【いざ】東京都特別区スレpart533【第二提示へ】
レス数が1000を超えています。これ以上書き込みはできません。
お得意のミッションコンプリートを言えなかったね警察クン あいつは手動でやってるから新スレには来ないんだよなww
さすがに大変だし こんにちは、5ちゃん警察です。ルールに違反した行為が見られた場合、またスレを埋めるのでご注意下さい。また、楽天がCSで敗れた場合もスレを埋める処分となります。 別に煽んなくたって来るでしょ
公務員試験板に粘着するガイジなんだから 社会人になってもこんなことし続けるつもりなのかね
しょうもない大人になるなよ 5ちゃんねる警察なんて実在しないんでしょ?
可哀そうなガイジはもう一回落ちればよいのにw
今から1000まで埋めてみろよwカス 第二提示で区を選んでたらNNTがぐっと近づくんじゃないか? 手動だと大変だからスレの後半にしか出てこれないのかわいい 席次が中の下ぐらいだから第2提示諦めてるわ
第3は来るといいんだが 第二は基本全員くるやろ
席次悪いと希望のとこからはこないかもしれんが コッパン受かってるけど特別区の方が行きたい
仮に第2提示受かったとしたら断りづらいなぁ ここまで残ってる同士頑張ろうぜ
こんな長い試験をここまでよく耐えてるよ本当に
気合入れていこう >>23
希望はadcだから問題ないかもだけど席次的な部分がやっぱりネック
第2来ない人は第3は来やすいらしいぐらいの気持ちで気楽に居るわ 国税の猿を駆逐しに行こうぜ
特別区を馬鹿にしてるレスも沢山ある
腹立つよな?
【諸君】国税専門官part493【和光で会おう】
https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/govexam/1568391671/ >>20
練馬はそう
あとの2つは結構好きな区だから 特別区の奴らって親戚や友人に自分の職業話すときや、各種書類に勤務先書くときなんて表現するの?
「区役所職員」だとなんかダサくね?w 真ん中よりちょい上の順位だから来るか不安だ
家から通える区ならどこでもいい 他のところ内定式出たけど蹴って特別区行く予定の人おる? 他のところ内定式出たけど蹴って特別区行く予定の人おる? お前ら今日楽天の応援しなくて大丈夫?楽天負けるとまた昨日の荒らし来るんじゃないの笑? 特別区しかもう残ってないから、第2で絶対内定取るわ。 >>51
阪神負けるやろ。楽天に3連敗したしなww あの荒らしはまた来るとかじゃなくてずっといるからな… てか、特別区は最下位ヤクルトのお膝元かぁー
それは気の毒ですなぁー この際楽天の膝下である東北に引っ越してみてはいかがですか? 特別区の奴らって親戚や友人に自分の職業話すときや、各種書類に勤務先書くときなんて表現するの?
「区役所職員」だとなんかダサくね?w >>57
確か今年ソフバンに打ち込まれてるじゃん
パリーグは興味ないからあまり知らんのだけど >>64
そもそも楽天CS最初で敗退したことないから、今日勝つ >>58
こわい 内定辞退の代行サービスとかないかな そもそも今日勝ってもらわないとあの荒らしが来るから困るんや この所、
区面接での不採用に関する
相談がかなり増えてます。
常々言うように、
区面接は
『2回目』までに決めないと、
ズルズル年をまたぎ、
『宙ぶらりん』の
最悪な状況を迎える可能性が高まります。
内定がまだ出てない方は
危機感をしっかり持ち、
ゼロから自分を磨き直すようにして下さい。 次スレを立てるのに1分もかからない
あの荒らしがこのスレを埋めるのに1時間以上かかる >>75
第2希望の区だったよ
第1希望は無視されたから嬉しい ワイの区は第二提示で受かればたぶん内定式に滑り込めるぞ
頑張れ頑張れ💃 >>77
なるほどね
ありがとうございます(^^) >>90
sngwや
来るとしてもここからは来ないと思ってる 第1提示は第1希望区から来て第2提示は第2希望区から来たわ
かなり恵まれてるしここで決めないとダメだ 希望区からはこないにしてもどっかからはくると思うで 第2提示の区で面接断ったら、第2提示の2回目は来ないかな 受かってもないのに電話来ただけで一喜一憂するのちょっと悲しい 席次1400台なのに第2希望区から電話きました
ありがてえ 全く予想もしてない難易度高めのハイソ区から来た
正直受かる気しないけど、もうやるしかないわ >>112
いる
職種的に人数少ないしもう無理かな わい席次真ん中より上なのに来てない
第二も第三も人気区でもないのに 全く希望してないところから来た……
第二提示電話来て落ちたら次来るのは第四提示? 第二希望区から来た!第一提示は希望外だったからマジで嬉しい!がんばる! 席次平均より上だし希望区人気でも何でもないのに何でなんだろう ちゃんと第二希望から来て良かった。
ただ、面接日まで意外と期間があって驚いてる みんなどこらへんから来たの?下町区から来たから辞退しようか迷ってる 全然見当違いの区から来たから何一つ準備してないし正直行きたくないけど辞退したら第三提示来ないんだろうなと思うと >>127
ほんとそれ!!!
どうする?やっぱり受ける?ほかに持ち駒あるから辞退もありかなって思ってる >>130
一応受けるつもり
わざと落ちる方がいいって聞いたから面接までにどうしても嫌だと思ったらクソ面接する 年末までに第四提示が終わるスケジュールだったら辞退してたのに全てが遅すぎる 区役所閉まるの17:00で今もう15:20だ...
もうほんとどうすればいいんだ >>132
それなあ
やっぱり第3狙うなら受けるしかないよね >>135
さすがに第二掲示はくると思うけどな
席次が2000番代とかならともかく 下町区の何が嫌なんだろ、そんな辞退考えるほど
東京住んでるけど、全然分からん >>139
アクセス良くないし、残業代が出にくいって現職から聞いてるから >>138
事務じゃないんだよね
だから最終合格人数も何千人もいなくて、席次も中のちょい下くらいだったからさ
厳しいなあ.... >>143
技術ってそんな枠狭いんか
人事の人たちも中々酷なことするな sngwからきたんだが街の特徴がなにもわからん。
わかる人教えて欲しい。 >>132
自分も同じ状況だ
ただ第二受けたからといって第三提示あるかわからないのがなあ
後悔しても仕方ないが8月の面接で採用されてればと思ってしまう... >>146
席次も良かっただけに私も後悔がすごい
政令市も良いけどやっぱり東京で働きたい >>147
あるよ
下町は基本財政悪いから残業代の予算が少ない 技術は今年採用予定の2倍とってるから、採用漏れになる人は多いはず >>149
まじか、、余計に他の自治体と迷ってきた >>151
そもそも残業するのは一部の精鋭部署だけで
普通の職員はまず残業できないって合説職員が言ってたから関係ないかと >>151
どこと迷ってる?とりあえず受けはするけど落ち狙いでいこうと思ってる >>146
第三提示あっても希望区から来るとは限らないしね
先が見えないから思い切りでいくしかない 残業代満額は出ないだろうけどそもそも上限超えるほど残業するイメージもないな 残業代満額は出ないだろうけどそもそも上限超えるほど残業するイメージもないな 残業できない(データには残ってない)
ってパターンもある
総務系はそんな感じやろ >>161
それうちの営業所のことか?w
役所がサビ残天国だったら退職者続出だわ 最初から残業する気満々かよ
それで下町嫌だとか我儘な性格そう 電話きた報告ばっかでなんも意味ねえなこのスレ
せいぜい頑張りたまえ 今日電話こなかった人はもうこないんだろうな
まあ民間なりよその公務員なりでもやっていけるさ 面接カードが鬼畜な区から来てしまった
しかも希望に入れてなかったから志望動機書くのきついんよろうな >>179
第一提示希望区外だったけど問題なく受かったから心配せんでええよ
ただ希望区外からの提示にどう感じたかは聞かれると思うからその答え用意しといた方がいいかも やはは下町だけど残業代満額出てるって言ってたからなぁ
残業代に関しては下町どうこうより部署な気がする >>185まじかー地元区なのにサビ残地獄そうで悲C >>182
まじか
よかったら面接どんな感じだったかとどれくらい文量あるのか教えていただきたい >>187
でも第2提示で地元区なんて羨ましい
運命じゃん 第二提示もらった奴は区の悪口禁止な
面接受からないけどせっかくチャンスもらった癖に、第一提示で受かった奴らに失礼
第一で内定もらったこちらとしては、落ちた癖に贅沢言うなと思う まあ第二提示組は第一提示組の補欠だからなぁ・・・少なくとも就職するまでは第二提示以降の奴らは第一提示組にデカイ顔しない方が良いでしょ 俺は第一提示落ちたけど特別区よりでかいとこから内定貰ってるし第一提示区の見る目が無かった風にしか思わんが >>197
特別区よりでかいところ(笑)
何が?自治体はでかけりゃそれで良いのか?ただの大学生風情が何様?
だから落ちたんだろ? じゃあなんで未だにこのスレ見てんだよ
未練あんのか? 大田区は両面で書くこと多いよ!
7題はあって、普通に枠が広い... 大田区は両面で書くこと多いよ!
7題はあって、普通に枠が広い... 荒らしって結局特定された本人なん?
時間経てばみんな忘れるのにわざわざ思い出させるようなことするとかアホやろ 特別区は普通地方公共団体に格上げされないかぎり財源ヤバい現状は変わらんよ
人はたくさんいるから衰退するってこともないだろうけどな 喧嘩してる暇あったら必死に応援せよ。また、荒らされるぞ 地方から来る人って特別区以外の都内の役所とか受けないの?
家賃高過ぎて嫌になりそう 第一提示受かったのにまだこんなとこ見てるとかリアルが充実してなさそう(笑) 第二定時受かってない奴がリアル充実してるという謎
落ちてる時点で充実してないでしょ >>210
やめたれw
事実は往々にして残酷なものだからね 裁判所事務官内定のワイ高みの見物
所詮特別区も猿の惑星 >>216
裁判官と書記官とま〜んさん全員のパシり役お疲れ様です!
男は憐れな立場なの理解してんの? 子作り支援したすぎ😠💢
なんなら自分が子作りしたすぎ🤣 自分は第一提示で内定貰ってる身だけど第一提示で受かっただけで落ちたやつ煽るのほんと草
第一提示でも第二提示でも受かればこの先数十年同じ土俵だろw 俺総理大臣内定してるんだけど?
特別区のやつは崇め奉れよ ここで第二提示煽ってるやつって働く時「俺第一提示で受かったんだけど?」ってマウント取るの?w >>218
おおwww釣れた釣れたwww
必死の煽りありがとうございます
男と決めつけてるあたりも浅はかすぎて滑稽 コッパンスレでコッパンさげしても皆スルーするのに特別区スレで特別区さげしたら面白い程に釣れてるな
特別区だろうが別にスルーすりゃいいだけなのに。
やっぱ内心では区役所職員というのはコンプレックスなんだろうな 第二第三希望どころか説明会にも行かなかったとこからきたし面接カード苦労しそう 面接カードって基本的に第一次提示で使われたやつと変わらないのかな? 特別区スレが猿なのは、特別区受験者が猿であると同時に、他スレの猿どもが遠征に来ているからである
結局猿の巣窟 >>224
国税の猿は来年に向けて勉強でもしたら? あまり国税を叩くと、国税しか受からなかった中瀬君が5ch警察とか言って
また暴れ始めるからやめろ ハッキリ言って特別区が最もエッチ🤔
群を抜いたドスケベさである😼 国税スレで国税からかったら中瀬が湧いてワロタ
やっぱ中瀬君は国税に行くんだな
まあ民度低すぎてお似合いだがw おーい!!
国税スレで「 特 別 区 は 猿 」だって言われてるぞ!!
凸するならここ
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
【諸君】国税専門官part493【和光で会おう】
https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/govexam/1568391671/
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑ 本名、住所、年齢、職歴等がバレた中瀬君はどうやって国税とかさいたま市とかで誤魔化すのか、今から凄い気になるな
早稲田卒コンサル退職の実力を見てみたいなw 国税スレが5ch警察()の対象になったみたいだなw
アイツは馬鹿だしスクリプト攻撃できないから、800くらいまで行ったスレしか埋めようとしないのかな?www さすがに本人じゃないだろ
本人だとしたらアホにも程がある まさかのadcか....南から北に通うの大変すぎだよ(;_;) 本人じゃなくてもアホだな
手動だから800レスぐらいになったら気まぐれで埋め始めるんでしょ
やってる彼自身がスレを埋めることに喜びを感じているならば趣味として成立するんだろう でもよ、この5ちゃん警察って荒らしが出てきたのって中瀬ニキが自爆して身バレしてからすぐだよな?
筆記試験の頃ってこんなのいたっけ?
タイミング的にも中瀬しかいないよね あいつNG対策かなんかで頻繁にID変えるけどコテハンのおかげでNG途切れないんだよな 目的はスレを埋めることだし彼的にはNGされてもって感じだろうな こんにちは、5ちゃん警察です。楽天がCSで敗退したので、このスレを埋める処分とします。 一章:おっさんはやり直す
プロローグ:おっさんは燻っている 一章:おっさんはやり直す
プロローグ:おっさんは燻っている 一章:おっさんはやり直す
プロローグ:おっさんは燻っている 冒険者という職業がある。
世界に数多存在するダンジョンに潜り、宝を得る。
あるいは、魔物を倒してドロップアイテムを持ち帰り換金する。
それなりに実入りがいいが、同時に危険が付きまとう仕事だ。
そして、俺もその冒険者の一人。二十年を超えるベテランだ。
今日もダンジョンに潜り、狩りに精を出していた。
「ラスト、一頭!」
草原の中、獲物と向かい合っている。
ワイルド・ボア。
茶色の毛皮を持つ大猪の魔物だ。
突進の速度は凄まじく、するどい牙を持つことから、それなりに危険視されている。
中級冒険者ですら、一歩間違えれば命を落とす。
だが、俺にとってはただの肉にしか見えない。
今回受けているクエストは肉集め。もっともギルドに持ち込まれる依頼の一つだ。
「グモオオオオオオオオオオ!」 冒険者という職業がある。
世界に数多存在するダンジョンに潜り、宝を得る。
あるいは、魔物を倒してドロップアイテムを持ち帰り換金する。
それなりに実入りがいいが、同時に危険が付きまとう仕事だ。
そして、俺もその冒険者の一人。二十年を超えるベテランだ。
今日もダンジョンに潜り、狩りに精を出していた。
「ラスト、一頭!」
草原の中、獲物と向かい合っている。
ワイルド・ボア。
茶色の毛皮を持つ大猪の魔物だ。
突進の速度は凄まじく、するどい牙を持つことから、それなりに危険視されている。
中級冒険者ですら、一歩間違えれば命を落とす。
だが、俺にとってはただの肉にしか見えない。
今回受けているクエストは肉集め。もっともギルドに持ち込まれる依頼の一つだ。
「グモオオオオオオオオオオ!」 冒険者という職業がある。
世界に数多存在するダンジョンに潜り、宝を得る。
あるいは、魔物を倒してドロップアイテムを持ち帰り換金する。
それなりに実入りがいいが、同時に危険が付きまとう仕事だ。
そして、俺もその冒険者の一人。二十年を超えるベテランだ。
今日もダンジョンに潜り、狩りに精を出していた。
「ラスト、一頭!」
草原の中、獲物と向かい合っている。
ワイルド・ボア。
茶色の毛皮を持つ大猪の魔物だ。
突進の速度は凄まじく、するどい牙を持つことから、それなりに危険視されている。
中級冒険者ですら、一歩間違えれば命を落とす。
だが、俺にとってはただの肉にしか見えない。
今回受けているクエストは肉集め。もっともギルドに持ち込まれる依頼の一つだ。
「グモオオオオオオオオオオ!」 ワイルド・ボアが突進してくる。
避ける必要すら感じない。
突進に合わせて、両手剣を振り下ろした。
ワイルド・ボアの突進と俺の剣が衝突。
鈍い音が響き渡る。
立っているのは俺だけだ。ワイルドボアは頭を割られて絶命する。
しばらくすると、死体が青い粒子になって消えて、店頭に並んでいるような木の皮に包まれた肉の塊が残されていた。
どういう仕組みかはわからないが、魔物というやつは死ねば青い粒子になって消える。
そして、運が良ければ、こうしてドロップアイテムが手に入るのだ。
「猪だろうが、豚だろうが、オークだろうが、まとめて豚肉だからな」
ドロップアイテムを拾う。
豚肉(並)。
おそろしくわかりやすい名前のアイテム名だ。
ちなみに、魔物のレベルが上がるごとに品質があがっていく。豚肉(並)だと、普通の家畜と大差ないが、豚肉(上)や豚肉(特上)にもなると、この世のものとも思えないほど美味になりとんでもない高値で売れる。
もっとも、豚肉(特上)は、超高難易度ダンジョンの魔物しかドロップせず、超一流の冒険者でも命がけになってしまうが。
「依頼の品は、豚肉(並)を十個。これで終わりか」 ワイルド・ボアが突進してくる。
避ける必要すら感じない。
突進に合わせて、両手剣を振り下ろした。
ワイルド・ボアの突進と俺の剣が衝突。
鈍い音が響き渡る。
立っているのは俺だけだ。ワイルドボアは頭を割られて絶命する。
しばらくすると、死体が青い粒子になって消えて、店頭に並んでいるような木の皮に包まれた肉の塊が残されていた。
どういう仕組みかはわからないが、魔物というやつは死ねば青い粒子になって消える。
そして、運が良ければ、こうしてドロップアイテムが手に入るのだ。
「猪だろうが、豚だろうが、オークだろうが、まとめて豚肉だからな」
ドロップアイテムを拾う。
豚肉(並)。
おそろしくわかりやすい名前のアイテム名だ。
ちなみに、魔物のレベルが上がるごとに品質があがっていく。豚肉(並)だと、普通の家畜と大差ないが、豚肉(上)や豚肉(特上)にもなると、この世のものとも思えないほど美味になりとんでもない高値で売れる。
もっとも、豚肉(特上)は、超高難易度ダンジョンの魔物しかドロップせず、超一流の冒険者でも命がけになってしまうが。
「依頼の品は、豚肉(並)を十個。これで終わりか」 ワイルド・ボアが突進してくる。
避ける必要すら感じない。
突進に合わせて、両手剣を振り下ろした。
ワイルド・ボアの突進と俺の剣が衝突。
鈍い音が響き渡る。
立っているのは俺だけだ。ワイルドボアは頭を割られて絶命する。
しばらくすると、死体が青い粒子になって消えて、店頭に並んでいるような木の皮に包まれた肉の塊が残されていた。
どういう仕組みかはわからないが、魔物というやつは死ねば青い粒子になって消える。
そして、運が良ければ、こうしてドロップアイテムが手に入るのだ。
「猪だろうが、豚だろうが、オークだろうが、まとめて豚肉だからな」
ドロップアイテムを拾う。
豚肉(並)。
おそろしくわかりやすい名前のアイテム名だ。
ちなみに、魔物のレベルが上がるごとに品質があがっていく。豚肉(並)だと、普通の家畜と大差ないが、豚肉(上)や豚肉(特上)にもなると、この世のものとも思えないほど美味になりとんでもない高値で売れる。
もっとも、豚肉(特上)は、超高難易度ダンジョンの魔物しかドロップせず、超一流の冒険者でも命がけになってしまうが。
「依頼の品は、豚肉(並)を十個。これで終わりか」 拾ったアイテムは、大容量の魔法袋にいれてしまう
かつて冒険で手に入れた大容量の魔法袋だ。これ一つで家が買えるだけの価値がある。売ることも考えたが、便利なので愛用している。
この魔法袋のような二〇〇キロも収納できる魔法袋は、市場に出回ることが少ない。一度手放せば二度と手に入らないかもしれない。
俺は念のため、依頼書を読み直し、収納した豚肉(並)の数を数えてからダンジョンを後にする。
割のいい仕事を終えた。
今日は、うまい酒が飲めそうだ。
◇
魔法の扉を抜けて、ダンジョンから村に戻る。
のどかで平和な村だ。
村で唯一の精肉店に立ち寄り、豚肉(並)を納品してからギルドに向かった。
「おかえり、ユーヤさん」
なじみの、受付のおばちゃんが笑いかけて手を振ってきた。
大きな街のギルドだと受付嬢に綺麗どころを揃えるが、この小さな村ではそんな贅沢は言えない。
若い奴らは酒場で文句を言っているが、俺は仕事をしっかりしてくれるなら、男だろうが、おばちゃんだろうが構わない。
「ただいま、おばちゃん。肉の採取クエスト、終わったよ。これが肉の受け取り証明書」 拾ったアイテムは、大容量の魔法袋にいれてしまう
かつて冒険で手に入れた大容量の魔法袋だ。これ一つで家が買えるだけの価値がある。売ることも考えたが、便利なので愛用している。
この魔法袋のような二〇〇キロも収納できる魔法袋は、市場に出回ることが少ない。一度手放せば二度と手に入らないかもしれない。
俺は念のため、依頼書を読み直し、収納した豚肉(並)の数を数えてからダンジョンを後にする。
割のいい仕事を終えた。
今日は、うまい酒が飲めそうだ。
◇
魔法の扉を抜けて、ダンジョンから村に戻る。
のどかで平和な村だ。
村で唯一の精肉店に立ち寄り、豚肉(並)を納品してからギルドに向かった。
「おかえり、ユーヤさん」
なじみの、受付のおばちゃんが笑いかけて手を振ってきた。
大きな街のギルドだと受付嬢に綺麗どころを揃えるが、この小さな村ではそんな贅沢は言えない。
若い奴らは酒場で文句を言っているが、俺は仕事をしっかりしてくれるなら、男だろうが、おばちゃんだろうが構わない。
「ただいま、おばちゃん。肉の採取クエスト、終わったよ。これが肉の受け取り証明書」 拾ったアイテムは、大容量の魔法袋にいれてしまう
かつて冒険で手に入れた大容量の魔法袋だ。これ一つで家が買えるだけの価値がある。売ることも考えたが、便利なので愛用している。
この魔法袋のような二〇〇キロも収納できる魔法袋は、市場に出回ることが少ない。一度手放せば二度と手に入らないかもしれない。
俺は念のため、依頼書を読み直し、収納した豚肉(並)の数を数えてからダンジョンを後にする。
割のいい仕事を終えた。
今日は、うまい酒が飲めそうだ。
◇
魔法の扉を抜けて、ダンジョンから村に戻る。
のどかで平和な村だ。
村で唯一の精肉店に立ち寄り、豚肉(並)を納品してからギルドに向かった。
「おかえり、ユーヤさん」
なじみの、受付のおばちゃんが笑いかけて手を振ってきた。
大きな街のギルドだと受付嬢に綺麗どころを揃えるが、この小さな村ではそんな贅沢は言えない。
若い奴らは酒場で文句を言っているが、俺は仕事をしっかりしてくれるなら、男だろうが、おばちゃんだろうが構わない。
「ただいま、おばちゃん。肉の採取クエスト、終わったよ。これが肉の受け取り証明書」 おばちゃんに、書類とステータスカードを渡す。
おばちゃんはすばやく目を通して、印鑑を押して書類を片付ける。
そして、ステータスカードにクエスト報酬を振り込んでくれた。
ステータスカードを渡してもらい、振り込み額を確認。規定通りだ。
「ユーヤさんは仕事が早くて助かるよ。どんな仕事も嫌な顔一つしないしさ」
「それが、仕事だからな。……それより、期限がやばい依頼はもうないのか?」
「これで最後さ。あっ、そうだ。ユーヤさんにって、アップルパイを預かっているんだ。ほら、どうぞ。ニキータからだよ」
ニキータは、酒場の看板娘だ。
村の男たちの中には彼女を狙っている者も多い。
彼女がいる酒場は、俺もよく利用している。だが、アップルパイなんて頼んだ覚えはないのだが?
怪訝そうな顔をしていると、おばちゃんはにやにやと笑いかけてくる。
「ほら、あんたがこの前、マルータ病を直すポーションの材料、クルナッタ石の採取クエストをこなしたじゃないか。おかげで母親が助かったんでそのお礼ってさ。あんた、その年齢で独り身だろ。いっそ、ニキータをものにしてしまいなよ。あの子は器量がいいよ」
「……遠慮しておくよ。ニキータなら、俺の様なおっさんじゃなくて若くていい男をいくらでも捕まえられるさ。アップルパイは受け取っておく。また、明日もくる。やばそうな依頼は残しておいてくれ。最後だしな」
クエスト報酬はしっかりいただいているので、アップルパイまでもらうのも悪い気はするが、断れば彼女をがっかりさせてしまう。
ありがたく、ちょうだいさせてもらおう。
ずっしりと重いバスケットを受け取る。
「あのさ、ユーヤさん。……本当に契約更新はしないのかい? 私も他のギルド職員も、あんたに来年以降も、この村の専属冒険者でいて欲しいと思っているんだ」
そのことか。
正直、俺も悩んでいた。
だけど……。
「すまないな。俺も三十六だ。冒険者を続けていくのが辛い。貯金も十分あるし、田舎に戻って、ゆっくり畑でも耕そうと思う。安心してくれ、後任のベックは信用できる奴だよ。なにせ、俺が育てたんだからな」 おばちゃんに、書類とステータスカードを渡す。
おばちゃんはすばやく目を通して、印鑑を押して書類を片付ける。
そして、ステータスカードにクエスト報酬を振り込んでくれた。
ステータスカードを渡してもらい、振り込み額を確認。規定通りだ。
「ユーヤさんは仕事が早くて助かるよ。どんな仕事も嫌な顔一つしないしさ」
「それが、仕事だからな。……それより、期限がやばい依頼はもうないのか?」
「これで最後さ。あっ、そうだ。ユーヤさんにって、アップルパイを預かっているんだ。ほら、どうぞ。ニキータからだよ」
ニキータは、酒場の看板娘だ。
村の男たちの中には彼女を狙っている者も多い。
彼女がいる酒場は、俺もよく利用している。だが、アップルパイなんて頼んだ覚えはないのだが?
怪訝そうな顔をしていると、おばちゃんはにやにやと笑いかけてくる。
「ほら、あんたがこの前、マルータ病を直すポーションの材料、クルナッタ石の採取クエストをこなしたじゃないか。おかげで母親が助かったんでそのお礼ってさ。あんた、その年齢で独り身だろ。いっそ、ニキータをものにしてしまいなよ。あの子は器量がいいよ」
「……遠慮しておくよ。ニキータなら、俺の様なおっさんじゃなくて若くていい男をいくらでも捕まえられるさ。アップルパイは受け取っておく。また、明日もくる。やばそうな依頼は残しておいてくれ。最後だしな」
クエスト報酬はしっかりいただいているので、アップルパイまでもらうのも悪い気はするが、断れば彼女をがっかりさせてしまう。
ありがたく、ちょうだいさせてもらおう。
ずっしりと重いバスケットを受け取る。
「あのさ、ユーヤさん。……本当に契約更新はしないのかい? 私も他のギルド職員も、あんたに来年以降も、この村の専属冒険者でいて欲しいと思っているんだ」
そのことか。
正直、俺も悩んでいた。
だけど……。
「すまないな。俺も三十六だ。冒険者を続けていくのが辛い。貯金も十分あるし、田舎に戻って、ゆっくり畑でも耕そうと思う。安心してくれ、後任のベックは信用できる奴だよ。なにせ、俺が育てたんだからな」 おばちゃんに、書類とステータスカードを渡す。
おばちゃんはすばやく目を通して、印鑑を押して書類を片付ける。
そして、ステータスカードにクエスト報酬を振り込んでくれた。
ステータスカードを渡してもらい、振り込み額を確認。規定通りだ。
「ユーヤさんは仕事が早くて助かるよ。どんな仕事も嫌な顔一つしないしさ」
「それが、仕事だからな。……それより、期限がやばい依頼はもうないのか?」
「これで最後さ。あっ、そうだ。ユーヤさんにって、アップルパイを預かっているんだ。ほら、どうぞ。ニキータからだよ」
ニキータは、酒場の看板娘だ。
村の男たちの中には彼女を狙っている者も多い。
彼女がいる酒場は、俺もよく利用している。だが、アップルパイなんて頼んだ覚えはないのだが?
怪訝そうな顔をしていると、おばちゃんはにやにやと笑いかけてくる。
「ほら、あんたがこの前、マルータ病を直すポーションの材料、クルナッタ石の採取クエストをこなしたじゃないか。おかげで母親が助かったんでそのお礼ってさ。あんた、その年齢で独り身だろ。いっそ、ニキータをものにしてしまいなよ。あの子は器量がいいよ」
「……遠慮しておくよ。ニキータなら、俺の様なおっさんじゃなくて若くていい男をいくらでも捕まえられるさ。アップルパイは受け取っておく。また、明日もくる。やばそうな依頼は残しておいてくれ。最後だしな」
クエスト報酬はしっかりいただいているので、アップルパイまでもらうのも悪い気はするが、断れば彼女をがっかりさせてしまう。
ありがたく、ちょうだいさせてもらおう。
ずっしりと重いバスケットを受け取る。
「あのさ、ユーヤさん。……本当に契約更新はしないのかい? 私も他のギルド職員も、あんたに来年以降も、この村の専属冒険者でいて欲しいと思っているんだ」
そのことか。
正直、俺も悩んでいた。
だけど……。
「すまないな。俺も三十六だ。冒険者を続けていくのが辛い。貯金も十分あるし、田舎に戻って、ゆっくり畑でも耕そうと思う。安心してくれ、後任のベックは信用できる奴だよ。なにせ、俺が育てたんだからな」 断ることにした。
専属冒険者というのは、ギルドと契約をして期限が迫っているのに誰も受けたがらない旨味の少ないクエストをこなす義務を負う。その代わり、毎月給料が支払われる。
ありとあらゆるジャンルのクエストをこなさないといけない都合上、俺のようなベテランが選ばれるのだ。
いろいろと面倒ではあるが嫌いではない。
極端に高難度のものには拒否権があるし、冒険者生活から一番程遠いはずの安定した生活が手に入る。なにより、村のみんなから感謝される。
そんな専属冒険者の仕事を断るのは、今言ったような年齢による体の衰えもあるが……何よりも燃えなくなった。
俺は一流の冒険者ではあるが、超一流にはなれなかった。
野心に燃える冒険者たちのように、超高難易度ダンジョンを目指さず、それなりの仕事をこなしながら、後輩たちを育てる日々を送っている。
無理をせずに堅実に仕事をこなして、貯金は十分溜まった。
余生を静かに暮らせるだけの金を手に入れ、冒険者という仕事に魅力を感じなくなってしまっていたのだ。
◇
剣と皮鎧の手入れをし終わると酒場に向かう。
自分ひとりのために料理をするのもバカらしいし、何より一人で食事をしていると気が滅入る。
酒場に行くと、隅にある二人席に座る。
いつのまにか、そこが俺の指定席になっていた。何も言わなくてもエールが運ばれてくる。
「ニキータ。アップルパイ、美味しかったよ」 断ることにした。
専属冒険者というのは、ギルドと契約をして期限が迫っているのに誰も受けたがらない旨味の少ないクエストをこなす義務を負う。その代わり、毎月給料が支払われる。
ありとあらゆるジャンルのクエストをこなさないといけない都合上、俺のようなベテランが選ばれるのだ。
いろいろと面倒ではあるが嫌いではない。
極端に高難度のものには拒否権があるし、冒険者生活から一番程遠いはずの安定した生活が手に入る。なにより、村のみんなから感謝される。
そんな専属冒険者の仕事を断るのは、今言ったような年齢による体の衰えもあるが……何よりも燃えなくなった。
俺は一流の冒険者ではあるが、超一流にはなれなかった。
野心に燃える冒険者たちのように、超高難易度ダンジョンを目指さず、それなりの仕事をこなしながら、後輩たちを育てる日々を送っている。
無理をせずに堅実に仕事をこなして、貯金は十分溜まった。
余生を静かに暮らせるだけの金を手に入れ、冒険者という仕事に魅力を感じなくなってしまっていたのだ。
◇
剣と皮鎧の手入れをし終わると酒場に向かう。
自分ひとりのために料理をするのもバカらしいし、何より一人で食事をしていると気が滅入る。
酒場に行くと、隅にある二人席に座る。
いつのまにか、そこが俺の指定席になっていた。何も言わなくてもエールが運ばれてくる。
「ニキータ。アップルパイ、美味しかったよ」 断ることにした。
専属冒険者というのは、ギルドと契約をして期限が迫っているのに誰も受けたがらない旨味の少ないクエストをこなす義務を負う。その代わり、毎月給料が支払われる。
ありとあらゆるジャンルのクエストをこなさないといけない都合上、俺のようなベテランが選ばれるのだ。
いろいろと面倒ではあるが嫌いではない。
極端に高難度のものには拒否権があるし、冒険者生活から一番程遠いはずの安定した生活が手に入る。なにより、村のみんなから感謝される。
そんな専属冒険者の仕事を断るのは、今言ったような年齢による体の衰えもあるが……何よりも燃えなくなった。
俺は一流の冒険者ではあるが、超一流にはなれなかった。
野心に燃える冒険者たちのように、超高難易度ダンジョンを目指さず、それなりの仕事をこなしながら、後輩たちを育てる日々を送っている。
無理をせずに堅実に仕事をこなして、貯金は十分溜まった。
余生を静かに暮らせるだけの金を手に入れ、冒険者という仕事に魅力を感じなくなってしまっていたのだ。
◇
剣と皮鎧の手入れをし終わると酒場に向かう。
自分ひとりのために料理をするのもバカらしいし、何より一人で食事をしていると気が滅入る。
酒場に行くと、隅にある二人席に座る。
いつのまにか、そこが俺の指定席になっていた。何も言わなくてもエールが運ばれてくる。
「ニキータ。アップルパイ、美味しかったよ」 >>249
家から遠い区出されると萎えるよね
もう横浜市にしちゃおうかな >>216
催事羨ましい、、
行けなかったからその分第2提示頑張りてえ 予備校で得た情報だと
港、中央、中野、葛飾、太田、品川、足立、荒川はきてるみたい まさか第二掲示mnt区から来るなんて思ってもなかった…
超絶行きたいんですけど! >>300マジか…
ドンマイやで
第三はさすがに来るはずだけどつらいわな こない人って提出した志望区が原因なのかな
それとも席次か 東京の北側に住んでるのに
対極の南側の区から提示来たから怒りの辞退する予定 志望してない区から来た人もいるし、順位がかなりギリギリでも来てる人いたから基準が謎やわ >>304
電話受けた後に辞退するとなるとめんどそう >>304
俺は逆に南側に住んでるのに北側からきたわ
わざと落ちる狙いでいくわ >>308
ちゃう
まあでもその近辺
第3提示でダメだったら縁が無かったと思って違うとこいくつもり >>304
え、キモw
住宅手当ても寮もあるのにいつまで今住んでる所にいるつもりだよw
どうせ入庁したら数年で引っ越すのに現住所から選ぶとか就職というものを理解してなさすぎやろ エールを運んできたのは看板娘のニキータだ。
彼女は、たしか今年で十六になるはずだ。気立てのいい娘で、今も男たちの視線が彼女に集まっている。
「いえ、ありがとうございます! ユーヤさんに食べてもらえてうれしいです。あのアップルパイ、お父さんに教わって、がんばって作ったんです」
俺は苦笑する。
……この子は俺にあこがれのようなものを持っている。
この年代にありがちな、年上に対する無条件の尊敬のようなものだ。
「はじめてであの味か。すごいな、料理の才能があるんじゃないか?」
「そっ、そんな、ほめ過ぎです」
「ニキータの夫になる人が羨ましいよ」
そう言うと、ニキータの表情が曇る。
……遠回しに、自分はそうではないと言っているようなものだからな。
俺に対するあこがれなど、早めに捨てたがほうがいい。
「ニキータ、今日のおすすめは」
「えっ、あの、おいしい豚肉が安く仕入れられたので、豚肉料理がおすすめです」 エールを運んできたのは看板娘のニキータだ。
彼女は、たしか今年で十六になるはずだ。気立てのいい娘で、今も男たちの視線が彼女に集まっている。
「いえ、ありがとうございます! ユーヤさんに食べてもらえてうれしいです。あのアップルパイ、お父さんに教わって、がんばって作ったんです」
俺は苦笑する。
……この子は俺にあこがれのようなものを持っている。
この年代にありがちな、年上に対する無条件の尊敬のようなものだ。
「はじめてであの味か。すごいな、料理の才能があるんじゃないか?」
「そっ、そんな、ほめ過ぎです」
「ニキータの夫になる人が羨ましいよ」
そう言うと、ニキータの表情が曇る。
……遠回しに、自分はそうではないと言っているようなものだからな。
俺に対するあこがれなど、早めに捨てたがほうがいい。
「ニキータ、今日のおすすめは」
「えっ、あの、おいしい豚肉が安く仕入れられたので、豚肉料理がおすすめです」 エールを運んできたのは看板娘のニキータだ。
彼女は、たしか今年で十六になるはずだ。気立てのいい娘で、今も男たちの視線が彼女に集まっている。
「いえ、ありがとうございます! ユーヤさんに食べてもらえてうれしいです。あのアップルパイ、お父さんに教わって、がんばって作ったんです」
俺は苦笑する。
……この子は俺にあこがれのようなものを持っている。
この年代にありがちな、年上に対する無条件の尊敬のようなものだ。
「はじめてであの味か。すごいな、料理の才能があるんじゃないか?」
「そっ、そんな、ほめ過ぎです」
「ニキータの夫になる人が羨ましいよ」
そう言うと、ニキータの表情が曇る。
……遠回しに、自分はそうではないと言っているようなものだからな。
俺に対するあこがれなど、早めに捨てたがほうがいい。
「ニキータ、今日のおすすめは」
「えっ、あの、おいしい豚肉が安く仕入れられたので、豚肉料理がおすすめです」 俺が昼間、納品したやつか。さっそく肉屋の親父が売り出したらしい。
「なら、煮込みと串焼きをもらおう。それとエールをもう一杯」
「はい、ただいま!」
厨房のほうに走っていく。
一人になると酒場に意識を向ける。
ここには冒険者たちが多くいた。ダンジョンを所有する村ではよく目にする光景。
若い者が多い。冒険者なんて仕事、そう長くは続けられない。三十半ばで引退するのが普通だし……歳をとる前に死んでしまうものも多い。
若者たちは熱く夢を語る。
今も、若者たちが気勢をあげていた。
「俺たちは、いつか必ず試練の塔を踏破する! そして英雄レナードのようになるんだ!」
「今はまだ、ジャイアント・トードにも苦戦しているけどな」
「おいおい、それを言うなよ」
そして、彼らは笑い合う。
彼らの情熱に当てられて、少しだけ冷めてしまった心の奥が暖まった気がした。
料理が運ばれてくる。
うまい。ここの親父はいい腕をしている。
この村に来る前は、大きな街にいたが、ここほどの料理を出す店はなかなかなかった。
エールをもういっぱい頼もうか?
そんなことを考えていると、目の前に男が座った。
洒落た魔法金属の鎧を着込んで、これ見よがしに首から、銀級冒険者の身分証をぶら下げている。
高価な魔法金属の鎧も、銀級冒険者の身分証も、この村には似つかわしくないものだ。
見知った顔だ。若さゆえの根拠のない自信に満ち溢れている。
「探したぜ、ユーヤさん」
「……ブロウトに行ったと聞いていたが、アイン」 俺が昼間、納品したやつか。さっそく肉屋の親父が売り出したらしい。
「なら、煮込みと串焼きをもらおう。それとエールをもう一杯」
「はい、ただいま!」
厨房のほうに走っていく。
一人になると酒場に意識を向ける。
ここには冒険者たちが多くいた。ダンジョンを所有する村ではよく目にする光景。
若い者が多い。冒険者なんて仕事、そう長くは続けられない。三十半ばで引退するのが普通だし……歳をとる前に死んでしまうものも多い。
若者たちは熱く夢を語る。
今も、若者たちが気勢をあげていた。
「俺たちは、いつか必ず試練の塔を踏破する! そして英雄レナードのようになるんだ!」
「今はまだ、ジャイアント・トードにも苦戦しているけどな」
「おいおい、それを言うなよ」
そして、彼らは笑い合う。
彼らの情熱に当てられて、少しだけ冷めてしまった心の奥が暖まった気がした。
料理が運ばれてくる。
うまい。ここの親父はいい腕をしている。
この村に来る前は、大きな街にいたが、ここほどの料理を出す店はなかなかなかった。
エールをもういっぱい頼もうか?
そんなことを考えていると、目の前に男が座った。
洒落た魔法金属の鎧を着込んで、これ見よがしに首から、銀級冒険者の身分証をぶら下げている。
高価な魔法金属の鎧も、銀級冒険者の身分証も、この村には似つかわしくないものだ。
見知った顔だ。若さゆえの根拠のない自信に満ち溢れている。
「探したぜ、ユーヤさん」
「……ブロウトに行ったと聞いていたが、アイン」 俺が昼間、納品したやつか。さっそく肉屋の親父が売り出したらしい。
「なら、煮込みと串焼きをもらおう。それとエールをもう一杯」
「はい、ただいま!」
厨房のほうに走っていく。
一人になると酒場に意識を向ける。
ここには冒険者たちが多くいた。ダンジョンを所有する村ではよく目にする光景。
若い者が多い。冒険者なんて仕事、そう長くは続けられない。三十半ばで引退するのが普通だし……歳をとる前に死んでしまうものも多い。
若者たちは熱く夢を語る。
今も、若者たちが気勢をあげていた。
「俺たちは、いつか必ず試練の塔を踏破する! そして英雄レナードのようになるんだ!」
「今はまだ、ジャイアント・トードにも苦戦しているけどな」
「おいおい、それを言うなよ」
そして、彼らは笑い合う。
彼らの情熱に当てられて、少しだけ冷めてしまった心の奥が暖まった気がした。
料理が運ばれてくる。
うまい。ここの親父はいい腕をしている。
この村に来る前は、大きな街にいたが、ここほどの料理を出す店はなかなかなかった。
エールをもういっぱい頼もうか?
そんなことを考えていると、目の前に男が座った。
洒落た魔法金属の鎧を着込んで、これ見よがしに首から、銀級冒険者の身分証をぶら下げている。
高価な魔法金属の鎧も、銀級冒険者の身分証も、この村には似つかわしくないものだ。
見知った顔だ。若さゆえの根拠のない自信に満ち溢れている。
「探したぜ、ユーヤさん」
「……ブロウトに行ったと聞いていたが、アイン」 彼は、この村出身の冒険者。
七年ほど前、彼の両親に泣きつかれて三年間ほど冒険者のイロハを教えてやった。
三年でそれなりの冒険者になり、もっと高難易度のダンジョンに挑むと言って村を出た。
「ああ、ブロウトで四年間鍛えてきた。それで俺も一人前になった。だからな、試練の塔に挑もうと思う」
カチリッ、思わずフォークを落としてしまう。
「なあ、ユーヤさん。俺と一緒に来てくれないか? 今なら、あんたのすごさがわかる。あんたとなら、試練の塔だってクリアできる気がするんだ! なあ、いいだろう、師匠」
俺は深呼吸する。
……昔のことを思い出す。あいつも俺にそう言ったな。
その答えはとっくに決めてある。そう、十年以上も前に。
「アイン、おまえが俺を頼ってくれたのは嬉しい。……だが、断る。俺は選ばれなかった」
試練の塔。
それは、冒険者なら誰もが憧れる場所だ。
誰よりも強くなる。その願いを叶えるためにはけっして避けてはいけない場所。
そして、十年以上前、俺が挑まずに逃げてしまった場所だ。
「そんなことを言わずに! 俺以外にも頼れる仲間が二人いる。そこに師匠の経験と技術、強さがあれば」
「……言っただろう。俺は選ばれなかったと。俺のステータスを見せたことがなかったな」
ステータスカードを操作する。
ステータスカードは金を持ち運びしたり、身分証明書として機能するほか、その名の通り、ステータスとレベルを表示できる。
そこに記された数字を見て、アインは絶句する。 彼は、この村出身の冒険者。
七年ほど前、彼の両親に泣きつかれて三年間ほど冒険者のイロハを教えてやった。
三年でそれなりの冒険者になり、もっと高難易度のダンジョンに挑むと言って村を出た。
「ああ、ブロウトで四年間鍛えてきた。それで俺も一人前になった。だからな、試練の塔に挑もうと思う」
カチリッ、思わずフォークを落としてしまう。
「なあ、ユーヤさん。俺と一緒に来てくれないか? 今なら、あんたのすごさがわかる。あんたとなら、試練の塔だってクリアできる気がするんだ! なあ、いいだろう、師匠」
俺は深呼吸する。
……昔のことを思い出す。あいつも俺にそう言ったな。
その答えはとっくに決めてある。そう、十年以上も前に。
「アイン、おまえが俺を頼ってくれたのは嬉しい。……だが、断る。俺は選ばれなかった」
試練の塔。
それは、冒険者なら誰もが憧れる場所だ。
誰よりも強くなる。その願いを叶えるためにはけっして避けてはいけない場所。
そして、十年以上前、俺が挑まずに逃げてしまった場所だ。
「そんなことを言わずに! 俺以外にも頼れる仲間が二人いる。そこに師匠の経験と技術、強さがあれば」
「……言っただろう。俺は選ばれなかったと。俺のステータスを見せたことがなかったな」
ステータスカードを操作する。
ステータスカードは金を持ち運びしたり、身分証明書として機能するほか、その名の通り、ステータスとレベルを表示できる。
そこに記された数字を見て、アインは絶句する。 彼は、この村出身の冒険者。
七年ほど前、彼の両親に泣きつかれて三年間ほど冒険者のイロハを教えてやった。
三年でそれなりの冒険者になり、もっと高難易度のダンジョンに挑むと言って村を出た。
「ああ、ブロウトで四年間鍛えてきた。それで俺も一人前になった。だからな、試練の塔に挑もうと思う」
カチリッ、思わずフォークを落としてしまう。
「なあ、ユーヤさん。俺と一緒に来てくれないか? 今なら、あんたのすごさがわかる。あんたとなら、試練の塔だってクリアできる気がするんだ! なあ、いいだろう、師匠」
俺は深呼吸する。
……昔のことを思い出す。あいつも俺にそう言ったな。
その答えはとっくに決めてある。そう、十年以上も前に。
「アイン、おまえが俺を頼ってくれたのは嬉しい。……だが、断る。俺は選ばれなかった」
試練の塔。
それは、冒険者なら誰もが憧れる場所だ。
誰よりも強くなる。その願いを叶えるためにはけっして避けてはいけない場所。
そして、十年以上前、俺が挑まずに逃げてしまった場所だ。
「そんなことを言わずに! 俺以外にも頼れる仲間が二人いる。そこに師匠の経験と技術、強さがあれば」
「……言っただろう。俺は選ばれなかったと。俺のステータスを見せたことがなかったな」
ステータスカードを操作する。
ステータスカードは金を持ち運びしたり、身分証明書として機能するほか、その名の通り、ステータスとレベルを表示できる。
そこに記された数字を見て、アインは絶句する。 >>301
下から1/3くらいやで😇
>>302
ありがとう…😭
しかし技術は採用漏れ祭りと聞いて
第三提示ないんかなと震えている😇 「師匠、嘘だろ」
「言っただろう。俺は運が悪かったと。仲間と共に最強を目指した時期もあった。だがな、レベルが上がれば上がるほど、俺は絶望をした。
俺には無理なんだよ。当時の仲間が試練の塔に挑むと言ったとき、俺はパーティを抜けて……強くなることを諦めたんだ。それからは、こうして無理のない仕事をこなしている」
俺のレベルは五〇。それは上限であり、それ以上レベルは上がらず強くなれない。俺は俺に許された限界まで強くなってしまっている。
ステータスというものがこの世界には存在する。
レベルが一上がるたびに、各パラメーターが1〜3上昇する。期待値は2だが、当然、人によってばらつきがある。
やり直しは利かない。 「師匠、嘘だろ」
「言っただろう。俺は運が悪かったと。仲間と共に最強を目指した時期もあった。だがな、レベルが上がれば上がるほど、俺は絶望をした。
俺には無理なんだよ。当時の仲間が試練の塔に挑むと言ったとき、俺はパーティを抜けて……強くなることを諦めたんだ。それからは、こうして無理のない仕事をこなしている」
俺のレベルは五〇。それは上限であり、それ以上レベルは上がらず強くなれない。俺は俺に許された限界まで強くなってしまっている。
ステータスというものがこの世界には存在する。
レベルが一上がるたびに、各パラメーターが1〜3上昇する。期待値は2だが、当然、人によってばらつきがある。
やり直しは利かない。 「師匠、嘘だろ」
「言っただろう。俺は運が悪かったと。仲間と共に最強を目指した時期もあった。だがな、レベルが上がれば上がるほど、俺は絶望をした。
俺には無理なんだよ。当時の仲間が試練の塔に挑むと言ったとき、俺はパーティを抜けて……強くなることを諦めたんだ。それからは、こうして無理のない仕事をこなしている」
俺のレベルは五〇。それは上限であり、それ以上レベルは上がらず強くなれない。俺は俺に許された限界まで強くなってしまっている。
ステータスというものがこの世界には存在する。
レベルが一上がるたびに、各パラメーターが1〜3上昇する。期待値は2だが、当然、人によってばらつきがある。
やり直しは利かない。 ……そして俺は絶望的に運が悪かった。上昇値で1を引き続けた。いつかは爆発的に上昇すると信じ、結局上限まで悪い数字を引き続けた。
低いステータスを補うために、何十年もかけて剣技を徹底的に磨いた。ステータスに頼らない力の引き出し方を見つけた。
血のにじむような努力を重ね、ステータス以上の強さを身に付けた。
それでも、限界がきた。
レベルがあがるほど、ステータスの差は枷となり、共に最強を目指した仲間たちに追いつけなくなった。
俺は一流の冒険者だと言えるだろう……だが、絶対に超一流には届かない。
そして、最強になることを諦め……こうして、そこそこの難易度の仕事を確実にこなして収入を得る安定を選んだのだ。
「アイン、試練の塔をがんばれよ。おまえなら、あるいはクリアできるかもな。おまえは俺と違って運がある」
アインは、戦士というクラスに見合うように前衛に必要なステータスが順調に上がっていた。俺の届かなかった先へと行けるだろう。
「すまない、ユーヤさん、俺、知らなくて」
「師匠と慕ってくれたアインに、情けない話をして悪かった。俺はそろそろ出よう」
酒を飲める雰囲気じゃなくなった。
少し多めの金額を机に置き、ニキータに声をかけて俺は酒場を後にした。 ……そして俺は絶望的に運が悪かった。上昇値で1を引き続けた。いつかは爆発的に上昇すると信じ、結局上限まで悪い数字を引き続けた。
低いステータスを補うために、何十年もかけて剣技を徹底的に磨いた。ステータスに頼らない力の引き出し方を見つけた。
血のにじむような努力を重ね、ステータス以上の強さを身に付けた。
それでも、限界がきた。
レベルがあがるほど、ステータスの差は枷となり、共に最強を目指した仲間たちに追いつけなくなった。
俺は一流の冒険者だと言えるだろう……だが、絶対に超一流には届かない。
そして、最強になることを諦め……こうして、そこそこの難易度の仕事を確実にこなして収入を得る安定を選んだのだ。
「アイン、試練の塔をがんばれよ。おまえなら、あるいはクリアできるかもな。おまえは俺と違って運がある」
アインは、戦士というクラスに見合うように前衛に必要なステータスが順調に上がっていた。俺の届かなかった先へと行けるだろう。
「すまない、ユーヤさん、俺、知らなくて」
「師匠と慕ってくれたアインに、情けない話をして悪かった。俺はそろそろ出よう」
酒を飲める雰囲気じゃなくなった。
少し多めの金額を机に置き、ニキータに声をかけて俺は酒場を後にした。 ……そして俺は絶望的に運が悪かった。上昇値で1を引き続けた。いつかは爆発的に上昇すると信じ、結局上限まで悪い数字を引き続けた。
低いステータスを補うために、何十年もかけて剣技を徹底的に磨いた。ステータスに頼らない力の引き出し方を見つけた。
血のにじむような努力を重ね、ステータス以上の強さを身に付けた。
それでも、限界がきた。
レベルがあがるほど、ステータスの差は枷となり、共に最強を目指した仲間たちに追いつけなくなった。
俺は一流の冒険者だと言えるだろう……だが、絶対に超一流には届かない。
そして、最強になることを諦め……こうして、そこそこの難易度の仕事を確実にこなして収入を得る安定を選んだのだ。
「アイン、試練の塔をがんばれよ。おまえなら、あるいはクリアできるかもな。おまえは俺と違って運がある」
アインは、戦士というクラスに見合うように前衛に必要なステータスが順調に上がっていた。俺の届かなかった先へと行けるだろう。
「すまない、ユーヤさん、俺、知らなくて」
「師匠と慕ってくれたアインに、情けない話をして悪かった。俺はそろそろ出よう」
酒を飲める雰囲気じゃなくなった。
少し多めの金額を机に置き、ニキータに声をかけて俺は酒場を後にした。 ……まったく、嫌なことを思い出させる。
口では諦めたとはいいつつも、この胸のうちで消しきれなかった炎が、また燻り始めてしまったじゃないか。
なんでだろうな。頭では諦めようとしているのに、心がその先へと進むのを諦めてくれない。 ……まったく、嫌なことを思い出させる。
口では諦めたとはいいつつも、この胸のうちで消しきれなかった炎が、また燻り始めてしまったじゃないか。
なんでだろうな。頭では諦めようとしているのに、心がその先へと進むのを諦めてくれない。 ……まったく、嫌なことを思い出させる。
口では諦めたとはいいつつも、この胸のうちで消しきれなかった炎が、また燻り始めてしまったじゃないか。
なんでだろうな。頭では諦めようとしているのに、心がその先へと進むのを諦めてくれない。 一章:おっさんはやり直す
第一話:おっさんは思い出す 日の出と共に外に出る。
長年連れ添った愛剣をぎゅっと握った。
高位の魔術付与エンチャントを受けた剣だ。その魔術付与エンチャントにより、頑丈で自動修復が付いている。
派手さはないが、使い勝手がいい肉厚の剣。
命を預ける相棒だ。
”壊れない”。最後の最後まで共に戦ってくれる。それこそが俺が剣にもとめるもの。
だからこそ、この剣を気に入り、使い続けてきた。
さあ、今日の鍛錬を始めよう。毎日続けている日課だ。
目を閉じ、仮想敵をイメージする。
そして、何十年もかけて体に染みつかせた型を一つ一つなぞっていく。
強さは、レベルとステータスだけではない。鍛え抜かれた技と心こそが、最後の最後に己を助けてくれる。
どれだけ攻撃力があろうと敵に当てられなければ意味がない。逆に技術さえあれば全身の力を集約させて敵の急所を打ち抜くことも可能だ。
防御だってそうだ。技術さえあれば大抵の攻撃は躱すか、いなせる。防御力の低さを補える。
俺は運が悪かった。
レベルが上がるたびに、攻撃力、守備力、素早さ、呪力のステータスが1〜3上昇する。
レベル上限である50までそれを繰り返し、最終的な強さが決定する。
笑えることに俺は戦士でありながら、攻撃力、守備力のステータスで1を引き続けた。
……それでも、強くなることを諦めきれずに技術を磨き続けた。 日の出と共に外に出る。
長年連れ添った愛剣をぎゅっと握った。
高位の魔術付与エンチャントを受けた剣だ。その魔術付与エンチャントにより、頑丈で自動修復が付いている。
派手さはないが、使い勝手がいい肉厚の剣。
命を預ける相棒だ。
”壊れない”。最後の最後まで共に戦ってくれる。それこそが俺が剣にもとめるもの。
だからこそ、この剣を気に入り、使い続けてきた。
さあ、今日の鍛錬を始めよう。毎日続けている日課だ。
目を閉じ、仮想敵をイメージする。
そして、何十年もかけて体に染みつかせた型を一つ一つなぞっていく。
強さは、レベルとステータスだけではない。鍛え抜かれた技と心こそが、最後の最後に己を助けてくれる。
どれだけ攻撃力があろうと敵に当てられなければ意味がない。逆に技術さえあれば全身の力を集約させて敵の急所を打ち抜くことも可能だ。
防御だってそうだ。技術さえあれば大抵の攻撃は躱すか、いなせる。防御力の低さを補える。
俺は運が悪かった。
レベルが上がるたびに、攻撃力、守備力、素早さ、呪力のステータスが1〜3上昇する。
レベル上限である50までそれを繰り返し、最終的な強さが決定する。
笑えることに俺は戦士でありながら、攻撃力、守備力のステータスで1を引き続けた。
……それでも、強くなることを諦めきれずに技術を磨き続けた。 日の出と共に外に出る。
長年連れ添った愛剣をぎゅっと握った。
高位の魔術付与エンチャントを受けた剣だ。その魔術付与エンチャントにより、頑丈で自動修復が付いている。
派手さはないが、使い勝手がいい肉厚の剣。
命を預ける相棒だ。
”壊れない”。最後の最後まで共に戦ってくれる。それこそが俺が剣にもとめるもの。
だからこそ、この剣を気に入り、使い続けてきた。
さあ、今日の鍛錬を始めよう。毎日続けている日課だ。
目を閉じ、仮想敵をイメージする。
そして、何十年もかけて体に染みつかせた型を一つ一つなぞっていく。
強さは、レベルとステータスだけではない。鍛え抜かれた技と心こそが、最後の最後に己を助けてくれる。
どれだけ攻撃力があろうと敵に当てられなければ意味がない。逆に技術さえあれば全身の力を集約させて敵の急所を打ち抜くことも可能だ。
防御だってそうだ。技術さえあれば大抵の攻撃は躱すか、いなせる。防御力の低さを補える。
俺は運が悪かった。
レベルが上がるたびに、攻撃力、守備力、素早さ、呪力のステータスが1〜3上昇する。
レベル上限である50までそれを繰り返し、最終的な強さが決定する。
笑えることに俺は戦士でありながら、攻撃力、守備力のステータスで1を引き続けた。
……それでも、強くなることを諦めきれずに技術を磨き続けた。 >>310
それね
12月まで気力が続かないよ
特別区って受かるのは簡単だけど希望の区に行くのは難しいと実感した ステータスの低さは他で補えると信じ、血のにじむような鍛錬を何十年も繰り返し、全身の力を集約した一撃を急所を見抜いて叩き込むことで攻撃力を補い、敵の攻撃を受け流すことで防御力を補った。
努力を積み重ね、ようやく中の上の戦士ぐらいの強さを手に入れたのだ
「ふう、なまっていないようだな。体は動く」
剣を振るうたびに、全身の感覚が研ぎ澄まされていく。
指の先まで……いや、剣の先まで神経が通う。
イメージに体が追随する。
まだまだやれる。そう確信する。
……一時間ほどで剣の鍛錬を終えた。
次だ。
鞘に剣を収めて、息を整える。
集中力を高めていく。
これは俺にとって特別な力だ。
レベルが高くなればなるほど、剣技でも知恵でも埋められなくなる低いステータスというハンデ。
それを覆すために会得した力。
おそらく、俺以外誰も気付いていない秘中の秘。
そもそも、だれもが気にしなさすぎなのだ。……なぜステータスがあがれば強くなるのか?
そのからくりに疑問をいだき、探求し、とある戦いで死の間際にまで追いつめられ、ようやく掴んだ秘術。
極限の集中に入り、扉を開いた。ステータスという不思議な力の根本に触れる。
よし、ちゃんと見える。
俺だけに許された世界。
この力があるおかげで、短時間だけであれば下の下の力しか持たない俺も、平均的なステータスの力を発揮できる。
◇ ステータスの低さは他で補えると信じ、血のにじむような鍛錬を何十年も繰り返し、全身の力を集約した一撃を急所を見抜いて叩き込むことで攻撃力を補い、敵の攻撃を受け流すことで防御力を補った。
努力を積み重ね、ようやく中の上の戦士ぐらいの強さを手に入れたのだ
「ふう、なまっていないようだな。体は動く」
剣を振るうたびに、全身の感覚が研ぎ澄まされていく。
指の先まで……いや、剣の先まで神経が通う。
イメージに体が追随する。
まだまだやれる。そう確信する。
……一時間ほどで剣の鍛錬を終えた。
次だ。
鞘に剣を収めて、息を整える。
集中力を高めていく。
これは俺にとって特別な力だ。
レベルが高くなればなるほど、剣技でも知恵でも埋められなくなる低いステータスというハンデ。
それを覆すために会得した力。
おそらく、俺以外誰も気付いていない秘中の秘。
そもそも、だれもが気にしなさすぎなのだ。……なぜステータスがあがれば強くなるのか?
そのからくりに疑問をいだき、探求し、とある戦いで死の間際にまで追いつめられ、ようやく掴んだ秘術。
極限の集中に入り、扉を開いた。ステータスという不思議な力の根本に触れる。
よし、ちゃんと見える。
俺だけに許された世界。
この力があるおかげで、短時間だけであれば下の下の力しか持たない俺も、平均的なステータスの力を発揮できる。
◇ ステータスの低さは他で補えると信じ、血のにじむような鍛錬を何十年も繰り返し、全身の力を集約した一撃を急所を見抜いて叩き込むことで攻撃力を補い、敵の攻撃を受け流すことで防御力を補った。
努力を積み重ね、ようやく中の上の戦士ぐらいの強さを手に入れたのだ
「ふう、なまっていないようだな。体は動く」
剣を振るうたびに、全身の感覚が研ぎ澄まされていく。
指の先まで……いや、剣の先まで神経が通う。
イメージに体が追随する。
まだまだやれる。そう確信する。
……一時間ほどで剣の鍛錬を終えた。
次だ。
鞘に剣を収めて、息を整える。
集中力を高めていく。
これは俺にとって特別な力だ。
レベルが高くなればなるほど、剣技でも知恵でも埋められなくなる低いステータスというハンデ。
それを覆すために会得した力。
おそらく、俺以外誰も気付いていない秘中の秘。
そもそも、だれもが気にしなさすぎなのだ。……なぜステータスがあがれば強くなるのか?
そのからくりに疑問をいだき、探求し、とある戦いで死の間際にまで追いつめられ、ようやく掴んだ秘術。
極限の集中に入り、扉を開いた。ステータスという不思議な力の根本に触れる。
よし、ちゃんと見える。
俺だけに許された世界。
この力があるおかげで、短時間だけであれば下の下の力しか持たない俺も、平均的なステータスの力を発揮できる。
◇ 朝の鍛錬を終わらせた後は、ギルドに顔を出した。
期限がまずい依頼がないかを確認するためだ。
幸いなことに、そう言った依頼はなかった。今日が専属冒険者として、最後の日だというのにしまらない。
まあ、それも俺らしいか。
ギルドでは、おばちゃんたちから花束と感謝の言葉をもらってしまった。
……やめてほしい。この村を出るのが寂しくなるじゃないか。
荷物を置くために、家に戻った俺は倒していた写真たてを立てる。
当時いた大きな街では写真というものが出回り始めており、仲間の一人が、記念にと店に入ったのだ。
そこには俺と若い男とエルフの少女、大柄の竜人がいた。みんな笑っている。
この村に来る前、俺は超高難易度ダンジョンがある大きな街にいて、まだ上を目指していた。そのころの仲間たち。
若い男とエルフの少女のほうは、俺の弟子だ。
輝かんばかりの才能で、ステータスにも恵まれあっという間に俺より強くなってしまった。
「……まったく、一緒に試練の塔に挑もうなんてセリフをこの村で聞くとはな。おかげでおまえのことを思い出したよ」
写真たての若い男性に微笑みかける。
懐かしいな。
あいつはレベル上限に到達すると同時に言ったのだ。
『師匠、試練の塔に挑みましょう! 俺たちならきっと行けます。あそこを踏破して、本当の英雄になるんだ』 朝の鍛錬を終わらせた後は、ギルドに顔を出した。
期限がまずい依頼がないかを確認するためだ。
幸いなことに、そう言った依頼はなかった。今日が専属冒険者として、最後の日だというのにしまらない。
まあ、それも俺らしいか。
ギルドでは、おばちゃんたちから花束と感謝の言葉をもらってしまった。
……やめてほしい。この村を出るのが寂しくなるじゃないか。
荷物を置くために、家に戻った俺は倒していた写真たてを立てる。
当時いた大きな街では写真というものが出回り始めており、仲間の一人が、記念にと店に入ったのだ。
そこには俺と若い男とエルフの少女、大柄の竜人がいた。みんな笑っている。
この村に来る前、俺は超高難易度ダンジョンがある大きな街にいて、まだ上を目指していた。そのころの仲間たち。
若い男とエルフの少女のほうは、俺の弟子だ。
輝かんばかりの才能で、ステータスにも恵まれあっという間に俺より強くなってしまった。
「……まったく、一緒に試練の塔に挑もうなんてセリフをこの村で聞くとはな。おかげでおまえのことを思い出したよ」
写真たての若い男性に微笑みかける。
懐かしいな。
あいつはレベル上限に到達すると同時に言ったのだ。
『師匠、試練の塔に挑みましょう! 俺たちならきっと行けます。あそこを踏破して、本当の英雄になるんだ』 朝の鍛錬を終わらせた後は、ギルドに顔を出した。
期限がまずい依頼がないかを確認するためだ。
幸いなことに、そう言った依頼はなかった。今日が専属冒険者として、最後の日だというのにしまらない。
まあ、それも俺らしいか。
ギルドでは、おばちゃんたちから花束と感謝の言葉をもらってしまった。
……やめてほしい。この村を出るのが寂しくなるじゃないか。
荷物を置くために、家に戻った俺は倒していた写真たてを立てる。
当時いた大きな街では写真というものが出回り始めており、仲間の一人が、記念にと店に入ったのだ。
そこには俺と若い男とエルフの少女、大柄の竜人がいた。みんな笑っている。
この村に来る前、俺は超高難易度ダンジョンがある大きな街にいて、まだ上を目指していた。そのころの仲間たち。
若い男とエルフの少女のほうは、俺の弟子だ。
輝かんばかりの才能で、ステータスにも恵まれあっという間に俺より強くなってしまった。
「……まったく、一緒に試練の塔に挑もうなんてセリフをこの村で聞くとはな。おかげでおまえのことを思い出したよ」
写真たての若い男性に微笑みかける。
懐かしいな。
あいつはレベル上限に到達すると同時に言ったのだ。
『師匠、試練の塔に挑みましょう! 俺たちならきっと行けます。あそこを踏破して、本当の英雄になるんだ』 その言葉を聞いて潮時だと俺は思った。
試練の塔は最高の冒険者たちが最高の仲間を集めてようやくクリアができる。
クリアしたものは財宝と、レベル上限が解放されるという破格の報酬をえる。
だが、一度挑めばクリアするまでけっして出られない呪いがかかった塔。
生還率は2%以下。
……あのとき、俺はその話を断りパーティを抜けた。
俺がいれば、仲間たちの脚を引っ張る。
剣技をどれだけ磨いて、秘術を身に着けようと、土台が余りにももろい。俺の弱さが、あの最高のパーティを殺してしまう。
あいつらの輝かしい未来が俺によって閉ざされる。
俺の代わりを見つけて挑めと言い残し、俺はパーティを去り、街から出た。
同時に、最強になることを諦めた。
その後、いろいろとあって、この村に行きついて専属冒険者となる。
せいぜい中級者向けの温いダンジョンで金を稼ぎつつ、初心者どもの面倒を見ている。
「とっくに諦めたはずだろ!? いったい、どうして今更熱くなっているんだか」
体が熱い。その熱さを吐き出すために叫ぶ。
アイン、この村での弟子に試練の塔に誘われてから、ずっと消えてしまったと思った胸の炎が蘇り始めた。
あいつが、かつての弟子を、レナードを思い出させた。
とっくの昔に諦めたはずの想い。強くなりたい。もっと先へ。
その衝動が強くなる。
……なんだこれ。こんなおっさんにもなって、俺を尊敬していた可愛い弟子を放り出して逃げたくせに、何を今さら。
「いや、本当はわかっていたんだがな」 その言葉を聞いて潮時だと俺は思った。
試練の塔は最高の冒険者たちが最高の仲間を集めてようやくクリアができる。
クリアしたものは財宝と、レベル上限が解放されるという破格の報酬をえる。
だが、一度挑めばクリアするまでけっして出られない呪いがかかった塔。
生還率は2%以下。
……あのとき、俺はその話を断りパーティを抜けた。
俺がいれば、仲間たちの脚を引っ張る。
剣技をどれだけ磨いて、秘術を身に着けようと、土台が余りにももろい。俺の弱さが、あの最高のパーティを殺してしまう。
あいつらの輝かしい未来が俺によって閉ざされる。
俺の代わりを見つけて挑めと言い残し、俺はパーティを去り、街から出た。
同時に、最強になることを諦めた。
その後、いろいろとあって、この村に行きついて専属冒険者となる。
せいぜい中級者向けの温いダンジョンで金を稼ぎつつ、初心者どもの面倒を見ている。
「とっくに諦めたはずだろ!? いったい、どうして今更熱くなっているんだか」
体が熱い。その熱さを吐き出すために叫ぶ。
アイン、この村での弟子に試練の塔に誘われてから、ずっと消えてしまったと思った胸の炎が蘇り始めた。
あいつが、かつての弟子を、レナードを思い出させた。
とっくの昔に諦めたはずの想い。強くなりたい。もっと先へ。
その衝動が強くなる。
……なんだこれ。こんなおっさんにもなって、俺を尊敬していた可愛い弟子を放り出して逃げたくせに、何を今さら。
「いや、本当はわかっていたんだがな」 その言葉を聞いて潮時だと俺は思った。
試練の塔は最高の冒険者たちが最高の仲間を集めてようやくクリアができる。
クリアしたものは財宝と、レベル上限が解放されるという破格の報酬をえる。
だが、一度挑めばクリアするまでけっして出られない呪いがかかった塔。
生還率は2%以下。
……あのとき、俺はその話を断りパーティを抜けた。
俺がいれば、仲間たちの脚を引っ張る。
剣技をどれだけ磨いて、秘術を身に着けようと、土台が余りにももろい。俺の弱さが、あの最高のパーティを殺してしまう。
あいつらの輝かしい未来が俺によって閉ざされる。
俺の代わりを見つけて挑めと言い残し、俺はパーティを去り、街から出た。
同時に、最強になることを諦めた。
その後、いろいろとあって、この村に行きついて専属冒険者となる。
せいぜい中級者向けの温いダンジョンで金を稼ぎつつ、初心者どもの面倒を見ている。
「とっくに諦めたはずだろ!? いったい、どうして今更熱くなっているんだか」
体が熱い。その熱さを吐き出すために叫ぶ。
アイン、この村での弟子に試練の塔に誘われてから、ずっと消えてしまったと思った胸の炎が蘇り始めた。
あいつが、かつての弟子を、レナードを思い出させた。
とっくの昔に諦めたはずの想い。強くなりたい。もっと先へ。
その衝動が強くなる。
……なんだこれ。こんなおっさんにもなって、俺を尊敬していた可愛い弟子を放り出して逃げたくせに、何を今さら。
「いや、本当はわかっていたんだがな」 この荒らし、元コンサルの中瀬って人なんだっけ?
こんだけ特別区に執着するってことは特別区のどっかに受かったってことなんか そうでなければ、毎朝の鍛錬を今も律儀に続けているわけがない。
売れば、とんでもない金になる貴重なマジックアイテムを、高難易度ダンジョンに挑むためには必要だからと、売らずにとっているわけがない。
俺は、自分の弱さを思い知り、継ぎ足そうとあがいて、それでも届かないと知り諦めたつもりで……諦めてなかった。
レナード、あの一番弟子が試練の塔を新たな仲間と踏破したと数年前に風の噂できいた。
そのときの感情は、弟子の成功を喜ぶ気持ちではなく、弟子が生き残ったことの安堵でもなく、醜い嫉妬と、一緒に行けば良かったという後悔。
ああ、悔しいな。ステータスさえ、ステータスさえあれば。
ただでステータスを恵んでもらおうなんて言わない。
レベルを1にしてやり直させてくれたら、それでいい。そしたら、また一から鍛える。こんなくそみたいな上昇値をもう一度、引き続けることなんてないだろう。
「んな、都合のいい魔法もアイテムもないなんて。俺が一番知ってるだろ」
壁を衝動に任せて殴りつける。
掌が熱い。
頭がぼうっとする。
今日の俺はいつも以上におかしい。まだ、昼だが酒を飲んで寝るか?
そんなときだった。脳裏にいくつかの言葉が浮かぶ。
なんだ、これは?
『レベル上限に達したキャラはあるダンジョンの隠し部屋でレベルリセットができる』
『レベルリセット時には、特典で全ステータス上昇、スキルポイントの加算を与えられる』
『レベルリセットキャラ限定だが、レベル上昇時のステータスを最大値で固定できる方法が存在する』
『不遇職と言われる魔法戦士こそが、解析の結果最強と判明』
『マジック・カスタムによってチートともいえる魔法の数々が生み出せる』
『鍛冶システムのバグを利用した最強装備の生成』
『試練の塔に挑んではならない。レベルリセットをしたキャラで、ステータス最大のパーティであることを前提とした調整がされている』 そうでなければ、毎朝の鍛錬を今も律儀に続けているわけがない。
売れば、とんでもない金になる貴重なマジックアイテムを、高難易度ダンジョンに挑むためには必要だからと、売らずにとっているわけがない。
俺は、自分の弱さを思い知り、継ぎ足そうとあがいて、それでも届かないと知り諦めたつもりで……諦めてなかった。
レナード、あの一番弟子が試練の塔を新たな仲間と踏破したと数年前に風の噂できいた。
そのときの感情は、弟子の成功を喜ぶ気持ちではなく、弟子が生き残ったことの安堵でもなく、醜い嫉妬と、一緒に行けば良かったという後悔。
ああ、悔しいな。ステータスさえ、ステータスさえあれば。
ただでステータスを恵んでもらおうなんて言わない。
レベルを1にしてやり直させてくれたら、それでいい。そしたら、また一から鍛える。こんなくそみたいな上昇値をもう一度、引き続けることなんてないだろう。
「んな、都合のいい魔法もアイテムもないなんて。俺が一番知ってるだろ」
壁を衝動に任せて殴りつける。
掌が熱い。
頭がぼうっとする。
今日の俺はいつも以上におかしい。まだ、昼だが酒を飲んで寝るか?
そんなときだった。脳裏にいくつかの言葉が浮かぶ。
なんだ、これは?
『レベル上限に達したキャラはあるダンジョンの隠し部屋でレベルリセットができる』
『レベルリセット時には、特典で全ステータス上昇、スキルポイントの加算を与えられる』
『レベルリセットキャラ限定だが、レベル上昇時のステータスを最大値で固定できる方法が存在する』
『不遇職と言われる魔法戦士こそが、解析の結果最強と判明』
『マジック・カスタムによってチートともいえる魔法の数々が生み出せる』
『鍛冶システムのバグを利用した最強装備の生成』
『試練の塔に挑んではならない。レベルリセットをしたキャラで、ステータス最大のパーティであることを前提とした調整がされている』 そうでなければ、毎朝の鍛錬を今も律儀に続けているわけがない。
売れば、とんでもない金になる貴重なマジックアイテムを、高難易度ダンジョンに挑むためには必要だからと、売らずにとっているわけがない。
俺は、自分の弱さを思い知り、継ぎ足そうとあがいて、それでも届かないと知り諦めたつもりで……諦めてなかった。
レナード、あの一番弟子が試練の塔を新たな仲間と踏破したと数年前に風の噂できいた。
そのときの感情は、弟子の成功を喜ぶ気持ちではなく、弟子が生き残ったことの安堵でもなく、醜い嫉妬と、一緒に行けば良かったという後悔。
ああ、悔しいな。ステータスさえ、ステータスさえあれば。
ただでステータスを恵んでもらおうなんて言わない。
レベルを1にしてやり直させてくれたら、それでいい。そしたら、また一から鍛える。こんなくそみたいな上昇値をもう一度、引き続けることなんてないだろう。
「んな、都合のいい魔法もアイテムもないなんて。俺が一番知ってるだろ」
壁を衝動に任せて殴りつける。
掌が熱い。
頭がぼうっとする。
今日の俺はいつも以上におかしい。まだ、昼だが酒を飲んで寝るか?
そんなときだった。脳裏にいくつかの言葉が浮かぶ。
なんだ、これは?
『レベル上限に達したキャラはあるダンジョンの隠し部屋でレベルリセットができる』
『レベルリセット時には、特典で全ステータス上昇、スキルポイントの加算を与えられる』
『レベルリセットキャラ限定だが、レベル上昇時のステータスを最大値で固定できる方法が存在する』
『不遇職と言われる魔法戦士こそが、解析の結果最強と判明』
『マジック・カスタムによってチートともいえる魔法の数々が生み出せる』
『鍛冶システムのバグを利用した最強装備の生成』
『試練の塔に挑んではならない。レベルリセットをしたキャラで、ステータス最大のパーティであることを前提とした調整がされている』 ははは、ばかげている。
俺が欲しい物、すべてがあるじゃないか。
低いステータスで完成してしまった俺が、レベルをリセットし、ステータス上昇とスキルポイントの追加までもらえてやり直せる?
そして、苦汁を飲まされ続けた。ステータス上昇がランダムではなく固定?
「もし、これが本当なら……諦めていた最強に届く」
胸が熱くなる。
そうなのだ。そんな都合のいいものがあれば、最強のステータスを手に入れた上、俺が何十年も低いステータスを補うために積み重ねてたステータス以外の強さが上乗せされる。
そんなもの、最強に決まっている。
頭の中に、その隠し部屋があるというダンジョンまで浮かぶ。
……夢に決まっている。妄想だ。
長年の諦めきれない情熱が、俺に幻を見せた。
こんな都合のいいものがあってたまるか。
だけど、それでも。
「いかないわけがないよな。たとえ、1%だって可能性があるなら」 ははは、ばかげている。
俺が欲しい物、すべてがあるじゃないか。
低いステータスで完成してしまった俺が、レベルをリセットし、ステータス上昇とスキルポイントの追加までもらえてやり直せる?
そして、苦汁を飲まされ続けた。ステータス上昇がランダムではなく固定?
「もし、これが本当なら……諦めていた最強に届く」
胸が熱くなる。
そうなのだ。そんな都合のいいものがあれば、最強のステータスを手に入れた上、俺が何十年も低いステータスを補うために積み重ねてたステータス以外の強さが上乗せされる。
そんなもの、最強に決まっている。
頭の中に、その隠し部屋があるというダンジョンまで浮かぶ。
……夢に決まっている。妄想だ。
長年の諦めきれない情熱が、俺に幻を見せた。
こんな都合のいいものがあってたまるか。
だけど、それでも。
「いかないわけがないよな。たとえ、1%だって可能性があるなら」 ははは、ばかげている。
俺が欲しい物、すべてがあるじゃないか。
低いステータスで完成してしまった俺が、レベルをリセットし、ステータス上昇とスキルポイントの追加までもらえてやり直せる?
そして、苦汁を飲まされ続けた。ステータス上昇がランダムではなく固定?
「もし、これが本当なら……諦めていた最強に届く」
胸が熱くなる。
そうなのだ。そんな都合のいいものがあれば、最強のステータスを手に入れた上、俺が何十年も低いステータスを補うために積み重ねてたステータス以外の強さが上乗せされる。
そんなもの、最強に決まっている。
頭の中に、その隠し部屋があるというダンジョンまで浮かぶ。
……夢に決まっている。妄想だ。
長年の諦めきれない情熱が、俺に幻を見せた。
こんな都合のいいものがあってたまるか。
だけど、それでも。
「いかないわけがないよな。たとえ、1%だって可能性があるなら」 まるで病気だ。ありえるわけがないと決めつけているのに体は動く。
俺は諦めが悪い。でなければ、とっくの昔に冒険者なんてやめていた。辛くて苦しい鍛錬なんてしなかった。
ステータスを補うなんて無茶を考えず、ただ己の非運を嘆いて終わりだっただろう。
だけど、俺は違う。努力をし続けた。
俺は、手際よく、何万回もやってきたように旅支度を行う。
そして、熱病に浮かされるようにして街を出発した。
頭の中に浮かんだ、ダンジョンの隠し部屋に向かって。
なぜだろう……レベルリセットは確実にできる。
そんな確信があった。 まるで病気だ。ありえるわけがないと決めつけているのに体は動く。
俺は諦めが悪い。でなければ、とっくの昔に冒険者なんてやめていた。辛くて苦しい鍛錬なんてしなかった。
ステータスを補うなんて無茶を考えず、ただ己の非運を嘆いて終わりだっただろう。
だけど、俺は違う。努力をし続けた。
俺は、手際よく、何万回もやってきたように旅支度を行う。
そして、熱病に浮かされるようにして街を出発した。
頭の中に浮かんだ、ダンジョンの隠し部屋に向かって。
なぜだろう……レベルリセットは確実にできる。
そんな確信があった。 まるで病気だ。ありえるわけがないと決めつけているのに体は動く。
俺は諦めが悪い。でなければ、とっくの昔に冒険者なんてやめていた。辛くて苦しい鍛錬なんてしなかった。
ステータスを補うなんて無茶を考えず、ただ己の非運を嘆いて終わりだっただろう。
だけど、俺は違う。努力をし続けた。
俺は、手際よく、何万回もやってきたように旅支度を行う。
そして、熱病に浮かされるようにして街を出発した。
頭の中に浮かんだ、ダンジョンの隠し部屋に向かって。
なぜだろう……レベルリセットは確実にできる。
そんな確信があった。 一章:おっさんはやり直す
第二話:おっさんはレベルリセットをする 二足歩行の爬虫類、ラプトルを走らせる。
馬よりもずっと早く、体力もあって重宝されている魔物だ。
己の脳裏に浮かんだ。白昼夢のようなひらめきを信じて。レベルリセットをするため、隠し部屋のあるダンジョンを目指す。
馬鹿らしい。
そんなことはわかっている。それでも俺は行く。
俺は諦めが悪い。たぶん、世界一。
じゃないと、ステータスに絶望して心が折れていた。低いステータスを補うためにあがきはしなかった。今までステータス以外で強さを補って、継ぎ足して、試練の塔に挑まず逃げたあとも鍛錬は欠かさなかった。
何かを待っていたのだ。
その何かがやっと目の前に現れた。
……何より、この胸の熱さが俺を突き動かしていた。
◇
たどり着いたダンジョンはいわゆる野良ダンジョンだ。
ダンジョンは資源だ。
倒せばドロップアイテムを落とし、調教すればラプトルのように役立つ魔物がいる。
宝箱も存在する。
さらに、週に一回再配置で魔物と宝箱が復活する。
この世界の街や村は、ダンジョンの恵みを当てにして、その近くに作られることが多い。
……たまに、ダンジョンの外へと魔物が出てきて被害を出すこともあるが、おおむねダンジョンは利益があるものとして受け入れられている。
今回向かっているダンジョンは、人の手によって管理されていない野良ダンジョンだ。
こういうダンジョンは危険だ。 二足歩行の爬虫類、ラプトルを走らせる。
馬よりもずっと早く、体力もあって重宝されている魔物だ。
己の脳裏に浮かんだ。白昼夢のようなひらめきを信じて。レベルリセットをするため、隠し部屋のあるダンジョンを目指す。
馬鹿らしい。
そんなことはわかっている。それでも俺は行く。
俺は諦めが悪い。たぶん、世界一。
じゃないと、ステータスに絶望して心が折れていた。低いステータスを補うためにあがきはしなかった。今までステータス以外で強さを補って、継ぎ足して、試練の塔に挑まず逃げたあとも鍛錬は欠かさなかった。
何かを待っていたのだ。
その何かがやっと目の前に現れた。
……何より、この胸の熱さが俺を突き動かしていた。
◇
たどり着いたダンジョンはいわゆる野良ダンジョンだ。
ダンジョンは資源だ。
倒せばドロップアイテムを落とし、調教すればラプトルのように役立つ魔物がいる。
宝箱も存在する。
さらに、週に一回再配置で魔物と宝箱が復活する。
この世界の街や村は、ダンジョンの恵みを当てにして、その近くに作られることが多い。
……たまに、ダンジョンの外へと魔物が出てきて被害を出すこともあるが、おおむねダンジョンは利益があるものとして受け入れられている。
今回向かっているダンジョンは、人の手によって管理されていない野良ダンジョンだ。
こういうダンジョンは危険だ。 二足歩行の爬虫類、ラプトルを走らせる。
馬よりもずっと早く、体力もあって重宝されている魔物だ。
己の脳裏に浮かんだ。白昼夢のようなひらめきを信じて。レベルリセットをするため、隠し部屋のあるダンジョンを目指す。
馬鹿らしい。
そんなことはわかっている。それでも俺は行く。
俺は諦めが悪い。たぶん、世界一。
じゃないと、ステータスに絶望して心が折れていた。低いステータスを補うためにあがきはしなかった。今までステータス以外で強さを補って、継ぎ足して、試練の塔に挑まず逃げたあとも鍛錬は欠かさなかった。
何かを待っていたのだ。
その何かがやっと目の前に現れた。
……何より、この胸の熱さが俺を突き動かしていた。
◇
たどり着いたダンジョンはいわゆる野良ダンジョンだ。
ダンジョンは資源だ。
倒せばドロップアイテムを落とし、調教すればラプトルのように役立つ魔物がいる。
宝箱も存在する。
さらに、週に一回再配置で魔物と宝箱が復活する。
この世界の街や村は、ダンジョンの恵みを当てにして、その近くに作られることが多い。
……たまに、ダンジョンの外へと魔物が出てきて被害を出すこともあるが、おおむねダンジョンは利益があるものとして受け入れられている。
今回向かっているダンジョンは、人の手によって管理されていない野良ダンジョンだ。
こういうダンジョンは危険だ。 街の近くにあるダンジョンであれば、冒険者たちが己の欲のために探索し、再配置直後でもない限り魔物の数は減っているが、野良ダンジョンの場合、それは期待できない。
ダンジョン内に魔物の数が多く、なおかつ何かあったときに助けを求めることもできない。
しかし、そんな野良ダンジョンだからこそ、だれも隠し部屋に気付かなかったという期待もあった。
◇
探索を開始した。
洞窟型のダンジョンだ。舌打ちをしてしまう。
洞窟型のダンジョンは特に難易度が高い。暗く視界が制限される。魔法の松明を持ってあたりを照らすが、松明で照らせるのはせいぜい、四、五メートルまで。
しかも片手が塞がる。
いつもは両手剣を装備するが、左手に松明をもっているせいで軽くて取り回しのいい片手剣に持ち替える必要があった。
攻撃力が落ちるし、敵の攻撃が受けにくくなる。
……さらにやっかいなことに、松明の光は魔物にかなりこちらの位置を知らせてしまい、彼らを呼び寄せてしまう。
「魔灯があればな」
思わず、愚痴を言ってしまう。魔法の松明よりも広い範囲を照らせ、なおかつ魔物が嫌う光を出せる希少なマジックアイテム。
残念ながら俺は持っていない。
背筋に悪寒が走った。
即座に横へと跳ぶ。
背後から、巨大な蛇の魔物が襲い掛かってきていたのだ。
タイラント・スネイク。俺の首ほどの太さを持つ大蛇。麻痺毒があり、噛まれると同時に身動きがとれなくなってしまう。極めて凶悪な魔物。
死角からの攻撃で見えていなかったし、蛇は音も立てていなかった。
それでも、剣の間合いに入ればわかる。……磨き上げた剣士のみが持つ感覚だ。 街の近くにあるダンジョンであれば、冒険者たちが己の欲のために探索し、再配置直後でもない限り魔物の数は減っているが、野良ダンジョンの場合、それは期待できない。
ダンジョン内に魔物の数が多く、なおかつ何かあったときに助けを求めることもできない。
しかし、そんな野良ダンジョンだからこそ、だれも隠し部屋に気付かなかったという期待もあった。
◇
探索を開始した。
洞窟型のダンジョンだ。舌打ちをしてしまう。
洞窟型のダンジョンは特に難易度が高い。暗く視界が制限される。魔法の松明を持ってあたりを照らすが、松明で照らせるのはせいぜい、四、五メートルまで。
しかも片手が塞がる。
いつもは両手剣を装備するが、左手に松明をもっているせいで軽くて取り回しのいい片手剣に持ち替える必要があった。
攻撃力が落ちるし、敵の攻撃が受けにくくなる。
……さらにやっかいなことに、松明の光は魔物にかなりこちらの位置を知らせてしまい、彼らを呼び寄せてしまう。
「魔灯があればな」
思わず、愚痴を言ってしまう。魔法の松明よりも広い範囲を照らせ、なおかつ魔物が嫌う光を出せる希少なマジックアイテム。
残念ながら俺は持っていない。
背筋に悪寒が走った。
即座に横へと跳ぶ。
背後から、巨大な蛇の魔物が襲い掛かってきていたのだ。
タイラント・スネイク。俺の首ほどの太さを持つ大蛇。麻痺毒があり、噛まれると同時に身動きがとれなくなってしまう。極めて凶悪な魔物。
死角からの攻撃で見えていなかったし、蛇は音も立てていなかった。
それでも、剣の間合いに入ればわかる。……磨き上げた剣士のみが持つ感覚だ。 街の近くにあるダンジョンであれば、冒険者たちが己の欲のために探索し、再配置直後でもない限り魔物の数は減っているが、野良ダンジョンの場合、それは期待できない。
ダンジョン内に魔物の数が多く、なおかつ何かあったときに助けを求めることもできない。
しかし、そんな野良ダンジョンだからこそ、だれも隠し部屋に気付かなかったという期待もあった。
◇
探索を開始した。
洞窟型のダンジョンだ。舌打ちをしてしまう。
洞窟型のダンジョンは特に難易度が高い。暗く視界が制限される。魔法の松明を持ってあたりを照らすが、松明で照らせるのはせいぜい、四、五メートルまで。
しかも片手が塞がる。
いつもは両手剣を装備するが、左手に松明をもっているせいで軽くて取り回しのいい片手剣に持ち替える必要があった。
攻撃力が落ちるし、敵の攻撃が受けにくくなる。
……さらにやっかいなことに、松明の光は魔物にかなりこちらの位置を知らせてしまい、彼らを呼び寄せてしまう。
「魔灯があればな」
思わず、愚痴を言ってしまう。魔法の松明よりも広い範囲を照らせ、なおかつ魔物が嫌う光を出せる希少なマジックアイテム。
残念ながら俺は持っていない。
背筋に悪寒が走った。
即座に横へと跳ぶ。
背後から、巨大な蛇の魔物が襲い掛かってきていたのだ。
タイラント・スネイク。俺の首ほどの太さを持つ大蛇。麻痺毒があり、噛まれると同時に身動きがとれなくなってしまう。極めて凶悪な魔物。
死角からの攻撃で見えていなかったし、蛇は音も立てていなかった。
それでも、剣の間合いに入ればわかる。……磨き上げた剣士のみが持つ感覚だ。 松明から手を離し、攻撃が空ぶって通り過ぎようとする蛇の胴を鷲づかみにして引き寄せる。
蛇の頭を鉄のブーツで踏みつけて逃げれなくし、そのまま首に向かって剣を落とした。
地面に叩きつけられた松明の光が消える。
「さて、速めに目的地に着かないとまずそうだ」
手の中の蛇が消えた。
死んだことで青い粒子に変わったのだろう。今の手ごたえからして、おそらくこのダンジョンの適性レベルは二〇から三〇と言ったところ。
強い魔物ほど、実入りがいい。本来、俺のような上級冒険者はすぐに引き返すダンジョンだ。
松明の火をつける。
先を急ごう。
◇
探索を始めて、四時間が経った。
肉体の疲れと精神の疲れが体に押し寄せる。
視界が限定されているなか、狡猾な魔物との戦いは容赦なく体力を削る。
そもそも、地下型のダンジョンで一人で潜ること自体が自殺行為ともいえる。
魔物が隠れる場所が多く、麻痺毒を持つ魔物などに死角から噛まれたら、それだけで終わりだ。
あのタイラント・スネイクに噛まれていれば死に直結していただろう。ここには麻痺を癒してくれる仲間がいない。麻痺すれば食われるしかない。
行動不能=死。
そのプレッシャーのせいで、いつも以上に消耗が早い。 松明から手を離し、攻撃が空ぶって通り過ぎようとする蛇の胴を鷲づかみにして引き寄せる。
蛇の頭を鉄のブーツで踏みつけて逃げれなくし、そのまま首に向かって剣を落とした。
地面に叩きつけられた松明の光が消える。
「さて、速めに目的地に着かないとまずそうだ」
手の中の蛇が消えた。
死んだことで青い粒子に変わったのだろう。今の手ごたえからして、おそらくこのダンジョンの適性レベルは二〇から三〇と言ったところ。
強い魔物ほど、実入りがいい。本来、俺のような上級冒険者はすぐに引き返すダンジョンだ。
松明の火をつける。
先を急ごう。
◇
探索を始めて、四時間が経った。
肉体の疲れと精神の疲れが体に押し寄せる。
視界が限定されているなか、狡猾な魔物との戦いは容赦なく体力を削る。
そもそも、地下型のダンジョンで一人で潜ること自体が自殺行為ともいえる。
魔物が隠れる場所が多く、麻痺毒を持つ魔物などに死角から噛まれたら、それだけで終わりだ。
あのタイラント・スネイクに噛まれていれば死に直結していただろう。ここには麻痺を癒してくれる仲間がいない。麻痺すれば食われるしかない。
行動不能=死。
そのプレッシャーのせいで、いつも以上に消耗が早い。 松明から手を離し、攻撃が空ぶって通り過ぎようとする蛇の胴を鷲づかみにして引き寄せる。
蛇の頭を鉄のブーツで踏みつけて逃げれなくし、そのまま首に向かって剣を落とした。
地面に叩きつけられた松明の光が消える。
「さて、速めに目的地に着かないとまずそうだ」
手の中の蛇が消えた。
死んだことで青い粒子に変わったのだろう。今の手ごたえからして、おそらくこのダンジョンの適性レベルは二〇から三〇と言ったところ。
強い魔物ほど、実入りがいい。本来、俺のような上級冒険者はすぐに引き返すダンジョンだ。
松明の火をつける。
先を急ごう。
◇
探索を始めて、四時間が経った。
肉体の疲れと精神の疲れが体に押し寄せる。
視界が限定されているなか、狡猾な魔物との戦いは容赦なく体力を削る。
そもそも、地下型のダンジョンで一人で潜ること自体が自殺行為ともいえる。
魔物が隠れる場所が多く、麻痺毒を持つ魔物などに死角から噛まれたら、それだけで終わりだ。
あのタイラント・スネイクに噛まれていれば死に直結していただろう。ここには麻痺を癒してくれる仲間がいない。麻痺すれば食われるしかない。
行動不能=死。
そのプレッシャーのせいで、いつも以上に消耗が早い。 だが、ようやく地下三階。
脳裏に浮かんだイメージが正しければ、アレがあるはずだ。
レベルリセットができる隠し部屋の入り口を探す。
薄暗い迷宮には似つかわしくない純白の石碑。
「……ここまではイメージ通りだ。こんなものがあるなんて俺は知らないはずだ」
その純白の石碑を横から思い切り押す。
いつもの俺であれば絶対にやらない行為。すると、石碑がずれた。
石碑によって隠されていた扉が見つかる。魔法により封印されていた。
特定の条件を満たさないと開かない扉だ。
そこに手をかざす。
すると、扉がひとりでに開いた。
なぜか俺には、封印解除の条件が上限であるレベル50に到達していることだとわかった。
この隠し扉を開けた者は俺以外いないだろう。
たまたま、野良ダンジョンにやってきた冒険者が、危険で儲けが少ない洞窟型のダンジョンの奥にまで来る変わり者で、石碑をずらすなんてことを思いつき、しかも上限までレベルを上げた冒険者だったケースでしかこの扉は開かない。
……こんな偶然ありえない。
すべてのからくりを知っている者のみが扉の先へと行ける。
冷静に考えればわかる。
レベルリセットは冒険者たちの憧れだ。
自分のステータスに満足のいかない冒険者なんてはいて捨てるほどいる。
もし、スキルリセットができるダンジョンなんて発見されていたら、あっという間に有名になっていただろう。
そうなっていないのなら、これぐらい見つかりにくい条件が重なっていて当然なのだ。 だが、ようやく地下三階。
脳裏に浮かんだイメージが正しければ、アレがあるはずだ。
レベルリセットができる隠し部屋の入り口を探す。
薄暗い迷宮には似つかわしくない純白の石碑。
「……ここまではイメージ通りだ。こんなものがあるなんて俺は知らないはずだ」
その純白の石碑を横から思い切り押す。
いつもの俺であれば絶対にやらない行為。すると、石碑がずれた。
石碑によって隠されていた扉が見つかる。魔法により封印されていた。
特定の条件を満たさないと開かない扉だ。
そこに手をかざす。
すると、扉がひとりでに開いた。
なぜか俺には、封印解除の条件が上限であるレベル50に到達していることだとわかった。
この隠し扉を開けた者は俺以外いないだろう。
たまたま、野良ダンジョンにやってきた冒険者が、危険で儲けが少ない洞窟型のダンジョンの奥にまで来る変わり者で、石碑をずらすなんてことを思いつき、しかも上限までレベルを上げた冒険者だったケースでしかこの扉は開かない。
……こんな偶然ありえない。
すべてのからくりを知っている者のみが扉の先へと行ける。
冷静に考えればわかる。
レベルリセットは冒険者たちの憧れだ。
自分のステータスに満足のいかない冒険者なんてはいて捨てるほどいる。
もし、スキルリセットができるダンジョンなんて発見されていたら、あっという間に有名になっていただろう。
そうなっていないのなら、これぐらい見つかりにくい条件が重なっていて当然なのだ。 だが、ようやく地下三階。
脳裏に浮かんだイメージが正しければ、アレがあるはずだ。
レベルリセットができる隠し部屋の入り口を探す。
薄暗い迷宮には似つかわしくない純白の石碑。
「……ここまではイメージ通りだ。こんなものがあるなんて俺は知らないはずだ」
その純白の石碑を横から思い切り押す。
いつもの俺であれば絶対にやらない行為。すると、石碑がずれた。
石碑によって隠されていた扉が見つかる。魔法により封印されていた。
特定の条件を満たさないと開かない扉だ。
そこに手をかざす。
すると、扉がひとりでに開いた。
なぜか俺には、封印解除の条件が上限であるレベル50に到達していることだとわかった。
この隠し扉を開けた者は俺以外いないだろう。
たまたま、野良ダンジョンにやってきた冒険者が、危険で儲けが少ない洞窟型のダンジョンの奥にまで来る変わり者で、石碑をずらすなんてことを思いつき、しかも上限までレベルを上げた冒険者だったケースでしかこの扉は開かない。
……こんな偶然ありえない。
すべてのからくりを知っている者のみが扉の先へと行ける。
冷静に考えればわかる。
レベルリセットは冒険者たちの憧れだ。
自分のステータスに満足のいかない冒険者なんてはいて捨てるほどいる。
もし、スキルリセットができるダンジョンなんて発見されていたら、あっという間に有名になっていただろう。
そうなっていないのなら、これぐらい見つかりにくい条件が重なっていて当然なのだ。 ◇
隠し扉の先にいく。
どんどん鼓動が大きくなる。
期待が膨らんでいるのだ。
そして、俺が目にしたものは……。
「なんだ、この部屋は」
松明の光を消す。必要ないからだ。
光水晶と呼ばれる魔石によって部屋の中は照らされている。
部屋の奥には白亜の女神像が配置されている。
この女神像は脳裏に浮かんだ記憶にあったものだ。
だけど……。
「ここからどうすればいい?」
それがわからない。
この部屋の存在と、レベルリセットができるということはなぜか知っていた。
だが、どうすればレベルリセットができるかわからないのだ。
……いや、待てよ。
女神の像に気を取られて、見落としていたが、その反対側にとんでもないものがあった。
「女の子? それに獣の耳と尻尾?」
透明な水晶の中に、女の子が埋まっていた。
十三か十四ぐらいの幻想的なまでに美しい少女。
少女は目を閉じている。その子は赤みのある金色の髪を持ち、同色の獣耳と獣尻尾があった。 ◇
隠し扉の先にいく。
どんどん鼓動が大きくなる。
期待が膨らんでいるのだ。
そして、俺が目にしたものは……。
「なんだ、この部屋は」
松明の光を消す。必要ないからだ。
光水晶と呼ばれる魔石によって部屋の中は照らされている。
部屋の奥には白亜の女神像が配置されている。
この女神像は脳裏に浮かんだ記憶にあったものだ。
だけど……。
「ここからどうすればいい?」
それがわからない。
この部屋の存在と、レベルリセットができるということはなぜか知っていた。
だが、どうすればレベルリセットができるかわからないのだ。
……いや、待てよ。
女神の像に気を取られて、見落としていたが、その反対側にとんでもないものがあった。
「女の子? それに獣の耳と尻尾?」
透明な水晶の中に、女の子が埋まっていた。
十三か十四ぐらいの幻想的なまでに美しい少女。
少女は目を閉じている。その子は赤みのある金色の髪を持ち、同色の獣耳と獣尻尾があった。 ◇
隠し扉の先にいく。
どんどん鼓動が大きくなる。
期待が膨らんでいるのだ。
そして、俺が目にしたものは……。
「なんだ、この部屋は」
松明の光を消す。必要ないからだ。
光水晶と呼ばれる魔石によって部屋の中は照らされている。
部屋の奥には白亜の女神像が配置されている。
この女神像は脳裏に浮かんだ記憶にあったものだ。
だけど……。
「ここからどうすればいい?」
それがわからない。
この部屋の存在と、レベルリセットができるということはなぜか知っていた。
だが、どうすればレベルリセットができるかわからないのだ。
……いや、待てよ。
女神の像に気を取られて、見落としていたが、その反対側にとんでもないものがあった。
「女の子? それに獣の耳と尻尾?」
透明な水晶の中に、女の子が埋まっていた。
十三か十四ぐらいの幻想的なまでに美しい少女。
少女は目を閉じている。その子は赤みのある金色の髪を持ち、同色の獣耳と獣尻尾があった。 犬耳ならば、コボルト族という種族がいるが、それに比べて耳も尻尾も一回り大きい。
吸い寄せられるように、その水晶に触れる。
すると、水晶が砕けて、少女が投げ出される。
慌てて、女の子を抱き寄せる。
「君、大丈夫か?」
本来、こんなうかつなことをしない。
魔物である可能性がある。……なのに、そうしないといけない気がした。
女の子が目を覚ます。
「……待ってた。ずっと、ずっと」
「君はいったい何を」
「思い出して、遠い日の記憶を」
そう言うと、手を伸ばして俺の顔を引き寄せる。
そして、キスをした。
情報が洪水のように流れてくる。
記憶の渦、なんだ。これは。
俺じゃない、俺の記憶。
これは、まさか。
「俺の……前世、だとでも言うのか?」
日本と言う世界に生まれ、サラリーマンという職に就き、出世はできないものの、こつこつと働き続けた一人の男の人生。
どんなに頑張っても、その成果を他人に利用されるだけで日の目をみない。それでも頑張り続ける……妙に親近感がわく。
……なにより、その男がやっていたゲームと言う遊び、余暇のほとんどをつぎ込んだものと、この世界はそっくりだ。 犬耳ならば、コボルト族という種族がいるが、それに比べて耳も尻尾も一回り大きい。
吸い寄せられるように、その水晶に触れる。
すると、水晶が砕けて、少女が投げ出される。
慌てて、女の子を抱き寄せる。
「君、大丈夫か?」
本来、こんなうかつなことをしない。
魔物である可能性がある。……なのに、そうしないといけない気がした。
女の子が目を覚ます。
「……待ってた。ずっと、ずっと」
「君はいったい何を」
「思い出して、遠い日の記憶を」
そう言うと、手を伸ばして俺の顔を引き寄せる。
そして、キスをした。
情報が洪水のように流れてくる。
記憶の渦、なんだ。これは。
俺じゃない、俺の記憶。
これは、まさか。
「俺の……前世、だとでも言うのか?」
日本と言う世界に生まれ、サラリーマンという職に就き、出世はできないものの、こつこつと働き続けた一人の男の人生。
どんなに頑張っても、その成果を他人に利用されるだけで日の目をみない。それでも頑張り続ける……妙に親近感がわく。
……なにより、その男がやっていたゲームと言う遊び、余暇のほとんどをつぎ込んだものと、この世界はそっくりだ。 犬耳ならば、コボルト族という種族がいるが、それに比べて耳も尻尾も一回り大きい。
吸い寄せられるように、その水晶に触れる。
すると、水晶が砕けて、少女が投げ出される。
慌てて、女の子を抱き寄せる。
「君、大丈夫か?」
本来、こんなうかつなことをしない。
魔物である可能性がある。……なのに、そうしないといけない気がした。
女の子が目を覚ます。
「……待ってた。ずっと、ずっと」
「君はいったい何を」
「思い出して、遠い日の記憶を」
そう言うと、手を伸ばして俺の顔を引き寄せる。
そして、キスをした。
情報が洪水のように流れてくる。
記憶の渦、なんだ。これは。
俺じゃない、俺の記憶。
これは、まさか。
「俺の……前世、だとでも言うのか?」
日本と言う世界に生まれ、サラリーマンという職に就き、出世はできないものの、こつこつと働き続けた一人の男の人生。
どんなに頑張っても、その成果を他人に利用されるだけで日の目をみない。それでも頑張り続ける……妙に親近感がわく。
……なにより、その男がやっていたゲームと言う遊び、余暇のほとんどをつぎ込んだものと、この世界はそっくりだ。 少女が安らかな寝息を立て始めた。
俺は、彼女を地面に寝かせる。
「この記憶が本当なら」
もう、レベルリセットはわかる。
レベルリセットの条件。
それは、壁にはめ込まれている光水晶のうち一つを女神の胸元の首飾りにはめ込むこと。
脳裏にある記憶を信じて実行する。
光水晶はぴったりと女神の首飾りにはまり込んだ。
女神から柔らかな光が漏れ始める。
『強さを極めた冒険者よ。よくぞここまで来ました。私は、あなたたちが積み上げた経験レベルを糧にして、より強い器を作るための古代宝具アーティファクト。さあ、冒険者よ。あなたは経験レベルを捧げ、強い器を求めますか?』
記憶にある通りのセリフ。
この女神像は、この体に限界まで溜まったレベルの力を使い、生まれ変わらせてくれる。
「俺は望む。生まれ変わることを。今度こそ、報われる人生を」
ずっと、ステータスが低いというハンデを背負って戦い続けてきた。
そんなのはもうたくさんだ。
レベル1からやり直し、今度こそまっとうな冒険者になる。
『承認しました。冒険者ユーヤよ。あなたの新たな人生に祝福があらんことを』
女神像の首飾りから光が溢れ、俺のほうに向かってくる。
その瞬間全身が熱くなる。 少女が安らかな寝息を立て始めた。
俺は、彼女を地面に寝かせる。
「この記憶が本当なら」
もう、レベルリセットはわかる。
レベルリセットの条件。
それは、壁にはめ込まれている光水晶のうち一つを女神の胸元の首飾りにはめ込むこと。
脳裏にある記憶を信じて実行する。
光水晶はぴったりと女神の首飾りにはまり込んだ。
女神から柔らかな光が漏れ始める。
『強さを極めた冒険者よ。よくぞここまで来ました。私は、あなたたちが積み上げた経験レベルを糧にして、より強い器を作るための古代宝具アーティファクト。さあ、冒険者よ。あなたは経験レベルを捧げ、強い器を求めますか?』
記憶にある通りのセリフ。
この女神像は、この体に限界まで溜まったレベルの力を使い、生まれ変わらせてくれる。
「俺は望む。生まれ変わることを。今度こそ、報われる人生を」
ずっと、ステータスが低いというハンデを背負って戦い続けてきた。
そんなのはもうたくさんだ。
レベル1からやり直し、今度こそまっとうな冒険者になる。
『承認しました。冒険者ユーヤよ。あなたの新たな人生に祝福があらんことを』
女神像の首飾りから光が溢れ、俺のほうに向かってくる。
その瞬間全身が熱くなる。 少女が安らかな寝息を立て始めた。
俺は、彼女を地面に寝かせる。
「この記憶が本当なら」
もう、レベルリセットはわかる。
レベルリセットの条件。
それは、壁にはめ込まれている光水晶のうち一つを女神の胸元の首飾りにはめ込むこと。
脳裏にある記憶を信じて実行する。
光水晶はぴったりと女神の首飾りにはまり込んだ。
女神から柔らかな光が漏れ始める。
『強さを極めた冒険者よ。よくぞここまで来ました。私は、あなたたちが積み上げた経験レベルを糧にして、より強い器を作るための古代宝具アーティファクト。さあ、冒険者よ。あなたは経験レベルを捧げ、強い器を求めますか?』
記憶にある通りのセリフ。
この女神像は、この体に限界まで溜まったレベルの力を使い、生まれ変わらせてくれる。
「俺は望む。生まれ変わることを。今度こそ、報われる人生を」
ずっと、ステータスが低いというハンデを背負って戦い続けてきた。
そんなのはもうたくさんだ。
レベル1からやり直し、今度こそまっとうな冒険者になる。
『承認しました。冒険者ユーヤよ。あなたの新たな人生に祝福があらんことを』
女神像の首飾りから光が溢れ、俺のほうに向かってくる。
その瞬間全身が熱くなる。 すべてが、作り変えられていく。
どうしようもない快感。俺が新たな俺になる。
どくんどくんどくん、うるさいぐらいに鼓動が高鳴る。
そして、それは終わった。
『これで、あなたは強い器になり、代償にレベル1となってすべてのスキルを失いました』
女神像はそれっきり押し黙る。
俺はステータスカードを見る。
そこには……。
「記憶通りだ」
上限レベルでしかできないレベルリセット。
運悪く、最悪の数字を引き続けた悲惨なステータスからやっと解放された。
レベルのリセットに伴い、クラスも失い戦士ではなくなっていた。
きっちりと特典もある。全ステータスに対する10ptのステータスボーナス。
1〜3のランダムでステータスが上がり、期待値が2であることを考えれば、5レベル分のボーナスをもらったことになる。
それだけじゃない。1レベル上げるごとにもらえるスキルポイント。これが20ptもあった。
強力なスキルも取り放題だ。
……これで俺はまた、最強を目指せる。
ふと、部屋の中心にある噴水を見る。
俺の顔は三十六になった見慣れた中年の顔。
だが、活力に満ちていた。言うならば、見た目がそのままで若返った気がする。 すべてが、作り変えられていく。
どうしようもない快感。俺が新たな俺になる。
どくんどくんどくん、うるさいぐらいに鼓動が高鳴る。
そして、それは終わった。
『これで、あなたは強い器になり、代償にレベル1となってすべてのスキルを失いました』
女神像はそれっきり押し黙る。
俺はステータスカードを見る。
そこには……。
「記憶通りだ」
上限レベルでしかできないレベルリセット。
運悪く、最悪の数字を引き続けた悲惨なステータスからやっと解放された。
レベルのリセットに伴い、クラスも失い戦士ではなくなっていた。
きっちりと特典もある。全ステータスに対する10ptのステータスボーナス。
1〜3のランダムでステータスが上がり、期待値が2であることを考えれば、5レベル分のボーナスをもらったことになる。
それだけじゃない。1レベル上げるごとにもらえるスキルポイント。これが20ptもあった。
強力なスキルも取り放題だ。
……これで俺はまた、最強を目指せる。
ふと、部屋の中心にある噴水を見る。
俺の顔は三十六になった見慣れた中年の顔。
だが、活力に満ちていた。言うならば、見た目がそのままで若返った気がする。 すべてが、作り変えられていく。
どうしようもない快感。俺が新たな俺になる。
どくんどくんどくん、うるさいぐらいに鼓動が高鳴る。
そして、それは終わった。
『これで、あなたは強い器になり、代償にレベル1となってすべてのスキルを失いました』
女神像はそれっきり押し黙る。
俺はステータスカードを見る。
そこには……。
「記憶通りだ」
上限レベルでしかできないレベルリセット。
運悪く、最悪の数字を引き続けた悲惨なステータスからやっと解放された。
レベルのリセットに伴い、クラスも失い戦士ではなくなっていた。
きっちりと特典もある。全ステータスに対する10ptのステータスボーナス。
1〜3のランダムでステータスが上がり、期待値が2であることを考えれば、5レベル分のボーナスをもらったことになる。
それだけじゃない。1レベル上げるごとにもらえるスキルポイント。これが20ptもあった。
強力なスキルも取り放題だ。
……これで俺はまた、最強を目指せる。
ふと、部屋の中心にある噴水を見る。
俺の顔は三十六になった見慣れた中年の顔。
だが、活力に満ちていた。言うならば、見た目がそのままで若返った気がする。 この年で、レベル1からやり直す。
本来なら、絶望的だろう。レベルを上限にあげるまでに迎えがくる。
なにもできやしない。
……だが、それは普通の冒険者の話だ。
俺の積み上げた経験があれば、最強に届くことができる。
伊達に何十年も冒険者をしていない。
それに……。
「認めよう。俺は、二周目の人生を送っていた」
女神の件で確信した。
どうやら、俺はゲームに似た世界に転生し、それを忘れたまま冒険者として暮らしていたらしい。
だが、それが幸運だと思える。
なにせ、前世の記憶なんてものが初めからあったら、過酷なこの世界に適応できなかった。魔物を切り殺すことも、まずい飯に耐えることもできず、この世界の文化に拒絶を起こしていたかもしれない。
笑ってしまうことに前世の俺も誰よりも頑張って報われなかったようだ。
だけど、これからは違う。
前世の頑張って報われなかった俺の知識、そしてこの世界で頑張り続けた俺の経験。
その二つが合わされば、ここからでも取り戻せる。
さあ、第三の人生を始めるとしよう。
そろそろ俺は報われてもいいころだ。
「そのまえに、この子をなんとかしないとな」
気絶してしまった獣耳の女の子にマントをかぶせる。
これから最強になるために、やらないといけないことは山ほどあるが、この子を見捨てるわけにはいかないだろう。 この年で、レベル1からやり直す。
本来なら、絶望的だろう。レベルを上限にあげるまでに迎えがくる。
なにもできやしない。
……だが、それは普通の冒険者の話だ。
俺の積み上げた経験があれば、最強に届くことができる。
伊達に何十年も冒険者をしていない。
それに……。
「認めよう。俺は、二周目の人生を送っていた」
女神の件で確信した。
どうやら、俺はゲームに似た世界に転生し、それを忘れたまま冒険者として暮らしていたらしい。
だが、それが幸運だと思える。
なにせ、前世の記憶なんてものが初めからあったら、過酷なこの世界に適応できなかった。魔物を切り殺すことも、まずい飯に耐えることもできず、この世界の文化に拒絶を起こしていたかもしれない。
笑ってしまうことに前世の俺も誰よりも頑張って報われなかったようだ。
だけど、これからは違う。
前世の頑張って報われなかった俺の知識、そしてこの世界で頑張り続けた俺の経験。
その二つが合わされば、ここからでも取り戻せる。
さあ、第三の人生を始めるとしよう。
そろそろ俺は報われてもいいころだ。
「そのまえに、この子をなんとかしないとな」
気絶してしまった獣耳の女の子にマントをかぶせる。
これから最強になるために、やらないといけないことは山ほどあるが、この子を見捨てるわけにはいかないだろう。 この年で、レベル1からやり直す。
本来なら、絶望的だろう。レベルを上限にあげるまでに迎えがくる。
なにもできやしない。
……だが、それは普通の冒険者の話だ。
俺の積み上げた経験があれば、最強に届くことができる。
伊達に何十年も冒険者をしていない。
それに……。
「認めよう。俺は、二周目の人生を送っていた」
女神の件で確信した。
どうやら、俺はゲームに似た世界に転生し、それを忘れたまま冒険者として暮らしていたらしい。
だが、それが幸運だと思える。
なにせ、前世の記憶なんてものが初めからあったら、過酷なこの世界に適応できなかった。魔物を切り殺すことも、まずい飯に耐えることもできず、この世界の文化に拒絶を起こしていたかもしれない。
笑ってしまうことに前世の俺も誰よりも頑張って報われなかったようだ。
だけど、これからは違う。
前世の頑張って報われなかった俺の知識、そしてこの世界で頑張り続けた俺の経験。
その二つが合わされば、ここからでも取り戻せる。
さあ、第三の人生を始めるとしよう。
そろそろ俺は報われてもいいころだ。
「そのまえに、この子をなんとかしないとな」
気絶してしまった獣耳の女の子にマントをかぶせる。
これから最強になるために、やらないといけないことは山ほどあるが、この子を見捨てるわけにはいかないだろう。 一章:おっさんはやり直す
第三話:おっさんは少女を拾う レベルリセット。
それは全ステータスに10もの上昇を与え、スキルポイント20を付与した状態でレベルを1に戻す。
たった、10と舐めてはいけない。
レベルアップ時に各ステータスは1〜3のランダム上昇。期待値は2。
5レベル分の強さをもって、レベル1になれる。
そして、本当にすごいのはレベルマックスになったときだ。レベル上限にたどり着いたとき、そこから先に5レベル分の強さがある。それは最強を目指す上で圧倒的なアドバンテージだ。
「三十六にもなって、レベル1とか笑えるな。十一の時に初めてダンジョンに潜って、レベル50にたどり着いたときには二十七だ。十六年。レベルが上限まであがるころには五十二か」
苦笑する。
だけど、そうはならないと知っている。
あのときは生きるために必死だった。強くなる以外にしなければいけないことが多すぎた。
何より、何も知らなかった。
冒険者たちは優しくない。やっているのはリソースの奪い合い、稼ぎ方なんて他人に教えない。
俺のように初心者の面倒をみている冒険者のほうが稀だ。
新人は、手探りで何もかも調べていく必要があった。
だが、今度は違う。
蓄えもある、装備も整っている。
この世界で積み上げて来た経験と前世の記憶。
これらがあれば、おそらく三年。いや、二年でレベル上限までたどり着く。
そうやって、今度こそ【試練の塔】へ向かうのだ。
「そのまえに、この子をどうするかだな」
俺の経験でも、前世の記憶でも巨大な水晶に閉じ込められている少女なんて知らない。 レベルリセット。
それは全ステータスに10もの上昇を与え、スキルポイント20を付与した状態でレベルを1に戻す。
たった、10と舐めてはいけない。
レベルアップ時に各ステータスは1〜3のランダム上昇。期待値は2。
5レベル分の強さをもって、レベル1になれる。
そして、本当にすごいのはレベルマックスになったときだ。レベル上限にたどり着いたとき、そこから先に5レベル分の強さがある。それは最強を目指す上で圧倒的なアドバンテージだ。
「三十六にもなって、レベル1とか笑えるな。十一の時に初めてダンジョンに潜って、レベル50にたどり着いたときには二十七だ。十六年。レベルが上限まであがるころには五十二か」
苦笑する。
だけど、そうはならないと知っている。
あのときは生きるために必死だった。強くなる以外にしなければいけないことが多すぎた。
何より、何も知らなかった。
冒険者たちは優しくない。やっているのはリソースの奪い合い、稼ぎ方なんて他人に教えない。
俺のように初心者の面倒をみている冒険者のほうが稀だ。
新人は、手探りで何もかも調べていく必要があった。
だが、今度は違う。
蓄えもある、装備も整っている。
この世界で積み上げて来た経験と前世の記憶。
これらがあれば、おそらく三年。いや、二年でレベル上限までたどり着く。
そうやって、今度こそ【試練の塔】へ向かうのだ。
「そのまえに、この子をどうするかだな」
俺の経験でも、前世の記憶でも巨大な水晶に閉じ込められている少女なんて知らない。 レベルリセット。
それは全ステータスに10もの上昇を与え、スキルポイント20を付与した状態でレベルを1に戻す。
たった、10と舐めてはいけない。
レベルアップ時に各ステータスは1〜3のランダム上昇。期待値は2。
5レベル分の強さをもって、レベル1になれる。
そして、本当にすごいのはレベルマックスになったときだ。レベル上限にたどり着いたとき、そこから先に5レベル分の強さがある。それは最強を目指す上で圧倒的なアドバンテージだ。
「三十六にもなって、レベル1とか笑えるな。十一の時に初めてダンジョンに潜って、レベル50にたどり着いたときには二十七だ。十六年。レベルが上限まであがるころには五十二か」
苦笑する。
だけど、そうはならないと知っている。
あのときは生きるために必死だった。強くなる以外にしなければいけないことが多すぎた。
何より、何も知らなかった。
冒険者たちは優しくない。やっているのはリソースの奪い合い、稼ぎ方なんて他人に教えない。
俺のように初心者の面倒をみている冒険者のほうが稀だ。
新人は、手探りで何もかも調べていく必要があった。
だが、今度は違う。
蓄えもある、装備も整っている。
この世界で積み上げて来た経験と前世の記憶。
これらがあれば、おそらく三年。いや、二年でレベル上限までたどり着く。
そうやって、今度こそ【試練の塔】へ向かうのだ。
「そのまえに、この子をどうするかだな」
俺の経験でも、前世の記憶でも巨大な水晶に閉じ込められている少女なんて知らない。 イベントキャラっぽいが、こんなイベントは存在しなかった。
少女を抱き上げる。
この世界の俺の記憶にはないが、この耳、この尻尾。
今の俺にはキツネのものだとわかる。
犬獣人、猫獣人、エルフ、ドワーフ、竜人、多種多様な亜人がいる世界だが、狐獣人はいなかったはず。
何はともあれ、このダンジョンから連れだそう。
水晶に閉じ込められている間は、食事も必要なかっただろうが、これからはそうはいかない。
食事を探しに外に出たところを魔物に襲われたら一たまりもない。
マントを魔法袋から取り出し、少女を包み抱き上げる。……いくらなんでも裸のままはまずい。
体が重い。
少女が重いのではなく、レベルアップの恩恵が失われているせいで違和感が強い。
だが、この動かない体が嬉しい。
今からまた強くなれる証明なのだから。
◇
レベルリセットをした女神像のさらに奥に、青い渦があった。
魔法の渦はダンジョンの最奥にあるもので、ここを通ればダンジョンの入り口に戻れる。
これがあるおかげで、冒険者は少ない荷物でダンジョン内に潜れる。引き返さないで済むのだ。
ましてや、今はレベルが1だ。
来た道を戻れば確実に死ぬ。
少女を抱いたまま、青い渦に飛び込んだ。
空間転移独特の浮遊感が体を包む。 イベントキャラっぽいが、こんなイベントは存在しなかった。
少女を抱き上げる。
この世界の俺の記憶にはないが、この耳、この尻尾。
今の俺にはキツネのものだとわかる。
犬獣人、猫獣人、エルフ、ドワーフ、竜人、多種多様な亜人がいる世界だが、狐獣人はいなかったはず。
何はともあれ、このダンジョンから連れだそう。
水晶に閉じ込められている間は、食事も必要なかっただろうが、これからはそうはいかない。
食事を探しに外に出たところを魔物に襲われたら一たまりもない。
マントを魔法袋から取り出し、少女を包み抱き上げる。……いくらなんでも裸のままはまずい。
体が重い。
少女が重いのではなく、レベルアップの恩恵が失われているせいで違和感が強い。
だが、この動かない体が嬉しい。
今からまた強くなれる証明なのだから。
◇
レベルリセットをした女神像のさらに奥に、青い渦があった。
魔法の渦はダンジョンの最奥にあるもので、ここを通ればダンジョンの入り口に戻れる。
これがあるおかげで、冒険者は少ない荷物でダンジョン内に潜れる。引き返さないで済むのだ。
ましてや、今はレベルが1だ。
来た道を戻れば確実に死ぬ。
少女を抱いたまま、青い渦に飛び込んだ。
空間転移独特の浮遊感が体を包む。 イベントキャラっぽいが、こんなイベントは存在しなかった。
少女を抱き上げる。
この世界の俺の記憶にはないが、この耳、この尻尾。
今の俺にはキツネのものだとわかる。
犬獣人、猫獣人、エルフ、ドワーフ、竜人、多種多様な亜人がいる世界だが、狐獣人はいなかったはず。
何はともあれ、このダンジョンから連れだそう。
水晶に閉じ込められている間は、食事も必要なかっただろうが、これからはそうはいかない。
食事を探しに外に出たところを魔物に襲われたら一たまりもない。
マントを魔法袋から取り出し、少女を包み抱き上げる。……いくらなんでも裸のままはまずい。
体が重い。
少女が重いのではなく、レベルアップの恩恵が失われているせいで違和感が強い。
だが、この動かない体が嬉しい。
今からまた強くなれる証明なのだから。
◇
レベルリセットをした女神像のさらに奥に、青い渦があった。
魔法の渦はダンジョンの最奥にあるもので、ここを通ればダンジョンの入り口に戻れる。
これがあるおかげで、冒険者は少ない荷物でダンジョン内に潜れる。引き返さないで済むのだ。
ましてや、今はレベルが1だ。
来た道を戻れば確実に死ぬ。
少女を抱いたまま、青い渦に飛び込んだ。
空間転移独特の浮遊感が体を包む。 ……ここからがしんどい。
ダンジョン内ほどではないとはいえ、村への帰り道には野良の魔物が現れる。
そいつらを全員、避けて家にまで戻らないといけない。
さあ、気を引き締めて行こう。
◇
我が家にたどり着いた。
馬舎にラプトルを止める。たっぷり撫でてやって餌と水をやる。
危なかった。途中に何度か、レベルが20ほどの魔物と鉢合わせした。
ラプトルは少女という積み荷があったせいで足が鈍くなっており、逃げ切るのはぎりぎりだった。
……何度か少女を捨てて軽くしようと思ってしまったぐらいだ。
だが、ラプトルが頑張ってくれたおかげで無事帰ってこれた。
こいつとも長い付き合いだ。新しい街に連れていこう。
「さて、このお姫様をどうするか」
この村の孤児院に預けてしまえれば一番楽だ。
ただ、この子は見たところ十三歳か十四歳と言ったところだ。
孤児院は十二歳まで。
十二歳になれば自分で稼がないといけない。年齢がわからない以上、受け入れてもらえない可能性がある。
自活能力があればいいが……つい先ほどまで水晶に閉じ込められていた子だ。そんなものがあるとは思えない。
その辺りは本人に聞こう。
起きるまで待っているのもあれだし、夕食を買って来よう。 ……ここからがしんどい。
ダンジョン内ほどではないとはいえ、村への帰り道には野良の魔物が現れる。
そいつらを全員、避けて家にまで戻らないといけない。
さあ、気を引き締めて行こう。
◇
我が家にたどり着いた。
馬舎にラプトルを止める。たっぷり撫でてやって餌と水をやる。
危なかった。途中に何度か、レベルが20ほどの魔物と鉢合わせした。
ラプトルは少女という積み荷があったせいで足が鈍くなっており、逃げ切るのはぎりぎりだった。
……何度か少女を捨てて軽くしようと思ってしまったぐらいだ。
だが、ラプトルが頑張ってくれたおかげで無事帰ってこれた。
こいつとも長い付き合いだ。新しい街に連れていこう。
「さて、このお姫様をどうするか」
この村の孤児院に預けてしまえれば一番楽だ。
ただ、この子は見たところ十三歳か十四歳と言ったところだ。
孤児院は十二歳まで。
十二歳になれば自分で稼がないといけない。年齢がわからない以上、受け入れてもらえない可能性がある。
自活能力があればいいが……つい先ほどまで水晶に閉じ込められていた子だ。そんなものがあるとは思えない。
その辺りは本人に聞こう。
起きるまで待っているのもあれだし、夕食を買って来よう。 ……ここからがしんどい。
ダンジョン内ほどではないとはいえ、村への帰り道には野良の魔物が現れる。
そいつらを全員、避けて家にまで戻らないといけない。
さあ、気を引き締めて行こう。
◇
我が家にたどり着いた。
馬舎にラプトルを止める。たっぷり撫でてやって餌と水をやる。
危なかった。途中に何度か、レベルが20ほどの魔物と鉢合わせした。
ラプトルは少女という積み荷があったせいで足が鈍くなっており、逃げ切るのはぎりぎりだった。
……何度か少女を捨てて軽くしようと思ってしまったぐらいだ。
だが、ラプトルが頑張ってくれたおかげで無事帰ってこれた。
こいつとも長い付き合いだ。新しい街に連れていこう。
「さて、このお姫様をどうするか」
この村の孤児院に預けてしまえれば一番楽だ。
ただ、この子は見たところ十三歳か十四歳と言ったところだ。
孤児院は十二歳まで。
十二歳になれば自分で稼がないといけない。年齢がわからない以上、受け入れてもらえない可能性がある。
自活能力があればいいが……つい先ほどまで水晶に閉じ込められていた子だ。そんなものがあるとは思えない。
その辺りは本人に聞こう。
起きるまで待っているのもあれだし、夕食を買って来よう。 ゆっくり飲んでいる時間がない日は、あそこで特製のミートパイを買って来て、ミートパイを片手に作業をするのだ。
◇
夜が来た。
少女はまだ眠っている。
少女が起きるまで食事は待つつもりだったが、腹が減った。
かまどに火を熾して、ミートパイを温める。
いい匂いがしてきた。
腹の音がなった。いや、これは俺の腹の音ではない。少女の腹の音だ。
「やっと、起きたのか」
少女が上体を起こす。かけてあったタオルケットをどけて、キツネ耳をぴくぴく動かす。
小動物みたいな仕草が可愛らしい。
「おじさん、誰?」
「おじさんは冒険者だ。名前をユーヤと言う。君をダンジョンで拾った。さて、次は君のことを教えてくれ」
「私? 私は……えっと、誰?」
少女は首をかしげて、うなり始める。
……水晶に閉じ込められていたから、うすうす予想していたとはいえ、記憶喪失とは。
最悪のケースだ。記憶がない子を一人で放り出したら、野たれ死ぬか、人買いに捕まる。
「それはおじさんも知らない。……とりあえず、お腹も減らしているみたいだし、ご飯にしようか。食べながらゆっくりと思い出してみよう」 ゆっくり飲んでいる時間がない日は、あそこで特製のミートパイを買って来て、ミートパイを片手に作業をするのだ。
◇
夜が来た。
少女はまだ眠っている。
少女が起きるまで食事は待つつもりだったが、腹が減った。
かまどに火を熾して、ミートパイを温める。
いい匂いがしてきた。
腹の音がなった。いや、これは俺の腹の音ではない。少女の腹の音だ。
「やっと、起きたのか」
少女が上体を起こす。かけてあったタオルケットをどけて、キツネ耳をぴくぴく動かす。
小動物みたいな仕草が可愛らしい。
「おじさん、誰?」
「おじさんは冒険者だ。名前をユーヤと言う。君をダンジョンで拾った。さて、次は君のことを教えてくれ」
「私? 私は……えっと、誰?」
少女は首をかしげて、うなり始める。
……水晶に閉じ込められていたから、うすうす予想していたとはいえ、記憶喪失とは。
最悪のケースだ。記憶がない子を一人で放り出したら、野たれ死ぬか、人買いに捕まる。
「それはおじさんも知らない。……とりあえず、お腹も減らしているみたいだし、ご飯にしようか。食べながらゆっくりと思い出してみよう」 ゆっくり飲んでいる時間がない日は、あそこで特製のミートパイを買って来て、ミートパイを片手に作業をするのだ。
◇
夜が来た。
少女はまだ眠っている。
少女が起きるまで食事は待つつもりだったが、腹が減った。
かまどに火を熾して、ミートパイを温める。
いい匂いがしてきた。
腹の音がなった。いや、これは俺の腹の音ではない。少女の腹の音だ。
「やっと、起きたのか」
少女が上体を起こす。かけてあったタオルケットをどけて、キツネ耳をぴくぴく動かす。
小動物みたいな仕草が可愛らしい。
「おじさん、誰?」
「おじさんは冒険者だ。名前をユーヤと言う。君をダンジョンで拾った。さて、次は君のことを教えてくれ」
「私? 私は……えっと、誰?」
少女は首をかしげて、うなり始める。
……水晶に閉じ込められていたから、うすうす予想していたとはいえ、記憶喪失とは。
最悪のケースだ。記憶がない子を一人で放り出したら、野たれ死ぬか、人買いに捕まる。
「それはおじさんも知らない。……とりあえず、お腹も減らしているみたいだし、ご飯にしようか。食べながらゆっくりと思い出してみよう」 俺は立ち上がり、かまどに放り込んだミートパイを取り出しカットする。
そして、木製のジョッキを取り出し、俺のものには安物のエールを、そして少女のものには来客用に用意してあるミルクを注いだ。
「来なさい」
食卓に、カットしたミートパイとジョッキを並べる。
すると、少女はおそるおそると言った様子で近づいてくる。
多少は俺のことを警戒しているようだ。
「おじさん、これ、食べていいの?」
「ああ、いいよ。君のために一人じゃ食べきれない大きさのを作ってもらったからね」
少女はくんくんと匂いを嗅ぐ。
そして、一切れをとりバクっと食べた。
目をきらきらと輝かせて、もふもふのキツネ尻尾を振る。
非常に可愛らしい。
「美味しいか」
「うん、とっても美味しい」
「それは良かった。たくさん食べなさい」
少女が美味しそうにミートパイを食べる様子を見て、自嘲する。
俺も随分甘くなったものだ。
生きていくのに必死だったころは、他人の面倒なんて見なかった。
きっと、この少女も見殺しにしていただろう。
だけど、ベテランになり生活にゆとりができて、新人の面倒を見たり、この村の専属冒険者になってから変わっていった。 俺は立ち上がり、かまどに放り込んだミートパイを取り出しカットする。
そして、木製のジョッキを取り出し、俺のものには安物のエールを、そして少女のものには来客用に用意してあるミルクを注いだ。
「来なさい」
食卓に、カットしたミートパイとジョッキを並べる。
すると、少女はおそるおそると言った様子で近づいてくる。
多少は俺のことを警戒しているようだ。
「おじさん、これ、食べていいの?」
「ああ、いいよ。君のために一人じゃ食べきれない大きさのを作ってもらったからね」
少女はくんくんと匂いを嗅ぐ。
そして、一切れをとりバクっと食べた。
目をきらきらと輝かせて、もふもふのキツネ尻尾を振る。
非常に可愛らしい。
「美味しいか」
「うん、とっても美味しい」
「それは良かった。たくさん食べなさい」
少女が美味しそうにミートパイを食べる様子を見て、自嘲する。
俺も随分甘くなったものだ。
生きていくのに必死だったころは、他人の面倒なんて見なかった。
きっと、この少女も見殺しにしていただろう。
だけど、ベテランになり生活にゆとりができて、新人の面倒を見たり、この村の専属冒険者になってから変わっていった。 俺は立ち上がり、かまどに放り込んだミートパイを取り出しカットする。
そして、木製のジョッキを取り出し、俺のものには安物のエールを、そして少女のものには来客用に用意してあるミルクを注いだ。
「来なさい」
食卓に、カットしたミートパイとジョッキを並べる。
すると、少女はおそるおそると言った様子で近づいてくる。
多少は俺のことを警戒しているようだ。
「おじさん、これ、食べていいの?」
「ああ、いいよ。君のために一人じゃ食べきれない大きさのを作ってもらったからね」
少女はくんくんと匂いを嗅ぐ。
そして、一切れをとりバクっと食べた。
目をきらきらと輝かせて、もふもふのキツネ尻尾を振る。
非常に可愛らしい。
「美味しいか」
「うん、とっても美味しい」
「それは良かった。たくさん食べなさい」
少女が美味しそうにミートパイを食べる様子を見て、自嘲する。
俺も随分甘くなったものだ。
生きていくのに必死だったころは、他人の面倒なんて見なかった。
きっと、この少女も見殺しにしていただろう。
だけど、ベテランになり生活にゆとりができて、新人の面倒を見たり、この村の専属冒険者になってから変わっていった。 自分の力で誰かの命が助かること。それを素直にうれしく思える。
俺もミートパイを食べよう。
このままじゃ、全部少女に食べられてしまいそうだ。
◇
少女が食後のミルクを美味しそうに飲んでいる。
結局、彼女は特大ミートパイの七割ほどを食べてしまった。
「それで、君は自分のことを思い出せたか?」
少女は首を横に振る。
「ぜんぜん」
「……そうだと思ったよ」
予想の範囲内なので驚きはしない。
だからこそ、ここから先、少女に提案することを考えてある。
「君には三つの選択肢がある。一つ、この家から出ていき、自分の力で生きていく」
少女が泣きそうな顔をして俺の顔を見る。
記憶がない少女は頼れる相手もいない。
ましてや、この子はすさまじい美少女だ。
この子を狙う男は多いだろう。
この世界は、こんな少女が一人で生きていけるほど優しくない。
「他の二つを聞かせて」 自分の力で誰かの命が助かること。それを素直にうれしく思える。
俺もミートパイを食べよう。
このままじゃ、全部少女に食べられてしまいそうだ。
◇
少女が食後のミルクを美味しそうに飲んでいる。
結局、彼女は特大ミートパイの七割ほどを食べてしまった。
「それで、君は自分のことを思い出せたか?」
少女は首を横に振る。
「ぜんぜん」
「……そうだと思ったよ」
予想の範囲内なので驚きはしない。
だからこそ、ここから先、少女に提案することを考えてある。
「君には三つの選択肢がある。一つ、この家から出ていき、自分の力で生きていく」
少女が泣きそうな顔をして俺の顔を見る。
記憶がない少女は頼れる相手もいない。
ましてや、この子はすさまじい美少女だ。
この子を狙う男は多いだろう。
この世界は、こんな少女が一人で生きていけるほど優しくない。
「他の二つを聞かせて」 自分の力で誰かの命が助かること。それを素直にうれしく思える。
俺もミートパイを食べよう。
このままじゃ、全部少女に食べられてしまいそうだ。
◇
少女が食後のミルクを美味しそうに飲んでいる。
結局、彼女は特大ミートパイの七割ほどを食べてしまった。
「それで、君は自分のことを思い出せたか?」
少女は首を横に振る。
「ぜんぜん」
「……そうだと思ったよ」
予想の範囲内なので驚きはしない。
だからこそ、ここから先、少女に提案することを考えてある。
「君には三つの選択肢がある。一つ、この家から出ていき、自分の力で生きていく」
少女が泣きそうな顔をして俺の顔を見る。
記憶がない少女は頼れる相手もいない。
ましてや、この子はすさまじい美少女だ。
この子を狙う男は多いだろう。
この世界は、こんな少女が一人で生きていけるほど優しくない。
「他の二つを聞かせて」 ふむ、こういう前向きな話の仕方をできるということは頭のいい子だろう。
「二つ目、この村の酒場なら俺のコネで頼み込めば住み込みで働かせてもらえると思う」
酒場のマスターはいつも人手不足だと嘆いていた。
そこに俺の紹介とあれば無碍にはしないだろう。
この容姿なら売り上げの増加にも繋がる。
「酒場?」
「酒場の意味はわかるか?」
「わかる。お酒と食べ物を出すところ」
記憶喪失とはいえ、最低限の常識は失っていないらしい。
……そういえば、この子は俺に思い出してと言って俺にキスをした。
そのおかげで前世の記憶を思い出した。
その本人が記憶喪失とは笑えない冗談だ。
「親父さんは良い人だし、娘のニキータは君よりちょっと年上で面倒見がいい。たぶん、良くしてくれると思う。……もっとも君が働き者であればだけどね」
俺の紹介とはいえ、使えないなら放り出されるだろう。
「わかった。今の私の状況を考えると素敵な提案。最後のを教えて」
「最後は、俺と一緒に冒険者になること。ダンジョンに潜って魔物を倒してドロップアイテムを得たり、宝を持ち帰って生計を得る。幸い、俺はレベル1。そして、君もレベル1。お互い一から始める冒険者だ」
口に出してからどうかしているなと思った。
普段の俺は自分の眼で実力を見極めない限り、ぜったいにパーティに入れたりはしない。 ふむ、こういう前向きな話の仕方をできるということは頭のいい子だろう。
「二つ目、この村の酒場なら俺のコネで頼み込めば住み込みで働かせてもらえると思う」
酒場のマスターはいつも人手不足だと嘆いていた。
そこに俺の紹介とあれば無碍にはしないだろう。
この容姿なら売り上げの増加にも繋がる。
「酒場?」
「酒場の意味はわかるか?」
「わかる。お酒と食べ物を出すところ」
記憶喪失とはいえ、最低限の常識は失っていないらしい。
……そういえば、この子は俺に思い出してと言って俺にキスをした。
そのおかげで前世の記憶を思い出した。
その本人が記憶喪失とは笑えない冗談だ。
「親父さんは良い人だし、娘のニキータは君よりちょっと年上で面倒見がいい。たぶん、良くしてくれると思う。……もっとも君が働き者であればだけどね」
俺の紹介とはいえ、使えないなら放り出されるだろう。
「わかった。今の私の状況を考えると素敵な提案。最後のを教えて」
「最後は、俺と一緒に冒険者になること。ダンジョンに潜って魔物を倒してドロップアイテムを得たり、宝を持ち帰って生計を得る。幸い、俺はレベル1。そして、君もレベル1。お互い一から始める冒険者だ」
口に出してからどうかしているなと思った。
普段の俺は自分の眼で実力を見極めない限り、ぜったいにパーティに入れたりはしない。 ふむ、こういう前向きな話の仕方をできるということは頭のいい子だろう。
「二つ目、この村の酒場なら俺のコネで頼み込めば住み込みで働かせてもらえると思う」
酒場のマスターはいつも人手不足だと嘆いていた。
そこに俺の紹介とあれば無碍にはしないだろう。
この容姿なら売り上げの増加にも繋がる。
「酒場?」
「酒場の意味はわかるか?」
「わかる。お酒と食べ物を出すところ」
記憶喪失とはいえ、最低限の常識は失っていないらしい。
……そういえば、この子は俺に思い出してと言って俺にキスをした。
そのおかげで前世の記憶を思い出した。
その本人が記憶喪失とは笑えない冗談だ。
「親父さんは良い人だし、娘のニキータは君よりちょっと年上で面倒見がいい。たぶん、良くしてくれると思う。……もっとも君が働き者であればだけどね」
俺の紹介とはいえ、使えないなら放り出されるだろう。
「わかった。今の私の状況を考えると素敵な提案。最後のを教えて」
「最後は、俺と一緒に冒険者になること。ダンジョンに潜って魔物を倒してドロップアイテムを得たり、宝を持ち帰って生計を得る。幸い、俺はレベル1。そして、君もレベル1。お互い一から始める冒険者だ」
口に出してからどうかしているなと思った。
普段の俺は自分の眼で実力を見極めない限り、ぜったいにパーティに入れたりはしない。 足手まといを抱えた探索がどれだけ危険かを知っている。
それなのに、なぜか”そうしたい”と思っていた。
一応、イベントキャラの可能性が高く、俺の知識にすらないイベントを引き起こしてくれるかもしれない。そんな打算はあるが、そっちはおまけだ。
「あたりまえだが、酒場で働くよりずっと危険だ。……なにより、俺のような冒険者と四六時中に一緒にいるということ自体、君みたいな少女にとって辛いだろう。強制はしない。ここを出ていく、酒場で住み込みで働く、冒険者になる。好きな道を選べ」
少女は必死に考え込む。
記憶がない以上、判断材料は少ない。
とはいえ、十人に九人は酒場を選ぶだろう。
一番、安全な道だ。
そして、俺が推奨する道でもある。
少女は頷き、口を開いた。
「冒険者になる。ユーヤ、がんばるから仲間にして」
「理由を聞いてもいいか?」
「えっと、一人は怖い。酒場のおじさんは知らないけどユーヤのことは知ってるし、いい人」
俺をいい人か。
この人の信じやすさはちょっと怖いかもしれない。
少女は、それからと続ける。
「一番、楽しそう」
「そっか」
俺は笑う。
冒険を楽しそうと言ったことが嬉しい。それは冒険者にとって一番の素質だから。
「なら、決まりだな。明日、俺はこの村をでる。それから、俺たちに相応しいダンジョンのある町へ行く」
……この村のダンジョンではだめだ。
レベルリセットだけでは最強には届かない。
俺が向かうのは、冒険者にとって始まりの街と呼ばれるルンブルク。そこにあるダンジョンには、レベル上昇時のステータスを最大値で固定することができる隠し部屋がある。 足手まといを抱えた探索がどれだけ危険かを知っている。
それなのに、なぜか”そうしたい”と思っていた。
一応、イベントキャラの可能性が高く、俺の知識にすらないイベントを引き起こしてくれるかもしれない。そんな打算はあるが、そっちはおまけだ。
「あたりまえだが、酒場で働くよりずっと危険だ。……なにより、俺のような冒険者と四六時中に一緒にいるということ自体、君みたいな少女にとって辛いだろう。強制はしない。ここを出ていく、酒場で住み込みで働く、冒険者になる。好きな道を選べ」
少女は必死に考え込む。
記憶がない以上、判断材料は少ない。
とはいえ、十人に九人は酒場を選ぶだろう。
一番、安全な道だ。
そして、俺が推奨する道でもある。
少女は頷き、口を開いた。
「冒険者になる。ユーヤ、がんばるから仲間にして」
「理由を聞いてもいいか?」
「えっと、一人は怖い。酒場のおじさんは知らないけどユーヤのことは知ってるし、いい人」
俺をいい人か。
この人の信じやすさはちょっと怖いかもしれない。
少女は、それからと続ける。
「一番、楽しそう」
「そっか」
俺は笑う。
冒険を楽しそうと言ったことが嬉しい。それは冒険者にとって一番の素質だから。
「なら、決まりだな。明日、俺はこの村をでる。それから、俺たちに相応しいダンジョンのある町へ行く」
……この村のダンジョンではだめだ。
レベルリセットだけでは最強には届かない。
俺が向かうのは、冒険者にとって始まりの街と呼ばれるルンブルク。そこにあるダンジョンには、レベル上昇時のステータスを最大値で固定することができる隠し部屋がある。 足手まといを抱えた探索がどれだけ危険かを知っている。
それなのに、なぜか”そうしたい”と思っていた。
一応、イベントキャラの可能性が高く、俺の知識にすらないイベントを引き起こしてくれるかもしれない。そんな打算はあるが、そっちはおまけだ。
「あたりまえだが、酒場で働くよりずっと危険だ。……なにより、俺のような冒険者と四六時中に一緒にいるということ自体、君みたいな少女にとって辛いだろう。強制はしない。ここを出ていく、酒場で住み込みで働く、冒険者になる。好きな道を選べ」
少女は必死に考え込む。
記憶がない以上、判断材料は少ない。
とはいえ、十人に九人は酒場を選ぶだろう。
一番、安全な道だ。
そして、俺が推奨する道でもある。
少女は頷き、口を開いた。
「冒険者になる。ユーヤ、がんばるから仲間にして」
「理由を聞いてもいいか?」
「えっと、一人は怖い。酒場のおじさんは知らないけどユーヤのことは知ってるし、いい人」
俺をいい人か。
この人の信じやすさはちょっと怖いかもしれない。
少女は、それからと続ける。
「一番、楽しそう」
「そっか」
俺は笑う。
冒険を楽しそうと言ったことが嬉しい。それは冒険者にとって一番の素質だから。
「なら、決まりだな。明日、俺はこの村をでる。それから、俺たちに相応しいダンジョンのある町へ行く」
……この村のダンジョンではだめだ。
レベルリセットだけでは最強には届かない。
俺が向かうのは、冒険者にとって始まりの街と呼ばれるルンブルク。そこにあるダンジョンには、レベル上昇時のステータスを最大値で固定することができる隠し部屋がある。 加えて、まずはクラスを得ないといけない。そこで戦士、魔法使いなど、多数のクラスの中から自分にあったものを選択する。
クラスを得るための施設はこんな小さな村にはない。
始まりの街ルンブルク。そこは冒険者たちにとって聖地のようなものだ。
「わかった。楽しみ」
「今日は休もう。疲れた。君はそのベッドを使うといい。俺はソファーで寝る」
「ん? どうして一緒に寝ないの」
「恋人でもない男と女が一緒に眠るのはどうかと思うよ」
「そう? てっきり、〇〇して、〇〇するために仲間にしたと思った」
「……俺は大人だ。君のような少女に手を出さない。そもそも、俺がそういう男に見えているのかな?」
「ううん。ただ、男はそういうもの」
「本当は記憶があるんじゃないか?」
可愛い顔して、とんでもないことを言う。
俺はソファーに寝転がって背を向ける。
まだ、十三、十四の子供だ。手を出すわけがない。
「ねえ、ユーヤ」
「なんだ」
「私は名前がほしい。ないと不便。君って呼ばれるの、なんかやだ」
名前か、そう言えばミートパイを美味しそうに食べてたな。あのミートパイは酒場の名物で、店の名前が付けられている。
たしか、ルーナ・ミートパイ。
ルーナ、わりといい名だ。
「ルーナ。それでいいか?」
「ん。可愛い名前。これからはルーナ」
少女は嬉しそうにルーナと口に出す。
気に入ってくれてよかった。 加えて、まずはクラスを得ないといけない。そこで戦士、魔法使いなど、多数のクラスの中から自分にあったものを選択する。
クラスを得るための施設はこんな小さな村にはない。
始まりの街ルンブルク。そこは冒険者たちにとって聖地のようなものだ。
「わかった。楽しみ」
「今日は休もう。疲れた。君はそのベッドを使うといい。俺はソファーで寝る」
「ん? どうして一緒に寝ないの」
「恋人でもない男と女が一緒に眠るのはどうかと思うよ」
「そう? てっきり、〇〇して、〇〇するために仲間にしたと思った」
「……俺は大人だ。君のような少女に手を出さない。そもそも、俺がそういう男に見えているのかな?」
「ううん。ただ、男はそういうもの」
「本当は記憶があるんじゃないか?」
可愛い顔して、とんでもないことを言う。
俺はソファーに寝転がって背を向ける。
まだ、十三、十四の子供だ。手を出すわけがない。
「ねえ、ユーヤ」
「なんだ」
「私は名前がほしい。ないと不便。君って呼ばれるの、なんかやだ」
名前か、そう言えばミートパイを美味しそうに食べてたな。あのミートパイは酒場の名物で、店の名前が付けられている。
たしか、ルーナ・ミートパイ。
ルーナ、わりといい名だ。
「ルーナ。それでいいか?」
「ん。可愛い名前。これからはルーナ」
少女は嬉しそうにルーナと口に出す。
気に入ってくれてよかった。 加えて、まずはクラスを得ないといけない。そこで戦士、魔法使いなど、多数のクラスの中から自分にあったものを選択する。
クラスを得るための施設はこんな小さな村にはない。
始まりの街ルンブルク。そこは冒険者たちにとって聖地のようなものだ。
「わかった。楽しみ」
「今日は休もう。疲れた。君はそのベッドを使うといい。俺はソファーで寝る」
「ん? どうして一緒に寝ないの」
「恋人でもない男と女が一緒に眠るのはどうかと思うよ」
「そう? てっきり、〇〇して、〇〇するために仲間にしたと思った」
「……俺は大人だ。君のような少女に手を出さない。そもそも、俺がそういう男に見えているのかな?」
「ううん。ただ、男はそういうもの」
「本当は記憶があるんじゃないか?」
可愛い顔して、とんでもないことを言う。
俺はソファーに寝転がって背を向ける。
まだ、十三、十四の子供だ。手を出すわけがない。
「ねえ、ユーヤ」
「なんだ」
「私は名前がほしい。ないと不便。君って呼ばれるの、なんかやだ」
名前か、そう言えばミートパイを美味しそうに食べてたな。あのミートパイは酒場の名物で、店の名前が付けられている。
たしか、ルーナ・ミートパイ。
ルーナ、わりといい名だ。
「ルーナ。それでいいか?」
「ん。可愛い名前。これからはルーナ」
少女は嬉しそうにルーナと口に出す。
気に入ってくれてよかった。 さて、そろそろ寝よう。
明日は早い。冒険者は休めるときに休まないといけない。だから、ぐっすり眠るのは得意だった。 大田区の面接カードってキツイのか…あんまり時間ないしかなり厳しい戦いになりそう まあ低席次でせっかくもらったチャンス逃した方が悪いな
そう甘くないってことだ >>353
第1大田区だけどクソきつかったわ
何て答えても「でもね?」か「他には?」と返された >>422
面接カードきつい上に掘り下げもきついのか
雰囲気は圧迫だった? >>423
ID変わってたらスマン
質問はクソきつかったけど頷きながら話聞いてくれたし時々笑ってもくれたから雰囲気はピリピリしてなかったな
あと面接カードはいっぱい書く項目あるけどそんなに聞かれなかったよ
面接時間20分ちょいしか無いからね sby区受けた人、どんなこと聞かれましたか?情報ください 大田区の真ん中の面接官が質問少ないと、落ちるのかもしれない
募集人数の3倍も呼んで、ニコニコしながら平然と落とすからね 受かったら、南から北の端まで通うのか....
来年特別区受けれなくなるのが一番つらい 復元シートみてたら第3でも港、千代田とかあるんやな
意外やわ >>431
>>432
あくまでも技術職の話なので!最初から受かる人決まってた感じがしました....
(面接の努力不足はありましたけど...) 席次下の方だったから第一提示で決めてなかったら自分も第二提示来てなかったな‥
怖い試験だ‥ >>433
そのへんは特別区の志望度が低い優秀な受験生が滑り止めで受かっていくところだからな
とりあえず、知ってる区を書いて内定だけ取って、本命に就職するため辞退みたいな感じ 足立区って不人気?第一志望にしたら受かりやすいかな >>440
実際は荒川の方が話題に出ないぐらいには不人気だと思う
説明会よかったし、わいは志望区入ってるけどなんせ影が薄すぎる >>438
なるほど
じゃあ割と第2提示以降でも人気区は残ってるんだね 一章:おっさんはやり直す
第四話:おっさんは始まりの街を目指す ダンジョンで拾った記憶喪失のキツネ耳美少女にルーナという名前を与えた。
本人はその名を気に入ってくれたようだ。
今は、俺のベッドでぐっすり寝ている。
知り合ったばかりの男と同じ部屋でぐっすり眠れるとは、なかなか図太い。
彼女は、普通の少女ではない。
レベルをカンストした冒険者しか立ち入れない、隠し部屋で水晶に封印されていた少女が普通であるわけがない
何かしらのイベントキャラだ。この世界には存在しないキツネ獣人というのも少女が特別な存在であることの証明だ。
……まあ、そんな理由は後付けだ。俺は、この子と一緒にいたいという自分の直感を信じる。
経験が長いほど、直感を無視できなくなるのだ。
◇
買い置きしてあった保存食を食べて、外にでる。
大き目の馬車がやってきた。
「ユーヤの旦那、約束通りもっていっちまいやすぜ」
「おやっさん、任せた」
もともと今日、この村を出て田舎に戻る予定だった。
近くにある大きな街の商店の店主に、冒険者時代で貯め込んだものや、この街で手に入れた家具をまとめて売り払う。
俺の高ランクの魔法の袋でも運びきれない量なので、こうして引き取りに来てもらった。
……使う予定もなかったのに、冒険者として自分が愛用しているものだけは売らずに手元に置いていて良かった。未練に助けられたな。
なにせ、ダンジョンで得たマジックアイテムや装備は、金を払いさえすれば手に入るようなものではない。
そもそも市場に出回らないものが多いのだ。 ダンジョンで拾った記憶喪失のキツネ耳美少女にルーナという名前を与えた。
本人はその名を気に入ってくれたようだ。
今は、俺のベッドでぐっすり寝ている。
知り合ったばかりの男と同じ部屋でぐっすり眠れるとは、なかなか図太い。
彼女は、普通の少女ではない。
レベルをカンストした冒険者しか立ち入れない、隠し部屋で水晶に封印されていた少女が普通であるわけがない
何かしらのイベントキャラだ。この世界には存在しないキツネ獣人というのも少女が特別な存在であることの証明だ。
……まあ、そんな理由は後付けだ。俺は、この子と一緒にいたいという自分の直感を信じる。
経験が長いほど、直感を無視できなくなるのだ。
◇
買い置きしてあった保存食を食べて、外にでる。
大き目の馬車がやってきた。
「ユーヤの旦那、約束通りもっていっちまいやすぜ」
「おやっさん、任せた」
もともと今日、この村を出て田舎に戻る予定だった。
近くにある大きな街の商店の店主に、冒険者時代で貯め込んだものや、この街で手に入れた家具をまとめて売り払う。
俺の高ランクの魔法の袋でも運びきれない量なので、こうして引き取りに来てもらった。
……使う予定もなかったのに、冒険者として自分が愛用しているものだけは売らずに手元に置いていて良かった。未練に助けられたな。
なにせ、ダンジョンで得たマジックアイテムや装備は、金を払いさえすれば手に入るようなものではない。
そもそも市場に出回らないものが多いのだ。 ダンジョンで拾った記憶喪失のキツネ耳美少女にルーナという名前を与えた。
本人はその名を気に入ってくれたようだ。
今は、俺のベッドでぐっすり寝ている。
知り合ったばかりの男と同じ部屋でぐっすり眠れるとは、なかなか図太い。
彼女は、普通の少女ではない。
レベルをカンストした冒険者しか立ち入れない、隠し部屋で水晶に封印されていた少女が普通であるわけがない
何かしらのイベントキャラだ。この世界には存在しないキツネ獣人というのも少女が特別な存在であることの証明だ。
……まあ、そんな理由は後付けだ。俺は、この子と一緒にいたいという自分の直感を信じる。
経験が長いほど、直感を無視できなくなるのだ。
◇
買い置きしてあった保存食を食べて、外にでる。
大き目の馬車がやってきた。
「ユーヤの旦那、約束通りもっていっちまいやすぜ」
「おやっさん、任せた」
もともと今日、この村を出て田舎に戻る予定だった。
近くにある大きな街の商店の店主に、冒険者時代で貯め込んだものや、この街で手に入れた家具をまとめて売り払う。
俺の高ランクの魔法の袋でも運びきれない量なので、こうして引き取りに来てもらった。
……使う予定もなかったのに、冒険者として自分が愛用しているものだけは売らずに手元に置いていて良かった。未練に助けられたな。
なにせ、ダンジョンで得たマジックアイテムや装備は、金を払いさえすれば手に入るようなものではない。
そもそも市場に出回らないものが多いのだ。 「よし、これで終わりだ。見積りした品を全部預かったぜ」
「……おやっさん、悪い。この子用に一本だけ短剣を売るのを止めてもいいか?」
「別に構わねえよ。これだけ良質な品が仕入れられたんだし、多少のわがままは聞くぞ」
「助かる」
短剣を一つ返してもらう。
数十年冒険者を続けて手に入れた中で、二番目に優れた短剣だ。
名をバゼラート。
魔物の牙から彫り出された特別な逸品で攻撃力が高く頑丈だ。
ちなみに、一番いい短剣は、俺の手元にある。
剣が折れたときのために胸元に収納している。
魔法袋の中に予備の剣を入れているとはいえ、剣を取り出し鞘から引き抜くよりも、胸元の短剣を使ったほうが速いケースが多々ある。
そのわずかな違いが命を助けてくれる。
そして、短剣は戦闘以外にも何かと便利だ。
「ルーナ、受け取れ」
ルーナにバゼラートを差し出す。
「ユーヤ。こんな高そうな短剣、困る。ルーナにはお金がない」
彼女はバゼラートを素直に受け取れない。
顔にはほしいと書いてある。
「金はとらない。冒険者なら体で払え」
しっかりと、パーティメンバーとして働いてもらえればそれでいい。 「よし、これで終わりだ。見積りした品を全部預かったぜ」
「……おやっさん、悪い。この子用に一本だけ短剣を売るのを止めてもいいか?」
「別に構わねえよ。これだけ良質な品が仕入れられたんだし、多少のわがままは聞くぞ」
「助かる」
短剣を一つ返してもらう。
数十年冒険者を続けて手に入れた中で、二番目に優れた短剣だ。
名をバゼラート。
魔物の牙から彫り出された特別な逸品で攻撃力が高く頑丈だ。
ちなみに、一番いい短剣は、俺の手元にある。
剣が折れたときのために胸元に収納している。
魔法袋の中に予備の剣を入れているとはいえ、剣を取り出し鞘から引き抜くよりも、胸元の短剣を使ったほうが速いケースが多々ある。
そのわずかな違いが命を助けてくれる。
そして、短剣は戦闘以外にも何かと便利だ。
「ルーナ、受け取れ」
ルーナにバゼラートを差し出す。
「ユーヤ。こんな高そうな短剣、困る。ルーナにはお金がない」
彼女はバゼラートを素直に受け取れない。
顔にはほしいと書いてある。
「金はとらない。冒険者なら体で払え」
しっかりと、パーティメンバーとして働いてもらえればそれでいい。 「よし、これで終わりだ。見積りした品を全部預かったぜ」
「……おやっさん、悪い。この子用に一本だけ短剣を売るのを止めてもいいか?」
「別に構わねえよ。これだけ良質な品が仕入れられたんだし、多少のわがままは聞くぞ」
「助かる」
短剣を一つ返してもらう。
数十年冒険者を続けて手に入れた中で、二番目に優れた短剣だ。
名をバゼラート。
魔物の牙から彫り出された特別な逸品で攻撃力が高く頑丈だ。
ちなみに、一番いい短剣は、俺の手元にある。
剣が折れたときのために胸元に収納している。
魔法袋の中に予備の剣を入れているとはいえ、剣を取り出し鞘から引き抜くよりも、胸元の短剣を使ったほうが速いケースが多々ある。
そのわずかな違いが命を助けてくれる。
そして、短剣は戦闘以外にも何かと便利だ。
「ルーナ、受け取れ」
ルーナにバゼラートを差し出す。
「ユーヤ。こんな高そうな短剣、困る。ルーナにはお金がない」
彼女はバゼラートを素直に受け取れない。
顔にはほしいと書いてある。
「金はとらない。冒険者なら体で払え」
しっかりと、パーティメンバーとして働いてもらえればそれでいい。 「ん。わかった。……精一杯奉仕する。記憶がないけど、きっと初めて。経験がないぶんがんばる」
おやっさんが、目を見開いて俺を見る。
顔に、こんな小さな子に!? と書いてある。
「……勘違いするな。俺は子供に興味はない。冒険者として働けと言っている」
「ほっとした。この短剣でがんばる」
やっとルーナが短剣を受け取ってくれた。
鞘から引き抜いて、美しい刀身に目を輝かせる。
この子の体格だと、普通の剣はうまく扱えない。短剣を持たして正解だ。
この短剣は、レベル1のひよっこには過ぎた装備でもある。剣と比べて下がる分の攻撃力を補ってくれるだろう。
剣の扱い方も教えないとな。ステータスだけが強さじゃない。
「そういえば、おまえさんはまたガキを拾ったのか。相変わらず、お人よしが過ぎるな」
「……そういう性分なんだ」
おやっさんとの付き合いは長い。
彼は昔の俺のことを知っている。一時期、生き倒れていたエルフの少女、フィルを拾って共に行動をしていたことを言っているのだ。
今、ルーナに与えている服などもかつてフィルのためにそろえたもの。
そういえば、フィルは元気にしているだろうか……。
フィルもレナードと同じく最強を目指していたころのパーティで、俺が置き去りにしてしまった。 「ん。わかった。……精一杯奉仕する。記憶がないけど、きっと初めて。経験がないぶんがんばる」
おやっさんが、目を見開いて俺を見る。
顔に、こんな小さな子に!? と書いてある。
「……勘違いするな。俺は子供に興味はない。冒険者として働けと言っている」
「ほっとした。この短剣でがんばる」
やっとルーナが短剣を受け取ってくれた。
鞘から引き抜いて、美しい刀身に目を輝かせる。
この子の体格だと、普通の剣はうまく扱えない。短剣を持たして正解だ。
この短剣は、レベル1のひよっこには過ぎた装備でもある。剣と比べて下がる分の攻撃力を補ってくれるだろう。
剣の扱い方も教えないとな。ステータスだけが強さじゃない。
「そういえば、おまえさんはまたガキを拾ったのか。相変わらず、お人よしが過ぎるな」
「……そういう性分なんだ」
おやっさんとの付き合いは長い。
彼は昔の俺のことを知っている。一時期、生き倒れていたエルフの少女、フィルを拾って共に行動をしていたことを言っているのだ。
今、ルーナに与えている服などもかつてフィルのためにそろえたもの。
そういえば、フィルは元気にしているだろうか……。
フィルもレナードと同じく最強を目指していたころのパーティで、俺が置き去りにしてしまった。 「ん。わかった。……精一杯奉仕する。記憶がないけど、きっと初めて。経験がないぶんがんばる」
おやっさんが、目を見開いて俺を見る。
顔に、こんな小さな子に!? と書いてある。
「……勘違いするな。俺は子供に興味はない。冒険者として働けと言っている」
「ほっとした。この短剣でがんばる」
やっとルーナが短剣を受け取ってくれた。
鞘から引き抜いて、美しい刀身に目を輝かせる。
この子の体格だと、普通の剣はうまく扱えない。短剣を持たして正解だ。
この短剣は、レベル1のひよっこには過ぎた装備でもある。剣と比べて下がる分の攻撃力を補ってくれるだろう。
剣の扱い方も教えないとな。ステータスだけが強さじゃない。
「そういえば、おまえさんはまたガキを拾ったのか。相変わらず、お人よしが過ぎるな」
「……そういう性分なんだ」
おやっさんとの付き合いは長い。
彼は昔の俺のことを知っている。一時期、生き倒れていたエルフの少女、フィルを拾って共に行動をしていたことを言っているのだ。
今、ルーナに与えている服などもかつてフィルのためにそろえたもの。
そういえば、フィルは元気にしているだろうか……。
フィルもレナードと同じく最強を目指していたころのパーティで、俺が置き去りにしてしまった。 「お人よしもほどほどにしとけよ。サインをしてくれ」
おやっさんが引きとった商品のリストを書いた紙を渡してくる。
きっちりチェックしてからサインして、金を受け取った。
路銀には十分すぎるぐらいだ。
俺とルーナの二人なら、贅沢をしなければ十年や二十年ぐらいは軽く生きていける。
「じゃあ、そろそろ俺は街に戻るわ。元気にやれよ、ユーヤ」
「おやっさんこそ、元気に。……いや、そろそろ息子に任せて隠居したほうがいいんじゃないか?」
「バカいえ、俺はまだまだ現役だ。おまえと違ってな」
俺は苦笑する。
おやっさんには引退すると伝えてあった。
だけど、引退は止めだ。ここから俺は再スタートをする。
◇
ラプトルで隣町に向かったあと、キャラバンに金を払って同行させてもらっている。
村をでるときに、ニキータに泣かれた。私もついていくとまで言ってくれたが、ルーナと違い彼女には家族と、帰る場所がある。そんな子を冒険者になんてするわけにはいかない。
説得を行って、ニキータも最後には納得してくれた。
馬車から窓の外を見る。村は影も形も見えない。
俺たちが目指しているのは冒険者にとって聖地と言われている街だ。 「お人よしもほどほどにしとけよ。サインをしてくれ」
おやっさんが引きとった商品のリストを書いた紙を渡してくる。
きっちりチェックしてからサインして、金を受け取った。
路銀には十分すぎるぐらいだ。
俺とルーナの二人なら、贅沢をしなければ十年や二十年ぐらいは軽く生きていける。
「じゃあ、そろそろ俺は街に戻るわ。元気にやれよ、ユーヤ」
「おやっさんこそ、元気に。……いや、そろそろ息子に任せて隠居したほうがいいんじゃないか?」
「バカいえ、俺はまだまだ現役だ。おまえと違ってな」
俺は苦笑する。
おやっさんには引退すると伝えてあった。
だけど、引退は止めだ。ここから俺は再スタートをする。
◇
ラプトルで隣町に向かったあと、キャラバンに金を払って同行させてもらっている。
村をでるときに、ニキータに泣かれた。私もついていくとまで言ってくれたが、ルーナと違い彼女には家族と、帰る場所がある。そんな子を冒険者になんてするわけにはいかない。
説得を行って、ニキータも最後には納得してくれた。
馬車から窓の外を見る。村は影も形も見えない。
俺たちが目指しているのは冒険者にとって聖地と言われている街だ。 「お人よしもほどほどにしとけよ。サインをしてくれ」
おやっさんが引きとった商品のリストを書いた紙を渡してくる。
きっちりチェックしてからサインして、金を受け取った。
路銀には十分すぎるぐらいだ。
俺とルーナの二人なら、贅沢をしなければ十年や二十年ぐらいは軽く生きていける。
「じゃあ、そろそろ俺は街に戻るわ。元気にやれよ、ユーヤ」
「おやっさんこそ、元気に。……いや、そろそろ息子に任せて隠居したほうがいいんじゃないか?」
「バカいえ、俺はまだまだ現役だ。おまえと違ってな」
俺は苦笑する。
おやっさんには引退すると伝えてあった。
だけど、引退は止めだ。ここから俺は再スタートをする。
◇
ラプトルで隣町に向かったあと、キャラバンに金を払って同行させてもらっている。
村をでるときに、ニキータに泣かれた。私もついていくとまで言ってくれたが、ルーナと違い彼女には家族と、帰る場所がある。そんな子を冒険者になんてするわけにはいかない。
説得を行って、ニキータも最後には納得してくれた。
馬車から窓の外を見る。村は影も形も見えない。
俺たちが目指しているのは冒険者にとって聖地と言われている街だ。 クラスを与えてくれる街。みんな、はじめはそこに向かう。
さすがに遠すぎて、魔物を避けながらラプトルで強行軍とはいかない。
ラプトルを乗せた分、高い料金を取られたが長年連れ添った相棒は手放せない。
「ユーヤ、暇」
「この二日、ずっとそればかりだな」
「だって、暇だから」
巨大キャラバンだけあって、護衛もいて安全は確保されているが、その分足は遅い。
子供なルーナにとっては、かなり退屈な旅だろう。
「なら、ちょうどいい。クラスについて説明しようか。俺たちの目的地……ルンブルクについたら、俺たちはクラスを得る」
「気になる、教えて」
眠そうにしていたルーナが急に元気になった。
元気なものだ。
「冒険者は魔物を倒すことでレベルを上げて強くなるが、クラスを持っていないとレベルが上がらない……そして、選んだクラスがその冒険者の道しるべになる。一度、決めたクラスは二度と変えられないから注意が必要だ」
クラスごとにまったく戦闘スタイルが違うし、求められるステータスも違う。
基本ステータスに対してクラス補正がかかり最終ステータスが決まることもあり、クラスは非常に重要な意味を持つ。 クラスを与えてくれる街。みんな、はじめはそこに向かう。
さすがに遠すぎて、魔物を避けながらラプトルで強行軍とはいかない。
ラプトルを乗せた分、高い料金を取られたが長年連れ添った相棒は手放せない。
「ユーヤ、暇」
「この二日、ずっとそればかりだな」
「だって、暇だから」
巨大キャラバンだけあって、護衛もいて安全は確保されているが、その分足は遅い。
子供なルーナにとっては、かなり退屈な旅だろう。
「なら、ちょうどいい。クラスについて説明しようか。俺たちの目的地……ルンブルクについたら、俺たちはクラスを得る」
「気になる、教えて」
眠そうにしていたルーナが急に元気になった。
元気なものだ。
「冒険者は魔物を倒すことでレベルを上げて強くなるが、クラスを持っていないとレベルが上がらない……そして、選んだクラスがその冒険者の道しるべになる。一度、決めたクラスは二度と変えられないから注意が必要だ」
クラスごとにまったく戦闘スタイルが違うし、求められるステータスも違う。
基本ステータスに対してクラス補正がかかり最終ステータスが決まることもあり、クラスは非常に重要な意味を持つ。 クラスを与えてくれる街。みんな、はじめはそこに向かう。
さすがに遠すぎて、魔物を避けながらラプトルで強行軍とはいかない。
ラプトルを乗せた分、高い料金を取られたが長年連れ添った相棒は手放せない。
「ユーヤ、暇」
「この二日、ずっとそればかりだな」
「だって、暇だから」
巨大キャラバンだけあって、護衛もいて安全は確保されているが、その分足は遅い。
子供なルーナにとっては、かなり退屈な旅だろう。
「なら、ちょうどいい。クラスについて説明しようか。俺たちの目的地……ルンブルクについたら、俺たちはクラスを得る」
「気になる、教えて」
眠そうにしていたルーナが急に元気になった。
元気なものだ。
「冒険者は魔物を倒すことでレベルを上げて強くなるが、クラスを持っていないとレベルが上がらない……そして、選んだクラスがその冒険者の道しるべになる。一度、決めたクラスは二度と変えられないから注意が必要だ」
クラスごとにまったく戦闘スタイルが違うし、求められるステータスも違う。
基本ステータスに対してクラス補正がかかり最終ステータスが決まることもあり、クラスは非常に重要な意味を持つ。 「大まかにわけて、前衛職と後衛職があるな。前衛は前に出て戦う、後衛は後ろから攻撃したり、援護したりだ」
「わかりやすい。ルーナは前に出て戦いたい。せっかくユーヤから短剣をもらった。これを使いたい」
俺もルーナは前衛に向いていると思う。
ゲームのときは、獣人はプレイヤーキャラにできなかった。
NPCで仲間にできるのだが、魔法系のステータスにマイナス補正がある代わりに物理系のステータスに上昇補正という特徴がある。
前衛のほうがその特徴を生かせるだろう。
「なら、前衛職を説明しよう。前提だけど前衛職はすべて魔法関係のパラメーターが低い。
戦士は攻撃力と防御力が高いが素早さは低い。武闘家は攻撃力と素早さが高いが、ある程度長い武器や重い鎧を装備してもステータスが上がらない。盗賊は素早さが極端に高いが、戦闘力では、戦士、武闘家に劣る。その分探索系のスキルが使える」
ルーナが首を傾げ始めた。
そして、考え込む。必死に、戦士、武闘家、盗賊のどれにしようか考えているのだろうか。
「ユーヤ、他にはない?」
「前衛だと、あとは魔法戦士があるな。攻撃力が高いし魔法も使える」
「それ、一番強そう」
「……止めておいたほうがいい。地雷と言われている職業だ。なにせ、前衛職の癖に体力と防御力が低いし素早さもない。壁ができない。
しかも、魔法は使えると言っても呪力が後衛職と比べれば圧倒的に劣り火力が足りない。補助魔法は使えるが、回復魔法は使えないからヒーラーもできない。なんでもできるけど、なんにもできない。中途半端な職業だ」
前衛の役割は後衛を守る壁だ。
なのに、魔法戦士はその役目を果たせない。かといって後ろに引きこもっても劣化魔法使いだ。
ぶっちゃけ、魔法戦士をクラスに選んでしまった時点で、どのパーティも引き取ってくれない。最低の不遇職。 「大まかにわけて、前衛職と後衛職があるな。前衛は前に出て戦う、後衛は後ろから攻撃したり、援護したりだ」
「わかりやすい。ルーナは前に出て戦いたい。せっかくユーヤから短剣をもらった。これを使いたい」
俺もルーナは前衛に向いていると思う。
ゲームのときは、獣人はプレイヤーキャラにできなかった。
NPCで仲間にできるのだが、魔法系のステータスにマイナス補正がある代わりに物理系のステータスに上昇補正という特徴がある。
前衛のほうがその特徴を生かせるだろう。
「なら、前衛職を説明しよう。前提だけど前衛職はすべて魔法関係のパラメーターが低い。戦士は攻撃力と防御力が高いが素早さは低い。
武闘家は攻撃力と素早さが高いが、ある程度長い武器や重い鎧を装備してもステータスが上がらない。盗賊は素早さが極端に高いが、戦闘力では、戦士、武闘家に劣る。その分探索系のスキルが使える」
ルーナが首を傾げ始めた。
そして、考え込む。必死に、戦士、武闘家、盗賊のどれにしようか考えているのだろうか。
「ユーヤ、他にはない?」
「前衛だと、あとは魔法戦士があるな。攻撃力が高いし魔法も使える」
「それ、一番強そう」
「……止めておいたほうがいい。地雷と言われている職業だ。なにせ、前衛職の癖に体力と防御力が低いし素早さもない。壁ができない。
しかも、魔法は使えると言っても呪力が後衛職と比べれば圧倒的に劣り火力が足りない。
補助魔法は使えるが、回復魔法は使えないからヒーラーもできない。なんでもできるけど、なんにもできない。中途半端な職業だ」
前衛の役割は後衛を守る壁だ。
なのに、魔法戦士はその役目を果たせない。かといって後ろに引きこもっても劣化魔法使いだ。
ぶっちゃけ、魔法戦士をクラスに選んでしまった時点で、どのパーティも引き取ってくれない。最低の不遇職。 「大まかにわけて、前衛職と後衛職があるな。前衛は前に出て戦う、後衛は後ろから攻撃したり、援護したりだ」
「わかりやすい。ルーナは前に出て戦いたい。せっかくユーヤから短剣をもらった。これを使いたい」
俺もルーナは前衛に向いていると思う。
ゲームのときは、獣人はプレイヤーキャラにできなかった。
NPCで仲間にできるのだが、魔法系のステータスにマイナス補正がある代わりに物理系のステータスに上昇補正という特徴がある。
前衛のほうがその特徴を生かせるだろう。
「なら、前衛職を説明しよう。前提だけど前衛職はすべて魔法関係のパラメーターが低い。戦士は攻撃力と防御力が高いが素早さは低い。
武闘家は攻撃力と素早さが高いが、ある程度長い武器や重い鎧を装備してもステータスが上がらない。盗賊は素早さが極端に高いが、戦闘力では、戦士、武闘家に劣る。その分探索系のスキルが使える」
ルーナが首を傾げ始めた。
そして、考え込む。必死に、戦士、武闘家、盗賊のどれにしようか考えているのだろうか。
「ユーヤ、他にはない?」
「前衛だと、あとは魔法戦士があるな。攻撃力が高いし魔法も使える」
「それ、一番強そう」
「……止めておいたほうがいい。地雷と言われている職業だ。なにせ、前衛職の癖に体力と防御力が低いし素早さもない。壁ができない。
しかも、魔法は使えると言っても呪力が後衛職と比べれば圧倒的に劣り火力が足りない。補助魔法は使えるが、回復魔法は使えないからヒーラーもできない。なんでもできるけど、なんにもできない。中途半端な職業だ」
前衛の役割は後衛を守る壁だ。
なのに、魔法戦士はその役目を果たせない。かといって後ろに引きこもっても劣化魔法使いだ。
ぶっちゃけ、魔法戦士をクラスに選んでしまった時点で、どのパーティも引き取ってくれない。最低の不遇職。 「わかった。戦士と、武闘家、盗賊から選ぶ。悩む……ねえ、ユーヤはルーナにどうなってほしい? ルーナはユーヤと一緒。ユーヤの役に立ちたい」
四つん這いになって近づいて顔を覗き込んでくる。
俺の役に立ちたいか、可愛いことを言ってくれる。
俺の都合だけで言うなら……。
「盗賊だな。探索系のスキルを持っているメンバーが一人はいないと、探索で苦労する」
「わかった、じゃあ、ルンブルクについたらルーナは盗賊になる。たくさん、役立つ」
「そうしてくれると嬉しいが、ルーナは自分がなりたいクラスを選んでいいんだぞ」
ぶんぶんとルーナが首を振った。
「ユーヤの役に立てるのが一番うれしい」
いい子だ。
それに、この子に短剣を与えたのもちょうど良かったかもしれない。
なにせ、盗賊の適性装備は短剣だ。通常の剣では攻撃力が落ちる。
「ルーナ、窓を見てみろ」
窓をあけると、ルーナが顔を出してキツネ耳をぴくぴくとさせる。
「大きな街が見える。ユーヤがいた村よりずっとずっと立派、それにすごく頑丈な壁に覆われてる」
「やっと着いたようだ。あそこが、俺たちの目的地。冒険者たちの聖地にして、始まりの街ルンブルク」
ある意味、この国の中心にある街だ。
ほとんどの冒険者はあそこでクラスを得て冒険者になる。 「わかった。戦士と、武闘家、盗賊から選ぶ。悩む……ねえ、ユーヤはルーナにどうなってほしい? ルーナはユーヤと一緒。ユーヤの役に立ちたい」
四つん這いになって近づいて顔を覗き込んでくる。
俺の役に立ちたいか、可愛いことを言ってくれる。
俺の都合だけで言うなら……。
「盗賊だな。探索系のスキルを持っているメンバーが一人はいないと、探索で苦労する」
「わかった、じゃあ、ルンブルクについたらルーナは盗賊になる。たくさん、役立つ」
「そうしてくれると嬉しいが、ルーナは自分がなりたいクラスを選んでいいんだぞ」
ぶんぶんとルーナが首を振った。
「ユーヤの役に立てるのが一番うれしい」
いい子だ。
それに、この子に短剣を与えたのもちょうど良かったかもしれない。
なにせ、盗賊の適性装備は短剣だ。通常の剣では攻撃力が落ちる。
「ルーナ、窓を見てみろ」
窓をあけると、ルーナが顔を出してキツネ耳をぴくぴくとさせる。
「大きな街が見える。ユーヤがいた村よりずっとずっと立派、それにすごく頑丈な壁に覆われてる」
「やっと着いたようだ。あそこが、俺たちの目的地。冒険者たちの聖地にして、始まりの街ルンブルク」
ある意味、この国の中心にある街だ。
ほとんどの冒険者はあそこでクラスを得て冒険者になる。 「わかった。戦士と、武闘家、盗賊から選ぶ。悩む……ねえ、ユーヤはルーナにどうなってほしい? ルーナはユーヤと一緒。ユーヤの役に立ちたい」
四つん這いになって近づいて顔を覗き込んでくる。
俺の役に立ちたいか、可愛いことを言ってくれる。
俺の都合だけで言うなら……。
「盗賊だな。探索系のスキルを持っているメンバーが一人はいないと、探索で苦労する」
「わかった、じゃあ、ルンブルクについたらルーナは盗賊になる。たくさん、役立つ」
「そうしてくれると嬉しいが、ルーナは自分がなりたいクラスを選んでいいんだぞ」
ぶんぶんとルーナが首を振った。
「ユーヤの役に立てるのが一番うれしい」
いい子だ。
それに、この子に短剣を与えたのもちょうど良かったかもしれない。
なにせ、盗賊の適性装備は短剣だ。通常の剣では攻撃力が落ちる。
「ルーナ、窓を見てみろ」
窓をあけると、ルーナが顔を出してキツネ耳をぴくぴくとさせる。
「大きな街が見える。ユーヤがいた村よりずっとずっと立派、それにすごく頑丈な壁に覆われてる」
「やっと着いたようだ。あそこが、俺たちの目的地。冒険者たちの聖地にして、始まりの街ルンブルク」
ある意味、この国の中心にある街だ。
ほとんどの冒険者はあそこでクラスを得て冒険者になる。 ……前世の記憶から得た、レベルアップ時のレベル上昇を最大値で固定する隠し部屋もあの街のダンジョンにある。やっと俺を苦しめてきた低ステータスの呪いから解放される。
やっと、長旅が終わると知ったルーナがキツネ尻尾をぶんぶんと振る。
目の前で動く尻尾をぎゅっと握りたくなるのを我慢する。
「ねえ、ユーヤはどのクラスになるの?」
俺は戦士だった。
前衛の基本職。パーティにも必須かつ、ソロでもある程度やれる。
だけど、今回は戦士を選ばない。
「魔法戦士だ」
「ルーナには、外れ職って言ったのに」
「嘘じゃない、前衛に出るには脆く、後ろに下がれば火力が足りない、回復役も務まらない……何もできない最弱職。だけどな、最弱が最強に変わる魔法を俺だけが使える」
ゲームのときも始めは誰もが外れ職だと断言した。
一部の補助魔法が多少使える程度の認識だった。
だけど、レベルリセットともう一つの隠し要素が発見された。
それはマジックカスタム。
それにより、魔法戦士はプレイヤーの技術さえあれば最強職という認識に変わった。
……とは言っても、普通の冒険者はパーティには入れてはくれない。魔法戦士な時点でお払い箱だ。
ルーナという共にいてくれる存在がいて良かった。
街にたどり着く。
さあ、ここから俺の新しい人生の始まりだ。 ……前世の記憶から得た、レベルアップ時のレベル上昇を最大値で固定する隠し部屋もあの街のダンジョンにある。やっと俺を苦しめてきた低ステータスの呪いから解放される。
やっと、長旅が終わると知ったルーナがキツネ尻尾をぶんぶんと振る。
目の前で動く尻尾をぎゅっと握りたくなるのを我慢する。
「ねえ、ユーヤはどのクラスになるの?」
俺は戦士だった。
前衛の基本職。パーティにも必須かつ、ソロでもある程度やれる。
だけど、今回は戦士を選ばない。
「魔法戦士だ」
「ルーナには、外れ職って言ったのに」
「嘘じゃない、前衛に出るには脆く、後ろに下がれば火力が足りない、回復役も務まらない……何もできない最弱職。だけどな、最弱が最強に変わる魔法を俺だけが使える」
ゲームのときも始めは誰もが外れ職だと断言した。
一部の補助魔法が多少使える程度の認識だった。
だけど、レベルリセットともう一つの隠し要素が発見された。
それはマジックカスタム。
それにより、魔法戦士はプレイヤーの技術さえあれば最強職という認識に変わった。
……とは言っても、普通の冒険者はパーティには入れてはくれない。魔法戦士な時点でお払い箱だ。
ルーナという共にいてくれる存在がいて良かった。
街にたどり着く。
さあ、ここから俺の新しい人生の始まりだ。 ……前世の記憶から得た、レベルアップ時のレベル上昇を最大値で固定する隠し部屋もあの街のダンジョンにある。やっと俺を苦しめてきた低ステータスの呪いから解放される。
やっと、長旅が終わると知ったルーナがキツネ尻尾をぶんぶんと振る。
目の前で動く尻尾をぎゅっと握りたくなるのを我慢する。
「ねえ、ユーヤはどのクラスになるの?」
俺は戦士だった。
前衛の基本職。パーティにも必須かつ、ソロでもある程度やれる。
だけど、今回は戦士を選ばない。
「魔法戦士だ」
「ルーナには、外れ職って言ったのに」
「嘘じゃない、前衛に出るには脆く、後ろに下がれば火力が足りない、回復役も務まらない……何もできない最弱職。だけどな、最弱が最強に変わる魔法を俺だけが使える」
ゲームのときも始めは誰もが外れ職だと断言した。
一部の補助魔法が多少使える程度の認識だった。
だけど、レベルリセットともう一つの隠し要素が発見された。
それはマジックカスタム。
それにより、魔法戦士はプレイヤーの技術さえあれば最強職という認識に変わった。
……とは言っても、普通の冒険者はパーティには入れてはくれない。魔法戦士な時点でお払い箱だ。
ルーナという共にいてくれる存在がいて良かった。
街にたどり着く。
さあ、ここから俺の新しい人生の始まりだ。 一章:おっさんはやり直す
第五話:おっさんは魔法戦士になる 宿で一晩明かし、ルーナと二人でギルドにやってきた。
ルンブルクではクラスを得られると言っても毎日やっているわけではない。
週に一度、希望者を集めて冒険者としての基礎知識を叩き込む講演を行ってから、希望したクラスを与えていく。今日はたまたまその日だった。
国が冒険者の支援をするために補助金を出しているからこそ可能なことだ。
「ルーナ、眠そうだな」
「昨日、ユーヤにもらった本が面白くて、ずっと読んでた」
ルーナは記憶喪失だ。
知っていて当たり前のことを知らないというのは危険なので、冒険者向け、それも初心用の本を買い与えた。
ルーナは勉強熱心で、本をきっちりと読みこみつつ、色々と質問をしてきた。
その質問の仕方が、自身が冒険者になったときのことを想定している質問で感心したものだ。
こういう子は伸びる。
「今日の講習は本で学んだことの復習にもなる。よく聞くように」
「ん。ただで学べるチャンス。しっかり活かす」
……そして、この子は結構ケチというか金銭面でしっかりしている。
「だな。それがこの国のためでもある」
冒険者がダンジョンから持ち帰るもので、人々の暮らしは良くなる。
野良ダンジョンから溢れた魔物たちが野生化して繁殖した場合、駆除が必要だ。
その際には冒険者が必要となる。こういう理由から、国は補助金を出してまで冒険者を支援している。 宿で一晩明かし、ルーナと二人でギルドにやってきた。
ルンブルクではクラスを得られると言っても毎日やっているわけではない。
週に一度、希望者を集めて冒険者としての基礎知識を叩き込む講演を行ってから、希望したクラスを与えていく。今日はたまたまその日だった。
国が冒険者の支援をするために補助金を出しているからこそ可能なことだ。
「ルーナ、眠そうだな」
「昨日、ユーヤにもらった本が面白くて、ずっと読んでた」
ルーナは記憶喪失だ。
知っていて当たり前のことを知らないというのは危険なので、冒険者向け、それも初心用の本を買い与えた。
ルーナは勉強熱心で、本をきっちりと読みこみつつ、色々と質問をしてきた。
その質問の仕方が、自身が冒険者になったときのことを想定している質問で感心したものだ。
こういう子は伸びる。
「今日の講習は本で学んだことの復習にもなる。よく聞くように」
「ん。ただで学べるチャンス。しっかり活かす」
……そして、この子は結構ケチというか金銭面でしっかりしている。
「だな。それがこの国のためでもある」
冒険者がダンジョンから持ち帰るもので、人々の暮らしは良くなる。
野良ダンジョンから溢れた魔物たちが野生化して繁殖した場合、駆除が必要だ。
その際には冒険者が必要となる。こういう理由から、国は補助金を出してまで冒険者を支援している。 宿で一晩明かし、ルーナと二人でギルドにやってきた。
ルンブルクではクラスを得られると言っても毎日やっているわけではない。
週に一度、希望者を集めて冒険者としての基礎知識を叩き込む講演を行ってから、希望したクラスを与えていく。今日はたまたまその日だった。
国が冒険者の支援をするために補助金を出しているからこそ可能なことだ。
「ルーナ、眠そうだな」
「昨日、ユーヤにもらった本が面白くて、ずっと読んでた」
ルーナは記憶喪失だ。
知っていて当たり前のことを知らないというのは危険なので、冒険者向け、それも初心用の本を買い与えた。
ルーナは勉強熱心で、本をきっちりと読みこみつつ、色々と質問をしてきた。
その質問の仕方が、自身が冒険者になったときのことを想定している質問で感心したものだ。
こういう子は伸びる。
「今日の講習は本で学んだことの復習にもなる。よく聞くように」
「ん。ただで学べるチャンス。しっかり活かす」
……そして、この子は結構ケチというか金銭面でしっかりしている。
「だな。それがこの国のためでもある」
冒険者がダンジョンから持ち帰るもので、人々の暮らしは良くなる。
野良ダンジョンから溢れた魔物たちが野生化して繁殖した場合、駆除が必要だ。
その際には冒険者が必要となる。こういう理由から、国は補助金を出してまで冒険者を支援している。 「さあ、着いたぞ」
「ここがギルド、立派な建物」
「街や村によって違うが、ここは聖地だけあって大きいほうだ」
ルーナはギルドを見上げて、おおうっと変な声を漏らしている。
そんなルーナの手を引いてギルドの中に入る。
今日は、講習会の日ということもあり人が多い。
中には酒場が併設されていて、講演会が始まるまでそこで時間を潰しているものもいた。
「おいおい、おっさん。その年で冒険者になるつもりか? やめとけやめとけ。それになんだよ、ぼろぼろの皮鎧。ほら、俺の鎧見てよ。魔法金属を使ったオーダーメードだぜ」
「ケビン、言ってやるなよ。あのおっさんが可哀そうだろ」
「いやいや、冒険者になっての垂れ死ぬほうが可哀そうだって」
「ちがいない」
酒場のほうから下卑た笑い声が聞こえる。
そちらを見ると、十代半ばの少年たちが酒を飲みながらこちらを見ている。
この世界では、他人のステータスを見ることはできない。だが、相手が自分以下のレベルなら、そのレベルを見ることができる。
レベルリセットした俺のレベルは、同じくレベル1の彼らにも見えている。
ああいう連中には拘わらないほうがいい。
軽く会釈して通り過ぎようとする。
「おっさん、待てよ。俺の忠告が聞けないってか」
道を塞いできた。
やたらと高価な剣や防具を見せびらかすようにしている。
金持ちのぼんぼんだろう。レベルを上げておくと何かと有利なので、金で優秀な装備を固めて安全を確保しつつ、ダンジョンに向かわせる親も少なくない。
面倒だ。 「さあ、着いたぞ」
「ここがギルド、立派な建物」
「街や村によって違うが、ここは聖地だけあって大きいほうだ」
ルーナはギルドを見上げて、おおうっと変な声を漏らしている。
そんなルーナの手を引いてギルドの中に入る。
今日は、講習会の日ということもあり人が多い。
中には酒場が併設されていて、講演会が始まるまでそこで時間を潰しているものもいた。
「おいおい、おっさん。その年で冒険者になるつもりか? やめとけやめとけ。それになんだよ、ぼろぼろの皮鎧。ほら、俺の鎧見てよ。魔法金属を使ったオーダーメードだぜ」
「ケビン、言ってやるなよ。あのおっさんが可哀そうだろ」
「いやいや、冒険者になっての垂れ死ぬほうが可哀そうだって」
「ちがいない」
酒場のほうから下卑た笑い声が聞こえる。
そちらを見ると、十代半ばの少年たちが酒を飲みながらこちらを見ている。
この世界では、他人のステータスを見ることはできない。だが、相手が自分以下のレベルなら、そのレベルを見ることができる。
レベルリセットした俺のレベルは、同じくレベル1の彼らにも見えている。
ああいう連中には拘わらないほうがいい。
軽く会釈して通り過ぎようとする。
「おっさん、待てよ。俺の忠告が聞けないってか」
道を塞いできた。
やたらと高価な剣や防具を見せびらかすようにしている。
金持ちのぼんぼんだろう。レベルを上げておくと何かと有利なので、金で優秀な装備を固めて安全を確保しつつ、ダンジョンに向かわせる親も少なくない。
面倒だ。 「さあ、着いたぞ」
「ここがギルド、立派な建物」
「街や村によって違うが、ここは聖地だけあって大きいほうだ」
ルーナはギルドを見上げて、おおうっと変な声を漏らしている。
そんなルーナの手を引いてギルドの中に入る。
今日は、講習会の日ということもあり人が多い。
中には酒場が併設されていて、講演会が始まるまでそこで時間を潰しているものもいた。
「おいおい、おっさん。その年で冒険者になるつもりか? やめとけやめとけ。それになんだよ、ぼろぼろの皮鎧。ほら、俺の鎧見てよ。魔法金属を使ったオーダーメードだぜ」
「ケビン、言ってやるなよ。あのおっさんが可哀そうだろ」
「いやいや、冒険者になっての垂れ死ぬほうが可哀そうだって」
「ちがいない」
酒場のほうから下卑た笑い声が聞こえる。
そちらを見ると、十代半ばの少年たちが酒を飲みながらこちらを見ている。
この世界では、他人のステータスを見ることはできない。だが、相手が自分以下のレベルなら、そのレベルを見ることができる。
レベルリセットした俺のレベルは、同じくレベル1の彼らにも見えている。
ああいう連中には拘わらないほうがいい。
軽く会釈して通り過ぎようとする。
「おっさん、待てよ。俺の忠告が聞けないってか」
道を塞いできた。
やたらと高価な剣や防具を見せびらかすようにしている。
金持ちのぼんぼんだろう。レベルを上げておくと何かと有利なので、金で優秀な装備を固めて安全を確保しつつ、ダンジョンに向かわせる親も少なくない。
面倒だ。 「すまないが、俺には俺の考えがあってここに来た。それを君に止める権利はない」
「ああん? せっかく心配してやってんのによう。……うん? 連れの子は可愛いな。感謝しろよ。俺のパーティにいれてやる。その子は俺が引き取ってやるから、おっさんは帰りな」
ルーナを舐め回すように少年が見ている。
ルーナは美少女だ。こういう目を向けられるのも無理はない。彼女は怯えた顔で俺の背中に隠れて、警戒した眼差しを向けている。
「その気持ちだけ受け取っておこう。俺は帰らないし、この子も君とは行きたくないみたいだ」
「いっちょまえに、上から見てんじゃねえよ。どうせ食い詰めて、冒険者になるしかないような、落伍者だろ!」
少年が殴りかかって来る。
反射的にその手をとり、ひねり投げてしまう。少年が背中から叩きつけられて悲鳴をあげる。
体に染みついた動きだ。……反射的にやってしまった。
「ケビンがやられた!?」
「おい、おっさん! 何してくれてるわけ!」
少年の仲間の二人がやってくる。
二人ともレベル1。動きを見る限り、脅威ではない。
十秒以内に叩きのめせるだろう。
とはいえ、ギルドでこれ以上騒ぎを起こしたくない。
どうしたものか……。
「ギルド職員です。全員、大人しくしなさい。ギルド内での暴力行為は禁止です! 出入り禁止にしますよ」
ギルド職員がやってきた。
エルフの少女。
……見覚えがある顔だ。なぜ、おまえがここにいる!?
被っていた帽子をより深くかぶる。 「すまないが、俺には俺の考えがあってここに来た。それを君に止める権利はない」
「ああん? せっかく心配してやってんのによう。……うん? 連れの子は可愛いな。感謝しろよ。俺のパーティにいれてやる。その子は俺が引き取ってやるから、おっさんは帰りな」
ルーナを舐め回すように少年が見ている。
ルーナは美少女だ。こういう目を向けられるのも無理はない。彼女は怯えた顔で俺の背中に隠れて、警戒した眼差しを向けている。
「その気持ちだけ受け取っておこう。俺は帰らないし、この子も君とは行きたくないみたいだ」
「いっちょまえに、上から見てんじゃねえよ。どうせ食い詰めて、冒険者になるしかないような、落伍者だろ!」
少年が殴りかかって来る。
反射的にその手をとり、ひねり投げてしまう。少年が背中から叩きつけられて悲鳴をあげる。
体に染みついた動きだ。……反射的にやってしまった。
「ケビンがやられた!?」
「おい、おっさん! 何してくれてるわけ!」
少年の仲間の二人がやってくる。
二人ともレベル1。動きを見る限り、脅威ではない。
十秒以内に叩きのめせるだろう。
とはいえ、ギルドでこれ以上騒ぎを起こしたくない。
どうしたものか……。
「ギルド職員です。全員、大人しくしなさい。ギルド内での暴力行為は禁止です! 出入り禁止にしますよ」
ギルド職員がやってきた。
エルフの少女。
……見覚えがある顔だ。なぜ、おまえがここにいる!?
被っていた帽子をより深くかぶる。 「すまないが、俺には俺の考えがあってここに来た。それを君に止める権利はない」
「ああん? せっかく心配してやってんのによう。……うん? 連れの子は可愛いな。感謝しろよ。俺のパーティにいれてやる。その子は俺が引き取ってやるから、おっさんは帰りな」
ルーナを舐め回すように少年が見ている。
ルーナは美少女だ。こういう目を向けられるのも無理はない。彼女は怯えた顔で俺の背中に隠れて、警戒した眼差しを向けている。
「その気持ちだけ受け取っておこう。俺は帰らないし、この子も君とは行きたくないみたいだ」
「いっちょまえに、上から見てんじゃねえよ。どうせ食い詰めて、冒険者になるしかないような、落伍者だろ!」
少年が殴りかかって来る。
反射的にその手をとり、ひねり投げてしまう。少年が背中から叩きつけられて悲鳴をあげる。
体に染みついた動きだ。……反射的にやってしまった。
「ケビンがやられた!?」
「おい、おっさん! 何してくれてるわけ!」
少年の仲間の二人がやってくる。
二人ともレベル1。動きを見る限り、脅威ではない。
十秒以内に叩きのめせるだろう。
とはいえ、ギルドでこれ以上騒ぎを起こしたくない。
どうしたものか……。
「ギルド職員です。全員、大人しくしなさい。ギルド内での暴力行為は禁止です! 出入り禁止にしますよ」
ギルド職員がやってきた。
エルフの少女。
……見覚えがある顔だ。なぜ、おまえがここにいる!?
被っていた帽子をより深くかぶる。 「すまなかった。その少年に殴りかかられて反射的に投げてしまったんだ。反省している」
「なるほど、あなたは正当防衛をしたわけですね」
良かった。気付かれてはいない。
向こうもレベルは見えているわけで、まさか俺がレベル1だとは思わない。他人の空似だと思っているのだろう。
どうして、この子がギルドの職員なんてやっているんだろう。
少年たちはぎゃーぎゃー、先に手を出したのはおっさんだと言っているが、周りの冒険者たちが俺の無実を証言してくれた。
実のところ、一番嫌われるのは調子に乗ったルーキーだ。彼らが俺をかばうのも当然と言える。
今後、少年たちはギルドではやりにくくなるだろう。
「状況はわかりました。えっと、あなたは被害者みたいですし、無罪放免にします。そっちの子たちは反省文を書くか、減点を受けるか好きなほうを選んで。減点二回でギルドに出入り禁止」
少年たちはすごく嫌そうな顔をするが、言い逃れはできないことを理解する程度の頭はあり、エルフの少女に連れていかれた。
「今日も、元気がいいね。フィルちゃん」
「さすがは俺の女だぜ」
「うるせえ、フィルちゃんは俺が嫁にするって決めてんだ」
「全員だまりなさい。私は誰のものでもありません。あんまりうるさいと、実力をもって黙らせますよ」
「「「ごめんなさい」」」
エルフの少女は、冒険者たちに親し気に話しかけられている。
かなり人気がある受付嬢で、同時に恐れられてもいるようだ。……あの子の美しさと強さを考えれば当然か。 「すまなかった。その少年に殴りかかられて反射的に投げてしまったんだ。反省している」
「なるほど、あなたは正当防衛をしたわけですね」
良かった。気付かれてはいない。
向こうもレベルは見えているわけで、まさか俺がレベル1だとは思わない。他人の空似だと思っているのだろう。
どうして、この子がギルドの職員なんてやっているんだろう。
少年たちはぎゃーぎゃー、先に手を出したのはおっさんだと言っているが、周りの冒険者たちが俺の無実を証言してくれた。
実のところ、一番嫌われるのは調子に乗ったルーキーだ。彼らが俺をかばうのも当然と言える。
今後、少年たちはギルドではやりにくくなるだろう。
「状況はわかりました。えっと、あなたは被害者みたいですし、無罪放免にします。そっちの子たちは反省文を書くか、減点を受けるか好きなほうを選んで。減点二回でギルドに出入り禁止」
少年たちはすごく嫌そうな顔をするが、言い逃れはできないことを理解する程度の頭はあり、エルフの少女に連れていかれた。
「今日も、元気がいいね。フィルちゃん」
「さすがは俺の女だぜ」
「うるせえ、フィルちゃんは俺が嫁にするって決めてんだ」
「全員だまりなさい。私は誰のものでもありません。あんまりうるさいと、実力をもって黙らせますよ」
「「「ごめんなさい」」」
エルフの少女は、冒険者たちに親し気に話しかけられている。
かなり人気がある受付嬢で、同時に恐れられてもいるようだ。……あの子の美しさと強さを考えれば当然か。 「あの子、すごい。ルーナよりちょっと年上なだけなのに大人。ちゃんと働いてる」
「いや、エルフの見た目年齢は当てにならん。たしか今年で二十五のはずだ」
エルフは十二歳までは人間と同じように成長するが、その後はゆっくりと成長していく。
あの子……フィルの見た目は、十六、七というところだが実年齢は二十五歳。
立派な大人だ。
エルフの村を追放されたところを俺が拾って面倒を見ていた少女。
俺が最強を目指していたころのパーティメンバー。一番弟子であるレナードと同じぐらい才能があった。
あの子は、パーティに残って【試練の塔】にレナードたちと共に向かったと思っていたが、なんでこんなところでギルド嬢なんてやっているのか。
ほとんど喧嘩別れになったから、フィルとは顔を合わせたくない。見つからないように注意しよう。
◇
講演会が始まった。
今回の受講者は二十名ほど。その中にはさきほど、もめた少年たちもいて、俺を睨んでいる。
さすがに、俺のような中年はいない。この年で冒険者を始めるものはマレだ。
冒険者になるものは、基本は十代のうちにクラスを得る。
この講演会を受けられるのはレベル1の冒険者だけだ。
冒険者の基本、さらにクラスの説明を半日かけて行う。
まともに聞いている者は少ない。たいていはクラスを得るために仕方なく参加しているような連中だ。 「あの子、すごい。ルーナよりちょっと年上なだけなのに大人。ちゃんと働いてる」
「いや、エルフの見た目年齢は当てにならん。たしか今年で二十五のはずだ」
エルフは十二歳までは人間と同じように成長するが、その後はゆっくりと成長していく。
あの子……フィルの見た目は、十六、七というところだが実年齢は二十五歳。
立派な大人だ。
エルフの村を追放されたところを俺が拾って面倒を見ていた少女。
俺が最強を目指していたころのパーティメンバー。一番弟子であるレナードと同じぐらい才能があった。
あの子は、パーティに残って【試練の塔】にレナードたちと共に向かったと思っていたが、なんでこんなところでギルド嬢なんてやっているのか。
ほとんど喧嘩別れになったから、フィルとは顔を合わせたくない。見つからないように注意しよう。
◇
講演会が始まった。
今回の受講者は二十名ほど。その中にはさきほど、もめた少年たちもいて、俺を睨んでいる。
さすがに、俺のような中年はいない。この年で冒険者を始めるものはマレだ。
冒険者になるものは、基本は十代のうちにクラスを得る。
この講演会を受けられるのはレベル1の冒険者だけだ。
冒険者の基本、さらにクラスの説明を半日かけて行う。
まともに聞いている者は少ない。たいていはクラスを得るために仕方なく参加しているような連中だ。 「あの子、すごい。ルーナよりちょっと年上なだけなのに大人。ちゃんと働いてる」
「いや、エルフの見た目年齢は当てにならん。たしか今年で二十五のはずだ」
エルフは十二歳までは人間と同じように成長するが、その後はゆっくりと成長していく。
あの子……フィルの見た目は、十六、七というところだが実年齢は二十五歳。
立派な大人だ。
エルフの村を追放されたところを俺が拾って面倒を見ていた少女。
俺が最強を目指していたころのパーティメンバー。一番弟子であるレナードと同じぐらい才能があった。
あの子は、パーティに残って【試練の塔】にレナードたちと共に向かったと思っていたが、なんでこんなところでギルド嬢なんてやっているのか。
ほとんど喧嘩別れになったから、フィルとは顔を合わせたくない。見つからないように注意しよう。
◇
講演会が始まった。
今回の受講者は二十名ほど。その中にはさきほど、もめた少年たちもいて、俺を睨んでいる。
さすがに、俺のような中年はいない。この年で冒険者を始めるものはマレだ。
冒険者になるものは、基本は十代のうちにクラスを得る。
この講演会を受けられるのはレベル1の冒険者だけだ。
冒険者の基本、さらにクラスの説明を半日かけて行う。
まともに聞いている者は少ない。たいていはクラスを得るために仕方なく参加しているような連中だ。 そもそも、やり直しがきかない一生に一度のクラス決定を、ここの講習の説明を聞くだけで決めてしまうものはいない。
それぞれ、ちゃんと事前に勉強している。
講演が終わると、教官役の男が口を開く。
「五分の休憩を終えれば、クラスを与える。クラスを与えたあとは、パーティメンバーを募集するといい。同時期に冒険者になったものが集まることなどそうそうない」
教官の言う通り、コネや知り合いがいない冒険者にとって、この場はチャンスでもある。ここでパーティが組めればのちのち楽になる。
人数がいるほどダンジョン踏破は楽になる。
一人だと、麻痺や毒をもらっただけで終了だ。仲間がいれば、動けない間に魔物を倒してくれるし、治療薬を飲ませてもらえる。
「ユーヤも、仲間を探す?」
「……探してもいいが無駄に終わるぞ」
ルーナの問いかけに苦笑しつつ返事をする。
ルーナは理解しきれていないのだ。俺がなろうとしている魔法戦士がどれほど必要とされていないのかを。
◇
クラスを得るのは簡単だ。
神の力を宿した石造のまえに立つと、自らが選択しうるクラスが脳裏に浮かぶ。 そもそも、やり直しがきかない一生に一度のクラス決定を、ここの講習の説明を聞くだけで決めてしまうものはいない。
それぞれ、ちゃんと事前に勉強している。
講演が終わると、教官役の男が口を開く。
「五分の休憩を終えれば、クラスを与える。クラスを与えたあとは、パーティメンバーを募集するといい。同時期に冒険者になったものが集まることなどそうそうない」
教官の言う通り、コネや知り合いがいない冒険者にとって、この場はチャンスでもある。ここでパーティが組めればのちのち楽になる。
人数がいるほどダンジョン踏破は楽になる。
一人だと、麻痺や毒をもらっただけで終了だ。仲間がいれば、動けない間に魔物を倒してくれるし、治療薬を飲ませてもらえる。
「ユーヤも、仲間を探す?」
「……探してもいいが無駄に終わるぞ」
ルーナの問いかけに苦笑しつつ返事をする。
ルーナは理解しきれていないのだ。俺がなろうとしている魔法戦士がどれほど必要とされていないのかを。
◇
クラスを得るのは簡単だ。
神の力を宿した石造のまえに立つと、自らが選択しうるクラスが脳裏に浮かぶ。 そもそも、やり直しがきかない一生に一度のクラス決定を、ここの講習の説明を聞くだけで決めてしまうものはいない。
それぞれ、ちゃんと事前に勉強している。
講演が終わると、教官役の男が口を開く。
「五分の休憩を終えれば、クラスを与える。クラスを与えたあとは、パーティメンバーを募集するといい。同時期に冒険者になったものが集まることなどそうそうない」
教官の言う通り、コネや知り合いがいない冒険者にとって、この場はチャンスでもある。ここでパーティが組めればのちのち楽になる。
人数がいるほどダンジョン踏破は楽になる。
一人だと、麻痺や毒をもらっただけで終了だ。仲間がいれば、動けない間に魔物を倒してくれるし、治療薬を飲ませてもらえる。
「ユーヤも、仲間を探す?」
「……探してもいいが無駄に終わるぞ」
ルーナの問いかけに苦笑しつつ返事をする。
ルーナは理解しきれていないのだ。俺がなろうとしている魔法戦士がどれほど必要とされていないのかを。
◇
クラスを得るのは簡単だ。
神の力を宿した石造のまえに立つと、自らが選択しうるクラスが脳裏に浮かぶ。 俺の場合は、戦士、武闘家、魔法戦士、魔法使い、僧侶、盗賊、狩人の基本職業。
ごくまれにエクストラクラスが発現する者もいるが、俺は一人しか実例を見たことがない。
あとは、望むクラスを口にするだけ。
「俺が望むのは魔法戦士だ」
これで俺は魔法戦士になれた。これからは魔物を倒せばレベルが上がるし、スキルポイントを割り振って魔法戦士のスキルがとれる。
「あのおっさん、バカじゃね? 何も知らねえのかよ」
「魔法戦士って、正気かよ」
「うわぁ、魔法戦士とか初めてみた」
「講習でも止めとけって言ってたのにね」
同じ部屋にいる新人冒険者たちが、陰口をたたいている。
まあ、そういう反応だろうな。俺だって、前世の知識がない状態で魔法戦士なんて選べば、馬鹿にしていた。
なんでもできて、なんにもできない外れ職業。
しかし、レベルリセット特典によって、人より20ポイントものスキルポイントがあること、そしてある隠し要素を利用することで一転して魔法戦士は最強へとなる。
ルーナの番が来た。
彼女が俺のほうを見てくる。
「ルーナの頭に浮かんだのユーヤから聞いてたクラスだけ」
「そうか、ルーナならもしかしたらエクストラクラスが獲れるかもと思ったんだけどな。なら、予定通り盗賊を選べ」
「わかった。ルーナが望むのは盗賊」 俺の場合は、戦士、武闘家、魔法戦士、魔法使い、僧侶、盗賊、狩人の基本職業。
ごくまれにエクストラクラスが発現する者もいるが、俺は一人しか実例を見たことがない。
あとは、望むクラスを口にするだけ。
「俺が望むのは魔法戦士だ」
これで俺は魔法戦士になれた。これからは魔物を倒せばレベルが上がるし、スキルポイントを割り振って魔法戦士のスキルがとれる。
「あのおっさん、バカじゃね? 何も知らねえのかよ」
「魔法戦士って、正気かよ」
「うわぁ、魔法戦士とか初めてみた」
「講習でも止めとけって言ってたのにね」
同じ部屋にいる新人冒険者たちが、陰口をたたいている。
まあ、そういう反応だろうな。俺だって、前世の知識がない状態で魔法戦士なんて選べば、馬鹿にしていた。
なんでもできて、なんにもできない外れ職業。
しかし、レベルリセット特典によって、人より20ポイントものスキルポイントがあること、そしてある隠し要素を利用することで一転して魔法戦士は最強へとなる。
ルーナの番が来た。
彼女が俺のほうを見てくる。
「ルーナの頭に浮かんだのユーヤから聞いてたクラスだけ」
「そうか、ルーナならもしかしたらエクストラクラスが獲れるかもと思ったんだけどな。なら、予定通り盗賊を選べ」
「わかった。ルーナが望むのは盗賊」 俺の場合は、戦士、武闘家、魔法戦士、魔法使い、僧侶、盗賊、狩人の基本職業。
ごくまれにエクストラクラスが発現する者もいるが、俺は一人しか実例を見たことがない。
あとは、望むクラスを口にするだけ。
「俺が望むのは魔法戦士だ」
これで俺は魔法戦士になれた。これからは魔物を倒せばレベルが上がるし、スキルポイントを割り振って魔法戦士のスキルがとれる。
「あのおっさん、バカじゃね? 何も知らねえのかよ」
「魔法戦士って、正気かよ」
「うわぁ、魔法戦士とか初めてみた」
「講習でも止めとけって言ってたのにね」
同じ部屋にいる新人冒険者たちが、陰口をたたいている。
まあ、そういう反応だろうな。俺だって、前世の知識がない状態で魔法戦士なんて選べば、馬鹿にしていた。
なんでもできて、なんにもできない外れ職業。
しかし、レベルリセット特典によって、人より20ポイントものスキルポイントがあること、そしてある隠し要素を利用することで一転して魔法戦士は最強へとなる。
ルーナの番が来た。
彼女が俺のほうを見てくる。
「ルーナの頭に浮かんだのユーヤから聞いてたクラスだけ」
「そうか、ルーナならもしかしたらエクストラクラスが獲れるかもと思ったんだけどな。なら、予定通り盗賊を選べ」
「わかった。ルーナが望むのは盗賊」 ルーナの体が光る。
これで彼女は盗賊だ。
そうして、全員のクラス選定が終わる。
全員、誰がどのクラスを選んだかを見ていたのでスカウト合戦が始まる。
人気職は極端に偏る。
まずは、盗賊と狩人。この二つは探索スキルを持つ。探索スキルは必須でパーティに一人は必要だ。
しかし、戦闘職と比べて戦闘力が落ちるため、自分がなろうとするものは少ない。だからこそ、彼らには人気が集まる。
次点で、戦士や魔法使い、僧侶あたりが人気だ。
戦士は純粋な壁としては防御力が高い分、武闘家か盗賊よりも優秀だ。
魔法使いは物理攻撃が効きづらい魔物を魔法で倒せるし、範囲攻撃ができる。
僧侶がいれば補助による強化や魔法による治療ができて継戦力が上がる。
パーティ数には限界がある。
四人までだ。とある隠しアイテムを使えば五人に増やせるが普通は四人。それを超えると、経験値が入らなくなる。
四人という限られた枠に役立たずを入れるスペースはない。理想を言えば、前衛、探索、魔法攻撃、回復。
壁にならない、魔法攻撃力は微妙、補助魔法は使えても回復ができない魔法戦士の席は四人という枠にはない。
だれも、魔法戦士である俺を誘いに来ないし、俺が誘っても断られるだろう。
「ユーヤと一緒なら、仲間になってもいい」 ルーナの体が光る。
これで彼女は盗賊だ。
そうして、全員のクラス選定が終わる。
全員、誰がどのクラスを選んだかを見ていたのでスカウト合戦が始まる。
人気職は極端に偏る。
まずは、盗賊と狩人。この二つは探索スキルを持つ。探索スキルは必須でパーティに一人は必要だ。
しかし、戦闘職と比べて戦闘力が落ちるため、自分がなろうとするものは少ない。だからこそ、彼らには人気が集まる。
次点で、戦士や魔法使い、僧侶あたりが人気だ。
戦士は純粋な壁としては防御力が高い分、武闘家か盗賊よりも優秀だ。
魔法使いは物理攻撃が効きづらい魔物を魔法で倒せるし、範囲攻撃ができる。
僧侶がいれば補助による強化や魔法による治療ができて継戦力が上がる。
パーティ数には限界がある。
四人までだ。とある隠しアイテムを使えば五人に増やせるが普通は四人。それを超えると、経験値が入らなくなる。
四人という限られた枠に役立たずを入れるスペースはない。理想を言えば、前衛、探索、魔法攻撃、回復。
壁にならない、魔法攻撃力は微妙、補助魔法は使えても回復ができない魔法戦士の席は四人という枠にはない。
だれも、魔法戦士である俺を誘いに来ないし、俺が誘っても断られるだろう。
「ユーヤと一緒なら、仲間になってもいい」 ルーナの体が光る。
これで彼女は盗賊だ。
そうして、全員のクラス選定が終わる。
全員、誰がどのクラスを選んだかを見ていたのでスカウト合戦が始まる。
人気職は極端に偏る。
まずは、盗賊と狩人。この二つは探索スキルを持つ。探索スキルは必須でパーティに一人は必要だ。
しかし、戦闘職と比べて戦闘力が落ちるため、自分がなろうとするものは少ない。だからこそ、彼らには人気が集まる。
次点で、戦士や魔法使い、僧侶あたりが人気だ。
戦士は純粋な壁としては防御力が高い分、武闘家か盗賊よりも優秀だ。
魔法使いは物理攻撃が効きづらい魔物を魔法で倒せるし、範囲攻撃ができる。
僧侶がいれば補助による強化や魔法による治療ができて継戦力が上がる。
パーティ数には限界がある。
四人までだ。とある隠しアイテムを使えば五人に増やせるが普通は四人。それを超えると、経験値が入らなくなる。
四人という限られた枠に役立たずを入れるスペースはない。理想を言えば、前衛、探索、魔法攻撃、回復。
壁にならない、魔法攻撃力は微妙、補助魔法は使えても回復ができない魔法戦士の席は四人という枠にはない。
だれも、魔法戦士である俺を誘いに来ないし、俺が誘っても断られるだろう。
「ユーヤと一緒なら、仲間になってもいい」 ルーナがさきほどから、スカウトを受けるたびにそう言っているが、俺が魔法戦士だと気付くと、みんな去っていく。
……こういうのを見ているとルーナに悪い気がしてきた。
今まではルーナの面倒を見る必要があったが、この機会にどこかのパーティに入れば、自立できる。
俺の都合で彼女をこれ以上縛りつけていいのだろうか?
ルーナがしょんぼりした顔で戻って来る。
「残念。誰も味方になってくれなかった」
「俺が魔法戦士なせいだな。このままだと俺とルーナは二人きりでダンジョンを探索することになる。ルーナ、義理で俺に付き合うことはない。好きなパーティに入っていいんだぞ? 四人で探索したほうが効率がいいし、安全だ」
唯一のパーティにして探索スキル持ちを失うのは痛い。
だけど、彼女をだまして縛るのは不公平だ。ちゃんと、ルーナにそういう道があることを教えてやる。
「好きなパーティに入っていいの?」
「ああ、盗賊なら引く手数多だ。まだメンバーを探している連中なら、きっと仲間にしてくれる」
ルーナはこくんと頷く。
「わかった。じゃあ、ルーナは好きなパーティに入る」
そう言われた瞬間、寂しいと思ったが、同時に仕方ないとも思う。
彼女が自分の意思で選んだのだから。俺に引き留める資格はない。
だが、ルーナはどこにも行かない。
そして……。
「ユーヤのパーティにルーナを入れて。ルーナはユーヤと一緒がいい」 ルーナがさきほどから、スカウトを受けるたびにそう言っているが、俺が魔法戦士だと気付くと、みんな去っていく。
……こういうのを見ているとルーナに悪い気がしてきた。
今まではルーナの面倒を見る必要があったが、この機会にどこかのパーティに入れば、自立できる。
俺の都合で彼女をこれ以上縛りつけていいのだろうか?
ルーナがしょんぼりした顔で戻って来る。
「残念。誰も味方になってくれなかった」
「俺が魔法戦士なせいだな。このままだと俺とルーナは二人きりでダンジョンを探索することになる。ルーナ、義理で俺に付き合うことはない。好きなパーティに入っていいんだぞ? 四人で探索したほうが効率がいいし、安全だ」
唯一のパーティにして探索スキル持ちを失うのは痛い。
だけど、彼女をだまして縛るのは不公平だ。ちゃんと、ルーナにそういう道があることを教えてやる。
「好きなパーティに入っていいの?」
「ああ、盗賊なら引く手数多だ。まだメンバーを探している連中なら、きっと仲間にしてくれる」
ルーナはこくんと頷く。
「わかった。じゃあ、ルーナは好きなパーティに入る」
そう言われた瞬間、寂しいと思ったが、同時に仕方ないとも思う。
彼女が自分の意思で選んだのだから。俺に引き留める資格はない。
だが、ルーナはどこにも行かない。
そして……。
「ユーヤのパーティにルーナを入れて。ルーナはユーヤと一緒がいい」 ルーナがさきほどから、スカウトを受けるたびにそう言っているが、俺が魔法戦士だと気付くと、みんな去っていく。
……こういうのを見ているとルーナに悪い気がしてきた。
今まではルーナの面倒を見る必要があったが、この機会にどこかのパーティに入れば、自立できる。
俺の都合で彼女をこれ以上縛りつけていいのだろうか?
ルーナがしょんぼりした顔で戻って来る。
「残念。誰も味方になってくれなかった」
「俺が魔法戦士なせいだな。このままだと俺とルーナは二人きりでダンジョンを探索することになる。ルーナ、義理で俺に付き合うことはない。好きなパーティに入っていいんだぞ? 四人で探索したほうが効率がいいし、安全だ」
唯一のパーティにして探索スキル持ちを失うのは痛い。
だけど、彼女をだまして縛るのは不公平だ。ちゃんと、ルーナにそういう道があることを教えてやる。
「好きなパーティに入っていいの?」
「ああ、盗賊なら引く手数多だ。まだメンバーを探している連中なら、きっと仲間にしてくれる」
ルーナはこくんと頷く。
「わかった。じゃあ、ルーナは好きなパーティに入る」
そう言われた瞬間、寂しいと思ったが、同時に仕方ないとも思う。
彼女が自分の意思で選んだのだから。俺に引き留める資格はない。
だが、ルーナはどこにも行かない。
そして……。
「ユーヤのパーティにルーナを入れて。ルーナはユーヤと一緒がいい」 手をまっすぐに伸ばしてくる。
「いいのか、二人だけだぞ」
「ん。ユーヤはいい人。ルーナは一緒にいたいって思う。だからいい」
ルーナは笑う。
……まったく可愛い奴だ。
俺を選んでくれた彼女を絶対に後悔させない。そう決意する。
「わかった。じゃあ、よろしくな。改めてパーティ結成だ」
「よろしく。ユーヤ。まずはドラゴンの財宝でも横取りしにいこ!」
「……死ぬから止めとけ」
ドラゴンはどれだけ弱い奴でもレベル30はないと死ねる。
ルーナの頭を撫でてやると、ルーナが気持ちよさそうに目を細めてキツネ尻尾を振る。
そんなルーナを見ながら、俺は今日は酒場でご馳走を頼んであげようと決めた。
明日になったら、早速ダンジョンに潜る。
この街に来た最大の理由。レベル上昇時のステータス上昇率の最大固定のために。 手をまっすぐに伸ばしてくる。
「いいのか、二人だけだぞ」
「ん。ユーヤはいい人。ルーナは一緒にいたいって思う。だからいい」
ルーナは笑う。
……まったく可愛い奴だ。
俺を選んでくれた彼女を絶対に後悔させない。そう決意する。
「わかった。じゃあ、よろしくな。改めてパーティ結成だ」
「よろしく。ユーヤ。まずはドラゴンの財宝でも横取りしにいこ!」
「……死ぬから止めとけ」
ドラゴンはどれだけ弱い奴でもレベル30はないと死ねる。
ルーナの頭を撫でてやると、ルーナが気持ちよさそうに目を細めてキツネ尻尾を振る。
そんなルーナを見ながら、俺は今日は酒場でご馳走を頼んであげようと決めた。
明日になったら、早速ダンジョンに潜る。
この街に来た最大の理由。レベル上昇時のステータス上昇率の最大固定のために。 手をまっすぐに伸ばしてくる。
「いいのか、二人だけだぞ」
「ん。ユーヤはいい人。ルーナは一緒にいたいって思う。だからいい」
ルーナは笑う。
……まったく可愛い奴だ。
俺を選んでくれた彼女を絶対に後悔させない。そう決意する。
「わかった。じゃあ、よろしくな。改めてパーティ結成だ」
「よろしく。ユーヤ。まずはドラゴンの財宝でも横取りしにいこ!」
「……死ぬから止めとけ」
ドラゴンはどれだけ弱い奴でもレベル30はないと死ねる。
ルーナの頭を撫でてやると、ルーナが気持ちよさそうに目を細めてキツネ尻尾を振る。
そんなルーナを見ながら、俺は今日は酒場でご馳走を頼んであげようと決めた。
明日になったら、早速ダンジョンに潜る。
この街に来た最大の理由。レベル上昇時のステータス上昇率の最大固定のために。 一章:おっさんはやり直す
第六話:おっさんはダンジョンに潜る クラスを得たことで、俺は魔法戦士。ルーナは盗賊へとなることができた。
クラスを得るだけで、5ポイントのスキルポイントを得られる。あとはレベルを上げる毎に1ポイントを得ていく。
その5ポイントを最初にどう振るかが重要だ。
もっとも、俺の場合はレベルリセット特典で20ポイントあるので、かなり余裕がある。
「美味しい。柔らかくて肉汁がすごい。今日のお肉はいいお肉」
「パーティ結成のお祝いだから奮発した。遠慮せずに食べろ。こんな機会はめったにないぞ。毎日、こんな高い肉は頼めないからな」
ルーナが目の色を変えて、巨大骨付き肉にかぶりつく。
キツネなのにリスのように頬を膨らませていておかしい。
今は酒場に来ており、安い日替わり定食ではなく高めのメニューをかなり頼んでいる。
表向きはパーティ結成をしたお祝いだが、本当のところは俺を選んでくれたルーナへの感謝の印だ。
自分の意思で、俺と共に冒険してくれると言ってくれたことが嬉しかった。
「ユーヤ、さっきからルーナの顔をじっと見すぎ。気になる」
口元を肉汁とソースで汚しながら、ルーナが顔を赤くしていた。
「すまん。無神経だったな。俺も手を付けるとするか。……その前に、乾杯だ。パーティの結成と、俺たちの今後の成功を祈って」
エールの入ったジョッキを掲げる。
ルーナも頷いてジュースの入ったジョッキを掲げた。 ……昨日、彼女は『ユーヤと同じの』と言ってエールを注文したが苦くて飲めなかったこともあり、素直にジュースを頼んでいる。
「「乾杯」」
ジョッキをぶつけ合う。
久しぶりのパーティ。この温かさが懐かしく、愛おしく思えた。
◇
次の日もギルドに向かった。
今日も帽子で顔を隠している。かつての仲間でありギルドで受付嬢をやっているエルフのフィルに見つかると面倒だ。 クラスを得たことで、俺は魔法戦士。ルーナは盗賊へとなることができた。
クラスを得るだけで、5ポイントのスキルポイントを得られる。あとはレベルを上げる毎に1ポイントを得ていく。
その5ポイントを最初にどう振るかが重要だ。
もっとも、俺の場合はレベルリセット特典で20ポイントあるので、かなり余裕がある。
「美味しい。柔らかくて肉汁がすごい。今日のお肉はいいお肉」
「パーティ結成のお祝いだから奮発した。遠慮せずに食べろ。こんな機会はめったにないぞ。毎日、こんな高い肉は頼めないからな」
ルーナが目の色を変えて、巨大骨付き肉にかぶりつく。
キツネなのにリスのように頬を膨らませていておかしい。
今は酒場に来ており、安い日替わり定食ではなく高めのメニューをかなり頼んでいる。
表向きはパーティ結成をしたお祝いだが、本当のところは俺を選んでくれたルーナへの感謝の印だ。
自分の意思で、俺と共に冒険してくれると言ってくれたことが嬉しかった。
「ユーヤ、さっきからルーナの顔をじっと見すぎ。気になる」
口元を肉汁とソースで汚しながら、ルーナが顔を赤くしていた。
「すまん。無神経だったな。俺も手を付けるとするか。……その前に、乾杯だ。パーティの結成と、俺たちの今後の成功を祈って」
エールの入ったジョッキを掲げる。
ルーナも頷いてジュースの入ったジョッキを掲げた。 ……昨日、彼女は『ユーヤと同じの』と言ってエールを注文したが苦くて飲めなかったこともあり、素直にジュースを頼んでいる。
「「乾杯」」
ジョッキをぶつけ合う。
久しぶりのパーティ。この温かさが懐かしく、愛おしく思えた。
◇
次の日もギルドに向かった。
今日も帽子で顔を隠している。かつての仲間でありギルドで受付嬢をやっているエルフのフィルに見つかると面倒だ。 クラスを得たことで、俺は魔法戦士。ルーナは盗賊へとなることができた。
クラスを得るだけで、5ポイントのスキルポイントを得られる。あとはレベルを上げる毎に1ポイントを得ていく。
その5ポイントを最初にどう振るかが重要だ。
もっとも、俺の場合はレベルリセット特典で20ポイントあるので、かなり余裕がある。
「美味しい。柔らかくて肉汁がすごい。今日のお肉はいいお肉」
「パーティ結成のお祝いだから奮発した。遠慮せずに食べろ。こんな機会はめったにないぞ。毎日、こんな高い肉は頼めないからな」
ルーナが目の色を変えて、巨大骨付き肉にかぶりつく。
キツネなのにリスのように頬を膨らませていておかしい。
今は酒場に来ており、安い日替わり定食ではなく高めのメニューをかなり頼んでいる。
表向きはパーティ結成をしたお祝いだが、本当のところは俺を選んでくれたルーナへの感謝の印だ。
自分の意思で、俺と共に冒険してくれると言ってくれたことが嬉しかった。
「ユーヤ、さっきからルーナの顔をじっと見すぎ。気になる」
口元を肉汁とソースで汚しながら、ルーナが顔を赤くしていた。
「すまん。無神経だったな。俺も手を付けるとするか。……その前に、乾杯だ。パーティの結成と、俺たちの今後の成功を祈って」
エールの入ったジョッキを掲げる。
ルーナも頷いてジュースの入ったジョッキを掲げた。 ……昨日、彼女は『ユーヤと同じの』と言ってエールを注文したが苦くて飲めなかったこともあり、素直にジュースを頼んでいる。
「「乾杯」」
ジョッキをぶつけ合う。
久しぶりのパーティ。この温かさが懐かしく、愛おしく思えた。
◇
次の日もギルドに向かった。
今日も帽子で顔を隠している。かつての仲間でありギルドで受付嬢をやっているエルフのフィルに見つかると面倒だ。 「ユーヤの言う通り、全部、【気配感知】にスキルポイントを使った」
「いい子だ。それがあるのとないのでは全然違うからな」
盗賊は探索スキルが取得できる。
探索スキルの中でも【気配感知】は非常に有用なスキルだ。
探索で一番怖いのは、不意打ち。魔物というのは狡猾で、匂いや音を立てずに近づく魔物もいれば、冒険者の死角に潜み奇襲をする魔物、さらには風景の中に擬態して待ち構えているなんてやつまでいる。
扉を開けた瞬間、落とし穴にはまって、敵の群れの中なんてこともざらだ。
【気配感知】があれば、そういったものを防げる。
スキルは取得しただけではレベル1、さらにスキルポイントをつぎ込むことで、スキルのレベルを上げられる。
【気配感知】の場合は、レベル1時点だと敵が半径20メートル以内にいるかどうかしかわからない。
レベルを上げるごとに有効範囲が20×レベルで増えていき、レベル3で範囲内の魔物の数がわかり、レベル5になると相対距離がわかる。
ルーナのように、レベル5の【気配感知】なら、半径100メートル内のすべての魔物がどこに何匹潜んでいるか感じ取れるのだ。
経験の長い冒険者ほど【気配感知】の重要性を知っている。 「ユーヤの言う通り、全部、【気配感知】にスキルポイントを使った」
「いい子だ。それがあるのとないのでは全然違うからな」
盗賊は探索スキルが取得できる。
探索スキルの中でも【気配感知】は非常に有用なスキルだ。
探索で一番怖いのは、不意打ち。魔物というのは狡猾で、匂いや音を立てずに近づく魔物もいれば、冒険者の死角に潜み奇襲をする魔物、さらには風景の中に擬態して待ち構えているなんてやつまでいる。
扉を開けた瞬間、落とし穴にはまって、敵の群れの中なんてこともざらだ。
【気配感知】があれば、そういったものを防げる。
スキルは取得しただけではレベル1、さらにスキルポイントをつぎ込むことで、スキルのレベルを上げられる。
【気配感知】の場合は、レベル1時点だと敵が半径20メートル以内にいるかどうかしかわからない。
レベルを上げるごとに有効範囲が20×レベルで増えていき、レベル3で範囲内の魔物の数がわかり、レベル5になると相対距離がわかる。
ルーナのように、レベル5の【気配感知】なら、半径100メートル内のすべての魔物がどこに何匹潜んでいるか感じ取れるのだ。
経験の長い冒険者ほど【気配感知】の重要性を知っている。 「ユーヤの言う通り、全部、【気配感知】にスキルポイントを使った」
「いい子だ。それがあるのとないのでは全然違うからな」
盗賊は探索スキルが取得できる。
探索スキルの中でも【気配感知】は非常に有用なスキルだ。
探索で一番怖いのは、不意打ち。魔物というのは狡猾で、匂いや音を立てずに近づく魔物もいれば、冒険者の死角に潜み奇襲をする魔物、さらには風景の中に擬態して待ち構えているなんてやつまでいる。
扉を開けた瞬間、落とし穴にはまって、敵の群れの中なんてこともざらだ。
【気配感知】があれば、そういったものを防げる。
スキルは取得しただけではレベル1、さらにスキルポイントをつぎ込むことで、スキルのレベルを上げられる。
【気配感知】の場合は、レベル1時点だと敵が半径20メートル以内にいるかどうかしかわからない。
レベルを上げるごとに有効範囲が20×レベルで増えていき、レベル3で範囲内の魔物の数がわかり、レベル5になると相対距離がわかる。
ルーナのように、レベル5の【気配感知】なら、半径100メートル内のすべての魔物がどこに何匹潜んでいるか感じ取れるのだ。
経験の長い冒険者ほど【気配感知】の重要性を知っている。 「ユーヤ、やっぱり攻撃スキルとかのほうが良かったかも。アサシンエッジとか、かっこいい」
「ルーナもダンジョン探索を始めてみればわかるさ。潜んでいる敵を感知できることの安心感、敵を簡単に見つけられることでの狩り効率の大幅な上昇。それらはどんな攻撃スキルにも勝る。攻撃スキルはレベルが上がってからとればいい」
ルーナは首を傾げているが、頭のいい子だから、すぐに気付くだろう。
「ユーヤはどんなスキルを取ったの?」
「俺は普通に攻撃系の特技優先だ。これは見てのお楽しみ。ルーナが敵を見つけてくれる分、俺が戦う」
魔法戦士という産廃職業。
その隠された力を活かすスキルを取っている。
今から、それを使うのが楽しみだ。
◇
ギルドに入り、部屋の奥にある魔法の扉を使いダンジョンに入る。
ここは低レベル者専用のダンジョンだ。 「ユーヤ、やっぱり攻撃スキルとかのほうが良かったかも。アサシンエッジとか、かっこいい」
「ルーナもダンジョン探索を始めてみればわかるさ。潜んでいる敵を感知できることの安心感、敵を簡単に見つけられることでの狩り効率の大幅な上昇。それらはどんな攻撃スキルにも勝る。攻撃スキルはレベルが上がってからとればいい」
ルーナは首を傾げているが、頭のいい子だから、すぐに気付くだろう。
「ユーヤはどんなスキルを取ったの?」
「俺は普通に攻撃系の特技優先だ。これは見てのお楽しみ。ルーナが敵を見つけてくれる分、俺が戦う」
魔法戦士という産廃職業。
その隠された力を活かすスキルを取っている。
今から、それを使うのが楽しみだ。
◇
ギルドに入り、部屋の奥にある魔法の扉を使いダンジョンに入る。
ここは低レベル者専用のダンジョンだ。 「ユーヤ、やっぱり攻撃スキルとかのほうが良かったかも。アサシンエッジとか、かっこいい」
「ルーナもダンジョン探索を始めてみればわかるさ。潜んでいる敵を感知できることの安心感、敵を簡単に見つけられることでの狩り効率の大幅な上昇。それらはどんな攻撃スキルにも勝る。攻撃スキルはレベルが上がってからとればいい」
ルーナは首を傾げているが、頭のいい子だから、すぐに気付くだろう。
「ユーヤはどんなスキルを取ったの?」
「俺は普通に攻撃系の特技優先だ。これは見てのお楽しみ。ルーナが敵を見つけてくれる分、俺が戦う」
魔法戦士という産廃職業。
その隠された力を活かすスキルを取っている。
今から、それを使うのが楽しみだ。
◇
ギルドに入り、部屋の奥にある魔法の扉を使いダンジョンに入る。
ここは低レベル者専用のダンジョンだ。 ギルドでは低レベル冒険者の支援に力を入れている。低レベルの冒険者はどうしたって、普通のダンジョンに潜れば、熟練の冒険者との獲物の取り合いの競争に負けて、うまく成長できない。
再配置があるとはいえ、魔物は限りある資源。儲けを大きくしようと、冒険者たちは必死になる。
だから、ルンブルクのギルドには低レベルの冒険者しか入場を許可しないダンジョンをいくつか用意してある。
そのおかげで、低レベルの冒険者は比較的安全かつ、楽にレベルを上げられる。
そのうちの一つに入る。
……俺のゲーム知識では、ここにレベル上昇時のステータス固定の隠し部屋が存在する。
低レベル冒険者にしか入れないダンジョンに隠し部屋を用意するなんて性格が悪い。
魔法の扉による転移が終わる。
たどり着いたのは岩山ダンジョン、山を踏破していくタイプで、山の険しさによって難易度は大きく変わる。
ここは、道幅が広い上になだらかな登りで、ハイキングでもやっているような優しいダンジョンだ。
初心者にはもってこいだろう。
「ユーヤ、すごい。建物の中にいたのに、いきなり岩山」
「ダンジョンはこういうものだ」
ルーナは驚いて、きょろきょろとあたりを見ている。
この子はダンジョンの水晶に閉じ込められていたはずなのに、初めてダンジョンに来たような反応だ。
ふと気配を感じる。
隣にほかの冒険者たちが転移してくる。
高価な魔法金属の鎧に身を包んだ若い冒険者の三人組。……ギルドで俺たちに絡んできた奴らだ。
「ちっ、おっさんもここに来たのか」
俺を見て、彼らは嫌そうな顔をした。
「そうだ。ここでレベル上げをしようと思ってね」
「……好きにしろよ。俺たちの邪魔をすんなよ。そんな貧相な皮鎧で来るなんて、ばっかじゃねえの。やばくなっても助けないからな」
「冒険者は自己責任だ。誰かに頼るつもりはないさ。お互い、がんばろう」
「俺らは必死こかなくても余裕だっつうの。おまえらいくぞ」 キンタマしまい忘れちゃった😅
ワオ!😯めちゃオチャメ!🤣 ギルドでは低レベル冒険者の支援に力を入れている。低レベルの冒険者はどうしたって、普通のダンジョンに潜れば、熟練の冒険者との獲物の取り合いの競争に負けて、うまく成長できない。
再配置があるとはいえ、魔物は限りある資源。儲けを大きくしようと、冒険者たちは必死になる。
だから、ルンブルクのギルドには低レベルの冒険者しか入場を許可しないダンジョンをいくつか用意してある。
そのおかげで、低レベルの冒険者は比較的安全かつ、楽にレベルを上げられる。
そのうちの一つに入る。
……俺のゲーム知識では、ここにレベル上昇時のステータス固定の隠し部屋が存在する。
低レベル冒険者にしか入れないダンジョンに隠し部屋を用意するなんて性格が悪い。
魔法の扉による転移が終わる。
たどり着いたのは岩山ダンジョン、山を踏破していくタイプで、山の険しさによって難易度は大きく変わる。
ここは、道幅が広い上になだらかな登りで、ハイキングでもやっているような優しいダンジョンだ。
初心者にはもってこいだろう。
「ユーヤ、すごい。建物の中にいたのに、いきなり岩山」
「ダンジョンはこういうものだ」
ルーナは驚いて、きょろきょろとあたりを見ている。
この子はダンジョンの水晶に閉じ込められていたはずなのに、初めてダンジョンに来たような反応だ。
ふと気配を感じる。
隣にほかの冒険者たちが転移してくる。
高価な魔法金属の鎧に身を包んだ若い冒険者の三人組。……ギルドで俺たちに絡んできた奴らだ。
「ちっ、おっさんもここに来たのか」
俺を見て、彼らは嫌そうな顔をした。
「そうだ。ここでレベル上げをしようと思ってね」
「……好きにしろよ。俺たちの邪魔をすんなよ。そんな貧相な皮鎧で来るなんて、ばっかじゃねえの。やばくなっても助けないからな」
「冒険者は自己責任だ。誰かに頼るつもりはないさ。お互い、がんばろう」
「俺らは必死こかなくても余裕だっつうの。おまえらいくぞ」 ギルドでは低レベル冒険者の支援に力を入れている。低レベルの冒険者はどうしたって、普通のダンジョンに潜れば、熟練の冒険者との獲物の取り合いの競争に負けて、うまく成長できない。
再配置があるとはいえ、魔物は限りある資源。儲けを大きくしようと、冒険者たちは必死になる。
だから、ルンブルクのギルドには低レベルの冒険者しか入場を許可しないダンジョンをいくつか用意してある。
そのおかげで、低レベルの冒険者は比較的安全かつ、楽にレベルを上げられる。
そのうちの一つに入る。
……俺のゲーム知識では、ここにレベル上昇時のステータス固定の隠し部屋が存在する。
低レベル冒険者にしか入れないダンジョンに隠し部屋を用意するなんて性格が悪い。
魔法の扉による転移が終わる。
たどり着いたのは岩山ダンジョン、山を踏破していくタイプで、山の険しさによって難易度は大きく変わる。
ここは、道幅が広い上になだらかな登りで、ハイキングでもやっているような優しいダンジョンだ。
初心者にはもってこいだろう。
「ユーヤ、すごい。建物の中にいたのに、いきなり岩山」
「ダンジョンはこういうものだ」
ルーナは驚いて、きょろきょろとあたりを見ている。
この子はダンジョンの水晶に閉じ込められていたはずなのに、初めてダンジョンに来たような反応だ。
ふと気配を感じる。
隣にほかの冒険者たちが転移してくる。
高価な魔法金属の鎧に身を包んだ若い冒険者の三人組。……ギルドで俺たちに絡んできた奴らだ。
「ちっ、おっさんもここに来たのか」
俺を見て、彼らは嫌そうな顔をした。
「そうだ。ここでレベル上げをしようと思ってね」
「……好きにしろよ。俺たちの邪魔をすんなよ。そんな貧相な皮鎧で来るなんて、ばっかじゃねえの。やばくなっても助けないからな」
「冒険者は自己責任だ。誰かに頼るつもりはないさ。お互い、がんばろう」
「俺らは必死こかなくても余裕だっつうの。おまえらいくぞ」 意外なことに、俺たちを無視して頂上へと昇っていく。
てっきり、喧嘩を売られると思ったが、ギルドでの説教が効いているのかもしれない。
「ユーヤ、ルーナはあの人たち嫌い」
「そう言ってやるな。ああやって突っ張るのは駆け出しの冒険者の多くが通る道だ。舐められないように必死なんだよ。……まあ、どこかで痛い目を見ることにはなるがな」
実のところ、いらつくより、ほほえましいという感情のほうが大きい。
あれは、一種のはしかのようなものだ。
「ユーヤは優しい。でも、あの人たちの言うことも一理ある。皮の鎧より、金属の鎧のほうが強そう」
「それも、初心者にありがちな選択だね。ダンジョンの探索は何時間も、ときには何日も続く。重い上に、蒸し暑い鎧なんて着ていたらすぐにばてる。身軽で疲れない皮鎧のほうが使い勝手がいいのさ」
熟練者ほど、金属鎧ではなく皮鎧。それも重要な部分以外を薄くして軽量化した軽鎧を好む。
もともと、俺は剣で受け流すスタイルなので防御力は重視ししていない。
……それに皮にもいろいろある。
俺の纏っている皮鎧に使われているのは上位のドラゴンの被膜。見た目はそこらの皮鎧だが、あの坊ちゃんの金属鎧より数段上だ。防御力、炎耐性、氷耐性、魔法耐性に優れ、快適かつ実践的な形状にオーダーメードで作ってもらっている。
見るものが見たら、これの価値に気付くだろう。
「冒険者は奥が深い」
「無駄話は終わりだ。先に進もう。ルーナの【気配感知】、頼りにしてるぞ」
「ん。任せて、ルーナには魔物が見えている」
俺は頷いて、二人でダンジョンの探索を始めた。
◇ 意外なことに、俺たちを無視して頂上へと昇っていく。
てっきり、喧嘩を売られると思ったが、ギルドでの説教が効いているのかもしれない。
「ユーヤ、ルーナはあの人たち嫌い」
「そう言ってやるな。ああやって突っ張るのは駆け出しの冒険者の多くが通る道だ。舐められないように必死なんだよ。……まあ、どこかで痛い目を見ることにはなるがな」
実のところ、いらつくより、ほほえましいという感情のほうが大きい。
あれは、一種のはしかのようなものだ。
「ユーヤは優しい。でも、あの人たちの言うことも一理ある。皮の鎧より、金属の鎧のほうが強そう」
「それも、初心者にありがちな選択だね。ダンジョンの探索は何時間も、ときには何日も続く。重い上に、蒸し暑い鎧なんて着ていたらすぐにばてる。身軽で疲れない皮鎧のほうが使い勝手がいいのさ」
熟練者ほど、金属鎧ではなく皮鎧。それも重要な部分以外を薄くして軽量化した軽鎧を好む。
もともと、俺は剣で受け流すスタイルなので防御力は重視ししていない。
……それに皮にもいろいろある。
俺の纏っている皮鎧に使われているのは上位のドラゴンの被膜。見た目はそこらの皮鎧だが、あの坊ちゃんの金属鎧より数段上だ。防御力、炎耐性、氷耐性、魔法耐性に優れ、快適かつ実践的な形状にオーダーメードで作ってもらっている。
見るものが見たら、これの価値に気付くだろう。
「冒険者は奥が深い」
「無駄話は終わりだ。先に進もう。ルーナの【気配感知】、頼りにしてるぞ」
「ん。任せて、ルーナには魔物が見えている」
俺は頷いて、二人でダンジョンの探索を始めた。
◇ 意外なことに、俺たちを無視して頂上へと昇っていく。
てっきり、喧嘩を売られると思ったが、ギルドでの説教が効いているのかもしれない。
「ユーヤ、ルーナはあの人たち嫌い」
「そう言ってやるな。ああやって突っ張るのは駆け出しの冒険者の多くが通る道だ。舐められないように必死なんだよ。……まあ、どこかで痛い目を見ることにはなるがな」
実のところ、いらつくより、ほほえましいという感情のほうが大きい。
あれは、一種のはしかのようなものだ。
「ユーヤは優しい。でも、あの人たちの言うことも一理ある。皮の鎧より、金属の鎧のほうが強そう」
「それも、初心者にありがちな選択だね。ダンジョンの探索は何時間も、ときには何日も続く。重い上に、蒸し暑い鎧なんて着ていたらすぐにばてる。身軽で疲れない皮鎧のほうが使い勝手がいいのさ」
熟練者ほど、金属鎧ではなく皮鎧。それも重要な部分以外を薄くして軽量化した軽鎧を好む。
もともと、俺は剣で受け流すスタイルなので防御力は重視ししていない。
……それに皮にもいろいろある。
俺の纏っている皮鎧に使われているのは上位のドラゴンの被膜。見た目はそこらの皮鎧だが、あの坊ちゃんの金属鎧より数段上だ。防御力、炎耐性、氷耐性、魔法耐性に優れ、快適かつ実践的な形状にオーダーメードで作ってもらっている。
見るものが見たら、これの価値に気付くだろう。
「冒険者は奥が深い」
「無駄話は終わりだ。先に進もう。ルーナの【気配感知】、頼りにしてるぞ」
「ん。任せて、ルーナには魔物が見えている」
俺は頷いて、二人でダンジョンの探索を始めた。
◇ 岩山を上へ上へと昇っていく。
ルーナのキツネ耳がぴくぴくっと動いた。
「魔物がいる、まっすぐいった曲がり角から数メートル先、二匹」
「そうか、なら戻って左の道に行こう」
「ユーヤ、さっきから逃げてばっかり。これじゃ強くなれない」
「……悪いけど、まだレベルを上げるわけにはいかない。大事なイベントがあるからな」
ルーナの【気配感知】を使い、魔物を徹底的に避けながら、ときには隠れてやり過ごし、少しずつ頂上に近づいていく。
もし、ルーナがいなければこんな芸当は不可能だっただろう。
レベル上昇時のステータスアップ幅を最大にする前のレベルアップはもったいない。そこで低い上昇値を引いてしまったら、取り返しがつかなくなる。
レベルアップできる機会はたった49回しかない。一度足りとも無駄にできない。
そして、一度も戦わないまま切り立った崖に到達した。
ここは本来の頂上ではない。
「行き止まり……。もどろう、ユーヤ」
「いや、ここでいい」
魔法袋のなかから巨大な輪がついた杭を取り出す。
その杭を大地に突き刺し、思いっきり踏みつける。
輪っかに縄をかけてしっかりと結ぶ。念のために二本。縄を崖から落とす。
この縄はマジックアイテムで、持ち主の意思でどこまでも伸びる。
「この崖を二百メートル下りた先に、隠し部屋があるんだ。今回の目的地だよ」
「……意地悪な隠し場所、こんな崖を降りようなんて誰も思わない」
「俺もそう思う。隠し部屋を見つけた奴は頭がおかしい」
超やりこみプレイヤーへのおまけ要素だ。
これに気付いたやつは本当にすごい。 岩山を上へ上へと昇っていく。
ルーナのキツネ耳がぴくぴくっと動いた。
「魔物がいる、まっすぐいった曲がり角から数メートル先、二匹」
「そうか、なら戻って左の道に行こう」
「ユーヤ、さっきから逃げてばっかり。これじゃ強くなれない」
「……悪いけど、まだレベルを上げるわけにはいかない。大事なイベントがあるからな」
ルーナの【気配感知】を使い、魔物を徹底的に避けながら、ときには隠れてやり過ごし、少しずつ頂上に近づいていく。
もし、ルーナがいなければこんな芸当は不可能だっただろう。
レベル上昇時のステータスアップ幅を最大にする前のレベルアップはもったいない。そこで低い上昇値を引いてしまったら、取り返しがつかなくなる。
レベルアップできる機会はたった49回しかない。一度足りとも無駄にできない。
そして、一度も戦わないまま切り立った崖に到達した。
ここは本来の頂上ではない。
「行き止まり……。もどろう、ユーヤ」
「いや、ここでいい」
魔法袋のなかから巨大な輪がついた杭を取り出す。
その杭を大地に突き刺し、思いっきり踏みつける。
輪っかに縄をかけてしっかりと結ぶ。念のために二本。縄を崖から落とす。
この縄はマジックアイテムで、持ち主の意思でどこまでも伸びる。
「この崖を二百メートル下りた先に、隠し部屋があるんだ。今回の目的地だよ」
「……意地悪な隠し場所、こんな崖を降りようなんて誰も思わない」
「俺もそう思う。隠し部屋を見つけた奴は頭がおかしい」
超やりこみプレイヤーへのおまけ要素だ。
これに気付いたやつは本当にすごい。 ボクのキンタマ可愛くね?🤔
てかボクが可愛くね?😤 「俺はこのまま下りていく。縄で崖から下りていくのは危ない。ルーナはここで留守番していてもいいぞ」
そういうと、ルーナがぶんぶんと首を振る。
「ユーヤと一緒がいい。ルーナもがんばる」
「わかった。ルーナが落ちたときにフォローできるように俺が先に行く」
「ん。落ちたら受け止めて」
「そのつもりだが。そうならないように頑張ってくれ」
心臓に悪すぎるシチュエーションだ。
俺は縄を掴み、下へ下へと向かっていく。
ルーナがやってきた。キツネ獣人だけあって身軽だ。危なげない動きで、安心する。
……ただ、下から見上げるのは問題だな。店員に勧められるがままに防具を買いそろえたが、次はちゃんとスカートではなくズボンを買い与えよう。
そうして、崖を下り続け目的地にたどり着いた。
断崖絶壁をくりぬくように横穴があり、そこをまっすぐに進むと封印された扉がある。
この扉の封印解除条件は、レベルリセットを行っていること。
俺が扉に触れると封印が解かれて一人でに扉が開いた。
「ルーナ、先を急ごう」
「ん。わくわくしてきた」
さあ、行こう。
レベル上昇時のステータス固定はこの先だ。
俺を苦しめ続けた低ステータスの呪いから、やっと解放される。 「俺はこのまま下りていく。縄で崖から下りていくのは危ない。ルーナはここで留守番していてもいいぞ」
そういうと、ルーナがぶんぶんと首を振る。
「ユーヤと一緒がいい。ルーナもがんばる」
「わかった。ルーナが落ちたときにフォローできるように俺が先に行く」
「ん。落ちたら受け止めて」
「そのつもりだが。そうならないように頑張ってくれ」
心臓に悪すぎるシチュエーションだ。
俺は縄を掴み、下へ下へと向かっていく。
ルーナがやってきた。キツネ獣人だけあって身軽だ。危なげない動きで、安心する。
……ただ、下から見上げるのは問題だな。店員に勧められるがままに防具を買いそろえたが、次はちゃんとスカートではなくズボンを買い与えよう。
そうして、崖を下り続け目的地にたどり着いた。
断崖絶壁をくりぬくように横穴があり、そこをまっすぐに進むと封印された扉がある。
この扉の封印解除条件は、レベルリセットを行っていること。
俺が扉に触れると封印が解かれて一人でに扉が開いた。
「ルーナ、先を急ごう」
「ん。わくわくしてきた」
さあ、行こう。
レベル上昇時のステータス固定はこの先だ。
俺を苦しめ続けた低ステータスの呪いから、やっと解放される。 「俺はこのまま下りていく。縄で崖から下りていくのは危ない。ルーナはここで留守番していてもいいぞ」
そういうと、ルーナがぶんぶんと首を振る。
「ユーヤと一緒がいい。ルーナもがんばる」
「わかった。ルーナが落ちたときにフォローできるように俺が先に行く」
「ん。落ちたら受け止めて」
「そのつもりだが。そうならないように頑張ってくれ」
心臓に悪すぎるシチュエーションだ。
俺は縄を掴み、下へ下へと向かっていく。
ルーナがやってきた。キツネ獣人だけあって身軽だ。危なげない動きで、安心する。
……ただ、下から見上げるのは問題だな。店員に勧められるがままに防具を買いそろえたが、次はちゃんとスカートではなくズボンを買い与えよう。
そうして、崖を下り続け目的地にたどり着いた。
断崖絶壁をくりぬくように横穴があり、そこをまっすぐに進むと封印された扉がある。
この扉の封印解除条件は、レベルリセットを行っていること。
俺が扉に触れると封印が解かれて一人でに扉が開いた。
「ルーナ、先を急ごう」
「ん。わくわくしてきた」
さあ、行こう。
レベル上昇時のステータス固定はこの先だ。
俺を苦しめ続けた低ステータスの呪いから、やっと解放される。 一章:おっさんはやり直す
第七話:おっさんは呪縛から解放される 封印された扉が開いた。
封印の解除条件はレベルリセットをしていること。
この隠し部屋は、死ぬほど意地が悪いと思う。
ここは、ギルドに管理された低レベル冒険者しか入れないダンジョンであり、隠し扉を開くにはレベルリセットをしている必要がある。
低レベル冒険者が見つけても、隠し部屋の中に入れない。
高レベルの冒険者はそもそもダンジョンに入れすらしない。
レベルリセットした冒険者なら、再び来ることもあるだろうが実は罠が存在する。
クラスを与えてくれる始まりの街というのは複数あり、レベル上げだけを考えるなら、もっと効率のいい街が存在し、ゲームをやり込んでいる人間ほど、レベルリセット時にルンブルクは選ばない。
はっきり言って、始めにこの隠し部屋を見つけた奴は頭がおかしい。どれだけやりこんでいたのだろう。
扉の先に進み、隠し部屋にたどり着いた。
部屋の中の構造は、レベルリセットをした隠し部屋と一緒だ。
光水晶に照らされた石造りの部屋。
中央に噴水が設置され、奥には女神像。
……まさか、またあれはないだろうな?
「ユーヤ、きょろきょろとしてどうしたの?」
「なんでもない。敵がいないか一応探していたんだ」
「だいじょーぶ、ルーナの【気配感知】には何も引っ掛かってない」
ルーナがどや顔で胸をぽんっと叩く。
それを見て苦笑する。
実のところ、俺が警戒していたのは、またルーナのように水晶に閉じ込められた少女がいないかだ。
ルーナは素直でいい子なので役に立ってくれているが、さすがにもう一人面倒を見るのはごめんこうむりたい。 封印された扉が開いた。
封印の解除条件はレベルリセットをしていること。
この隠し部屋は、死ぬほど意地が悪いと思う。
ここは、ギルドに管理された低レベル冒険者しか入れないダンジョンであり、隠し扉を開くにはレベルリセットをしている必要がある。
低レベル冒険者が見つけても、隠し部屋の中に入れない。
高レベルの冒険者はそもそもダンジョンに入れすらしない。
レベルリセットした冒険者なら、再び来ることもあるだろうが実は罠が存在する。
クラスを与えてくれる始まりの街というのは複数あり、レベル上げだけを考えるなら、もっと効率のいい街が存在し、ゲームをやり込んでいる人間ほど、レベルリセット時にルンブルクは選ばない。
はっきり言って、始めにこの隠し部屋を見つけた奴は頭がおかしい。どれだけやりこんでいたのだろう。
扉の先に進み、隠し部屋にたどり着いた。
部屋の中の構造は、レベルリセットをした隠し部屋と一緒だ。
光水晶に照らされた石造りの部屋。
中央に噴水が設置され、奥には女神像。
……まさか、またあれはないだろうな?
「ユーヤ、きょろきょろとしてどうしたの?」
「なんでもない。敵がいないか一応探していたんだ」
「だいじょーぶ、ルーナの【気配感知】には何も引っ掛かってない」
ルーナがどや顔で胸をぽんっと叩く。
それを見て苦笑する。
実のところ、俺が警戒していたのは、またルーナのように水晶に閉じ込められた少女がいないかだ。
ルーナは素直でいい子なので役に立ってくれているが、さすがにもう一人面倒を見るのはごめんこうむりたい。 封印された扉が開いた。
封印の解除条件はレベルリセットをしていること。
この隠し部屋は、死ぬほど意地が悪いと思う。
ここは、ギルドに管理された低レベル冒険者しか入れないダンジョンであり、隠し扉を開くにはレベルリセットをしている必要がある。
低レベル冒険者が見つけても、隠し部屋の中に入れない。
高レベルの冒険者はそもそもダンジョンに入れすらしない。
レベルリセットした冒険者なら、再び来ることもあるだろうが実は罠が存在する。
クラスを与えてくれる始まりの街というのは複数あり、レベル上げだけを考えるなら、もっと効率のいい街が存在し、ゲームをやり込んでいる人間ほど、レベルリセット時にルンブルクは選ばない。
はっきり言って、始めにこの隠し部屋を見つけた奴は頭がおかしい。どれだけやりこんでいたのだろう。
扉の先に進み、隠し部屋にたどり着いた。
部屋の中の構造は、レベルリセットをした隠し部屋と一緒だ。
光水晶に照らされた石造りの部屋。
中央に噴水が設置され、奥には女神像。
……まさか、またあれはないだろうな?
「ユーヤ、きょろきょろとしてどうしたの?」
「なんでもない。敵がいないか一応探していたんだ」
「だいじょーぶ、ルーナの【気配感知】には何も引っ掛かってない」
ルーナがどや顔で胸をぽんっと叩く。
それを見て苦笑する。
実のところ、俺が警戒していたのは、またルーナのように水晶に閉じ込められた少女がいないかだ。
ルーナは素直でいい子なので役に立ってくれているが、さすがにもう一人面倒を見るのはごめんこうむりたい。 さて、儀式をしよう。
レベルリセットの女神像も、ステータス上昇の女神像も同じ存在かみさまによって生み出されたものという設定がある。
使い方は一緒だ。
壁にかけられている光水晶を一ついただく。
そして、女神像の首飾りにはめ込んだ。
女神像に光が満ち、脳裏に声が聞こえた。
……来たな。
『数多の冒険を潜り抜けた者よ。よくぞ、私を見つけてくださいました。汝の努力と探求心を称え、力を与えましょう……どうか、この力で闇を振り払ってください』
女神像の光が俺に向かって放たれる。
ぽかぽかとする。
内側に力が満ちていく。
ああ、わかる。たしかに俺は女神の祝福を得た。
光が止む。
自然と顔がにやける。
ついに、ついにやったのだ。
これで、レベル上昇時には必ず最大値を引ける。
俺は運が悪かった。それだけで努力していない連中に追い抜かれていった。
どうしようもない壁にぶつかった。
壁を越えよう、越えようともがき続け、努力し続け、強くなった。低いステータスを補っていった。
だけど、壁を乗り越えるたびに、新たな壁が現れ、苦しみ続けた。 さて、儀式をしよう。
レベルリセットの女神像も、ステータス上昇の女神像も同じ存在かみさまによって生み出されたものという設定がある。
使い方は一緒だ。
壁にかけられている光水晶を一ついただく。
そして、女神像の首飾りにはめ込んだ。
女神像に光が満ち、脳裏に声が聞こえた。
……来たな。
『数多の冒険を潜り抜けた者よ。よくぞ、私を見つけてくださいました。汝の努力と探求心を称え、力を与えましょう……どうか、この力で闇を振り払ってください』
女神像の光が俺に向かって放たれる。
ぽかぽかとする。
内側に力が満ちていく。
ああ、わかる。たしかに俺は女神の祝福を得た。
光が止む。
自然と顔がにやける。
ついに、ついにやったのだ。
これで、レベル上昇時には必ず最大値を引ける。
俺は運が悪かった。それだけで努力していない連中に追い抜かれていった。
どうしようもない壁にぶつかった。
壁を越えよう、越えようともがき続け、努力し続け、強くなった。低いステータスを補っていった。
だけど、壁を乗り越えるたびに、新たな壁が現れ、苦しみ続けた。 さて、儀式をしよう。
レベルリセットの女神像も、ステータス上昇の女神像も同じ存在かみさまによって生み出されたものという設定がある。
使い方は一緒だ。
壁にかけられている光水晶を一ついただく。
そして、女神像の首飾りにはめ込んだ。
女神像に光が満ち、脳裏に声が聞こえた。
……来たな。
『数多の冒険を潜り抜けた者よ。よくぞ、私を見つけてくださいました。汝の努力と探求心を称え、力を与えましょう……どうか、この力で闇を振り払ってください』
女神像の光が俺に向かって放たれる。
ぽかぽかとする。
内側に力が満ちていく。
ああ、わかる。たしかに俺は女神の祝福を得た。
光が止む。
自然と顔がにやける。
ついに、ついにやったのだ。
これで、レベル上昇時には必ず最大値を引ける。
俺は運が悪かった。それだけで努力していない連中に追い抜かれていった。
どうしようもない壁にぶつかった。
壁を越えよう、越えようともがき続け、努力し続け、強くなった。低いステータスを補っていった。
だけど、壁を乗り越えるたびに、新たな壁が現れ、苦しみ続けた。 だけど、これからは違う。
努力すれば、するだけ報われる。
「ユーヤ、泣いてる?」
「ははは、情けないところを見せてしまったな。ずっとずっと、俺を苦しめていた呪いから、やっと解放されたと思うと、自然に流れてきたんだ」
ステータスが低い。それだけで舐めた辛酸は数えきれない。
ルーナが近づいてくる。
「ユーヤ、しゃがんで」
よくわからないが、しゃがむ。
するとルーナが抱きしめてくれる。
彼女の胸に顔が押し当てられる。
……意外に大きい。
「いい子、いい子」
「ルーナ、どういうつもりだ?」
「なんか、こうすると悲しくなくなるって、そんな気がした」
「……記憶がないのに変なことを知っているんだな」
「ユーヤ、どう、悲しくなくなった?」
「そうだな。ありがとう。もう、悲しくなんかないよ」
「よかった。また悲しくなったら、ルーナがいい子、いい子してあげる」
まったく、この子は。
……この子をパーティにいれて、一緒にいて良かった。
ルーナから解放される。
「ルーナ、おまえも俺と同じようにやってみろ」
おそらく、レベルリセットをしていないと無駄だろうが、念のためやらせてみよう。
万が一、成功すればルーナの戦闘力が大幅にアップする。 だけど、これからは違う。
努力すれば、するだけ報われる。
「ユーヤ、泣いてる?」
「ははは、情けないところを見せてしまったな。ずっとずっと、俺を苦しめていた呪いから、やっと解放されたと思うと、自然に流れてきたんだ」
ステータスが低い。それだけで舐めた辛酸は数えきれない。
ルーナが近づいてくる。
「ユーヤ、しゃがんで」
よくわからないが、しゃがむ。
するとルーナが抱きしめてくれる。
彼女の胸に顔が押し当てられる。
……意外に大きい。
「いい子、いい子」
「ルーナ、どういうつもりだ?」
「なんか、こうすると悲しくなくなるって、そんな気がした」
「……記憶がないのに変なことを知っているんだな」
「ユーヤ、どう、悲しくなくなった?」
「そうだな。ありがとう。もう、悲しくなんかないよ」
「よかった。また悲しくなったら、ルーナがいい子、いい子してあげる」
まったく、この子は。
……この子をパーティにいれて、一緒にいて良かった。
ルーナから解放される。
「ルーナ、おまえも俺と同じようにやってみろ」
おそらく、レベルリセットをしていないと無駄だろうが、念のためやらせてみよう。
万が一、成功すればルーナの戦闘力が大幅にアップする。 だけど、これからは違う。
努力すれば、するだけ報われる。
「ユーヤ、泣いてる?」
「ははは、情けないところを見せてしまったな。ずっとずっと、俺を苦しめていた呪いから、やっと解放されたと思うと、自然に流れてきたんだ」
ステータスが低い。それだけで舐めた辛酸は数えきれない。
ルーナが近づいてくる。
「ユーヤ、しゃがんで」
よくわからないが、しゃがむ。
するとルーナが抱きしめてくれる。
彼女の胸に顔が押し当てられる。
……意外に大きい。
「いい子、いい子」
「ルーナ、どういうつもりだ?」
「なんか、こうすると悲しくなくなるって、そんな気がした」
「……記憶がないのに変なことを知っているんだな」
「ユーヤ、どう、悲しくなくなった?」
「そうだな。ありがとう。もう、悲しくなんかないよ」
「よかった。また悲しくなったら、ルーナがいい子、いい子してあげる」
まったく、この子は。
……この子をパーティにいれて、一緒にいて良かった。
ルーナから解放される。
「ルーナ、おまえも俺と同じようにやってみろ」
おそらく、レベルリセットをしていないと無駄だろうが、念のためやらせてみよう。
万が一、成功すればルーナの戦闘力が大幅にアップする。 「ん。やってみる。えっと、壁の石を女神の首飾りにはめればいい?」
「そうだ」
ルーナは駆け足で壁の光水晶を取ってきて、女神像に嵌める。
しかし、何も起こらなかった。
「ユーヤのときみたいに光らない」
「やっぱりダメか、まあ、いいか。今後の楽しみにとっておこう。さあ、部屋を出て崖を上るぞ。きついけどがんばってくれよ。崖を上り切ったら、いよいよ念願のレベル上げだ」
「がんばる! たくさん倒して強くなる!」
もう、レベルを上げることに対する躊躇いはない。
がっつりと敵を倒していこう。
◇
崖を上りきった。
縄一本で、この断崖絶壁を往復するのは辛い。
だが、その苦労に見合うものは得られた。
……そうだ、言い忘れていた。
「いずれルーナはここに来ることになる。そのとき、俺はついてきてやれない。しっかりと、この崖の場所を覚えておくんだ」
「わかった。記憶喪失だけど、記憶力には自信がある」
また、微妙な返事を。
ルーナがレベル上限まで達すればレベルリセットをしてここに来させる。そうしたほうが強くなる。 「ん。やってみる。えっと、壁の石を女神の首飾りにはめればいい?」
「そうだ」
ルーナは駆け足で壁の光水晶を取ってきて、女神像に嵌める。
しかし、何も起こらなかった。
「ユーヤのときみたいに光らない」
「やっぱりダメか、まあ、いいか。今後の楽しみにとっておこう。さあ、部屋を出て崖を上るぞ。きついけどがんばってくれよ。崖を上り切ったら、いよいよ念願のレベル上げだ」
「がんばる! たくさん倒して強くなる!」
もう、レベルを上げることに対する躊躇いはない。
がっつりと敵を倒していこう。
◇
崖を上りきった。
縄一本で、この断崖絶壁を往復するのは辛い。
だが、その苦労に見合うものは得られた。
……そうだ、言い忘れていた。
「いずれルーナはここに来ることになる。そのとき、俺はついてきてやれない。しっかりと、この崖の場所を覚えておくんだ」
「わかった。記憶喪失だけど、記憶力には自信がある」
また、微妙な返事を。
ルーナがレベル上限まで達すればレベルリセットをしてここに来させる。そうしたほうが強くなる。 「ん。やってみる。えっと、壁の石を女神の首飾りにはめればいい?」
「そうだ」
ルーナは駆け足で壁の光水晶を取ってきて、女神像に嵌める。
しかし、何も起こらなかった。
「ユーヤのときみたいに光らない」
「やっぱりダメか、まあ、いいか。今後の楽しみにとっておこう。さあ、部屋を出て崖を上るぞ。きついけどがんばってくれよ。崖を上り切ったら、いよいよ念願のレベル上げだ」
「がんばる! たくさん倒して強くなる!」
もう、レベルを上げることに対する躊躇いはない。
がっつりと敵を倒していこう。
◇
崖を上りきった。
縄一本で、この断崖絶壁を往復するのは辛い。
だが、その苦労に見合うものは得られた。
……そうだ、言い忘れていた。
「いずれルーナはここに来ることになる。そのとき、俺はついてきてやれない。しっかりと、この崖の場所を覚えておくんだ」
「わかった。記憶喪失だけど、記憶力には自信がある」
また、微妙な返事を。
ルーナがレベル上限まで達すればレベルリセットをしてここに来させる。そうしたほうが強くなる。 このダンジョンはレベル10以下でないと入れない。彼女に合わせて俺もレベルリセットをするのはきつい。
だから、ちゃんとここの場所を覚えてもらわないといけない。
俺が、杭を引き抜き、縄を片付けている間、ルーナはしっかりとこの風景を脳裏に刻み付けていた。
◇
この岩山のダンジョンは登れば登るほど、強い魔物がでる仕組みだ。
そして、強い魔物ほど経験値が多い。
なので、登り続ける。
「ユーヤ、この先は危険。講習のときも最上部は入っちゃだめって言ってた」
「だろうな。低レベルの冒険者じゃ歯がたたないロックゴーレムがでる。ほら、見てみろ。ご丁寧に入るなって看板まで用意してある」
防御力が高すぎて、物理攻撃はほぼ通じない。
その上、魔法防御力も物理防御力ほどではないが高い。
初心者が挑んで勝てる魔物じゃない。
あれに挑むのは自殺行為だ。
幸い、最上部にしか出ないおかげで簡単に避けられる。だからこそ、ロックゴーレムが出るのに初心者ダンジョンとしてここは使われてる。
「なら、引き返そう」
「……いや、俺なら勝てる。魔法戦士の可能性を見せるにはうってつけだ。防御力が高いが遅い魔物は特にカモなんだ」 このダンジョンはレベル10以下でないと入れない。彼女に合わせて俺もレベルリセットをするのはきつい。
だから、ちゃんとここの場所を覚えてもらわないといけない。
俺が、杭を引き抜き、縄を片付けている間、ルーナはしっかりとこの風景を脳裏に刻み付けていた。
◇
この岩山のダンジョンは登れば登るほど、強い魔物がでる仕組みだ。
そして、強い魔物ほど経験値が多い。
なので、登り続ける。
「ユーヤ、この先は危険。講習のときも最上部は入っちゃだめって言ってた」
「だろうな。低レベルの冒険者じゃ歯がたたないロックゴーレムがでる。ほら、見てみろ。ご丁寧に入るなって看板まで用意してある」
防御力が高すぎて、物理攻撃はほぼ通じない。
その上、魔法防御力も物理防御力ほどではないが高い。
初心者が挑んで勝てる魔物じゃない。
あれに挑むのは自殺行為だ。
幸い、最上部にしか出ないおかげで簡単に避けられる。だからこそ、ロックゴーレムが出るのに初心者ダンジョンとしてここは使われてる。
「なら、引き返そう」
「……いや、俺なら勝てる。魔法戦士の可能性を見せるにはうってつけだ。防御力が高いが遅い魔物は特にカモなんだ」 このダンジョンはレベル10以下でないと入れない。彼女に合わせて俺もレベルリセットをするのはきつい。
だから、ちゃんとここの場所を覚えてもらわないといけない。
俺が、杭を引き抜き、縄を片付けている間、ルーナはしっかりとこの風景を脳裏に刻み付けていた。
◇
この岩山のダンジョンは登れば登るほど、強い魔物がでる仕組みだ。
そして、強い魔物ほど経験値が多い。
なので、登り続ける。
「ユーヤ、この先は危険。講習のときも最上部は入っちゃだめって言ってた」
「だろうな。低レベルの冒険者じゃ歯がたたないロックゴーレムがでる。ほら、見てみろ。ご丁寧に入るなって看板まで用意してある」
防御力が高すぎて、物理攻撃はほぼ通じない。
その上、魔法防御力も物理防御力ほどではないが高い。
初心者が挑んで勝てる魔物じゃない。
あれに挑むのは自殺行為だ。
幸い、最上部にしか出ないおかげで簡単に避けられる。だからこそ、ロックゴーレムが出るのに初心者ダンジョンとしてここは使われてる。
「なら、引き返そう」
「……いや、俺なら勝てる。魔法戦士の可能性を見せるにはうってつけだ。防御力が高いが遅い魔物は特にカモなんだ」 強い分、経験値が多くドロップアイテムもいいものがある。
ロックゴーレムは固有アイテム持ちで、しかもこのダンジョンにしか出現しない。
初心者しか入れないダンジョンにいる初心者には倒せない魔物のドロップ品というだけあって非常に希少だ。
「わかった。ユーヤがだいじょーぶって言ったら、きっとだいじょーぶ」
「ただ、一対一なら勝てるが、敵が複数いれば死ぬ。ルーナの【気配感知】を頼りにしてるぞ。戦っている最中でも二匹目が近づいたら全力で逃げるからな」
「ばっちこーい」
頼りになる子だ。
俺たちは、運がいいのか悪いのか、一体の魔物とも合わずに最上部に来てしまった。
そこで、俺は言葉を失う。
「あの、バカども」
そこでは、俺に絡んできた三人の若い冒険者たちがいた。
ロックゴーレムと戦っているのだ。
……おそらく、ここまで魔物と出会わなかったのはあいつらと同じルートを通ってきたからだ。
あいつらは根こそぎ、進路に居た魔物を倒した。
そして、調子にのって最上部に来てしまった。実力を過信して、実力不相応のエリアに踏み入れる。
それもまた、冒険者にはありがちなこと。
その失敗を次に活かせる者は運がいい。
……ほとんどの冒険者は死んでしまい、反省する機会すら与えられないのだから。
「ひっ、ひっ、助けて、助けてえええええええ」
あの三人はバランスのいいパーティだ。
戦士、魔法使い、狩人。
戦士が壁になり、魔法使いと狩人が後方から魔法と弓で援護する。 強い分、経験値が多くドロップアイテムもいいものがある。
ロックゴーレムは固有アイテム持ちで、しかもこのダンジョンにしか出現しない。
初心者しか入れないダンジョンにいる初心者には倒せない魔物のドロップ品というだけあって非常に希少だ。
「わかった。ユーヤがだいじょーぶって言ったら、きっとだいじょーぶ」
「ただ、一対一なら勝てるが、敵が複数いれば死ぬ。ルーナの【気配感知】を頼りにしてるぞ。戦っている最中でも二匹目が近づいたら全力で逃げるからな」
「ばっちこーい」
頼りになる子だ。
俺たちは、運がいいのか悪いのか、一体の魔物とも合わずに最上部に来てしまった。
そこで、俺は言葉を失う。
「あの、バカども」
そこでは、俺に絡んできた三人の若い冒険者たちがいた。
ロックゴーレムと戦っているのだ。
……おそらく、ここまで魔物と出会わなかったのはあいつらと同じルートを通ってきたからだ。
あいつらは根こそぎ、進路に居た魔物を倒した。
そして、調子にのって最上部に来てしまった。実力を過信して、実力不相応のエリアに踏み入れる。
それもまた、冒険者にはありがちなこと。
その失敗を次に活かせる者は運がいい。
……ほとんどの冒険者は死んでしまい、反省する機会すら与えられないのだから。
「ひっ、ひっ、助けて、助けてえええええええ」
あの三人はバランスのいいパーティだ。
戦士、魔法使い、狩人。
戦士が壁になり、魔法使いと狩人が後方から魔法と弓で援護する。 強い分、経験値が多くドロップアイテムもいいものがある。
ロックゴーレムは固有アイテム持ちで、しかもこのダンジョンにしか出現しない。
初心者しか入れないダンジョンにいる初心者には倒せない魔物のドロップ品というだけあって非常に希少だ。
「わかった。ユーヤがだいじょーぶって言ったら、きっとだいじょーぶ」
「ただ、一対一なら勝てるが、敵が複数いれば死ぬ。ルーナの【気配感知】を頼りにしてるぞ。戦っている最中でも二匹目が近づいたら全力で逃げるからな」
「ばっちこーい」
頼りになる子だ。
俺たちは、運がいいのか悪いのか、一体の魔物とも合わずに最上部に来てしまった。
そこで、俺は言葉を失う。
「あの、バカども」
そこでは、俺に絡んできた三人の若い冒険者たちがいた。
ロックゴーレムと戦っているのだ。
……おそらく、ここまで魔物と出会わなかったのはあいつらと同じルートを通ってきたからだ。
あいつらは根こそぎ、進路に居た魔物を倒した。
そして、調子にのって最上部に来てしまった。実力を過信して、実力不相応のエリアに踏み入れる。
それもまた、冒険者にはありがちなこと。
その失敗を次に活かせる者は運がいい。
……ほとんどの冒険者は死んでしまい、反省する機会すら与えられないのだから。
「ひっ、ひっ、助けて、助けてえええええええ」
あの三人はバランスのいいパーティだ。
戦士、魔法使い、狩人。
戦士が壁になり、魔法使いと狩人が後方から魔法と弓で援護する。 だというのに、戦士がそうそう吹き飛ばされて、戦意喪失して腰を抜かしている。
ロックゴーレムは、後衛を狙う。
魔法使いと狩人は必死に攻撃するが、ゴーレムは自慢の防御力任せに突進し、魔法と弾幕を突き抜ける。
魔法使いと狩人がまとめて、吹き飛ばされて岩壁に叩きつけられた。
かろうじて息はしているようだが骨がやられて動けそうにない。
このままだと全滅だ。
「助けにいく。ルーナはここで待機。あそこにお荷物が三人いる。ルーナにまで気を回せない」
「なんで? あんな嫌な奴ら放っておけばいいのに。あいつらはユーヤを馬鹿にしてた」
「理由は二つだな。一つは俺には助ける力がある。もう一つ、……バカなガキを導いてやるのは、大人の仕事だ」
俺からみると、あいつらは子犬だ。
必死にきゃんきゃん吠えて、威勢を張って、可愛らしいと思っていた。
冒険者の多くはたった一度の過ちで命を落とし、反省する機会すら与えられない。
過ちを経験して、自らの行いを正して、まっとうな冒険者になれる奴らもだ。
……それはあまりにも、もったいない。
俺の力で助けられるのなら助け、反省してやり直すチャンスぐらい与えてやりたい。少なくても俺はそう思う。
俺はロックゴーレムのもとへ走り出した。
さて、行こうか。
未来ある後輩たちを助けるために。 だというのに、戦士がそうそう吹き飛ばされて、戦意喪失して腰を抜かしている。
ロックゴーレムは、後衛を狙う。
魔法使いと狩人は必死に攻撃するが、ゴーレムは自慢の防御力任せに突進し、魔法と弾幕を突き抜ける。
魔法使いと狩人がまとめて、吹き飛ばされて岩壁に叩きつけられた。
かろうじて息はしているようだが骨がやられて動けそうにない。
このままだと全滅だ。
「助けにいく。ルーナはここで待機。あそこにお荷物が三人いる。ルーナにまで気を回せない」
「なんで? あんな嫌な奴ら放っておけばいいのに。あいつらはユーヤを馬鹿にしてた」
「理由は二つだな。一つは俺には助ける力がある。もう一つ、……バカなガキを導いてやるのは、大人の仕事だ」
俺からみると、あいつらは子犬だ。
必死にきゃんきゃん吠えて、威勢を張って、可愛らしいと思っていた。
冒険者の多くはたった一度の過ちで命を落とし、反省する機会すら与えられない。
過ちを経験して、自らの行いを正して、まっとうな冒険者になれる奴らもだ。
……それはあまりにも、もったいない。
俺の力で助けられるのなら助け、反省してやり直すチャンスぐらい与えてやりたい。少なくても俺はそう思う。
俺はロックゴーレムのもとへ走り出した。
さて、行こうか。
未来ある後輩たちを助けるために。 だというのに、戦士がそうそう吹き飛ばされて、戦意喪失して腰を抜かしている。
ロックゴーレムは、後衛を狙う。
魔法使いと狩人は必死に攻撃するが、ゴーレムは自慢の防御力任せに突進し、魔法と弾幕を突き抜ける。
魔法使いと狩人がまとめて、吹き飛ばされて岩壁に叩きつけられた。
かろうじて息はしているようだが骨がやられて動けそうにない。
このままだと全滅だ。
「助けにいく。ルーナはここで待機。あそこにお荷物が三人いる。ルーナにまで気を回せない」
「なんで? あんな嫌な奴ら放っておけばいいのに。あいつらはユーヤを馬鹿にしてた」
「理由は二つだな。一つは俺には助ける力がある。もう一つ、……バカなガキを導いてやるのは、大人の仕事だ」
俺からみると、あいつらは子犬だ。
必死にきゃんきゃん吠えて、威勢を張って、可愛らしいと思っていた。
冒険者の多くはたった一度の過ちで命を落とし、反省する機会すら与えられない。
過ちを経験して、自らの行いを正して、まっとうな冒険者になれる奴らもだ。
……それはあまりにも、もったいない。
俺の力で助けられるのなら助け、反省してやり直すチャンスぐらい与えてやりたい。少なくても俺はそう思う。
俺はロックゴーレムのもとへ走り出した。
さて、行こうか。
未来ある後輩たちを助けるために。 一章:おっさんはやり直す
第八話:おっさんは必殺技を使う ロックゴーレム。
低レベル冒険者にとっては死神となる魔物。
よほどの愚か者でもない限り、見た瞬間に逃げるべき魔物だ。
そんなロックゴーレムに、命知らずの若い冒険者は挑み、当然のように蹂躙された。
初めての冒険で舞い上がっていたのだろう。
道中の魔物をあっさりと倒せて自信がついていたのだろう。
親から与えられた分不相応に高価な装備が増長させたのだろう。
そうやって、道を踏み外した冒険者に待っているのは死だ。
……よっぽどのお人よしが現れない限り。
「だれか、だれかあああああ、助けてくれえええええええ」
四つん這いなり、這って逃げようとする戦士の男をロックゴーレムが追いかける。ゴーレムは鈍重だが、歩幅が大きく意外と速さがある。
あっというまに追いつくと、図太い腕を振り上げた。
あの剛腕が振り下ろされれば、あの少年は助からない。
足に力を込める。
今の俺のステータス……特典ボーナスで5レベル分の強さを得ているが、それでも間に合わない。
だから、とある切り札を使う。足りないステータスを補うために編み出した技。
集中を高め、扉を開く。
一瞬だけ、踏み込みをする脚力が強化された、二歩でトップスピード。これならぎりぎり間に合う。
扉を閉じる。これは消耗が激しい。
「怖ければ、目をつぶってろ!」 ロックゴーレム。
低レベル冒険者にとっては死神となる魔物。
よほどの愚か者でもない限り、見た瞬間に逃げるべき魔物だ。
そんなロックゴーレムに、命知らずの若い冒険者は挑み、当然のように蹂躙された。
初めての冒険で舞い上がっていたのだろう。
道中の魔物をあっさりと倒せて自信がついていたのだろう。
親から与えられた分不相応に高価な装備が増長させたのだろう。
そうやって、道を踏み外した冒険者に待っているのは死だ。
……よっぽどのお人よしが現れない限り。
「だれか、だれかあああああ、助けてくれえええええええ」
四つん這いなり、這って逃げようとする戦士の男をロックゴーレムが追いかける。ゴーレムは鈍重だが、歩幅が大きく意外と速さがある。
あっというまに追いつくと、図太い腕を振り上げた。
あの剛腕が振り下ろされれば、あの少年は助からない。
足に力を込める。
今の俺のステータス……特典ボーナスで5レベル分の強さを得ているが、それでも間に合わない。
だから、とある切り札を使う。足りないステータスを補うために編み出した技。
集中を高め、扉を開く。
一瞬だけ、踏み込みをする脚力が強化された、二歩でトップスピード。これならぎりぎり間に合う。
扉を閉じる。これは消耗が激しい。
「怖ければ、目をつぶってろ!」 ロックゴーレム。
低レベル冒険者にとっては死神となる魔物。
よほどの愚か者でもない限り、見た瞬間に逃げるべき魔物だ。
そんなロックゴーレムに、命知らずの若い冒険者は挑み、当然のように蹂躙された。
初めての冒険で舞い上がっていたのだろう。
道中の魔物をあっさりと倒せて自信がついていたのだろう。
親から与えられた分不相応に高価な装備が増長させたのだろう。
そうやって、道を踏み外した冒険者に待っているのは死だ。
……よっぽどのお人よしが現れない限り。
「だれか、だれかあああああ、助けてくれえええええええ」
四つん這いなり、這って逃げようとする戦士の男をロックゴーレムが追いかける。ゴーレムは鈍重だが、歩幅が大きく意外と速さがある。
あっというまに追いつくと、図太い腕を振り上げた。
あの剛腕が振り下ろされれば、あの少年は助からない。
足に力を込める。
今の俺のステータス……特典ボーナスで5レベル分の強さを得ているが、それでも間に合わない。
だから、とある切り札を使う。足りないステータスを補うために編み出した技。
集中を高め、扉を開く。
一瞬だけ、踏み込みをする脚力が強化された、二歩でトップスピード。これならぎりぎり間に合う。
扉を閉じる。これは消耗が激しい。
「怖ければ、目をつぶってろ!」 今、まさに拳が振り下ろされようとしたタイミングで割り込んだ。
回避することは容易いが、避ければ少年が潰される。
かといって、まともに受ければ、今の防御力では致命傷だ。
だから、避けも受けもしない。第三の選択肢を選ぶ。
ロックゴーレムの振り下ろす拳に合わせて剣を振り上げる。真正面から剣で迎撃すれば問答無用で剣ごと叩き潰されるだろう。
だから拳の端を狙う。
今の一撃でゴーレムの拳の角度がずれた。
しかし一撃が重く、角度をずらしきれない。剣を斜めにして寝かせ、剣の腹に掌底を加えて、そのまま支える。
斜めにした刀身の上をゴーレムの拳が滑っていき、俺の真横に拳が着弾。
大地が割れ、土煙があがり余波と土飛沫で俺と少年は吹き飛ばされる。
問題なく着地し、油断なく剣を構えた。
剣をぶち当てる角度と位置、掌底を加えるタイミング。支えて滑らせるための力加減。
どれか一つでも間違えれば潰されていただろう。
しかし、不安はなかった。
この程度の芸当ができなければとっくに死んでいる。 今、まさに拳が振り下ろされようとしたタイミングで割り込んだ。
回避することは容易いが、避ければ少年が潰される。
かといって、まともに受ければ、今の防御力では致命傷だ。
だから、避けも受けもしない。第三の選択肢を選ぶ。
ロックゴーレムの振り下ろす拳に合わせて剣を振り上げる。真正面から剣で迎撃すれば問答無用で剣ごと叩き潰されるだろう。
だから拳の端を狙う。
今の一撃でゴーレムの拳の角度がずれた。
しかし一撃が重く、角度をずらしきれない。剣を斜めにして寝かせ、剣の腹に掌底を加えて、そのまま支える。
斜めにした刀身の上をゴーレムの拳が滑っていき、俺の真横に拳が着弾。
大地が割れ、土煙があがり余波と土飛沫で俺と少年は吹き飛ばされる。
問題なく着地し、油断なく剣を構えた。
剣をぶち当てる角度と位置、掌底を加えるタイミング。支えて滑らせるための力加減。
どれか一つでも間違えれば潰されていただろう。
しかし、不安はなかった。
この程度の芸当ができなければとっくに死んでいる。 今、まさに拳が振り下ろされようとしたタイミングで割り込んだ。
回避することは容易いが、避ければ少年が潰される。
かといって、まともに受ければ、今の防御力では致命傷だ。
だから、避けも受けもしない。第三の選択肢を選ぶ。
ロックゴーレムの振り下ろす拳に合わせて剣を振り上げる。真正面から剣で迎撃すれば問答無用で剣ごと叩き潰されるだろう。
だから拳の端を狙う。
今の一撃でゴーレムの拳の角度がずれた。
しかし一撃が重く、角度をずらしきれない。剣を斜めにして寝かせ、剣の腹に掌底を加えて、そのまま支える。
斜めにした刀身の上をゴーレムの拳が滑っていき、俺の真横に拳が着弾。
大地が割れ、土煙があがり余波と土飛沫で俺と少年は吹き飛ばされる。
問題なく着地し、油断なく剣を構えた。
剣をぶち当てる角度と位置、掌底を加えるタイミング。支えて滑らせるための力加減。
どれか一つでも間違えれば潰されていただろう。
しかし、不安はなかった。
この程度の芸当ができなければとっくに死んでいる。 レベルリセットする前の俺は戦士。
求められる役割は壁だ。ステータスが低く防御力も素早さもない俺が、壁の役割をするにはありとあらゆる攻撃を受け流す技が必要だった。
かつて戦った魔物たちの攻撃の多彩さと速さを思い出す。この程度止まって見える。
「這うぐらいはできるだろう。ここから、離れろ。邪魔だ」
「あっ、あんた、なんで」
「助けに来た。わかったら離れろ。……お前がいると避けられない」
もう一撃、先ほどと同じ要領で流す。
近くに着弾。
二度、三度と連続して振り下ろされる攻撃を確実にさばいていく。
「なんで、なんで、助けに来たんだよ、おっさん、無理だって、こんな硬くて強い魔物」
「……安心しろ、俺は勝つし、おまえも助かる。伊達に歳はくってないさ。自分より強い魔物の倒し方ぐらい、十や二十は知ってる」
その言葉を証明するように、ゴーレムの攻撃をさばきつつ反撃。
鍛え抜かれた斬撃の鋭さはゴーレムの肌を傷つけた。
自分よりステータスが上というだけで、魔物に殺されるようなら千回は死んでる。
俺は、自分より強いステータスの魔物も人間も幾度となく倒してきた。ステータスという枷が、極限まで俺を研ぎ澄ませてくれた。
弱かったからこそ、最高の技を得た。
……くそだった人生の唯一の収穫だ。
「おっさん、ごめん、ごめん」
少年が泣きながら四つん這いで逃げていく。
ようやく逃げてくれたか。
これでようやく、ゴーレムの攻撃を躱し、本格的な反撃に移れる。
俺が魔法戦士を選んだ理由である”あの技”は溜めがいる。さすがに少年をかばいながら放つ余裕はなかった。 レベルリセットする前の俺は戦士。
求められる役割は壁だ。ステータスが低く防御力も素早さもない俺が、壁の役割をするにはありとあらゆる攻撃を受け流す技が必要だった。
かつて戦った魔物たちの攻撃の多彩さと速さを思い出す。この程度止まって見える。
「這うぐらいはできるだろう。ここから、離れろ。邪魔だ」
「あっ、あんた、なんで」
「助けに来た。わかったら離れろ。……お前がいると避けられない」
もう一撃、先ほどと同じ要領で流す。
近くに着弾。
二度、三度と連続して振り下ろされる攻撃を確実にさばいていく。
「なんで、なんで、助けに来たんだよ、おっさん、無理だって、こんな硬くて強い魔物」
「……安心しろ、俺は勝つし、おまえも助かる。伊達に歳はくってないさ。自分より強い魔物の倒し方ぐらい、十や二十は知ってる」
その言葉を証明するように、ゴーレムの攻撃をさばきつつ反撃。
鍛え抜かれた斬撃の鋭さはゴーレムの肌を傷つけた。
自分よりステータスが上というだけで、魔物に殺されるようなら千回は死んでる。
俺は、自分より強いステータスの魔物も人間も幾度となく倒してきた。ステータスという枷が、極限まで俺を研ぎ澄ませてくれた。
弱かったからこそ、最高の技を得た。
……くそだった人生の唯一の収穫だ。
「おっさん、ごめん、ごめん」
少年が泣きながら四つん這いで逃げていく。
ようやく逃げてくれたか。
これでようやく、ゴーレムの攻撃を躱し、本格的な反撃に移れる。
俺が魔法戦士を選んだ理由である”あの技”は溜めがいる。さすがに少年をかばいながら放つ余裕はなかった。 レベルリセットする前の俺は戦士。
求められる役割は壁だ。ステータスが低く防御力も素早さもない俺が、壁の役割をするにはありとあらゆる攻撃を受け流す技が必要だった。
かつて戦った魔物たちの攻撃の多彩さと速さを思い出す。この程度止まって見える。
「這うぐらいはできるだろう。ここから、離れろ。邪魔だ」
「あっ、あんた、なんで」
「助けに来た。わかったら離れろ。……お前がいると避けられない」
もう一撃、先ほどと同じ要領で流す。
近くに着弾。
二度、三度と連続して振り下ろされる攻撃を確実にさばいていく。
「なんで、なんで、助けに来たんだよ、おっさん、無理だって、こんな硬くて強い魔物」
「……安心しろ、俺は勝つし、おまえも助かる。伊達に歳はくってないさ。自分より強い魔物の倒し方ぐらい、十や二十は知ってる」
その言葉を証明するように、ゴーレムの攻撃をさばきつつ反撃。
鍛え抜かれた斬撃の鋭さはゴーレムの肌を傷つけた。
自分よりステータスが上というだけで、魔物に殺されるようなら千回は死んでる。
俺は、自分より強いステータスの魔物も人間も幾度となく倒してきた。ステータスという枷が、極限まで俺を研ぎ澄ませてくれた。
弱かったからこそ、最高の技を得た。
……くそだった人生の唯一の収穫だ。
「おっさん、ごめん、ごめん」
少年が泣きながら四つん這いで逃げていく。
ようやく逃げてくれたか。
これでようやく、ゴーレムの攻撃を躱し、本格的な反撃に移れる。
俺が魔法戦士を選んだ理由である”あの技”は溜めがいる。さすがに少年をかばいながら放つ余裕はなかった。 ゴーレムも学習したのか、上からの振り下ろしではなく、下からの蹴りを放ってきた。受け流しにくい攻撃だが、予備動作は丸見えだ。
余裕で躱せる。
待ちに待った大きな隙を晒してくれた。
ここで仕掛ける。
魔法の詠唱を開始する。
近接戦闘しながら魔法が使えるという魔法戦士だけに許された特権。
詠唱しながらロックゴーレムの脚を躱しつつ、接近する。
魔法を放つ場合、距離を取るのがセオリーだ。
なぜなら、魔法の大きなメリットの一つに射程というものがある。そのセオリーを無視する。
俺の魔法は特別だ。射程は恐ろしく短い。
ゆえに、近接戦闘でのみ輝く、前衛で魔法が使える魔法戦士にだけ許された魔術。
ゴーレムの脚が至近距離を通過し、頬を風が撫でる。
詠唱が最終段階に入り、魔力が高まっていく。
不遇職だった魔法戦士の価値を一変させた要素。
……それは、マジック・カスタム。
レベルリセットとレベルアップ時のステータス上限最大固定値、二つの隠し要素を得た際に、ステータスにマジックカスタムという項目が追加される。
その要素を見つけてからは、プレイヤーたちはお祭り騒ぎだったのを覚えている。
マジックカスタムのおかげで、近接距離で魔法を使えるという魔法戦士の特徴がようやく見直された。 ゴーレムも学習したのか、上からの振り下ろしではなく、下からの蹴りを放ってきた。受け流しにくい攻撃だが、予備動作は丸見えだ。
余裕で躱せる。
待ちに待った大きな隙を晒してくれた。
ここで仕掛ける。
魔法の詠唱を開始する。
近接戦闘しながら魔法が使えるという魔法戦士だけに許された特権。
詠唱しながらロックゴーレムの脚を躱しつつ、接近する。
魔法を放つ場合、距離を取るのがセオリーだ。
なぜなら、魔法の大きなメリットの一つに射程というものがある。そのセオリーを無視する。
俺の魔法は特別だ。射程は恐ろしく短い。
ゆえに、近接戦闘でのみ輝く、前衛で魔法が使える魔法戦士にだけ許された魔術。
ゴーレムの脚が至近距離を通過し、頬を風が撫でる。
詠唱が最終段階に入り、魔力が高まっていく。
不遇職だった魔法戦士の価値を一変させた要素。
……それは、マジック・カスタム。
レベルリセットとレベルアップ時のステータス上限最大固定値、二つの隠し要素を得た際に、ステータスにマジックカスタムという項目が追加される。
その要素を見つけてからは、プレイヤーたちはお祭り騒ぎだったのを覚えている。
マジックカスタムのおかげで、近接距離で魔法を使えるという魔法戦士の特徴がようやく見直された。 ゴーレムも学習したのか、上からの振り下ろしではなく、下からの蹴りを放ってきた。受け流しにくい攻撃だが、予備動作は丸見えだ。
余裕で躱せる。
待ちに待った大きな隙を晒してくれた。
ここで仕掛ける。
魔法の詠唱を開始する。
近接戦闘しながら魔法が使えるという魔法戦士だけに許された特権。
詠唱しながらロックゴーレムの脚を躱しつつ、接近する。
魔法を放つ場合、距離を取るのがセオリーだ。
なぜなら、魔法の大きなメリットの一つに射程というものがある。そのセオリーを無視する。
俺の魔法は特別だ。射程は恐ろしく短い。
ゆえに、近接戦闘でのみ輝く、前衛で魔法が使える魔法戦士にだけ許された魔術。
ゴーレムの脚が至近距離を通過し、頬を風が撫でる。
詠唱が最終段階に入り、魔力が高まっていく。
不遇職だった魔法戦士の価値を一変させた要素。
……それは、マジック・カスタム。
レベルリセットとレベルアップ時のステータス上限最大固定値、二つの隠し要素を得た際に、ステータスにマジックカスタムという項目が追加される。
その要素を見つけてからは、プレイヤーたちはお祭り騒ぎだったのを覚えている。
マジックカスタムのおかげで、近接距離で魔法を使えるという魔法戦士の特徴がようやく見直された。 魔法の性能というのは四要素で構成される。
射程……どこまで魔法が届くのか
範囲(効果時間)……攻撃魔法であれば、どれだけ広範囲を攻撃でき、強化魔法であればどれだけ持続するか
威力……破壊力
詠唱時間……詠唱にかかる時間
マジックカスタムではその要素を弄れる。
俺が使うのは、中級火炎魔術【炎嵐】。
本来は、射程は二十メートルほど、範囲は敵数体を巻き込めるほど、威力は並み、詠唱時間はそれなりの魔法。
その【炎嵐】を徹底的にカスタマイズした。
二十メートルあった射程をほぼゼロにまで落とし、数体の魔物を焼き払える範囲も極小にし、詠唱時間を長くし……ありとあらゆる性能を劣化させた代わりに威力にすべてを注ぎ込んだ。
結果、超近距離でしか使えない超攻撃力を持つ魔法が完成した。
剣を持たない俺の左手が炎を帯びて光り、唸る。
中級火炎魔術【炎嵐】カスタム。
その名は……
「【爆熱神掌】!!」
叫びつつ踏み込む、【震脚】。運動エネルギーをすべて伝導させる中国武術に酷似した踏み込みだ。それにより、光り輝く左の掌底にすべての力が乗りゴーレムの腹を砕く。
射程と効果範囲を削り切った結果、【炎嵐】は超高熱を纏う左の一撃へとなった。
圧倒的な硬さを誇るロックゴーレムの体を爆熱の左手が貫く。熱量が体の内側へと伝わり内側から焼き尽くす。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」 魔法の性能というのは四要素で構成される。
射程……どこまで魔法が届くのか
範囲(効果時間)……攻撃魔法であれば、どれだけ広範囲を攻撃でき、強化魔法であればどれだけ持続するか
威力……破壊力
詠唱時間……詠唱にかかる時間
マジックカスタムではその要素を弄れる。
俺が使うのは、中級火炎魔術【炎嵐】。
本来は、射程は二十メートルほど、範囲は敵数体を巻き込めるほど、威力は並み、詠唱時間はそれなりの魔法。
その【炎嵐】を徹底的にカスタマイズした。
二十メートルあった射程をほぼゼロにまで落とし、数体の魔物を焼き払える範囲も極小にし、詠唱時間を長くし……ありとあらゆる性能を劣化させた代わりに威力にすべてを注ぎ込んだ。
結果、超近距離でしか使えない超攻撃力を持つ魔法が完成した。
剣を持たない俺の左手が炎を帯びて光り、唸る。
中級火炎魔術【炎嵐】カスタム。
その名は……
「【爆熱神掌】!!」
叫びつつ踏み込む、【震脚】。運動エネルギーをすべて伝導させる中国武術に酷似した踏み込みだ。それにより、光り輝く左の掌底にすべての力が乗りゴーレムの腹を砕く。
射程と効果範囲を削り切った結果、【炎嵐】は超高熱を纏う左の一撃へとなった。
圧倒的な硬さを誇るロックゴーレムの体を爆熱の左手が貫く。熱量が体の内側へと伝わり内側から焼き尽くす。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」 魔法の性能というのは四要素で構成される。
射程……どこまで魔法が届くのか
範囲(効果時間)……攻撃魔法であれば、どれだけ広範囲を攻撃でき、強化魔法であればどれだけ持続するか
威力……破壊力
詠唱時間……詠唱にかかる時間
マジックカスタムではその要素を弄れる。
俺が使うのは、中級火炎魔術【炎嵐】。
本来は、射程は二十メートルほど、範囲は敵数体を巻き込めるほど、威力は並み、詠唱時間はそれなりの魔法。
その【炎嵐】を徹底的にカスタマイズした。
二十メートルあった射程をほぼゼロにまで落とし、数体の魔物を焼き払える範囲も極小にし、詠唱時間を長くし……ありとあらゆる性能を劣化させた代わりに威力にすべてを注ぎ込んだ。
結果、超近距離でしか使えない超攻撃力を持つ魔法が完成した。
剣を持たない俺の左手が炎を帯びて光り、唸る。
中級火炎魔術【炎嵐】カスタム。
その名は……
「【爆熱神掌】!!」
叫びつつ踏み込む、【震脚】。運動エネルギーをすべて伝導させる中国武術に酷似した踏み込みだ。それにより、光り輝く左の掌底にすべての力が乗りゴーレムの腹を砕く。
射程と効果範囲を削り切った結果、【炎嵐】は超高熱を纏う左の一撃へとなった。
圧倒的な硬さを誇るロックゴーレムの体を爆熱の左手が貫く。熱量が体の内側へと伝わり内側から焼き尽くす。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」 内側から焼き尽くされたゴーレムが崩れ落ちる。
レベルリセット特典があるとはいえ、低レベルの冒険者の一撃でロックゴーレムが倒れるのは異常だ。
その異常を可能にするだけの威力が【爆熱神掌】にはある。……なにせ、すべてを犠牲にして威力だけを高めた炎の嵐と渾身の掌底の合わせ技だ。弱いわけがない。
ロックゴーレムが青い粒子に変わっていく。
運がいいことに、ドロップアイテムをゲットした。からくりの心臓。これにはいろいろと使い道がある。大事に使おう。
「まあ、こうなるよな」
力が満ちてきた。
ステータスカードを見ると、一気にレベルが二つあがってレベル3になった。
レベル差があると、経験値にボーナスが入る。
二つも一気にレベルアップなんて経験、そうできるものではない。ステータスの上昇値も最大値でにやりとしてしまう。
「すげえよ。なんだ、今の魔法、聞いたこともない。誰だよ、魔法戦士が弱いって言った奴」
「あのおっさん、なんて馬鹿力だ。ゴーレムの攻撃剣で止めてたよな。ゴーレムと切り合う剣士って小説かよ」
「違う。受け流してた。じゃなきゃ潰れてるって。剣術の先生から話だけは聞いてたけど、そんなこと、本当にできたんだ」
どうやら、這って逃げた若者が、ポーションを使って仲間を回復させたらしい。
全員元気そうで何よりだ。
俺は、彼らの元へ向かう。 内側から焼き尽くされたゴーレムが崩れ落ちる。
レベルリセット特典があるとはいえ、低レベルの冒険者の一撃でロックゴーレムが倒れるのは異常だ。
その異常を可能にするだけの威力が【爆熱神掌】にはある。……なにせ、すべてを犠牲にして威力だけを高めた炎の嵐と渾身の掌底の合わせ技だ。弱いわけがない。
ロックゴーレムが青い粒子に変わっていく。
運がいいことに、ドロップアイテムをゲットした。からくりの心臓。これにはいろいろと使い道がある。大事に使おう。
「まあ、こうなるよな」
力が満ちてきた。
ステータスカードを見ると、一気にレベルが二つあがってレベル3になった。
レベル差があると、経験値にボーナスが入る。
二つも一気にレベルアップなんて経験、そうできるものではない。ステータスの上昇値も最大値でにやりとしてしまう。
「すげえよ。なんだ、今の魔法、聞いたこともない。誰だよ、魔法戦士が弱いって言った奴」
「あのおっさん、なんて馬鹿力だ。ゴーレムの攻撃剣で止めてたよな。ゴーレムと切り合う剣士って小説かよ」
「違う。受け流してた。じゃなきゃ潰れてるって。剣術の先生から話だけは聞いてたけど、そんなこと、本当にできたんだ」
どうやら、這って逃げた若者が、ポーションを使って仲間を回復させたらしい。
全員元気そうで何よりだ。
俺は、彼らの元へ向かう。 内側から焼き尽くされたゴーレムが崩れ落ちる。
レベルリセット特典があるとはいえ、低レベルの冒険者の一撃でロックゴーレムが倒れるのは異常だ。
その異常を可能にするだけの威力が【爆熱神掌】にはある。……なにせ、すべてを犠牲にして威力だけを高めた炎の嵐と渾身の掌底の合わせ技だ。弱いわけがない。
ロックゴーレムが青い粒子に変わっていく。
運がいいことに、ドロップアイテムをゲットした。からくりの心臓。これにはいろいろと使い道がある。大事に使おう。
「まあ、こうなるよな」
力が満ちてきた。
ステータスカードを見ると、一気にレベルが二つあがってレベル3になった。
レベル差があると、経験値にボーナスが入る。
二つも一気にレベルアップなんて経験、そうできるものではない。ステータスの上昇値も最大値でにやりとしてしまう。
「すげえよ。なんだ、今の魔法、聞いたこともない。誰だよ、魔法戦士が弱いって言った奴」
「あのおっさん、なんて馬鹿力だ。ゴーレムの攻撃剣で止めてたよな。ゴーレムと切り合う剣士って小説かよ」
「違う。受け流してた。じゃなきゃ潰れてるって。剣術の先生から話だけは聞いてたけど、そんなこと、本当にできたんだ」
どうやら、這って逃げた若者が、ポーションを使って仲間を回復させたらしい。
全員元気そうで何よりだ。
俺は、彼らの元へ向かう。 「おまえたち、あくまで今回助かったのは運が良かっただけだ。これに懲りたら、ここには来るな。これからは身の丈にあった魔物と戦え、でないと早死にすることになる」
反発されるのを覚悟で忠告する。
どうせ、おっさんうざいとか思っているんだろうな。
俺は、反省の機会を与えた、その機会を無駄にするようなら面倒を見切れない。
過ちを認められ、自らの行いを正せるか。
それが冒険者にとって、最も大事な才能だ。
「はっ、はい、そうします。もう、近づきません」
命を助けられたことで、態度が軟化したのだろう。
……少なくとも、今は反省して素直に言うことを聞いてくれたようだ。
「おっさん……いえ、ユーヤさん、今度酒場で奢らせてください。いろいろと話を聞かせてもらえるとうれしいです」
「それは構わないが」
「ありがとうございます。本当にありがとうございました!」
少年たちが礼をして去っていく。
今後の彼らに期待しよう。
キツネ尻尾をなびかせながら、ルーナが走って来る。
「ユーヤ、すごかった。魔法戦士、強い」
きらきらと目を輝かせている。
「……まあ、俺以外にはできない魔法だがな」
二つの隠し要素を実行したものだけが可能になるマジック・カスタムがないと魔法戦士は果てしなく微妙だ。 「おまえたち、あくまで今回助かったのは運が良かっただけだ。これに懲りたら、ここには来るな。これからは身の丈にあった魔物と戦え、でないと早死にすることになる」
反発されるのを覚悟で忠告する。
どうせ、おっさんうざいとか思っているんだろうな。
俺は、反省の機会を与えた、その機会を無駄にするようなら面倒を見切れない。
過ちを認められ、自らの行いを正せるか。
それが冒険者にとって、最も大事な才能だ。
「はっ、はい、そうします。もう、近づきません」
命を助けられたことで、態度が軟化したのだろう。
……少なくとも、今は反省して素直に言うことを聞いてくれたようだ。
「おっさん……いえ、ユーヤさん、今度酒場で奢らせてください。いろいろと話を聞かせてもらえるとうれしいです」
「それは構わないが」
「ありがとうございます。本当にありがとうございました!」
少年たちが礼をして去っていく。
今後の彼らに期待しよう。
キツネ尻尾をなびかせながら、ルーナが走って来る。
「ユーヤ、すごかった。魔法戦士、強い」
きらきらと目を輝かせている。
「……まあ、俺以外にはできない魔法だがな」
二つの隠し要素を実行したものだけが可能になるマジック・カスタムがないと魔法戦士は果てしなく微妙だ。 「おまえたち、あくまで今回助かったのは運が良かっただけだ。これに懲りたら、ここには来るな。これからは身の丈にあった魔物と戦え、でないと早死にすることになる」
反発されるのを覚悟で忠告する。
どうせ、おっさんうざいとか思っているんだろうな。
俺は、反省の機会を与えた、その機会を無駄にするようなら面倒を見切れない。
過ちを認められ、自らの行いを正せるか。
それが冒険者にとって、最も大事な才能だ。
「はっ、はい、そうします。もう、近づきません」
命を助けられたことで、態度が軟化したのだろう。
……少なくとも、今は反省して素直に言うことを聞いてくれたようだ。
「おっさん……いえ、ユーヤさん、今度酒場で奢らせてください。いろいろと話を聞かせてもらえるとうれしいです」
「それは構わないが」
「ありがとうございます。本当にありがとうございました!」
少年たちが礼をして去っていく。
今後の彼らに期待しよう。
キツネ尻尾をなびかせながら、ルーナが走って来る。
「ユーヤ、すごかった。魔法戦士、強い」
きらきらと目を輝かせている。
「……まあ、俺以外にはできない魔法だがな」
二つの隠し要素を実行したものだけが可能になるマジック・カスタムがないと魔法戦士は果てしなく微妙だ。 今回使った【炎嵐】もカスタムしないと使い物にならない。範囲も威力も中途半端。中途半端な魔法攻撃力しかない魔法戦士が中途半端な威力の魔法を使うと、笑えるぐらい弱い。
威力に特化させ、さらに物理攻撃と組み合わせることで初めて使いものになる。
少年三人組と少し話をする。
自力で戻れるとのことなので、送り届けずに済んだ。
「ルーナ。寄り道はこれで終わりだ。今度こそ、魔物を狩ろう」
「ん。今日中にレベルを50にする!」
「いや、それは無理だ」
「……残念」
魔力が尽きるまではここでロックゴーレム狩りをする。経験値的にも美味しいし、レアドロップを狙える。
とは言っても、魔法戦士のMP補正はさほど多くない。
せいぜい、撃てて三発といったところだ。
しっかり、一撃必殺で、ロックゴーレムを倒そう。
俺が使えてロックゴーレムに有効な魔法は【爆熱神掌】だけだが、他にもいろいろな魔法を隠し持っている。いつか、ルーナに新しい魔法を見せるのが、少しだけ楽しみだった。 今回使った【炎嵐】もカスタムしないと使い物にならない。範囲も威力も中途半端。中途半端な魔法攻撃力しかない魔法戦士が中途半端な威力の魔法を使うと、笑えるぐらい弱い。
威力に特化させ、さらに物理攻撃と組み合わせることで初めて使いものになる。
少年三人組と少し話をする。
自力で戻れるとのことなので、送り届けずに済んだ。
「ルーナ。寄り道はこれで終わりだ。今度こそ、魔物を狩ろう」
「ん。今日中にレベルを50にする!」
「いや、それは無理だ」
「……残念」
魔力が尽きるまではここでロックゴーレム狩りをする。経験値的にも美味しいし、レアドロップを狙える。
とは言っても、魔法戦士のMP補正はさほど多くない。
せいぜい、撃てて三発といったところだ。
しっかり、一撃必殺で、ロックゴーレムを倒そう。
俺が使えてロックゴーレムに有効な魔法は【爆熱神掌】だけだが、他にもいろいろな魔法を隠し持っている。いつか、ルーナに新しい魔法を見せるのが、少しだけ楽しみだった。 今回使った【炎嵐】もカスタムしないと使い物にならない。範囲も威力も中途半端。中途半端な魔法攻撃力しかない魔法戦士が中途半端な威力の魔法を使うと、笑えるぐらい弱い。
威力に特化させ、さらに物理攻撃と組み合わせることで初めて使いものになる。
少年三人組と少し話をする。
自力で戻れるとのことなので、送り届けずに済んだ。
「ルーナ。寄り道はこれで終わりだ。今度こそ、魔物を狩ろう」
「ん。今日中にレベルを50にする!」
「いや、それは無理だ」
「……残念」
魔力が尽きるまではここでロックゴーレム狩りをする。経験値的にも美味しいし、レアドロップを狙える。
とは言っても、魔法戦士のMP補正はさほど多くない。
せいぜい、撃てて三発といったところだ。
しっかり、一撃必殺で、ロックゴーレムを倒そう。
俺が使えてロックゴーレムに有効な魔法は【爆熱神掌】だけだが、他にもいろいろな魔法を隠し持っている。いつか、ルーナに新しい魔法を見せるのが、少しだけ楽しみだった。 一章:おっさんはやり直す
第九話:おっさんは剣を教える 産廃と言われた魔法戦士は、レベルリセット及び、ステータス上昇幅固定の二つの隠し要素を行うことによって可能になるマジック・カスタムでその価値を見直された。
魔法戦士は攻撃魔法を中級魔法しか取得できない。そのことも魔法戦士の評価を下げる一因だった。
初級魔法は単体向けで、詠唱が早く、威力が高いという使いやすさがある。
上級魔法は広範囲向けで、詠唱が遅く、威力は高いとこれもまた使いやすい。
しかし、中級魔法の攻撃範囲はそれなりで、詠唱は普通、威力は並みしかなく使いにくい。
魔法使いは、敵が少なければ初級魔法、群れで多ければ上級魔法という使い分けがベストとされ中級魔法をスキルポイントの無駄遣いだと言うのが定説だ。
……だが、カスタムするにはちょうどいい。すべての要素の合計値は初級や上級を上回る。
マジックカスタムが現れて魔法使いにはない魔法戦士の大きな魅力が現れた。
前衛で攻撃魔法と補助魔法を使えること。
魔法使いは魔法戦士のように威力と範囲を犠牲にしたところで前に出られない。
加えて、マジック・カスタムが本当に輝くのは補助魔法だ。
もともと、魔法戦士は産廃だが補助魔法だけは見所があると言われていた。その特性がより輝く。
「これで三体目!」
少年たちが去って行ってから、ロック・ゴーレムを倒してレベル上げをしていた。
一体目よりもかなり楽だ。
やっぱりお荷物がいないと戦いやすい。
レベルは6にまで上昇している。
とんでもないペースだ。レベル差がある魔物は経験値にボーナスがつく。
パーティを組んでいるルーナも、経験値が分配されてレベルが上がっている。しかし、不満そうな顔だ。 産廃と言われた魔法戦士は、レベルリセット及び、ステータス上昇幅固定の二つの隠し要素を行うことによって可能になるマジック・カスタムでその価値を見直された。
魔法戦士は攻撃魔法を中級魔法しか取得できない。そのことも魔法戦士の評価を下げる一因だった。
初級魔法は単体向けで、詠唱が早く、威力が高いという使いやすさがある。
上級魔法は広範囲向けで、詠唱が遅く、威力は高いとこれもまた使いやすい。
しかし、中級魔法の攻撃範囲はそれなりで、詠唱は普通、威力は並みしかなく使いにくい。
魔法使いは、敵が少なければ初級魔法、群れで多ければ上級魔法という使い分けがベストとされ中級魔法をスキルポイントの無駄遣いだと言うのが定説だ。
……だが、カスタムするにはちょうどいい。すべての要素の合計値は初級や上級を上回る。
マジックカスタムが現れて魔法使いにはない魔法戦士の大きな魅力が現れた。
前衛で攻撃魔法と補助魔法を使えること。
魔法使いは魔法戦士のように威力と範囲を犠牲にしたところで前に出られない。
加えて、マジック・カスタムが本当に輝くのは補助魔法だ。
もともと、魔法戦士は産廃だが補助魔法だけは見所があると言われていた。その特性がより輝く。
「これで三体目!」
少年たちが去って行ってから、ロック・ゴーレムを倒してレベル上げをしていた。
一体目よりもかなり楽だ。
やっぱりお荷物がいないと戦いやすい。
レベルは6にまで上昇している。
とんでもないペースだ。レベル差がある魔物は経験値にボーナスがつく。
パーティを組んでいるルーナも、経験値が分配されてレベルが上がっている。しかし、不満そうな顔だ。 産廃と言われた魔法戦士は、レベルリセット及び、ステータス上昇幅固定の二つの隠し要素を行うことによって可能になるマジック・カスタムでその価値を見直された。
魔法戦士は攻撃魔法を中級魔法しか取得できない。そのことも魔法戦士の評価を下げる一因だった。
初級魔法は単体向けで、詠唱が早く、威力が高いという使いやすさがある。
上級魔法は広範囲向けで、詠唱が遅く、威力は高いとこれもまた使いやすい。
しかし、中級魔法の攻撃範囲はそれなりで、詠唱は普通、威力は並みしかなく使いにくい。
魔法使いは、敵が少なければ初級魔法、群れで多ければ上級魔法という使い分けがベストとされ中級魔法をスキルポイントの無駄遣いだと言うのが定説だ。
……だが、カスタムするにはちょうどいい。すべての要素の合計値は初級や上級を上回る。
マジックカスタムが現れて魔法使いにはない魔法戦士の大きな魅力が現れた。
前衛で攻撃魔法と補助魔法を使えること。
魔法使いは魔法戦士のように威力と範囲を犠牲にしたところで前に出られない。
加えて、マジック・カスタムが本当に輝くのは補助魔法だ。
もともと、魔法戦士は産廃だが補助魔法だけは見所があると言われていた。その特性がより輝く。
「これで三体目!」
少年たちが去って行ってから、ロック・ゴーレムを倒してレベル上げをしていた。
一体目よりもかなり楽だ。
やっぱりお荷物がいないと戦いやすい。
レベルは6にまで上昇している。
とんでもないペースだ。レベル差がある魔物は経験値にボーナスがつく。
パーティを組んでいるルーナも、経験値が分配されてレベルが上がっている。しかし、不満そうな顔だ。 「魔力が尽きたし、帰ろうか」
「ユーヤ、ルーナも戦いたい。これじゃ、ルーナがいる意味ない」
「ルーナがいるから安心して戦いに集中できるんだ。ロックゴーレムが複数同時に現れたら終わりだからな」
「……それはわかってる。でも」
ロックゴーレム相手だとルーナの攻撃力ではまったく歯がたたない。
彼女には【気配感知】で敵を見つけてもらい、戦闘中に乱入してくる魔物がないかを警戒してもらっていた。
凄まじく助かっているのだが、ルーナにはそれが不満らしい。
「明日はルーナにしっかりと戦わせてやる。レベル6になったってことは、スキルポイントが5ポイント入ってるはずだ。念願の攻撃スキルをとろう。おすすめのを教えてやる」
ルーナが嬉しそうに微笑んで、キツネ尻尾をぶんぶんと振る。
よっぽど、新しいスキルが嬉しいらしい。
盗賊の場合、純粋に攻撃力が高いスキルはない。
主に、二パターンの戦い方がある。
クリティカル特化と状態異常特化。
前者には特別な才能が必要だが、すさまじい爆発力がある。
後者は知識あり、その特徴を理解していればそれなりに強い。
クリティカル特化であれば、使い手しだいでは、盗賊の攻撃スキルはそれだけでいいというほどの壊れスキルがあるのだ……使いこなせなければゴミスキルとなってしまうが。
スキルを取得するまえに、適性があるかを確認しよう。 「魔力が尽きたし、帰ろうか」
「ユーヤ、ルーナも戦いたい。これじゃ、ルーナがいる意味ない」
「ルーナがいるから安心して戦いに集中できるんだ。ロックゴーレムが複数同時に現れたら終わりだからな」
「……それはわかってる。でも」
ロックゴーレム相手だとルーナの攻撃力ではまったく歯がたたない。
彼女には【気配感知】で敵を見つけてもらい、戦闘中に乱入してくる魔物がないかを警戒してもらっていた。
凄まじく助かっているのだが、ルーナにはそれが不満らしい。
「明日はルーナにしっかりと戦わせてやる。レベル6になったってことは、スキルポイントが5ポイント入ってるはずだ。念願の攻撃スキルをとろう。おすすめのを教えてやる」
ルーナが嬉しそうに微笑んで、キツネ尻尾をぶんぶんと振る。
よっぽど、新しいスキルが嬉しいらしい。
盗賊の場合、純粋に攻撃力が高いスキルはない。
主に、二パターンの戦い方がある。
クリティカル特化と状態異常特化。
前者には特別な才能が必要だが、すさまじい爆発力がある。
後者は知識あり、その特徴を理解していればそれなりに強い。
クリティカル特化であれば、使い手しだいでは、盗賊の攻撃スキルはそれだけでいいというほどの壊れスキルがあるのだ……使いこなせなければゴミスキルとなってしまうが。
スキルを取得するまえに、適性があるかを確認しよう。 結局第二提示来なかったから11月の第三まで待つのツラい。 「魔力が尽きたし、帰ろうか」
「ユーヤ、ルーナも戦いたい。これじゃ、ルーナがいる意味ない」
「ルーナがいるから安心して戦いに集中できるんだ。ロックゴーレムが複数同時に現れたら終わりだからな」
「……それはわかってる。でも」
ロックゴーレム相手だとルーナの攻撃力ではまったく歯がたたない。
彼女には【気配感知】で敵を見つけてもらい、戦闘中に乱入してくる魔物がないかを警戒してもらっていた。
凄まじく助かっているのだが、ルーナにはそれが不満らしい。
「明日はルーナにしっかりと戦わせてやる。レベル6になったってことは、スキルポイントが5ポイント入ってるはずだ。念願の攻撃スキルをとろう。おすすめのを教えてやる」
ルーナが嬉しそうに微笑んで、キツネ尻尾をぶんぶんと振る。
よっぽど、新しいスキルが嬉しいらしい。
盗賊の場合、純粋に攻撃力が高いスキルはない。
主に、二パターンの戦い方がある。
クリティカル特化と状態異常特化。
前者には特別な才能が必要だが、すさまじい爆発力がある。
後者は知識あり、その特徴を理解していればそれなりに強い。
クリティカル特化であれば、使い手しだいでは、盗賊の攻撃スキルはそれだけでいいというほどの壊れスキルがあるのだ……使いこなせなければゴミスキルとなってしまうが。
スキルを取得するまえに、適性があるかを確認しよう。 ◇
【気配感知】で魔物を回避して、岩山のてっぺんの魔法の扉から戻ってきた。
初の探索で、レベルを一気に五つもあげてレアドロップのからくりの心臓を手に入れたられたのは大きい。
さっそく、ギルドのホールに向かう。
ギルドには大きな役割が三つある。
一つ目は、冒険者たちの相談役。聞けばレベルに見合ったダンジョンの情報や出現する魔物についてなど、様々なアドバイスをもらえる。
二つ目は、宝やドロップアイテムの換金。ダンジョン内で手に入れたありとあらゆるものを買い取り、その巨大なネットワークを使い全国に売りさばいてくれる。
三つめは、クエストの配布。国や街、個人から幅広く冒険者を当てにしたクエストの募集を行い、冒険者たちに紹介している。
ギルドの存在にはかなり助けられている。
彼らがいないと、ドロップアイテムを売りさばくだけで一苦労だ。もちろん、手数料はとられてしまう。だが、納めた金額に応じて、ギルドポイントが与えられ、一定ポイントごとに昇格する。
ギルドから与えられる階級ごとに、いろいろな国や街で特権を与えられるので、よほどのことがない限り冒険者たちは換金をギルドに依頼する。
……ただ、不思議なことがある。 ◇
【気配感知】で魔物を回避して、岩山のてっぺんの魔法の扉から戻ってきた。
初の探索で、レベルを一気に五つもあげてレアドロップのからくりの心臓を手に入れたられたのは大きい。
さっそく、ギルドのホールに向かう。
ギルドには大きな役割が三つある。
一つ目は、冒険者たちの相談役。聞けばレベルに見合ったダンジョンの情報や出現する魔物についてなど、様々なアドバイスをもらえる。
二つ目は、宝やドロップアイテムの換金。ダンジョン内で手に入れたありとあらゆるものを買い取り、その巨大なネットワークを使い全国に売りさばいてくれる。
三つめは、クエストの配布。国や街、個人から幅広く冒険者を当てにしたクエストの募集を行い、冒険者たちに紹介している。
ギルドの存在にはかなり助けられている。
彼らがいないと、ドロップアイテムを売りさばくだけで一苦労だ。もちろん、手数料はとられてしまう。だが、納めた金額に応じて、ギルドポイントが与えられ、一定ポイントごとに昇格する。
ギルドから与えられる階級ごとに、いろいろな国や街で特権を与えられるので、よほどのことがない限り冒険者たちは換金をギルドに依頼する。
……ただ、不思議なことがある。 ◇
【気配感知】で魔物を回避して、岩山のてっぺんの魔法の扉から戻ってきた。
初の探索で、レベルを一気に五つもあげてレアドロップのからくりの心臓を手に入れたられたのは大きい。
さっそく、ギルドのホールに向かう。
ギルドには大きな役割が三つある。
一つ目は、冒険者たちの相談役。聞けばレベルに見合ったダンジョンの情報や出現する魔物についてなど、様々なアドバイスをもらえる。
二つ目は、宝やドロップアイテムの換金。ダンジョン内で手に入れたありとあらゆるものを買い取り、その巨大なネットワークを使い全国に売りさばいてくれる。
三つめは、クエストの配布。国や街、個人から幅広く冒険者を当てにしたクエストの募集を行い、冒険者たちに紹介している。
ギルドの存在にはかなり助けられている。
彼らがいないと、ドロップアイテムを売りさばくだけで一苦労だ。もちろん、手数料はとられてしまう。だが、納めた金額に応じて、ギルドポイントが与えられ、一定ポイントごとに昇格する。
ギルドから与えられる階級ごとに、いろいろな国や街で特権を与えられるので、よほどのことがない限り冒険者たちは換金をギルドに依頼する。
……ただ、不思議なことがある。 「あの女神像、ステータスはともかく、どうやってギルドポイントまでリセットしてるんだか」
ステータスカードを見ると、俺は上位の白銀冒険者だったはずなのに、最下位の青銅冒険者になっていた。
また、一からギルドのランクを上げていく必要がありそうだ。
◇
換金所に行く前に、クエストを覗いた。ロックゴーレムのドロップアイテムであるからくりの心臓を希望するクエストがあったので持っていく。
あれからもう一つからくりの心臓を手に入れた。とある貴重な魔法アイテムを作るために一つはストックしておくが、もう一つは売ってしまう。
クエストがあると、同じアイテムでも売値に色がつくし、ギルドポイントの加算も大きい。
初心者用のダンジョンにしてはかなりの報酬だ。
ルーナと出会ってからというもの、かなり運が向いてきた。
「ルーナ、今日も酒場に行くか? 思わぬ収入があったし、うまいものを食えるぞ」
ルーナは目を輝かしたが。しばらくするとぶんぶんと首を振った。
「新しいスキルが先、ルーナも強くなりたい」
まっすぐに俺の目を見てくる。
ただ、その顔にはごちそうに未練が残っていて苦笑してしまう。 「あの女神像、ステータスはともかく、どうやってギルドポイントまでリセットしてるんだか」
ステータスカードを見ると、俺は上位の白銀冒険者だったはずなのに、最下位の青銅冒険者になっていた。
また、一からギルドのランクを上げていく必要がありそうだ。
◇
換金所に行く前に、クエストを覗いた。ロックゴーレムのドロップアイテムであるからくりの心臓を希望するクエストがあったので持っていく。
あれからもう一つからくりの心臓を手に入れた。とある貴重な魔法アイテムを作るために一つはストックしておくが、もう一つは売ってしまう。
クエストがあると、同じアイテムでも売値に色がつくし、ギルドポイントの加算も大きい。
初心者用のダンジョンにしてはかなりの報酬だ。
ルーナと出会ってからというもの、かなり運が向いてきた。
「ルーナ、今日も酒場に行くか? 思わぬ収入があったし、うまいものを食えるぞ」
ルーナは目を輝かしたが。しばらくするとぶんぶんと首を振った。
「新しいスキルが先、ルーナも強くなりたい」
まっすぐに俺の目を見てくる。
ただ、その顔にはごちそうに未練が残っていて苦笑してしまう。 「あの女神像、ステータスはともかく、どうやってギルドポイントまでリセットしてるんだか」
ステータスカードを見ると、俺は上位の白銀冒険者だったはずなのに、最下位の青銅冒険者になっていた。
また、一からギルドのランクを上げていく必要がありそうだ。
◇
換金所に行く前に、クエストを覗いた。ロックゴーレムのドロップアイテムであるからくりの心臓を希望するクエストがあったので持っていく。
あれからもう一つからくりの心臓を手に入れた。とある貴重な魔法アイテムを作るために一つはストックしておくが、もう一つは売ってしまう。
クエストがあると、同じアイテムでも売値に色がつくし、ギルドポイントの加算も大きい。
初心者用のダンジョンにしてはかなりの報酬だ。
ルーナと出会ってからというもの、かなり運が向いてきた。
「ルーナ、今日も酒場に行くか? 思わぬ収入があったし、うまいものを食えるぞ」
ルーナは目を輝かしたが。しばらくするとぶんぶんと首を振った。
「新しいスキルが先、ルーナも強くなりたい」
まっすぐに俺の目を見てくる。
ただ、その顔にはごちそうに未練が残っていて苦笑してしまう。 「わかった。なら、美味しいサンドイッチを買って帰ろう。それなら、美味しいものを食べながら練習できる」
「ユーヤは頭がいい。大好き」
現金な子だ。
俺は、たっぷり肉が挟まっているものと、卵が挟まっているもの、エビを挟んでいるものを購入して宿に戻った。
◇
宿の中庭でルーナと向かい合う。
ルーナの手には木で出来た短剣。
「さて、ルーナにとってほしいスキルは、ルーナがかっこいい名前だといったアサシンエッジというスキルだ」
「うれしい。名前からしてかっこいい。ルーナはかっこよく、ばんばんアサシンしたい!」
おかしな文面になっているが、言いたいことはわかる。
ばんばんアサシン。
……それができるかはルーナ次第だ。
「アサシンエッジは、強いけど難しいスキルなんだ」
「知りたい、教えて」
ルーナがキツネ耳をぴくぴくさせて聞く準備は万端だ。
スキル一覧は脳裏に浮かぶが、説明までは書いていない。スキルごとの効果を把握しているのは俺の強みでもある。
初心者冒険者は名前の響きでスキルを取得して後になってから後悔する。
基本的に取得するスキルを絞って、限界までスキルレベルを上げたほうがいいのだ。一ポイントも無駄にできない。
「アサシンエッジは、クリティカル時に攻撃力補正が極大。その倍率は全スキルの中でも最強だ。……その代わり、クリティカルじゃないと通常攻撃と一緒だ」 「わかった。なら、美味しいサンドイッチを買って帰ろう。それなら、美味しいものを食べながら練習できる」
「ユーヤは頭がいい。大好き」
現金な子だ。
俺は、たっぷり肉が挟まっているものと、卵が挟まっているもの、エビを挟んでいるものを購入して宿に戻った。
◇
宿の中庭でルーナと向かい合う。
ルーナの手には木で出来た短剣。
「さて、ルーナにとってほしいスキルは、ルーナがかっこいい名前だといったアサシンエッジというスキルだ」
「うれしい。名前からしてかっこいい。ルーナはかっこよく、ばんばんアサシンしたい!」
おかしな文面になっているが、言いたいことはわかる。
ばんばんアサシン。
……それができるかはルーナ次第だ。
「アサシンエッジは、強いけど難しいスキルなんだ」
「知りたい、教えて」
ルーナがキツネ耳をぴくぴくさせて聞く準備は万端だ。
スキル一覧は脳裏に浮かぶが、説明までは書いていない。スキルごとの効果を把握しているのは俺の強みでもある。
初心者冒険者は名前の響きでスキルを取得して後になってから後悔する。
基本的に取得するスキルを絞って、限界までスキルレベルを上げたほうがいいのだ。一ポイントも無駄にできない。
「アサシンエッジは、クリティカル時に攻撃力補正が極大。その倍率は全スキルの中でも最強だ。……その代わり、クリティカルじゃないと通常攻撃と一緒だ」 「わかった。なら、美味しいサンドイッチを買って帰ろう。それなら、美味しいものを食べながら練習できる」
「ユーヤは頭がいい。大好き」
現金な子だ。
俺は、たっぷり肉が挟まっているものと、卵が挟まっているもの、エビを挟んでいるものを購入して宿に戻った。
◇
宿の中庭でルーナと向かい合う。
ルーナの手には木で出来た短剣。
「さて、ルーナにとってほしいスキルは、ルーナがかっこいい名前だといったアサシンエッジというスキルだ」
「うれしい。名前からしてかっこいい。ルーナはかっこよく、ばんばんアサシンしたい!」
おかしな文面になっているが、言いたいことはわかる。
ばんばんアサシン。
……それができるかはルーナ次第だ。
「アサシンエッジは、強いけど難しいスキルなんだ」
「知りたい、教えて」
ルーナがキツネ耳をぴくぴくさせて聞く準備は万端だ。
スキル一覧は脳裏に浮かぶが、説明までは書いていない。スキルごとの効果を把握しているのは俺の強みでもある。
初心者冒険者は名前の響きでスキルを取得して後になってから後悔する。
基本的に取得するスキルを絞って、限界までスキルレベルを上げたほうがいいのだ。一ポイントも無駄にできない。
「アサシンエッジは、クリティカル時に攻撃力補正が極大。その倍率は全スキルの中でも最強だ。……その代わり、クリティカルじゃないと通常攻撃と一緒だ」 これがこのスキルの難しさだ。
クリティカルを出せる冒険者はいい。出せない冒険者にとって死にスキルと言える。魔力を消費して、通常攻撃をするのと一緒なのだから。
「じゃあ、クリティカルをたくさん出す……ん? でもどうやって出すの?」
至極まっとうな質問だ。
ゲームのときは、素早さが高いとわずかばかり確率があがるが運だった。攻撃したときに一定確率で発生する。
しかし、今の世界ではクリティカルは狙って出せるし……狙わないとまず出ないものだ。
「クリティカルっていうのは、何ヶ所かある相手の急所……魔物によって違うけど、大抵は柔らかいところだ。そこに渾身の一撃、うまく全身の力を集約した一撃を叩き込むこと。口で言うのは簡単だが、修練とセンスがいる。できない奴は、一生できない」
急所を狙うというのは、魔物ごとの急所を知らないといけないし、狙うだけの技術も必要だ。
そして全身の力を集約するというのは武の基本であり、奥義。
非常にセンスがいる。
「難しそう。ユーヤはできる?」
「ああ、俺はほとんどすべての魔物に対して、常にクリティカルが出せる」
俺にはセンスがなかった。
だが、数十年かけて鍛錬し続けた剣技、積み重ねた実戦経験、研ぎ澄まされた集中力。
それらにより、どんな体勢からでも渾身の一撃を狙い通りの場所に叩き込めるようになった。
「ユーヤ、口だとわかんない。実際に見せて」
「そういうと思った」
魔法袋から、木の人形を取り出す。無敵カカシくんというマジックアイテム。
凄まじい耐久力と、自動修復力がある。
試し切りにはもってこいだ。
それを大地に突き刺す。
「まずは手打ちだ。力任せに腕の力だけで剣を振る。まあ、悪い例だな」
ガンッと鈍い音がして木刀がカカシくんに叩きつけられる。 これがこのスキルの難しさだ。
クリティカルを出せる冒険者はいい。出せない冒険者にとって死にスキルと言える。魔力を消費して、通常攻撃をするのと一緒なのだから。
「じゃあ、クリティカルをたくさん出す……ん? でもどうやって出すの?」
至極まっとうな質問だ。
ゲームのときは、素早さが高いとわずかばかり確率があがるが運だった。攻撃したときに一定確率で発生する。
しかし、今の世界ではクリティカルは狙って出せるし……狙わないとまず出ないものだ。
「クリティカルっていうのは、何ヶ所かある相手の急所……魔物によって違うけど、大抵は柔らかいところだ。そこに渾身の一撃、うまく全身の力を集約した一撃を叩き込むこと。口で言うのは簡単だが、修練とセンスがいる。できない奴は、一生できない」
急所を狙うというのは、魔物ごとの急所を知らないといけないし、狙うだけの技術も必要だ。
そして全身の力を集約するというのは武の基本であり、奥義。
非常にセンスがいる。
「難しそう。ユーヤはできる?」
「ああ、俺はほとんどすべての魔物に対して、常にクリティカルが出せる」
俺にはセンスがなかった。
だが、数十年かけて鍛錬し続けた剣技、積み重ねた実戦経験、研ぎ澄まされた集中力。
それらにより、どんな体勢からでも渾身の一撃を狙い通りの場所に叩き込めるようになった。
「ユーヤ、口だとわかんない。実際に見せて」
「そういうと思った」
魔法袋から、木の人形を取り出す。無敵カカシくんというマジックアイテム。
凄まじい耐久力と、自動修復力がある。
試し切りにはもってこいだ。
それを大地に突き刺す。
「まずは手打ちだ。力任せに腕の力だけで剣を振る。まあ、悪い例だな」
ガンッと鈍い音がして木刀がカカシくんに叩きつけられる。 これがこのスキルの難しさだ。
クリティカルを出せる冒険者はいい。出せない冒険者にとって死にスキルと言える。魔力を消費して、通常攻撃をするのと一緒なのだから。
「じゃあ、クリティカルをたくさん出す……ん? でもどうやって出すの?」
至極まっとうな質問だ。
ゲームのときは、素早さが高いとわずかばかり確率があがるが運だった。攻撃したときに一定確率で発生する。
しかし、今の世界ではクリティカルは狙って出せるし……狙わないとまず出ないものだ。
「クリティカルっていうのは、何ヶ所かある相手の急所……魔物によって違うけど、大抵は柔らかいところだ。そこに渾身の一撃、うまく全身の力を集約した一撃を叩き込むこと。口で言うのは簡単だが、修練とセンスがいる。できない奴は、一生できない」
急所を狙うというのは、魔物ごとの急所を知らないといけないし、狙うだけの技術も必要だ。
そして全身の力を集約するというのは武の基本であり、奥義。
非常にセンスがいる。
「難しそう。ユーヤはできる?」
「ああ、俺はほとんどすべての魔物に対して、常にクリティカルが出せる」
俺にはセンスがなかった。
だが、数十年かけて鍛錬し続けた剣技、積み重ねた実戦経験、研ぎ澄まされた集中力。
それらにより、どんな体勢からでも渾身の一撃を狙い通りの場所に叩き込めるようになった。
「ユーヤ、口だとわかんない。実際に見せて」
「そういうと思った」
魔法袋から、木の人形を取り出す。無敵カカシくんというマジックアイテム。
凄まじい耐久力と、自動修復力がある。
試し切りにはもってこいだ。
それを大地に突き刺す。
「まずは手打ちだ。力任せに腕の力だけで剣を振る。まあ、悪い例だな」
ガンッと鈍い音がして木刀がカカシくんに叩きつけられる。 「次が見本だ。全身の力を集約して放つ」
俺は強く踏み込む、腰のひねり、腕のしなり、すべての筋力を連動させ、らせんの動きで増幅した一撃を放つ。
さきほどよりも数段上の衝撃。爆発音がなる。
「すごい、ぜんぜん違う」
「当たり前だ。はじめの一撃は腕だけの筋力。だけど、二発目は全身の筋力を使った。どっちが強いかなんて明白だろう? クリティカルを出すには、これをあたりまえにしないといけない」
実際、冒険者でそれができているものは百人に一人もいない。
技量を磨く前に、ステータスをあげることを重視する。
「ルーナ、あらかじめ言っておく。今日中に、一番得意な構えから、まっすぐ立っているだけのカカシくんに渾身の一撃を出せないようなら、アサシンエッジの習得を諦めさせる。才能がない。もっと、安定性があるスキルを取れ」
「……厳しい、こんなの一晩でなんて」
ほう、今のを見せただけで全身の力を集約させることが難しいということはわかったのか。
凡人なら、簡単だと思い込む。
俺は渾身の一撃を放てるようになるまで何年もかかった。ルーナに一晩での完成を求めるのは酷だとわかっている。
だが、ルーナの成長を待っている時間はない。
「それぐらいの才能がないと難しいということだ。大丈夫、クリティカルが出せなくても戦うすべはある。属性異常に特化するならクリティカルは必要ない。さて、もう一つの見本だ」
俺は再びカカシくんと向き合う。
そして、九連撃を放つ。
斬撃とは結局のところ、九種類に集約されてしまう。上下左右斜め。その九種類の斬撃の連続攻撃。
唐竹、袈裟斬、右薙、右斬上、逆風、左斬上、左薙、逆袈裟、刺突つき。
九連撃すべてにクリティカル足りえる、力の集約が行われている。 「次が見本だ。全身の力を集約して放つ」
俺は強く踏み込む、腰のひねり、腕のしなり、すべての筋力を連動させ、らせんの動きで増幅した一撃を放つ。
さきほどよりも数段上の衝撃。爆発音がなる。
「すごい、ぜんぜん違う」
「当たり前だ。はじめの一撃は腕だけの筋力。だけど、二発目は全身の筋力を使った。どっちが強いかなんて明白だろう? クリティカルを出すには、これをあたりまえにしないといけない」
実際、冒険者でそれができているものは百人に一人もいない。
技量を磨く前に、ステータスをあげることを重視する。
「ルーナ、あらかじめ言っておく。今日中に、一番得意な構えから、まっすぐ立っているだけのカカシくんに渾身の一撃を出せないようなら、アサシンエッジの習得を諦めさせる。才能がない。もっと、安定性があるスキルを取れ」
「……厳しい、こんなの一晩でなんて」
ほう、今のを見せただけで全身の力を集約させることが難しいということはわかったのか。
凡人なら、簡単だと思い込む。
俺は渾身の一撃を放てるようになるまで何年もかかった。ルーナに一晩での完成を求めるのは酷だとわかっている。
だが、ルーナの成長を待っている時間はない。
「それぐらいの才能がないと難しいということだ。大丈夫、クリティカルが出せなくても戦うすべはある。属性異常に特化するならクリティカルは必要ない。さて、もう一つの見本だ」
俺は再びカカシくんと向き合う。
そして、九連撃を放つ。
斬撃とは結局のところ、九種類に集約されてしまう。上下左右斜め。その九種類の斬撃の連続攻撃。
唐竹、袈裟斬、右薙、右斬上、逆風、左斬上、左薙、逆袈裟、刺突つき。
九連撃すべてにクリティカル足りえる、力の集約が行われている。 「ルーナ、最終的には上下左右、斜め、突きの九種類すべてで渾身の一撃を放つ必要がある。でないと、常にクリティカルなんて夢のまた夢。
九種類の斬撃をマスターするだけじゃだめだぞ? 当然、相手も動くし、攻撃してくる。そんなかで動きながら最適な一撃を選び、放つ判断力がいる。
それがアサシンエッジを使いこなす覚悟だ。一番得意な一撃を、止まった的に叩き込むぐらい一晩で出来なければあきらめたほうがいい」
厳しいことを言っているのはわかっている。
だが、実際にできないとどうしようもないのだ。
「わかった、やる!」
ルーナがキツネ尻尾をピンと伸ばした。
いい覚悟だ。
「なら、その短剣で俺がやったように九種類の斬撃をやってみてくれ。その中で一番、ルーナに合っているものを選ぶ……全力でやれよ」
「ん。見てて」
ルーナがカカシに短剣を叩き込む。
筋がいい。
見よう見まねで放った九つの斬撃で一番筋がいいのは……。
「突きだな。突きを極める。その短剣を貸してくれ」
ルーナから短剣を受け取る。
そして、その短剣でルーナのお手本となる一撃を放つ。
「かっこいい……ユーヤすごい。ルーナも、それ、やりたい。ユーヤみたいにかっこいい突きをしたい!」
ルーナは目を輝かせて、憧れの視線を向けてくる。
「これを真似てみろ。明日の朝までにできれば、合格だ」
ルーナがさっそく、俺の動きを意識して短剣で突きを放つ。
その一撃には俺の面影があった。本当にちゃんと見ている。 「ルーナ、最終的には上下左右、斜め、突きの九種類すべてで渾身の一撃を放つ必要がある。でないと、常にクリティカルなんて夢のまた夢。
九種類の斬撃をマスターするだけじゃだめだぞ? 当然、相手も動くし、攻撃してくる。そんなかで動きながら最適な一撃を選び、放つ判断力がいる。
それがアサシンエッジを使いこなす覚悟だ。一番得意な一撃を、止まった的に叩き込むぐらい一晩で出来なければあきらめたほうがいい」
厳しいことを言っているのはわかっている。
だが、実際にできないとどうしようもないのだ。
「わかった、やる!」
ルーナがキツネ尻尾をピンと伸ばした。
いい覚悟だ。
「なら、その短剣で俺がやったように九種類の斬撃をやってみてくれ。その中で一番、ルーナに合っているものを選ぶ……全力でやれよ」
「ん。見てて」
ルーナがカカシに短剣を叩き込む。
筋がいい。
見よう見まねで放った九つの斬撃で一番筋がいいのは……。
「突きだな。突きを極める。その短剣を貸してくれ」
ルーナから短剣を受け取る。
そして、その短剣でルーナのお手本となる一撃を放つ。
「かっこいい……ユーヤすごい。ルーナも、それ、やりたい。ユーヤみたいにかっこいい突きをしたい!」
ルーナは目を輝かせて、憧れの視線を向けてくる。
「これを真似てみろ。明日の朝までにできれば、合格だ」
ルーナがさっそく、俺の動きを意識して短剣で突きを放つ。
その一撃には俺の面影があった。本当にちゃんと見ている。 「ルーナ、最終的には上下左右、斜め、突きの九種類すべてで渾身の一撃を放つ必要がある。でないと、常にクリティカルなんて夢のまた夢。
九種類の斬撃をマスターするだけじゃだめだぞ? 当然、相手も動くし、攻撃してくる。そんなかで動きながら最適な一撃を選び、放つ判断力がいる。
それがアサシンエッジを使いこなす覚悟だ。一番得意な一撃を、止まった的に叩き込むぐらい一晩で出来なければあきらめたほうがいい」
厳しいことを言っているのはわかっている。
だが、実際にできないとどうしようもないのだ。
「わかった、やる!」
ルーナがキツネ尻尾をピンと伸ばした。
いい覚悟だ。
「なら、その短剣で俺がやったように九種類の斬撃をやってみてくれ。その中で一番、ルーナに合っているものを選ぶ……全力でやれよ」
「ん。見てて」
ルーナがカカシに短剣を叩き込む。
筋がいい。
見よう見まねで放った九つの斬撃で一番筋がいいのは……。
「突きだな。突きを極める。その短剣を貸してくれ」
ルーナから短剣を受け取る。
そして、その短剣でルーナのお手本となる一撃を放つ。
「かっこいい……ユーヤすごい。ルーナも、それ、やりたい。ユーヤみたいにかっこいい突きをしたい!」
ルーナは目を輝かせて、憧れの視線を向けてくる。
「これを真似てみろ。明日の朝までにできれば、合格だ」
ルーナがさっそく、俺の動きを意識して短剣で突きを放つ。
その一撃には俺の面影があった。本当にちゃんと見ている。 「ルーナ、腰はもう少し落とせ。腕は伸ばしすぎない」
彼女の後ろから抱き着くようにして、姿勢を正させる。
「何度か俺のアシストを受けながらゆっくりやろう。間違っているところを修正する」
「んっ!? その、ユーヤ……なんでもない」
なぜかうなじが赤くなっている。
剣を振るうことで興奮しているのだろう。
姿勢を修正しながらゆっくり突きを行う。それを何度も繰り返す。
目に見えて良くなっていく。
ある程度良くなったところで、ルーナから離れる。
ルーナは一心不乱に突きを繰り返す。一突き、一突き、ちゃんと自分で改善点を探しながらやっている。ルーナは頭のいい子だ。一つとして無駄な一突きがない。
これなら、明日の朝までに突きだけは完璧になるかもしれない。
がんばれ、ルーナ。
俺は心の中で応援しながら、アドバイスをし続けた。
ルーナが直感で気に入ったスキル。できれば使わせてやりたい。応援とアドバイスしかできないが、俺にできる全力で朝までサポートをし続けよう。 「ルーナ、腰はもう少し落とせ。腕は伸ばしすぎない」
彼女の後ろから抱き着くようにして、姿勢を正させる。
「何度か俺のアシストを受けながらゆっくりやろう。間違っているところを修正する」
「んっ!? その、ユーヤ……なんでもない」
なぜかうなじが赤くなっている。
剣を振るうことで興奮しているのだろう。
姿勢を修正しながらゆっくり突きを行う。それを何度も繰り返す。
目に見えて良くなっていく。
ある程度良くなったところで、ルーナから離れる。
ルーナは一心不乱に突きを繰り返す。一突き、一突き、ちゃんと自分で改善点を探しながらやっている。ルーナは頭のいい子だ。一つとして無駄な一突きがない。
これなら、明日の朝までに突きだけは完璧になるかもしれない。
がんばれ、ルーナ。
俺は心の中で応援しながら、アドバイスをし続けた。
ルーナが直感で気に入ったスキル。できれば使わせてやりたい。応援とアドバイスしかできないが、俺にできる全力で朝までサポートをし続けよう。 「ルーナ、腰はもう少し落とせ。腕は伸ばしすぎない」
彼女の後ろから抱き着くようにして、姿勢を正させる。
「何度か俺のアシストを受けながらゆっくりやろう。間違っているところを修正する」
「んっ!? その、ユーヤ……なんでもない」
なぜかうなじが赤くなっている。
剣を振るうことで興奮しているのだろう。
姿勢を修正しながらゆっくり突きを行う。それを何度も繰り返す。
目に見えて良くなっていく。
ある程度良くなったところで、ルーナから離れる。
ルーナは一心不乱に突きを繰り返す。一突き、一突き、ちゃんと自分で改善点を探しながらやっている。ルーナは頭のいい子だ。一つとして無駄な一突きがない。
これなら、明日の朝までに突きだけは完璧になるかもしれない。
がんばれ、ルーナ。
俺は心の中で応援しながら、アドバイスをし続けた。
ルーナが直感で気に入ったスキル。できれば使わせてやりたい。応援とアドバイスしかできないが、俺にできる全力で朝までサポートをし続けよう。 みんな中瀬君のこと忘れるんだから、こういうことやめなよ
君がこういうことするから話題になるんだよ?
もしかして、かまってちゃんか! これがインターネット植物人間の末路か‥
いくら埋めても次スレが立つだけだというのに🤪🤪😚 コテハンで埋め立てすると1人NGすればスッキリしちゃうから、1レスずつid変えるとかした方がいいんじゃないかな 次スレはまだいいよ
5ちゃん警察なんて暇な大学生だろう暇な時間でやってるんだろうから
やらせときゃそのうち飽きるさ >>612
杉並区にこだわるなら、特別区の採用はもうやめたら?
受かっちゃうと来年以降、やめないと受けれないよ!
私もそれで悩んでます 杉並はもう来ないだろ
他の区行きたくなくて内定あるならもうやめるのがいいでしょ
実際第二でやる気なくなって面接テキトーにやっていつ来るかわからない次に期待したり、やめる人多そうだし >>619
希望区から来た人が少ないから思ったよりもみんなやる気なくなってるよね 確かに無理して他の区受けるならもう内定あるならそっちにすれば?
やる気ないの面接官にばれるよ どこの区でもいいからとにかく公務員って人は強いな
地元区にどうしても行きたかった人は辛いな みんな初心に帰れよ
最初は公務員になりたいって気持ちで勉強を始めたんだろう
民間行こうとしてる人はよく考えたほうがいいよ >>623
民間じゃなくて特別区第二組で他職種の公務員の内定持ってる人も多いだろ 杉並の良さは知らんが、希望すらしてない区で一生働くんだぞ?
そんな無理に特別区選ばなくてもええやろ
政令市でもコッパンでも自分にしっくりくるところで決めた方がええ 公務員って基本その組織で一生働くことになるからじっくり選んだ方が良い
もし希望じゃない区でも調べてみたら会うかもしれんしね 現職だが都区間交流あるし別に希望区入らなくても途中で区は変われるぞ
地元なら親の介護とか言っとけば通りやすしな >>628
技術職はもともとの人が少ないから、可能性少ない
事務は可能性あっても、さすがに嘘はバレるんじゃ.... >>628
聞いたことないぞ
他の区に移れるなんて
そもそも区は区でそれぞれ別自治体やん >>617
同じく悩んでる
ただもう公務員の勉強はしたくないから区役所ガチャにかけてる
年内まで頑張ってダメなら諦めつくし 二次って、面接だけ?グループディスカッションとかプレゼントがそういうのもあるの? 二次って、面接だけ?グループディスカッションとかプレゼントがそういうのもあるの? >>631
他の区に移れるのは本当ですよ!
しかし、機会が多くないので希望してもすぐに通らないらしいです
>>632
区役所ガチャにかけてるってことは、意外にすこまでこだわってないんですよ! 希望区から来たから結果的に希望外の第一提示落ちてよかったわ サンキュー人事委員会 行きたくない区から来たし駄目元で受けた免許資格職通ったし本格的にわざと落ちるか悩んできた 席次めっちゃ良いのに希望区外や
しかも住んでるところからめっちゃ遠いし
やっぱりわざと落ちるしかないかなあ わざと落ちたら次来るとして第三希望から下になるのかな? >>645
それはわからんが予備校が言うには辞退よりはワザと落ちる方が良いって
辞退だと第3提示にすら呼ばれなくなる可能性あるって言われた >>646
第三提示呼ばれないのは嫌だな……まだ希望は持ちたい >>648
それはその通りやな
まあその時はその時 大人しく下町にした方が良いって
ハイソ区で家賃5万高いとして、5万稼ぐ為に何十時間働かなきゃいけないのか考えよう
ハイソ区への拘りに月何十時間分の労働の価値ある? >>652
これ。
ガチの下町は治安悪いから嫌だが家賃安めの中堅区くらいが丁度良いよね >>654
クソ悪い
拘置所あるし川沿いの団地はホームレスの溜まり場だしな 豊島から来たけど面接一日拘束されるとか
何されるか不安 >>657
俺なら葛飾
川崎は風俗街あるしコリアンタウンで不法滞在韓国人の集まりだし治安の悪さは葛飾の比じゃない
川崎が地元なら話は別だが。 >>651
大田区は意外に人気ありますよ!
ちなみに毎年落ちる人続出してます....第一希望の人は誰でも呼ぶらしいので >>656
下町は人情あふれる人が多いらしいので、クレームとかも少ないらしいですよ
一方川崎市は結構クレームや調べてほしいなど要望がたくさんらしい.....
住まないのであれば、治安はあまり気にしなくても良い気がします 葛飾区は都内でも治安良くない方だが、良くも悪くも住宅街。
下町のじじばばと話し合うなら(地元出身なら)余裕
川崎は風俗関係、外国人、暴力団関係者等カオス。
川崎市役所前でしょっちゅう在日のデモとかやってるし騒々しくて嫌だな >>661
なるほど!
第3希望で書いてたから、今回呼ばれたんですかね〜
とりあえず頑張ってきます! >>666
地元が東京なら葛飾
地元が神奈川なら横浜
横浜市といっても八景島とか飛ばされたら笑えないし横浜周辺は人多過ぎて吐きそう >>667
なるほど
地元は東京なんやが葛飾に良いイメージがあまりないんや
うーん迷うわ 板橋区の人いるかな?希望区に書いたし席次も悪くないのに電話来なかった
なんなら第三提示に賭けたいくらいだけど人気なのかな >>672
どこと迷ってる?
最悪政令市だし、この際第四提示までは粘ろうかと思ってる >>676
まだ来てないからわからん
ちなみに何区? >>678
県庁ならええやん
区面接辞退かわざと落ちるでええと思う 特別区の金かかる問題って金稼ぎの良い旦那or嫁を捕まえて食わせて貰えば解決するよね。 >>631
なんで現職の俺がたかが受験生のお前にそんな制度ないとか言われんねんゴミが
都区間なんて普通におるし今までいた部署に何人もいたわ
本当情弱は恥ずかしいからレスすんなよ >>682
お前素直にごめんなさいできないようなやつだから区面接落とされるんちゃうんか
区移れるならどこでもとりあえず入れば良いんじゃないか id真っ赤の不選択のゴミ対自称現職様
てかまじで区の間で移籍できんの? >>682
さすがにこれは恥ずかしい
自分が知らない=存在しないって決めつけて、挙げ句人格否定だからな
人間としてどうかと思うわ >>683
なんでネットの自称現職様にごめんしなきゃいけないんだよ笑 お互い落ちてるから同じ穴の狢だね >>684
できねーよアホか
一応そういう制度はあるけどな、毎年毎年希望した人間が簡単に全員移籍できる訳ねーだろ
数年に一度数人いるかどうかってレベル
つまり、無理 >>678
ここのスレ見てわかる通りレベル低いから県庁にしな 希望区じゃないとこから連絡来た人は志望動機どうする?
かなり難しくないか? 東京都特別区part500とかで検索していけばそのうち当たるんじゃない >>690
京浜東北線ユーザーの埼玉県民には人気高いかも メチャ激しくシコろかな🤔
ハッキリ一手オチンチンとれてもイイです😌 区同士の交換制度は事実上あるけど、期待はしないほうが良いレベルってことは認識しておけば大丈夫だよ
そんなケンカしなくても....
>>703
ということはそこの区から提示来たら、これがラストチャンスってことだね 不選択のやつは人格見抜かれてんだなやっぱり
落ちて当然のやつばっかID真っ赤のやつとかな >>712
そんな風に自分は違うと思ってるところが面接官は気に食わなかったらのかもね >>709
同じだわ
今回で受かる気ある?それともわざと面接テキトーにやって落ちて次に期待する感じ? 第五提示で世田谷受かってる人もいるから粘ったもんがち感あるよね >>715
第2提示はここ見てると割と行きたくないところから来てる人多いから内定あって余裕ある組はわざと落ちに行くのはありなのかもね >>715
杉並も第五提示合格いるから、とにかく粘るのは大切かもな なるほど・・・こんな風に、贅沢言ってわざと面接適当にやって落ちるとかいう奴らが結局採用漏れになって消えていくのか!
俺は第一で受かってるからあえて言うが、不人気区だろうが日程後ろになるほどきつくなっていくことを忘れんなよww
不人気だろうが腹括って早めに内定もらった奴が勝つ >>717
杉並も第五提示あるのか
他に内定持ってる人は採用漏れ覚悟で粘った方がいいねやっぱり >>714
本当に行きたい区があって、足立区でよいのかすごい悩んでます....
けど、真剣に面接して必要としてくれるなら足立区で自分にしかできないことをやるのもありかなって思ってます
(ずっと足立区で働くとはいっていない...) 辞退するのと面接落ち狙いだったら後者の方がいいの? >>722
うん。辞退は次の提示来ない可能性あるから
嫌な区はスーパーコミュ障面接すればいい 第四提示からは内定一気に出にくくなるから締めてったほうがいいよ
第二第三は比較的内定出るから頑張れ >>721
特別区から他の区への転職でエントリーするのは厳しいから足立区が嫌なら今回の提示は諦めた方が良さそう 他の区への異動って大学の転入みたいなイメージあるわ
どうせ大半のやつが面倒くさくなって諦めるだろ 足立区だからって第二提示で選り好みすんのはきついわ
第三提示で希望区から電話来る自信あるならいいけど >>728
NNTならともかく内定ある組ならいいと思う >>729
内定あるけど決められるなら早く決めてすぐ断れるようにしたいから個人的に面接辞退はしづらい
第2提示がそこそこ近いところだからってのもあるけど、年明けとかに内定取り消しの連絡するのは流石に申し訳ないというか… マジで足立が嫌な理由ってなに?
治安は確かに悪いかもだが、どうせ住んだこともない地方民の決めつけでしょ >>723
ありがとう
やっぱりそうか…第3提示来なかったらキツイもんなあ >>731
足立の夜の治安は個人的にひどいと思ったわ。
夜中にコンビニ行ってみ。民度の低さにビビるぞw
まぁ、そんなこと言えば、東京どこでもそうだろと思うかもだが、足立は独特な民度の低さある。あれは窓口対応のある部署に配属されれば苦労しそう。 >>731
一昨日くらいに若いやつ全裸にされて殺されたの知らんのか? 第一提示で落ちて、第二提示も受かるか分からないような雑魚が皮算用してて滑稽だな
足立だからわざと落とされるとかいってる奴ら、第三提示が確実にくるなんて誰が言ったんだよww
きたとしてもそうやって蹴られて人気のない下町ばかりだぞ
第三提示以降で人気のある区に受かった例なんて珍しいケースなのにそれを信じてる時点で無能ww >>734
港区や千代田区ではそんな事件が起こらないとでも? >>735
そういう人はほかに内定あるんでしょ
流石に無いのにそんなこと言ってたらやばい 通えるところならどこでも良いって思ってたけど改めてしっかり調べたらどの区でも実家から通えるみたいだし本格的にどこでもいい
ただもう面接に自信が持てない
第二提示落ちて第三提示来る確率ってどれくらいなんだろう 第二提示 不人気区→イメージ悪いから適当に受けてわざと落ちる
第三提示 人気区→憧れで受けるも実力不足で落ちる
第四提示 またもや不人気区→わざと落ちる
・
・
・
を繰り返すんだろうなここの人達
わざと落ちればハイソ区からくるなんて誰も言ってないのに。 >>741
ハイソ区ってなにが良いの?
正直地元に住んでる人たち以外はメリットがほぼない気がするんだが。 一二三四全部提示くることってありえるの?わざと落ちる気はないんだけど ハイソ区なら住民対応が楽とか給料が高いとか勘違いしてる人がいる 面接日クールビズ指定なんやがみんなクールビズでいく?
また、クールビズでもネクタイつけるかな? >>743
辞退しなきゃ1〜4は全部来るのが普通
5〜7は確実とは言えない 10月からのクールビズはネクタイ着がマナーやぞ
絶対にネクタイだけはしてくんだぞ >>742
田舎者特有の、俺はハイソ区の職員だぜ!(ドヤ)っていう優越感
なお、実際は富裕層に見下されてることに気付いてない 不人気区だから本気出せば内定もらえるとか勘違いも甚だしい
ハイソ区から提示受けたら受かる自信あるのかよ?第一提示落ちた癖に。 地元ならええけど地方からハイソはきつくないか?暮らしていけるのかな 第一提示で落ちたのはお前らの実力が足りなかったんだろ。ましてや大体の人が、希望してたって有利な条件もあったのに。 >>746
そうなんだ、第二提示来たから第三提示は絶望的かと思ってた
追い詰められるような気持ちだったから少し安心したありがとう なんでこんなに煽りが多いんや
特別区以外持ち駒ないんか 特別区以外持ち駒ある人の方が多いんだと思ってたわ
持ち駒と比べて行きたくない区なら面接テキトーにやるのがいいだろ >>754
ほんとそれな
多分批判してんのは特別区以外にもう後がない奴だと思ってるわ 区面接で他に内定持ってるか聞かれたら、無いって答えるのがベストなん?
有りって答えたらこの時期に辞退する奴と思われそうだし コッパン、県庁、国税蹴って特別区にしようと思うんだが後悔しそうで怖い… >>755
キモw
第一提示で落ちる訳ねーだろ雑魚がw >>758
内定無くて焦る気持ちはわかる
ただ煽ってもしょうがないじゃないか 特別区ってなんでこんなに煽りカス多くて民度低いんだ >>748
ハイソ区で公務員したいとは思わないのが普通の思考だよな。
住民対応とかも弁護士引き連れてこられたりとか普通にきついわ。それなら下町で民度の低い住民に文句言われて、はいはいってスルーできる方がマシだと思うし。
人気の理由が本気で知りたいわ。 >>762
こっぱんと国税の方が明らかに合格者多いけどこんなには荒れてないぜ 第二提示ですら呼ばれなかったやつこのスレにいたよな?
1〜4確実はさすがに嘘やろなぁ 限界集落にあと40年でなりそうなとこは置いとくとして、長い目で見れば地方の地元だろうが非地元だろうが何やかんや幸せにはなれると思うよ。
あとは好みの問題だと思う。 ねりまるみんは第二提示で受かればたぶん内定式間に合うぞ
頑張れ >>753
煽りカスはせいぜい二人ぐらい
IDコロコロしてるだけじゃないかな >>731
自宅から遠い以上。
君みたいに住む前提でしか考えられない人は、愚かだよね とりあえず公務員になれれば良いと思う人やこの区が良いというこだわる人がいるのにも関わらず、
区を選ぶのは愚かみたいなこと言ってるのはただの押し付け。
人それぞれなんだから偉そうに言うのやめようよ ねり丸の面接カードに受験番号書く欄あるんだが、これは人事院のを書いた方がいいの?何も書かない? >>767
がんばろうぜ
面接カード書くとこ少ないけど、深掘りされんかな
>>768
マジか、頑張るわ。サンキュー >>777
ありがとう
内定もらった人言うなら間違いないた
ほんとに助かる >>778
過去スレ見てたら圧迫って出てきて震えてる >>780
俺的に政策とか聞かれるよりはいいかな… 抽象的な発言を切り取られて突っ込まれるよ
自分の発言には責任を持ったほうがいい 民間なんか1時間ぐらい面接するとこもあるのに特別区は30分とか15分とかの面接で何を見るのか >>792
いや、再来週です!
来週の人もいるんですかね? 大田区くんの面接カード来たけど、けっこう書くこと多いな… >>795
線は引いてないから、書く文字の大きさによりそうですね… >>781
練馬は圧迫に加えて政策聞かれるらしいよ >>780
圧迫なんてないから心配するな
圧迫とか言ってる奴は対策を疎かにして単なる深掘りに答えられず、圧迫だと被害妄想してるだけだから
公務員試験で圧迫面接って言われてるものの大抵がコミュ障の被害妄想だからな >>798
やっぱ難しいよなぁ…
集団討論のテーマなんだった? 23区どこでも待遇同じ給与同じ
下町の荒川区は職員の大学的なのあるし
足立区は先進的政策やったり楽しそう スレチかもだがなんかこんな和気あいあいしてて俺も特別区受けてりゃよかったなあ。地元中核市落ちたから国立市特攻するが。 >>804
テーマは言えんけど、集団討論はそんな気にしなくていい、最低限話せれば
あの区は討論の内容より、個別面接で職場に合うかどうかで決めてる気がする
あとは席次ね、履歴書に書くところあるから 区巡りしようと思ってたのに台風でそれどころではない 最初の頃はキンタマうるせえと思ってたけど、面接前でドキドキしてる時にキンタマたまに和ませてくれるよなあ
自分だけかもしれないけど stgy区って面接カード15日必着なんだな。台風あるし、明日中に出さなきゃ割とやばくね? お前らにいいこと教えてやろう!
セックスすると自分に自信がつくぞ!
面接の前の日は女とセックスするのだ!
そうすれば翌日の面接では堂々としていれるのだ! >>815
なるほどありがとう
席次は書くとこなさそうだし第2提示と第1提示はカード違うっぽいね 台風だ
まさにBefore The Storm
イントゥーザストームになるのかな 国家公務員一般職にやりがいなんてない。政策は総合職だからな。国税にやりがいはあるっちゃあるが、税金修めろだからな。
唐突なネガキャンですた。 >>821
土日祝は普通郵便の配達無いらしいしかなり怖いな
速達なら土日祝もあるらしいし最悪速達かな 書類何一つ届かないから電話来たの夢だったのではと思えてきた さぞドジャースファンの怒りは頂点だろうと思いながら昨日の対ナショナルズ戦 Game5を見てた。
2点リードしていた8回に2打者連続ホームランを浴びあっけなく同点にされたクレイトン・カーショー。ファンは彼の背ネームの入ったユニフォームを脱ぎ球場に投げ捨てていった。 ドジャースが負けてしまった。
特定の投手にこだわって、継投させた完全な監督の采配ミスだ。
リードしているんだから、いつも通りの継投で逃げ切ればよかったのに… 倉田のケツくさ(笑)
吉永麻美の子供試験失格くさ(笑)
箕面市の人事の子供試験失格っすね!
おめっす! なんでよりにもよって集団討論ある区から提示が来るんだ・・・
厳しめっていう評判多いし受かる気がしない
第三提示来るのかな・・・ 清掃でも発電設備とか弄れるからいいよな。都内の発電所勤務みたいなものでしょ? >>865
なんか面接で特殊なことやった?
予備校情報だと過去の面接で軽い事務作業あったときもあるらしくて気になってる >>866
あったよ
何やったか忘れてしまったぐらいには簡易なものだから気にしなくていいとおもう >>867
横からごめん
足立事務作業ってまじなの?wordやexcel使ったり書類作成したりとかそういうの?
アスペ並に理解力ないんだけどいけるかな >>870
面接カードの量多いのに本番でもさらに書くのか 第一提示落ちた人って、なぜ第一提示落ちたと思う?的な質問どう答えるつもり? 第一提示落ちた人って、なぜ第一提示落ちたと思う?的な質問どう答えるつもり? このスレの阿鼻叫喚みてると、一発で内定ゲットできて良かったとしみじみ思う >>873
区への志望度が上手く伝えられなかったって答える。 特別区受けてる人でそういう服装の趣味で写真とか撮ってSNSに上げてたりして、5ちゃんにも上げてる人と予想 >>868
>>870
今年と去年は特にに何もやってないよ 面接シートにクールビズで来いって書いてあるけど10月なのにクールビズの方がいいもんなのかな >>893
紙には節電のため空調を28度に書いてあるから夏だった一次提示の時の説明から変更してないだけだと思う、、
一応火曜日に問い合わせてみる予定だけど 俺んとこもクールビズ指定だったわ
まー、庁舎内は結構暑いだろうしシャツ一枚で大丈夫だろうけど一応ジャケットとネクタイ持っていった方が無難かもな 荒川周辺の区は水害あるからか職員も大変だな
都心区でよかったーw 西の方の市は特別警報
東の方は浸水被害
練馬区で震えるワイ 江戸川区で荒川の土手のすぐ近くにすむワイ…
震える… ボクは変態です😤
ハッキリ言ってメチャクチャ変態です😠 関東地方整備局から中継や
コッパンのとき説明会行こうか迷った 世田谷区民だけど多摩川氾濫してて笑ってる
阿佐ヶ谷住んでる彼女のマンション周辺も洪水でやばいらしい 二子玉やばすぎて草
西の区は安全とか言ってた情弱ども出てこいやーwww >>912
もちろんです。こういうときこそ働かなきゃならんのよ 技術職で気象庁行った友達から昨日から返信こないわ。寝れてないんやろな 直前は荒川周辺がやばいやばい言われてたけど西東京もやべーのな
自分も川沿いの街なので皆さんお気をつけて… 18面接なのに面接カード書けてねぇ
最近関心あるニュースとかなさすぎて書くのきついわ 台風は去りましたが、石神井川は平常水位だったとさ
めでたしめでたし 西のほうの区は
東の方の区よりマシだな
西のほうの市よりマシだな >>926
間違いなくいたよww
ハイソだから何とかとか下町をバカにする感じで言ってた 川崎市民が糞まみれの下水で水浴びしてて草
この間、葛飾と川崎どっちがいいか論議してたけど、川崎市はこういう町だぞww >>927
多摩川の氾濫でウンコ祭りになった世田谷は特別区失格だわ 荒川周辺(下町区)区の治水能力の高さと多摩川周辺(世田谷区大田区)のダメさ加減が目立ったな
下町なんだかんだ有能じゃん 排水整ってて水害強いのは豊島台周辺(西北の区)の豊島区、新宿区、中野区、北区、板橋区、練馬区だったな
石神井川沿岸と荒川沿岸は治水能力高い
逆に多摩川周辺と神田川周辺はダメすぎる 大田区は田園調布ちょっと濡らしただけだし世田谷も二子玉とかいうクソ立地に水溜まり出来ただけでしょ
今回何処も大したことねぇわ >>932
下町治水能力が高くても治安は悪くちゃねぇw
まぁ何とかして下町ageしたい気持ちは分かってあげるけどね >>932
上下水道、河川の整備は主に都や国の仕事じゃね?
何で下町が有能っぷりを発揮したことになってるの 第2提示辞退したら第3提示は来ない可能性が高まるの?予備校にはこだわりがあるなら辞退して良いって言われたんだけど >>941
こだわりというのが区のことなら、当然言うでしょうね あらら、台東区が避難所にホームレス受け入れを拒否したと問題になってるね 8月の第一提示では家族構成聞かれて詰んだ。会話の半分はそこ聞かれて10分費やしたから
来週の第二面接では家族の職歴や生年月日など覚えてから受験する。 >>939
なんとかして下町sageしたい気持ちが伝わってきてるぞ… >>945
逆になんで家族構成の話で答えられないの???? 家族の職歴とか生年月日なんて意識せずとも覚えてるだろ…
それらを答えられなかったことがマイナスなんじゃなくてそれらを覚えていないような家族関係にある人間性がマイナス食らったんだろ
それに気づかず次は生年月日覚えていきますなんて言ってるようじゃ次も駄目だろうな 家族構成聞かれて詰むって明らか不安定な家族関係だと思うだろうなぁ
ただでさえ公務員は協調性を大事にしてんだから。
自分も人事院で家族構成聞かれて普通に答えたけど詰むやつおるのが謎い >>947
別に下町sageじゃないだろ
そもそも治水なんて区がする仕事じゃ無いんだから やっぱり治安良し、民度高め、家賃そこそこ、大きな川が無い、の杉並区が最良かもな 兄弟に引きニートいるから家族の仕事突っ込まれたらきつい >>951
安価ミス
まぁどこの仕事だろうと治水いいほうがいいよね >>952
杉並区
治安…アレフ(旧オウム真理教)の施設あり
民度…左翼の活動家うじゃいじゃ(土地整備が進まないから細い路地ばっかで住みにくい)
家賃…安いところは外国人ばっか
水害…阿佐ヶ谷や荻窪がちょっとの雨で毎回浸水してるのを知らないエアプは黙ってろw
阿佐ヶ「谷」荻「窪」と明らかに水が溜まる地名 今回の東京23区江東5区が洪水せずに救われたのは
首都圏外殻放水路が中川水エリアの水を地下に大量に貯めてくれたのと
利根川水系の大型ダム群が水を貯めてくれたこと
そして、最後に利根川水系の八ッ場ダムが完成して試験貯水してたくれたおかげ
ほんと色々な施設のおかげで助かった >>960
第一提示落とされたんだろうなぁ
かわいそうにw >>950
こういう前のやつとほぼ同じこと言うのきもい わかる。前の奴と同じようなこと繰り返し言う奴きもい >>970
内定済みの癖に荒らしお疲れ様ですww
すぐにハイソハイソとか滑稽だぞイナカモノがw >>967
そんなことわざわざレスしてくるお前もだいぶキモいで >>973
ただの嵐じゃねぇぞ 第二提示のカッペに教授してやってんだぞ
無神経に杉並アゲするアホみると笑う こっちは大変なんじゃい >>975
キッモww
ブサイクがハイソハイソ笑えるわw
そのハイソに住めない貧民は黙っとけよ 特別区の先輩とかおるやつ残業とかつらいこととか聞いた人いない? >>979
OBがC区。残業時間は常に1ケタ
職員は想像以上にやる気ない人多いらしい >>983
そう月に5,6時間でゼロもある
逆に税務課の激務係は年度末に月80〜100時間くらい残業付くとか 足立区面接落ちないとか書いてあるところあったけど、そんなことないよね? >>985
キャリアセンターで足立区落ちてるひとの資料見たことあるし、そんなことない。 >>987
ありがとうございます!
どんな理由で落ちたかもしれないとか書いてありましたか? >>984
なるほど 激務部署やばいな… 残業代はつかないとしたら ハイソ区より一見人気なさそうな足立、葛飾区のほうが美人の職員多いらしいよ! 世田谷区でやりたい仕事に防災って書いた奴、今回のことでかなり本番で深掘りされそうだな。 港区とか千代田区とかで女性職員がブスばっかで上司もムカつくやつばっかなのと足立、葛飾区のような一見人気なさそうな区だけど女性職員美人ばっかで上司もいい人ばっかなのとではお前らどっちに行きたい?
ワイは絶対後者やで! >>991
美人は嬉しいが、私は通勤1時間30分だから途中で辞めちゃうかもしれない >>993
お前第二提示葛飾区から来て絶望してハイソネガキャン下町区アゲしてるだけだろ いや!確かにワイは見たんや!
葛飾区役所に行って見に行ったら美人でスタイル良くておっぱいも大きい職員が多かったんや(汗) このスレッドは1000を超えました。
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