年間読書人って透徹した洞察力を持った人だね
マジで感心した
https://note.com/nenkandokusyojin/n/n81d60df52430

萩尾は「触れられたくない、つらい過去」に、無神経に触れてくる世間を責めるけれども、
世間の人々は、萩尾らが隠し続けた「過去」を知らなかっただけなのだ。知らされなかったからこそ、
好意的に「美化」してまで語りたかったのだ。その程度のことが、なぜ萩尾には、許せないのか。
それは、萩尾自身が、今もその「過去」を許していないからだ。「愚かな小娘」たちを許していないからだ。

しかし、そんな「愚かな小娘」たちにも増して、彼女たちを何十年も恨み続けた萩尾の方にこそ、
尋常でない感情、不適切に過剰な執着があると、そう言うべきなのではないか。
くり返すが、三人の間での「呼び出しと手紙」事件というのは、所詮は二十歳そこそこの「小娘」による、
感情的な行き違いでしかなかった。
その段階で、萩尾が、誤解を解くための話し合いを避け、距離を置こうとしたのも、その未熟さ故に、
やむを得ない選択だったのだろう。
だが、だとしても、そうした「過去」を何十年経っても許せないというのは、やはり「過剰」であり、
私は萩尾の中に、「修羅」に似た「妄執的な情念」を感じずにはいられない。

今になって、そうした過去をどうしても清算したいと言うのなら、今回のようなやり口を選ぶ前に、
一度くらい、腹を括って話し合いをすべきではなかったのか。面と向かって、謝罪を要求すべきではなかったか。
世間に向かってぶちまけるという、一方的かつ乱暴なやり方は、それからでも遅くはなかった。
それでも、あえてそうしたやり方を選んだというのは、結局のところ萩尾の本音が、
意図的に「二人を傷つけよう」とするものだったからではないのか。