『は? あたしが食べてって言ってるのに、いいも悪いもないでしょ? 何であんたがそ
んなこと気にすんのよ。意味分かんないんだけど』
 疑問を呈すると、別府は困り顔で視線を外した。
「いや。その分じゃどうせお前気付いてないんだろうけどさ。これってその……間接……
って、なっちゃうわけだけど」
『なっちゃうって……間接……? ――――っ!!』
 別府が言葉を濁したせいで気づくのが遅くなったが、気付いた途端、心臓がドクンとびっ
くりしたように一打ちした。別府が気にしてたのってそっちかと。しかし今更後に引けな
いし、何よりあたしはもうそのおにぎりは無理だった。
『へっ……へへへ、変なこと言う、言わないでよバカ!! こんなの、その……そういう
のとは違うし!! ただの、その……何てーのっていうか、えっと、あの……じゃ、じゃ
なくて、残飯処理だし!!』
「そっか。なら、まあ……いただくわ」
 別府が食べかけのおにぎりを手に取るのを見て、あたしはパッと顔を背けた。水筒から
またお茶を注いでちびちび飲みつつ、横目でチラチラと別府が食べるのを確認する。正直、
全部別府のせいだと、あたしは心の中で憤慨した。わさび漬けおにぎりで悶死しそうになっ
たのも、今恥ずかしくて死にそうなのも。


まだ続きます