フィヨルム「寒々しい格好なのに暑苦しい…矛盾するこの二つを内包する不思議な人。あなたは何者なんですか?」
ヘクトル「なんだこないだの奴か。いや、何者って言われてもただの横綱だが」
フィヨルム「その裸同然の格好で寒中水泳や雪山登山ができますか?」
ヘクトル「やりたくはねえが…兄貴たちとの修行でやった事はあるな。気合がありゃなんとかなるわ」
フィヨルム「好物は?」
ヘクトル「鍋」
フィヨルム「なんでアイスじゃないんですか?」
ヘクトル「いや、アイスも好きだぜ。つーか食い物は大抵なんでも好きだ」
フィヨルム「なるほど…じゃあ次は…」
ヘクトル「ち、ちょっと待った待った。さっきからなんなんだ?」
フィヨルム「いえ、ニフルで暮らせるかどうかいろいろ聞いてみようかなと。おめでとう。合格です。真冬でも裸同然のあなたなら大丈夫」
ヘクトル「………どういうこっちゃ?」
フィヨルム「……紋章町の最北端。土地の大半が北極圏に入るニフルは夏でも雪に覆われる永久凍土と氷河ばかりの土地、冬なら零下50度まで下がります」
ヘクトル「…よくそんなとこで暮らしてるな…」
フィヨルム「はい…ですので…ちょっとだけ他のとこの人には厳しく感じるらしくって」
ヘクトル「そりゃそうだろ」
フィヨルム「ですので!……他所からお嫁さんやお婿さんに来てくれる人がさっぱりさっぱり」
ヘクトル「ちょっとまて…まさかお前…」
フィヨルム「はい、強靭な体と露出度を持つあなたならニフルで暮らしていけます。どうぞよろしく」
ヘクトル「よろしくじゃねぇ!? なんでそうなる!?」
フィヨルム「え、もしかして寒々しい私はタイプじゃないんですか!?寒中水泳やアイスよりこたつや鍋の方がいいんですか?」
ヘクトル「…大抵の奴は寒中水泳より鍋の方が好きだろ…」
フィヨルム「ムスペルの方がいいですか?結婚するなら私よりスルトって事ですか?金髪お嬢ちゃんより灼熱髭親父の方がいいんだ…ショック…」
ヘクトル「なんでそうなんだ!?やめろバカ!?ホモネタからやっと解放されたってのに!?…つーか俺、結婚してるんだけど」
フィヨルム「別にかまいませんよ。お嫁さんも一緒に連れてきても。ちなみにどこの出身です?」
ヘクトル「二人ともイリア」
フィヨルム「近い!ナカーマ。イリアとシレジアはうちの国に近い雪国。親近感感じちゃいます」
ヘクトル「そ、そういやあいつらも冬に強かったっけ…」
フィヨルム「と、言うわけですのでどうか。お見合いしましょう。どうぞ。これ、連絡先と日取りです。では待ってますので」
ヘクトル「ちょっと待てや!?誰もするとは言ってな…行っちまいやがった」