リーフ「…………」
マルス「どうしたのさ? 珍しく考え込んで。またお仕置きかい?」
リーフ「いやまあ……ベルカから『カミラ様に近付くな!』って真っ二つにされて、ピエリから『ガロン様から『小うるさい。追い払え』って言われたの! 仕事なの! 大義名分なの!』って切り刻まれて、通りすがりのジェミーから燃やされて……。
    途中でナンナたちに回収されてお仕置きされるのは、いつものことだったんだけど……」
マルス「道端の葉っぱ扱いで無視されてたガロンさんから、視界を飛び回る枯れ葉くらいには認識されたんだね。おめでとう」
リーフ「ガロンさんに意識を向けられても、微塵も嬉しくないよ」
マルス「で。それがいつものことなら、他に何かあった?」
リーフ「……うん……ミコトさんからさ……『その他諸々に目を瞑ったとしても、自分の体にしか興味が無いことが透けて見える殿方とは、遊ぶ気にもなりませんわね』って……」
マルス「あのミコトさんが、とも思うけど、ド正論だね」
リーフ「傷心の弟に追い打ちしないでよ!?」
マルス「スーに襲いかかったり、嫌がるマリアに迫って怯えさせたり、僕がシーダと別れたと勘違いして口説こうとしたこと、忘れたのかい?」
リーフ「その節は本当に申し訳ありませんでしたっ!!!」
マルス「次やったら、ナンナたちが君好みに成長するまで、本当にコールドスリープするから」
リーフ(……目覚めた時に成長したナンナたちが目の前にいたら、自分を抑える自信が全く無い……)
マルス「ともかく、自分がモテない原因が、下心丸出しの顔と、よく滑る口と、ナンナたちへの不誠実さと、積み重なった悪評と、相手のことを考えずに自分の欲望を押し付ける無思慮と……」
リーフ「待って待って心折れる」
マルス「いっそ1回折っとこうと思ったんだけど?」
リーフ「情け容赦無い……」
マルス「情状酌量の余地も無いからね。むしろ現状が恩情処置だよ。
    それで? どうせ君のことだから、『仮に兄さんたちがエロ心を表に出していたら今みたいにモテなかった。なら僕も、感情を隠せるようになれば可能性が』とか考えたの?
    無駄だと思うけど」
リーフ「思考を完全に読まれた上に全否定された!?」
マルス「はぁ……おねいさんと一時のアバンチュール、だのバカなこと言ってないで、相手に見合うよう成長する、くらい言える甲斐性があれば……」
リーフ「…………僕と誰かがずっと一緒にいてくれるなんて、想像もできないよ……」
マルス(この、変な行動力はあるくせに、自信が無いところが、ね……先は長いなぁ……)