それでは財政赤字と金利との「本当の」関係とは、どのようなものか。ひとつ、確かな答えがある。財政赤字は翌日物金利を「低下」させる。もし国債発行や中央銀行による何らかの防衛策がなければ、財政赤字によって短期金利はゼロまで下がる。それは赤字支出によって銀行システムには過剰な準備預金が溢れ、準備預金の過剰な供給によってフェデラル・ファンド(FF)金利がゼロになるからだ。中央銀行がゼロ金利を容認したくなければ、金利をプラス方向に動かすために手を打たなければならない。過去(2008年以前)には、金利がFRBの目標に達するまで国債を売り、準備預金を除去するという公開市場操作(の売りオペ)によってそれを行ってきた。
現在は金利目標を「宣言」することで、それを達成している。金利を修正したければ、単に新たな目標を発表するだけで、金利は新たな水準(高いこともあれば低いこともある)になる。
重要なのは、何らかの明確な介入がなければ、財政赤字は自然と短期金利をゼロに押し上げるということだ。

Stephanie Kelton