『は? 何であたしが最初っから悶絶するって分かってるおにぎりを食べなくちゃいけな
いのよ? 意味わかんない』
「アホか。勝負ってのはそういうもんだろ? 椎水から仕掛けた勝負なんだから、当然自
分でもリスクを負うべきだろ? まあ、要は勝ちゃいいんだよ」
『ふぐぐぐぐ……』
 リスクの大きさにあたしは歯軋りした。負けたら別府の前でみっともない姿を晒すはめ
になるのか。しかし、受けなければ別府の悶絶顔を見ることは絶対出来なくなる。ここで
引いていいのかあたし。いや、よくない。
『分かった。受けて立つわよ。大体、じゃんけんとはいえ、あたしが別府に負けるとかあ
りえないし』
「よっしゃ。じゃあ、最初はグーな。行くぞ」
 虚勢を張ったとはいえ、男子の前でみっともない姿を晒すかどうかの一大勝負。緊張と
不安で握った拳に汗がにじむ。
『いいわよ。いつでも』
 あたしと別府は互いに相手を見やり、そして呼吸が合った。
「『せーの、最初はグー!! じゃんけんポイ!!』」


続く