そしてあたしは別府の胸……というか脇辺りに顔を埋めて体に巻きつかせた腕に力を込
める。何かもう、すごく安心して、他のことはどうでも良くなっていた。悔しさとかやり
切れなさとか恥ずかしさとか。後から思い返したら、きっと死ぬほど悶絶するんだろうけど。
『……不思議……』
 あたしは、小さく呟く。何で、抱きついただけでこんなにも気持ちが楽になるんだろう?
男の子の体って、こんな力があるのだろうか? それとも、別府だから? ちょっとだけ
自問自答するが、すぐにどうでもよくなる。今はもう、そんなこともどっちでもいいやと。
だって、とにかく安心出来るんだから。


続く