続き

※ヨーロッパ旅行の短い件略

★ひとりぼっち

少女漫画界に異変がおこってきた。若い作 家の新ジャンルの漫画が、受けはじめたのだ。
「ポーの一族」による萩尾望都の成功、大島弓子の台頭、
この二人の活躍は、少女漫画の画風をガラリと変えていった。
繊細なペンタッチと女性独得のイラストふう画面を大流行 させたのである。

しかし、少年漫画の、特に石森章太郎の躍動的少年をみごとに描く
テクニックを、竹宮恵子は好んで使った。内容も、ヨーロッパ的
精神主義より、カラッと明るい生命感あふれるものを好んだ。
が、世間の大勢、読者の大半が流行に合わせた作風を要求してきた。
「あなたの絵は古い』『線があらあらしく、汚ない』 『動きが多過ぎて、読みずらい」と・・・・・。
大泉サロン内で、彼女が不安に感じていた 自分の感性が全体の流れとちがう”という不安が、より巨大な力でのしかかってきた。