219感想続き
風木が当時話題になり、一定の支持を得た理由は
少年同士の性愛というセンセーショナルな面はもちろんあるが
19世紀風味で描くことにより、この時期(60年代から70年代)の流行にうまく乗っていた
ともいえるのではないか?
そして、その思いつきのきっかけが『ポーの一族』ヒットの可能性も否定できないのでは

風木の舞台は構想当初、20世紀初頭の音楽院だったが、
実際に描く時は前倒しして19世紀末の寄宿学校に変更。
「世紀末のものばかり集めて、家具からファッションから調べ始めた」
「少女マンガ家にあるまじき、ドレスを描くのが大っ嫌いな人」なのに
「一世一代のドレスを描いてしまった」と「マンガ教室」で語っている。
その時代を選んだ理由は「戦争があるとめんどうくさいから」とも。
だが、実際は先にヒットした『ポーの一族』の19世紀の雰囲気や
絵に漂う空気感を「自分のものにしたかった」からではないか?
それは増山さんの趣味嗜好とも一致する。
ファンの声「竹宮先生は『ポーの一族』を描いていますよね」は
皮肉にも真相の一部を衝いていたのかもしれない