがましい言い方…… 何か条件付ける気じゃないだろうな?」
『大したことじゃないわよ。ケーキの準備よろしくってのと、あとプレゼントはあたしよ
り高いの用意しとくこと。で、ちゃんとあたしのニーズに応えられるような物じゃなきゃ
ダメよ。今回はサシでの交換なんだから』
「まあ、そんな程度なら大丈夫かな。てか、他の食い物はどうするんだ? いつもは人数
いるから色々作ってるけど、さすがにピザとかで済ますか?」
『大丈夫でしょ。逆にアンタとあたしだけなんだから。まあ、チキンとかは出来合いのも
のを買うとしても、サラダとかパスタくらいなら作れるわよ。アンタもちゃんと手伝うのよ』
「分かった。じゃあ集合はいつもみたく駅前のスーパーで集まって、食材買出ししてから
俺んちって感じでいいな?」
『うん。時間とかはまた前日とかにメールして』
「了解。じゃあな」
『はいはい。またね』


『ハア……思わぬ展開になっちゃったな。タカシと二人っきりでクリスマスだなんて…… 
ま、タカシだからなぁ…… どーせ、ご飯食べてお酒飲んでケーキ食べてゲームして、って
感じなんだろうけど。でもなんか、ふとしたきっかけで進んだり……なんて。あーっ!!
あたしなに考えてんだろ。バッカみたい。でも……エヘヘ……』

26おまけ2016/12/25(日) 22:10:53.830
〜イブ当日。某所居酒屋店内にて〜

〔あ。来た来た。友ちゃん。来たお〕
[マジで。ちょっと見せなさいってば]
【友子〜。ハイボール、あんただっけ】
[うん。置いといて。お? マジでー。かなみ手料理じゃん。やっる〜]
【ウソ? ホントに? ちょっとあたしにも見せてよ。てか山田はのけ】
〔ひどいお一美ちゃん…… 人を物みたいに……ていうか、隠しカメラのセッティングと
か全部ボクなのに……〕
[うるさい、山田。あんたが一番タカシんちに行ってるんだから仕方ないでしょうが。文
句言わない]
《あのさ。追加で注文取るけど、食べたいものある? とりあえず厚切りベーコンと北海
道じゃがいものバター炒めは頼むけど》
【あ。じゃああたしはこの、もっちもちチーズのきのこグラタン食べたい】
《了解。つか、荒巻も働け!! なに一人でがつがつ食ってんのよ》
〈え? なんかみんな画像に夢中みたいだし、冷めたらもったいないかなって。ていうか、
何で僕ら、ウソの理由まで作ってクリスマスパーティー中止にして、こんな居酒屋でイブ
過ごしてんの?〉
〔うるさいわね。こーでもしないとあの二人は進展しないのよ。傍から見てりゃあ、かな
いがタカシを好きってのバレバレだってのに、一向に素直になろうとしないんだから、こ
うやって背中を押してあげるのも友達ってもんなの〕
[そーかなあ…… 単にネタにして面白がってるだけじゃ……]
【山田うるさい。そんなこと言う奴は飲め!! ジョッキ一気で】
〔一美ちゃん。なみなみ一杯はさすがに辛いお……〕
《ま。あとは二人が適当に盛り上がったところを狙ってあたしらが乱入。一気に既成事実
化しちゃおうってわけよね。ふっふーん。かなみの言い訳が楽しみだわ》
〔どーせどもりまくるわよ。あの子、ウソつく時って絶対そうなんだから〕
[はぁ…… タカシ。ご愁傷様だお]
〈ホント、ご愁傷様だねえ……〉

27ほんわか名無しさん2016/12/25(日) 22:15:03.310
GJ!

28ほんわか名無しさん2016/12/26(月) 22:25:27.320
期待しちゃうツンデレさんほんとかわいいよねGJ

29ほんわか名無しさん2016/12/31(土) 14:40:24.290
今年最後の妄想を3レス投下します

301/32016/12/31(土) 14:40:50.930
・ゴロゴロ旦那と生真面目なツンデレ妻

『ちょっと。邪魔ですタカシさん。そこどいてください。掃除機かける邪魔です』
 ゴツッ!! ゴツッ!!
「あいてっ!! いててて。掃除機のヘッドぶつけるなって、敬子。つか年末最終日まで
終電帰りの旦那にもう少し優しく出来ないのかって」
『どうせ会社の納会で昼から夕方まで飲んでて、それから少し片付けの仕事してただけで
しょう? それでエラそうに忙しい自慢しないでください』
「うぐっ…… ぐうの音も出ないほどの的確な読みだな…… つか、見てきたのかよって
ぐらいだ」
『去年までは同じ会社にいたんですから、そのくらいのことは余裕で想像つきます。とい
うか、いい加減少しは手伝おうという気は見せないのですか? 私が朝から忙しく掃除し
ているというのに、タカシさんと来たら寝る場所を変えるだけで』
「いやー…… 気持ちはなくもないんだけどさ。どうにも体が動かなくて…… 疲労とア
ルコールのせいだな。きっと」
『午前中は勘弁してあげましたけどね。もうお昼ですよ? 窓拭きとお風呂のカビ取り掃
除はタカシさんの役目ですからね』
「マジすか!? 聞いてないけどな。そんな話」
『この間の日曜日にそう割り振ったじゃないですか。そうしたらまかせとけって。その程
度なら簡単に出来るって言ってましたよね』
「あー…… 言ったかなー…… 記憶にないな……」
『そうですか…… そんな数日前のことすら記憶にないと。では、私へのプロポーズの言
葉なんて、とっくに頭の隅からも消え失せてますよね? 私はなかったことにしても、ぜ
んっぜん構わないんですよ?』
「わあっ!? 悪かった。ゴメン。そう言われれば、言ったような記憶もあったかも。今
思い出した。つか、プロポーズの言葉はちゃんと覚えてるよ。敬子をこの先もずっと笑顔
にさせて行きたいから、一緒にいてくれないか?だろ。つか、すぐに離婚を臭わせること
言うのはやめてくれ。怖いから」

312/32016/12/31(土) 14:42:28.630
『はぁ…… まだ本気では考えていませんけどね。こういうだらしない人だってのは、最
初から承知の上で一緒になってますから。とはいえ、お仕事時代の事務処理同様、ちゃん
とやってもらわないと困るんです』
「でもまあ、年末は31日まであるんだしさ。今日でなくたっていいだろ。明日から頑張る
よ。うん」
『明日一日で終わらせられる自信があるんですか? 明後日からは私の実家に行くんです
よ? その準備もあるというのに、大丈夫なんですか?』
「わ、分かった分かった。じゃあさ。そろそろ昼飯だろ? それ食べ終わったらやるよ。
午後半日あれば窓拭きくらい終わるって」
『まだ冬至から大して経ってないから日は短いんですよ? 日没までに出来ますか?』
「半分やって、あと風呂掃除する。で、残りの半分を明日の午前中にすればいいだろ? ど
うだ。この完璧な計画は」
『ハァ…… というか、明日はちゃんと起きれるんですか? また疲れたとか言って、寝
坊するんじゃないんですか? タカシさんってば……その……つ、疲れてるときほど甘え
てくるし…… それに、今日は二人で過ごす年内最終日だし』
「あれ? もしかして、そういうの期待してるのか? ん〜っ?」
『きっ…… 期待なんてしてません!! 危惧してるだけですっ!!』
「そかそか。まあ、そういう展開もあるよな。夫婦なんだし。つか、敬子こそ大丈夫か?
この間みたいに、寝て起きても足腰立たなくなったりしないよな?」
『あれはタカシさんが悪いんじゃないんですかっ!! あ……あんなに激しくしたりする
から…… というか思い出させないでください!! まだお昼なんですよ!! 何てこと
言わせるんですかっ!!』
「自分から振ったくせに」
『私はあくまで心配を口にしただけですっ!! 別にこんなことまで言うつもりはなかっ
たのに…… あううっ……』
「余計なとこまでしゃべっちゃうのが、敬子の可愛いところだよな。ま、そういうご褒美
があるなら、午後からマジで頑張っちゃうかな」
『そんなご褒美約束できません。ていうか、あろうがなかろうがちゃんとやってもらわな
いと困りますから。私一人じゃ、とても手が回りませんから』

323/32016/12/31(土) 14:44:13.640
「分かってる。敬子にウソはつきたくないからな」
『……なにちょっとカッコいい風なこと言ってるんですか。バカ』


「ごちそうさま。敬子のうどんで大分元気も出てきたよ。よし…… やるかなっと」
『今日は少しやる気になってくれてるんですね。いつもだと、ここでおなか一杯だって横
になって、私が叩き起こすパターンだったりするのに』
「……だってさ。ホント、嬉しいなって思ってるから」
『は? 何なんですか急に。気持ち悪い』
「いや。だってさ。去年まではワンルームに一人で暮らしててさ。めんどくせえ、やりた
くないって思ってても誰も掃除してくれるわけでもなくてさ。ダラダラするだけした挙句
に、仕方ねえってちょっと部屋の片づけして流しとかキレイにして、でもおわんねえって
なって、そんな感じだったからさ。こうして一緒に掃除してくれたり、俺の尻叩いて動か
してくれる人がいるのはいいなって、幸せかみ締めてた」
『……なに言ってるんですか。その、やり残した掃除って、私がやりましたよね。なんか、
バスルームとかカビがあったりして』
「うぐっ!! たださ。年末は来れなかったじゃん。忙しくて。それに付き合う前はホン
ト、次の連休まで放置だったりしてたから…… だから、こうして一緒に暮らしてくれる
人に迷惑かけちゃいけないよなって」
『そう思うなら、普段から真面目にやってください。こういう時だけじゃなくて。タカシ
さんっていつも、口と行動が伴ってないんですよ』
「はいはい。じゃ、ま。ご褒美目指して頑張るとしますか」
『だからご褒美なんてありませんってば!! バカッ!!』


ツンデレな嫁とこんな年末が送りたいと真剣に願ってはや11年。
皆もツンデレさんと良いお年を!!

33ほんわか名無しさん2016/12/31(土) 15:28:54.750
おつおつ!よいお年を!

34ほんわか名無しさん2016/12/31(土) 21:51:58.590
年の瀬に相応しい素晴らしい妄想だ!GJ!

皆良いお年を!

35ほんわか名無しさん2017/01/01(日) 00:36:45.930
ダウナーさんにもあけおめ

36ほんわか名無しさん2017/01/01(日) 00:49:15.900
ちな「……あけおめこ」

37ほんわか名無しさん2017/01/01(日) 10:37:49.180
あけましておめでとうございます。

今年もツンデレといちゃいちゃ出来ますように!!

38ほんわか名無しさん2017/01/02(月) 21:13:43.950
なんだかんだ言ってツンデレだよなぁ
今脳内ツンデレ彼女と新年一発目デートを満喫中だぜ!

なお、現実では1人でアニメートにいく模様

39ほんわか名無しさん2017/01/04(水) 18:43:17.940
みなさま明けましておめでとう
携帯からだと書き込めなくて遅くなったけど、やっとツンデレさんにも挨拶が出来たぜ

401/22017/01/04(水) 19:55:29.730
・ツンデレとこたつの場所取り合戦

『……お兄……足……邪魔……伸ばせない……』
「なんだよ。俺だって曲げてるんだ。我慢しろよな」
『……ど真ん中……占領してるくせに……エラそうに…… 少しは……はじに……寄せて
……あったまれない……』
「そんなこともないだろ。ちなみの足だったら細いから、俺のをよけても十分スペースあるだろ」
『……お兄が……ムダに……スペース取り過ぎなの…… 少しは……遠慮しろ……』
「いいじゃん、たまになんだし。普段は一人で広々と使ってるんだろ? 帰省した時くら
い、優遇させてもらったってさ」
『……お正月……お兄……ゴロゴロ……してばかり…… 私は……お母さんの手伝いとか
で……疲れてる…… こたつの場所を求める権利は……あると思うけど……』
「手伝いっつったって、料理作ったりとかしてた訳じゃないじゃん。盛り付けと運ぶのく
らいでさ。ちなみは相変わらず、僅かな功を大げさに語るよな。お母さんが出かけててツッ
コミ役がいないからって、通用すると思ったら大間違いだぞ」
『……むぅ…… それはともかく……場所……空けて…… 半分で……いいから……』
「お断りだな。こたつの場所取りとはすなわち戦場。取りたくば実力で来い」
『……そうまで言うなら…… えい、えい……』
 ゲシゲシ……
「いてっ!! いきなりけっ飛ばしてくるかよ。よし、ちなみがその気なら……」
 コショコショコショ……
『……ふにゃ!? やめっ……くすぐっ……たっ!!』
「ククク…… 忘れたかちなみ。俺がまだ実家暮らしの頃、散々お前にいたずらした足指
テクニックを」
『ううう…… 足の指で……足裏くすぐりされた……忘れてたわけじゃないけど……』
「大学入って以来やってなかったからなー とはいえ、ちなみの弱点はまだまだ、しっか
りと覚えてるぞ」
『……じゃあ……こっちからなら…… ひゃうんっ!?』

412/22017/01/04(水) 19:56:31.320
「甘い、甘いぞちなみ。この狭いコタツの中、逃げ場があると思ったか? こうなったら、
徹底的に追い詰めて、こたつから出るまでやったろうか? 大人しく降参すれば話は別だが」
『……まだ……ここで……撤退したら……お兄が……ますます……調子に乗ってくるし……』
「安心しろよ。降参しても、ちゃんとちなみの場所は空けておくから。ま、端っこだけどな」
『……冗談を…… じゃあ……こっちからなら』
「甘いぜ。ここだな? こしょこしょこしょこしょ……」
『ふぁっ!? あ……やんっ……!!』
「あれ? なんか、感触が……?」
『……お兄……バカ……』
「え? どうかしたのか、ちなみ」
『……バカ兄……今……私の……触っちゃいけない場所……くすぐった……』
「うっそ!? マジでか。ゴメン。そんな奥の方まで足伸ばした覚えなかったはずなのに……」
『お兄……ヒドい……』
「いや、ホントにすまなかったって。事故だから。事故。まさかちなみがそこまで体入れ
てるとか思ってなくて――いてえっ!!」
『……ふふふ……お兄の足……つかまえた』
「いてててて……つか、足で足首キメてくるのかよ。お前の足関節技使い、上達してねーか?」
『……お兄との……再戦もあるかと思って……練習しといた』
「ギブギブギブ!! わかった、降参するよ。ってか、さっきのアレ、演技か。きたねーな」
『スカートの中……足入れられたのは……事実…… 触られたのは……太ももだけど…… 
勝利のためなら……多少の犠牲は……付きもの……』
「分かったよ。ほら、ちなみ。真ん中空けたからさ。つか、今のでまどろみから覚めちまっ
たよ。よいしょっと」
『……ぬふふ……勝利のぬくもり……ぶい……』
「全く……満足そうな顔してからに……」
『(……お兄と……久々に……足合戦……足絡め合って……楽しかった……)』


しかし、この後すぐに母親が帰ってきて、ちなみの勝利は儚いものになったという。


まずは軽く、年明けの妄想を垂れ流してみる

42ほんわか名無しさん2017/01/04(水) 20:53:37.870
次からはもっと全身絡めていこう
GJ!!

43ほんわか名無しさん2017/01/04(水) 21:45:02.110
VRでツンデレさんに会ってきた
間接キスできる日も近そうだ……
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1114420.png.html

44ほんわか名無しさん2017/01/05(木) 01:45:27.350
そうか……
そういう時代がついに来るのか……

45ほんわか名無しさん2017/01/08(日) 10:49:04.670
時代が進んでSAOみたいな世界になったら、VRの世界から帰って来れなくなりそうだな

46ほんわか名無しさん2017/01/14(土) 02:20:24.700
かなみんを横に寝かせて、重なったおっぱいの上にみかんを乗せて『かなみもち』をやりたかった

47ほんわか名無しさん2017/01/14(土) 02:57:12.930
ちなみんのおっぱいに蜜柑を重ねてちなみ餅……あれおっぱいがない

48ほんわか名無しさん2017/01/15(日) 11:03:17.190
前スレで投下しようと思ったけど、明らかに途中で容量オーバーになるので溜めてた妄想行きます

491/62017/01/15(日) 11:04:27.250
お題作成機より:先輩・神社・お尻

「……んぱい…… 先輩っ!!」
『ふぇっ!? や、やだ……っ!! 別府君じゃないの。びっくりさせないでよ、もう……』
「すみません。驚かせるつもりはなかったんですが…… 意外と足、速いですね。結構急
な坂道なのに」
『私は歩き慣れてるから。そもそも何で別府君がこんなところにいるわけ?』
「こっちがそれを聞こうと思って追いかけて来たんですよ。先輩こそ、何でこんな森の中
の獣道みたいな細い脇道に入ってるんですか? ちょうど道に入っていく先輩を見かけた
ので、気になったんですよ」
『……それでわざわざ追いかけてくるって……別府君って、もしかしてストーカー気質が
あるとか?』
「それならわざわざ声掛けたりしませんって。そうじゃなくて、ちょっと、ほら。心配に
なると言うか…… だってこんな、人一人通らないような道に分け入って行くなんて、も
しかしたらってこともあるじゃないですか」
『……まさか、私が死に場所を探してるとか、そんな想像したの?』
「えーと…… まあ。もちろん、そんなことないだろうとは思いましたけど、人って分か
らないじゃないですか。先輩ってあんまり悩み事とか人に相談するタイプじゃないし、自
分の中で抱え込み過ぎちゃって、とか」
『なるほどね。別府君にとっては私って、悩みを抱え込み過ぎてて自殺しちゃうような、
そういう暗いイメージの女の子に見えるんだ』
「いやいやいや。暗いとか言ってないですし。一見、社交的で明るい人だって内側にすご
い闇を抱えてる人も結構いたりするじゃないですか。だからその、見栄えは関係ないですって」
『いいわよ。地味で目立たなくて人付き合いの悪い根暗な女だって正直に言ってもらって
も。別に別府君に言われたところで何とも思わないし』
「一言もそんなこと言ってませんよ。ただ、一言いわせてもらえば、先輩って感情とか自
分の気持ちとかあまり表に出さないから何を考えているのかよく分からないところあるし、
それで、まさかとは思うけどそういう事も、もしかしたらあるかなって考えただけで」
『なるほど、確かに見栄えはともかく、だわ。性格が暗いっていうのは貴方もそう感じて
いるっていうことね。良く分かったわ。フォローになってないフォロー、ありがとう』

502/62017/01/15(日) 11:05:04.580
「うぐ…… というか先輩、もしかして怒ってませんか? さっきは何とも思わないとか
言ってましたけど」
『怒ってないわよ。別に。全然。全く』
「その言い方が怒ってるように聞こえるんですが。というかむしろ逆で、先輩はもう少し
オシャレとかして感情を表に出せば全然可愛くなると思うんですけど。まあ、そうなった
らそれはそれで少し困りますけど」
『何よその言い方。まるで私に可愛くなってもらいたくないみたいね。別に貴方の言葉に
乗って可愛くなる努力をする気なんてないけど。ただ、何が困るのかだけは教えてもらえ
るかしら?』
「そりゃ、先輩がモテるようになったら、話せる機会が激減しますからね。こうやって偶
然の出会いがあっても、横に男がいたんじゃシャレにならないですし」
『バカバカしいわ。私は別に、別府君と話す機会なんて持ちたくもないし。あなたが勝手
にしゃべりかけてくるだけで。もっとも、仮にオシャレしたり愛想良くしたからって、他
の男子からモテるとかありえないけど』
「もう少し自信持ってくださいって。むしろ人付き合いが苦手だから自然と地味を装って
るんでしょうけど、本当は先輩、美人なんですから」
『いい加減にしなさいよ。付き合ってられないわ本当に。こんなところで時間を無駄にし
たくないから、もう私は行くわよ。それじゃ』
「待ってくださいって。あ、いや。待たなくてもいいですけど、最初の質問にはちゃんと
答えてくださいって」
『最初の質問? そんなのあったかしら?』
「ありましたよ。何でこんな、人が誰も立ち入らないような細い脇道に入って行くのかっ
て。そこから自殺だなんだのって話になって脱線したんじゃないですか」
『一応言っておくけど、人が誰も立ち入らないなんてことはないわよ。それだったら、こ
んなはっきりとした道が残る訳ないじゃない。ちゃんと毎日通る人がいるから、道になっ
ているのよ。そもそも道の入り口はちゃんと階段になってたでしょ』
「こんな場所に毎日分け入って行く人、いるんですか? てか、一体この先に何があるん
ですか? まさかこの先に、謎の空間に繋がる入り口があって、そこから別世界にいけるとか?」
『それならそれで面白いけどね。世の中、そこまで不思議には出来てないわ』

513/62017/01/15(日) 11:05:49.910
「あれ? てっきりバカにされるかと思ってたけど、そんなふうに乗ってくるなんて意外
ですね。先輩ってもしかして中二設定好きですか?」
『中二って言わないでよ。確かにファンタジーの類は好きだけどね。だからこそ、そうい
う揶揄はあまり好きじゃないの』
「今時、結構当たり前に使ってると思いますけどね。まあ、いいや。ムキになって議論す
るほどじゃないし。で、先輩はどこに向かってるんですか? 単なる近道だ、なんてこと
だったら逆に拍子抜けですけど」
『ムダ話してる間に、もう答えが見えてきちゃったわよ。あれ、分かる?』
「あれって……鳥居ですよね。てことは、この先神社とかですか」
『正解よ。ここまで来たら、引き返すほうが神様に失礼でしょうし、別府君もお参りして
いきなさい』
「俺、無心論者だから神頼みとかあんましないんだけどな。でもまあ、先輩とデートだと
思えば、楽しくもなるか」
『ばっ……!? 誰が別府君なんかとデートするのよ!! 冗談言わないでってば!!』
「へえ。クールな先輩も動揺とかするんですね。今の、かなり可愛かったですよ」
『ふざけないで。誰が動揺なんてしたのよ。今のは単に嫌がっただけだってば』
「そうですか? ただ嫌がるだけだったら多分先輩なら、一人で勝手にそう思っていなさ
い。私は微塵もそんなつもりはないけど、って冷静にぶった切りそうですけど」
『うるさいわね。人の声真似して言わないで。別府君の声だと、より頭に来るわ』
「上手でしょう? 先輩の真似。結構周りからもウケるんですよ。先輩の前では初披露ですけど」
『なるほどね。そうやって人をダシにして、他の女子からモテようってしてるわけ。最低
ね。別府君って』
「何言ってるんですか。一言もそんなこと言ってないでしょう。そりゃ、ウケるのは嬉し
いですけど、別に女子の気を引きたいからってわけじゃないですよ。むしろ、それだけ私
のこと見てくれてるんだ、ってポジティブにとらえて欲しいものですけど」
『そんなこと思うわけないでしょう。それのどこがポジティブなのよ。気持ち悪い。むし
ろ本当にそうだとしたら、ストーカーとして告発するわ』
「手厳しいな先輩は。でもまあ、安心してください。そんな先輩に気持ち悪がられるよう
なことはしてませんよ。まだ、先輩の家も知りませんし」

524/62017/01/15(日) 11:06:18.930
『まだ!? これから知ろうとするつもりでもあるの?』
「それは、先輩から家に誘ってもらったら分かるかなっていうことですけど」
『ハァ…… バカバカしい。そんな日は永遠に来ないわよ』
「さて。どうですかね?」
『来ないに決まってるでしょ!! 意味ありげな目で人の顔を窺わないでよね。付き合っ
てられないわ。本当に』
「ああ。待ってください。せっかくのお誘いだし、俺も一緒にお参りしていきますよ」
『一応言っとくけどね。貴方を誘ったのは、神様の面前まで来て素通りで帰らせるのも失
礼かと思ったからで、それ以上の他意は何もないわ。別府君と一緒にお参りしたいなんて、
心の片隅にも思ったことないから、誤解しないようにね』
「そこまで思い上がってはいませんよ。そうありたいとは思ってますけどね。むしろ、そ
こまで否定されると逆に何かあんのかなーって期待しちゃったり」
『んなっ!? 何もないってば!! 正直、過剰なポジティブは聞いていても気持ち悪い
だけよ。こっちはまるで楽しくないんだからね。ただただ迷惑なだけ』
「俺としては、先輩には逆に少しでも前向きな考えを持って欲しいなって思いますけどねっ、
ととと。危うく素通りするところだった。ヤバいヤバい」
 ペコリ。
『へえ…… 意外だわ』
「はい? 何がですか?』
『別府君が鳥居の前でお辞儀してたから。貴方がそんな作法知ってるとは思ってなくて。
そもそも貴方、自分で無神論者だって言ってたし』
「うち、ばーちゃんがそういうの詳しくて。子供の頃から初詣とか行くと色々うるさく言
われたんですよ。手水とか、拝礼の仕方とかね。まあ俺は出来る範囲で適当にやってますけど」
『そうなんだ。おばあ様ってまだ元気なの』
「ええ。今でも年に一度は伊勢に行ってますし、御朱印帳持ってお参りに行っては集めて
回ったりしてるけどな」
『そっか。じゃあまだまだ元気ね』
「ええ。ありゃ、百歳までは確実に生きるなって感じですね。体動かすことが健康の源だっ
て、運動も欠かしませんし。けど、それが何か?」

535/62017/01/15(日) 11:06:42.250
『え? ううん。なんでもない。故人の思い出話とかさせちゃったんだったら、ちょっと
申し訳ないなって思っただけ』
「なんだ。そんなことなら全然気にしなくていいですよ。別にばーちゃんっ子って訳でも
ないですし。まあ、仮に亡くなった後だとしても、こうして思い出話してくれる方がいい
んじゃないですかね」
『亡くなった人を他人が話のネタとして振るのは、無意識とはいえ一般的な尺度で考えて
失礼じゃないかなって思っただけよ。べ、別にそこまで気にしてたわけじゃないし』
「何をムキになって否定してるんですか? ちょっとよく分からないんですが……」
『な、なんでもないわよ。ほら。さっさと手水済ませて参拝するわよ。別府君といつまで
もムダ話してるほど暇じゃないんだから』
「あれ? 先輩、この後なにか用事あるんですか。残念だな。もし良かったら一緒にお茶
でも飲みに行こうかと思ってたのに」
『えっ!?』
「どうしたんですか? そんな驚いた顔して」
『ななな……なんでもないわよ。別府君が私を誘うなんて意外だったからってだけで……
だって今までそんなことなかったし』
「二人きりになる機会自体がそんななかったじゃないですか。部室には大抵他の子もいる
し、二人だけになりそうになると、先輩も用があるとかでどっか行っちゃうし」
『実際に用があったのよ。3年生ともなると色々と忙しいの。まあ、用がなくても貴方から
の誘いなんて受けないけど』
「またそんなつれないことを。後輩とお茶飲むくらいいいじゃないですか。もう二十歳も
超えてるのに男に免疫つけとかないと、社会に出てから色々と苦労しますよ」
『うるさいわね!! 貴方にそんな説教されたくないわ』
 パシャッ!!
「ところで、大丈夫なんですか? この手水舎の水。誰もいないみたいですけど、溜めっ
ぱなしで放置されてるとかじゃないですよね?」
『大丈夫よ。一応、ちゃんと宮司さんもいる神社だから手入れはされてるわ。もっとも、
他に神主さんとか巫女さん雇ってるほどじゃないし、宮司さん自体、何か副業でもやって
るのか、いないことも多いけどね。だからお守り買ったり、御朱印帳つけたりってのは期
待しないほうがいいわ』

546/62017/01/15(日) 11:09:20.190
 パシャパシャ……
「なるほど。しかし、なんだって先輩はこんな誰も参拝しないような神社に来ようなんて
思ったんですか?」
『誰もってことはないわよ。たまに地元のお年寄りとか見かけるし。隣町にもっと大きな
神社があるせいで、お祭り以外でわざわざ来る人はいないけどね。でも、こういう静かな
ところの方が、落ち着いてお参りできるでしょ』
「まあ、人がいっぱい来る神社よりか願いが叶いそうな気はしますね。こんな末社まで参
拝に来るなんて感心な娘だなって」
『そ……そんな現金な理由で来てないわよ。あとね。ここ、穂乃神社っていって平安時代
からある由緒正しい神社だから、末社なんて言ったら神様に怒られるわよ』
「げっ!? お参りついでにちゃんと謝っとかないとな。ばーちゃん言ってたけど、神様
と相性が悪いと神域に入っただけで具合悪くなることもあるって」
『それが賢明ね。まあ、私には関係ないけれどね』
「俺は困りますよ。こうやってまた、先輩と参拝に来れなくなるのは残念ですからね」
『なっ……バ、バカなこと言わないでよ。私は別府君なんて誘う気は全くないんだから。
今回たまたまだったってだけで』
「誘われなくても一人で来ようかなと。そうすれば、こうして偶然先輩と会えるかもしれ
ませんし」
『やっ……やっぱり貴方、ストーカーじゃない。この変態』
「厳しいなあ。それじゃ、偶然にならないでしょ。それに俺は、こっそり後つけるなんて
真似は絶対出来ませんよ。先輩見かけた瞬間、声掛けちゃいますからね。それに会うだけ
なら毎日部室で会えますし。たまたま……ってのがいいかなって」
『私はむしろ迷惑よ。今だってこうして、お参りの邪魔されてるし』
「別に邪魔をしてるつもりはないですよ。じゃあ、まずは先輩からどうぞ」


多分あと2回ほど続く


今年はもうちょっとスレの書き込みが増えて欲しいです
SSとか絵は無理でも、アニメやマンガやリアルっぽいネタなんかの雑談とか懐かしいので

55ほんわか名無しさん2017/01/15(日) 11:22:17.350
おつおつ!先輩かなみんええなぁ……ここからのデレに期待

リアツン懐かしいね。みんな今でも健やかなツンデレライフを送ってるのかな

56ほんわか名無しさん2017/01/19(木) 00:56:31.930
お題
つ・ツンデレと哲学について語ってみたら

57ほんわか名無しさん2017/01/21(土) 10:57:09.930
ちょっと気分が落ち込んでる時は、尊さんに罵られつつ頭を抱え込まれてなでなでされたい

58ほんわか名無しさん2017/01/22(日) 10:13:42.730
>>49-54の続き、投下します

591/72017/01/22(日) 10:14:36.840
お題作成機より:先輩・神社・お尻〜その2〜

『言われなくたってするわよ。けど、何で貴方が隣に並ぶわけ? これじゃあまるで、一
緒にお参りしてるみたいじゃない』
「いいじゃないですか。さあ、ほら。鈴を鳴らして」
『私の方が作法くらい知ってるわよ。鈴を鳴らす前に軽くお辞儀するのがちゃんとしたや
り方だってのもね』
 ガラン……ガラン……
 パン、パン……
「じゃ、まあ俺も……」
 ガラン……ガラン……
 パン、パン……
「よし、と。先輩は何をお祈りしたんですか?」
『終わるなり聞かないでよ。教えるわけないでしょう』
「そうですか? ちなみに俺のお祈りは、先輩がもう少し俺に心を開いてくれますようにって」
『んなっ!? ななな……何でそんなバカなお祈りしてるのよ!! 神様に対してくだら
なさすぎると思わないの?』
「全然思いません。むしろ、大真面目です。先輩と仲良くなれるよう色々と努力はしてる
んですけどね。最後のところは先輩次第なんで、これは神頼みしかないかなと」
『バカバカしい。冗談じゃないわ。なんで私が別府君に心を開かなくちゃならないのよ。
それでなくても十分うっとうしいくらいに相手させられてるのに』
「別に、開かなくちゃならないわけじゃないですよ。俺が勝手にそう願っているだけで、
強制力なんて全然ないですから」
『そんなの当たり前でしょう。ハァ…… 横でまさかそんなお願いされてるなんてね。そ
うと知っていたなら、今日のお祈りは、別府君と会話をする機会が出来る限り減りますよ
うに、とでもしておけばよかったわ。もう済ませちゃったけど』
「ひどいな、先輩は。普通、後輩に慕われるって喜ぶべきことだと思うんですけど」
『普通の後輩なら、ね。別府君は別。うっとうしいから』
「じゃあ、話しかけても先輩にうっとうしがられないように頑張って改善します」

602/72017/01/22(日) 10:15:14.030
『一番いいのは、話しかけてこないことだと思うけど。そうすれば私も心穏やかに一日が
過ごせるのに』
「それじゃあつまらないでしょう。お互いに」
『バカ言わないでよ。何でお互いに、なのよ。私は別府君に話しかけられなくとも全然平気だわ』
「なるほど。まあそれはそうとして、先輩。今日は何をお願いしたんですか?」
『……何なの? その余裕ぶった態度。ちょっと気に入らないわね』
「だって、今の先輩からはそれ以上の好意は引き出せそうにありませんし。それよりも俺
は、俺との会話の機会を減らして欲しいという以外の、先輩のお願いに興味がありますね」
『さっきも言ったでしょう。教えるわけないって』
「俺は教えましたけど?」
『それは貴方が勝手に言ったことじゃない。私の知ったことじゃないわ』
「なるほど。じゃあ、先輩のお願いは、男の後輩に対しては聞かれても教えられないよう
な内容だと。そう解釈していいですね?」
『なんでそうなるのよ。それじゃあ私がまるで、人に言えない恥ずかしいお願いをしたみ
たいじゃない』
「だって、少なくとも俺には言えないわけでしょう? てことは、先輩にとっては口に出
すのが嫌な内容なのかなって」
『そっ……そんな恥ずかしいお願いなんてしてないわよ!! それはその、内容の問題じゃ
なくて、ただ私は個人的なお祈りを人に言う必要はないかなって思っただけで』
「自発的には、まあそうでしょうけど。ただ、聞かれても頑なに拒むほどの理由があると
すれば、どうしても内容に起因するのかなって考えてしまうわけで」
『だから内容は違うってば!! 私じゃなかったら……そんな……隠すほどでもない、普
通の内容よ』
「だったら、別にもう、言っちゃっても良くないですか? これ以上は隠せば隠すほど、
ドツボにはまっていくだけだと思いますけど」
『う…… ここまで来ると、隠してた分だけ内容聞いたらガッカリ、なんてことになるん
じゃないの?』
「気にすることないですよ。先輩から得られた言葉は、全部美味しくいただくことにして
ますから」
『そういうこと言わないでってば!! また言いにくくなるじゃない』

613/72017/01/22(日) 10:16:07.640
「ということは、ようやく教える気持ちの方が強くなってきたってことですね。大丈夫で
すよ。ガッカリもしないし、バカにしたりネタにしたりもしませんから。ほら」
『……本当に、ごくごく普通の、お願いよ。えっと……その……就職活動頑張りますから、
私にとって良い企業に巡り合えますようにって……』
「なんでそんな、途切れ途切れなんですか。まるで、後から取ってつけたようにも聞こえ
るんですけど。本当にしたお願いは言えないからって」
『そっ……そんなわけないでしょ!! なんでそこで疑うのよ!! い、意味わかんない!!』
「いや。なんか考えながら言ってるように聞こえたので。ただ、半分は俺の願望も混じっ
てますけど」
『言葉にするのに、簡潔な言い回しを選んだからだけよ!! あと、半分は願望交じりっ
て何!? ちょっと気持ち悪いんだけど』
「いや。願望といっても、俺に都合のいいことじゃなくて、先輩がこんなお願いこっそり
してたら可愛いなって想像してたのがあって。まあさすがにそれは言えませんけど」
『言わなくていいわよそんなの!! ああもう!! とにかく、言うだけは言ったから義
務は果たしたわよ。もう、さっさとおみくじ引いて帰るから』
「おみくじですか。ここは、百円入れて箱に手を入れて引くだけのですよね。俺、巫女さ
んが持った木の入れ物に入った棒を引くのが好きなんですけど」
『いやらしいわね。どうせ目当ては巫女さんでしょ? 神様の目の前でアルバイトとはい
えお仕えしてる巫女さんを不埒な視線で穢したりしたら、バチが当たるわよ』
「そうですね。でも、先輩が巫女服着ておみくじやってくれたりしたら、バチなんていく
ら当たっても構わないかも」
『バッ…… バカじゃないのホントに。何で私なのよ。意味が全く分からないわ。私なん
かが巫女服着たって……その……地味で暗いイメージにしかならないわよ』
「今の先輩の取り乱しっぷり見てたら、全くそんなことはないと思いますけどね。照れて
る姿に巫女服を合わせて想像するだけでめっちゃ可愛いですよ」
『からかわないでよ。貴方のそういうところが一番嫌いなの。私が大人しいからイジりや
すいと思って。大体、取り乱してなんかいないわよ。怒ってはいるけどね』

624/72017/01/22(日) 10:16:58.540
「大人しいから、じゃなくて反応が可愛いから、なんですけどね。先輩ってめっちゃ磨け
ば光ると思うんですけど」
『そんなことないってば!! 勘違いさせて笑う気なら勘弁だわ。もう構わないで』
 ゴトン。
「先輩。おみくじどうでした?」
『まだお金入れただけよ。引くのはこれから。大体構わないでって言ったのになんで絡ん
でくるのよ』
「そりゃあ、先輩が引いたおみくじがなんだったのか気になるからですよ」
『貴方には絶対に見せないから。私は向こうのベンチで座って見るけどついて来ないでね。
後ろから覗き込むとか、絶対にしないで』
「そんなコソコソするような真似はしませんけど、それより先輩……」
『もう構わないでって言ってるでしょ? これ以上貴方とは口を利きたくないの』
 ガサガサ……
『よしっ……と。それじゃあね、別府君。貴方は引いたらさっさと帰りなさい。お疲れ様』


「意固地な人だなあ…… まあそれが可愛いんだけど。それより、大丈夫かな? 昨べ結
構雨が降ったけど、ベンチって濡れてるんじゃ…… まあ普通は気付くと思うけど……」
「さてと。俺も引くか…… えいっ、と。どれどれ……お? 中吉だ。恋愛運は……強く
行かないほうが吉、か。なるほど……」
『ひゃんっっっ!? つめたっ!!』
「――っと!! 先輩どうしました!?」
『やだ、もう…… なんで濡れてるのよ?』
「なんでって、明け方まで雨、降ってたじゃないですか。木のベンチならまだ乾いてなく
て当然だと思うんですけど……気付かなかったんですか?」
『う、あ…… 考え事してたから……』
「周りの状況に気付かないくらい没頭してたんですか? 普段落ち着いてる先輩からすれ
ば珍しいですね」
『うるさいわね!! そもそも別府君のせいでこんなことになってるのに、冷静にコメン
トしないでよ』

635/72017/01/22(日) 10:17:40.300
「え? 俺のせいって……なんでですか?」
『え……? な、なんでってことは……えっと、その……貴方がさっきから私を苛立たせ
てばかりいるから……というか、私の身に不幸がかかる時は全部貴方が悪いの!!』
「むちゃくちゃな理論だなぁ…… 先輩って俺絡みの時だけ急に理不尽な発言増えたりしません?」
『理不尽なんかじゃないわ。貴方のせいであることに間違いはないの。例え貴方が身に覚
えがないとしてもね』
「そういうのを理不尽って言うんじゃないんですか? せめて何で俺のせいなのか、その
理由を言ってくれないと」
『い……言えるわけないでしょ。そこは深く追求しないでよ。お願いだから』
「そんな怒ってるんだか泣きそうなんだかわからない顔で懇願しないでくださいよ。全く
……それじゃ、聞きたくても聞けないって」
『ダメだってば!! 聞いちゃ!!』
「分かりましたよ。ここで聞いたら本当に意地悪になりそうだからやめておきます。それ
より、大丈夫なんですか? お尻、濡れちゃって」
『全然大丈夫じゃないわよ。下着まで染みちゃって…… 別府君のせいなんだから何とか
してよね』
「俺のせいって言われてもなあ…… タオルならありますけど、拭きます?」
『んなっ……!? なにドサクサに紛れて人のお尻触ろうとしているのよ!! 変態!!』
「いやいやいや。拭くのは先輩が自分でに決まってるじゃないですか。そこ、普通誤解しますか?」
『うっ…… べ、別府君って存在自体がイヤらしいから勘違いしたって仕方ないじゃない。
そこはちゃんと貸しますからって言ってくれないと』
「はいはい。おみくじで凶が出るのも神様にバチを当てられるのもみんな俺のせいですか。
やれやれ……」
『何で知ってるの!? 私のおみくじの結果が凶だったって』
「あれ? ガチでそうだったんですか? いや。良くないことを神社的な例えで言ってみ
ただけなんですけど」
『えっ!? あ、あれ? そうなの…… 私てっきり……って、それじゃ完全に余計なこ
と言っちゃったんじゃない!!』
「そっかー 先輩、凶だったんですか。意外だなあ。先輩のイメージからだと地味に吉と
かだと思ってたんだけど。一体どんな内容だったんですか?」

646/72017/01/22(日) 10:18:31.360
『教えるわけないでしょ!! 何でわざわざ悪い結果を伝えて恥晒すような真似しなくちゃ
いけないのよ。あと地味って言わないで!! 自分から振ってないのに言われるのは何か
傷つくから!!』
「普通、友達とかとお参り行ったらおみくじ見せ合ってネタにしますよ。大体、くじなん
だから凶が出ても先輩の恥とか関係ないですって。ほら、俺のおみくじ見ます? 俺もま
あ、日頃の行いのせいか、大概良くはないですけど」
『別府君も凶だったの? ちょっと見せてよ』
「はい。ま、こんなもんだろうとは思ってましたけどね」
『どれ……? って、中吉じゃないのこれ!? ズルい!! 私より全然いいじゃない。
だましたのね?』
「だましてなんてませんよ。ほら。恋愛のところを見てください。無理強いすると逃げる。
時期を待つべしって。俺、こういうの苦手なんですよね」
『貴方の性格を神様もちゃんと見ていて忠告してくれてるのよ。待ち人は来るし失せ物は
出るし、全然いいじゃない。学問だって努力すれば成果は実るって…… ウソつき。散々
だったような顔してたくせに』
「乗っかっちゃった先輩が悪いんですよ。はい。おみくじ、見せてください」
『こんなの反則だわ。この卑怯者。そもそも、貴方は勝手に見せたんじゃない。私、見せ
るなんて一言も言ってないわ』
「このタオルあげますから、俺が先輩のおみくじ見てる間にお尻、拭いてください。でな
いと俺、我慢出来ずに先輩がお尻拭いてる姿を見ちゃいそうで」
『今度はのぞきを予告して脅迫するつもりなの? どこまで悪人なのよ、貴方って』
「そこまで大げさなことじゃないと思うんですけど…… リスク回避だとでも思っておけ
ばいいんですよ。おみくじで気をそらしておけば、変態の視線から免れられるって」
『自分で自分のことを変態だって自覚してるところが始末に終えないわね。こういう開き
直ってる人が一番危険なのよ』
「いえ。今のは先輩の思考レベルで例えただけで、別に俺自身はそこまで堕ちたとは思っ
てないんですが……」

657/72017/01/22(日) 10:19:51.330
『もういいわよ。あんまり意固地になって見せない見せないってやってたら、どんだけ酷
い内容のおみくじ引いたんだろうって部内で噂されても困るし、それに私はハンカチしか
持ってないから、タオル貸してもらわないと、どうしようもないしね。だから、ほら。い
いから好きに見なさい』
「最後は意外とあっさり引きましたね。たかがおみくじの結果くらいでムキになるのがバ
カバカしいってやっと気付きましたか」
『バカバカしい……って…… まあいいわ。どのみち、下の入り口で貴方に会ったことで、
すでに私の運命は決まっていたのよ。天災だと思って諦めるしかないわ』
「俺は貧乏神か何かかよ……」
『じゃあ、私は社務所の裏側で拭いてくるから、別府君はここにいてね』
「了解です。それじゃ、先輩が今どれだけ悪い運勢の元にあるのか、しっかりと見ておきますよ」
『やめてよそんなの。そんなじっくり見るものでもないでしょ>さらっと流し見してくれ
ればそれでいいんだから』


あと一回続きます。

66ほんわか名無しさん2017/01/29(日) 10:32:59.770
このまんま続き行きます

671/42017/01/29(日) 10:34:46.090
お題作成機より:先輩・神社・お尻〜その3〜

「いやー。確かにこりゃ、凶だわ。嵐の中を彷徨っていて周囲に見える光はない、と。失
せ物も出ず。病気は長く患う。待ち人来ない。転居控えるべし、か。先輩の恋愛運は……
と。時期悪し。焦らず待てば意外な出会いの可能性も、か。その意外な出会いが俺ってこ
とは……ないかなぁ……」
『なに、人のおみくじ読みながらブツブツ呟いているのよ。気持ち悪い』
「わあっ!? せ、先輩。今の、聞いてました?」
『何か呟いてるのは聞こえたけどね。意味までは聞き取れてないわよ。どうせ、聞いたと
ころでいい気分になるものでもないでしょうし』
「確かにそうですね。見事なまでに凶だなあ、と感心していたところで」
『悪かったわね。どうせ私は大荒れの風雨の中、死ぬ運命を待つしかないだけの身なのよ』
「まあまあ。そこまで悪く考えなくても。おみくじにだって、神の声にじっと耳を傾け正
しい行いをすれば日の差す方向も見えてくるって書いてあるじゃないですか」
『どうも私はその逆を行ってるようだわ。お尻だって濡れちゃったし』
「それは先輩の不注意で、不運とは関係ないでしょ。で、どうでした? 少しは拭いてマ
シになりました?」
『悪かったわね。不注意な間抜け女で。ええ。機転の効く貴方のおかげで、大分マシになっ
たわよ。ありがとう』
「ひがみ成分が多過ぎて、感謝してるって感じじゃないですね。まあ、役に立ったのなら
それに越したことはないですけど」
『でも、まだやっぱり濡れてて、ちょっとした動作でも張り付いて気持ち悪いし、それに
スカートの染みが目立ってるんじゃないかって気になって……』
「どれ? 俺が確認してみましょうか?」
『えっ!? やっ……やだ!! じっくり見るつもりじゃないでしょうね?』
「通りすがりの人が見て気にするかどうかのレベルでしょう。パッと確認するだけですよ。
じっくり見なきゃ分からないレベルなら、大して気にする必要もないってことですし」
『そ、そうね。乾くまでここで待つわけにもいかないし…… じゃあ、ちょっとだけ振り
向いてみるから』

682/42017/01/29(日) 10:35:51.750
 クルッ……
『……っと……ど、どう?』
「ああ。やっぱりまだ濡れてるのは分かりますね。横からだとそうでもないと思いますけ
ど、真後ろからならはっきりと分かっちゃうくらい」
『やっ……やっぱり!? どうしよう……こんなんじゃ恥ずかしく歩けないわよ。どうし
てくれるの?』
「へ……? いや。どうしてくれるのって言われても……」
『だってこうなったのって貴方のせいじゃない。何とかしてくれてないと困るわ』
「俺のせいですか? さすがにこれは、どう考えても先輩の自爆じゃないかと思うんですが……」
『う、うるさいわね。そもそも参道の入り口で別府君が声掛けなければ、こんな事態にな
らなかったもの。だから別府君のせいなの!!』
「そこまでムキになって主張することですか? あそこで会ったのは偶然だし、先輩に会っ
た以上は声を掛けないという選択肢はないし、これは俺のせいというより巡り会わせみた
いなもので。そもそも先輩、凶だし」
『それを言わないでよ!! 私が凶を引いたのだって貴方のせいでしょ? 絶対あそこで
運命が変わったのよきっと!!』
「うーん…… 自分からこうは言いたくないですけど、そもそも運勢が悪いから、偶然俺
に会ったっていう考えもあるかと思うんですが……」
『ううっ…… い、いいわよ。どうせ私は不幸を背中に背負って歩いてるような女だって
言いたいんでしょ? 確かに性格も暗いし見た目も地味だし、他の人からはそう見えるっ
ていうのは自覚してるわよ。悪かったわね。不幸な女のクセに、それを人のせいにして』
「ヤケにならないでくださいってば。先輩の悪いところは、そういうネガティブ思考に陥
りやすいことで、性格は物静かですけどよく笑顔は見せてるじゃないですか。それに、見
た目だって地味可愛い系ですし」
『別府君にフォローされたって嬉しくないわよ。お調子者だから、すぐ女子にお世辞言う
し。今のだってうわべだけだってすぐ分かっちゃうし』
「俺、お世辞なんて言ったことないですよ。見た感想そのまま伝えてるだけで。そもそも、
暗い性格だったら俺相手にこんなにムキになって怒ったりしないし、可愛いって他の女子
だって言ってるじゃないですか」

693/42017/01/29(日) 10:37:02.990
『……同性なのに言うのはあれだけど、女子の可愛いって言うのは当てにならないわよ。
それで勘違いなんてしたら、絶対陰で笑われるだけだし』
「先輩はもうちょっと信じたほうがいいですって。それこそ陰で言われてることです。た
またま凶を引いたからって、そこまでネガティブになる必要はないでしょうに」
『じゃあ、やっぱり別府君のせいなんだわ。もともとの運勢が悪くないんなら、貴方がそ
の元凶よ』
「俺が関係無い、っていう選択肢はないんですね。でも、責任取れって言われてもなあ…… 
替えのスカートでも買ってきますか? でも俺、先輩のサイズ分かりませんけど」
『そんなことしてたら、ゼミに間に合わなくなっちゃうじゃない。って、もうこんな時間
なの!? そろそろ学校行かないと間に合わないわ』
「じゃあもう、バッグで隠すとかしかないんじゃないですか? すぐに行かなくちゃなら
ないなら、乾くまで待つっていうのも当然無理でしょうし」
『こんなトートバッグでお尻隠してたら却って目立つじゃない…… 絶対変に思われるわ』
「他に隠す方法ねえ…… うーん………… あとは、そうですねえ…… 俺が先輩の後ろ
に立って視界をさえぎるっていうのは?」
『そっ……そんなのダメに決まってるでしょう!! 背後に貴方みたいなのがピッタリくっ
ついてたらそれこそ変に思われるわ。バッグなんかの比じゃないわよ。何考えてるの!?』
「いやいや。後ろからの視界をさえぎる程度でいいんですから、2〜3メートルは離れますって」
『……でもそれじゃあ、横から見たら分かっちゃうじゃない。意味ないわよ』
「確かに、万全とは言えませんね。けど、歩道は狭いから後ろをずっとついて歩いてるん
じゃなきゃ、そうそうは気付かれないと思いますけど。追い抜いていく人が抜き際にわざ
わざ先輩のお尻を見るんじゃなきゃ。それだって、ちょっと肩にかけたバッグをちょっと
後ろ目に下げておけば少しはさえぎれるでしょうし」
『でも、キャンパスに入ったら周りから見えるじゃない。知り合いにでも見られたら死ぬわ』
「真横からじゃそんなに目立たないから大丈夫ですよ。その頃までには多少乾くでしょうし」

704/42017/01/29(日) 10:38:52.440
『何か他に方法ないの? 絶対誰にもばれないっていう…… 別府君の言う方法だと確か
に他のもので隠すよりは目立たないし、後ろ歩いてる人に気付いて変に思われるってこと
はないけど、でもやっぱり完璧じゃないもの』
「それがあれば苦労しませんよ。むしろこれでダメなら万策尽きたって感じです。どうし
ます? もうホントに時間なくなりますよ」
『あう…… もう仕方ないわ。キャンパスについたら走って教室に行くしかないわね。ど
のみち急がないといけないから、それまでお願いするしかないわ』
「じゃあ決まりですね。安心してください。後ろの視界は、しっかりとガードして見せますから」
『安心なんて出来るわけないでしょ。でもこれ以上出来ることが思い浮かばないから仕方
なく頼むんだからね。言う以上はしっかりと守ってよ』
「了解です。ただ、一つ事前に了承しておいて欲しいことがあるんですけど……」
『何よ? 変にもったいぶらずに早く言って。もうこれ以上時間取れないんだから』
「分かりました。多分先輩、気付いてないと思うんですけど…… この方法だと、俺にだ
けはずっとお尻見られながら歩くってことになるんですけど、それは仕方ないってことで
いいですよね?」
『…………ふぇっ!!!! え……ええええええっ!!!! いやあっ!! ダメそれは
絶対!! 見ちゃダメ!! 目隠しして歩いて!!』
「目隠ししてとかどうやって歩くんですか。まあ、出来る限り視線をそらすよう努力はし
ますと言っておきますけど、そんなの口約束でしかありませんからね……」
『へっ……変態!! バカ!! 最低!! 最初からそれ目的で提案したんでしょ!!』
「そんなつもりじゃないですってば。それとも、もう諦めてゼミ欠席しますか?」
『出来るわけないでしょ!! 今まで一度も遅刻欠席してないのに』
「じゃあもう諦めてくださいよ。それにどのみち、さっきバッチリ確認させたでしょ? 一
度じっくりと見られたんだから、毒を食らわば皿までってやつですよ」
『ううううう…… ホント最低の展開だわ。凶も凶。大凶よ!!』
「どうやら、納得せざるを得ないって理解してくれたみたいですね。じゃあ行きましょう
か。先輩の早足なら、余裕でついて行けますから急いでも大丈夫ですよ」

715/4(ちょっとはみ出ました)2017/01/29(日) 10:40:46.610
『何が大丈夫よ!! 全然大丈夫じゃないわよ…… こんな罰ゲームみたいな展開食らわ
せるなんて、もう二度とここでお参りしないわ!!』

しかし一ヵ月後、またしても彼女はここで別府と出会うことになるのであった。



終わりです。
去年書いて投下してないSSがまだ結構ある件
しかし、全部投下すると、スレ占拠するみたいで忍びないわけだが。

72ほんわか名無しさん2017/01/29(日) 13:33:43.320
こんだけ過疎で気にすることでもないと思うよ
かなみ先輩かわいいよかわいいよ

73ほんわか名無しさん2017/02/03(金) 01:29:10.150
山「友ちゃん」
友「なによ」
山「…いつまでこれをやってれば良いの?」
友「私が良いっていうまで」
山「…ボク、編集の手伝いで呼ばれたんだよね?」
友「そうだけど?」
山「なんでそれが友ちゃんの湯たんぽ代わりになってんの?」
友「外が予想以上に寒かったからよ。この部屋、暖房も無いし」
山「こんなんじゃいつまでたっても編集始められないよ?」
友「それなんだけど、よく考えたら編集する素材が無かったから今日は編集中止ね」
山「えぇ?」
友「というわけで、今日一日あんたは私の湯たんぽってことで」
山「えぇ?」
友「んふふー♪」
山「…ほんとは最初からこうして欲しかったんじゃないの?編集も出来ないのに編集って口実でボクを呼んでさ」
友「んなっ!!そんなわけないでしょ!!誰があんたなんか好き好んで呼ぶかっての!」
山「…でも、これってボクじゃないと出来ないことだよね?まさか友ちゃんがボク以外の男を自分の部屋に入れないだろうし」
友「なに言ってんのよ!私も若いころは男をとっかえひっかえに…」
山「はいはい。友ちゃんは可愛いね」
友「はぐらかすなー!」
山「ま、ボクは編集よりもずっとこっちの方が良いや。友ちゃんもそうでしょ?」
友「な、なにを…」
山「…友ちゃん、好きだよー」
友「…ぅ…そ、そーゆーの…反則だってば…」

74ほんわか名無しさん2017/02/03(金) 02:33:45.090
友ちゃん可愛いよ友ちゃんwww

既に日を越してしまったが2月2日はツインテールの日だったという件

75ほんわか名無しさん2017/02/05(日) 23:03:57.070
またちょっと投下します
6〜8レス×5回程度で

とりあえず初回は8レス行きます

761/82017/02/05(日) 23:04:35.400
・ツンデレの勘違い

 そろそろ梅雨に差しかかろうという時期。帰りのホームルーム終了のチャイムと同時に
教室がバタバタとざわつき出す。私は通学用のトートバッグに教科書や筆記用具をしまい
つつ、窓の方を見やる。
――雨か…… 帰るのうっとうしいな……
『かなみ。それじゃあたし、今日は中学の時の友達と約束あるから』
『うん。じゃあね。友香ちゃん』
 ちょっと前にお友達になった子に笑顔で挨拶して、私は立ち上がった。何となく教室の
斜め後方に視線を送る。その先に座る男子が他の男子とふざけあってるのを確認して、私
は席を離れる。
『そうだ。図書館、寄ってこ』
 確か、リクエストした小説がそろそろ入っている頃だ。ちょっとだけなら、多分、時間
的にもちょうどいいかもしれない。あの分なら、アイツもすぐには帰らないだろうし。


『……しまった。もうこんな時間だ……』
 リクエストした本がまだ届いておらず、代わりに何か借りる本を探していたり雑誌をパ
ラ見していたりしたら、いつの間にか一時間近くもたってしまった。
『もうさすがにアイツも帰っただろうな……』
 ちょっと気落ちして小さく呟く。
 アイツ、というのは別府タカシというクラスメートの男子だ。私の右斜め二つ後ろの男
子で、以前一回だけ強風の日に傘に入れてもらったことがある。以来、クラスの男子では
しゃべる方になった。大抵は友香ちゃんとかが一緒だけど、二回ほど、二人だけで帰った
こともあり、今日もちょっとそういう偶然を期待していたのだ。
『自分から、一緒に帰ろう、だなんて、言えるわけないしな……』
 想像するだけで、顔が火照る。うん。絶対無理。平気で私に声かけてくる別府が憎らし
いくらいだ。
『雨の日だと、余計に思い出しちゃうのよね……』

772/82017/02/05(日) 23:05:14.100
 別府と二人で、相合傘して帰ったことを。今日の傘は折りたたみじゃないし、風もほと
んどないけど、でもあの日の記憶が鮮明によみがえる。
『私のこと……色々と気にかけてくれて、ホントおせっかいなんだけど……でも、それって……』
 あの時まで一度も話したことなかったのに、友香ちゃんや記子ちゃんが私に声かけてく
れるように手引きしたりしてくれたのは、もしかして――なんて想像をしてから、私はそ
れを自ら否定する。
『いやいやいや。ないない。だって、別府って何気に女子に人気があるしさ。イケメンっ
ていうほどじゃないけどそこそこカッコよくてオシャレで、付き合えるならいいよねって
いう感じで……だから、私なんか……』
 胸もお尻も、起伏の少ない自分の体。顔だって、友達になってくれた子は可愛いっていっ
てくれるけど、キツめで近寄りがたい雰囲気だし。
『……でも、彼女いないのよね。みんなの話だと。ということは……』
 二人で帰ろうって誘ってくれたりするのは、そんな気じゃないと思うけど、でも考えが
都合のいい方向へと傾いてしまう。
 そして、つい顔がニヤつきかけたその時だった。
「全く…… こんな時間まで付き合わせやがって。ふざけんなよな」
 私が、この学校の男子でもっとも聞きなれた声がした。
『う、うそ? 別府……まだ、いたんだ』
 ちょうど昇降口に差し掛かったところで、私はとっさに物陰に隠れた。なぜ隠れたのか
は、自分でも分からないけど、反射的にそうしてしまったのだ。
『いーじゃんいーじゃん。どうせ帰ったってゲームするか漫画読むかしかないんでしょ?
だったら、私に勉強教えたほうが、よほど社会貢献になるじゃない』
 気さくな感じで別府に答える声は、どうやら女子のようだ。私の胸に不安の影がかかる
のを感じたが、私はすぐに自分に言い聞かせる。別府はクラスでも女子と普通に話すほう
だし、女子と一緒だからといって、すぐに決め付けはよくないと。
「なにが社会貢献だ。つか、お前もテストの前日になって俺に頼るのそろそろやめろよ。
普段部活ばかりでちっとも勉強しないでよ」
『だってタカシ、要領いいから教え方も上手いんだもん。ノートもキレイだし。女子かお前は』

783/82017/02/05(日) 23:05:56.920
「その方が楽なだけだっつーの。夜も決まった時間に勉強するクセつけとけば、ストレス
もたまんないし」
『その精神力がすごいわ。私なんて時間決めても、あと10分したらって思ってるうちに寝てるし』
 聞こえてくる会話からは、まるで恋人同士のような親しげな雰囲気。そして聞いたこと
のない声。私の不安を和らげる要素が一つとしてなく、どうしても気になった私は、我慢
しきれずに、ちょっとだけと顔を出す。そして、その相手の姿を見た瞬間、衝撃が走った。
――――!!!!
 別府タカシとしゃべっている相手の女子を、私は見たことがなかった。制服のリボンの
色から同学年だと分かるから、他のクラスの子だろう。問題はその子が――私の呼吸が止
まるくらいの、美人だということだ。
「なんなら、俺がたたき起こしてやろうか。無理矢理引きずって机に座らせてやる」
『うわ。女子の部屋に勝手に入る気? この不法侵入者。のぞき魔。チカン。変態』
「今許可取ってるだろうが。つか、やめた。想像したらめんどくさくなった」
 美人なだけじゃない。スタイルも細身なのに出るところはちゃんと出てるのが制服から
でも分かる。そして、そんな女子が親しげに会話しながら時折肘で小突いたり、肩に手を
置いたりしているのだ。
『ハァ…… なんだ。ちゃんといるんじゃん…… あんな、キレイな子がさ……』
 さっきまで、自分がはかなくも抱いていた期待がものすごく空しくなった。でも、クラ
スの女子は友香ちゃんだけじゃなくて、他の子も別府はフリーだって言ってたのに。もし
かしたら、隠しててみんな知らないのかもしれない。
『あ、そうそう。タカシさ。私今日、傘持ってないから家までよろしく』
 彼女のその言葉が、すでにショックを負っていた私の心に、槍のように突き刺さった。
「お前、ありえないだろ? 朝から曇ってて、午後から80%の雨予報になっててなんで傘
持ってないんだよ」
『いやー。だってさ。この間の日曜日に折りたたみ使って干したの忘れててさ。てっきり
リュックの中に入ってると思ってたのに』
「いや。普通大きいの持ってくるだろ。この土砂降りに折りたたみじゃ、スカート濡れるぞ」
『家出て三歩歩いてから気付いたけど、取りに戻るのがめんどくさかった』

794/82017/02/05(日) 23:06:46.330
「どんだけめんどくさがりやなんだよ。だったら俺の傘に入るのも面倒だろ。濡れて帰れ」
『またそんな冷たいこというけど、優しいんだよね。タカシは』
「やめろバカ。くっつくな。甘えるな」
 私はその場にズルズルとくずおれた。自分の中で、あの相合傘はちょっと特別なものに
なっていたのに、別府タカシにとっては普段、恋人と普通にやるものだったのだ。
『バカだな。私は……』
 二人の声が聞こえなくなっても、しばらく私はそこを動けずにいたのだった。


 それから数日間。私は全く別府タカシと話さなかった。というか、話さずにすんだ、と
いうべきか。帰りも友香ちゃんとか他のクラスの子と同じだったり、グループで話すとき
は別府との直接の会話は避けたし、LINEでもみんなに対するような当たり前の返事しかし
なかったからだ。
「お?」
 しかし、そんな運のいい状態も終わってしまったようだった。
『げ……』
 別府に聞こえないよう小さく、私は呪いの声を上げる。まだ一週間もたってないのに、
気持ちの整理なんてつくわけないのに。
「椎水。今日は一人なのか?」
 気さくに声なんてかけてくるのがすごくイラッと来た。こっちはすごく心を痛めたのに、
脳天気に話しかけてくるなんて、無神経にもほどがある。
『そうよ。じゃね』
 一方的に会話を打ち切って、靴を履く。上履きを靴箱に放り込むと乱暴にドアを閉め、
さっさと早足で歩き出した。
「お、おい。ちょっと待てよ」
 あわてたように止める別府の声なんて聞こえなかったことにして、私はより足を速める。
なのにあっさりと別府は私の横に並んでしまった。
「どうしたんだよ。なんか機嫌悪いな」
 こっちが頑張って早足で歩いても、悠々とついて来られることに余計に苛立ちが募る。
歩幅も足の筋肉も何もかも向こうが優位なのだ。
『別に。いつもこんなもんでしょ? 特に別府といる時は』
 無視してればいいのに、ついつい答えてしまう自分までが忌まわしい。

805/82017/02/05(日) 23:07:37.650
「口調はそうだけどさ。今日は……っていうか、ここ最近。なんか拒絶されてる雰囲気だから」
 無神経かと思ってたけど、どうやら一応空気は読めていたようだ。でもなら、何で逆に
話しかけてくるのかと、それもまたイライラする。
『分かってるなら、話しかけてこないで。隣に並ばないで。最低五メートルは離れて。前
でも後ろでもいいから』
「訳は、なんだよ?」
 帰宅する生徒達の間をぬうように足を進める私に、ちょっと急ぎ足程度で並んで歩きつ
つ、別府が聞いてくる。しかし私はそれを無視した。
「なんか俺、椎水の機嫌を損ねるようなことしたか? いや。したんだろうから怒ってる
んだろうけどさ。理由言ってくれないと、謝るにも謝れないんだけど」
『別に、怒ってないし』
 別府に悪いことなんてなにもない。傘に入れてくれて、友達を作るきっかけも用意して
くれて、むしろ感謝することしかないはずだ。悪いのは私だ。勝手な妄想で期待してた自
分に腹を立てているだけでしかない。
「いや。怒ってるだろ。明らかに先週と態度違うし。言ったところで許す気にもなれないっ
てくらいひどいことしたのか、俺?」
 これ以上黙ってると誤解が広がりそうなので、私は仕方なく答えざるを得なかった。
『なにもひどいことなんてしてないわよ。強いて言えば、わたしに話しかけたってことく
らいかしら』
「俺に対して怒ってもないし、俺もなんにもしてないっていうのか? じゃあなんで拒絶
するんだよ。せめてその理由が分かんないと納得も出来ないし」
 歩きながら私はため息をつく。そりゃ確かに、急に冷たい態度になれば別府が疑問に思
うのは無理もない。だけど、まさか内緒で彼女がいたからってそれを責めるわけにもいかないし。
『じゃあ逆に聞くけど、理由がなきゃ別府としゃべるの拒否しちゃいけないの?』
 この問いは功を奏したようで、別府からは少し答えが返ってこなかった。とはいえ諦め
るつもりはないようで、私の横に並ぶのをやめようとはしなかったが。
「最初から話す気もないってならそれでもいいけどさ。この間まで普通にしゃべってたの
に今週になったらいきなり拒否するって、やっぱりなんか理由があるとしか思えないんだけど」
『しつこいわね。アンタも』

816/82017/02/05(日) 23:08:09.730
 いったん立ち止まると、別府を睨みつける。とにかく今はもう、どんな嫌な思いをさせ
ても別府に諦めてもらうしかない。仮に嫌われたっていい。どうせもう、好きにはなって
もらえないんだから。
「椎水が一言でいいから、こういうところがイヤだって言ってくれれば、後はもうつきま
とったりしないって。ストーカーみたいに思われるのは心外だからな。なんなら携帯のア
ドレスも消すか?」
 その一言は結構胸にズン、ときた。交換してまだそんなにも経ってないアドレスを消す
までは私は考えてなかった。けど、もういっそその方がいいのかもしれない。未練がまし
く残してるよりは、あとくされがないだろう。
『別に好きにすれば。わたしからいちいちどうこうとか言わないから』
 別府から顔を背け、早足で歩き出す。しかしすぐに別府は追いついてきて、体をやや、
私の前に回りこむように乗り出してくる。
「その前に一言言ってくれって。それが条件だったろ?」
 私はもう一つため息をつく。なにも別府が悪いわけじゃないのになじるのは気が進まな
かったが、こうなった以上は何か言わないと別府も引き下がれないだろう。私はちょっと
考えてから、適当な一言を思いつく。足を止め、別府を見上げた。
『……無神経』
「は?」
 ちゃんと言ったつもりだったのだが、別府は聞き取れなかったのか、やや唖然とした顔
で首を傾げた。こっちはその一言だって結構つらい思いで言ってるのにその態度にカチン
と来て、私は苛立ちをそのまま言葉にしてぶつける。
『だからっ!! 無神経だって言ってんのよ!! そういう人の気持ちも分からずにずけ
ずけと聞いてくるところとかが!! 大体、こうやって私に話しかけてくること自体もそ
うよ。彼女がいるくせに親しげにしてきて!! そういうのほんっと迷惑だから!!』
 感情が昂ぶるのにまかせて、私は自分が触れたくないことにまで触れてしまった。これ
じゃあ嫉妬に狂った醜い女にしか思われないかもしれない。それに気付くと私はもう、こ
の場にいたくなかった。
『だからもう、話しかけてくるのとかやめてよね!! じゃっ!!』
 くるりと身を翻したところで、足を出すよりを早くいきなり腕をつかまれた。驚いて私
は身をよじる。

827/82017/02/05(日) 23:08:33.590
『ちょ、ちょっと!? なにすんのよ!! 離して!! 痛いから!!』
「ちょっと待てよ。よくわかんないけど、なんかお前、絶対誤解してるから。彼女とか、
意味わかんないし」
 私は抵抗をやめて別府の顔を見つめる。困惑してるようなその表情を見て、一瞬焦りに
似た感覚がかすめる。しかしすぐに思い直した。私はちゃんと見たんだ。それに、クラス
の友達とかも知らなかったんだから、付き合ってるの秘密にしててこの場でもしらばっく
れてる可能性は十分にある。
『いいわよ。別にごまかさなくたって。私、誰かに言いふらす気とかないし。けど、こう
やって二人きりで帰るとかしてると、いらないトラブルに巻き込まれかねないからイヤな
の。わかんないの?』
 こうやってる今だって、誰かが見てて別府と椎水が痴話げんかしてるとか噂立てられる
かもしれない。それで別府の彼女とかに誤解されるのは冗談じゃなかった。そういう事に
気付いていない別府はやっぱり無神経だ。
「いや。わかるもわかんないもないし。そもそも別にごまかしてなんか――」
『だからそういうのいいから!! 彼女さんとの約束かもしれないけど、それを守るより
も気を遣うことがあるでしょうが。大体私はちゃんと見たんだから。別府が目鼻立ちのくっ
きりした美人とすごく親しげにしてるのを。あれで彼女じゃないとかありえないし』
 話せば話すほど、嫌な記憶を掘り起こさざるを得なくなってくる。一言で納得してくれ
るって言ったのに、別府ってばヒドいウソつきだ。
「美人? いや、そんなのと話した記憶なんて……」
『だからいいっての!! 知らないそぶりはしなくて。同じ学年の子でさ。長い髪をポニ
テに結わえてて、体つきも細くてスタイル良さそうで…… ああもう!! 言ってるこっ
ちがみじめになるから言わせないでよ!!』
 別府は私をつかんでいた手を離すと、わざとらしく腕を組んで考え込むそぶりをした。
どこまでも身に覚えのない態度を貫くらしい。それならそれで、こっちから退路を断つだけだ。
『言っとくけど、姉とか妹とかなしだからね。私たち一年だし、その子も同学年の子だっ
たし、うちの学校の制服だったから。あと、入学式の時にもらった名簿見たけど、同じ学
年で別府って名字はあんたしかいなかったから』

838/82017/02/05(日) 23:11:52.520
 自分でもストーカー気質かと思ったけど、姉でした妹でしたオチは鉄板過ぎるのでちゃ
んと調べたのだ。しかし、逆に別府はその言葉で思いついたものがあったらしい。
「あ、そっか。いや、アイツは――」
 また何かごまかそうとしているのか。そう思って私は、とうとう言いたくなかった記憶
を口に出してしまう。
『あのね。なにを隠そうとしてるのか知らないけどね。放課後に勉強を教えあって、雨予
報の日に傘を持ってきてない彼女に呆れつつも肩を寄せ合って相合傘で帰るとか、付き合っ
てる以外にありえないでしょ。い、言っとくけどね。別にのぞき見してたとかじゃないか
ら。たまたま昇降口での会話が聞こえてきただけだからね!!』
 気持ちが昂ぶって涙が出そうになるのを懸命にこらえる。別府の前で、こんなことで泣
いてしまったら、みっともなさすぎる。泣くのは、自分の部屋に戻ってからだ。
「あのな。椎水。なんとなく話が見えてきたけど、それは――」
『わっ!!』
 言い訳をしようとする別府の言葉は、私がそれに反応するよりも早く、別の誰かによっ
てかき消された。


続きはまた来週投下します
一応前スレの543-548、558-563の続きっぽい感じ

84ほんわか名無しさん2017/02/10(金) 03:25:15.360
嫉妬するツンデレってなんでこんな可愛いんだよきゅんきゅんするわ続きはよ
GJ

85ほんわか名無しさん2017/02/12(日) 23:24:54.220
予告どおりの続き、6レス行っときます

861/62017/02/12(日) 23:25:21.700
・ツンデレの勘違い〜その2〜

「どわっ!?」
 いきなり背後から目隠しされた別府が驚いて奇声を上げる。私もびっくりして体が凍り
ついた。まるで何もない空間からいきなり手だけが出て別府の目を塞いだように見えたか
らだ。しかしそんな幻は一瞬だけだった。
『あははははっ!! びっくりした? びっくりした?』
 楽しげな弾んだ声が、別府の向こうから聞こえる。パッと体をひねって、別府が視界を
塞いだ手から逃れる。すると、紛れもなくうちの学校の制服を着た女子が現れた。
「やっぱり透子かよ。お前なっ!! いい年してそういういたずらはもうやめろっつてん
だろが!! いつもいつも、心臓が止まるようなタイミングで仕掛けてきやがって」
『そーいうタイミングでやるから面白いんじゃない。大体、なんかお取り込み中みたいだっ
たからさ。普通に声かけても、気付いてくれなさそうだったし』
「そう思うなら、気を利かせて邪魔しないようにするのが普通じゃね? ホントお前って、
いつもいつも空気読まずにほいほい顔出してきやがって。迷惑にも程があるってんだよ」
 割り込んできたこの女子が誰だか、最初の驚きから立ち直るとすぐに気が付いた。この
間昇降口で見かけた、当の別府の彼女だ。いや。まだ彼女と決まったわけじゃないけど、
私の中ではほぼ間違いない。なぜなら今だって、私の入り込めない空気感を作っているのだから。
『そうは行かないわよ。タカシが修羅場ってるところに出くわすなんて、こんな楽しい事
はないもの。しかも、噂の彼女とでしょ? これは首を突っ込まないわけには行かないわよ』
 憮然とする別府に対して、彼女はあくまで楽しそうだ。どうやら私と別府が二人きりで
いること自体は不快に思ったりはしないらしい。
「そもそも、全部お前のせいだ。だから去ね。去れ。消えろ。もうこれ以上話をややこし
くされんのはゴメンだ」
 手振りで別府は彼女に対してシッシッと追い払う仕草をする。それに彼女は不満気に口
を尖らせた。
『まーた人をお邪魔虫扱いして。そりゃ、二人っきりでいたいのは分かるけどさ。せっか
く彼女さんと二人でいるのに行き会って、挨拶もなくスルーなんて出来る訳ないじゃない』

872/62017/02/12(日) 23:26:02.050
 彼女がにこやかにこっちを見たので、私は背筋を伸ばして身を固くした。挨拶って一体
なんだろう。身の程知らずに別府に付きまとっている女ということで、文句の一言も言わ
れるのだろうか。そんな仕打ちを受ける前に、こっちから誤解を解かねば。
『あっ……あのっ!! はっ……はじめまして。その……べ、別府……ううん!! 別府……
くんっ……と、同じクラスの、椎水かなみですっ!! ご、ごめんなさい!! 私、その……
全然そんな気じゃなくって…… く、クラスメイトだからってだけで、ちょっとしゃべら
せてもらっただけっていうか…… と、とにかく、違いますから!!』
 言いたいことが全然口に出てこなくて、まとまりのない言葉を羅列して、とにかく誤解
だけは解こうと必死でしゃべって、私は体を90度以上折り曲げてお辞儀をした。出来るな
らこのままダッシュで逃げ去りたいけど、それは卑怯な気がして出来なかった。
『……どしたの? 彼女』
 キョトンとしたようなその声に違和感を覚える。ひょっとしてもしかして私ってば、そ
もそもそういう相手として見てすら貰えていないとかなのだろうか。いや。その可能性は
十分にある。だってそもそも彼女とじゃ、女子としてのスペックが違いすぎるし。
「だからお前のせいだっつーの。全部。いつも言ってただろうが。ところ構わずひっつい
て来るなって。そのせいで俺が無用な被害をこうむるんだからな」
『あたしのせい? 何で?』
「あとは自分で考えてみろ。そのアホな脳みそが働くならな」
 二人の会話を聞いても、どうもなんか、私の考えと違う方向に話が進んでいるような気
がしてならない。妙な胸騒ぎを覚えつつ体を起こした時、彼女がポン、と手を叩いて合わせた。
『おおっ!! なるほど。そっか。確かに知らなきゃ、そうも思うか』
「そんなもん、普通ならこうなる前から気付くだろうが。ましてや高校になって環境も変
わったんだしさ」
 呆れた様子の別府に、彼女はあらためてにんまりとした顔を見せる。
『じゃあ、さ。これはますます自己紹介させてもらわないとね』
 くるりん、と踊るように身を翻して、彼女は私の方に向き直った。その動きの優雅さに
は、女の私も思わず息を呑んでしまう。

883/62017/02/12(日) 23:27:00.890
『初めまして。私、中居透子っていうの。1年H組でチア部やってます。よろしく』
 指でピースサインを作って敬礼みたいに額の横にかざし、キメ顔みたいにキリッとした
表情を彼女は作った。
『あっ……えっと……椎水かなみです。別府と同じB組で……とくに部活とかはやってま
せん。よ……よろしくお願いします』
 軽くおじぎをすると、中居さんは手を振ってそれをしりぞける。
『いいっていいって。タメなんだし、敬語なんてかたっくるしいのなしで。あたしのこと
も、透子って呼んで。その代わり、あたしもかなみって呼んでいいかな?』
『まあ、どうぞ。お好きに……』
 なんかものすごく調子が狂う。私って、中居さんの彼氏につきまとう邪魔な女じゃなかっ
たっけ? ものすごくフレンドリーだし、そこにはよくある悪意を持つ人が出すような嫌
な馴れ馴れしさは感じられない。嫉妬とかそういう感情なのとは無縁な人なのだろうか?
『お? 許可が出た。なら、かなみ。いつもいとこのタカシがお世話になってるみたいで、
ありがとね。こいつってば奥手だからさ。仲良くしてくれる女子がいると、あたしとして
も嬉しいかな、なんて』
 屈託のない笑顔でお礼を言われて、私はなんかちょっと居心地の悪さを感じつつ頭を下げる。
『あ、いえ。どうも……ってかお礼を言われるようなことはしてないし……』
 謙遜しつつ、私はさっきの言葉に首をひねる。なにか他にもっと重要な、無視しちゃい
けないキーワードがあったような気がして、もう一度透子の言葉を頭の中で反芻する。と、
ある言葉に、私の脳みそがガン!!というような衝撃を受けた。
『って、いとこ!?』
『そ。びっくりした?』
 ちょっといたずらっぽく笑う透子と仏頂面のまま横を向いている別府を、私は交互に見比べた。
「そういうことだよ。つか透子。もっとちゃんと言えよな。さりげなく会話の中に織り交
ぜてたら気付きにくいだろが」
 不満気に横から口を挟む別府に、透子はケロッとした顔で小首をかしげる。
『そぅお? かなみんが反応鈍いだけだと思うけどな』
 ごく自然に私に責任転嫁された。しかもかなみんって、呼ばれたことないし。もっとも
そういうツッコミよりも、今の私には優先順位があった。

894/62017/02/12(日) 23:27:45.740
『えっと、いとこってことはつまり親戚同士ってことで……えっと……えっと……』
『んっと、そういうことで言うなら、あたしのお母さんとタカシのお母さんが姉妹なの。
分かるよね?』
 透子がフォローを入れてくれて、少し頭が整理できた。とはいえ、今の私は超恥ずかし
い勘違いを二人に対してやらかしてしまったんじゃないかという焦りでいっぱいいっぱい
ではあったのだが。
『ていうことは……親が1親等で、おじいちゃんおばあちゃんが2、で、その子供、つまり
親の兄弟姉妹が3、さらにその子供ってことは4親等ってことで……』
「いちいち指折って数えることなのかよ。それ……」
『うるさいな!! 今ちょっと頭回んないんだから静かにしてよね!!』
 呆れて口を挟む別府にかみついて、私は思考を巡らせ始める。すぐ横で透子が耐えかね
たように笑い出していたが、そこを気にする余裕すらなかった。
『で、確かえーっと、法律だと結婚が禁止されてるのは3親等までだから、4ってことは……』
 私の頭の中で、パチッと何かがスパークした。
『つまり、結婚できるってことじゃん!! てことは、付き合うことも出来るってことだよね!?』
「大声出すなよ。恥ずかしいな。まわりがみんな見るだろが」
 こめかみに手を当ててため息をつく別府に、私は苛立ちを覚える。
『うるっさいわね!! だってこれ、重要なことだもん。もしこれで、実は双子の姉弟だ
とか、父親が実はおんなじで血が繋がってる設定だったりしたら、私、一人で勝手に踊っ
てたことになるじゃない!!』
 ガーッてがなり立てると、別府はうるさそうに指で耳の穴にふたをする。
「いや。うるさいのは椎水の方だから。つか、結果ほとんど変わらないし……」
『誰がやかましいっていうのよ。超失礼でしょそれ? つか、今最後なんて言ったの!?』
 別府の声はちゃんと耳に届いていたけど、脳がそれを具体的に考えることを拒んでいた。
変わらないって、一体どういうことなのよって。
『まーまーまー。タカシはちょっと引っ込んでて。こっから先はあたしが説明するから』
 私と別府の前に、スッと透子が割り込んできた。そうなると私もさすがに、別府に突き
つけた矛を収めないわけには行かなくなる。
『あの。説明するって……どういうこと……?』

905/62017/02/12(日) 23:28:32.000
 何となく嫌な予感しかしないが、それでも聞かずにはいられなかった。すると、透子は
ふっふーん、とややドヤ顔っぽい顔になる。
『つまりさ。かなみんは、あたしとタカシが付き合ってるって思ってるんでしょ? いと
こ同士だけど恋人同士みたいな』
 逆質問されて私は戸惑う。なんかどんどん、予感が的中しそうな方向に流れている気が
してならないが、答えないわけには行かなかった。
『え? だって、その……そうじゃないの? だってあんなに仲良しで……馴れ合ってる
感じだったし、相合傘して帰ってたし……』
 私のそれとは違い、透子は最初っから別府に頼った感じに見えていた。だから断定して
そうだと思っていたのだけけれど、今になって心の不安が大きくなる。だから口調も、つ
い、言い訳めいたものになった。
『うんうん。分かるよ。確かに私とタカシは超仲良いし、あたしはタカシのこと超好きだし』
 透子が別府の方に流し目っぽく視線を送ると、別府はそっぽを向きつつもいささか照れ
くさそうに頭をかく。それに何とか自分の考えを肯定する言葉を見つけたかったが、私は
何も言葉が出ず、ただ透子の次の言葉を固唾を呑んで待っていた。
『でも、ざんねーん!! かなみんの超絶な勘違いでしたー!!』
『なんでよっ!! 超絶なってなによーっ!!』
 やっぱりこの展開だった。透子が現れた最初から感じてた違和感は、徐々に不安となっ
て広がっていたが、いざこうやって当人から言われると、めちゃくちゃに恥ずかしい。し
かも透子は超楽しそうだし。それがすっごく頭にきて、私は文句を言わずにはいられなかった。
『だって、今超仲良しだって言ったじゃない!! それが何で超絶な勘違いなんて言われ
なきゃなんないのよ!! おかしいでしょ』
『いやまあ。いとこ同士なんだけどさ。あたしのお母さんとタカシのお母さんって双子で
さ。一卵性の。で、子供の時からずーっと一緒で超仲がよくて、今も隣同士で住んでんだ
よね。だから、いとこって言っても兄妹みたいな感じなの。遺伝子半分は一緒だし』
『そんな事情知るかっ!!』

916/62017/02/12(日) 23:29:26.080
 他人からはうかがい知れない事情を明かされて、私は思わずツッコミを入れる。そんな
事情なら確かに、付き合ってなくたって仲が良いっていうのは分かるけど、知らなきゃ誰
だって勘違いするに決まってる。
『まあ、だからね。男子って言ってもタカシは別なの。こんなこと、ごく自然だし』
 透子はおもむろに別府の手を引っつかんで引き寄せると、半ば強引に抱き寄せる。
「おまっ!? いきなり何すんだよ!!」
 さすがに人前では恥ずかしいのか、別府は抵抗して体を引きはがす。
「お前な。いつも言ってるけど場所柄をわきまえろよ。だから余計な勘違いばかりされる
んだろうが」
『いやー。かなみんには言葉で説明するより、この方が分かりやすいかなって。私たちの関係』
「椎水に見せるだけならともかく、ここ通学路だぞ。いくら下校時間から大分ズレてるっ
つったって、まだ通る奴結構いるのに」
『知らない人だったら別にほっとけばいいし。知り合いなら事情知ってる子がほとんどだ
し。普通なら噂の種にするだろうから、すぐ誤解なんて解けるし。まあ、かなみんは別として』
『ちょっと!! その、別ってなによ。人を変人みたいに言わないでくれる』
 てっきり私の人付き合い苦手な性格をからかわれたのかと思って文句をつけると、透子
はちょっと申し訳なさそうに笑って、手振りでそれを否定する。
『ゴメン。そういう意味じゃなくてさ。好きな人に彼女がいるのかどうかって、誰かに確
かめるのは怖いだろうからって思って』
『むぅ…… そういう意味なら――って、はいいいいいっ!?』
 あまりに自然に言われたから思わず流しそうになって、途中で言われた意味に気付いて
私は驚きのあまり奇声を発してしまった。
『お? いいね。そのノリツッコミ。かなみんって、そういうのも出来るんだ』
 妙なことで感心する透子に、私は勢い込んで詰め寄る。
『そんなことはどーでもいい!! それより何よ!! すっ……すすすすす……きな人っ
て!! だらっ……だるがっ……誰が、その……誰を好きだってってって!!』
 動揺して噛み噛みの言葉で問うも、透子はしれっとした様子で小首をかしげた。


また来週に続く

92ほんわか名無しさん2017/02/13(月) 01:30:44.970
急にアホの子になっててかわいいwww
また楽しみにしてるGJ

93ほんわか名無しさん2017/02/13(月) 07:11:58.000
かなみんかわいい
続き期待しております

94ほんわか名無しさん2017/02/14(火) 01:34:59.500
ツンデレさんたちはバレンタインに素直になれるのか

95ほんわか名無しさん2017/02/14(火) 18:58:39.640
今日はふんどしの日

96ほんわか名無しさん2017/02/14(火) 23:24:44.640
バレンタインだしリアルではゼロだったからむしゃくしゃして久しぶりに書こうかと思ったけど
考えを文字にする難しさを再認識、全盛期はポンポン書けたのになぁ・・・

昔、自分が垂れ流した保管庫の長編とか見るとよく書いたなって思ってしまう

97ほんわか名無しさん2017/02/15(水) 23:23:06.290
妄想を語るのに、別にSSにする必要はないのよって思う


お題
つ・バレンタインデーにインフルエンザに罹ってしまったツンデレ

981/62017/02/18(土) 00:38:52.310
2月13日 夜

『つ、ついに作ってしまった…ほ、本命手作りチョコ』
『ついでにお父さんのも作ったから、間違えないように名前を書いた紙を置いて…これでよし』
『これを見れば、私が悪口言っちゃうのも照れ隠しだってわかるはず』
『後はちゃんと渡せる…うぅん、弱気になっちゃだめ!手渡しが無理でも
 靴箱にいれるとか色々やり方はあるもん!頑張らなきゃ…うん!』

2月14日 朝

『(あれ…?何か変…フラフラするし、妙に暑いし…なんだろう)』
『お母さん、おはよう…げほっげほっ』
『ちょ、ちょっと顔真っ赤じゃない!?熱でもあるんじゃないの?』
『えー…?大丈夫だよ。今日はどうしても学校行かなきゃだし』
『ちょっと熱測ってみて』
『うん…』
ピピピピ
『ちょっ39度!?びょ、病院行かないと!ちょっとお父さん!車出して!!』
『え?え…?えぇ!?』

−−−
−−

992/62017/02/18(土) 00:39:21.230
2月17日 昼過ぎ

『(はぁ…インフルエンザ、やっと治まった。学校は月曜日から行っていいって言われたけど)』
『(バレンタイン終わっちゃった…)』
『(気持ちを伝えられないまま春休みになって…クラス替えで別々になったらどうしよう)』
『(なんで大事な時にインフルエンザなんて…もうダメなのかな…?)』
コンコン
『はーい』
ガチャ
『具合どう?お友達が会いに来てるけど…?』
『うん、大丈夫だよ』
『そう?じゃ、上がってもらうわね』
『うん(お友達…?友ちゃんかな?)』

「やっ!委員長、具合どう?」
『へ…?べべべべ別府君!?』
「そんなに驚かなくてもいいじゃん。休みの間のプリントとか持ってきたよ」
『何でよりによって別府君が来るんですか!?』
「いやまぁ…心配だったから?」
『なっ……そ、そんな心配なんていらないです』
「はいはい、元気そうで一安心だよ。プリント、机の上に置いておくね」
『用が済んだらさっさと帰ってください』
「ん?何これ?」
『別府君には関係ないものです。それにもう使えないものですし』
「あ、バレンタインチョコか。14日から休みだったもんね」

1003/62017/02/18(土) 00:40:10.280
『(はぁ…捨てる前に渡すはずの本人に見られるなんて、本当に最悪…)』
「で、これは俺が貰っていいの?」
『ふぇ…?なななな、なんで別府君にあげないといけないんですか!?』
「だって…俺の名前書いてる紙おいてあるけど?」
『う…そ…あっ…あぁ!?』
『(ずっと寝てたから、すっかり忘れてた!!!)』
「しかも、別府くん(はーと)って…これはもしかして本命って奴だったり?」
『ち、違います!それは何かの手違いっていうか…そ、そう!きっと作ってる時からぼーっとして』
「ぼーっとすると俺のために本命チョコつくっちゃうの?」
『そ、その…と、とにかく!別府君のためでも、ましてや本命でもないですからね!』
「えー、そうなの?せっかく委員長の手作りチョコ食べれると思ったのに」
『…だいたい、インフルエンザにかかった人が作ったものですよ?そんなもの−』
「食べたいけど?」
『え?う、移ったらどうするんですか!』
「大丈夫だよ、もう治ったんだろ?」
『それは治る前に作ったものですよ?』
「関係ないって」
『私が嫌なんです!もし移って、私のせいにされても嫌ですし。何より周りに迷惑が掛かります』
「自己責任だって、ね?使わないならいいでしょ?」
『ダメです』
「手作りなんでしょ?出来とか気にならないの?」
『そ、それはちょっと気になりますけど…』
「俺にくれるために作ったんだから、俺がどうしようと勝手でしょ?」
『確かに…そうですけど』

1014/62017/02/18(土) 00:40:34.610
「あ、やっぱり俺のために作ったんだ」
『え…?ち、ちがっ、違います!別府君のためじゃありません!』
「はいはい、これで安心して開けられるな。オープン」
『ちょっ、なんでここで開けるんですか!』
「ここで食べて感想言うためだよ。なんたって俺のためのチョコなんだからな」
『うぅぅ…違うって言ってるのにぃ…』
「さて見た目は…えっと…」
『何ですか?形が悪いとかケチつけるんですか?』
「いや、綺麗なハート型だよ」
『当たり前です、すっごく大変だったんですから』
「で、ホワイトチョコで大好きって書いてあるんだけど」
『えぇぇぇ!?そそそ、そういえば作ったような…作らなかったような…』
「本命…だよな?これ」
『ちちちち違います!それは大好きじゃなくて…』
「違わないよ、ほら」
『そっそれもぼーっとして作ったからです!本音とは違うの書いてるんです!』
「えー…そうなの?本命だったらすごく嬉しいのに」
『な、なんで嬉しいんですか?私なんかに本命渡されたって迷惑なだけじゃないですか』
「いや、俺、委員長の事好きだし」
『…え?今何て?』
「委員長の事、好きって言ったの」
『そ、それは…恋愛の意味で…好き…なのですか?』
「でなきゃ会いに来ないよ。委員長の事、好きだからすごく心配だった」

1025/62017/02/18(土) 00:41:04.850
『あの、えっと』
「まぁ、違うっていうんなら…ショックだけど仕方ないか」
『ちっ、違うっていうのも違うっていうか…その…あの…えーっと』
「いいよ無理しなくて、ごめんね。じゃ、俺そろそろ」
『て、手紙!』
「は?」
『箱と一緒に入ってる…手紙』
「…これか」
『…』
「えーっと、いつもひどい事いってごめんなさい」
『こ、声出して読まないでください!』
「あ、うん………」
『(あぁ…読まれてる、私の気持ち。どうしよう…これでダメだったら…)』
「……うん、読んだ」
『はっ、はい』
「…」
『…』
「…」
『な、何か言ってください』
「チョコ、食べるよ」
『えっ…は、はい』
「モグモグ…すっげー美味い。これ、本当に手作り?」
『もちろんです、一生懸命作ったんですから』

1036/62017/02/18(土) 00:41:50.800
「ふふっ、やっと笑った」
『ふぇ…?うれしくないです!別府君に褒められたって』
「それ、照れ隠しなの?」
『照れ隠しっていうか…』
「手紙に書いてあったよ?つい悪口言っちゃうのは照れ隠しだから気にしないで欲しいって」
『うぅ…弱みを握られました。最悪です』
「そんな私でも良ければお付き合いしてくださいって」
『だから声を出して読まないでください!』
「付き合おうよ、俺たち」
『ほっ本当…ですか?』
「そんな委員長だからこそ、俺は好きになったのかもしれないから」
『嘘とか冗談だったら承知しませんよ?』
「本当だって」
『じゃ、じゃぁ…証明してください』
「いいぜ…委員長」
『別府…くん…んっ…』

「どう?」
『い、いきなりキスしてくるなんて…本当に移ってもしりませんからねっ』
「その時は…今度は委員長がお見舞いに来てよ」
『…はい』

104ほんわか名無しさん2017/02/18(土) 03:19:44.120
いいんちょかわええなあ

105去年投下しそびれていたもの1/22017/02/18(土) 05:43:44.220
「……どうしたものか」
突然だが本日はバレンタインデーである。つまり、女性が想い人に、チョコレートを渡す日であるわけで。
私にもまあ、その、憎からず思っている相手がいる、ので、渡したいと思うのだが……問題は……
「……前々からわかっていたとはいえ……」
何をこんなに唸っているのかというと、本日は日曜日だ。つまり、自宅に行って直接渡す必要がある。
わざわざ自宅まで行って義理チョコを渡すような人間もいるまい。つまり、これを渡すことはそのまま告白と同義のようなものなのである。
「……やはり、今年はやめておこうか……」
正直、返事を聞くのが怖い。だから今年はもう最初から渡さないことにしようかと思っていた。それでも、もしかしたら、そう思い結局作ってしまった。
「……行こう」
そうだ、行こう。例え断られることになるとしても、せめて思いだけでもしっかりと伝えたい。本当に、もしかしたらもあるかもしれない。だから、行こう。


「……うう」
何度か挫けそうになったが、到着した。したはいいが、かれこれ5分近く家の前で動けずにいる。い、いっそポストにでも放り込んでおこうか……いやでもそれでは誰からのものかもわからないし……
「……あら?みこっちゃんじゃない。どうしたの?」
「ひぇあっ!?……お、おば様……?」
そうこうしていたらタカシのおば様が家から出てきた。び、びっくりした……
「どうしたのみこっちゃん?一緒に宿題やる約束でもしてたの?それともお見舞いに来てくれたの?」
「い、いえあのそのほほほほ本日はですねそのえーっとですから……え、お、お見舞い……?」
お見舞い、とはどういうことだろう。アイツ風邪でもひいたのだろうか……
「あれ、ひょっとして知らなかった?うちの子インフルエンザに罹っちゃってね……」
「イ、インフルエンザ!?」
確かに最近流行っているとは聞いていたが、まさかアイツが罹っているとは……

1062/32017/02/18(土) 05:44:18.770
「そういうわけでせっかく久しぶりに来てくれたところ申し訳ないんだけど……家に上がるのは、ね?」
「あ、はい……わかりました」
そういうことなら仕方ないか……
「それじゃあ、コレを渡しておいてください」
「はーい。ところでこれどうしたの?お見舞いとかじゃなかったみたいだけど」
「あ、あの、ですね、それは……」
うう、本人より先におば様に伝えることになるとは……前々から度々からかわれていたとはいえ……
「そ、その……今日、は、バ、バレンタイン、なので……」
「へ?……あ、ああっ!そういうこと!?え、じゃあひょっとして……あらぁ」
駄目だ。顔が熱い。火でも出るんじゃないかというくらいに、熱い。もう今すぐ家に帰って引きこもりたい……!
「その、災難だったわねぇ……もーう、うちの子ったら間が悪いったら……どうする?やっぱり……あがっていく?そういうことならおばさんも協力するけど」
「い、いえ、だ、大丈夫、です……多分、本人を前にすると、何も言えなくなるので……」
自分で言ってて情けないことこの上ないが、実際もし顔を見たとしてもよくて憎まれ口が出てくるくらいだ。今日だけは流石にそれは口にしたくない。
「じゃあコレ、お見舞いってことで渡しておくけどいい?」
「お願いします」

107微妙にながかった3/32017/02/18(土) 05:44:33.990
「まあおばさんはいつでも応援してるから、なんだったらデートの協力なんかもしてあげるからね」
「デッデデデデート!?」
そ、それってつまり二人で出かけて一緒に映画を見たりしてそれが恋愛映画だったりして雰囲気がよくなってそのままもしかしてああでもでも相手がタカシならむしろ全然
「みこっちゃーん、帰っておいでー」
「ひうああっ」
「とりあえずそんなになっちゃう程度にはウチの子のこと好きなのねー」
「う……」
迂闊だった。というかなんだ、今のいかがわしい想像は。大体、アイツがそんなに積極的に動くわけないじゃないか……私相手に……
「まあデートとかは置いといて、いつでも遊びに来てね。おばさんは大歓迎だから」
「は、はい、その、機会があれば是非……さようなら」
「またねー」
遊びに、か……正直、その時点でもう随分とハードルが高い。昔は休みの日のたびにお互いの家で遊んだのに……
「はあ……」
いつからこうなったのか。最初はただ、からかわれるのが面白くないから、そう思ってアイツのことを避けだして
いつの頃からか、気弱なアイツが腹立たしくなって、イライラして、嫌いになって
今は、少し前のそういう苛立ちを引きずって、結果、本当に言いたいこと、伝えたいことが何も言えなくて
「……なんで、今日に限って病気なんてしたんだ、馬鹿……」

108ほんわか名無しさん2017/02/19(日) 11:23:33.910
次に男と会ったときのみことさんの反応がすごく見たいです

109ほんわか名無しさん2017/02/19(日) 21:10:38.420
>>91の続き投下します。
6レスで。

1101/62017/02/19(日) 21:11:36.390
・ツンデレの勘違い〜その3〜

『あれ? かなみんってタカシのこと好きなんでしょ? だから、あたしとの仲を勘違い
したままで誰にも聞けなかったんじゃないの?』
 鋭いところを突かれるが、かといってこんなところで認められるわけがない。何といっ
ても目の前には、当の別府がいるのに。私自身もまだ感情の整理が出来てないのに。
『違うっ!! なんかそういうの聞くのって、その、ゴシップ的な感じでさ。そういう話
題に興味を持ってるみたいに周りに思われるのイヤかなって……』
『普通に聞けばいいだけじゃない? 昇降口で別府と仲良さそうにしてる女の子いたけど、
あれって別府の彼女?って。友香ちゃんならすぐ教えてくれたと思うのに』
 さっきまで赤の他人だった人から、友達の名前がポンと出てきて私は驚いた。
『えっ!? 友香ちゃんが……って、なんで? 知ってるの?』
『うん。同じ中学でクラスも二年間一緒だったし。タカシも同じクラスだったんだけど、
それも聞いてない?』
 そう言われれば、友香ちゃんに仲良くなったばかりの頃に聞いたことがあった。どうし
て男子とそんなに気さくに話せるのかって。そうしたら、別府とは中学も同じクラスだっ
たから話はしやすいんだよねーとか言ってたっけ。
『……聞いてた。けど、私ってやっぱり、その……性格的にそういうの聞くのが苦手だか
らって、それだけで……』
『じゃあ、タカシ本人には? なんとも思ってないんなら聞けると思うけどな。それなら
ゴシップ的な噂振りまいてるわけでもないし。』
 徐々に私は、会話の袋小路に押し込められているような気がしてならなかった。このま
まだと答えを見失ったまま、別府のことが好きだと認めざるを得なくなってしまう。
『だ、だってほら。本人だってそっとしておいて欲しいのかなって…… なんか学校でい
ちゃつくの嫌がってるそぶりだったし、友香ちゃんたちも別府に彼女がいるなんて一言も
言ってなかったから、みんな知らないみたいだし、秘密なのかなって……』
『まあ、実際タカシに彼女いないからねぇ……。だから今のところ、かなみんが第一有力
候補だよ』
 第一有力候補とか言われて、私は思わず動揺してしまう。心臓がドクッとなって、体の
奥が熱くなるのを感じた。

1112/62017/02/19(日) 21:12:14.820
『だっ……第一有力候補だなんて、そんなことないし……私より仲良くしゃべる女子なん
て他にいっぱいいるし、みんな可愛いし……』
 あたふたしながら、思いつく限り否定の言葉を並べると、透子はクッと小さく笑って別
府に振り向いた。
『だってさー。確かにあたしの周り、可愛い友達多いのに、何でだろうかねぇ? この甲
斐性無しさん』
「うるせえよ。群れてわいわいやられても、そんな関係になれないっての。大体お前だっ
て彼氏出来たことないじゃんか。スペック無駄にしてる残念キャラのクセに」
 さっきからそばにいるだけで会話に加わることを放棄してた別府が、話を振られてめん
どくさそうに文句を言い返す。その返事に透子はちょっとだけムッとした顔をする。
『うるさいわね。誰が残念美少女よ。まあいっか。顔かたちは褒めてくれてるわけだし』
 自分で美少女とか言っちゃったり、スペック無駄にしてるってのを前向きにとらえるあ
たりも、彼女はかなりポジティブ思考な性格らしい。私とは正反対だ。
『それに、今はあたしじゃなくて、かなみんだってば。で、どうなの? 実際のところは』
『は? ど……どうって……何がどうなの? 実際のところはって言われても……』
 唐突に振られた質問に、私は戸惑った。どうと聞かれてもなにを答えればいいのか分か
らないし。すると透子はうーん、と小難しい顔で私を覗き込むように見た。
『なるほどねぇ。まあ、かなみんみたいな性格だと、そっか。自分で自分の気持ちを理解
したくないってのもあるのかなぁ?』
『は?』
 彼女の言葉が理解せずに首をひねると、透子は急にニコッと笑った。
『つまりね。かなみんは、別府に彼女がいるっていう疑いを誰かに確かめるのか怖くて、
聞けないでいたんじゃないのかなっていう』
『え……ええっ!?』
 驚きを、私は思わず声に出してしまった。心臓がまたも跳ね上がるような鼓動をする。
『だって、誰かに聞いて、そうだよって言われたら、それでタカシに彼女がいることが本
当になっちゃうじゃん。それがイヤだからさ。本当のことを知る前に、フタをして、自分
の傷が浅いうちに縁を断とうとしたんじゃないの?』

1123/62017/02/19(日) 21:12:46.070
 彼女の言葉は、まさしく私が見たくない自分の心そのものだった。一つだけ違うのは、
ちゃんと私はそれを理解していたということだ。ただ、だからといって、それを認めるわ
けにいかず、私は動揺を隠し切れないまま慌てて否定に走る。
『ちっ……ちちちちち……ちがっ……違うってば!! なんでそんな……勝手にわかった
ようなこと言って…… 私は別に、別府に彼女がいたって傷ついたりなんて……』
『かなみん、顔真っ赤』
 透子の冷静な指摘に、私の言葉が封じられる。確かに顔は熱いし、胸の動悸も激しい。
これじゃごまかしてるって言ってるようなもので、恥ずかしくて私はより顔に熱を帯びた。
『かなみんって可愛いよね。さっき言い訳してるときは目線があちこち泳いでたにの、今
はまっすぐこっち見てるし。素直じゃないかもしれないけど、正直なんだね』
 透子は笑顔で、ポンと私の頭に手を置いて軽くなでる。私はそれに抵抗が出来なかった。
『あう……』
 なんかもう、恥ずかしくってなにをどうすればいいのか分からない。これを認めちゃえ
ば、私が別府を男子として意識してたって別府本人にもバレちゃうのに、透子の前じゃも
うなにを言ってもごまかしきれない。
『でも、安心して。タカシは彼女いない歴15年8ヶ月の喪男だから。いや。あたしから見
てカッコ良くないわけじゃないし、ここは草食男子って言ってあげるべきか』
「別にどーでもいい。てか、一番の原因はお前だろ。中学の時とかみんな勘違いしてたじゃ
ねーか。中居と付き合ってんじゃないの、とかそれこそ数え切れないくらい言われたぞ。
お前だってそうだろが」
『まあ、確かにあたしがタカシと仲が良すぎるというのが一番の原因というのは否めなく
もないかも』
 うんうんと納得するようにうなずく透子を尻目に、別府が私の方に向き直った。
「だから椎水さ。別にそういう勘違いとか、して当たり前だから恥ずかしがることないっ
て。つか、最初に俺に確認してくれれば、こんな奴に混ぜっ返されたりせずにちゃんと答
えられたのに」
『あーっ!! ヒドい。タカシってば。こんな年下の美少女従兄妹をつかまえてこんな奴
呼ばわりとか』
 横で透子が文句を言うが、別府が全く無視しているので、私としても答えを返さないわ
けには行かなかった。

1134/62017/02/19(日) 21:13:37.890
『だっ……だから言ったでしょ。別府からすれば、そういうこと聞かれるのは迷惑かなっ
て思ってたから…… 実際私、全然別府のこと分かってないわけだし……』
『いや。だからその言い訳はさっきもう聞いたし』
 横から透子が、もう飽きたみたいな感じで口を挟む。
『い、言い訳って何よ!! だって本当にそう思ってたし、さっきから勝手なことばかり
言ってるけど――』
 ごまかしきれないって理屈では分かっていても、心は、感情はまだ否定に走ってしまう。
透子もそれがわかっているのか、余裕の笑みだ。
『だってそれなら、あんな風に興奮して問い詰める必要とかなかったと思うけどなー。タ
カシの無神経をとがめるにしてもさ。大丈夫? こんなところで女子と二人で話してたら
彼女に誤解されちゃうよ?って冷静に流せると思うんだけど。普通の友達なら』
 その言葉は的を得ていたし、何よりもさっき別府に対して浴びせた言葉の一つ一つが、
思い返すととってもイタくてたまらない。恥ずかしくて今すぐにでも消え去りたい。
「さすがに、そろそろ勘弁してやれよ。俺と透子が付き合ってるっていうのが椎水の勘違
いだったって理解してもらえればそれでいいだろ。あんまりイジるなっての」
 散々にやり込められる私を見かねたのか、別府が間に入ってくれる。しかしそれは、ター
ゲットが別府に変わるだけのことだった。
『お? やっぱりタカシも男の子だねぇ。気になる女子にはやさしーんだ。あたしにはそ
んなふうにかばってくれたことなんてないのにねー』
「お前は普段イジる側だろが。イジられても自分からネタにするし。椎水とは打たれ耐性
が違いすぎる」
 からかわれてもあくまで冷静に対処する別府は、ちょっとさすがだなと感心してしまう。
気になる女子とか言われても全くムキにならないし。そもそも気にしてもいないんだろうけど。
『で、タカシ的にはどうなのよ? かなみんのこと、好きだったりとかするの?』
 透子的にもムキになるのを期待していたのか、完全スルーに対して今度は直接ブッ込ん
できた。しかしそれに反応したのはむしろ私だった。
『なっ……!? そっ、そんなわけないし!! あるわけないし!! ねねね、ねえ? 別府!?』

1145/62017/02/19(日) 21:14:25.410
『……あたしはタカシに聞いたのに。なんでそこでかなみんが割り込んでくるかなぁ……
って、まあわかるけど……』
 透子の半ば呆れた呟きも私には聞こえなかった。それだけ私は動揺し、あせっていたのだ。
「いや。何で椎水がそこで全力で否定すんだよ。俺がどう思ってるかって話なのに」
 むしろ、聞かれた別府の方が冷静にツッコんで来る。しかし、今の私にそんなことおか
しいなんて思う余裕はなかった。
『だっ……だってあれだよ? 美人だし細身なのに胸も腰もほどよく肉付きよくて……
つ、付き合ってなくたって、付き合いたいとか思うでしょ? 男子なら普通!! そんな
女の子と毎日一緒にいれるのに、私なんて好きになるとか、ありえないでしょ!!』
『かなみんも十分可愛いと思うけどなぁ。仕草なんて特に。自分ディスる必要なんてない
と思うけど』
『それは持ってる人だからそういうこと言えるの!! 持たざる人間にはそんな余裕ない
んだから!!』
 透子が自分の意見を誰ともなしに言ったのは、そういって噛み付かれた経験が何度かあ
るからなのだろうか。私が文句を言っても、ただ軽く肩をすくめただけだった。
「っと。あったあった。これだ」
 別府のひとり言に反応して向き直ると、こんな時だというのに別府はスマホをいじっていた。
『何やってんの? アンタ』
 その余裕ぶった態度がムカついて、私は別府を睨みつける。しかし別府は構わずに、ス
マホの画面を私に向ける。
「いや。これ見てみ?」
 差し出されたスマホを受け取り、画面に表示された写真を勧められるがままに確認する。
そこに写っていた制服姿の男子の写真を見て、私は即座に反応を返す。
『なによこれ? 別府の写真? カッコつけてポーズとか決めちゃってるけど、何で今、
こんなものを見せるのよ。意味わかんない』
 返そうとすると、別府が手で押し止めた。
「いやいやいや。パッと見で判断しないで、ちゃんと見てみろって」
 その要求に抗うのもめんどくさくて、私は仕方なく言われたとおりにもう一度写真を見
直す。制服といっても今の高校のではないから、恐らく中学のだろう。よく見れば顔も童
顔で可愛らしく見える。

1156/62017/02/19(日) 21:15:16.530
『……これ、いつ撮ったの?』
「中2ん時。文化祭だな」
 ということは約1年半前ということか。私は目線だけ動かして今の別府と比較をする。
なんか写真の別府の方がイケメンに育つ感じがする。
『……よく見ると、ちょっと……違う、かな? もしかして弟さん……?』
 私は首をひねった。兄弟の写真かもしれないが、それを今見せる理由がどこにあるのだ
ろう。ふと、なんかくぐもった笑い声のような音がして顔を上げる。すると透子がなんか
笑いをこらえるように口元を押さえていて、別府もなんだか不自然に私を見ないようにしている。
『ちょっと。二人ともなんで笑って……』
 その時、私の脳に、パッと電流のようにひらめきが走った。
『って、まさか……これって、透子!?』


続きはまた来週で

116ほんわか名無しさん2017/02/22(水) 14:56:31.960
3日かつみん

117ほんわか名無しさん2017/02/22(水) 20:27:13.750
かつみんを3日間好きにする権利とな

118ほんわか名無しさん2017/02/25(土) 16:12:19.080
おつんでれ!

1191/32017/02/26(日) 00:14:00.730
もうすぐひな祭り、という事で近所のさびれた神社にいる、自称400歳のお稲荷様見習い
という幼女に会いに来た。名前はまつり、というらしい。
神社の境内に入ると、どこぞの子供たちと一緒に着物のケモミミ幼女が
大きな尻尾をゆさゆさ揺らしながら駆け回っていた。
ちなみに、この幼女は俺にしか見えない。他に見えるのはこの神社の関係者くらいで
普通の人には見えないらしい。
だから一見、子供たちと一緒に遊んでる風だが実はそんなことはなく、ただただ寂しい
一人遊びに興じているのである。
そんな俺の憐みの視線に気が付いたのか、こちらにツカツカと歩み寄ってきて
脛を力いっぱい蹴られた。
「痛い!寂しい幼女に蹴られた!」
『誰が寂しいじゃ!あと幼女と呼ぶでない、この戯けが!』
そしてこの罵声も俺にしか聞こえてないので、子供たちが俺を憐みの視線を投げかけ
やばいやつだと言わんばかりに足早に立ち去った。
『むぅー…お主のせいで貴重な信者が逃げてしまったではないか』
「そいつは残念だったな。でも二人きりになれてうれしいだろ?」
『ばっ…そ、そんなわけあるか!』
軽いジョークのつもりが真に受けたのか、反対側の脛も蹴られた。

『それで、今日は何をしに来たんじゃ?』
両腕を組み、警戒心ありありの表情でこちらを睨むの幼女。一方、ふわっふわの尻尾は
歓迎とばかりにフリフリ揺れていて可愛い。
「ひな祭りが近いんで、ひなまつりをと思って」
『はぁ…?お主は何を言ってるんじゃ?』
「雛鳥のように可愛いまつりを愛でる、これすなわち「ひな祭り」」
拳骨で殴られた。しかし、可愛いと言ったのがうれしかったのか、尻尾は先ほどにもまして
ぶんぶんと揺れている。

1202/32017/02/26(日) 00:14:20.130
『お主はぁ…常々思っておったが、わしを子供と思っておらんか?』
「とんでもない!自称400歳の魔法少女だろ?」
『お稲荷様!…の見習いじゃが』
後半は力ない感じのつぶやき。
どうもここは参拝客も少なく信心が足りないので、いつまでたっても見習いのまま
立派なお稲荷様になれないらしい。
「元気だそう?お供え物持ってきたからさ」
『むぅ…別に落ち込んどらんし。お主から供物を貰っても嬉しくないし』
「何だ、いらないなら捨てるか」
『ままま、待て!それは勿体ない。食べ物を粗末にしてはいかん』
帰り道に回り込んで、ばっと両手を広げ「通せんぼ」する幼女、もといお稲荷様見習い。
意地でも帰らせないとばかりにじりじりと距離を詰めてくる。
「欲しいの?」
『う…その…』
「ちゃんと言ったらお供えするから」
『ほ、欲しい…です』
「よく言えましたー」
頭をなでなでしてあげると満面の笑みではにかみ、くすぐったそうに肩をすくめ
嬉しそうな上目遣いでこっちを見上げる。
しばらくそのまま頭をなでていると、急に「はっ」とした表情になり、手を振り払った。
『じゃから子供扱いするなと言うたであろうが!』
「はいはい、じゃお供えに行こうね」
『むぅ…』
納得いかない感じの表情を浮かべる幼女とともに社へ。
袋から油揚げを取り出し、台の上へ置き、両手を合わせる。すると、隣にいた幼女が
さっと油揚げをさらい、食べ始めた。

1213/32017/02/26(日) 00:14:39.450
『もぐもぐもぐ…んぐっ、うまい!』
「あとはこれも」
『おぉ、甘酒か。お主にしては気が利くのぉ』
待ちきれないとばかりに目をキラキラさせる幼女の目の前にコップを置き、甘酒を注ぐ。
そして、手を合わせると勢いよく取りごくごくと喉を鳴らして飲み干した。
『ぷはぁ!生き返るのぉ』
「神様も生き返るんだ」
『例えじゃ、た・と・え。ほれ、空になったぞ?次を注がんか』
言われるままコップに注ぎ足すとそのまま飲み始めた。お酌はお供えになるのか疑問ではあるが
ひなまつりだし、まつりが喜んでるから良しとしよう。
「さて、せっかくだし願掛けでもしようかな。目の前に神様もいるし」
『ほほぉ、何を願うんじゃ?まぁ、お主のことじゃ、どうせろくでもない願いじゃろ?』
「えーっと、まつりが俺にべた惚れしますように」
『ぶはっー!』
勢いよく甘酒を噴出し、俺の顔と胸のあたりが甘い匂いに染まる。
「食べ物物を粗末にしちゃいけないんだろ?」
『おっ、お主がへ、変な事を願うからじゃろ!』
「あー、べたべたじゃないか。ん…これってまつりの飲み掛けだよな?」
『何じゃ?汚いとでも申すか?ふん、いい気味じゃ』
「いや、これって俺が舐めたら間接キスだよな?」
『かんせ…つ……きっ、キス!?』
甘酒でほんのり赤くなっていた顔がぱーっと朱に染まり、言葉にならない言葉が口から
二言三言こぼれる。尻尾は千切れんばかりにぶんぶんと揺れている。
「勿体ない、顔についたのだけでも舐めるか」
『だっ、ダメじゃ!そんな破廉恥な事、ダメじゃ!』
制止させようと幼女がぴょんぴょんと跳ねるが、顔には届かない。
頬についた水分を指で掬い口にいれると、うすい甘酒の味がした。
「キス…しちゃった」
『ば、ばかぁぁぁぁ!!!』
顔を真っ赤にした幼女が涙目で俺を睨みつける、そんなひな祭りとなったのだった。

122ほんわか名無しさん2017/02/26(日) 10:19:40.870
乙ー
ロリツンデレいいね!

123ほんわか名無しさん2017/02/26(日) 22:20:58.470
幼女お稲荷様まつりんいいね!!
尻尾で嬉しいのが隠し切れないなんてチョロいすなあwww


>>110-115の続き行きます

1241/62017/02/26(日) 22:21:34.340
・ツンデレの勘違い〜その4〜

 答えた途端、透子がパッと顔を上げると、嬉しそうに拍手してきた。
『大当たりーっ!! いやー。思ったより早く気付いたわねー』
『えっ!? ウソ? ホントに? マジで? 何で? 透子なのこれ?』
 自分で当てておきながら信じられてなくて、私はスマホの写真の人と透子を見比べた。
よくよく見てみると、パーツ単位では確かに似ている。とはいえ全体の雰囲気は全然違う。
『なになに? 自分で答えておきながら信じてないの? そうよ。正真正銘、あたしです。
よく化けてるでしょ。正直、わかんないかなーとも思ったんだけど』
『いや。二人の様子がなんか変だったから、とっさにそう思っただけで…… 写真だけじゃ、
多分わかんなかったと思う』
 正直に答えると、透子が不満そうに別府を睨みつけた。
『ほらー。アンタが原因じゃん。どうせ、ワザとらしくごまかす様なそぶりしてたんじゃ
ないの? アンタってばホント、腹芸苦手なんだから』
「お前だってごまかすの下手だろが。どうせ笑いが抑えきれてなくて、口元ひくつかせて
たんじゃねーの」
『しつれーね。それが見られないように、ちゃんと隠してたもん。手でこうやって』
「アホか。それじゃ余計変に思われるだろが。隠し事バレるといつも俺のせいにしてたけ
ど、お前の方がよっぽどごまかすの下手だかんな。脳に行く養分全部体に使いやがって」
『うわ。いやらしー。聞いた? かなみん。タカシってばいつもあたしには興味ないよう
なこと言ってるけど、しっかりエロ目線で見てるのよ。あれはむっつりだからね。気をつ
けた方がいいわよ』
「お前が見せ付けてくるんだろうが!! 男の子からの目線は重要だから、ちゃんと見て
感想聞かせろって!! むしろ被害こうむってるのはこっちだっての」
 ポンポンポンポン飛び出してくる二人の会話に、私が割って入る余地はない。小さい頃
から兄妹みたいに過ごしているからだろうけど、でも実際は兄妹じゃないわけだし、この
仲の良さにはやっぱり嫉妬みたいな感情が芽生えてしまう。
『被害とは失礼な。目の保養でしょ? これでもあたし見て下半身いきり立たせてる男子
は結構いるんだからね。その肢体を目の前で見れるんだから、これほどの贅沢はないと思
いなさいよ』

1252/62017/02/26(日) 22:22:06.720
「そういうことを道端で口に出すなよ。みっともないな。分かるだろ、椎水。俺が困る理
由。平気で下品な言葉も口にするし、スキンシップも遠慮無しだしさ。ハァ……」
『あれは困った振りして喜んでるのよ。かなみんもやってあげたら。多分あたしとは違う
意味で困ることになるから。体起こせなくなって』
 ニヤニヤといやらしく笑いながら別府を指差す透子に、別府が怒鳴り散らす。
「うるせえよっ!! だから答えに困る振りはすんなっての!!」
 苦りきった別府に対して、透子はいかにも楽しそうだった。うっかりすると、このまま
私まで巻き込まれかねないという危惧が芽生え、私はこっちから話を軌道修正しようと決
めた。実際、すでに片足突っ込まされてるし、今しないと手遅れになる。
『あのさ。話し戻すけど、この写真っていつ撮ったの? 何でこんな男装なんてしたりしたの?』
「ああ。そりゃ、中学の時の文化祭だな。最初、ミスコンやりたいって話が上がったんだ
けど、中学でそれはなしって教師から却下されてさ。で、代わりに男装女子と女装男子の
コンテストやろうって。それなら水着審査とか肌が露出する方向も行かないし、まあいっ
かって、話になって」
 渡りに舟と、別府が素早くこっちの会話に乗ってくる。すかさず透子も食いついてきた。
『あたし、これでグランプリ撮ったのよ。すごいでしょ。ちなみにタカシもやったんだけ
どね。こいつは圏外。意外と肩幅広くてごついのよ。写真、見る?』
『あ、今はいい。別府の前で大笑いしたらかわいそうだし。今度ゆっくりと』
 適当な言い訳つけて断るが、ここで見たりしたらまた流れが透子に持って行かれてしま
う。それを避けるためにも今は話を脇道にそらさないほうが重要だった。
『だってよ。タカシ。かなみんってば、優しいよねー。さっきもタカシが困ってるのを見
越して、話をそらすようにしてたしさ。あれは絶対いい奥さんになるわよ』
「やめろ。肘でつつくな。うっとうしい」
 別府が顔をしかめながら、手で透子の肘を払いのける。一方の私は、反射的に奥さんと
いう言葉に反応して否定するところだったが、すんでのところで理性が勝った。あれはか
らかってるだけだから、まともに反応しても向こうのペースに巻き込まれるだけだ。

1263/62017/02/26(日) 22:23:35.890
『と、ところでさ。別府は何で、さっきの写真を私に見せたわけ? 意味が、その……ちょっ
と、わかんないんだけど』
 あえて別府の方だけを向いて聞く。冷静さを気取ってみたが、言葉がたどたどしくなっ
てしまって却って動揺があらわになってしまいみっともなく感じてしまう。しかし別府は
何ともなかったかのように普通に答えを返してくれた。
「ああ。つまりさ。どんなに美人だろうがスタイルが良かろうが、実際俺ら、いとこって
いう割には似てるわけでさ。それを意識すると、どうしても恋人とかさ。そういうふうに
は考えられないんだよな。まあ、やっぱり兄妹っぽいイメージの方が先に来るよな」
『へー。その割には、あたしのことエロい目線でチラチラ見てるくせにねー』
 別府の言葉を、すかさず透子が割り込んで壊しに来る。意地悪なその言葉を、別府が慌
てて打ち消しに走る。
「バッ!? バカヤロー。見てねーだろうがよ!! 適当なこと言ってんな!!」
 だが透子は、今度は私の方に顔を寄せると、ひそひそ話をするように口に手をかざしつ
つ、そのくせ声だけはわざと別府に聞こえる程度の大きさを出す。
『あたしがね。部屋着でタカシの部屋に入るじゃん。そうすると、まず胸元の谷間を見て、
それから今度は太ももを見て、それからワザとらしく背中向けて怒るのよ。ホントは見た
いくせにカッコつけてんの』
『そうなの!? やっぱり別府ってエロいの?』
 パッと振り返って確認すると、別府は両手と首を大きく振って否定する。
「ふざけんなよな!! そもそも透子がノーブラタンクトップにショートパンツなんて格
好で俺の部屋に来るから悪いんだろが。そんな露出の高い格好で目の前に現れたら、本能
的に男は視線をそういうふうに向けるものなんだよ。見たいとか見たくないとかじゃなくて」
『要はそれって開き直りよね。男はみんなスケベだからそうなるのは仕方ない。むしろ見
せる女の方が悪いみたいな』
 ジロッと別府に非難の目を向けると、別府も憮然とした顔で私を見返す。
「だって実際そうだろが。別にこっちが望んで見てるわけじゃなくて、言わば無理矢理見
させられてるようなもんだからな。俺が見なくても、強引に視界に入ってくるし」
『あらら。かなみん、嫉妬しちゃった?』

1274/62017/02/26(日) 22:24:29.960
 横から透子にからかわれて、私はカッとなって透子に向き直る。
『違うっ!! 別府が自分が悪いのに自己弁護に走るからイラッとしただけで、別に嫉妬
とかじゃないし!!』
 ムキになる私に、透子はいやらしい笑みで答える。あれは絶対信じてない顔だ。
『いやー。でも、実際見せてるのはあたしなわけだし。ていうか、そういう視線向けられ
るのは全然OKてか、むしろ嬉しいしね』
『う、嬉しいの!?』
 驚いて聞き返すと、透子はこっくりとうなずく。
『まーね。本能的にそこに視線が行くってことは、女子として魅力あるってことかなって。
まあ、他の女子の前でこの話すると、大概タカシが焦って否定するから、そこがまた可愛
いんだけどね』
「チッ…… からかわれてるの分かってるのに、放置出来ない自分が情けないぜ。かといっ
て、ほっときゃほっといたでエロ野郎認定されるし、完全に罠だよ」
 苦々しげに吐き捨てる別府に、横から透子が肘で軽くつつく。
『ゴメンゴメン。あたしはちゃんと信用してるから、安心して。でも、かなみんって面白
いよね。みんな面白がってタカシのことスケベスケベってからかうけどさ。ガチで怒った
のって、かなみんが初めてじゃない?』
 それに私は返す言葉もなくうぐ、とうめき声を漏らす。ムキになったから却ってからか
いの的に自分からなってしまっていると、あらためて気付かされた思いだった。
「根が真面目なんだろ。まあ、真面目すぎて融通が利かないってのはあるだろうけど、そ
れも椎水のいいとこだと思うぜ。俺は」
 思わぬところで別府が助け舟を出してくれたが、私はそれをちょっと嬉しいと思う反面、
苦々しく思う気持ちも強かった。これじゃまた、透子の餌食にされる。
『お? やるじゃんタカシ。そこでかなみんをかばうとか、カッコいいねえ。どお? か
なみん。うちのタカシは――って、聞くまでもないか』
 軽くペロッと舌を出す透子に、私は食って掛かる。
『ちょっと待ちなさいよ。聞くまでもないってなによ!! まるで私が別府を好きなのが
規定事実みたいじゃない!! 撤回してよね!!』
『いや。だって実際そうだし。だからタカシが他の女子に気になる素振りを出すと嫉妬し
てるんでしょ?』

1285/62017/02/26(日) 22:25:09.950
『ちちちちち、違うってば!! 私はまだそんな、別府なんて知り合って全然経ってない
わけだし、好きとかだなんて――』
『はいはい。ツンデレツンデレ。かなみんってば、ホント分かりやすくて可愛いんだから』
『違うーっ!!』
 どんなに否定しようが、透子は一向にお構いなしで、むしろすればするほど向こうのペー
スに飲まれてしまっている。もういっそ、透子は無視して別府だけを相手にした方がいい
と私は決めた。
『ちっ……違うんだからね別府!! 透子が勝手に既成事実にしちゃってるだけで、私は
別にそんな……そういうわけじゃないんだから!!』
「分かってるよ。別にそんな、知り合ってまだ二ヶ月とかそんな程度でさ。ちょっと何度
か一緒に帰ったことがあるってくらいで惚れられてるとか勘違いしないし。まあ、そんな
モテるってわけでもないしな」
 笑って同意してくれる別府に、私は却って申し訳なく思ってしまう。そもそも、透子と
従兄妹なだけあって、別府はやっぱりそれなりにカッコいいと思う。それがモテないのは、
間違いなく横に透子がいるせいだ。
『そういうわけじゃないんなら、どういうわけなのかなー? とりあえず否定はするけど、
はっきりと恋愛感情はないって言えないあたりが可愛いのよねー』
 私の言葉を拾って、透子が意味ありげなイヤらしい笑みで私に囁きかけてくる。いい加
減私も遠慮無しに彼女をにらみつけた。
『う、うるさいっ!! 今、私は別府と話してるんだから邪魔しないでよ』
『ふーん。へえ。そお』
 しかし透子は全く意に介する様子もなく、今度は別府の方に視線を向ける。
「じゃ。タカシはどうなのかな? かなみんのことをさ。好きなの?」
『わわわわわーっ!! わーっ!! わーっ!! わぷっ!! むごごごご!!』
 出し抜けにとんでもない質問が飛び出して、私は動揺してそれをさえぎろうと意味不明
の大声を発する。しかし途中で透子が手で私の口をふさぎつつ体ごと抱き締められてしま
う。必死で振りほどこうともがくも、意外にも彼女は力が強く、私はわずかに頭を左右に
振りながらうめくことしか出来なくなってしまった。
『かなみん、邪魔しない。これからいいところなんだから。さあ、ほら。タカシ』

1296/62017/02/26(日) 22:25:57.130
 いいところなんかじゃない!! こんな風に告白を迫られたって、別府だって答えづら
いだろう。ましてや強制的に告白を聞かされる私は、ほぼ拷問を受けてるに等しい状態だ。
これで、面白い友達程度の返事だったら、ショック死する。
「……こりゃ、真面目に答えるまで離さないつもりだよな? お前」
『うん。もちろん』
 別府は小さく諦めのため息をつく。透子とは長い付き合いだけに、拒否しても無駄だと
悟っているのだろう。しかし、それは私にとって、地獄の扉が開いたに等しい。
『んーっ!! んん、んん!! んんーっ!!』
 なんとかやめてもらおうともがくけど、声にならない呻きが漏れるだけだ。すでに体も
めちゃくちゃ熱い。特に押さえられてる口元中心に、中からやけどしそうなほどだ。目の
前で別府が、照れくさそうに後ろ頭をかいてから、私を見た。話すぞ、という合図だ。私
は耐えられずに目を閉じ、歯をくいしばる。
「まあ、正直言えば…………」


また続きます。

130ほんわか名無しさん2017/02/28(火) 17:11:02.550
神ってる

131ほんわか名無しさん2017/03/01(水) 13:02:15.670
ぬるぽ

132ほんわか名無しさん2017/03/01(水) 13:35:30.410
>>131
がっ!

133ほんわか名無しさん2017/03/05(日) 23:25:54.440
さて、4レスほど上の妄想の続き、今週も投下します。

1341/72017/03/05(日) 23:26:22.100
・ツンデレの勘違い〜その5〜

「……まだちょっと、好きかどうかってのは……はっきりと言えねー」
 ズキン、と言葉が心臓に刺さる。やっぱり。そんな上手い話なんてあるわけないし。た
だ、まだ含みのある言い方に私はかろうじてショックを受けずには済んでいた。
『何よー。タカシも濁すつもり?』
 不満そうな透子の声が聞こえるが、別府の答えはない。もしかしたら、身振りで制した
のかもしれない。目を閉じているからわかんないけど。
「まあ、椎水も言ったとおり、まだ二ヶ月程度で、二人きりでしゃべったのも数える程度
だからな。つっても、気にはなってるけど」
『ほお? 気になるって、どの程度?』
 やめて欲しい。掘り下げないでよと心の中で透子に念じつつも、半分は私も別府の答え
が気になって仕方がなかった。怖いのに知りたくて、心がちぎれそうで、本当に拷問され
てる気分だ。
「まあ、家でも色々思い返す程度には……って、感じ。正直、椎水ってさ。今まで俺が知
り合った女子にはいないタイプだから、結構興味深いし。透子の周りにはこういう女子、
いないだろ?」
『そうだね。知ったのは今日だけど、かなり面白いよねー。見た目もだけど、それ以上に
反応が可愛いし』
 いやいやそんなことないし!!って叫びたいけど、まだしっかり口を塞がれているから
一言も否定できない。恥ずかしくってもう熱さのあまり、背中から腰までがじっとりと汗
ばんですらいた。
「そんなわけだからさ。うん。俺としては……もうちょっと二人で会える機会は増やした
いな、とは思ってる。二人っきりじゃなくても、クラスの連中とか一緒でもいいし。とに
かく、その……もうちょっと椎水のことを分かってから、あらためてちゃんと気持ちは伝
えたいなと、まあ、そんな感じ?」
 一気に言い終えると、別府は顔をそらす。恥ずかしいのか、それとも私の反応が怖いの
か、表情からはうかがい知れなかった。
『ハァー…… アンタも煮え切らないわねー。好きなら好きってはっきり言えばいいのに。
そんなんじゃかなみんだってがっかりしちゃうわよ』

1352/72017/03/05(日) 23:26:47.770
「うるせえな!! お前がここまで追い込むから仕方なく言ったんだよ!! 俺だってホ
ントは、もうちょっと心の整理がついてから言いたかったさ!!」
 透子の呆れたようなツッコミに、別府が怒鳴り返す。ていうか、私の気持ちを勝手に代
弁しないで欲しい。
『と、いうわけなんだけど、どお? かなみんは』
 ようやく透子が私を解放してくれて、私はプハッと息をついた。口を押さえられていた
からというよりも、緊張の方でほとんど呼吸できていなかったことに今更気付く。
「ど……どおって……言われても……」
 まさか、今度は私が別府をどう思っているのか話せというのだろうか? そんなの絶対
無理に決まってる。ましてや、別府の気持ちを知らされた以上、答えも分かっているというのに。
『んー……そうか。まあ、あんなあいまいな告白じゃあ、女子としちゃ微妙よね』
「う、うるせーな。まだ正直、知らないことが多すぎるんだし、仕方ないだろ。つか、そ
の……もうちょっと、慎重に進めたいし……」
 意味ありげな視線を送る透子に、別府は腐ったような表情で言い訳する。その態度に、
透子が面白そうにクスッと笑った。
『はいはい。気持ちはよく分かったけど、タカシとしては今後どうしたいわけよ? それ
をちゃんとかなみんに伝えないと』
「うっ…………」
 別府が渋い表情をする。どうやら、今この場では言いたくなかったことらしいが、さす
がは幼馴染の従兄妹である。そんなことはどうやらお見通しだったらしい。
「……いや。まあ、その……ちゃんと機会をつかんでから、とは思ったんだけどさ。椎水
さえ良ければ……ふ、二人でどっか遊びに行けたらな……じゃなくて、あ、遊びに行けな
いか? まあ、二人きりな嫌なら、他の連中が一緒でもいいけど……」
 照れくさそうなその申し出に、やや冷めかかっていた体の熱が、また一気に上昇する。
心臓が痛いくらいにギューッとなってクラクラしつつも、私は何とか倒れずに踏みとどまった。
『ごめんね。これ引き出さずにさっきは聞いちゃった。で、どお? うちのタカシは。と
りあえずお友達程度から付き合ってみない? 身内のひいき目抜きにしても、まあまあい
い男だと思うよ? これでもチアリーディング部1年女子では多分人気No.1の透子さんお
墨付きなんだけど』

1363/72017/03/05(日) 23:27:14.770
「多分ってなんだよ。多分って。大体普通そんなこと自分で言わないし、そもそもどこか
らそんな根拠持ってきたんだっての」
 胸をそらせて両手を腰に当てる透子に、別府が即座にツッコミを入れる。デートの申し
込みの最中に余裕があるなとかそんなんじゃなくて、多分もう条件反射なんだろう。
『裏で出回ってる写真の売れ行きとか、SNSの書き込みとか色々とねー。新聞部にも仲の良
い子がいるから、そういう情報は回ってくるのよ。それに、自信って大切なんだから』
 全く悪びれる様子もない透子に、別府は呆れてため息をつく。
「そーかいそーかい。そりゃ、良かったな」
『あ。そんな興味なさそうなこと言って。タカシだって周りの男子から言われてるくせに。
嬉しいでしょ? あたしが人気あると』
「お前は見た目と愛想の良さだけは認めてやるけどな。あとが残念だから、正直だまされ
てる奴ら見てるとかわいそうに思えてくるよ」
『あとが残念って何よそれー。すっごい失礼なんだけど』
 またしても始まった二人の漫才に、今度ばかりは私も止める気はなかった。むしろ、こ
のまま続いてくれて、返事がうやむやに出来たらな、なんて期待もしてしまう。私的には、
申し出とかなしにたまたま行き会ったときにお茶して帰る、くらいから始められたほうが
良かったのだ。別府ももしかしたら、そういうのを望んでいたのかもしれないし。
『ま、いいや。それより今はかなみんだっけ』
 残念ながら、透子の方でスパッと打ち切って、私の方に注意を戻してしまった。同時に、
別府も私の方を向く。
「いや。透子はああ言ってるけどさ。別に、今返事くれなくてもいいざ。急に振られて困っ
てるだろうし。まあその……嫌だって決まってるなら、今言ってくれたほうがいいっちゃ
いいけど……」
『い、嫌なんて、そんなことは――』
 自信なげな別府の言葉に、私はうかつにもとっさに反応してしまった。すぐに気付いて
手で口を押さえるが、もう後の祭りだ。せっかく別府が逃げ道を作ってくれたのに、自分
でそれを潰してしまうなんてバカすぎる。透子の方にチラリと目線をやると、めちゃくちゃ
ニヤニヤしてるし。すごく頭に来るけど仕方がない。

1374/72017/03/05(日) 23:27:40.390
『…………そ、その……べ、別に今ここで断るほど嫌じゃないっていうか……私だって、
まだそんなに別府のこと知らないし……だからその……もし誘ってくれるのなら、その時
都合が良くて、私が行きたいなって思えるようだったら、付き合ってもいいかなって……
い、言っとくけど、こっちから誘ったりはしないからね!!』
 最初は、と心の中でだけ付け加える。なんかすごく偉そうな物言いで別府がイヤな気分
になったりしないだろうかと心配だったが、彼は安心したように微笑んでくれた。
「分かったよ。ま、エスコートは男の仕事だしな。椎水が興味引きそうなお誘いを考えて、
あらためて申し出るから、その時はよろしくな」
 別府が差し出した手を、私は自然に握って握手した。
『フン。もし興味がわかないようなお誘いだったら、即ダメ出しだからね。しっかりと肝
に銘じておきなさいよ』
「椎水は要求厳しそうだからな。ちゃんと真面目に考えるよ」
 苦笑する別府に、私もようやく心がほどけて、笑顔を返せた。まだ体は熱いけど、今は
ドキドキよりも安堵と嬉しさの方がずっと勝っていた。
『おめでとーっ!! これでかなみんは晴れてタカシの彼女だねー!!』
 いきなり横から透子に勢いよく抱きつかれて、私は思わずよろけて倒れそうになる。
『ちょちょちょ、ちょっと待ってよ!! 彼女って……まだ付き合うって決めたわけじゃ
ないし!!』
『いやいやいや。二人きりでデートするってことは、お付き合いでしょ。てことは彼女で
しょ。まだ恋人ではないけど!!』
『違うってば!! そんなので彼氏彼女になってたら、世の中もっとカップル率高くなっ
てるし!! てか抱き締めないで。熱いし重いし。てかこっちに体重かけないで。倒れるから』
「お前、そのスキンシップ癖やめろって。誰彼構わずボディータッチするから、勘違いす
る奴続出するんだっての。特に俺が!!」
『ええ〜…… 抱き締めるのは男子じゃタカシだけだし〜……握手とか背中叩いたり頭な
でたりはするけど〜』
 別府の非難に抗議する透子の口調がなんかちょっとおかしい。弱々しいというか張りが
ない。それになんか、体もすごく熱いし、抱き締められてるというより寄りかかられてい
る感じだ。

1385/72017/03/05(日) 23:28:45.020
『あれ? ちょっと、どうしたの透子。なんか変だよ』
『うん。何でだろ…… なんか、かなみんが彼女になって安心したら…… 急にクラクラ〜
って……まあ大丈夫だろうけど……』
 しかし、明らかに透子から伝わってくる熱は普通じゃなかった。さっき体押さえられて
た時に感じてた熱も、恥ずかしさより透子だったのかと今更ながらに気付く。
「あつっ!! お前、おでこすごい熱持ってるぞ。絶対具合悪いだろこれ。大丈夫じゃねーよ」
 手の平で透子のおでこを触った別府が、驚きの声を上げる。するとそれに、透子がハッ
と気付いたように返した。
『あ……そういえば、チア部の練習、早退したんだっけ…… なんかフラフラするからっ
て……保健室行って……熱測ったら……確か、38度5分って……』
「待て待て待て。38度5分って、普通にヤバい熱だろ、それ。何でこんなところでヘラヘ
ラ会話に参加してんだよ。とっとと帰らないとマズいだろが」
『いやー。そのつもりだったんだけどさ。何かタカシが噂の女子と修羅場ってるような光
景が見えてさ。これはやはり、従妹としては参加せざるをえない、みたいな』
「アホかー!! てか、アホなのは分かってはいたけど度合い超えてるだろ。そもそも普
段の通学路使うなよ。タクシー使えって。こんな状況なんだから、おばさんだって出して
くれるだろ」
『いやー。そもそも手持ちなくってさ。まあ、駅まで出れば、ほら。あとは電車とバス使
えばいいし、みたいな』
 別府は、ハー……と、大きなため息をついてから、首を大きく左右に振って私の方に向き直る。
「俺がコイツをバカだバカだって言う理由、分かったろ。後先考えないし、根拠もなくポ
ジティブだしさ。小遣いだって配分考えずに使うから、いざって時に財布に金ないし」
『失礼な。500円はあるわよ。多分、10円以下も計算に入れればだけど』
 私にもたれかかって完全に気力を喪失したように見えても、別府に言い返すのは忘れな
いらしい。もっとも、それが何の意味も持たないのが悲しいところだが。
「それじゃタクシー乗れんだろが。仕方ねーな。俺がタクシー呼ぶから待ってろ」

139ほんわか名無しさん2017/03/06(月) 03:23:23.380
あ、連投規制かな?

1406/72017/03/06(月) 06:10:52.840
 スマホを取り出していじりだした別府のそばで、私は透子の支えになりながら何にも出
来ずに状況を見守るしかなかった。すると、それに気付いた別府が軽く頭を下げる。
「悪い、椎水。透子がバカなばかりに、支え役までやってもらって。タクシー呼んだら変
わるからさ。それまで、もう少し我慢しててくれ」
『……あ、うん……』
 周りを見ても腰掛ける場所一つない。本当は横にしたほうがいいのかもしれないけど、
適当な場所がない以上、こうして私が支えてるしかなかった。
「ホント、ごめん。ここでつかまえるより駅の近く行った方が早いからさ。5分だけ我慢し
ててくれ」
 別府の頼みに、私はうなずいて見送るしかなかった。すぐ耳元で透子が呼吸を繰り返し
ている音が聞こえる。
『あー…… かなみんのほっぺた、冷たくてやわこくて気持ちいー……』
『ちょ、ちょっと!! 顔くっつけないでってば!!』
 こっちからしてみれば、当然熱いわけで、しかし病人相手に荒っぽく振りほどくわけに
も行かず、私は言葉で抵抗しつつも実際はされるがままになっていた。
『まあまあ。いいじゃない。かなみんはタカシの彼女なんだしさあ…… ていうことはも
う、身内も同然じゃない』
『その理屈、最初から最後までまるっきり意味がわからないんだけど。まず、まだ彼女に
なってないし、付き合ったからって身内になるわけでもないし、身内の人間になら熱っぽ
い顔押し付けられていいってわけでもないし』
 そう非難されても、ニャハハ、と笑うだけで一向にやめようとしない透子に、私はため
息をつく以外なすすべもないのだった。
『うーん…… とりあえず、タカシをよろしく……って感じかな?』
『より意味がわかんなくなった。だから、とりあえずちょっと……まあ、その……デート
っぽいことをしてみようかって約束しただけで、なんで結婚するみたいな感じになってん
のよ。おかしいでしょ』
『大丈夫。かなみんはきっと、タカシと上手く行くよ。だから、安心して……もうちょっ
と、素直になってもいいんじゃないかなぁ……』
『何が大丈夫なのよ。大体、別府はともかくとしても、透子は今日始めて知り合ったばか
りだし。お互い、全然知らない同士で、どうしてことが言えるのか全く理解できないんだけど』

1417/72017/03/06(月) 06:13:28.120
 ただ一つ、私は理解した。別府の言う、根拠のないポジティブってのは、間違いなく正
解なんだなと。
『さっきのやり取りで、もう十分に分かったし。かなみんはタカシの嫁!!って』
『……ダメだもう。何言っても聞かないし……』
 ハア、ともう一つ、大きくため息をつく。それにしても、黙っていればアイドルみたい
に可愛くて、ついさっきまではライバルに引っかかることすら出来ないと諦めていた対象
だったのに、まさか別府と付き合う縁結びをしてくれるなんて、ちょっと信じられない。
その点では透子の強引さっぷりに感謝しなければならない。
『……かなみんさ……タカシのこと、よろしくね。色々と口うるさいし……頭固いところ
もあるけど……女の子によく気を回すし……ホント、いい奴だから……』
『だからさ。よろしくって言われても……お互い、まだこれからなんだから――』
 否定しようとしたところで、透子が抱き締める力を強くする。同時に、不満気な顔で私を見た。
『わかってるくせに。私と一緒にいるのを見て、あれだけ嫉妬しちゃってるんだから……
もう、気持ちなんて決まってるんでしょ? タカシだってそう。ただ、かなみんの態度を
みて、急ぎ過ぎないようにって気を遣ってるだけで、一回デートすれば、次はまたその次
はってなってくのに』
 その指摘に、反論したくても私は出来なかった。透子の指摘は全く正しくて、恥ずかし
さを隠すために否定したって、何の意味も持たないことを。


続く

>>139
食らいました。なので、次回で終わりかと思ってたけど、二回に分けるかもです。

142ほんわか名無しさん2017/03/11(土) 18:36:00.930
おつんでれ!

143ほんわか名無しさん2017/03/20(月) 23:49:46.990
>>141の続きです
6レスだけど連投規制食らうので、途中で一度間を空けます。

1441/62017/03/20(月) 23:50:25.590
・ツンデレの勘違い〜その6〜

「悪い。お待たせ、椎水」
 不意に車道の方から声がしたので顔を上げると、タクシーの窓を開けて別府が声を掛け
てきていた。すぐにドアが開き、別府が降りてくる。
「ほら、透子。もう行くぞ」
 私に絡み付いていた手を引きはがすようにほどくと、自分の肩に掛けた。腰に手を回し
て私から離すと、そのまま車へといざなう。
『あの……とりあえず、お大事に』
 タクシーに押し込まれるように乗り込む透子に声を掛けると、手をひらひらと振って答
えてくる。透子を乗せ終えると、別府は意外にもタクシーから離れて私の方に寄って来た。
「あのさ。何か変な展開にしちゃってゴメンな。特にうちのアホが迷惑かけて」
『あ、うん。それは……大丈夫だけど……』
 頭を下げる別府に、慌てて手を振ってしりぞける。私だって勘違いで別府に冷たい態度
を取って嫌な気分にさせたので、お互い様だ。
「落ち着いたらさ。ライングループ作って招待するから。二人だけのじゃないと、連絡取
り合えないし。椎水は、その……流されて承諾したのかもしれないけどさ。とりあえず、
一度さ。ミスドとか、そういうところで軽く話そうぜ。今日のお詫びも兼ねて」
『お詫びだなんてそんな、別府は全然気にしなくていいってば。あ、その……行くのは全
然構わないけど……』
 気を遣ってくれてるのかと思い、とっさに断ってから私はすぐに言葉を付け足す。誘い
自体が嫌だと誤解されるのは冗談じゃない。せっかく上手く行きかけてる仲を自分から壊
すなんてありえないし。
「そっか。じゃ、とりあえず俺は行くから。また明日学校でな」
『うん…… それじゃあ、また明日』
 手を振ると、別府は笑顔でうなずいてタクシーに乗り込んだ。窓越しに、透子が絡んで
いるのが見える。きっと、私と何を話したのか問い詰めているのだろう。風邪でフラフラ
なのに、よくあんなバイタリティがあるなと感心する。
『じゃあね。明日から……よろしく』

1452/62017/03/20(月) 23:50:58.570
 聞こえないのに、走り去るタクシーに向かって、私は小さく挨拶をする。そして、一つ
大きなため息をついた。
――信じられない…… まだ(仮)だけど……別府と、付き合えるなんて……
 両手で頬をパン、と叩く。うん。痛い。夢じゃない。自然と顔がニヤつきそうになるの
を、他のことを考えて懸命に抑える。家に着くまでは、我慢だ。そうは言っても、私は別
府とのこれからを想像せずにはいられないのだった。


 翌日。教室のドアを開けた瞬間、友香ちゃんが飛んで来た。
『おはよーかなみん!! てかマジで!? ホントに!?』
『は? いや。マジって何が? てか、かなみんって何?』
 昨日までは普通に名前呼び捨てだった友達に、あだ名で呼ばれて私は戸惑った。こんな
呼び方、昨日透子にそう呼ばれるまでは、誰にもされていなかったはずだ。
『いやいやいや。ごまかしたい気持ちは分かるけどね。もうみんな知ってんのよ。付き合
うんでしょ? 別府と』
『は……はあああああっ!?』
 驚きのあまり大声を上げてしまう。同時に、周りにわっと5、6人の女子が群がってきた。
『聞いたよかなみん。やるじゃん。別府君となんて』
『いやいや。私は分かってたけどね。これまでもいい雰囲気っぽかったし』
『あっちから告ってきたらしいじゃん。どうなの? 男子からさ。付き合ってくれないかっ
て言われるの?』
『別府にさ。どこが好きだって言われたの? 見た目が好みとか? それとも性格?』
『うらやましー。あたしも一度でいいから男子に告白されてみたーい』
 四方八方から質問が飛んできて、どれに対処していいやら分からない。というか、一体
これはどういう事態だ。昨日の今日でなんでクラス中に噂が飛び交っているのだ。
『ちょちょちょ、ちょっと待ってよ!! 何か誤解もあるし……』
 とりあえず周りを制しようとするが、それは却って質問を煽る結果になってしまう。
『誤解ってなによ。付き合い始めたんでしょ? 今更ごまかすのなしだって』
『もうね。今朝からみんな、その話で持ちきりなんだから。まさか、こんなに早く付き合
いだすなんてねー』

1463/62017/03/20(月) 23:51:39.040
『いやいや。あたしはいずれこうなるとは思ってたね。ちょっと前も二人で帰ってるの見
たし。にしても、早かったとは思うけどね』
 てんでに話す女子達を前に、私は羞恥と混乱の最中にいた。何でこんな噂になっている
のだろう? まだ実際にやったのって、昨日ラインのグループ作っただけなのに。
『待って!! 待って待って待って!! そんな、付き合うって……と、とりあえず一回
お茶しようかって誘われただけで……何でそんな噂になってんの!?』
 必死でみんなを制すると、女子達はキョトンと顔を見合わせる。それからニヤニヤした
笑みを浮かべると、一人の子がスマホをいじりだすと、画面を私に向けて差し出してきた。
『え? だって夕べ透子がさ。こんなこと書き込んできたから』
 見せられたのはラインの画面だった。そこには、大喜びのスタンプと共に[やったー!! 
ついにタカシにも彼女出来たよー!!]との書き込みがあった。
『あ……』
 あとはもう、どんな子だとかどっちが告白したのかとか質問と答えの応酬が繰り広げら
れ、昨日の経緯はほぼもうあらかた書きつくされていた。
『ちょっ……っと…… べ、別府は!? 来てる?』
 私が別府の名を出したことでわっと周りが盛り上がる。しかしそんなことに構っていら
れず、私は教室内を見回した。
『別府君ならもう来てるよー。ほら。あそこで質問攻めにあってる』
 教えてくれた子が指差すのと私が見つけるのはほぼ同時だった。男子のみならず、女子
にも周りを取り囲まれ、はやし立てられている。
『ちょっとごめん。別府!!』
 大声で呼びつつ別府の方に近づいていくと、囲んでいたクラスメート達が一斉に私を見る。
『あ。嫁が来た』
 真っ先に反応したのは、友香だった。
『誰が嫁よ!! まだ何にもなってない!!』
 ヒューヒューはやし立てる声に構わず、私は別府の方に真っ直ぐ向かう。みんなが通り
道を空けてくれたので、すんなり私は別府の前に行くことが出来た。
『どういうこと!? なんでこんなんなってんの?』
 問い詰める私に、別府は困る様子もなく軽く肩をすくめる。

1474/62017/03/21(火) 01:29:54.720
「想定内だよ。つか、昨日タクシーの中で一応釘は刺したんだけどな。あいつがそんなの
聞くわきゃねーし」
『だって昨日、透子って高熱出してフラフラだったよね? 帰ってすぐ寝たんじゃないの?』
「そう思うか? 昨日のあの様子見ても。自分の体調そっちのけで俺らに構いまくってたっ
てのに」
 そう答えられると確かにそうだ。うんざりする気分で、思わず片手で目を覆う私の背中
を誰かが軽く叩いた。
『良かったじゃん。かなみ。いろいろ誤解とかあったみたいだけどさ。最終的には上手く
行って。あたしもお似合いだと思うよ』
 友香の声に、私はパッと反応して振り向く。
『ちょっと待って!! 誤解があったみたいでって…… みんな、どこまで知ってんの!?』
『え? だってかなみって、別府と透子が恋人同士だって勘違いしてたんでしょ? それ
で嫉妬して避けてたって。確かに、最近なんかかなみが別府によそよそしいねってみんな
噂してたんだけどさ。理由を聞けば、あ〜……って』
「女子同士だけのグループだから俺はどこまで書いたのかなんて知らないけど、多分1か
ら10まで書いた上に、余計な脚色まで加えたと思うぞ」
 私の脳裏には、してやったりの顔でウインクしてくる透子の姿が浮かんだ。いずれはバ
レるにしても、せめてしばらくはこっそりと仲を深めたかったのに。これじゃあ最悪、上
手く行かなかった時なんて大恥だ。
『ちょっと別府!! 透子って何組よ!! 全く、まだ何にも始まってないのに余計なこ
とばっか言って。文句の十や二十も言ってやらないと収まらないわ』
 別府に詰め寄ると、彼は呆れて首を振った。
「今日は休みだって。ただでさえ熱あんのに、大人しく寝もしないで一晩中スマホいじっ
てたから悪化した。あいつのスマホは俺が預かってるし、今頃はおばさんにベッドに縛り
付けられてるんじゃね?」
『ホント、バカよね〜 透子ってば、いっつも後先考えずに行動してさ。大人しくしてた
ほうが絶対治り早いのに、やりたいことばかり優先するから』

1485/62017/03/21(火) 01:30:19.830
「あいつ見てると、バカは風邪引かないんじゃなくて、風邪引いてもそれに気付かないだ
けなんじゃないかって思えてくるよ」
 呆れつつ笑う二人を見て、私は友香をうらやましく思った。彼女は別府と中学も一緒だ
から、私の知らない別府も見ているのだ。そんなこと思ってもしょうがないのは分かって
いるけれど、感情というのはどうしようもないものだ。
『安心して、かなみ』
 急に友香が両肩をがしっとつかんできて、私は突然のことに驚きを隠せなかった。
『え? な、なに? 安心してって……』
 戸惑う私に、友香は真剣な眼差しで首を振る。
『透子ってば、面白いからって理由だけで絶対色々ちょっかい出してくるからね。特にか
なみはいじられる体質だし。でも、別府とのデートの時はあたしらが絶対邪魔させないよ
うにするから』
『えー……えーと、その…… いや。ありがたいけど……』
 救いを求めるように別府を見やると、おどけた表情のまま、無言で肩をすくめるだけだった。
『ちょっと!! この状況何とかしてよ!!』
 救いを求めて怒鳴りつけると、周りのクラスメートが待ってましたとばかりにはやし立
てる。恥ずかしくて別府から視線をそらすと、今度は間近に友香の顔があった。彼女は、
安心してとばかりにニッコリ笑う。
『旦那に救いを求めるのは結構だけどさ。あたしのことも信用してよ』
 そう言われると拒絶するわけにも行かず、私は戸惑い気味にうなずく。
『いや、まあ……し……信用はしてるけどさ……その……』
 すると友香は嬉しそうな顔でうなずいた。
『よしよし。だから、別府とのデートの日時はちゃんと連絡するのよ。でないと、透子の
妨害も出来ないからね』
 一瞬うなずきかけた私は、それがどれだけ恥ずかしいことかに思い至って、首を大きく振る。
『それは無理!! 絶対無理!! てか、先行きのデートなんて何にも決まってないし、
私達まだそこまでも行ってないんだから!!』

1496/62017/03/21(火) 01:30:57.910
『またまたあ。そこまで奥手にならなくてもいいんだってば!! てか、別府がそこは男
見せないと。かなみは後ろ向きな性格なんだから、ちゃんと引っ張ってあげないと』
「そこで俺に振るなよな!! 言われなくてもある程度は考えてるって。ていうか、今度
はお前らが邪魔しに来るんじゃねーだろな」
『邪魔だなんてとんでもない。大人しく見守るだけだってば。ねー』
 周りからは同意の声と笑い声が響き渡る。どうやら、どう転ぼうが別府との仲が静かに
進展していくことだけはありえないんだなと、私は絶望のため息を漏らすのだった。


終わりです。

150ほんわか名無しさん2017/03/23(木) 07:37:33.550
>>149
乙んデレ!
長い間楽しませてもらってありがとう

151ほんわか名無しさん2017/04/01(土) 22:17:50.830
>>149
乙!
からかわれるツンデレさんは可愛いなぁ

152ほんわか名無しさん2017/04/08(土) 09:09:51.140
アップローダにアクセスするとファイルが破損とかサギっぽいのが出るんだけど何とかならん?
どうしても拾いたいファイルがあるんだけど

153ほんわか名無しさん2017/04/08(土) 12:09:59.060
ろだはだいぶ前から使えなくなってるんだよなー。管理してた人とも連絡つかないしどうしようもなさそう

154ほんわか名無しさん2017/04/08(土) 13:30:24.870
>>153
そっかぁ・・・うーん
長編倉庫で未完結の奴の続きが気になってググったら完走してたみたいで
本編とオマケと後日談がロダにアップしてあるって書いてたからぜひ見てみたかったんだけど

155ほんわか名無しさん2017/04/08(土) 17:59:35.260
ツンデレなお姉ちゃんとお花見行きたい
ショタ俺がはぐれちゃいけないから手繋いでって言ったら

「む、仕方ないから手を繋いでやる」

「はぐれると面倒だからな」

「まったくお前はいつまで経っても、男らしさの欠片もないな」

「私としてはもう少し男らしい方が…ゴニョゴニョ…なっ、なんでもない!///」

とか言うやつ

んで、なんやかんや一悶着あってちょっとした男気の片鱗を見せると
コロッとデレちゃう感じで

俺がまた来年も来たいねーって言ったら
「お前はホントに姉離れが出来ない駄目な奴だな!」
とか言いながら手ギュッと握ってめっちゃ喜んでるみたいな妄想

156ほんわか名無しさん2017/04/08(土) 19:47:00.350
みこちんかわいい!

157ほんわか名無しさん2017/04/09(日) 03:26:07.060
>>154
どのSSか教えてくれれば、拾えるかもしれん
ほとんどのログは取ってるし


>>155
こんなお姉さんが欲しいです……

158ほんわか名無しさん2017/04/09(日) 15:24:03.710
>>157
おぉぉ、まじか助かる!となりのてんしってやつなんだけど

これが最終回っぽい
ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら454.75
ttp://jfk.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1226176295/

792にロダの455〜458になんか全部あるって書いてる
全部入ってるのはメインだけでかもだが

159ほんわか名無しさん2017/04/11(火) 17:45:12.230
ツン姉ちゃんいいな,,,
あとツンデレ&デレデレとかあったよねー
懐かしい,,,

1601572017/04/14(金) 02:49:39.720
>>158
ログ漁ってみたが、18が見つからず、22も規制中とかで線路に上げたのだけだったので拾えませんでした
そつぎょうしき前の最後の回も25までしか拾えずで、歯抜けじゃ意味ないかなと

期待に沿えず、申し訳ない

161ほんわか名無しさん2017/04/14(金) 06:35:13.280
>>160
探してくれてありがとう!
さすがに7〜8年前のだし、難しいよね
読めなかったところは妄想して楽しむよ

162ほんわか名無しさん2017/04/18(火) 22:24:19.510
無いと言われるとどうしても欲しくなるよね!
古いPCからデータをサルベージしてきた
あと需要がないだろうが黒歴史をまとめて大放出だ!

ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1221928.zip.html

お探しのファイルは長編物に入ってるよ!

163ほんわか名無しさん2017/04/18(火) 22:25:02.540
あ、ぱすは「tundere」です

164ほんわか名無しさん2017/04/18(火) 23:11:15.240
すげえなww横から失礼しちゃうぜ

165ほんわか名無しさん2017/04/20(木) 00:27:24.380
横から頂きました
大放出ありがとう

166ほんわか名無しさん2017/04/21(金) 21:47:23.000
これは懐かしいww

167ほんわか名無しさん2017/04/22(土) 21:34:44.970
おお!!ありがとう!
これはいいw

168ほんわか名無しさん2017/04/23(日) 04:22:20.050
>>162
横からですがいただきました
ありがとうございます

169ほんわか名無しさん2017/04/30(日) 12:13:55.080
書き溜めてたまま未投下になってた妄想を投下します
また長いですが
シリーズ物で登場人物多めなので、過去に投下したもののうち一部をろだに上げました。
人物関係とかはそちらで確認を

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1232445.zip.html
pass:senpai

1701/42017/04/30(日) 12:14:21.440
・ツンデレの目の前で他の女子の髪型を褒めたら〜その1〜

『おっはようございまーす』
 部室にハイトーンの元気良い声が響き、中にいた僕らは一斉に顔を上げた。視線の先に
はショートカットでやや色の黒い活発そうな女の子と、その後ろにコントラストのように
色の白い大人しめなイメージの女の子が立っていた。
「よお、千種ちゃん。静内も」
『あれ? 結構揃ってますね?』
 千種ちゃんが首をかしげるのも無理はない。今日は部活動の日ではないので本来は部室
に寄る必要はないからだ。今部室にいるのは、真っ先に返事をした部長の朝比奈さんと同
じ3年の広上さん、野上さん。それにさっきまで僕と一緒に授業を受けて一緒に部室に寄っ
た脇谷君と調ちゃんだ。
「ああ。俺ら、ちょっと打ち合わせがあってさ。俺と野上はどっちみちゼミもあるし」
『そなんですか。あたしら、学校来たら休講の張り紙が出とったもんで、瞳美ちゃんと学
食でお茶しとったんですけど、間が持たんくなったもんで、部室でゆっくりしよかって』
『ほお? 一年もようやく部室が落ち着ける場所になってきたか。馴染んできた証拠だねえ』
 野上さんが笑顔でうんうんとうなずく。
『アハハ。最初のうちは入るのも遠慮しいしいだったんですけど、最近はちょっと学校の
中にこういう場所があるとええなあていうのは分かってきました』
 彼女の言葉に同意するように静内も微笑んで、それから僕の方を見てほんの軽く、頭を
下げた。僕らは高校の時も部室によく集まっていたから、同意を求めるようなそんな意味
合いなのだろう。その時僕は、わずかに揺れた彼女の髪が肩先で綺麗に切り揃えられてい
ることに気が付いた。
「あれ? 静内、もしかして髪切った?」
 僕の問いに、彼女は少し笑ってうなずいた。以前は確か、肩甲骨を覆うくらいまでは伸
ばしていたはずだ。ちなみに、以前さん付けで呼んでいた彼女の苗字を呼び捨てにするよ
うにしたのは、後輩にさん付けはおかしいだろうという、周囲からの指摘によるものである。
『おー。別府君、気付くの早いじゃん。さっすがぁ』
 広上さんが揶揄してくるので、僕は抗議の視線を送る。
「何がさすがなんですか。意味分かりません」

1712/42017/04/30(日) 12:14:42.410
「いやぁ。静内のことになると早いなあって、そういうことですよね。莉緒先輩」
 隣にいた脇谷君が早速乗っかってくる。広上さんは彼の方を向いてうんうんとうなずく
と、わざとらしく意味深な顔をした。
『いーじゃんいーじゃん。いいと思うよ? 気になる女子の気を引こうと思ったらね。髪
形変えたとか、そういうところに敏感に気づいてあげるのはポイント高いよね?』
『ま、そこでくだらない指摘したら台無しだけどね』
 野上さんが冷静に口を挟みつつ、一瞬だけ視線を朝比奈さんに走らせたのを僕は見逃さ
なかった。どうやら、過去になにかあったらしい。
「いや。スッキリしていいと思うけど。静内のイメージにも合ってるし」
『ありがとう、ございます。そう言っていただければ、嬉しいです』
 控えめにお礼を言って、彼女は小さくうつむいた。それを聞いて脇谷君がさらにからかっ
てくる。
「さっすが。モテ男は違うよな。全く、世の中結局草食系かよ」
『ひがまないひがまない。そんな暇あったら、ワッキーも別府君を見習って女の子の扱い
方勉強しなよ。そうすりゃ、少しはモテるかもしれないし』
 ポムポムと頭を叩いてたしなめる調ちゃんに、脇谷君がブスッとした顔つきをする。
「そりゃそうだろうけどよ…… つか、現状、俺全くモテてないってことかよ? そりゃ
ヒドくねえ? ちょっと」
『あら? じゃあ現状、少しはモテてるとでも? 現実を客観的に見て、自分でそう言え
るのかな?』
「グフッ…… いや、その……だな。俺の前ではおくびにも出さないかもしれないけど、
もしかしたら俺のこともいいかなーとか思ってる女子がいたっていいんじゃねっていう話
で……」
『そんな可能性の話じゃ、ねえ…… 少なくともあたしは知らない、しー』
「お前、結構物言いキツいよな。なあ、別府」
 同期同士の遠慮のない会話に、僕は苦笑してみせる。
「調ちゃんはサバサバしてるから。まあ、ほら。椎水さんの毒舌に比べれば全然大したこ
とないと思うよ。いつも食らってる僕からすれば」
 つい、先輩のことを持ち出して比較対象で調ちゃんをフォローする。しかし、得てして
こういう時は話題の対象が来たりするものだ。

1723/42017/04/30(日) 12:15:03.060
『何よ? 誰の毒舌がヒドいって?』
 背中から、トゲのある声が僕の耳に飛び込んできた。
『あ、かなみさん。おはようございまーす』
『椎水さん。どうも、おはようございます』
『あ。おはよ。先輩方もおはようございまーす』
「よお、椎水。お前はどうした? 授業で来たけど、めんどくさくなってバックれたとか?」
『朝比奈さん!! あたしのことどう見てるんですかっ!! あたしはそんなダメ人間じゃ
ありません。3限は空き時間だから、ちょっと時間つぶしに来ただけです』
『あたしと同じだもんね。ていうか、ドイツ語の課題やって来たの? それともあたしの
ノート当てにしてた?』
『ちょっと。今、それ言わなくたっていいじゃないのよ!!』
 慌てる先輩に、周囲が笑う。すると先輩は、それをごまかすように僕の方に向き直って
睨みつけた。
『で、そうよ。別府君。さっきのは一体、どういう意味なのかしら? あたしの口が悪いっ
て、そう言いたいわけ?』
 高圧的な態度だが、まわりはほとんど慣れているから空気が緊張することはない。むし
ろ痴話げんかとはやし立てるくらいだ。
「比較としての話だって。脇谷君が調ちゃんの物言いに遠慮ないって言って同意を求めら
れたから、それなら椎水さんの方が厳しいよってそういう話。自分だってその程度の自覚
くらい、あるでしょ?」
 先輩はムッとした様子はそのままながらも、一瞬口をつぐんだ。ここで即座にそれを否
定しても、周囲の同意を得られないだけの自覚はあったようだ。
『確かに、口調が厳しいのは認めるわよ。だけど、基本的には言わせるアンタに問題があ
るんだからね。いちいちいちいち正論ついてムカつく言葉並べ立てるから、文句の一つも
言いたくなるのよ』
「まあねぇ。別府が理屈っぽいってのは確かだけど」
 脇谷君の控えめな同意に、先輩はパッと顔をほころばせて彼の方に向き直った。
『さすがワッキー。分かってくれるよね? そもそも別府君の方が遠慮ないのよ。さらっ
と、一番人が聞きたくないような言葉を口に出してくるんだから。そりゃこっちだって文
句の10や20も言いたくなるわよ』

1734/42017/04/30(日) 12:15:43.360
『でもさー。かなみのそれって、許されてるラインが分かってて言ってる感がするんだよ
ねー。別府君ならここまでは怒らない、みたいな。何かむしろ以心伝心って感じで』
 また調ちゃんが余計なことを挟んでくる。何もわざわざそこで先輩をいじり倒さなくて
もいいのにとちょっと苦々しく思うと、先輩は予想通りの反応を返した。
『何で以心伝心なのよ。こんな奴と気持ちが繋がってるわけないでしょ!! 気持ち悪い
こと言わないでって、いつも言ってるじゃない!!』
『でもさぁ。いずれにせよ、別府君が優しいから怒らないって分かってるからそこまで好
き放題言えるんだよね。甘えちゃってるんじゃないのかなぁ? それって。どお?』
 今度は広上さんがツッコんでくる。こうなるともう、どうしようもない。
『甘えてませんでば!! 何でそういう風に見えるんです。単純に不快なだけですから』
『どうかなあ? 実際、本当に嫌いだったらそこまでは言わないと思うよ。私なら白い目
で見るだけで、スルーするし。むしろ絡みたくない、みたいな』
 野上さんの意見に、調ちゃんが嬉しそうにうなずく。
『ほら。やっぱそうだ。構って欲しいからあえてキツいこと言って、会話しようとしてん
でしょ。やらしいな、もう』
『な、何バカなこと言ってんのよ調。そんなわけ、あり得ないでしょ。変なことばかり言
うと、縁切るわよ』
『ほう。では、ドイツ語のノートはいらないと』
『ふぐっ!! 今それ言うなんて卑怯すぎる』
 弱点を突かれてうめく先輩に周囲が笑う。そんな中、一人真顔でやり取りを見ていた朝
比奈さんがボソリと言った。
「椎水。あのな」
『はい? 何ですかもう。これ以上別府君ネタはいりませんから』
 うんざりした様子の先輩をジッと見据えつつ、朝比奈さんは表情も変えずに続けた。
「いや。お前がどう自分のことを思ってるかは知らんけどさ。はたから見れば、100パー、
ボケだから。それ、自覚しといたほうがいいと思うぞ」


中途半端ですが続きます

174ほんわか名無しさん2017/04/30(日) 14:53:06.030
おつおつ!

175>>1552017/05/02(火) 11:37:19.240
「はひ、はひ、はひ……!」
『ほれほれどうした! 良い若いもんが!』
 まつりさん家の裏山。汗はだくだく、ほうほうの体で歩き続ける俺の遥か前方から、まつりさんの叱咤する声が届く。
 突然、花見に行くと言い出したまつりさん。何の用意もせずに家を出た後を追えば、俺はこの体たらくを晒すことになってしまった。
「い、いやだって、こんな、急坂……! はぁ、はぁ……! 舗装もされてないし……! 」
『関係ない! 普段から体を動かしておればこの程度、すいすい〜のすいじゃぞ?』
 そう言って、和装で文字通りすいすいと俺の所まで駆け下りてくる。彼女、普段から体を動かしている様子は無い。天狗か?
「そうかもしれませんけど……とにかく今は、もう足腰が……」
 それほど高い山ではないが、それでも2〜30分も休み無しで歩きづめだ。貧弱な現代日本人の代表である俺には限界が見えてきた。
『全く貧弱じゃな』
「返す言葉もございません……」
 全身汗みずく、顎を突き出し歩を進める。春なのに、汗だくですね。
『……む。』
「……はい」
『仕方ないから手を繋いでやる』
 ニンマリと笑ってこちらに手を差し出すまつりさん。完全に子供扱いである。
『大分登ってきたからの、はぐれると面倒じゃからな』
「く、悔しい……!」
 と、言いつつも俺はその手を握り返し、引っ張られるように山道を登って行く。
『全くお主はいつまで経っても、男らしさの欠片もないのう?』
『儂としては、もうちょいとでも男らしい方が好みなんじゃがな〜?』
 ニヤニヤとこちらを振り仰ぎながらの台詞。小柄な体にぐいぐいと引っ張られては、立つ瀬がない。
 精神的にも肉体的にも返す言葉がないまま、顔獣道のような斜面を顔も上がらず手をひかれながら登り続ける。
 ペースの変わらない歩みに、この人本当に天狗か鬼なのでは? と何度も思ってしまう。
『ほれ、着いたぞ』
 息も絶え絶えの中聞こえた声に、俺はやっと顔を上げ……息を呑んだ。
 満開の桜の巨木。
 白に近い薄紅色は、まさにまつりさんを思わせるような無垢さで二人を出迎えてくれた。
『……酒も食い物も、いらんじゃろ?』
 舞い散る桜の下、両の手で花びらを受け止めながら言う。
 来年も、再来年も、その後も。彼女に惹かれて、俺はここに来る。

176ほんわか名無しさん2017/05/10(水) 23:09:43.970
今日はメイドの日らしいです

おっぱいと腋を堪能させてくださいメイドさん!

177ほんわか名無しさん2017/05/13(土) 20:35:29.290
お題

・サンシャインちなみん

・ちなレーザー

・ワイルドちなみん

178ほんわか名無しさん2017/05/14(日) 12:13:09.470
>>176
「残り一時間切ってからいう事といえばそれですか? ご主人様
いったいどれだけ変態なんですか。雇い主とはいえど、セクハラで警察に訴えていいレベルですよ
大体ご主人様はメイドの日を何だと思ってるんですか。いいですか? 母の日といえば母親に感謝する日でしょう?
でしたら、私にだって、例えば贈り物をくださるとか、ねぎらいにどこかに連れて行ってくださるとか。
あ、いえ。例えばの話で決して私が望んでいるわけでは……ゴニョゴニョ……
と、とにかくですね!! ご主人様はいつもいつも――

〜このあと40分ほど説教〜

〜です。分かりましたか? ご主人様。
反省なすったのならいいです。でしたら、その……まあ、本来でしたらセクハラで訴えるところなのですが、
私はご主人様にお仕えするメイドですし、だから、その……日を越すまでは、ご主人様の意向に沿おうかと……
ひゃあっ!! いいい、いきなり過ぎですご主人様っ!!」


という妄想をしながら過ごした一週間であった。

1791/32017/05/14(日) 17:30:59.930
>>177

「ギリギリセーフ!ちなみのせいで今日も遅刻寸前じゃねーか」
『…私のせいにするな。キミが早く起こしに来ないのが悪い』
「…あと5分…あと5分って言ってちっとも起きなかったのは誰だっけ?」
『…えへっ』
「くっ…ま、まぁ明日からはちゃんと起きろよな。って何だ、下駄箱に何か」
『…ラブレター…的な?』
「放課後に校舎裏で待ってます…ラブレターだな」
『…どうせイタズラでしょ』
「本物だったらどうする?」
『…別に…す、好きにしたら?』
「いや、だって…彼女できたら毎朝起こしにいけないぞ?」
『…朝からキミの顔を見なくて清々する』
「そういう言い方するか?」
『…頼んでもないのに毎朝来て…いい迷惑』
「そりゃ悪かったな!彼女ができるし、明日から行かないから安心しろ」
『………』

1802/32017/05/14(日) 17:31:48.060
『ちょっとちなみ!聞いたわよ』
『…友ちゃん』
『タカシがラブレター貰ったって…いいの?』
『…私には関係ないし』
『ちなみはタカシの事が好きなんでしょ?』
『べ、別に好きじゃないし!……ただの幼馴染ってだけ…だし』
『こんな時まで偏屈しないの!先に好きって伝えないと!』
『…もういいよ………もう嫌われたし……今更何を言っても』
『やってみないと分からないでしょ!ずっと想ってたんでしょ?』
『…でも』
『ちなみの全てをさらけ出して…ね?絶対伝わるから』
『…すべてを…さらけ出す』

「どんな子だろうな…。でもなぁ…ちなみ…はぁ…」
『…待って』
「ち、ちなみ?な、何の用だよ」
『…』
「…な、なんだよ?」
『…い』
「い…?」
『…ィェェェェェェ〜〜〜イ!』

1813/32017/05/14(日) 17:33:17.470
『空前絶後のぉ!超絶孤高のツンデレ女子高生!
 タカシを愛し、タカシに愛されたい女!

 あんたのためじゃないんだからね!勘違いしないでよね!当ててんのよ!
 すべてのツンデレの生みの親!
 そう、わたしこそは!
 サンシャインちな………みに池袋に行ったことはありません!

 バスト72!体重43キロ!おっ、オナ…ニーの回数週3回!
 タカシ!タカシをお、オカズに一人でしてます!
 
 そう全てをさらけ出した、この私はぁ!
 サンシャイーン!ちな!ぼふっ!みーん!
 イエェェェェ〜〜イ!

 ジャスティーーース!』
「…」
『…』
「…」
『…本当はずっと好きでした』
「お、俺も…好きだ」
『…だ、だから、校舎裏にはいかないで』
「お、おう…。い、一緒に…帰るか?」
『…うん』
「土曜日さ…デートいくか…池袋」
『…ぁ…うぅ〜〜(///』
「しかし、週3回か」
『うわぁあぁぁ!忘れろ〜!!!(//////』

『ふふん、ラブレター作戦大成功ね!面白いのも撮れたわぁ』

182ほんわか名無しさん2017/05/14(日) 18:08:03.710
>>181
GJ

ちなみんそんなに反り返ったら重力でおっぱい潰れちゃうから

ぼふっ!

よりも

ぺたーん

の方が適切な表現ですy(ry

183ほんわか名無しさん2017/05/14(日) 21:14:12.610
>>177
ツ『かしこまりましたご主人様』
177「うおマジで!?」
ツ『はい、マジでございます』
177「ウヒョオオオいただきま〜〜」
ツ『トランキーロ、焦らずにこちらについてきてくださいませ』
177「〜す、あれ? ま、まぁ雰囲気って大事だよね。うん」
ツ『では、こちらを』
177「はぁ、切符……」
ツ『駅に向かいますので』
177「あ、はぁ(……ご休憩できる場所かな?)」
 ガタコン ガタコン
ツ『次で降りますので、ご用意を』
177「え? ちょっと待って次って両ご……」
 ――。
稀勢の里「ごっつぁんです」
ツ『つてを頼ってお時間を貰いましたので』
177「ほらああああもおおおおおそういう昭和みたいなのいらないからあああああああ!!」
稀勢の里「そう言わず、ほら」
ツ『この様な機会など滅多にございませんので。鯖折り体験をお願いしておきました』
177「やだあああああああああ!!」
稀勢の里「うす。失礼します」
177「あ、ぐぐぐ、ぐえーーーー!!」
ツ『……たっぷりご堪能下さいませ、ご主人様』(ハァハァ)
177「ぐえええええーーー!!」
 あ、やべえ、オチが思いつかない! この後177はメイドツンデレさんとお風呂でスキンシップしたとかそんな感じ。

184ほんわか名無しさん2017/05/14(日) 21:14:42.820
>>176だったわ

185ほんわか名無しさん2017/05/21(日) 10:57:54.120
>>170-173の続きをちょっと投下します

186ほんわか名無しさん2017/05/21(日) 10:58:21.240
・ツンデレの目の前で他の女子の髪型を褒めたら〜その2〜

『なんですかそれ!! つかあたし、芸人目指してるわけじゃないし!! ボケとかツッ
コミとか関係ないし!! いくら先輩でも人のこと名指しでボケとか失礼ですって!!』
 真顔で指摘した朝比奈さんとムキになって反応する先輩が面白くて、みんなに合わせて
ついつい僕も笑ってしまう。
『全くもう…… みんなしてあたしネタにして笑うのやめて下さいってば。ホント、冗談
じゃないわよ』
 僕の方を睨みつけながらも名指しで非難しなかったのは、恐らく静内さんがいたからだ
ろう。予想に反して今のところ、彼女が先輩に対してキツい態度は取っていないけれど、
先輩は油断していないようだった。
『ところで、かなみさん。もしかして、髪、切りました?』
『はい?』
 静内さんに急に違う話題を振られ、先輩はキョトンとして彼女を見つめる。他の人もみ
んな彼女に注目したのに気付き、静内さんはちょっとすまなそうに視線を伏せた。
『あの、すみません。ちょうど、お話、途切れたのかなと…… 割り込んでしまいました……』
『ううん。むしろありがとう。あたしにとっては渡りに船だわ。でも、よく気付いたわね。
ちょっとカットして形整えただけなのに』
 針のむしろから抜け出せて助かったとばかりに先輩が笑顔を見せると、静内さんも顔を
上げて表情をほころばせた。
『いえ。見て、すぐに気付きました。よく、似合ってると、思います』
 珍しく静内さんが先輩を褒めつつ、視線をチラリと僕に走らせる。それに違和感を覚え
るのと、ほぼ同時に脇谷君がはやし立ててきた。
「へー。女ったらしの別府でも、静内には勝てないんだな」
『は?』
 先輩が怪訝そうな顔を向けると、すぐに調ちゃんがフォローを入れる。
「さっきね。別府君って女子の髪型とか、変えるとすぐに気付いて褒めてくれるよねって
話してたのよ。それで女子からもてはやされるのをワッキーがひがんでたって、そういうこと」
『ふーん……』

1872/42017/05/21(日) 10:58:52.040
 先輩の視線が僕に向く。何となく咎められているような気持ちになって、僕は慌てて言
い訳を探す。
「いや、その…… 褒めるとかいう以前に、いきなり椎水さん、僕を責めてきたじゃない。
あの展開じゃこっちからは何も言えるタイミングじゃなかったし……」
『でも、男の人なら、気付かなくても、仕方ないと、思います。私は、結構バッサリと、
切りましたけど、かなみさんは、ほんのちょっとですから』
 さりげなくだが、僕が気づいていないことを前提に話を進める静内さんに、僕は違和感
を覚えた。しかしそれもすぐに、野上さんの言葉にかき消されてしまう。
『それに、かなみちゃんは褒められても別府君相手だと素直に喜ばないからねえ。気持ち
悪いとか罵っちゃうし』
『もしかして、ツンデレで気を引こうとしてるとか? でもやりすぎは逆効果だぞ』
 広上さんにからかわれて、先輩がまた不機嫌な顔になる。
『違いますってば!! 何で別府君相手にあたしがデレをみせなくちゃならないんです
か!! 意味が全く全然分かりません。そういうこと言って別府君が勘違いしたらどうす
るんですか? 全く』
『別府先輩は、そういう勘違いは、しないと思いますけど』
 静内さんが、控えめだが厳しい指摘をする。それに言い返そうとしたのか、反射的に先
輩が静内さんのほうに顔を向ける。だが、その表情を見てすぐに顔を背けてしまった。
『ま、まあ……そうであってくれれば、別にいいんだけどね。あたしは』
『ま、ま、ま。冗談だから。じょーだん。そんな二人ともシリアスにならないでよ』
 さすがにちょっとまずいと思ったのか、広上さんが二人をたしなめる。そのほっぺたに、
野上さんが手を伸ばした。
『ふぉへっ!? い、いふぁいっ!!』
『だから言ってるでしょうが。後輩からかうのもほどほどにしろって。特に静内さん、真
面目なんだからね』
 ちょっとひねりまで加えられて、さすがの広上さんも降参する。
『いふぁふぁふぁふぁふぁふぁ!! ふぁから、ふぁるかっふぁっふぇふぁ。みふぃえ!!』
『ふぅ…… 莉緒はホント、程度ってものをいつまで経っても覚えないんだから。冗談言
うにしても、相手の気持ちに立って考えないと』

1883/42017/05/21(日) 10:59:16.210
『ヒドい…… そもそもあたしは通衣の言葉に乗っかっただけなのに。ここまでの仕打ち
はないんじゃないの?』
 ほっぺたをさすりさすりしつつ、広上さんが抗議する。しかし野上さんはジロッとにら
み返した。
『だから、それが調子に乗り過ぎってことなの。アンタの一言がなきゃ、そこまで瞳美ちゃ
んも気分悪くしたりしなかったって。反省しないと、今度は両方のほっぺにするわよ』
 すると唐突に、広上さんが自分の両方のおっぱいを手で寄せて軽く上げて見せた。
『ほっぺは今のダメージで痛いから、どうせならこっちにしない? 負けず劣らずつまみ
心地いいかもよ?』
『アンタは男子の目の前で乳さらけ出す気か!! この変態が!!』
 罵りながら素早く野上さんが両手を無防備なほっぺたに伸ばす。しかしすんでのところ
で体をひねりつつ避けると、広上さんは背中を曲げて前かがみに逃れる。
『だから冗談だってば!! さすがにそこまでしないって。通衣ってばガチに取りすぎ』
『アンタの冗談は時々冗談に聞こえないのよ。ホントにTPOをわきまえろって言ってるで
しょうが。全然反省してないじゃない。このアホたれ』
『反省してる。反省してるから、もう勘弁してよ〜』
 じゃれ合ってる先輩達を苦笑しつつ見ていると、脇谷君が僕の方に物問いたげな視線を
向けてきた。
「でさ。口に出すタイミングうんぬんはともかくとして、別府は気付いたのか? かなみ
ちゃんが髪切ってきたの?」
 その質問に、みんなの視線が一斉に僕に集まるのを感じた。
『あ。そっか〜 そこ、気になるよね。誰よりもかなみちゃんが』
『何であたしが気にするんですか。意味分かりません』
『でも、あたしやったら、そういうとこ鋭い男の子の視線て、気になりますけど。好き嫌
いはともかく、やっぱ女としたら、男の子の評価って気になるもんと思いますけど。違います?』
『う…… そりゃまあ、一理はあるけど……』
 千種ちゃんの指摘に、先輩も言葉に詰まる。
『ほらほら、別府君。責任重大だよ〜』

1894/42017/05/21(日) 10:59:47.950
 広上さんの面白半分のからかいに、僕は恨みがましく彼女を睨んだ。ここでうっかりし
たことを言えば、後から先輩の相手をする時が大変なのに。僕は何とかして無難な言葉を
探り出す。
「まあ…… ちょっと雰囲気変わったかな、とは思ったけど。ただ、いきなり責められる
展開だったから、それが髪切ったからかどうかって、そこまではチェックし切れなかったけど」
「お? じゃあイメチェン対決は静内の勝ちってことか。なるほど、別府。そういうことか」


続きます

190ほんわか名無しさん2017/05/26(金) 12:35:47.260
登場人物の切り替わりが激しすぎて誰が誰に何を言ったのかが頭に残らん……

191ほんわか名無しさん2017/06/03(土) 21:13:39.540
おちた?

192ほんわか名無しさん2017/06/03(土) 21:14:30.190
何が?

193ほんわか名無しさん2017/06/03(土) 21:48:21.970
ツンデレがタカシに落ちたかって聞いてんだよ

194ほんわか名無しさん2017/06/03(土) 21:52:22.340
性的な意味で?

195ほんわか名無しさん2017/06/03(土) 22:00:49.000
闇堕ちなみん

196ほんわか名無しさん2017/06/05(月) 22:09:31.590
ツンデレ達とタカシでエレベーターにすし詰め状態で乗っている時にエレベーターが止まったらどうなるの?

エアコンも合わせて止まったらどうなるの?

197ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:25:07.020
>>196
(なぜ、こんなことに)
 薄暗く狭い密室、止まったエレベーター。俺、別府タカシは今、クラスメートの女子たちと一緒にその中に閉じ込められていた。
「うぅ……、暑っつ……」
 誰ともつかないつぶやきが、小さな部屋に響く。同時に聞こえたパタパタと言う音は、服の胸元を動かすものだろう。
(……なぜ、こんなことに)
 二度目の自問に、俺はこうなるきっかけとなった昨日の事を思い返していた。
 ――。
「ねぇ別府。明日ちょっと付き合ってよ」
 ホームルームも終わり、周りの生徒達もはけていく中、椎水かなみが俺に話しかけて来た。
 気の強そうな目、ツインテールにした髪、ハキハキした物言いは、クラスの男女問わず人気だ。
 彼女は俺の幼馴染であり、口喧嘩は多いが、そう悪い仲でもない。むしろ彼女の方からすれば、よく話す男子、という事になると思う。
「……ちょっとってなんだよ?」
 しかし何やら面倒くさそうな雰囲気を感じた俺は、あえてぶっきらぼうに返答する。
「明日服買いに行こうと思ってるんだけどさ、アンタに荷物持ってもらおうと思って」
「ええ〜〜!? なんで俺がそんな事……」
「ん? なんでもするって言ったよね? この前宿題見せてあげた時」
 そうだった。不覚にも忘れてしまっていたが、そんな事もあった気がする。
「他のじゃ……ダメ?」
「ダメー」
「……はぁ〜」
 にっこりと否定する椎水かなみに、俺は肯定の意を込めたため息を放つ。と、そこに。「……こいつを勝手に使ったら、それこそ駄目」
 と口を挟んできたのは、椎水かなみの双子の姉、ちなみだ。同じく幼馴染ということになる。
 眠たそうな目、ゆるく垂らした長い髪、間延びした口調と、妹とは正反対の特徴だ。
 ちなみに二人は二卵性双生児ということだ。駄洒落ではない。
「なんでここでお姉ちゃんが出てくんの?」
「……なんでも。こいつは、私の言うことを聞く約束。ずっと」
 なんだか滅茶苦茶な事を言っている。なんだってそんな事を……。
「……先週、宿題を見せて、お弁当を作って……予習の手伝いも、させられた。その、対価」
 俺のせいでした。
「ちょっと別府!! アンタお姉ちゃんにまでそんなことさせてんの!?」

198ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:25:58.930
「え、あぁ、まぁ……。その時うちの親がしばらく出かけててさ、で、昼メシをどうしようかってときに椎水姉に相談したら、流れで……」
「……ん」
「なんでお姉ちゃんに!」
「まぁ、その、学級委員長だから?」
 そう。椎水姉はこんな感じだが、面倒見の良さを買われて学級委員長に選ばれた。その割には、俺にだけ風当たりが強い気がするが。
「これも、委員長の務め……。それと君は……私の事を敬意を込めて、ちなみさんと呼ぶ約束」
「何その約束! 別府!! アンタちょっと調子乗ってんじゃない!?」
「お、俺からした訳じゃないし!! 椎水姉が……」
「……ちなみさん」
 静かな圧力を持った声を出す椎水姉。もといちなみさん。たまらず訂正をする。
「ち、ちなみさんが、言ってきたことです。はい」
「うぐぐぐ……!! お姉ちゃん!? 何考えてんの!?」
 姉とは対照的に、直接的なプレッシャーが怖い椎水妹の怒声。
「学級委員長としての威厳を、演出するため。他の人なら心苦しいけど……こいつなら、良いかと」
「たしかにコイツ相手ならまぁ……」
 なんで俺はこんなぞんざいに扱われてるんだ? そう言おうと思った矢先、椎水妹が「じゃああたしの事はかなみさんと呼びなさいよ」などと言い出した。
「もう、二人ともなんなんだよ」
「何をぎゃあぎゃあ騒いでいるのだ、お前らは」
 ぼやく俺に、さらに声が掛けられた。東浪見(とらみ)みことだ。こんな喋り方だが女子である。
 実家が古武術の道場をやっているらしく、人に厳しく自分にも厳しい。質実剛健さと美貌を持ち合わせた姿は、女子からの人気が特に高い。
「東浪見か。そういや、なんだったっけ?」
「明日アンタがあたしの荷物持ちするって話でしょ」
「……それは駄目って話」
「ふん。不純異性交遊は褒められんぞ、かなみ」
  いやいや、いつから俺がこいつと付き合ってる事になったんだ? 椎水妹も同じく思ったらしい。「コ、コイツと付き合うわけないでしょ! 変なこと言わないでよ!」と顔を真赤にして怒っている。
「ならいいがな。どうにも別府は女たらしというか、なんというか……」
 ぎろりとこちらを睨みながら、東浪見の説教が始まる……かと思ったところに、さらに参加者が飛び込んでくる。
「ねぇねぇ、なんの話してんの? ボクも混ぜてよ!!」

199ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:26:52.430
 精神年齢低めな琴平あずさと、
「何じゃ何じゃ、今日は随分と賑やかじゃのう」
 精神年齢高めな葛葉まつりだ。
 この二人も対照的だが、低めの身長といたずら好きという点で似ており、二人はよくつるんでいるらしかった。
「えー! 別府と買い物!? じゃあボクも一緒に行っても良い? 欲しいものあってさー」
「二人きりではこの助平が何をしでかすか分かったもんでもないしの、儂らも付いてった方がいいじゃろ」
「私も行ってやろう。もし別府が不埒な行動に出れば、その場で鉄拳制裁だ」
「ちょっとまってよ、あたしまだ良いなんて一言も……」
「……抜け駆けは許さない」
「お、お姉ちゃん何言ってんの!? もう、分かったわよ! 別府!! アンタみんなの荷物持つんだからね!!」
 こうなってはもう男子の出る幕はない。結局全員分の荷物を俺が持つことになり……。

(そんで今日、雑居ビルのアクセサリー屋を見たいっつった椎水妹に付いてって、それで……)
 オンボロのエレベーターに全員乗り込んで、いきなり止まった。買い物を始めたばかりで、荷物がそれほど無かったのが不幸中の幸いだったかもしれない。
 外で停電でもあったのだろうか、エアコンすらも止まった。緊急通話もつながらないが、これは恐らく故障なのだろう。
「はぁ……はぁ……」
 人いきれ、と言うのだろうか。熱気と息苦しさに、自然と呼吸が荒くなってきた。
「ちょ、ちょっと別府! あたし汗かいてんだからもうちょっとそっち行ってよ!」
 そんな俺を見て、椎水妹が無茶なことを言い出してきた。6人で既にいっぱいな狭い室内で、これ以上どこに行けというのか。
「勝手なこと言ってんなよな! だいたい誰のせいでこんな事になったと思ってんだ!?」
「何よ、あたしのせいだっての!?」
「止めんか愚か者! 今は下らぬ事で体力を使うでない!」
「そうだ。こういう時こそ心を静めろ。じきに復旧するはずだ」
「でもさー、もうどんだけこうしてるか分かんないよ……?」
「もしこのまま、出られなかったら……」
「や、止めてよお姉ちゃん!」
「そもそもお前がこんなボロビルに入るなんて言わなきゃ……」
 不安と恐怖、室内の不快感から、負のスパイラルに落ちていく俺達。
 そんな中、それは起こった。

200ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:27:56.410
 ぷす〜……。
 間の抜けた、空気の抜ける様な音。
「……へ?」
 そう、屁だ。駄洒落では……駄洒落じゃねえか!
 いやそんな事を言ってる場合ではない。この閉鎖空間だ。色々充満してしまう。
 それより何より危惧しないといけないのは、犯人探しが起こる事だ。俺がしたのではない、となればこの5人のうち誰かということになってしまうが……。
 こいつらは女子、そして俺は男子の端くれだ。そうなればやることは一つ。
「わ、悪い……。出ちゃったわ。朝から腹の具合が悪くってさ……」
 ……女に恥をかかせるわけにはいかない。俺がこの中の誰かの身代わりにならねば。
「ま、全く緊張感の無いやつじゃのう!」
「ほ、本当だよ! 寝る時、お腹でも冷やしたんじゃねーの?」
 ははは、と皆で乾いた笑いをこぼす俺達。恐らく全員、俺が屁をこいたわけではないと気付いているのだろう。
 しかしまぁ、これ以上掘り下げる危険性も分かっている。自白した人物がいるのだから、それで良しとしようじゃないか。してくれ。
 だがしかし。
「……あ、あたしだよ」
 俺の犠牲を無にする馬鹿な女がいた。
「おならしちゃったのは、あたし!!」
 椎水かなみ。
「お前馬鹿、なんでそれ言う必要があるんだよ!!」
「だってあたしのせいだもん! あたしがここに来たいって言って、皆を巻き込んで、それでまたアンタに責任押し付けるなんて出来ないもん!!」
 目を真っ赤にしながら、狭い室内に声を張り上げる。
「さっきのは! あたしの! おなら!!」
 ……そこまで言い切ることはないと思うんだけど。
「まぁ、何じゃ。そこまででよい」
「生理現象だからな。私にも我慢できない時はあるぞ」
「う、うぅ……」
 やめろお前ら。こういう時にそんな励ましをかけると余計恥ずかしくなるんだ。そう言いたいが、言える雰囲気でもない。
「お姉ちゃんも、外でしちゃったことあるよ……?」
「ボ、ボクもあるよ! ね!」
 いい加減椎水妹を見ろ! さっきより何倍も赤面してるじゃないか! なんで気付かないんだよ。
 そして羞恥心が限界まで達してしまった椎水妹は、先程にも増した大声で叫んだ。

201ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:29:19.090
「もういい! もうどうなっても知らない! あたし、あたしは!!」
「別府!! アンタのことが、ずっとずっと好きだったの!!」
 ……へ?
「な、何言ってるのかなみちゃん……!」
「おい、かなみ、私にはこの流れでどうしてそうなるのかさっぱり分からんぞ!?」
「こ、こんなに恥ずかしい思いをしたんだから、もうどうなってもおんなじでしょ!」
「じゃ、じゃからと言うて……」
 何がなんだか分からない。完全に頭が真っ白になってしまった俺に、しかし椎水妹は続ける。
「う、嬉しかったの、庇ってくれて……。私がしたって知らなくても、嬉しかったの……!」
「でも、だからってアンタがした事にしてたら、あたし絶対、ずっと後悔してた……」
「じゃなくてね、なんで今告白したかってゆーね?」
「駄目なの!? いつ誰に告白したってあたしの勝手でしょ!?」
 まぁそれはそうだけど。しかし騒動はさらなる山場を迎える。
「……駄目」
「なんでよ! いくらお姉ちゃんでもそんな権利……!」
「私も、別府が……好き」
「えぇぇぇぇーーー!?」
「……だから、駄目」
「ふ、ふざけるな! 私だって……私だってそうだ! 不甲斐ない所もあるが、一本筋の通った男だと思っているんだからな!」
「ちょっとまってよ! みんなには渡さないよ!」
「何を言っとる! こやつは儂の伴侶となる男じゃぞ!!」
 ……。
 生まれて初めてモテ期が来たようだけど。なんだか、離人症めいて現実を俯瞰している自分がいた。
「あたしが最初に告白したの! あたしの!!」
「早い者勝ちなわけないじゃん!! ボクだって権利あるよ!!」
「……駄目。あげない」
 誰ともなく俺の腕をひっつかんで引き寄せようとする。全員汗だくだ。
 ああ、ついに両脚までそれぞれ掴まれた。爛れた情景に、多くの人が眉をひそめるであろう。

202ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:37:28.950
「ボクの!」
「私のだ!」
「……私の」
「儂のじゃ!」
「あたしの!!」
 俺の五体をそれぞれ抱え、この閉所で引きちぎらんばかりの勢いに力を込める美少女たち。ああ、首が締まる。
 人生最初で最後のモテ期。遺体はきっとミートくんのようになるのだろうか。
『うぅぅぅぅ……ッ!』
 獣のような目でお互いを睨みつける彼女たち。酸欠のせいで理性が失われているだけ。普段はいい子たちなのだ。きっとそうだ。
 どんどんとエスカレートしていく5人は、互いを牽制し、同時に自らの有利になるよう動いていく。
 一触即発の空気。その緊張を破る声が、光が、その時訪れた。
「皆さん、大丈夫ですか!!」
 エレベーターのドアが開く。外の光が差し込み、助けに来たレスキュー隊員が見たものは……。

203ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:38:27.140
「た、助けて、下さ……い……」
 あられもない姿の汗だくな5人の少女に、半裸で絞め殺されかけた不運な(幸運な)俺の姿だった。

 ――その後。
「……今日は、私の買い物」
「はい……」
 5人の協議の結果、俺は週替りで彼女たちのワガママを聞かなければならなくなった。「女子に生き恥をかかせたのだから当然」という事らしい。
 もちろん俺に対する他の生徒からの風当たりは強くなり、曰く、「女たらし」、「クソリア充」、「歩く性器」、「淫獣」、「羨ましい」、「死ね」、「バカ」と普通なら心を病んでいる所だ。
「来週は儂じゃからな」
「存じ上げております……」
「じゃ……行くよ。……ふふ〜ん」
 椎水姉……、ちなみさんの後をすごすごと付いていく。平日も休日も、俺に自由はない。
 背後から声がする。
「ボク、負けないからね」
「私相手にか? 無理だと思うがな」
「最後に笑うのは儂じゃ」
「アイツはあたしのなんだから……!」
 これは幸せなのだろうか? そして何より、ここまでどれだけツンがあったのだろうか? それは誰にもわからない。

204ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:39:02.850
THE ENDォオ!

205ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 20:47:10.610
乙ぅ!!全員かわいくてペロペロしたい!!

206ほんわか名無しさん2017/06/11(日) 01:37:27.890
エレベーターで深呼吸したい

207ほんわか名無しさん2017/06/11(日) 11:21:42.150
こういうの久しぶりだ
GJ!!

みんな可愛いが、やはり俺はかなみさんが一番だな

208ほんわか名無しさん2017/06/18(日) 03:41:29.820
乳の日

209ほんわか名無しさん2017/06/18(日) 06:23:22.230
おっぱい

210ほんわか名無しさん2017/06/18(日) 12:02:52.670
>>186-189の続き投下です

2111/42017/06/18(日) 12:03:26.080
・ツンデレの目の前で他の女子の髪型を褒めたら〜その3〜

「何がそういうことなのか、よく分からないけど。静内の時はちゃんと見るだけの余裕が
あったけど、椎水さんの時はなかったって、それだけの話だから。変に話を複雑にしよう
とするなって」
 ニヤニヤ笑う脇谷君に恨み言を言うと、横で先輩がウザッたそうにため息をつく。
『別に構わないわよ。そんなの、負けたって。別府君にそこまで髪型チェックされたくな
いし。てか、女の子と会うたびにそういう目つきで見てるのとかキモいし』
『あ。出た出た。負け惜しみ〜』
 広上さんがよせばいいのに茶々を入れる。案の定、先輩が目をむいた。
『何であたしが負け惜しみとか言わなくちゃいけないんですっ!! ホントに別府君なん
てどうでもいいんですから!! いい加減その辺認めてくださいよっ!!』
『かなみ。でもホントは、ちょっとはショックだったりとかない? 瞳美ちゃんがどうと
かじゃなくて、単純に別府君に気付かれなかったってことが。あたしならちょっとガック
リするし』
 調ちゃんも同調するように話に乗ってくる。しかし先輩は絶対違うと首を振って主張した。
『だから言ったじゃない。むしろ見られたくないって。それを負け惜しみとか勝手な思い
込みで取らないでくださいってことなのに』
『かなみちゃん。こういう時は、適当に流しておくスキルを身につけるのも経験のうちよ。
こーいうのとかにムキになって相手にしてたら、そのうち精神が疲れちゃうから』
『だってこの人たち、流したらますます図に乗るだけじゃないですか。いつの間にか別府
君とカップル認定されたらたまりませんし』
 野上さんの忠告に、先輩はブツブツと反論する。
『え? 違ったの?』
 わざとらしく驚いてみせる広上さんに先輩がまた怒る。全く、広上さんは先輩をイジる
のが好きだなあと、ちょっと呆れつつも苦笑して見ていると、ちょいちょいと腕を指でつ
つかれた。反射的にそっちの方に顔を向けると、静内さんがうつむきつつ、上目遣いに僕
を見ていた。
「えっと……なに?」

2122/42017/06/18(日) 12:03:51.190
 何となく雰囲気を察して、彼女にだけ聞こえるよう声を落とす。すると彼女はちょっと
だけためらうように視線を逸らしたが、すぐに顔を上げて僕を見つめた。
『あの、先輩。髪型、変えたの、気付いてくれて…… 褒めてくれて、嬉しかった、です。
ありがとう、ございました……』
 小さくお礼を言うと、そのまま何事もなかったかのように、ソソッと距離を離してしま
う。そんな姿に僕は、心ならずも胸が変にキュンとしてしまうような気分を覚えたのだった。


「じゃーな。別府。また明日」
「うん。それじゃあ」
 授業終わってから、脇谷君が腹へった腹へった別府なんか食ってこうぜって言うので、
ファーストフードで食事から駅で別れ、僕はそのまま帰ろうと改札を通り抜けた。その時
マナーモードにしていた携帯が振動する。それが電話だと確認して、僕は急いで携帯を取
りつつ、コンコースの隅に移動する。発信人は先輩からだった。
「もしもし? 先輩ですか?」
『別府君? 今、どこにいるの? なにしてる?』
 電話の向こうの先輩は、半分不機嫌、半分無気力そうな感じで僕の状況を聞いて来た。
「さっきまで脇谷君と食事してて、今別れたとこです」
『ワッキーと? こんな時間にご飯食べてたの?』
「ああ、いや。脇谷君が腹へって死にそうだって言うから。付き合いで僕はポテトだけ」
『ふーん。じゃ、もう帰るだけなんだ』
「ええ。まあ、そういうことですけど」
 何となく呼び出しな雰囲気を感じて、僕は頭の中で今日の残りのスケジュールを算段し
てみた。特に先輩に呼ばれて困るようなことはない、と確認する。
『あたしさ。今、駅前のエクセルカフェにいるんだけど。ちょっと、寄れる?』
「いいですけど、着くまで15分は掛かりますよ? これから電車乗るところですから」
 そう断っておくと、先輩はどうでもいいといった感じで答えた。
『構わないわよ。どーせ、早くうち帰ったって怒られて用事言いつけられるだけだもん。
なら、ここで時間つぶしてるほうがマシだし』
「分かりました。じゃあ、出来るだけ急いで行きますから」

2133/42017/06/18(日) 12:04:25.910
 電話を切ってから、僕は呼び出された理由を考える。一番多い理由は、授業で課題を出
されたから参考に見せて欲しいとか、そんな理由だ。必修言語が違うとはいえ、同じ学科
なので被る授業も多い。そうでなければ、何か二人でないと言えない愚痴があるとか。い
ずれにしても、ある程度予想をつけておけば、こっちのペースで話が出来る。僕は、先輩
との会話を考えの及ぶ限り妄想することに、電車での時間を費やしたのだった。


「先輩」
『んあ?』
 携帯でゲームに興じていた先輩に声を掛けると、ちょっと間の抜けた声で僕を見上げた。
「お待たせしました」
 テーブルにドリンクの乗ったトレイを置くと、向かいの席に置いてあった先輩の荷物を
手に持って先輩に預ける。席に座ると、先輩がジロリと僕を睨んでいるのに気付いた。
「あの、何かありましたか?」
『あのさ。こーいう時、人を待たせているんだから何かドリンクとかどうですか?とか、
そういう気遣いはないわけ?』
 先輩は、空になった自分のグラスを手で持って軽く横に振る。溶けかかった氷がカラカ
ラと音を立てて鳴った。
「僕がお待たせしたんならともかく、先輩から呼び出したんですから待たせた、というの
は非常に不本意なわけですけど」
 僕の反論に、先輩はより不快とばかりに口を尖らせる。
『それでも待ったことは待ったんだもの。自分の分だけ先にちゃっかりドリンク買ってき
てさ。最初から気遣う気もなかったってのが見え見えってのが頭に来るのよね』
 僕は大仰にため息をついた。この人のわがままは、聞きすぎても図に乗るし、抵抗しす
ぎれば拗ねて態度を硬化させてしまう。扱うには難しい人だ。
「何かリクエストがあれば、買ってきますよ。もちろん、お金はいただきますけど」
 おごる必然性まではないのでそう断っておくと、先輩は苦々しく吐き捨てた。
『アンタってば、本当にセコイ。女の子目の前にして、よくそういうこと言えるわよね。
付き合い長いからって調子乗ってんの? それとも、学年同じになったから? 昔はもう
ちょっと気遣いあったんじゃないの?』

2144/42017/06/18(日) 12:05:58.330
「昔は先輩も人を使った時は大体ご褒美くれましたけどね。僕や渡辺さんの分までお金出
してくれたり、他の方法で、とか」
 すると先輩の顔がちょっと赤くなったのに僕は気付いた。おそらく他の方法、というの
を想像したのだろう。確かに先輩の想像しているものも、その一つではある。二人きりの
時限定ではあったけど。
『ホントに、口が減らなくなったわよね。やっぱり。そういう態度、嫌い』
 ブスッとそっぽを向いてしまった先輩もなかなか可愛いものだ。こういう拗ね方は、他
の部員と一緒の時だと絶対にやらない。二人きりの時に見れる特権の一つだ。
「で、どうしますか? 何か飲みたければ注文してきますけど」
『もういい。どっちみち、これ以上飲んだらお腹が水っぽくなっちゃうし』
 ドリンクはいらなくても気遣いだけは欲しいという、本当にこの人はやっかいな性格で
ある。まあ、それはもう慣れっこなのだが。
「それで、僕を呼んだのはどういう理由でですか? まさか、ケンカするために呼んだわ
けじゃないですよね?」
 席に座り、軽くアイスラテを吸う。そのまま先輩の様子をうかがったが、なかなかこっ
ちに向こうとしない。これは課題を見せて欲しいとかそんな単純な用事じゃなさそうだ。
『……………………』
 聞かれて無反応なのも、ちょっと先輩には珍しい態度だ。怒ったのなら怒ったで、僕の
気を引くために何かしらのアピールをするものなのに。
「どうしました。黙っているのは先輩らしくないと思いますけど」
 ビクッと先輩か体を震わせる。しかし、ほんのちょっとこっちを見ただけで、また顔を
そむけてしまう。しかし、怒っているようには見えず、むしろ困っている表情に見えた。


続く。次回でラストです。

215ほんわか名無しさん2017/06/25(日) 16:54:22.780
チナミンブラック

216ほんわか名無しさん2017/06/25(日) 21:11:49.310
ちなみんの下着は黒なのか…

2171/32017/06/25(日) 23:18:58.000
>>216

布団に入っている時、足音に敏感なのは何故だろう。
たぶん床と耳が近いせいだと思うが、安らかな眠りを妨げる「敵」の来襲に
体が反応しているのだと考えている。
間隔の空いた足音は父親、せわしない足音は母親、そしてすり足のような微かな足音は−
『…起きろ』
ノックもせずに部屋に入るや否や、容赦ない足蹴りを食らわせてくる傍若無人なこいつは
近所に住む幼馴染のちなみだ。
うかうかしてると一日が最悪の始まりとなるので、寝ぼけた頭をフル回転させて回避行動を
とり、寸でのところでかわす。
「お前なぁ…」
言いたいことがありすぎて何から言うべきか迷う。ちらりと時計を見るとまだ学校に行くのは
少し早い時間だ。
「まだ早いだろ」
とりあえず一言言い返しつつ幼馴染に目をやると、いつもとは違う事に気づく。
制服が紺色のブレザーではなく白いシャツ、そしてひときわ目を引くその「模様」。
『…今日から夏服。どうせキミは準備してないに決まってる』
「あ、あぁ…いや半袖シャツは母さんが出しててくれてるから大丈夫なんだけど…」
『…何?』
俺のハッキリしない態度に、不思議そうに小首をかしげるちなみ。そんな表情に悪いと
思いつつも、ついつい視線は「模様」に行ってしまう。

2182/32017/06/25(日) 23:20:34.370
わざとか?それとも何かの間違いか?いや、そもそも何故それがそこに存在している?

疑問が山ほど湧いてきて、先ほど言おうと思ってた残りの事はすべて頭から抜けていった。
そんな俺の態度を見て、首を右へ左へかしげる。
『…はっきり言え……気持ち悪い』
「ちょっ、気持ち悪いは言い過ぎだろ」
『…キミが気持ち悪いのは今に始まった事じゃない』
腰に手を当て、ジトッとした目つきで睨んできた。そこまで言われればこちらだって
黙ってやる必要はない。いや、このまま学校に行かせるわけにはいかないから
家を出る前にはいずれ言わないといけない事だが。
「じゃぁ、言うけど。そんな濃い色の下着付けていいのかよ?」
目を丸くするちなみ。まるで超能力か何かで秘密を言い当てられたような顔だ。
両腕で胸を隠すようなポーズを取り、キッと睨みつけてくる。
『…え、エッチ!どうやって下着…み、見た訳?』
みるみる赤ら顔になる。どうやら気が付いてなかったようだ。
男ならまだしも、出かける前に鏡でチェックしないものなのか?
いや、きっと顔とか髪型はチェックしたけど、気が付かなかったのだろう。
「ん」
部屋の片隅にある姿見鏡を指さす。ちなみは、俺、指先、姿見鏡の順で視線を移し
また俺に視線を戻す。
『…何?』
「いいから見て来いって」
納得しない顔のまま姿見鏡の前まで行き、鏡をのぞき込む。
しばらく何を指摘されているのか分からないように鏡の前でポーズを決めていたが
『あっ』という悲鳴にも似た声を上げた。
「黒か?そんな濃い色だとシャツ越しにもバッチリ色が分かるぞ」
俺の声が聞こえたかどうか分からないが、ちなみは慌てて部屋を出て行ってしまった。

2193/32017/06/25(日) 23:21:40.250
朝食を食べ終わり、学校へ行こうと玄関を出ると、ちなみがいまだに引かない赤ら顔で
ベストを着て待っていた。
「さっきのは−」
『…し、質問禁止!』
「気になるだろ」
『…べ、別にキミのために買ったわけじゃ…な、ないんだから』
さらに顔を真っ赤にして睨みつけてくる。ベストで隠れている胸を両手で隠しつつ
これ以上は何も言わせまいと俺に迫りくる。
その気迫に負けて一歩二歩と後退りし、家の外壁まで追い込まれる。
「そ、その…しょ、勝負下着ってやつなのかと」
『…あれはその……と、友達と買い物に行って無理やり買わされたって言うか』
「や、やっぱりそうなのか!?」
『す、捨てようかと思ったけど…一回も着ないで捨てるのもったいないから…そ、それだけだから!』
真っ赤な顔で涙目になりながら目の前で睨みつけるちなみ。俺よりも小柄だから目の前まで
近づかれると必然的に上目遣いになる。
それがとても可愛いくて仕方がない。そんな気持ちが顔に出たのかだろうか
『…に、ニヤニヤするな!この犯罪者!』
「おぉ、言いえて妙ってやつだな」
『な、何が?』
「白と黒に真っ赤な顔。まるでパトカーだな」
『な……パトカー!?』
普段は物静かなちなにからサイレン代わりに『バカ』『変態』『犯罪者』と罵られつつながらの
衣替え初日の登校となったのだった。

220ほんわか名無しさん2017/06/25(日) 23:57:39.450
勃起した

221ほんわか名無しさん2017/06/26(月) 00:38:00.520
>>219
うっ!・・・ふぅ・・・
おつ

>>220
早漏乙

222ほんわか名無しさん2017/06/29(木) 20:44:58.550
ちなみさん、俺誕生日だよ。

223ほんわか名無しさん2017/07/02(日) 19:41:02.920
ノースリーブツンデレの腋を堪能したい

胸を見つめてると思わせてツンデレの腕を前で組ませて腋を見つめたい

それもバレてツンデレに罵られたい

ションボリして思いっきり反省した素振りをみせてツンデレに罪悪感を抱かせたい

耐えきれなったツンデレから「すこしだけなら好きに〜」的な言葉を引き出したい

ツンデレの腋を性感帯にするほど好きにしたい

224ほんわか名無しさん2017/07/07(金) 20:15:21.940
乙姫ツンデレ

225ほんわか名無しさん2017/07/17(月) 10:45:49.370
>>211-214の続き行きます

2261/42017/07/17(月) 10:46:27.950
・ツンデレの目の前で他の女子の髪型を褒めたら〜その4〜

「ホントに、特別用事とかないんですか? まあ、別に僕も用があったわけじゃないです
し、時間を無駄にされたとも思いませんからいいですけど」
 すると先輩は、パッとこっちを向いて僕をにらみ付けた。
『ま……待ちなさいよ。そんなせっかちに判断しなくたっていいじゃない。その……き、
聞きたいことがあったんだけどさ。その……なんて言うのかな? なかなか言葉にまとま
らないことってあるじゃない。だから、その……もうちょっと待ってってば。今、整理し
てる途中なんだから』
「はあ……」
 僕は何とも釈然としない思いにとらわれた。先輩が僕に言葉をためらうなんてそうはな
い。考えられるとすれば、甘えたい時。怒りたいけど嫉妬と取られかねない時。僕は今日
の出来事を反芻してみる。先輩がそういう態度を取るようなことを。
「ああ」
 意外と答えはすぐに出た。確かに、先輩からはねだりづらいだろう。
「先輩。先輩が話さないのでしたら、僕から一つ、いいですか?」
『へっ……!? な…… なによ……?』
 ドキッとしたような表情で、先輩が僕を見た。その、ちょっと驚いて目を見開いた顔も、
とても可愛い。
「そういえば、僕、先輩に言い忘れた事が一つあったなって」
『言い忘れたこと……? って……何よ?』
 キョトンとした顔の先輩に、僕は笑顔を見せてうなずいた。
「はい」
 そして僕は、先輩の顔をジッと見つめて、続けた。
「先輩の髪型。とてもよく似合ってると思いますよ」
『ほえっ!?』
 僕の唐突な褒め言葉に、先輩は驚いて体をビクッと震わせた。あぜんとしたその表情が、
思考を取り戻すと同時に頬を朱に染めていく。
『なっ…… 何よいきなり。急に褒めたりして、気持ち悪い』

2272/42017/07/17(月) 10:46:57.810
「だって、さっきは言えませんでしたからね。大切なことだし、ちゃんと言っておかない
と失礼でしょう?」
 当然とばかりの僕の言葉に、先輩はすぐに顔をしかめてそっぽを向く。
『なに言ってるのよ。バカじゃない? フォローのつもりかもしれないけど、今更言われ
たところで、単なるごまかしか、せいぜいなぐさめくらいにしか感じないわよ』
「だって、あの場で褒めても先輩が困るだけでしょう?」
 僕の問いかけに、先輩はグッと言葉を詰まらせる。
『そりゃあ、その…… こんな風に褒められたら、みんなにからかわれるけど…… でも、
さりげなく一言くらい言う程度なら、たいして変にも思われないわよ。アンタってば、ホ
ント節操なく女の子なら誰でも褒めるんだから。静内さんだって褒めたんでしょ?』
 僕は内心、やっぱりなとうなずく。どうやら先輩は、僕が自分を褒めずに静内さんにだ
け褒めた事を気にしていたようだ。それで、僕があの場で言ったことが本当なのかどうか
確かめたかったのだろう。
「そりゃあ、褒めますよ。10cm近くも髪を短くすれば誰だって気が付きますし、僕の場合
は褒めないほうが不自然じゃないですか」
『じゃ、なんであたしは褒めないのよ』
 とっさに本音が出てしまい、先輩はしまったとばかりに口を押さえる。それから不機嫌
そうに顔をそらした。
『べ、別にアンタに褒めてもらいたいってわけじゃないけど。でも、たまたまあたしが暇
を持て余してアンタを呼ばなかったら褒めなかったわけでしょ?』
「そうですね。でも、もう家に帰ってると思ってましたし、わざわざそのためだけに呼び
出すのは先輩だって迷惑でしょう?」
『ふぐっ…… そりゃまあ、そうだけど……』
 渋々ながら同意する先輩の表情が可愛いなと思いながら、僕はうなずく。
「ですから、むしろ先輩がこうして呼んでくれたことは、僕にとっても良かったなと。二
人きりになる機会にちゃんと言おうとは思ってましたけど、当日に越したことはないです
からね。メールや電話じゃ、味気なさ過ぎますし」
 僕の言葉がわざとらしいと思ったのだろう。顔をそむけたまま、横目で先輩はジロリと
僕をにらみ、文句をぶつけてくる。

2283/42017/07/17(月) 10:47:21.990
『フン。でも、どうせ静内さんが言ったからあたしが髪切ったこと気付いたんでしょ? そ
れで褒められたって、嬉しくもなんともないわよ』
 ひがむ先輩を、僕はジッと見据えた。
「本当に、そうだと思ってますか?」
『な…… なによ。そうじゃないの?』
 ドキッとした表情で、先輩は僕の視線を避けるように上半身を引いた。しかし僕は、逃
すまいとばかりにしっかりと先輩を見つめ続ける。
「そんなわけ、ないでしょう。先輩が部室に入ってきた最初っから、先輩が美容院に行っ
てきたことくらい、気付きますよ」
 先輩はまた、ドキリとしたらしい。本人は意識してないだろうけど、気持ちが顔に出る
からすぐに分かってしまう。そして、それを覆い隠そうとすぐに不機嫌そうな顔つきをす
ることも。
『あ…… アンタって、本当に気持ち悪いわね。女の子と会うたびに、いちいちそんなと
こチェックしてるんだ。静内さんだけじゃなくて、調や野上さんなんかにもそんな目を向
けてるなんて、どれだけのべつまくなしなのよ』
「ジロジロ見ないように努力はしてますけど、一応本人が気付いて欲しそうかなと思える
ときはチェックできる程度には見てますよ。ただ、先輩だけは違いますけどね」
 すると先輩が怪訝そうな表情をした。どうやらちゃんと、最後の言葉に引っ掛かってく
れたようだ。
『アンタのせせこましい処世術はともかくとして、あたしだけ違うって、どういう意味よ?』
「だって、先輩だけはパッと見れば、いちいちチェックしなくたって髪を切ったかどうか
とか、化粧を変えたとか、その辺の変化くらいひと目で分かりますから」
 僕の言葉に、先輩の顔がまたハッとしたようになる。しかしすぐに疑い深そうな顔つき
に変わった。
『な……何で分かるのよ? それって、その……チェックしてるんじゃないの? 結局は』
 僕はゆっくりと首を振ってみせた。
「違いますよ。僕が普段、どれだけ先輩を見てると思ってるんですか? それこそ、ご家
族の方を除けば、僕が一番、先輩のことを見ているんですから。ちょっとでも印象が変わ
れば、気付かないなんて出来っこないですよ」

2294/42017/07/17(月) 10:47:52.870
 今度こそ、隠しようもないくらい先輩の顔が真っ赤に染まる。今まで抑えてきた分もあ
るのだろう。そして気持ちの行き場を持っていきようがないのか、空になったグラスをス
プーンでガチャガチャとかき混ぜる。
『じょ……冗談じゃないわよ。そりゃ確かにその……休みの日も会ってるから、家族以外
じゃ一番一緒にいる時間多いかもしれないけど…… けど別にそんな、アンタに見られた
いと思ってるわけじゃないし…… つか、褒められるとか嬉しくもないし……』
 グラスを持ち上げ、氷の溶けた水を飲んでから、先輩はグッとグラスを僕に突き出した。
『あー、もうっ!! アンタが変なこと言うから、変に熱くなったでしょっ!! 喉渇い
たから、ドリンク買ってきてよ!! オレンジジュースでいいから』
 バンッと叩きつけるように先輩が財布から千円札を取り出して机に置く。僕は先輩のト
レイにその千円札を乗せると、空のグラスも一緒に持ち上げた。
「分かりましたよ。ちょっと待っててくださいね」
 そう断って、僕は席を立つ。先輩が気持ちを落ち着かせるまで、ちょっと待ってからの
方がいいだろうなと判断しつつも、先輩が恥ずかしさをどうこらえてるのか見られないの
が、ちょっと残念な気もしたのだった。


終わりです。

230ほんわか名無しさん2017/07/17(月) 19:47:10.270
>>229
おっつおっつ!

231ほんわか名無しさん2017/07/21(金) 21:38:54.040
ツンデレに今日は何の日だ?って聞きたい

少し考えた後にハッとして真っ赤な顔で罵倒してくるツンデレに

今日は日本三景の日なのに何を想像してたのかな〜?って

(・∀・)ニヤニヤして問い詰めたい

232ほんわか名無しさん2017/07/22(土) 20:05:13.650
カルビツンデレ

ロースツンデレ

タン塩ツンデレ

孕みツンデレ

233ほんわか名無しさん2017/07/22(土) 21:57:46.490
>>231
「かなみ、今日は何の日か知ってる?」
『ふん、どうせ何かの語呂合わせとかでしょ?知らなくたってだいたいわかるわよ』
「じゃぁ当ててみてよ?当たったら昼飯何か奢ってやるよ」
『いいわよ、ちょっと待ってなさい。えーっと…』
「無理だと思うけどな、ただ飯目指して考えてくれ」
『(使う数字は7と2と1よね。そのまま読むと「ななにいち」…「なにい」…
  「何ぃ!?」で驚きの日?うーん聞いたことないわね)』
「そろそろ降参?」
『(うーん……そういえば、0721って考えれば0も使えるわね。
  「れいななにいち」…「れいなにい」…待って…「れい」じゃなくて「おー」かしら?
  おーなに……はっ!?)』
「おっ、何か閃いた?」
『うわぁぁぁ!?アンタね!何、乙女に変な事言わせようとしてんのよ!(///』
「は?」
『は?じゃないわよ!このバカ!変態!どスケベ!(///』
「いてててっ、殴るなよ!何で変態呼ばわりされなきゃいけないんだ」
『自業自得でしょ!』
「いや、今日は日本三景の日だろ?それのどこが変態なんだよ」
『バカバカバカ!って……に、日本三景?』
「そう、松島とか…松島とかの日本三景」
『あとは天橋立と宮島。ていうか、全然語呂合わせじゃないじゃない』
「詳しくは知らんが、何か昔の偉い人の誕生日が7月21日だかで、それにちなんでって」
『何よそれ!そんなの分かるわけないじゃない!こんなの無効よ無効!』
「だから分かる訳ないって言ったのに。所でさ」
『な、何よ?ニヤニヤして…』
「何を想像してたのかな〜って」
『えっ!?ゃ、べ、別に何も……(///』
「語呂合わせって言ってたし、0721ならさしずめ」
『わーわー!思ってない!考えてもない!(////』
「ほーら、何考えてた言ってごらん?(ニヤニヤ」
『何も考えてない!な、何も考えてないんだから!!!(////』

234ほんわか名無しさん2017/07/22(土) 22:04:27.750
>>233GJ
これだからお題垂れ流すのはやめらんねぇ

235ほんわか名無しさん2017/07/30(日) 19:00:58.010
学生たちは夏休みですよツンデレさん

236ほんわか名無しさん2017/07/31(月) 18:08:59.260
お嬢ツンデレが夏休みに他のツンデレと差を付けるために地中海にあるプライベートアイランドの別荘にタカシを
召使い(バイト)として連れて行って2人きりでイチャイチャする予定だったが
早々にメイドツンデレにバレたのを皮切りに全ツンデレにバレてしまい
結局タカシとツンデレ達のいつもの日常(地中海編)になってしまうお題

237ほんわか名無しさん2017/08/10(木) 09:39:28.520
野獣タカシ

238ほんわか名無しさん2017/08/11(金) 19:41:28.900
おっぱいでハートを作るのが流行ってるらしいのでツンデレさん達に作ってもらおうと土下座でお願いしてみたらどうなるの?

239ほんわか名無しさん2017/08/11(金) 21:29:53.620
ちなみんに踏まれる

240ほんわか名無しさん2017/08/11(金) 23:02:23.270
イキイキとした顔のダウナー、老成、僕っ子の三人に金玉でハートを作らされるよ

241ほんわか名無しさん2017/08/14(月) 10:03:23.620
ちょっと4レスほどいただきますよ、と

2421/42017/08/14(月) 10:03:56.770
・料理の苦手なツンデレにどんな料理なら出来るか聞いてみたら〜前編〜

「ただいま〜 あー……あぢぃ……」
『帰社する早々、暑苦しい声を出すな。このバカ者が』
「いや。だって今日めちゃくちゃ暑いっすよ。マジ、アスファルトで目玉焼きが焼けるくらいに」
『大袈裟に言うな。別府のせいでオフィスにずっといた私まで汗をかいてきたじゃないか』
「むしろ主任は多少外出した方が健康にいいかも……って、他のみんなは?」
『山田は営業で3時までは戻って来ない。友子は郵便局とか書いてあるが、どうせどこか
でサボってそのまま昼を食べに行ったのだろう。あのバカが』
「という事は、今日は主任と二人きりでお昼ですか」
『非常に残念だがそういうことになるな。全く……どうせならお前もどこかで食事を取っ
てくれば良かったんだ。そうすれば、静かな昼休みが満喫出来たのに……』
「そうつれないことを言わないで下さいよ。事務所で一人きりのランチってなんか切ない
じゃないですか。せっかくですから、普段話さないようなことを話しますか」
『冗談を言うな。何で貴重な昼休みを、お前との会話に費やさねばならないのだ。しかも
普段話さないようなことなんて、話したくもない』
「でも、こういう時だからこそ、部下とコミュニケーション取っとくのって必要じゃない
ですかね? 特に出来の悪い部下に対してほど」
『自分で出来が悪いとか言うな。自覚しているなら、口に出す前に改善の努力くらいしろ。
このバカが』
「まあ、そう怒らないで下さい。それより、主任に前から聞きたかった事があったんです
けど、いいですか?」
『どうせ、ダメだと言っても聞くんだろう? ならば答えるだけ無駄だ』
「それは、いいってことですよね? じゃ、聞きますけど、主任のお弁当って、自分の手
作りですか?」
『んなっ……? 何でお前がそんなことを聞きたがるんだ? い、意味が全く分からないが』
「まあ、単なる興味本位ですけど。別に答えたくなければ、それでいいですよ」
『そ、そうしたら変なことを想像したりするんじゃないのか? 勝手にやましい理由を捏
造して、友子あたりと噂にしたりするんだろう? 冗談じゃない』

2432/42017/08/14(月) 10:04:22.450
「主任も結構被害妄想あるんですね。まあ、確かに色々と考えはしますけど、うわさ話に
したりとかはしないですから、安心してください」
『むぅ…… だが、答えなければやはりお前は、勝手な妄想をして楽しむつもりなのだろ
う? それだけでも我慢ならんな』
「なら、教えて下さいよ。そんな葛藤するほど大変なことなんですか?」
『べ、別に大したことでも何でもない。ただその……』
「ただその…… 何ですか?」
『な、何でもない!! ええいっ!! もういい!! この弁当は母に作って貰ったもの
だ!! これでいいか?』
「まあ、いいですけど…… 何でそんなムキになって言うんですか? 別に普通だと思う
んですけど……」
『う、嘘だ。お前、今私の答えを聞いて、やっぱりって思っただろう?』
「よく分からないですけど…… 何でそんなことを気にするんですか?」
『フン。顔を見れば分かる。どうせ、私が料理をするなどとは最初から考えていなかった
に違いない。それなのにイチイチ聞くなど、全く嫌味な奴だ』
「別にそこまでは思ってなかったですけど、主任って確か自宅でご両親と一緒に暮らして
るって聞いた記憶があったから、まあ別に意外ではなかったかなって程度で」
『ウソだな。フン。どうせ私は、お前の想像通り家事が苦手で家庭的とは程遠い女だ。こ
れで満足か?』
「うーん…… むしろ、何で主任がそこまで負い目を感じているのか、そっちに興味が出
てきたんですけど」
『や、止めろ!! これ以上人の恥部を詮索するなっ!!』
「そんな恥ずかしがることかなぁ? もしかしたら、それが原因で、好きな人に振られた
とか?」
『ふぐっ!?』
「あれ? まさか図星だったんですか? 当てずっぽうってか、ありがちなベタな予想だっ
たんですけど」
『ち、違う!! 当たってなどいない!! そんなことで振られたりするか!!』
「でも、さっきの顔。間違いなくヤバいって顔してましたよね? ここで変に隠すと、
かえって恥ずかしいことになると思いますけど」

2443/42017/08/14(月) 10:05:25.750
『ふぐぐ…… ふ、振られていないのは本当だ。そもそも告白すらしていなかったのだ
から……』
「ここまで来たら、もう話しちゃいましょうよ? どうせ恥ずかしい思いをするなら、いっ
そぶっちゃけちゃった方がスッキリしますよ」
『フン。人を気遣うフリして、本当は自分が聞きたいだけなんだろう。全く、口が上手い奴だ』
「まあ、それが営業ですから。むしろそれしか取り柄がないですし」
『だったら、他を伸ばす努力をしろと…… まあ、いい。私の料理下手と恋愛の絡みを話
せばいいんだろう? お前にしつこく追及されるのもうっとうしいから、教えてやる。だ
が、大した話しじゃないからな。つまらなかったからといって、ガッカリするなよ?』
「もちろんです。主任の話なら、どんな話でも喜んで聞きますよ。お説教以外は」
『本当に調子のいい奴だな。頭に来るくらいに』
「で、それっていつ頃の話なんですか?」
『ちゅ……中学の時だな。よくあるだろう。家庭科で作った料理をだな。好きな人に食べ
てもらうなんてことが。だが、その時の私は料理が非常に苦手でな。教えられた通りに作っ
ているはずなのに、何故か失敗してしまうんだ。焦げていたり、中が生焼けだったり、型
が崩れてしまったり……』
「まあ、結構料理って難しいですよね? 俺も独り暮らしでたまに作りますけど、ほぼ炒
め物ばかりですし。あとはカレーくらいで」
『だ、黙れ。お前の話なんて誰も聞いていない。それでだな。まあ、私にもそれなりには、
いいと思える男子がいてだな。何とか頑張って作った料理を食べてもらいたいと、そう思っ
たわけだ。しかしだな。その……私が何とか苦労して作った料理を持っていった時には……
もう、他の女子がその男子に料理をあげていたのだ……』
「それで諦めて引っ込んだんですか? なんか主任らしくないですね。今じゃ、多少無理
めな営業でも、綿密な計画立ててかなりの確率で仕事取ってくる主任のイメージにそぐわ
ない気がしますけど」
『仕事と恋愛を一緒にするな。大体、ただそれだけなら諦めたりするか。その……彼はだ
な。こう言っていたのだ。マジかよ。ホントにお前が作ったのか? 超美味いじゃん。俺
さ。料理が上手い女子がモロ好みなんだよね、と』

2454/42017/08/14(月) 10:06:53.180
「うーん…… そんなの、女子に手作り料理を食べてなんて言われたら、男ならみんなそ
う答えると思いますけど」
『ぐっ…… や、やはり男はそうなのか? 料理くらい自分で作れるような女じゃないと、
興味は湧かないのか?』
「そういう意味じゃなくて、せっかく料理をくれた子に対して失礼なこと言えるわけない
じゃないですか。そりゃ、嬉しいは嬉しいですけど、半分はお世辞っていうか社交辞令み
たいなものですよ。確かに料理出来るってのは一つの武器ではありますけど、それだけじゃ
ないですから」
『お前の一般論での慰めなど不要だ。今でもあの時の彼の笑顔が、私の脳裏に焼きついて
離れないのだ』
「まあ、料理をあげた子にしてみれば、やっぱり誘惑する気があったんでしょうね。普通
は、好きでもない男子に手料理なんてあげないですし」
『見ろ。やはり手料理は有効な手段なのではないか。それが全く出来ないとなれば、男性
にとっては相当に魅力が薄れるのではないか?』
「うーん…… まあ、人にもよると思いますけど。主任でしたら、料理が出来なくても、
美人でスタイルもいいし、色んな細かいことに気が付くし、要領も良くて何事もテキパキ
と行動できるし、いいところいっぱいあると思いますけど」
『フン。どこかで聞いたような世辞ばかりを並べて。しかも言われている相手もお前だか
らな。余計に嬉しくない』
「うーん…… 強いて言うなら、主任の欠点は口が悪いことですかね。俺が主任から見れ
ば全然仕事のやり方が下手で、それをキツい言葉で説教したとしてもそれはいいんですけ
ど、他の人にも結構当たり厳しい時あるじゃないですか」
『私だって言葉遣いを選ばないわけじゃない。ただ、そこそこ親しい間柄だと、つい本音
が口を突いて出るだけだ』
「もったいないですよ。むしろ料理よりそっちの欠点を直したほうが男性受けもいいと思
いますけどね。主任って高校時代はどうだったんですか?」
『別に。今とそんなには変わらん。むしろ今よりも若干トゲは多かったかもしれんな。風
紀委員とかもやっていたし』
「風紀委員? そんなの、実際にあったんですか? 俺、てっきりマンガとかアニメの世
界にしか存在しないと思ってましたけど」

後編に続く

246ほんわか名無しさん2017/08/14(月) 19:22:51.420
主任ペロペロ(^ω^)

247ほんわか名無しさん2017/08/15(火) 15:00:17.460
続いて後編行きます
同じく4レスで

2481/42017/08/15(火) 15:00:48.250
・料理の苦手なツンデレにどんな料理なら出来るか聞いてみたら〜後編〜

『あったんだ。失礼な。まあ、やることはほとんど、生活指導の先生の手伝いみたいなも
のだったがな。私の学校は私立で生活態度も厳しいところだったから、服装や持ち物の検
査も多かったし』
「ハァー…… いいですね。何か、主任の風紀委員長時代って見てみたかったかも」
『誰が委員長だといった。委員長はほとんど男子だ。私はただのクラスから出された委員
の一人に過ぎなかっただけだ。全く……妄想もいい加減にしろ』
「すみません。つい、テンション上がっちゃって。でも、そんな雰囲気だったら、その……
主任が憧れてたっていう男子と話とか、あまりしなかったんじゃないですか?」
『うっ…… あまり、ではなく、ほぼ全くというか……ちょっと連絡事項を伝えるとかそ
んな程度で…… そもそも、男子と話をすること自体ほとんどなくてだな……』
「もしかして、それで内心ひそかに、何とか君と今日ちょっと会話しちゃった……ってト
キめいたりしてたんですか? 何かすっごい可愛いんですけど」
『やかましいっ!! かっ……からかうな、このバカ!! こんな性格の上に、さらに女
子としての基本スキルで上を行かれたら、私としてはもう……諦めるしかないじゃないか……』
「でも、主任いつも、苦手分野は克服しろと言ってるじゃないですか。主任だったら、何
とかして料理上手になろうと努力しそうなものですけど」
『お前に言われるまでもない。努力くらいはしている。とはいえだな。その……まだたい
したものは作れないのだが……』
「でも、簡単なものくらいは作れるようになったってことですか? 炒め物とか、豆腐の
味噌汁とか」
『うぐ…… その、だな…… まあその……』
「あれ? 歯切れが悪いですね。もしかして、そこまでは行ってないとか?」
『う、うるさい!! まだ色々と勉強中だ。もちろん練習はしているが、出来るとまでは
いえないから……だから……』
「ああ、すみません。先走って。でも、高校の時からだと、もう10年近くにはなるじゃな
いですか。何か一つ、得意料理みたいなものってないんですか?」
『得意料理……だと?』

2492/42017/08/15(火) 15:02:04.390
「ええ。これだけは上手に出来たって言えるものです。何か一つくらいはないんですか?
ちなみに俺は、オリジナルで作った焼きそばですかね。大学の時の友達とバーベキューで
作ったんですけど、あれは評判良かったなあ」
『嫌味かお前は。それとも私に対する当て付けか? ああ、そうだ。悪かったな。どうせ
私は一度も料理で他人から褒めてもらったこともない、女子力のない女さ』
「別にそんなつもりで言ったわけじゃありませんってば。まあ確かに、自慢話っぽくなっ
てしまったのは申し訳なかったですけど…… あくまでその、例として挙げただけですから」
『例を出すなら出すで、別にバーベキューのくだりなどいらないだろう。余分なことをペ
ラペラとしゃべるから、お前はトーク力がないと言われるんだ。分かっているのか』
「はいっ!! まあ、言っているのは他でもない主任だっていう話はありますが…… と
にかく、気をつけます」
『全く…… 本当に、返事だけはいいんだからな。少しはキチンと反省して実践してみせ
ろ。その場しのぎではなくな』
「分かりました。では、シンプルにもう一度伺いますが、主任が高校時代から今までで、
一番上手に出来た料理ってなんなんですか? 自己評価で構いませんけれど、一つくらい
はあるんでしょう?」
『う…… ま、まあその…… ないこともないが……ただ、まあその……料理と言えるの
かどうかは若干疑問だが……』
「別にいいですよ。冷や飯で作ったチャーハンだろうが目玉焼きだろうが。百歩譲って具
無しのインスタントラーメンでも良しとします」
『ではその……何というか、その……餅……かな? うん……』
「餅? 餅を使った料理って何かありましたっけ? 雑煮とか、ですか?」
『いや。その……もう少し具体的に言うと、焼き餅……だな。ほら。しょうゆをつけて海
苔を巻いたりとか、きなこをまぶしたりとか……』
「もしかして、単に網に乗せて焼くだけですか? 他に手を加えるわけじゃなくて」
『何だその微妙な顔つきは。目玉焼きだってフライパンに乗せて焼くだけだろう。それと
何が違うというのだ。あれで認めると言ったのだから、これも料理で間違いないだろう』

2503/42017/08/15(火) 15:02:40.690
「うーん…… 何か、個人的にはそれは何というか……オーブントースターでパンを焼く
のと同じくらいのレベルのような気がするんですが……」
『そんなことはない!! 焼き加減を見るのは意外と難しいんだぞ。うっかりすると、破
裂して餅の中が下に落ちてしまったり、かといって早く上げすぎると中が生焼けだったり……
さんまとかを七輪で炙るより難しいかもしれないんだぞ』
「分かりましたよ。そんなにムキにならなくても。で、主任は餅の焼き加減を見るのが得
意だと、そういうわけなんですよね」
『ああ。田舎に七輪があってな。小さい頃から炭火で焼くのが好きで、おじいちゃんやお
ばあちゃんにも褒められたものだ』
「なるほどねえ。まあ、確かに目玉焼きも焼き加減をみる程度の技術しか必要ないですし
ね。そう言った以上、そういうことにしておきましょう」
『何だ。その不満そうな言い方は。そりゃあ、焼きそばなどという高度な料理を作るお前
には不満かもしれないがな。上手に焦げ目をつけたり、綺麗に膨らませたりと技術が必要
なこともあるんだぞ? やったことがなければ分からないだろうがな』
「……じゃあ、見せてもらえます? その技術を」
『……なに?』
「いや。主任がそこまで力説されるわけですから、出来れば是非、そのお手並みを拝見し
たいなあ、と。ついでに、主任の焼いた美味しい餅をご馳走になれれば最高なんですけど」
『なん……だと……? じょ、冗談を言うな!! 何で私が、その……お前に手料理を……
とまでは言えないにしろ、手づから焼いた餅を食べさせねばならないのだ!! い、意味
がわからない!!』
「いや。俺が納得行ってないのがどうもご不満のようでしたから、実際に目の前でやって
みせて、さらに食べさせれば主任の言ってる事が納得できるんじゃないかと思いまして」
『だ……だからといってだな!! その……そこまでする必要な……』
「いえ。もちろん、俺が納得行ってないままでいいというのでしたら、する必要はありま
せんけど。そもそも、しなくちゃいけないわけじゃなくて、単にお願いですから」
『む……ぅぅぅ…… 確かに、私の言ったことは何としてもお前に証明したい気持ちはあ
るが……しかし……』

2514/42017/08/15(火) 15:04:37.000
「もちろん、ただでとは言いませんよ。お返しに、俺の得意料理のオリジナル焼きそばを
ご馳走しますよ。他にも色々と作れますし、主任にも絶対満足してもらえる自信はあります」
『ふぐっ…… それはそれで……お前の料理スキルを見せつけられるようで頭に来るが……』
「スキルなんて、そんな大したものじゃないですよ。多分、主任も傍にいればすぐに覚え
ますって。どうせ主任のことですから、親にも見栄を張って、教えてもらったりとかしな
かったんでしょう? 内心気にしてるとか思われたくなくて」
『っ!! 何でお前はいちいち私の痛いところを突いて来るんだ。頭に来る奴だが……だ
が、本当に私でも簡単に料理が出来るようになるのか? お世辞やおべっかではなく』
「だって、所詮野菜切って、肉と一緒に混ぜて炒めるだけですからね。切り方のコツとか
覚えればすぐですし、主任は飲み込み早いですから、人に教われば簡単に出来るようにな
りますって。いっそ、そこで覚えて親を見返してみせるとかどうです?」
『そ……そうだな? 本当にそんな事が出来るのなら…… ほ、本当に本当だろうな?』
「まあ、実際にやってみるまでは確信を持ってそうとまでは言いませんけど、俺は恐らく
主任なら出来ると信じてます」
『わ……分かった。だが、そうなるとだな……その……一体、どこでやれば……』
「やっぱ、俺んちじゃないですか? 主任は実家暮らしですけど、俺はアパート借りてま
すし。それに、自分で料理するから、キッチンまわりは結構充実してますよ。ガス台も二
つついてるし」
『やはりそうなるのか…… 私が、別府の家に……』
「男の家に行くの、初めてですよね? 不安ですか?」
『な……!? 何をバカなことを。べ、別に不安などない。お前と何も起きるわけじゃな
い。単に互いに得意料理を披露するだけだ』
「それにしては、さっきから声に緊張がありますし。大丈夫ですよ。主任からいただくの
は餅だけで、他には何も、食べたりしませんから」
『あっ…… 当たり前だ!! このバカッ!!』


終わり
さて、本当に餅だけだったのかどうかは読んだ人の妄想次第で

252ほんわか名無しさん2017/08/20(日) 17:37:41.770
主任のお餅(意味深)

253ほんわか名無しさん2017/08/21(月) 02:22:28.630
ちなみんのお餅
……あれ?

254ほんわか名無しさん2017/08/31(木) 21:16:25.230
夏の思い出が欲しいツンデレ

255ほんわか名無しさん2017/09/03(日) 11:39:49.610
未投下のSSでちょうど>>254っぽいのがあったので、とりあえず4レス投下

2561/42017/09/03(日) 11:40:27.730
・せっかくのお祭りなのにツンデレが機嫌悪くしていたら〜前編〜

「プハーッ…… うめぇ。やっぱ、祭りの時に飲むビールはいいなあ」
『……お兄ちゃん、親父くさい。一緒にいて恥ずかしいんだけど』
「なに言ってんだよ。この旨さは老若男女関係ないっての。なんならお前も一口飲むか?」
『お兄ちゃん!! あたし、まだ高校生!! 分かる? 未成年なの。アルコール禁止だ
から。勧めるのも犯罪なんだからね』
「相変わらず頭の固いやつだなあ。一口くらい許容範囲だっての。まあ、お前にゃまだ早
いか。にがーい……こんなのどこが美味しいの、って」
『またそうやって子供扱いするし!! あたしだって一応年頃の女の子なんだからね。兄
妹だからって気くらい遣ってよ!!』
「さっき自分で未成年だって言ったばかりじゃん。てことは、ガキだってことだろが」
『それとこれとは違うんだってば!! 未成年ってのはあくまでその……法律上のくくり
だから、ひとくくりに子供扱いしないでよね。失礼よ、さっきから』
「お? 真唯。焼きとんの屋台あるぞ? 食うか?」
『お兄ちゃん!! あたしの話、真面目に聞いてるの? ちょっと!!』
「食わないのか。じゃあちょっと待ってろ。すぐ買ってくるからさ」
『お兄ちゃんってば!! 待ちなさいよ、もうっ!!』


『……お兄ちゃんのバカ。あたしのこと、子供扱いして…… 浴衣だって新しく下したの
に…… もう、知らないよ。フンだ』


「お待たせ、真唯」
『フン。別に待ってないし。戻ってこないならそれはそれでオッケーだし』
「なに、拗ねてんだよ。そういうとこがさ。ほら。子供っぽいっていうか……」
『また子供って言った!! 最低!! 死んじゃえ!!』
「お前、そこまで言うこたないだろ。全く…… 一本食うか? お前も肉好きだろ?」
『いらない。太るもん』

2572/42017/09/03(日) 11:40:58.930
「祭りで人ごみの中を歩き回ってりゃ、そのくらいのカロリーはすぐ消費するって。ほら。
美味いぞ」
『いらないって言ってるじゃん!! お兄ちゃんこそ、ビールガバガバ飲んで、焼きとん
食べてさ。ブクブクに太るよ? あたし、デブを横に並べて歩くなんてヤダからね』
「普段からこんな生活してれば別だけどさ。ビールだって特別イベントとかないと飲まな
いし、うちは母ちゃんが厳しいから大丈夫だって」
『そーやって人任せにして安心してると、気づいた時にはドンって体重が増えてるんだか
ら。部屋の片づけだってちっともやらないし、洗濯物だってシーツとか枕カバーはあたし
が言わないと出さないし。生活面で自己管理できない人は、健康面だっておんなじなんだ
よ。どーせ、大学でもお昼はジャンクフードばっかなんでしょ? それに、家じゃあまり
お酒出さないけど、外で結構飲んでくるじゃん。それじゃ全然意味ないんだから』
「それはいろいろと友達同士の付き合いだってあるわけだし、お前だって友達と放課後ドー
ナツとかアイス食って帰ったりするだろ? おんなじだって」
『同じじゃない。あたしはその分家で頑張って運動したりご飯減らしたりしてるもん。お
兄ちゃんは家帰ったってポテチ食べたりしてるじゃん。ダメダメだって』
「この間体重計乗ってみたけど、ほとんど変わってなかったぞ。腹だってまだ出てないし
な。お前こそ、そうやって体重気にするってことは、実は太ってきてんじゃないか? 帯
で腰を締め付けて細く見せてるけど、無理してんだろ? 苦しいんじゃないか?」
『さも愉快そうに言うなっ!! 大体、見るところってそこなの? あー…… もう知ら
ない。お兄ちゃんのバカ!! 血液ドロドロで高血圧と糖尿病と痛風に苦しんで死ね!!』
「お前な…… さすがに兄に向ってそこまで言うことないだろ。大体、何でそんなに不機
嫌なんだよ。そもそも祭り行こうって誘ってきたのはお前なのにさ。怒ってばっかじゃど
うしようもないだろ」
『別に誘ってない。話題は振ったけど、一度も一緒に行こなんて言ってないし。誘ったの
はお兄ちゃんの方だから』

2583/42017/09/03(日) 11:41:39.580
「確かにお前は話題振っただけだけど、行きたいってのは見え見えだったじゃん。友達が
合宿とか帰省でいないんだよなーとか、一人で行くのもつまんないしなー、とか。俺がじゃ
あ行くかって言ったら、渋々な態度の割に目ぇ輝かせてたし。それが何で不機嫌なんだよ」
『知らないわよ。一つ言えるのは、全部お兄ちゃんが悪いってこと。あとは自分で考えてよね』
「自分で考えろったって…… とにかくまずは何か食えって。今日は俺が金出すからさ。
焼きとうもろこしでもわたあめでも、真唯の好きなもの何でも買っていいぞ」
『だから食べるものはいらないって言ってるじゃん。あたしの話、聞いてなかったわけ?』
「いや。ガッツリ系がイヤなだけかと思ってさ。あ、ほら。あそこであんず飴売ってるし。
あれにするか? お前、ガキの頃好きだったろ?」
『また子供の頃の話して。あたし、もう高校生なの。体はもう十分大人だし、心だって大
人に近づいてるのに、いつまで同じだと思ってるのよ』
「別に同じだなんて思ってるわけじゃないさ。けど、二人だけでお祭りに来るのなんて随
分久しぶりだろ。お前の好みがどう変わったかなんて、よく分からないし」
『そんなの、お兄ちゃんがあたしのことに全然気を配ってなかったからでしょ? 自分ばっ
かりお酒飲んでおつまみ食べて楽しんでさ。あたしのことは放っておいて……』
「そんなことないだろ。気にしてるから、さっきから色々とあれ食うか? これ食うかっ
て勧めてるんじゃん。お前のこと見てなかったら、もっと自分の好きな店回ってるって」
『それはあたしが機嫌悪くしてるから、適当に食べ物で釣ろうとしてるだけじゃん。そん
なの、気にしてるなんて言わないわよ』
「食べ物で釣るってのは、ちょっと人聞き悪いだろ。お祭りなんだからまずは屋台で美味
しいもの食べて、それから金魚すくいやらヨーヨー釣りやら射的で遊んでって思ってたか
らさ。お前だって友達とお祭り来たら、そうやってみんなでわいわい騒いで楽しむんじゃ
ないのか?」
『友達とはそうかもしれないけど、お兄ちゃんとじゃ違うの。全然分かってないんだから。
それでよく人のこと気にしてるとか言えるよね。信じられない』
「ちょっと待てよ。友達と来た時と俺で、どう祭りの楽しみ方が違うっていうんだよ。意
味わかんないって」

2594/42017/09/03(日) 11:42:24.350
『もういいよ。お兄ちゃんがあたしのことをどう見てるか、よっく分かったから。もう知
らない。バカ』

『(お兄ちゃんにとっては……あたしっていつまで経っても手のかかる妹でしかないんだ……
だから……せっかく新しい浴衣来て……頑張ってお化粧して……自分なりに着飾ったつも
りなのに……全然見てくれなくて……)』
「(まいったな…… 真唯のやつが何怒ってんだか、全然わかんねーな。まあ、あの年頃の
子って、俺らには理解できないことで笑ったり怒ったりするってのは知ってるけど…… 
せっかく祭り来て、気まずいままで終わるわけにはいかないしな)』
「……ん?」
「真唯」


中編に続く

260ほんわか名無しさん2017/09/03(日) 12:43:41.690
ああ……ツンデレさん泣かすヤツはゆるさん

261ほんわか名無しさん2017/09/10(日) 11:04:58.010
中編行きます

2621/42017/09/10(日) 11:05:27.750
・せっかくのお祭りなのにツンデレが機嫌悪くしていたら〜中編〜

『…………何よ』
「あれ。覚えてるか?」
『は? あれって、アルミのキャラクター風船じゃない。それがどうしたって言うのよ?』
「昔、祭りに来たときにさ。あの、魔法少女だかなんかの変身ヒロインの絵が描かれたの
を欲しい欲しいってねだってたじゃん。お前』
『知らない。そんなこと。いつの話よ』
「多分、5歳くらいん時じゃなかったかな? とーさん仕事でかーさんが近所の葬式だった
か法事だったかで、お祭り行けなくてさ。諦めろって言われたけどお前がどうしても行き
たいって泣いて、しょうがないから俺が連れて行くことになった時だから」
『そんなことあったっけ? 覚えてないよ。大体あたし、そんな聞き分けのない子じゃな
かったと思うけど』
「何言ってんだよ。ガキの頃なんてすっごいわがままだったじゃん。って……今もそう変
わりないか」
『誰がわがままだってのよ!! 失礼なこと言って。だからお兄ちゃんって嫌いなのよ』
「そっか? 俺は妹にわがまま言われるのって兄貴の特権だと思ってるから、結構好きだけどな」
『んなっ……!? う……ウソばっか。だったらもうちょっとあたしに気を遣ってくれたっ
ていいじゃん。自分のことばっかでさ。さっきから』
「そりゃ、俺だって久々の祭りだし、せっかく来たからには楽しみたいもんな。けど、お
前のことだって気には掛けてるつもりだぞ。昔も、今もな」
『どこが。物で釣って機嫌取り持とうとしてるだけじゃん。そういうの、気遣いって言わないの』
「最近の真唯は分かりにくいんだよ。昔みたいにわがままもストレートだったらいいんだ
けどさ。例えば、あの風船買って、とかって」
『だから、そんな記憶ないんだけど』
「なんて言ったかな。魔女っこもののアニメでさ。あん時は小遣いなかったから、自分の
買いたいもの我慢して買ったんだぜ。でもまあ、それで真唯が泣き止んでさ。ちっちゃい
声で、お兄ちゃんありがとうって。それ聞いたら、まあいいかなって思ったの。俺は今で
もよく覚えてるぞ」

2632/42017/09/10(日) 11:06:05.470
『へ…… へー…… 昔のお兄ちゃんの方が優しかったじゃん。今じゃ、自分優先してビー
ル飲んで好きなもの食べて、満足してから思い出したように真唯もなんか食うかーとか。
どこが気を遣ってるっていうのよ』
「お前にはそう見えないかもしれないけど、まあ色々あんだよ。兄貴ってのは」
『なによ、その色々って。ボカした言い方しないで、ちゃんと答えてよね。何か、言い逃
れしてるみたいで卑怯だよ。それ』
「あんま追求すんなよな。むしろお前の方が探られたくないこといっぱいあんだろ? お
互い様だと思っとけ」
『ダメ。こういうことはちゃんとハッキリさせとかないと、お兄ちゃんがどの程度あたし
のことを気に掛けてるか分かんないじゃない。ちゃんと言わないと信じてあげないからね。
お兄ちゃんの言ってること』
「別にいいよ。信じてくれなくても、とにかく真唯が機嫌直してくれれば」
『機嫌、直さないもん。お兄ちゃんがどんなふうにあたしを気に掛けてるのかちゃんと言
わないと、ずーっと怒り続けるから。もう二度とお兄ちゃんと外出南下するかって。まわ
りにもお兄ちゃんの最低ぶりを言いふらして、お兄ちゃんの評判がた落ちにさせてやる』
「全く、めんどくさい奴だな。そんなの詳しく言う必要もないだろ。むしろ言ったら言っ
たで自慢げになるし。分かんなければ分かんないでいいんだよ」
『良くない。そういうの、上手な人は見せなくても気遣いが分かるからこっちもハッとし
ちゃうけど、お兄ちゃんはド下手くそだもん。気に掛けてるってエラそうに言うなら、こっ
ちだってどの程度気に掛けてくれてるのか聞かなきゃ気が済まないから』
「やれやれ。ホント、しつこいなよ。お前って。そんな性格だから、高校生になっても彼
氏の一人も出来ないんだぞ」
『よ…… 余計なお世話よっ!! 出来ないんじゃなくてあたしの目にかなう男子がいな
いだけだもん!! お兄ちゃんだって彼女の一人もいないくせにそんなこと言われたくな
い!! 謝んなさいよ!!』
「わーかった。悪かったよ。つか、ちょっと待て。電話入ってるから」
『そんなもん今出る必要ないでしょ? 逃げる気? 逃げる気よね?』
「すぐ終わらせるから、待っとけって。あー、もしもし?」
『あー、もう!! ズルい!! お兄ちゃんてば!!』

2643/42017/09/10(日) 11:06:34.080
[よお? どーよ、タカシ。元気してっかぁ?]
「んだよ。気持ちよさそうに。すっかりご機嫌だな? おい」
[そりゃそうだろ。今日来てくれた子達、結構レベル高くてさー。お前も来りゃ良かった
のに。ホント]
「仕方ねーだろ。親から用事押し付けられたんだし。金と生活の保障を盾に使われたらか
なわねーよ」
[かわいそーに。えーと、何てったかなー…… ああ、そうそう。カナちゃんって子がさ。
超お前好みっぽい子で目がクリッとした強気そうな感じでさ。今、ヒロアキがアタックし
てるけど、アイツ調子乗りだからダメだろーな]
「ちぇっ。お前、何とか約束取り付けて、次に紹介しろよ。俺を哀れだと思うならさ」
[無理無理。俺も今、ヒナちゃんと仲良くなるのにいっぱいいっぱいでさー。マジ、これ
からが正念場だから。俺が彼女と無事上手くいけたら考えてやるよ]
「んだよ。のろけ話に電話してきたのかよ。酔って調子に乗ってやがるな。このヤロー」
[いやー。今日来れなかった可哀想なタカシ君に、この楽しさの少しでも伝えられたらなー
と思って。つか、お前今ドコにいんの? やけに騒がしくね?]
「地元の祭り。親戚のガキの世話押し付けられてさ。大変なんだっての」
[何だよ。用事って、そんなのかよ。将来にかかわる重要な用事があるからって断っちま
えば良かったのに]
「一応拒否りはしたけどさ。親の言う事が聞けないってアンタ、何様よ。ご飯食べさせて
あげてるのは誰なの? 学校行かせてあげてるのは? 住む部屋あげてるのは? 全部取
り上げて放り出そっかって言われたら逆らえねーだろ。さっきも言ったけど」
[へー。実家暮らしは大変だなあ。と。ヒナちゃん戻って来た。じゃーな]

「ったく……わざわざ電話することかよ。ラインとかで済ませろよな。自慢話とか……ウゼー」
『ふーん』
「どわっ? ま、真唯。なんでそんな近くにいるんだよ。待ってろって、手で合図したろ?」
『お兄ちゃんの指示なんて聞く必要ないし。つーか、今の誰? 友達?』
「やかましいな。お前には関係ないだろが」
『もしかして、今日ホントは他に約束あったとか? あたしに、暇だって言ってたのに?』

2654/42017/09/10(日) 11:07:12.970
「言ってない。どうせ暇なんでしょって決め付けたのはお前だ」
『でも、誘ったのはお兄ちゃんじゃない。だったら、肯定したも同然でしょ?』
「全く…… 大した用事じゃないから断っただけだって。単に酒飲むだけだし」
『でも、女の子とでしょ? それって、重要な用事じゃないの?』
「な…… 何で女の子となんだよ? 今掛かってきたの、野郎友達だって。口調で分かる
だろ? それがどうしてそうなるんだよ?」
『だって、紹介しろよ、とか言ってたじゃん。それって女の子のことじゃないの?』
「いや。何かたまたま飲み屋で意気投合した女子グループがいたとか……って、そんなと
こまで聞いてたのかよ?」
『だって、ずーっとお兄ちゃんの耳元に顔寄せてたんだよ? 気付かないとか、鈍すぎ』
「うるせー。まわりがうるさくて、声聞くのに集中してたんだよ。つか、そこまでして人
の話聞くなよ」
『お兄ちゃんが変なことしてないか監視するのは、妹の役目ですから』
「なに、エラそうに保護者ぶった顔してんだよ。ガキのくせに」
『うるさいな。つーか、バッカみたい。合コンの約束蹴って、妹を祭りに連れてくほう選
ぶとか。そんなんだから、彼女出来ないんだよ』
「大きなお世話だ。大体、合コンで彼女がゲット出来る程度の甲斐性があるなら、他にも
チャンスあるだろうし、一度や二度機会ロスしたくらいで運命変わるか」
『その、一度が運命の女性と出会うチャンスだったかもよー? あーあ。もったいないもっ
たいない』
「うるせーよ。だから、お前に言われたくないし」
『ホント、バカだよねー。こんなことで妹に気を遣ってやってるんだーとか自己満足しちゃっ
てさ。あたしがこれで感謝するとでも思ってるの?』
「知らねーよ。ただまあ……その…… せっかく新調した浴衣を誰かに見せる機会がなく
なってガッカリしてる妹と彼女になれるかどうかも分からない、見ず知らずの女性のどっ
ちを取るかって言われたら…… 兄としては妹の方が優先順位高いだろが」


後編に続く

266ほんわか名無しさん2017/10/09(月) 11:07:01.120
ちょっと時間が経っちゃったけど、残りも続けて投下

2671/22017/10/09(月) 11:07:42.970
・せっかくのお祭りなのにツンデレが機嫌悪くしていたら〜後編〜

『…………ホント。お兄ちゃんって、バカだね』
「ああ。バカだよ。分かってるから、友達にも親戚のガキの面倒とかウソついてるし」
『それもあるけど。あたしのこと、全然分かってないなって』
「そんなこと知ってるって。悪かったな。気遣いの押し付けでさ」
『そうでもなくてさ。これだけ鈍きゃ、あたしの怒ってる理由を気付かなくてもしょうがないか』
「悪い。今のお前の言葉も意味が分からん」
『もういいよ。それじゃ、一つだけ聞かせて?』
「何だよ。今更一つだけって。さっきからもういくつも質問食らってると思うけど」
『でも、一つも答えてないじゃん。全部、あたしが盗み聞きから推測しただけで。だから、
一つだけ』
「わかったよ。わがままは妹の特権だ。答えてやるから、言えよ」
『あのさ…… お兄ちゃん自身は、あたしの浴衣姿見て、どう思う? 可愛い? ちょっ
と派手すぎるかな? 浴衣に負けてるとか。それとも逆に地味とか?』
「何だよ。そりゃあ……」
『そりゃあ…… で、何? もったいぶらないで、早く』
「……まあ…… お前を誘ったのって、別にお前が浴衣着て出掛けたそうにしてるからっ
てだけじゃなくて、俺も……せっかく真唯が可愛い浴衣買ったってのに、一度も出掛けず
じまいで夏が終わったら、まあその…… もったいないなって。こないだ、うちで一回試
しに着て、見せて回ってたじゃん。あれ、思い出したらさ。せっかく、晴れやかで、よく
似合ってるのにって……」
『ふーん…… そうなんだ』
「そうなんだって、それだけかよ。人に感想求めといて、何もないのかよ。嬉しいとか、
逆にキモいでもさ」
『べっつに。お兄ちゃんだし』
「ああ。そっか。ま、それでもいいけどな。兄妹だし」
『だよね。じゃ、行こっか? お兄ちゃん。もう少し、見て回ろ?』
 ギュッ!!

2682/22017/10/09(月) 11:08:20.770
「お……おいおい。なに、腕に抱きついてんだよ。いきなり」
『その1。人ごみでお互い、はぐれないように』
「それなら別に、腕にしがみつく必要まではないだろ。服掴むとか、手首とかでもいいじゃん」
『その2。鈍感なお兄ちゃんへの罰』
「罰って…… そりゃ、俺が鈍感なのはともかくとして、罰受ける意味も、これのどこが
罰なのかも分かんねーよ」
『フフフ。恥ずかしいだろ。人ごみの中で妹に甘えられて。知り合いとかに出会ったらど
うなるかなあ?』
「お前だって出会ったらどうすんだよ。ブーメランじゃねーか」
『こういう時、仕掛けてる側は強いんだもん。覚悟完了してるし。そして、その3』
「その3って…… まだあんのかよ」
『……まあ、ね。その…… 不器用だけど……一応、妹のことを想ってくれてるお兄ちゃ
んへの……ちょっとしたご褒美……かな?』
「褒美って…… まあ、別に妹に甘えられるのも悪い気はしないけどな」
『むー。正直に嬉しいって言え。お兄ちゃん、素直じゃないんだから』
「それはお前もだろが。色々理由つけてるけど、単にお前が甘えたいってだけじゃないのか?」
『そ……そんなことないもん。お兄ちゃん、なかなか女の子とこんなことする機会ないだ
ろうからなーって……思って……サービスしてるだけだし……』
「じゃあ、別に離してもいいぞ。迷子にならないだけなら手つなぐだけでもいいし、俺は
別に恥ずかしいとも思わないから罰にもならないしな」
『う…… お兄ちゃん、いじわるだ……』
「素直に甘えたいって言えば、俺も喜んで応じてやる」
『……ズルい……お兄ちゃん……』
「さ、どうする? 選択権はお前にやるよ」

『……………………』

『……いっぱい甘えさせて……お兄ちゃん……』


終わりです

269ほんわか名無しさん2017/10/09(月) 11:24:45.270
あまずっぺぇ〜〜〜〜〜〜


270ほんわか名無しさん2017/10/17(火) 02:11:10.200
ちなみんのお腹すべすべ

271名無しさん@そうだ選挙に行こう! Go to vote!2017/10/22(日) 11:18:25.950
付き合い始めたら態度がぎこちなくなるボクっ娘可愛い

272ほんわか名無しさん2017/10/22(日) 22:32:28.350
お題
つ・ツンデレ総選挙
 ・生徒会長に立候補するツンデレ

273ほんわか名無しさん2017/10/28(土) 21:10:59.120
>>272
応援されて頑張るんだけど男とじゃれ合う時間が減って、無理やり男を生徒会に入れるところまで妄想した

274ほんわか名無しさん2017/11/20(月) 01:39:11.570
お題
・連休の計画を立てる男とツンデレ
・出会ってから干支が一週した男とツンデレ

何年経ってもツンデレへの愛は衰えんなぁ

275ほんわか名無しさん2017/11/22(水) 21:33:45.500
つ いい夫婦の日

276ほんわか名無しさん2017/11/23(木) 17:57:33.080
つ いい兄さんの日

277ほんわか名無しさん2017/12/07(木) 00:25:47.670
現状、張り紙をしてマナー向上を訴えても全く効果がありません。それどころかフンを使った嫌がらせを受ける始末です。

犬を飼うには筆記試験や講習会必須の免許が必要になるように。また、きちんと実技試験に合格した人だけが犬を連れて外を歩けるように、法整備が進むことを心から願います。

278ほんわか名無しさん2017/12/07(木) 17:35:52.690
ちなみんを飼いたい

279ほんわか名無しさん2017/12/10(日) 12:08:51.770
お題
つ・ツンデレに最近あまりツンツンしなくなったよねって言ったら

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